説明

乾燥デバイス

乾燥デバイスは、燃料タンクから湿気または水を除去する。好適には、燃料乾燥デバイスは、空気または燃料を流体的に連通させる2つのパイプ間に介在される。乾燥デバイスは、吸湿性となることなく、ファン・デル・ワールス力等の分子間力を介して、水分子を誘引する物質から形成される多数のビードを含む。乾燥デバイスは、好適には、実質的に均一な細孔結晶性構造を伴う遷移金属アルミノケイ酸塩である分子篩から形成される多数のビードを使用することによって、直接燃料を濾過するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、仮出願第61/241,957号(2009年9月13日出願)および米国出願第12/841431号(2010年7月22日出願)の利益を主張する。これらの出願は、参照により本明細書に引用される。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクは、可燃性液体のための容器であるが、通常、燃料が貯蔵され、エンジンに連通される、エンジンシステムの部品である、燃料のための任意の貯蔵タンクを指す。ボートまたはバイク等の車両が暴風雨に曝露されると、最終的には、水が、燃料タンク内に進入する。水は、燃料タンクを錆びさせる可能性があり、経時的に、錆は、エンジン部品に損傷を及ぼす場合がある。さらに、燃料経路、燃料フィルタ、ポンプ等内のいかなる錆も、継続的損傷を及ぼし、エンジン部品を交換することになる可能性がある。冷環境で動作する車両の場合、タンク内の燃料の温度は、低下する。燃料内に溶解した水は、凍結し、氷塊は、燃料経路を遮断し、他の損傷を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の開示は、発明を実施するための形態でさらに後述される、簡略形態において一連の概念を紹介するために提供される。本発明の開示は、主張される主題の重要となる特徴を識別することを意図するものではなく、主張される主題の範囲を判定する補助として使用されることを意図するものでもない。
【0004】
本主題の一側面は、乾燥デバイスを指す、デバイスの形態を含む。乾燥デバイスは、シースルー材料から成る、円筒形本体を備える。乾燥デバイスはさらに、円筒形本体内に配置される、乾燥ビードを備える。乾燥デバイスはまた、その末端において、円筒形本体を封入する、キャップを備える。各キャップは、円筒形本体へまたはそこから流体を連通させる、孔として終端する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の前述の側面および付帯利点の多くは、付随の図面と関連して検討される際、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より理解が深まるのに伴って、より容易に認識されることになるであろう。
【図1A】図1Aは、海洋環境における原型的乾燥デバイスを例証する、透視図である。
【図1B】図1Bは、自動車環境における原型的乾燥デバイスを例証する、透視図である。
【図2】図2は、原型的乾燥デバイスの組立後の等角図である。
【図3】図3は、原型的乾燥デバイスの分解等角図である。
【図4】図4は、原型的乾燥デバイスの断面を例証する、正面図である。
【図5】図5は、原型的乾燥デバイスの組立後の等角図である。
【図6】図6は、海洋環境における原型的乾燥デバイスを例証する、透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
海洋環境または自動車環境における種々の環境における燃料タンク、燃料経路、およびエンジンへの損傷を防止するために、本主題の種々の実施形態は、燃料タンクに流入する空気から湿気を削減または排除する。他の実施形態は、燃料タンクから水を削減または除去する。種々の実施形態では、原型的乾燥デバイスは、燃料タンク内の圧力の解放のために、空気の連通のための開口部を提供する通気管路間に介在される。乾燥デバイスは、水を削減し、それによって、エンジン性能に影響を及ぼす場合がある、錆、氷の形成、または細菌の繁殖を阻害する。
【0007】
図1Aは、ボート100の船尾を例証する、透視図である。本例証は、海洋環境における乾燥デバイスの使用を提案する。ボートの船尾に取着されるのは、ボート100の船尾に搭載するために、一体的に取着されたプロペラを伴う小型内燃エンジンである船外モータである。当業者によって理解されるように、主題の種々の実施形態は、図1Aに例証されるように、船外モータに加え、エンジン一式と併用され得る。典型的には、燃料を保持または貯蔵するための大型容器である、燃料タンク102は、船外モータに近接して配置される。燃料タンク102内の圧力を均衡化するように、管104a、104bは、燃料タンク102を換気口(図示せず)に連結する。2つの管104a、104b間に介在されるのは、その機械的部品500bと嵌合し、締結する締結具500aを介してボートの船尾に搭載される乾燥デバイス106aである。
【0008】
図1Bは、バイク108を例証する。本例証は、自動車環境における乾燥デバイスの使用を提案する。燃料タンク112は、燃焼によって、電力を産生するために使用される、揮発性材料である、燃料を含む。燃料タンク112は、燃料を受け取り、それを機械的力および結果として生じる運動に変換するための機械である、エンジンブロックの直上に配置される。当業者によって理解されるように、主題の種々の実施形態は、図1Bに例証されるエンジンに加え、エンジン一式と併用され得る。燃料タンク112内の圧力を均衡化するために、管110a、110bは、燃料タンク112を換気口(図示せず)に連結する。乾燥デバイス106bは、管110a、110b間に介在され、燃料タンク112から湿気を除去する。機械的部品502bと嵌合し、締結する締結具502aは、乾燥デバイス106bを把持する。
【0009】
図2は、乾燥デバイス106a等の原型的乾燥デバイスを詳細に例証する。乾燥デバイス106aは、好適には、乾燥ビード202を含む好適な形状を有する、本体200を含む。任意の好適な乾燥ビード202が使用され得る。好適な種類の乾燥ビード202の1つとして、実質的に乾燥の時は、青みがかった色に変色し、実質的に水を吸収すると、ピンクがかった色に変色する、指示シリカゲルが挙げられる。ピンクがかったシリカゲルは、再使用のために炉乾燥することができる。本体200の好適な形状の1つとして、円筒形本体が挙げられるが、他の好適な形状が使用され得る。好適には、本体200は、透明アクリル等のシースルー材料から形成される。キャップ204a、204bは、本体200の末端を封入するための継手である。好適には、キャップ204a、204bは、ゴム等の好適な弾性材料から形成される。キャップ204a、204bを本体200の末端に固着するために、スネア206a、206bは、好適には、キャップ204a、204bの周縁の周囲に輪縄を作り、キャップ204a、204bを本体200の末端に締結する、キャッチとして終端する、穿孔平坦ワイヤループを備える。
【0010】
各キャップ204a、204bの端部には、緊締を保証するために使用される平坦な薄型リングである、ワッシャ208a、208b(図示せず)が配置される。ワッシャ208a、208bの直上または直下には、3つの部分を備える、吐水口構造210a、210bがある。遠位部分は、その外部壁が、環状棘状突起を形成するように、壁および遠位端の末端から離れるように斜めに傾斜する、一連の突起を備える、円筒形である。第2の部分は、好適には、ワッシャ208a、208b(図示せず)に隣接して配置される、六角ナット状に成形される。構造210a、210bの近位端の外壁は、突出する螺旋形のリブを配置し、それによって、別の機械的部品が、吐水口構造210a、210bをキャップ204a、204bに留めるように螺着することができる。
【0011】
図3は、分解詳細における乾燥デバイス106aの部分を例証する。頂部は、好適には、キャップ204aの周縁の周囲に輪縄を作り、キャップ204aを本体200の上方末端に締結する、キャッチとして終端する、穿孔平坦ワイヤループを備える、スネア206aである。好適には、スネア206a、206bは、鋼鉄等の強固かつ可撓性の材料から形成される。キャップ204a、204bは、好適には、任意の厚さであることができる。好適な厚さの1つとして、1/4インチが挙げられる。次は、それによって、ナット214aが、吐水口構造210aをキャップ204aに留まるように螺着することができる、突出する螺旋形のリブ(近位部分)として終端する、ワッシャ208aに隣接して配置される、六角ナット上(第2の部分)に着座する、遠位部分(円筒形その外部壁が、環状棘状突起を形成するように、壁および遠位端の末端から離れて斜めに傾斜する、一連の突起を備える)を特徴とする、吐水口構造210aである。スクリーン212aは、吐水口構造210の近位部分下のその内壁中に配置される。スクリーン212aは、本体200内に乾燥ビード202aを閉じ込めるように構成される。乾燥ビード202aの量は、燃料タンクの容積容量に応じて、可変であり得る。次は、キャップ204aの中心における孔を覆って、軸方向に位置付けられる、ワッシャ208aである。孔は、乾燥デバイス106aへおよびそこから、流体、液体、またはガスを連通させる。簡潔にするために、図示されないが、本体200の底面末端は、スネア206b、キャップ204b、吐水口構造210b、ワッシャ208b、スクリーン212b等、対応する部品に連結される。
【0012】
図4は、組立後の乾燥デバイス106aの断面である。本図は、部品の完全嵌着を例証する。本体200は、乾燥ビード202で充填される。本体200は、好適には、任意の厚さであることができる。好適な厚さの1つとして、1/4インチが挙げられる。上方および下方末端の両方を封入するのは、キャップ204a、204bである。キャップ204a、204bを上方および下方末端に固着するのは、スネア206a、206bである。キャップ204a、204bの中心における孔と嵌合するのは、吐水口構造210a、210bの近位部分である。スクリーン212a、212bの凸面表面は、吐水口構造210a、210bの近位部分中に配置される。ナット214a、214bは、吐水口構造210a、210bの近位部分の突出する螺旋形のリブとともに螺着され、吐水口構造210a、210bをキャップ204a、204bに固着するように螺着することができる、相補的突出する螺旋形のリブを有する。ワッシャ208a、208bは、吐水口構造210a、210bの第2の部分とキャップ204a、204bとの間に介在される。
【0013】
図5は、2つの部分として構成される、締結具500aを例証する。第1の部分は、その端部がフックとして終端する、C形クランプである。第2の部分は、壁に螺着することができる、ハンドルである。機械的部品500bは、その遠位および近位端が、それを通して、締結具500aのC形クランプのフックが、乾燥デバイス106aを固着するように係合し得る長方形開口部を有する、湾曲バーである。当業者によって理解されるように、本明細書に例証されるもの以外の乾燥デバイス106aを固着するための他の好適な締結具機構が使用され得る。
【0014】
本主題の種々の実施形態は、吸着原理に基づいて動作しており、水分子が乾燥ビード202の表面に結合するため、乾燥デバイス106aの定置によって、燃料タンク中に水が逆滴下される可能性は低い。さらに、分子結合を前提とすると、水分子は、締結具500aあるいはボートまたはバイクの他の部品に損傷をもたらすほど凍結もしくは膨張する可能性も低い。
【0015】
図6は、2つの燃料タンク600a、600bを例証する。2つの燃料タンク600a、600b間に介在されるのは、管602a、602bを介して、2つの燃料タンク600a、600bと流体連通する、乾燥デバイス106cの別の実施形態である。乾燥デバイス106cは、締結具504aおよびその嵌合機械的部品504bを介して、固着される。水が、蒸気状態から、燃料タンク600a等の燃料タンク内の燃料と混合するより濃縮された液体状態に変換される場合、燃料タンク600aからの燃料は、燃料タンク600bに連通され、乾燥デバイス106cによって、燃料から濃縮された水を除去させることができる。それらの実施形態では、好適に、乾燥ビードは分子篩である。
【0016】
分子篩は、好適には、実質的に均一な細孔結晶性構造を伴う、遷移金属アルミノケイ酸塩から成る群から選択される。好適には、分子篩は、サイズ排除原理に基づいて動作する。細孔に嵌入するより小さいサイズの分子は、吸着される一方、より大きい分子は、通過させられる。分子篩は、好適には、3、4、5、または10オングストロームから成る群から選択される、実質的細孔開口部を有する。高度に偏極された分子は、より容易に細孔中に吸着される可能性が高い一方、偏極されていない分子は、それほど容易に吸着されないため、分子の極性は、吸着に影響する。
【0017】
例証的実施形態が、例証および説明されたが、種々の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において行うことができることを理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥デバイスであって、
シースルー材料から成る円筒形本体と、
該円筒形本体内に配置された乾燥ビードと、
該円筒形本体をその末端において封入するキャップであって、各キャップは、該円筒形本体へまたはそこから流体が連通されることを可能にする孔として終端する、キャップと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記キャップの孔は、軸上に位置する、請求項1に記載の乾燥デバイス。
【請求項3】
3部分の吐水口構造をさらに備え、該部分のうちの1つは、その外部壁が突出する螺旋形のリブを有する近位端であり、それによって、別の機械的部品が、該吐水口構造を前記キャップに留めるように螺着されることが可能である、請求項1に記載の乾燥デバイス。
【請求項4】
前記吐水口構造は、円筒として構成される遠位部分である別の部分を含み、該円筒の外部壁は、環状棘状突起を形成するように、該壁および遠位端の末端から離れて斜めに傾斜する一連の突起を備える、請求項3に記載の乾燥デバイス。
【請求項5】
前記吐水口構造は、六角ナット状に成形された第3の部分を含む、請求項4に記載の乾燥デバイス。
【請求項6】
ワッシャをさらに備え、該ワッシャを通して前記吐水口構造の近位端が挿入され、その結果、該ワッシャが、前記第3の部分に当接する、請求項5に記載の乾燥デバイス。
【請求項7】
前記吐水口構造の近位端は、前記孔を通して挿入するように構成され、該吐水口構造の近位端は、ナットによって前記キャップに留められ、該ナットの相補的突出螺旋形リブは、該吐水口構造の近位端の突出螺旋形リブと螺着されることが可能である、請求項6に記載の乾燥デバイス。
【請求項8】
前記吐水口構造の近位端の内壁中に挿入されるように構成されたスクリーンをさらに備える、請求項3に記載の乾燥デバイス。
【請求項9】
前記キャップを前記円筒形本体に固着するためのスネアをさらに備える、請求項1に記載の乾燥デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−504417(P2013−504417A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528843(P2012−528843)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047715
【国際公開番号】WO2011/031626
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512103479)ピンデル エンジニアリング インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】