説明

中間留分及び自動車燃料及び他の燃料のような液体炭化水素の低温耐性を改善するための添加剤としての、エチレン/酢酸ビニル/不飽和エステルターポリマー

【課題】自動車燃料の耐寒性を改良する添加剤(CFI添加剤)としてのコポリマーの使用を提案する。
【構成】78から87モル%の少なくとも1種のエチレンなどのα−オレフィン、12から18モル%の少なくとも1種の酢酸ビニルなどのビニルエステル、1から4モル%の少なくとも1種のアクリル酸2−エチルヘキシルなどのα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを含んで成る少なくとも1種のコポリマーの、自動車燃料の耐寒性及び濾過性を改良する添加剤としての使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車燃料、潤滑剤、燃料オイル、及びコポリマーを含むパッケージの耐寒性を改良する添加剤としての、α−オレフィン、ビニルエステル及びα,β−不飽和カルボン酸エステルの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温では、例えばディーゼル燃料や加熱用燃料オイルのような、パラフィンワックスを含む中間留分タイプのベースを有する炭化水素組成物は、そのレオロジ的性質が大きく低下する。パラフィンの結晶化が、中間留分の使用を制限する因子になることは周知である。従って、自動車が使用される温度、つまり周囲の気候に適したディーゼル燃料を準備することが重要である。一般的に、多くの高温の国々では、−10℃で自動車燃料が使用できれば十分である。しかし、スカンジナビアの国々や、カナダ及び北アジアの国々では、自動車燃料の使用温度は−20℃を下回ることがある。建物(家やアパートなど)の外で貯蔵される家庭用燃料オイルに関しても同じことがいえる。この中間留分タイプの自動車燃料の冷時使用の適性は、特に冷時のエンジン始動の際に重要になる。パラフィンがタンクの底で結晶化すると、始動時に濾過システム中を移動して、注入システム(ポンプやインジェクタ)の上流に設置されるフィルタやプレフィルタを閉塞する。家庭用燃料オイルの貯蔵に関しても同様に、パラフィンはタンクの底に沈殿し、システム内を移動して、ポンプ及びボイラ燃料システム(ノズル及びフィルタ)の上流のパイプを閉塞させることがある。パラフィン結晶のような固形分の存在は、中間留分の正常な循環を阻害することは明白である。
【0003】
エンジン中、又はボイラの向かう循環性を改良するために、幾つかのタイプの添加剤が出現している。
【0004】
当初、石油工業は、パラフィン結晶の分散を促進する冷間流動改良剤(CFI)の開発に取り組み、前記結晶がフィルタ孔を閉塞する大きなネットワークに組織されることを防止した。これらの添加剤は、本質的に冷間フィルタ閉塞点(CFPP)及び流動点に対して作用し、曇り点を修正しない。
【0005】
先行文献は、多くのCFI添加剤を開示し(例えば、特許文献1〜5)、これらの添加剤は、一般に、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、エチレン/プロピオン酸ビニル(EVP)、エチレン/ビニルエタノエート(EVE)、エチレン/メタクリル酸メチル(EMMA)及びエチレン/フマル酸アルキルコポリマーのようなエチレンと不飽和エステルのコポリマーである。
【0006】
従来のCFIの性質を改良するために、先行文献は、従来のエチレン/不飽和エステルタイプのCFI添加剤と潤滑剤(モノ−又はポリカルボン酸及びモノ−又はポリアルコールエステル(例えば特許文献6)の混合物、前記添加剤と反沈殿剤(例えば特許文献7)の混合物、前記添加剤とエーテル(例えば特許文献8及び9)の混合物も提案している。
【0007】
ターポリマー又は3を超える別個のモノマーから誘導されるコポリマーである改良されたCFI添加剤も存在する。
【0008】
例えば特許文献10は、管状反応器内で、エチレン及び、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルキルエーテルのような不飽和エチレンを含む少なくとも2種類のターポリマーを調製する方法を記載している。これらのターポリマーは、石油や石油留分の冷間流動性を改良する添加剤として使用できる。
【0009】
例えば特許文献11は、40から89重量%のエチレンと;酢酸ビニルのような短鎖カルボン酸(C2〜C4)から誘導される10から40重量%のビニルエステルと;C10〜C22のアルキル鎖を有する不飽和モノエステルを含んで成るターポリマーを記載している。これらのターポリマーは、石油留分の流動点を低下させる添加剤として、及びその濾過性を改良する反ワックス剤として使用される。
【0010】
特許文献12は、エチレン、酢酸ビニル及び、C12〜C24のアルコールから誘導されるアクリルエステルのターポリマーを記載し、該ターポリマーは、それが添加された自動車燃料の流動点を低下させるが、これらの添加剤の冷間濾過性の改良については記載がない。
【0011】
特許文献13は、α−オレフィン、ビニルエステル及びα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用可能なターポリマーを記載している。出願人が特に好ましいと考えるターポリマーの例は、80モル%を超えるエチレンと、9モル%未満の酢酸ビニルを含むターポリマーである。9モル%未満の酢酸ビニルを含むこれらのターポリマーは、18%を超えるn−パラフィンを含む中間留分のCFPPを減少させる効果を有するが、一方では溶解度に関して、他方ではブロック傾向(使用温度での濾過性)に関して満足できず、濾過ブロック傾向が顕著である。
【0012】
特許文献14は、 中間留分の低温流動性を改良する添加剤、つまりビニルポリマー(A)、好ましくは−20℃でヘキサン中に不溶な物質の量が60重量%を超え、10℃では30重量%未満であるエチレン−ビニルエステルコポリマーを記載している。特許文献14の例は、同じ割合で存在する同じ繰返しユニット有するが、ヘキサンに不溶の物質量がクレームの範囲外であるコポリマー及びターポリマーに対して、−20℃でヘキサン中に不溶な物質の量が60重量%を超え、10℃では30重量%未満であるコポリマー及びターポリマーの濾過可能温度(CFPP)が低下することを明瞭に示している。コポリマーの例は、EVAコポリマー及びエチレン−酢酸ビニル−ネオデカノエート又はビニル−2−エチルヘキサノエートターポリマーである。
【0013】
エンジンやボイラ(注入システムやタンク)の燃料システムのフィルタを閉塞することを防止するために、閉塞の危険を減少させ又は除去しつつ、自動車燃料の耐寒性(CFPP及び流動点)を改良する添加剤に関する要請があるが、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許明細書第3,038,479号
【特許文献2】米国特許明細書第3,627,838号
【特許文献3】米国特許明細書第3,790,359号
【特許文献4】米国特許明細書第3,961,961号
【特許文献5】欧州特許第261957号
【特許文献6】欧州特許第721492号
【特許文献7】フランス特許第2490669号
【特許文献8】米国特許明細書第3,999,960号
【特許文献9】欧州特許第187488号
【特許文献10】米国特許明細書第6,509,424号
【特許文献11】米国特許明細書第3,642,459号
【特許文献12】米国特許明細書第4,156,434号
【特許文献13】国際特許公開第2005/054314号
【特許文献14】欧州特許第1391498号
【特許文献15】米国特許明細書第3,627,838号
【特許文献16】欧州特許第7590号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ウルマンの工業化学事典第5版「ワックス」A28巻、146頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、自動車燃料の耐寒性を改良する添加剤(CFI添加剤)としてのコポリマーの使用に関し、これらのコポリマーは、少なくとも1種のα−オレフィン、少なくとも1種のビニルエステル及び少なくとも種のα,β−不飽和モノカルボン酸エステルから誘導されるユニットを含み、エチレン、酢酸ビニル及びアクリル酸2−エチルヘキシルのターポリマーであることが好ましい。
【0017】
CFI添加剤として使用できる本発明のコポリマーは、
78から87モル%の少なくとも1種のα−オレフィン、好ましくは少なくともエチレン、
12から18モル%の少なくとも1種のビニルエステル、好ましくは少なくとも酢酸ビニル、及び
1から4モル%の少なくとも1種のα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、好ましくは少なくともアクリル酸2−エチルヘキシル、
を含んで成る。
【0018】
CFI添加剤として使用できる本発明のコポリマーは、
78から87モル%のエチレン、
12から18モル%、好ましくは12から16モル%の酢酸ビニル、及び
1から4モル%、好ましくは1.5から3.5モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、
を含んで成ることが好ましい。
【0019】
ランダムコポリマーである本発明のコポリマーは、GPCで測定した数分子量(Mw)が、3000から30000で、GPCで測定した数平均分子量(Mn)が、一般に、1000から15000である。
【0020】
これらのコポリマーは、任意の重合プロセスによる既知方法で調製でき(非特許文献1及び特許文献15、特許文献16参照)、特に有機化酸化物及び/又は含酸素又は含窒素化合物から選択される少なくとも1種のラジカル開始剤、及び分子量調整剤(ケトン又は脂肪族アルデヒドなど)の存在下、典型的には1000から3000バール(100から300MPa)、好ましくは1500から2000バール(150から200MPa)の高圧下で、反応温度が一般に160から320℃の範囲、好ましくは200から280℃であるラジカル重合で調製できる。 前記コポリマーは、例えば特許文献10に記載されたプロセスによる管状反応器中で調製できる。
【0021】
本発明のコポリマーが添加される炭化水素系組成物は、ディーゼル燃料、加熱設備用家庭用燃料オイル(DF)、ケラセン、航空燃料、重油などの全てのタイプの燃料オイルや自動車燃料から選択される。
【0022】
一般に、前記炭化水素組成物の硫黄含有量は、5000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは50ppm未満、更に好ましくは10ppm、最も好ましくは硫黄を含まない。
【0023】
前記炭化水素系組成物は、沸点が150から450℃、初期結晶化温度(ICT)が多くの場合−20℃以上、好ましくはー15℃以上、好ましくは−15℃から+10℃である中間留分を含んで成る。これらの留分は、例えば粗炭化水素の直接蒸留からの留分、真空蒸留からの留分、水処理された留分、真空蒸留物の接触分解及び/又は水素化分解からの留分、ARDS(大気下の残渣脱硫)型変換及び/又はビスブレイキングプロセスからの留分、フィッシャー−トロピッシュ法による成分の改質から得られる留分、野菜及び/又は動物の単独又は混合物のバイオマスのBTL(バイオマス液体化)変換で得られる留分、及び/又は野菜及び動物の油又はそ混合物のエステルから選択される。
【0024】
液体炭化水素の組成物は、クラッキング、ハイドロクラッキング及び/又は接触分解プロセス及びビスブレーキングプロセスからも得られる炭化水素の直接蒸留で得られるものより複雑な精製操作で得られる留分も含むことができる。
【0025】
これらの新規な留分のソースに関しては、特に次のものがあることが指摘できる。
−高濃度の18個超の炭素原子を有する分子量の大きいパラフィンを、分解及びビスブレーキングして得られる重質成分。
−フィッシャー−トロピッシュ法で得られるようなガス変換で得られる合成留分。
−特にNexBTLのような、野菜及び/又は動物を起源とするバイオマスの処理から生じる合成留分。
−及びオイル及び/又は野菜又は動物油のエステル。
【0026】
これらの新規な自動車燃料ベースは、単独で、又は前述の自動車燃料ベース及び/又は家庭用燃料オイルベースとしての標準的な石油中間留分との混合物として使用できる。前記ベースは、一般に炭素原子10個以上、好ましくはC14からC16の長いパラフィン鎖を含む。
【0027】
Mwが5000から27000及びMnが1500から22000、好ましくはMwが5000から25000、Mnが1500から20000である前記コポリマーは、軽質の中間留分及び/又は低硫黄含有量(典型的には50ppm未満)で及び/又は低初期結晶化温度(典型的には−20℃)の留分に添加されると特に効果的である。軽質の中間留分とは、24個以上の炭素原子を有するn−パラフィンの含有量が全自動車燃料組成物の0から約0.7重量%未満である留分を意味し、ここでC18からC23のn−パラフィンは、自動車燃料の約3から約5%で、C18からC23n−パラフィンのC24+パラフィンに対する質量比は10から35である。
【0028】
Mwが5000から10000及びMnが1500から8000、好ましくはMwが5000から8000、Mnが1500から5000である前記コポリマーは、重質の中間留分及び/又はむしろ高い初期結晶化温度(典型的には0から15℃)の留分に添加されると特に効果的である。重質の中間留分とは、24個以上の炭素原子を有するn−パラフィンの含有量が全自動車燃料組成物の約0.7から約2重量%である留分を意味し、ここでC18からC23のn−パラフィンは、自動車燃料の約1から約10%で、C18からC23n−パラフィンのC24+パラフィンに対する質量比は一般に1から10である。
【0029】
前記コポリマーは、該コポリマーを、脂肪族又は芳香族炭化水素のような単独又は組合せ(ナフサ、ケロセン、ソルベコ溶媒のような炭化水素成分、及びペンタンやヘキサンのようなパラフィン系炭化水素)の溶媒中に、好ましくは50から80重量%、好ましくは60から70重量%含む濃厚溶液の形態の炭化水素組成物に添加できる。
【0030】
本発明の好ましい態様では、炭化水素組成物は、10から5000ppmの、好ましくは100から1000ppmの、より好ましくは150から500ppmの少なくとも1種の前述のコポリマーを含んで成る。
【0031】
前述のCFI添加剤又は耐寒性添加剤とは別に、前記炭化水素組成物は、洗剤、防食剤、分散剤、乳化破壊剤、発泡抑制剤、殺生物剤、レオドラント、プロセタン添加剤、摩擦改良剤、潤滑添加剤又は反摩擦性添加剤、燃焼促進剤(触媒的燃焼及びスス促進剤)、曇り点や流動点や冷間濾過閉塞点の改良剤、反沈殿剤、反磨耗剤及び/又は導電性改良剤から選択される、本発明のコポリマーとは異なった、1又は2種以上の異なった他の成分も含むことができる。
【0032】
これらの添加剤に関し、次のものが指摘できる。
a)特に(限定されるものではないが)好ましくは硝酸2−エチルヘキシルである硝酸アルキル、好ましくはベンゾイルパーオキサイドであるアロイルパーオキサイド、好ましくはターシャリ−ブチルパーオキサイドであるアルキルパーオキサイドから選択されるプロセタン添加剤。
b)特に(限定されるものではないが)ポリシロキサン、オキシアルキル化 ポリシロキサン、及び野菜又は動物油から得られる脂肪酸のアミドから選択される発泡抑制剤。このような添加剤の例は、EP 861 882, EP 663 000, EP 736 590中にある。
c)特に(限定されるものではないが)アミン、サクシンイミド、アルケニルサクシンイミド、ポリアルキルアミン、ポリアルキルポリアミン及びポリエーテルアミンから成る群から選択される洗剤及び/又は防食剤。このような添加剤の例は、EP 936 535中にある。
d)特に(限定されるものではないが)脂肪酸及びそのエステル又はアミド誘導体、特にグリセロール・モノオレエート、及び単環及び多環式カルボン酸の誘導体から成る群から選択される潤滑剤添加剤及び/又は耐磨耗剤。このような添加剤の例は、欧州特許第680506号、欧州特許第860494号、国際公開第98/04656号、欧州特許第915 944号、フランス特許第2772783号及びフランス特許第2772784号に記載されている。
e)特に(限定されるものではないが)長鎖オレフィン/(メタ)アクリル酸エステル/マレイミドのターポリマー、及びフマル酸/マレイン酸エステルのポリマーから成る群から選択される曇り点添加剤。このような添加剤の例は、欧州特許第71513号、欧州特許第100248号、フランス特許第2528051号、フランス特許第2528423号、欧州特許第112195号、欧州特許第172758号、欧州特許第271385号及び欧州特許第291367号に記載されている。
f)特に(限定されるものではないが)(メタ)アクリル酸/ポリアミンでアミド化された(メタ)アクリル酸アルキルのコポリマー、ポリアミン・アルケニルサクシンイミド、フタル酸の誘導体及び二重鎖脂肪族アミンの誘導体、アルキルフェノール樹脂から成る群から選択される反沈殿剤及びパラフィン分散剤。このような添加剤の例は、欧州特許第261959号、欧州特許第595331号、欧州特許第674689号、欧州特許第327423号、欧州特許第512889号、欧州特許第832172号、米国特許公開第2005/0223631号、米国特許第5998530号及び国際特許公開第93/14178号に記載されている。
g)欧州特許第573490号に記載されているような、オレフィン及び硝酸アルケニルをベースとするポリマーにより構成される群から選択される多機能性冷間操作添加剤。
h)EVA及び/又はEVPコポリマーのような、耐寒性及び濾過性を改良する他のCFI添加剤。
【0033】
これらの他の添加剤は、一般に100から1000ppm(それぞれ)の範囲の量が添加される。
【0034】
本発明の改良された耐寒性添加剤は、精油所内で炭化水素組成物に添加され、及び/又は精油所の下流側で一緒にされる。この際、他の添加剤との混合物としたり、添加剤のパッケージの形態で添加しても良い。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[実施例]
エチレン、酢酸ビニル及びアクリル酸2−エチルヘキシルのターポリマーを、高圧(1400から2500バール(140から250MPa))下、200から280℃の重合温度で、ラジカル重合により、管状反応器中で合成した。該合成は、脂肪族アルデヒド(プロパナール)を分子量制御剤として、かつ過酸化物を重合開始剤と使用して行った。下記表1に、合成されたターポリマーのMn及びMwとモノマーのパーセントを示す。
【0036】
【表1】

【0037】
これらのターポリマーの耐寒性を改良する能力を、該ターポリマーを、GOM1からGOM6として知られる6種のエンジンオイルタイプの留分に添加することにより評価し、それらの特性を下記表2に纏めた。
【0038】
【表2】

【0039】
下記コポリマー1から16のそれぞれ400重量ppmを、GOM1と称されるエンジン軽油タイプの留分に添加し、次いでFBT(濾過ブロック傾向)指数を、標準IP387に従って測定した。
【0040】
本発明のターポリマーは、GOM1の濾過ブロック傾向を劣化させないことが判る。つまりターポリマーを400ppm添加したGOM1は1.41未満のFBTを有する。結果を下記表3に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
GOM2からGOM6に添加されたターポリマーの耐寒効率CFPPを、濃度140、210又は280ppmで測定した。結果を表4に纏めた。
【0043】
【表4】

【0044】
本発明のターポリマー1,2,3,4が、異なった軽油GOM2からGOM6中で最も効果的であることが判る。更に表3の結果から、GOM1の400ppmのレベルで添加されたこれらのターポリマー1,2,3及び4は、濾過ブロック傾向を劣化させないことが判る。特許文献13の比較ターポリマー6,7,8,9,11及び16ではこのようにはならず、IP387に従って測定された濾過ブロック傾向を大きく劣化させ、例えば添加剤1,2,4及び5である本発明の添加剤ほどCFPPについて効率的ではないことが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−78から87モル%の少なくとも1種のα−オレフィン、好ましくは少なくともエチレン、
−12から18モル%の少なくとも1種のビニルエステル、好ましくは少なくとも酢酸ビニル、及び
−1から4モル%の少なくとも1種のα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、好ましくは少なくともアクリル酸2−エチルヘキシル、
を含んで成る少なくとも1種のコポリマーの、自動車燃料の耐寒性及び濾過性を改良する添加剤としての使用方法。
【請求項2】
−78から87モル%のエチレン、
−12から18モル%の酢酸ビニル、及び
−1から4モル%のアクリル酸2−エチルヘキシル、
を含んで成る少なくとも1種のターポリマーの請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
GPCで測定した数分子量(Mw)が、3000から30000、好ましくは3000から20000で、GPCで測定した数平均分子量(Mn)が、一般に、1000から20000、好ましくは1500から15000である少なくとも1種のコポリマーの請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項4】
ディーゼル燃料、加熱設備用家庭用燃料オイル(DF)、ケラセン、航空燃料、重油などの中間留分の濾過ブロック傾向を劣化させることなく、耐寒性及び濾過性を改良する添加剤として請求項1から3のいずれか1項に記載の少なくとも1種のコポリマーを使用する方法。
【請求項5】
その硫黄含有量が、5000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは50ppm未満、更に好ましくは10ppm、最も好ましくは硫黄を含まない、自動車燃料の耐寒性及び濾過性を改良する添加剤として請求項1から4のいずれか1項に記載の少なくとも1種のコポリマーを使用する方法。
【請求項6】
沸点が100から500℃の中間留分である主成分と、請求項1から5のいずれか1項に記載の少なくとも1種のコポリマーである少量成分を含んで成る炭化水素組成物。
【請求項7】
動物及び/又は野菜由来のバイオディーゼルを0から100重量%含む請求項6記載の組成物。
【請求項8】
ディーゼル燃料、加熱設備用家庭用燃料オイル(DF)、ケラセン、航空燃料、重油から選択される請求項6又は7記載の組成物。
【請求項9】
10から5000重量ppm、好ましくは10から1000ppm、より好ましくは150から500ppmの請求項1から5のいずれか1項に記載の少なくとも1種のコポリマーを含んで成る請求項6から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
洗剤、耐腐食剤、分散剤、乳化破壊剤、発泡抑制剤、殺生物剤、レオドラント、プロセタン添加剤、摩擦改良剤、潤滑添加剤又は反摩擦添加剤、燃焼促進剤(触媒燃焼又はスス促進剤)、曇り点や流動点や冷間濾過閉塞点の改良剤、反沈殿剤、反磨耗剤及び/又は導電性改良剤から選択される、本発明のコポリマーとは異なった1又は2以上の添加剤を含んで成る請求項6から9のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−508042(P2011−508042A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540159(P2010−540159)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001817
【国際公開番号】WO2009/106744
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(503438322)トタル・ラフィナージュ・マーケティング (8)
【Fターム(参考)】