説明

中継装置及び通信システム

【課題】本発明は、複数の通信装置の間の通信を中継する技術において、搬送波源を不要としてコストやスペースを削減することを目的とする。
【解決手段】本発明は、赤外光送受信装置及び空間送受信装置の間の通信を中継する光中継装置1であって、赤外光送受信装置から信号を受信する第1受信器と、第1受信器が受信した信号を分岐する波長フィルタ12と、波長フィルタ12が分岐した信号の一方を空間送受信装置に送信する送信アンテナ13と、空間送受信装置から信号を受信するRF受信器15と、RF受信器15が受信した信号を利用して、波長フィルタ12が分岐した信号の他方に施された変調の速度より遅い速度で、波長フィルタ12が分岐した信号の他方を変調する光変調器16と、光変調器16が生成した信号を赤外光送受信装置に送信する第1送信器と、を備えることを特徴とする光中継装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置の間の通信を中継する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インドアネットワークにおいては、通信の高速大容量化と通信技術の多様化により、室内に光ファイバを敷設する有線光通信方式や、室内に無線通信設備を敷設する無線通信方式などに加え、従来の無線信号と混信せず、高速大容量な通信を行なうことができる光無線技術も、非特許文献1に示すように、盛んに研究開発が行われている。
【0003】
光無線技術の中でも通信波長帯として可視光を利用した可視光通信は、人間の眼が可視光を視認できる性質を生かした通信方式であり、照明光としても利用可能であることや、見えることによる使いやすさなどの利点が見込めることから、非特許文献2で示すように、実用化に向けた研究が行われている。また、非特許文献3で示すように、標準化活動も、IEEE802.15(The Institute of Electrical and Electronics Engineers 802.15)によって進められている。特に、非特許文献4で示すように、LED(Light Emitting Diode)を用いたこれまでの可視光通信とは異なり、赤外光と波長変換素子を用いることで、高速な伝送速度を実現する可視光通信の方式も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Jarir Fadlullah and Mohsen Kavehrad, “Indoor High−Bandwidth Optical Wireless Links for Sensor Networks”, IEEE Journal of Lightwave Technology, Vol.28, No.21, November 1, 2010.
【非特許文献2】Toshihiko Komine and Masao Nakagawa, “Fundamental Analysis for Visible−Light Communication System using LED Lights”, IEEE Transactions on Consumer Electronics, Vol.50, No.1, February 2004.
【非特許文献3】“IEEE 802.15 WPAN Task Group 7 (TG7) Visible Light Communication”,[online],平成23年5月27日, IEEE, [平成23年5月27日検索], インターネット<URL:http://www.ieee802.org/15/pub/TG7.html>
【非特許文献4】T. Kubo, T. Umeki, T. Kanai, H. Suzuki, H. Hadama and M. Asobe, “A High−Speed Visible Light Indoor Network Employing a Short Pulse Modulation and a QPM−LN Module”, OFC/NFOEC 2011, JWA073 (2011).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献4では、赤外光と波長変換素子を用いた可視光通信について、下りの通信方式として赤外光を可視光に変換して空間伝送させる技術を述べるにとどまっており、上りの通信方式についての言及がされていなかった。
【0006】
上り及び下りの空間伝送機能を備えた双方向の可視光通信を行なう場合、室内に設置された可視光送受信機は、赤外光による有線通信の配線に接続されることで、光アクセスネットワークなどに接続されることが、実用上望ましい。室内に設置された可視光送受信機では、空間伝送された可視光信号光を、光ファイバ中を有線伝送させる赤外光信号光へ、変換するための装置が必要となる。
【0007】
最も考えられる装置構成は、可視光受信器、赤外光光源及び光変調器からなる。可視光受信器において、受信した可視光信号を電気信号に変換し、光変調器において、前記電気信号を用いて、赤外光光源から生成した赤外光の連続光を変調する。しかし、赤外光光源の部品コスト、駆動電力コスト及び装置設置スペースを削減することができなかった。
【0008】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、複数の通信装置の間の通信を中継する技術において、搬送波源を不要としてコストやスペースを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1通信装置から受信した信号の一部を第2通信装置に送信する一方で、第1通信装置から受信した信号の残りをループバックさせる。そして、第2通信装置から受信した信号を利用して、ループバックさせた信号を変調して、当該変調した信号を第1通信装置に送信する。ここで、第1通信装置に送信する信号に施された変調の速度は、ループバックさせた信号に施された変調の速度より、十分遅い速度である。つまり、ほとんど連続信号とみなせるループバックさせた信号を変調して、当該変調した信号を第1通信装置に送信する。よって、搬送波源が不要となる。
【0010】
具体的には、本発明は、第1通信装置及び第2通信装置の間の通信を中継する中継装置であって、前記第1通信装置から信号を受信する第1受信器と、前記第1受信器が受信した信号を分岐する分岐器と、前記分岐器が分岐した信号の一方を前記第2通信装置に送信する第2送信器と、前記第2通信装置から信号を受信する第2受信器と、前記第2受信器が受信した信号を利用して、前記分岐器が分岐した信号の他方に施された変調の速度より遅い速度で、前記分岐器が分岐した信号の他方を変調する変調器と、前記変調器が生成した信号を前記第1通信装置に送信する第1送信器と、を備えることを特徴とする中継装置である。
【0011】
また、本発明は、第1通信装置と、第2通信装置と、前記第1通信装置及び前記第2通信装置の間の通信を中継する中継装置と、を備える通信システムであって、前記中継装置は、前記第1通信装置から信号を受信する第1受信器と、前記第1受信器が受信した信号を分岐する分岐器と、前記分岐器が分岐した信号の一方を前記第2通信装置に送信する第2送信器と、前記第2通信装置から信号を受信する第2受信器と、前記第2受信器が受信した信号を利用して、前記分岐器が分岐した信号の他方に施された変調の速度より遅い速度で、前記分岐器が分岐した信号の他方を変調する変調器と、前記変調器が生成した信号を前記第1通信装置に送信する第1送信器と、を備えることを特徴とする通信システムである。
【0012】
この構成によれば、複数の通信装置の間の通信を中継する技術において、搬送波源を不要としてコストやスペースを削減することができる。
【0013】
また、本発明は、前記変調器が行なう変調の1シンボルタイム中に、前記分岐器が分岐した信号の他方におけるマーク信号が含まれることを特徴とする中継装置である。
【0014】
また、本発明は、前記変調器が行なう変調の1シンボルタイム中に、前記分岐器が分岐した信号の他方におけるマーク信号が含まれることを特徴とする通信システムである。
【0015】
この構成によれば、第1通信装置から受信した信号にスペース信号の同一符号連続が含まれるとしても、変調器が行なう変調の1シンボルタイム中において、第1通信装置から受信した信号にマーク信号が確実に含まれる。よって、変調器が行なう変調の1シンボルタイム中において、符号が0又は1のいずれであっても強度が0になることはないため、第1通信装置における受信及び復調が確実に行なわれる。
【0016】
また、本発明は、前記第1受信器が受信した信号に対して波長変換を行なう波長変換器、をさらに備え、前記分岐器は、前記波長変換器で波長変換された信号を、分岐した信号の一方として前記第2送信器に出力し、前記波長変換器で透過された信号を、分岐した信号の他方として前記変調器に出力することを特徴とする中継装置である。
【0017】
また、本発明は、前記中継装置は、前記第1受信器が受信した信号に対して波長変換を行なう波長変換器、をさらに備え、前記分岐器は、前記波長変換器で波長変換された信号を、分岐した信号の一方として前記第2送信器に出力し、前記波長変換器で透過された信号を、分岐した信号の他方として前記変調器に出力することを特徴とする通信システムである。
【0018】
この構成によれば、第2通信装置及び中継装置の間の通信における波長帯域を、第1通信装置及び中継装置の間の通信における波長帯域と、異ならせることができる。
【0019】
また、本発明は、前記第1受信器が受信した信号の波長とは異なる波長に、前記変調器が生成した信号に対して波長シフトを行なう波長シフタ、をさらに備え、前記第1送信器は、前記波長シフタで波長シフトされた信号を前記第1通信装置に送信することを特徴とする中継装置である。
【0020】
また、本発明は、前記中継装置は、前記第1受信器が受信した信号の波長とは異なる波長に、前記変調器が生成した信号に対して波長シフトを行なう波長シフタ、をさらに備え、前記第1送信器は、前記波長シフタで波長シフトされた信号を前記第1通信装置に送信することを特徴とする通信システムである。
【0021】
この構成によれば、第1通信装置及び中継装置の間の通信において、上り信号の波長帯域を下り信号の波長帯域と異ならせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、複数の通信装置の間の通信を中継する技術において、搬送波源を不要としてコストやスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1の光中継装置の構成を示す図である。
【図2】連続信号に対して変調を行なう処理を示す図である。
【図3】変調信号に対して変調を行なう処理を示す図である。
【図4】実施形態2の光中継装置の構成を示す図である。
【図5】実施形態3の通信システムの構成を示す図である。
【図6】実施形態4の通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0025】
(実施形態1)
実施形態1の光中継装置の構成を図1に示す。実施形態1の光中継装置1は、波長変換器11、波長フィルタ12、送信アンテナ13、受信アンテナ14、RF受信器15及び光変調器16から構成される。図1には図示していないが、光中継装置1の上り方向には、図5に図示する赤外光送受信装置2が接続されており、光中継装置1の下り方向には、図5に図示する空間送受信装置3が接続されている。赤外光送受信装置2は、第1通信装置に対応し、空間送受信装置3は、第2通信装置に対応する。
【0026】
光中継装置1は、赤外光送受信装置2及び空間送受信装置3の間の通信を中継する。光中継装置1は、赤外光送受信装置2から、波長λ(nm)の赤外光信号を受信する。波長変換器11は、光中継装置1が受信した波長λ(nm)の赤外光信号に対して、波長変換を行なう。波長フィルタ12は、分岐器に対応し、波長変換器11で波長変換された波長λ/2(nm)の可視光信号を、分岐した信号の一方として、送信アンテナ13に出力し、波長変換器11で透過された波長λ(nm)の赤外光信号を、分岐した信号の他方として、光変調器16に出力する。送信アンテナ13は、波長フィルタ12が分岐した波長λ/2(nm)の可視光信号を、空間送受信装置3に送信する。
【0027】
受信アンテナ14及びRF受信器15は、空間送受信装置3から、RF(Radio Frequency)信号を受信する。光変調器16は、受信アンテナ14及びRF受信器15が受信したRF信号を利用して、波長フィルタ12が分岐した波長λ(nm)の赤外光信号に施された強度変調の速度より遅い速度で、波長フィルタ12が分岐した波長λ(nm)の赤外光信号を強度変調する。光中継装置1は、光変調器16が生成した波長λ(nm)の赤外光信号を、赤外光送受信装置2に送信する。
【0028】
以上に説明したように、波長変換器11は、第2高調波発生を利用しているが、和周波発生を利用してもよい。波長変換器11は、第2高調波を利用するときには、擬似位相整合LiNbO導波路を使用することができ、和周波を利用するときには、光源及び合波器を使用して、下り信号光及び局部発振光から和周波を発生させることができる。
【0029】
あるいは、分岐器として、波長フィルタ12を使用するのではなく、パワースプリッタを使用してもよい。このとき、波長変換器11を使用しなくてもよく、送信アンテナ13及び光変調器16が入力する信号の波長はともにλ(nm)となる。
【0030】
以上に説明したように、赤外光送受信装置2から受信した信号の一部を、空間送受信装置3に送信する一方で、赤外光送受信装置2から受信した信号の残りを、ループバックさせる。そして、空間送受信装置3から受信した信号を利用して、ループバックさせた信号を変調して、当該変調した信号を赤外光送受信装置2に送信する。ここで、赤外光送受信装置2に送信する信号に施された変調の速度は、ループバックさせた信号に施された変調の速度より、十分遅い速度である。この効果について、図2及び図3を用いて説明する。
【0031】
まず、比較例として、連続信号に対して変調を行なう処理を図2に示す。図2の上側は、連続信号光を示しており、図2の下側は、連続信号光がv/a(bit/s)で強度変調された信号光を示している。次に、本発明として、変調信号に対して変調を行なう処理を図3に示す。図3の上側は、v(bit/s)で強度変調された信号光を示している。図3の下側は、v(bit/s)で強度変調された信号光が、さらにv/a(bit/s)で強度変調された信号光を示している。ここで、aは1より十分大きい定数であり、図3の下側における変調速度は、図3の上側における変調速度より、十分遅い速度である。
【0032】
図2の下側及び図3の下側を比べると、連続信号に対して変調を行なっても、変調信号に対して変調を行なっても、最終的な変調信号は見かけ上大差はない。つまり、ほとんど連続信号とみなせるループバックさせた信号を変調して、当該変調した信号を赤外光送受信装置2に送信する。よって、赤外光送受信装置2及び空間送受信装置3の間の通信を中継する技術において、搬送波源を不要としてコストやスペースを削減することができる。
【0033】
本発明として、図3の上側に示した変調信号に対して変調を行ない、図3の下側に示した変調信号を生成することが考えられる他に、比較例として、図3の上側に示した変調信号に対して光増幅器の飽和領域動作を行ない、図2の上側に示した連続信号を生成してから、図2の上側に示した連続信号に対して変調を行ない、図2の下側に示した変調信号を生成することも考えられる。しかし、比較例では、搬送波源は不要であるが、光増幅器が必要である。一方で、本発明では、搬送波源も光増幅器も不要である。
【0034】
ここで、図3の上側に示した変調信号において、長い時間スケールでも短い時間スケールでも、マーク信号及びスペース信号が出現する確率がそれぞれ1/2であれば、図3の下側に示した変調信号のマーク信号の平均強度は、図2の下側に示した変調信号のマーク信号の強度の1/2となる。しかし、図3に示した変調処理の1シンボルタイム中に、図3の上側に示したマーク信号が平均でa/2個含まれるため、赤外光送受信装置2はv/a(bit/s)の変調速度に最適なフィルタを利用して受信することができる。
【0035】
ここで、図3の上側に示した変調信号において、スペース信号が連続して出現することがある。すると、aが小さく変調速度が速ければ、図3に示した変調処理の1シンボルタイム中に、図3の上側に示したマーク信号が含まれない可能性が高くなる。しかし、aが大きく変調速度が遅ければ、図3に示した変調処理の1シンボルタイム中に、図3の上側に示したマーク信号が含まれない可能性が低くなる。そこで、aを適切に大きく調節して、変調速度を適切に遅く設定することにより、図3の上側に示した変調信号において、スペース信号が連続して出現するとしても、図3に示した変調処理の1シンボルタイム中に、図3の上側に示したマーク信号が確実に含まれる。よって、光変調器16が行なう変調の1シンボルタイム中において、符号が0又は1のいずれであっても強度が0になることはないため、赤外光送受信装置2における受信及び復調が確実に行なわれる。
【0036】
(実施形態2)
実施形態2の光中継装置の構成を図4に示す。実施形態2の光中継装置1は、波長変換器11、波長フィルタ12、送信アンテナ13、受信アンテナ14、RF受信器15、光変調器16及び波長シフタ17から構成される。波長シフタ17以外については、実施形態2の構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
【0037】
波長シフタ17は、光中継装置1が受信した信号の波長λ(nm)とは異なる波長λ’(nm)に、光変調器16が生成した波長λ(nm)の赤外光信号に対して波長シフトを行なう。光受信機1は、波長シフタ17で波長シフトされた波長λ’(nm)の赤外光信号を、赤外光送受信装置2に送信する。
【0038】
波長シフタ17として、例えばRF周波数で発生する音響波を利用して光の周波数をドップラーシフトさせることにより周波数変化を生じさせる、AO(Acousto−Optic)周波数シフタを使用することができる。
【0039】
よって、赤外光送受信装置2及び光中継装置1の間の通信において、上り信号の波長帯域を下り信号の波長帯域と異ならせることができる。そして、下り信号及び上り信号を波長多重し1本のシングルコア光ファイバで通信を行なう通信システムにおいて、コネクタなどの反射点で反射した一方の赤外光が逆方向を伝送している他方の赤外光に干渉することで引き起こす信号劣化の影響を抑圧することができる。
【0040】
(実施形態3)
実施形態3の通信システムの構成を図5に示す。実施形態3の通信システムSは、光中継装置1、赤外光送受信装置2、空間送受信装置3及びマルチコア光ファイバ4から構成される。実施形態3の光中継装置1として、実施形態1又は2の光中継装置1を応用することができるが、図5では実施形態1の光中継装置1を応用している。
【0041】
赤外光送受信装置2は、光源21、光変調器22、光受信器23及び光カプラ24から構成される。光源21は、波長λ(nm)の赤外光の連続信号を出力する。光変調器22は、入力信号を利用して、波長λ(nm)の赤外光の連続信号を変調し、波長λ(nm)の赤外光の変調信号を、光中継装置1に送信する。光受信器23は、波長λ(nm)の赤外光の変調信号を、光中継装置1から受信し、出力信号を生成する。
【0042】
空間送受信装置3は、RF送信器31、送信アンテナ32、受信アンテナ33及び空間光受信器34から構成される。RF送信器31は、入力信号を取得し、送信アンテナ32を利用して、空間を介して、RF信号を光中継装置1に送信する。空間光受信器34は、受信アンテナ33を利用して、空間を介して、波長λ/2(nm)の可視光の変調信号を、光中継装置1から受信し、出力信号を生成する。
【0043】
マルチコア光ファイバ4は、赤外光送受信装置2の光変調器22から光中継装置1の波長変換器11への下り信号を伝送する第1のコアと、光中継装置1の光変調器16から赤外光送受信装置2の光受信器23への上り信号を伝送する第2のコアと、を有する。赤外光送受信装置2において、光カプラ24は、光変調器22及び第1のコアを接続し、光受信器23及び第2のコアを接続する。光中継装置1において、光カプラ18は、波長変換器11及び第1のコアを接続し、光変調器16及び第2のコアを接続する。マルチコア光ファイバ4を利用することにより、下り信号及び上り信号の波長が同一のλ(nm)であるとしても、下り信号及び上り信号の間で干渉の影響はない。
【0044】
(実施形態4)
実施形態4の通信システムの構成を図6に示す。実施形態4の通信システムSは、下り光中継装置1A、上り光中継装置1B、赤外光送信装置2A、赤外光受信装置2B、空間送受信装置3及びシングルコア光ファイバ5、6から構成される。実施形態3の下り光中継装置1A及び上り光中継装置1Bとして、実施形態1又は2の光中継装置1を応用することができるが、図6では実施形態1の光中継装置1を応用している。
【0045】
赤外光送信装置2Aは、光源21及び光変調器22から構成される。赤外光受信装置2Bは、光受信器23から構成される。光カプラ24以外については、実施形態4の赤外光送信装置2A及び赤外光受信装置2Bの構成要素は、実施形態3の赤外光送受信装置2の構成要素と同様である。実施形態4の空間送受信装置3の構成要素は、実施形態3の空間送受信装置3の構成要素と同様である。
【0046】
下り光中継装置1Aは、波長変換器11、波長フィルタ12及び送信アンテナ13から構成される。上り光中継装置1Bは、受信アンテナ14、RF受信器15及び光変調器16から構成される。光カプラ18以外については、実施形態4の下り光中継装置1A及び上り光中継装置1Bの構成要素は、実施形態3の光中継装置1の構成要素と同様である。
【0047】
シングルコア光ファイバ5は、赤外光送信装置2Aの光変調器22から下り光中継装置1Aの波長変換器11への下り信号を伝送する。シングルコア光ファイバ6は、上り光中継装置1の光変調器16から赤外光受信装置2Bの光受信器23への上り信号を伝送する。シングルコア光ファイバ5、6を利用することにより、下り信号及び上り信号の波長が同一のλ(nm)であるとしても、下り信号及び上り信号の間で干渉の影響はない。
【0048】
(変形例)
空間送受信装置3から光中継装置1への上り信号は、実施形態3、4では、RF信号であったが、変形例として、光信号であってもよい。変形例であっても、実施形態3、4と同様に、赤外光送受信装置2に送信する信号に施された変調の速度は、ループバックさせた信号に施された変調の速度より、十分遅い速度であることが望ましい。
【0049】
通信システムSにおける下り信号及び上り信号は、実施形態1−4では、赤外光信号、可視光信号及びRF信号のいずれかであったが、変形例では、どのような信号であってもよい。変形例であっても、実施形態1−4と同様に、赤外光送受信装置2を具体例とする第1通信装置に送信する信号に施された変調の速度は、ループバックさせた信号に施された変調の速度より、十分遅い速度であることが望ましい。
【0050】
赤外光送受信装置2に送信する信号及びループバックさせた信号に施された変調は、実施形態1−4では、ともに強度変調であったが、変形例として、強度変調、位相変調及び周波数変調のいずれであってもよく、同種でも異種でもよい。変形例であっても、実施形態1−4と同様に、赤外光送受信装置2に送信する信号に施された変調の速度は、ループバックさせた信号に施された変調の速度より、十分遅い速度であることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る中継装置及び通信システムは、赤外光通信及び可視光通信を中継する方式のみならず、様々な通信技術の相互を中継する方式においても適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
S:通信システム
1:光中継装置
1A:下り光中継装置
1B:上り光中継装置
2:赤外光送受信装置
2A:赤外光送信装置
2B:赤外光受信装置
3:空間送受信装置
4:マルチコア光ファイバ
5、6:シングルコア光ファイバ
11:波長変換器
12:波長フィルタ
13:送信アンテナ
14:受信アンテナ
15:RF受信器
16:光変調器
17:波長シフタ
18:光カプラ
21:光源
22:光変調器
23:光受信器
24:光カプラ
31:RF送信器
32:送信アンテナ
33:受信アンテナ
34:空間光受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置及び第2通信装置の間の通信を中継する中継装置であって、
前記第1通信装置から信号を受信する第1受信器と、
前記第1受信器が受信した信号を分岐する分岐器と、
前記分岐器が分岐した信号の一方を前記第2通信装置に送信する第2送信器と、
前記第2通信装置から信号を受信する第2受信器と、
前記第2受信器が受信した信号を利用して、前記分岐器が分岐した信号の他方に施された変調の速度より遅い速度で、前記分岐器が分岐した信号の他方を変調する変調器と、
前記変調器が生成した信号を前記第1通信装置に送信する第1送信器と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記変調器が行なう変調の1シンボルタイム中に、前記分岐器が分岐した信号の他方におけるマーク信号が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記第1受信器が受信した信号に対して波長変換を行なう波長変換器、をさらに備え、
前記分岐器は、前記波長変換器で波長変換された信号を、分岐した信号の一方として前記第2送信器に出力し、前記波長変換器で透過された信号を、分岐した信号の他方として前記変調器に出力することを特徴とする、請求項1又は2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記第1受信器が受信した信号の波長とは異なる波長に、前記変調器が生成した信号に対して波長シフトを行なう波長シフタ、をさらに備え、
前記第1送信器は、前記波長シフタで波長シフトされた信号を前記第1通信装置に送信することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の中継装置。
【請求項5】
第1通信装置と、
第2通信装置と、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置の間の通信を中継する中継装置と、
を備える通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第1通信装置から信号を受信する第1受信器と、
前記第1受信器が受信した信号を分岐する分岐器と、
前記分岐器が分岐した信号の一方を前記第2通信装置に送信する第2送信器と、
前記第2通信装置から信号を受信する第2受信器と、
前記第2受信器が受信した信号を利用して、前記分岐器が分岐した信号の他方に施された変調の速度より遅い速度で、前記分岐器が分岐した信号の他方を変調する変調器と、
前記変調器が生成した信号を前記第1通信装置に送信する第1送信器と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記変調器が行なう変調の1シンボルタイム中に、前記分岐器が分岐した信号の他方におけるマーク信号が含まれることを特徴とする、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記中継装置は、前記第1受信器が受信した信号に対して波長変換を行なう波長変換器、をさらに備え、
前記分岐器は、前記波長変換器で波長変換された信号を、分岐した信号の一方として前記第2送信器に出力し、前記波長変換器で透過された信号を、分岐した信号の他方として前記変調器に出力することを特徴とする、請求項5又は6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記中継装置は、前記第1受信器が受信した信号の波長とは異なる波長に、前記変調器が生成した信号に対して波長シフトを行なう波長シフタ、をさらに備え、
前記第1送信器は、前記波長シフタで波長シフトされた信号を前記第1通信装置に送信することを特徴とする、請求項5から7のいずれかに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−257020(P2012−257020A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128095(P2011−128095)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】