説明

予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法

【課題】予備研磨したガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法を提供する。
【解決手段】予備研磨されたガラス基板表面をイオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングからなる群から選択されるいずれかを用いて仕上げ加工する方法であって、前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする予備研磨された石英ガラス製であり、低可干渉光源とガラス基板表面の波面情報を担持した干渉縞を得る干渉光学系とを備える形状測定手段を用いて前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程と、前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程を有し、前記測定結果に基づいてガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定し、前記ガラス基板の法線と、前記ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度を30〜89°に保持して仕上げ加工をすることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法に関し、特に半導体製造工程のEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)リソグラフィ用反射型マスク用等に使用されるガラス基板のように、高度の平坦度が要求されるガラス基板表面を仕上げ加工する方法に関する。また、本発明は、本発明の方法を用いて仕上げ加工されたガラス基板に関する。また、本発明は、該ガラス基板を用いたフォトマスクおよびマスクブランクス、ならびに該ガラス基板を光学系の光学素子として用いた露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リソグラフィ技術においては、ウェハ上に微細な回路パターンを転写して集積回路を製造するための露光装置が広く利用されている。集積回路の高集積化、高速化および高機能化に伴い、集積回路の微細化が進み、露光装置には深い焦点深度で高解像度の回路パターンをウェハ面上に結像させることが求められ、露光光源の短波長化が進められている。露光光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から更に進んでArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられ始めている。また、回路の線幅が100nm以下となる次世代の集積回路に対応するため、露光光源としてF2レーザ(波長157nm)を用いることが有力視されているが、これも線幅が70nm世代までしかカバーできないとみられている。
【0003】
このような技術動向にあって、次の世代の露光光源としてEUV光を使用したリソグラフィ技術が、45nm以降の複数の世代にわたって適用可能と見られ注目されている。EUV光とは軟X線領域または真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。現時点では、リソグラフィ光源として13.5nmの使用が検討されている。このEUVリソグラフィ(以下、「EUVL」と略する)の露光原理は、投影光学系を用いてマスクパターンを転写する点では、従来のリソグラフィと同じであるが、EUV光のエネルギー領域では光を透過する材料がないために屈折光学系を用いることができず、反射光学系を用いることとなる(特許文献1参照)。
【0004】
EUVL用の反射型マスクは、(1)ガラス基板、(2)ガラス基板上に形成された反射多層膜、(3)反射多層膜上に形成された吸収体層、から基本的に構成される。反射多層膜としては、露光光の波長に対して屈折率の異なる複数の材料がnmオーダーで周期的に積層された構造のものが用いられ、代表的な材料としてMoとSiが知られている。
また、吸収体層にはTaやCrが検討されている。ガラス基板としては、EUV光照射下においても歪みが生じないよう低熱膨張係数を有する材料が必要とされ、低熱膨張係数を有するガラスまたは低熱膨張係数を有する結晶化ガラスの使用が検討されている。以下、本明細書において、低熱膨張係数を有するガラスおよび低熱膨張係数を有する結晶化ガラスを総称して、「低膨張ガラス」または「超低膨張ガラス」という。
EUVL反射型マスクとして用いられる低膨張ガラスまたは超低膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、ガラスの熱膨張係数を下げるために、TiO2、SnO2またはZrO2がドーパントとして添加されたものが最も広く使用されている。
【0005】
ガラス基板はこれらガラスや結晶化ガラスの素材を、高精度に加工、洗浄することによって製造される。ガラス基板を加工する場合、通常は、ガラス基板表面が所定の平坦度および高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSになるまで、比較的高い加工レートで予備研磨した後、より加工精度の高い方法を用いて、またはより加工精度が高くなるような加工条件を用いて、ガラス基板表面が所望の平坦度およびHSFR領域におけるRMSになるように仕上げ加工される。
【0006】
特許文献2に記載の研磨方法及び装置は、真空紫外域から遠赤外域までの広い波長範囲において用いられる各種光学素子、レンズ、窓材、プリズム等に好適であるフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等のフッ化物系結晶材料からなる高精度な光学素子の研磨加工に好適である旨記載されている。また、特許文献3に記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法は、マスクブランクス用ガラス基板の脈理や裏面の反射による悪影響を低減又は除去して、ガラス基板の被測定面の凹凸形状を精度よく測定し、この測定結果にもとづいて、極めて高精度に平坦度を制御し、高平坦度を実現する旨記載されている。
【0007】
特許文献2に記載の研磨方法及び装置は、結晶材料からなるワークを、当該ワークに対して十分小さな工具を利用して等速及び等圧で均等に研磨した場合の除去量は等しいという前提に基づくものであるが、同文献に記載の研磨工具は、研磨パッドとして、円形のピッチもしくは発泡ポリウレタンを台金に貼付けたものであり、同文献に記載の研磨方法では、かかる研磨工具をダイヤモンド微粉の入った研磨液をかけながら加工面に回転しながら押しつけてレンズ表面の端から端まで連続して移動走査するものであるため、研磨パッドの磨耗や目詰まり、ダイヤモンドスラリーの濃度や研磨パッドへの入り込み方などにより、たとえ等速及び等圧で均等に研磨したとしても、研磨量が一定にならないおそれがある。
【0008】
特許文献3に記載の方法では、同文献の図2に示す表面形状測定処理装置2において、面A,B間の距離L1、および面C,D間の距離L2を比較的大きくする必要がある。具体的には、L1,L2の距離を数10mm程度とする必要がある。表面形状を測定する際、この空間の空気揺らぎの影響を受け易い。特に、表面形状測定処理装置内のクリーン度を上げようとしてダウンフローをかけると、空気揺らぎの影響が顕著となる。
【0009】
【特許文献1】特表2003−505891号公報
【特許文献2】特開2003−159636号公報
【特許文献3】特開2006−133629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
EUVL反射型マスク用のガラス基板を加工する際に、ガラス基板表面に部分的なうねりが生じる場合がある。本発明者らは、このうねりの発生が、ガラス基板の部分的な組成差に起因すること、より具体的には、ガラス基板中に含まれるドーパントの濃度分布に起因することを見出した。予備研磨および仕上げ加工のいずれの際にもガラス基板表面にうねりが生じるおそれがある。但し、加工レートが大きい予備研磨の際には、ガラス基板表面により大きなうねりが生じるおそれがある。予備研磨の際に大きなうねりが生じた場合、仕上げ加工でこれを除去して、ガラス基板表面を所望の平坦度にすることは困難であった。また、予備研磨の際に生じたうねりが、仕上げ加工の際にさらに大きなうねりに成長する場合もある。
本発明は、上記した問題点を解決するため、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去して、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、平坦度に優れた表面に加工されたガラス基板を、RMSスロープおよびHSFR領域におけるRMSにも優れた表面にさらに仕上げ加工する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記した本発明の方法により仕上げ加工された、RMSスロープ、HSFR領域におけるRMS、および平坦度に優れたガラス基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記したガラス基板を用いたフォトマスクおよびマスクブランクスを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記したガラス基板を用いた光学系の光学素子として使用した露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、予備研磨されたガラス基板表面をイオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングからなる群から選択されるいずれかの加工方法を用いて仕上げ加工する方法であって、前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
出射光束が前記ガラス基板の表裏面間の光学距離の2倍よりも短い可干渉距離を有する低可干渉光源と、前記低可干渉光源からの出射光束を2光束に分岐するとともに、該2光束の一方を他方に対して所定の光学光路長分だけ迂回させた後に1光束に再合波して出力するパスマッチ経路部と、前記低可干渉光源からの出射光束を基準面および測定光軸上に保持された前記ガラス基板表面に照射し該基準面および該ガラス基板表面からの各々の戻り光を互いに干渉させることにより前記ガラス基板表面の波面情報を担持した干渉縞を得る干渉光学系と、を備える形状測定手段を用いて前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程と、
前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、を有し、
前記ガラス基板の表面形状を測定する工程および前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定し、前記ガラス基板の法線と、前記ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度を30〜89°に保持して仕上げ加工をすることを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法(以下、「本発明の仕上げ加工方法」という)を提供する。
【0012】
本発明の仕上げ加工方法において、ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関を予め求めておき、
前記ガラス基板表面の平坦度を測定した後、該ガラス基板表面を一定の加工条件で所定量を加工し、その後、加工後のガラス基板表面の平坦度を測定し、
加工前後のガラス基板表面の平坦度の差分と、前記ドーパント濃度と加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定することが好ましい。
【0013】
本発明の仕上げ加工方法において、前記加工前後のガラス基板表面の平坦度を、前記低可干渉光源とパスマッチ経路部と干渉光学系とを備える形状測定手段を用いて測定することが好ましい。
【0014】
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程の結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことが好ましい。
前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明の仕上げ加工方法において、前記加工方法は、ガスクラスタイオンビームエッチングであることが好ましく、前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いることが好ましい。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス
【0016】
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板は、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記ドーパントは、TiO2であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板は、予備研磨後の基板表面の高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSが5nm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の仕上げ加工方法において、前記ガラス基板の部位ごとに加工条件を設定して仕上げ加工されたガラス基板表面に対し、高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSを改善する第2の仕上げ加工を実施することが好ましい。
前記第2の仕上げ加工として、前記ガラス基板の法線と、前記ガラス基板表面に入射するガスクラスタイオンビームと、がなす角度を30〜89°に保持し、O2単独ガス、またはO2と、Ar、COおよびCO2からなる群から選択される少なくとも1つのガスと、の混合ガスをソースガスとして用い、加速電圧3kV以上30kV未満でガスクラスタイオンビームエッチングを実施することが好ましい。
また、前記第2の仕上げ加工として、面圧1〜60gf/cm2で研磨スラリーを用いた機械研磨を実施することが好ましい。
【0018】
また、本発明は、基板表面が下記(1)および(2)を満たすことを特徴とするガラス基板(以下、「本発明のガラス基板(1)」という。)を提供する。
(1)5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(2)250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープが0.6mRad以下
また、本発明は、基板表面が下記(3)および(4)を満たすことを特徴とするガラス基板(以下、「本発明のガラス基板(2)」という。)を提供する。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
また、本発明は、基板表面が下記(5)および(6)を満たすことを特徴とするガラス基板(以下、「本発明のガラス基板(3)」という。)を提供する。
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
また、本発明は、基板表面が下記(3)〜(6)を満たすことを特徴とするガラス基板(以下、「本発明のガラス基板(4)」という。)を提供する。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
【0019】
本発明のガラス基板(1)は、本発明の仕上げ加工方法により好ましく得られ、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が上記(1)および(2)を満たすことが好ましい。
本発明のガラス基板(2)は、本発明の仕上げ加工方法により好ましく得られ、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が上記(3)および(4)を満たすことが好ましい。
本発明のガラス基板(3)は、本発明の仕上げ加工方法により好ましく得られ、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が上記(5)および(6)を満たすことが好ましい。
本発明のガラス基板(4)は、本発明の仕上げ加工方法により好ましく得られ、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が上記(3)〜(6)を満たすことが好ましい。
本発明のガラス基板(1)〜(4)において、前記第2の仕上げ加工後の基板表面の平坦度が50nm以下であることが好ましい。
本発明のガラス基板(1)〜(4)において、前記第2の仕上げ加工後の基板表面の高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSが0.15nm以下(RMS)であることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、上記した本発明のガラス基板(1)〜(4)から得られるフォトマスクブランクスを提供する。
また、本発明は、上記した本発明のマスクブランクスから得られるフォトマスクを提供する。
また、本発明は、上記した本発明のガラス基板を光学系の光学素子として使用した露光装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の仕上げ加工方法では、予備研磨後のガラス基板表面の平坦度およびガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定して、それらの測定結果に基づいてガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定するため、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを効果的に除去することができる。また、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布の測定結果に基づいて、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定するため、仕上げ加工の際にガラス基板表面に新たなうねりが発生したり、予備研磨の際に発生したうねりが仕上げ加工の際に成長するおそれがない。したがって、本発明の仕上げ加工方法によれば、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工することができる。
さらに、第2の仕上げ加工を実施することにより、ガラス基板をRMSスロープおよびHSFR領域におけるRMSにも優れた表面に仕上げ加工することができる。
本発明により仕上げ加工されたガラス基板は、RMSスロープ、HSFR領域におけるRMSおよび平坦度に優れるため、露光装置の光学系の光学素子、特に、線幅が45nm以下の次世代の半導体製造用露光装置の光学系に使用される光学素子や、フォトマスクおよびその製造に使用されるマスクブランクス、特に、EUVL用の反射型マスクおよび該マスクの製造に使用されるマスクブランクスに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の仕上げ加工方法は、予備研磨後のガラス基板表面を仕上げ加工する方法である。より具体的には、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去して、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法である。
【0023】
予備研磨とは、ガラス基板表面を所定の平坦度および高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSまで加工する前に、比較的高い加工レートである程度の平坦度およびHSFR領域におけるRMSまで加工する手順である。予備研磨されたガラス基板表面は、所定の平坦度およびHSFR領域におけるRMSになるように仕上げ加工される。
【0024】
予備研磨後のガラス基板表面は、HSFR領域におけるRMSが5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。本明細書において、HSFR領域におけるRMSと言った場合、1〜10μm□の面積について、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した50〜250nmの空間波長の領域での表面粗さを意味する。予備研磨後のガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSが5nm超であると、本発明の仕上げ研磨方法でガラス基板表面を仕上げ加工するのにかなりの時間を要することになり、コスト増の要因となる。
【0025】
予備研磨に使用する加工方法は特に限定されず、ガラス表面の加工に使用される公知の加工方法から広く選択することができる。但し、加工レートが大きく、表面積が大きい研磨パッドを使用することにより、一度に大面積を研磨加工できることから、通常は機械研磨方法が使用される。ここで言う機械研磨方法には、砥粒による研磨作用のみによって研磨加工するもの以外に、研磨スラリーを使用し砥粒による研磨作用と薬品による化学的研磨作用を併用する方法も含む。なお、機械研磨方法は、ラップ研磨およびポリッシュ研磨のいずれであってもよく、使用する研磨具および研磨剤も公知のものから適宜選択することができる。なお、機械研磨方法を使用する場合、加工レートを大きくするため、ラップ研磨の場合、面圧30〜70gf/cm2で実施することが好ましく、面圧40〜60gf/cm2で実施することが好ましく、ポリッシュ研磨の場合、面圧60〜140gf/cm2で実施することがより好ましく、面圧80〜120gf/cm2で実施することがより好ましい。研磨量としては、ラップ研磨の場合、100〜300μmで実施することが好ましく、ポリッシュ研磨の場合、1〜60μmの研磨量で実施することが好ましい。
上記の面圧および研磨量で機械研磨した場合、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布のような基板の組成分布によるレート差により、ガラス基板表面にうねりが生じるが、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりは、本発明の仕上げ加工方法により効果的に除去することができる。
【0026】
うねりとは、ガラス基板表面に存在する周期的な凹凸のうち、その周期が5〜30mmのものをいう。本発明の仕上げ加工方法は、予備研磨の際にガラス基板表面に発生したうねりを効果的に除去する方法である。
【0027】
本発明の仕上げ加工方法は、集積回路の高集積化と高精細化に対応可能なEUVL反射型マスク用のガラス基板の仕上げ加工に好適である。この用途で使用されるガラス基板は、熱膨張係数が小さく、かつそのばらつきの小さいガラス基板であり、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製であることが好ましく、20℃における熱膨張係数が0±10ppb/℃の超低膨張ガラス製であることがより好ましい。
【0028】
このような低膨張ガラスおよび超低膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、ガラスの熱膨張係数を下げるためにドーパントが添加されたものが最も広く使用されている。なお、ガラスの熱膨張係数を下げるために添加されるドーパントは、代表的にはTiO2である。ドーパントとしてTiO2が添加された低膨張ガラスおよび超低膨張ガラスの具体例としては、例えば、ULE(登録商標)コード7972(コーニング社製)などが挙げられる。
【0029】
本発明の仕上げ加工方法において、ガラス基板を構成するガラスはSiO2を主成分とする石英ガラスであって、ドーパントが添加されたものである。代表的なものは、ガラスの熱膨張係数を下げるためにTiO2が添加された石英ガラスである。但し、これに限定されず、ガラス基板を構成するガラスは、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、上記以外の目的でドーパントが添加されたものであってもよい。以下、本明細書において、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、何らかのドーパントが添加されたものを総称して、「ドープ石英ガラス」という。
熱膨張係数を下げること以外の目的でドーパントが添加されたドープ石英ガラスとしては、例えば、ガラスの絶対屈折率を高めるために、La23、Al23、ZrO2またはNが添加されたドープ石英ガラス、ガラスのレーザ耐性を高めるために、Fが添加されたドープ石英ガラスが挙げられる。
【0030】
ドープ石英ガラスのドーパント含有量は、ドーパントの種類やドーパントを含める目的によっても異なる。ガラスの熱膨張係数を下げるために、TiO2が添加されたドープ石英ガラスの場合、SiO2に対する質量%でTiO2を1〜12質量%含有することが好ましい。TiO2の含有量が1質量%未満であると、ガラスの熱膨張係数を十分下げることができないおそれがある。TiO2の含有量が12質量%を超えると、熱膨張係数が負の側に大きくなり、−30ppb/℃未満となる。TiO2の含有量は、より好ましくは5〜9質量%である。
【0031】
なお、以下に述べる手順によって、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去することができるのであれば、本発明の仕上げ加工方法はドープ石英ガラス製以外のガラス基板にも適用可能である。したがって、本発明の仕上げ加工方法は、結晶核としてTiO2やZrO2を含んだ低膨張結晶化ガラスにも適用可能と考えられる。
ガラス基板の形状、大きさおよび厚さ等は、特に限定されないが、EUVL反射型マスク用の基板の場合、その形状は平面形状が矩形または正方形の板状体である。
【0032】
本発明の仕上げ加工する方法は、ガラス基板表面の平坦度を測定する工程(以下、「表面平坦度測定工程」という。)と、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程(以下、「ドーパント濃度分布測定工程」という。)と、を有し、これらの工程から得られた結果に基づいて、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする。以下、本明細書において、ガラス基板表面の加工条件をガラス基板の部位ごとに設定することを、単に「ガラス基板の加工条件を設定する」という。
【0033】
表面平坦度測定工程では、出射光束が前記ガラス基板の表裏面間の光学距離の2倍よりも短い可干渉距離を有する低可干渉光源と、前記低可干渉光源からの前記出射光束を2光束に分岐するとともに、該2光束の一方を他方に対して所定の光学光路長分だけ迂回させた後に1光束に再合波して出力するパスマッチ経路部と、を備える形状測定手段を用いて、ガラス基板表面の平坦度を測定する。
【0034】
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は表面平坦度測定工程に使用される形状測定手段の一実施形態を示した概略構成図である。図1に示す形状測定手段は、クリーンルーム等においてガラス基板40の表面41の平坦度を測定する目的で使用され、干渉計装置10と、透過型基準板19と、ガラス基板保持手段30と、解析手段としてのコンピュータ装置50と、から構成されている。
【0035】
上記干渉計装置10は、測定光束の光路長を調整するパスマッチ経路部10aと、干渉縞を得るための干渉光学系10bと、得られた干渉縞を撮像するための撮像系10cとを備えている。パスマッチ経路部10aは、ビームスプリッタ12と、2つのミラー13,14とを備えており、光源11から出力された光束が、ビームスプリッタ12のハーフミラー面12aにおいて2光束に分岐され、分岐された2光束はミラー13,14においてそれぞれ逆向きに反射されてビームスプリッタ12に戻り、ハーフミラー面12aにおいてそれぞれの一部が1光束に合波され、測定光束として干渉光学系10bに向けて射出されるように構成されている。
【0036】
上記パスマッチ経路部10aにおいては、ミラー14が1軸ステージ23に保持されて図中左右方向に移動可能とされており、アクチュエータ24により1軸ステージ23を駆動させてミラー14の位置を変えることにより、ハーフミラー面12a上の分岐点とミラー14との間の往復経路(以下「第1の経路」と称する)と、この分岐点とミラー13との間の往復経路(以下「第2の経路」と称する)との間の経路長差を調整し得るようになっている。なお、図1に示す形状測定手段では、上記第1の経路を通過する一方の光束は、上記第2の経路を通過する他方の光束に対して所定の光学光路長分だけ迂回(遠回り)するように構成されている。
【0037】
上記光源11は、測定光束として出力される出射光束の可干渉距離がガラス基板40の表面41裏面42間の光学距離の2倍よりも短くなるように設定された低可干渉光源で構成されている。このような低可干渉光源としては、LED、SLD、ハロゲンランプ、高圧水銀ランプ等の一般的な低可干渉光源や、干渉縞の像を撮像素子で取り込んだ際に、上記低可干渉光源が有する可干渉距離と等価の可干渉距離となるように調整された波長変調光源を用いることができる。この種の波長変調光源は、撮像素子の応答時間(光蓄積時間)よりも短い時間内で、光源(一般的には半導体レーザ光源(LD)が用いられる)から射出される光の波長を変調し、撮像素子の応答時間において時間平均的に干渉縞を撮像することにより、スペクトル幅が広く可干渉距離が短い光を出射する光源を用いた場合と等価の結果が得られるようにしたもので、例えば、1995年5月光波センシング予稿集75〜82頁にコヒーレンス関数を合成する手法が示されている。また、その手法を改良した技術も開示されている(特開2004−37165号公報)。
【0038】
上記干渉光学系10bは、パスマッチ経路部10aから射出された測定光束の進む順に配置された、ビームエキスパンダ15、収束レンズ16、ビームスプリッタ17、およびコリメータレンズ18を備えており、上記撮像系10cは、ビームスプリッタ17の図中下方に配置された結像レンズ21および撮像カメラ22を備えている。また、干渉光学系10bは、上記透過型基準板19と共にフィゾータイプの光学系配置を構成しており、透過型基準板19の基準面19aで反射された参照光と、基準面19aを透過した後にガラス基板40から戻る光との光干渉により生じる干渉縞を、ビームスプリッタ17のハーフミラー面17aおよび結像レンズ21を介して撮像カメラ22内のCCD,CMOS等の撮像素子上に結像させるように構成されている。
【0039】
なお、図示されていないが上記透過型基準板19には、フリンジスキャン計測を実施する際に該透過型基準板19を光軸Lの方向に微動させるフリンジスキャンアダプタと、上記ガラス基板保持装置30に保持されたガラス基板40と基準面19aとの間の傾きを微調整するための傾き調整機構が設けられている。
【0040】
上記ガラス基板保持手段30は、背板部31と、該背板部31に固定されガラス基板40を支持する上下一対の支持部材32,33と、を備えている。
上記支持部材32,33は、ガラス基板40の面法線(図1中、光軸Lと一致している)を挟む上下両側よりガラス基板40に当接して、ガラス基板40を上記面法線が重力方向(図中左右方向)に対して略直角となるような状態で支持するように構成されている。
また、図示を省略しているが、支持部材32,33には、ガラス基板40が倒れるのを防止するためにガラス基板40の表裏面や側面の近傍位置に配設される押さえ部材が設けられている。なお、これら支持部材32,33や押さえ部材には発塵し難い材質、例えばピーク材(PEEK:ポリエーテルエーテルケトン)等を用いることが好ましい。
【0041】
また、上記コンピュータ装置50は、図1に示すように、マイクロプロセッサや各種メモリ、メモリ等に格納された演算処理プログラム等により構成される縞画像解析部51および制御部54を備えるとともに、得られた干渉縞画像等を表示するモニタ装置と、コンピュータ装置50に対する各種入力を行なうための入力装置と(いずれも不図示)が接続されている。なお、上記制御部54は、上記駆動ドライバ56を介して上記アクチュエータ24の駆動量を制御することにより、上記ミラー14の位置を調整するように構成されている。
【0042】
図1に示す形状測定手段を用いてガラス基板40の表面41の平坦度を測定する手順について以下に説明する。
まず、ガラス基板40の表面41(被測定面)が透過型基準板19の側となるように、ガラス基板保持装置30を用いて、ガラス基板40の面法線を挟む上下方向両側よりガラス基板40に一対の支持部材32,33を当接させ、該ガラス基板40を面法線が重力方向に対して略直角となるように配置する。なお、このとき、図示せぬ傾き調整機構を用いて、透過型基準板19の基準面19aとガラス基板40の表面41とが互いに略平行となるように調整する。
【0043】
次に、支持部材32,33により保持されたガラス基板40の表面41の平坦度を図1に示す干渉計装置10およびコンピュータ装置50を用いて測定する。ここで、ガラス基板表面の平坦度と言った場合、ガラス基板表面の各部位における平坦度、すなわち、高低差を意味する。したがって、上記による測定結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップ(以下、「平坦度マップ」という。)となる。
【0044】
図1に示す干渉計装置10およびコンピュータ装置50を用いてガラス基板40の表面41の平坦度を測定する際、パスマッチ経路部10で測定光束の経路長調整を行ない、ガラス基板40の裏面42からの反射光による干渉を排除する。
ガラス基板40から上記基準面19aに戻る光には、この基準面19aを透過した後にガラス基板40の表面41で反射される第1の戻り光と、この表面41からガラス基板40の内部に入射した後に裏面42で反射される第2の戻り光と、が含まれることになる。
ガラス基板表面の平坦度を測定する際、ガラス基板40の表面41が被測定面となるため、必要となるのは第1の戻り光と参照光との干渉により生じる干渉縞情報である。ここで、ガラス基板40の裏面42からの反射光による干渉、すなわち、参照光と第2の戻り光との間での干渉や、第1の戻り光と第2の戻り光との間での干渉が生じると、それらがノイズとなり測定精度に悪影響を及ぼすことになる。
【0045】
表面平坦度測定工程では、パスマッチ経路部10aで測定光束の経路長調整を行うことにより、ガラス基板40の裏面42からの反射光による干渉を排除する。具体的には、上述した第1の経路と第2の経路との光学光路長差が、干渉光学系10b内における参照光と第1の戻り光との光学光路長差に対して、光源11の有する可干渉距離の範囲内で一致するように調整する。これにより、必要となる干渉のみが生じ、不要な干渉は排除される。
このようにして、基板基板裏面での反射による悪影響が排除されるため、表面平坦度測定工程では、ガラス基板表面の平坦度を高精度で測定できる。
しかも、図1に示す干渉計装置10では、透過型基準板19の基準面19aとガラス基板40の表面41との距離を、両者が接触しない限り、いくらでも小さくしてよく、例えば、両者の距離をサブミリメートルオーダーにしてもよい。したがって、特許文献3に記載の方法のような、空気揺らぎによる影響が無視できる。
【0046】
なお、図1に示す形状測定手段でガラス基板表面の平坦度を測定する際、ガラス基板保持装置30による保持歪みがガラス基板40に生じるが、制御された極微小な圧力で保持するので保持歪みによる測定精度への影響は非常に小さいため、通常は無視できる。
但し、平坦度に関する要求がより厳しくなった場合、保持歪みによる測定精度への影響が無視できなくなる可能性がある。この場合、以下の手順でガラス基板表面の平坦度を測定することにより、保持歪みが無い状態のガラス基板表面の平坦度を求めることができる。
(a)第1の戻り光と参照光により生じる干渉縞情報を用いてガラス基板40の表面41の平坦度を測定する。
(b)ガラス基板40を表裏反転させ、すなわち、裏面42が透過型基準板19の側となるように、ガラス基板40をガラス基板保持装置30で保持し、裏面42からガラス基板40の内部に入射した後に表面41で反射される第2の戻り光と参照光により生じる干渉縞情報を用いてガラス基板40の表面41の平坦度を測定する。
(c)(a)、(b)で得られた測定結果から、ガラス基板40の保持歪みを求める。
(d)(c)で得られた保持歪みと(a)で得られた測定結果から、保持歪みが無い状態のガラス基板40の表面41の平坦度を求める。
【0047】
ドーパント濃度分布測定工程を実施する場合、ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関(以下、「ドーパント濃度と加工レートとの相関」という。)を予め求めておく。
本発明者らは、ドープ石英ガラス製のガラス基板を加工する際、ドーパント濃度と加工レートと、の間には、何らかの相関が存在することを見出した。
一例を挙げると、TiO2をドーパントとして含むドープ石英ガラスの場合、加工条件一定の下でドープ石英ガラスを加工した際、ドーパント濃度X(wt%)と加工レートY(μm/min)との間に下記式(1)で表される相関が存在する。
Y=a・X+b (1)
式(1)中、aおよびbは変数を表す。
【0048】
図2は、ドーパントとしてTiO2を含んだドープ石英ガラスについて、ドーパント濃度と加工レートとの相関を示したグラフであり、加工方法として、ガスクラスタイオンビームエッチングを用いた場合の相関を示している。図2を作成した手順を以下に示す。
SiO2に対する質量%で、TiO2を0%、3.1%、5.1%、6.9%、8.7%含んだドープ石英ガラス製の試験サンプル(20×20×1mmt)を準備した。これらTiO2濃度が異なる試験サンプルを同一の条件で加工して加工レートを求め、TiO2濃度と、加工レートと、の関係をプロットしたのが図2である。なお、図2において、加工レートは、TiO2濃度が0質量%の際の加工レートを1とした、規格化加工レートとして示されている。
【0049】
ガスクラスタイオンビームエッチングは以下の条件で実施した。
ソースガス:SF61.25%,O224%,Ar74.75%
加速電圧:30kV
イオン化電流:50μA
ビーム径(FWHM値):10mm以下
ドーズ量:6.2×1015個イオン/cm2
なお、図2に示す加工レートは、重量法を用いて加工前後における試験サンプルの重量変化から求めた。
【0050】
上記の加工条件でガスクラスタイオンビームエッチングを実施した場合、上記式(1)は、図2から下記式(1−1)と求まる。
Y=0.0522X+1.0449 (1−1)
【0051】
したがって、本発明で仕上げ加工するガラス基板とマトリクス成分とドーパントの種類が同一で、ドーパント濃度を変えた複数のガラスサンプルを準備し、これらの複数のガラスサンプルを同一の加工条件で加工して、図2と同様のグラフを作成することで、ドーパント濃度と加工レートとの相関を求めることができる。
【0052】
次に、以下の手順を実施する。
(1)ガラス基板表面の平坦度を測定する。
(2)ガラス基板表面を一定の加工条件で所定量を加工する。
(3)加工後のガラス基板表面の平坦度を測定する。
ここで(1)は、上記した表面平坦度測定工程と同一であってよく、工程数を減らすためには、同一であることがむしろ好ましい。
【0053】
(2)の手順では、ドーパント濃度と加工レートとの相関を求めた際に使用した加工方法を用いて、ガラス基板表面を一定の加工条件で均一に加工する。ここで、加工条件は、ドーパント濃度と加工レートとの相関を求めた際に使用した加工条件と同一であることが好ましい。例えば、加工方法がガスクラスタイオンビームエッチングの場合、同一のソースガスを使用して、同一のドーズ量で実施することが好ましい。
なお、(2)の手順で実施する加工は、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布の測定を目的とするものであり、ガラス基板表面の仕上げ加工とは異なる。したがって、仕上げ加工時に十分な加工量を確保するため、(2)の手順で実施する加工量は、ドーパントの濃度分布を測定するのに必要最低限の加工量であることが好ましい。例えば、(2)の手順で実施する加工量は5000nm以下であることが好ましく、2000nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。
【0054】
(3)において、ガラス基板表面の平坦度の測定は、図1に示す形状測定手段を用いて実施することが、ガラス基板表面の平坦度を高精度で測定できることから好ましい。
【0055】
次に、加工前後の平坦度の差分からガラス基板の加工量分布が求まる。すなわち、(1)と(3)で得られる平坦度の差分から、ガラス基板の各部位における加工量が求まる。ガラス基板は一定の加工条件で均一に加工しているので、ガラス基板の各部位における加工量と、予め求めておいたドーパント濃度と加工レートとの相関と、を比較することで、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を求めることができる。但し、(1)で平坦度が測定される基板表面は通常平滑にはなっておらず、ある程度の凹凸を有しているため、(1)と(3)で得られる平坦度の差分からガラス基板の各部における実際の加工量を求めることはできない。このため、(1)と(3)で得られる平坦度の差分から求まるガラス基板の各部における加工量(名目上)の平均値をドーパントの濃度中心とし、該濃度中心からの偏差として、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を求める。ここで、濃度中心は、ガラス基板の合成工程におけるドープ量の狙い値とすることができる。
なお、加工前後にガラス基板の質量を測定し、加工前後での質量変化から実際の加工量を求めて、得られた実際の加工量を用いて濃度中心を補正してもよい。ことにより、ドーパント濃度分布を補正してもよい。
【0056】
ドーパント濃度分布測定工程において、ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布と言った場合、ガラス基板の厚み方向におけるドーパントの濃度分布ではなく、平板状のガラス基板を厚みを持たない二次元形状として見た際の、該二次元形状の各部位におけるドーパントの濃度分布、即ち平板状のガラス基板の平面内における濃度分布を意味する。なお、ガラス基板の任意の厚みにおけるガラス基板に平行な面でのドーパント濃度分布は、ガラス基板の測定された表面の濃度分布と同等と仮定する。
したがって、ドーパント濃度分布測定工程から得られる測定結果は、該二次元形状の各部位におけるドーパントの濃度を示すドーパント濃度分布マップ(以下、「ドーパント濃度分布マップ」という。)となる。
【0057】
本発明の仕上げ加工する方法では、表面平坦度測定工程から得られた結果と、ドーパント濃度分布測定工程から得られた結果の両方に基づいて、ガラス基板表面の加工条件を設定する。但し、理解を容易にするため、表面平坦度測定工程から得られた結果に基づく加工条件の設定と、ドーパント濃度分布測定工程から得られた結果に基づく加工条件の設定と、を分けて説明する。
【0058】
上記したように、表面平坦度測定工程から得られる結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップとなる。ドーパントの濃度分布について用いた概念、すなわち厚みを持たない二次元形状のガラス基板において、ガラス基板の座標を(x,y)とした場合、平坦度マップはS(x,y)(μm)と表される。ガラス基板の加工時間をT(x,y)(min)、加工レートをY(μm/min)とした場合、これらの関係は下記式(2)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/Y (2)
したがって、表面平坦度測定工程から得られる結果に基づいて加工条件を設定する場合、式(2)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
【0059】
一方、ドーパント濃度分布測定工程から得られる結果は、ガラス基板の各部位におけるドーパントの濃度を示すドーパント濃度分布マップとなる。ドーパントの濃度分布について用いた概念、すなわち厚みを持たない二次元形状のガラス基板において、ガラス基板の座標を(x,y)とした場合、ドーパント濃度分布測定工程から得られるドーパント濃度分布マップはC(x,y)(質量%)と表される。ガラス基板の加工量をW(x,y)(μm)、加工時間をT(x,y)(min)とした場合、 W(x,y)と、T(x,y)と、の関係は下記式(3)で表される。
T(x,y)=W(x,y)/(a×C(x,y)+b) (3)
なお、W(x,y)は、ガラス基板の座標(x,y)の部位の加工量(予定加工量)を示しており、定数である。例えば、ガラス基板の座標(x,y)の部位を5μm加工する場合、W(x,y)=5μmとなる。
したがって、ドーパント濃度分布測定工程から得られた結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定する場合、式(3)にしたがって、ガラス基板の加工条件、具体的には加工時間を設定すればよい。
【0060】
表面平坦度測定工程から得られた結果と、ドーパント濃度分布測定工程から得られた結果の両方に基づいて、ガラス基板表面の加工条件を設定する場合、二次元形状のガラス基板の座標を(x,y)とし、表面平坦度測定工程から得られる平坦度マップをS(x,y)(μm)とし、ドーパント濃度分布測定工程から得られるドーパント濃度分布マップをC(x,y)(質量%)、加工時間をT(x,y)(min)とした場合、これらの関係は下記式(4)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/(a×C(x,y)+b) (4)
したがって、表面平坦度測定工程から得られた結果と、ドーパント濃度分布測定工程から得られた結果の両方に基づいて、加工条件を設定する場合、式(4)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
【0061】
本発明の仕上げ加工方法に用いる加工方法は、1回に加工される範囲を十分小さくすることができ、かつ表面平坦度測定工程およびドーパント濃度分布測定工程の結果に基づいて加工条件を容易に設定できること、例えば、式(4)にしたがって、加工時間を設定することが容易であることから、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングからなる群から選択されるいずれかの加工方法を用いる。ガラス基板表面へのビーム照射を伴うこれらの方法は、ガラス基板表面に照射するビームのエネルギーが安定しており、ビームのエネルギーに変動があった場合でも、ビームのエネルギーをモニタすることで確認できるため、常に意図した通りの加工条件で均一に加工できるという利点を有する。
【0062】
ガラス基板表面へのビーム照射を伴うこれらの加工方法を実施する際、ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度は30〜89°に保持する。ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度が30°以上であると、基板とビームとの反応性が弱まり、より短かい波長でのRMSの制御が可能となる。このため、ガラス基板のHSFR領域におけるRMSおよび波長50nm〜1mmにおけるRMSスロープを向上させることができるからである。上記角度が89°より大きい場合、ガラス表面に入射するビームを制御することが困難となるため好ましくない。
ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度は50〜85°であることがより好ましく、60〜80°であることが特に好ましい。
【0063】
ガラス基板表面へのビーム照射を伴うこれらの加工方法は、表面平坦度測定工程から得られる結果に基づいて、ガラス基板の加工条件をさらに設定することができる。以下、この設定手順について具体的に説明する。
この設定手順を行う場合、表面平坦度測定工程から得られる結果を用いて、ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定する。うねりの幅と言った場合、ガラス基板表面に周期的に存在する凹凸形状における、凹部または凸部の長さを意味する。したがって、うねりの幅は、通常うねりの周期の1/2である。なお、ガラス基板表面に周期が異なるうねりが複数存在する場合、周期が最も小さいうねりの幅をガラス基板表面に存在するうねりの幅とする。
【0064】
上記したように、表面平坦度測定工程から得られる測定結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップである。よって、平坦度マップからガラス基板表面に存在するうねりの幅を容易に特定することができる。
【0065】
上記の手順で特定されたうねりの幅を基準として、ビーム径がうねりの幅以下のビームを用いてドライエッチングを実施する。ここでビーム径は、FWHM(full width of half maximum)値を基準とする。以下、本明細書において、ビーム径と言った場合、ビーム径のFWHM値を意味する。本発明の仕上げ加工方法において、ビーム径がうねりの幅の1/2以下のビームを用いることがより好ましい。ビーム径がうねりの幅以下のビームを用いれば、ガラス基板の表面に存在するうねりに対して、ビームを集中して照射することが可能となり、うねりを効果的に取り除くことができる。
【0066】
ガラス基板表面へのビーム照射を伴うこれらの加工方法を実施する際、ビームをガラス基板の表面上で走査させる必要がある。この理由は、ガラス基板の加工条件を設定するために、1回にビームを照射する範囲をできるだけ小さくする必要があるからである。特に、ビーム径がうねりの幅以下のビームを使用する場合、ビームをガラス基板の表面上で走査させることが必要となる。ビームを走査させる手法としては、ラスタスキャンとスパイラルスキャンが公知であるが、これらのいずれを用いてもよい。
【0067】
本発明の仕上げ研磨方法において、上記式(4)にしたがって、加工時間(この場合、ビームの照射時間)を設定する場合、座標(x,y)において、T(x,y)の照射時間が得られるようにする。すなわち、ビーム強度プロファイル、スキャンピッチおよびドーズ量を考慮して、ガラス基板とビームの相対運動速度を決定することによって、設定した照射時間T(x,y)が得られるようにする。
【0068】
上記したガラス基板表面へのビーム照射を伴う方法の中でも、表面粗さが小さく、平滑性に優れた表面に加工できることからガスクラスタイオンビームエッチングを用いることが好ましい。
【0069】
ガスクラスタイオンビームエッチングとは、常温および常圧で気体状の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に膨張型ノズルを介して加圧状態で噴出させることにより、ガスクラスタを形成し、これに電子照射してイオン化したガスクラスタイオンビームを照射して対象物をエッチングする方法である。ガスクラスタは、通常数千個の原子または分子からなる塊状原子集団または分子集団によって構成される。本発明の仕上げ加工方法において、ガスクラスタイオンビームエッチングを用いる場合、ガラス基板表面にガスクラスタが衝突した際に、固体との相互作用により多体衝突効果が生じガラス基板表面が加工される。
【0070】
ガスクラスタイオンビームエッチングを用いる場合、ソースガスとしては、SF6、Ar、O2、N2、NF3、N2O、CHF3、CF4、C26、C38、C46、SiF4、COF2などのガスを単独で、または混合して使用することができる。これらの中でもSF6およびNF3は、ガラス基板の表面に衝突した時に起こる化学反応の点でソースガスとして優れているため、SF6またはNF3を含む混合ガス、具体的には、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガスが好ましい。これらの混合ガスにおいて、各成分の好適な混合比率は照射条件等の条件によって異なるが、それぞれ以下であることが好ましい。
SF6:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(SF6およびO2の混合ガス)
SF6:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(SF6、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびO2の混合ガス)
NF3:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:N2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびN2の混合ガス)
NF3:Ar:N2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびN2の混合ガス)
【0071】
なお、クラスタサイズ、クラスタをイオン化させるためにガスクラスタイオンビームエッチング装置のイオン化電極に印加するイオン化電流、ガスクラスタイオンビームエッチング装置の加速電極に印加する加速電圧、およびガスクラスタイオンビームのドーズ量といった照射条件は、ソースガスの種類や予備研磨後のガラス基板の表面性状に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス基板の表面粗さを過度に悪化させることなしに、ガラス基板の表面からうねりを取り除いて、平坦性を改善するためには、加速電極に印加する加速電圧は15〜30kVであることが好ましい。
物理的な材料除去の推進力を高めるため、ビームカレントは、80〜200μAであることが好ましい。
【0072】
本発明の仕上げ加工方法は、表面平坦度測定工程およびドーパント濃度分布測定工程から得られた結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定するため、予備研磨時にガラス基板表面に生じたうねりを効果的に除去することができ、ガラス基板を平坦度に優れた表面に加工することができる。本発明の仕上げ加工方法を用いれば、ガラス基板表面の平坦度を50nm以下に改善することができる。
【0073】
上記した手順でガラス基板表面の仕上げ加工方法を実施した場合、加工されるガラスの表面性状や、ビームの照射条件によっては、ガラス基板のHSFR領域におけるRMSが多少悪化する場合がある。また、ガラス基板の仕様によっては、上記した手順では、所望の平坦度は達成できても、所望のHSFR領域におけるRMSまでは加工できない場合もある。
また、上記した手順で仕上げ加工した後の基板表面には、直径30nm程度の凸欠点または凹欠点が存在する場合があり、このような凸欠点または凹欠点を除去することが好ましい。
このため、本発明の仕上げ加工方法では、ガラス基板表面の高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSを改善する第2の仕上げ加工をさらに実施することが好ましい。ここで、第2の仕上げ加工は、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSを0.15nm以下とすることができることが好ましい。
【0074】
上記した第2の仕上げ加工として、ガスクラスタイオンビームエッチングを用いることができる。この場合、上記した予備研磨の際に生じたうねりの除去を目的とするガスクラスタイオンビームエッチングとは、ソースガス、イオン化電流および加速電圧といった照射条件を変えてガスクラスタイオンビームエッチングを実施する。具体的には、より低いイオン化電流、あるいは低い加速電圧を用いて、より緩やかな条件でガスクラスタイオンビームエッチングを実施する。より具体的には、加速電圧は、3kV以上30kV未満であることが好ましく、3〜20kVであることがより好ましい。また、ソースガスとしては、ガラス基板の表面に衝突した時に化学反応を起こしにくいことから、O2単独ガス、またはO2と、Ar、COおよびCO2からなる群から選択される少なくとも1つのガスと、の混合ガスを使用することが好ましい。これらの中でもO2と、Arと、の混合ガスを使用することが好ましい。
なお、第2の仕上げ加工として、ガスクラスタイオンビームエッチングを実施する場合、上述したのと同様の理由でガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度は30〜89°に保持する。ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度は50〜85°であることがより好ましく、60〜80°であることが特に好ましい。
【0075】
また、上記した第2の仕上げ加工として、タッチポリッシュと呼ばれる低い面圧、具体的には、面圧1〜60gf/cm2、好ましくは30〜60gf/cm2で研磨スラリーを用いた機械研磨を実施することができる。タッチポリッシュでは、ガラス基板を、不織布または研磨布等の研磨パッドを取り付けた研磨盤で挟んでセットし、所定の性状に調整されたスラリーを供給しながら、ガラス基板に対して研磨盤を相対回転させて、面圧1〜60gf/cm2、好ましくは30〜60gf/cm2で研磨する。
第2の仕上げ加工として、タッチポリッシュを実施した場合、HSFR領域におけるRMSの改善に加えて、基板表面に存在する直径30nm程度の凸欠点または凹欠点を除去することができる。
【0076】
研磨パッドとしては、例えばカネボウ社製ベラトリックスK7512が用いられる。研磨スラリーとしては、コロイダルシリカを含有する研磨スラリーを用いることが好ましく、平均一次粒子径が50nm以下のコロイダルシリカと水とを含み、pHを0.5〜4の範囲となるように調整された研磨スラリーを用いることがより好ましい。研磨の面圧は1〜60gf/cm2、好ましくは30〜60gf/cm2とする。面圧が60gf/cm2超だと、基板表面にスクラッチ傷が発生する等により、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSを0.15nm以下とすることができない。また、研磨盤の回転負荷が大きくなるおそれがある。面圧が1gf/cm2未満だと加工に長時間を要するため、実用的ではない。
【0077】
コロイダルシリカの平均一次粒子径は、さらに好ましくは20nm未満、とくに好ましくは15nm未満である。コロイダルシリカの平均一次粒子径の下限は限定されないが、研磨効率を向上させる観点から5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上である。コロイダルシリカの平均一次粒子径が50nm超であると、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSを0.15nm以下とすることが困難である。また、コロイダルシリカとしては、粒子径をきめ細かく管理する観点から、一次粒子が凝集してできる二次粒子をできるだけ含有していないことが望ましい。二次粒子を含む場合でも、その平均粒子径は70nm以下であるのが好ましい。なお、ここで言うコロイダルシリカの粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて15〜105×103倍の画像を計測することによって得られたものである。
【0078】
研磨スラリー中のコロイダルシリカの含有量は10〜30質量%であることが好ましい。研磨スラリー中のコロイダルシリカの含有量が10質量%未満では、研磨効率が悪くなり経済的な研磨が得られなくなるおそれがある。一方、コロイダルシリカの含有量が30質量%を超えると、コロイダルシリカの使用量が増加するためコストや洗浄性の観点から支障が生じるおそれがある。より好ましくは18〜25質量%であって、特に好ましくは18〜22質量%である。
【0079】
研磨スラリーのpHを上述の酸性の範囲、すなわち、pHを0.5〜4の範囲とすると、ガラス基板の表面を化学的および機械的に研磨して、ガラス基板を平滑性よく効率的に研磨することが可能となる。すなわち、ガラス表面の凸部が研磨スラリーの酸によって軟化されるため、凸部を機械的研磨で容易に除去できようになる。これにより研磨効率が向上すると共に、研磨で取り除かれたガラス屑が軟化されているので、該ガラス屑等による新たな傷の発生が防止される。研磨スラリーのpHが0.5未満であると、タッチポリッシュに用いる研磨装置に腐食が発生するおそれがある。研磨スラリーの取扱性の観点からpHは1以上が好ましい。化学的研磨効果を充分得るためにはpHは4以下が好ましい。
特に好ましくは、pHは1.8〜2.5の範囲である。
【0080】
研磨スラリーのpH調整は、無機酸または有機酸を単独または組合せて添加しておこなうことができる。用いることができる無機酸として、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸などが挙げられ、取扱いの容易さの点から硝酸が好ましい。また、有機酸としては、シュウ酸、クエン酸などが例示される。
【0081】
研磨スラリーに用いられる水は、異物を取り除いた純水または超純水が好ましく用いられる。すなわち、レーザ光等を用いた光散乱方式で計測した、最大径が0.1μm以上の微粒子が実質的に1個/ml以下の純水または超純水が好ましい。材質や形状にかかわらず異物が1個/mlより多く異物が混入していると、研磨面に引っ掻き傷やピットなどの表面欠点が生じるおそれがある。純水または超純水中の異物は、例えば、メンブレンフィルターによる濾過や限外濾過により除去できるが、異物の除去方法はこれに限定されない。
【0082】
ガスクラスタイオンビームエッチングまたはタッチポリッシュのどちらを使用する場合においても、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSを0.15nm以下とするためには、第2の仕上げ加工における加工量を10〜200nmとすることが好ましい。
第2の仕上げ加工における加工量が10nm未満であると、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSを改善する作用が不十分である。また、タッチポリッシュを使用した場合、基板表面に存在する凸欠点および凹欠点を充分除去することができない。加工量が200nm超だと、ガラス基板表面のHSFR領域におけるRMSは改善できるが、基板表面の平坦度が悪化するおそれがある。
【0083】
上記した第2の仕上げ加工実施後のガラス基板は表面特性が特に優れている。具体的には、下記(1)および(2)を満たす。
(1)5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(2)250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープが0.6mRad以下
RMSスロープおよびその求め方については、下記文献に記載されている。
Eric Gullikson,et.al.,“Proposed Specification of EUVL mask substrate roughness”,2nd International EUVL Symposium,October 10,2003.
なお、5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープは、AFMで10μ□の面積を測定した結果から算出する事が出来る。同様に250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープはZygo NewView5000シリーズ(Zygo社)を使用して、例えば以下の条件での測定結果から算出することができる。
中間倍率:1倍
対物レンズ:2.5倍
【0084】
上記した第2の仕上げ加工実施後のガラス基板は、下記(3)および(4)を満たすことが好ましい。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
なお、2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープは、AFMで10μ□の面積を測定した結果から算出する事が出来る。250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープはZygo NewView5000シリーズ(Zygo社)を使用して、例えば以下の条件での測定結果から算出することができる。
中間倍率:1倍
対物レンズ:2.5倍
【0085】
また、上記した第2の仕上げ加工実施後のガラス基板は、下記(5)および(6)を満たすことが好ましい。
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以
100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSスロープ、および、50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープはZygo NewView5000シリーズ(Zygo社)を使用して、例えば以下の条件での測定結果から算出することができる。
中間倍率:1倍
対物レンズ:2.5倍
【0086】
上記した第2の仕上げ加工実施後のガラス基板は、上記(3)〜(6)を満たすことがより好ましい。
【0087】
また、第2の仕上げ加工後のガラス基板は、平坦度およびHSFR領域におけるRMSも優れている。具体的には、ガラス基板表面の平坦度が50nm以下であり、HSFR領域におけるRMSは0.15nm以下である。
【0088】
本発明の方法により仕上げ加工されたガラス基板は、半導体製造用露光装置の光学系に使用される光学素子、特に線幅が45nm以下の次世代の半導体製造用露光装置の光学系に使用される光学素子として好適である。かかる光学素子の具体例としては、レンズ、回折格子、光学膜体及びそれらの複合体、例えば、レンズ、マルチレンズ、レンズアレイ、レンチキュラーレンズ、ハエの目レンズ、非球面レンズ、ミラー、回折格子、バイナリーオプティックス素子、フォトマスク及びそれらの複合体を含む。
また、本発明の方法により仕上げ加工されたガラス基板は、表面特性が特に優れているため、フォトマスクおよび該フォトマスクを製造するためのマスクブランクス、特にEUVL用の反射型マスクおよび該マスクを製造するためのマスクブランクスとして好適である。
露光装置の光源は特に限定されず、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を発するレーザであってもよいが、より短波長の光源、具体的には、波長250nm以下の光源が好ましい。このような光源の具体例としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)およびEUV(13.5nm)が挙げられる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例1〜5および例7〜11は実施例であり、例6および例12は比較例である。
被研磨物として、公知の方法で製造されたTiO2ドープ合成石英ガラスのインゴットを縦153.0mm×横153.0mm×厚さ6.75mmの板状に切断し、Tiドープ合成石英ガラス製の板材試料を作成した。次いで、これらをNC面取り機で外径寸法が152mmで面取り幅が0.2〜0.4mmになるよう面取り加工を実施した。
上記板材試料を、両面ラップ機を使用し、厚さ6.51mmになるまで研磨加工し、バフを用いて外周を研磨して端面鏡面加工を施した。
次に、これらの板材を両面ポリッシュ機を使用して一次ポリッシュした。上記手順で機械研磨した板材試料に対して、簡易的な洗浄および精密洗浄を実施した。その後、板材試料の平坦度の測定を平坦度測定機を用いて実施した。
この平坦度測定機は、光源、パスマッチ経路部および干渉光学系と備えている。光源は、出射光束がガラス基板の表裏面間の光学距離の2倍よりも短い可干渉距離を有している。パスマッチ経路部は光源からの出射光束を2光束に分岐し、その一方を他方に対して所定の光学光路長分だけ迂回させた後に1光束に再合波して出力する。干渉光学系は前記低可干渉光源からの出射光束を基準面および測定光軸上に保持された前記ガラス基板表面に照射し該基準面および該ガラス基板表面からの各々の戻り光を互いに干渉させることにより前記ガラス基板表面の波面情報を担持した干渉縞を得る。
上記平坦度測定機による測定の結果、板材試料の表面の平坦度は337nm/□142mmであった。
また、上記板材試料の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)SPI3800N(セイコーインスツルメント社製)を用いて測定した。その結果、板材試料の表面粗さ(Rms)は0.2nmであった。
上記板状試料のTiO2濃度分布を蛍光X線分析によって測定した。加工条件は、特開2007−22903に記載の方法でガラス基板の部位毎の条件を導出した。なお、本実施例では、ビームスキャン速度をガラス基板の部位毎で変更することでうねりの除去を行っている。
【0090】
(例1〜例6)
上記機械研磨された板材試料に対して、表1に示す条件で仕上げ加工を、表2に示す条件で第2の仕上げ加工(ガスクラスタイオンビームエッチング)を行った。なお、表1および表2においては、ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するガスクラスタイオンビームと、がなす角度のことを、照射角度と記している。
【表1】

【表2】

【0091】
(例7〜例12)
上記機械研磨された板材試料に対して、表3に示す条件で仕上げ加工を、表4に示す条件で第2の仕上げ加工(タッチポリッシュ)を行った。なお、表3においては、ガラス基板の法線と、ガラス基板表面に入射するガスクラスタイオンビームと、がなす角度のことを、照射角度と記している。
【表3】

【表4】

【0092】
上記例1〜例12のサンプルの5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープ(RMS1)、250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープ(RMS2)、2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープ(RMS3)、250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープ(RMS4)、100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSスロープ(RMS5)および50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープ(RMS6)を上記平坦度測定機および原子間力顕微鏡(AFM)で測定した。結果を表5および表6に記す。
【表5】

【表6】

【0093】
例6、12の条件ではRMS2、4、6は達成されているが、化学的な材料除去の推進力が高いため、材料の不均一性の影響を受けやすくRMS1、3、5が達成されていない。
これに対し例1〜3、例7〜9、例5および例11については下記の変更により物理的な材料除去の推進力を向上させる事で材料の不均一性の影響を受けにくくし、RMS1〜RMS6を同時に達成している。
例1および例7は、仕上げ加工時の加速電圧を上げる事によりクラスタの衝突スピードを上げ物理的な材料除去の推進力を向上させ表面の凹凸(RMSスロープ)を小さくした。
例2および例8は、仕上げ加工時のクラスタのサイズを向上させる事により、衝突の際の単位クラスタ当たりの物理的なエネルギーを向上させ、表面の凹凸(RMSスロープ)を小さくした。
例3および例9は、仕上げ加工時のビームカレントを上げることによって、物理的な材料除去の推進力を向上させ、表面の凹凸(RMSスロープ)を小さくした。
例4および例10は、仕上げ加工時の照射角度を高くする事によりクラスタが基板の表面に対し低い角度で入射する事になる。これにより材料の凸部が選択的に除去されやすくなり、表面の凹凸(RMSスロープ)を小さくした。
例5および例11は、仕上げ加工時のソースガスを化学的な材料除去の推進力が大きいものから小さいものへと変更する事により相対的に物理的な材料除去の推進力を向上させ、表面の凹凸(RMSスロープ)を小さくした。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、表面平坦度測定工程に使用される形状測定手段の一実施形態を示した概略構成図である。
【図2】図2は、ドーパントとしてTiO2を含んだドープ石英ガラスについて、ドーパント濃度と加工レートとの相関を示したグラフである。
【符号の説明】
【0095】
10 干渉計装置
10a パスマッチ経路部
10b 干渉光学系
10c 撮像系
11 光源
12,17 ビームスプリッタ
12a,17a ハーフミラー面
13,14 ミラー
15 ビームエキスパンダ
16 収束レンズ
18 コリメータレンズ
19 透過型基準板
19a 基準面
21 結像レンズ
22 撮像カメラ
23 1軸ステージ
24 アクチュエータ
30 ガラス基板保持装置
31 背板部
32,33 支持部材
40 ガラス基板
41 表面
42 裏面
50 コンピュータ装置(解析手段)
51 縞画像解析部
54 制御部
56 駆動ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備研磨されたガラス基板表面をイオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングおよびプラズマエッチングからなる群から選択されるいずれかの加工方法を用いて仕上げ加工する方法であって、
前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、 前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
出射光束が前記ガラス基板の表裏面間の光学距離の2倍よりも短い可干渉距離を有する低可干渉光源と、前記低可干渉光源からの出射光束を2光束に分岐するとともに、該2光束の一方を他方に対して所定の光学光路長分だけ迂回させた後に1光束に再合波して出力するパスマッチ経路部と、前記低可干渉光源からの出射光束を基準面および測定光軸上に保持された前記ガラス基板表面に照射し該基準面および該ガラス基板表面からの各々の戻り光を互いに干渉させることにより前記ガラス基板表面の波面情報を担持した干渉縞を得る干渉光学系と、を備える形状測定手段を用いて前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程と、
前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、を有し、
前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程および前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定し、前記ガラス基板の法線と、前記ガラス基板表面に入射するビームと、がなす角度を30〜89°に保持して仕上げ加工をすることを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項2】
ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関を予め求めておき、
前記ガラス基板表面の平坦度を測定した後、該ガラス基板表面を一定の加工条件で所定量加工し、その後、加工後のガラス基板表面の平坦度を測定し、
加工前後のガラス基板表面の平坦度の差分と、前記ドーパント濃度と加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項3】
前記加工前後のガラス基板表面の平坦度を、前記低可干渉光源とパスマッチ経路部と干渉光学系とを備える形状測定手段を用いて測定することを特徴とする請求項2に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項4】
前記ガラス基板表面の平坦度を測定する工程の結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項5】
前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下である請求項4に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項6】
前記加工方法は、ガスクラスタイオンビームエッチングであり、
前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いる請求項1ないし5のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス
【請求項7】
前記ガラス基板は、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製である請求項1ないし6のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項8】
前記ドーパントは、TiO2である請求項1ないし7のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項9】
前記ガラス基板は、予備研磨後の基板表面の高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSが5nm以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項10】
前記ガラス基板の部位ごとに加工条件を設定して仕上げ加工されたガラス基板表面に対して、高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSを改善する第2の仕上げ加工をさらに実施することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項11】
前記第2の仕上げ加工として、前記ガラス基板の法線と、前記ガラス基板表面に入射するガスクラスタイオンビームと、がなす角度を30〜89°に保持し、O2単独ガス、またはO2と、Ar、COおよびCO2からなる群から選択される少なくとも1つのガスと、の混合ガスをソースガスとして用い、加速電圧3kV以上30kV未満でガスクラスタイオンビームエッチングを実施することを特徴とする請求項10に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項12】
前記第2の仕上げ加工として、面圧1〜60gf/cm2で研磨スラリーを用いた機械研磨を実施することを特徴とする請求項10に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
【請求項13】
基板表面が下記(1)および(2)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(1)5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(2)250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープが0.6mRad以下
【請求項14】
基板表面が下記(3)および(4)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
【請求項15】
基板表面が下記(5)および(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
【請求項16】
基板表面が下記(3)〜(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
【請求項17】
請求項10ないし12のいずれかに記載の方法により得られる、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が下記(1)および(2)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(1)5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(2)250nm<λ(空間波長)<5μmにおけるRMSスロープが0.6mRad以下
【請求項18】
請求項10ないし12のいずれかに記載の方法により得られる、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が下記(3)および(4)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
【請求項19】
請求項10ないし12のいずれかに記載の方法により得られる、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が下記(5)および(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
【請求項20】
請求項10ないし12のいずれかに記載の方法により得られる、前記第2の仕上げ加工後の基板表面が下記(3)〜(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
(3)2.5μm<λ(空間波長)<1mmにおけるRMSスロープが0.45mRad以下
(4)250nm<λ(空間波長)<2.5μmにおけるRMSスロープが0.5mRad以下
(5)100nm<λ(空間波長)<1μmにおけるRMSが0.1nm以下
(6)50nm<λ(空間波長)<250nmにおけるRMSスロープが0.15nm以下
【請求項21】
前記第2の仕上げ加工後の基板表面の平坦度が50nm以下であることを特徴とする請求項17ないし20のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項22】
前記第2の仕上げ加工後の基板表面の高空間周波数(HSFR)領域におけるRMSが0.15nm以下であることを特徴とする請求項17ないし21のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項23】
請求項13ないし22のいずれかに記載のガラス基板から得られるフォトマスクブランクス。
【請求項24】
請求項23に記載のマスクブランクスから得られるフォトマスク。
【請求項25】
請求項13ないし22のいずれかに記載のガラス基板を光学系の光学素子として使用した露光装置。

【図1】
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【図2】
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