予約決済方法およびその方法に使用する端末
【課題】決済に際して第三者を介さずに、サービス等の予約および予約されたサービス等の決済を、電子的に行うことができるシステムを実現することである。
【解決手段】サービス等の利用者の端末1から予約受付装置4に予約を申し込む制御メッセージを送信すると、予約受付装置4は、利用者の端末1に、サービス等の対価と同額の電子マネーの仮引き落としを要求する。利用者の端末1は、仮引き落としの要求を受けると、要求された額を利用可能な電子マネーから差し引き、支払い用の電子マネーとして記録する。その後、利用者の端末1は、予約受付装置4に仮引き落としした電子マネーを送金する。
【解決手段】サービス等の利用者の端末1から予約受付装置4に予約を申し込む制御メッセージを送信すると、予約受付装置4は、利用者の端末1に、サービス等の対価と同額の電子マネーの仮引き落としを要求する。利用者の端末1は、仮引き落としの要求を受けると、要求された額を利用可能な電子マネーから差し引き、支払い用の電子マネーとして記録する。その後、利用者の端末1は、予約受付装置4に仮引き落としした電子マネーを送金する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスもしくは商品を予約し、予約したサービスもしくは商品の代金の決済をする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やコンピュータなどのインターネットに接続可能な機器が普及したことにより、これらの機器を使って電子的にチケット等を予約することが可能になっている。例えば、チケットの発行元センタにアクセスして予約処理を行い、発行元センタから受信した予約情報を光ICカードに書き込むチケット予約システムなどが開示されている。また、マイレージ番号と関連付けられたクレジット番号が記録されたカードからクレジット番号を読み出して認証し、クレジット番号とマイレージ番号とを関連付けて予約情報を管理するチケット予約管理サーバも開示されている。
【0003】
さらに、携帯端末からの予約システムを使って施設の運営をするシステムも考案されている。例えば、端末に並ばずにアトラクションを予約できることにより利用客が順番待ちのために時間の浪費をすることを軽減することができるアミューズメント施設運営システムが提案されている。
【特許文献1】特開平10−134129号公報
【特許文献2】特開2004−265084号公報
【特許文献3】特開2006−228105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のチケット予約システムなどでは、金銭の電子決済に際して、クレジット決済用のサーバを利用する。このため、チケット等の予約サービスを提供する際には、その提供者が、クレジット決済用サーバの利用料を支払う必要がある。そこで、チケット予約サービスなどの提供者からは、安い経費でチケットなどの予約と決済を行うことができるシステムが望まれている。なお、その他のサービスや商品の予約販売などのシステムを提供する提供者の間にも、同様のニーズがある。
【0005】
さらに、クレジット決済用のサーバを利用するシステムにおいては、一般に、チケット等を予約した時点で料金がクレジット決済用サーバを通して決済されてしまう。そのため、例えば、コンサート主催者が予約決済後にコンサートを取り止めた場合など、予約決済後にサービスなどの提供や商品の販売が中止された場合であっても、予約をした利用者には、決済された料金が請求されることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、決済に際して第三者を介さずに、サービス等の予約および予約されたサービス等の決済を電子的にすることができるシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、電子マネーを管理する電子財布手段と、サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段を備える移動端末を用いることによって、解決することができる。
【0008】
移動端末から予約受付装置に対してサービス等の予約が行われると、予約受付装置は、予約されたサービス等の対価と同額の電子マネーに仮引き落としの設定をすることを要求するメッセージを、移動端末に送信する。移動端末において仮引き落としの設定が行われた後、予約受付装置から電子マネーの送金を要求するメッセージを受信すると、移動端末は、予約受付装置に、仮引き落としの設定が行われている電子マネーの送金を行う。
【発明の効果】
【0009】
決済に際して第三者を介さずに、サービス等の予約および予約されたサービス等の対価の電子的な決済をすることができるシステムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<概要>
図1は、実施形態の予約決済方法の概要を説明する図である。予約受付装置4は、サービス等の情報の利用者への送信、予約の受付、決済を行う。利用者の移動端末1は、この予約決済方法において、予約受付装置4に対して予約を依頼する装置(予約依頼装置)として機能する。予約受付装置4と利用者の移動端末1は、無線基地局3を介して通信を行うことができ、ICカードR/W5を介して通信をすることもできる。
【0011】
まず、本実施形態の予約決済方法において、サービスもしくは商品の提供者は、予約受付装置4(提供者の端末)からサービス等の情報を含む制御用メッセージを、無線基地局3を介して、利用者の移動端末1に送信する。利用者の移動端末1では、予約受付装置4から受信した情報に基づき、予約画面を表示する。利用者がこの予約画面中の予約ボタンを押すと、利用者の移動端末1は、サービス等の予約を要求する制御メッセージを、無線基地局3を介して、予約受付装置4に送信する。
【0012】
予約を要求するメッセージを受信した予約受付装置4は、利用者の移動端末1に対して、予約されたサービス等の対価と同額の電子マネーを対価の支払い用の電子マネーとして設定することを依頼するメッセージを送信する。利用者の移動端末1では、その端末で予約したサービス等の対価分の電子マネーを、支払いに用いる電子マネーとして設定する。これらの電子マネーの設定の記録は、ICカード2中に記録される。
【0013】
利用者が、その移動端末1を、ICカードR/W5を介して予約受付装置4にアクセスさせると、予約受付装置4は、利用者の移動端末1に対して対価の支払いを要求する。この要求に応じて、利用者の移動端末1は、支払いに用いる電子マネーとして予め設定しておいた電子マネーを、予約受付装置4に転送する。
【0014】
従って、上記の方法によると、決済の際に第三者を介さずに、予約されたサービス等の対価についての電子的な決済を行うことができる。
ここで、本明細書中で、利用者の移動端末1にチャージされている電子マネーを、予約したサービス等の対価の支払い用の電子マネーとして設定することを「仮引き落とし」という。
【0015】
また、本明細書中で「電子マネー」とは、電子マネーのほか、電子的に取り扱いが可能なバリュー、ポイントなど、電子的に取り扱いが可能である金銭、証券などの金券、もしくは金銭や金券に順ずるものを含む概念である。
【0016】
<装置構成>
図2は、実施形態の予約決済方法における利用者の移動端末の構成を説明する図である
。利用者の移動端末1は、制御部10、ICカード2、中央制御装置6、メモリ7、および、表示部8を備える。さらに、ICカード2は、利用可能バリュー記録部21と仮引き落としバリュー記録部22を備える。
【0017】
制御部10は、予約決済方法の実施の制御を行い、パケット制御部11、無線制御部12、制御メッセージ送信受信部13、メール送信受信部14、予約決済部15、ICカード制御部16を含む。制御部10に含まれるこれらの部分の一部または全部をソフトウェアにより実現することができ、また、ハードウェア回路により実現する構成にすることもできる。
【0018】
パケット制御部11は、利用者の移動端末1が他の端末などとの間で行うパケットの送受信を制御する。無線制御部12は、移動端末1で行われる無線通信を制御する。メール送信受信部14は、移動端末1が他の端末などと行うメールの送受信を制御する。
【0019】
制御メッセージ送信受信部13は、移動端末1が実施形態の予約決済方法を実施するために必要な制御用のメッセージの送信および受信を行う。制御用メッセージの例としては、サービスや商品の情報を通知するメッセージ、サービス等の予約を要求するメッセージ、電子マネーの支払い用途の設定を要求するメッセージなどが挙げられる。また、これらのメッセージは、ショートメッセージサービス(SMS、Short Message Service)を用いた形式とすることができるが、利用者の移動端末1と予約受付装置4の構成に応じて、電子メールなどその他の任意の形式にすることができる。
【0020】
予約決済部15は、実施形態の予約決済方法での利用者の移動端末1の動作を全般的に制御する。例えば、後で詳しく述べるように、サービス等の情報を通知する制御用メッセージを受信したときに、表示部8に予約画面を表示させる。また、ICカード制御部16に対して、ICカード2に記録されている利用可能な電子マネーの額などの更新を要求する。
【0021】
メモリ7は例えばROM、RAMなどを含み、処理で用いられるプログラムとデータを格納する。中央制御装置6は、メモリ7を利用してプログラムを実行することにより、利用者の移動端末1の動作に対応する機能を提供する。なお、図2および後述する図3に示した構成例では、制御部10と中央制御装置6が別個に表されているが、中央制御装置6がプログラムを読み込むことによって制御部10を実現する構成にすることもできる。表示部8は、後述する予約画面などの予約決済方法で用いられる表示画面を表示する他、利用者の移動端末1の動作に基づく任意の用途に用いられる。
【0022】
ICカード2は、情報の記録に用いられる。特に、電子マネーの利用可能額や、支払い用に設定されている電子マネーの額などを記録するために用いられ、電子財布としての機能を備える。ICカード2が備える利用可能バリュー記録部21は、利用者の移動端末1にチャージされていて、任意のサービスや商品の購入に使用可能な電子マネーの額を記録している。なお、本明細書中で、任意のサービスや商品の購入に使用可能な電子マネーを「利用可能バリュー」ということがある。
【0023】
仮引き落としバリュー記録部22は、利用者の移動端末1からサービス等の予約を行った場合に、予約したサービス等の対価と同額の電子マネーを記録する。仮引き落としバリュー記録部22に記録された電子マネーは、支払い用途が設定された電子マネー、すなわち仮引き落としされた電子マネーとして取り扱われる。仮引き落としされた電子マネーは、仮引き落としの設定が解除されるまで、予約したサービス等以外のサービス等の対価として使用することができない。つまり、支払い用途の設定がされると、予約したサービス等の対価として擬似的な引き落とし(仮引き落とし)がされた状態となる。また、後述するように、仮引き落としバリュー記録部22には、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額以外の情報を格納する構成にすることができる。例えば、仮引き落としされた電子マネーを、サービス等の対価として支払う予定の日(転送予定日)、仮引き落とした電子マネーで対価を支払う対象となるサービス等の識別番号などが例として挙げられる。本明細書中では、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額を「仮引き落としバリュー」ということがある。ただし、「仮引き落としバリュー」の語は、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額と合わせて記録されている転送予定日、サービス等の識別番号などの情報も指すことがある。
【0024】
図3は、実施形態の予約決済方法におけるサービス等の予約受付装置の構成を説明する図である。以下に詳しく述べる予約決済方法において、予約受付装置4は、サービス等の提供者の端末であり、さらに、利用者の移動端末1との決済を行うこともできる。
【0025】
予約受付装置4は、利用者の移動端末1と類似した構成であるが、さらに、ICカードR/W5を備えている。ICカードR/W5は、利用者の移動端末1および予約受付装置4に備えられているICカード2に記録された情報の読み込み、および、変更に用いられる。ICカードR/W5により、利用者の移動端末1の仮引き落としバリュー記録部22に記録されている電子マネーは予約受付装置4に転送される。また、提供者が用いる端末の制御部10は、ICカードR/W制御部17を備えており、このICカードR/W制御部17は、ICカードR/W5の制御に用いられる。なお、予約受付装置4のICカード2は、仮引き落としバリュー記録部22を備えない構成にすることができる。
【0026】
予約決済方法を実施するためには、提供しようとするサービスについての詳細情報を、提供者が、利用者となりうる顧客に対して通知する必要がある。そこで、予約受付装置4のメモリ7に、提供者が提供しようとするサービス等の詳細情報や利用者となる可能性がある顧客のリストを格納する構成にすることができる。さらに、サービス等の予約を行った利用者を認識するためのテーブルも、予約受付装置4のメモリ7に格納される構成とすることもできる。
【0027】
<実施形態(1)>
以下、コンサートの予約とコンサートのチケット代金の決済をする場合を例として、予約決済方法の実施形態を説明する。コンサートのチケット予約サービスの提供者をコンサートの主催者、もしくは主催者ということがある。また、チケット予約サービスの利用者をコンサートの参加者、もしくは、参加者と記載することがある。さらに、以下の説明では、利用者の移動端末1と予約受付装置4のいずれも携帯電話端末であるとする。
【0028】
〔予約受付装置が保持する情報〕
コンサートチケットの予約サービスを提供する場合には、前述のとおり、予約受付装置4が提供するサービスの詳細情報を管理する必要がある。図4は、コンサート管理テーブルの一例を示す図である。コンサート管理テーブルには、コンサートの識別番号、コンサート料金、コンサート情報、残席数などのコンサートに関する詳細情報が記録されている。コンサートの識別番号は、個々のコンサートを識別できる任意の番号とすることができる。例えば、予約受付装置4が携帯電話端末である場合には、図4に示したように、予約受付装置4を認識しやすくするために、予約受付装置(提供者の携帯電話端末)の電話番号の末尾に、その提供者が提供しているコンサートの通し番号を付したものとすることができる。なお、本明細書中で「コンサート情報」は、少なくともコンサートの開催日時およびコンサート会場を含む情報である。ただし、コンサートの開催日時とコンサート会場を表す情報に他の任意の情報を付け加えた情報も、コンサート情報として記録、配信などをすることができる。
【0029】
予約受付装置4は、利用者となりうる可能性がある顧客のデータベースも、メモリ7などに記憶している。この顧客のデータベースは、過去に、提供者のサービス等を利用したことがある個々の者を識別することができる任意の識別子を用いて構成される。例えば、利用者の移動端末1の電話番号やメールアドレスなどを用いて構成することができる。
【0030】
さらに、提供者は、提供するコンサートチケットを予約した利用者を記録するテーブルを有する。図5は、利用者の電話番号を記録したテーブルの一例を示す図である。このテーブルには、予約を受け付けると利用者の電話番号をテーブルに記録するだけでなく、図5に示したとおり、各利用者の決済情報もあわせて記録する構成にすることができる。なお、予約者を記録するテーブルは、予約者の電話番号の代わりに、予約者のアドレスなどを用いて構成しても良い。決済の際に個々の予約者を識別することができる任意の情報を用いて、予約者を記録するテーブルを構成することができる。
【0031】
〔仮引き落としバリューの記録方法〕
利用者の移動端末1には、前述のとおり、利用可能バリュー記録部21および仮引き落としバリュー記録部22が備えられ、利用者がサービス等の対価として使用することができる電子マネーの額が記録されている。
【0032】
図6は、バリュー記録部での記録形態の一例を説明する図である。利用者の移動端末1のICカード2の利用可能バリュー記録部格納アドレス21aには、利用者の移動端末1にチャージされている電子マネーのうち、任意のサービス等に使用することができる電子マネーの額が記録されている。
【0033】
ICカード2の仮引き落としバリュー記録部格納アドレス22aには、仮引き落としバリュー記録数30と仮引き落としバリュー40が記録される。仮引き落としバリュー記録数30は、利用者の移動端末1において仮引き落としとして記録されている件数を表す。例えば、図5に記載されているようにN件の仮引き落としがされている場合には、仮引き落としバリュー記録数30としてNが記録される。仮引き落としバリュー40には、仮引き落とし金額41が記録されるが、仮引き落とし金額41と合わせて、転送予定日42、および、コンサート識別番号43を記録する構成にすることができる。仮引き落とし金額41以外の情報を合わせて仮引き落としバリュー40として記録する場合には、仮引き落としごとに、各情報要素の格納の順番を一定にしておく。すると、転送予定日42などが記録されている領域と仮引き落とし金額41が記録されている領域の相対位置が一定であるため、制御部10は、仮引き落とし金額41に対応する転送予定日42などを検索することができる。同様に、電子マネーの決済に際して、制御部10が、コンサート識別番号43に対応する仮引き落とし金額41を検索する操作も簡略化される。
【0034】
図7は、電子マネーの仮引き落としが行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。図7(a)は、利用者の移動端末1に、8000円の電子マネーがチャージされていて、仮引き落としがなされていない場合を示す。このとき、利用可能バリューは8000円である。次に、利用者が、図4のコンサート管理テーブルに示されたコンサートのうち、「090−1111−2221−00001」で識別されるコンサートのチケットを予約したとする。このコンサートの料金は3000円であるので、図7(b)に示すように、3000円の電子マネーがコンサート料金として仮引き落としバリュー記録部22に記録されることにより、仮引き落としされる。利用者の移動端末1にチャージされていた8000円のうちの3000円は、コンサートのチケット代金に支払い用途が設定されているので、任意のサービス等に利用することができる電子マネーは、5000円である。そこで、利用者の移動端末1の利用可能バリュー記録部21には、5000円が記録される。
【0035】
一方、予約受付装置4には、コンサートの予約を行った利用者(参加者)からの予約情報は通知されていても、入金はされていない。従って、主催者の利用可能バリュー記録部21に記録される金額は、参加者の予約によって変動しない。
【0036】
〔予約決済方法〕
図8Aおよび図8Bは、実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。090−1111−2222の電話番号で識別される携帯電話端末からコンサートチケットが予約され、決済が行われる場合について説明する。なお、以下の各ステップにおいて、利用者の移動端末1や予約受付装置4として機能する携帯電話端末が行う動作は、携帯電話端末の制御部10が行う動作である。また、かかる動作は、制御部10のうち、予約決済部15が行うか、予約決済部15がICカード制御部16等の他の部分に要求して実行される。
【0037】
{コンサートの予約}
図8Aは、コンサートのチケットの予約とチケット代金の仮引き落としを説明するフローチャートである。まず、主催者は、コンサートを企画すると、そのコンサートの識別番号を決定し、コンサート識別番号とコンサートの開催に必要な情報を予約受付装置4(主催者の携帯電話端末)に登録する(ステップS1)。ここで登録される情報は、図4で示したコンサート管理テーブルに記録される内容である。予約受付装置4には、前述のとおり、過去のコンサート参加者など利用者となりうる可能性がある顧客のメールアドレスなどがデータベースとして保持されている。そこで、予約受付装置4は、過去の参加者アドレス一覧とコンサート管理テーブルを使用し、過去の参加者全員の携帯電話端末に、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報を含む制御メッセージを配信する(ステップS2)。
【0038】
なお、ここでは、制御メッセージがSMSメールとして送信される場合を例として説明するが、制御メッセージは、電子メールなど任意の他の形式で送信することも可能である。図9は、実施形態の予約決済システムで用いられる制御用メッセージの情報要素の例を示す図である。制御用のSMSメールは、宛先電話番号、発振元電話番号のほか、制御コマンドと付加情報を含む。
【0039】
制御コマンドは、通知される制御メッセージの種類を記述する情報要素であり、図9に示した実施形態では、「コンサート開催通知」、「予約依頼」、「仮引き落とし依頼」、「仮引き落とし完了」を識別する。制御用SMSメールを受信した携帯電話端末は、制御コマンドを読み込むことにより、受信した制御メールに応答するために動作する。
【0040】
制御用SMSメールの付加情報としては、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報、料金転送予定日などの情報要素が含まれる。なお、図9には、付加情報1から付加情報3までの3種類の情報を図示しているが、これは一例であって、各制御メッセージに含まれる付加情報の数は任意である。また、付加情報の記述の順番は任意であり、コンサート識別番号を付加情報1とする必要はない。ステップS2で通知されるメッセージは、図9(a)に示すとおり、制御コマンドとしてコンサート開催通知を指定し、付加情報として、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報を含むメッセージである。
【0041】
SMSメールを受信した参加者の携帯電話端末では、SMSメールのパケットのうち、図9に示した制御コマンドが格納されている領域を読み込み、SMSメールが制御メールに該当するか否か、および、制御メールの種類を判断する。受信したメールの制御コマンドがコンサート開催通知である場合には、参加者の携帯電話端末は、メモリ7に格納された所定のプログラムを読み込むことにより、予約画面を表示する。図10は、表示される
予約画面の一例を示す図である。表示されたコンサート予約画面50には、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報51のほかに、予約ボタン52が含まれる。
【0042】
参加者は、コンサート予約画面50を見て、参加したいコンサートである場合には、予約ボタン52を押す(ステップS3)。予約ボタン52が押されると、メモリ7に格納されたプログラムにより、参加者の携帯電話端末から予約受付装置4に向けて、コンサート予約のための制御メールが送信される(ステップS4)。コンサート予約依頼の制御SMSメールは、図9(b)に示すとおり、制御コマンドが予約依頼で、付加情報としてコンサート識別情報が格納された制御メールである。なお、予約依頼制御メールなどの予約を依頼するための制御メッセージを「予約情報」ということがある。
【0043】
参加者からの予約依頼制御メールを受信すると、予約受付装置4は、コンサート管理テーブルを使用して、予約依頼を受けたコンサートの残席があるかを確認する(ステップS5)。残席がない場合には、予約受付装置4は、参加者の携帯電話端末に残席がない旨を表わすエラーメッセージを送信して処理を終了する(ステップS14)。残席がある場合には、コンサート管理テーブルに記録された残席数を1だけ減らして、図5に示したような参加予約者の電話番号一覧に、予約依頼用制御メールの送信元の電話番号を登録する(ステップS6、7)。
【0044】
{コンサート料金の仮引き落とし}
予約受付装置4は、参加者の電話番号一覧に新たな電話番号が付加されると、新たに付け加えられた電話番号で識別される携帯電話端末に、コンサート料金の仮引き落としを依頼する制御メールを送信する(ステップS8)。仮引き落とし依頼の制御メールでは、図9(c)に示したように、コンサート識別番号やコンサート料金のほかに、料金の転送予定日が通知される。料金の転送予定日とは、仮引き落としされた電子マネーが、予約受付装置4に転送される予定の日である。料金転送予定日は、コンサートの開催日とすることができる。本明細書中では、仮引き落としを依頼するための制御用メッセージを、仮引き落としメッセージということがある。
【0045】
仮引き落とし依頼の制御メールを受信すると、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としが可能かを確認する(ステップS9)。利用可能バリュー記録部21に記録されている電子マネーの額が仮引き落としを要求された額よりも低い場合は、仮引き落としができないため、参加者の携帯電話端末は、エラーメッセージを表示して処理を終了する(ステップS13)。
【0046】
仮引き落とし依頼の制御メールで指定された分の電子マネーの仮引き落としが可能な場合は、指定されたコンサート料金分の仮引き落としを行う(ステップS9、10)。仮引き落としは、前述のとおり、仮引き落とし依頼の制御SMSメールで指定された額の電子マネーを、コンサート料金の支払い用の電子マネーとして支払いの用途を設定することによって行われる。具体的には、予約決済部15は、仮引き落としバリュー記録部22にコンサート料金を記録すること、および、利用可能バリュー記録部21の記録をコンサート料金の分を差し引いた額に更新することを、ICカード制御部16に依頼する。電子マネーの仮引き落としが終了すると、参加者の携帯電話端末は、図9(d)に示した電子マネー仮引き落とし完了を表す制御SMSメールを、予約受付装置4に送信する(ステップS11)。
【0047】
電子マネー仮引き落とし完了を表す制御SMSメールを受信した予約受付装置4は、その制御SMSメールの送信元の電話番号で識別される参加者について、仮引き落とし(仮決済)が完了している旨の登録を行う(ステップS12)。この登録は、図5に示した参加者の電話番号一覧に、参加者の状態を表示する欄を設けている場合には、その欄の内容
を「予約中」から「仮決済ずみ」に変更することによって行うことができる。例えば、図5において090−1111−2222の電話番号で識別される参加者は、仮引き落としが終わっている参加者として登録されている。一方、090−1111−2223の電話番号で識別される参加者は、コンサートの予約はしているが仮引き落としを行っていない参加者として登録されている。
【0048】
{コンサート料金の決済}
次に、図8Bを参照しながら、コンサート料金の決済について説明する。コンサート料金の仮引き落としが終了すると、参加者はコンサート会場において、参加者の携帯電話端末を、予約受付装置4に接続されているICカードR/Wに接触させる(ステップS21)。ICカードR/Wを通して、予約受付装置4が携帯電話端末からのアクセスを認識すると、予約受付装置4は、自装置にアクセスしてきた携帯電話端末に対して電話番号の通知を求める(ステップS22)。電話番号の通知を求められると、参加者の携帯電話端末は、予約受付装置4に電話番号を通知する(ステップS23)。なお、ステップS21、22において、参加者の携帯電話端末がICカードR/Wに近づくと、予約受付装置4が参加者の携帯電話端末に対して電話番号の通知を求める構成にすることもできる。
【0049】
予約受付装置4は、通知を受けた電話番号を参加予約者の電話番号一覧から検索し、通知された電話番号で識別される参加者が仮引き落としを完了しているかを確認する(ステップS24)。通知された電話番号が、仮引き落としを完了している参加者の電話番号ではない場合は、処理を終了する。ここで、参加者の携帯電話端末にエラーメッセージを送信して処理を終了する構成にすることもできる。
【0050】
一方、通知された電話番号が仮引き落としを完了した参加者の電話番号である場合、予約受付装置4は、参加者の携帯電話端末に電子マネーの転送依頼を行う(ステップS25)。電子マネーの転送依頼では、主催者側の携帯電話端末から参加者側の携帯電話端末に、コンサート識別子が通知される。電子マネー転送依頼を受信すると、参加者の携帯電話端末は、通知されたコンサート識別子に対応付けて仮引き落とししてあったコンサート料金を、ICカードR/Wを通して予約受付装置4に転送する(ステップS26)。図11(a)は、電子マネーの転送処理が行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。コンサート料金が転送されると、予約受付装置4には、コンサート料金分の電子マネーがチャージされる(ステップS27)。例えば、予約受付装置4に記録された利用可能バリュー記録部21における記録が、図7(b)で示すように0円であった場合、3000円のコンサート料金の転送を受けると、図11(a)に示すように、利用可能バリューが3000円になる。一方、コンサート料金の転送を行うと、参加者の携帯電話端末では仮引き落としバリュー記録部22の記録が更新される(ステップS28)。図7(b)に示すように、3000円の仮引き落としバリューが記録されていた場合に、仮引き落としされていたコンサート料金を転送すると、図11(a)に示すように、仮引き落としバリュー記録部22の記録が0円に更新される。
【0051】
上記のステップS21〜28の処理は、参加者がその携帯電話端末を予約受付装置4に接触させたときに行われ、参加者の携帯電話端末が予約受付装置4に接続されているICカードR/Wに接触している間に行われる。
【0052】
なお、これまでの説明において、参加者の携帯電話端末をICカードR/Wに接触させて決済をする方法について具体的に述べたが、これは一例に過ぎない。参加者の携帯電話端末と予約受付装置4との間で、第三者を介さずに直接的な電子マネーの送受信が可能な状況を形成できる任意の方法を、仮引き落としされた電子マネーの決済のために用いることができる。従って、参加者の携帯電話端末と予約受付装置4を接触させる必要はなく、両者の間でリンクを確立する、もしくは、認証を行うなどの方法により、第三者を介さず
に、データを送受信することによって決済をすることが可能である。また、参加者の携帯電話端末を予約受付装置4に近づけると、電子マネーの決済が行われる構成にすることもできる。
【0053】
このように、制御用SMSメールを使用して予約、仮引き落としを行い、コンサート会場の受付などで仮引き落としされているコンサート料金の転送を行うことにより、第三者を介さずに、決済を行うことができる。その結果として、サービス等の提供者は、クレジット決済用サーバの使用料を支払う必要がなく、安価にサービス等の予約システムを提供することが可能になる。また、電子マネーの転送依頼を、SMSメールなどのメッセージで行わず、ICカードR/Wなどの任意のハードウェアを介して行う構成にすれば、数値の改ざんなどを行いにくくし、セキュリティを高めることが可能である。
【0054】
さらに、仮引き落とし方法を使用した決済方法を用いると、無線通信の品質劣化などによる電子マネーの誤転送を防ぐことができるという効果がある。また、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としの際には、セキュリティ機能を使用した通信を行わないので、暗号化などの操作を行う必要がなく、携帯電話端末の電池消費量の削減につながる。さらに、参加者と主催者の間の制御メッセージの送受信を、SMSメールを使用して行う構成にすれば、パケット通信に比べて、さらに、参加者の携帯電話端末および予約受付装置4の電力消費を抑えることができる。
【0055】
<実施形態(2)>
次に、実施形態(1)で述べたようにコンサートの予約が行われた後に、コンサートの開催が取りやめられた場合の処理について説明する。図12は、実施形態の予約決済方法において、チケットの予約後にコンサートが中止された場合の処理方法を説明するフローチャートである。
【0056】
コンサートの予約とコンサート料金の仮引き落としは、図8AのステップS1〜12を参照しながら説明したように行われ、参加者の携帯電話端末から予約受付装置4へ仮引き落とし完了通知が送信されたとする(ステップS31、32)。その後、予約していたコンサートが中止されると、参加者の携帯電話端末に仮引き落としされているコンサート料金は転送されないで仮引き落としバリュー記録部22に記録されたままである。そこで、参加者の携帯電話端末では、転送予定日以降も記録が残存している仮引き落としバリューの処理を行う。
【0057】
まず、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としバリュー記録部22に記録があるかを確認する(ステップS33)。仮引き落としバリュー記録部22の記録は、図6に示したように行われるので、記録の有無の確認は、仮引き落としバリュー記録部格納アドレス22aに含まれる仮引き落としバリュー記録数30を確認することにより行われる。仮引き落としバリュー記録部22に記録があると、個々の仮引き落としバリュー40について、転送予定日42を確認する。図6に例示した場合は、仮引き落としバリュー40として、仮引き落とし金額41、転送予定日42などが所定の順序で格納されているので、仮引き落としバリュー40の所定の領域を読み込むことで、転送予定日を確認する(ステップS34)。
【0058】
転送予定日42を過ぎている仮引き落としバリュー40については、仮引き落としした電子マネーによって料金の支払いをする対象であったコンサートに参加者が参加しなかったことを示す。従って、そのコンサート料金の支払いのために電子マネーを使用する必要がないため、仮引き落としバリュー記録部22に記録されている電子マネーを、利用可能バリュー記録部21に転送する(ステップS35)。
【0059】
以上の処理は、仮引き落としバリュー記録部22の記録に、転送予定日を過ぎている仮引き落としバリュー40がなくなるまで繰り返される(ステップS33〜35)。転送予定日を経過していない仮引き落としのみが記録されている場合は、ステップS33の処理に戻るが、ここで、任意の時間を経過してからステップS33〜35の処理を行うように構成を変更することもできる。一方、仮引き落としバリュー記録部22に記録がない場合には、制御部10は処理を終了する。
【0060】
図11(b)に、仮引き落としされた仮引き落としバリュー40を利用可能バリュー記録部21に転送する処理を行ったときの例を示す。参加者の携帯電話端末でコンサート料金の仮引き落としをしたときに、図7(b)に記載したように、コンサート料金である3000円の電子マネーが仮引き落としバリュー記録部22に記録され、利用可能バリュー記録部21が5000円になったとする。仮引き落としされた3000円の電子マネーが仮引き落としバリュー記録部22に記録されたまま転送予定日を経過すると、参加者の携帯電話端末では、前述のとおり、仮引き落としされた電子マネーが利用可能バリュー記録部21に転送される。その結果、利用可能バリュー記録部21の記録は5000円から8000円に更新され、利用可能バリュー記録部21の記録も3000円から0円に更新される。また、このときの処理では、主催者への送金が行われていないので、予約受付装置4の仮引き落としバリュー記録部の記録は変更されない。
【0061】
このような方法によって決裁が行われなかった場合の処理をすることにより、第三者を介して決済を行ったときのように、コンサートが中止されたにもかかわらず、そのコンサートへの参加申し込みをした者へのコンサート料金の請求が発生するおそれがない。
【0062】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
【0063】
上記の実施形態(1)では、1つのコンサートを1台の携帯電話端末から予約するだけでなく、1台の携帯電話端末から複数のコンサートの予約および決済をすることも可能である。このとき、参加者の携帯電話端末は、ステップS26の操作に際して、予約受付装置4から通知されたコンサート識別子を確認する。仮引き落としバリュー記録部22中のコンサート識別子が一致した記録に対応する仮引き落としについて送金を行うことにより、参加者の携帯電話端末から複数のコンサートについての決済を行うことができる。
【0064】
上記の実施形態(2)では、仮引き落としバリュー記録部22に記録された電子マネーを利用可能バリュー記録部21の記録に入れるために、電子マネーの転送を行うときを日にち単位で管理していたが、日時による管理を行う構成にすることができる。この場合、コンサートの開催時刻などに合わせて電子マネーの送金が求められる日時を転送予定時として記録し、図12のステップS34において転送予定時を過ぎたかを確認する。また、日時を考慮して電子マネーの処理を行う場合は、適宜、コンサート識別番号などの転送予定時以外の情報を確認してからステップS35の処理を行う構成にすることもできる。
【0065】
これまでの説明において、例として、コンサートの予約を行う場合について詳しく説明したが、本実施形態は、コンサートの予約以外にも、ホテルの予約、商品の予約販売などのシステムとして用いることができる。
【0066】
また、これまでの説明では、サービス等の予約受付装置4と利用者の端末のいずれも携帯電話端末である場合の例を説明したが、利用者が予約に用いる端末は、サービス等の予約受付装置4とデータの送受信を行うことができる移動端末であれば良い。例えばPDA(Personal Digital Assistant)を用いるシステムにすることもできる。予約受付装置4
は、移動端末である必要はなく、移動端末と通信が可能な任意のシステムとすることができる。
【0067】
上述の各実施形態に対し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 電子マネーを管理する電子財布手段と、
サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段
を備えることを特徴とする移動端末。
(付記2) 前記決済手段は、前記予約受付装置に備えられたICカードR/Wを介して、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記3) 前記決済手段は、前記予約受付装置との間にリンクを確立することにより、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記4) 前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記仮引き落とし決済手段は、前記仮引き落としメッセージを受信すると、前記利用可能額記録手段により記録されていた電子マネーの額から前記仮引き落としメッセージで指定された額の電子マネーを差し引いた額を、前記利用可能記録手段に記録し、さらに、前記仮引き落としメッセージに指定された額の電子マネーを前記仮引き落とし記録手段に記録する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記5) 複数の前記仮引き落としの設定が行われている場合、前記決済手段は、前記電子マネー転送依頼に含まれている識別子を確認し、前記識別子が表すサービスもしくは商品について仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記6) 前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記7) 前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記払い戻し手段は、前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落とし手段に記録されている電子マネーを、前記利用可能額記録手段の記録へ変更することにより前記仮引き落としの設定を解除する
ことを特徴とする付記6に記載の移動端末。
(付記8) サービスもしくは商品の情報を通知する通知手段と、
予約情報を受信すると、予約された前記サービスもしくは商品の対価に相当する額の電子マネーについて前記対価の支払いに使用するための仮引き落としの設定を依頼するメッセージを送信する仮引き落とし依頼手段と、
前記仮引き落としの設定を行った移動端末に、前記仮引き落としの設定が行われている電子マネーの転送を依頼するメッセージを送信する電子マネー支払い要求手段
を備えることを特徴とする予約受付装置。
(付記9) 前記仮引き落としの設定が行われたことを表す仮引き落とし完了通知を受信すると、前記仮引き落とし完了通知を送信した移動端末を利用する利用者を仮引き落とし済み利用者として登録する登録手段をさらに備え、
前記電子マネー支払い要求手段は、前記予約受付装置に備えられたICカードR/Wを介して、前記仮引き落とし済み利用者の移動端末に電子マネー転送依頼を送信する
ことを特徴とする付記8に記載の予約受付装置。
(付記10) サービスもしくは商品の通知情報を受信した利用者の移動端末が備える情報処理装置を、
電子マネーを管理する電子財布手段、
前記サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を予約受付装置に送信する予約情報送信手段、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを、仮引き落としする仮引き落とし決済手段、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを前記予約受付装置に送金する決済手段
として機能させるためのプログラム。
(付記11) 前記利用者の移動端末が備える前記情報処理装置を、さらに、
前記予約受付装置から前記通知情報を受信すると、前記サービスもしくは商品の予約に用いる予約画面を表示する予約画面表示手段
として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
(付記12) 前記利用者の移動端末が備える前記情報処理装置を、さらに、
前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
(付記13) 利用者からのサービスもしくは商品の予約を受け付ける情報処理装置を、
前記利用者の移動端末に前記サービスもしくは商品の情報を通知する通知手段、
前記利用者の端末から予約情報を受信すると、予約されたサービスもしくは商品の対価に相当する額の電子マネーについて仮引き落としの設定をすることを依頼する仮引き落としメッセージを送信する仮引き落とし依頼手段、
前記仮引き落としの設定が行われた前記利用者の移動端末に対して、前記仮引き落としの設定が行われている電子マネーの転送を依頼するメッセージを送信する電子マネー支払い要求手段
として機能させるためのプログラム。
(付記14) 利用者の移動端末から予約情報を受信すると、予約受付装置は、予約されたサービスもしくは商品の対価の仮引き落とし依頼を、前記利用者の移動端末に送信し、
前記利用者の移動端末は、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーに対して仮引き落としの設定をし、
前記利用者の移動端末が前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、前記利用者の移動端末は、前記仮引き落としの設定がされた電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする方法。
(付記15) 前記利用者の移動端末は、予め決められたときを経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16) 前記仮引き落としの設定がされたことを表す通知を、前記利用者の移動端末から受信すると、前記予約受付装置は、前記利用者を仮決済ずみ利用者として登録し、
前記予約受付装置は、前記仮決済ずみ利用者の移動端末がICカードR/Wを介してアクセスすると、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーの支払いを要求する通知を、前記仮決済ずみ利用者の移動端末に送信する
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態の予約決済方法の概要を説明する図である。
【図2】実施形態の予約決済方法における利用者の移動端末の構成を説明する図である。
【図3】実施形態の予約決済方法におけるサービス等の予約受付装置の構成を説明する図である。
【図4】コンサート管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】予約者の電話番号を記録したテーブルの一例を示す図である。
【図6】バリュー記録部での記録の一例を説明する図である。
【図7】電子マネーの仮引き落としが行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。
【図8A】実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。
【図8B】実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。
【図9】実施形態の予約決済方法で用いられる制御用メッセージの情報要素の例を示す図である。
【図10】表示される予約画面の一例を示す図である。
【図11】電子マネーの仮引き落とし後の処理が行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。
【図12】実施形態の予約決済方法において、チケットの予約後にコンサートが中止された場合の処理方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 利用者の移動端末
2 ICカード
3 無線基地局
4 予約受付装置
5 ICカードR/W
6 中央制御装置
7 メモリ
8 表示部
10 制御部
11 パケット制御部
12 無線制御部
13 制御メッセージ送信受信部
14 メール送信受信部
15 予約決済部
16 ICカード制御部
17 ICカードR/W制御部
21 利用可能バリュー記録部
22 仮引き落としバリュー記録部
30 仮引き落としバリュー記録数
40 仮引き落としバリュー
41 仮引き落とし金額
42 転送予定日
43 コンサート識別番号
50 コンサート予約画面
51 コンサート情報
52 予約ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスもしくは商品を予約し、予約したサービスもしくは商品の代金の決済をする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やコンピュータなどのインターネットに接続可能な機器が普及したことにより、これらの機器を使って電子的にチケット等を予約することが可能になっている。例えば、チケットの発行元センタにアクセスして予約処理を行い、発行元センタから受信した予約情報を光ICカードに書き込むチケット予約システムなどが開示されている。また、マイレージ番号と関連付けられたクレジット番号が記録されたカードからクレジット番号を読み出して認証し、クレジット番号とマイレージ番号とを関連付けて予約情報を管理するチケット予約管理サーバも開示されている。
【0003】
さらに、携帯端末からの予約システムを使って施設の運営をするシステムも考案されている。例えば、端末に並ばずにアトラクションを予約できることにより利用客が順番待ちのために時間の浪費をすることを軽減することができるアミューズメント施設運営システムが提案されている。
【特許文献1】特開平10−134129号公報
【特許文献2】特開2004−265084号公報
【特許文献3】特開2006−228105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のチケット予約システムなどでは、金銭の電子決済に際して、クレジット決済用のサーバを利用する。このため、チケット等の予約サービスを提供する際には、その提供者が、クレジット決済用サーバの利用料を支払う必要がある。そこで、チケット予約サービスなどの提供者からは、安い経費でチケットなどの予約と決済を行うことができるシステムが望まれている。なお、その他のサービスや商品の予約販売などのシステムを提供する提供者の間にも、同様のニーズがある。
【0005】
さらに、クレジット決済用のサーバを利用するシステムにおいては、一般に、チケット等を予約した時点で料金がクレジット決済用サーバを通して決済されてしまう。そのため、例えば、コンサート主催者が予約決済後にコンサートを取り止めた場合など、予約決済後にサービスなどの提供や商品の販売が中止された場合であっても、予約をした利用者には、決済された料金が請求されることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、決済に際して第三者を介さずに、サービス等の予約および予約されたサービス等の決済を電子的にすることができるシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、電子マネーを管理する電子財布手段と、サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段を備える移動端末を用いることによって、解決することができる。
【0008】
移動端末から予約受付装置に対してサービス等の予約が行われると、予約受付装置は、予約されたサービス等の対価と同額の電子マネーに仮引き落としの設定をすることを要求するメッセージを、移動端末に送信する。移動端末において仮引き落としの設定が行われた後、予約受付装置から電子マネーの送金を要求するメッセージを受信すると、移動端末は、予約受付装置に、仮引き落としの設定が行われている電子マネーの送金を行う。
【発明の効果】
【0009】
決済に際して第三者を介さずに、サービス等の予約および予約されたサービス等の対価の電子的な決済をすることができるシステムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<概要>
図1は、実施形態の予約決済方法の概要を説明する図である。予約受付装置4は、サービス等の情報の利用者への送信、予約の受付、決済を行う。利用者の移動端末1は、この予約決済方法において、予約受付装置4に対して予約を依頼する装置(予約依頼装置)として機能する。予約受付装置4と利用者の移動端末1は、無線基地局3を介して通信を行うことができ、ICカードR/W5を介して通信をすることもできる。
【0011】
まず、本実施形態の予約決済方法において、サービスもしくは商品の提供者は、予約受付装置4(提供者の端末)からサービス等の情報を含む制御用メッセージを、無線基地局3を介して、利用者の移動端末1に送信する。利用者の移動端末1では、予約受付装置4から受信した情報に基づき、予約画面を表示する。利用者がこの予約画面中の予約ボタンを押すと、利用者の移動端末1は、サービス等の予約を要求する制御メッセージを、無線基地局3を介して、予約受付装置4に送信する。
【0012】
予約を要求するメッセージを受信した予約受付装置4は、利用者の移動端末1に対して、予約されたサービス等の対価と同額の電子マネーを対価の支払い用の電子マネーとして設定することを依頼するメッセージを送信する。利用者の移動端末1では、その端末で予約したサービス等の対価分の電子マネーを、支払いに用いる電子マネーとして設定する。これらの電子マネーの設定の記録は、ICカード2中に記録される。
【0013】
利用者が、その移動端末1を、ICカードR/W5を介して予約受付装置4にアクセスさせると、予約受付装置4は、利用者の移動端末1に対して対価の支払いを要求する。この要求に応じて、利用者の移動端末1は、支払いに用いる電子マネーとして予め設定しておいた電子マネーを、予約受付装置4に転送する。
【0014】
従って、上記の方法によると、決済の際に第三者を介さずに、予約されたサービス等の対価についての電子的な決済を行うことができる。
ここで、本明細書中で、利用者の移動端末1にチャージされている電子マネーを、予約したサービス等の対価の支払い用の電子マネーとして設定することを「仮引き落とし」という。
【0015】
また、本明細書中で「電子マネー」とは、電子マネーのほか、電子的に取り扱いが可能なバリュー、ポイントなど、電子的に取り扱いが可能である金銭、証券などの金券、もしくは金銭や金券に順ずるものを含む概念である。
【0016】
<装置構成>
図2は、実施形態の予約決済方法における利用者の移動端末の構成を説明する図である
。利用者の移動端末1は、制御部10、ICカード2、中央制御装置6、メモリ7、および、表示部8を備える。さらに、ICカード2は、利用可能バリュー記録部21と仮引き落としバリュー記録部22を備える。
【0017】
制御部10は、予約決済方法の実施の制御を行い、パケット制御部11、無線制御部12、制御メッセージ送信受信部13、メール送信受信部14、予約決済部15、ICカード制御部16を含む。制御部10に含まれるこれらの部分の一部または全部をソフトウェアにより実現することができ、また、ハードウェア回路により実現する構成にすることもできる。
【0018】
パケット制御部11は、利用者の移動端末1が他の端末などとの間で行うパケットの送受信を制御する。無線制御部12は、移動端末1で行われる無線通信を制御する。メール送信受信部14は、移動端末1が他の端末などと行うメールの送受信を制御する。
【0019】
制御メッセージ送信受信部13は、移動端末1が実施形態の予約決済方法を実施するために必要な制御用のメッセージの送信および受信を行う。制御用メッセージの例としては、サービスや商品の情報を通知するメッセージ、サービス等の予約を要求するメッセージ、電子マネーの支払い用途の設定を要求するメッセージなどが挙げられる。また、これらのメッセージは、ショートメッセージサービス(SMS、Short Message Service)を用いた形式とすることができるが、利用者の移動端末1と予約受付装置4の構成に応じて、電子メールなどその他の任意の形式にすることができる。
【0020】
予約決済部15は、実施形態の予約決済方法での利用者の移動端末1の動作を全般的に制御する。例えば、後で詳しく述べるように、サービス等の情報を通知する制御用メッセージを受信したときに、表示部8に予約画面を表示させる。また、ICカード制御部16に対して、ICカード2に記録されている利用可能な電子マネーの額などの更新を要求する。
【0021】
メモリ7は例えばROM、RAMなどを含み、処理で用いられるプログラムとデータを格納する。中央制御装置6は、メモリ7を利用してプログラムを実行することにより、利用者の移動端末1の動作に対応する機能を提供する。なお、図2および後述する図3に示した構成例では、制御部10と中央制御装置6が別個に表されているが、中央制御装置6がプログラムを読み込むことによって制御部10を実現する構成にすることもできる。表示部8は、後述する予約画面などの予約決済方法で用いられる表示画面を表示する他、利用者の移動端末1の動作に基づく任意の用途に用いられる。
【0022】
ICカード2は、情報の記録に用いられる。特に、電子マネーの利用可能額や、支払い用に設定されている電子マネーの額などを記録するために用いられ、電子財布としての機能を備える。ICカード2が備える利用可能バリュー記録部21は、利用者の移動端末1にチャージされていて、任意のサービスや商品の購入に使用可能な電子マネーの額を記録している。なお、本明細書中で、任意のサービスや商品の購入に使用可能な電子マネーを「利用可能バリュー」ということがある。
【0023】
仮引き落としバリュー記録部22は、利用者の移動端末1からサービス等の予約を行った場合に、予約したサービス等の対価と同額の電子マネーを記録する。仮引き落としバリュー記録部22に記録された電子マネーは、支払い用途が設定された電子マネー、すなわち仮引き落としされた電子マネーとして取り扱われる。仮引き落としされた電子マネーは、仮引き落としの設定が解除されるまで、予約したサービス等以外のサービス等の対価として使用することができない。つまり、支払い用途の設定がされると、予約したサービス等の対価として擬似的な引き落とし(仮引き落とし)がされた状態となる。また、後述するように、仮引き落としバリュー記録部22には、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額以外の情報を格納する構成にすることができる。例えば、仮引き落としされた電子マネーを、サービス等の対価として支払う予定の日(転送予定日)、仮引き落とした電子マネーで対価を支払う対象となるサービス等の識別番号などが例として挙げられる。本明細書中では、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額を「仮引き落としバリュー」ということがある。ただし、「仮引き落としバリュー」の語は、仮引き落としの設定がされている電子マネーの金額と合わせて記録されている転送予定日、サービス等の識別番号などの情報も指すことがある。
【0024】
図3は、実施形態の予約決済方法におけるサービス等の予約受付装置の構成を説明する図である。以下に詳しく述べる予約決済方法において、予約受付装置4は、サービス等の提供者の端末であり、さらに、利用者の移動端末1との決済を行うこともできる。
【0025】
予約受付装置4は、利用者の移動端末1と類似した構成であるが、さらに、ICカードR/W5を備えている。ICカードR/W5は、利用者の移動端末1および予約受付装置4に備えられているICカード2に記録された情報の読み込み、および、変更に用いられる。ICカードR/W5により、利用者の移動端末1の仮引き落としバリュー記録部22に記録されている電子マネーは予約受付装置4に転送される。また、提供者が用いる端末の制御部10は、ICカードR/W制御部17を備えており、このICカードR/W制御部17は、ICカードR/W5の制御に用いられる。なお、予約受付装置4のICカード2は、仮引き落としバリュー記録部22を備えない構成にすることができる。
【0026】
予約決済方法を実施するためには、提供しようとするサービスについての詳細情報を、提供者が、利用者となりうる顧客に対して通知する必要がある。そこで、予約受付装置4のメモリ7に、提供者が提供しようとするサービス等の詳細情報や利用者となる可能性がある顧客のリストを格納する構成にすることができる。さらに、サービス等の予約を行った利用者を認識するためのテーブルも、予約受付装置4のメモリ7に格納される構成とすることもできる。
【0027】
<実施形態(1)>
以下、コンサートの予約とコンサートのチケット代金の決済をする場合を例として、予約決済方法の実施形態を説明する。コンサートのチケット予約サービスの提供者をコンサートの主催者、もしくは主催者ということがある。また、チケット予約サービスの利用者をコンサートの参加者、もしくは、参加者と記載することがある。さらに、以下の説明では、利用者の移動端末1と予約受付装置4のいずれも携帯電話端末であるとする。
【0028】
〔予約受付装置が保持する情報〕
コンサートチケットの予約サービスを提供する場合には、前述のとおり、予約受付装置4が提供するサービスの詳細情報を管理する必要がある。図4は、コンサート管理テーブルの一例を示す図である。コンサート管理テーブルには、コンサートの識別番号、コンサート料金、コンサート情報、残席数などのコンサートに関する詳細情報が記録されている。コンサートの識別番号は、個々のコンサートを識別できる任意の番号とすることができる。例えば、予約受付装置4が携帯電話端末である場合には、図4に示したように、予約受付装置4を認識しやすくするために、予約受付装置(提供者の携帯電話端末)の電話番号の末尾に、その提供者が提供しているコンサートの通し番号を付したものとすることができる。なお、本明細書中で「コンサート情報」は、少なくともコンサートの開催日時およびコンサート会場を含む情報である。ただし、コンサートの開催日時とコンサート会場を表す情報に他の任意の情報を付け加えた情報も、コンサート情報として記録、配信などをすることができる。
【0029】
予約受付装置4は、利用者となりうる可能性がある顧客のデータベースも、メモリ7などに記憶している。この顧客のデータベースは、過去に、提供者のサービス等を利用したことがある個々の者を識別することができる任意の識別子を用いて構成される。例えば、利用者の移動端末1の電話番号やメールアドレスなどを用いて構成することができる。
【0030】
さらに、提供者は、提供するコンサートチケットを予約した利用者を記録するテーブルを有する。図5は、利用者の電話番号を記録したテーブルの一例を示す図である。このテーブルには、予約を受け付けると利用者の電話番号をテーブルに記録するだけでなく、図5に示したとおり、各利用者の決済情報もあわせて記録する構成にすることができる。なお、予約者を記録するテーブルは、予約者の電話番号の代わりに、予約者のアドレスなどを用いて構成しても良い。決済の際に個々の予約者を識別することができる任意の情報を用いて、予約者を記録するテーブルを構成することができる。
【0031】
〔仮引き落としバリューの記録方法〕
利用者の移動端末1には、前述のとおり、利用可能バリュー記録部21および仮引き落としバリュー記録部22が備えられ、利用者がサービス等の対価として使用することができる電子マネーの額が記録されている。
【0032】
図6は、バリュー記録部での記録形態の一例を説明する図である。利用者の移動端末1のICカード2の利用可能バリュー記録部格納アドレス21aには、利用者の移動端末1にチャージされている電子マネーのうち、任意のサービス等に使用することができる電子マネーの額が記録されている。
【0033】
ICカード2の仮引き落としバリュー記録部格納アドレス22aには、仮引き落としバリュー記録数30と仮引き落としバリュー40が記録される。仮引き落としバリュー記録数30は、利用者の移動端末1において仮引き落としとして記録されている件数を表す。例えば、図5に記載されているようにN件の仮引き落としがされている場合には、仮引き落としバリュー記録数30としてNが記録される。仮引き落としバリュー40には、仮引き落とし金額41が記録されるが、仮引き落とし金額41と合わせて、転送予定日42、および、コンサート識別番号43を記録する構成にすることができる。仮引き落とし金額41以外の情報を合わせて仮引き落としバリュー40として記録する場合には、仮引き落としごとに、各情報要素の格納の順番を一定にしておく。すると、転送予定日42などが記録されている領域と仮引き落とし金額41が記録されている領域の相対位置が一定であるため、制御部10は、仮引き落とし金額41に対応する転送予定日42などを検索することができる。同様に、電子マネーの決済に際して、制御部10が、コンサート識別番号43に対応する仮引き落とし金額41を検索する操作も簡略化される。
【0034】
図7は、電子マネーの仮引き落としが行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。図7(a)は、利用者の移動端末1に、8000円の電子マネーがチャージされていて、仮引き落としがなされていない場合を示す。このとき、利用可能バリューは8000円である。次に、利用者が、図4のコンサート管理テーブルに示されたコンサートのうち、「090−1111−2221−00001」で識別されるコンサートのチケットを予約したとする。このコンサートの料金は3000円であるので、図7(b)に示すように、3000円の電子マネーがコンサート料金として仮引き落としバリュー記録部22に記録されることにより、仮引き落としされる。利用者の移動端末1にチャージされていた8000円のうちの3000円は、コンサートのチケット代金に支払い用途が設定されているので、任意のサービス等に利用することができる電子マネーは、5000円である。そこで、利用者の移動端末1の利用可能バリュー記録部21には、5000円が記録される。
【0035】
一方、予約受付装置4には、コンサートの予約を行った利用者(参加者)からの予約情報は通知されていても、入金はされていない。従って、主催者の利用可能バリュー記録部21に記録される金額は、参加者の予約によって変動しない。
【0036】
〔予約決済方法〕
図8Aおよび図8Bは、実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。090−1111−2222の電話番号で識別される携帯電話端末からコンサートチケットが予約され、決済が行われる場合について説明する。なお、以下の各ステップにおいて、利用者の移動端末1や予約受付装置4として機能する携帯電話端末が行う動作は、携帯電話端末の制御部10が行う動作である。また、かかる動作は、制御部10のうち、予約決済部15が行うか、予約決済部15がICカード制御部16等の他の部分に要求して実行される。
【0037】
{コンサートの予約}
図8Aは、コンサートのチケットの予約とチケット代金の仮引き落としを説明するフローチャートである。まず、主催者は、コンサートを企画すると、そのコンサートの識別番号を決定し、コンサート識別番号とコンサートの開催に必要な情報を予約受付装置4(主催者の携帯電話端末)に登録する(ステップS1)。ここで登録される情報は、図4で示したコンサート管理テーブルに記録される内容である。予約受付装置4には、前述のとおり、過去のコンサート参加者など利用者となりうる可能性がある顧客のメールアドレスなどがデータベースとして保持されている。そこで、予約受付装置4は、過去の参加者アドレス一覧とコンサート管理テーブルを使用し、過去の参加者全員の携帯電話端末に、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報を含む制御メッセージを配信する(ステップS2)。
【0038】
なお、ここでは、制御メッセージがSMSメールとして送信される場合を例として説明するが、制御メッセージは、電子メールなど任意の他の形式で送信することも可能である。図9は、実施形態の予約決済システムで用いられる制御用メッセージの情報要素の例を示す図である。制御用のSMSメールは、宛先電話番号、発振元電話番号のほか、制御コマンドと付加情報を含む。
【0039】
制御コマンドは、通知される制御メッセージの種類を記述する情報要素であり、図9に示した実施形態では、「コンサート開催通知」、「予約依頼」、「仮引き落とし依頼」、「仮引き落とし完了」を識別する。制御用SMSメールを受信した携帯電話端末は、制御コマンドを読み込むことにより、受信した制御メールに応答するために動作する。
【0040】
制御用SMSメールの付加情報としては、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報、料金転送予定日などの情報要素が含まれる。なお、図9には、付加情報1から付加情報3までの3種類の情報を図示しているが、これは一例であって、各制御メッセージに含まれる付加情報の数は任意である。また、付加情報の記述の順番は任意であり、コンサート識別番号を付加情報1とする必要はない。ステップS2で通知されるメッセージは、図9(a)に示すとおり、制御コマンドとしてコンサート開催通知を指定し、付加情報として、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報を含むメッセージである。
【0041】
SMSメールを受信した参加者の携帯電話端末では、SMSメールのパケットのうち、図9に示した制御コマンドが格納されている領域を読み込み、SMSメールが制御メールに該当するか否か、および、制御メールの種類を判断する。受信したメールの制御コマンドがコンサート開催通知である場合には、参加者の携帯電話端末は、メモリ7に格納された所定のプログラムを読み込むことにより、予約画面を表示する。図10は、表示される
予約画面の一例を示す図である。表示されたコンサート予約画面50には、コンサート識別番号、コンサート料金、コンサート情報51のほかに、予約ボタン52が含まれる。
【0042】
参加者は、コンサート予約画面50を見て、参加したいコンサートである場合には、予約ボタン52を押す(ステップS3)。予約ボタン52が押されると、メモリ7に格納されたプログラムにより、参加者の携帯電話端末から予約受付装置4に向けて、コンサート予約のための制御メールが送信される(ステップS4)。コンサート予約依頼の制御SMSメールは、図9(b)に示すとおり、制御コマンドが予約依頼で、付加情報としてコンサート識別情報が格納された制御メールである。なお、予約依頼制御メールなどの予約を依頼するための制御メッセージを「予約情報」ということがある。
【0043】
参加者からの予約依頼制御メールを受信すると、予約受付装置4は、コンサート管理テーブルを使用して、予約依頼を受けたコンサートの残席があるかを確認する(ステップS5)。残席がない場合には、予約受付装置4は、参加者の携帯電話端末に残席がない旨を表わすエラーメッセージを送信して処理を終了する(ステップS14)。残席がある場合には、コンサート管理テーブルに記録された残席数を1だけ減らして、図5に示したような参加予約者の電話番号一覧に、予約依頼用制御メールの送信元の電話番号を登録する(ステップS6、7)。
【0044】
{コンサート料金の仮引き落とし}
予約受付装置4は、参加者の電話番号一覧に新たな電話番号が付加されると、新たに付け加えられた電話番号で識別される携帯電話端末に、コンサート料金の仮引き落としを依頼する制御メールを送信する(ステップS8)。仮引き落とし依頼の制御メールでは、図9(c)に示したように、コンサート識別番号やコンサート料金のほかに、料金の転送予定日が通知される。料金の転送予定日とは、仮引き落としされた電子マネーが、予約受付装置4に転送される予定の日である。料金転送予定日は、コンサートの開催日とすることができる。本明細書中では、仮引き落としを依頼するための制御用メッセージを、仮引き落としメッセージということがある。
【0045】
仮引き落とし依頼の制御メールを受信すると、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としが可能かを確認する(ステップS9)。利用可能バリュー記録部21に記録されている電子マネーの額が仮引き落としを要求された額よりも低い場合は、仮引き落としができないため、参加者の携帯電話端末は、エラーメッセージを表示して処理を終了する(ステップS13)。
【0046】
仮引き落とし依頼の制御メールで指定された分の電子マネーの仮引き落としが可能な場合は、指定されたコンサート料金分の仮引き落としを行う(ステップS9、10)。仮引き落としは、前述のとおり、仮引き落とし依頼の制御SMSメールで指定された額の電子マネーを、コンサート料金の支払い用の電子マネーとして支払いの用途を設定することによって行われる。具体的には、予約決済部15は、仮引き落としバリュー記録部22にコンサート料金を記録すること、および、利用可能バリュー記録部21の記録をコンサート料金の分を差し引いた額に更新することを、ICカード制御部16に依頼する。電子マネーの仮引き落としが終了すると、参加者の携帯電話端末は、図9(d)に示した電子マネー仮引き落とし完了を表す制御SMSメールを、予約受付装置4に送信する(ステップS11)。
【0047】
電子マネー仮引き落とし完了を表す制御SMSメールを受信した予約受付装置4は、その制御SMSメールの送信元の電話番号で識別される参加者について、仮引き落とし(仮決済)が完了している旨の登録を行う(ステップS12)。この登録は、図5に示した参加者の電話番号一覧に、参加者の状態を表示する欄を設けている場合には、その欄の内容
を「予約中」から「仮決済ずみ」に変更することによって行うことができる。例えば、図5において090−1111−2222の電話番号で識別される参加者は、仮引き落としが終わっている参加者として登録されている。一方、090−1111−2223の電話番号で識別される参加者は、コンサートの予約はしているが仮引き落としを行っていない参加者として登録されている。
【0048】
{コンサート料金の決済}
次に、図8Bを参照しながら、コンサート料金の決済について説明する。コンサート料金の仮引き落としが終了すると、参加者はコンサート会場において、参加者の携帯電話端末を、予約受付装置4に接続されているICカードR/Wに接触させる(ステップS21)。ICカードR/Wを通して、予約受付装置4が携帯電話端末からのアクセスを認識すると、予約受付装置4は、自装置にアクセスしてきた携帯電話端末に対して電話番号の通知を求める(ステップS22)。電話番号の通知を求められると、参加者の携帯電話端末は、予約受付装置4に電話番号を通知する(ステップS23)。なお、ステップS21、22において、参加者の携帯電話端末がICカードR/Wに近づくと、予約受付装置4が参加者の携帯電話端末に対して電話番号の通知を求める構成にすることもできる。
【0049】
予約受付装置4は、通知を受けた電話番号を参加予約者の電話番号一覧から検索し、通知された電話番号で識別される参加者が仮引き落としを完了しているかを確認する(ステップS24)。通知された電話番号が、仮引き落としを完了している参加者の電話番号ではない場合は、処理を終了する。ここで、参加者の携帯電話端末にエラーメッセージを送信して処理を終了する構成にすることもできる。
【0050】
一方、通知された電話番号が仮引き落としを完了した参加者の電話番号である場合、予約受付装置4は、参加者の携帯電話端末に電子マネーの転送依頼を行う(ステップS25)。電子マネーの転送依頼では、主催者側の携帯電話端末から参加者側の携帯電話端末に、コンサート識別子が通知される。電子マネー転送依頼を受信すると、参加者の携帯電話端末は、通知されたコンサート識別子に対応付けて仮引き落とししてあったコンサート料金を、ICカードR/Wを通して予約受付装置4に転送する(ステップS26)。図11(a)は、電子マネーの転送処理が行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。コンサート料金が転送されると、予約受付装置4には、コンサート料金分の電子マネーがチャージされる(ステップS27)。例えば、予約受付装置4に記録された利用可能バリュー記録部21における記録が、図7(b)で示すように0円であった場合、3000円のコンサート料金の転送を受けると、図11(a)に示すように、利用可能バリューが3000円になる。一方、コンサート料金の転送を行うと、参加者の携帯電話端末では仮引き落としバリュー記録部22の記録が更新される(ステップS28)。図7(b)に示すように、3000円の仮引き落としバリューが記録されていた場合に、仮引き落としされていたコンサート料金を転送すると、図11(a)に示すように、仮引き落としバリュー記録部22の記録が0円に更新される。
【0051】
上記のステップS21〜28の処理は、参加者がその携帯電話端末を予約受付装置4に接触させたときに行われ、参加者の携帯電話端末が予約受付装置4に接続されているICカードR/Wに接触している間に行われる。
【0052】
なお、これまでの説明において、参加者の携帯電話端末をICカードR/Wに接触させて決済をする方法について具体的に述べたが、これは一例に過ぎない。参加者の携帯電話端末と予約受付装置4との間で、第三者を介さずに直接的な電子マネーの送受信が可能な状況を形成できる任意の方法を、仮引き落としされた電子マネーの決済のために用いることができる。従って、参加者の携帯電話端末と予約受付装置4を接触させる必要はなく、両者の間でリンクを確立する、もしくは、認証を行うなどの方法により、第三者を介さず
に、データを送受信することによって決済をすることが可能である。また、参加者の携帯電話端末を予約受付装置4に近づけると、電子マネーの決済が行われる構成にすることもできる。
【0053】
このように、制御用SMSメールを使用して予約、仮引き落としを行い、コンサート会場の受付などで仮引き落としされているコンサート料金の転送を行うことにより、第三者を介さずに、決済を行うことができる。その結果として、サービス等の提供者は、クレジット決済用サーバの使用料を支払う必要がなく、安価にサービス等の予約システムを提供することが可能になる。また、電子マネーの転送依頼を、SMSメールなどのメッセージで行わず、ICカードR/Wなどの任意のハードウェアを介して行う構成にすれば、数値の改ざんなどを行いにくくし、セキュリティを高めることが可能である。
【0054】
さらに、仮引き落とし方法を使用した決済方法を用いると、無線通信の品質劣化などによる電子マネーの誤転送を防ぐことができるという効果がある。また、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としの際には、セキュリティ機能を使用した通信を行わないので、暗号化などの操作を行う必要がなく、携帯電話端末の電池消費量の削減につながる。さらに、参加者と主催者の間の制御メッセージの送受信を、SMSメールを使用して行う構成にすれば、パケット通信に比べて、さらに、参加者の携帯電話端末および予約受付装置4の電力消費を抑えることができる。
【0055】
<実施形態(2)>
次に、実施形態(1)で述べたようにコンサートの予約が行われた後に、コンサートの開催が取りやめられた場合の処理について説明する。図12は、実施形態の予約決済方法において、チケットの予約後にコンサートが中止された場合の処理方法を説明するフローチャートである。
【0056】
コンサートの予約とコンサート料金の仮引き落としは、図8AのステップS1〜12を参照しながら説明したように行われ、参加者の携帯電話端末から予約受付装置4へ仮引き落とし完了通知が送信されたとする(ステップS31、32)。その後、予約していたコンサートが中止されると、参加者の携帯電話端末に仮引き落としされているコンサート料金は転送されないで仮引き落としバリュー記録部22に記録されたままである。そこで、参加者の携帯電話端末では、転送予定日以降も記録が残存している仮引き落としバリューの処理を行う。
【0057】
まず、参加者の携帯電話端末は、仮引き落としバリュー記録部22に記録があるかを確認する(ステップS33)。仮引き落としバリュー記録部22の記録は、図6に示したように行われるので、記録の有無の確認は、仮引き落としバリュー記録部格納アドレス22aに含まれる仮引き落としバリュー記録数30を確認することにより行われる。仮引き落としバリュー記録部22に記録があると、個々の仮引き落としバリュー40について、転送予定日42を確認する。図6に例示した場合は、仮引き落としバリュー40として、仮引き落とし金額41、転送予定日42などが所定の順序で格納されているので、仮引き落としバリュー40の所定の領域を読み込むことで、転送予定日を確認する(ステップS34)。
【0058】
転送予定日42を過ぎている仮引き落としバリュー40については、仮引き落としした電子マネーによって料金の支払いをする対象であったコンサートに参加者が参加しなかったことを示す。従って、そのコンサート料金の支払いのために電子マネーを使用する必要がないため、仮引き落としバリュー記録部22に記録されている電子マネーを、利用可能バリュー記録部21に転送する(ステップS35)。
【0059】
以上の処理は、仮引き落としバリュー記録部22の記録に、転送予定日を過ぎている仮引き落としバリュー40がなくなるまで繰り返される(ステップS33〜35)。転送予定日を経過していない仮引き落としのみが記録されている場合は、ステップS33の処理に戻るが、ここで、任意の時間を経過してからステップS33〜35の処理を行うように構成を変更することもできる。一方、仮引き落としバリュー記録部22に記録がない場合には、制御部10は処理を終了する。
【0060】
図11(b)に、仮引き落としされた仮引き落としバリュー40を利用可能バリュー記録部21に転送する処理を行ったときの例を示す。参加者の携帯電話端末でコンサート料金の仮引き落としをしたときに、図7(b)に記載したように、コンサート料金である3000円の電子マネーが仮引き落としバリュー記録部22に記録され、利用可能バリュー記録部21が5000円になったとする。仮引き落としされた3000円の電子マネーが仮引き落としバリュー記録部22に記録されたまま転送予定日を経過すると、参加者の携帯電話端末では、前述のとおり、仮引き落としされた電子マネーが利用可能バリュー記録部21に転送される。その結果、利用可能バリュー記録部21の記録は5000円から8000円に更新され、利用可能バリュー記録部21の記録も3000円から0円に更新される。また、このときの処理では、主催者への送金が行われていないので、予約受付装置4の仮引き落としバリュー記録部の記録は変更されない。
【0061】
このような方法によって決裁が行われなかった場合の処理をすることにより、第三者を介して決済を行ったときのように、コンサートが中止されたにもかかわらず、そのコンサートへの参加申し込みをした者へのコンサート料金の請求が発生するおそれがない。
【0062】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
【0063】
上記の実施形態(1)では、1つのコンサートを1台の携帯電話端末から予約するだけでなく、1台の携帯電話端末から複数のコンサートの予約および決済をすることも可能である。このとき、参加者の携帯電話端末は、ステップS26の操作に際して、予約受付装置4から通知されたコンサート識別子を確認する。仮引き落としバリュー記録部22中のコンサート識別子が一致した記録に対応する仮引き落としについて送金を行うことにより、参加者の携帯電話端末から複数のコンサートについての決済を行うことができる。
【0064】
上記の実施形態(2)では、仮引き落としバリュー記録部22に記録された電子マネーを利用可能バリュー記録部21の記録に入れるために、電子マネーの転送を行うときを日にち単位で管理していたが、日時による管理を行う構成にすることができる。この場合、コンサートの開催時刻などに合わせて電子マネーの送金が求められる日時を転送予定時として記録し、図12のステップS34において転送予定時を過ぎたかを確認する。また、日時を考慮して電子マネーの処理を行う場合は、適宜、コンサート識別番号などの転送予定時以外の情報を確認してからステップS35の処理を行う構成にすることもできる。
【0065】
これまでの説明において、例として、コンサートの予約を行う場合について詳しく説明したが、本実施形態は、コンサートの予約以外にも、ホテルの予約、商品の予約販売などのシステムとして用いることができる。
【0066】
また、これまでの説明では、サービス等の予約受付装置4と利用者の端末のいずれも携帯電話端末である場合の例を説明したが、利用者が予約に用いる端末は、サービス等の予約受付装置4とデータの送受信を行うことができる移動端末であれば良い。例えばPDA(Personal Digital Assistant)を用いるシステムにすることもできる。予約受付装置4
は、移動端末である必要はなく、移動端末と通信が可能な任意のシステムとすることができる。
【0067】
上述の各実施形態に対し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 電子マネーを管理する電子財布手段と、
サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段
を備えることを特徴とする移動端末。
(付記2) 前記決済手段は、前記予約受付装置に備えられたICカードR/Wを介して、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記3) 前記決済手段は、前記予約受付装置との間にリンクを確立することにより、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記4) 前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記仮引き落とし決済手段は、前記仮引き落としメッセージを受信すると、前記利用可能額記録手段により記録されていた電子マネーの額から前記仮引き落としメッセージで指定された額の電子マネーを差し引いた額を、前記利用可能記録手段に記録し、さらに、前記仮引き落としメッセージに指定された額の電子マネーを前記仮引き落とし記録手段に記録する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記5) 複数の前記仮引き落としの設定が行われている場合、前記決済手段は、前記電子マネー転送依頼に含まれている識別子を確認し、前記識別子が表すサービスもしくは商品について仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記6) 前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の移動端末。
(付記7) 前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記払い戻し手段は、前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落とし手段に記録されている電子マネーを、前記利用可能額記録手段の記録へ変更することにより前記仮引き落としの設定を解除する
ことを特徴とする付記6に記載の移動端末。
(付記8) サービスもしくは商品の情報を通知する通知手段と、
予約情報を受信すると、予約された前記サービスもしくは商品の対価に相当する額の電子マネーについて前記対価の支払いに使用するための仮引き落としの設定を依頼するメッセージを送信する仮引き落とし依頼手段と、
前記仮引き落としの設定を行った移動端末に、前記仮引き落としの設定が行われている電子マネーの転送を依頼するメッセージを送信する電子マネー支払い要求手段
を備えることを特徴とする予約受付装置。
(付記9) 前記仮引き落としの設定が行われたことを表す仮引き落とし完了通知を受信すると、前記仮引き落とし完了通知を送信した移動端末を利用する利用者を仮引き落とし済み利用者として登録する登録手段をさらに備え、
前記電子マネー支払い要求手段は、前記予約受付装置に備えられたICカードR/Wを介して、前記仮引き落とし済み利用者の移動端末に電子マネー転送依頼を送信する
ことを特徴とする付記8に記載の予約受付装置。
(付記10) サービスもしくは商品の通知情報を受信した利用者の移動端末が備える情報処理装置を、
電子マネーを管理する電子財布手段、
前記サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を予約受付装置に送信する予約情報送信手段、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを、仮引き落としする仮引き落とし決済手段、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを前記予約受付装置に送金する決済手段
として機能させるためのプログラム。
(付記11) 前記利用者の移動端末が備える前記情報処理装置を、さらに、
前記予約受付装置から前記通知情報を受信すると、前記サービスもしくは商品の予約に用いる予約画面を表示する予約画面表示手段
として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
(付記12) 前記利用者の移動端末が備える前記情報処理装置を、さらに、
前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
(付記13) 利用者からのサービスもしくは商品の予約を受け付ける情報処理装置を、
前記利用者の移動端末に前記サービスもしくは商品の情報を通知する通知手段、
前記利用者の端末から予約情報を受信すると、予約されたサービスもしくは商品の対価に相当する額の電子マネーについて仮引き落としの設定をすることを依頼する仮引き落としメッセージを送信する仮引き落とし依頼手段、
前記仮引き落としの設定が行われた前記利用者の移動端末に対して、前記仮引き落としの設定が行われている電子マネーの転送を依頼するメッセージを送信する電子マネー支払い要求手段
として機能させるためのプログラム。
(付記14) 利用者の移動端末から予約情報を受信すると、予約受付装置は、予約されたサービスもしくは商品の対価の仮引き落とし依頼を、前記利用者の移動端末に送信し、
前記利用者の移動端末は、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーに対して仮引き落としの設定をし、
前記利用者の移動端末が前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、前記利用者の移動端末は、前記仮引き落としの設定がされた電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする方法。
(付記15) 前記利用者の移動端末は、予め決められたときを経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16) 前記仮引き落としの設定がされたことを表す通知を、前記利用者の移動端末から受信すると、前記予約受付装置は、前記利用者を仮決済ずみ利用者として登録し、
前記予約受付装置は、前記仮決済ずみ利用者の移動端末がICカードR/Wを介してアクセスすると、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーの支払いを要求する通知を、前記仮決済ずみ利用者の移動端末に送信する
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態の予約決済方法の概要を説明する図である。
【図2】実施形態の予約決済方法における利用者の移動端末の構成を説明する図である。
【図3】実施形態の予約決済方法におけるサービス等の予約受付装置の構成を説明する図である。
【図4】コンサート管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】予約者の電話番号を記録したテーブルの一例を示す図である。
【図6】バリュー記録部での記録の一例を説明する図である。
【図7】電子マネーの仮引き落としが行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。
【図8A】実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。
【図8B】実施形態の予約決済方法を使用してコンサートのチケットの予約とチケット代金の決済をする場合を説明するフローチャートである。
【図9】実施形態の予約決済方法で用いられる制御用メッセージの情報要素の例を示す図である。
【図10】表示される予約画面の一例を示す図である。
【図11】電子マネーの仮引き落とし後の処理が行われたときのバリュー記録部による記録の例を示す図である。
【図12】実施形態の予約決済方法において、チケットの予約後にコンサートが中止された場合の処理方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 利用者の移動端末
2 ICカード
3 無線基地局
4 予約受付装置
5 ICカードR/W
6 中央制御装置
7 メモリ
8 表示部
10 制御部
11 パケット制御部
12 無線制御部
13 制御メッセージ送信受信部
14 メール送信受信部
15 予約決済部
16 ICカード制御部
17 ICカードR/W制御部
21 利用可能バリュー記録部
22 仮引き落としバリュー記録部
30 仮引き落としバリュー記録数
40 仮引き落としバリュー
41 仮引き落とし金額
42 転送予定日
43 コンサート識別番号
50 コンサート予約画面
51 コンサート情報
52 予約ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーを管理する電子財布手段と、
サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段
を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記仮引き落とし決済手段は、前記仮引き落としメッセージを受信すると、前記利用可能額記録手段により記録されていた電子マネーの額から前記仮引き落としメッセージで指定された額の電子マネーを差し引いた額を、前記利用可能記録手段に記録し、さらに、前記仮引き落としメッセージに指定された額の電子マネーを前記仮引き落とし記録手段に記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項4】
サービスもしくは商品の通知情報を受信した利用者の移動端末が備える情報処理装置を、
電子マネーを管理する電子財布手段、
前記サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を予約受付装置に送信する予約情報送信手段、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを、仮引き落としする仮引き落とし決済手段、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを前記予約受付装置に送金する決済手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
利用者の移動端末から予約情報を受信すると、予約受付装置は、予約されたサービスもしくは商品の対価の仮引き落とし依頼を、前記利用者の移動端末に送信し、
前記利用者の移動端末は、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーに対して仮引き落としの設定をし、
前記利用者の移動端末が前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、前記利用者の移動端末は、前記仮引き落としの設定がされた電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする方法。
【請求項1】
電子マネーを管理する電子財布手段と、
サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を、予約受付装置に送信する予約情報送信手段と、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを仮引き落としする仮引き落とし決済手段と、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを、前記予約受付装置に送金する決済手段
を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記電子財布手段は、利用可能額記録手段および仮引き落とし記録手段を備え、
前記仮引き落とし決済手段は、前記仮引き落としメッセージを受信すると、前記利用可能額記録手段により記録されていた電子マネーの額から前記仮引き落としメッセージで指定された額の電子マネーを差し引いた額を、前記利用可能記録手段に記録し、さらに、前記仮引き落としメッセージに指定された額の電子マネーを前記仮引き落とし記録手段に記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記予約に対して予め決められている時刻を経過すると、前記仮引き落としの設定がされている電子マネーについて、前記仮引き落としの設定を解除する払い戻し手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項4】
サービスもしくは商品の通知情報を受信した利用者の移動端末が備える情報処理装置を、
電子マネーを管理する電子財布手段、
前記サービスもしくは商品の予約を行うための予約情報を予約受付装置に送信する予約情報送信手段、
前記予約受付装置から前記予約情報に対応する仮引き落としメッセージを受信すると、前記電子財布手段において、前記仮引き落としメッセージにより指定された額の電子マネーを、仮引き落としする仮引き落とし決済手段、
前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、仮引き落としの設定がされている電子マネーを前記予約受付装置に送金する決済手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
利用者の移動端末から予約情報を受信すると、予約受付装置は、予約されたサービスもしくは商品の対価の仮引き落とし依頼を、前記利用者の移動端末に送信し、
前記利用者の移動端末は、前記仮引き落とし依頼で指定された額の電子マネーに対して仮引き落としの設定をし、
前記利用者の移動端末が前記予約受付装置から電子マネー転送依頼を受信すると、前記利用者の移動端末は、前記仮引き落としの設定がされた電子マネーを、前記予約受付装置に送金する
ことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−301219(P2009−301219A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153347(P2008−153347)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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