説明

乗用型草刈機

【課題】
所謂ハイダンプ式の乗用型芝刈機において、集草容器の昇降・開閉操作をし易くすることを課題とする。また、迅速に昇降・開閉動作を行なうことを課題とする。
【解決手段】
集草容器9は上下方向に昇降アーム12で昇降すると共に、開閉蓋14を開閉可能に構成し、昇降アーム12は昇降用シリンダ13で昇降する構成とし、開閉蓋14は開閉用シリンダ15で開閉する構成とし、昇降用シリンダ13及び開閉用シリンダ15を操作する操作レバー33を設け、操作レバー33は操作ガイドに沿って移動する構成とし、操作ガイドは昇降用シリンダ13を操作するための第一操作ガイド30と、開閉用シリンダ15を開閉するための第二操作ガイド31と、昇降用シリンダ及び開閉用シリンダを共に操作するための第三操作ガイド33を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型の草刈機で所謂ハイダンプ式の集草容器を備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集草容器を上昇させ、次いで、集草容器の蓋を開いて集草容器内の草を排出する所謂ハイダンプ式の乗用型の草刈機について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集草容器を昇降させるシリンダと集草容器の蓋を開閉する蓋のシリンダは別個のものであり、それぞれ別の操作レバーで昇降・開閉を行なっていたが、誤操作のもとである。
本発明は、集草容器の昇降・開閉操作をし易くすることを課題とする。また、迅速に昇降・開閉動作を行なうことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を構成した。すなわち、請求項1の発明では、草刈部と、走行車体の後部に備えた集草容器を備えた乗用型草刈機において、集草容器は上下方向に昇降アームで昇降すると共に、開閉蓋を開閉可能に構成し、昇降アームは昇降用シリンダで昇降する構成とし、開閉蓋は開閉用シリンダで開閉する構成とし、昇降用シリンダ及び開閉用シリンダを操作する操作レバーを設け、操作レバーは操作ガイドに沿って移動する構成とし、操作ガイドは昇降用シリンダを操作するための第一操作ガイドと、開閉用シリンダを開閉するための第二操作ガイドと、昇降用シリンダ及び開閉用シリンダを共に操作するための第三操作ガイドを設けたことを特徴とする乗用型芝刈機とする。
【0006】
この構成によると、集草容器を昇降だけさせる操作と、開閉蓋を開閉だけさせる操作と、集草容器を昇降させながら開閉蓋を開閉させる操作を行なうことができ、作業状況に合わせた集草容器の草排出作業ができる。また、迅速な集草容器の草排出作業ができる。
【0007】
請求項2記載の発明では、第一操作ガイドと第二操作ガイドと第三操作ガイドはそれぞれ並列して設け、各操作ガイドそれぞれの前後中央位置を中立位置とし、該中立位置を移動ガイドで連通する構成とし、単一の操作レバーが各操作ガイド間を移動自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の乗用型芝刈機とする。
【0008】
この構成によると、単一の操作レバーで操作できるため、誤操作を防止し、把持しやすくすることが出来る。
請求項3記載の発明においては、草刈部と、走行車体の後部に備えた集草容器を備えた乗用型草刈機において、集草容器は上下方向に昇降アームで昇降すると共に、開閉蓋を開閉可能に構成し、昇降アームは昇降用シリンダで昇降する構成とし、開閉蓋は開閉用シリンダで昇降する構成とし、昇降用シリンダと開閉用シリンダを操作する操作手段を設け、操作手段は昇降用シリンダを操作する操作レバーを設け、操作レバーの把持部に開閉用シリンダを操作する操作スイッチを設けたことを特徴とする乗用型草刈機とする。
【0009】
この構成によると、操作レバーと操作スイッチの構成のため、誤操作を防止し、操作レバーを把持しながら集草容器の昇降操作と開閉蓋の開閉操作を行なうことができる。
請求項4記載の発明においては、昇降シリンダの伸長動作で昇降アームが設定位置以上上昇したことを検出する上昇検出手段を設け、該上昇検出手段が昇降アームの前記設定位置以上上昇したことを検出した後に開閉用シリンダが伸長動作を開始して開閉蓋が開く構成とすることを特徴とする請求項3記載の乗用型芝刈機とする。
【0010】
集草容器が充分上昇する前に開閉蓋が開放することによる開閉蓋の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、集草容器の昇降・開閉操作をし易くすることができる。また、迅速に昇降・開閉動作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】側面から見た乗用芝刈機の草刈作業位置と草排出位置を示す図
【図2】側面から見た草排出作業を示す図
【図3】操作レバーを説明する図
【図4】昇降用センサを説明する図
【図5】別実施例の操作レバーを及び操作ガイドの形状を示す図
【図6】別実施例の操作ガイドの形状を示す図
【図7】乗用型芝刈機の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の乗用草刈機について、図面に基づいて説明する。
走行車体1には前輪2と後輪3を備え、走行車体1の前側にはエンジン4を内装するボンネット5を形成し、ボンネット5の後部にはステアリング6と運転座席7を設けている。
【0014】
前輪2と後輪3との間には草刈装置8を設け、走行車体1の後方には草刈装置8で刈取った草を収容する集草容器9を設け、運転座席7の下方には草刈装置8で刈り取った草が通過するシュータ10を設けている。
【0015】
集草容器9は走行車体1の後部に取り付けている支持フレーム11に昇降アーム12を介して支持される構成とし、昇降アーム12は昇降用シリンダ13の伸縮動作で昇降する構成としている。集草容器9の後部には開閉蓋14を設け、開閉用シリンダ15の伸縮動作で開閉する構成としている。
【0016】
昇降用シリンダ13は走行車体1側と連結する油圧パイプ35と連結し、油圧のバルブ(図示せず)を操作して伸縮する構成とし、開閉用シリンダ15は走行車体1側とは独立した油圧シリンダで構成し、開閉用シリンダモータ(図示せず)で伸縮する構成である。
次に、集草容器9の昇降及び開閉を操作する操作具について説明する。
【0017】
昇降用シリンダ13を昇降操作する操作レバー20を運転座席7に隣接するフェンダー29に形成する操作ガイド21に沿って移動可能に構成し、本実施の形態では長孔状の操作ガイド21の中央を中立Nとし、操作ガイド21の中央部より両端側をそれぞれ昇降用シリンダの上昇J、下降Kの動作範囲としている。
【0018】
操作レバー20の把持部20aには開閉用シリンダ15を操作する開閉スイッチ22が設けられている。本実施の形態の開閉スイッチ22はシーソー式のスイッチであり、開閉用シリンダモータ(図示せず)と電気的に接続し、開閉用シリンダ15を伸縮させる構成である。
【0019】
二本の昇降アーム12の前端を連結体23で連結し、連結体23を支持フレーム11に取り付けており、連結体23に昇降用リミットスイッチ24を設け、昇降アーム12が設定以上上昇位置であることを検出する構成である。本実施の形態では昇降アーム12が設定以上上昇位置まで上昇すると昇降用リミットスイッチ24はオフし、上昇していた昇降アーム12が設定位置まで下降すると昇降用リミットスイッチ24がオンする構成である。勿論オン・オフは反対に設定しても良い。
【0020】
開閉蓋14の開閉を検出する開閉用リミットスイッチ26を設けている。
次に本実施の形態の集草容器9の草排出動作及び草排出動作終了後に集草容器9を草刈姿勢に戻す動作について説明する。
【0021】
走行しながら草刈作業を行ない、集草容器9に収容された草を排出するときには、オペレータが操作レバー20を把持し、中立位置Nから昇降用シリンダ上昇J側に操作すると昇降用シリンダ13が伸長し、集草容器9が排出姿勢に傾きながら上昇する。そして、上昇位置から開閉スイッチ22を開側に操作すると開閉用シリンダ15が伸長して開閉蓋14が開放し、集草容器9内の刈り草が落下排出する。
【0022】
刈り草の排出後に集草容器9を草刈位置まで戻すときは、まず開閉スイッチ22を閉側に操作し、開閉蓋14を閉にしてから操作レバー20を下降K側に操作すると昇降用シリンダ13が縮み、集草容器9が草刈位置まで戻る。
【0023】
次に、昇降・及び開閉動作についての諸条件について説明する。
開閉蓋14は集草容器9が草刈位置にあるときに開き動作を行なうと地面等に当接して破損する場合がある。また、集草容器9内の草を円滑に排出するためにはある程度の高さまで上昇して集草容器9を傾けてから開閉蓋14を開くことが望ましい。そこで、本実施の形態では集草容器9の上昇時に昇降アーム12が設定高さ以上を検出したことを昇降用リミットスイッチ24が検出するまでは、開閉スイッチ22を開側に操作しても開閉用シリンダ15に通電せず、開閉蓋14の開動作を開始しないようにしている。あるいは、別実施例として操作レバー20を上昇方向に操作したことを上昇スイッチ25が検出したことを条件に開閉用スイッチ22の開操作が開閉用シリンダ15に通電して開閉蓋14の開動作を行なえるように構成にしても良い。
【0024】
集草容器9が排出姿勢から草刈姿勢に戻すとき、操作レバー20の下降操作を検出する下降スイッチ26を検出すると、開閉用スイッチ22に通電して開閉用シリンダ15を縮ませ、開閉蓋14を閉じる動作にする。
【0025】
次に、操作具の別実施例について図5及び図6と図7に基づいて説明する。
昇降用シリンダ13の伸縮動作用の第一操作ガイド30と開閉用シリンダ14の伸縮動作用の第二操作ガイド31と昇降用シリンダ13及び開閉用シリンダ15が共に伸縮動作する第三操作ガイド32を隣接位置に並列して形成し、各操作ガイドの中央部を中立位置Nとし、各操作ガイドの中立位置N間を単一の操作レバー33がいずれかの操作ガイドに移動するための移動ガイド34を形成している。操作ガイド及び移動ガイドは運転座席7に隣接するフェンダー29に前後方向を長手に設けている。
【0026】
図7の乗用芝刈機は昇降用シリンダ13及び開閉用シリンダ15のいずれも走行車体側と油圧ホース35で連結する構成で、昇降用シリンダ13用のバルブ(図示せず)と開閉用シリンダ15用のバルブ(図示せず)をそれぞれ操作することで、昇降用シリンダ13と開閉用シリンダ15の伸縮を操作している。該バルブの操作構成は該バルブを操作するバルブ操作体36,37と操作レバー34が係合して動作する係合プレート38,39とを連結し、操作レバー33の操作により、係合プレート38,39及びバルブ操作体36,37を動作し、昇降用シリンダ13と開閉用シリンダ14の伸縮を行なう。
【0027】
係合プレート38,39は操作レバー33を挟むように形成する係合部38a,39aと操作レバー33が移動ガイド34に沿って移動するための移動孔38b,39bを形成している。
【0028】
昇降用シリンダ13用の第一バルブ操作体36と開閉用シリンダ15用の第二バルブ操作体37はそれぞれ昇降用シリンダ13用の第一係合プレート38と開閉用シリンダ15用の第二係合プレート39により別個に動作する構成とし、第一操作ガイド30に沿って操作レバー33を操作すると第一係合プレート38が動作し、第二操作ガイド31に沿って操作レバー33を操作すると第二係合プレート39が動作する。
【0029】
第一係合プレート38と第二係合プレート39の係合部38a,39aの一部Cは平面視で重複する構成で。第三操作ガイド32(係合孔38b,39b)に沿って操作レバー33を操作すると、第一係合プレート38と第二係合プレート39の両方が操作レバー33と係合して動作することで第一バルブ操作体36と第二バルブ操作体37も共に動作する。すなわち、第三操作ガイド32は昇降用シリンダ13と開閉用シリンダ15が共に伸縮するためのガイドであり、オペレータが迅速に草排出作業を行なう場合に使用するものである。
【0030】
他の草排出作業の操作として、集草容器9を所望の高さで草を排出したい場合を説明すると、まず操作レバー33を第一操作ガイド30に沿わせて上昇側jの途中位置まで移動する。すると、昇降用シリンダ13は第一係合プレート38が移動した分だけ伸長し、集草容器9はその上昇位置の姿勢を維持する。そして、操作レバー33を中立位置Nに戻して第二操作ガイド31に移動し、第二係合プレート39を開き側hに移動するよう操作する。すると第二係合プレート39が移動した分だけ開閉用シリンダ15が伸長し、開閉蓋14はその開放位置の姿勢を維持する。昇降用シリンダ13を下降側k及び開閉蓋14の閉じ側tについても同様に別個に操作可能である。
【0031】
図6は図5と同じ技術思想に基づく別の形状の操作ガイドである。相違点は図5でいう第三操作ガイド32を第一操作ガイド30の上昇側jの延長線上に設けている点にある。図6の符号は図5の符号に準じて付している。
【0032】
図7について、40は集草容器9を走行車体1から取り外した時に、集草容器9を載置して保管するための載置台であり、草刈作業・草排出作業中は図1のように不要である。開閉用シリンダ15は表面をカバー15aで覆われていることを示している。開閉用シリンダ15用の油圧ホース35は昇降アーム12に沿って設けており、油圧ホースの外周をカバー35aで覆っていることを示している。
【0033】
図7と図1の乗用型草刈機の相違点として、図1の開閉用シリンダ15は走行車体1側とは独立した油圧シリンダで構成し、開閉用シリンダモータ(図示せず)で伸縮する構成に対し、図7の開閉用シリンダ15用の油圧ホース35は走行車体1から昇降アーム12に沿って設けている点で相違する。図1の構成によると、油圧ホース35を昇降アーム12に沿って配管するする必要がないため、外観が良好になり、また、コストダウンになるというメリットがある。
【符号の説明】
【0034】
1 走行車体
8 草刈装置(草刈部)
9 集草容器
12 昇降アーム
13 昇降用シリンダ
14 開閉蓋
15 開閉用シリンダ
20 操作レバー
20a 把持部
22 開閉スイッチ(操作スイッチ)
24 昇降用リミットスイッチ(上昇検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈部と、走行車体の後部に備えた集草容器を備えた乗用型草刈機において、
集草容器は上下方向に昇降アームで昇降すると共に、開閉蓋を開閉可能に構成し、
昇降アームは昇降用シリンダで昇降する構成とし、開閉蓋は開閉用シリンダで開閉する構成とし、
昇降用シリンダ及び開閉用シリンダを操作する操作レバーを設け、操作レバーは操作ガイドに沿って移動する構成とし、操作ガイドは昇降用シリンダを操作するための第一操作ガイドと、開閉用シリンダを開閉するための第二操作ガイドと、昇降用シリンダ及び開閉用シリンダを共に操作するための第三操作ガイドを設けたことを特徴とする乗用型芝刈機。
【請求項2】
第一操作ガイドと第二操作ガイドと第三操作ガイドはそれぞれ並列して設け、各操作ガイドそれぞれの前後中央位置を中立位置とし、該中立位置を移動ガイドで連通する構成とし、単一の操作レバーが各操作ガイド間を移動自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の乗用型芝刈機。
【請求項3】
草刈部と、走行車体の後部に備えた集草容器を備えた乗用型草刈機において、
集草容器は上下方向に昇降アームで昇降すると共に、開閉蓋を開閉可能に構成し、
昇降アームは昇降用シリンダで昇降する構成とし、開閉蓋は開閉用シリンダで昇降する構成とし、
昇降用シリンダと開閉用シリンダを操作する操作手段を設け、
操作手段は昇降用シリンダを操作する操作レバーを設け、操作レバーの把持部に開閉用シリンダを操作する操作スイッチを設けたことを特徴とする乗用型草刈機。
【請求項4】
昇降シリンダの伸長動作で昇降アームが設定位置以上上昇したことを検出する上昇検出手段を設け、該上昇検出手段が昇降アームの前記設定位置以上上昇したことを検出した後に開閉用シリンダが伸長動作を開始して開閉蓋が開く構成とすることを特徴とする請求項3記載の乗用型芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231696(P2012−231696A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100851(P2011−100851)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】