説明

中継装置

【課題】配送量低減のために電子メールから分離された添付ファイルを,適切な中継装置で電子メールに結合することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】メール受信部101が,電子メールの本文データと,そこから分離された添付ファイルの保存場所を示すデータとを受信し,メール宛先判定部102が,受信された電子メールを他の中継装置に配送すると判定したものとする。添付ファイル処理判定部105は,配送先の中継装置との通信結果から,配送先の中継装置が分離された添付ファイルの取得およびメール本文への結合を実行できるかを判定する。メール配送処理部103は,配送先の中継装置が分離された添付ファイルの取得およびメール本文への結合を実行できないと判定された場合に,保存場所から添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルをメール本文に結合してから,電子メールを配送先の中継装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子メールを中継する中継装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送信者のメールクライアントから送信された電子メールは,複数のメールサーバによってバケツリレー式に目的地まで配送され,最終的に受信者のメールクライアントで受信される。メールクライアントは,MUA(Mail User Agent )とも呼ばれる。また,メールサーバは,MTA(Mail Transfer Agent )とも呼ばれる。なお,以下では,電子メールを,単にメールとも呼ぶ。
【0003】
近年,電子ファイルを手軽に相手に送付するために,電子メールにファイルを添付して相手方に送信することが一般的に行われている。電子メールに添付されるファイルのサイズは,年々肥大化している。
【0004】
しかし,電子メールの配送を行うMTAには,配送ファイルサイズの制限があるため,大きなサイズのファイルが添付された電子メールが配送エラーとなって送信できないケースがある。相手先に届く添付ファイルのサイズは,経由するMTAのうち最も制限の厳しいMTAのサイズに制限されるため,大きなサイズの添付ファイルを配送するためには,中継されるすべてのMTAで配送ファイルサイズの上限を上げる必要がある。
【0005】
また,電子メールを配送するMTAは各会社や各種団体の内部で多段構成となっており,複数のMTAで中継される場合が多い。大きなサイズのファイルが添付された電子メールが送付されると,多段構成となっているすべてのMTA間で配送されるため,ネットワークトラフィックの輻輳による配送遅延や,MTAのメモリやハードディスクなどのリソース不足が課題となっている。
【0006】
これに対して,メールサーバが一定サイズ以上の添付ファイルをURLで特定された外部WEBサーバに転送して記憶させておき,受信端末が別途ブラウザでURLを指定して外部WEBサーバから添付ファイルをダウンロードする技術が知られている。また,第1サーバが添付ファイルを記憶して添付ファイルの転送要求符号(URL)を付記したメール本文を第2サーバに転送し,端末が第2サーバから受けたメール本文に付記された転送要求符号を用いて第1サーバから添付ファイルをダウンロードする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−140637号公報
【特許文献2】特開2006−119738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように添付ファイルを別に保存する技術では,電子メールを受信するクライアント側において,ブラウザを立ち上げて添付ファイルをダウンロードするような,電子メールの受信とは別の処理が必要になってしまう。
【0009】
このようなクライアント側の処理を不要にするためには,例えば,メールサーバ側で,電子メール本文に添付ファイルを結合する処理を行うようにすることも考えられる。しかし,膨大な数のすべてのメールサーバに添付ファイルの結合処理の機能を具備させることは事実上難しく,添付ファイルの結合処理を行えるメールサーバと行えないメールサーバとが混在する状態となる。このとき,適切なメールサーバで添付ファイルの結合処理を行えるような仕組みが必要である。
【0010】
本発明は,上記の問題点の解決を図り,配送量低減のために電子メールから分離された添付ファイルを,適切な中継装置で電子メールの本文に結合することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
電子メールを宛先アドレスまで順次配送する複数の中継装置から構成されるネットワークにおける中継装置は,電子メールの本文データと該電子メールから分離されて所定の記憶部に記憶された添付ファイルの記憶先を示すデータとを受信し,該電子メールの宛先アドレスに基づいて該電子メールを他の中継装置に配送する際に,配送先の中継装置との通信結果から,該配送先の中継装置が記憶部からの添付ファイルの取得および取得された添付ファイルの該電子メールの本文データへの結合を実行できるかを判定する添付ファイル処理判定部と,配送先の中継装置が添付ファイルの取得および電子メールの本文データへの結合を実行できないと判定された場合には,記憶部から添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルを電子メールの本文データに結合してから電子メールを配送先の中継装置に送信し,配送先の中継装置が添付ファイルの取得および電子メールの本文データへの結合を実行できると判定された場合には,受信された電子メールの本文データと添付ファイルの記憶先を示すデータとを配送先の中継装置に送信するメール配送処理部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
配送量低減のために電子メールから分離された添付ファイルを,適切な中継装置で電子メールの本文に結合することが可能となり,クライアント側で電子メールと分離された添付ファイルとを別々に取得する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態による電子メール配送の概要を説明する図である。
【図2】本実施の形態による中継装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態による電子メール配送の具体例を説明する図である。
【図4】中継装置(既存)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例を説明するシーケンス図である。
【図5】中継装置(新拡張)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例(1)を説明するシーケンス図である。
【図6】中継装置(新拡張)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例(2)を説明するシーケンス図である。
【図7】中継装置(新拡張)から中継装置(既存)に電子メールが配送される場合の例を説明するシーケンス図である。
【図8】本実施の形態の中継装置(新拡張)によるメール配送処理フローチャート(1)である。
【図9】本実施の形態のメール配送処理部によるメール配送処理フローチャート(1)である。
【図10】本実施の形態のメール配送処理部によるメール配送処理フローチャート(2)である。
【図11】本実施の形態のメール保管処理部によるメール保管処理フローチャートである。
【図12】本実施の形態の中継装置(新拡張)によるメール配送処理フローチャート(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
【0015】
図1は,本実施の形態による電子メール配送の概要を説明する図である。
【0016】
図1には,添付ファイルを有するある電子メールが,相手先に送信される途中過程で,電子メールを中継するMTA間で配送される様子が示されている。図1において,“body”はメールの本文データを表しており,“添付”は添付ファイルを表している。
【0017】
図1(A)は,従来の電子メール配送の例を示している。
【0018】
MUAやMTAが電子メールを配送するためのプロトコルとして,従来から,RFC(Request for Comments)5321で規定されているSMTP(Simple Mail Transfer Protocol )や,RFC1425にて規定されているESMTP(Extended Simple Mail Transfer Protocol)などのプロトコルがある。
【0019】
図1(A)に示すように,従来は,SMTPやESMTPなどのプロトコルを使用するMTA(既存)30間で,メール本文に添付ファイルが結合された電子メールが,リレー形式で配送されていた。なお,新たな本実施の形態による拡張機能を有しないMTAを,MTA(既存)30と呼ぶものとする。
【0020】
ここで,図1(A)において,添付ファイルのサイズが,MTA(既存)30cの配送ファイルサイズ制限を超えてしまっているものとする。このとき,その添付ファイルを含む電子メールは,MTA(既存)30cで配送エラーとなり,相手先に送信できなくなってしまう。
【0021】
図1(B)は,本実施の形態による電子メール配送の例を示している。
【0022】
図1(B)において,太枠で示されるMTA(新拡張)10は,本実施の形態による新たに機能が拡張されたプロトコルを使用するMTAである。本実施の形態による新たに機能が拡張されたプロトコルは,新たに規定するプロトコルであってもよいし,機能を拡張した既存のプロトコルであってもよい。以下では,本実施の形態による新たに機能が拡張されたプロトコルを,新拡張プロトコルと呼ぶものとする。
【0023】
図1(B)は,図1(A)におけるMTA(既存)30b,MTA(既存)30c,MTA(既存)30dが,MTA(新拡張)10b,MTA(新拡張)10c,MTA(新拡張)10dに置き換えられたものである。
【0024】
図1(B)において,MTA(新拡張)10bは,MTA(既存)30aから配送された添付ファイル付きの電子メールを受信する。MTA(新拡張)10bは,次の配送先のMTAがMTA(新拡張)10cであることを確認すると,添付ファイルを電子メールから分離して別に保存し,本文のみの電子メールをMTA(新拡張)10cに配送する。また,MTA(新拡張)10bは,添付ファイルの保存場所を示す情報を,MTA(新拡張)10cに送信する。
【0025】
MTA(新拡張)10cは,次の配送先のMTAがMTA(新拡張)10dであることを確認すると,本文のみの電子メールをMTA(新拡張)10dに配送する。また,MTA(新拡張)10cは,添付ファイルの保存場所を示す情報を,MTA(新拡張)10dに送信する。
【0026】
MTA(新拡張)10dは,次の配送先のMTAがMTA(既存)30eであることを確認する。
【0027】
ここで,MTA(既存)30は,新拡張プロトコルが有する機能である,添付ファイルの保存場所を示す情報を配送先のMTAに送信する機能を持たない。また,MTA(新拡張)10は,新拡張プロトコルが有する機能である,電子メールから分離された添付ファイルをその保存場所から取得してメール本文に結合する機能を持つが,MTA(既存)30はこのような機能を持たない。
【0028】
MTA(新拡張)10dは,次の配送先のMTAがMTA(既存)30eであることを確認すると,添付ファイルの保存場所を示す情報に基づいて電子メールとは別に保存された添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルをメール本文に結合する。MTA(新拡張)10dは,添付ファイル付きの電子メールをMTA(既存)30eに送信する。
【0029】
ここで,図1(B)において,添付ファイルのサイズが,MTA(新拡張)10cの配送ファイルサイズ制限を超えてしまっているものとする。しかし,添付ファイルがMTA(新拡張)10cに配送されないので,MTA(新拡張)10cで配送エラーは発生しない。
【0030】
また,メール本文から分離されて別に保存された添付ファイルも,MTA(既存)30eに配送する前のMTA(新拡張)10dでメール本文に結合される。そのため,図1(B)に示すように,電子メール配送の途中過程でMTA(既存)30とMTA(新拡張)10とが混在しても,問題はない。
【0031】
このように,本実施の形態のMTA(新拡張)10をメール配送のネットワークに用いることにより,配送量低減のために電子メールから分離された添付ファイルを,適切なMTA(新拡張)10でメール本文に結合することが可能となる。メール配送の途中過程で分離されて別に保存された添付ファイルも,電子メールの相手先のMUAでは,メール本文に添付された形で受信される。
【0032】
以下,本実施の形態による電子メール配送の具体的な仕組みについて説明する。
【0033】
図2は,本実施の形態による中継装置の構成例を示す図である。
【0034】
本実施の形態による中継装置(新拡張)100は,新拡張プロトコルを使用するMTA(新拡張)10を有し,電子メールの配送を行う装置である。すなわち,中継装置(新拡張)100は,分離された添付ファイルをその保存場所から取得し,取得された添付ファイルをメール本文に結合する機能を有する。
【0035】
中継装置(新拡張)100は,メール受信部101,メール宛先判定部102,メール配送処理部103,添付ファイル格納部111,メール保管処理部112,メール保管部115を備える。中継装置(新拡張)100および中継装置(新拡張)100が備える各機能部は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現される。
【0036】
メール受信部101は,送信者の端末や他の中継装置から送信された電子メールを受信する。
【0037】
メール宛先判定部102は,受信された電子メールの宛先アドレスが,自中継装置(新拡張)100が保管を担当するドメインのアドレスであるかを判定する。受信された電子メールの宛先アドレスが自中継装置(新拡張)100が保管を担当するドメインのアドレスでなければ,受信された電子メールは他の中継装置に配送される必要があり,メール配送処理部103による次の配送先の中継装置への電子メールの配送処理が行われる。受信された電子メールの宛先アドレスが自中継装置(新拡張)100が保管を担当するドメインのアドレスであれば,メール保管処理部112によるメール保管部115への電子メールの格納処理が行われる。
【0038】
メール配送処理部103は,受信された電子メールを次の配送先の中継装置に配送する処理を行う。メール配送処理部103は,開始コマンド送信部104,添付ファイル処理判定部105,添付ファイル分離部106,添付ファイル情報コマンド送信部107,メール送信部108,添付ファイル取得部109,添付ファイル連結部110を備える。
【0039】
開始コマンド送信部104は,次の配送先の中継装置に対して,セッション開始コマンドを送信する。
【0040】
添付ファイル処理判定部105は,受信された電子メールに添付ファイルが存在するか,受信された電子メールは添付ファイルが分離されたものか,次の配送先の中継装置が本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるか等の状況を判定する。
【0041】
添付ファイル分離部106は,受信された電子メールに添付ファイルが存在し,次の配送先の中継装置が本実施の形態による中継装置(新拡張)100である場合に,電子メールから添付ファイルを分離する。分離された添付ファイルは,添付ファイル格納部111に保存される。添付ファイル格納部111は,電子メールから分離された添付ファイルを記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。
【0042】
添付ファイル情報コマンド送信部107は,電子メールから添付ファイルが分離されている場合に,次の配送先の中継装置(新拡張)100に対して添付ファイルの保存場所を示す情報を通知するコマンドを送信する。以下では,次の配送先の中継装置(新拡張)100に対して添付ファイルの保存場所を示す情報を通知するコマンドを,添付ファイル情報コマンドと呼ぶものとする。
【0043】
メール送信部108は,次の配送先の中継装置に電子メールを送信する。
【0044】
添付ファイル取得部109は,添付ファイルが配送する電子メールから分離されて別の場所に保存されており,次の配送先の中継装置が本実施の形態による中継装置(新拡張)100でない場合に,添付ファイルの保存場所から添付ファイルを取得する。添付ファイルの保存場所を示す情報については,前の中継装置(新拡張)100から,添付ファイル情報コマンドによって通知されている。
【0045】
次の配送先の中継装置が本実施の形態による中継装置(新拡張)100でないということは,配信先の中継装置が添付ファイルを取得する機能や,添付ファイルをメール本文に結合する機能を持たないことを意味する。そのため,配信先の中継装置に電子メールを送信する前に,中継装置(新拡張)100が,分離された添付ファイルを取得し,それをメール本文と結合して,添付ファイル付きの電子メールに戻す処理を行う。
【0046】
添付ファイル連結部110は,取得された添付ファイルとメール本文とを連結する。
【0047】
メール保管処理部112は,受信された電子メールの宛先アドレスのドメインが,自中継装置(新拡張)100が電子メールの保管を担当するドメインである場合に,受信された受信メールをメール保管部115に保管する。メール保管部115は,宛先のクライアント端末から要求されるまで電子メールを保管する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。メール保管部115は,メールスプールやメールボックスなどと呼ばれる,電子メールの記憶領域である。
【0048】
またメール保管処理部112は,保管する電子メールの添付ファイルが分離されて別の場所に保存されたままの状態である場合に,その添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルとメール本文とを連結した電子メールをメール保管部115に保管する。メール保管処理部112は,添付ファイル取得部113,添付ファイル連結部114を備える。添付ファイル取得部113,添付ファイル連結部114は,それぞれ添付ファイル取得部109,添付ファイル連結部110と同様の処理を行う。
【0049】
図3は,本実施の形態による電子メール配送の具体例を説明する図である。
【0050】
図3には,添付ファイルを有するある電子メールが,相手先に送信される途中過程で,電子メールを中継する中継装置間で配送される様子が示されている。図3において,“body”はメールの本文データを表しており,“添付”は添付ファイルを表している。また,図3において,太枠で示される中継装置は,新拡張プロトコルを使用する中継装置(新拡張)100であり,細枠で示される中継装置は,既存のSMTPまたはESMTPを使用する中継装置(既存)300である。
【0051】
以下,図4〜図7のシーケンス図を用いて,図3に示す各中継装置間での電子メールの配送を,配送順に説明する。
【0052】
図4は,中継装置(既存)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例を説明するシーケンス図である。
【0053】
図4に示すシーケンス図は,図3における中継装置(既存)300aから中継装置(新拡張)100bに,添付ファイル付きの電子メールが配送される場合の一連の処理の例を示している。
【0054】
中継装置(既存)300aは,プロトコルとして既存のSMTPかESMTPを使用する。中継装置(既存)300aのFQDN(Fully Qualified Domain Name )は,“s1.example.com”である。
【0055】
中継装置(新拡張)100bは,プロトコルとして新拡張プロトコルを使用する。中継装置(新拡張)100bのFQDN(Fully Qualified Domain Name )は,“se1.example.com ”である。また,中継装置(新拡張)100bのIPアドレスは,“2**.***.***.**3 ”である。
【0056】
中継装置(既存)300aは,電子メールの配送先の中継装置(既存)100bに,セッション開始コマンドを送信する(ステップS10)。ここでは,既存のSMTPまたはESMTPのセッション開始コマンドとして,HELOまたはEHLOが送信される。HELOは,SMTPのセッション開始コマンドである。EHLOは,ESMTPのセッション開始コマンドである。
【0057】
中継装置(新拡張)100bは,要求された処理が正常に実行された旨を示す応答コード250(Requested mail action okay,completed)を,中継装置(既存)300aに返す(ステップS11)。応答コードの200番台は,OKを示す。このとき,中継装置(新拡張)100bは,自分のホスト名を中継装置(既存)300aに通知する。
【0058】
なお,本実施の形態による新拡張プロトコルは,既存のESMTPをさらに拡張したプロトコルであるものとする。すなわち,新拡張プロトコルは,既存のSMTPやESMTPの機能を備えている。
【0059】
中継装置(新拡張)100bは,中継装置(既存)300aに対して拡張機能の通知を行う(ステップS12)。中継装置(新拡張)100bは,本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるので,拡張機能の通知には,添付ファイル情報コマンドが含まれる。本実施の形態では,添付ファイル情報コマンドを,“NEWCOMMAND”とする。
【0060】
各中継装置は,同じプロトコルを使用していても,必ずしも同じ機能をサポートしているとは限らない。そのため,電子メールを受信する側の中継装置は,電子メールを送信する側の中継装置に対して,自らがサポートする拡張機能のコマンドリストを通知する。なお,MAIL,RCPTなどの基本的な機能のコマンドについては,全中継装置が使用できることが前提となっているので,通知は行われない。
【0061】
中継装置(既存)300aは,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)の機能を持っていない。すなわち,中継装置(既存)300aは,配送先の中継装置(新拡張)100bから添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)の通知を受けるが,そのコマンドを使用することができない。そのため,中継装置(既存)300aは,電子メールからの添付ファイルの分離はできない。
【0062】
中継装置(既存)300aは,MAILコマンドにより,配送する電子メールの発信者の情報を,配送先の中継装置(新拡張)100bに送信する(ステップS13)。
【0063】
電子メールの受信側の中継装置(新拡張)100bは,悪意ある人の踏み台となることを避けるために,送信者の情報で電子メールのフィルタリングを行う。中継装置(新拡張)100bは,OKを示す応答コード250を,中継装置(既存)300aに返す(ステップS14)。
【0064】
中継装置(既存)300aは,RCPTコマンドにより,配送する電子メールの受信者の情報を,配送先の中継装置(新拡張)100bに送信する(ステップS15)。
【0065】
電子メールの受信側の中継装置(新拡張)100bは,受信者の情報でも電子メールのフィルタリングを行う。中継装置(新拡張)100bは,OKを示す応答コード250を,中継装置(既存)300aに返す(ステップS16)。
【0066】
中継装置(既存)300aは,DATAコマンドにより,配送する電子メールのデータ送信を,配送先の中継装置(新拡張)100bに通知する(ステップS17)。
【0067】
中継装置(既存)300aは,配送先の中継装置(新拡張)100bに電子メールを送信する(ステップS18)。ここで送信される電子メールは,添付ファイル付きの電子メールである。
【0068】
図5は,中継装置(新拡張)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例(1)を説明するシーケンス図である。
【0069】
図5に示すシーケンス図は,図3における中継装置(新拡張)100bから中継装置(新拡張)100cに,添付ファイルが分離されて,電子メールが配送される一連の処理の例を示している。
【0070】
中継装置(新拡張)100cは,プロトコルとして新拡張プロトコルを使用する。中継装置(新拡張)100cのFQDN(Fully Qualified Domain Name )は,“se2.example.com ”である。
【0071】
中継装置(新拡張)100bは,電子メールの配送先の中継装置(新拡張)100cに,セッション開始コマンドを送信する(ステップS20)。ここでは,本実施の形態の新拡張プロトコル独自のセッション開始コマンドとして,“NEWHLO”が送信される。本実施の形態では,新拡張プロトコル独自のセッション開始コマンドを,新拡張セッション開始コマンドと呼ぶものとする。
【0072】
中継装置(新拡張)100cは,要求された処理が正常に実行された旨を示す応答コード250を,中継装置(新拡張)100bに返す(ステップS21)。中継装置(新拡張)100cは,新拡張プロトコルを使用しているので,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)に対して正常に対処できる。
【0073】
中継装置(新拡張)100cは,中継装置(新拡張)100bに対して拡張機能の通知を行う(ステップS22)。中継装置(新拡張)100cは,本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるので,拡張機能の通知には添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)が含まれる。
【0074】
中継装置(新拡張)100bは,中継装置(新拡張)100cが新拡張プロトコルを使用していると判定する。中継装置(新拡張)100bは,新拡張プロトコルを使用する中継装置(新拡張)100のみが正常に応答可能な新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)への応答から,配送先の中継装置(新拡張)100cが新拡張プロトコルを使用可能であるかを判定できる。中継装置(新拡張)100は,新拡張プロトコル固有の特定のコマンドを用いた配送先の中継装置への通信に対する応答がエラー応答であれば,配送先の中継装置が分離された添付ファイルの取得およびメール本文への結合を実行できない中継装置(既存)300であると,判定できる。
【0075】
また,中継装置(新拡張)100bは,新拡張プロトコルを使用する中継装置(新拡張)100のみが使用可能な添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)が拡張機能の通知に含まれているか否かで,配送先の中継装置(新拡張)100cが新拡張プロトコルを使用できるかを判定することもできる。
【0076】
中継装置(新拡張)100bは,配送する電子メールから添付ファイルを分離し(ステップS23),分離された添付ファイルを添付ファイル格納部111に格納する(ステップS24)。
【0077】
中継装置(新拡張)100bは,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)により,分離された添付ファイルの保存場所を示す情報を配送先の中継装置(新拡張)100cに送信する(ステップS25)。
【0078】
各コマンドは,パラメータを持つことができる。例えば,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)は,自身のIPアドレスと添付ファイルの置き場所のディレクトリ示すパラメータをもつ。本実施の形態では,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)のパラメータデータを,添付ファイル格納場所データと呼ぶものとする。添付ファイル格納場所データは,添付ファイルの保存場所を示す情報である。なお,図5に示す添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)の添付ファイル格納場所データにおいて,“添付ファイル”は,添付ファイルのファイル名を示している。
【0079】
中継装置(新拡張)100cは,OKを示す応答コード250を,中継装置(新拡張)100bに返す(ステップS26)。
【0080】
ここで,図5に示すステップS27〜ステップS31までの処理は,図4に示すステップS13〜ステップS17と同様であるので,説明を省略する。
【0081】
中継装置(新拡張)100bは,配送先の中継装置(新拡張)100cに電子メールを送信する(ステップS32)。ここで送信される電子メールは,添付ファイルが分離された,本文のみの電子メールである。
【0082】
図6は,中継装置(新拡張)から中継装置(新拡張)に電子メールが配送される場合の例(2)を説明するシーケンス図である。
【0083】
図6に示すシーケンス図は,図3における中継装置(新拡張)100cから中継装置(新拡張)100dに,すでに添付ファイルが分離された電子メールが配送される場合の例を示している。
【0084】
中継装置(新拡張)100dは,プロトコルとして新拡張プロトコルを使用する。中継装置(新拡張)100dのFQDN(Fully Qualified Domain Name )は,“se3.example.com ”である。
【0085】
中継装置(新拡張)100cは,電子メールの配送先の中継装置(新拡張)100dに,セッション開始コマンドを送信する(ステップS40)。ここでは,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)が送信される。
【0086】
中継装置(新拡張)100dは,要求された処理が正常に実行された旨を示す応答コード250を,中継装置(新拡張)100cに返す(ステップS41)。中継装置(新拡張)100dは,新拡張プロトコルを使用しているので,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)に対して正常に対処できる。
【0087】
中継装置(新拡張)100dは,中継装置(新拡張)100cに対して拡張機能の通知を行う(ステップS42)。中継装置(新拡張)100dは,本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるので,拡張機能の通知には添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)が含まれる。
【0088】
中継装置(新拡張)100cは,中継装置(新拡張)100dが新拡張プロトコルを使用していると判定する。ここで,すでに配送される電子メールの添付ファイルは中継装置(新拡張)100bで分離されているので,中継装置(新拡張)100cは,添付ファイルの分離を行う必要がない。
【0089】
以下,図6に示すステップS43〜ステップS50までの処理は,図5に示すステップS25〜ステップS32の処理と同様であるので,説明を省略する。
【0090】
図7は,中継装置(新拡張)から中継装置(既存)に電子メールが配送される場合の例を説明するシーケンス図である。
【0091】
図7に示すシーケンス図は,図3における中継装置(新拡張)100dから中継装置(既存)300eに,添付ファイルが結合されて電子メールが配送される場合の例を示している。
【0092】
中継装置(既存)300eは,プロトコルとして既存のSMTPかESMTPを使用する。中継装置(既存)300eのFQDNは,“s2.example.com”である。
【0093】
中継装置(新拡張)100dは,電子メールの配送先の中継装置(既存)300eに,セッション開始コマンドを送信する(ステップS60)。ここでは,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)が送信される。
【0094】
しかし,中継装置(既存)300eは,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)に対して正常な処理を行うことができない。中継装置(既存)300eは,コマンドが理解できない旨を示す応答コード500(Syntax error,command unrecognized)を,中継装置(新拡張)100dに返す(ステップS61)。
【0095】
中継装置(新拡張)100dは,中継装置(既存)300eが新拡張プロトコルを使用していないと判定する。新拡張プロトコルを使用していない中継装置(既存)300eでは,保存先からの分離された添付ファイルの取得や,取得された添付ファイルのメール本文への結合が実行できない。
【0096】
中継装置(新拡張)100dは,添付ファイルの保存場所から,SCP(Secure Copy )等のデータ転送技術を使用して,添付ファイルを取得する(ステップS62)。中継装置(新拡張)100dは,中継装置(新拡張)100cから添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)により通知された添付ファイル格納場所データで示された,中継装置(新拡張)100bの記憶領域に保存された添付ファイルを取得する。なお,SCPは,ネットワークホスト間でファイルを安全にコピーするためのコマンドである。
【0097】
中継装置(新拡張)100dは,取得された添付ファイルを,配送する電子メールのメール本文に連結する(ステップS63)。これで,電子メールは,添付ファイルが分離される前の,添付ファイル付き電子メールに戻されたことになる。
【0098】
中継装置(新拡張)100dは,電子メールの配送先の中継装置(既存)300eに,改めてセッション開始コマンドを送信する(ステップS64)。ここでは,既存のSMTPまたはESMTPのセッション開始コマンドHELOまたはEHLOが送信される。
【0099】
中継装置(既存)300eは,要求された処理が正常に実行された旨を示す応答コード250を,中継装置(新拡張)100dに返す(ステップS65)。
【0100】
中継装置(既存)300eは,中継装置(新拡張)100dに対して拡張機能の通知を行う(ステップS66)。中継装置(既存)300eは,既存の中継装置であるので,拡張機能の通知には添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)が含まれない。
【0101】
以下,図7に示すステップS67〜ステップS72までの処理は,図4に示すステップS13〜ステップS18の処理と同様であるので,説明を省略する。
【0102】
以上図3〜図7に示す例を用いて説明したように,本実施の形態による中継装置(新拡張)100が連続する区間では,添付ファイルを配送しないので,その間のメール配送量が低減され,電子メールの配送性能が向上する。また,本実施の形態による中継装置(新拡張)100が連続する区間でのリソース不足を解消できる。
【0103】
また,本実施の形態による中継装置(新拡張)100が分離された添付ファイルを結合する機能を持たない中継装置(既存)300を判別し,その直前の中継装置(新拡張)100で分離された添付ファイルを電子メールに結合することができる。そのため,中継装置(既存)300を含むネットワークでも,適切な中継装置(新拡張)100で,添付ファイルの分離や結合を行うことが可能となる。宛先のクライアント側で電子メールが受信される段階では,添付ファイル付きの電子メールとなっているので,宛先のクライアント側で,電子メールと分離された添付ファイルとを別々に取得する必要がなくなる。
【0104】
以下,図8〜図12に示すフローチャートを用いて,本実施の形態の中継装置(新拡張)100による処理の流れを説明する。
【0105】
図8は,本実施の形態の中継装置(新拡張)によるメール配送処理フローチャート(1)である。
【0106】
図8に示す処理は,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)に対する配送先の中継装置の応答によって,配送先の中継装置が,本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるか,中継装置(既存)300であるかを判定する処理の例である。
【0107】
本実施の形態による中継装置(新拡張)100において,メール受信部101は,電子メールを受信する(ステップS100)。
【0108】
メール宛先判定部102は,受信された電子メールの宛先ドメインが自ドメインか,すなわち受信された電子メールの宛先アドレスが,自中継装置(新拡張)100が電子メールの保管を担当するドメインのアドレスであるかを判定する(ステップS101)。受信された電子メールの宛先ドメインが自ドメインであれば(ステップS101のYES),図11に示す電子メール保管処理に移る。
【0109】
受信された電子メールの宛先アドレスが自ドメインのアドレスでなければ,該電子メールを他の中継装置に配送する必要があるので(ステップS101のNO),開始コマンド送信部104は,新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)を,配送先の中継装置に送信する(ステップS102)。
【0110】
中継装置(新拡張)100は,配信先の中継装置から新拡張セッション開始コマンド(NEWHLO)への応答を受信する(ステップS103)。添付ファイル処理判定部105は,新規セッション開始コマンド(NEWHLO)に対する配送先の中継装置の応答が正常であるかを判定する(ステップS104)。
【0111】
応答が正常であれば(ステップS104のYES),メール配送処理部103は,図9に示す電子メール配送処理を行う。
【0112】
応答が正常でなければ(ステップS104のNO),すなわちエラー応答であれば,メール配送処理部103は,図10に示す電子メール配送処理を行う。
【0113】
図9は,本実施の形態のメール配送処理部によるメール配送処理フローチャート(1)である。
【0114】
図9に示す処理は,配送先が本実施の形態による中継装置(新拡張)100である場合の電子メール配送処理,すなわち,配送先の中継装置(新拡張)100が分離された添付ファイルの取得およびメール本文への結合を実行できる場合の電子メール配送処理の例である。
【0115】
メール配送処理部103において,添付ファイル処理判定部105は,受信された電子メールに添付ファイルが存在するかを判定する(ステップS110)。
【0116】
受信された電子メールに添付ファイルが存在する場合には(ステップS110のYES),添付ファイル分離部106は,電子メールから添付ファイルを分離し(ステップS111),分離された添付ファイルを添付ファイル格納部111に格納する(ステップS112)。添付ファイル情報コマンド送信部107は,分離された添付ファイルの保存場所を示す情報である添付ファイル格納場所データを生成する(ステップS113)。添付ファイル情報コマンド送信部107は,添付ファイル情報コマンドにより,生成された添付ファイル格納場所データを配送先の中継装置(新拡張)100に送信する(ステップS114)。メール送信部108は,添付ファイルが分離された電子メールを,配送先の中継装置(新拡張)100に送信し(ステップS115),処理を終了する。
【0117】
受信された電子メールに添付ファイルが存在しない場合には(ステップS110のNO),添付ファイル処理判定部105は,電子メールと共に添付ファイル格納場所データが受信されているかを判定する(ステップS116)。
【0118】
添付ファイル格納場所データが受信されていれば(ステップS116のYES),添付ファイル情報コマンド送信部107は,添付ファイル情報コマンドにより,受信された添付ファイル格納場所データを配送先の中継装置(新拡張)100に送信する(ステップS114)。メール送信部108は,添付ファイルが分離された電子メールを,配送先の中継装置(新拡張)100に送信し(ステップS115),処理を終了する。
【0119】
添付ファイル格納場所データが受信されていなければ(ステップS116のNO),メール送信部108は,添付ファイルを持たない電子メールを,配送先の中継装置(新拡張)100に送信し(ステップS115),処理を終了する。
【0120】
図10は,本実施の形態のメール配送処理部によるメール配送処理フローチャート(2)である。
【0121】
図10に示す処理は,配送先が中継装置(既存)300である場合の電子メール配送処理,すなわち,配送先の中継装置(既存)300が分離された添付ファイルの取得およびメール本文への結合を実行できない場合の電子メール配送処理の例である。
【0122】
メール配送処理部103において,添付ファイル処理判定部105は,電子メールと共に添付ファイル格納場所データが受信されているかを判定する(ステップS120)。
【0123】
添付ファイル格納場所データが受信されていれば(ステップS120のYES),添付ファイル取得部109は,受信された添付ファイル格納場所データで指定された記憶装置に記憶された添付ファイルを取得する(ステップS121)。添付ファイル連結部110は,取得された添付ファイルと受信された電子メールのメール本文とを連結する(ステップS122)。開始コマンド送信部104は,既存のセッション開始コマンド(HELOまたはEHLO)を,配送先の中継装置(既存)300に送信する(ステップS123)。ここでは,正常を示す応答が中継装置(新拡張)100に受信される。メール送信部108は,添付ファイル付きの電子メールを,配送先の中継装置(既存)300に送信し(ステップS124),処理を終了する。
【0124】
添付ファイル格納場所データが受信されていなければ(ステップS120のNO),開始コマンド送信部104は,既存のセッション開始コマンド(HELOまたはEHLO)を,配送先の中継装置(既存)300に送信する(ステップS123)。ここでは,正常を示す応答が中継装置(新拡張)100に受信される。メール送信部108は,電子メールを,配送先の中継装置(既存)300に送信し(ステップS124),処理を終了する。
【0125】
図11は,本実施の形態のメール保管処理部によるメール保管処理フローチャートである。
【0126】
メール保管処理部112は,電子メールと共に添付ファイル格納場所データが受信されているかを判定する(ステップS130)。
【0127】
添付ファイル格納場所データが受信されていれば(ステップS130のYES),添付ファイル取得部113は,受信された添付ファイル格納場所データで指定された記憶装置に記憶された添付ファイルを取得する(ステップS131)。添付ファイル連結部114は,取得された添付ファイルと受信された電子メールのメール本文とを連結する(ステップS132)。メール保管処理部112は,添付ファイル付きの電子メールを,メール保管部115に保管し(ステップS133),処理を終了する。
【0128】
添付ファイル格納場所データが受信されていなければ(ステップS130のNO),メール保管処理部112は,受信された電子メールを,メール保管部115に保管し(ステップS133),処理を終了する。
【0129】
図11に示すように,本実施の形態による中継装置(新拡張)100は,受信された電子メールが自中継装置(新拡張)100が保管を担当する電子メールであり,別に保存された添付ファイルが存在する場合に,その添付ファイルとメール本文とを結合してから,電子メールをメール保管部115に保管する。これにより,電子メールの宛先のクライアント側では,別途に添付ファイルの取得を行わなくても,メールスプールであるメール保管部115から,添付ファイル付きの電子メールを受信することができる。
【0130】
図12は,本実施の形態の中継装置(新拡張)によるメール配送処理フローチャート(2)である。
【0131】
図12に示す処理は,配送先の中継装置からの拡張機能の通知に添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)が含まれているか否かによって,配送先の中継装置が,本実施の形態による中継装置(新拡張)100であるか,中継装置(既存)300であるかを判定する処理の例である。添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)を通知する中継装置は,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)を使用できる中継装置,すなわち本実施の形態による中継装置(新拡張)100である。また,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)を通知しない中継装置は,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)を使用できない中継装置,すなわち中継装置(既存)300である。
【0132】
本実施の形態による中継装置(新拡張)100において,メール受信部101は,電子メールを受信する(ステップS140)。
【0133】
メール宛先判定部102は,受信された電子メールの宛先ドメインが自ドメインか,すなわち受信された電子メールの宛先アドレスが,自中継装置(新拡張)100が電子メールの保管を担当するドメインのアドレスであるかを判定する(ステップS141)。受信された電子メールの宛先ドメインが自ドメインであれば(ステップS141のYES),図11に示す電子メール保管処理に移る。
【0134】
受信された電子メールの宛先ドメインが自ドメインでなければ(ステップS141のNO),開始コマンド送信部104は,既存のセッション開始コマンド(HELOまたはEHLO)を,配送先の中継装置に送信する(ステップS142)。
【0135】
中継装置(新拡張)100は,配信先の中継装置から,セッション開始コマンド(HELOまたはEHLO)への応答と,使用可能な拡張機能の通知を受信する(ステップ143)。添付ファイル処理判定部105は,配送先の中継装置からの拡張機能の通知に,添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)があるかを判定する(ステップS144)。
【0136】
添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)があれば(ステップS144のYES),メール配送処理部103は,図9に示す電子メール配送処理を行う。
【0137】
添付ファイル情報コマンド(NEWCOMMAND)がなければ(ステップS144のNO),添付ファイル処理判定部105は,電子メールと共に添付ファイル格納場所データが受信されているかを判定する(ステップS145)。
【0138】
添付ファイル格納場所データが受信されていれば(ステップS145のYES),添付ファイル取得部109は,受信された添付ファイル格納場所データで指定された記憶装置に記憶された添付ファイルを取得する(ステップS146)。添付ファイル連結部110は,取得された添付ファイルと受信された電子メールのメール本文とを連結する(ステップS147)。メール送信部108は,添付ファイル付きの電子メールを,配送先の中継装置(既存)300に送信し(ステップS148),処理を終了する。
【0139】
添付ファイル格納場所データが受信されていなければ(ステップS145のNO),メール送信部108は,電子メールを,配送先の中継装置(既存)300に送信し(ステップS148),処理を終了する。
【0140】
以上説明した本実施の形態の中継装置(新拡張)100による処理は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0141】
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0142】
10 MTA(新拡張)
30 MTA(既存)
100 中継装置(新拡張)
101 メール受信部
102 メール宛先判定部
103 メール配送処理部
104 開始コマンド送信部
105 添付ファイル処理判定部
106 添付ファイル分離部
107 添付ファイル情報コマンド送信部
108 メール送信部
109 添付ファイル取得部
110 添付ファイル連結部
111 添付ファイル格納部
112 メール保管処理部
113 添付ファイル取得部
114 添付ファイル連結部
115 メール保管部
300 中継装置(既存)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールを宛先アドレスまで順次配送する複数の中継装置から構成されるネットワークにおける中継装置であって,
電子メールの本文データと,該電子メールから分離されて所定の記憶部に記憶された添付ファイルの記憶先を示すデータとを受信し,該電子メールの宛先アドレスに基づいて,該電子メールを他の中継装置に配送する際に,配送先の中継装置との通信結果から,該配送先の中継装置が前記記憶部からの添付ファイルの取得および取得された添付ファイルの該電子メールの本文データへの結合を実行できるかを判定する添付ファイル処理判定部と,
前記配送先の中継装置が前記添付ファイルの取得および前記電子メールの本文データへの結合を実行できないと判定された場合には,前記記憶部から添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルを前記電子メールの本文データに結合してから,前記電子メールを前記配送先の中継装置に送信し,前記配送先の中継装置が前記添付ファイルの取得および前記電子メールの本文データへの結合を実行できると判定された場合には,受信された前記電子メールの本文データと前記添付ファイルの記憶先を示すデータとを,前記配送先の中継装置に送信するメール配送処理部とを備える
ことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記添付ファイル処理判定部は,前記添付ファイルの取得および前記電子メールの本文データへの結合を実行できる中継装置のみが対応可能な特定のコマンド用いた前記配送先の中継装置への通信に対する応答が,エラー応答であった場合に,前記配送先の中継装置が前記添付ファイルの取得および前記電子メールの本文データへの結合を実行できないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記電子メールの宛先アドレスに基づいて,自中継装置が該電子メールの保管を担当すると判断された場合に,前記記憶部から添付ファイルを取得し,取得された添付ファイルを前記電子メールの本文データと結合するメール保管処理部を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中継装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−252039(P2010−252039A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99080(P2009−99080)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】