説明

中継装置、無線通信システム及び無線通信方法

【課題】複数のレピータ1〜nに中継動作を分散させる場合に、レピータ1〜nの温度上昇による半導体部品などの電子部品の故障を防止し、レピータ1〜nの故障を未然に防止する。
【解決手段】ホームレピータ1は、ダウンリンクの通信フレームを生成する際、空きチャネルを有する2以上のレピータ2、3がある場合には、より低い温度情報に対応する空きチャネルを有するレピータ3をRAM43から優先的に選択して、通信フレーム中の空きチャンネル情報とする。無線端末装置Bが他の無線端末装置Aとの間で通信する場合、ホームレピータ1からの通信フレーム中の空きチャンネル情報(この場合は、最も温度が低いレピータ3)を取得して、通話チャンネルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、無線通信システム及び無線通信方法に関する。より詳しくは、複数の中継装置の少なくとも1つを介して任意の無線端末装置が他の無線端末装置と通信を行う場合の中継制御手順に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線端末装置の飛躍的な増加に伴って、レピータなどの中継装置が中継する通信量も増加の一途をたどっている。このため、レピータの中継時間が長くなり、内部の増幅回路や送信回路などの温度が上昇し、半導体部品などの電子部品故障によるレピータの故障を招き、レピータを介した無線端末装置同士の通信を行うことができなくなってしまう場合があった。なお、任意の無線端末装置が他の無線端末装置と通信を行う場合の中継制御手順については、従来、いくつか提案がなされている。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、中継装置に2系統の中継器を設けて、一方を現用の中継器とし他方を予備の中継器として、遠隔の制御局の制御によって、これら2系統の中継器を一定時間(例えば30分)ごとに現用の中継器として切り替えて使用し、現用の中継器の送信機が故障したときは、切り替え動作を停止して、予備の中継器を継続的に使用する構成になっている。具体的には、現用の中継器の受信機が遠隔の制御局から受信した周波数f1の信号に応じて、送信機が周波数f2の信号を制御局に送信するので、制御局が周波数f2の信号を受信しない場合には、現用の中継器の送信機が故障したと検出される、ことが開示されている。
【0004】
また、特許文献2に開示された技術は、固定無線端末装置に周囲温度を検出する温度検出手段を設け、他の固定無線端末装置との間で通信を行う際に、周囲温度が所定範囲の上限より上昇したとき又は下限より下降して、データを送信する十分な出力が得られないときには、その固定無線端末装置と他の固定無線端末装置との間に設けられた携帯無線端末装置を介して(すなわち携帯無線端末装置が中継装置として機能して)データが送信される構成になっている。具体的には、携帯無線端末装置は、通常、固定無線端末装置相互間の送受信データを傍受し、そのデータの中に中継コマンドが含まれていた場合には、中継コマンドで指定される送信元の端末ID、送信先の端末ID、中継端末IDに従って中継動作を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭33−4386号公報
【特許文献2】特開平07−264114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、中継器が故障した後の処理に過ぎず、故障を未然に防止することはできない。このため、一方の中継器が故障して他方の中継器に切り替わるまでの時間、すなわち最大で30分の時間は通信が全く中断されることになる。さらに、現用の中継器の送信機が故障したときに、予備の中継器を継続的に使用した場合に、故障した中継器が復旧するまでの間は現用の1台の中継器の中継時間が長くなる。従って、この1台の中継器において、増幅回路や送信回路などの温度が上昇し、半導体部品などの電子部品故障による当該中継器の故障を招き、故障した一方の中継器が復旧するまでの間、通信が中断されてしまう場合がある。
【0007】
また、特許文献2においては、固定無線端末装置の周囲温度が所定範囲からはずれた場合の臨時の中継装置として携帯無線端末装置が特別に設けられている上、固定無線端末装置の周囲温度が所定範囲である場合には、携帯無線端末装置は固定無線端末装置相互間の送受信データを傍受する機能しか果たしていないので、極めて不経済なシステムになっている。さらに、特許文献2に記載されているように、たとえ固定無線端末装置に冷却装置や加熱装置を設けたとしても、周囲温度が所定範囲に収まるまでの間は、1台の携帯無線端末装置の中継時間は長くなる。従って、この1台の携帯無線端末装置において、増幅回路や送信回路などの温度が上昇し、半導体部品などの電子部品故障による当該携帯無線端末装置の故障を招き、通信が中断されてしまう場合がある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、中継装置を介して無線端末装置が他の無線端末装置と通信を行うシステムにおいて、複数の中継装置に中継動作を分散させる場合に、複数の中継装置全体の発熱の上昇を抑制することで、半導体部品などの電子部品故障による中継装置の故障によって通信ができなくなってしまうことを未然に防止することが可能な中継装置、無線通信システム、及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る中継装置は、
通信回線を介して互いに接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置から構成され、各中継装置が、自己に登録された無線端末装置が無線端末装置間の通信を行う中継チャンネルを選択するために、前記通信回線から取得した情報に基づいて構築した制御情報を、該無線端末装置に無線送信する中継システムを構成する中継装置であって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶する温度計測手段と、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別するスロット判別手段と、
前記スロット判別手段によって自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記温度計測手段によって前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込む情報書込手段と、
前記スロット判別手段によって現在のタイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新する温度更新手段と、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知するチャンネル通知手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の観点に係る中継装置において、例えば、前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時する計時手段と、この計時手段によって計時された一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示する計測指示手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る無線通信システムは、
通信回線を介して相互に接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置を備えた中継システムと、該中継システムを介して通信を行う複数の無線端末装置とから構成され、各中継装置は、自己に登録された無線端末装置に対して制御情報を送信し、各無線端末装置は、自己が登録された中継装置より受信した前記制御情報に基づいて、各中継装置に割り当てられたチャンネルの中から中継可能な状態であるチャンネルを選択して無線端末装置間で通信を行う無線通信システムであって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶する温度計測手段と、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別するスロット判別手段と、
前記スロット判別手段によって自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記温度計測手段によって前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込む情報書込手段と、
前記スロット判別手段によって現在のタイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新する温度更新手段と、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知するチャンネル通知手段と、
を備え、
前記無線端末装置は、
自装置が登録されている中継装置のチャンネル通知手段によって通知された空きチャンネルを有する中継装置に対して、中継を要求して他の無線端末装置との間で通信を行う接続要求手段を、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点に係る無線通信システムにおいて、例えば、前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時する計時手段と、この計時手段によって計時された一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示する計測指示手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る無線通信方法は、
無線端末装置が他の無線端末装置と通信を行う際に、所定の通信回線によって互いに接続された複数の中継装置の少なくとも1つを選択する無線通信方法であって、
通信回線を介して相互に接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置を備えた中継システムと、該中継システムを介して通信を行う複数の無線端末装置とから構成され、各中継装置が、自己に登録された無線端末装置に対して制御情報を送信し、各無線端末装置が、自己が登録された中継装置より受信した前記制御情報に基づいて、各中継装置に割り当てられたチャンネルの中から中継可能な状態であるチャンネルを選択して無線端末装置間で通信を行う無線通信システムにおいて、中継装置の少なくとも1つを選択する無線通信方法であって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶し、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別し、
前記タイムスロットが、自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込み、
タイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新し、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知し、
前記無線端末装置は、
自装置が登録されている中継装置によって通知された空きチャンネルを有する中継装置に対して、中継を要求して他の無線端末装置との間で通信を行う、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の観点に係る無線通信方法において、例えば、前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時し、計時した一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、複数の中継装置の各々は略一定の時間間隔で内部の現在の温度を計測し、自装置に登録されている無線端末装置が他の無線端末装置との間で通話を行うための中継チャンネルを選択するための制御情報に挿入する中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を優先的に選択してその中継装置に割り当てられた中継チャンネル情報を書き込んで制御情報を生成し、自己に登録された無線端末装置に送信する。これにより、複数の中継装置に中継動作を分散させる場合に、計測された温度の高い中継装置を回避し、計測された温度の低い中継装置を優先的に選択して中継させることで、半導体部品などの電子部品の故障を未然に防止することができる。また、中継装置の温度上昇に伴う送信パワーの低下を防止することができる。
【0016】
また、本発明によると、各中継装置の温度上昇を抑制することにより、放熱器を小さくすることが可能になり、中継装置の小型軽量化及びコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における無線通信システムの構成図である。
【図2】図1の無線端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のレピータの構成を示すブロック図である。
【図4】図1の通信回線に送出される同期信号及び同期信号に続く各レピータに割当てられているタイムスロットを含む図である。
【図5】図1の無線端末装置とレピータとの間で送受信される通信フレームのフォーマットの図である。
【図6】各レピータの動作を示す図3のCPUのフローチャートである。
【図7】図3のレピータのRAMの温度情報テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る中継装置、無線通信システム及び無線通信方法の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における無線通信システムのサイト10の構成図である。図1において、サイト10は1つの通信エリアである。このサイト10にはレピータシステム30が設置される。レピータシステム30は1つの中継システムであり、そのシステムバスである通信回線5bを介して接続された、複数(例えば最大30台)のレピータ1〜nによって構成される。複数のレピータ1〜nには、それぞれ固有の中継用チャンネルが割当てられている。そして、これら複数のレピータ1〜nは協働して同一の通信エリアたるサイト10に存在する無線端末装置相互の通話の中継処理を担う。サイト10において、複数のレピータ1〜nで構成されるレピータシステム30はIP接続線などの通信回線5aを介してサーバ4に接続される。通信回線5a、5bのうちでは、通信回線5bの方を「システムバス」と称する。そこで、以下の説明においては、通信回線5bをシステムバスと呼ぶことにする。
【0020】
サーバ4は、複数のレピータ1〜nの各種設定を遠隔操作により行うことができる。各レピータは、レピータユニットとコントローラユニットから構成されている。また、各レピータの情報は、システムバスを介してやり取りされ、互いに共有している。他のレピータに対してデータを送出するタイミングは、予めどのタイムスロットでデータを送出するかが設定されているので、設定されたタイムスロットにデータを送出する。
【0021】
複数のレピータのうち、1台が「マスタレピータ」として設定される。図1では、レピータ1がマスタレピータになっている。マスタレピータ1は、自装置も含めたレピータ2〜nの同期を取るための同期信号をシステムバスに送出する。
【0022】
無線端末装置A〜Hは、レピータ1〜nのうち、いずれかの1台のレピータをホームレピータとして登録されており、待ち受け状態においては、ホームレピータのチャンネル周波数に設定され、ホームレピータのダウンリンク信号を受信している。無線端末装置A〜Hは、ホームレピータのダウンリンク信号中に挿入される空きチャンネル情報を取得し、この空きチャンネルにチャンネル周波数を移動して、他の無線端末装置との通話を行う。そして、通話が終了すると、チャンネル周波数をホームレピータのチャンネル周波数に戻し、待ち受け状態に戻る。図1では、無線端末装置A〜Dがレピータ1をホームレピータ、無線端末装置E及びFがレピータ2をホームレピータ、無線端末装置G及びHがレピータ3をホームレピータとしている。
【0023】
図1の無線通信システムは、無線端末装置が複数のレピータ1〜nを共用し、その中から中継用に少なくとも1つのレピータを適宜選択するトランキングシステムである。このトランキングシステムでは、複数のレピータ1〜nのいずれも専用としての制御チャンネルにはならず、いずれのレピータも適宜制御チャンネルとなり、かつ、通話チャンネルともなる。このシステムでの通話の方式を図1の例で具体的に説明する。図1の例では、無線端末装置A〜Dが同じホームレピータたるレピータ1に登録されている。ここで、無線端末装置Aが無線端末装置B〜Dと通話を行うとする。この場合、無線端末装置Aは、通話に先立ち、レピータ1からのダウンリンク信号中に含まれる通話可能な通話チャンネル、例えば、レピータ2に対して通話許可要求を送信する。そして、無線端末装置Aは、このレピータ2から通話を許可する旨の応答を受け取る。これによって、無線端末装置A〜Dの間でレピータ2を介して通話のリンクが確立される。他方、無線端末装置B〜Dはレピータ1からリンクを確立した通話チャンネル、例えば、レピータ2へ移動せよという旨の制御信号を受け取る。そして、これらの無線端末装置B〜Dはチャンネル周波数を移動してその通話チャンネル、例えば、レピータ2を介して無線端末装置Aと通話を行う。このように、レピータ1は、無線端末装置A〜Dに対しては、上記の場合に、制御チャンネルとなる。一方、レピータ1は、他の無線端末装置E〜Hに対しては、制御チャンネルとはならない。が、これらの端末装置の通話チャンネルにはなり得る。ここで、無線端末装置A〜D間の通話は、無線端末装置A〜D全体でのグループ通話や、さらにグループの単位を細分化して、例えば、無線端末装置A及びBから構成される小グループでのグループ通話、又は、1台の無線端末装置を対象とした個別呼び出し(「Individual Call」という)などがある。
【0024】
この時、レピータ1は、上述の通りレピータ2〜nとシステムバスによって接続され、システムバスを介して各レピータの情報を共有しているので、どのレピータが空きチャンネルであるかを把握している。無線端末装置Aは、自分のホームレピータであるレピータ1からのダウンリンクの通信フレーム中の空きチャンネル情報から取得した通話チャンネルの周波数に送信周波数を設定し、通話を行う。なお、この実施の形態においては、1つのレピータに対して1つの固有のチャンネルが割り当てられているものとする。
【0025】
次に、各無線端末装置及び各レピータの機能について説明する。図2は、図1の無線端末装置A〜Hの構成を示すブロック図である。図3は、図1のレピータ1〜nの構成を示すブロック図である。図4は、マスタレピータ1からシステムバスに送出される同期信号及び同期信号に続く各レピータに割当てられているタイムスロットを含む図である。図5は、レピータと無線端末装置との間で送受信される通信フレームのフォーマットを示す図である。通信フレームはヘッダ部とデータ部で構成されている。ヘッダ部及びデータ部の詳細な内容については後述する。
【0026】
図2に示すように、無線端末装置A〜Hは、信号系のブロックとして、アンテナANTSR、送受信切換部11、送信部12、ベースバンド処理部13、A/D変換部14、マイク15、受信部16、ベースバンド処理部17、D/A変換部18、スピーカ19を備えている。また、無線端末装置A〜Hは、制御系のブロックとして、コントローラ20、計時部25、表示部26、操作部27を備えている。さらに、コントローラ20は、CPU(中央演算ユニット)21、I/O(入出力部)22、RAM(読み書き可能メモリ)23、ROM(読み出し専用メモリ)24、及びこれらを互いに接続する内部バス(図示せず)を備えている。
【0027】
図2の無線端末装置A〜Hにおいて、信号系のブロックは制御系のCPU21によって制御される。CPU21は、ROM24に記憶されている制御プログラムを実行して無線端末装置の全体を制御し、I/O22を介して操作部27から入力されるコマンドやデータ、及びベースバンド処理部17から得られるデータを処理してRAM23に一時的に記憶し、必要に応じて記憶したコマンドやデータをLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部26に表示する。また、CPU21は、計時部25から得られる現在時刻を表示部26に表示する。なお、図には示していないが、無線端末装置の固有の識別情報であるIDを記録したフラッシュROM等の書き換え可能な不揮発性メモリカードが着脱可能に内蔵する構成にしてもよい。
【0028】
次に、信号系のブロックの一般的な動作について説明する。送受信切換部11は、入力側がアンテナANTSRに接続され、CPU21の制御に応じて、出力側が送信部12又は受信部16に択一的に接続される。操作部27により発信操作がされない場合には、送受信切換部11の出力側は受信部16に接続されて受信(待受)モードになっているが、操作部27により発呼操作がされたときは、送受信切換部11の出力側は送信部12に接続されて送信モードに切り替わる。
【0029】
無線端末装置A〜Hが送信モードの場合には、マイク15はユーザの音声入力に応じてアナログの音声信号をA/D変換部14に出力する。
【0030】
A/D変換部14は、マイク15からの音声信号をアナログからデジタルに変換してベースバンド処理部13に出力する。
【0031】
ベースバンド処理部13は、A/D変換部14からの音声信号のデータに基づいて、あるいはコントローラ20のRAM23に記憶されているデータに基づいて、所定のフォーマットの通信フレームを生成して送信部12に出力する。
【0032】
送信部12は、ベースバンド処理部13からの通信フレームを変調して、送受信切換部11及びアンテナANTSRを介して中継動作中のレピータに対して送信する。送信部12の変調方式には、GMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、又はFSK(Frequency Shift Keying)などが用いられる。
【0033】
無線端末装置A〜Hが受信モードの場合には、レピータから無線信号を受信したときは、送受信切換部11はアンテナANTSRを介して入力した受信信号を受信部16に出力する。
【0034】
受信部16は、送受信切換部11から出力された受信信号を増幅すると共に、復調処理などの信号処理を施して、その復調信号をベースバンド処理部17に出力する。
【0035】
ベースバンド処理部17は、受信部16から出力された復調信号から通信フレームを抽出する。さらに、抽出した通信フレームのヘッダ部Hの情報をCPU21に出力する。CPU21は、ヘッダ部Hの情報を分析して、その受信信号の送信先が自局の場合には、データ部Dに含まれている音声信号のデータについてはD/A変換部18に出力させ、データ部に含まれている音声信号以外のデータについてはRAM23に一時的にストアすると共に必要に応じて表示部26に表示する。
【0036】
D/A変換部18は、ベースバンド処理部17からの音声信号をデジタルからアナログに変換してスピーカ19から発音させる。
【0037】
図3のレピータ1〜nは、信号系のブロックとして、送信専用のアンテナANTS、送信部32、ベースバンド処理部33、受信専用のアンテナANTR、受信部36、ベースバンド処理部37、入力部6、出力部7、ネットワークI/F(インタフェース)8を備えている。また、各レピータは、制御系のブロックとして、コントローラ40、計時部45、温度計測部48、表示部46、操作部47、を備えている。さらに、コントローラ40は、CPU(中央演算ユニット)41、I/O(入出力部)42、RAM(読み書き可能メモリ)43、ROM(読み出し専用メモリ)44、及びこれらを互いに接続する内部バス(図示せず)を備えている。また、レピータ1〜nは、後述するシステムバスに自装置の情報を送出し、他のレピータからの情報を取得するためのバスI/F(インタフェース)9を備えている。
【0038】
温度計測部48は、図には示していないが、サーミスタなどの温度センサやA/D変換部を備えている。CPU41は、20分ないし30分程度の一定時間ごとに、マスタレピータ1から入力される指令に応じて、温度計測部48で計測された現在の温度データを取り込んでRAM43にストアする。すなわち、RAM43の温度データは一定時間ごとに更新される。したがって、スレーブレピータ2〜nのタイマ機能はオフに設定され、スレーブレピータ2〜nのCPU41の負荷は軽減される。なお、実施の形態の変形例として、各レピータ1〜nがそれぞれ一定時間ごとに温度を計測する構成でもよい。
【0039】
レピータ1〜n(例えば、レピータ1)は、送信元の無線端末装置(例えば、無線端末装置A)から受信した無線信号を増幅処理や波形処理などの信号処理を行って、送信先の無線端末装置(例えば、無線端末装置B)に対して送信するので、基本的には図2に示した無線端末装置A〜Hと同様の構成を備えている。したがって、図2に示した無線端末装置A〜Hの構成要素と基本的に同じものについては、同種の符号で表し、それらの動作については無線端末装置A〜Hと重複するので説明を省略する。
【0040】
レピータを経由して無線端末装置同士が通信を行う場合には、無線端末装置からレピータへの送信のアップリンクと、レピータから無線端末装置への送信のダウンリンクとは、周波数又はタイムスロットを変えて同時に通信する。したがって、上記したように、レピータは送信専用のアンテナANTS及び受信専用のアンテナANTRを備えている。また、複数のレピータの各々は、図1に示したように、システムバス(通信回線5b)を介して相互に接続され、IP接続線などの通信回線5aを介してサーバ4に接続されている。入力部6は、CPU41の入力制御によって、ネットワークI/F8を介してサーバ4から制御データを入力し、出力部7は、CPU41の出力制御によって、ネットワークI/F8を介してサーバ4より要求されたデータ等を出力する。さらに、別の通信エリアを構成する他のサイト10との通信を行うマルチサイトネットワークを構築する場合は、ネットワークI/F8を介して他のサイト10のリピータ1〜nと通信フレームの送受信を行う。バスI/F9は、CPU41の入力制御によって、マスタレピータ1によってシステムバスに送出された同期信号や、自装置以外の他のレピータからシステムバスに送出されるレピータ情報の取得、CPU41の出力制御によってシステムバスへの自装置の情報の送出を仲介する。
【0041】
次に、本発明の特徴である制御手順について図4ないし図7を参照して説明する。図4に示すマスタレピータ1から送出される同期信号及び同期信号に続く各レピータに割当られたタイムスロットの1周期は80msになっており、前半の40msは、SLOT0からSLOT31までの32個のスロットで構成されている。したがって、各スロットは1.25msの時間長になっている。最初のSLOT0は同期信号であり、決められたアルゴリズムに従って、特定の1つのレピータすなわちマスタレピータ1が送出し、他のレピータ2〜nは自動的にスレーブレピータになって、この同期信号を取得する。レピータ1〜n、すなわちレピータシステム30は、この同期信号に同期して、稼働している。レピータ1〜nには、同期用のSLOT0以外のSLOT1〜31のいずれかが割当てられており、レピータ1〜n間で共用する各レピータの情報を自装置に割当てられたSLOTに書き込む。マスタレピータであるレピータ1は、SLOT0には同期信号を送出し、また、SLOT1〜SLOT31のうちレピータ1に割当てられたSLOTにレピータ1の情報を書き込むことになる。なお、最後のSLOT31は将来の拡張機能のための外部機器接続用として使用する。
【0042】
図5(A)に通話チャンネルとのリンク確立時の通信フレームのフォーマット、図5(B)に音声及びデータ通信時の通信フレームのフォーマットの一例を示す。図5(B)に示すホームレピータと無線端末装置との間で送受信される通信フレームのフォーマットも1周期が80msであり、384ビットで構成される。図5において、Pはプリアンブル(初期送信時のみ)、FSWはフレーム同期ワード、LICHはリンク情報、SCCHはシグナリング制御、FACCHは高速付随制御、Gはガードタイムのデータが挿入される。
【0043】
図1において、無線端末装置Bがホームレピータであるレピータ1からのダウンリンク信号中に含まれる空きチャンネル情報を取得し、空きチャンネルであるレピータ2を介して無線端末装置Aに対する個別呼び出しをする場合、まず、図5(A)に示すリンク確立時の通信フレームフォーマット中のSCCHに、使用する通話チャンネルであるレピータ2のID、被呼端末となる無線端末装置Aが登録されているホームレピータであるレピータ1のIDなどを、FACCHに、発呼端末である無線端末装置Bが登録されているホームレピータであるレピータ1のID、発呼端末である無線端末装置BのIDなどを書き込んで、通話チャンネルであるレピータ2に対して送信する。
【0044】
これに対するレピータ2の応答は、無線端末装置Bから送信された通信フレームを折り返すが、ここに空きチャンネル情報が書き込まれる。無線端末装置Bは、レピータ2から通話許可の通信フレームを受信した後、図5(B)に示す通信フレームフォーマットのSCCH中に、無線端末装置Bが登録されているホームレピータや無線端末装置BのIDなどを挿入し、続けて、音声通信の場合は音声を、データ通信の場合はデータを挿入して、レピータ2に対して送信する。
【0045】
各レピータは、無線端末装置から送信される通信フレームに含まれる情報を取得して、レピータの状態を示す他の情報も含めて、自装置に割当てられたSLOTに情報を送出し、1つのサイト10を構成するレピータ間で、それらの情報を共有する。したがって、被呼端末である無線端末装置Aが登録されているレピータ1は、レピータ2を介して無線端末装置Bが無線端末装置Aに対する個別呼び出しを行っていることを把握できるので、レピータ1のダウンリンク信号の通信フレーム中に、無線端末装置Aにレピータ2のチャンネル周波数に移動する指示を挿入する。
【0046】
待ち受け状態においては、無線端末装置は登録されているホームレピータのダウンリンク信号のチャンネル周波数を受信しているので、呼び出しがされている通話チャンネルへチャンネル周波数を移動することができる。グループ通話を要求する場合は、無線端末装置AにIDの代わりにグループIDを書き込めばよい。
【0047】
図6は、各レピータの動作を示す図3のCPU41のフローチャートである。図7は、レピータ1のRAM43にストアされた各リピータの現在の温度情報を示す温度情報テーブル(記憶エリア)の図である。図1の場合には、空きチャンネルである3台のレピータ1,2,3の温度情報をストアするが、最大30台のレピータの温度情報をストアすることができる。
【0048】
図6において、レピータは、温度計測時間になったか否かを判別する(ステップS201)。温度計測時間になったときは、温度計測部48によって現在の温度を計測し(ステップS202)、RAM43における自装置に対応する温度情報テーブルにストアしている前回の温度情報を更新する(ステップS203)。
【0049】
次に、システムバスを監視して、自装置のタイムスロットのタイミングであるか否かを判別する(ステップS204)。自装置のタイムスロットのタイミングのときは、RAM43における自装置に対応する温度情報テーブルにストアした温度情報をそのタイムスロットに送出する(ステップS205)。
【0050】
一方、自装置のタイムスロットのタイミングでない場合、すなわち他のレピータのタイムスロットのタイミングのときは、他のレピータからの温度情報が有るか否かを判別する(ステップS208)。
【0051】
ステップS205において温度情報を送出した後、又は、ステップS208において他のレピータからの温度情報が有る場合には、RAM43における他のレピータに対応する温度情報テーブルの温度情報を更新する(ステップS206)。
なお、ステップS208において、他のレピータからの温度情報が無いと判別された場合には、ステップS204に戻る。
【0052】
ステップS206において温度情報テーブルを更新した後、又は、ステップS201において温度計測時間でない場合には、その他の処理を行って(ステップS207)、ステップS201において温度計測時間になったか否かを判別する。
【0053】
レピータ1〜nのダウンリンクの通信フレームには、空きチャンネル情報が含まれており、無線端末装置A〜Hは、待ち受け状態において、予め登録されているホームレピータのダウンリンクを受信している。無線端末装置A〜Hは、ホームレピータからのダウンリンクの通信フレームに含まれる空きチャンネル情報を取得し、取得したチャンネルで他の無線通信端末との通信を行う。レピータ1〜nは、RAM43に記憶されている空きチャンネルであるレピータ1〜nの中から、最も温度が低いレピータを選択し、通信フレーム中の空きチャンネル情報とする。従って、無線端末装置A〜Hは、ホームレピータからのダウンリンクの通信フレーム中に含まれる空きチャンネル情報を取得し、空きチャンネルであるレピータのチャンネルの周波数に合わせて発呼して、他の無線端末装置と通話を行う。
【0054】
このように、上記実施の形態においては、各レピータ1〜nは、略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、その温度情報をRAM43における自装置に対応する温度情報テーブルに記憶し、現在のタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか又は他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別し、現在のタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるときは、RAM43における自装置に対応する温度情報テーブルの温度情報を現在のタイムスロットに書き込む。一方、各レピータ1〜nは、現在のタイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであるときは、他装置によって現在のタイムスロットに書き込まれている温度情報によって、RAM43における他装置に対応する温度情報テーブルの温度情報を更新する。
【0055】
ホームレピータ1は、自装置に登録されている無線端末装置が他の無線端末装置との間で通信するためのチャンネルを指定する際、空きチャンネルであるレピータが2以上ある場合には、より低い温度情報に対応するレピータをRAM43の温度情報テーブルから優先的に選択する。例えば、図1において、無線端末装置Bが登録されているホームレピータ1は、ダウンリンクの通信フレームを生成する際、空きチャンネルであるレピータがレピータ2,3と2つあるので、図7の温度情報テーブルの中から最も温度が低いレピータ3を優先的に選択して、通信フレーム中の空きチャンネル情報とする。無線端末装置Bが他の無線端末装置Aとの間で通信する場合、ホームレピータ1からの通信フレーム中の空きチャンネル情報(この場合は、最も温度が低いレピータ3)を取得して、通話チャンネルとする。
【0056】
これにより、複数のレピータ1〜nに中継動作を分散させる場合に、温度の高いレピータを回避し、より温度の低いレピータを優先的に選択して中継させ、レピータ1〜nの温度上昇を抑制することができる。したがって、温度上昇による半導体部品などの電子部品の故障を防止し、レピータ1〜nの故障を未然に防止することができる。特に、本実施形態のように、複数のレピータ1〜nのうちから任意の1台をマスタレピータとし、レピータ1〜nが協働して同一の通信エリアたるサイト10に存在する無線端末装置相互の通話の中継処理を担うような無線通信システムの場合、マスタレピータが故障すると無線通信システム自体が使用不能となってしまう。よって、レピータの故障を未然に防止することにより、無線通信システムの安定性を向上させることができる。さらに、放熱器を小さくすることが可能になり、レピータ1〜nの小型軽量化及びコストダウンを図ることができる。また、中継装置の温度上昇に伴う送信パワーの低下を防止することができる。
【0057】
また、上記実施の形態によれば、マスタレピータ1は、略一定の時間間隔を計時し、計時した一定の時間間隔ごとに他のレピータ2〜nに対して、システムバスを介して温度測定を指示する。
【0058】
これにより、マスタレピータ1にしたがう他のレピータ2〜nすなわちスレーブレピータは、マスタレピータ1から指示にしたがって、自装置の現在の温度を計測するタイミングを容易に認識できる。
【0059】
なお、上記実施の形態は本発明を説明するためのものであり、本発明は上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者によって考えられる他の実施の形態や変形例についても本発明に属するものである。
【0060】
例えば、上記実施の形態においては、中継装置はOSI参照モデルの物理層すなわちレイヤ1で中継動作を行うレピータ1〜nに相当する。また、温度計測手段、スロット判別手段、情報書込手段、温度更新手段、チャンネル通知手段、計測指示手段は、レピータ1〜nのCPU41の機能に相当し、記憶手段はRAM43に相当し、計時手段は計時部45に相当する。また、接続要求手段は無線端末装置1のCPU21の機能に相当する。
【0061】
また、上記実施の形態においては、マスタレピータ1が、スレーブレピータである他のレピータ2〜nに、自装置の現在の温度を計測するタイミングを指示した。しかし、レピータ2〜nのそれぞれがタイマを有し、マスタレピータ1からの指示によらないで、このタイマを用いて、レピータ2〜nのそれぞれが温度計測のタイミングを計るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
A〜H 無線端末装置
1〜n レピータ
5 通信回線
20,40 コントローラ
21,41 CPU
23,43 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して互いに接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置から構成され、各中継装置が、自己に登録された無線端末装置が無線端末装置間の通信を行う中継チャンネルを選択するために、前記通信回線から取得した情報に基づいて構築した制御情報を、該無線端末装置に無線送信する中継システムを構成する中継装置であって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶する温度計測手段と、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別するスロット判別手段と、
前記スロット判別手段によって自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記温度計測手段によって前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込む情報書込手段と、
前記スロット判別手段によって現在のタイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新する温度更新手段と、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知するチャンネル通知手段と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時する計時手段と、この計時手段によって計時された一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示する計測指示手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
通信回線を介して相互に接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置を備えた中継システムと、該中継システムを介して通信を行う複数の無線端末装置とから構成され、各中継装置は、自己に登録された無線端末装置に対して制御情報を送信し、各無線端末装置は、自己が登録された中継装置より受信した前記制御情報に基づいて、各中継装置に割り当てられたチャンネルの中から中継可能な状態であるチャンネルを選択して無線端末装置間で通信を行う無線通信システムであって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶する温度計測手段と、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別するスロット判別手段と、
前記スロット判別手段によって自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記温度計測手段によって前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込む情報書込手段と、
前記スロット判別手段によって現在のタイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新する温度更新手段と、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知するチャンネル通知手段と、
を備え、
前記無線端末装置は、
自装置が登録されている中継装置のチャンネル通知手段によって通知された空きチャンネルを有する中継装置に対して、中継を要求して他の無線端末装置との間で通信を行う接続要求手段を、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時する計時手段と、この計時手段によって計時された一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示する計測指示手段と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
無線端末装置が他の無線端末装置と通信を行う際に、所定の通信回線によって互いに接続された複数の中継装置の少なくとも1つを選択する無線通信方法であって、
通信回線を介して相互に接続され、各固有の中継用チャンネルが割り当てられた複数の中継装置を備えた中継システムと、該中継システムを介して通信を行う複数の無線端末装置とから構成され、各中継装置が、自己に登録された無線端末装置に対して制御情報を送信し、各無線端末装置が、自己が登録された中継装置より受信した前記制御情報に基づいて、各中継装置に割り当てられたチャンネルの中から中継可能な状態であるチャンネルを選択して無線端末装置間で通信を行う無線通信システムにおいて、中継装置の少なくとも1つを選択する無線通信方法であって、
各中継装置は、
略一定の時間間隔ごとに内部の現在の温度を計測し、当該温度情報を所定の記憶手段における自装置に対応する記憶エリアに記憶し、
前記通信回線上を所定の順序で循環するタイムスロットが自装置に割当てられたタイムスロットであるか他装置に割当てられたタイムスロットであるかを判別し、
前記タイムスロットが、自装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段に記憶された温度情報を当該タイムスロットに書き込み、
タイムスロットが他装置に割当てられたタイムスロットであると判別されたときは、前記記憶手段における当該他装置に対応する記憶エリアの温度情報を当該他装置によって当該タイムスロットに書き込まれている温度情報に更新し、
前記制御情報中の中継チャンネルとして使用可能な空きチャンネルである中継装置が2以上ある場合には、より低い温度情報に対応する中継装置を前記記憶手段から優先的に選択して当該無線端末装置に通知し、
前記無線端末装置は、
自装置が登録されている中継装置によって通知された空きチャンネルを有する中継装置に対して、中継を要求して他の無線端末装置との間で通信を行う、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
前記複数の中継装置のうち特定の中継装置は、前記略一定の時間間隔を計時し、計時した一定の時間間隔ごとに他の中継装置に対して前記通信回線を介して温度計測を指示することを特徴とする請求項5に記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−206259(P2010−206259A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46528(P2009−46528)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】