説明

事故点標定システムにおけるサージ伝搬速度の算出方法

【課題】事故時のサージ波形の伝搬速度を、早期にかつ高精度に算出できる事故点標定システムにおけるサージ伝搬速度の算出方法を提供する。
【解決手段】子局に設けられている開閉器を開閉して開閉サージを発生させ、送配電線路上を伝搬する各子局間の開閉サージ伝搬速度を算出し記憶する(ステップS11)。地絡事故が発生すると(ステップS12が肯定)、事故区間の開閉サージ伝搬速度をサージ伝搬速度として用いる(ステップS13)。あるいは、事故点を挟まないある子局間の(地絡サージ伝搬速度/開閉サージ伝搬速度)を求め、事故点を挟む開閉サージ伝搬速度を該(地絡サージ伝搬速度/開閉サージ伝搬速度)で補正して、事故区間のサージ伝搬速度を求める。あるいは、地絡時の気象条件に合った開閉サージ伝搬速度を用いて、事故区間のサージ伝搬速度を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の子局が設置された送配電系統の事故点標定システムにおいて、事故時に発生するサージ波形が前記複数の子局間の送配電線路を伝搬する速度を算出するサージ伝搬速度の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サージ伝搬速度を算出する従来方法の一つとして、模擬送配電系統などの当該送配電系統とは異なる系統の事故時の伝搬速度を当該送配電系統の伝搬速度として用いる方法がある。
【0003】
また、下記の特許文献1に記されているような、事故点を挟まない子局間で事故時に観測されたサージ到達時間差と該子局間の線路亘長からサージ伝搬速度を算出し、該算出したサージ伝搬速度を、事故点を挟む子局間のサージ伝搬速度に用いるようにする方式がある。
【0004】
また、下記の特許文献2に記されているような、事故点を挟む複数の子局間の亘長と地絡時に発生する地絡サージに関する前記複数の子局間の時間差との整合性をとり、該整合性のとれた伝搬速度を算出する方式がある。
【特許文献1】特開2001-133504号公報
【特許文献2】特開2006-58066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した従来技術には、次のような課題がある。
【0006】
模擬送配電系統など当該送配電系統とは異なる系統の事故時の伝搬速度を当該送配電系統の伝搬速度として用いる方法は、架空配電線路の種別や対地抵抗の違いにより伝搬速度が異なることとなる。
【0007】
また、前記特許文献1に記されている方式は、事故区間とは異なる区間の伝搬速度を用いるために該当事故区間の送配電線路に設置された設備による対地静電容量などの影響を考慮できない。
【0008】
さらに、前記特許文献2に記されている方式は、当該事故区間を挟む複数の子局間での算出となり、事故の直近2箇所の子局間(事故区間)以外の情報を用いるために事故区間以外の区間の配電設備による伝搬速度の影響を受け、真の事故区間の伝搬速度が算出できない可能性がある。また、複数の子局の設置を前提としているために2箇所に設置された子局では標定不能となる。これは事故区間を挟まない区間の伝搬速度を利用する方式も同様である。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するものであり、その目的は、事故時の事故点標定に用いるサージ波形の伝搬速度を、早期にかつ高精度に算出できる事故点標定システムにおけるサージ伝搬速度の算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明は、送配電線上に設置された開閉器を開閉させて開閉サージを該送配電線上に生成し、該送配電線上を伝搬する開閉サージを複数の子局で検出し、該複数の子局間の線路の亘長と該開閉サージの到達時間差から各子局間の開閉サージ伝搬速度を求め、該各子局間の開閉サージ伝搬速度を記憶し、地絡時に、事故点を挟む子局間またはその近傍の子局間の開閉サージ伝搬速度を事故点の標定に使用するサージ伝搬速度とする。つまり、本発明は、予め測定した開閉サージ伝搬速度を、地絡時には使用できない事故点を挟んだ子局間の伝搬速度に使用できるようにした点に第1の特徴がある。開閉させる回数は複数回とすることや開閉させる開閉器を複数点とすることにより精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、地絡時に、事故点を挟まない前記子局間で送配電線路を伝搬するサージ波形の時間差より該事故点を挟まない子局間のサージ伝搬速度を算出し、前記記憶された当該子局間の開閉サージ伝搬速度と当該子局間の前記事故サージ伝搬速度との比率を算出し、前記事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を前記算出した比率で補正し、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度とする。予め測定した開閉サージ伝搬速度を事故点を挟む子局間の開閉サージの伝搬速度に反映させるようにした点に第2の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記記憶された当該子局間の開閉サージ伝搬速度と当該子局間の前記事故サージ伝搬速度との比率を、複数の子局間について算出し、該複数の比率の平均値または中央値を求め前記事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を前記比率の平均値または中央値で補正し、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度とするようにした点に第3の特徴がある。
【0013】
また、前記複数の比率から特異値を除去して、前記比率の平均値または中央値を求めるようにした点に第4の特徴がある。
【0014】
さらに、本発明は、前記各子局間の開閉サージ伝搬速度を気象条件別に求め、該各子局間の開閉サージ伝搬速度を気象条件別に記憶し、前記地絡時に、該地絡時の気象条件に合った開閉サージ伝搬速度を用いて、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度を求めるようにした点に第5の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、予め各子局間の開閉サージ伝搬速度を求めておき、地絡時に、事故区間に該当する子局間の前記開閉サージ伝搬速度を事故点の標定に使用するようにしているので、子局数が2箇所でも地絡時の事故区間のサージ伝搬速度を算出することができるようになる。また、地絡事故発生時に早期にかつ簡単に、事故区間のサージ伝搬速度を求めることができるようになる。
【0016】
請求項2の発明によれば、地絡事故発生時の事故点標定に用いる伝搬速度を、予め求めておいた事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を、事故点を挟まない子局間の開閉サージ伝搬速度と事故サージ伝搬速度との比率で補正して求めるようにしているので、地絡事故発生時に早期にかつ簡単に、地絡時の、事故区間のサージ伝搬速度を求めることができるようになる。
【0017】
請求項3の発明によれば、前記比率を複数の子局間について算出し、該複数の比率の平均値または中央値を、前記事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を補正する比率として使用するようにしているので、信頼性の高い事故点標定に用いる伝搬速度を求めることができるようになる。
【0018】
請求項4の発明によれば、前記複数の比率から特異値を除去して、前記比率の平均値または中央値を求めるようにしているので、より信頼性の高い事故点標定に用いる伝搬速度を求めることができるようになる。
【0019】
さらに、サージの伝搬速度は気象条件により少なからずの影響を受けるが、請求項5の発明によれば、地絡事故発生時の気象条件に合ったサージの伝搬速度を求めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明が適用される電力系統の事故点標定システム構成の一例を示す概念図である。
【0021】
図示されているように、送配電線1に複数の子局2A,2B,2C,・・・が所定の間隔で設置されており、各子局2A,2B,2C,・・・は送配電線1に沿って敷設された光ケーブル3に接続されている。該光ケーブル3には、さらに親局4が接続されている。また、送配電線1には、変電所6が接続されており、子局2A,2B,2C,・・・は、センサー5A,5B,5C,・・・で送配電線1の物理量を測定する機能と、各開閉器6A、6B、6Cの開閉機能と、光ケーブル3を介しての親局4と通信する通信機能とを有する。一方、親局4は、光ケーブル3を介して子局2A,2B,2Cと通信する機能と、前記子局で測定された物理量の収集機能と、前記開閉器6A,6B,6Cの入り切り動作の指示機能とを有している。
【0022】
次に、図2を参照して、本発明の原理を説明する。図2は、開閉サージ伝搬速度と地絡時のサージ伝搬速度算出の手順を示すフローチャートである。
【0023】
ステップS1では、親局4は前記開閉器を開閉動作させて開閉サージを発生させ、開閉サージ波形を前記子局2A,2B,2Cのセンサー5A,5B,5Cで計測させ収集する。そして、各子局間の送配電線1上でのサージ伝搬速度を算出する。
【0024】
次のステップS2では、地絡時に前記開閉サージ伝搬速度と地絡サージ伝搬速度より事故点標定に使用するサージ伝搬速度を算出する。
【0025】
図3を参照して、前記ステップS1に示す開閉サージによる開閉サージ伝搬速度の算出方法を説明する。なお、図1と同一物または同等物には、同じ符号が付されている。
【0026】
親局4は、まず送配電線1に設置された適切な開閉器、例えば、開閉器6Cを選定する。次に、親局4は、前記各子局2A,2B,2C,・・・に開閉サージ波形捕捉の指示を行い、子局2Cに開閉器6Cの開閉動作指示を行う。子局2Cは開閉器6Cの開閉動作にて開閉サージを発生させ、前記各子局は前記開閉サージ波形を計測し、該開閉サージ波形を計測時刻情報と共に親局4に伝送する。親局4では、各子局から伝送された開閉サージ波形と、時刻情報と、各子局間の送配電線の亘長とから、各子局間の送配電線の開閉サージ伝搬速度を算出し、記憶する。なお、子局に付随する開閉器でなく別途送配電線1に設けた開閉器により、前記開閉サージを発生させても良い。
【0027】
この算出を複数回行いその平均をとることで、より正確な開閉サージ伝搬速度を得ることができる。また、別の開閉器を選択することにより、逆方向からの開閉サージ伝搬速度や、遠端や近端からの相違などを考慮した開閉サージ伝搬速度を算出できる。
【0028】
また、天候など気象条件が異なる日に開閉サージ伝搬速度を測定することにより、その影響による相違を把握でき、気象別の伝搬速度を記憶し、地絡時の気象条件に合った適切な開閉サージ伝搬速度を使用できる。
【0029】
図4を参照して、前記ステップS2に示す地絡時に用いるサージ伝搬速度の算出方法を説明する。なお、図1と同一物または同等物には、同じ符号が付されている。
【0030】
いま、子局2A、2B間の送配電線1の子局2B寄りに事故点7があり、事故サージ8が事故点7で発生し、時間の進行と共に事故点7を中心に送配電線5の電源側と負荷側に進んで行くとする。そうすると、事故サージ波形8は、まず子局2Bに到達し、次に子局2Aに、最後に子局2Cに到達する。親局4は、これらの子局で捕捉した事故サージ波形と時刻情報を収集する。
【0031】
次に、親局4は各子局から収集した事故波形と時刻情報とから事故区間を判定し、各子局間の事故サージ波形の時間差を導出し、事故区間以外はその亘長から事故サージ伝搬速度を算出する。
【0032】
次に、図5を参照して、親局4と子局2A,2B,2C,・・・の構成の具体例と、前記開閉サージ伝搬速度および事故点標定に用いるサージ伝搬速度の算出に関する動作を詳細に説明する。なお、子局2A,2B,2C,・・・の各々は同じ構成であるので、子局2Aを代表に挙げて説明する。
【0033】
親局4は、各子局で収集する時刻の同期をとるために、時刻情報発生部15で時刻情報を発生させ各子局へ伝送する。該時刻情報は、通信部12を経て光ケーブル3に送出され、子局2Aの通信部22で受信される。受信された時刻情報は、時刻情報再生部26で時刻情報に再生され、子局との同期が確保される。更に、光ケーブル3での遅延などの補正を行う事で高精度な同期が確保できるようにする。
【0034】
子局2Aはセンサー5Aで送配電線1の物理量である線間電圧、相電圧、相電流、零相電流、零相電圧等をセンシングし、計測部23でフィルタリング処理し、時刻情報再生部26で再生された時刻同期パルスに基づき計測波形をサンプリングする。該計測波形は、最新データとして更新され、波計記憶部24に時刻情報と共に記憶される。サージ波形検出部25は記憶されたデータからサージの有無を常に監視している。
【0035】
開閉サージ伝搬速度の算出時には、親局4はマンインターフェイス18から子局2へ開閉動作を指示する。この指示は、制御部11で認識され、通信部12から光ケーブル3を介して子局2Aの通信部22で受信される。受信された開閉動作は、コントローラ部21を介して開閉動作部27から開閉器6を開閉動作させ、送配電線1上に開閉サージを発生させる。この開閉サージは、子局2のセンサー5およびサージ検出部25で検出され、時刻情報と共に波形記憶部24に記憶される。時刻情報が付与された開閉サージ波形は波形記憶部24から読み出され、光ケーブル3を介して親局4に伝送される。伝送された各子局の開閉サージ波形は波形記憶部17に順次記憶され、記憶部13に記憶された各子局間の送配電線路の亘長と開閉サージ波形に付された時刻情報とから解析部16で各子局間の開閉サージ伝搬速度が算出され、記憶部13に記憶される。
【0036】
地絡時には、各子局のセンサー5およびサージ波形検出部25で地絡サージが検出され波形記憶部24に記憶されると、コントローラ部21は時刻情報と共に波形記憶部24に記憶されている地絡サージ波形を通信部22で光ケーブル3を介して親局4へ伝送する。親局4の制御部11は、各子局から伝送された地絡波形を順次、波形記憶部17に記憶した後、各子局から伝送された時刻情報を有する地絡波形から解析部16で事故区間を判定させ、事故区間外の区間の地絡サージ伝搬速度を算出し、事故区間と共に記憶部13に記憶する。
【0037】
次いで、制御部11の指示により、解析部16は記憶部13に記憶された子局間の開閉サージ伝搬速度と事故区間情報と事故区間以外の区間の地絡サージ伝搬速度とから事故点標定に用いる伝搬速度を算出し、記憶部13に記憶する。制御部11は前記算出した伝搬速度を用いて解析部16で事故点標定を行う。事故点標定結果、前記事故点標定に用いた伝搬速度、記憶部13に記憶された内容、波形記憶部17に記憶された内容等は、マンインターフェイス部18の指示で表示部14に適切に表示される。
【0038】
次に、前記制御部11および解析部16等で行われる事故点標定に用いるサージ伝搬速度を算出する方法の実施形態を、以下に説明する。
【0039】
図6は、事故点標定に用いる伝搬速度算出方法の第1実施形態を示すフローチャートである。ステップS11では、送配電線1上の適当な開閉器、例えば開閉器6Cあるいは別途設けた開閉器が開閉されたことにより発生した開閉サージを各子局で検出し、検出データに基づいて、各子局間の送配電線路の伝搬速度を算出し、記憶部13に記憶する。
【0040】
ステップS12では、地絡事故が発生したか否かの判断がなされる。地絡事故が発生するとステップS13に進み、前記記憶部13に記憶しておいた、事故区間、つまり事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度が、サージ伝搬速度として用いられる。なお、該事故点を挟む子局間の近傍の子局間の開閉サージ伝搬速度を、サージ伝搬速度として用いるようにしても良い。
【0041】
図7は、事故点標定に用いる伝搬速度算出方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS11,S12は、図6と同じであるので説明を省略する。ステップS14では、事故区間外の例えば子局2B,2C間に関して、(子局2B,2C間地絡サージ伝搬速度)/(子局2B,2C間開閉サージ伝搬速度)から比率Mを求める。前記(子局2B,2C間地絡サージ伝搬速度)は、地絡事故発生時の子局2B,2C間のサージ波形検出時間差と該子局2B,2C間の亘長とから求めることができる。
【0043】
ステップS15では、前記記憶部13に記憶しておいた、事故区間の子局2A,2B間の開閉サージ伝搬速度を用いて、(事故区間の子局2A,2B間の開閉サージ伝搬速度)×Mを演算し、求めた速度を事故点標定に用いる伝搬速度とする。
【0044】
図8は、事故点標定に用いる伝搬速度算出方法の第3実施形態を示すフローチャートである。
【0045】
ステップS11,S12は、図6と同じであるので説明を省略する。ステップS16では、複数の事故区間外区間(n区間)に対して、(2子局間地絡サージ伝搬速度)/(2子局間開閉サージ伝搬速度)から、複数の比率M1,M2,・・・,Mnを求める。ステップS17では、前記比率M1,M2,・・・,Mnの中の特異な比率を除去し、平均の比率M0を求める。次いで、ステップS18にて、前記記憶部13に記憶しておいた、事故区間の子局2A,2B間開閉サージ伝搬速度を用いて、(事故区間の子局2A,2B間の開閉サージ伝搬速度)×M0を演算し、求めた速度を事故点標定に用いる伝搬速度とする。
【0046】
次に、事故点標定に用いる伝搬速度算出方法の第4実施形態を説明する。この実施形態は、図8のステップS17を、「M1,M2,・・・,Mnの中の特異な比率を除去し、除去後の中央値をM0を求める」と代える。これにより、ステップS18で、中央値処理を行った中央の比率×(事故区間:子局2A、2B間開閉サージ伝搬速度)を事故点標定の伝搬速度とする。
【0047】
また、先に述べたように開閉サージ伝搬速度は気象条件などの異なる状況で求めた速度を、親局4の記憶部13に記憶させておき、地絡事故発生時の気象条件と同じまたは類似する条件での開閉サージ伝搬速度を前記記憶部13から読み出し、該読み出した開閉サージ伝搬速度を事故点標定のサージ伝搬速度の算出に適切に使用するようにする。このようにすれば、地絡事故発生時の気象条件に適合したサージ伝搬速度を算出することができ、事故点の標定の精度をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明が適用される電力系統の事故点標定システム構成の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の原理を説明するフローチャートである。
【図3】開閉器を開閉することにより発生された開閉サージの子局間の伝搬速度算出を説明する電力系統の事故点標定システム構成の概念図である。
【図4】地絡事故発生時の事故サージ伝搬速度の算出を説明する電力系統の事故点標定システム構成の概念図である。
【図5】親局と子局の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態のサージ伝搬速度の算出方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態のサージ伝搬速度の算出方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態のサージ伝搬速度の算出方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1・・・送配電線、2A,2B,2C・・・子局、4・・・親局、5A,5B,5C・・・センサー、6・・・変電所、6A,6B,6C・・・開閉器、7・・・事故点、8・・・事故サージ、9・・・開閉サージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事故点の標定に使用するサージ伝搬速度の算出方法において、
送配電線上に設置された開閉器を開閉させて開閉サージを該送配電線上に生成し、
該送配電線上を伝搬する開閉サージを複数の子局で検出し、該複数の子局間の線路の亘長と該開閉サージの到達時間差から各子局間の開閉サージ伝搬速度を求め、該各子局間の開閉サージ伝搬速度を記憶し、
地絡時に、事故点を挟む子局間またはその近傍の子局間の前記記憶した開閉サージ伝搬速度を事故点の標定に使用するサージ伝搬速度とすることを特徴とするサージ伝搬速度の算出方法。
【請求項2】
事故点の標定に使用するサージ伝搬速度の算出方法において、
送配電線上に設置された開閉器を開閉させて開閉サージを該送配電線上に生成し、
該送配電線上を伝搬する開閉サージを複数の子局で検出し、該複数の子局間の線路の亘長と該開閉サージの到達時間差から各子局間の開閉サージ伝搬速度を求め、該各子局間の開閉サージ伝搬速度を記憶し、
地絡時に、事故点を挟まない前記子局間で送配電線路を伝搬するサージ波形の時間差より該事故点を挟まない子局間のサージ伝搬速度を算出し、前記記憶された当該子局間の開閉サージ伝搬速度と当該子局間の前記事故サージ伝搬速度との比率を算出し、
前記事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を前記算出した比率で補正し、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度とすることを特徴とするサージ伝搬速度の算出方法。
【請求項3】
請求項2に記載のサージ伝搬速度の算出方法において、
前記記憶された当該子局間の開閉サージ伝搬速度と当該子局間の前記事故サージ伝搬速度との比率を、複数の子局間について算出し、
該複数の比率の平均値または中央値を求め、
前記事故点を挟む子局間の開閉サージ伝搬速度を前記比率の平均値または中央値で補正し、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度とすることを特徴とするサージ伝搬速度の算出方法。
【請求項4】
請求項3に記載のサージ伝搬速度の算出方法において、
前記複数の比率から特異値を除去して、前記比率の平均値または中央値を求めることを特徴とするサージ伝搬速度の算出方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のサージ伝搬速度の算出方法において、
前記各子局間の開閉サージ伝搬速度を気象条件別に求め、該各子局間の開閉サージ伝搬速度を気象条件別に記憶し、
前記地絡時に、該地絡時の気象条件に合った開閉サージ伝搬速度を用いて、前記事故点を挟む子局間のサージの伝搬速度を求めることを特徴とするサージ伝搬速度の算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−139145(P2008−139145A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325516(P2006−325516)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000164391)株式会社キューキ (15)
【Fターム(参考)】