説明

乗用芝刈機

【課題】 乗用芝刈機後部の支持フレームに対するコレクタの着脱作業を容易化する。
【解決手段】 車体後部に2本の支持フレーム46,46を立設すると共に、この支柱46,46に、ピン連結手段による着脱構成の連結体50を設け、この連結体50に上下一対の昇降リンク60,62を設け、これら昇降リンク60,62の後端をコレクタ40に枢支連結し、更に前記支持フレーム46,46の下部に、該支持フレーム46,46に対してピン連結手段により着脱構成のシリンダブラケット54をコレクタ40側又はコレクタ40を支持するキャリア92側に付け替え可能に構成し、シリンダブラケット54と前記昇降リンク62,62との間にはコレクタ40を昇降させる油圧シリンダ機構69を設け、車体後部に支持フレーム46,46を残してコレクタ40を切り離すことで、着脱作業が容易化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用芝刈機に関し、特にモアデッキから刈取搬送される芝草を収容しながら満杯になる毎に一定箇所にまとめてダンプ排出させるモアコレクタの装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
走行車体の後部に連結される支持フレームと、この支持フレームに昇降可能に装着するコレクタと、該コレクタを支持フレームに対して昇降させる昇降シリンダ機構とを前記走行車体に対して着脱自在とする構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記支持フレームにはコレクタ昇降用の昇降リンク機構や昇降シリンダ機構を接続構成するものであるから、高さが高く重量も嵩張るものであるが、特許文献1に開示された構成ではコレクタの取り外しする場合には、この支持フレームはコレクタと共に取り外しあるいは取り付けするものであるから、コレクタ重量に加えて支持フレームの重量も加わって着脱作業が容易でない。
【0005】
この発明は、支持フレームを走行車体側に残して着脱作業を容易化しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、前輪2操舵輪と後輪3駆動輪を備え、車体下部にモアデッキ18を昇降自在に支持して設け、刈り取った草をシュータ37を介して車体後部に装着されたコレクタ40に回収すべく構成された乗用芝刈機において、車体後部に2本の支持フレーム46,46を立設すると共に、この支柱46,46に、ピン連結手段による着脱構成の連結体50を設け、この連結体50に上下一対の昇降リンク60,62を設け、これら昇降リンク60,62の後端をコレクタ40に枢支連結し、更に前記支持フレーム46,46の下部に、該支持フレーム46,46に対してピン連結手段により着脱構成のシリンダブラケット54をコレクタ40側又はコレクタ40を支持するキャリア92側に付け替え可能に構成し、シリンダブラケット54と前記昇降リンク62,62との間にはコレクタ40を昇降させる油圧シリンダ機構69を設けたことを特徴とする乗用芝刈機とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前輪2操舵輪と後輪3駆動輪を備え、車体下部にモアデッキ18を昇降自在に支持して設け、刈り取った草をシュータ37を介して車体後部に装着されたコレクタ40に回収すべく構成された乗用芝刈機において、車体後部に2本の支持フレーム46,46を立設すると共に、この支柱46,46に、ピン連結手段による着脱構成の連結体50を設け、この連結体50に上下一対の昇降リンク60,62を設け、これら昇降リンク60,62の後端をコレクタ40に枢支連結し、更に前記支持フレーム46,46の下部にシリンダブラケット54を設け、該シリンダブラケット54と前記昇降リンク62,62との間にはコレクタ40を昇降させる油圧シリンダ機構69を設け、該油圧シリンダ機構69の下端部をシリンダブラケット54に対して枢支ピン55によって着脱自在に構成し、油圧シリンダ機構69の下端部をコレクタ40側又はコレクタ40を支持するキャリア92側に付け替え可能に構成したことを特徴とする乗用芝刈機の構成とする。
【0008】
請求項1または請求項2のように構成すると、支持フレーム46に対して上部の連結体50と昇降油圧シリンダ機構69の下端部を切り離し、該昇降用油圧シリンダ機構69の下端部はコレクタ40又はコレクタ40を受けるキャリア92に付替え、乗用芝刈機の車体後部に支持フレーム46,46を残してコレクタ40を切り離す。
【0009】
請求項3に記載の発明は、支持フレーム46の前側で走行車体の後部適所に配管支持ブラケット86を備え、該ブラケット86に一対2組の第1配管87,87及び第2配管88,88を支持し、配管支持ブラケット86の上側には、各配管ごとにカプラ87a,87a,88a,88aを介在して夫々延長し、このうち第1配管87,87は、T字継管を介して分岐させ前記昇降シリンダ69,69aそれぞれに配管接続され、第2配管88,88は、左右一方のダンプシリンダ72aに接続し、該接続部にはT字継管を用いて余りの端部を接続用配管89,89によって他方のダンプシリンダ72aに接続する構成とした請求項1または請求項2に記載の乗用芝刈機である。
【0010】
従って、コレクタ40の着脱、即ち、連結体50の着脱やシリンダブラケット54の着脱に伴ってカプラ87a,87a,88a,88aの接続や切り離しを行う。
請求項4に記載の発明は、支持フレーム46に重合して横ピン53,53で着脱自在に連結される一対のシリンダブラケット54,54に設けた枢支ピン55により昇降用油圧シリンダ機構69の油圧シリンダ69cの基部を支持し、該シリンダブラケット54,54と枢支ピン55との間に、枢支ピン55のシリンダブラケット54,54に対する上下位置を微調整する調整体56,56を構成し、シリンダブラケット54,54を支持フレーム46から切り離し該シリンダブラケット54,54をキャリア92側から立設し又はコレクタ40のフレーム部から立設する保持金具93,94に連結する構成とした請求項1又は請求項3に記載の乗用芝刈機とする。
【0011】
このように構成すると、横ピン53,53を抜いてシリンダブラケット54,54を支持フレーム46から取り外して、キャリア92側またはコレクタ40側の保持金具93,94に付替える。もって昇降リンク60,62を位置保持できる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は請求項2に記載の発明によると、乗用芝刈機の車体後部に支持フレーム46,46を残してコレクタ40を切り離すことで、支持フレーム46,46の重量が掛からないため着脱作業が容易化できる。コレクタ取り外し後の走行においても支持フレーム46,46が簡易な安全フレームとして機能できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によると、連結体50の着脱やシリンダブラケット54の着脱に伴ってカプラ87a,87a,88a,88aの接続や切り離しを行うことができ、不測の油漏れを生じない。また、第1配管87,87は、T字継管を介して分岐させ前記昇降シリンダ69,69aそれぞれに配管接続され、第2配管88,88は、左右一方のダンプシリンダ72aに接続し、該接続部にはT字継管を用いて余りの端部を接続用配管89,89によって他方のダンプシリンダ72aに接続する構成であるから、配管構成を簡素化しコストダウンに寄与する。
【0014】
請求項4に記載の発明によると、横ピン53,53を抜いてシリンダブラケット54,54を支持フレーム46から取り外して、キャリア92側の保持金具93又はコレクタ40側の保持金具94に付替えるため、枢支ピン55の着脱を要さず着脱作業が容易である。また、再度作業を行うためにコレクタ40を装着する際、調整体56による調整作業を余儀なくされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乗用芝刈機の全体側面図である。
【図2】乗用芝刈機の拡大側面図である。
【図3】作用説明図である。
【図4】コレクタ取り外し時の全体側面図である。
【図5】要部の拡大側面図である。
【図6】配管概要図である。
【図7】別例を示すコレクタ取り外し時の全体側面図である。
【図8】別例を示すコレクタ側面図である。
【図9】フローチャート図である。
【図10】検出センサ設置一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の態様を図面に基づき説明する。
図1は乗用芝刈機の全体側面図、図2は全体平面図である。
この乗用芝刈機1は車体の前後に前輪2,2と後輪3,3を備え、更に車体前部のボンネット4内にエンジン5を搭載支持している。
【0017】
エンジン5の回転動力は、油圧式無段変速装置7等からなる変速装置を介して適宜減速され、その減速された回転動力は車体左右のチェンケース8,8内に設けたチェン・スプロケット等の伝動部材により後輪3,3に伝達されて車体を走行させる。
【0018】
車体の前後進はフロア10の右側前部に設けた前後進操作ペダル11によって行われ、操舵は座席12前部のステアリングハンドル13を回動操作することによって前輪2,2が操舵される。
【0019】
前輪2,2と後輪3,3の間の車体腹下部には、草や芝を刈り取るモア15がリンク機構16により昇降自在に取り付けられている。このリンク機構16は前後2本のリンク片16a,16bを左右一対にして設けたもので平行リンクを構成し、モア15を地面に対して略平行な状態で昇降させることができる。
なお、モア15の昇降は図外油圧シリンダにより行う。昇降操作はレバー17で行う。
【0020】
次にモア15の詳細構造について説明する。
モア15のケーシングを構成するモアデッキ18全体は平面から見ると円形のハウジング18a,18bを左右に並べて一体化したような形をしており、これらのハウジング18a,18bにより回転軸19L,19Rを回転自在に支持すると共に、ハウジング18a,18bの上面と外周縁とにより、回転軸19L,19Rに固着されたブレード(刈刃)20L,20Rの周囲を覆うように構成している。
【0021】
個々のハウジング18a,18b上面外周には、回転するブレード20L,20Rによって刈り取られた刈草を排出すべく回転方向に沿って次第に隆起する草排出通路23,23が形成され、これらの通路23,23は左右方向の中央部で合流して後方が開放された1つの草排出通路24を形成する。
【0022】
なお、この実施例では、右側のブレード20Rは平面から見て反時計方向に回動し、左側のブレード20Lは時計方向に回転し、両ブレード20R,20Lは位相差が約90度ずれた状態で回転するようになっている。2枚のブレード20R,20Lに対する動力の伝達は次のように行なわれる。エンジン5前部の第1出力軸25にプーリ26を固着して設け、このプーリ26と車体前下部に設けられたプーリ27との間にベルト28を掛け回し、プーリ27と一体で回転する第2出力軸29とモア15側の入力軸30との間に自在継手軸32を介装連結し、入力軸30にプーリ33を設け、一側(図例では左側)の回転軸19Lを伝動支持するベベルギヤ機構を内装するギヤボックス34にベルト35を介して動力を伝達すべく構成する。他側(図例では右側)の回転軸19Rを伝動支持するベベルギヤ機構を内装するギヤボックス36に向けシャフト伝動する構成としている。なお、両ブレード20L,20Rを互いに逆向きに回転駆動するように構成している。
【0023】
2枚のブレード20L,20Rで刈り取られた刈草は草排出通路24を通って後方に排出される。この草排出通路24には断面が角筒状のシュータ37が連設され、シュータ37後端は後述するコレクタ40の前面開口部40aに連通する。このシュータ37は予め車体の腹下部において車体にボルト等によって締付固着されており、その横断面は左右のチェンケース8,8が形成する間隔と略等しい断面積を有し、後下部は図1に示すように三角状(S)に切欠かれている。
【0024】
そして、シュータ37の入口に対してモア15側の草排出通路24後上部に取り付けられた断面逆U字状のカバー39が前方から差し込まれ、モア15が上下したときにこのカバー39が追従して上下に回動するように構成している。図示は省略するが、このカバー39は前部の支点を中心にして常時上向きに付勢され、このカバーの後上端部がシュータ37の天井部に常時当接するようにしている。
【0025】
また、前後方向に沿う車体フレーム42,42の後端部には中間部を縦長台形状に切欠いて形成した2枚の支持板44,44が固着され、この支持板44,44にコレクタ40を回動自在に支持するマスト状の支持フレーム46,46が固着されている。
【0026】
上記支持フレーム46,46の上部には、チャネル部材48,49を背中合わせで一体化した左右一対の連結体50,50のうち、前側チャネル部材48,48を後方側から重ねて2箇所において夫々横ピン51,51で着脱自在に連結している。一方後側チャネル部材49,49に設けた2つの回動支点58,58,59,59には上下2本の昇降リンク60,60,62、62が左右対に枢着されている。
【0027】
上記2本のリンク60,62は後部が下向に屈曲していてそれらの後端部には側面から見てく字型の縦リンク63,63が取り付けられている。64,65は回動支点である。前側の上部回動支点58,59間の距離に比べて下部回動支点64,65間の距離は短く、また、上リンク60の支点58,64間距離に比べて下リンク62の支点59,65間距離の方が短い構成となっている。
【0028】
このため、作業時にはコレクタ40の後部が前部よりも高く傾斜し、昇降リンク60,62を上昇させたときにはコレクタ40の前部側が後部側よりも高く傾斜するように形成される。
【0029】
なお、下リンク62にはロックブラケット52を備え、最上昇位置で該ロックブラケット52のピン孔52aを前記連結体50の後側チャネル部材49の一方に形成したピン孔49aに一致させてピン(図示せず)で連結することによって、リンク58,59を上昇位置にロック保持できる構成である。
【0030】
前記縦リンク63,63の中間部に設けた支点68によりコレクタ40を回動枢支する。マスト状支持フレーム46,46下部と下リンク62,62との間には昇降用の油圧シリンダ機構69を取り付け、コレクタ昇降レバー69Lを操作して作動油を油圧シリンダ69c内に導けばコレクタ40が上昇し、反対に油圧昇降レバー69sを下げ側に操作すると油圧シリンダ69c内の作動油がタンク側に排出されてコレクタ40が下降するように構成している。
【0031】
油圧シリンダ機構69の油圧シリンダ69cの基部を前記支持フレーム46へ接続する構成について説明する。図5に示すように、支持フレーム46に重合して横ピン53,53で着脱自在に連結される一対のシリンダブラケット54,54を横架させて設けた枢支ピン55により該油圧シリンダ69cの基部を支持している。なお、シリンダブラケット54,54と枢支ピン55との間には枢支ピンのシリンダブラケット54,54に対する上下位置を微調整できる調整体56,56を夫々構成している。
【0032】
具体的には、枢支ピン55を直接支持してブラケット部材54aの大径孔54bに横軸回りに回動可能に嵌合させた円盤56aと、該円盤56aに一体的に設ける扇型板56bと、該扇型板56の円弧孔56cとこの円弧孔56cを介してボルト57の締付けで扇型板56bをブラケット部材54aと一体化することによって、枢支ピン55を調整ロックできる構成としている。従って、ボルト57を緩めて扇型板56を回す(このときの回動中心Pは前記円盤56aの中心である)ことにより、該中心Pからの偏位量εが描く円弧に従って微調整をすることができる。
【0033】
図1において点線の状態が刈取作業姿勢であり、実線の状態が上昇時の放出姿勢である。作業姿勢ではコレクタ40の後部が尻上り状態に支持されているので、コレクタ40の後部が地面に当接する恐れがなく、傾斜地での作業でコレクタ40が地面に当たって変形するといった不具合を無くすことができる。
【0034】
反対に油圧シリンダ69c内に作動油を供給してコレクタ40を上昇させたときには前上がり気味となるのでコレクタ40前面に設けた開口部40aから草が零れ落ちるといった不具合をなくすことができるものである。
【0035】
なお、同図において、符号70はコレクタ40の外側にあってコレクタ40と一体に形成された枠体であって、側面から見るとT字を90度寝かしたような形状をしており、この長辺70a部分にコレクタ40の回動支点68を設け、縦リンク63,63の上部と枠体70の短辺70bとの間にダンプ用の油圧シリンダ機構72を介装連結している。ダンプレバー72Lを操作して、このダンプ用の油圧シリンダ機構72を伸ばすと支点68を中心としてコレクタ40が時計方向に回動する。
【0036】
なお、このハイダンプ仕様のコレクタ40は上面と背面が大きく開口しており、収容している刈草をこの開口部から放出するものである。常態では上面も背面も樹脂製のカバー部材76で覆われており、草がこれら上部開口77と背面開口78から零れ落ちることはない。前記樹脂カバー76は上面水平部76aと後面垂直部76bが一体でも良いが、途中で前後に2分割しても良い。
【0037】
また、カバー部材76は側面から見て逆L字型に折曲したカバーフレーム80に着脱自在に装着されており、このカバーフレーム80の前部はコレクタ40の骨組みをなす枠組部材81の前側上部にピン82にて枢支されている。また、縦リンク63,63の上端と前記カバーフレーム80との間には上方に向かって中間部が湾曲する湾曲リンク83が枢着されており、ダンプ用の油圧シリンダ機構72の伸長動作に連動させてこの湾曲リンク83がコレクタ40に対して起立し、カバー部材76はピン82を中心として上方に回動してコレクタ40の上部開口77と背面開口78を開放するようにしている(図3)。
【0038】
このように構成することによってコレクタ40内に収容されている刈草は地上に放出されるものである。ダンプ用油圧シリンダ機構72の外側にはこの油圧シリンダ72cやリンク片の一部を覆う矩形状のカバー85が設けられ、図1に示すようにダンプ用の油圧シリンダ機構72を短縮させているときにはこのカバー85が前記カバー部材76のコーナー部に納まり、油圧シリンダ機構72を伸長させると図3に示すようにコーナー部から相対的に移動してカバー部材76が開くようにしている。図1から明らかなようにダンプ用の油圧シリンダ機構72を短縮させてカバー部材76が閉じて両カバーが1箇所にまとまった状態にあるときには湾曲リンク83はカバーによって覆われており、外側方からは見えない状態になっている。このため、従来のようにコレクタの開口部を開閉させるためのリンク類が表の部分に現れて見栄えを悪くするといった不具合を招くことがない。
【0039】
次に前記コレクタ40の昇降用油圧シリンダ機構69の昇降シリンダ69aやダンプ用シリンダ機構72のダンプシリンダ72aに対する油圧配管構成について、支持フレーム46の前側で走行車体の後部適所に配管支持ブラケット86を備え、該ブラケット86に乗用芝刈機の本体側油圧バルブ(図示せず)を経由した一対2組の第1配管87,87及び第2配管88,88を支持している。配管支持ブラケット86の上側には、各配管ごとにカプラ87a,87a,88a,88aを介在して夫々延長されている。そしてこのうち、第1配管87,87は、T字継管87b,87bを介して分岐し、前記昇降シリンダ69a,69aそれぞれに配管接続される。一方第2配管88,88は、左右一方のダンプシリンダ72aに接続し、該接続部にはT字継管88b,88bを用いて余りの端部を接続用配管89,89によって他方のダンプシリンダ72aに接続する構成である。配管87,87の前記T字継管以後は支持フレーム46の中間部左右に連結状態に設ける支持兼用カバー(図示せず)の内側に収容状態に保護される。配管88,88の一方のダンプシリンダ72aへの支持は支持フレーム46の一側に沿う状態から前記上下のリンクのうち上リンク60に沿って保持され、さらに接続用配管89,89はコレクタ40の後側下部に設ける断面コ型のカバー部材(図示せず)で保護する構成である。
【0040】
次に、コレクタ40の着脱作用について、連結状態のコレクタ40を取り外す手順について説明する。上昇位置においてダンプ姿勢のコレクタ40は、コレクタ昇降レバー69Lやダンプレバー72L操作によってカバー部材76を閉じ、前傾姿勢に戻して下降する。予めキャリア92を用意し、下降状態にあるコレクタ40の下方に配置する。コレクタ40本体がキャリア92の上に載るとコレクタ昇降レバー69Lによる降下操作を中止する。そして前記配管のカプラ87a,87a,88a,88aを切り離す。その後、ついで支持フレーム46の下部側のシリンダブラケット54を横ピン53の抜き取りによって取り外し、そのまま後退移動させて(図4)、又はシリンダブラケット54毎枢支ピン55回りに回動して(図5)、前記キャリア92側に立設した保持金具93に(図4)、又はコレクタ40前側下部に立設した保持金具94(図5)に、横ピン53を付け替えて保持させる。これによって昇降用油圧シリンダ機構69が上下リンク60,62の下降を規制する。ついで連結体50の横ピン51を抜き取り、支持フレーム46に対して連結体50を切り離す。こうして支持フレーム46を乗用芝刈機1の車体側に残した状態でコレクタ40を切り離すことができる。
【0041】
上記実施例では、昇降用油圧シリンダ機構69の支持構成としてのシリンダブラケット54を支持フレーム46から切り離した後、反転させてキャリア92の保持金具93に付替えて保持させる構成であるから、枢支ピン55の挿抜を行うことなく容易迅速に昇降用油圧シリンダ機構69をコレクタ40側に付け替えできる。
【0042】
なお、上記実施例における保持金具93をキャリア92側から立設する構成としたり、図7に示すように、油圧昇降用シリンダ機構69の枢支ピン55を抜いて昇降シリンダ69aをキャリア92側に立設する保持金具93Aに直接付替える構成にすると、昇降リンク60,62のふらつきを防止できる。また、コレクタ40、昇降リンク60,62及びキャリア92を一体としてフォークリフトによる搬送や、運搬車による搬送に際してもキャリア92に対するコレクタ40側のズレ動きが生じ難く、搬送が容易迅速に行える。
図8は異なる例を示す。連結体50と支持フレーム46とを平行リンク95,95で連結し、着脱自在の補助レバー96操作で上下動する構成としている。コレクタ40の後端下部には収納式のスタンド97を備え、支点越えばね98とストッパ99により、下方に突出するスタンド姿勢と上方に回動する収容姿勢とに切り替わる構成としている。
【0043】
上記の構成では、スタンド97をスタンド姿勢とし、シリンダブラケット54を支持フレーム46から取り外し、カプラ87a,87a,88a,88aを抜いて配管を切り離す。ついで連結体50を支持フレーム46に固定する横ピン51,51を取り外し、補助レバー96を操作してゆっくりと昇降リンク60,62毎コレクタ40を降ろす。降ろした後、補助レバー96と平行リンク95,95を取り外す。この構成によるとキャリア不要でコレクタ40の着脱を容易化できる。
【0044】
図9は安全装置のフローチャートを示す。エンジン起動し(ステップ1)、モアへのPTOクラッチを操作するクラッチレバー(図示せず)の操作の有無を判定したとき(ステップ2)、支持フレーム46の背面のうちコレクタ40の作業姿勢で接触しうる位置に配設したコレクタ装着検知センサ100の検知信号を入力しコレクタ40装着を検知すると(ステップ3)、PTOクラッチをONしてモアのブレード等を駆動し(ステップ4)、コレクタ装着を検知できないときはエンジン停止する構成である(ステップ5)。ここで、前記のように、支持フレーム46からコレクタ40を取り外しできる構成を採用すると、コレクタ40取り外し時にはエンジン停止し、作業を行えないこととなる。つまり、PTO軸を図外除雪装置等他の作業機に接続して多目的作業車として使用する場合にコンテナを取り外すが上記の欠点がある。そこで図 のように、シュータ37出口部を覆うことができる排出口カバー101を支持フレーム46の後面に上下回動自在に取り付け、連結体50を装着するときは跳ね上げ状態として共に固定し、連結体50を取り外すと下方に回動してシュータ37の出口部を覆うと共に支持フレーム46の途中部に配設したコレクタ装着検知センサ100に作用させてコレクタ40装着状態と同等の検知信号を得る構成とする。
【0045】
このように構成することによって、PTO用のクラッチレバー操作でエンジン停止することなく所望の作業を継続実行できる。また排出口カバー101で排出口を覆うので、シュータ37に刈草があっても不測に飛散されない。
【符号の説明】
【0046】
2 前輪
3 後輪
18 モアデッキ
37 シュータ
40 コレクタ
46 支持フレーム
50 連結体
54 シリンダブラケット
55 枢支ピン
56 調整体
60 上リンク(昇降リンク)
62 下リンク(昇降リンク)
69 昇降用油圧シリンダ機構
72 ダンプシリンダ機構
87 第1配管
87 第2配管
89 接続用配管
92 キャリア
93 保持金具
94 保持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪2操舵輪と後輪3駆動輪を備え、車体下部にモアデッキ18を昇降自在に支持して設け、刈り取った草をシュータ37を介して車体後部に装着されたコレクタ40に回収すべく構成された乗用芝刈機において、車体後部に2本の支持フレーム46,46を立設すると共に、この支柱46,46に、ピン連結手段による着脱構成の連結体50を設け、この連結体50に上下一対の昇降リンク60,62を設け、これら昇降リンク60,62の後端をコレクタ40に枢支連結し、更に前記支持フレーム46,46の下部に、該支持フレーム46,46に対してピン連結手段により着脱構成のシリンダブラケット54をコレクタ40側又はコレクタ40を支持するキャリア92側に付け替え可能に構成し、シリンダブラケット54と前記昇降リンク62,62との間にはコレクタ40を昇降させる油圧シリンダ機構69を設けたことを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項2】
前輪2操舵輪と後輪3駆動輪を備え、車体下部にモアデッキ18を昇降自在に支持して設け、刈り取った草をシュータ37を介して車体後部に装着されたコレクタ40に回収すべく構成された乗用芝刈機において、車体後部に2本の支持フレーム46,46を立設すると共に、この支柱46,46に、ピン連結手段による着脱構成の連結体50を設け、この連結体50に上下一対の昇降リンク60,62を設け、これら昇降リンク60,62の後端をコレクタ40に枢支連結し、更に前記支持フレーム46,46の下部にシリンダブラケット54を設け、該シリンダブラケット54と前記昇降リンク62,62との間にはコレクタ40を昇降させる油圧シリンダ機構69を設け、該油圧シリンダ機構69の下端部をシリンダブラケット54に対して枢支ピン55によって着脱自在に構成し、油圧シリンダ機構69の下端部をコレクタ40側又はコレクタ40を支持するキャリア92側に付け替え可能に構成したことを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項3】
支持フレーム46の前側で走行車体の後部適所に配管支持ブラケット86を備え、該ブラケット86に一対2組の第1配管87,87及び第2配管88,88を支持し、配管支持ブラケット86の上側には、各配管ごとにカプラ87a,87a,88a,88aを介在して夫々延長し、このうち第1配管87,87は、T字継管を介して分岐させ前記昇降シリンダ69,69aそれぞれに配管接続され、第2配管88,88は、左右一方のダンプシリンダ72aに接続し、該接続部にはT字継管を用いて余りの端部を接続用配管89,89によって他方のダンプシリンダ72aに接続する構成とした請求項1または請求項2に記載の乗用芝刈機。
【請求項4】
支持フレーム46に重合して横ピン53,53で着脱自在に連結される一対のシリンダブラケット54,54に設けた枢支ピン55により昇降用油圧シリンダ機構69の油圧シリンダ69cの基部を支持し、該シリンダブラケット54,54と枢支ピン55との間に、枢支ピン55のシリンダブラケット54,54に対する上下位置を微調整する調整体56,56を構成し、シリンダブラケット54,54を支持フレーム46から切り離し該シリンダブラケット54,54をキャリア92側から立設し又はコレクタ40のフレーム部から立設する保持金具93,94に連結する構成とした請求項1又は請求項3に記載の乗用芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95556(P2012−95556A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244183(P2010−244183)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】