説明

予備圧縮されたカルシウム含有化合物

多結晶性多孔質構造を有する1以上のカルシウム含有化合物と1以上の糖アルコールを含む、予備圧縮された物質。該予備圧縮された物質は、好ましくはローラー圧縮により得られ、該圧縮された物質の例えば錠剤のような組成物へのさらなる加工における使用に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多結晶性でかつ多孔質のカルシウム含有化合物および糖アルコールを含む予備圧縮された(pre-compacted)物質に関する。多結晶性の性質および多孔性に関するカルシウム含有化合物の構造を確認するために、SEM写真が用いられ得る。本発明は、予備圧縮された物質の製造方法および固体投与形態にも関する。
【0002】
前記方法は、ローラー圧縮(compaction)によるカルシウム含有化合物および医薬的に許容される糖アルコールの集塊を含む。ローラー圧縮により得られる予備圧縮された物質は、該予備圧縮された物質を、錠剤、カプセル剤、サシェット(sachets)等のような、チューイング錠を含む投与形態を含む医薬または栄養剤組成物のような組成物へのさらなる工程における使用に適している。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
チュアブル錠の許容される味および口当たりを得るために、カルシウム含有化合物の品質ならびにそのカルシウム含有化合物を含む医薬組成物の製造方法が非常に重要であることが、以前に記載されている(WO 00/28973)。WO 00/28973と対照的に、本発明の方法は、湿式造粒法によって粒子を一緒に結合する工程を用いず、このことは、本発明の方法は、湿気に対して敏感な物質を組み込むことが望まれる場合、有利に用いられ得ることを意味する。そのような物質の例は、医薬投与形態中にカルシウム塩と一緒にしばしば含まれるビタミンDである。本発明は、例えば湿式造粒を含むような工程を必要とすることなしに、そのような投与形態を得るための単純かつ費用効率が高い代替法を提供する。
【0004】
この目的を達成するために、ローラー圧縮が、規則的な形状のカルシウム含有化合物と糖アルコールとを含む予備圧縮されたカルシウム含有物質の製造に適した方法であることを、本発明者らは以前に見出している。しかしながら、全ての糖アルコールが等しく適しているとは限らない。したがって、適当な微細構造を有する糖アルコールが、使用に有利であった。特に好適な品質は、50 μmより低い特定の平均粒子径を有するソルビトールであった。これらの発見は、出願番号PCT/DK2005/000338を有する同時係属のPCT出願に記載されている。
【0005】
US 6,475,510は、バイト-ディスパージョン錠(bite-dispersion tablets)の製造方法を記載している。実施例6において、炭酸カルシウムが言及されている。しかしながら、用いられる炭酸カルシウムの品質の規格はなく、さらに、プレシロール(Precirol)のような蝋状物質が用いられている。本発明の物質において、カルシウム含有化合物の品質が注意深く選択される事実により、そのような蝋状物質を加える必要はない。したがって、具体的な態様において、本発明の物質は、プレシロールまたはUS 6,475,510のカラム5、行31〜39に記載されたもののようなあらゆるその他の蝋状物質(すなわち、グリセロールのモノ-、ジ-もしくはトリ-C10-C30脂肪族エステル、特にグリセロール パルミト-ステアレートもしくはグリセリル ベヘネート;ステアリルアルコールもしくはセチルアルコールのような高分子量の(C10-30)直鎖脂肪族アルコール;ならびに高分子量の脂肪族系酸およびエステル;またはそれらの混合物。特に、蝋状物質がステアリルアルコールもしくはセチルアルコールであるか、またはグリセロールパルミトステアレートもしくはグリセリルベヘネートである)を含まない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、規則的な形状のもののようなその他のカルシウム含有化合物に対してローラー圧縮を用いる必要があり、さらに、結合性および微細構造を有するもののようなその他の種類の糖アルコールを用いる必要がある。特に、キシリトールは、最終製品(例えばチューイング錠)の官能性に肯定的な影響を有するので、キシリトールの使用が大変重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の説明
本発明は、カルシウム含有化合物自身が、結晶構造および多孔性に関して特定の要件を満たすという条件で、糖アルコールに対していかなる特定の要件なしに、該糖アルコールを含む予備圧縮されたカルシウム含有物質を製造することができことの発見に基づく。
【0008】
具体的には、カルシウム含有化合物が多結晶性でかつ多孔質構造を有する場合にのみ、錠剤のような投与形態の製造に用いるのに適した予備圧縮された物質を得ることができることを、本発明者らは見出した。
【0009】
多結晶性構造とは、結晶物質の粒子が互いにランダムに配向された粒子から構成された物質を意味する。(www.icknowledge.com/glossary/p.html、www.wordnet.princeton.edu/perl/webwin またはwww.en.wikipedia.org/wiki/polycrystalline参照)。多結晶性構造は、例えば滑らかな表面を有する立方体(規則的な形状結晶)と対照的に、不規則な構造を有する結晶をもたらす。この不規則な構造は、本明細書において、多孔質構造に関しても意味される。
【0010】
本文脈において、「予備圧縮された」の用語は、後で、製造工程において錠剤にさらに圧縮され得る流動性の粒状物を得る目的で、(「約100μmより小さい粒子径を有する」)物質の初期の圧縮を意味することが意図される。
【0011】
前記のように、本文脈において、粉末のローラー圧縮の方法は、公知の造粒法または集塊法、すなわち湿式造粒に対する代替方法として、または錠剤を製造するときに乾燥結合剤をもちいる直接圧縮として適用される。ローラー圧縮は、許容される口当りを有し、同時に、著しいチョーク様の味または感触を有さない製品を得ることの可能性を破棄しない、非常にマイルドな方法であることを、本発明者らは以前に見出している。しかしながら、その発見は、規則的な形状のカルシウム含有化合物ならびに結合性および微孔性構造を有する糖アルコールに限定された。
【0012】
通常、ローラー圧縮は、例えば医薬組成物の製造において用いることをより容易にする、嵩高い物質をより体積の小さい物質に変換するため、特定の物質または組成物の嵩密度を増加するために用いられる。しかしながら、通常、ローラー圧縮は、許容される味、口当り等が得られるような、物質(すなわちカルシウム含有化合物)の重要な性質を維持するか、または破壊しない穏やかな造粒法として用いられない。
【0013】
さらに許容される味および口当りを有するより小さな錠剤を製造する目的で、集塊工程において、医薬的に許容される糖アルコールの使用が特に好適であることを、本発明者らは見出している。しかしながら、カルシウム含有化合物を含むローラー圧縮された組成物の好適な性質を得るために、上記のように、2つの重要なファクター、すなわちカルシウム含有化合物自身の性質および集塊工程で結合剤として用いられる糖アルコールの選択が重要であることを、本発明者らは以前に見出している。しかしながら、本発明は、カルシウム含有化合物が多結晶性でかつ多孔質構造であるという条件で、糖アルコールの選択に関するこの制限を除外する。
【0014】
したがって、1つの観点において、本発明は、多結晶性で多孔質構造を有する1以上のカルシウム含有化合物および1以上の糖アルコールを含む、予備圧縮された物質に関する。
【0015】
本明細書の実施例に示されるように(実施例3参照)、好適な予備圧縮された物質の製造を可能にするために、カルシウム含有化合物が非規則的な形状を有することは十分ではない。実施例3は、非規則的な形状のカルシウム含有化合物であるダイカホス(Dicafos) PA(図6A参照)は、糖アルコールとうまくローラー圧縮されることを可能とするために、十分な性質を有していないことを示している。したがって、カルシウム含有化合物の多孔性が重要である。
【0016】
通常、本発明の予備圧縮された物質中のカルシウム含有化合物の濃度は、例えば約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上または約95重量%以上のような、約60重量%以上である。
【0017】
本発明者らにより予想されたものとは対照的に、本発明者らにより行なわれた実験は、直接圧縮に適用可能な品質のカルシウム含有化合物が、ローラー圧縮のための良好な出発点として自動的に働かないことを示している。本明細書の実施例3および6から、好適な予備圧縮された物質の製造および続くそれらの例えば錠剤へのさらなる加工を可能にするために、DC品質は多孔性でもなければならないことが判る。
【0018】
上記のように、1以上の糖アルコールと一緒にカルシウム含有化合物を予備圧縮することが特に有利である。本明細書の実施例から、比較的広い濃度範囲が、錠剤化に関して、予備圧縮された物質の全体的な性質を変えることなく用いられ得ることが判る。さらに、カルシウム含有化合物が要求される多結晶性でかつ多孔性の性質を有するとき、本発明の実施例は、糖アルコールの構造(例えば結晶、微細構造、多孔性等)は、技術的性質に関して、得られる製品にマイナーな影響を与えることを示している。
【0019】
本発明の予備圧縮された物質中の使用に適した糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルトおよびそれらの混合物を含む。
【0020】
本発明の予備圧縮された物質中の1以上の糖アルコールの濃度に関して、それは、通常、例えば約7.5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上または約40重量%のような、約5重量%以上である。
【0021】
上記のように、最も重要な性質は、カルシウム含有化合物の多結晶性および多孔性である。これらの性質は、SEM写真で調べられ得る。本明細書の実施例を参照。これらの性質が存在する条件で、カルシウム含有化合物は、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノカルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0022】
本明細書の実施例から明らかなように、特に好適なカルシウム含有化合物は、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムである。
【0023】
したがって、1つの態様において、カルシウム含有化合物は、例えばスターカル(Sturcal) Lを含むスターカルのような炭酸カルシウムである。もう1つの態様において、カルシウム含有化合物は、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウムまたはリン酸モノカルシウムを含むリン酸カルシウムである。好適な品質は、リン酸三カルシウム(Ca5(PO4)3OH)およびリン酸二カルシウム(CaHPO4)を含む。
もう1つの態様において、カルシウム含有化合物は、直接圧縮可能な形態にある。
【0024】
本発明の具体的な態様は、スターカル Lとキシリトール;スターカル Lとマンニトール;スターカル Lとマルチトール;トリカホス(Tricafos) Pとキシリトール;トリカホス Pとマンニトール;トリカホス Pとマルチトール;トリカホス Aとキシリトール;トリカホス Aとマンニトール;トリカホス Aとマルチトールを含む、予備圧縮された物質を含む。
【0025】
スターカルはまたD、H、LS、M もしくはX品質のものまたはそれらの混合物であってもよく、トリカホスはSもしくはR品質のものまたはそれらの混合物であってもよい。さらに、ダイカホスはAN品質であってもよい。
【0026】
なおさらなる態様において、本発明の予備圧縮された物質は、キシリトール、マンニトールまたはマルチトールと異なる糖アルコールをさらに含む。
そのような場合、最終組成物中の1以上の糖アルコールの全濃度は、例えば約5重量%、約10重量%、約25重量%または約40重量%のような、約5重量%〜約40重量%である。
【0027】
例えば許容される味および口当りを有するチュアブル錠の製造に用いるのに適した予備圧縮された物質を得るために、カルシウム含有化合物の集塊のための手段としてローラー圧縮の使用は、カルシウム含有化合物に関して2つの重要なパラメータ、すなわち多結晶性および多孔性を有する。
【0028】
次の段落で、カルシウム含有化合物の説明が示される。しかしながら、本明細書の前で述べたように、本発明のローラー圧縮工程での使用のためのカルシウム含有化合物は、多結晶性で多孔質であり、例えば特定の品質の炭酸カルシウムのようなカルシウム塩である。好ましい観点において、カルシウム塩は炭酸カルシウムであり、特にスターカル Lのそれに対応する形状と平均粒子径を有するものであるか、または例えばダイカホス Aもしくはトリカホス Pのようなリン酸カルシウムである。
【0029】
しかしながら、上記のカルシウム含有化合物は、例えば本明細書の次の段落で述べられるようなその他のカルシウム含有化合物、特にクエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノカルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物との混合物の状態で用いられ得る。
【0030】
特定の観点において、本発明の予備圧縮された物質は、前記の多結晶性で多孔質のカルシウム含有化合物およびもう1つのカルシウム含有化合物(すなわち、その多結晶性および多孔質構造に関係なく)を含む。具体的な態様において、本発明の予備圧縮された物質は、非多孔質構造を有するカルシウム含有化合物をさらに含む。そのような場合、非多孔質なカルシウム含有化合物と多結晶性で多孔質なカルシウム含有化合物との重量比は、通常、例えば最大で0.35、最大で0.3、最大で0.25、最大で0.2、最大で0.15、最大で0.1または最大で0.05のような、最大で0.4である。
【0031】
より具体的には、多結晶性多孔質カルシウム含有化合物は、スターカル L、トリカホス Pもしくはダイカホス Aまたはそれらの混合物であってもよく、非多孔質カルシウム含有化合物はスコラライト(Scoralite)もしくはカホス(Cafos) DBまたはそれらの混合物であってもよい。
【0032】
異なる構造および性質のカルシウム含有化合物が存在する場合、非多孔質のカルシウム含有化合物の濃度は、通常、例えば40重量%以下、25重量%以下、10重量%以下または5重量%以下のような、約5%〜約40%である。
【0033】
通常、予備圧縮された物質中の多結晶性で多孔質なカルシウム含有化合物の含量は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%または少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%もしくは少なくとも約75重量%のような、約40重量%〜約100重量%の範囲である。
【0034】
ローラー圧縮によって得られる予備圧縮された物質は、100重量%のカルシウム含有化合物を含み得るか、または、錠剤中のカルシウム含有化合物の全量の、例えば約70〜約80重量%のような、約50重量%〜約90重量%を含み得る。したがって、カルシウム含有化合物の全量の一部は、ローラー圧縮後に加えられ得る。
【0035】
本発明の予備圧縮された物質は、1以上の医薬的に許容される賦形剤もしくは添加剤、または1以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質をさらに含み得る。本文脈において使用に適した医薬的に許容される賦形剤の説明は、本明細書中に示される。
特に興味がある活性な物質はビタミンDである。
【0036】
もう1つの観点において、本発明は、医薬組成物または栄養剤組成物を含む組成物の製造のための、本明細書に記載された予備圧縮された物質の使用に関する。具体的な態様において、本発明は、本発明の予備圧縮された物質を含む固体投与形態に関する。
【0037】
本発明の投与形態は、予備圧縮された物質と任意に1以上の医薬的に許容される賦形剤とを一緒に含む。
興味のある具体的な態様は、本発明の投与形態が、(チューイング錠、舐める錠剤および飲み込む錠剤を含む)錠剤、カプセル剤、サシェット等の形態にあるものである。
【0038】
一般的に、本発明の組成物中(例えば錠剤中)の多結晶性多孔質のカルシウム含有化合物の濃度は、例えば約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上のような、50重量%以上である。
【0039】
さらに、本発明の予備圧縮された物質を得るために、カルシウム含有化合物および糖アルコールを含む組成物のローラー圧縮は、錠剤が、1分当り少なくとも300錠で運転する打錠機を用いて、例えば最大で約7.5重量%または最大で約5重量%のような、最大で10重量%のグリダント(glidant)と任意に混合された予備圧縮された物質から製造されるとき、得られる錠剤の集団変動(mass variation)がヨーロッパ薬局方に示される要件を満たすような流動性を有する、予備圧縮された物質をもたらす。打錠機は、例えば2000錠/分、3000錠/分、4000錠/分、5000錠/分、6500錠/分、700錠/分または8000錠/分等のような、例えば1000錠/分以上で運転し得る。錠剤の製造の間の滞留時間は、最大で約1秒である。
【0040】
具体的な態様において、本発明の予備圧縮された物質は、合計が100重量%を超えない条件で、約60〜約95重量%のカルシウム含有化合物および約5〜約40重量%の医薬的に許容される糖アルコールを含む。
【0041】
もう1つの具体的な態様において、本発明の予備圧縮された物質は、成分の合計が100重量%になる条件で、例えば約65%〜約80重量%のような約60〜約94重量%のカルシウム含有化合物、例えば約15〜約30重量%のような約5〜約35重量%の医薬的に許容される糖アルコールならびに約1〜約15重量%の1以上の医薬的に許容される賦形剤および/または活性な物質を含む。
【0042】
さらに具体的には、本発明の予備圧縮された物質は、好ましくは、例えば約70重量%〜約75重量%のような約65重量%〜約80重量%のカルシウム含有化合物、および例えば約20〜約25重量%のような約15重量%〜約25重量%のソルビトールもしくはイソマルトまたはそれらの混合物を含む。
【0043】
本発明の予備圧縮された物質は、そのままで用いられ得るが、通常、それは適当な固体投与形態に製造される。該投与形態を製造するために、1以上の医薬的に許容される賦形剤が添加され得る。該投与形態は、例えば錠剤、カプセル、サシェット、ビーズ、ペレット等の形態のような、単回または複数回の投与形態での経口投与が意図される。
好ましい態様において、本発明の固体投与形態は錠剤の形態である。
【0044】
本発明の固体投与形態は、例えば約400〜約600 mgのカルシウムのような、約 300〜約1200 mgのカルシウムに対応する量の1以上のカルシウム含有化合物を含み得る。通常、投与形態中の1以上のカルシウム含有化合物の全濃度は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%または少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%のような、約40重量%〜約99重量%の範囲である。
【0045】
具体的な態様において、投与形態中に含まれる予備圧縮された物質の全濃度は、例えば約70重量%〜約98重量%、約75重量%〜約95重量%、約80重量%〜約95重量%または約85重量%〜約95重量%のような、約65重量%〜約100重量%である。
【0046】
もう1つの具体的な態様において、本発明の固体投与形態は、合計が100重量%を超えない条件で、約60重量%〜約95重量%のカルシウム含有化合物および約5重量%〜約40重量%の医薬的に許容される糖アルコールを含む。あるいは、固体投与形態は、成分の合計が100重量%になる条件で、例えば約65重量%〜約80重量%のような約60〜約94重量%のカルシウム含有化合物、例えば約15〜約30重量%のような約5〜約35重量%の医薬的に許容される糖アルコール、ならびに約1〜約15重量%の1以上の医薬的に許容される賦形剤および/または活性な物質を含む。
【0047】
固体投与形態の破砕された表面のSEM写真は、糖アルコールの異形粒子の表面が1以上のカルシウム含有化合物の表面と密接な接触状態にあることを示す。
好ましい態様において、固体投与形態は、チュアブル錠、舐める錠剤および/または飲み込む錠剤の形態である。チュアブル錠にとって重大なことはその味であり、本発明のそのような錠剤は、少なくとも6人のプロの/熟練の官能試験パネルによって試験されたときに、甘さ、香りおよびチョーク味(chalkiness)に関して、許容される味を有さなければならない。
【0048】
本発明の固体投与形態は、デキストロース、フルクトース、グリセリン、グルコース、イソマルト、ラクチトール、乳糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール、アリテーム、アルパルテーム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸、シクラミン酸塩(例えばシクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タウマチン、サッカリン、サッカリン塩(例えばサッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンカリウム、サッカリンナトリウム)、およびそれらの混合物からなる群から選択される甘味料を含み得る。
【0049】
本発明は、多結晶性で多孔質のカルシウム含有化合物および1以上の医薬的に許容される糖アルコールを含む組成物のローラー圧縮を含む、前で定義された予備圧縮された物質の製造方法にも関する。本発明の主な観点(すなわち予備圧縮された物質)に関する詳細は、必要な変更を加えて、こここおよび本発明のその他の観点に適用する。
【0050】
本発明のさらなる観点は、予備圧縮された物質と錠剤の製造とを組み合わせることである。ローラー圧縮機におけるポケットローラーの使用により、粉末混合物は、固体投与形態、すなわち錠剤へ直接変換され得る。
【0051】
本発明のさらなる観点は、
i) 本明細書で定義されている予備圧縮された物質を製造すること
ii) 1以上の医薬的に許容される賦形剤もしくは添加剤および/または1以上の活性な物質を任意に混合すること、ならびに
iii) 該物質を錠剤に圧縮すること
を含む、カルシウム含有化合物を含む錠剤を製造する方法である。
【0052】
通常、工程iii)における圧縮は、錠剤が約16 mmの直径を有するか、またはカプセルの形状(9.4×18.9 mm)にされるとき、適用される圧縮力が、例えば最大で70 kN、最大で60 kN、最大で50 kN、最大で約40 kN、最大で約30 kNまたは最大で約20 kNのような、最大で約80 kNであるように、錠剤の直径と所望の高さに関して調整される圧縮力で行なわれ、例えば約9 mm、約8 mmもしくは約7 mm、約6 mmもしくは約5 mmのような最大で約10 mmの高さが得られる。
【0053】
特に、本発明は、
i) 炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはそれらの混合物
ii) ソルビトールおよび/またはイソマルト(その他の態様において、マルチトールおよび/またはキシリトールが含まれ得る)
iii) ビタミンD、ならびに
iv) 任意に1以上の医薬的に許容される賦形剤
を含む錠剤の製造方法に関する。
【0054】
該錠剤は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約95重量%の炭酸カルシウム
ii) 約5〜約40重量%のソルビトールおよび/またはイソマルト
iii) 約0.01〜約1重量%のビタミンD、ならびに
iv) 任意に1以上の医薬的に許容される賦形剤
を含み得る。
【0055】
カルシウム含有化合物
本発明により作られる予備圧縮された物質中に含まれるカルシウム含有化合物は、治療的および/または予防的に活性な、生理学的に忍容可能なカルシウム含有化合物である。
【0056】
カルシウムは、イオン化カルシウムおよびカルシウム複合体の両方として、身体の多くの重要な機能に必須である(Campell AK.Clin Sci 1987; 72:1-10)。細胞の挙動および成長はカルシウムにより調節される。トロポニンと共同して、カルシウムは筋収縮および弛緩を制御する(Ebashi S. Proc R Soc Lond 1980; 207:259-86)。
【0057】
カルシウム選択チャンネルは、細胞膜の一般的な特徴であり、神経組織の電気活性および神経分泌顆粒の放電は、細胞内外のカルシウムレベルのバランス機能である(Burgoyne RD. Biochim Biophys Acta 1984;779:201-16)。ホルモンの分泌ならびに重要な酵素および蛋白質の活性は、カルシウムに依存する。最後に、リン酸カルシウム複合体としてカルシウムは、骨格の硬さおよび強さを与える(Boskey AL. Springer, 1988:171-26)。骨は、全身カルシウムの99%以上を含むので、骨格のカルシウムは、主な長期的カルシウム貯留所としても働く。
【0058】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は、特に骨粗鬆症を患っているかまたはその恐れのある患者のカルシウム源として用いられる。さらに、炭酸カルシウムは、制酸錠中の酸中和剤として用いられる。
【0059】
前記のように、カルシウムは、哺乳類の体内、特にヒトにおいて多くの重要な機能を有する。さらに、多くの動物モデルにおいて、慢性の低カルシウム摂取はオステオペニアを生じる。オステオペニアは、皮質骨より海綿骨に影響を及ぼし、カルシウムの補充で完全に可逆的になり得えない。もし、その動物が成長していけば、減じられたカルシウムの摂取は発育阻害を招く。早産新生児において、高いカルシウムの摂取は、骨格のカルシウム付着の増加を大きくし、もし十分高ければ、在胎のカルシウム保持と等しくできる。成長の間に慢性的なカルシウムの不足はくる病を引き起こす。思春期前および後の両方の健康な子供におけるカルシウムの補給は、骨の質量の増加に導く。思春期において、カルシウムの摂取が高いほど、初潮直後に生じる一番高い保持をもって、カルシウムの保持が大きくなる。
【0060】
総合すれば、これらのデータは、子供および思春期において、カルシウムの適切な摂取が考慮されれば、骨質量のピークを、カルシウムで食生活を補完することにより、最適にすることができることを提案する。成長の間に骨格中のカルシウムの沈着を最適にすることに関与するメカニズムは知られていない。それらは、多分、もしカルシウムの供給が高ければ、類骨の最適な石灰化を保証するミネラル化工程の先天的な性質である。カルシウム欠乏の状態での成長の発育阻害に応答する因子も知られていないが、骨格の大きさを調節する成長因子を明らかに含む。
【0061】
大人において、カルシウムの補給は、年齢に関する骨損失の速度を減少させる(Dawson-Hughes B. Am J Clin Nut 1991;54:S274-80)。カルシウムの補給は、食物から最適なカルシウム摂取を達成することができないか、またはできないであろう個体にとって重要である。さらに、カルシウムの補給は、骨粗鬆症等の予防および治療において重要である。
【0062】
その上、カルシウムは、大腸内で抗癌作用を有し得る。いくつかの予備的な研究は、高カルシウム食またはカルシウム補充の摂取は、大腸・直腸癌の減少に関係することを示している。アセチルサリチル酸(ASA)および他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)と組み合わせたカルシウムが直腸結腸癌の危険性を減少させる証拠が増えている。
【0063】
最近の調査研究は、カルシウムが月経前症候群(PMS)を緩和し得ることを提案している。いくらかの研究者は、カルシウム調節の乱れが、PMS症状の進展における根本的な要因であると信じている。ある研究において、米国全体の閉経前の女性の446人グループの半分が三回の月経周期について追跡され、周期を通して毎日1200 mgのカルシウム補給物が与えられた。最終結果は、プラセボを摂取した女性の48%がPMS関連症状を示した。カルシウム錠剤を摂取した人では30%のみだった。
【0064】
例えば、炭酸カルシウムのようなカルシウム塩は錠剤で用いられ、高用量のカルシウムを必要とするため、そのような錠剤は、たいてい、チュアブル錠の形態である。チョーク(chalk)の独特の優勢な味またはフィーリングなしに、快適な味と許容可能な口当りを有するカルシウム塩を含むチュアブル錠に製剤化することは難問である。
【0065】
本発明による使用のためのカルシウム含有化合物は、例えばビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート(calcium cornate)、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート(calcium glubionate)、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート(calcium lactobionate)、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート(calcium pidolate)、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムであり得る。
【0066】
その他のカルシウム源は、水溶性カルシウム塩、または例えばアルギン酸カルシウム、カルシウム-EDTA等のような複合体、または例えば有機リン酸カルシウムのようなカルシウムを含む有機化合物であり得る。骨粉、ドロマイトおよびその他の粗製カルシウム源の使用は、それら供給源が鉛およびその他の毒性汚染物質を含み得るので、思いとどまらされる。しかしながら、そのような供給源は、もしそれらが所望の度合に精製されれば、適切であり得る。
【0067】
カルシウム含有化合物は、単独またはその他のカルシウム含有化合物と組み合わせて用いられ得る。
ビスグリシノカルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、カルシウムコーネート、フッ化カルシウム、カルシウムグルビオネート、グルコン酸カルシウム、カルシウムグリセロホスフェート、リン酸水素カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、乳酸カルシウム、カルシウムラクトビオネート、カルシウムラクトグルコネート、リン酸カルシウム、カルシウムピドレート、ステアリン酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムが特に興味がある。異なるカルシウム含有化合物の混合物も用いられ得る。本明細書の実施例から明らかなように、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムが、カルシウム含有化合物としての使用に特に適しており、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム(Ca5(PO4)OH)およびβ-リン酸三カルシウム(Ca3(PO4))は高いカルシウム含有量を有し、一方、リン酸二カルシウム(CaHPO4)は低いカルシウム含有量を有するが、高密度品質で利用可能である。
【0068】
炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムが特に興味がある。
通常、本発明により製造される錠剤は、例えば約150〜約800 mg、約200〜約700 mg、約200〜約600 mgまたは約200〜約500 mg Caのような、約100〜約1000 mg Caに相当する量のカルシウム含有化合物を含む。
【0069】
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは三つの異なる結晶構造:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し得る。鉱物学的に、これらは、結晶構造中のカルシウム、炭素および酸素原子の明確な配列に関する特異なミネラルの様相である。これらの明確な様相は、結晶形の形状および対称性に影響を及ぼす。
【0070】
例えば、カルサイトは四つの異なる形状:偏三角面体状、プリズム状、球状および菱面体状で入手可能であり、アラゴナイト結晶は、例えば別々かまたは房になった針状形として得られる。例えば立方体形(Scoraからのスコラライト 1A+B)のような他の形状も入手可能である。
【0071】
本明細書の実施例に示されるように、炭酸カルシウムの特に適した品質は、例えば50 μm以下または40 μm以下のような、60 μm以下の平均粒子径を有する炭酸カルシウムである。
さらに、炭酸カルシウムの興味ある品質は、2 g/mLより小さい嵩密度を有する。
【0072】
10〜30 μmの平均粒子径、0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度、および0.3 m2/gの比表面積を有する、炭酸カルシウム2064 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
約3.9 μmの平均粒子径および0.4〜0.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する、炭酸カルシウム2069 Merck(ドイツ、ダルムシュタット、メルクより入手可能);
【0073】
スコラライト 1A(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、5〜20 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、10〜25 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.4〜0.6 m2/gの比表面積を有する;
スコラライト 1A+1B(フランス、Scora Watrigant SAより入手可能)は、7〜25 μmの平均粒子径、0.7〜1.2 g/mLの見掛け嵩密度、および0.35〜0.8 m2/gの比表面積を有する;
【0074】
ファーマカルブ(Pharmacarb) LL(Mahawah New Jersie、Chr. Hansenから入手可能)Lは、12〜16 μmの平均粒子径、1.0〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する;
スターカル H(Pensylvania、Bethlehem、Specialty Mineralsから入手可能)は、約4 μmの平均粒子径、0.48〜0.61 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル F(Pensylvania、Bethlehem、Specialty Mineralsから入手可能)は、約2.5 μmの平均粒子径、0.32〜0.43 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
スターカル M(Pensylvania、Bethlehem、Specialty Mineralsから入手可能)は、7 μmの平均粒子径、0.7〜1.0 g/mLの見掛け嵩密度、および1.5 m2/gの比表面積を有する;
【0075】
スターカル L(Pensylvania、Bethlehem、Specialty Mineralsから入手可能)は、約7 μmの平均粒子径、0.78〜0.96 g/mLの見掛け嵩密度を有し、スターカル Lは偏三角面体形状結晶からなる;
ソーカル(Socal) P2PHV(ベルギー、ブリュッセル、Solvayから入手可能)は、1.5 μmの平均粒子径、0.28 g/mLの見掛け嵩密度、および7.0 m2/gの比表面積を有し、ソーカル P2PHVは偏三角面体形状結晶からなる;
【0076】
ミクハート(Mikhart) 10、SPL、15、40および65 (フランス、Provencale、Provencaleから入手可能);
ミクハート 10は10 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート SPLは20 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 15は17 μmの平均粒子径を有する、
ミクハート 40は30 μmの平均粒子径、1.1〜1.5 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
ミクハート 65は60 μmの平均粒子径、1.25〜1.7 g/mLの見掛け嵩密度を有する;
【0077】
フバーカル エリート(Hubercal Elite) 500(アメリカ、J.M.Huber Corp.より入手可能)は、5.8 μmの平均粒子径および1.8 m2/gの比表面積を有する;
フバーカル エリート 500(アメリカ、J.M.Huber Corp.より入手可能)は、8.2 μmの平均粒子径および1.3 m2/gの比表面積を有する;
【0078】
オムヤピュア(Omyapure) 35(フランス、パリ、Omya S.A.Sから入手可能)は、5〜30 μmの平均粒子径、および2.9 m2/gの比表面積を有する;
【0079】
10〜30 μmの平均粒子径、0.9〜1.2 g/mlの見掛け嵩密度、および0.7 m2/gの比表面積を有する、カルシ ピュア(Calci Pure) 250 Heavy、カルシ ピュア 250 Extra Heavyおよびカルシ ピュア GCC HD 212(セントルイス モンタナ、Particle Dynamic Inc.から入手可能)。
【0080】
リン酸カルシウム
約70 μmの平均粒子径および約1.3 g/mlの嵩密度ならびに多結晶性および多孔性を有するダイ-カホス(DI-CAFOS) A (CaHPO4)(ドイツ、Buddenheim、Chemische Fabrik Buddenheim KG から入手可能);
平均粒子径<7 μmおよび約0.9 g/mlの嵩密度を有するダイ-カホス PA (CaHPO4)(ドイツ、Buddenheim、Chemische Fabrik Buddenheim KG から入手可能);
【0081】
平均粒子径<6 μmおよび約0.25 g/mlの嵩密度ならびに多結晶性および多孔性を有するトリ-カホス(TRI-CAFOS) P (Ca5(PO4)3OH)(ドイツ、Buddenheim、Chemische Fabrik Buddenheim KG から入手可能);
約70 μmの平均粒子径および約0.5 g/mlの嵩密度を有するトリ-カホス S (Ca5(PO4)3OH)(ドイツ、Buddenheim、Chemische Fabrik Buddenheim KG から入手可能);
【0082】
平均粒子径<5 μmおよび約0.6 g/mlの嵩密度を有するカホス(CAFOS) DB (Ca3(PO4)2)(ドイツ、Buddenheim、Chemische Fabrik Buddenheim KG から入手可能);
その他の品質も、それらが多結晶性で多孔性である条件で、本発明による使用に適し得る。
【0083】
本発明により製造される錠剤中のカルシウム含有化合物の含量は、例えば約45重量%〜約98重量%、約50重量%〜約95重量%、約55重量%〜約90重量%または少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%もしくは少なくとも約75重量%のような、約40重量%〜約100重量%の範囲である。
【0084】
通常、治療的または予防的目的のためのカルシウムの用量は、1日、約350 mg(例えば新生児)〜約1200 mg(授乳婦)である。錠剤中のカルシウム含有化合物の量は、錠剤が1日、1〜4回、好ましくは1日、1回か2回の投与に適するように調整され得る。
【0085】
前で述べたように、本発明の方法により得られる粒状物は、そのままで用いてもよいが、それは、例えば錠剤、カプセル剤またはサシェットのような固体の投与形態にさらに製造されるのに非常に適してもいる。
当業者は、所望のカルシウム含有製品を得るために、その組成および種々の工程パラメータの調整の仕方を知るであろう。
【0086】
本発明の一つの態様において、本方法により得られる粒状物は、錠剤に製造されることを意図されている。しばしば、得られる粒状物の付着を避け、そして/または流動性を増加するために、1以上の医薬的に許容される賦形剤(例えば滑沢剤)を加えることが必要である。したがって、本方法は、得られる粒状物と1以上の医薬的に許容される賦形剤とを混合する工程も含み得る。
【0087】
カルシウム含有化合物以外の活性な物質を含むことが望まれる場合、本方法は、得られる粒状物に1以上の治療的、予防的および/または診断的に活性な物質を加える工程も含み得る。
そのような物質は、例えば、1以上のビタミンまたはミネラルのような、1以上の栄養剤を含む。具体的な態様において、さらなる活性な物質は、例えばビタミンD3、ビタミンD2またはそれらの誘導体のようなビタミンDである。
【0088】
ビタミンDまたはその他の活性物質
本発明により得られる予備圧縮された物質ならびに錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得る。1以上のビタミン化合物に特に興味がある。非限定の例は、ロシュ(Roche)から入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPである。
【0089】
本発明により製造される予備圧縮された物質または錠剤は、さらなる医薬的および/または予防的に活性な物質を含み得るか、例えば1以上のビタミンまたはミネラルのような1以上の栄養剤を含み得る。例えばビタミンB、ビタミンC、ビタミンDおよび/またはビタミンK、およびそれらの混合物、ならびに例えば亜鉛、マグネシウム、セレン等のようなミネラルが特に興味がある。
【0090】
例えばビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ならびにロシュから入手可能な乾燥ビタミンD3、100 CWSおよびBASFから入手可能な乾燥ビタミンD3 100 GFPを含むビタミンD3(コレカルシフェロール)のような、1以上のビタミンD化合物が特に興味がある。
【0091】
カルシウムおよび骨格の恒常性への作用に加えて、ビタミンDは、身体のいくつかの主なシステムの調節に関与する。ビタミンDの作用は、主に腎臓で作られる1,25-(OH)2 ビタミンDとビタミンD受容体(VDR)とで形成される複合体によりゲノムでメディケート(medicated)される。ビタミンD受容体は多くのセルタイプ中に広く分布している。1,25-(OH)2 ビタミンD/VDR複合体は、細胞分化および免疫系において重要な調節の役割を有している。これらの作用のいくつかは、多分、腎臓よりも他のある組織の、局所的に1,25-(OH)2 ビタミンDを作り、傍分泌として作用する能力に依存する(Adams JSら、Endocrinology 1996;137:4514-7)。
【0092】
ヒトにおいて、ビタミンDの欠乏は、小児においてくる病および大人において骨軟化症をもたらす。基本的な異常は、石灰化は骨芽細胞により行なわれるので、類骨から離れる石灰化速度の遅れである(Peacock M. London Livingstone, 1993:83-118)。この遅れが、骨芽細胞における、1,25-(OH)2 ビタミンD-依存メカニズムの破綻によるか、もしくは吸収不良の次のカルシウムおよびホスフェートの供給の減少によるか、または二つの組み合わせによるかどうかは明らかではない。石灰化の遅れに伴い、カルシウムおよびホスフェートの供給減少、低カルシウム血症および低リン酸塩血症を伴う重篤な二次性上皮小体機能亢進症および骨交替(turnover)の増加がある。
【0093】
ビタミンDの不足、ビタミンD欠乏の前臨床段階も、欠乏で見られるより緩和な度合ではあるが、カルシウム供給の減少および二次性上皮小体機能亢進症を引き起こす。もし、この状態が慢性になれば、オステオペニアを生じる。このカルシウムの不足状態の根底にある生化学的プロセスは、多分、その基質の25-OHDの還元による1,25-(OH)2 ビタミンDの不適切なレベルである(Francis RMら、Eur J Clin Invest 1983; 13:391-6)。
【0094】
ビタミンD不足の状態は、高齢者において、最も一般的に見られる。年齢に伴い、日光曝露の減少および起こり得る皮膚合成の減少により、血清25-OH ビタミンDが減少する。さらに、高齢者において、カルシウム取り込みの減少および逆説的なカルシウム吸収の減少により、この状態は悪化させられる。腎の1,25-(OH)2 ビタミンD産生の減少を生じる、年齢に伴う腎機能の減少が要因となり得る。
【0095】
高齢者の骨損失における、ビタミンD補給の効果の多くの研究がある。あるヒトはカルシウムの補給なしに、他のヒトはカルシウムの補給を伴う。その研究から、ビタミンD補給は欠乏および不足を覆すのに必要ではあるが、主な骨格の異常はカルシウム欠乏であるので、骨格に関する限りは、カルシウムを補給することがましてやなおさら重要であることが分かる。
【0096】
臨床試験に基づく文献において、最近の発見は、高齢の患者に対して、より高用量のビタミンDの必要性の傾向を提案している(Compston JE. BMJ 1998;317:1466-67)。ビタミンD 150.000〜300.000 IUの毎年の注射(約400〜800 IU/日に相当)のオープン準ランダム研究は、治療患者において、体全体の骨折率の有意な減少を示したが、股関節骨折の率には有意な減少を示さなかった(Heikinheimo RJら、Calcif Tissue Int 1992; 51:105-110)。
【0097】
前記から分かるように、カルシウムとビタミンDの組み合わせに興味がある。カルシウムとビタミンD3の推奨される一日許容量(recommended Daily Allowance (RDA))は次のとおりである(欧州委員会、欧州共同体中の骨粗鬆症の報告、予防のための処置、欧州共同体の公報局、ルクセンブルグ 1988):
【0098】
グループ年齢(歳) カルシウム(mg)* ビタミンD3 (μg)
新生児 0-0.5 400 10-25
0.5-1.0 360-400 10-25
小児 1.0-3.0 400-600 10
4.0-7.0 450-600 0-10
8.0-10 550-700 0-10
【0099】
男性 11-17 900-1000 0-10
18-24 900-1000 0-15
25-65 700-800 0-10
65+ 700-800 10
女性 11-17 900-1000 0-15
18-24 900-1000 0-10
25-50 700-800 0-10
51-65 800 0-10
65+ 700-800 10
妊婦 700-900 10
授乳婦 1200 10
* カルシウムのRDAは、国によって変わり、多くの国で再評価中である。
【0100】
ビタミンDは湿気に非常に感受性であり、分解される。それゆえ、ビタミンDは保護マトリックスの状態でしばしば投与される。したがって、ビタミンDを含んで錠剤が製造されるとき、錠剤化工程の間に適用される圧縮力が、マトリックスの保護効果を減少せず、それによりビタミンDの安定性を損なわないことが、最も重要である。
【0101】
このために、本発明により製造される粒状物または錠剤中の種々の成分の組み合わせは、錠剤化の間に比較的低い圧縮力を用い、適当な機械的強度(粉砕強度、破砕性等)を有する錠剤をそれでも達成することができるので、ビタミンDもその組成物中に組み込まれる場合に、非常に適していることが証明された。
【0102】
具体的な態様において、本発明は、
i) 活性物質としてカルシウム含有化合物、
ii) ビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤(actives)
を含む錠剤を提供する。
【0103】
より具体的には、本錠剤は、
i) 少なくとも200 mgのカルシウム含有化合物(通常の範囲200〜1500 mg)、
ii) 少なくとも5 μgのビタミンD(通常の範囲5〜100 μg - 1 μg=40 IU)、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0104】
具体的な態様において、本発明は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約0.00029重量%〜約0.0122重量%のビタミンD、および
iii) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤および活性剤
を含む錠剤を提供する。
【0105】
特に、本錠剤は、成分の全量が約100重量%に相当する条件で、
i) 約50重量%〜約90重量%のカルシウム含有化合物、
ii) 約5〜40重量%の甘味剤
iii) 約0.12重量%〜約4.9重量%の保護マトリックスを含むビタミンD、
iv) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤または活性剤
を含み得る。
【0106】
医薬的に許容される賦形剤
本文脈において、「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、それ自体があらゆる治療的および/または予防的効果を実質的に有しない意味で不活性である、あらゆる物質を意味することが意図される。医薬的に許容される賦形剤は、許容可能な技術的性質を有する医薬組成物を得ることを可能にする目的で、活性薬物に加えられ得る。医薬的に許容される賦形剤は、活性な薬物の放出にいくらかの影響を及ぼし得るが、修飾された(modified)放出を得ることに役立つ物質は、この定義に含まれない。
【0107】
カルシウム含有化合物および糖アルコールは、ローラー圧縮前または後に、1以上の医薬的に許容される賦形剤と混合もされ得る。そのような賦形剤は、例えば充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤のような固形剤の製剤化に通常用いられるものを含み、甘味料、pH調整剤、安定化剤等を含む。
【0108】
典型的には、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋されたポリマー)、クロスポビドン、澱粉NF;ポラクリリンナトリウムまたはカリウムおよびナトリウム澱粉グリコレートからなる群から選択される.当業者は、圧縮性の錠剤が30分以内、より望ましくは10分以内、最も望ましくは5以内に崩壊することが望ましいことを認識するであろう、それゆえに、用いられる崩壊剤は、30分以内、より好ましくは10分以内、最も好ましくは5以内に錠剤の崩壊をもたらすのが好ましい。
【0109】
用いられ得る崩壊剤の例は、例えば微結晶質セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(例えばLH 22、LH 21、LH 20、LH 32、LH 31、LH30)を含むセルロース誘導体;馬鈴薯澱粉を含む澱粉;クロスカルメロースナトリウム(すなわち架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム塩;例えばアク-ジ-ソル(Ac-Di-Sol)(登録商標));アルギン酸またはアルギネート;不溶性ポリビニルピロリドン(例えばポリビドン(Polyvidon)(登録商標)CL、ポリビドン(登録商標)CL-M、コリドン(Kollidon)(登録商標)CL、ポリプラスドン(Polyplasdone)(登録商標)XL、ポリプラスドン(登録商標)XL-10);カルボキシメチル澱粉ナトリウム(例えばプリモゲル(Primogel)(登録商標)およびエクスプロタブ(Explotab)(登録商標))である。
【0110】
ポリオール、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール(Erythritol)(登録商標)、タガトース(Tagatose)(登録商標)、乳糖(例えば噴霧乾燥乳糖、α-乳糖、β-乳糖、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々のグレードのファーマトース(Pharmatose)(登録商標)、ミクロトースまたはファースト-フロック(Fast-Floc)(登録商標))、微結晶質セルロース(例えば、アビセル(Avicel)(登録商標)PH101、アビセル(登録商標)PH102またはアビセル(登録商標)PH105のような種々のグレードのアビセル(登録商標)、エルセマ(Elcema)(登録商標)P100、エムコセル(Emcocel)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミング タイ(Ming Tai)(登録商標)およびソルカ-フロック(Solka-Floc)(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)(例えばL-HPC-CH31、L-HPC-LH11、LH 22、LH 21、LH 20、LH 32、LH 31、LH30)、デキストリン、マルトデキストリン(例えばロデクス(Lodex)(登録商標)5およびロデクス(登録商標)10)、澱粉または加工澱粉(馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉およびコメ澱粉を含む)、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムのような充填剤/希釈剤/結合剤が組み込まれ得る。
【0111】
本発明により作られる医薬組成物において、特に微結晶質セルロース、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、マルトデキストリン、澱粉および加工澱粉が、うまく適用され得る。
【0112】
本発明の具体的な態様において、カルシウム含有化合物は、1以上の医薬的に許容される結合剤と一緒にローラー圧縮され得るか、またはローラー圧縮後に結合剤が加えられ得る。湿式造粒工程で普通に用いられる結合剤は、集塊の間に本質的に液体が存在しないので、同一程度に機能することができないようであるが、好適な結合剤は、製薬の分野において通常に用いられるものを含む。
【0113】
より具体的には、例は、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、L-HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微結晶質セルロース(MCC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)等を含むセルロース誘導体;
【0114】
デキストロース、フルクトース、グルコース、イソマルト、乳糖、マルトース、ショ糖、タガトース、トレハロース、イヌリンおよびマルトデキストリンを含む、
モノ-、ジ-、オリゴ-、ポリサッカライド;
【0115】
例えばラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールおよびイノシトールのような糖アルコールを含むポリオール;
コリドンK30、コリドン90FまたはコリドンVA64を含むポリビニルピロリドン、および
カゼインを含むタンパク質
を含む。
【0116】
ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、タルク、高い溶融温度を有する蝋およびグリセリド、コロイドシリカ、ナトリウムステアリルフマレート、ポリエチレングリコールならびに硫酸アルキルのような、グリダントおよび滑沢剤が組み込まれ得る。
【0117】
非イオン性(例えばポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、ソルビタン モノイソステアレート、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノパルミテート、ソルビタン モノステアレート、ソルビタン モノオレエート、ソルビタン セスキオレエート、ソルビタン トリオレート、グリセリル モノオレエートおよびポリビニルアルコール)、アニオン性(例えばドキュセート ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム)およびカチオン性(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド)またはそれらの混合物のような界面活性剤が用いられ得る。
【0118】
その他の適当な医薬的に許容される賦形剤は、着色剤、着香剤および緩衝剤を含み得る。
請求項から明らかなように、本発明は、ローラー圧縮により得られる予備圧縮された物質を固体投与形態に加工する工程を含む方法も提供する。そのような投与形態は、コーティングが該組成物からの活性な薬物の放出を実質的に遅らせない条件で、コーティングにより提供され得る。典型的には、フィルムコーティングが用いられ得る。
【0119】
好適な滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油等を含む。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
好適な充填剤は、キシリトール、マンニトール、圧縮性砂糖、乳糖、リン酸カルシウムおよび微結晶質セルロースを含む。
【0120】
好適な人工甘味料は、デキストロース、フルクトース、グリセリン、グルコース、イソマルト、ラクチトール、乳糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、タガトース、トレハロース、キシリトール、アリテーム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸、シクラミン酸塩(例えばシクラミン酸カルシウム、シクラミン酸ナトリウム)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タウマチン、サッカリン、サッカリン塩(例えばサッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンカリウム、サッカリンナトリウム)、およびそれらの混合物を含む。
必要に応じて、公知の着香剤および公知のFD & C着色剤が組成物に加えられ得る。
【実施例】
【0121】
実施例1
規則的な形状ならびに多結晶性で多孔質な炭酸カルシウム化合物のローラー圧縮に基づく錠剤の比較
検討は次の製剤に基づく:
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
1〜14の全ての試験に対して、糖アルコールは塊が250 μmのスクリーンを用いた揺動篩中で粉砕され、その後、炭酸カルシウムと高剪断混合機(低インペラー速度でかつ無チョッパーでのFielder PM 25)中で2分間混合された。
混合物はローラー圧縮機(compactor)(Gerteis 3W-Polygran)で粒状化された。最後に、ステアリン酸マグネシウムでの滑沢化が手動でなされた。
【0125】
ローラー圧縮は、ギザギザの付いたローラーとコントロールでの設定に基づいた。主な設定パラメータは:ギャップ幅(GW)、力(F)、ローラー速度(RS)およびスクリーンサイズである。
【0126】
【表3】

【0127】
粒状物は、楕円形 (18.9×9.4 mm)のパンチを有する錠剤プレスを十分に備えたFette PT1090で錠剤化された。錠剤重量は約1,683 mgであった。製造過程の全ての粉砕強度データはSchleuniger AT4を用いて得られる。
【0128】
図1に基づいて、規則的な形状の炭酸カルシウムに対して、選択された糖アルコールのタイプおよび粒子径が粉砕強度に有意な影響を及ぼすことが理解され得る。微細な粒子径を有するソルビトールまたはイソマルトが好ましい。異なる糖アルコールの錠剤粉砕強度への影響は、図2に示されるように、圧縮性の差によって説明され得る。この図において、個々の糖アルコール単独に基づく錠剤の粉砕強度が測定されている。
【0129】
しかしながら、図3に基づき、非規則的な形状の炭酸カルシウムに対して、糖アルコールのタイプおよび粒子径は実用的な使用にとって重要でない。非規則的な形状の炭酸カルシウムを含む全ての錠剤は、微細粒子径を有する好ましい糖アルコールと一緒に規則的な形状の炭酸カルシウムを用いることによって得られるもの最大またはそれを超えた粉砕強度を有する。
【0130】
規則的な形状および多結晶性で多孔質な炭酸カルシウムに基づく錠剤の粉砕強度を比較したときに観測される、多結晶性で多孔質なカルシウム含有化合物のより良い圧縮性は、図4に示されるように、揃った粒状物(matching granulates)の篩分析を比較したときにも見られ得る。この図において、微細、すなわち125 μmより低い粒子の有意により高い量は、規則的な形状の炭酸カルシウムを含むバッチにおいて見られ得る。最適な圧縮性が低くなるにつれて、微細な量が高くなることを引き起こす。
【0131】
実施例2
多結晶性で多孔質な炭酸カルシウム含有化合物のローラー圧縮に基づく、異なる糖アルコール含量での錠剤の比較
検討は次の製剤に基づいた。試験番号
【0132】
【表4】

【0133】
全ての試験に対して、糖アルコールは塊が250 μmのスクリーンを用いた揺動篩中で粉砕され、その後、炭酸カルシウムと手動で混合された。
全ての試験に対して、混合物は実施例1に従ってローラー圧縮機で粒状化された。
全ての試験に対して、ステアリン酸マグネシウム(0.3%)で滑沢化が手動で行なわれた。
【0134】
粒状物は、楕円形 (18.9×9.4 mm)のパンチを有する錠剤プレスを十分に備えたFette PT1090で錠剤化された。錠剤重量は7.0 ± 0.1 mmの錠剤の高さが達成されるように調整された。製造過程の全ての粉砕強度データはSchleuniger AT4を用いて得られた。
【0135】
実施例1から予想されるように、図10から、約25 %のキシリトールの濃度の使用は、規則的な形状の炭酸カルシウムおよび最適な粒子径、すなわち「インスタント(instant)ソルビトール」のそれより小さいサイズを有するソルビトールを用いたときに見られるような圧縮性を与えることが理解され得る。
【0136】
5および10%でのキシルトールの濃度は、好適な粉砕強度を得るためのより高い圧縮力を用いることの必要性により証明されるように、幾分低い最適な圧縮性をもたらす。このことは、多結晶性多孔質構造を有する炭酸カルシウムの使用は、錠剤の官能性に影響をおよぼすのに十分に高い量でのキシリトールの添加を可能にすることを意味する。スターカル Lの官能性は、スコラライトを用いたときに経験するより顕著に劣るので、キシリトールの添加が必要とされる。
圧縮性のさらなる議論は、実施例6で続けられる。
【0137】
実施例3
リン酸カルシウム含有化合物のローラー圧縮に基づく錠剤の比較
リン酸カルシウムを含む錠剤の官能性は、スコラライトを含む錠剤に比べて顕著に劣るので、キシリトールの添加が必要とされる。これに関連して、もしキシリトールの濃度の変化が、錠剤の粉砕性に限られた影響を及ぼすかまたは及ぼさなければ、それは明らかな優位性となる。このことは、キシリトールの味マスキング性の十分な効果を利用することができることを意味する。実施例1、図2から判るようにキシリトールは劣った圧縮性を有する糖アルコールなので、このことは課題である。
検討は次の製剤に基づいた。
【0138】
【表5】

【0139】
全ての試験に対して、糖アルコールは塊が250 μmのスクリーンを用いた揺動篩中で粉砕され、その後、リン酸カルシウムと手動で混合された。
実施例15〜29の試験に対して、混合物は実施例1に従ってローラー圧縮機で粒状化された。
【0140】
30〜39の試験に対して、カルシウム化合物はDC-品質であったので、錠剤化が可能な状態の粒状物を得るための混合物の造粒化は必要でなかった。
全ての試験に対して、ステアリン酸マグネシウム(0.3%)で滑沢化が手動で行なわれた。
【0141】
粒状物は、楕円形(18.9×9.4 mm)のパンチを有する錠剤プレスを十分に備えたFette PT1090で錠剤化された。錠剤重量は7.0 ± 0.1 mmの錠剤の高さが達成されるように調整された。製造過程の全ての粉砕強度データはSchleuniger AT4を用いて得られた。
【0142】
図5に基づいて、トリ-カホス P品質のリン酸三カルシウムの使用は、規則的な形状の炭酸カルシウムおよび最適な粒子径を有するソルビトールを用いたとき(試験2)と同じ粉砕強度を得るために、より低い主圧縮力(main compression force)を必要とすることが理解され得る。このことは、リン酸カルシウムが、劣った圧縮性を有する糖アルコールによって希釈されていても達成される(実施例1、図2参照)。さらに、キシリトールの濃度の粉砕強度への有意な影響は見られない。
【0143】
図6から、カルシウム化合物がダイカホス PAであるとき、試験2に匹敵する粉砕強度を有する錠剤を得るために約2倍量の糖アルコールが必要なことが理解され得る。このことは、図2に示されるようにキシリトールの乏しい圧縮性およびキシリトールが、ソルビトールの場合のように圧縮の間に再分されないことの両方により引き起こされる。
【0144】
さらに、図6で用いられるダイカホス PAは、非規則的な形状のカルシウム含有化合物である(図22参照)。したがって、カルシウム含有化合物の非規則性は、カルシウム含有化合物および糖アルコールのローラー圧縮を可能にするのに十分ではない。本明細書に記載されるように、カルシウム含有化合物が多結晶性で多孔性を有することが重要である。図6Aから、ダイカホス PAはそれ自体で密である、すなわち、それは多孔質構造を有しない。さらに、ダイカホス PAは多結晶性ではない。
【0145】
図6と5を比較するとき、ダイカホス PAは、トリカホス Pより劣った圧縮性を有することが理解され得る。このことは、実施例6でさらに明らかにされる。
図7から、カホス DB品質のβ-リン酸三カルシウムの使用は、劣った圧縮性を有する粒状物をもたらすことが理解され得る。この結果として、試験25〜27から、満足な錠剤を得ることはできず、試験28〜29からの錠剤はキャッピング(capping)した。このことは実施例6でさらに議論される。
【0146】
図8から、25%以下の濃度のキシリトールは、細密性の錠剤をもたらすことが理解され得る。25%までのキシリトールの濃度は、粉砕強度の影響を及ぼさないが、一方、40%の濃度は、高い主圧縮力で錠剤をキャッピングすることをもたらす。糖アルコールの高い濃度でもあるキシリトール/ソルビトール混合物の使用は、全く圧縮できない。このことは、実施例6でさらに議論される。
【0147】
図9から、ダイ-カホス A品質のリン酸二カルシウムと混合されたキシリトールの用いられた全ての濃度は、規則的な形状の炭酸カルシウムと最適な粒子径を有するソルビトールとが用いられる粒状物に基づく錠剤に匹敵する錠剤をもたらす(本発明者らは、「インスタントソルビトール」のそれよりずっと小さい平均粒子径を有するソルビトールは、規則的な形状のカルシウム含有化合物と一緒に圧縮するときに、使用にずっと好ましいことを以前に見出している)。キシリトール/ソルビトールの混合物は、さらに好ましい圧縮性を有する。このことは、実施例6でさらに議論される。
【0148】
この実施例に基づき、リン酸カルシウム品質は全て、ローラー圧縮に付すことに等しく容易であるとは限らないことを、本発明者らは驚くべきことに見出した。多結晶性および多孔性が、リン酸カルシウムをローラー圧縮することができるかどうかに主な影響を及ぼす。
【0149】
実施例4
糖アルコールの混合物を有するおよび有さないリン酸カルシウム含有化合物のローラー圧縮に基づく錠剤の比較
検討は次の製剤に基づいた。
【0150】
【表6】

【0151】
トリ-カホス P、試験46は、実施例1に基づいたパラメータを用いて、実施例1のようにローラー圧縮された。滑沢化および錠剤化も実施例1のようになされた。試験15および19は実施例3に記載されている。
【0152】
図11に見られるように、劣った圧縮性を有する賦形剤、すなわち実施例1の図2で見られるようなキシリトールの添加は、より劣った粉砕強度の錠剤をもたらす。
最適粒子のソルビトールと混合されたキシリトールのリン酸三カルシウムへの添加は、純粋なリン酸三カルシウムで得ることができるものと同様の粉砕強度をもたらす。
【0153】
実施例5
リン酸カルシウム化合物のローラー圧縮に基づく錠剤の官能評価
官能評価は、次の試験からの錠剤で行なわれた:
【0154】
リン酸三カルシウム(トリ-カホス P)および40% キシリトールを含む実施例3の試験18、リン酸二カルシウム(ダイ-カホス A)ならびに5%、10%および25% キシリトールをそれぞれ含む試験35、36および37。
官能試験は、7人の訓練を受けた人物により行なわれた。試験はISO 8587 (順位付け試験)およびISO 5495 (2点試験(paired test))によりなされた。
【0155】
この評価の結果は次のとおりである:
ダイ-カホス Aに対して:
・キシリトールの5%含量は、味マスキングに対して最適でない。
・10〜25%のキシリトール含量の変化は、キシリトールの味マスキング性へ有意な影響を及ぼさない。
・試験された全ての錠剤に対して、用いられたダイ-カホス Aの大きい粒子径は、砂様の感覚(sand like sensation)をもたらした。
【0156】
トリ-カホス Pに対して:
・ダイ-カホス Aに対して見られると同様な味マスキングを得るために、キシリトールの40%レベルが必要とされた。
・小さい粒子径のために、砂様の感覚は感知されなかった。
【0157】
実施例6
SEM分析に基づく、リン酸カルシウムおよび多結晶性で多孔質な炭酸カルシウムの圧縮性の評価
粉末品質に対して、次の結論が引き出され得る:
図12〜15を基に、カルシウム化合物が約数μmの平均粒子径を有すれば、密着性錠剤(coherent tablet)が得られることが理解され得る。さらに、各粒子は、多孔質構造をもたらす多結晶性でなければならない。実施例2、図10および実施例3、図5に見られるように、スターカル L (炭酸カルシウム)またはトリカホス P (リン酸三カルシウム)の使用は、高い粉砕強度の錠剤をもたらす。
【0158】
これと対照的に、図18および19から、非多孔質構造の粒子(カホス DB、β-リン酸三カルシウム)は、低い圧縮力においてさえ、キャッピングを示す非密着性錠剤をもたらす。さらに、40%より低い糖アルコールの添加は、実施例3に記載されるように満足な錠剤をもたらさなかった。ダイカホス PA (リン酸二カルシウム)は、非多孔質構造でもある(図(fugyres)22および23を参照)ので、粉砕強度に関して同じ傾向が見られる。高い濃度のキシトールでは、キャッピング傾向がそれほど顕著でないので、粉砕強度はカホス DBと比べて幾分改善される。
【0159】
直接圧縮性の(dc)カルシウム品質に対して、次の結論が引き出せ得る:
図20および21から、もし用いられるカルシウム化合物がdc品質であれば、トリカホス S(リン酸三カルシウム)のような非多孔質構造の粒子でさえも、実施例3、図8で明らかにされるように、高い粉砕強度の錠剤をもたらすことが理解され得る。このことは、多分、結合可能な状態の新しい面を生じる粒子の破砕により引き起こされる。しかしながら、高いキシリトール濃度は、この効果を妨げる。
【0160】
実施例3における図9と組合わされた図16および17から、もしdc品質が、ダイカホス A (リン酸二カルシウム)のような多孔質構造をもたらす多結晶性を有する粒子から構成されれば、その錠剤は、スターカル Lおよびトリカホス Pで見られるように、数μmのサイズを有する多孔質粒子で見られると等しい粉砕強度になるであろう。
【0161】
この例に基づき、キシリトールのような劣った結合剤を用いるとき、満足な錠剤粉砕強度を得るために、カルシウム化合物から次のことが要求されることが結論され得る:
炭酸カルシウムに対して:
・多結晶性粒子
・該粒子は多孔質構造を有すべきである。
【0162】
リン酸カルシウムに対して:
数ミクロンの平均粒子径を有する粒子
*該粒子は多結晶性であるべきである。
*該粒子は多孔質構造を有すべきである。
・DC品質である粒子
*該粒子の多孔質構造が有利である。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】スコラライト品質の炭酸カルシウムに対して、選択された糖アルコールのタイプおよび粒子径を用いた試験の粉砕強度に及ぼす影響を示した図である。
【図2】異なる糖アルコールの錠剤粉砕強度への影響を示した図である。
【図3】スターカル L品質の炭酸カルシウムに対して、選択された糖アルコールのタイプおよび粒子径を用いた試験の粉砕強度に及ぼす影響を示した図である。
【図4】スコラライトおよびスターカル品質を用いた試験における篩分析の結果を示した図である。
【図5】トリ-カホス P品質のリン酸三カルシウムを用いた試験における、主圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【図6】ダイ-カホス PA品質のリン酸カルシウムを用いた試験における、圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【0164】
【図7】カホス DB品質のリン酸カルシウムを用いた試験における、圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【図8】トリ-カホス S品質のリン酸カルシウムを用いた試験における、圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【図9】ダイ-カホス A品質のリン酸カルシウムを用いた試験における、圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【図10】スターカル L品質の炭酸カルシウムを用いた試験における、圧縮力と粉砕強度の関係を示した図である。
【図11】トリ-カホス P品質のリン酸カルシウムを用いた試験における、主圧縮力と粉砕強度を示した図である。
【図12】スターカル L品質の炭酸カルシウムの粉末のSEM写真である。
【0165】
【図13】スターカル L品質の炭酸カルシウムを用いた試験43の錠剤断面のSEM写真である。
【図14】トリカホス P品質のリン酸三カルシウムの粉末のSEM写真である。
【図15】トリカホス P品質のリン酸三カルシウムを用いた試験18の錠剤断面のSEM写真である。
【図16】ダイカホス A品質のリン酸二カルシウムの粉末のSEM写真である。
【図17】ダイカホス A品質のリン酸二カルシウムを用いた試験38の錠剤断面のSEM写真である。
【図18】カホス DB品質のβリン酸三カルシウムの粉末のSEM写真である。
【0166】
【図19】カホス DB品質のβリン酸三カルシウムを用いた試験28の錠剤断面のSEM写真である。
【図20】トリカホス S品質のリン酸三カルシウムの粉末のSEM写真である。
【図21】トリカホス S品質のリン酸三カルシウムを用いた試験33の錠剤断面のSEM写真である。
【図22】ダイカホス PA品質のリン酸二カルシウムの粉末のSEM写真である。
【図23】ダイカホス PA品質のリン酸二カルシウムを用いた試験23の錠剤断面のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶性の多孔質構造を有する、1以上のカルシウム含有化合物および1以上の糖アルコールを含む予備圧縮された物質。
【請求項2】
カルシウム含有化合物の濃度が、例えば約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上のような、約60重量%以上である、請求項1に記載の予備圧縮された物質。
【請求項3】
1以上の糖アルコールの濃度が、例えば約7.5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上または約40重量%のような、約5重量%以上である、請求項1または2に記載の予備圧縮された物質。
【請求項4】
カルシウム含有化合物が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウムおよびリン酸二カルシウムを含むリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ビスグリシノカルシウム、クエン酸マレエートカルシウム、溶媒和物を含むヒドロキシアパタイト、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項5】
カルシウム含有化合物が炭酸カルシウムである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項6】
カルシウム含有化合物がスターカル Lを含むスターカルおよびソーカル P2PHVである、請求項1〜5のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項7】
カルシウム含有化合物がリン酸カルシウムである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項8】
リン酸カルシウムがリン酸三カルシウム、リン酸二カルシウムまたはリン酸モノカルシウムである、請求項7に記載の予備圧縮された物質。
【請求項9】
リン酸カルシウムがリン酸三カルシウム(Ca5(PO4)3OH)である、請求項8に記載の予備圧縮された物質。
【請求項10】
リン酸カルシウムがリン酸二カルシウム(CaHPO4)である、請求項8に記載の予備圧縮された物質。
【請求項11】
カルシウム含有化合物が直接圧縮できる形態にある、請求項1〜10のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項12】
糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イノシトール、イソマルトおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項13】
スターカル Lおよびキシリトールを含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項14】
スターカル Lおよびマンニトールを含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項15】
スターカル Lおよびマルチトールを含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項16】
トリカホス Pおよびキシリトールを含む、請求項1〜15のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項17】
トリカホス Pおよびマンニトールを含む、請求項1〜16のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項18】
トリカホス Pおよびマルチトールを含む、請求項1〜17のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項19】
ダイカホス Aおよびキシリトールを含む、請求項1〜18のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項20】
ダイカホス Aおよびマンニトールを含む、請求項1〜19のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項21】
ダイカホス Aおよびマルチトールを含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項22】
キシリトールとも、マンニトールともマルチトールとも異なる糖アルコールをさらに含む、請求項13〜21のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項23】
1以上の糖アルコールの全濃度が、例えば約5重量%、約10重量%、約25重量%または約40重量%のような、約5重量%〜約40重量%である、請求項13〜22のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項24】
非多孔質構造を有するカルシウム含有化合物をさらに含む、請求項1〜23のいずれか1つに記載の予備圧縮された物質。
【請求項25】
非多孔質カルシウム含有化合物と多結晶性の多孔質カルシウム含有化合物との重量比が、例えば最大で0.35、最大で0.3、最大で0.25、最大で0.2、最大で0.15、最大で0.1または最大で0.05のような、最大で0.4である、請求項24に記載の予備圧縮された物質。
【請求項26】
多結晶性の多孔質カルシウム含有化合物がスターカル L、ソーカル P2PHV、トリカホス Pもしくはダイカホス A様またはそれらの混合物であり、非多孔質カルシウム含有化合物がスコラライト、炭酸カルシウム 2064 Merckもしくはカホス DB様またはそれらの混合物である、請求項24または25に記載の予備圧縮された物質。
【請求項27】
非多孔質カルシウム含有化合物の濃度が、例えば40重量%以下、25重量%以下、10重量%以下または5重量%以下のような、約5%〜約40%である、請求項26に記載の予備圧縮された物質。
【請求項28】
固体投与形態を製造するための、請求項1〜27のいずれか1つで定義された予備圧縮された物質の使用。
【請求項29】
1以上の医薬的に許容される賦形剤を任意に含む、請求項1〜27のいずれか1つで定義された予備圧縮された物質を含む投与形態。
【請求項30】
錠剤、カプセル剤、サシェット等の形態にある、請求項29に記載の投与形態。
【請求項31】
チューイング錠、舐める錠剤および飲み込む錠剤を含む錠剤の形態にある、請求項30に記載の投与形態。
【請求項32】
多結晶性の多孔質カルシウム含有化合物の濃度が、例えば約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上のような、50重量%以上である、請求項29〜31のいずれか1つに記載の投与形態。
【請求項33】
ビタミンDを含むビタミンをさらに含む、請求項29〜32のいずれか1つに記載の投与形態。
【請求項34】
i) 1以上の多結晶性の多孔質カルシウム含有化合物と1以上の糖アルコールとを混合する工程、
ii) そのようにして得られた混合物をローラー圧縮に付す工程
を含む、請求項1〜28のいずれか1つで定義された予備圧縮された物質の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2009−518321(P2009−518321A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543660(P2008−543660)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000695
【国際公開番号】WO2007/065440
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506390753)ニコメド ファーマ エイエス (9)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED PHARMA AS
【住所又は居所原語表記】Drammensveien 852,NO−1385 Asker,Norway
【出願人】(505164003)
【氏名又は名称原語表記】NYCOMED DANMARK APS
【住所又は居所原語表記】Langebjerg 1,DK−4000 Roskilde,DENMARK
【Fターム(参考)】