説明

予作動式消火設備

【課題】二次側の圧力低下を検出する圧力監視スイッチの接続線に断線が生じた場合においても消火活動が可能な予作動式消火設備を提供すること。
【解決手段】予作動式流水検知装置6’の二次側に閉鎖型スプリンクラーヘッド3を設けた予作動式消火設備において、火災感知器20の接続線L1の断線を検出し第1の断線検出信号S2を発生する第1の断線検出回路23bと、二次側減圧監視スイッチPS3の接続線L2の断線を検出し第2の断線検出信号S4を発生する第2の断線検出回路25bを設け、上記第1の断線検出信号S2を検出している状態において減圧検出信号S3を検出したとき、又は、上記第2の断線検出信号S4を検出している状態において火災感知信号S1を検出したとき、上記予作動式流水検知装置6’の主弁を開放し、消火水貯水槽27からの消火水を上記主弁を介して上記スプリンクラーヘッド3に供給し得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばオフィスビル、集合住宅、ホテル等のスプリンクラー設備に用いて好適な予作動式消火設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビル等のスプリンクラー設備において、予作動式流水検知装置(2ステップバルブ)による消火設備が各種提案されている。この種の消火設備は、熱又は煙による火災感知器の作動と、熱によるスプリンクラーヘッドの開放(発砲)の2つの作動状態を検知することにより、主たるバルブ(主弁)を開放して予作動式流水検知装置の一次側から二次側のスプリンクラーヘッドに消火水を加圧送水して消火動作を行う装置である。
【0003】
かかる装置では、複数の火災感知器を接続線により接続すると共に、接続線を通して制御盤に電気的に接続し、何れかの火災感知器において熱又は煙を感知したとき、当該感知器から発する感知信号を上記接続線を通して上記制御盤にて検知し、かつこれに基づいて予作動式流水検知装置の主弁を開放して一次側の消火水を二次側配管に供給し、その後は消火ポンプの駆動等により消火水槽の消火水を上記スプリンクラーヘッドに引き続いて加圧送水する、という動作が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−105927
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記消火設備において、上記複数の火災感知器を接続する接続線に断線が生じ、当該火災感知器での感知信号が上記制御盤にて検出不能となった場合、上記予作動式流水検知装置の主弁が開放されないため、消火動作が行われないという問題がある。
【0006】
このため、上記火災感知器の接続線に断線が生じたことを断線検出回路にて検出し、かかる断線検出状態において、スプリンクラーヘッドが火災により開放して二次側の圧力が低下したときは圧力検出スイッチ等によりこれを検出して予作動式流水検知装置の主弁を開放するように構成し、火災感知器の接続線に断線が生じたときにも、上記スプリンクラーヘッドによる消火動作を行わせるように構成した予作動式の消火設備が提案されている(特許文献1)。
【0007】
しかしながら、上記従来の消火設備は、火災感知器の断線検出という非常事態において、火災感知器の断線検出と圧力検出スイッチの圧力低下検出の両方の条件が満たされたとき、予作動式流水検知装置の主弁を開放する、というものであるから、上記圧力検出スイッチを構成する接続線に断線が生じ、上記スプリンクラーヘッドの開放に伴う上記二次側圧力の低下を検出できない事態となった場合は、予作動式流水検知装置の開放が行われず、消火活動が行われないという事態が予測される。
【0008】
よって、予作動式消火設備としては、従来の火災感知器の接続線の断線の場合だけではなく、その他の不測事態においても、確実に消火活動が行われるような設備の実現が望まれている。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、火災感知器の接続線の断線だけではなく、二次側の圧力低下を検出する圧力監視スイッチの接続線に断線が生じた場合においても、確実に消火活動が行われるように構成した予作動式消火設備を提供することを目的とする。
【0010】
また、火災感知器の接続線と圧力監視スイッチの接続線の両方に断線が発生した場合においては、火災未発生時においては消火水による水損害の発生を抑止しつつ、火災が発生した場合は、確実に消火活動を行うことができる予作動式消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、上記火災感知器の接続線の断線を検出し第1の断線検出信号を発生する第1の断線検出回路と、上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し第2の断線検出信号を発生する第2の断線検出回路を設け、上記第1の断線検出信号を検出している状態において、上記減圧検出信号を検出したとき、又は、上記第2の断線検出信号を検出している状態において、上記火災感知信号を検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備により構成される。
【0012】
上記一次側の配管は一次側配管(2)等により構成される。上記二次側の配管は二次側配管(5)、スプリンクラー配管(4)等により構成される。上記二次側減圧監視スイッチは例えば二次側充水用圧力監視スイッチ(PS3)により構成することができる。上記予作動式流水検知装置は、例えば主弁(10)を有する弁本体(6)、バイパス配管(11a,12)、検出用配管(13)、制御用配管(15)、主弁開放用電動弁(14)等により構成することができる。上記第1の断線検出信号は断線検出信号(S2)により構成することができる。上記第1の断線検出回路は断線検出回路(23b)により構成することができる。上記第2の断線検出信号は断線検出信号(S4)により構成することができる。上記第2の断線検出回路は断線検出回路(25b)により構成することができる。上記主弁開放手段は例えばOR回路(24a,24b)、AND回路(24c)により構成することができる。上記主弁開放信号は駆動信号(S7)により構成することができる。このように構成すると、主弁開放手段は、火災感知器の接続線の断線時だけではなく、二次側減圧監視スイッチの接続線が断線した状態において、火災感知信号を検出したとき、予作動式流水検知装置の主弁を開放するものであるため、かかる主弁開放状態において火災の熱により閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したとき、該ヘッドからの消火水の放出に基づく例えば一次側の配管の圧力低下に基づいて消火ポンプ等を駆動して消火水を配管に加圧送水することにより、迅速に消火活動を行うことができる。このように火災感知器の接続線の断線時だけでなく、二次側減圧監視スイッチの接続線の断線時においても、支障なく消火活動を行うことができる。
【0013】
第2に、上記主弁開放手段は、上記第1の断線検出信号と上記第2の断線検出信号を共に検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための上記主弁開放信号を発生するものであることを特徴とする上記第1記載の予作動式消火設備により構成される。
【0014】
このように構成すると、火災感知器の接続線が断線し、同時期に二次側減圧監視スイッチの接続線が断線する非常事態において、主弁開放手段はこれらを検出して予作動式流水検知装置の主弁を開放するものであるから、かかる事態において、火災が発生し閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したときは、該ヘッドからの消火水の放出に基づく例えば一次側の配管の圧力低下に基づいて消火ポンプ等を駆動して消火水を配管に加圧送水することにより、迅速に消火活動を行うことができる。このように火災感知器の接続線と二次側減圧監視スイッチの接続線の両方が断線するという非常事態においても、火災が発生した場合は支障なく消火活動を行うことができる。尚、仮に火災が発生していない状態においては、スプリンクラーヘッドは閉鎖した状態を維持するので、予作動式流水検知装置の主弁が開放されても水損害は発生することはない。
【0015】
第3に、一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、上記火災感知器の接続線の断線を検出し第1の断線検出信号を発生する第1の断線検出回路と、上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し第2の断線検出信号を発生する第2の断線検出回路を設け、上記第1の断線検出信号と上記第2の断線検出信号を共に検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備により構成される。
【0016】
このように構成すると、上記第2の発明と同様に、火災感知器の接続線と二次側減圧監視スイッチの接続線の両方が同時期に断線するという非常事態において、主弁開放手段はこれら検出して予作動式流水検知装置の主弁を開放するものであるから、かかる事態において、火災が発生し閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したときは、該ヘッドからの消火水の放出に基づいて例えば一次側の消火ポンプ等を駆動して消火水を配管に加圧送水することにより、迅速に消火活動を行うことができる。このように上記非常事態においても、火災が発生した場合は支障なく消火活動を行うことができる。
【0017】
第4に、一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し断線検出信号(S4)を発生する断線検出回路(25b)を設け、上記断線検出信号(S4)を検出している状態において、上記火災感知信号を検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備により構成される。
【0018】
このように構成すると、主弁開放手段は、二次側減圧監視スイッチの接続線が断線した状態において、火災感知信号を検出したとき、予作動式流水検知装置の主弁を開放するものであるため、かかる主弁開放状態において火災の熱により閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したとき、同様に、迅速に消火活動を行うことができる。
【0019】
第5に、上記予作動式流水検知装置の上記主弁が開放した状態において、上記閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放に基づく一次側の配管の圧力低下に基づいて、消火ポンプを駆動して上記一次側の配管に消火水を加圧送水する消火ポンプ駆動手段を設けたものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の予作動式消火設備により構成される。
【0020】
上記消火ポンプ駆動手段は一次側の配管の圧力タンク(T)及び該圧力タンク(T)に接続され、一次側の配管の圧力低下を検出したときに一次側の配管に消火水貯水槽(27)等からの消火水を加圧送水する消火ポンプ(P)を駆動する一次側減圧監視スイッチ(PS4)等により構成することができる。このように構成すると、予作動式流水検知装置の主弁開放状態において、火災により閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したとき、消火水が一次側の配管及び二次側の配管を介して上記ヘッドより放出されるため、迅速に消火活動を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したので、火災感知器の接続線の断線時だけではなく、二次側減圧監視スイッチの接続線が断線した場合においても、火災感知信号を検出したときに消火活動を可能とするものであるので、安全性の非常に高い予作動式消火設備を実現したものである。
【0022】
また、火災感知器の接続線が断線し、同時期に二次側減圧監視スイッチの接続線が断線したとしても、主弁開放手段はこれら検出して予作動式流水検知装置の主弁を開放するものであるから、かかる非常事態においても火災が発生した場合は消火活動を可能とし、極めて安全性の高い予作動式消火設備を実現したものである。
【0023】
また、二次側減圧監視スイッチの接続線が断線した場合において、火災感知信号を検出したときに消火活動を可能とするものであるので、安全性の非常に高い予作動式消火設備を実現したものである。
【0024】
また、予作動式流水検知装置の主弁開放状態において、閉鎖型スプリンクラーヘッドが閉鎖状態を維持している限りは消火水の放水は行われないので、水損害の発生をも抑制することができる。
【0025】
また、予作動式流水検知装置の主弁開放状態において、火災により閉鎖型スプリンクラーヘッドが開放したときは、消火ポンプ駆動手段の消火ポンプの駆動動作に基づいて迅速に消火活動を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る予作動式消火設備の予作動式流水検知装置を中心とした配管構成図である。
【図2】同上消火設備の電気的構成を含めた全体構成図である。
【図3】同上消火設備の電気的構成を含めた全体構成図である。
【図4】(イ)(ロ)共に、断線検出回路の具体的構成図である。
【図5】同上消火設備における主弁開放手段を含む制御手段の機能的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先ず、本発明に係る予作動式消火設備について図1により説明する。
【0028】
この予作動式消火設備1は、消火水貯水槽27及び消火ポンプ(消火水加圧送水用消火ポンプ)P(図2、図3参照)に接続された一次側配管2、閉鎖型スプリンクラーヘッド3につながるスプリンクラー配管4に接続された二次側配管5、上記一次側配管2と上記二次側配管5との間に介挿された弁本体6を具備する湿式の予作動式流水検知装置6’により構成されている。上記予作動式流水検知装置6’の上記弁本体6は、上記一次側弁室6bと上記二次側弁室6cとの間に、開口部6aを介して設けられた制御室7を有している。この弁本体6は、上記制御室7の筺体7aにロッド8が固定されており、このロッド8に装着されたスプリング9により上記開口部6a方向に付勢され、該開口部6aに当接して該開口部6aを常時閉鎖状態とする主弁10を有している。
【0029】
10aは上記主弁10を上記ロッド8に沿って摺動自在に支持する環状のダイヤフラムである。この予作動式消火設備1は、火災警戒状態では、一次側配管2、一次側弁室6b、二次側配管5、二次側弁室6c及び制御室7内は消火水(図1の弁本体6中ハッチングにて示している)で満たされており、従って上記閉鎖型スプリンクラーヘッド3の末端まで上記スプリンクラー配管4を通じて消火水が満たされたいわゆる湿式の消火設備を構成している。
【0030】
PS1は上記主弁10の開放に基づく上記開口部6a近傍の流水を検知すると、配管10bを介してこれを検出し、後述の予作動制御部24(図2、図3参照)に対して表示用等に使用するアラーム信号を送出するアラームスイッチ、PS2は上記二次側弁室6cに接続され、閉鎖型スプリンクラーヘッド3が開放(発砲)して放水することによる二次側弁室6c等の二次側の圧力低下を検出したとき、上記予作動制御部24に表示用等の信号を送出する二次側減警報用圧力監視スイッチ、PS3は同じく二次側弁室6cに接続され、スプリンクラーヘッド3が開放(発砲)して放水することによる二次側弁室6c等の二次側の圧力低下を検出したとき、予作動制御部24に検出信号(検出電流I2)を送出する二次側充水用圧力監視スイッチ(二次側減圧監視スイッチ)、PS4は(図2)閉鎖型スプリンクラーヘッド3の開放(発砲)による一次側配管2の減圧を該配管2に接続された圧力タンクTを介して検出するための一次側圧力監視スイッチであり、該圧力監視スイッチPS4は一次側配管2の減圧を検出したときは、消火ポンプPを駆動して消火水貯水槽27内の消火水を一次側配管2に加圧送水するものである。
【0031】
上記弁本体6の一次側弁室6bと二次側弁室6cはバイパス管11aで接続されおり、かつ該バイパス管11aには二次側充水用手動弁11が設けられており、さらに当該二次側充水用手動弁11と並列にバイパス管12が上記一次側弁室6bと二次側弁室6c間に接続されている。上記バイパス管12には、二次側充水用電動弁17が設けられており、上記バイパス管11a,12は検出用配管13を介して、主弁開放用電動弁14に接続され、かつ検出用配管13は管路途中の分岐点aから制御用配管15を介して上記制御室7に接続されている。上記主弁開放用電動弁14は排水管16に接続されている。18は上記弁本体6の二次側弁室6cに接続された排水弁であり、排水管19に接続されている。
【0032】
また、図1において、28aは検出用配管13に設けられたオリフィス、28bは同じく配管13に設けられた逆止弁、29は上記制御用配管15の調整弁、30,31は各々圧力監視スイッチPS2,PS2用の調整弁、32はオリフィス、33は信号停止弁、34は手動起動弁、M1は主弁開放用電動弁14の駆動モータ、M2は二次側充水用電動弁17の駆動モータ、35はストレーナーである。本実施形態においては、図1において、上記弁本体6を中心として、バイパス配管11a,12、検出用配管13、制御用配管15、主弁開放用電動弁14等により予作動式流水検知装置を構成しているが、予作動式流水検知装置はかかる構成に限定されず、火災感知器、減圧監視スイッチ等による火災の検出に基づいて弁体を開放して弁体の一次側から消火水をスプリンクラーヘッドに送水可能な状態とする装置を含む。
【0033】
火災警戒状態では、上記消火ポンプPを駆動して消火水貯水槽27から一次側配管2に消火水を加圧送水し、上記一次側配管2及び弁本体6の一次側弁室6bに消火水を充填し、さらに上記二次側充水用手動弁11及び二次側充水用電動弁17を開放してバイパス管11a,12を介して弁本体6の二次側及び検出用配管13にも消火水を充填する。よって、上記検出用配管13及び制御用配管15を介して上記制御室7及び主弁開放用電動弁14まで消火水が充填され、かつ、上記二次側弁室6c及び二次側配管5及びスプリクラー配管4を介して閉鎖型スプリンクラーヘッド3の末端まで消火水が充填される。その後、上記充水弁11,17を閉鎖して火災警戒状態に設定することができる。このとき、主弁10は上記スプリング9の付勢力により上記開口部6aを閉鎖した状態(主弁閉鎖状態)となっている。また上記二次側減警報用圧力監視スイッチPS2、二次側充水用圧力監視スイッチPS3の配管にも消火水が満たされた状態となっている。
【0034】
また上記主弁開放用電動弁14の駆動モータM1、上記二次側充水用電動弁17の駆動モータM2は上記予作動制御部24に接続されており、上記駆動モータM1,M2は、上記制御部24からの駆動信号により各々駆動制御されるように構成されている。尚、図1において火災警戒状態において、消火水で満たされている配管部分を黒塗で示している。
【0035】
図2は自動火災報知部(自火報盤)23及び予作動制御部(予作動制御盤)24を含む上記予作動式消火設備1の全体構成図、図3は図2の消火設備の電気的構成をより詳細に示した全体構成図である。これらの図において、上記スプリンクラー配管4には複数の閉鎖型スプリンクラーヘッド3が接続されている。これらのスプリンクラーヘッド3は各階の天井に適宜間隔をおいて設置される。尚、上記閉鎖型スプリンクラーヘッド3は例えば熱により発砲するグラスバルブを有するものであり、閉鎖状態から火災の熱によりグラスバルブが所定の温度に達すると該グラスバルブの破裂によりバルブが開放してスプリンクラー配管4内の消火水を放水するものである。
【0036】
また、上記スプリンクラーヘッド3の設置位置に近接して、上記天井等の複数個所に、火災の熱又は火災による煙を感知して感知信号を発する熱・煙感知器(以下、「火災感知器」という)20が複数個設置されている。これらの火災感知器20は、図3に示すように、自動火災報知部23内の感知器オン信号検出回路23aに接続線L1を介して互いに並列に接続されており、これら火災感知器20によって構成される回路を接続回路C1という。尚、上記火災感知器20は、その設置位置を区別して説明するときは、図3に示すように、同図左から20A,20B,20C,・・という符号をつけて示し、特に設置位置を区別しない場合、或いは全体を示す場合は火災感知器20と表示する。
【0037】
よって、何れかの火災感知器20において熱又は煙を検知してその接点20aがオンすると、当該火災感知器20に感知電流I1が流れるので、当該感知電流I1を感知器オン信号検出回路23aにて検出することにより、火災が発生して何れかの火災感知器20がオンしたことを検出できるように構成されている。上記感知器オン信号検出回路23aは上記感知電流I1を検出した場合は、予作動制御部24のOR回路24aに火災感知信号S1を送出するものである。
【0038】
また、上記接続回路C1の終端には各火災感知器20に並列に終端抵抗R1が接続されており、自動火災報知部23は上記終端抵抗R1に常時微弱電流i1が流れるように構成している。そして、上記自動火災報知部23には、上記接続回路C1の接続線L1の断線を検出し得る断線検出回路23bが設けられている。この断線検出回路23bは上記接続線L1に直列に接続された電流計Aと電流検出部23b’により構成されており(図4(イ)参照)、何れの火災感知器20もオンしていない状態において、上記終端抵抗R1に流れる微弱電流i1を常時検出している。よって、上記断線検出回路23bは上記微弱電流i1を検出している場合は、上記接続回路C1に断線は発生していないと判断し、何ら信号を送出しない。一方、上記断線検出回路23bは、上記接続回路C1の接続線L1の何れかの箇所に断線が生じ、上記微弱電流i1が消勢した場合、上記電流検出部23b’は当該断線による上記微弱電流i1の消勢を検出し、断線検出信号(第1の断線検出信号)S2を上記予作動制御部24のOR回路24aに送出するものである。
【0039】
上記二次側充水用圧力監視スイッチ(二次側減圧監視スイッチ)PS3は、予作動制御部24内の検出部25の二次圧減圧検出回路25aに接続線L2を介して接続されている。具体的には図3に示すように、上記二次側充水用圧力監視スイッチPS3は、接続線L2を介して上記検出回路25aに並列に接続されており、これにより上記二次側充水用圧力監視スイッチPS3を含む接続回路C2が形成されている。
【0040】
そして、上記圧力監視スイッチPS3は、上記予作動式流水検知装置6’の弁本体6の二次側弁室6c等の二次側の圧力低下を検出したときその接点26がオンして上記接続回路C2に検出電流I2が流れるように構成されている。このとき、上記二次圧減圧検出回路25aは上記検出電流I2を検出し、減圧検出信号S3を予作動制御部24内のOR回路24bに送出するものである。
【0041】
また、上記接続回路C2の終端には上記二次側充水用圧力監視力スイッチPS3に並列に終端抵抗R2が接続されており、上記検出部25は上記終端抵抗R2に常時微弱電流i2が流れるように構成している。そして、上記検出部25内において、上記接続回路C2を構成する接続線L2に断線検出回路(第2の断線検出回路)25bが設けられている。この断線検出回路25bは上記接続線L2に直列に接続された電流計Aと電流検出部25b’により構成されている(図4(ロ)参照)。上記断線検出回路25bは上記二次側充水用圧力監視スイッチPS3がオンしていない状態において、上記終端抵抗R2に流れる微弱電流i2を常時検出しており、当該微弱電流i2を検出している場合は、上記接続回路C2に断線は生じていないと判断し何ら信号を送出しない。そして、上記電流検出部25b’は上記接続回路C2の接続線L2の何れかの箇所に断線が生じた場合、該断線による上記微弱電流i2の消勢を検出し、断線検出信号(第2の断線検出信号)S4を上記OR回路24bに送出するものである。
【0042】
上記予作動制御部24は、上記自動火災報知部23に接続されると共に、上述のように内部の検出部25の二次圧減圧検出回路25aに上記二次側充水用圧力監視スイッチPS3が接続回路C2の接続線L2を介して接続されると共に、上記接続線L2に上記断線検出回路25bが設けられている。
【0043】
上記予作動制御部24は、上記一方入力端子が上記感知器オン信号検出回路23aに接続され、他方入力端子が上記断線検出回路23bに接続されたOR回路(火災感知器検出手段)24a、上記二次圧減圧検出回路25a、断線検出回路25bからなる検出部25、一方入力端子が上記二次圧減圧検出回路25aに接続され、他方入力端子が上記断線検出回路25bに接続されたOR回路(二次側圧力検出手段)24b、さらに上記OR回路24a,24bの出力が2つの入力端子に各々接続されたAND回路(駆動手段)24cを具備しており、上記AND回路24cの出力端子は、上記主弁開放電動弁14の駆動モータM1に接続されている。
【0044】
即ち、図5に示すように、上記予作動制御部24内の上記OR回路24aの一方入力端子には上記感知器オン信号検出回路23aの出力(火災感知信号S1)が接続され、上記OR回路24aの他方入力端子には断線検出回路23bの出力(第1の断線検出信号S2)が接続されている。よって、当該OR回路24aは、当該OR回路24aに上記火災感知信号S1又は断線検出信号S2の何れかの信号が入力したときは、ハイレベルの出力信号S5をAND回路24cの一方入力端子に出力し、上記何れの信号S1,S2も入力しないときは、ローレベルの出力となるものである。
【0045】
また、上記予作動制御部24内のOR回路(二次側圧力検出手段)24bの一方入力端子には上記二次圧減圧検出回路25aの出力(減圧検出信号S3)が接続され、上記OR回路24bの他方入力端子には断線検出回路25bの出力(第2の断線検出信号S4)が接続されている。よって、当該OR回路24bは、当該OR回路24bに上記減圧検出信号S3又は断線検出信号S4の何れかの信号が入力したときは、ハイレベルの出力信号S6をAND回路24cの他方入力端子に出力し、上記何れの信号S3,S4も入力しないときは、ローレベルの出力となるものである。
【0046】
上記AND回路(駆動手段)24cは、上記OR回路24aの出力が一方端子に接続されており、上記OR回路24bの出力が他方端子に接続されており、上記OR回路24aからのハイレベルの出力信号S5と上記OR回路24bからのハイレベルの出力信号S6が共に入力したとき、主弁開放用電動弁14を開放するための駆動モータM1の駆動信号(主弁開放信号)S7を上記駆動モータM1に送出し、当該駆動モータM1を駆動して上記主弁開放用電動弁14を開放するものである。
【0047】
即ち、上記AND回路24cは、火災が発生して上記何れかの上記火災感知器20がオンし、火災感知信号S1に基づく上記OR回路24aからのハイレベルの出力信号S5、又は、上記接続回路C1の接続線L1が断線し、断線検出信号S2に基づく上記OR回路24aからのハイレベルの出力信号S5の何れかが一方入力端子に入力し、かつ、何れかのスプリンクラーヘッド3が開放(発砲)し、減圧検出信号S3に基づく上記OR回路24bからハイレベルの出力信号S6、又は、接続回路C2の接続線L2が断線し、断線検出信号S4に基づく上記OR回路24bからのハイレベルの出力信号S6の何れかが他方入力端子に入力し、これによりハイレベルの上記出力信号S5とハイレベルの上記出力信号S6の両方の出力信号が入力して、アンド条件が満たされたときに、上記駆動信号S7を出力するものである。
【0048】
本発明は上述のように構成されるので、次に本発明の動作について説明する。
【0049】
火災警戒状態(火災未発生時)においては、図1に示すように、一次側配管2及び弁本体6の一次側弁室6b、二次側弁室6c、制御室7は消火水で満たされており、さらに弁本体6の一次側と二次側を結ぶバイパス配管11a,12、二次側充水用圧力監視スイッチPS3及び二次圧減警報用圧力監視スイッチPS2までの配管、及び検出用配管13における主弁開放用電動弁14までの配管、制御用配管15も消火水で満たされている。さらに、上記二次側配管5からスプリンクラー配管4を介して閉鎖型スプリンクラーヘッド3先端まで消火水が充満している、所謂、湿式の予作動式消火設備1を構成している。
【0050】
そして上記火災警戒状態においては、自動火災報知部23は、上記接続回路C1に微弱電流を常時流しており、断線の発生していない状態においては、断線検出回路23bは終端抵抗R1に流れる微弱電流i1を常時検出している。よって、断線検出回路23bから予作動制御部24のOR回路24aには断線検出信号S2は送出されていない。
【0051】
また、かかる火災警戒状態においては、予作動制御部24の検出部25は、上記接続回路C2に微弱電流を常時流しており、断線が発生していない状態においては、断線検出回路25bは終端抵抗R2に流れる微弱電流i2を常時検出している。よって、断線検出回路25bから予作動制御部24のOR回路24bには断線検出信号S4は送出されていない。
【0052】
(1)断線の生じていない場合の火災発生時
ここで、火災が発生し、何れかの火災感知器20が火災を検知してその接点20aがオンすると、感知電流I1が流れるので、これを自動火災報知部23の感知器オン信号検出回路23aが検出し、該感知器オン信号検出回路23aが予作動制御部24のOR回路24aに対して火災感知信号S1を送出する。
【0053】
すると上記OR回路24aからハイレベルの出力信号S5がAND回路24cの一方入力端子に送出される。
【0054】
一方、上記火災の熱によりオンした上記火災感知器20近傍のいずれかのスプリンクラーヘッド3が火災の熱により開放(発砲)すると、スプリンクラー配管4及び二次側配管5に充満している消火水が上記スプリンクラーヘッド3から放水されるので、上記弁本体6の二次側弁室6b及び二次側配管5の圧力が減少する。よって、二次側充水用圧力監視スイッチPS3が二次側の圧力低下を検出してその接点26がオン状態となる。すると、当該監視スイッチPS3に検出電流I2が流れるので、二次圧減圧検出回路25aがこれを検出し、OR回路24bの一方入力端子に減圧検出信号S3を送出する。尚、この時点で二次圧減警報用圧力監視スイッチPS2もオンするので、これに基づいて当該監視スイッチPS2からの検出信号に基づいて予作動制御部24にて二次側の圧力の減圧を示す警報ランプ等が表示される。
【0055】
すると上記OR回路24bからハイレベルの出力信号S6がAND回路24cの他方入力端子に送出される。
【0056】
上記予作動制御部24のAND回路24cにおいては、上記ハイレベルの出力信号S5とS6によりアンド条件が満たされるので、当該AND回路24cから駆動モータM1に駆動信号(主弁開放信号)S7が送出され、これにより主弁開放用電動弁14が開放される。よって、上記検出用配管13内の消火水及び制御室7内の消火水が上記電動弁14を介して排水管16に流出していく。
【0057】
そうすると、予作動式流水検知装置6’の弁本体6の制御室7の圧力が弁本体6の一次側弁室6bの圧力より低下するため、弁本体6の一次側弁室6bの圧力に押されて主弁10がスプリング9に抗して開放され、これにより一次側配管2内の消火水が弁本体6の一次側から上記開口部6aを介して二次側に流出していく。即ち、予作動式流水検知装置6’の主弁10が開放される。
【0058】
このとき、一次側配管2の上流側の圧力タンクTを介して一次側減圧監視スイッチPS4が圧力タンクTを介して一次側配管2の圧力低下を検出し、これに基づいて消火ポンプPに駆動信号を送出し、該消火ポンプPが駆動される。すると、消火水貯水槽27内の消火水が上記消火ポンプPにより一次側配管2内に加圧送水されるため、上記消火水は一次側配管2、開状態の弁本体6、二次側配管5、スプリンクラー配管4を通じて開放した上記スプリンクラーヘッド4から放水され、引き続いて当該スプリンクラーヘッド3からの放水が継続され、消火活動が持続的に行われる。
【0059】
(2)火災感知器20の接続回路C1の接続線L1の断線時
火災警戒状態において、火災感知器20を構成する接続回路C1の接続線L1の位置X1(図3)が断線した場合において、上記断線位置X1より終端抵抗R1側の火災感知器20Aの設置位置にて火災が発生し、火災感知器20Aの接点20aがオンした場合を検討すると、上記接続線L1は位置X1にて断線しているため、当該接点20aがオンしても、検出電流I1が流れないため、感知器オン信号検出回路23aにて上記感知器20Aのオンを検出することはできない。
【0060】
しかしながら、上記位置X1の接続線L1の断線により、接続回路C1において微弱電流i1が消勢するため、自動火災報知部23の断線検出回路23bはかかる微弱電流i1の消勢を検出し、予作動制御部24のOR回路24aに断線検出信号(第1の断線検出信号)S2を送出する。よって、かかる断線時においては、上記OR回路24aからハイレベルの出力信号S5がAND回路24cの一方の入力端子に入力している火災検知可能状態となっている。
【0061】
ここで、上記火災の熱により上記火災感知器20A近傍のスプリンクラーヘッド3が開放(発砲)すると、スプリンクラー配管4及び二次側配管5に充満している消火水が上記ヘッド3から放水されるので、上記弁本体6の二次側弁室6c及び二次側配管5の圧力が減少する。よって、二次側充水用圧力監視スイッチPS3が上記二次側の圧力低下を検出してその接点26がオン状態となる。すると、当該圧力スイッチPS3に検出電流I2が流れるので、予作動制御部24の検出部25の二次圧減圧検出回路25aがこれを検出し、上記OR回路24bに減圧検出信号S3を送出する。よって、上記OR回路24bから上記AND回路24cの他方の入力端子にハイレベルの出力信号S6が送出される。
【0062】
すると、上記予作動制御部24のAND回路24cにおいて、上記断線検出信号S2に基づくハイレベルの出力信号S5と、上記減圧検出信号S3に基づくハイレベルの出力信号S6によってアンド条件が満たされるので、当該AND回路24cから駆動モータM1に駆動信号S7が送出され、これにより主弁開放用電動弁14が開放される。よって、上記検出用配管13内の消火水及び制御室7内の消火水が上記電動弁14を介して排水管16に流出していく。
【0063】
そうすると、上記(1)と同様に、弁本体6の一次側弁室6bの圧力に押されて予作動式流水検知装置6’の主弁10がスプリング9に抗して開放され、これにより一次側配管2内の消火水が弁本体6の一次側から上記開口部6aを介して二次側に流出して行くため、一次側の上記圧力タンクTを介して一次側減圧監視スイッチPS4が一次側配管2の圧力低下を検出し消火ポンプPが駆動される。
【0064】
すると、消火水貯水槽27内の消火水が上記消火ポンプPにより一次側配管2に送出されるため、上記消火水は一次側配管2、開状態の弁本体6、二次側配管5、スプリンクラー配管4を通じて上記スプリンクラーヘッド4から放水され、引き続いてスプリンクラーヘッド3からの放水が継続され、消火活動が行われる。
【0065】
このように、複数の火災感知器20を接続する接続回路C1の接続線L1に断線が発生したとしても、火災発生時においては何ら支障なく消火動作を行うことができる。
【0066】
(3)二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2の接続線L2の断線時
次に、火災警戒状態において、二次側充水用圧力監視スイッチPS3を接続する接続回線C2の位置X2が断線した場合を検討する。
【0067】
かかる断線状態において火災が発生し、何れかのスプリンクラーヘッド3が発砲し、弁本体6の二次側配管5及びスプリンクラー配管4の消火水が上記スプリンクラーヘッド3から流出し、これによる二次側の圧力低下を二次側充水用圧力監視スイッチPS3で検出し、当該スイッチPS3の接点26がオンしたとしても、上記接続線L2の上記位置X2が断線しているので、検出電流I2が流れず、よって、当該圧力スイッチPS3のオンを予作動制御部24における検出部25の二次圧減圧検出回路25aにて検出することはできない。
【0068】
しかしながら、上記位置X2の断線により、接続回路C2の接続線L2において微弱電流i2が消勢するため、上記予作動制御部24の上記検出部25の断線検出回路25bは、かかる微弱電流i2の消勢を検出し、予作動制御部24の上記OR回路24bに断線検出信号(第2の断線検出信号)S4を送出する。よって、かかる断線時においては、上記OR回路24bからハイレベルの出力信号S6が上記AND回路24cの他方の入力端子に入力している火災検知可能状態となっている。
【0069】
ここで、上記火災の熱により上記発砲したスプリンクラーヘッド3の近傍の上記火災感知器20(火災感知器20Bとする)が火災の熱又は煙を感知すると、当該感知器20Bの接点20aがオンするため、接続回路C1に感知電流I1が流れる。よって、上記自動火災報知部23の感知器オン信号検出回路23aは、上記感知電流I1に基づいて感知器20Bのオンを検出し、火災感知信号S1を予作動制御部24のOR回路24aに送出する。該OR回路24aは上記火災感知信号S1の入力に基づいてハイレベルの出力信号S5をAND回路24cに送出する。
【0070】
すると上記予作動制御部24のAND回路24cにおいて、上記断線検出信号S4に基づくハイレベルの出力信号S6と、上記火災感知信号S1に基づくハイレベルの出力信号S5によってアンド条件が満たされるので、当該AND回路24cから駆動モータM1に駆動信号S7が送出され、これにより主弁開放用電動弁14が開放されるので、上記検出用配管13内の消火水及び制御室7内の消火水が上記電動弁14を介して排水管16に流出していく。
【0071】
そうすると、上記(1)と同様に、弁本体6の一次側弁室6bの圧力に押されて予作動式流水検知装置6’の主弁10がスプリング9に抗して開放され、これにより一次側配管2内の消火水が弁本体6の一次側から上記開口部6aを介して二次側に流出して行き、一次側の上記圧力タンクTを介して一次側減圧監視スイッチPS4が一次側配管2の圧力低下を検出し消火ポンプPが駆動される。
【0072】
よって、消火水貯水槽27内の消火水が一次側配管2に加圧送水され、上記消火水は一次側配管2、開状態の弁本体6、二次側配管5、スプリンクラー配管4を通じて上記スプリンクラーヘッド4から放水され、引き続いて当該スプリンクラーヘッド3からの放水が継続され、消火活動が行われる。
【0073】
このように、二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2の接続線L2が断線したとしても、火災発生時においては何ら支障なく消火動作を行うことができる。
【0074】
(4)火災感知器20の接続回路C1の接続線L1と二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2の接続線L2の両方が断線したとき
【0075】
(イ)火災未発生時
上記火災感知器20の接続回路C1の接続線L1の上記位置X1が断線した場合を検討すると、この場合、接続線L1において微弱電流i1が消勢するため、断線検出回路23bはかかる微弱電流i1の消勢を検出し、予作動制御部24のOR回路24aに断線検出信号(第1の断線検出信号)S2を送出する。よって、かかる断線時においては、上記OR回路24aからハイレベルの出力信号S5が上記AND回路24cの一方の入力端子に入力している火災検知可能状態となっている。
【0076】
さらに、上記二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2の接続線L2の位置X2も同時期に断線したとすると、接続線L2において微弱電流i2が消勢するため、断線検出回路25bはかかる微弱電流i2の消勢を検出し、予作動制御部24のOR回路24bに断線検出信号(第2の断線検出信号)S4を送出する。よって、かかる断線時においては、上記OR回路24bからハイレベルの出力信号S6が上記AND回路24cの他方の入力端子に入力する。
【0077】
そうすると、上記AND回路24cは上記断線検出信号S2,S4に基づくハイレベルの出力信号S5,S6によりアンド条件が満たされるので、当該AND回路24cから駆動モータM1に駆動信号S7が送出され、これにより主弁開放用電動弁14が開放される。
【0078】
よって、上記検出用配管13内の消火水及び制御室7内の消火水が上記電動弁14を介して排水管16に流出していく。すると弁本体6の制御室7の圧力が弁本体6の一次側弁室6bの圧力より低下するため、該弁本体6の一次側弁室6bの圧力に押されて予作動式流水検知装置6’の主弁10がスプリング9に抗して開放される。
【0079】
しかしながら、現時点では火災は発生しておらず、何れの閉鎖型スプリンクラーヘッド3も開放(発砲)していないので、弁本体6の一次側から二次側への水流は生ずることはない。
【0080】
このように、上記両接続回路C1,C2の接続線L1,L2が共に同時期に断線した場合は、主弁開放用電動弁14が駆動されて予作動式流水検知装置6’の弁本体6の主弁10が開放されるが、閉鎖型スプリンクラーヘッド3からの放水が行われないため、消火水による水損害は発生しない。
【0081】
尚、このとき主弁10の開放はアラームスイッチPS1により検出され、予作動制御部24にアラーム信号が送出されるため、予作動制御部24において主弁が開放した旨が表示される。よって、操作者は、当該表示に基づいて上記接続回路C1とC2の両方の断線の可能性を認識することができる。
【0082】
(ロ)火災発生時
次に、上記接続回路C1,C2の断線時であって、弁本体6の上記主弁開放状態において、実際に火災が発生し、何れかのスプリンクラーヘッド3が開放(発砲)した場合は、弁本体6の一次側(一次側配管2、一次側弁室6b)及び二次側(二次側弁室6c、二次側配管5、スプリンクラー配管4)の消火水が開放したスプリンクラーヘッド3から放水されるため、一次側配管2の圧力が低下する。よって、一次側の上記圧力タンクTを介して上記一次側減圧監視スイッチPS4が一次側配管2の圧力低下を検出し消火ポンプPを駆動する。
【0083】
すると、上記消火水貯水槽27内の消火水が上記消火ポンプPにより一次側配管2に加圧送水されるため、上記消火水は一次側配管2、開状態の弁本体6、二次側配管5、スプリンクラー配管4を通じて発砲状態の上記スプリンクラーヘッド4から放水され、引き続いてスプリンクラーヘッド3からの放水が継続され、消火活動が行われる。
【0084】
このように、火災感知器20の接続回路C1の接続線L1と二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2の接続線L2が共に同時期に断線した状態においても、火災が発生してスプリンクラーヘッドが開放(発砲)した場合には、確実に消火動作を行うことができるものである。
【0085】
上述のように本発明によれば、火災感知器20の接続回路C1の断線のみならず、二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2に断線が生じた場合においても、何ら支障なく消火活動を行うことができる。
【0086】
また、火災感知器20の接続回路C1及び二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2が共に断線した場合においは、予作動式流水検知装置6’の弁本体6を開放状態とするが、閉鎖型スプリンクラーヘッド3からは消火水が放出されない消火活動待機状態とすることができるので、当該状態において消火水による損害等の発生を防止することができる。
【0087】
しかも、かかる消火活動待機状態において、火災が発生し、何れかの閉鎖型スプリンクラーヘッド3が当該火災によって開放(発砲)した場合は、一次側配管2の圧力低下に基づいて消火ポンプPを駆動して上記スプリンクラーヘッド3からの放水を直ちに開始することができるものである。
【0088】
従って、本発明によれば、火災感知器20を接続する接続回路C1の接続線L1の断線時、二次側充水用圧力監視スイッチPS3を接続する接続回路C2の接続線L2の断線時、及び火災感知器20を接続する接続回路C1の接続線L1及び二次側充水用圧力監視スイッチPS3を接続する接続回路C2の接続線L2の両方の断線時、の何れの場合においても、火災が発生した場合は、スプリンクラーヘッド3からの放水による消火活動を確実に行うことができるという効果を有するものである。
【0089】
本発明は上述のように構成したので、火災感知器20の接続回路C1の断線時だけではなく、二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2が断線した場合においても、火災感知信号S1を検出したときに消火活動を可能とするものであるので、安全性の非常に高い予作動式消火設備を実現することができる。
【0090】
また、火災感知器20の接続回路C1が断線し、同時期に二次側充水用圧力監視スイッチPS3の接続回路C2が断線したとしても、主弁開放手段においてこれらを検出して予作動式流水検知装置6’の主弁10を開放するものであるから、かかる非常事態においても火災が発生した場合は消火活動を可能とする極めて安全性の高い予作動式消火設備を実現したものである。
【0091】
また、弁本体6の主弁開放状態において、閉鎖型スプリンクラーヘッド3が閉鎖状態を維持している限りは消火水の放水は行われないので、水損害の発生をも抑制することができる。
【0092】
また、弁本体6の主弁開放状態において、火災により閉鎖型スプリンクラーヘッド3が開放したときは、消火ポンプ駆動手段の消火ポンプの駆動動作に基づいて迅速に消火活動を行うことができるものである。
尚、本実施形態では、所謂、湿式の予作動式消火設備について説明したが、本発明は、予作動式流水検知装置の一次側配管に消火水を充填し、上記流水検知装置の二次側配管に空気を充填した乾式の予作動式消火設備についても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る予作動式消火設備は、極めて安全性が高いので、商業ビル、アパート、駅等の公共施設等、消火設備が必要な建造物に広く適用が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 予作動式消火設備
2 一次側配管(一次側の配管)
3 閉鎖型スプリンクラーヘッド
4 スプリンクラー配管(二次側の配管)
5 二次側配管(二次側の配管)
6 弁本体
6’ 予作動式流水検知装置
10 主弁
20 火災感知器
23b 断線検出回路(第1の断線検出回路)
24 予作動制御部
24a OR回路
24b OR回路
24c AND回路
25b 断線検出回路(第2の断線検出回路)
L1,L2 接続線
PS3 二次側充水用圧力監視スイッチ(二次側減圧監視スイッチ)
PS4 一次側減圧監視スイッチ
S1 火災感知信号
S2 断線検出信号(第1の断線検出信号)
S3 減圧検出信号
S4 断線検出信号(第2の断線検出信号)
S7 駆動信号(主弁開放信号)
T 圧力タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、
上記火災感知器の接続線の断線を検出し第1の断線検出信号を発生する第1の断線検出回路と、上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し第2の断線検出信号を発生する第2の断線検出回路を設け、
上記第1の断線検出信号を検出している状態において、上記減圧検出信号を検出したとき、又は、上記第2の断線検出信号を検出している状態において、上記火災感知信号を検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備。
【請求項2】
上記主弁開放手段は、上記第1の断線検出信号と上記第2の断線検出信号を共に検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための上記主弁開放信号を発生するものであることを特徴とする請求項1記載の予作動式消火設備。
【請求項3】
一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、
上記火災感知器の接続線の断線を検出し第1の断線検出信号を発生する第1の断線検出回路と、上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し第2の断線検出信号を発生する第2の断線検出回路を設け、
上記第1の断線検出信号と上記第2の断線検出信号を共に検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備。
【請求項4】
一次側の配管を主弁の閉鎖状態の予作動式流水検知装置に接続すると共に、該検知装置に閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けた二次側の配管を接続し、上記二次側の減圧を検出する二次側減圧監視スイッチを設け、火災感知器の火災感知に基づく火災感知信号と、上記スプリンクラーヘッドの開放による上記二次側減圧監視スイッチの減圧検出信号とによって上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放する予作動制御部を有する予作動式消火設備において、
上記二次側減圧監視スイッチの接続線の断線を検出し断線検出信号(S4)を発生する断線検出回路(25b)を設け、
上記断線検出信号(S4)を検出している状態において、上記火災感知信号を検出したとき、上記予作動式流水検知装置の上記主弁を開放するための主弁開放信号を発生する主弁開放手段を設けたものであることを特徴とする予作動式消火設備。
【請求項5】
上記予作動式流水検知装置の上記主弁が開放した状態において、上記閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放に基づく一次側の配管の圧力低下に基づいて、消火ポンプを駆動して上記一次側の配管に消火水を加圧送水する消火ポンプ駆動手段を設けたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の予作動式消火設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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