説明

事故点探査用課電端子

【課題】絶縁操作棒の各種先端工具を付け替える必要なく、事故点探査対象の電線における地絡箇所の探査を行うことができるようにして、手間なく、効率よく事故点探査作業を行うことのできる事故点探査用課電端子を提供すること。
【解決手段】電線が架線されている高所まで届く絶縁操作棒100の先端に着脱可能に連結するジョイント部21と、電線に引っ掛けて吊り下げた状態にする吊下部12と、事故点探査対象の電線に吊り下げた状態にして該電線に導通接続させる針電極と、を備えており、本体筐体の側面の前側にS極となる磁石18aを配設する一方、後ろ側にN極となる磁石18bを配設して互いに磁力により吸着係合して支持可能にすることにより、操作棒の先端に連結した事故点探査用課電端子10に別個の事故点探査用課電端子を支持させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故点探査用課電端子に関し、詳しくは、配電線における地絡事故点を手間なく探査できるようにするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源からの電力を供給する配電線のいずれかの箇所において、地絡事故が起こった場合には、その事故発生箇所を特定するために事故点探査装置が用いられており(例えば、特許文献1)、その事故点探査装置では、箱型または円筒型のカットアウトのヒューズを介在させるための端子間に課電端子を導通接続することにより配電線に探査電圧を課電するようになっている。
【0003】
この事故点探査用の課電端子は、商用電源からの三相式三線の各配電線毎のカットアウトに接続することから、仮支持クリートに一旦保持させた状態のまま、その仮支持クリートをカットアウトの近傍の腕金に一時的に設置して、そこから各カットアウトに振り分けて接続するのが便利である(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−180634号公報
【特許文献2】特開2006−318720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような事故点探査用課電端子にあっては、カットアウトが箱型または円筒型のいずれであるのかに応じて使い分けなければならず、また、そのカットアウトに接続する前には、各配電線の検電をしてから絶縁操作棒の先端工具でカットアウトを解放する必要があり、この後に、そのカットアウトに課電端子を接続する作業を行っていた。これだけでも、絶縁操作棒の先端工具の付け替え作業が必要であると共に、さらに、仮支持クリートを腕金に設置する際にもその絶縁操作棒を用いる必要がある。要するに、事故点探査では、同じような作業を繰り返し行わなければならず、作業性が悪いとともに、早期に復旧しなければならないのに時間も掛かっていた。
【0006】
また、仮支持クリートを用いる場合には、三相毎の課電端子を一旦保持させることから相当の重量になって不安定になる場合があるので、作業者にある程度の力作業を要求することになり、誰でも作業できるようにするには改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、絶縁操作棒の各種先端工具を付け替える必要なく、事故点探査対象の電線における地絡箇所の探査を行うことができるようにして、手間なく、効率よく事故点探査作業を行うことのできる事故点探査用課電端子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する事故点探査用課電端子の発明は、電線が架線されている高所まで届く絶縁操作棒の先端に着脱可能に連結する連結部と、前記電線に引っ掛けて吊り下げた状態にする吊下部と、事故点探査対象の前記電線に吊り下げた状態にして該電線に導通接続させる接続部と、を備えるとともに、第1、第2支持部により構成されて互いに係合することにより一方が他方を支持する前記第1支持部または前記第2支持部のうちの少なくとも一つを備えて、前記電線に吊り下げる前の別個の事故点探査用課電端子を支持する、あるいは、前記電線に吊り下げた状態の別個の事故点探査用課電端子に支持されることを特徴とするものである。
【0009】
この発明では、絶縁操作棒の先端に連結した事故点探査用課電端子の第1支持部に別個の事故点探査用課電端子の第2支持部を係合させることにより支持させることができ、そのまま絶縁操作棒の先端の事故点探査用課電端子を事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にして、その電線に導通接続した後に、続けて、別個の事故点探査用課電端子を他の事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にして導通接続することができる。したがって、カットアウトの開閉を行うことなく、また、仮支持クリートを利用することなく、絶縁操作棒の先端に連結する事故点探査用課電端子を付け替えるだけで、順次に、事故点探査対象の電線に課電端子を吊り下げて導通接続させることができる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、絶縁操作棒の先端に連結する事故点探査用課電端子自体に別個の事故点探査用課電端子を係合支持させて事故点探査対象の電線に次々に導通接続させることができ、カットアウトの開閉作業や仮支持クリートの設置作業などを行うことなく事故点探査作業を開始することができる。したがって、絶縁操作棒の先端に取り付ける各種工具を準備することなく、また、その付け替え作業を行うことなく、効率よく、事故点探査作業を行って早期に復旧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る事故点探査用課電端子の第1実施形態の全体構成を示す図であり、(a)はその内部構成の概念図を示す一部断面透視図、(b)はその支持構造を説明する内部構成の正面透視図、(c)はその支持構造を説明する内部構成の上面透視図である。
【図2】電線までアプローチする際に事故点探査用課電端子を連結する絶縁操作棒を示す平面図である。
【図3】その使用時の状態を示す図であり、(a)はその電線へのアプローチ時の支持構造を示す正面透視図、(b)はその電線へのアプローチ時の支持姿勢を示す側面図である。
【図4】本発明に係る事故点探査用課電端子の第2実施形態を示す図であり、その要部構造を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態としては、上記の課題解決手段のように、電線が架線されている高所まで届く絶縁操作棒の先端に着脱可能に連結する連結部と、前記電線に引っ掛けて吊り下げた状態にする吊下部と、事故点探査対象の前記電線に吊り下げた状態にして該電線に導通接続させる接続部と、を備えるとともに、第1、第2支持部により構成されて互いに係合することにより一方が他方を支持する前記第1支持部または前記第2支持部のうちの少なくとも一つを備えて、前記電線に吊り下げる前の別個の事故点探査用課電端子を支持する、あるいは、前記電線に吊り下げた状態の別個の事故点探査用課電端子に支持されることを基本構成とするのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0013】
第1の形態としては、前記第1支持部および前記第2支持部は、磁力により吸着することにより互いに係合して一方を他方が支持するようにしてもよい。
【0014】
この構成では、事故点探査用課電端子同士を第1、第2支持部の磁力により吸着させて互いを係合支持させることができ、順次に事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にして導通接続することができる。
【0015】
第2の形態としては、前記第1支持部および前記第2支持部は、引掛部と被引掛部の組み合わせで構成されて互いに係合することにより前記被引掛部側が前記引掛部側を支持するようにしてもよい。
【0016】
この構成では、事故点探査用課電端子同士を第1、第2支持部の引掛部と被引掛部を係合させて互いを支持させることができ、順次に事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にして導通接続することができる。
【0017】
第3の形態としては、前記第1支持部および前記第2支持部は、本体筐体の側面に配設されて、吊り下げる前の別個の前記事故点探査用課電端子の前記吊下部が前記電線からずれた位置になるように支持するようにしてもよい。
【0018】
この構成では、事故点探査用課電端子の本体筐体の側面同士を近接させて第1、第2支持部を係合させて互いをコンパクトな構造で支持させることができ、順次に事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にして導通接続することができる。
【0019】
第4の形態としては、前記電線に流れる電流の有無を確認する検電機能と、該検電機能による検電結果を報知する報知機能と、を備えるようにしてもよい。
【0020】
この構成では、事故点探査用課電端子を事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態にすることによりその電線に流れる電流の有無を検出してその検電結果を報知することができ、作業者はその検電結果に応じて作業を進めることができる。
【0021】
第5の形態としては、前記接続部は、前記電線の上部側から突出して被覆を貫通して導通心線に導通接触する電極と、該電極の反対側の前記電線の下部側を支持しつつ上昇して該電線を当該電極に押し付ける締付部と、該締付部による前記電線の前記電極への押付力を調整するトルクリミッタ部と、を備えていてもよい。
【0022】
この構成では、事故点探査用課電端子の吊下部により事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げた状態で導通心線に導通接触させる電極にその電線を締付部により押し付けて導通接続させることができ、その押付力をトルクリミッタで調整して電極を導通心線に圧接させ過ぎないように制限することができる。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図3は本発明に係る事故点探査用課電端子の第1実施形態を示す図である。
【0024】
図1において、事故点探査用課電端子10は、図2に示す絶縁操作棒(作業棒)100の先端部に取り付けて、事故点探査対象の電線にアプローチするように設計されており、商用電源からの三相の各配電線毎に取り付けて探査電圧を課電するようになっている。
【0025】
ここで、絶縁操作棒100は、長尺に形成されて作業者が把持する棒状部101と、この棒状部101の先端側に配置されて各種機能具(先端工具)を着脱する着脱部102と、を備えて各種作業に共用できるようになっており、作業者が棒状部101を把持して着脱部102に装着したフックなどの機能具を、離隔位置の作業対象に接近させることにより、例えば、高所の電線などに所望の作業・操作を施す、所謂、間接活線工法を実現することができる。
【0026】
この操作棒100は、例えば、プラスチックなどの絶縁材料を中空の円筒形状に成形した棒状部101を採用することにより絶縁性を確保するとともに、その両端部間の中間部分に傘カバー103、104を取り付けることにより、先端側の傘カバー103が着脱部102側からの水分を滴下させるとともに、基端側の傘カバー104が先端側からの絶縁性を考慮しての安全に作業を行い得る限界位置を示して、作業する際の安全を確保している。なお、棒状部101の作業員が把持する部分には、滑り難い材質の取り替え可能な滑り止めが施されている。
【0027】
そして、この操作棒100の着脱部102は、棒状部101と同軸方向に突出する本体軸部105と、この本体軸部105の周面の互いの反対側で突起形状に立設されている一対のピン106と、本体軸部105の先端面から突出するように不図示の内蔵スプリングにより付勢されている突起107と、本体軸部105の棒状部101側の周面に刻設されたネジ形状101aに螺合して上下動するグリップ108と、が配置されている。
【0028】
これに対して、事故点探査用課電端子10は、この操作棒100の着脱部102に相対回転不能かつ脱落不能に係合・係止させるように設計されたジョイント部21を備えており、このジョイント部21は、その着脱部102の本体軸部105を差し込んで収装可能に基端側後端面を開口させた有底の円筒形状に形成されている本体筒部22と、この本体筒部22の周面部の互いの反対側に位置して概略T字形状に切り欠かれている一対のT字切欠部23と、により構成されている。ここで、T字切欠部23は、詳細には、本体筒部22の後端面側から先端側に向う差込溝部23aと、この差込溝部23aに連続してその直交方向の両側に延在する回転溝部23bと、この回転溝部23bの両端部から本体筒部22の後端面側に戻る係合溝部23cと、を備えるT字形状に切欠・形成されている。
【0029】
これにより、事故点探査用課電端子10のジョイント部21は、操作棒100の着脱部102のピン106を、本体筒部22のT字切欠部23の差込溝部23a内に差し込みつつ、その着脱部102の本体軸部105を本体筒部22内の奥まで差し込んだ後に、互いに相対回転させることにより、そのT字切欠部23の回転溝部23bの端部に突き当たるまで進入させることができる。このとき、操作棒100の着脱部102の本体軸部105は、ジョイント部21の本体筒部22の底面に突き当たって突起107が沈んだ状態で相対回転した後に、その本体筒部22内に差し込む力が解放されると、その突起107が内蔵スプリングの弾性力により突出して本体筒部22を押し返すことになり、そのT字切欠部23の回転溝部23bから係合溝部23c内に着脱部102のピン106が進入して相対回転不能にして離脱不能に係合させることができる。また、この操作棒100は、着脱部102のグリップ108を回転させてジョイント部21側に寄せることにより、ピン106が係合溝部23c内から離脱して回転しないようにロックすることができ、事故点探査用課電端子10のジョイント部21が操作棒100の着脱部102から相対回転して外れてしまうことを信頼性高く防止することができる。すなわち、このジョイント部21が操作棒100の先端に着脱自在に連結する連結部を構成している。
【0030】
また、事故点探査用課電端子10は、事故点探査対象の電線に引っ掛けて吊り下げることができるように、本体筐体11の上部形状を概略鍵の手形状に形成した吊下部12を備える一方、その吊下部12の下方には、本体筐体11の上部形状に連設されて吊下部12の上部側に対向するように形成されている基端部13を備えて、この基端部13の下面側にジョイント部21が連設されている。
【0031】
吊下部12は、U字形状の上下を逆にして一方を短くした鍵の手形状に形成されており、本体筐体11の短尺側の下面を内部側ほど上昇する傾斜面11aに形成することにより引っ掛ける電線を内部に案内するようになっている。
【0032】
この吊下部12は、探査電圧を印加する課電ケーブル14aに導通する針電極14が本体筐体11の上部内面の傾斜面11b間の最上部から下方に向かうように突出している。また、この吊下部12の本体筐体11内には、吊り下げる電線に流れる電流により生じる磁界の有無を検出する検電機能(CT受信器)15が内蔵されており、この検電機能15は、本体筐体11内に準備されているボタン電池などのバッテリ15aを利用して、その検電結果をLED15bの点灯により作業者に報知する。
【0033】
これにより、吊下部12では、LED15bの点灯の有無を作業者が目視で把握することによって、事故点探査対象の電線における電流の有無を確認して作業を進めることができる。なお、LED15bは、例えば、電線内に電流が流れている場合に点灯してその検電結果を報知する機能を構成するが、これに限らず、ブザーなどの音声出力で報知するようにしても良い。また、このLED15bは、本体筐体11下部を斜めに形成した斜面11cに配設することにより、高所や低所の何れでも目視して検電結果を把握できるようになっている。
【0034】
基端部13は、吊下部12の短尺側の傾斜面11aに対面する傾斜面11dが本体筐体11に形成されており、その内部に刻設されている雌ネジ13aに鉛直姿勢の雄ネジ部材16を螺合させるとともに、その雄ネジ部材16の下端部にジョイント部21が固設されている。
【0035】
これにより、基端部13では、そのジョイント部21に連結した操作棒100を回転させることにより、雄ネジ部材16の上面16aを吊下部12の針電極14に向けて進退させることができ、その針電極14を事故点探査対象の電線の導通心線に確実に接触させて信頼性高く探査電圧を課電することができる。すなわち、針電極14が接続部を構成しているとともに、雄ネジ部材16が締付部を構成している。
【0036】
ここで、基端部13は、図3に図示するトルクリミッタ17を介して操作棒100先端の着脱部102にジョイント部21を接続することもできるようになっており、このトルクリミッタ17は、詳細に図示することは省略するが、その着脱部102の構造とともに、ジョイント部21の構造をも直列姿勢になるように備えることにより、操作棒100の着脱部102側に相対回転不能に連結固定させるとともに、トルク制限として、針電極14が電線の導通心線を損傷させるまでの押付力を雄ネジ部材16に付与しないように設定されている。
【0037】
そして、事故点探査用課電端子10は、吊下部12内へ電線を案内する開口を形成する傾斜面11a、11d側を正面として、その本体筐体11の両側面側の前後に磁石18a、18bが埋設されており、この磁石18a、18bは、外側に面する磁極が前後で異なるように配設されて、別個の事故点探査用課電端子10の側面同士を磁力により吸着保持するようになっている。すなわち、磁石18a、18bの一方が、第1、第2支持部の一方を構成するとともに、他方が第1、第2支持部の他方を構成する。
【0038】
これにより、事故点探査用課電端子10は、図3に示すように、操作棒100の先端に取り付けるとともに、その本体筐体11の後ろ側の磁石18b(N極)に、操作棒100に取り付けていない別個の事故点探査用課電端子10の前側の磁石18a(S極)を磁力により吸着保持させることができる。このため、操作棒100の先端には、吊下部12の傾斜面11aと基端部13の傾斜面11dの間を塞ぐことなくそのまま電線に吊り下げることができる状態に事故点探査用課電端子10を連結支持させるとともに、後ろ側にずれた両側にも他の事故点探査用課電端子10を磁力により吸着支持させることができる。したがって、1本の操作棒100で事故点探査対象の三相の各配電線毎の事故点探査用課電端子10を支持してアプローチすることができ、電線に吊り下げられた事故点探査用課電端子10に磁力により吸着支持されている状態の事故点探査用課電端子10は、その操作棒100を順次にジョイント部21に連結して支持することにより所望の電線に吊り下げた状態にすることができる。この後には、逆に、電線から外した事故点探査用課電端子10は、別個の事故点探査用課電端子10に支持させて一体化させた後に回収すればよい。
【0039】
このように本実施形態においては、本体筐体11内に磁石18a、18bを内蔵させるだけのコンパクトで安価な構成で、操作棒100の先端に連結する事故点探査用課電端子10自体に別個の事故点探査用課電端子10を磁力により吸着支持させて事故点探査対象の電線に次々に吊り下げて導通接続させることができ、カットアウトの開閉作業や仮支持クリートの設置作業などを行うことなく事故点探査作業を開始することができる。したがって、操作棒100の先端に取り付ける各種工具を準備することなく、また、その付け替え作業を行うことなく、効率よく、事故点探査作業を行って早期に復旧させることができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、磁極が異なるように磁石18a、18bを本体筐体11内に配設して吊下部12の傾斜面11aと基端部13の傾斜面11dの間を塞ぐことがないようにしているが、これに限ることなく、中心にする事故点探査用課電端子10と、両側で支持する事故点探査用課電端子10とで構成を変えて、後ろ側の磁石18bのみにするとともに一方の前側側面を鉄などの強磁性体で構成しても磁力により吸着支持させることもでき、この場合には、検電機能15は一つの事故点探査用課電端子10にのみ配設して使い分けるようにしても良い。
【0041】
次に、図4は本発明に係る事故点探査用課電端子の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、特徴部分のみを説明する。
【0042】
図4において、事故点探査用課電端子10の本体筐体11には、前側の磁石18aに代えて、フック38が連設される一方、後ろ側の磁石18bに代えて、引掛穴39が開口しており、そのフック38を引掛穴39内に差し込んで引っ掛けることにより支持させることができるようになっている。すなわち、引掛部のフック38または被引掛部の引掛穴39の一方が、第1、第2支持部の一方を構成するとともに、他方が第1、第2支持部の他方を構成する。
【0043】
これにより、事故点探査用課電端子10は、上述実施形態と同様に、操作棒100の先端に取り付けるとともに、その本体筐体11の後ろ側の引掛穴39内に、操作棒100に取り付けていない別個の事故点探査用課電端子10の前側のフック38を差し込んで引っ掛けることにより、ずれた状態で支持させることができ、1本の操作棒100で事故点探査対象の三相の各配電線毎に事故点探査用課電端子10をアプローチして吊り下げた状態にして探査電圧を課電することができる。
【0044】
このように本実施形態においては、上述実施形態と同様な作用効果に加えて、フック38と引掛穴39というシンプルな構成で実現することができ、より安価に作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10……事故点探査用課電端子 11……本体筐体 12……吊下部 13……基端部 14……針電極 15……検電機能 15b……LED 16……雄ネジ部材 17……トルクリミッタ 18a、18b……磁石 21……ジョイント部 38……フック 39……引掛穴 100……絶縁操作棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が架線されている高所まで届く絶縁操作棒の先端に着脱可能に連結する連結部と、前記電線に引っ掛けて吊り下げた状態にする吊下部と、事故点探査対象の前記電線に吊り下げた状態にして該電線に導通接続させる接続部と、を備えるとともに、
第1、第2支持部により構成されて互いに係合することにより一方が他方を支持する前記第1支持部または前記第2支持部のうちの少なくとも一つを備えて、前記電線に吊り下げる前の別個の事故点探査用課電端子を支持する、あるいは、前記電線に吊り下げた状態の別個の事故点探査用課電端子に支持されることを特徴とする事故点探査用課電端子。
【請求項2】
前記第1支持部および前記第2支持部は、磁力により吸着することにより互いに係合して一方を他方が支持することを特徴とする請求項1に記載の事故点探査用課電端子。
【請求項3】
前記第1支持部および前記第2支持部は、引掛部と被引掛部の組み合わせで構成されて互いに係合することにより前記被引掛部側が前記引掛部側を支持することを特徴とする請求項1に記載の事故点探査用課電端子。
【請求項4】
前記第1支持部および前記第2支持部は、本体筐体の側面に配設されて、吊り下げる前の別個の前記事故点探査用課電端子の前記吊下部が前記電線からずれた位置になるように支持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の事故点探査用課電端子。
【請求項5】
前記電線に流れる電流の有無を確認する検電機能と、該検電機能による検電結果を報知する報知機能と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の事故点探査用課電端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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