説明

二つ又はそれ以上の薬剤の送達のためのデバイス及び方法

二つ又はそれ以上の薬剤の少なくとも一つの用量を送達するように構成された、コンピュータ化された電気機械的な薬物送達デバイス(10)。デバイスは、制御ユニット(300)を含む。電気機械駆動ユニット(500、600)は、制御ユニット、及び第一の薬剤用の一次的なリザーバ(90)及び流体剤、例えば、二次的な薬剤用の二次的なリザーバ(100)に操作可能に連結される。単回投与アセンブリ(200)は、一次的なリザーバ(90)及び二次的なリザーバ(100)と流体連通するように構成される。オペレータパネルの作動によって、一次的なリザーバから第一の用量が設定され、そして第一の用量及び治療用量プロファイル(860)に基づいて、制御ユニット(300)が、流体剤の用量又は範囲を決定するように構成される。又は、制御ユニットは第三の薬剤の用量又は範囲を決定するか又は計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、プログラム化できる用量設定機構及び単回投与インターフェースを有するデバイスを用いて、別々のリザーバから少なくとも二つの薬剤を送達する医療デバイス及び方法に関する。そのような薬剤は第一及び第二の薬剤を含み得る。使用者によって始動される単回用量設定手順によって、薬物送達デバイスが、選択された治療用量アルゴリズムに基づいて、第二の薬剤の用量を計算することになる。使用者によって始動されるこの単回用量設定手順によって、薬物送達デバイスが、(潜在的に)異なる選択された治療用量アルゴリズムに基づいて、第三の薬剤の用量を計算することにもなる。そのようなアルゴリズムは、用量設定前に前もって選択されるか、又は用量が設定される時点で選択されるかのどちらかであり得る。
【背景技術】
【0002】
薬剤は、二つ又はそれ以上の反復用量リザーバ、容器又はパッケージ中に含有され得て、ここで各々は、独立した(単一薬物化合物)又は事前に混合された(一緒に処方された複数薬物化合物)薬剤を含有する。電子機械的用量設定機構は、特定の目標患者グループに対して目標とされる治療応答が最適化され得る場合に、特に有益である。これは、治療用量プロファイルを制御し、定義し及び/又は最適化するようにプログラム化される薬物送達デバイスに基づくマイクロプロセッサによって達成され得る。複数の可能性のある用量プロファイルは、マイクロプロセッサに操作可能に連結されたメモリーデバイス中に保存され得る。例えば、そのように保存された治療用量プロファイルは、制限するものでないが、以下に論じられそしてより詳細に記述される通り、線形用量プロファイル;非線形用量プロファイル;固定レシオ−固定用量プロファイル;固定用量−可変容量プロファイル;遅延固定用量−可変容量プロファイル;又は複数レベル、固定用量可変容量;を含み得る。或いは、一つの容量プロファイルのみが、マイクロプロセッサに操作可能に連結されたメモリーデバイス中に保存されるであろう。
【0003】
或る病状には、一つ又はそれ以上の異なる薬剤を用いた治療が必要である。
【0004】
特許文献1には、インスリン用の第一の計量ポンプ及びグルコース又はグルカゴン用の第二の計量ポンプを含む薬剤用のディスペンサが記述されている。両方のポンプ用の制御器は、インスリンの基本供給を維持し、そして追加のインスリン又はグルコース又はグルカゴンの何れかを適宜投与するために、別々のグルコメータからの信号に応答するようにプログラムされる。
【0005】
特許文献2には、糖尿病をモニターしそして治療するための、連続グルコースセンサと共に使用するための統合されたレシーバ/電子装置付き携帯型薬剤注射ペンを含む統合されたシステムが記述されている。幾つかの実施態様において、レシーバは連続グルコースセンサデータを受け取り、(例えば、統合されたシステムの電子装置を介して)薬剤療法を計算し、そして統合された携帯型薬剤注射ペンの大量瞬時用量を自動的に設定するように構成されており、そうすることによって使用者は薬剤の大量瞬時用量を手動で注射するができる。特許文献2には、薬剤ポンプ及び携帯型薬剤注射ペンの両方のような、少なくとも二つの携帯型薬剤注射ペンと共に使用するための統合されたシステムが更に記述されている。送達される薬剤及び使用される送達デバイスのタイプに拘わらず、プロセッサモジュールは、連続グルコースセンサデータに応じてその特別の薬剤の用量を計算するためのプログラミングを含む。
【0006】
特許文献3には、健康状態の症候を制御するための手段としての、一つより多くの治療流体の送達が記述されている。一つより多くの治療流体が一つより多くのリザーバから投与され得て、そして皮膚を突き刺す一つ又はそれ以上のカヌーレを介して使用者の体に送達され得る。治療流体は、携帯型の移動性デバイス中のプロセッサによって制御され得る、一つ又はそれ以上のポンプ機構の作用によって送達され得る。治療流体は、所望ならば、インスリン及び一つ又はそれ以上のアミリン類似体、酢酸プラムリンチド及びエクセナチドであり得て、そして健康状態は所望ならば、糖尿病であり得る。
【0007】
特許文献4には、糖尿病患者の血糖濃度を調節するためのデバイスが示されており、それは該濃度を測定するための測定手段、グルカゴン、グルコース又はインスリンを患者の体内に、例えば、患者の体内に挿入されることになる少なくとも一つの皮下注射針を用いて選択的に導入するためのポンプ手段、及び上記濃度に代表される信号を測定手段から受け取り、そし制御手段及びプログラム内に事前に入力された、上記濃度に対する少なくとも一つの参照値に基づいて、ポンプ手段を制御するための制御手段を含む。デバイスは、測定手段及びポンプ手段が患者の体液又は血液と実質的に恒久的な接触状態にあり得るように具体化される。
【0008】
特許文献5に、二つ又はそれ以上の薬剤を、好ましくは、患者への送達前に薬剤の如何なる混合をも最小化しながら、単一の注射部位で患者に注射するための注射デバイス、システム及び方法が記述されている。本発明は、患者に薬剤を繰り返して、連続的に送達するためにも使用され得る。例えば、注射装置は、第一の注射手順中に、第一の薬剤及び次いで、第二の薬剤を患者に連続的に供給できる。第二の注射手順中に、注射装置は、第一の注射手順の注射位置で又は異なる注射部位で再び、第一の薬剤及び第二の薬剤を患者に連続的に供給できる。
【0009】
幾つかの薬物化合物が、最適な治療用量を送達するために、互いに特定の関係において送達されなければならない。本特許出願は、併用療法が望ましいが、制限するものではないが、安定性、易感染性のパーフォーマンス及び毒物学のような理由で、単一処方では不可能な場合に、特に有益である。
【0010】
例えば、幾つかの場合、(第二の薬剤又は二次的な薬剤とも称され得る)GLP−1又はGLP−1類似体のようなグルカゴン状ペプチド−1と共に、(第一の薬剤又は一次的な薬剤とも称され得る)持続性インスリンを用いて糖尿病を治療することが有益であろう。GLP−1は、プログルカゴン遺伝子の転写生成物に由来する。GLP−1は体内で見出され、そして腸管ホルモンとしての小腸のL細胞によって排出される。GLP−1は幾つかの生理学的性質を有し、そのため、それ(及びその類似体)は糖尿病の可能性のある治療として集中的な研究の対象とされている。
【0011】
二つの有効薬剤又は「試薬」を同時に送達するとき、多くの潜在的な問題がある。二つの有効試薬は、処方の長期に亘る保存寿命中に互いに相互作用し得る。従って、有効成分を別々に保存し、そして、例えば、注射、針無し注射、ポンプ送達、又は吸入などの送達時点でのみ、それらを組み合わせることが有利である。しかしながら、二つの試薬を混合し、そして次いでこの組み合わされた治療薬を投与するプロセスは、使用者が信頼できて、繰り返してそして安全に実行するために簡単で便利であることを必要とする。
【0012】
しばしば起こり得る更なる問題は、併用療法を構成している各有効試薬の量及び/又は割合が、各使用者に対して又はその治療の異なる段階で変えられる必要があり得ることである。例えば、一つ又はそれ以上の有効試薬は、「維持」用量を患者に徐々に導入するための調節期間(titration period)を必要とし得る。更なる例は、もし、一方の有効試薬が調節できない固定用量を必要とし、一方、他方の有効試薬が変量される場合であろう。この他方の有効試薬は、患者の症状又は身体的状態に応じて変えられる必要があり得る。そのような潜在的な問題の故に、二つ又はそれ以上の有効試薬を含む或る事前混合された処方は、これらの事前混合された処方が、医療専門家又は使用者によって変えられることができないであろう、有効成分の固定レシオを有するであろう故に適切であり得ない。
【0013】
複数薬物化合物の治療が要求される場合、多くの使用者が一つより多くの薬物送達システムを使用しなければならない、又は要求される用量の組合せの必要な正確な計算をしなければならないことに耐えられない故に、さらなる問題が起き得る。薬物送達システムが、使用者が、用量を設定するために及び/又は注射するために、物理的に薬物送達デバイス又は薬物送達デバイスの部品(例えば、用量ダイアル操作ボタン)を操作することを必要とする場合、別の問題が生じる。これは、手先が不器用又は計算が困難であるという課題を抱える或る使用者にとって特に真実であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第2007088271号明細書
【特許文献2】米国特許第2008262469号明細書
【特許文献3】WO第2009004627号明細書
【特許文献4】WO第2007049961号明細書
【特許文献5】米国特許第2007073267号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、一回の注射で二つ又はそれ以上の薬剤を送達するためのデバイス及び/又は方法、又は薬物送達デバイスの複雑な物理的操作なしで使用者が実行するのに容易である送達工程を供する必要性が存在する。提示されたプログラム化できる電子機械的薬物送達デバイスによって上述の問題が克服される。例えば、提示された薬物送達デバイスは、二つ又はそれ以上の有効薬剤のための別々の保存容器又はカートリッジ保持器を供する。これらの有効薬剤は次いで、単一送達手順中で組み合され及び/又は患者に送達されるのみである。これらの有効試薬は組み合わされた用量中で一緒に投与され得るか、または替わりにこれらの有効試薬は逐次的に、次々に組み合わされ得る。これは、提案された電子機械的薬物送達デバイスのほんの一つのプログラム化できる特長であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
また、使用者が第一のつまり一次的な薬剤の用量を設定するとき、提案された電子機械的マイクロプロセッサに基づく薬物送達デバイスは、少なくとも部分的に、プログラム化された治療用量プロファイル又はプログラム化されたアルゴリズムに基づいて、第二の薬剤の用量を自動的に計算する(つまり、使用者は設定できない)。例示的実施態様において、第二の薬剤の用量は、第一の薬剤の用量及び治療用量プロファイル又はプログラム化されたアルゴリズムのみに基づいて計算される。代替配置において、提案された電子機械的マイクロプロセッサに基づく薬物送達デバイスは、プログラム化された治療用量プロファイル又はプログラム化されたアルゴリズムに基づいて、第二の薬剤の用量及び/又は第三の薬剤の用量を自動的に計算する。第三の薬剤の用量を計算するために使用されるプロファイルは、二次的な薬剤の用量計算するために使用されるプロファイルと同じタイプであり得るか又はあり得ない。
【発明の効果】
【0017】
薬物送達デバイスによって、薬剤の量を変える機会も可能になる。例えば、一つの流体量は注射デバイスの性質を変える(例えば、使用者が変更できる用量を設定する又はデバイスの「固定」用量を変える)ことによって変えることができる。第二の薬剤の量は、第二の有効試薬の異なる容積及び/又は濃度を含有する各変更に伴うパッケージを含む種々の二次的な薬物を製造することによって変えることができる。使用者、例えば、デバイスを使用する患者、医療専門家又は如何なるその他の人々は、次いで、特別な治療体制のために最も適切な二次的なパッケージ、又は異なるパッケージのシリーズ又はシリーズの組合せを選択するであろう。
【0018】
本出願によって、治療用量プロファイルを達成するために、単一の電子機械的デバイス内で複数の薬物化合物の組合せが可能になる。そのような治療用量プロファイルは事前に選択されたプロファイルであり得て、そして薬物送達デバイス内に含有されたメモリーデバイス中に保存された複数の用量プロファイルの一つであり得る。電子機械的デバイスは、二つ又はそれ以上のそのような薬剤を含み得る。本デバイスによって、使用者が(デジタルディスプレイ、ソフトタッチ操作できるパネル及び/又はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)のような)一つの単回用量設定機構を通して、複数薬物化合物デバイスを設定することが可能になる。本デバイスによって次いで、(両端が相似したニードルアセンブリのような)単回投与インターフェースを通して、少なくとも複数の薬剤の投与が可能になる。この単回用量設定器によって、薬剤の一つの単回用量が設定されそして単回投与インターフェースを通して投与されるとき、個々の薬物化合物の事前に定義された組合せが投与されるように、デバイスの電気機械駆動ユニットが制御できる。この出願において注射デバイスとして原理的に記述されているが、基本原理は、制限するものではないが、吸入、鼻、眼、経口、局所などの薬物送達の形態のような薬物送達の他の処方に適用できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第一の態様によれば、一次的な薬剤の用量に関する情報を受け取るように構成された制御ユニットを含むデバイスが開示される。制御ユニットは、少なくとも部分的に、該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに基づいて、流体剤(fluid agent)の用量の少なくとも一つの値を決定するように更に構成される。 制御ユニットは、治療用量プロファイルを記憶するように構成されたマイクロコントラーラ及びメモリーを更に含む。
【0020】
例示的実施態様において、治療用量プロファイルは一次的な薬剤及び流体剤の非線形プロファイルである。
【0021】
例示的実施態様において、流体剤は二次的な薬剤である。
【0022】
例示的実施態様において、制御ユニットは、一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルのみに基づいて流体剤の用量の少なくとも一つの値を決定するように構成される。
【0023】
更なる例示的実施態様において、デバイスは制御ユニットと通信可能なオペレータインターフェースを含み、ここで一次的な薬剤の用量に関する情報がオペレータインターフェースから制御ユニットに受信される。
【0024】
例示的実施態様において、制御ユニットは、流体剤の用量の少なくとも一つの値を決定するように構成される。決定された値に対する使用者の確認は表示部上で要求され得る。制御ユニットは、次いで、オペレータインターフェースから流体剤の用量の決定された値を使用者が確認したことを受け取るように構成され得る。
【0025】
更なる実施態様において、流体剤の用量の少なくとも一つの値は範囲を持つ値である。このように、制御ユニットは、流体剤の用量の範囲を持つ値を決定するように構成される。流体剤の用量の範囲を持つ値は、例えば、使用者がその範囲内で用量値を選択し得るように、オペレータインターフェースの表示部上に表示され得る。制御ユニットは、次いで、流体剤の用量の値の範囲内で、オペレータインターフェースから使用者が選択した用量値を受け取るように構成され得る。
【0026】
更なる例示的実施態様において、制御ユニットは、別の流体剤、例えば、第三の薬剤の用量の少なくとも一つの値を、少なくとも部分的に一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルに基づいて決定するように更に構成され得る。
【0027】
一次的な薬剤はインスリン及び/又はインスリン類似体を含み得る。流体剤又は第二の薬剤はGLP−1及び/又はGLP−1類似体を含み得る。
【0028】
更なる例示的実施態様において、デバイスは、制御ユニットに操作可能に連結された電気機械駆動ユニットを含む。電気機械駆動ユニットも、一次的な薬剤を含有する一次的なリザーバ、及び流体剤を含有する二次的なリザーバに連結され得る。更に、デバイスは、一次的なリザーバ及び二次的なリザーバと流体連通するように構成された単回投与アセンブリを含み得る。このように、一次的な薬剤及び流体剤は、単回投与インターフェースを通して、例えば、逐次的に又は同時に排出され得る。例示的実施態様において、オペレータインターフェース、例えば、注射ボタンから入力エレメントを作動させると、電気機械駆動ユニットが単回投与アセンブリを通して一次的な薬剤の用量及び流体剤の用量を投与することになる。
【0029】
例示的実施態様において、電気機械駆動ユニットは別のデバイス中に存在し得て、そして制御ユニットは、通信インターフェースを通して、例えば、有線又は無線の通信インターフェースを通して電気機械駆動ユニットに操作可能に連結され得る。有線通信インターフェースはシリアルインターフェース、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)を含み得る。無線インターフェースはBluetooth(登録商標)又はW−LANインターフェースを含み得る。
【0030】
更なる例示的実施態様において、単回投与アセンブリは、一次的なリザーバと流体連通している第一の穿孔針及び第二の穿孔針を含む第一の内部ボディを含む。単回投与アセンブリは両端が相似したニードルアセンブリを含み得る。
【0031】
一次的な及び二次的なリザーバは、ストッパ及び穿孔できるセプタムを含む少なくとも一つの反復用量カートリッジ中に含有され得る。例えば、反復用量カートリッジは、一次的な及び二次的なリザーバの両方を含み得る。反復用量カートリッジは少なくとも一つの第三のリザーバ更に含み得る。又は、単一カートリッジは各々のリザーバに対して使用され得る。
【0032】
本発明の第二の態様によれば、制御ユニットにて、治療用量プロファイルに関する情報を受け取ること、及び制御ユニットにて、一次的な薬剤の用量に関する情報を受け取ることを含む方法が開示される。制御ユニットは、少なくとも部分的に一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルに関する情報に基づいて、流体剤の用量の少なくとも一つの値を決定する。一次的な薬剤の用量及び流体剤の用量の投与は治療用量プロファイルに従って開始される。一次的な薬剤の用量に関する情報は制御ユニットによってオペレータインターフェースから受け取られ得る。例示的実施態様において、流体剤は二次的な薬剤である。
【0033】
例示的実施態様において、制御ユニットは流体剤の用量の一つの値を決定する。本方法は、使用者に表示部上の決定された値の確認を要求することを更に含み得る。流体剤の用量の求められた値の使用者による確認は、オペレータインターフェースから受け取られ得る。又は、使用者による確認に対する要求は全く表示されないで、流体剤の用量の求められた値は自動的に選択される。
【0034】
代替実施態様において、流体剤の用量の少なくとも一つの値はある範囲の値である。このように、制御ユニットは流体剤の用量のある範囲の値を決定する。本方法は、例えば、使用者がその範囲内で用量値を選択し得るように、オペレータインターフェースの表示部上に流体剤の用量の値の範囲を表示することを更に含み得る。例示的実施態様において、本方法は、流体剤の用量の値の範囲内で、オペレータインターフェースから用量値を使用者が選択したことを受け取ることを更に含む。制御ユニットは表示された範囲外の用量値を受け取り得ない。範囲外の値に応じて、範囲内の値を使用者が選択することを求める、使用者への質問が示され得る。
【0035】
更なる例示的実施態様において、本方法は、別の流体剤、例えば、第三の薬剤の少なくとも一つの用量の値を、少なくとも部分的に一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルに基づいて決定することを含む。
【0036】
例示的実施態様において、本方法は、別の流体剤の少なくとも一つの用量の値を、一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルのみに基づいて決定することを含む。
【0037】
一次的な薬剤はインスリン及び/又はインスリン類似体を含み得る。流体剤又は第二の薬剤はGLP−1及び/又はGLP−1類似体を含み得る。
【0038】
例示的実施態様において、オペレータインターフェースの作動によって、電子機械駆動ユニットが一次的な薬剤の用量及び流体剤の用量を、単回投与インターフェースを通して投与することになり得る。
【0039】
事前に定義された治療用量プロファイルは、一次的な及び二次的な薬剤の線形比(linear ratio)のプロファイル、又は非線形比のプロファイルであり得る。
【0040】
本発明の更なる態様において、実行されたとした場合、本方法態様に関連する上述の工程を実行するコードを含むコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータが読むことができる媒体が開示される。
【0041】
少なくとも複数の薬物化合物の間の治療関連を定義することは、提案されたマイクロプロセッサに基づく薬物送達デバイスが、患者/使用者が最適な治療組合せ用量を複数薬物化合物デバイスから受け取ることを確保するために役立つ。このマイクロプロセッサはマイクロコントローラを含み得る。この組合せ用量は、用量を投与するためにデバイスが使用される毎に、使用者が正しい用量の組合せを計算しそして設定することをしばしば要求される、多数入力に伴い得る潜在的な本来のリスクなしで設定され得てそして投与され得る。薬剤は、本明細書において、流れることができて、そしてその形を変える傾向にある力によって作用されるとき、形を変える液体、気体、粉末として定義された流体であってよい。又は、薬剤の一つは固体であり得て、ここでそのような固体は担持され、溶解され又はさもなければ、例えば、液体薬剤又は液体のような別の流体と共に投与され得る。
【0042】
提案された電子機械的デバイスは、単一入力及びそれに伴う事前に定義された治療プロファイルによって、デバイスを使用する度に処方された用量を使用者が計算する必要がなくなるので、手先が不器用な又は計算が苦手な使用者に対して、特に、有益である。また、単一入力によって、組合せられた化合物のより容易な設定及び用量の投与が可能になる。好まれる薬物送達デバイスの電子機械的性質は、提案された薬物送達デバイスがマイクロプロセッサに基づくオペレータパネルを用いて操作され得て及び/又は制御され得る故に、手先が不器用でそして視力に課題がある使用者にも有益である。
【0043】
好ましい実施態様において、反復用量デバイス内に含有されるインスリンのようなマスター薬物化合物(master drug compound)は、同じデバイス内に含有される少なくとも二次的な薬剤と共に使用され得るであろう。同じデバイス内に含有される第三の薬剤も供され得る。例えば、この第三の薬剤は、持続性の又は即効性のインスリンであり得るであろう。
【0044】
好ましい配置において、コンピュータ化された電子機械的薬物送達デバイスは、二つ又はそれ以上の薬剤の少なくとも一つの用量を送達する。代替実施態様において、本デバイスは、二つ又はそれ以上の薬剤の一つより多くの用量を送達する。この用量は組み合わされた用量であり得る。本デバイスはマイクロプロセッサに基づく制御ユニットを含む本体を含む。電気機械駆動ユニットは制御ユニットに操作可能に連結される。電気機械駆動ユニットは一次的な及び二次的なリザーバに連結される。好ましくは、電気機械駆動ユニットは、第一及び第二のドライブトレイン(drive train)を介して一次的な及び二次的なリザーバに連結される。第一及び第二のドライブトレインは操作において類似し得る。
【0045】
オペレータインターフェースは制御ユニットと連通している。(投与インターフェース及び/又はニードルアセンブリのような)単回投与アセンブリは一次的な及び二次的なリザーバと流体連通されるように構成され得る。オペレータパネルの作動によって一次的なリザーバから一次的な薬剤の用量が設定される。少なくとも一次的な薬剤の選択された用量に基づいて、制御ユニットは、少なくとも部分的に治療用量プロファイルに基づいて二次的な薬剤の用量を計算する。代替配置において、少なくとも一次的な薬剤の選択された用量に基づいて、制御ユニットは、少なくとも部分的に治療用量プロファイルに基づいて、二次的な薬剤の用量の範囲を計算する。使用者は次いで、二次的な薬剤の用量を決定された範囲内で選択し得る。一次的な薬剤の少なくとも選択された用量に基づいて、制御ユニットは、少なくとも部分的に治療用量プロファイルに基づいて、第三の薬剤の用量又は用量の範囲も計算する。一次的な薬剤は、二次的な薬剤と同時に注射部位に投与され得るか又は投与され得ない。例示的実施態様において、制御ユニットはその計算を一次的な薬剤の用量及び治療用量プロファイルのみに基づき得る。
【0046】
一つの配置において、選択されたプロファイルは、薬剤のカートリッジが薬物送達デバイスのカートリッジ保持器内に挿入されるときに決定され得る。カートリッジは、一つ又はそれ以上の薬剤を保存するための、そして放出するための一つ又はそれ以上のリザーバを含み得る。各薬剤に対する別々のカートリッジが、デバイスにおいて使用され得て、又は複数のリザーバと共に単一カートリッジが使用され得る。例えば、デバイスのカートリッジ保持器は、デバイスが、挿入されたカートリッジ上の供されたカートリッジ識別子を「読む」とき、又はもしそれが読む場合、デバイス中に含まれるロジックによって、複数の保存されたプロファイルのどれが、カートリッジ内に含有される特別な薬剤に対して選択するために適切なプロファイルであるかが決定され得るであろう、カートリッジ識別回路を含有し得る。従って、そのような配置の一つにおいて、この選択プロセスは完全に自動的であるであろう。つまり、適切なプロファイルを選択するために使用者の介入は全く要求されない。代替実施態様において、カートリッジ識別情報は、有線又は無線の接続、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続、Bluetooth(登録商標)接続、携帯電話用接続等を通してプロファイルを要求するために使用され得る。プロファイルは、インターネットの頁から要求され得る。プロファイルは、同じ有線又は無線の接続を通してデバイスによって受け取られ得る。プロファイルは、次いで、使用者の何らの介入もなしで、又は使用者による確認の後、装置中に保存され、そして適用され得る。
【0047】
又は、この治療プロファイル選択プロセスは半自動であり得るであろう。例えば、この治療プロファイルはデジタル表示部上に供されるグラフィカルユーザーインターフェースを介して示唆されそして選択され得る。例えば、GUIは使用者に選択肢の限定された範囲から、又は使用者、例えば、患者又は医療提供者によって完全に構成可能な範囲から、どのプロファイルを望むか確認するよう促す。
【0048】
本出願は、インスリン、インスリン類似体又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1類似体を二つの可能な薬物の組合せとして特に述べているものの、鎮痛剤、ホルモン、ベータ作動薬、又はコルチコステロイド、又は上述の薬物の如何なる組合せのような他の薬物又は薬物の組合せが我々の発明と共に使用され得るであろう。
【0049】
本出願の目的に対して、用語「インスリン」は、ヒトインスリン、ヒトインスリンの類似体又は誘導体を含む、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体又はそれらの混合物を意味するものとする。インスリン類似体の例は、限定するものではないが、以下のものである:Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン; Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位置におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置き換えられるヒトインスリン、及びB29位置におけるLysがProよって置き換えられ得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリン。インスリン誘導体の例は、限定するものではないが、以下のものである:B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル− ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン; B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリン。
【0050】
本明細書で使用される「GLP−1」は、限定するものではないが、以下を含む、GLP−1、GLP−1類似体又はその混合物を意味するものとする:エクセナチド(エクセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2)配列のペプチド、エクセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2)。
【0051】
ベータ作動薬の例は、限定するものではないが、以下のものである:サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテコール、メタプロテレノール、フェノテロール、ビトルテロールメシレート、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロール。
【0052】
ホルモンは、例えば、以下のものである:下垂体ホルモン、又は視床下部ホルモン、又は調節活性ペプチド及びゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、絨毛膜ゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンのようなそれらの拮抗薬。
【0053】
一つの好ましい配置において、提案された電子機械的薬物送達デバイスは単回投与インターフェースを有する。このインターフェースは、少なくとも一つの薬剤を含有する薬剤の一次的なリザーバと及び二次的なリザーバと流体連通するように構成され得る。薬物投与インターフェースは、二つ又はそれ以上の薬剤をシステムから排出し、そして患者に送達されることを可能にする出口のタイプであり得る。
【0054】
一つの好ましい配置において、二次的なリザーバは薬剤の複数の用量を含有する。本システムは、用量ボタンの一回の作動によって、使用者が、一次的なリザーバから排出される薬剤の用量を設定することになるように設計され得る。その結果、二次的なリザーバからの薬剤の用量が、事前にプログラム化された治療プロファイルに基づいて決定され、そして薬剤のこの組合せが単回投与インターフェースを通して排出されるであろう。使用者が設定できる用量とは、使用者(例えば、患者又は医療提供者)が、望みの用量を設定するようにデバイスを経由して一次的な薬剤の用量を入力できることを意味する。また、使用者が設定できる用量は、無線通信ポート(例えば、Bluetooth、WiFi、衛星など)のような通信ポートを通して遠隔的に設定され得る。又は、使用者が設定できる用量は、ユニバーサルシリアルバス(USB)通信ポートのような有線通信ポートを通して設定され得る。加えるに、用量は、治療処理アルゴリズムを実行した後の血糖モニターのような別のデバイスによって設定され得る。
【0055】
計算された用量とは、使用者(又は如何なる他の入力)が二次的なリザーバから独立して薬剤の用量を設定又は選択できないで、むしろそれは、一次的な及び二次的な薬剤の両方の組合せの、事前に定義された治療プロファイルを達成するために計算されることを意味する。言い換えれば、使用者(又は上述の如き別の入力)が、一次的なリザーバにおいて一次的な薬剤の用量を設定するとき、二次的な薬剤の用量はマイクロプロセッサ制御ユニットによって決定される。薬剤のこの組合せは、次いで、単一インターフェースを介して投与される。
【0056】
別々の単位として又は混合された単位としての化合物の組合せは、両端が相似したニードルアセンブリを介して体に送達され得る。これは、使用者の見方から、標準ニードルアセンブリを使用する現在入手できる注射デバイスにピッタリ合うように達成されるであろう組合せ薬物注射システムを供するであろう。一つの可能な送達手順は以下の工程を含み得る:
【0057】
1.投与インターフェースを電子機械的注射デバイスの遠位端に取り付ける。投与インターフェースは第一及び第二の近位針を含む。第一及び第二の針は、一次的な化合物を含有する第一のリザーバ、及び二次的な化合物を含有する第二のリザーバを各々穿孔する。
2.両端が相似したニードルアセンブリのような用量ディスペンサを、投与インターフェースの遠位端に取り付ける。このようにして、ニードルアセンブリの近位端が一次的な化合物及び二次的な化合物の両方と流体連通している。
3.例えば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を介して、注射デバイスから一次的な化合物の望みの用量をダイアルして増し/設定する。
4.一次的な化合物の用量を使用者が設定した後、マイクロプロセッサに制御される制御ユニットによって二次的な化合物の用量が決定され又は計算され、そして、好ましくは、前に保存された治療用量プロファイルに基づいて、この第二の用量が決定され又は計算される。薬物送達デバイスが第三の薬剤を含む場合、マイクロプロセッサに制御される制御ユニットによって、同じ又は異なる治療用量プロファイルに基づいて、第三の薬剤の用量が計算される。次いで使用者によって注射されるであろうものは、この計算された薬剤の組合せである。
5.場合により、二次的な用量が計算された後、デバイスは装着された状態に置かれ得る。そのような場合による装着された状態において、これは制御パネル上の「OK」ボタンを押す及び/又は掴むことによって達成され得る。この状態は、組み合わされた用量を投与するためにデバイスが使用され得る前に、事前に定義された期間より長く供され得る。
6.次いで、使用者は用量ディスペンサ(例えば、両端が相似したニードルアセンブリ)の遠位端を望みの注射部位に挿入または適用するであろう。一次的な化合物及び二次的な化合物及び潜在的には第三の化合物)の組合せの用量は、注射使用者インターフェース(例えば、注射ボタン)を作動させることによって投入される。
【0058】
提案された薬物送達システムは、専用の又はコード化されたカートリッジ機構を採用することを通して、専ら一次的な及び二次的なリザーバにその使用を制限するように設計され得る。幾つかの状況において、一次的なリザーバが、標準薬物を含有すバイアル又はカートリッジであり得ることを確保することが、治療的及び安全的な観点から有益があり得る。これによって、二次的なリザーバがデバイス中に含まれるとき、使用者が組み合わされた治療薬を送達することが可能になるであろう。それによって、併用治療が必要とされない状況において、標準の用量ディスペンサを通して一次的な化合物を独立して送達することも可能になるであろう。これは、制限するものではないが、用量分割(つまり、二つの別々の注射において、一次的な治療薬の完全な用量を送達する)、又はさもなければそのような場面が存在し得るであろう、二次的な化合物の二重投与の潜在的なリスクを防ぐであろうように、一次的な化合物の注ぎ足し(top-up)のような状況を含み得るであろう。
【0059】
提案された薬物送達デバイスの特別な有益性は、二つ又はそれ以上の反復用量リザーバの使用によって、要求されたときに、例えば、特別な薬物に対して調節期間が必要である場合に、用量体制を適合させることが可能になることである。二次的なリザーバ、第三のリザーバ及び/又はその他のリザーバは、使用者が調節を容易にするために、供与された二次的なリザーバを特定の順序において使用することを指示され得るであろうように、制限するものではないが、機構の美的設計又はグラフィック、数字等の記号のような、或る差別機構を有する多数の調節レベルにおいて供され得る。或いは、処方医師又は医療提供者は、多くの「レベル1」調節を備えた患者に、二次的なリザーバを供し得て、次いでこれらが終了したとき、医師は次に、次のレベルを処方し得るであろう。又は、単一強さの処方が供され得るであろうし、そしてデバイスは、調節期間中に、完全な意図された用量の事前に定義されたフラクションを送達するように設計され得るであろう。そのようなフラクションは徐々に、段階的に又は如何なる治療的に有益であり又は望ましいその変更例において増加され得るであろう。そのような調節プログラムの一つの有利な点は、投与プロセスを通して一次的なデバイスが一定に留まることである。
【0060】
好ましい配置において、薬物送達デバイスは一度より多く使用され、従って複数回使用される。そのようなデバイスは、一次的な薬物化合物の交換可能なリザーバを有し得るか又は有し得ないが、現在開示されている配置は両方の場面に等しく適用できる。標準薬物送達デバイスを既に使用している患者に対して、一回限りの(one-off)特別薬剤として処方され得るであろう、種々の条件に対して異なる一組の二次的なリザーバを有することが可能である。
【0061】
好ましい配置の更なる特長は、一つの注射針又は用量ディスペンサを介して、そして一つの注射工程において、両方の薬剤が投与されることである。これによって、二つの別々の注射液を投与するのと比べて、使用者の工程が減少するという観点において、使用者に対して便利であるという利点が提供される。この便利であるという利点によって、特に、注射が不快であると感じる、又は手先が不器用な又は計算が困難である使用者にとって、処方された治療を用いた改善されたコンプライアンスに繋がるという結果にもなり得る。二回ではなく一回の注射の使用によって、使用者のエラーの可能性が減少し、そのため患者の安全性が増加し得る。
【0062】
更なる態様において、一次的な薬剤の用量に関する情報を受け取るように構成された制御ユニットを含む装置が記述される。制御ユニットは、少なくとも部分的に該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに基づいて、流体剤の用量を決定するように更に構成される。流体剤は、薬剤、例えば、液体薬剤又は薬剤の液体溶液であり得る。
【0063】
更なる態様において、治療用量プロファイルに関する情報を制御ユニットで受け取ることを含む方法が記述される。本方法は、一次的な薬剤の用量に関する情報を制御ユニットで受け取ること;少なくとも部分的に、該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに基づいて、流体剤の用量を制御ユニットで決定すること; そして該一次的な薬剤の該用量及び流体剤の該用量を治療用量プロファイルに従って投与することは始めること;
を更に含む。
【0064】
本発明の種々の態様のこれらの並びにその他の利点は、添付図面を適宜参照して、以下の詳細な記述を読むことによって、当業者に明らかになるであろう。
【0065】
ここで、図面を参照して例示的実施態様を述べる:ここで、
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】本発明の一つの態様による、プログラム可能な薬物送達デバイスの平面図を図示する。
【図1B】本発明の一つの態様による、端部キャップを外した、プログラム可能な薬物送達デバイスの平面図を図示する。
【図2】デバイスの端部キャップを外した、図1A及び図1Bにおいて図示された薬物送達デバイスの斜視図を図示する。
【図3】図1Bにおいて図示された送達デバイスのカートリッジホルダ及び裏側の斜視図を図示する。
【図4】図1Bにおいて図示された送達デバイスの近位端の斜視図を図示する。
【図5】Aはデバイスのスイッチを入れられた後だが、用量が設定される前の、薬物送達デバイスのデジタル表示部の平面図を図示する。Bは用量が設定された後の、Aにおいて図示されたデジタル表示部の平面図を図示する。
【図6】カートリッジを示す送達デバイスの遠位端の斜視図を図示する。
【図7】図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイス内へのプログラム化が可能な一つのアルゴリズムのフローチャートを図示する。
【図8】図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイス内へのプログラム化が可能な別のアルゴリズムのフローチャートを図示する。
【図9】一つのカートリッジ保持器が開けられた位置にある、図3において図示されたカートリッジホルダの斜視図を図示する。
【図10】カートリッジホルダと共に使用され得るカートリッジ専用システムの一つのタイプを図示する。
【図11】図1A、1B及び2において図示された送達デバイスの遠位端上に取り外し可能に取り付けられ得る投与インターフェース及び用量ディスペンサを図示する。
【図12】図1A、1B及び2において図示された送達デバイスの遠位端上に取り付けられた、図11において図示された投与インターフェース及び用量ディスペンサを図示する。
【図13】送達デバイスの遠位端上に取り付けられ得る用量ディスペンサの一つの配置を図示する。
【図14】図11において図示された投与インターフェースの斜視図を図示する。
【図15】図11において図示された投与インターフェースの別の斜視図を図示する。
【図16】図11及び12において図示された投与インターフェースの断面図を図示する。
【図17】図11において図示された投与インターフェースの展開図を図示する。
【図18】図11において図示された投与インターフェースの別の展開図を図示する。
【図19】図1A及び1Bにおいて図示されたデバイスのような、薬物送達デバイス上に取り付けられた投与インターフェース及び用量ディスペンサの断面図を図示する。
【図20】図11において図示された薬物送達デバイスの操作のための制御ユニットの機能的記述のブロック図を図示する。
【図21】図11において図示された薬物送達デバイスのプリント回路基板アセンブリを図示する。
【図22】図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイスと共に使用するための駆動機構の模式図を図示する。
【図23】図22において図示された駆動機構の別の模式図を図示する。
【図24】A及びBは22において図示された駆動機構と共に使用され得る運動検出システムを図示する。
【図25】図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイスと共に使用するための代替駆動機構の模式図を図示する。
【図26】或るエレメントが取り外された、図25において図示された代替駆動機構の模式図を図示する。
【図27】図26において図示された伸縮自在ピストンロッド(telescope piston rod)及び歯車配置の模式図を図示する。
【図28】図27において図示された伸縮自在ピストンロッド配置の模式図を図示する。
【図29】図27において図示された一つのピストンロッド配置の模式図を図示する。
【図30】公知の二つの入力及び二つの化合物の組み合わせデバイスの潜在的な送達可能な療法を図示する。
【図31】A及びBはプログラム化が可能な薬物送達デバイス内へプログラム化され得る事前に定義された治療プロファイルの第一の配置を図示する。
【図32】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された固定レシオ治療プロファイルの一つの配置を図示する。
【図33】三つの薬剤を含む薬物送達デバイス内へプログラム化され得る事前に定義された固定レシオ治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図34】四つの薬剤を含む薬物送達デバイス内へプログラム化され得る事前に定義された固定レシオ治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図35】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、とびとびの用量工程を有する事前に定義された固定レシオ治療プロファイルの別の配置を図示する。
【図36】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、低下する変化率を有する非線形固定レシオ治療プロファイルの配置を図示する。
【図37】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、低下する変化率を有する非線形固定レシオ治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図38】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、増加する変化率を有する非線形固定レシオ治療プロファイルの配置を図示する。
【図39】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、増加する変化率を有する非線形固定レシオ治療プロファイルの配置の代替配置を図示する。
【図40】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図41】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、高用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図42】少なくとも三つの薬剤と共に使用するための薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図43】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図44】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、そして少なくとも三つの薬剤と共に使用するための、事前に定義された固定用量−可変用量治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図45】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図46】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、高閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図47】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイルの代替配置を図示する。
【図48】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、オフセット用量閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図49】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、遅いランプアップ(ramp up)を有する、事前に定義された、複数レベル固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【図50】薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、速いランプアップを有する、事前に定義された、複数レベル固定用量−可変用量治療プロファイルの配置を図示する。
【0067】
図1A及び1Bは、本発明の一つの態様による、プログラム可能な薬物送達デバイス10の平面図を図示する。図1Aは、端部キャップ18をデバイス10上に付けたときのデバイスを図示する。図1Bにおいて、デバイス10は、デジタル表示部80が照らされるように、端部キャップ18が取り外され、そしてデバイス10がスイッチをいれられて準備ができたモードにおいて図示されている。キャップがつけられてデバイスが作動されるとき、カートリッジ内容物、バッテリー状態及び最後の用量情報のみがディスプレイに対して入手でき得るであろう。カバーが取り外されるとき、用量設定スクリーンが利用され得るであろう。図2は、デバイス10の端部キャップ18を外した、図1A及び図1Bにおいて図示された薬物送達デバイス10の斜視図を図示する。図2において、デバイスは、デジタル表示部が照らされるようにスイッチを入れられる。図3は、図1A及び1Bにおいて図示された送達デバイスのカートリッジホルダ及び裏側の斜視図を図示する。図4は、送達デバイス10の近位端の斜視図を図示する。
【0068】
ここで図1から4までを通して参照すると、本発明に従ってマイクロプロセッサに制御された電子機械的薬物送達デバイス10が見られ得る。好ましくは、この薬物送達デバイス10は、使用者のシャツのポケットに容易に収まるように、そしてハンドバッグに入るのに十分にコンパクトであるように、一般的に丸くなった端部を含む、一般的に、矩形の形をしている。
【0069】
以下にもっと詳細に記述されるであろうように、薬物送達デバイス10は、単回用量操作中に、少なくとも二つの薬物(第一の、つまり一次的な薬剤及び第二の、つまり二次的な薬剤)を送達するために使用される電子機械的ドライブを操作するマイクロプロセッサ制御ユニットを含有する。これによって、薬物送達デバイス10は、例えば、併用療法として持続性インスリンのような一次的な薬剤並びにGLP1のような二次的な薬剤を供し得る。そのような併用療法は、デバイス10内に含有されるマイクロプロセッサに連結されるメモリーデバイス中に保存された複数の治療プロファイルの一つによって定義され得る。
【0070】
図1から4において図示された薬物送達デバイスは、近位端16から遠位端15に伸びる本体14を含む。遠位端15に、取り外し可能な端部キャップ又はカバー18が供される。本体14のこの端部キャップ18及び遠位端15は、一旦、カバー18が本体14の遠位端15上に滑り込むと、キャップと本体外表面20の間のこの摩擦ばめ(friction fit)によって、カバーが本体から不注意で落ちることが防がれるように、スナップばめ又は形状嵌合いの連結を供するように一緒に働く。クリップ機構を介して供される摩擦ばめ又はスナップばめのような他のタイプの連結機構も使用され得る。
【0071】
以下にもっと詳細に記述されるであろう如く、本体14はマイクロプロセッサ制御ユニット、電子機械的ドライブトレイン、および少なくとも二つの薬剤リザーバを含む。(図1B、2、3及び4において図示された通り)端部キャップ又はカバー18がデバイス10から外されるとき、投与インターフェース200(図3を参照)は本体14の遠位端15に取り付けられ、そして用量ディスペンサ(例えば、ニードルアセンブリ)はインターフェースに取り付けられる。薬物送達デバイス10は、第二の薬剤(二次的な薬物化合物)の計算された用量、及び第一の薬剤(一次的な薬物化合物)の可変用量を、両端が相似したニードルアセンブリのような単一ニードルアセンブリを通して投与するために使用され得る。
【0072】
制御パネル領域60は本体14の近位端の近くに供される。好ましくは、この制御パネル領域60は、デジタル表示部80、並びに組合せられた用量を設定して注射するために使用者によって操作され得る複数のヒトンターフェイスエレメントを含む。この配置において、制御パネル領域は、記号「OK」で表示された第一の用量設定ボタン62、第二の用量設定ボタン64及び第三のボタン66を含む。図示された通り、第一の用量設定ボタン62は、OKボタン66の上方に位置付けられる第二の設定ボタン64の上方にある。代替のボタン配置も使用され得る。ほんの一例として、第一のボタン62及び第二のボタン64は、対として90度、回転され、そしてスクリーンの下部に座し、ここで各ボタンはスクリーン領域に隣接している。そのような配置において、第一及び第二のボタンは、使用者のデジタル表示部80上でアイコンと相互作用するためのソフトキーとして使用され得るであろう。また、本体の最近位端に沿って、注射ボタン74も供される(例えば、図4を参照)。
【0073】
オペレータパネル(例えば、ハードキー、ボタン又はキー銘がディスプレイスクリーン上に現れるソフトキー)のようなマイクロプロセッサに制御されるヒトインターフェースエレメントを利用して、一次的な薬剤の用量を設定することにより、制御ユニットが第二の薬剤の固定用量を計算し又は決定することが可能になる。一つの好ましい配置において、コンピュータ化された電子制御ユニットは第二の薬剤の用量を計算する。最も好ましくは、コンピュータ化された電子制御ユニットは、マイクロプロセッサに連結されたメモリーデバイス中に保存される治療用量プロファイルに少なくとも部分的に基づいて第二の薬剤の用量を計算する。そのような治療プロファイルは、使用者又は介護者が選択でき得るか又はでき得ない。或いは、このプロファイルは使用者が選択でき得ない。以下にもっと詳細に記述されるであろう如く、複数の異なるそのような用量プロファイルが薬物送達デバイスにおけるメモリー保存デバイス上に保存され得る。一つの配置において、好ましいメモリー保存デバイスはマイクロプロセッサのフラッシュメモリを含む。オプションとしての保存デバイスはシリアル通信バスを介して制御ユニットのマイクロプロセッサに連結されるEEPROMを含み得るであろう。
【0074】
図2は、本体14及びカートリッジホルダ40を照らすように、端部キャップ18を外した、図1A及び図1Bの薬物送達デバイス10の斜視図を図示する。カバー18をデバイスから取り外すことによって、使用者にはカートリッジホルダ40に及び投与インターフェース200にもアクセスが供される。一つの好ましい配置において、カートリッジホルダ40は本体14に取り外し可能に取り付けられ得る。この配置において、そして図6において図示された通り、カートリッジホルダ40は少なくとも二つのカートリッジ保持器50及び52を含有し得る。各保持器は、ガラスカートリッジのような一つの薬剤リザーバを含むように構成される。好ましくは、各カートリッジは異なる薬剤を含有する。しかしながら、代替薬物送達デバイスの配置において、二つより多くのカートリッジ保持器がカートリッジハウジング内に含有され得る。
【0075】
一つの好ましい配置において、各カートリッジ保持器50、52には、図10に対して図示されそして記載されたカートリッジ検出システムのようなカートリッジ検出システムが備えられ得る。そのようなカートリッジ検出システムは、カートリッジが保持器50及び52内に正しく挿入されたかどうかを決定するために使用され得る機械的又は電子的なスイッチを含み得る。理想的には、そのような検出システムは、正しいサイズのカートリッジが適切に保持器内に挿入されたかどうかを決定することができる。
【0076】
また、図2において図示された薬物送達デバイスは、カートリッジホルダ40の遠位端で投与インターフェース200を含む。図11に関連して記述されるであろうように、この投与インターフェース200は、カートリッジホルダ40の遠位端42に取り外し可能に取り付けられる外部本体212を含有する。図2及び3において見ることができるように、投与インターフェース200の遠位端214は、好ましくは、ニードルハブ216を含む。このニードルハブ216は、従来のペン型注射ニードルアセンブリのような用量ディスペンサが薬物送達デバイス10に取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。
【0077】
主ハウジング14の第一端又は近位端16に、制御パネル領域60が備えられる。この制御パネル領域60は、デジタル表示部、好ましくは、有機発光ダイオード(OLED)表示部80、並びに押しボタンのような複数の使用者インターフェースキーを含む。又は、この領域はタッチスクリーン及びアイコンを表示部上に含み得るであろう。更なる選択肢は、ジョイスティックを有するディスプレイスクリーン、制御ホイール及び/又はおそらく押しボタンであろう。また、制御パネル領域は、用量サイズを増やすか又は減らすかのどちらかのためのスワイプ(swipe)セクションも含み得るか、又は、それによって使用者がデバイス10を操作できるであろう他の手段を備え得る。好ましくは、ヒトインターフェース制御は、触覚の、聴覚の及び/又は視覚のフィードバックを供するように構成され得る。
【0078】
デジタル表示部80は、使用者がデバイス10と相互作用することを可能にする使用者インターフェースの部分であり得る。以下にもっと詳細に説明される通り、この表示部によって、用量設定、用量投与、注射履歴、デバイスエラーなどのようなデバイス操作の視覚表示が供される。デジタル表示部80によって、種々の薬物送達デバイスパラメータも表示され得る。例えば、表示部は、どちらかの薬剤容器中に含有される識別された薬剤を表示するようにプログラム化され得て、そしてまた正しいカートリッジ、ひいては薬剤が使用されていることの視覚確認も供する。また、表示部によって、最後の用量が投与されて以来の時間、バッテリレベル、設定された用量サイズ、デバイス状態、用量投与状態、用量履歴情報、警告及びエラーのような用量履歴情報も供され得る。
【0079】
また、表示部80によって日時も供され得て、そしてそれは現在の日時を設定するために使用され得る。表示部はどのようにしてデバイスが使用されそして働くべきであるかについての訓練情報を使用者に供するためにも使用され得る。又は、表示部は、糖尿病又は他の治療情報について教育ビデオを介して使用者を教育するために使用され得る。表示部は、PCへのUSBのような無線又は有線の通信リンクを介して、そして次いでおそらくインターネットを介して、又はBluetooth(登録商標)リンク、WLANリンク等のような有線又は無線通信リンクを用いてデバイスに連結された携帯電話を介して、医療専門家と通信するためにも又は医療専門家からフィードバックを受け取るためにも使用され得る。表示部はデバイス通信リンクを構成するためにも使用され得る:つまり、デバイスのセットアプのために、そしてBluetooth(登録商標)データリンクのようなデータリンクのためのパスワードを入力するために使用される。また、表示部は、薬物送達デバイスにプライミング情報、又はおそらくデバイスの向き及び/又は相対的位置の表示を供するために使用され得る。例えば、マイクロ電子機械的加速度計は、もし、使用者が、安全又はプライミングの注射を(つまり、デバイスの遠位端を上方に向けて)実行するためにデバイスを使用しているか否か、又は用量投与工程を(つまり、デバイスの遠位端を下方に向けて)実行するためにデバイスを使用しているか否かを知るための知能を有するであろうように、デバイス内に供され得るであろう。
【0080】
表示部は、日記又はライフスタイルカレンダとしても潜在的に使用され得て、そしておそらく患者のBGMと通信し得て、そしておそらく血糖データを保存しそして表示し得る。この表示部は、用量の送達に続く、おそらく用量サイズに比例する滞在期間も表すであろう。この表示部は、デバイスが装備されているかどうか、つまり、用量の送達の準備ができているかどうかを表すであろうし、そしてまた、用量が予想される限界を外れているか否かの表示を供するためにも使用されるであろう。
【0081】
また、或る他のボタンを操作することによって、表示部は制御ユニット中に保存された情報を表示するために使用され得る。例えば、そのような保存された情報は使用者又は患者の情報を含み得るであろう。そのような使用者又は患者の情報は彼らの名前、彼らの住所、彼らの健康保険番号(health number)、連絡先の詳細、彼らの処方された薬剤又は用量体制を含み得るであろう。
【0082】
また、血糖の読み、最後に取られた用量のサイズ、取られた運動、健康状態、食事の時間を含むこれらの事例が生じた時間などを含み得るであろう,カレンダ情報を含む機会もある。或る重要な事例も保存されそして見られ得る。例えば、そのような重要な事例には、過剰又は過小投与をおそらくもたらすであろうデバイスの故障、カートリッジ変更、プライミングショット、用量履歴の読み、キャップの取り外し、用量ディスペンサの取り外し、ディスペンサインターフェースの取り外し、製造以来の時間、最初の使用以来の時間、並びにその他の類似タイプの情報及びデータが含まれるであろう。
【0083】
デジタル表示によって、デバイスによって維持された時間参照に使用者がアクセスすることも可能であろう。そのような時間参照は現在の日時を追跡し続け得るであろう。この時計は、インターフェースを介して、又はデバイス上に供されるデータリンク(例えば、USB又はIRDA)を介して使用者によって設定され得る。また、時間参照には、もし、主バッテリーが外されたとき、又は残量がなくなったとき、時間経過を維持するように、恒久的に連結されたバッテリーバックアップが備えられ得る。この時間参照は最後の用量が何時取られたかを決定するために使用され得て、そして次いでディスプレイ上に表示され得る。この時間参照は、或るキー事例を保存するためにも使用され得る。そのような事例には以下の日時が含まれであろう:最後の用量;如何なる薬物送達デバイスエラーもが生じたか否か;カートリッジ交換;如何なるパラメータ変更、治療プロファイルにおける如何なる変更;投与インターフェース変更;及び製造以来の時間。
【0084】
前に述べられた如く、図1Bは、使用者がデバイスのスイッチを入れた後の、薬物送達デバイス10の一つの配置を図示する。使用者がデバイスのスイッチを入れ得る一つの方法は、使用者が制御パネル領域60上に供された「OK」ボタン66を押すことである。或いは、デバイス10は端部キャップ18を取り外すことによってスイッチを入れられるようプログラム化され得る。次いで、OKボタン66は、デバイス10が或る非活動期間の後で、スリープモードに入ったとき、使用され得る。スリープモードはおそらくブランクディスプレイスクリーンによって指示され得る。好ましくは、キャップ18がデバイス上に戻されるとき、OKボタン66のようなヒトインターフェースエレメントの一つを押すことによって、表示部80を介して或る用量又は用量履歴データをレビューすることが可能であり得る。
【0085】
一旦デバイスのスイッチが入れられると、デジタル表示部80は照らされそして使用者に或るデバイス情報、好ましくは、カートリッジホルダ40内に含有された薬剤に関する情報を供する。例えば、図1及び5において図示されたように、使用者は、一次的な薬剤(薬物A)及び二次的な薬剤(薬物B)の両者に関する或る情報を供され得る。好ましくは、表示部は薬剤情報を含む少なくとも二つの表示領域82、86を含む。第一の表示領域82は一次的な薬剤に関する使用者情報:薬剤のタイプ−「薬物A」及び使用者によって選択された薬物Aの量−「0単位」を使用者に供する。また、第二の表示領域86は、二次的な薬剤に関する情報:薬剤のタイプ−「薬物B」、使用者によって選択された薬物Aの量及び特別な治療プロファイル−「0μグラム」に基づいてデバイスによって計算された薬物Bの量を使用者に供する。当業者が認識するであろうように、もし、代替配置において、薬物送達デバイス10が三つの薬剤を含有すれば、そして次いでこれら三つの薬剤の組合せ治療薬を投与するために使用されるならば、デジタル表示部80は、少なくともこれらの三つの薬剤に対する情報を含む少なくとも3つの表示領域を含むように改造されるであろう。
【0086】
第二の用量のサイズが第一の用量のサイズから決定される場合、第二の用量のサイズを指示する必要はなく、従って、表示グラフィックの代替実施態様、例えば、緑色の点、緑色のチェックマーク又は文字「OK」のような、「OK」指示が使用され得る。
【0087】
デジタル表示部80とは別に、制御パネル領域60は種々の使用者インターフェースキーを含む。例えば、図1A、1B、2及び4において図示されたように、薬物送達デバイス10の制御パネル領域60は、以下の使用者インターフェースキーを更に供する:
第一の用量設定ボタン62、
第二の用量設定ボタン64、及び
OK又はENTERボタン66。
【0088】
第一及び第二の用量設定ボタン62、64は、デバイス10の使用者が、送達されるべき一次的な薬剤「薬物A」の選択された用量を増すか又は減らすかのどちらかができるように操作され得る。例えば、一次的な薬剤の用量の量を設定するか又は増やすために、使用者は第一の用量設定ボタン62をトグルで留め得る(toggle)であろう。第一の表示領域82は、使用者が設定している量の視覚指示を使用者に供するであろう。
【0089】
使用者が、前に設定された用量を減らすことを望む場合、設定された用量を減らすように、第二の用量設定ボタン64がトグルで留められ得るか又は押され得る。一旦、使用者が一次的な薬剤の量を選択したら、使用者は次いで、「OK」ボタン66を押し得る。OKボタン66を押すことによって、デバイス10は二次的な薬剤「薬物B」の対応する用量を計算するよう指示され得る。又は、二次的な薬剤の用量は、第一の薬剤の用量が設定されるか又は変更されるとき、決定され得る。
【0090】
代替表示配置において、表示部80は薬物Aの全ての増分変化に対して二次的な薬剤、薬物B、の計算された量を表示し得る。その後、OKボタン66が次いで使用され得るであろう。例えば、このOKボタン66を或る時間(例えば、2秒)押して保持することは、設定されたそして計算された用量を確認するために、使用者によって使用され得るであろうし、そしてそうすることによってデバイス10が送達の準備のために装填される。組み合わされた用量は、次いで、注射ボタン74を押すことによって単回用量ディスペンサを通して投与され得るであろう。一つの好ましい配置において、デバイスの装填された状態は、制限された時間、例えば、20秒間ほど利用され得る。代替配置において、装填機構は含まれ得ない。
【0091】
図5Aは、デバイスのスイッチを入れられた後だが、使用者が一次的な薬剤、薬物Aの用量を設定する前の、図1Bにおいて図示されたデバイス10の表示部80を図示する。図5Bは、使用者が一次的な薬剤、薬物Aの用量を設定を設定した後の、そしてデバイスが二次的な薬剤、薬物Bの対応する量を計算した後の、このデジタル表示部80を図示する。図5Bにおいて図示されたように、使用者は、15単位の一次的な薬剤、薬物A、の用量を設定しており、そしてこれは第一の表示領域82において表示されるものによって確認される。デバイス10が第二の薬剤、薬物B、の二次的な用量を計算後、これも第二の領域86において表示されるものによって示される。例えば、この場合、デバイス10は、15単位の一次的な薬剤、薬物A、の用量に部分的に基づいて、そしてデバイス内に保存されたアルゴリズムの一つに部分的に基づいて、薬物Bに対して20マイクログラムの用量を計算した。
【0092】
この組み合わされた用量、15単位の第一の薬剤、薬物A、及び20マイクログラムの二次的な薬剤、薬物Bは、次いで、注射できる。図4から見られ得るように、デバイス10の本体14の近位端に、この組み合わされた用量を注射するために、注射ボタン74が備えられる。又は、この用量注射ボタン74は制御パネル領域60上のような、主ハウジング14上の別の場所に備えられ得るであろう。
【0093】
第二の薬剤の量を計算するとき考慮され得る他の情報は、第一の薬剤又は第二の薬剤の何れかの、先の用量以来の時間間隔であり得る。例えば、以下の記述が第二の薬剤から投入されるべき用量のサイズの計算において使用され得るアルゴリズム及びプロセスの例を供する。このアルゴリズムは、図7において供されたフローチャート150において図示され得る。
【0094】
図7において供されたフローチャート150から見られ得る通り、第一に、使用者は工程134でデバイスのスイッチを入れることによって用量選択プロセスを始める。次いで、工程136で、使用者は、第一のカートリッジ中の第一の薬剤M1から送達されるべき用量のサイズを選択し、そして次いで確認するためOKボタンを押す。工程138で、マイクロコントローラによって、第一の薬剤M1の選択された用量サイズが、第一の薬剤の最小用量閾値(例えば5単位)より少ないか否かが決定される。もし、選択された用量サイズが、実際に最小用量閾値より少ないと決定されれば、プロセスは工程144に進み、ここで、次いで第二の薬剤M2の計算された用量がゼロ用量として計算される。次いで、プロセスは工程146に進み、ここで、(一次的な薬剤の選択された用量のみを含んでなる)用量が投与される。
【0095】
もし、選択された用量サイズが、最小用量閾値より多いか又は等しいと決定されれば、プロセス150は工程140に進む。工程140で、マイクロコントローラは、先の注射以来の時間間隔が事前に決定された閾値(例えば、18時間)より短いか又は等しいか否かを決定する。もし、この質問に対する答えがYESであれば、プロセス150は工程144に進み、ここで第二の薬剤M2からの用量のサイズがゼロ「0」用量に等しいとして計算されるであろう。次いで、プロセスは工程146に進み、ここで(一次的な薬剤の選択された用量のみを含んでなる)用量が投与される。
【0096】
或いは、もし工程138及び140での両方の質問に対する答えがNOであるならば、次いでプロセス150は工程142に進むであろう。工程142で、マイクロコントローラによって、保存された治療プロファイルに少なくとも部分的に基づいて、二次的な薬剤M2の用量が計算されるであろう。もし、第三の薬剤が薬物送達デバイス中に供されるとすれば、マイクロコントローラによって、保存された治療プロファイルに少なくとも部分的に基づいて、第三の薬剤の用量が計算されるであろう。この後者のプロファイルは、二次的な薬剤の用量を計算するために使用されるものと同じプロファイルであり得るか又はあり得ない。
【0097】
従って、もし、使用者が工程136で第一の薬剤に対する或る最小用量閾値(例えば5単位)に等しいか又は多い一次的な薬剤M1の用量サイズを選択するならば、先の注射以来の時間間隔は先に定義された閾値(例えば、18時間)より長く、次いで工程146で注射が投与されるときに、第二のカートリッジからの二次的な薬剤の先に定義された用量(例えば、0.5単位)が送達されるであろう。
【0098】
薬物送達デバイス10は、自動調節(auto titration)アルゴリズムを用いてもプログラム化され得る。ほんの一例として、そのようなアルゴリズムは、第二の薬剤の用量を、GLP1又はGLPの1類似体の場合のように、患者が第二の薬剤に慣れることを可能にする期間に亘って増やす必要がある場合に使用され得る。例示的自動調節アルゴリズムが図8において図示されたフローチャート160において表わされる。
【0099】
一つの配置において、デバイスが工程164でスイッチを入れられた後、制御パネル上に供されたキーの一つを操作することによって使用者は自動調節モードの操作を開始する。これは、工程166で表される。又は、この自動調節モードの操作は自動的に作動され得るであろう。薬物送達デバイス10が最初に使用されるとき、例えば、バッテリーがデバイスに最初に連結されるとき、バッテリーが最初に充電されるとき、又はプロファイルがデバイス内に装填され、そして使用者によって使用されるとき、例えば、この自動調節モードの操作は自動的に作動され得るであろう。工程166の後、デジタル表示部80上のせりふによって、使用者はパスワードを尋ねられ得て、そして次に、自動調節アルゴリズムが本当に患者によって望まれているかを確認され得る。代替実施態様において、デジタル表示部80上のプロンプト(prompt)によって、使用者は確認のみを尋ねられ得る。
【0100】
自動調節モードにおいてデバイスを操作するために、保存されたアルゴリズムを使用することとは別に、この自動調節モードは、同じ薬剤であるが、強さ又は濃度が異なる薬剤を含有するカートリッジを使用者に供することを介して達成され得るであろう。そのようなシナリオの不利な点は、そのようなカートリッジの提供者が、標準の強さのカートリッジからより少ない用量を通してよりもむしろ、薬物の少なくとも二つの異なる強さの濃度でカートリッジを生産しなければならないであろう点である。もし、異なる強さのカートリッジが使用されるならば、次いで、自動調節機能を供しないようにデバイスはプログラム化され得る。もし、この機能がオプションでありそして患者によって決定されるならば、次いで、そのような機能は、「メニュー」ボタン(又は他の類似の使用者インターフェースエレメント)を介して、デジタル表示部80を通してアクセスされ得るであろう。
【0101】
工程168で、使用者は一次的な薬剤M1の用量を選択する。次いで、工程170で、マイクロコントローラによって、選択された用量サイズが、第一の薬剤の最小用量閾値(例えば5単位)より少ないかどうかが決定される。もし、マイクロコントローラによって、選択された用量サイズが、第一の薬剤に対する最小用量閾値より少ないと決定されれば、プロセス160は工程176に進む。工程176で、マイクロコントローラによって、二次的な薬剤M2の計算された用量がゼロ「0」用量であるべきと決定される。
【0102】
もし、工程170で、マイクロコントローラによって、選択されたM1の用量サイズが、第一の薬剤の最小用量閾値より少なくないと決定されれば、プロセス160は工程172に進む。工程172で、マイクロコントローラによって、先の用量投与以来の時間間隔が計算され、そしてこの計算された時間間隔が事前に定義された閾値(例えば、18時間)より短いか、又は等しいかが決定される。もし、工程172で、マイクロコントローラによって、この計算された時間間隔が事前に定義された閾値より短いか、又は等しいと決定されると、プロセス160は工程176に進む。工程176で、マイクロコントローラによって、二次的な薬剤M2の計算された用量がゼロ「0」用量であるべきと決定される。
【0103】
又は、もし工程172で、マイクロコントローラによって、先の注射投与以来のこの計算された時間間隔が事前に定義された閾値より短くないか、又は等しくないと決定されるならば、プロセスは工程174に進む。
【0104】
もし、工程170でマイクロコントローラによって、選択された用量サイズが、第一の薬剤の最小用量閾値(例えば5単位)に等しいか又はそれより大きいと決定され、そして工程172で先の注射以来の時間間隔が事前に定義された閾値(例えば、18時間)より長いと決定されると、プロセスは工程174に進む。工程174で、マイクロコントローラによって、自動調節機構が作動されて以来の時間間隔が事前に定義された閾値(例えば、1週間)より短いかどうかが決定される。もし、工程174で、マイクロコントローラによって、自動調節機構が作動されて以来の時間間隔が事前に定義された閾値より長いと決定されるならば、プロセス160は工程176に進み、ここでM2のゼロ「0」用量が決定される。
【0105】
或いは、もし、工程174で、マイクロコントローラによって、自動調節機構が作動されて以来の時間間隔が事前に定義された閾値より短いと決定されるならば、プロセスは工程178に進む。工程178で、マイクロコントローラによって、二次的な薬剤の事前に定義された始動用量が、治療プロファイルに部分的に基づいて決定される。次いで、工程180で、第二のカートリッジからの事前に定義された始動用量(例えば、0.25マイクログラム)M2並びに工程168から一次的な薬剤M1の先に選択された用量が注射工程中に送達されるであろう。
【0106】
従って、自動調節フローチャート160に従って、もし、選択された用量サイズが第一の薬剤に対する最小用量閾値(例えば、5単位)に等しいか又は大きいならば、そして先の注射以来の時間間隔が事前に定義された閾値(例えば、18時間)より長ければ、そして、自動調節機構が作動されて以来の時間間隔が事前に定義された閾値(例えば、1週間)より長ければ、次いで、工程180で注射が行われるとき、第二のカートリッジからの事前に定義された維持用量(例えば、0.5単位)が送達されるであろう。もし、工程170及び172に対する計算された応答がYESであり、またもし工程174に対する応答がNOであれば、次いで、投与される用量は、工程168からの一次的な薬剤の選択された用量のみを含むであろう。
【0107】
使用者インターフェースキーとは別に、薬物送達デバイスはサウンダ(sounder)つまり音制御器も含み得る。例えば、デバイスは或る範囲の音を生み出すサウンダを有し得る。そのような音は、ボタンを押すか、或るキーとなる事例が起こるとき(例えば、用量が設定された後、用量送達が完了した後、等)、デバイスが正しく作動していないという警告、或いは、正しくないカートリッジが挿入されていないか、デバイスが或る操作エラーを起こしていないか、或いは警告条件がトリガーされていないかを指示するように供され得るであろう、サウンダの音量は、ヒトインターフェースエレメントによって制御されるメニューシステムを使用することによって、或いは専用の音量制御ボタンを通して設定され得るか又は構成され得る。
【0108】
主ハウジング部分は、好ましくは、カートリッジホルダ40の近位端に連結される。好ましくは、このカートリッジホルダ40は、薬剤の二つのリザーバを保持するように構成される少なくとも二つの別々のカートリッジ保持器を含む。リザーバに依存して、これら二つの保持器は類似したサイズであり得て又はあり得ない。例えば、図3は、図1A及び図1Bにおいて図示された送達デバイス10の裏側を図示し、そしてカートリッジ保持器52の一つを図示する。図6は、図1A及び図1Bにおいて図示された送達デバイスのカートリッジホルダの遠位端を図示し、そして第一及び第二のカートリッジ保持器50、52の両方を図示する。一つの好ましい配置において、第一のカートリッジ保持器50は、一次的な薬剤92を含有する第一のカートリッジ90を受け取るように構成され、そして第二のカートリッジ保持器52は、二次的な薬剤102を含有する第二のカートリッジ100を受け取るように構成される。第一及び第二のカートリッジ90、100は類似したサイズ及び/又は寸法であり得て又はあり得ない。
【0109】
図6において図示された通り、カートリッジハウジング40はカートリッジハウジングの第一の側部に沿って存在する第一の窓46を含む。同様に、カートリッジハウジング40はカートリッジハウジング40の第二の側部に沿って存在する第二の窓47を含む。このカートリッジハウジング40は二つのカートリッジ保持器50、52を含み、そしてこれらの保持器はお互いに本質的に並んで位置付けられる。一旦、キャップ18が薬物送達デバイス10から取り外されると、窓46、47によって、使用者は、カートリッジ内に含有される薬剤を見ること、そして各リザーバ中に残留している薬剤の量をモニターすることが可能になる。例えば、図6から見られ得る通り、第一の窓46によって、使用者は、第一のカートリッジ90内に含有される一次的な薬剤92をモニターすることが可能になり、一方、第二の窓47によって、使用者は、第二のカートリッジ100内に含有される二次的な薬剤102をモニターすることが可能になる。視覚できるカートリッジの内容物はデジタル表示部80上に表示されるものによって確認され得るであろう。
【0110】
この図示された配置において、第一のカートリッジ90は一次的な薬剤92を含有し、そして第二のカートリッジ100は二次的な薬剤102を含有し得る。好ましくは、第一のカートリッジ及び第二のカートリッジの両者は各々、各薬剤92、102の反復用量を含有する。各カートリッジは自己充足型であり、そしてシールされそして滅菌されたカートリッジとして供される。これらのカートリッジは異なる容積のもので、そして空になったときときに交換できるものであり得て、或いはカートリッジホルダ40中に固定され得る(取り外し不可能)。それらはカートリッジの遠位端で穿孔し得るシール又はセプタムも有し、そしてニードルカヌーレを受け入れるように構成される。
【0111】
種々のカートリッジホルダ配置が図1〜6において図示された薬物送達デバイスと共に使用され得る。ほんの一例として、カートリッジホルダ40は別々に形づくられたカートリッジ保持器50、52を含み得る。ほんの一例として、第一のカートリッジ保持器50は第一の容積を有するカートリッジを受け取るように形づくられ得て、一方、第二のカートリッジ保持器52は第二の容積を有するカートリッジを受け取るように形づくられ得る。ほんの一例として、一つの好ましい配置において、第一のカートリッジ90中に含有される一次的な薬剤92は持続性インスリンを含み得て、一方、第二のカートリッジ100中に含有される第二の薬剤102はGLP1又はその類似体を含み得る。
【0112】
そのように、一つの好ましい配置において、第一のカートリッジ90の容積は標準300ユニットのカートリッジであり得て、従って第一のカートリッジ保持器50はそのような容積に対して幾何学的に構成されなければならない。対照的に、第二のカートリッジ100の容積はより小さな容積(例えば、20単位のオーダー)であり得て、従ってそのようなより小さい容積を受け取るように幾何学的に構成されなければならない。当業者が認識するであろうように、他のカートリッジ及びカートリッジ保持器の配置及び幾何寸法も同様に可能である。
【0113】
一つの好ましい配置において、第一及び第二のカートリッジ保持器50、52はヒンジ付きカートリッジ保持器を含む。これらのヒンジ付き保持器によって、使用者がカートリッジにアクセスすることが可能になる。例えば、図9は、第一のヒンジ付きカートリッジ保持器50が開けられた位置にある、図2において図示されたカートリッジホルダ40の斜視図を図示する。図9は、使用者が第一の保持器50を開くことによって、第一のカートリッジ90に如何にしてアクセスするであろうかを図示する。使用者は、ヒンジ付き保持器52中に含有される第二のカートリッジ100に同様の方法でアクセスするであろう。勿論、もし、異なるサイズをしたカートリッジが使用されるならば、使用者は第二のカートリッジ100に異なる方法でアクセスするであろう。
【0114】
少なくとも図9及び10において図示された通り、薬物送達デバイス10はカートリッジ検出システムを含み得る。そのようなシステムは、カートリッジ90が第一のカートリッジ保持器50内に適切に挿入されたことを確認するように使用され得る。この図示された配置において、カートリッジ検出デバイス70は、カートリッジホルダ40の内部部分に沿って供される。検出デバイスの代替場所も使用され得る。
【0115】
一つの好ましい配置において、第一の薬剤を含有する第一のつまり一次的なカートリッジ90及び第二の薬剤を含有する第二のつまり二次的なカートリッジ100は類似の寸法のものである。より好ましい配置において、第一のカートリッジ90は第二のカートリッジと異なるサイズである。ほんの一例として、第一の薬剤(例えば、持続性インスリン)は、3mLのカートリッジ内に供されるであろうし、そしてこのカートリッジは第一の空洞内に装填されるであろう。また、第二の薬剤(例えば、GLP1)は、短くなった1.7mLのカートリッジ内に供されるであろうし、そして第二の空洞内に装填されるであろう。第二のヒンジ付き保持器はより小さなサイズをしたカートリッジを含有するので、第二の保持器は第一の保持器とは異なるサイズであろう。最も好ましい配置において、一次的なカートリッジホルダはインスリンの3mLのカートリッジを受け取るように設計され、そして、二次的なホルダはGLP1の1.7mLのカートリッジを受け取るように設計される。しかしながら、当業者は、代替のカートリッジホルダ構造体及びカートリッジ構成も使用され得るであろうことを容易に認識するであろう。
【0116】
一つの配置において、カートリッジホルダ40は、機械的な又は電子的なカートリッジ検出又はコード化(coding)システムのようなカートリッジ検出又はコード化システムを含む。そのようなシステムは、正しくコード化されたカートリッジのみが、従って正しい薬剤が各カートリッジ保持器内に装填され得るであろうことを確保するために役立つであろう。薬物タイプ、有効期限又は他の同様の情報を検出できる電子的コード化システムは好ましい配置であろう。そのような電子システムにおいて、マイクロプロセッサ制御ユニットは、適切にコード化されたカートリッジ(従って適切な薬剤)のみがそのようなシステム中において受け入れ可能であろうようにプログラム化され得るであろう。そのようなコード化されたシステムにおいて、制御ユニットは、もし、不適切にコード化されたカートリッジが検出されたならば、ロックアウトし又は操作インターフェースを使用できなくするように、電子ロックアウトを用いてプログラム化され得るであろう。好ましくは、もし、そのような正しくないカートリッジが装填されたならば、正しくないカートリッジ(従っておそらく正しくない薬剤)が装填されたことを使用者に知らせるように、エラーメッセージがデジタル表示部80上に表示されるであろう。最も好ましくは、もしそのような正しくないカートリッジが装填されたならば、薬物送達デバイス10は、使用者インターフェースキーをロックアウトするように、そして使用者が用量を設定することを防ぐようにプログラム化され得るであろう。
【0117】
図10は、薬物送達デバイス10のカートリッジハウジングと共に使用され得るカートリッジ識別システム110の一つのタイプを図示する。例えば、図10は、カートリッジホルダ118のカートリッジ保持器116中に存在する(第一及び第二のカートリッジ90、100の何れかと類似した)カートリッジ120を図示する。カートリッジ保持器116は、図3及び6において図示されたカートリッジ保持器50、52に類似したものであり得る。カートリッジ120はカートリッジ保持器116の内部空洞内に入れ子にされた(nested)状態として図示される。ラベル122はカートリッジ120の外表面に沿って供され、そしてバーコード124はこのラベル122の部分に沿って供される。
【0118】
図10において、カートリッジ識別システム110は一次元(「1D」)バーコード読み取りシステムを含む。そのようなカートリッジ識別システム110において、バーコードはカートリッジ表面に沿って供され、そしてこのバーコードは或る情報の光学機械が読み取れる代表的なものである。又は、二次元のバーコード読み取り機も使用され得るであろう。そのような配置において、画像内に、四角、点、六角のパターン及びその他の幾何学的パターンがカートリッジの外表面自身上又はカートリッジラベル上に供され得る。また、カートリッジ検出デバイス70がシステム110の内表面壁に沿って供され得る。
【0119】
ほんの一例として、カートリッジホルダ118はバーコード読み取り機126を含み得る。一つの配置において、この読み取り機は、光源128及び光ダイオード130を含む1Dバーコード読み取り機を含み得るであろうし、そしてこれら二つのエレメントは、カートリッジ保持器116に隣接するカートリッジハウジング118の内表面に沿って供され得るであろう。図示された通り、光源128及び光ダイオード130は、互いに隣り合って置かれ、そしてカートリッジ上のバーコードに向かって向けられ得る。カートリッジ120のラベル122上に供されたバーコード124を読むために、光源128は、カートリッジがカートリッジハウジング118内に挿入されるので、ラベル122上に供された種々の線を照らす。この光は、次いで、反射され、そして光ダイオード130は光源128から反射されて戻る光の強度を測定し、そして波形が生み出される。このカートリッジ識別システム110に連結されたマイクロプロセッサは、バーの幅及びバーコード124の間隙を測定するために、この生み出された波形を使用する。例えば、バーコード中の暗いバーは照らされた光を吸収し、一方、白い間隙は光を反射する。
【0120】
そのように、光ダイオードによって発生された電圧波形は、バーコードにおけるバー及び間隙パターンの複製を表すであろう。次いで、この波形は、マイクロプロセッサ中に供されたアルゴリズムによって解読される。又は、2Dバーコード読み取り機も使用され得るであろう。そのような読み取り機の一つの有利な点は、カートリッジとカートリッジホルダの間の相対的な動きが要求されないであろうことである。
【0121】
提案された薬物送達デバイス10においてそのようなカートリッジ識別を利用することによって、或る有利な点が生まれる。例えば、そのようなカートリッジ識別配置によって、カートリッジのメーカー又は供給者を決定するためにカートリッジから情報を検索する方法が供され得る。そのようなシステムはカートリッジ内に含有される薬剤のタイプも決定し得て、そして次いで、カートリッジ内に含有される薬物に関する情報も決定し得る。例えば、カートリッジ識別システムによって、一次的な薬剤を含有すると思われる第一の保持器内に挿入されたカートリッジが実際に、そのような一次的な薬剤を含有するカートリッジを含むか否かが決定され得るであろう。そのような識別スキームは、受動的又は能動的なタイプの識別スキームの何れかを含み得るであろう。例えば、それは受動的(典型的には機械的)又は能動的(典型的には電気的)な識別スキームを含み得るであろう。そのようなカートリッジ識別スキームはマイクロチップインターフェースを通した又は無線周波数識別(RF−ID)インターフェースを通した識別を含み得るであろう。カートリッジは次いで、カートリッジについての情報を含む読むことができるメモリーを含み得る。メモリーは、たとえば、使用された単位数に関する情報、又はカートリッジ中の推定される残りの内容物及び最初に使用された日時に関する情報を保存するための書き込み可能なものでもあり得る。残っている内容は、mg、ml等の多くの単位で与えられ得る。残っている内容物に関する情報は、内容物がカートリッジから排出されたときに更新され得る。
【0122】
代替配置において、カートリッジホルダ40は使い捨てのカートリッジホルダとして供され得る。例えば、そのような配置において、医療デバイス供給者又は薬剤供給者は、二つの薬剤を含有するカートリッジホルダを供給し得るであろうし、そしてこれらは最終使用者によって交換可能でないであろう。従って、一旦、そのようなカートリッジホルダの一次的又は二次的な薬剤の何れかが消費されたら、カートリッジホルダ全体が薬物送達デバイスの薬物投与部分から取り外され、そして廃棄される。従って、使用者又は患者は次いで、二つの新たなカートリッジを含有する新しいカートリッジホルダを薬物送達デバイスの薬物投与部分に取り付け得るであろう。
【0123】
そのようなカートリッジホルダの使い捨て性によって多くの有利な点が供されるであろう。例えば、そのようなカートリッジホルダは、不用意な薬剤の交叉使用(cross use):つまり、カートリッジハウジング内の正しくない一次的な又は二次的な薬剤の使用を防ぐために役立つであろう。そのような配置は、薬剤の改竄を防ぐためにも役立つであろうし、そして薬物送達デバイスと共に、偽物が使用されることを排除するためにも役立つであろう。また、カートリッジホルダはデバイス本体に連結され得て、ここでデバイス本体は一次元(「1D」)バーコード読み取りシステムを含む。そのようなコード化システムは上で論じたコード化システム110に類似したシステムを含み得るであろう。
【0124】
図2及び3を論じるときに上で述べられた通り、投与インターフェース200はカートリッジホルダ40の遠位端に連結される。図11は、カートリッジホルダ40の遠位端上で連結を取り外された投与インターフェース200の平面図を図示する。インターフェース200と共に使用され得る用量ディスペンサつまりニードルアセンブリも説明されており、そして保護外部キャップ420中に供される。
【0125】
図12において、図11において図示された、カートリッジホルダ40に連結されて投与インターフェース200が示される。投与インターフェース200とカートリッジホルダ40の間の軸方向の取り付け手段は、当業者に公知の、スナップロック、スナップばめ、スナップリング、キー付きスロット及びそのような連結の組合せを含む、如何なる公知の軸方向の取り付け手段でもあり得る。投与インターフェースとカートリッジホルダの間の連結又は取り付けも、コネクタ、停止部、スプライン、リブ、溝、点(pip)、クリップ及び同様の設計機構のような(示されていない)追加の機構を含み得て、それは特定のハブが、合致する薬物送達デバイスにのみ取り付けられることを確保する。そのような追加の機構によって不適切な二次的なカートリッジが合致しない注射デバイスに挿入されることが防がれるであろう。
【0126】
図12は、インターフェース200のニードルハブ上にねじ込まれ得る、投与インターフェース200の遠位端上に連結された、ニードルアセンブリ400及び保護カバー420も図示する。図13は、図12における用量ディスペンサ200上に取り付けられる両端が相似したニードルアセンブリ400の断面図を図示する。
【0127】
図13において図示されたニードルアセンブリ400は両端が相似した針406及びハブ401を含む。両端が相似した針又はカニューレ406はニードルハブ401中に固定的に取り付けられる。このニードルハブ401はその周囲に沿って円周依存スリーブ403を有する円形ディスクの形をしたエレメントを含む。このハブ部材401の内壁に沿って、ねじ404が供される。このねじ404によって、ニードルハブ401が、一つの好ましい配置において、遠位ハブに沿って対応する外ねじを備えられる投与インターフェース200上にねじ込まれることが可能になる。ハブエレメント401の中心部分で突起402が供される。この突起402はハブからスリーブ部材の反対方向に突き出る。両端が相似した針406は突起402及びニードルハブ401を通して中央に取り付けられる。この両端が相似した針406は、両端が相似した針の第一の又は遠位の穿孔端405が注射部位(例えば、使用者の皮膚)を穿孔するための注射部分を形成するように取り付けられる。
【0128】
同様に、ニードルアセンブリ400の第二の、つまり近位の穿孔端406は、それがスリーブ403によって同心円状に囲まれるように、円形ディスクの反対側から突き出る。一つのニードルアセンブリ配置において、第二の、つまり近位の穿孔端406は、このスリーブがバックスリーブの尖った端部を或る程度保護するように、スリーブ403より短くあり得る。図11及び12において図示された針カバーキャップ420はハブ401の外表面403の周りの形状嵌合いを供する。
【0129】
図11のニードルアセンブリは、投与インターフェース200の遠位端に取り外し可能なように連結され得る。ここで、図11〜12及び14〜19を参照すると、このインターフェース200の一つの好ましい配置が本明細書で論じられるであろう。この一つの好ましい配置において、このインターフェース200は以下を含む:
a、主外部本体210、
b、第一の内部ボディ220、
c、第二の内部ボディ230、
d、第一の穿孔針240、
e、第二の穿孔針250、
f、バルブシール260、及び
g、セプタム270。
【0130】
主外部本体210は本体近位端212及び本体遠位端214を含む。外部本体210の近位端212で、連結部材は、投与インターフェース200がカートリッジホルダ40の遠位端に取り付けられることが可能であるように構成される。好ましくは、連結部材は、投与インターフェース200がカートリッジホルダ40に取り外せるよう連結されることが可能であるように構成される。一つの好ましいインターフェース配置において、インターフェース200の近位端は、上に向かって伸びている壁218が少なくとも一つの凹部を有して構成される。例えば、図15から見られ得るように、上に向かって伸びている壁218は少なくとも第一の凹部217及び第二の凹部219を含む。
【0131】
好ましくは、第一及び第二の凹部217、219は、薬物送達デバイス10のカートリッジハウジング40の遠位端の近くに置かれた外側に向いて突き出ている部材と協動するように、この主外部本体壁内に位置付けられる。例えば、カートリッジハウジングのこの外側に向いて突き出ている部材48は図11及び12において見られ得る。第二の類似した突き出し部材はカートリッジハウジングの反対側上に供される。そのように、インターフェース200がカートリッジハウジング40の遠位端に亘って軸方向に滑るとき、外側に向かって突き出ている部材はインターフェース嵌合い、形状嵌合い又はスナップロックを形成するように第一及び第二の凹部217、219と協動するであろう。又は、そして当業者が認識するであろうように、投与インターフェース及びカートリッジハウジング40が軸方向に連結されることを可能にする如何なる他の類似の連結機構も使用され得るであろう。
【0132】
主外部本体210及びカートリッジホルダ40の遠位端は、カートリッジハウジングの遠位端上を軸方向に滑り得るであろう軸方向に係合しているスナップロック又はスナップばめ配置を形成するように作用する。一つの代替配置において、投与インターフェース200には、意図しない投与インターフェースの交叉使用を防ぐようにコード化機構が備えられ得る。つまり、ハブの内部ボディは、一つ又はそれ以上の投与インターフェースの意図しない交叉使用を防ぐように幾何学的に構成され得るであろう。
【0133】
取り付けハブは投与インターフェース200の主外部本体210の遠位端に供される。そのような取り付けハブは、ニードルアセンブリに解除可能に連結されるように構成され得る。ほんの一例として、この連結手段216は、図13において図示されたニードルアセンブリ400のような、ニードルアセンブリのニードルハブの内壁表面に沿って供された外ねじを係合する外ねじを含み得る。スナップロック、ねじを通して解除されたスナップロック、バヨネットロック、形状嵌合い又は他の類似連結配置のような代替の解除可能なコネクタも供され得る。
【0134】
投与インターフェース200は第一の内部ボディ220を更に含む。この内部ボディの或る詳細が図15〜19において図示される。好ましくは、この第一の内部ボディ220は主外部本体210の伸びている壁218の内表面215に連結される。より好ましくは、この第一の内部ボディ220は、リブ及び溝形状嵌合い配置を介して主外部本体210の内表面に連結される。例えば、図16から見られ得るように、主外部本体210の伸びている壁218には第一のリブ213a及び第二のリブ213bが備えられる。この第一のリブ213aは図17においても図示される。これらのリブ213a及び213bは外部本体210の壁218の内表面215に沿って位置付けられ、そして第一の内部ボディ220のこれらの協動する溝224a及び224bと形状嵌合い又はスナップロック係合を生み出す。好ましい配置において、これらの協動する溝224a及び224bは第一の内部ボディ220の外表面222に沿って供される。
【0135】
また、図15〜18において見ることができるように、第一の内部ボディ220の近位端の近くの近位表面226は、近位穿孔端部分244を含む、少なくとも第一の近位に位置付けられる穿孔針240と共に構成され得る。同様に、第一の内部ボディ220は、近位穿孔端部分254を含む、第二の近位に位置付けられる穿孔針250と共に構成される。第一及び第二の針240、250は両方共、第一の内部ボディ220の近位表面226上に剛直に取り付けられる。
【0136】
好ましくは、この投与インターフェース200はバルブ配置を更に含む。そのようなバルブ配置は、第一及び第二のリザーバ中に各々含有された第一及び第二の薬剤の交差汚染を防ぐように構築され得るであろう。好ましいバルブ配置は、第一及び第二の薬剤の逆流及び交差汚染を防ぐようにも構築されるであろう。
【0137】
一つの好ましい配置において、投与インターフェース200はバルブシール260の形態におけるバルブ配置を含む。そのようなバルブシール260は、保持チャンバ280を形成するように、第二の内部ボディ230によって画成された空洞231内に供され得る。好ましくは、空洞231は第二の内部ボディ230の上表面に沿って存在する。このバルブシールは、第一の流体溝264及び第二の流体溝266の両者を画成する上表面を含む。例えば、図16は、第一の内部ボディ220と第二の内部ボディ230の間に座するバルブシール260の位置を図示する。注射工程中に、このシールバルブ260は、第一の流路中の一次的な薬剤が、第二の流路中の二次的な薬剤に移行するのを防ぐために、一方、第二の流路中の二次的な薬剤が、第一の流路中の一次的な薬剤に移行するのを防ぐためにも役立つ。好ましくは、このシールバルブ260は第一の逆止弁262及び第二の逆止弁268を含む。そのように、第一の逆止弁262によって、第一の流体経路264、例えば、シールバルブ260中の溝に沿って移動する流体がこの経路264内に戻ることが防がれる。同様に、第二の逆止弁268によって、第二の流体経路266に沿って移動する流体がこの経路266内に戻ることが防がれる。
【0138】
第一及び第二の溝264、266は共に、各々逆止弁262及び268に向かって収斂し、そして次いで、出力流体路又は保持チャンバ280を供する。この保持チャンバ280は、セプタム270に加え、第二の内部ボディの遠位端、並びに第一及び第二の逆止弁262、268の両者、によって画成された内部チャンバよって画成される。図示された通り、このセプタム270は、第二の内部ボディ230の遠位端部分と、主外部本体210のニードルハブによって画成された内表面の間に位置付けられる。
【0139】
保持チャンバ280はインターフェース200の出口で終わる。この出口部290は、好ましくは、インターフェース200のニードルハブ中の中央部に置かれ、そしてセプタム270を静止位置に保持するのを助ける。そのように、両端が相似したニードルアセンブリが(図13において図示された両端が相似した針のような)インターフェースのニードルハブに取り付けられるとき、吐出流体路によって、両方の薬剤が、取り付けられたニードルアセンブリと流体連通状態になることが可能になる。
【0140】
ハブインターフェース200は第二の内部ボディ230を更に含む。図16において見ることができるように、この第二の内部ボディ230は、凹部を画成する上表面を有し、そしてバルブシール260はこの凹部内に位置付けられる。従って、インターフェース200が図16において示されるように組立てられるとき、第二の内部ボディ230は外部本体210の遠位端と第一の内部ボディ220の間に位置付けられるであろう。第二の内部ボディ230と主外部本体は一緒にセプタム270をその位置に保持する。内部ボディ230の遠位端も、バルブシールの第一の溝264及び第二の溝266の両方と流体連通するように構成され得る空洞又は保持チャンバを形成し得る。
【0141】
示されてはいないが、投与インターフェース200は、保護されそして滅菌されたカプセル又は容器中に含有されたものとしてメーカーによって供給される可能性もある。このため、ここで使用者はシール又は容器自体を剥離して又は引き裂いて開けて滅菌単回投与インターフェースへのアクセスを得る。幾つかの場合、インターフェースの各端部に対して二つ又はそれ以上のシールを供することが望ましいであろう。シールによって、規制ラベル要求事項によって要求される情報の表示が可能になり得る。両端が相似したニードルアセンブリが、両方の薬剤の単回用量を送達するために単回投与アセンブリとして使用されるとき、使用者が各注射に対して新しいハブを取り付けることを可能にするために、経済的でかつ安全であるようにインターフェースが設計されることが好まれる。
【0142】
主外部本体210が薬物送達デバイスの遠位端に亘って軸方向に滑ることによって、投与インターフェース200が繰り返し使用デバイスに取り付けられる。このようにして、第一のカートリッジの一次的な薬剤と第二のカートリッジの二次的な薬剤の流体連通が第一の針240と第二の針250の間で各々生み出され得る。
【0143】
図19は、図1において図示された薬物送達デバイス10のカートリッジホルダ40の遠位端42上にそれが取り付けられた後の投与インターフェース200を図示する。両端が相似した針400もこのインターフェースの遠位端に取り付けられる。
【0144】
カートリッジホルダ40は、第一の薬剤を含有する第一のカートリッジ、及び第二の薬剤を含有する第二のカートリッジを有するものとして図示される。
【0145】
インターフェース200がカートリッジホルダ40の遠位端に亘って最初に取り付けられるとき、第一の穿孔針240の近位穿孔端244は第一のカートリッジ90のセプタムを穿孔、そしてそうすることによって、第一のカートリッジ90の第一の薬剤92と流体連通状態で存在する。第一の穿孔針240の遠位端もバルブシール260によって画成された第一の流体通路溝264と流体連通しているであろう。
【0146】
同様に、第二の穿孔針250の近位穿孔端254は第二のカートリッジ100のセプタムを穿孔し、そしてそうすることによって、第二のカートリッジ100の第二の薬剤102と流体連通状態で存在する。第二の穿孔針250の遠位端もバルブシール260によって画成された第二の流体通路溝266と流体連通しているであろう。
【0147】
図19は、薬物送達デバイス10の本体14の遠位端15に連結される、そのような投与インターフェース200の好ましい配置を図示する。好ましくは、そのような投与インターフェース200は薬物送達デバイス10のカートリッジホルダ40に取り外し可能に連結される。
【0148】
図19において図示された通りに、投与インターフェース200はカートリッジハウジング40の遠位端に連結される。このカートリッジホルダ40は、一次的な薬剤92を含有する第一のカートリッジ90及び二次的な薬剤102を含有する第二のカートリッジ100を含むものとして図示される。一旦、カートリッジハウジング40に連結されると、投与インターフェース200は、第一及び第二のカートリッジ90、100から保持チャンバ280への流体連通路を供する機構を本質的に供する。この保持チャンバ280は用量ディスペンサと流体連通しているとして説明される。ここで、図示される通り、この用量ディスペンサは両端が相似したニードルアセンブリ400を含む。図示される通り、両端が相似したニードルアセンブリの近位端はチャンバ280と流体連通している。
【0149】
一つの好ましい配置において、投与インターフェースは、それが本体に一つの向きにのみ取り付けられるように、つまり、それが一方向(one way round)にのみ嵌合いされるように構成される。図19において図示された通りに、一旦、投与インターフェース200がカートリッジホルダ40に取り付けられると、第一の針240は第一のカートリッジ90の一次的な薬剤92との流体連通のためにのみ使用され得て、そして投与インターフェース200は、第一の針240が、ここで第二のカートリッジ100の二次的な薬剤102との流体連通のために使用され得るであろうように、ホルダ40に再度取り付けられることから防がれるであろう。そのような一方向連結機構は、二つの薬剤92と102の間の可能性のある交差汚染を減少するために役立ち得る。
【0150】
一つの配置において、薬物送達デバイス10は、投与インターフェース200がカートリッジハウジング40上に正しく取り付けられたことを感知又は確認するように、検出センサを含む。そのような検出センサは、機械的、電気的、容量的、誘導的又はその他の類似のタイプのセンサの何れかを含み得る。図示された通り、このセンサはカートリッジハウジングの遠位端の近くに供され得る。
【0151】
また、薬物送達デバイスは用量ディスペンサの存在を検知するための類似の検出センサを含み得る。例えば、そのようなセンサはインターフェース200のニードルハブの隣に供され得る。好ましくは、検出センサの一方又は両方は、マイクロプロセッサと通信可能に連結されるであろう。所望ならば、マイクロプロセッサは、投与インターフェース200がカートリッジホルダ40に適切に取り付けられたこと、及び用量ディスペンサがインターフェース上に適切に取り付けられたことの両方をデバイスが検出しない限り、薬物送達デバイス10を用いて使用者が用量を設定することを防ぐようにプログラム化されるであろう。もし、投与インターフェース又は用量ディスペンサの何れかが正しくなく取り付けられていると検出されたならば、使用者はデバイスからロックアウトされ得て、そして連結エラーがデジタル表示部80上に示され得る。
【0152】
追加的に、投与インターフェース200は、偶発的な針刺しを防ぎ、そして針恐怖症を患っている使用者によって経験される心配を減少するであろう安全シールドデバイスを取り込み得るであろう。安全シールドの正確な設計は、現在述べられた薬物送達デバイス及びシステムに対して決定的(critical)なものではない。しかしながら、好ましい設計は、薬物送達デバイス10に操作可能に連結されるものである。そのような設計において、安全シールドの作動によって薬物送達システムのロックが解除され、又は薬剤が投与インターフェース及び用量ディスペンサを介して投与され得るであろう。別の好ましい設計によって、患者内への使用済みの薬物投与インターフェースの挿入が物理的に防がれるであろう(例えば、使い捨ての針−ガードタイプ配置)。好ましくは、インターフェースは、従来の両端が相似したニードルアセンブリを用いて働くように構成される。又は、インターフェースは従来にはないニードルアセンブリを用いて働くように構成され得る。そのような従来にはないニードルアセンブリの一例はコード化されたニードルアセンブリを含み得る。
【0153】
一つの好ましい電子機械的な薬物送達デバイスにおいて、カテーテルを含む単回投与アセンブリはインターフェース200に連結され得る。
【0154】
一つの好ましい配置において、投与インターフェース200は使い捨てのインターフェースであり、そしてそれ故に、ニードルハブは、デバイス中の第一又は第二のカートリッジのどちらかが交換されるとき(例えば、そのようなカートリッジが空であるとき)に廃棄される使い捨てのエレメントを含む。一つの配置において、投与インターフェース200は薬物送達キット中に供され得る。例えば、一つの薬物送達キット配置において、ニードルアセンブリンターフェースには各交換カートリッジが備えられ得る。代替キット配置において、複数の両端が相似したニードルアセンブリに複数回使用の投与インターフェースが備えられる。
【0155】
図20は、図1において図示された薬物送達デバイスを操作しそして制御するための制御ユニットの機能的ブロック図を図示する。図21は、図20において図示された制御ユニットの或る部分を含み得る、プリント回路基板(PCB)又はプリント回路基板アセンブリ(PCBA)350の一つの配置を図示する。
【0156】
ここで、図20及び21の両方を参照すれば、制御ユニット300はマイクロコントローラ302を含むことが見られ得る。そのようなマイクロコントローラは、Freescale MCF51JMマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、薬物送達デバイス10のための電子システムを制御するために使用される。それは内部アナログ/デジタル変換器及び汎用デジタルI/Oラインを含む。それはデジタルパルス幅変調(PWM)信号を出力できる。それは内部USBモジュールを含む。一つの配置において、ON−SemiNUP3115のようなUSB保護回路が実行され得る。そのような実行において、マイクロコントローラ302に搭載されて実際のUSB通信が供され得る。
【0157】
制御ユニットは、マイクロコントローラ302及び他の回路エレメントに連結された電力管理モジュール304を更に含む。電力管理モジュール304は、電池306のような主電源から供給電圧を受け取り、そしてこの供給電圧を制御ユニット300の他の回路部品によって要求される複数の電圧に調節する。一つの好ましい制御ユニット配置において、制御ユニット300によって要求された他の供給電圧を発生するための引き続く線形調節を用いて、電池の電圧を5Vに設定するために、(National SemiconductorのLM2731を用いた)スイッチング式調節が使用される。
【0158】
電池306は制御ユニット300に電力を供し、そして好ましくは、単一リチウムイオン又はリチウム−ポリマー電池によって供される。この電池は、過熱、過充電及び過放電から保護するための安全回路を含む電池パック中に包まれ得る。電池パックは、電池残量の改善された推定を得るためにクーロンカウント技術も選択肢として含み得る。
【0159】
電 池充電器308は電池306に連結され得る。一つのそのような電池充電器は、Texas Instruments(TI)社のBデバイス4150、並びに他の支持ソフトウエア及びハードウエアモジュールに基づき得る。一つの好ましい配置において、電池充電器308は外部有線接続から薬物送達デバイス10へとエネルギを取り出し、そして電池306を充電するためにそれを使用する。電池充電器308は、電池の充電を制御するために、電池の電圧及び充電電流をモニターするためにも使用され得る。電池充電器308は、シリアルバスに亘ってマイクロコントローラ302と二方向性通信を有するようにも構成される。電池306の充電状態はマイクロコントローラ302にも通信され得る。電池充電器の充電電流はマイクロコントローラ302によっても設定され得る。
【0160】
制御ユニットはUSBコネクタ310も含み得る。マイクロUSB−ABコネクタは、有線通信のため、及び電力をデバイスに供給するために使用され得る。
【0161】
制御ユニットはUSBインターフェース312も含み得る。このUSBインターフェース312はマイクロコントローラ302に対して外部であり得る。USBインターフェース312はUSBマスタ及び/又はUSBデバイス能力を有し得る。USBインターフェース312はUSBの働き続ける(on−the−go)機能も供し得る。マイクロコントローラの外部にあるUSBインターフェース312はデータライン及びVBUSライン上で過渡的電圧抑制も供する。
【0162】
外部Bluetoothインターフェース314も供され得る。Bluetoothインターフェース314は、好ましくは、マイクロコントローラ302に対して外部であり、そしてデータインターフェースを用いてこのコントローラ302と通信する。
【0163】
好ましくは、制御ユニットは複数のスイッチ316を更に含む。図示された配置において、制御ユニット300は8つのスイッチ316を含み得て、そしてこれらのスイッチはデバイスの周りに分配され得る。これらのスイッチ316は、少なくとも以下のことを検出しそして/又は確認するために使用され得る:
a、投与インターフェース200が薬物送達デバイス10に適切に取り付けられたか否か;
b、取り外し可能なキャップ18が薬物送達デバイス10の本体20に適切に取り付けられたか否か;
c、第一のカートリッジ90に対してカートリッジホルダ40の第一のカートリッジ保持器50が適切に閉じられたか否か;
d、第二のカートリッジ100に対してカートリッジホルダ40の−−52が適切に閉じられたか否か;
e、第一のカートリッジ90の存在を検出すること;
f、第二のカートリッジ100の存在を検出すること;
g、第一のカートリッジ90中のストッパ94の位置を決定すること;及び
h、第二のカートリッジ100中のストッパ104の位置を決定すること;
【0164】
これらのスイッチ316は、デジタル入力、例えば、マイクロコントローラ302上の汎用デジタル入力に連結される。好ましくは、これらのデジタル入力は、要求される入力ラインの数を減らすために多重化され得る。スイッチ状態における変化にタイムリーに応答することを確保するように、割込みラインもマイクロコントローラ302上で適宜、使用され得る。
【0165】
また、そして上でもっと詳細に記述された通り、制御ユニットは、複数のヒトインターフェースエレメント又は押しボタン318に操作可能にも連結され得る。一つの好ましい配置において、制御ユニット300は八つの押しボタン318を含み、そしてこれらは以下の機能に対する使用者の入力のためにデバイス上で使用される:
a、用量ダイアル増加;
b、用量ダイアル減少;
c、音レベル;
d、用量;
e、排出;
f、プライミング;
g、用量設定;及び
h、OK。
【0166】
これらのボタン318は、マイクロコントローラ上のデジタル入力に、例えば、汎用デジタル入力に連結される。再び、これらのデジタル入力は、要求される入力ラインの数を減らすように多重化され得る。スイッチ状態における変化にタイムリーに応答することを確保するために、マイクロコントローラ上で割込みラインが適宜、使用されるであろう。例示的実施態様において、一つ又はそれ以上のボタンの機能はタッチスクリーンによって置き換えられ得る。
【0167】
また、制御ユニット300は実時間時計320を含む。そのような実時間時計はEpson社のRX4045 SAを含み得る。実時間時計320は、シリアルペリフェラル(serial peripheral)インターフェース又は類似物を用いてマイクロコントローラ302と通信し得る。
【0168】
デバイス中のデジタル表示モジュール322は、好ましくはLCD又はOLED技術を使用し、そして視覚信号を使用者に供する。表示モジュールは表示部自身及び表示ドライバ積分回路を取り込む。この回路はシリアルペリフェラルインターフェース又は平行バスを用いてマイクロコントローラ302と通信し得る。
【0169】
制御ユニット300は、メモリーデバイス、例えば、揮発性及び非揮発性のメモリーも含む。揮発性メモリーは、マイクロコントローラ302の作業用メモリーとして、ランダムアクセスメモリー(RAM)、例えば、静的RAM又は動的RAMなどであり得る。非揮発性メモリーは読み出し専用(ROM)、FLASHメモリー、又はEEPROM324のような電気的に消去できるプログラム化できる読み出し専用(EEPROM)であり得る。そのようなEEPROMはAtmel社のAT25640を含み得る。EEPROMはシステムパラメータ及び履歴データを保存するために使用され得る。このメモリーデバイス324はシリアルペリフェラルインターフェースバスを用いてプロセッサ302と通信する。
【0170】
制御ユニット300は第一及び第二の光学読み取り機326、328を更に含む。そのような光学読み取り機はAvago社のADNS3550を含み得る。これらの光学読み取り機326、328は薬物送達デバイス10に対してオプションであり得て、そして上述のように、第一又は第二のカートリッジ保持器50、52のどちらかの内にカートリッジが挿入されるとき、そのようなカートリッジから情報を読み取るために使用され得る。好ましくは、第一の光学読み取り機は第一のカートリッジ専用であり、そして第二の光学読み取り機は第二のカートリッジ専用である。光学コンピュータマウスにおける使用のために設計されたICは、機械的機構を用いて薬物カートリッジ上に位置付けられた薬物カートリッジ上の静的2Dバーコードを照らすために、そしてそれが含むデータを読むために使用され得る。このICはシリアルペリフェラルインターフェースバスを用いてマイクロコントローラ302と通信し得る。そのような回路は、例えば、データが読まれていないときにカートリッジ照明を消すことによって、例えば、回路が必要とされないときに電力消費を減少するために、マイクロコントローラ302によって活性化されそして失活され得る。
【0171】
前に述べられた通り、サウンダ330も薬物送達デバイス10中に供され得る。そのようなサウンダはStar Micronicss社のMZT03Aを含み得る。提案されたサウンダは、聞くことができる信号を使用者に供するために使用され得る。サウンダ330はマイクロコントローラ302からのパルス幅変調(PWM)出力によって駆動され得る。代替構成において、サウンダは多声音(polyphonic tone)又はジングル(jingle)を演じ得て、そして保存された音声コマンドを演じ、そして使用者がデバイスから情報を操作しそして検索することを助けるよう促す。
【0172】
制御ユニット300は第一のモータドライバ332及び第二のモータドライバ334を更に含む。モータドライブ回路はFreescale MPC17C724を含み得て、そしてマイクロコントローラ302によって制御される。例えば、モータドライブがステッパモータドライブを含む場合、ドライブは汎用デジタル出力を用いて制御され得る。又は、モータドライブがブラシレスDCモータドライブを含む場合、ドライブはパルス幅変調(PWM)デジタル出力を用いて制御され得る。これらの信号は、モータ巻きを通して電流をスイッチするパワーステージ(power stage)を制御する。パワーステージは連続した電気的通信を要求する。これによって、例えば、デバイスの安全性が増し、誤った薬物送達の確率が減少する。
【0173】
パワーステージはステッパモータあたり二重のH−ブリッジ又はブラシレスDCモータドライブあたり三つのハーフブリッジから成り得る。これらは個別の半導体部品又はモノリシックICの何れかを用いて実行され得る。
【0174】
制御ユニット300は各々第一及び第二のモータ336、338を更に含む。以下にもっと詳細に説明される通り、第一のモータ336は第一のカートリッジ90中のストッパ94を動かすために使用され得る。同様に、第二のモータ338は第二のカートリッジ中のストッパ104を動かすために使用され得る。モータはステップモータ、ブラシレスDCモータ又は如何なる他のタイプの電気モータでもあり得る。モータのタイプによって、使用されるモータドライブ回路のタイプが決定され得る。デバイス用の電子機器は、例えば、モータ巻き及びスイッチに連結するための要求に応じた、潜在的に追加のより小さい可撓性のセクションと共に、一つの主要な剛直なプリント回路基板アセンブリを与えられ得る。
【0175】
PCBA350上に供されるマクロプロセッサーは、多くの特長を供するように、そして多くの計算を実行するようにプログラム化されるであろう。例えば、そしておそらく最も重要なこととして、マクロプロセッサーは、少なくとも部分的に一次的な薬剤の選択された用量に基づいて、少なくとも二次的な薬剤の用量を計算すべく、或る治療用量プロファイルを使用するためのアルゴリズムを用いてプログラム化されるであろう。
【0176】
そのような計算のために、制御器は、投与すべき第二の薬剤の量の計算において、他の変数又は投与特性も解析し得る。例えば、他の考慮すべき項目には少なくとも一つ又はそれ以上の以下の特性又は因子が挙げられるであろう:
a、最後の用量以来の時間;
b、最後の用量のサイズ;
c、現在の用量のサイズ;
d、現在の血糖レベル;
e、血糖履歴;
f、最大及び/又は最小の許容用量サイズ;
g、時刻;
h、患者の健康状態;
i、実行された運動;及び
j、食物摂取。
【0177】
これらのパラメータは、第一及び第二の両方の用量サイズを計算するためにも使用され得る。
【0178】
一つの配置において、そして以下にもっと詳細に記述されるであろう如く、複数の異なる治療用量プロファイルが、マイクロプロセッサに操作可能に連結された一つ又は複数のメモリーデバイス中に保存され得る。一つの代替配置において、マイクロプロセッサに操作可能に連結されたメモリーデバイス中に単一の治療用量プロファイルのみが保存される。
【0179】
現在提案された電子機械的な薬物送達デバイスは、手先が不器用又は計算が困難である患者に対して特に有益なものである。そのようなプログラム可能なデバイスを用いると、単一入力及びそれに伴って保存された事前に定義された治療プロファイルによって、使用者又は患者がデバイスを使用する度に彼らに処方された用量を計算する必要が除かれる。また、単一入力によって、組み合わされた化合物のより容易な設定及び投与が可能になる。
【0180】
第二の薬剤の用量を計算することに加えて、マイクロプロセッサは、多くの他のデバイス制御操作を達成するためにプログラム化され得る。例えば、マイクロプロセッサは、デバイスが使用されていないとき、電気エネルギを節約するためにデバイスをモニターし、そしてシステムの種々のエレメントを停止するようにプログラム化され得る。また、制御器は、電池306中に残留している電気エネルギの量をモニターするようにプログラム化され得る。一つの好ましい配置において、電池中に残留している充電量はデジタル表示部80上に指示され得て、そして残っている電池充電量が所定の閾値レベルに達するとき、使用者に警告を発し得る。また、デバイスは、電池306中で次の用量を送達するのに十分な電力が利用できるか否かを決定するための機構を含み得て、又はそれはその用量が投与されることを自動的に防ぐであろう。例えば、そのようなモニター回路は、完了されそうな用量の可能性を予測するために異なる負荷条件下で電池電圧をチェックし得る。好ましい構成において、電池の充電量を定め又は推定するために、活性化された(但し動いてはいない)状態及び活性化されていない状態にあるモータが使用され得る。
【0181】
好ましくは、薬物送達デバイス10はデータリンクを介して(つまり、無線で又はハードワイヤードでの何れかで)、デスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータのような種々の計算デバイスと通信するように構成される。例えば、デバイスはPC又は他のデバイスと通信するためのユニバーサルシリアルバス(USB)を含み得る。そのようなデータリンクは多くの有利な点を供し得る。例えば、そのようなデータリンクは、或る用量履歴情報が使用者によって質問されることを可能にするために使用され得る。そのようなデータリンクは、最大及び最小の用量、或る治療プロファイルなどのような或るキーとなる用量設定パラメータを修正するために医療専門家によっても使用され得るであろう。デバイスは無線データリンク、例えば、IRDAデータリンク又はBluetoothデータリンクも含み得る。好ましいBluetoothモジュールはCambridge Silicon Radio(CSR)社のBlue core6を含む。
【0182】
例示的実施態様において、デバイスはUSB On−The−Go(USB OTG)能力を有する。USB OTGによって、薬物送達デバイス10がUSBホスト(例えば、デスクトップコンピュータ又はノートブックコンピュータ)に対して従属していて、そして別の従属デバイス(例えば、BGM)と対になるとき、それら自身がホストになる役割を一般的に果たすことが可能になり得る。
【0183】
例えば、標準USBはマスタ/スレーブ構造を使用する。USBホスト(Host)はプロトコルマスタとして動作し、そしてUSB「デバイス」はそのスレーブとして動作する。ホストのみがリンクを通じて構成及びデータ転送をスケジュールできる。デバイスはデータ転送を開始できず、それらはホストによって与えられた要求に応じるのみである。薬物送達デバイス10においてOTGを使用することによって、薬物送達デバイスがマスタとスレーブの役割の間をスイッチできるという概念が導入される。USB OTGを用いると、デバイス10は或る時には(リンクマスタとして動作する)「ホスト」であり、そして別の時には(リンクスレーブとして動作する)「周辺機器」であり得る。
【0184】
図22は、ドライブトレイン500の一つの好ましい配置を含む、図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイス10の種々の内部部品を図示する。図示された通り、図22は、デジタル表示部80、(図21において図示されたPCB350のような)プリント回路基板アセンブリ(PCBA)520、並びに電源又は電池510を図示する。PCBA520は、電池又は電源510をドライブトレインの下方に位置付けて、デジタル表示部80とドライブトレイン500の間に位置付けられ得る。電池又は電源510は、デジタル表示部80、PCBA520及びドライブトレイン500に電力を供するために、電子的に接続される。図示された通り、第一及び第二のカートリッジ90、100の両者は消費された状態で示される。つまり、第一及び第二のカートリッジは、最も遠位位置でストッパを有する空の状態で図示される。例えば、(本来、第一薬剤92を含有する)第一のカートリッジ90は遠位位置においてそのストッパ94を有するものとして図示される。(通常、第二の薬剤102を含有する)第二のカートリッジ100のストッパ104は類似位置において図示される。
【0185】
図22を参照すれば、交換可能な一つ又は複数の電池のような電源510に対して適切な場所を画成している第一の領域が供されることが見られ得る。電源510は再充電可能な電源を含みそして再充電され得て、一方、電源510はデバイス中に残る。又は、電源510は薬物送達デバイス10から除かれ得てそして外部で、例えば、遠隔電池充電器を介して再充電され得る。この電源は、リチウムイオン又はリチウム−ポリマー電源を含み得る。この好ましい配置において、電池510は一般的に平らでそして矩形の形の電源を含む。
【0186】
図23は、図22において図示された電子機械的システムの第一の配置を図示する。図23において図示された通り、電子機械システム500は一次的な薬剤92を含有する第一のカートリッジ90及び二次的な薬剤102を含有する第二のカートリッジ100から用量を排出するように働く。再び、図23において図示された通り、第一及び第二のカートリッジ90、100は、最も遠位位置でストッパを有する空の状態で図示される。
【0187】
この好ましい電子機械システム500において、本システムは、各カートリッジ90、100に対して独立の機械的ドライバを含む。つまり、独立した機械的ドライバ502は第一のカートリッジ90から用量を排出するように働き、そして独立した機械的ドライバ506は第二のカートリッジ100から用量を排出するように働く。三つの異なる薬剤上で作用する代替電子機械システム500において、三つの独立した機械的ドライバが供され得るであろう。独立した機械的ドライバは、制御ユニット300のモータドライバ332、334の制御下で作用する(例えば、図20を参照)。
【0188】
第一の独立した機械的ドライバ502は第一のカートリッジ90から用量を排出するために働く。この第一のドライバ502は、第一の歯車配置540に操作可能に連結される第一のモータ530を含む。このモータ530を動かすために、コネクタ532がモータドライバ332と電気的に接続する手段として供される。この第一の歯車配置540は第一の伸縮自在ピストンロッド514の近位部分に機械的にリンクされる。第一の伸縮自在ピストンロッド514は第一のカートリッジ90のストッパ94上で作用する遠位端521を有する完全に伸ばされた位置において図示される。
【0189】
この歯車配置540が第一のモータ530の出力軸によって駆動されるので、この配置540はピストンロッド514の近位部分518を回転する。ピストンロッド514の近位部分518が回転されるので、ピストンロッド514の第二又は遠位の部分519は遠位方向に駆動される。
【0190】
好ましくは、伸縮自在ピストンロッド514の近位部分518は雄ねじ517を含む。このねじ517は、遠位部分519の近位端で、短いねじセクションを含む統合されたナットを有する遠位部分519を係合する。この遠位部分519はキー溝中で作用するキーを介して回転することから防がれる。そのようなキー溝は第一の伸縮自在514の中間を通過し得る。従って、第一のギアボックス配置540によって近位セクション518の回転がもたらされるとき、近位部分518の回転は遠位端521上に作用し、それによって、縦軸に沿って伸ばされるように伸縮自在ピストンロッドの遠位部分が駆動される。
【0191】
この遠位方向に動くことによって、ピストンロッド514の第二の部分519の遠位端521は第一のカートリッジ90内に含まれたストッパ94上に力をかける。
【0192】
ストッパ上に力をかけているピストンロッド514の遠位端521を用いて、前に上で論じられた通り、使用者に選択された第一の薬剤92の用量が、カートリッジ90から外に、そして取り付けられた投与インターフェース200内に、そしてその結果、取り付けられたニードルアセンブリ400から外に強制的に押し出される。
【0193】
制御器によって、第二の薬剤102の用量が要求されていることが最初に決定され、そしてこの用量の量が決定されるとき、第二の独立したドライバ506を用いて同様の注射操作が起こる。前に述べた通り、或る状況において、制御器によって、第二の薬剤102の用量が要求され得ないこと、従ってこの第二の用量が「0」用量に「設定」されるであろうことが決定され得る。
【0194】
好ましくは、モータ530、536は電子的通信に適するモータを含む。最も好ましくは、そのようなモータはステップモータ又はブラシレスDCモータのどちらかを含み得る。
【0195】
一次的な及び二次的な薬剤92、102の用量を注射するために、使用者は、デジタル表示部80上のヒトインターフェース部品を介して一次的な薬剤の用量を最初に選択するであろう(例えば、図1及び4を参照)。薬物の用量が一次的な薬剤92から選択された後、マイクロコントローラは、第二の薬剤カートリッジから第二の薬剤102の用量サイズを決定するために前に保存されたアルゴリズムを利用するであろう。この事前に定義されたアルゴリズムは、事前に選択された治療プロファイルに基づいて、少なくとも部分的に第二の薬剤102の用量を決定するのに役立ち得る。一つの配置において、これらの治療プロファイルは使用者が選択できる。又は、これらの治療プロファイルは医師又は患者の介護者のようなパスワードの使用を認められた人によってのみ保護されそして選択できるパスワードであり得る。更に別の配置において、治療プロファイルは薬物送達デバイス10のメーカー又は供給者によってのみ設定され得る。そのように、薬物送達デバイス10には一つのプロファイルのみが備えられ得る。
【0196】
第一及び第二の薬剤の用量サイズが確立されたとき、使用者は注射ボタン74を押すことができる(例えば、図4を参照)。このボタン74を押すことによって、モータドライバ332、334は上述の注射プロセスは開始するために第一及び第二のモータ530、536の両者を動かす。
【0197】
ピストンロッド514、516は、好ましくは、(図22及び23において示される通り)(示されていない)第一の完全に引かれた位置と第二の完全に伸ばされた部分の間を動き得る。引かれた位置におけるピストンロッド514、516を用いて、使用者は各カートリッジ保持器を開き、そして空のカートリッジを除くことが可能になるであろう。一つの好ましい配置において、端部停止スイッチは、ピストンロッド514、516の何れか又は両方が何時完全に引き出された位置にあるかを検出するように、薬物送達デバイス10の本体14中に供され得る。端部停止スイッチのトリップ動作(tripping)によって、何れかのカートリッジ90、100の交換のために主本体にアクセスが可能になるように、捕捉デバイス又は他の固定デバイスが開放され得る。
【0198】
一つの好ましい配置において、第一及び第二のモータ530、536の両者は、使用者が選択した第一の薬剤92の用量を投与するように、そして続いて、計算された第二の薬剤102の用量を同時に投与するように、同時に働く。つまり、第一及び第二の独立した機械的ドライバ502、506の両者は各ピストンロッド514、516を同時に又は異なる時間に駆動することができる。このようにして、ここで前に論じた投与インターフェース200を参照すると、第一の薬剤92は第二の薬剤と本質的に同時に投与インターフェース200の保持チャンバ280に入る。そのような注射工程の一つの有利な点は、実際の用量投与前に、第一と第二の薬剤92、102の間で或る程度の混合が起こり得ることである。
【0199】
もし、注射後に、患者が、一つ又はそれ以上のカートリッジ90、100の一つ又はそれ以上が消費され、従って交換される必要があると決定するならば、患者はカートリッジ交換の以下の方法に従うことができる:
h、両端が相似した針を投与インターフェース200から取り除く;
i、投与インターフェース200をデバイス10のカートリッジホルダ40から取り除く;
j、デジタル表示部80上のメニュー選択肢によって第一のカートリッジ90及び/又は第二のカートリッジ100を変えることができるようにする;
k、第一及び/又は第二のピストンロッド514、516を巻き戻す;
l、第一及び/又は第二のカートリッジ保持器ドアがポンと開くであろう;
m、使用者が使用済みカートリッジを取り除き、そしてこの使用済みカートリッジを新しいカートリッジで交換する;
n、リザーバドアが手動で閉じられ得る;
o、一旦、ドアが閉じられると、各ロッドの最遠位部分が各リザーバのストッパと合うであろうように、そしてマイクロプロセッサに連結された栓検出機構が作動されるとき、前進を停止するであろうように、第一及び/又は第二のピストンロッド514、516を前進させる;
p、使用者はカートリッジホルダ40上で一方向に投与インターフェース200を交換する;
q、使用者は、所望ならば、新しい両端が相似した針を投与インターフェース200に連結できる;
r、使用者は、所望ならば、デバイス10を用いて試験注射又はプライミング工程に実行できる;及び
s、使用者は、次いで、引き続く用量投与工程のために次の用量を設定できる。
【0200】
第一及び/又は第二のピストンロッドの巻き戻し工程のような、一つ又はそれ以上の工程は、自動的に実行され得て、例えば、マイクロコントローラ302によって制御され得る。
【0201】
代替配置において、制御器は、他の薬剤より前に、第一の薬剤92又は第二の薬剤102の何れかが投与されるべく、第一及び第二の独立した機械的ドライバ502、506が操作され得るようにプログラム化され得る。その後、第二の薬剤又は一次的な薬剤が次いで投与され得る。一つの好ましい配置において、二次的な薬剤102は一次的な薬剤92の前に投与される。
【0202】
好ましくは、第一及び第二のモータ530、536は電子的通信を含む。そのような通信は、モータの暴走状態のリスクを最小化するのに役立つ。そのようなモータの暴走状態は、欠陥を有する(experiencing a fault)標準ブラシ付きモータを含むシステムを用いて起こる恐れがある。モータドライブシステムの一つの実施態様において、モニターシステムが供され得る。そのようなシステムは、ソフトエウエアの機能不全又は電子的ハードウエアの故障の場合に、何れかの又は両方のモータへの電力を取り除く能力を有する。電力が取り除かれるのを防ぐために、電子的ハードウエア及び/又はマイクロコントローラのソフトウエアの多くのセクションから正しい入力が供される必要があろう。もし、これらの入力パラメータの一つが正しくないならば、電力がモータから取り除かれ得る。
【0203】
また、好ましくは両方のモータ530、536の両者は逆方向に操作され得る。この機構は、ピストンロッド514、516が第一と第二の位置の間で動かされることが可能になるように要求され得る。
【0204】
好ましくは、図23において図示された第一の独立した機械的ドライバ502は第一の運動検出システム522を含む。図24Aは、図23において図示された第一のモータ530の斜視図を図示する。図24Bは、デジタル符号器534に関連して図24Aにおいて図示された第一のモータ530を含む好まれる運動検出システム522を図示する。
【0205】
図24A及び24Bにおいて図示された通り、そのような運動検出システム522は、それが操作的及び位置的なフィードバックを第一の独立したドライバ502から薬物送達デバイス10の制御ユニットに供するために利用され得る故に、有益であり得る。例えば、第一の独立したドライバ502に対して、好まれる運動検出システム522が、第一のモータピニオン524の使用を通して達成され得る。この第一のピニオン524は第一のモータ530の出力軸531に機能的に連結される。第一のピニオン524は第一の歯車配置540の第一の歯車を駆動する回転している歯車部分526を含む(例えば、図23を参照)。第一のモータピニオン524は複数のフラグ528a〜bも含む。この第一の運動検出システム配置522において、第一のピニオン524は第一のフラグ528a及び第二のフラグ528bを含む。これら二つのフラグ528a、bは、モータが駆動されるとき、モータ出力軸531、ひいては連結された第一のピニオン524が回転するので、それらが第一の光学符号器534を通過するように、モータピニオン524上に位置付けられる。
【0206】
好ましくは、第一及び第二のフラグ528a、bが第一の光学符号器534を通過するとき、符号器534は或る電気的パルスをマイクロコントローラに送ることができる。好ましくは、光学符号器534はモータ出力軸の回転あたり二つの電気的パルスをマイクロコントローラに送る。そのように、マイクロコントローラは従ってモータ出力軸の回転をモニターできる。これはドライブトレインの詰まり(jamming)、投与インターフェース若しくはニードルアセンブリの正しくない取り付け、又は遮断された針がある場合のように、用量投与工程中に起こる恐れがある位置エラー又は事例を検出するために有利であり得る。
【0207】
好ましくは、第一のピニオン524はプラスチックの射出成形されたピニオンを含む。そのようなプラスチックの射出成形された部品は出力モータ軸531に取り付けられ得る。光学符号器534はギアボックスハウジングに置かれそして取り付けられ得る。そのようなハウジングは第一の歯車配置540並びに光学符号器534の両方を含有し得る。符号器534は、好ましくは、潜在的にはPCBの可撓性部分を介して制御ユニットと電気的に通信状態にある。好ましい配置において、図22及び23において図示された第二の独立したドライブトレイン506は、第一のドライブトレイン502の第一の運動検出システム522と同様に働く第二の運動検出システム544を含む。
【0208】
図25は、図1A及び1Bにおいて図示された薬物送達デバイス10の種々の内部部品を図示する。図示された通り、図25は、デジタル表示部80、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)620、並びに電源又は電池610を図示する。PCBA620は、電池又は電源610をこのドライブトレインの下方に位置付けて、デジタル表示部80とドライブトレイン600の間に位置付けられ得る。電池又は電源610は、デジタル表示部80、PCBA620及びドライブトレイン600に電力を供するために、電子的に接続される。この代替ドライブトレイン配置600のデジタル表示部80及びPCBA620は、前に述べられたものと同様に働く。
【0209】
図示された通り、第一及び第二のカートリッジ90、100の両者は消費された状態で示される。つまり、第一及び第二のカートリッジは、最遠位位置でストッパを有する空の状態で説明される。例えば、(通常、第一の薬剤92を含有する)第一のカートリッジ90は、端部又は最遠位位置でそのストッパ94を有するものとして図示される。(通常、第二の薬剤を含有する)第二のカートリッジ100は、同様の端部位置において図示される。
【0210】
図26は、デジタル表示部80及びPCBA620の両方が省略された、図25において図示された電子機械システムを図示する。図示された通り、この代替電子機械システム600は、一次的な薬剤92を含有する第一のカートリッジ90及び二次的な薬剤102を含有する第二のカートリッジ100から用量を排出するために働く。この好ましい電子機械システム600において、本システムは、第一のカートリッジ及び第二のカートリッジの両者のために独立した機械的ドライバを含む。つまり、独立した機械的ドライバ602は第一のカートリッジ90から用量を排出するように働き、そして独立した機械的ドライバ606は第二のカートリッジ100から用量を排出するように働く。もし、この好ましい電子機械システム600が三つの別々のカートリッジ内に含有された三つの異なる薬剤上で働くように再構成されるならば、組み合された用量を投与するように三つの独立した機械的ドライバが供され得るであろう。独立した機械的ドライバは制御ユニット300のモータドライバ332、334の制御化で作用する(例えば、図20を参照)。
【0211】
第一の独立した機械的ドライバ602は、第一のカートリッジ90から用量を排出するために、そして上記図22〜23において図示されたドライブトレイン500を参照して記載された独立したドライバ502、506と同様に働く。つまり、この第一の独立した機械的ドライバ602は、第一の歯車配置640に操作可能に連結される第一のモータ630を含む。モータ630を作動するために、コネクタ632がモータドライバ332に電気的に接続する手段として供される。この第一の歯車配置640は伸縮自在ピストンロッド614の近位部分に機械的にリンクされる。この歯車配置640が第一のモータ632の出力軸によって駆動されるので、この配置640によって伸縮自在ピストンロッド614の近位部分618が回転される。ピストンロッド614の近位部分618が回転されるので、ピストンロッド614の第二の又は遠位部分622が遠位方向に駆動される。この遠位方向への動きによって、ピストンロッド614の第二の部分622の遠位端623が第一のカートリッジ90内に含有されたストッパ94上に力をかける。ストッパ94上に力をかけているピストンロッド614の遠位端623を用いて、前に論じられた通り、使用者によって選択された第一の薬剤92の用量の量がカートリッジ90から、取り付けられた投与インターフェース200内にそしてその結果、取り付けられたニードルアセンブリ400から強制的に出される。
【0212】
好ましくは、第一の独立した機械的ドライバ602は栓又はストッパの検出システムを含む。そのような検出システムは、カートリッジ交換事例に続いてカートリッジストッパ94の位置を検出するために使用され得る。例えば、カートリッジ交換事例が起きるとき、ピストンロッドは、使用者がカートリッジ保持器を開いて、そしてそうすることによって消費済みのカートリッジにアクセスできるように、近位位置中に後退させられる。カートリッジが交換され、そしてカートリッジ保持器ドアが閉じられるとき、ピストンロッドは新しいカートリッジのストッパに向かって遠位方向に前進するであろう。
【0213】
一つの好ましいストッパ検知システムにおいて、ピストンロッドの遠位端にスイッチが供される。そのようなスイッチは、機械的、光学的、容量的又は誘導的タイプのスイッチを含み得る。そのようなスイッチはマイクロコントローラと通信しているであろうし、そしてピストンロッドがストッパに何時接触するかを指示し、従って、駆動システムを停止する機構として使用され得る。
【0214】
第二の独立した機械的ドライバ606は第一の独立したドライバ602とは異なる方法で第二のカートリッジ100から用量を排出するために働く。つまり、この第二の機械的ドライバ606は第二の歯車配置646に操作可能に連結される第二のモータ636を含む。このモータ636を動かすために、モータドライバ334と電気的に接続する手段としてコネクタ638が供される。
【0215】
この独立した機械的ドライバ606は以下を含む:
a、モータ636;
b、第二の歯車配置646;及び
c、伸縮自在ピストンロッド616。
【0216】
第二の歯車配置646は入れ子構造になったピストンロッド660の近位部分に機械的にリンクされる。この歯車配置646が第二のモータ636の出力軸によって駆動されるので、この配置646は伸縮自在ピストンロッド616の近位部分660を回転させる。
【0217】
第二の歯車配置646はモータピニオン、並びに複数の複合歯車(本明細書では、4つの複合歯車)、並びに伸縮自在入力ピストンロッドを含む。カートリッジから用量を排出するように、カートリッジストッパ104上に軸方向の圧力をかけるために、伸縮自在ピストンロッドが遠位方向に伸びるので、複合歯車の二つは入力ピストンロッドと連続メッシュ係合を可能にするように伸ばされる。伸ばされた歯車は、移送軸と称され得る。ギアボックス配置は、好ましくは、124:1の比を有する。つまり、伸縮自在入力ねじの各回転に対して、第二のモータの出力軸は124回、回転する。図示された第二の歯車配置646において、この歯車配置646は5段階を介して生み出される。当業者が認識する通り、代替歯車配置も使用され得る。
【0218】
第二の歯車配置646は三つの複合(compound)減速歯車652、654及び656を含む。これら三つの複合減速歯車は二つの平行なステンレス鋼のピン上に取り付けられ得る。残りの段は成形されたプラスチックベアリング機能上に取り付けられ得る。モータピニオン643は第二のモータ636の出力軸上に備え付けられ、そして、この軸637上に、好ましくは、締りばめ(interference fit)又は摩擦ばめ(friction fit)連結を介して保持される。
【0219】
上述の通り、モータピニオン643には、運動検出光学センサを妨害する二つの取り付けられた「フラグ(flag)」機構が備えられ得る。フラグはピニオンの円筒状軸の周りに対称的に間隔をおいて配置される。
【0220】
ドライブトレイン伸縮自在ピストンロッド616は図27において図示され、そして入力ねじ680に操作可能に連結される伸縮自在プランジャ644を含む。図28は、ラッチバレル(latch barrel)に連結された伸縮自在ピストンロッド616の斜視図を図示する。図29は、伸ばされた位置にあるピストンロッド616を有する独立した機械的ドライバの断面図を図示する。
【0221】
図示された通り、外部エレメント(伸縮自在ピストンロッドプランジャ644及び伸縮自在)は伸縮自在ピストンロッド616を生み出し、そして生み出される圧縮軸力に反発する。内部エレメント(伸縮自在ピストンロッドキイ647)は回転入力に反抗する手段を供する。これは、変化するレベルの力を生み出すために駆動スリーブ直径において変化が全くないであろう故に、連続した動き及び力を用いて働く。
【0222】
移動軸670は歯車配置646に操作可能にリンクされる。移動軸670は回転できるが、それは軸方向には動くことができない。移動軸670は第二の歯車配置646とインターフェースで接続し、そして第二のギアボックス配置646によって発生したトルクを伸縮自在ピストンロッド616に移す。
【0223】
特に、移動軸670が歯車配置646を介して回転されるとき、移動軸670は入力ねじ680の近位端上の統合された歯車部分681上に作用するであろう。そのように、移動軸670の回転によって、入力ねじ680がその軸の周りに回転することになる。
【0224】
入力ねじ680の近位部分はねじ付きセクション682を含み、そしてこのねじセクションはラッチバレル660のねじセクションと対になる。そのように、入力ねじ680が回転するとき、それはそれ自身をラッチバレル660の中に及び外に巻き又はねじ込む。その結果、入力ねじ680がラッチバレルの中に及び外に動くので、ねじ680は、移動軸及び歯車が対になったままで留まるように、移動軸670に沿って滑ることができる。
【0225】
伸縮自在プランジャ664にはねじ付きセクション645が備えられる。このねじ付きセクション645は入力ねじ680の遠位端における短いセクション内にねじ込まれる。プランジャ644が回転を制約されるので、それは入力ねじ680に沿ってそれ自身を巻き込みそして巻きだす。
【0226】
キー647はプランジャ644が回転することを防がれるように供される。このキー647はピストンロッド616の入力ねじ680に対して内部に供され得る。注射工程中に、このキー647はカートリッジ100のストッパ104に向かって軸方向に動くが、回転しない。キー647には、ラッチバレル660中の縦方向のスロット中を走行する近位半径方向の止め釘(peg)が備えられる。従って、キー647は回転できない。キーにはプランジャ644中のスロットに係合する遠位止め釘も備えられる。
【0227】
好ましくは、薬物送達デバイス10は、複数の異なる治療用量プロファイルを定義するために使用される複数のアルゴリズムを保存するよう、十分なメモリー保存能力を含むメモリーデバイスを含む。一つの好ましい配置において、使用者が一次的な薬剤の用量を設定した後、保存された治療プロファイルの一つに基づいて、二次的な薬剤及びおそらく第三の薬剤の用量を決定するか又は計算するように、薬物送達デバイスが事前にプログラム化されるであろう。一つの配置において、医療提供者又は医師は治療用量プロファイルを選択し、そしてこのプロファイルは使用者によって変更できず及び/又はパスワードで保護され得る。つまり、使用者、例えば医療提供者又は医師によって知られるパスワードによってのみ、代替プロファイルが選択できるであろう。又は、一つの薬物送達デバイス配置において、用量プロファイルは使用者が選択できる。本質的に、治療用量プロファイルの選択は、患者の個別化された目標療法に依存し得る。
【0228】
上述の通り、或る公知の複数の薬物化合物デバイスによって、個々の薬物化合物の独立した設定が可能になる。そのように、組合された用量を組合せて送達することは使用者によって決定される。これは患者が直面し得る全ての治療状況において理想的とは言えない。例えば、図30は、公知の二つの入力及び二つの化合物の組み合わせデバイス:つまり、使用者に第一の薬剤の第一の用量を物理的に設定すること、そして次いで第二の薬剤の第二の用量を物理的に設定することを要求するデバイスの潜在的な送達可能な療法700を図示する。そのような公知のデバイスにおいて、使用者は、化合物Aつまり第一の薬剤702の用量をx−軸に沿って(つまり、0単位と最高用量の間で)選択する恐れがある。同様に、使用者は次いで、第二の薬剤、化合物B704の用量をy−軸に沿って(つまり、0単位と最高用量の間で)選択する恐れがある。そのように、これらの公知のデバイスは、図30において示された領域706によって図示された通り、二つの化合物の組合せを潜在的に送達できるものの、使用者が、意図的に又はそうでないかのどちらかで、正しい、処方された治療プロファイルに従わないという固有のリスクがある。例えば、そのようなデバイスにおいて、使用者は要求される関係を知り、又は決定し又は計算することができ、次いで第一及び第二の化合物702、704両方の用量を独立して設定する必要がある。
【0229】
薬物化合物を組み合わせることに対する主な理由の一つは、一般に、患者に対してより多くの治療的有益性を確保するために、全ての製薬エレメントが要求されることである。また、最適な薬剤動態学的(「PK」)及び薬力学的(「PD」)応答を供するために、幾つかの化合物及び化合物の幾つかの組合せが、お互いの特定の関係において送達される必要がある。一つ、二つ又はそれ以上の(つまり、複数より多くの)薬剤の間のそのような複雑な関係は、単一の配合処方ルートを通して達成され得ず、そして全ての場合において使用者が正しく理解し、又は従うには潜在的にあまりも複雑になる恐れがある。
【0230】
本発明の例示的実施態様において、複数薬物化合物デバイスは、送達された用量プロファイルを所定の閾値内に制御するために、各独立した化合物に対する使用者の入力に依存し得る。例えば、図31A及び31Bは、理論的な二つの入力、二つの化合物の組合せデバイスの潜在的な送達可能な療法720を図的形態で図示する。領域710は達成し得る可能性のある組合せ用量の範囲を図示する。つまり、使用者は、一次的な薬剤つまり化合物A724の用量を、最小値730から最大値732までの如何なる値にも設定できる。同様に、使用者は、二次的な薬剤つまり化合物B726の用量を、最小値740から総体的な最大値744までの如何なる値にも、所定の閾値内で、例えば、下限712と上限714の間で別々にそして独立して設定できる。この領域710において、複数の「X」の表示は、そのようなデバイスの患者及び/又は使用者が設定しそして送達するために選択し得る特定の組合せ用量を説明している。本質的に、化合物A724及び化合物B726の組み合わされた用量はこの領域710内の如何なる値にも設定され得る。例示的実施態様において、使用者は、図31A及び31Bにおける領域710によって図示された事前に定義されたプロファイルのような、事前に定義されたプロファイルに沿ってのみ、組み合された用量を設定するよう限定される。例えば、もし、化合物Aの量が使用者によって最小値730であると選択されるならば、化合物Bは、化合物Aのこの最小値に対して定義された最小値740と最大値742の間で選択され得る。
【0231】
下限712及び上限713は、図31Aにおけるように曲線で表され得る。代替実施態様において、下限及び上限は、一つ又はそれ以上の線によって、段階的関数等によって表され得る。例えば、図31bの図において、上限714は斜めの線及び水平線によって表され、そして下限712は三工程の段階的関数によって表される。上限714及び下限712は、使用者が化合物A及び化合物Bの組合せ、例えば、「X」印によって表された組合せの一つを選択し得る領域710を画成する。
【0232】
更なる例示的実施態様において、上で詳細に述べられた、現在提案されているプログラム化できる電子機械的な薬物送達デバイスは、これらのそして他の関連する問題に対する革新的な解決法を提供するために単一入力のみを使用する。更なる実施態様において、提案されたプログラム化できる複数薬物化合物デバイスは単回投与インターフェースのみを使用する。ほんの一例として、そのようなデバイスは、種々の薬物の組合せに対して如何なる複数の事前に定義され、プログラム化された治療プロファイルをも送達する能力がある。又は、そのようなデバイスは、種々の薬物の組合せに対して一つの事前に定義され、プログラム化された治療プロファイルのみを送達する能力がある。
【0233】
レシオメトリック(ratio-metric)関係、又は種々の個々の薬物化合物(2、3、又はそれ以上)の間の関係を定義することにより、提案されたデバイスは患者及び/又は使用者が複数薬物化合物デバイスから最適な治療組合せ用量を受け取ることを確保するのに役立つ。これは、複数入力に伴う本来的なリスクなしで成就され得る。これは組合せ用量を投与するべくデバイスが使用される毎に、正しい用量組合せに到達するために、患者及び/又は使用者が薬剤の第一の用量を設定することを、そして次いで第二及び/又は第三の薬剤の正しい用量を決定すること又は計算すること、そして次いで独立して設定することをもはや要求されない故に、達成できる。
【0234】
ほんの一例として、図32は、プログラム化できる薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された治療プロファイル760の第一の配置を図示する。図30において、図30において図示された通り、現在公知のデバイスを介して選択され得る全ての可能性のある薬物組合せを示している領域706と比較して、第一の治療用量線は事前に定義された治療プロファイル760の例を表している。図32において図示されたこの事前に定義された治療プロファイル760から見られ得るように、使用者によって選択された(本明細書ではマスター薬物又は一次的薬物又は一次的な薬剤とも称される)化合物A764の全ての用量値に対して、薬物送達デバイス10は、この治療プロファイル760に沿って化合物B766の用量値を計算するために、前に保存された治療プロファイルに依存するであろう。
【0235】
そのように、使用者は、第一の薬物:薬物Aつまり一次的な薬剤の第一の用量を選択する必要があるだけであり、そして薬物送達デバイス10はこの事前に選択された用量プロファイル760に基づいて二次的な薬剤つまり薬物Bの用量を自動的に計算する。例えば、もし、使用者が「60単位」の化合物A764を含む用量を選択するならば、薬物送達デバイス10は選択された用量プロファイル760をそのメモリーデバイスから呼び戻し、そして次に、化合物B766に対して「30単位」の用量値を自動的に計算するすであろう。
【0236】
代替薬物送達デバイスの配置において、そして上でもっと詳細に論じられた通り、薬物送達デバイスはコーディングシステムを含み得る。もし、薬物送達デバイスが次いで、挿入されたカートリッジ内に含有される特別な薬剤を識別するように、コーディング手段が第一又は第二のカートリッジのどちらかの上に供され得るならば、コーディングシステムが供され得る。薬物送達デバイスが、カートリッジ及び/又は薬剤の識別を決定する方法又はプロセスを実行後、薬物送達デバイスは、次いで、一つ又は複数の治療プロファイルを潜在的に自動的に更新し得るであろう。もし、最適な薬剤関係を達成するように、更新された又は改訂された製薬哲学を反映することが要求されるならば、例えば、新しい又は改訂された/更新されたプロファイルが選択され得る。或いは、もし、医療提供者が患者の治療戦略を変えることを決心したならば、新しい又は改訂された/更新されたプロファイルが選択され得る。更新された又は改訂されたプロファイルは、例えば、カートリッジ中に含まれたメモリーから、外部デバイスから、インターネットなどから、有線又は無線の接続を通してデバイス内に装填され得る。更新された又は改訂されたプロファイルは、例えば、カートリッジの挿入の後に、又は、使用者の確認の後にのみ、例えば、表示部に示されたメッセージを確認するために使用者がデバイス上のボタンを押した後に、自動的に装填され得る。
【0237】
治療プロファイルの別の例として、提案された薬物送達デバイス10は、二つ又はそれ以上の別々の薬剤リザーバを含む薬物送達デバイス10から送達された用量に対する線形比プロファイルを計算するためにプログラム化され得る。
【0238】
例えば、そのようなプログラム化された治療プロファイルを用いて、用量の構成成分が固定線形比で患者に送達されるであろう。つまり、一つのエレメントの用量を増すことによって、別の構成成分の用量が同じ割合で増えるであろう。同様に、一つのエレメントの用量を減らすことによって、別の構成成分の用量が同じ割合で減るであろう。
【0239】
図32は、プログラム化され得る薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る、事前に定義された比の治療プロファイル760の一つの配置を図示する。図32において図示されたプロファイルにおいて、使用者は化合物A764の用量を選択するであろう。上で前に述べられた通り、使用者は、薬物送達デバイス10のオペレータインターフェース上に供されたボタンの一つをトグルで留めるか又は操ることによってこの第一の用量を選択することを要求され得るであろう。一旦、化合物A764のこの最初の用量が使用者によって選択され、そして次いで薬物送達デバイスによって設定されると、デバイス10の制御ユニットは、治療プロファイル760に基づいて、化合物B766の得られた用量を計算しそして次いで設定する。例えば、図32を参照すると、もし、使用者が60単位の化合物A764の用量を選択するならば、制御ユニットはこの特別な治療プロファイル760に対してアルゴリズムを呼び戻し、そして次いで、薬物Bつまり二次的な薬剤766の用量を計算するためにこのアルゴリズムを使用するであろう。このプロファイル760によって、制御ユニットは30単位の用量の薬物Bつまり二次的な薬剤を計算するであろう。代替実施態様において、プロファイルはメモリー中に参照表として保存される。薬物Aの全ての値に対して、薬物Bの対応する値が参照表中に保存される。更なる実施態様において、薬物Aの幾つかの値のみが、薬物Bの対応する値と共に参照表中に保存される。次いで、見つからない値が内挿によって、例えば、線形内挿によって計算される。
【0240】
従って、次いでデバイスが薬剤の組合せを投与するために使用されるとき、60単位の薬物A及び30単位の薬物Bを含むこの組合せられた用量が投与されるであろう。当業者が認識するように、二つの(またはそれ以上の)薬剤の比は、患者又は一次的若しくは二次的なリザーバ内に含有された薬剤の濃度を変えることを含む多くの方法による治療の必要性に従って適合され得る。
【0241】
ほんの一例として、薬物送達デバイス10は三つ又はそれ以上の薬剤を含み得る。例えば、デバイス10は、持続性インスリンを含有している第一のカートリッジ、即効性インスリンを含有している第二のカートリッジ、及びGLP−1を含有している第三のカートリッジを含有し得る。そのような配置において、図6及び9に戻って参照すると、薬物送達デバイス10のカートリッジホルダ40は(図6及び9において図示された二つの保持器50、52というよりむしろ)三つのカートリッジ保持器を有して再構成されるであろうし、そしてこれら三つのカートリッジ保持器は三つの化合物又は薬剤のカートリッジを収容するために使用されるであろう。
【0242】
ほんの一例として、図33は、提案された薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る事前に定義された固定レシオ治療プロファイル780の代替配置を図示する。図33は、三つの薬剤を含む薬物送達デバイスと共に使用され得る線形用量プロファイル780を図示する。例えば、このプロファイルにおいて、使用者は最初に60単位の一次的な薬剤、薬物A782の用量を選択するであろう。一旦、薬物A782のこの最初の用量が選択されたならば、デバイス10の制御ユニットは、この選択された治療プロファイル780に基づいて、薬物B(二次的な薬剤)の得られた用量並びに薬物C(三次的なの薬剤)の得られた用量を計算するであろう。薬剤の組み合された用量を投与するためにデバイス10が次いで使用されるとき、105単位の組合せ用量は、60単位の薬物A、計算された30単位の薬物B784、及び 計算された15単位の薬物B786の組合せ用量を含むであろう。そのような配置において、一次的な薬物、つまりマスター薬物782はインスリン又はインスリン類似体を含み得るであろうし、そして二次的な薬物784はGLP−1又はGLP−1類似体を含み得るであろうし、そして三次的な薬物786は局所麻酔剤又は抗炎症剤を含み得るであろう。
【0243】
同様に、図34は、図1において図示された薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る事前に定義された固定レシオ治療プロファイル800の代替配置を図示する。図34は、四つの異なる薬剤:薬物A802、薬物B804、薬物C806、及び薬物D808を含む薬物送達デバイスと共に使用さるための線形プロファイルを図示する。再び、この状況において、一旦、一次的な薬剤(つまり、薬物A)802のこの最初の用量が使用者によって選択されたならば、デバイス10の制御ユニットは、この線形プロファイル800に基づいて、薬物B804、薬物C806、及び薬物D808の得られた用量の量を計算するであろう。例えば、この図示された例示的プロファイルにおいて、使用者は、60単位の薬物Aつまり一次的な薬剤802を選択した。そのような選択された一次的な用量を用いて、デバイス10が次いで計算された組み合された用量を投与するために使用されるとき、129単位の組合せ用量は、60単位の薬物A802、30単位の薬物B804、24単位の薬物C806及び15単位の薬物D808を含むであろう。
【0244】
図32〜34において図示された種々のプロファイルの派生的(derivative)治療プロファイルは、固定レシオで送達されるべき化合物の組合せに対して供され得るが、マスター薬物成分(つまり、薬物A)に対する用量設定プロセスに対しては、別々の量で計算されるべき二次的な化合物又は薬剤の用量のみが可能である。これは、一つ又は複数の従属薬物化合物(例えば、薬物B、薬物Cなど)、つまり二次的な薬剤の用量も区別した量のみで計算されるであろうことを意味するであろう。
【0245】
例えば、図35は、薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る、とびとびの用量工程を有する事前に定義された固定レシオ治療プロファイル820の代替配置を図示する。例えば、このプロファイル820は薬物A824の量を変えるための薬物B828の5つの個別の用量工程を有する固定レシオプロファイルを含む。固定レシオプロファイルに従う一方、薬物A824は最大用量825と最小用量826の間で連続して変わり得るであろうし、一方、薬物B828の計算された用量は連続して変わり得ないであろう。例えば、もし、使用者がマスター薬剤、薬物A824の0又は20単位の何れかの用量を選択するとすれば、薬物送達デバイス10は薬物B828のゼロ「0」用量を決定するであろう。同様に、もし、使用者が薬物A824の20〜40単位のどこかの用量を選択するとすれば、薬物送達デバイス10は、10単位の薬物B828の用量を計算するであろう。従って、後者の場合、20単位の薬物A824の組合せ用量は10単位の薬物B828の最大用量をもたらすことになるであろう。
【0246】
図32〜34に関して論じられそして記載された、提案された線形比プロファイルは多くの有利な点を供する。例えば、これらの種々の、提案された線形比プロファイルは、二つ又はそれ以上の治療薬剤の組合せを含有する単一処方製品のプロファイルに類似しており、ここで処方の濃度は一定である。これは、そのような線形比プロファイル760、780及び800を用いてプログラム化された薬物送達デバイス10を用いて、個々のエレメントを単一処方内に一緒に処方することができない場面に対して、これが代替送達プラットホームを供するであろうこと意味する。これはそのような薬剤の混合が安定性、易感染性のパーフォーマンス、毒性問題及び/又はその他の関連したタイプの問題を引き起こし得る場合であり得る。
【0247】
また、提案された線形比の治療プロファイル(linear ratio therapy profile)760、780及び800は、分割投与要求に対して堅牢である。つまり、望まれた用量は、最終的に投与される各成分薬剤の合計量を妥協することなく複数のより少ない注射に潜在的に分割され得る。ほんの一例として、図32に戻ると、もし、患者が60単位の用量を30単位の用量、続いて二つの15単位の用量に分割することになっても、(送達された成分エレメンの各々の合計量に関して)正味の結果は同じになるであろう。そのような分割用量の要求は、計算された組み合された用量が大きな用量であり(例えば、注射された用量が1ミリリッタより多い場合)、単一注射部位へのそのような容量の送達が特別な患者にとって痛みを伴うか又はその吸収プロファイルに関して最適以下であるかもしれない、状況において有利になり得るであろう。
【0248】
また、認識的に、種々の化合物又は薬物の間の関係は、患者が理解するのに合理的に簡単なものである。更に、そのようなプロファイル760、780及び800を用いると、一旦、一次的な薬剤の初期用量が設定されたら、二次的な薬剤の値を自動的に計算するのは、デバイス10のマイクロコントローラである故に、患者及び/又は医療提供者は、彼ら自身がプロファイル計算を実行することを要求されない。図32〜34において示された線形プロファイル760、780及び800とは対照的に、図35〜50は、一次的な薬剤と少なくとも二次的な薬剤又は流体試薬の間の関係を示している非線形プロファイルを示す。
【0249】
図36は、薬物送達デバイス10の制御ユニット内へプログラム化され得るであろう、別の提案された治療プロファイル860を図示する。このプロファイル860は非線形比の用量プロファイルを含む。そのようなプログラム化されたプロファイルを用いて、固定された、非線形比で用量の構成成分が患者に送達されるであろう。つまり、一次的な薬剤の送達された用量のサイズと二次的な薬剤及びおそらく第三の薬剤のそれの間の関係は固定されるが、本質的に非線形である。そのようなプロファイルを用いると、一次的な薬剤と二次的な薬剤の間の関係は三次の、二次の、又は他の類似タイプの関係であろう。
【0250】
上述の通り、比メトリックプロファイルが事前に定義される様式における医薬品の組合せ(つまり、二つ又はそれ以上の個々の薬物製剤の組合せから成る単回用量)の送達によって、患者及び特別な状態の治療の両方に対して多くのベネフィットが提供される。一定の組合せにとって、理想的なプロファイルが、互いに定義された非線形比で送達すべき種々の個別の製剤用にあるかもしれない。このタイプの治療プロファイルは、限定するものではないが、標準の3mlのガラスカートリッジのような単一の薬物リザーバ内に一緒に処方された一つ又は複数の薬物の組合せからは達成できない。そのような状況において、ガラスカートリッジ内の種々の構成部分の濃度は一定(つまり、xmg/ml)であり、そして各用量に対して或る公知のデバイス上で患者が計算するのは特に困難であろう。そのような濃度を計算するか又は決定することは、表(又は類似の検索文書(lookup document)又は処方箋)上で正しい用量を検索することができる患者又は医療提供者に依存するであろうし、そしてこれは、そのような方法がよりエラーを起こしやすいであろう故に、より望ましくないものであり得る。
【0251】
図36〜39は、非線形用量プロファイルを利用した例示的なプロファイル860、880、900及び920を図示する。例えば、図36は、事前に定義された、低下する変化率を有する非線形固定レシオ治療プロファイル860の配置を図示する。つまり、薬物A864の量が増えるとき、例えば、薬物Aの量が0単位から約30単位に増え、そしその後迅速に先細りする故に、薬物B868の量はすばやく増える。そのように、図36は、プロファイル860が非線形である試料デュアル製剤を図示する。
【0252】
図37は、類似プロファイル880だが、三つの異なる薬剤:薬物A884、薬物B886、及び薬物C888の試料トリプル製剤組合せを表すプロファイルを図示する。ほんの一例として、このプロファイル880を用いて、もし、使用者が50単位の薬物A884の用量を設定すれば、デバイス10の制御ユニットによって、約37単位の薬物B886及び約26単位の薬物C888を含む、得られた組み合された用量が計算されるであろう。
【0253】
図示されたような構成薬物エレメントのそのような固定、非線形比を使用することによる幾つかの利点に、(限定するものではないが)そのようなプロファイルが、低下する変化率プロファイルを利用するという事実が挙げられる。図示された治療プロファイル860、880のこれらのタイプは、化合物Bつまり二次的な薬剤の用量を、化合物Aに対して初期に急速に増やすことが望ましい状況において適切であり得る。しかしながら、一旦、この増加速度を下げるために望ましい用量範囲に到達したら、例えば、もし、化合物Aの用量が2倍になるとしても、用量が次いでもっとさらに増えない。このタイプのプロファイルは、(個別で又は療法領域に亘って全体としての何れかで)患者が要求するであろう化合物Aの潜在的に広い範囲の用量がある場合、但し化合物Bに対する用量のもっと狭い療法的な有益性の範囲がある場合の治療適用において有益であろう。
【0254】
図36及び37において図示された用量プロファイル860、880は、低下する変化率を有する非線形固定レシオを供する。又は、提案された非線形固定レシオ用量プロファイルは増加する変化率を有するプロファイルを含み得る。例えば、デバイス10のような、二つの薬剤の薬物送達デバイス内でそのような非線形の増加する変化率を有する、一つのそのようなプロファイル900が図38において説明される。
【0255】
図39は、三つの薬剤の薬物送達デバイス内で、そのような増加する変化率を有する非線形固定レシオプロファイル920を図示する。このプロファイル920を用いると、薬物A924の使用者選択用量のサイズとして、薬物B926及び薬物C928の計算された用量における増分が増加する。
【0256】
図38及び39において図示された治療プロファイル90及び920は、低い用量の化合物A(例えば、0〜40単位の薬物A904)を受けている患者が、望みの薬物動態的治療反応に対して比較的低い用量の薬物B906のみを要求し得るという状況において有利であろう。しかしながら、薬物A904の用量サイズが増すとき、薬物B906の用量は、もっと大きな速度で同じ治療反応の増加を供する必要がある。
【0257】
又は、薬物送達デバイス10は、固定線形比、続いて固定用量プロファイルに基づいて、二次的な薬剤の用量を計算するためのアルゴリズムを用いてプログラム化され得る。ほんの一例として、そのような保存されたプロファイルは、初期において、一次的な薬剤つまり化合物Aの或る低い用量に対して固定レシオプロファイルに従動し得る。次いで、薬物Aの或る閾用量レベルを超えると、プロファイルは二次的な薬剤つまり化合物Bの固定用量に切り替わる。つまり、一次的な薬剤/化合物Aのより高い用量に対して、二次的な薬剤は本質的に固定用量を含むであろう。
【0258】
或る治療に対して、組合せ薬物製品の送達(つまり、二つ又はそれ以上の個々の薬物処方の組合せから成る単回用量)は、二次的な薬剤の用量を、一次的な薬剤に対して初期に急速に増やすことに対して有益であるであろう。ついで、一旦、一次的な薬剤の所定の閾値に到達したら、次いでプロファイルは平坦化するであろう。つまり、二次的な薬剤の計算された用量は、一次的な薬剤の設定用量の更なる増加に拘わらず一定に留まるであろう。そのような固定レシオ、それに続く固定用量−低い用量閾値治療プロファイルは、種々の構成部分の濃度が一定(xミリグラム/ミリリッタ)である、(限定するものではないが、標準の3ミリリッタのガラスカートリッジのような)単一の一次的なパック内に一緒に処方される組合せ薬物から達成され得ない。全ての用量に対して現在のデバイス上で計算する患者にとって、そのようなプロファイルの達成も特に困難であろう。
【0259】
図40〜42は、そのような固定レシオ、続いて固定用量−低用量閾値治療プロファイル940、950及び960の三つの説明的例を供する。例えば、図40は、薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイル940の配置を図示する。図示された通り、このプロファイル940は初期には、0〜10単位の一次的な薬剤、つまり化合物A944の選択された用量に対する固定レシオプロファイルに従う。次いで、一旦、薬物Aのこの10単位閾値用量レベルを超えたら、プロファイル940は二次的な薬剤つまり化合物B948の30単位の固定用量に切り替わる。そのように、一次的な薬剤/化合物A944の10単位より多い用量に対して、二次的な薬剤948は30単位に固定用量を含むであろう。
【0260】
図41は、高用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイル950の代替配置を図示する。図示された通り、このプロファイル950は初期には、0〜50単位の一次的な薬剤つまり化合物A952の選択された用量に対する固定レシオプロファイルに従う。次いで、薬物A952のこの50単位閾値用量レベルを超えたら、プロファイル950は二次的な薬剤つまり化合物B958の30単位の固定用量に切り替わる。そのように、一次的な薬剤/化合物A952の50単位より多い用量に対して、二次的な薬剤958は本質的に30単位に固定された用量を含むであろう。
【0261】
図42は、三つの化合物又は薬剤を含む薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、低用量閾値を有する、事前に定義された、固定レシオ−固定用量治療プロファイルの代替配置を図示する。図示された通り、このプロファイル960は初期には、0〜10単位の一次的な薬剤つまり化合物A944の選択された用量に対する、薬物B966及び薬物CB968の両方の固定レシオプロファイルに従う。次いで、薬物Aのこの10単位閾値用量レベルを超えたら、プロファイル960は二次的な薬剤つまり化合物B966の30単位の固定用量及び三次的な薬剤、化合物B968の10単位の固定用量に切り替わる。そのように、一次的な薬剤/化合物A944の10単位より多い用量に対して、二次的及び三次的な薬剤966、968は本質的に各々30単位及び10単位に固定された用量を含むであろう。
【0262】
第一の点まで固定レシオを送達し、そしてその後、組合せ薬物送達デバイスにおいて固定用量タイプのプロファイルを送達するプロファイル940、950及び960は多くの有利な点を供する。例えば、(初期の最初の使用、又は各用量の前の何れかに対して)薬物送達デバイスのプライミングが要求され得る場合、これらのタイプの事前に定義された固定レシオ−固定用量治療プロファイルは、潜在的に最小限の浪費で両方の化合物のプライミングを促進する。この点において、これらのプロファイルは、本明細書において以下の記述される固定用量プロファイル及び遅延固定用量プロファイルのような、他のプログラム化できる治療プロファイルに対して、或る有利な点を有する。これは、二次的な薬剤つまり化合物Bの浪費に関して本質的に真実であり得る。
【0263】
また、図40〜42において述べられそして図示された種々のプロファイルは、初期に、一次的な薬剤に対して二次的な薬剤の用量を急速に増やすことが望ましい場合の治療状況において適切であり得る。しかしながら、一旦、事前に設定された閾値が達成されたら、二次的な薬剤は、一次的な薬剤の用量における更なる増加に拘わらず一定に保持され得る。そのように、このタイプのプロファイルは、(両方の薬物化合物の)初期の調節段階が要求されるか又は患者にとって好ましいと思われるかの何れかで薬物送達デバイスにとって有益であるであろう。
【0264】
プロファイル940、950及び960が適切であろう特別な併用療法の例は、GLP−1又はGLP−1類似体(つまり、薬物Bつまり二次的な薬剤)のような有効試薬を組合せた、持続性インスリン又はインスリン類似体(つまり、薬物Aつまり一次的な薬剤)の組み合された送達に対するものである。この特別な併用治療において、患者集団に亘ってインスリン用量のサイズにおける合理的な変化があり、一方、GLP−1の治療用量は患者集団に亘って(調節フェーズ中を除いて)広義には一定と考えられ得る。
【0265】
薬物送達デバイス10と共に使用される別の好ましい用量プロファイルは、二次的な薬剤(つまり、化合物B)の固定用量及び一次的な薬剤(つまり、化合物A)の可変容量プロファイルを含む。そのような治療プロファイルを用いて、プロファイルは化合物Aの可能性のある用量の全範囲に亘る化合物Bの固定用量の送達を述べる。
【0266】
この固定用量−可変治療プロファイルは、化合物Aの全ての可能性のある用量に対して一定であるべき化合物Bの用量に対して有益であり得る。そのようなプロファイルを用いてプログラム化される制御ユニットを有することの一つの有利な点は、固定用量−可変用量治療プロファイルが、種々の構成部分の濃度は一定(つまり、xmg/ml)である、(限定するものではないが、標準の3mlのガラスカートリッジのような)単一の一次的なパック内に一緒に処方された組合せ薬物から達成され得ないことである。
【0267】
二つのそのような固定用量−可変用量プロファイルが図43〜44において説明される。図43は、化合物B986の固定用量及び化合物A982の可変用量に対する試料処方組合せを図示する。図43は、薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された、固定用量−可変用量治療プロファイル980の配置を図示する。より具体的に、図43は、化合物B986の固定用量及び化合物A982の可変用量に対する試料処方組合せを図示する。図示された通り、一次的な薬剤982の如何なる選択された用量に対しても、30単位の化合物B986の固定された用量が計算されるであろう。
【0268】
図44は、薬物送達デバイス内へプログラム化され得る、事前に定義された固定用量−可変用量治療プロファイル990の代替配置を図示する。図示された通り、プロファイル990は、化合物B994及び化合物C996の固定用量並びに薬物A992の可変容量の試料トリプル製剤組合せを供する。図示された通り、一次的な薬剤992の如何なる選択された用量に対しても、30単位の化合物B994の固定用量及び18単位の化合物C996の固定用量が薬物送達デバイス10によって計算されるであろう。
【0269】
そのような固定用量−可変用量プロファイル980及び990によって多くの有利な点が提供される。例えば、これらのタイプの送達プロファイルの有益性の一つは、他の化合物の選択された可変容量のサイズに拘わらず、患者が一つの薬物化合物の特定の用量を受け取ることを確保することが療法的に望ましい治療状況においてである。この特別なプロファイルは他の事前に定義されたプロファイル(例えば、上述の固定レシオ、次いで固定用量プロファイル、化合物Bの遅延固定用量、以下に述べる化合物Aの可変用量プロファイル、及び以下に述べる制御された閾値プロファイル)に対して特定の有利な点を有し、そして二次的な薬剤の完全な用量を確保するために要求される一次的な薬剤の所定の最小用量閾値がない。
【0270】
このタイプの固定用量―可変用量プロファイルが特に適切であろう特別な併用療法の例は、持続性インスリン(つまり、可変用量)とGLP−1(つまり、つまり、固定用量)の組み合された送達に対するものである。この特別な併用治療において、患者集団に亘ってインスリン用量のサイズにおける合理的な変化があり、一方、GLP−1の治療用量は患者集団に亘って(調節段階中を除いて)広義には一定と考えられ得る。この特別な治療体制に対して、治療の早期段階中に、GLP−1用量の調節が必要となり得る。これはGLP−1の一次的なパック内の薬物の異なる「強さ」を用いる(例えば、0.1ミリリッタ当たり10、15又は20グラムの濃度を用いる)組合せデバイスを用いて達成され得るであろう。
【0271】
或る治療に対して、一旦、一次的な薬剤、化合物Aの最小閾値用量が満たされ及び/又はそれを超えたら、二次的な薬剤化合物Bの用量が一定用量であることは有益であるであろう。再び、このタイプのようなファイルは、(限定するものではないが、標準の3mlのガラスカートリッジのような)単一のリザーバ又はカートリッジ内に一緒に処方された組合せ薬物から達成され得ない。そのような標準カートリッジにおいては、種々の構成部分の濃度は一定(xmg/ml)である。
【0272】
一つの配置において、薬物送達デバイス10は、二次的な薬剤化合物Bの遅延固定レシオ、及び一次的な薬剤化合物Aの可変用量を計算する治療プロファイルを用いてもプログラム化され得る。そのようなプロファイルは、化合物Bの固定用量の送達を供するが、化合物Aの最小閾値用量が満たされ及び/又はそれを超えた後にのみこの固定用量を供する。四つの事前に定義された遅延固定レシオ−可変用量治療プロファイル1000、1020、1040及び1060の説明的な例が図45〜48において説明される。
【0273】
例えば、図45は、低閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイル1000の配置を図示する。もっと具体的には、図45は、低い用量閾値1006を有する一次的な薬剤と共に、二次的な薬剤(つまり、化合物B)の遅延固定用量、及び一次的な薬剤(つまり、化合物A)の可変容量を有する試料の双対形式(dual formation)組合せを図示する。
【0274】
図45において図示された通り、プロファイル1000は、最小用量0単位から最大用量80単位までの薬物A1004の可変用量を定義する。この例示的プロファイル1000において、薬物A1004に対する下方閾値1006は10単位である。プロファイル100に基づいて、もし、使用者が薬物A1004の用量を0から10単位のどこかで選択するならば、制御ユニットは、「0」単位に等しい薬物B1008の用量を計算するであろう。最小又は10単位の閾値用量が薬物A1004に対して選択された後でのみ、「0」単位を超えた薬物B1008の用量が計算されるであろう。更に、薬物B1008のこの計算された用量は、この選択された用量が10単位より大きく留まる限り、薬物A1004の設定された選択された用量の量に拘わらず、30単位一定であるであろう。
【0275】
図46は、化合物A1024の高閾値を有する、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイル1020の配置を図示する。より具体的には、図46は、薬物B1028の遅延固定用量、及び薬物A1024の可変用量を有する二重処方組合せを定義するプロファイル1020を図示する。この説明的プロファイル1020において、薬物A1024に対する上方閾値1026は30単位である。薬物A1024のこの高い初期閾値1026は、プロファイル1020によって薬物B1028から用量が設定されることが可能になる前に要求される。この図示されたプロファイル1020において、30単位の薬物A1024に等しいこの高い閾値1026は、送達デバイス10が30単位の薬物B1028の用量を計算し始める前に超えられなければならない。
【0276】
図47は、薬物送達デバイス10が二つの化合物又は薬剤を含む、事前に定義された遅延固定用量−可変用量治療プロファイルの代替配置を図示する。より具体的には、図47は、薬物B1046及び化合物C1048の遅延固定用量、並びに薬物A1044の可変用量を有し、ここでこの薬物A1044が低い閾値を有する試料トリプル製剤組合せを定義するプロファイル1040を図示する。この図示されたプロファイル1040において、薬物A1044は10単位に等しい低い閾値1042を有する。つまり、一旦、使用者が薬物A1044の10単位の低い閾値1042に等しくするか又はそれを超えると、薬物送達デバイス10は17.5単位の薬物C1048の用量を計算し、そして30単位の薬物B1046の用量を計算するであろう。
【0277】
図48は、薬物B1066及び薬物C1068の遅延固定用量、並びに薬物A1064の可変用量を有する試料トリプル製剤組合せを定義するプロファイル1060を図示する。プロファイル1060において、一次的な薬剤、薬物Aは二つのオフセット閾値1062、1063を有する。つまり、一旦、使用者が、20単位の薬物A1064の低い閾値1062を超える用量を選択すると、薬物送達デバイス10は薬物B1066に対して30単位の用量を計算し、そして薬物C1068に対して「0」単位の用量を計算するであろう。
【0278】
同様に、もし、使用者が20単位と30単位の間の薬物A1064の用量を選択すれば、再び薬物送達デバイス10は薬物B1066に対して30単位の用量を計算し、そして薬物C1068に対して「0」単位の用量を計算するであろう。次いで、使用者が30単位より大きな薬物A1064の用量を選択し、そうすることによって第二の閾値1063を超えた後でのみ、薬物送達デバイス10は薬物C1068の用量を計算するであろう。この図示されたプロファイル1060において、薬物C1068のこの用量は19単位に等しい。二つのオフセット閾値のみがこのプロファイル1060において説明されているものの、当業者は代替の閾値配置も利用され得ると認識するであろう。
【0279】
図45〜48において図示された好ましいプロファイル1000、1020、1040及び1060によって多くの有利な点が提供される。例えば、これらの図示されたプロファイルは、薬物送達デバイス10を使用している患者が、彼らが選択した別の薬物化合物の用量に関連して、一つの薬物化合物の特定の計算された用量を受け取ることを確保することが療法的に望ましい場合の単一デバイスの解決策に対する根拠を供し得るであろう。しかしながら、患者は、一旦、(一次的な薬物つまり薬物Aの)最小用量閾値に達した又はそれを超えたときにのみ、第二の化合物のそのいような特定の計算された用量を受け取るであろう。そのように、これらの図示されたプロファイル1000、1020、1040及び1060によって、使用者の処方された療法が、それが二次的な薬剤(及びおそらく他の薬剤)と組み合せて取られるべき前に、一次的な薬剤が最小値まで合理的に迅速に調節される必要があるということを要求するコスト効果的な解決策が供され得るであろうし、従って少なくとも二つのデバイスの選択肢の方がより高くつき及び/又は浪費的になる。そのような二つのデバイスの選択肢は、薬物Aを含有するデバイスが、患者が組合せ製品に切り替える点で部分的にしか利用され得ないので、より高くつき及び/又は無だが多くなり得る。
【0280】
追加の有益性は、患者が彼らの薬物送達デバイスを用いてプライミング工程の実行を時々要求される状況に由来する。そのようなプライミング工程は、薬物送達デバイスの最初の使用の前、又はおそらく薬物送達デバイスによって用量が投与される各時間の前の何れかで要求され得る。ペン型の薬物送達デバイスの例において、プライミングを設定する原理的な理由の一つは、機構中の空隙/遊びを除くことであり、そうすることによって、送達された第一の用量が要求された用量の正確さの範囲内にあることを確保するのに役立つ。(或る当該技術及び/又は文献において時々「安全ショット」と称される)使用中のプライミングは幾つかのペン型薬物送達デバイスに対して推奨される。例えば、そのような安全ショットは、デバイス内の用量設定機構が適切に機能していることを確認するために推奨され得る。送達された用量が正確に制御されることを確認するため、そして取り付けられた用量ディスペンサ(例えば、両端が相似したニードルアセンブリ)がブロックされていないことを確保するためにもそのような安全ショットがしばしば推奨される。或る安全ショットは、使用者が、使用者による用量の設定そして従って投与の前に、用量ディスペンサから空気を取り除くことも可能にする。複数の一次的なパックデバイスに対して、このタイプのプロファイルは、一次的な薬剤のみを用いて、「使用中の安全」プライミングが実行されることを可能にするであろうし、そうすることによって二次的な薬剤の潜在的な浪費を最小化する。
【0281】
例えば、このタイプのプロファイルが特に適切である特別な併用療法は、初期段階の糖尿病に対する、持続性インスリン又はインスリン類似体、並びにGLP−1又はGLP−1類似体の組み合された送達に対するものである。例えば、患者集団に亘って、インスリン用量のサイズに合理的に大きな変化があり、一方、(一般に段階的インターバルで増加する調節段階中を除いて)GLP1用量は広く一定である。この特別なタイプの併用療法に対して、GLP1用量の調節は、治療の早期段階中に必要とされる。これは、GLP1カートリッジ又はリザーバ内の薬物の異なる「強さ」の使用(例えば、0.2ml当たり10、15又は20gの濃度の使用)を通して、組合せデバイスを用いて達成され得るであろう。図45〜48において図示された提案された送達プロファイルによって、使用者がGLP1を浪費することなしにのみ持続性インスリンの安全ショットを実行することが可能になるであろう。この例において、インスリン用量の正確さは、GLP1用量の正確さよりももっと重要であり、それが、インスリンのみを用いて安全ショットが実行されることが好まれる理由である。
【0282】
上述の通り、送達された用量のプロファイルが事前に定義される様式における組合せ薬物製品(つまり、二つ又はそれ以上の個々の薬物処方の組合せから成る単回用量)の送達によって、患者及び特別な状況の治療の両方に対して多くの重要な有益性が提供される。或る療法に対して、一次的な薬剤の対応する用量が増えるときに、二次的な薬剤の用量が固定された段階的増分で増えるが、これらの段階的増分の各々が、一旦、一次的な薬剤の特定の事前に定義された閾値用量が超えられたときにのみ生じることは有益であるであろう。一次的な薬剤のこれらの閾値の間の相対的「間隙」は規則的であり得るか又はあり得ない。再び、このタイプのそのようなプロファイルは、種々の構成部分の濃度が一定である(限定するものではないが、標準の3ミリリッタのガラスカートリッジのような)単一の一次的なパック内に一緒に処方される組合せ薬物から達成できない。二つの例示的プロファイル1080及び1100が、各々図49及び50において図示される。
【0283】
例えば、図49は、薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る、遅いランプアップを含む、事前に定義された、複数レベル固定用量−可変用量治療プロファイル1080の配置を図示する。具体的に、図49は、薬物B1088の複数レベル固定用量を有する、そして薬物A1084の可変用量及び遅いランプアップを有する試料デュアル製剤を図示する。
【0284】
この特別な送達プロファイルによって、一次的な薬剤の用量が増えるときに、二次的な薬剤の用量が(直線的というよりむしろ)段階的に増えることが療法的に望ましい場合の単一デバイスの解決策に対する根拠が供され得るであろう。これは処方された療法の特定の安全特性及び効能特性、又は(初期段階のタイプIIの糖尿病の治療に対する)GLP1タイプの薬物の注射の場合のような二次的な薬剤の調節が段階的である状況に関連するであろう。
【0285】
図50は、薬物送達デバイス10内へプログラム化され得る、事前に定義され
た、複数レベル固定用量−可変用量治療を定義するためのプロファイル1100の配置を図示する。図示された通り、この特別な事前に定義された複数レベル、固定用量−可変用量治療プロファイルは迅速なランプアップを含む。この好ましいプロファイル1100において、薬物B1108の複数レベル、固定用量及び薬物A1104の可変用量プロファイルが示される。この場合、プロファイル1100は、一旦、薬物Aの対応する閾値用量が超えられたら、薬物Bの段階的な固定用量が送達されることを述べている。
【0286】
図49及び50において図示されたプロファイルは、設定されたそして計算された組合せ用量の分割の点で或る潜在的な有益性を有する。前に論じられた有利な点に加えて、(ペンタイポの薬物送達デバイスのような)薬物送達デバイスの使用者が、自身の目標用量を二つのより少ない用量に時々分割し得ることが認識されている。これは患者が略空に近いデバイスから交換デバイスに移るとき、又は単一の事例としての「大きな」用量の送達に問題がある(痛くさえある)故に生じ得る。単一処方のデバイス、又は種々の構成エレメントが互いに固定レシオで送達される組合せデバイスに対して、用量をより少ない部分に分割することは、最終的に受け取られる用量に全く影響を与えない。しかしながら、患者が、前に述べられた通り、一次的な薬剤の選択された用量に拘わらず、一つの薬剤の固定用量を受け取る組合せデバイスに対して、用量を分割すると個々の薬剤の一つの過剰用量と言う結果になる恐れがある。しかしながら、このタイプの複数レベルプロファイルの注意深い利用によって、この特別な使用者のシナリオに対するかなりしっかりした解決策が供与され得る。
【0287】
ほんの一例として、一般的に50と80単位の間の薬物A(例えば、インスリン又はインスリン類似体)を取り、そして薬物B(例えば、GLP−1又はGLP−1類似体)のその目標用量が20単位である患者を考えてみよう。その患者が、図49において詳細に述べられた治療プロファイルを利用するデバイスを用いて処方されたと想定するならば次いで、もし、各用量が単一注射として投与されるならば、その目標処方が達成されるであろう。これは患者が、自らの目標用量を二つのより少ない用量に分割することを決心する場合ではないであろう。例示的実施態様において、デバイスによって、例えば、薬剤の一つのカートリッジが変えられたことを決定することにより、又は最後の注射から少ない時間、例えば、30分未満のみが経過したことを決定することにより、二つの連続する注射が単一の目標用量の分割注射であることが決定され得る。図49のプロファイルを参照すると、患者は薬物Aの50単位の用量を投与することを望み得る。デバイスによって薬物Bの10単位の用量が薬物Aの50単位の用量に対応することが決定されるであろう。しかしながら、最初の注射において、例えば、カートリッジが残っている25単位しか含有しないので、25単位の薬物Aが選択される。プロファイルに従い、デバイスによって、10単位の薬物Bが決定される。(例えばカートリッジの交換後)5分後に別の25単位の薬物Aが選択される。最後の注射からの時間が30分の閾値より少ないとき、25単位の新しい選択は、50単位の薬物Aの分割された用量の第二の用量であることがデバイスによって決定される。従って、薬物Aの50単位がプロファイル1080に従い薬物Bの10単位をもたらすので、そして10単位の薬物Bが分割用量の第一の注射において既に投与されたので、第二の注射に対する薬物Bの用量は0単位であることがデバイスによって決定される。
【0288】
電子機械的な用量設定機構は、目標とされる治療応答が、特定の目標患者グループに対して最適化され得る場合、特に有益である。これは少なくとも一つの治療用量プロファイルを制御し、定義し及び/又は最適化するようプログラム化される、マイクロプロセッサに基づく薬物送達デバイスによって達成され得る。複数の可能性のある容量プロファイルが、マイクロプロセッサに操作可能に連結されたメモリーデバイス中に保存され得る。例えば、そのような保存された治療用量プロファイルには、限定するものではないが、線形用量プロファイル;非線形用量プロファイル;固定レシオ−固定用量プロファイル;固定用量−可変容量プロファイル;遅延固定用量−可変容量プロファイル;又は複数レベル、固定用量可変容量プロファイル;が挙げられる。又は、一つの容量プロファイルのみが、マイクロプロセッサに操作可能に連結されたメモリーデバイス中に保存されるであろう。一つの二重薬剤の薬物送達デバイス配置において、第二の薬剤の用量は、上に識別されもののような第一の治療プロファイルを介して決定され得る。三つの薬剤を含む一つの薬物送達デバイスにおいて、第二の薬剤の用量は第一の治療プロファイルを介して決定され得て、一方、第三の薬剤の用量は同じ第一の治療プロファイル又は第二の異なる治療プロファイルの何れかによって決定され得る。当業者が認識するであろうように、代替治療プロファイル配置も使用され得る。
【0289】
本発明の例示的実施態様が述べられてきた。しかしながら、請求の範囲によって定義される本発明の真の精神と範囲から逸脱することなく、これらの実施態様に対して変更及び修正がなされ得ることを、当業者は理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次的な薬剤の用量に関する情報を受け取るように構成された制御ユニット(300)を含んでなる、デバイス(10)であって:
該制御ユニット(300)が更に、少なくとも部分的に、該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに基づいて、流体剤の用量の少なくとも一つの値を決定するように構成され、
治療用量プロファイルが、一次的な薬剤及び流体剤の非線形プロファイル(820、860、880、900、920)である、上記デバイス。
【請求項2】
制御ユニット(300)が、治療用量プロファイルを記憶するように構成されたマイクロコントラーラ(302)及びメモリー(304)を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
流体剤が二次的な薬剤である、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御ユニット(300)と通信可能なオペレータインターフェース(60)を更に含んでなる、請求項1〜3の何れかに記載のデバイスであって、ここで一次的な薬剤の用量に関する前記情報が、該オペレータインターフェース(60)から制御ユニット(300)に受信される、上記デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のデバイスであって、制御ユニットが流体剤の用量の一つの値を決定するように構成される、上記デバイス。
【請求項6】
流体剤の用量の少なくとも一つの値が、一定の範囲の値である、請求項1〜4の何れかに記載のデバイス。
【請求項7】
オペレータインターフェース(60)が、表示部(80)上に流体剤の用量の値の範囲を表示するように構成され、そして制御ユニット(300)が、使用者が流体剤の用量の範囲内でオペレータインターフェース(60)から選択した用量値を受け取るように構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御ユニット(300)が更に、少なくとも部分的に、前記一次的な薬剤の前記用量及び前記治療用量プロファイルに基づいて、別の流体剤の用量の少なくとも一つの値を決定するように構成される、請求項1〜7の何れかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記一次的な薬剤が、インスリン及びインスリン類似体の少なくとも一つを含む、請求項1〜8の何れかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記流体剤が、GLP−1及びGLP−1類似体の少なくとも一つを含む、請求項1〜9の何れかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御ユニット(300)に操作可能に連結された電気機械駆動ユニット(500、600)(ここで、該電気機械駆動ユニット(500、600)も、前記一次的な薬剤を含有する一次的なリザーバ(90)及び前記流体剤を含有する二次的なリザーバ(100)に連結される);及び
該一次的な及び該二次的なリザーバ(90、100)と流体連通するように構成された単回投与アセンブリ(200);
を更に含んでなる、請求項1〜10の何れかに記載のデバイス。
【請求項12】
注射ボタン(74)の作動によって、前記電気機械駆動ユニット(500、600)が、前記一次的な薬剤の前記用量及び前記流体剤の前記用量を、前記単回投与アセンブリ(200)を通して投与する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記単回投与アセンブリ(200)が第一の内部ボディ(220)を含み、ここで、該第一の内部ボディ(220)が、前記一次的なリザーバ(90)と流体連通している第一の穿孔針(240)、及び前記二次的なリザーバ(100)と流体連通している第二の穿孔針(250)を含み;そしてここで該単回投与アセンブリ(200)が両端が相似したニードルアセンブリ(400)を含む、請求項11又は12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記一次的な及び前記二次的なリザーバ(90、100)が、ストッパ(94、104)及び穿孔可能なセプタムを含んでなる少なくとも一つの反復用量カートリッジ中に含有される、請求項11〜13の何れかに記載のデバイス。
【請求項15】
治療用量プロファイルに関する情報を制御ユニットで受け取る工程;
一次的な薬剤の用量に関する情報を制御ユニットで受け取る工程;
少なくとも部分的に、該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに関する情報に基づいて、流体剤の用量の少なくとも一つの値を制御ユニットで決定する工程;及び
治療用量プロファイルに従って該一次的な薬剤の該用量及び流体剤の該用量の投与を開始する工程;
を含み、
ここで、治療用量プロファイルが、一次的な薬剤及び流体剤の非線形プロファイル(820、860、880、900、920)である、
方法。
【請求項16】
治療用量プロファイルに関する情報を制御ユニットで受け取るためのコード;
一次的な薬剤の用量に関する情報を制御ユニットで受け取るためのコード;
少なくとも部分的に、該一次的な薬剤の該用量及び治療用量プロファイルに基づいて、流体剤の用量の少なくとも一つの値を制御ユニットで決定するためのコード; そして
該一次的な薬剤の該用量及び流体剤の該用量の投与を治療用量プロファイルに従って開始するためのコード、
を含み、
ここで、治療用量プロファイルが、一次的な薬剤及び流体剤の非線形プロファイル(820、860、880、900、920)である、
コンピュータプログラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公表番号】特表2013−512060(P2013−512060A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541426(P2012−541426)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068358
【国際公開番号】WO2011/067187
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】