説明

中継装置、記憶装置及び記憶システム

【課題】記憶システムを構成する中継装置或いは記憶装置において、無線装置からのメモリカードやメモリデバイスへのアクセス後も、メモリカードやメモリデバイスに対する端末装置のデータの読み書きを常に正常に行なえるようにすること。
【解決手段】中継装置1は、無線装置2からのメモリカード6へのデータの書き込みが終了すると(ステップ404)、通知信号を端末装置3に送る(ステップ510)。これにより、端末装置3はメモリカード6からFATを読み出して取得して(ステップ501)。常に最新のファイル管理データを持つようにする。それ故、無線装置からのメモリカードに対するアクセス後も、メモリカードに対する端末装置のデータの読み書きを常に正常に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードを端末装置に有線インターフェースで接続すると共に無線装置に無線回線で接続するための中継装置或いは、端末装置に有線インターフェースで接続される共に無線装置に無線回線で接続される記憶装置のいずれか一方を有する記憶システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フラッシュメモリを内蔵するメモリカード(例えばメモリースティック(商標)、SDカード(商標)等)を、端末装置に有線インターフェースで接続するか、或いは無線装置に無線回線で選択的に接続して、端末装置或いは無線装置とメモリカード間でファイルデータの読み書きを行う中継装置が開発され、それを用いた「アダプタ装置及びメモリ装置」という発明名称の公知例がある(特許文献1)。
【0003】
図7は上記した公知例で示された中継装置を用いた記憶システムの簡略構成を示したブロック図である。この記憶システムは、メモリカードを着脱自在に装着する中継装置1、無線装置2及び端末装置3を有して構成され、中継装置1と端末装置3は有線のインターフェース5により接続され、中継装置1と無線装置2は無線回線8で接続されている。
【0004】
中継装置1のRF機能部11と通信制御機能部12は、無線装置2と無線通信を行うためのRF機能、およびベースバンド機能を有する。装置機能部13は、通信制御機能部12を制御して無線装置2との間で接続、切断処理を行う。また、装置機能部13は、無線装置2から受信されたメモリカードに対する要求41に対してメモリカード制御機能部14を制御してメモリカード6からメモリデータを取得し、応答42を構築して無線装置2に送信する。メモリカード制御機能部14は、端末装置3と中継装置1との間における有線インターフェース5と同様のメモリカードインターフェース7を有し、端末装置3とメモリカード6との間でファイルデータを中継する。
【0005】
無線装置2のRF機能部21と通信制御機能部22は、中継装置1と無線通信を行うためのRF機能、およびベースバンド機能を有する。ホスト機能部23は、通信制御機能部22を制御し、中継装置1に対して接続、切断処理を行う。また、ホスト機能部23は、中継装置1との間でメモリデータに対する要求41の送信、および応答42の受信を行い、送受信されたファイルデータに対してファイルの構築処理(ファイルシステム処理)を行う。またファイルを用いたアプリケーション処理を行う。
【0006】
端末装置3は、メモリカード制御機能部32から中継装置1を介してメモリカード6に対してファイルデータの読み書きを行う。端末機能部31は、読み書きされたメモリデータに対してファイルシステム処理を行い、また、ファイルを用いたアプリケーション処理を行う。以上の動作により、端末装置3から中継装置1に対して書き込まれたファイルデータが、無線装置2によって非接触、または遠隔的に読み出し可能になる。また、無線装置2から中継装置1に対して非接触、または遠隔的に書き込まれたファイルデータが端末装置3によって読み出し可能になる。
【0007】
図8は上記した公知例で示された記憶装置を用いた記憶システムの簡略構成を示したブロック図である。本例では、記憶装置4内にメモリデバイス(フラッシュメモリ)16が固定的に装備されている点以外の構成は、図7に示したシステムと同様であり、同様の動作を行う。
【特許文献1】特開2004−334005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の中継装置1及び記憶装置4では、端末装置3が中継装置1に装着されたメモリカード6、或いは記憶装置4に内装されているメモリデバイス16に対してファイルデータの読み込みを行う際に、端末装置3は、まず、ファイルシステムの初期処理として、ファイルのディレクトリ配置を示すテーブル情報(Fail Allocation Table: FAT情報)を読み出す。さらに端末装置3からファイルを書き込む場合は、ファイルデータを書き込むと共にFAT情報を更新し、端末装置3とメモリカード6、或いはメモリデバイス16との間でFAT情報の整合を保つ。
【0009】
然るに、無線装置2によって前記メモリカード6、或いはメモリデバイス16内のファイルデータおよびFAT情報が書き換えられた場合には、端末装置3はそのことを知ることができない。従って、端末装置3が持つFAT情報と、メモリカード6或いはメモリデバイス16が持つFAT情報との整合が取れなくなり、以降、端末装置3はメモリカード6或いはメモリデバイス16に対してファイルデータを正しく読み書きすることができなくなるという問題がある。このような状況でファイルを正しく読み書きするには、端末装置3はファイルシステム処理を再起動してFAT情報を再取得する必要がある。
【0010】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、無線装置からのメモリカード或いはメモリデバイスに対するアクセス後も、メモリカード或いはメモリデバイスに対する端末装置からのデータの読み書きを常に正常に行うことができる中継装置及び記憶装置を提供すると共に、これら中継装置或いは記憶装置のいずれか一方を有する記憶システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するため、着脱自在のメモリカードを装着し、このメモリカードに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータを読み書きする際の中継、或いは同メモリカードに無線装置より無線回線を介してファイルデータを読み書きする際の中継を行う中継装置であって、前記無線装置の前記メモリカードへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0012】
また、本発明は、前記通知手段で発生される通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを前記端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、前記通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成するカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送する。
【0013】
また、本発明は、着脱自在のメモリカードを装着し、このメモリカードに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータを読み書きする際の中継、或いは同メモリカードに無線装置より無線回線を介してファイルデータを読み書きする際の中継を行う中継装置であって、前記無線装置の前記メモリカードへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリカードへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリカードへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0014】
また、本発明は、メモリデバイスを内蔵し、このメモリデバイスに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータが読み書きされ、或いは同メモリデバイスに無線装置より無線回線を介してファイルデータが読み書きされる記憶装置であって、前記無線装置の前記メモリデバイスへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリデバイスへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリデバイスへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0015】
また、本発明は、着脱自在のメモリカードを装着する中継装置、前記メモリカードに有線インターフェース及び前記中継装置を介してファイルデータを読み書きする端末装置、前記メモリカードに無線回線及び前記中継装置を介してファイルデータを読み書きする無線装置を備える記憶システムであって、前記中継装置は、前記無線装置の前記メモリカードへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェース及び前記中継装置を介してファイル管理データを取得する。
【0016】
また、本発明は、前記通知手段で発生される通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを前記端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、当該通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成するカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送する。
【0017】
また、本発明の前記中継装置は、前記無線装置の前記メモリカードへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリカードへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリカードへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0018】
また、本発明は、メモリデバイスを内蔵する記憶装置、前記メモリデバイスに有線インターフェース介してファイルデータを読み書きする端末装置、前記メモリデバイスに無線回線を介してファイルデータを読み書きする無線装置を備える記憶システムであって、前記記憶装置は、前記無線装置の前記メモリデバイスへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、前記ファイルデバイスへの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0019】
また、本発明の前記記憶装置は、前記無線装置の前記メモリデバイスへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリデバイスへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリデバイスへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する。
【0020】
このように本発明では、中継装置或いは記憶装置において、無線装置がメモリカードやメモリデバイスにファイルデータを書き込むことを終了したら、これを検出して端末装置に通知(通知信号)し、この通知を受けた端末装置はメモリカードやメモリデバイスからファイル管理データ(例えばFAT)を取得して、常に最新のファイル管理データを持つようにすることにより、端末装置とメモリカードやメモリデバイスとの間のファイル管理データの整合性を常に維持することができる。それ故、無線装置からのメモリカードやメモリデバイスに対するアクセス後も、メモリカードやメモリデバイスに対する端末装置のデータの読み書きを常に正常に行うことができる。特に、前記通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、この通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成する既存のカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送することにより、メモリカードと端末装置の有線インターフェースであるピンの数を変えること無く、上記効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、記憶システムを構成する中継装置或いは記憶装置において、無線装置がメモリカードやメモリデバイスにファイルデータを書き込むことを終了したら、これを検出して端末装置に通知(通知信号)し、この通知を受けた端末装置はメモリカードやメモリデバイスからファイル管理データ(例えばFAT)を取得して、常に最新のファイル管理データを持つようにすることにより、端末装置とメモリカードやメモリデバイスとの間のファイル管理データの整合性を常に維持するようにするため、無線装置からのメモリカードやメモリデバイスに対するアクセス後も、メモリカードやメモリデバイスに対する端末装置のデータの読み書きを常に正常に行うことができる。
また、通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、この通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成する既存のカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送することにより、メモリカードと端末装置の有線インターフェースであるピンの数を変えること無く、上記効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
記憶システムを構成する中継装置或いは記憶装置において、無線装置からのメモリカードやメモリデバイスへのアクセス後も、メモリカードやメモリデバイスに対する端末装置のデータの読み書きを常に正常に行なえるようにする目的を、無線装置がメモリカードやメモリデバイスにファイルデータを書き込むことを終了したら、これを検出して端末装置に通知(通知信号)し、この通知を受けた端末装置はメモリカードやメモリデバイスからファイル管理データ(例えばFAT)を取得して、常に最新のファイル管理データを持つようにして、端末装置とメモリカードやメモリデバイスとの間のファイル管理データの整合性を常に維持する、特に、前記通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、この通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成する既存のカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送することによって実現した。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記憶システムの構成を示したブロック図である。但し、従来例と同様の部分は同一符号を付して説明する。記憶システムは、メモリカードを着脱自在に装着する中継装置1、無線装置2及び端末装置3を有して構成され、中継装置1と端末装置3は有線のインターフェース5により接続され、中継装置1と無線装置2は無線回線8で接続されている。尚、中継装置1は例えば端末装置3に装着するメモリカードのアダプタの形態を採るものとする。
【0024】
中継装置1は、無線装置2と無線通信を行うためのRF機能を持つRF機能部11、無線装置2と無線通信を行うためのベースバンド機能を持つ通信制御機能部12、通信制御機能部12を制御して無線装置2との間で接続及び切断処理を行う装置機能部13、無線装置2や端末装置3の要求に応じてメモリカード6に対してファイルデータの読み書きを行うメモリカード制御機能部14を有し、また、装置機能部13は本発明の要部である通知機能部131を備えている。
【0025】
無線装置2は、中継装置1と無線通信を行うためのRF機能を持つRF機能部21、中継装置1と無線通信を行うためのベースバンド機能を持つ通信制御機能部22、この通信制御機能部22を制御して中継装置1に対して接続及び切断処理を行ない、また、中継装置1との間でメモリデータに対する要求41の送信及び応答42の受信を行い、さらに送受信されたメモリデータに対してファイルの構築処理(ファイルシステム処理)を行うと共に、ファイルを用いたアプリケーション処理を行うホスト機能部23を有している。
【0026】
端末装置3は、メモリカード6に対して中継装置1を介してメモリデータの読み書きを行うメモリカード制御機能部32、読み書きされたメモリデータに対してファイルシステム処理を行うと共に、ファイルを用いたアプリケーション処理を行う端末機能部31を有している。
【0027】
次に本実施形態の動作について説明する。上記構成の記憶システムでは、端末装置3から中継装置1に対して書き込まれたファイルデータが、無線装置2によって非接触、または遠隔的に読み出される。また、無線装置2から中継装置1に対して非接触、または遠隔的に書き込まれたファイルデータが端末装置3によって読み出される。その際に、中継装置1によりメモリカード6に対してファイルデータが書き込まれた後も、端末装置3がメモリカード6対してファイルデータの読み書きを常に正常に行えるようにするための機能を中継装置1の装置機能部13に備えられている通知機能部131が行っている。
【0028】
通知機能部131は、中継装置1の装置機能部13に配置され、端末装置3の端末機能部31に対して通知信号(Low-Highの電気パルス信号)を発生し、有線インターフェース5を介して送信する。端末装置3は受信された通知信号に対してファイルシステム処理の再起動を行う。また中継装置1と端末装置3との間のメモリカードインターフェースにおいて新規にピンを追加しないためには、既存のカード検出信号と同様の通知信号を用いて上記動作を行う。本実施形態ではメモリカード6としてメモリースティックが使用されている場合について述べる。
【0029】
図2はメモリカード6と端末装置3との電気的接続を行う端子例を示した図である。メモリカード6のカード検出信号ピン601はGNDピン602と接続されている。一方、端末装置3内では、カード検出信号ピン301は抵抗によってプルアップされて端末機能部31と接続されている。従って、端末装置3に対して、メモリカード6が装着されていない場合は端末機能部31に対して接続されるカード検出信号ピン301のレベルはハイレベルを示す。一方、端末装置3にメモリカード6が装着され各ピンが電気的に接続された場合には、カード検出信号ピン301のレベルはローレベルを示す。
【0030】
このようにして端末装置3の端末機能部31は、メモリカード6の挿抜をカード検出信号ピン301のレベルによって判断することができる。通常、端末機能部31はメモリカード6の挿入を判断した場合に電源供給ピン302に対して電源を供給し、抜去を判断した場合には電源供給を停止する。
【0031】
図3は中継装置1を介してメモリカード6を端末装置3に装着する場合の中継装置1及びメモリカード6の端子構成例を示した図である。中継装置1の端子構成はメモリカード6の端子構成と同様であり、カード検出信号ピン101は通知機能部131に接続されている。これにより、通知機能部131は、能動的にカード検出信号ピン101をハイレベルにすることができる。それ故、メモリカード6が抜去されなくても、端末装置3側から見てカード検出信号をハイレベルになったようでき、端末装置3に擬似的にメモリカード6が抜去されたと見せかけることができる。こうなると、端末装置3は中継装置1に対する電源供給を停止し、それに伴いカード検出信号ピン101は再びローレベルに変化する。これにより、端末装置3はメモリカード6が装着されたと見せかけられ、再び電源を投入する。端末装置3は再びメモリカード6が装着されたことに対して、メモリカード6からメモリデータ(FAT)を読み込み、ファイルシステム処理を行う。
【0032】
次に本実施形態の記憶システムの全体的な動作について図4のシーケンス図を参照して説明する。端末装置3はステップ500で、自身、および中継装置2に電源を投入する。電源投入後、端末装置3はステップ501で、ファイルシステム処理の初期処理としてメモリカード6からFAT情報を取得する。FAT情報の番地はあらかじめ端末装置3側で把握されており、メモリカード6に対して番地を指定し、所定の単位でメモリデータの読み出しを行う。このとき中継装置2は、端末装置3とメモリカード6との間でメモリデータの読み出し中継をする。
【0033】
FAT情報を取得した端末装置3は、メモリカード6内のディレクトリ構成、ファイルの配置を把握する。ファイルを読み出す際は、FAT情報を参照し、ファイルを構成するメモリデータを順次取得してファイルを構築する。メモリカード6にファイルを書き込む際には、ファイルを構成するメモリデータを順次書き込むと共に、更新されたFAT情報を構成するメモリデータをメモリカード6内に書き込む。
【0034】
無線装置2から中継装置1を経由してメモリカード6にアクセスするためには、まず無線装置2と中継装置1との間で無線通信の接続処理を行う。本実施形態においては、無線通信方式については特に限定しないが、コネクション型の無線通信方式を前提とする。無線装置2はステップ401で、中継装置1に対して接続を要求する。中継装置1はステップ402で、無線装置2に対して接続を応答する。
【0035】
無線装置2においてもファイルシステム処理の初期処理として中継装置1を介してメモリカード6からFAT情報を取得する。中継装置1と無線装置2と間では、メモリカード6内のメモリデータをリード/ライトするための要求及び応答の書式が規定されている。本件については、無線装置2はステップ411で、FAT情報の番地を指定して中継装置1に対してメモリデータのリードを要求をする。中継装置2はステップ701で、要求を受け、メモリカード2から所定の番地のメモリデータを読み出す。そして中継装置2はステップ421で、メモリデータリード応答として読み出したメモリデータを無線装置2に送信する。
【0036】
無線装置2はFAT情報を取得してメモリカード6内のディレクトリ構成することでファイルの配置を把握する。無線装置2によるファイルのメモリカード6への書き込みは、ステップ412でメモリデータのライト要求を中継装置2にした後、ファイルを構成するメモリデータとFAT情報を構成するメモリデータとを順次中継装置1に転送することで行われる。中継装置1は無線装置2から発行されたメモリデータのライト要求に対して、ステップ702でメモリカード6にメモリデータの書き込みを行い、ステップ422でその成否を応答する。
【0037】
その後、無線装置2によるメモリデータの書き込み終了の通知は切断完了時に行われる。無線装置2はファイル処理終了後、ステップ403で中継装置1に対して切断を要求する。これを受けて中継装置1はステップ404で無線装置2に切断を応答する。中継装置1は切断応答と同時に、ステップ510で端末装置3に対して無線装置2の切断を通知する通知信号を発生し、これを有線インターフェース5を介して端末装置3に送出する。即ち、中継装置1の通知機能部131は、能動的にカード検出信号ピン101をハイレベルして端末装置3に擬似的にメモリカード6が抜去されたと見せかける。端末装置3はこの通知信号に対して、ファイルシステム処理を再起動し、ステップ501でメモリカードからFAT情報を構成するメモリデータを再取得する。
【0038】
本実施形態によれば、中継装置1がメモリカード6にデータを書き込むと、通知機能部131は、能動的にカード検出信号ピン101をハイレベルにして端末装置3に擬似的にメモリカード6が抜去されたと見せかけることにより、端末装置3はこのトリガ信号に対してファイルシステム処理を再起動してメモリカード6からFAT情報を構成するファイルデータを再取得するため、無線装置2からのメモリカード6に対するアクセス後も、メモリカード6に対するファイルデータの読み書きを常に正常に行うことができる。しかも、メモリカード6のカード検出信号ピン101を利用して上記通知信号を中継装置1から端末装置3に送るため、メモリカード6に新たなピンの増設を行うこと無く、上記効果を得ることができる。
【0039】
尚、中継装置1は無線装置2に対して切断応答すると同時に、端末装置3に対して伝送する通知信号をカード検出信号と別に発生させ、これを新たに設けたピンや信号線を介して端末装置に送信し、この通知信号を受けた端末装置はファイルシステム処理を再起動してメモリカードからFAT情報を取得する構成でも、同様の効果があるが、この場合は既存のメモリカードの改造(接続ピンの増設等)などが必要になったり、中継装置1と端末装置3間に新たな信号線(破線)9を配線する必要が生じる。
【実施例2】
【0040】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る記憶システムの全体的な動作を説明するシーケンス図である。この場合の記憶システムの中継装置1の装置機能部13は無線装置2がメモリデバイス16にアクセスしている期間を端末装置3に通知する通知機能を持っている。但し、無線装置2がメモリカード6にアクセスしている期間を知らせる通知信号ON、OFFを端末装置3に伝送する信号線9(又は新たにピン又)を有している。また、本シーケンス例において通知信号はイネーブル信号である。中継装置1は無線装置2との接続完了時に通知信号をON(ハイレベル)し、切断完了時に通知信号をOFF(ローレベル)する。
【0041】
次に本実施形態の動作について説明する。まず、ステップ502からステップ402までの処理は図4に示した第1の実施形態と同様である。中継装置1はステップ402で、無線装置2に接続応答を返すと共に、ステップ511で例えばハイレベルの通知信号ONを信号線9を介して端末装置3に送る。端末装置3はこの通知信号ONを受けている期間、無線装置2がメモリカード6にアクセス中でビジーであると認識し、自身がメモリカード6にアクセスすることを控える。その後、ステップ411からステップ404の処理は第1の実施形態と同じである。
【0042】
中継装置1はステップ404で、無線装置2に切断応答を返すと共に、ステップ510でローレベルの通知信号OFFを端末装置3に送る。端末装置3はこの通知信号の立ち下
がりの検知信号をトリガ信号とすることで、ファイルシステム処理を再起動し、ステップ501でメモリカード6からFAT情報を構成するメモリデータを再取得する。
【0043】
本実施形態によれば、中継装置1は無線装置2がメモリカード6へのアクセスを終了すると、端末装置3へ送信していた通知信号をローレベルにするため、これをトリガとして端末装置3はファイルシステム処理を再起動してメモリカード6からFAT情報を構成するメモリデータを再取得するため、無線装置2からのメモリカード6に対するアクセス後も、メモリカード6に対するファイルデータの読み書きを常に正常に行うことができ、第1の実施形態と同様の効果がある。また、この通知信号は、中継装置1及びメモリカード6が無線装置2からアクセスされているビジー信号として扱うことができ、端末装置3は、通知信号がハイレベルになっている場合にはビジーと判断し、メモリカード6に対してアクセスしないようにすることができる。
【実施例3】
【0044】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る記憶システムの構成を示したブロック図である。本実施形態の記憶システムは、記憶装置4が端末装置3に有線接続されると共に、無線装置2に無線接続されている。記憶装置4はメモリデバイス16を内蔵し、このメモリデバイス16へのファイルデータの読み書きを制御するメモリカード制御機能15を有している以外は、第1の実施形態で説明した中継装置と同様の構成である。この記憶装置4を用いた記憶システムの場合、記憶装置1は無線装置2によって内部のメモリデバイス16のファイルが書き換えられた場合に、端末装置3に対してファイルシステム処理の再起動を促すための通知手段を装置機能部13に備え、第1又は、第2の実施形態の動作シーケンスで説明したて手順でこの通知手段を動作させることによって、第1又は、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、この記憶システムの場合は、第1又は、第2の実施形態のいずれの動作シーケンスを採用しても、記憶装置1から通知信号を端末装置3に伝達するためのピン或いは信号線9が新たに必要になってくる。
【0045】
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。例えば中継装置1又は記憶装置4と無線装置2間の無線方式はBluetoothなどの各種方式が適用でき、また、赤外線などを用いた無線通信でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る記憶システムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示したメモリカードと端末装置との電気的接続を行う端子例を示した図である。
【図3】中継装置を介してメモリカードを端末装置に装着する場合の中継装置及びメモリカードの端子構成例を示した図である。
【図4】図1に示した記憶システムの動作手順を示したシーケンス図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る記憶システムの全体的な動作を説明するシーケンス図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る記憶システムの構成を示したブロック図である。
【図7】従来の中継装置を用いた記憶システムの簡略構成を示したブロック図である。
【図8】従来の記憶装置を用いた記憶システムの他の簡略構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1……中継装置、2……無線装置、3……端末装置、4……記憶装置、5……インターフェース、6……メモリカード、8……無線回線、11、21……RF機能部、12、22……通信制御機能部、13……装置機能部、14、15、32……メモリカード制御機能部、16……メモリデバイス、23……ホスト機能部、31……端末機能部、131……通知機能部、101、301、601……カード検出信号ピン、602……GNDピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在のメモリカードを装着し、このメモリカードに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータを読み書きする際の中継、或いは同メモリカードに無線装置より無線回線を介してファイルデータを読み書きする際の中継を行う中継装置であって、
前記無線装置の前記メモリカードへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、
前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記通知手段で発生される通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを前記端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、前記通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成するカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送することを特徴とする請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
着脱自在のメモリカードを装着し、このメモリカードに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータを読み書きする際の中継、或いは同メモリカードに無線装置より無線回線を介してファイルデータを読み書きする際の中継を行う中継装置であって、
前記無線装置の前記メモリカードへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、
前記メモリカードへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリカードへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする中継装置。
【請求項4】
前記端末装置は前記第1の通知信号を受信してから前記第2の通知信号を受信するまでの間、前記メモリカードへアクセスをしないことを特徴とする請求項3記載の中継装置。
【請求項5】
メモリデバイスを内蔵し、このメモリデバイスに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータが読み書きされ、或いは同メモリデバイスに無線装置より無線回線を介してファイルデータが読み書きされる記憶装置であって、
前記無線装置の前記メモリデバイスへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、
前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
メモリデバイスを内蔵し、このメモリデバイスに端末装置より有線インターフェースを介してファイルデータが読み書きされ、或いは同メモリデバイスに無線装置より無線回線を介してファイルデータが読み書きされる記憶装置であって、
前記無線装置の前記メモリデバイスへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、
前記メモリデバイスへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリデバイスへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
前記端末装置は前記第1の通知信号を受信してから前記第2の通知信号を受信するまでの間、前記メモリデバイスへアクセスをしないことを特徴とする請求項6記載の記憶装置。
【請求項8】
着脱自在のメモリカードを装着する中継装置、前記メモリカードに有線インターフェース及び前記中継装置を介してファイルデータを読み書きする端末装置、前記メモリカードに無線回線及び前記中継装置を介してファイルデータを読み書きする無線装置を備える記憶システムであって、
前記中継装置は、前記無線装置の前記メモリカードへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、
前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェース及び前記中継装置を介してファイル管理データを取得することを特徴とする記憶システム。
【請求項9】
前記通知手段で発生される通知信号は前記メモリカードが抜去されたことを前記端末装置が検出するための検出信号と同一のものを用い、前記ファイルデータの書き込み終了が検出されると、当該通知信号を前記メモリカードの装着に拘らず発生し、且つ、当該通知信号を前記有線インターフェースを構成するカード検出ピンを介して前記端末装置に伝送することを特徴とする請求項8記載の記憶システム。
【請求項10】
前記中継装置は、前記無線装置の前記メモリカードへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリカードへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリカードへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリカードから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする請求項8記載の記憶システム。
【請求項11】
メモリデバイスを内蔵する記憶装置、前記メモリデバイスに有線インターフェース介してファイルデータを読み書きする端末装置、前記メモリデバイスに無線回線を介してファイルデータを読み書きする無線装置を備える記憶システムであって、
前記記憶装置は、前記無線装置の前記メモリデバイスへのファイルデータの書き込み終了を検出する検出手段と、
前記ファイルデバイスへの書き込み終了が検出されると通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得することを特徴とする記憶システム。
【請求項12】
前記記憶装置は、前記無線装置の前記メモリデバイスへのアクセス開始、或いはアクセス停止を検出する検出手段と、前記メモリデバイスへのアクセス開始が検出されると第1の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送し、或いは前記メモリデバイスへのアクセス停止が検出されると第2の通知信号を発生し、これを前記有線インターフェースを介して前記端末装置に伝送する通知手段とを具備し、
前記端末装置は前記第2の通知信号が伝送されると、前記メモリデバイスから前記有線インターフェースを介してファイル管理データを取得する請求項11記載の記憶システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−114950(P2007−114950A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304426(P2005−304426)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】