説明

乳化状態の液体の安定性を評価する方法

【課題】測定された時間ごとの濁度の変化を解析することによって、濁度の変化の半減期をもとめ、その半減期の大小によって、乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
【解決手段】
本発明は、測定された時間ごとの光の透過度から濁度に算出し、時間ごとの濁度の変化を解析することによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から濁度の変化の半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、つまりことによって、その乳化状態の液体の安定性を評価するのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定された時間ごとの光の透過度を吸光度に、その吸光度から濁度に換算し、測定された時間(T)ごとの濁度(D)の変化を解析することによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、乳化状態の液体の安定性を評価する方法の発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳化状態の液体とは、水と油のように相互に交じり合わないで、分散質(油)が分散媒(水)中に液滴状に分散している液体のことである。したがって、その液体を長時間放置しておくと、最終的に上相と下相の二相に分離する。
従来、乳化状態の液体についての乳化状態の安定性を評価する方法としては、とある測定時間と決めた時間の間に乳化状態の液体が分離して、上相と下相の二相に分離したかどうか、目視で確認していた(特許文献1から11参照)。それに付け加えて、上相と下相のそれぞれの長さを測定することによって評価されていた(特許文献12参照)。この方法は多くの特許出願書類に記載されている方法である(特許文献1から12参照)。
他の同じような方法としては、乳化状態の液体に、遠心分離機で遠心力をかけた後、上相と下相の二相に分離したかどうか、目視で確認していた(特許文献13から16参照)。それに付け加えて、上相と下相のそれぞれの長さを測定することによって評価されていた。
これらの方法では、上相と下相の二相に分離の有無だけの判断しかできなかった。その他にも、エマルションの粒径測定装置(特許文献17から18参照)と後方散乱変化率(特許文献19から21参照)などがある。
また他方では、分光光度計を用いて乳化状態の安定性を評価する方法がよく使われている。通常、乳化状態の液体では、分光光度計の装置から照射させる光が通過できないので、光の透過度が直接測定することができない。したがって、乳化状態の液体を分散媒で、ある一定の割合で希釈して光の透過度が測定されていた。その光の透過度を吸光度[吸光度=−1×log(透過度)]に換算して、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、さらに、そこから乳化活性係数(乳化活性係数=2×濁度÷界面活性剤の濃度÷分散質の体積分率)が算出され、その定量的な値である乳化活性係数をもとに乳化安定性が評価されていた(非特許文献1から2参照) 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−41512号公報
【特許文献2】特開2009−256377号公報
【特許文献3】特開2009−096936号公報
【特許文献4】特開2008−280256号公報
【特許文献5】特開2008−263790号公報
【特許文献6】特開2007−275020号公報
【特許文献7】特開2007−202534号公報
【特許文献8】特開2005−314288号公報
【特許文献9】特開2005−134289号公報
【特許文献10】特開2005−112823号公報
【特許文献11】特開2005−082517号公報
【特許文献12】特開2007−068407号公報
【特許文献13】特開2008−054540号公報
【特許文献14】特開2007−325544号公報
【特許文献15】特開2006−212039号公報
【特許文献16】特開2004−201672号公報
【特許文献17】特開2010−189461号公報
【特許文献18】特開2010−043146号公報
【特許文献19】特開2006−094867号公報
【特許文献20】特開2005−027674号公報
【特許文献21】特開2002−238474号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kevin N. Pearce, John E. Kinsella著 題名「Emulsifying properties of proteins: evaluation of a turbidimetric technique」 学術雑誌名「Journal of Agricultural and Food Chemistry」、26巻 3号、ページ 716-723、The American Chemical Society、1978年
【非特許文献2】水谷令子著 題名「乳化性測定方法の検討」 学術雑誌名「鈴鹿短期大学紀要」 、10巻、 ページ9-17, 鈴鹿短期大学、 1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし本来、乳化状態の液体を長時間放置しておくと、最終的に上相と下相の二相に分離する。乳化状態の液体は時間とともに変化していくのである。それにもかかわらず、乳化活性係数では、時間とともに変化していくことについては、なにも考慮されていないので、乳化状態の液体の安定性を評価する指標としては問題を含んでいる。
【0006】
本発明は、測定された時間ごとの光の透過度を吸光度に、その吸光度から濁度に算出し、時間ごとの濁度の変化を解析することによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から濁度の変化の半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、乳化状態の液体の安定性を評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の第1態様は、測定された時間ごとの光の透過度を測定し、時間ごとの光の透過度を時間ごとの吸光度に換算し、時間ごとの吸光度から時間ごとの濁度に換算し、測定時間(T)ごとの濁度(D)に、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}をあわせることによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、乳化状態の液体の安定性を評価する方法であって、
乳化試料を作成する乳化試料作製手段ステップと、
該乳化試料作製手段ステップで作成された乳化試料をある一定の割合で希釈する乳化試料希釈手段ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料に光を照射する分光ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料を通過した光の透過度を検出する測光ステップと、
該測光ステップで検出された光の透過度と時間を時間ごとに記憶し、さらに、記憶された光の透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する記憶ステップと、
該記憶ステップで記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
測定時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}で、その算出濁度(D2)式があらかじめ記憶手段に記憶されており、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を未知数として、解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)を初期値として設定し、それに付け加えて測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の仮の値を初期値として設定する算出濁度初期値設定ステップと、
該算出濁度初期値設定ステップで設定された初期値が代入された算出濁度(D2)式に、該記憶ステップで記憶された測定時間(T)を代入して、算出濁度(D2)を算出して、測定時間(T)と算出濁度(D2)を用いて、測定時間(T)を横軸に、算出濁度(D2)を縦軸にした算出濁度設定グラフを作成する算出濁度設定グラフ化ステップと、
測定グラフ化ステップで求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化ステップで求められた算出濁度設定グラフの差の2乗が最小になるように算出濁度(D2)式の測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を変化させて算出する濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、算出濁度初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)、そして測定時間(T)を算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}に代入し、測定時間ごとの算出濁度(D2)を算出し記憶ステップに記憶させ、記憶された算出濁度(D2)を縦軸に、測定時間を横軸にした算出濁度設定グラフと測定グラフを重ね書きし、それに付け加えて、算出濁度(D2)式と算出濁度初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、を有する。
【0008】
本発明によれば、測定時間(T)ごとの濁度(D)に、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}をあわせることによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
発明の第2態様は、測定された時間ごとの光の透過度を測定し、時間ごとの光の透過度を時間ごとの吸光度に換算し、時間ごとの吸光度から時間ごとの濁度に換算し、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定し、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化すると、右下がりの傾きをもつ直線関係を示し、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、その乳化状態の液体の安定性を評価する方法であって、
乳化試料を作成する乳化試料作製手段ステップと、
該乳化試料作製手段ステップで作成された乳化試料をある一定の割合で希釈する乳化試料希釈手段ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料に光を照射する分光ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料を通過した光の透過度を検出する測光ステップと、
該測光ステップで検出された光の透過度と時間を時間ごとに記憶し、さらに、記憶された光の透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する記憶ステップと、
該記憶ステップで記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を初期値として設定する解析グラフ初期値設定ステップと、
該解析グラフ初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)をもとに、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化する解析グラフ化ステップと、
該解析グラフ化ステップでグラフ化されたグラフに対して、右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲の縦軸のln(D−Dfinal)と横軸の(T−Tinitial)の右下がりの直線関係から、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度(K)をもとめる濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、該濁度の変化速度算出ステップで算出された傾き(−1×A)と切片Bを右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B)に代入して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲における横軸に対する縦軸の値をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、解析グラフに重ね書きをし、それに付け加えて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式と濁度の変化速度算出ステップで設定された解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、を有する。
【0009】
本発明によれば、測定された時間(T)ごとの濁度(D)に対して、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定し、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化すると、右下がりの傾きをもつ直線関係を示し、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
【0010】
本発明の第3態様は、第1および第2の態様のいずれかだけの態様をとるばかりでなく、第1および第2の態様を兼ね備えかつ実験者つまりユーザーの選択によって第1もしくは第2態様のいずれかを選択することができることも特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測定された時間(T)ごとの濁度(D)の変化を解析することによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、乳化状態の液体の安定性を評価することができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1における乳化状態の液体の安定性を評価する方法に用いられる乳化状態の液体の乳化状態安定性評価装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1における乳化状態の液体の安定性を評価する方法のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態1と実施形態2における測定化グラフを示す図である。
【図4】本発明の実施形態1と実施形態2における解析初期値としては、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定することを示す図である。
【図5】本発明の実施形態1における解析結果を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2における乳化状態の液体の安定性を評価する方法に用いられる乳化状態の液体の乳化状態安定性評価装置のブロック図である。
【図7】本発明の実施形態2における乳化状態の液体の安定性を評価する方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態2における右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定することを示す図である。
【図9】本発明の実施形態2における解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態に沿って詳しく説明する。
【実施形態1】
【0014】
以下、本発明の乳化状態の液体の安定性を評価する方法の第1番目の一実施形態について図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明の第1番目の一実施形態における乳化状態の液体の安定性を評価方法に用いられる乳化状態安定性評価装置のブロック図である。
図1に示すように、乳化状態安定性評価装置1は、乳化試料作製ならびに希釈部2、分光部3、コンピュータ部4を有する。
【0015】
乳化試料作製ならびに希釈部2は、乳化試料作製手段5と乳化試料希釈手段6を有する。乳化試料作製手段5は、乳化試料を作製する手段である。分散質(油)と分散媒(水)と乳化剤の混合液をホモジナイザーや超音波撹拌装置などの撹拌装置で乳化試料が作成される。乳化試料希釈手段6は、乳化試料作製手段5で作成されて乳化試料を乳化希釈液で希釈する手段である。少量の乳化試料を乳化希釈液にゆっくりと混ぜて分散させる。
【0016】
分光部3は、分光ステップ7、乳化希釈試料容器8、測光ステップ9を有する。分光ステップ7は光源と回折格子からなり、光を発生し設定された波長の光に分光し、乳化希釈試料容器8に照射するものである。石英もしくはプラスチック製の乳化希釈試料容器8中に分光ステップ9より照射された光が、乳化希釈試料の粒子によって散乱される。乳化希釈試料容器8を乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。測光ステップ9は、普通は光電子増倍管が用いられているが、フォトダイオードアレイ検出器でもよい。
【0017】
分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出され、時間と関連付けて、後述するコンピュータ部4の記憶手段10に記憶される。
コンピュータ部4は、記憶手段10、測定グラフ化手段11、算出濁度初期値設定手段12、算出濁度設定グラフ化手段13、濁度の変化速度算出手段14、濁度変化の半減期算出手段15、結果表示手段16を有している。
【0018】
記憶手段10は、上述のとおり分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。分光ステップ7から照射された光の強度と乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度から透過度(透過度=乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度÷分光ステップ7から照射された光の強度)が算出され時間と関連付けられて記憶し、時間ごとの透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する。またこればかりでなく記憶手段10は、測定時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、測定時間ごとの濁度(D)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}があらかじめ記憶手段に記憶されている。
なお、前もって時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などを測定しておき、別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込んでもよい。
【0019】
測定グラフ化手段(時間ごとの測定された濁度のグラフ算出手段)11は、記憶手段10で記憶された濁度を縦軸に、記憶手段10で記憶された時間を横軸にした測定グラフをもとめるものである。
【0020】
算出濁度初期値設定手段12は、算出濁度(D2)式があらかじめ記憶手段10に記憶されており、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を未知数として、解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)を初期値として設定し、それに付け加えて測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の仮の値を初期値として設定する。
【0021】
算出濁度設定グラフ化手段13は、算出濁度初期値設定手段12により初期値が設定され代入された算出濁度(D2)式に、記憶手段10によって記録された測定時間を代入して、算出濁度(D2)を算出して、その記録された測定時間を横軸に、算出濁度を縦軸として算出濁度設定グラフを求めるものである。これにより、初期値が代入された算出濁度設定グラフを求めることができる。
濁度の変化速度算出ステップ14は、測定グラフ化手段11で求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化手段13によって求められた算出濁度設定グラフの差の2乗が最小になるように、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変化させる。具体的には、まず測定化グラフ化手段11で求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化手段13で求められた算出濁度設定グラフを比較する。そして、上記算出濁度初期値設定手段12によって設定された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を変化させ、測定グラフ化手段11で求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化手段13によって求められた算出濁度設定グラフの差の2乗が最小になるように、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を求める。これにより、算出濁度(D2)式について、測定化グラフと近似するグラフを求めることができ、なおかつ測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を求めることができる。
【0022】
濁度変化の半減期算出手段15は、濁度の変化速度算出ステップ14で算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出して、それを記憶手段10に記憶する。
【0023】
結果表示手段16は、濁度の変化速度算出手段14で算出された濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出手段15で算出された濁度変化の半減期を記憶手段10に記憶させ、算出濁度初期値設定手段で設定された解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出手段で算出された時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)、そして測定時間(T)を算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}に代入し、測定時間ごとの算出濁度(D2)を算出し記憶手段10に記憶させ、記憶された算出濁度(D2)を縦軸に、測定時間を横軸にした算出濁度設定グラフと測定グラフを重ね書きし、それに付け加えて、算出濁度(D2)式と算出濁度初期値設定ステップ12で設定された解析開始時間(Tinitial)と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出手段で算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する。
【0024】
次に、本発明の乳化状態の液体の安定性を評価する方法について、図1と図2を参照しながら説明する。図2は本発明の一実施形態である実施形態1における乳化状態の液体の安定性を評価する方法のフローチャートである。
【0025】
S11において、乳化状態安定性評価装置の電源スイッチ(図示略)がONかが判断される。そして、S11でYESと判断された場合には、S12において装置初期設定画面(図示略)が表示される。ここで、S13で照射される光の波長、乳化希釈試料容器8の厚さ(光路長)、何秒ごとに測定するのかの時間間隔、最大何時間まで測定するのかの最大時間をそれぞれ設定する。それぞれの設定値は乳化試料の状態によってことなり、測定するそれぞれの乳化試料によって調整する必要がある。基本的には、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長)を長くするか、最大時間を長くすることで解決することが多いということは、発明者の経験から得られた知見である。
実施例として、乳化希釈試料容器8に照射される光の波長を500nm、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長)は1cm、何秒ごとに測定するのかの時間間隔は30秒間隔、最大時間は1710秒とした。装置初期設定画面でそれぞれの値を設定すると、S13において、設定された光の波長の光が照射される。あるいは、後述するS17の測定開始ボタンがONとさせたときに光を照射してもよい。
【0026】
S14において、乳化試料作製操作に入る。乳化試料は、分散質(油)、分散媒(水)、乳化剤を撹拌装置(ホモジナイザー、超音波撹拌装置など)で撹拌することで得られる。この操作は、実験者の実験の目的と用途に応じてさまざまな乳化状態の乳化試料を調製することが想定される。
実施例として、分散質(油)として、コーンオイル、分散媒として水、乳化剤として牛血清アルブミン、ピーエイチ(pH)ならびにイオン強度調節剤としてリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムを用いた。水300mLに、リン酸二水素ナトリウム0.086gとリン酸水素二ナトリウム3.513gを溶解させると、ピーエイチ(pH)が8.0、イオン強度が0.1のリン酸緩衝液300mLが調製される。ここに牛血清アルブミン1.5gを溶解させると0.5%牛血清アルブミンリン酸緩衝溶液(pH8.0、イオン強度0.1)が300mL調製される。
コーンオイルを3mLと0.5%牛血清アルブミンリン酸緩衝溶液27mLの割合で溶液を調製すると分散質の割合が0.1の乳化前液ができる。
もともと乳化前液に溶存している空気を脱気する(乳化前液を密封状態にし、アスピレータで20分脱気するとよい)、その理由は、自然界における水溶液は、もともと空気が溶存しており、目に見えない気泡が存在しているのである。したがって、この気泡を除去するためにこの操作をするのである。脱気後、撹拌装置(ホモジナイザー)で5分間撹拌して、白濁の乳化試料が得られる。
【0027】
S15において、乳化試料希釈操作に入る。S14において調製させた乳化試料をある一定の割合で希釈する操作である。この操作は、実験者の目的と用途に応じてさまざまな乳化希釈試料を調製することが想定される。実施例においては、上述の操作で得られた白濁の乳化試料75マイクロリットルを採取し、0.1%ラウリル硫酸ナトリウム溶液(ラウリル硫酸ナトリウム0.15gに水150mLを溶解させたもの)15mLに入れ、手で軽く振って分散させたものを乳化希釈試料とした。
【0028】
S16において、乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作に入る。実験者が乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作をするのである。実施例としては、光路長1cmの石英セルに乳化希釈試料をゆっくりと流しいれ、装置に備えつけた。なお、S14→S15→S16の一連の操作を自動化してもよい。
【0029】
S16において、乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作を完了したら、S17の測定開始ボタンをONにする操作に入る。実施例においては、測定開始ボタンをONにする。
なお実施例にかぎらず、ここで、S12で行う乳化希釈試料容器8に照射される光の波長、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長)、何秒ごとに測定するのかの時間間隔、最大何時間まで測定するのかの最大時間をそれぞれ設定してもよい。
【0030】
S18の測定開始ボタンをONと判断されると、S19において、分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。S20において、分光ステップ7から照射された光の強度と乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度から透過度(透過度=乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度÷分光ステップ7から照射された光の強度)が算出され時間と関連付けられて記憶し、時間ごとの透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する。
なお、前もって時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などを測定しておき、別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込んでもよい。
【0031】
S20において、S19において算出し記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸に、実験グラフを作成する。実施例としては、濁度を縦軸に、時間を横軸にした図3が得られる。
【0032】
S21において解析初期値設定におこなう。解析初期値としては、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を未知数として、解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)を初期値として設定し、それに付け加えて測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の仮の値を初期値として設定する。実施例としては、図4を参照にしながら設定すると、解析開始時間(Tinitial)は、曲線がなだらかに減少し始めている開始時間240秒を設定し、解析終了時間は、測定最終時間である1710秒を設定し、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)は、測定最終時間である1710秒の濁度である0.39を設定し、濁度の変化速度(K)は、反応開始時間と反応開始時間における濁度、そこから3点後である90秒後の時間である330秒とその時の濁度からの傾きを求めて、濁度の変化速度(K)の仮の値として設定した。
S21において初期値が設定され代入された算出濁度(D2)式に、S19において記録された測定時間を代入して、算出濁度(D2)を算出して、その記録された測定時間を横軸に、算出濁度を縦軸として算出濁度設定グラフを求めるものである。これにより、初期値が代入された算出濁度設定グラフを求めることができる。
S23においては、S20で求められた測定化グラフとS22で求められた算出濁度設定グラフの差の2乗が最小になるように、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変化させる。具体的には、まずS20で求められた測定化グラフとS22で求められた算出濁度設定グラフを比較する。そして、S21で設定された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を変化させ、S20で求められた測定化グラフとS22で求められた算出濁度設定グラフの差の2乗が最小になるように、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を求める。これにより、算出濁度(D2)式について、測定化グラフと近似するグラフを求めることができ、なおかつ測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の数を求めることができる。算出された濁度の変化速度(K)の数を記憶手段10に記憶する。
【0033】
S24は、S23で算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出して、それを記憶手段10に記憶する。
【0034】
S25は、S23で算出された濁度の変化速度(K)とS24で算出された濁度変化の半減期を記憶手段10に記憶させ、S21で設定された解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出手段で算出された時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)、そして測定時間(T)を算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}に代入し、測定時間ごとの算出濁度(D2)を算出し記憶手段10に記憶させ、記憶された算出濁度(D2)を縦軸に、測定時間を横軸にした算出濁度設定グラフと測定グラフを重ね書きし、それに付け加えて、算出濁度(D2)式とS21で設定された解析開始時間(Tinitial)と解析開始時間における濁度(Dinitial)とS23で算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)とS24で算出された濁度変化の半減期のそれぞれを図5に表示する。
以上説明したように、本発明の実施形態1によれば、測定された時間ごとの濁度の変化を、時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、測定時間ごとの算出濁度(D2)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}にあわせることによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
【実施形態2】
【0035】
以下、本発明の乳化状態の液体の安定性を評価する方法の第2番目の一実施形態について図面を参照しながら説明をする。図6は、本発明の第2番目の一実施形態における乳化状態の液体の安定性を評価方法に用いられる乳化状態安定性評価装置のブロック図である。
図6に示すように、乳化状態安定性評価装置1は、乳化試料作製ならびに希釈部2、分光部3、コンピュータ部4を有する。
【0036】
乳化試料作製ならびに希釈部2は、乳化試料作製手段5と乳化試料希釈手段6を有する。乳化試料作製手段5は、乳化試料を作製する手段である。分散質(油)と分散媒(水)と乳化剤の混合液をホモジナイザーや超音波撹拌装置などの撹拌装置で乳化試料が作成される。乳化試料希釈手段6は、乳化試料作製手段5で作成されて乳化試料を乳化希釈液で希釈する手段である。少量の乳化試料を乳化希釈液にゆっくりと混ぜて分散させる。
【0037】
分光部3は、分光ステップ7、乳化希釈試料容器8、測光ステップ9を有する。分光ステップ7は光源と回折格子からなり、光を発生し設定された波長の光に分光し、乳化希釈試料容器8に照射するものである。石英もしくはプラスチック製の乳化希釈試料容器8中に分光ステップ7より照射された光が、乳化希釈試料の粒子によって散乱される。乳化希釈試料容器8を乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。測光ステップ8は、普通は光電子増倍管が用いられているが、フォトダイオードアレイ検出器でもよい。
【0038】
分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出され、時間と関連付けて、後述するコンピュータ部4の記憶手段10に記憶される。
コンピュータ部4は、記憶手段10、測定グラフ化手段11、解析グラフ初期値設定手段12、解析グラフ化手段13、濁度の変化速度算出手段14、濁度変化の半減期算出手段15、結果表示手段16を有している。
【0039】
記憶手段10は、上述のとおり分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。分光ステップ7から照射された光の強度と乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度から透過度(透過度=乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度÷分光ステップ7から照射された光の強度)が算出され時間と関連付けられて記憶し、時間ごとの透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する。
なお、前もって時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などを測定しておき、別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込んでもよい。
【0040】
測定グラフ化手段(時間ごとの測定された濁度のグラフ算出手段)11は、記憶手段10で記憶された濁度を縦軸に、記憶手段10で記憶された時間を横軸にした測定グラフをもとめるものである。
【0041】
解析グラフ初期値設定手段12は、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定する。
【0042】
解析グラフ化手段13は、解析グラフ初期値設定手段12で設定された解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)をもとに、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、解析グラフを作成する。
濁度の変化速度算出ステップ14は、解析グラフ化手段13でグラフ化されたグラフに対して、右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲の縦軸のln(D−Dfinal)と横軸の(T−Tinitial)の右下がりの直線関係から、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度(K)をもとめる濁度の変化速度を算出する。
【0043】
濁度変化の半減期算出手段15は、濁度の変化速度算出ステップ14で算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出して、それを記憶手段10に記憶する。
【0044】
濁度の変化速度算出手段14で算出された濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出手段15で算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、濁度の変化速度算出ステップで算出された傾き(−1×A)と切片Bを右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B)に代入して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲における横軸に対する縦軸の値をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、解析グラフに重ね書きをし、それに付け加えて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式と濁度の変化速度算出ステップ14で設定された解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示する。
【0045】
次に、本発明の乳化状態の液体の安定性を評価する方法について、図6と図7を参照しながら説明する。図7は本発明の一実施形態である実施形態2における乳化状態の液体の安定性を評価する方法のフローチャートである。
【0046】
S11において、乳化状態安定性評価装置の電源スイッチ(図示略)がONかが判断される。そして、S11でYESと判断された場合には、S12において装置初期設定画面(図示略)が表示される。ここで、S13で照射される光の波長、乳化希釈試料容器8の厚さ(光路長)、何秒ごとに測定するのかの時間間隔、最大何時間まで測定するのかの最大時間をそれぞれ設定する。それぞれの設定値は乳化試料の状態によってことなり、測定するそれぞれの乳化試料によって調整する必要がある。基本的には、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長)を長くするか、最大時間を長くすることで解決することが多いということは、発明者の経験から得られた知見である。
実施例として、乳化希釈試料容器8に照射される光の波長を500nm、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長さ)は1cm、何秒ごとに測定するのかの時間間隔は30秒間隔、最大時間は1710秒とした。装置初期設定画面でそれぞれの値を設定すると、S13において、設定された光の波長の光が照射される。あるいは、後述するS17の測定開始ボタンがONとさせたときに光を照射してもよい。
【0047】
S14において、乳化試料作製操作に入る。乳化試料は、分散質(油)、分散媒(水)、乳化剤を撹拌装置(ホモジナイザー、超音波撹拌装置など)で撹拌することで得られる。この操作は、実験者の実験の目的と用途に応じてさまざまな乳化状態の乳化試料を調製することが想定される。
実施例として、分散質(油)として、コーンオイル、分散媒として水、乳化剤として牛血清アルブミン、ピーエイチ(pH)ならびにイオン強度調節剤としてリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムを用いた。水300mLに、リン酸二水素ナトリウム0.086gとリン酸水素二ナトリウム3.513gを溶解させると、ピーエイチ(pH)が8.0、イオン強度が0.1のリン酸緩衝液300mLが調製される。ここに牛血清アルブミン1.5gを溶解させると0.5%牛血清アルブミンリン酸緩衝溶液(pH8.0、イオン強度0.1)が300mL調製される。
コーンオイルを3mLと0.5%牛血清アルブミンリン酸緩衝溶液27mLの割合で溶液を調製すると分散質の割合が0.1の乳化前液ができる。
もともと乳化前液に溶存している空気を脱気する(乳化前液を密封状態にし、アスピレータで20分脱気するとよい)、その理由は、自然界における水溶液は、もともと空気が溶存しており、目に見えない気泡が存在しているのである。したがって、この気泡を除去するためにこの操作をするのである。脱気後、撹拌装置(ホモジナイザー)で5分間撹拌して、白濁の乳化試料が得られる。
【0048】
S15において、乳化試料希釈操作に入る。S14において調製させた乳化試料をある一定の割合で希釈する操作である。この操作は、実験者の目的と用途に応じてさまざまな乳化希釈試料を調製することが想定される。実施例においては、上述の操作で得られた白濁の乳化試料75マイクロリットルを採取し、0.1%ラウリル硫酸ナトリウム溶液(ラウリル硫酸ナトリウム0.15gに水150mLを溶解させたもの)15mLに入れ、手で軽く振って分散させたものを乳化希釈試料とした。
【0049】
S16において、乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作に入る。実験者が乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作をするのである。実施例としては、光路長1cmの石英セルに乳化希釈試料をゆっくりと流しいれ、装置に備えつけた。なお、S14→S15→S16の一連の操作を自動化してもよい。
【0050】
S16において、乳化希釈試料を乳化状態安定性評価装置に備え付ける(セットする)操作を完了したら、S17の測定開始ボタンをONにする操作に入る。実施例においては、測定開始ボタンをONにする。
なお実施例にかぎらず、ここで、S12で行う乳化希釈試料容器8に照射される光の波長、乳化希釈試料容器の厚さ(光路長)、何秒ごとに測定するのかの時間間隔、最大何時間まで測定するのかの最大時間をそれぞれ設定してもよい。
【0051】
S18の測定開始ボタンをONと判断されると、S19において、分光ステップ7から照射された光が、乳化希釈試料容器8中を通過し、乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光は時間ごとに測光ステップ9に検出される。S20において、分光ステップ7から照射された光の強度と乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度から透過度(透過度=乳化希釈試料の粒子に散乱されずに通過した光の強度÷分光ステップ7から照射された光の強度)が算出され時間と関連付けられて記憶し、時間ごとの透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する。
なお、前もって時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などを測定しておき、別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込んでもよい。
【0052】
S20において、S19において算出し記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸に、測定グラフを作成する。実施例としては、濁度を縦軸に、時間を横軸にした図3が得られる。
【0053】
S21においては解析初期値設定におこなう。解析初期値としては、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定する。実施例としては、図4を参照にしながら設定すると、解析開始時間(Tinitial)は、曲線がなだらかに減少し始めている開始時間240秒を設定し、解析終了時間は、測定最終時間である1710秒を設定し、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)は、測定最終時間である1710秒の濁度である0.39と設定した。
S22の解析式設定グラフ化においては、S21で設定された解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)をもとに、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、解析設定グラフを作成する。実施例においては、図8が得られる。
S23は、S22の解析式設定グラフ化においてグラフ化されたグラフに対して、右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定する。実施例においては、図8のとおり最初から最後から10点前まで明確な右下がりの傾きをもつ直線関係を示すので最初から最後から10点前までを選択した。
【0054】
S24においては、S23で右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定すると、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度(K)をもとめる濁度の変化速度を算出して、それぞれを記憶手段10に記憶する。
S25においては、S24で算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出して、それを記憶手段10に記憶する。
S26においては、記憶手段10に記憶された傾き(−1×A)と切片Bを右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B)に代入して、結果の右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式とし、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲における横軸に対する縦軸の値をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、解析グラフに直線として重ね書きをし、それに付け加えて、結果の右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式とS23で設定された解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)と濁度の変化速度(K)とS25で算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する。実施例をしては、図9のとおり示す。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施形態2によれば、測定された時間(T)ごとの濁度(D)に対して、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定し、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化すると、右下がりの傾きをもつ直線関係を示し、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、その半減期の大小によって、その乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
本発明の実施形態1によれば、測定された時間ごとの濁度の変化を、時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、測定時間ごとの算出濁度(D2)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}にあわせることによって、濁度の変化速度(K)を求めることができる。しかし、発明者の経験則によれば、測定された濁度の変化がきれいな右下がりの曲線になることのではなく、乱れることもあるので、解析開始時間(Tinitial)から解析終了時間の間における濁度の変化において算出濁度(D2)式の曲線にきちんとのらないことがある。このような場合においては、信頼性のある濁度の変化速度(K)が求められないことがある。しかしながら、本発明の実施形態2によれば、測定された時間(T)ごとの濁度(D)に対して、解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を設定し、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化すると、右下がりの傾きをもつ直線関係を示し、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって濁度の変化速度をもとめる方法では、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化すると、右下がりの傾きをもつ直線関係を示す区間だけの計算で濁度の変化速度をもとめることができるので、実施形態1よりも実施形態2の方が実用的な方法であるといえる。
【0056】
以上、これまで実施形態1と実施形態2を別々の形態の方法として説明してきたが、両方の形態を兼ね備えて、どちらか一方を選択できるようにしておいてもよい。図1の算出濁度初期値設定手段12もしくは図6の解析グラフ初期値設定手段12において、図1の実施形態1のブロック図における算出濁度設定グラフ化手段13→濁度の変化速度算出手段14→濁度変化の半減期算出手段15→記憶手段10→結果表示手段16の流れか、もしくは、図6の実施形態2のブロック図における解析グラフ化手段13→濁度の変化速度算出手段14→濁度変化の半減期算出手段15→記憶手段10→結果表示手段16の流れのいずれかを選択できるようにしてもよい。同様に、図2もしくは図7のS21において、図2の実施形態1のフローチャートにおけるS22→S23→S24→S25の流れか、もしくは、図7の実施形態2のフローチャートにおけるS22→S23→S24→S25→S26の流れのいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明によれば、実施形態1と実施形態2のどちらか一方の形態だけでも、実施形態1と実施形態2の両方の形態を兼ね備えて、どちらか一方を選択できるようにしておいても、測定された時間(T)ごとの濁度(D)の変化を解析することによって、濁度の変化速度をもとめ、その濁度の変化速度から半減期を算出し、半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小から、乳化状態の液体の安定性を評価することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 乳化状態安定性評価装置
2 乳化試料作製ならびに希釈部
3 分光部
4 コンピュータ部
5 乳化試料作製手段
6 乳化試料希釈手段
7 分光ステップ
8 乳化希釈試料容器
9 測光ステップ
10 記憶手段
11 測定グラフ化手段
12 算出濁度初期値設定手段
13 算出濁度設定グラフ化手段
14 濁度の変化速度算出手段
15 濁度変化の半減期算出手段
16 結果表示手段
1 乳化状態安定性評価装置
2 乳化試料作製ならびに希釈部
3 分光部
4 コンピュータ部
5 乳化試料作製手段
6 乳化試料希釈手段
7 分光ステップ
8 乳化希釈試料容器
9 測光ステップ
10 記憶手段
11 測定グラフ化手段
12 解析グラフ初期値設定手段
13 解析グラフ化手段
14 濁度の変化速度算出手段
15 濁度変化の半減期算出手段
16 結果表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化状態の液体の安定性を評価する方法であって、
乳化試料を作成する乳化試料作製手段ステップと、
該乳化試料作製手段ステップで作成された乳化試料をある一定の割合で希釈する乳化試料希釈手段ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料に光を照射する分光ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料を通過した光の透過度を検出する測光ステップと、
該測光ステップで検出された光の透過度と時間を時間ごとに記憶し、さらに、記憶された光の透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する記憶ステップと、
該記憶ステップで記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
測定時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、測定時間ごとの濁度(D)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}で、その算出濁度(D2)式があらかじめ記憶手段に記憶されており、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を未知数として、解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)を初期値として設定し、それに付け加えて測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の仮の値を初期値として設定する算出濁度(D2)式初期値設定ステップと、
該算出濁度初期値設定ステップで設定された初期値が代入された算出濁度(D2)式に、該記憶ステップで記憶された測定時間(T)を代入して、算出濁度(D2)を算出して、測定時間(T)と算出濁度(D2)を用いて、測定時間(T)を横軸に、算出濁度(D2)を縦軸にした算出濁度設定グラフを作成する算出濁度設定グラフ化ステップと、
測定グラフ化ステップで求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化ステップで求められた算出濁度グラフの差の2乗が最小になるように算出濁度(D2)式の測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を変化させて算出する濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、算出濁度初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)、そして測定時間(T)を算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}に代入し、測定時間ごとの算出濁度(D2)を算出し記憶ステップに記憶させ、記憶された算出濁度(D2)を縦軸に、測定時間を横軸にした算出濁度設定グラフと測定グラフを重ね書きし、それに付け加えて、算出濁度(D2)式と算出濁度(D2)式初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、
を有する、
半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、乳化状態の液体の安定性を評価する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法を具現化し実行できる装置。
【請求項3】
乳化状態の液体の安定性を評価するプログラムであって、
別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込む、データ読み込みステップと、
該読み込みステップで読み込んだ濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
測定時間(T)、解析開始時間(Tinitial)、測定時間ごとの濁度(D)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)、濁度の変化速度(K)をそれぞれ変数として表した算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}で、その算出濁度(D2)式があらかじめ記憶手段に記憶されており、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を未知数として、解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)を初期値として設定し、それに付け加えて測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)の仮の値を初期値として設定する算出濁度(D2)式初期値設定ステップと、
該算出濁度(D2)式初期値設定ステップで設定された初期値が代入された算出濁度(D2)式に、該記憶ステップで記憶された測定時間(T)を代入して、算出濁度(D2)を算出して、測定時間(T)と算出濁度(D2)を用いて、測定時間(T)を横軸に、算出濁度(D2)を縦軸にした算出濁度設定グラフを作成する算出濁度設定グラフ化ステップと、
測定グラフ化ステップで求められた測定化グラフと算出濁度設定グラフ化ステップで求められた算出濁度(D2)式グラフの差の2乗が最小になるように算出濁度(D2)式の測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値(Dfinal)と濁度の変化速度(K)を変化させて算出する濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、算出濁度(D2)式初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析終了時間と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)、そして測定時間(T)を算出濁度(D2)式{D2=(Dinitial−Dfinal)×exp[(−1)×K×(T−Tinitial)]+Dfinal、ここで、exp[ ]はexp関数を表し、自然対数の底つまりネイピア数(e)の(−1)×K×(T−Tinitial)乗を意味する。}に代入し、測定時間ごとの算出濁度(D2)を算出し記憶ステップに記憶させ、記憶された算出濁度(D2)を縦軸に、測定時間を横軸にした算出濁度設定グラフと測定グラフを重ね書きし、それに付け加えて、算出濁度(D2)式と算出濁度(D2)式初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)と解析開始時間における濁度(Dinitial)と濁度の変化速度算出ステップで算出された測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、
を有し、
半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、その乳化状態の液体の安定性を評価する方法を具現化し実行できるプログラム。
【請求項4】
乳化状態の液体の安定性を評価する方法であって、
乳化試料を作成する乳化試料作製手段ステップと、
該乳化試料作製手段ステップで作成された乳化試料をある一定の割合で希釈する乳化試料希釈手段ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料に光を照射する分光ステップと、
該乳化試料希釈手段ステップで希釈された乳化希釈試料を通過した光の透過度を検出する測光ステップと、
該測光ステップで検出された光の透過度と時間を時間ごとに記憶し、さらに、記憶された光の透過度から時間ごとの吸光度[吸光度=−1×log(透過度)、ここで、logは常用対数をあらわし、透過度の常用対数に−1をかけたものが吸光度である]を算出し、さらに該吸光度から濁度(濁度=2.303×吸光度÷液相の長さ)に算出して、透過度と吸光度と濁度と時間のそれぞれを時間ごとに記憶する記憶ステップと、
該記憶ステップで記憶された濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を初期値として設定する解析グラフ初期値設定ステップと、
該解析グラフ初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)をもとに、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化する解析グラフ化ステップと、
該解析グラフ化ステップでグラフ化されたグラフに対して、右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲の縦軸のln(D−Dfinal)と横軸の(T−Tinitial)の右下がりの直線関係から、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度(K)をもとめる濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、該濁度の変化速度算出ステップで算出された傾き(−1×A)と切片Bを右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B)に代入して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲における横軸に対する縦軸の値をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、解析グラフに重ね書きをし、それに付け加えて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式と濁度の変化速度算出ステップで設定された解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)と測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、
を有し、
半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、その乳化状態の液体の安定性を評価する方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法を具現化し実行できる装置。
【請求項6】
乳化状態の液体の安定性を評価するプログラムであって、
別の記憶媒体(CD、CD-ROM、USBメモリなど)に時間とその時間における吸光度、さらには時間とその時間における濁度などのデータが保存されており、別の記憶媒体に保存された時間とその時間における吸光度を読み込み、時間とその時間における濁度に換算する、もしくは時間とその時間における濁度のデータを読み込む、データ読み込みステップと、
該読み込みステップで読み込んだ濁度を縦軸に、時間を横軸にしたグラフを作成する測定グラフ化ステップと、
解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)を初期値として設定する解析グラフ初期値設定ステップと、
該解析グラフ初期値設定ステップで設定された解析開始時間(Tinitial)、解析開始時間における濁度(Dinitial)、測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)をもとに、測定された時間(T)から解析開始時間(Tinitial)の差(T−Tinitial)を、濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)をそれぞれ算出し、さらにその濁度(D)から測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)の差(D−Dfinal)の自然対数つまりln(D−Dfinal)をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、縦軸にln(D−Dfinal)を、横軸に(T−Tinitial)として、グラフ化する解析グラフ化ステップと、
該解析グラフ化ステップでグラフ化されたグラフに対して、右下がりの傾きをもつ直線関係になっている範囲つまり解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)を設定して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲の縦軸のln(D−Dfinal)と横軸の(T−Tinitial)の右下がりの直線関係から、線形の最小二乗法もちいて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B、ここで−1×Aは傾きでBは切片を表す)の傾き(−1×A)と切片Bをもとめ、傾き(−1×A)に−1をかけることによって、濁度の変化速度(K)をもとめる濁度の変化速度算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)から濁度変化の半減期(半減期=0.693÷濁度の変化速度)を算出する濁度変化の半減期算出ステップと、
該濁度の変化速度算出ステップで算出された濁度の変化速度(K)と該濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期を記憶ステップに記憶させ、該濁度の変化速度算出ステップで算出された傾き(−1×A)と切片Bを右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式(縦軸の値=−1×A×横軸の値+B)に代入して、その解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)の間の範囲における横軸に対する縦軸の値をそれぞれ算出し記憶ステップに記憶させ、解析グラフに重ね書きをし、それに付け加えて、右下がりの直線関係の式つまり一次関数の式と濁度の変化速度算出ステップで設定された解析計算開始時間(TAinitial)と解析計算終了時間(TAfinal)と測定時間の最大の範囲における濁度が最小の値を(Dfinal)と濁度の変化速度(K)と濁度変化の半減期算出ステップで算出された濁度変化の半減期のそれぞれを表示する結果表示ステップと、
を有し、
半減期が小さければ乳化状態の液体の安定性が低く、半減期が大きければ乳化状態の液体の安定性が高いことを示す半減期の大小によって、その乳化状態の液体の安定性を評価する方法を具現化し実行するプログラム。
【請求項6】
請求項1記載の方法と請求項4記載の方法の両方を兼ね備え、実験者あるいは使用者の選択により請求項1記載の方法と請求項4記載の方法のどちらか一方の方法を選択し実行することによって乳化状態の液体の安定性を評価する方法
【請求項7】
請求項6記載の方法を具現化し実行できる装置
【請求項8】
請求項3記載のプログラムと請求項6記載のプログラムの両方のプログラムを兼ね備え、実験者あるいは使用者の選択により請求項3記載のプログラムと請求項6記載のプログラムのどちらか一方のプログラムを選択し実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68481(P2013−68481A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206376(P2011−206376)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【特許番号】特許第4986196号(P4986196)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(509006277)
【Fターム(参考)】