説明

二価SMAC模倣物およびその使用

本発明は、アポトーシス阻害タンパク質のインヒビターとして作用するSmacの二価模倣物に関する。本発明はまた、アポトーシス細胞死を誘導するためおよびアポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作するためのこれらの模倣物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年5月5日に出願した米国仮特許出願第60/798,018号、および2007年4月13日に出願した米国仮特許出願第60/923,415号に対する優先権を主張し、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、医薬化学の分野にある。特に、本発明は、アポトーシス阻害タンパク質のインヒビターとして作用するSmacのN末端配列の二価模倣物に関する。本発明はまた、誘導するかまたはアポトーシス細胞死の誘導に対して細胞を感作するためのこれらの模倣物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術
攻撃的な癌細胞表現型は、細胞内シグナル伝達経路の調節解除へ至る種々の遺伝的および後成的変化の結果である(Ponder, Nature 411:336 (2001))。しかし、全ての癌細胞の共通点は、それらがアポトーシスプログラムを実行しないことであり、正常なアポトーシス機構の欠陥に起因する適切なアポトーシスの欠如は、癌の特徴である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000))。化学療法剤、放射線、および免疫療法を含む、大抵の現在の癌療法は、癌細胞においてアポトーシスを間接的に誘導することによって機能する。従って、正常なアポトーシス機構の欠陥に起因して癌細胞がアポトーシスプログラムを実行できないことは、しばしば、化学療法、放射線、または免疫療法で誘導されるアポトーシスに対する耐性の増加と関連する。アポトーシス欠陥に起因する現在の治療プロトコルに対する、種々の起源のヒト癌の初期または獲得耐性は、現在の癌療法において主要な問題である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000);Nicholson, Nature 407:810 (2000))。従って、新規の分子標的特異的抗癌療法を設計および開発し癌患者の生存および生活の質を改善しようとする現在および未来の試みは、アポトーシスに対する癌細胞耐性を特異的に標的化する戦略を含まなければならない。この点で、癌細胞においてアポトーシスを直接阻害することにおいて中心的な役割を果たす重要な負の調節因子を標的化することは、新規の抗癌剤設計についての非常に有望な治療戦略を示す。
【0004】
アポトーシスの2種類の中心的な負の調節因子が同定された。調節因子の第1の種類は、2つの強力な抗アポトーシス分子であるBcl-2およびBcl-XLタンパク質によって例示されるような、Bcl-2ファミリーのタンパク質である(Adams et al., Science 281:1322 (1998);Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997);Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996))。癌においてBcl-2およびBcl-XLを標的化し癌細胞感受性を回復させそしてアポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するための治療戦略が、広く検討されてきた(Adams et al., Science 281:1322 (1998);Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997);Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996))。いくつかの研究所は、Bcl-2およびBcl-XLの小分子インヒビターを設計することに興味を持っている。
【0005】
アポトーシスの中心的な負の調節因子の第2の種類は、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)である(Deveraux et al., Genes Dev. 13:239 (1999);Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002))。この種類には、XIAP、cIAP-1、cIAP-2、ML-IAP、HIAP、KIAP、TSIAP、NAIP、サバイビン(survivin)、リビン(livin)、ILP-2、アポロン(apollon)、およびBRUCE等のタンパク質が含まれる。IAPタンパク質は、癌細胞における化学療法剤、放射線、および免疫療法を含む、多種多様のアポトーシス刺激によって誘導されるアポトーシスを強力に抑制する。
【0006】
X染色体連鎖IAP(XIAP)は、全てのIAPメンバーの中でも、アポトーシスを抑制することにおいて最も強力なインヒビターである(Holcik et al., Apoptosis 6:253 (2001);LaCasse et al., Oncogene 17:3247 (1998);Takahashi et al., J. Biol. Chem. 273:7787 (1998);Deveraux et al., Nature 388:300 (1997);Sun et al., Nature 401:818 (1999);Deveraux et al., EMBO J. 18:5242 (1999);Asselin et al., Cancer Res. 61:1862 (2001))。XIAPは、死受容体媒介経路およびミトコンドリア媒介経路の両方において、アポトーシスの負の調節において重要な役割を果たす。XIAPは、カスパーゼファミリーの酵素の3つのメンバー、カスパーゼ-3、-7、および-9に直接結合しそしてこれらを強力に阻害することによって、強力な内因性アポトーシスインヒビターとして作用する(Takahashi et al., J. Biol Chem. 273:7787 (1998); Deveraux et al., Nature 388:300 (1997); Sun et al., Nature 401:818 (1999); Deveraux et al., EMBO J. 18:5242 (1999); Asselin et al., Cancer Res. 61:1862 (2001); Riedl et al., Cell 104:791 (2001); Chai et al., Cell 104:769 (2001); Huang et al., Cell 104:781 (2001))。XIAPは、3つのバキュロウイルス・インヒビター・オブ・アポトーシス・リピート(BIR)ドメインおよびC末端RINGフィンガーを含む。第3のBIRドメイン(BIR3)は、ミトコンドリア経路におけるイニシエータカスパーゼであるカスパーゼ-9を選択的に標的化し、一方、BIR1とBIR2との間のリンカー領域は、カスパーゼ-3およびカスパーゼ-7の両方を阻害する(Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002))。XIAPへ結合することは3つ全てのカスパーゼの活性化を妨げる一方、カスパーゼ-9との相互作用がアポトーシスのその阻害について最も重要であることが明らかである(Ekert et al., J. Cell Biol. 152:483 (2001);Srinivasula et al., Nature 410:112 (2001))。XIAPは、複数のシグナル伝達経路が集まるポイントである下流エフェクターフェーズでアポトーシスを遮断するため、XIAPを標的化する戦略は、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するに特に有効であるとわかるかもしれない(Fulda et al.. Nature Med. 8:808 (2002);Arnt et al., J. Biol. Chem. 277:44236 (2002))。
【0007】
各タイプの癌におけるXIAPの正確な役割が完全に理解されるには程遠いが、XIAPが多くのタイプの癌において広く過剰発現され、そして種々の現在の治療剤に対する癌細胞の耐性において重要な役割を果たしているかもしれないことを示す証拠が増加している(Holcik et al., Apoptosis 6:253 (2001);LaCasse et al., Oncogene 17:3247 (1998))。
【0008】
XIAPタンパク質は、大抵のNCI 60ヒト癌細胞株において発現されることがわかった(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6:1796 (2000))。以前に治療されていない78人の患者における腫瘍サンプルの分析によって、より低いレベルのXIAPを有するものが顕著により長く生存することが示された(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6:1796 (2000))。XIAPが、ヒト悪性神経膠腫において発現されることがわかった(Wagenknecht et al., Cell Death Differ. 6:370 (1999);Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002))。XIAPは、ヒト前立腺癌細胞において発現されることがわかり、そしてミトコンドリア活性化の存在下でのApo2リガンド/腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドで媒介される前立腺癌細胞のアポトーシスを遮断する(McEleny et al., Prostate 51:133 (2002);Ng et al., Mol Cancer Ther. 1:1051 (2002))。XIAPは、患者における非小細胞肺癌(NSCLC)において過剰発現され、そしてNSCLCの病因に関与した(Hofmann et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol. 128:554 (2002))。XIAPの発現およびシスプラチンでの治療時のXIAPのダウンレギュレーションの欠如は、ヒト卵巣癌のシスプラチン耐性に関与した(Li et al., Endocrinology 142:370 (2001);Cheng et al., Drug Resist. Update 5:131 (2002))。総合すると、これらのデータは、XIAPが、現在の治療剤に対するいくつかのヒト癌の耐性において重要な役割を果たしているかもしれないことを示唆している。
【0009】
アポトーシスは単一プロセスではなく、むしろ、それは、多数の異なる、場合によっては相互に連結された、細胞分解へと至るシグナル伝達経路と関連する。アポトーシスの特定の形態に関与する経路は、該プロセスを開始させる傷害等の多くの因子に依存する。他の因子としては、特定の受容体の活性化または過剰活性化、例えば、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAILまたはApo2L)、またはFASリガンドによる「死」受容体の活性化が挙げられる。別の決定因子は、関与する細胞のタイプであり、何故ならば、異なるシグナル伝達経路が、FasまたはTNFα受容体活性化後に、いわゆるI型およびII型細胞について示されるためである。
【0010】
TRAIL(Apo2L)は、2つのプロアポトーシス性TRAIL受容体である、TRAIL-Rl(またはDR4)(Pan et al., Science 276:111 (1997))またはTRAIL-R2(KILLER、またはDR5)(Wu et al., Nat. Genet. 17:141-143 (1997); Pan et al., Science 277:815 (1997);Walczak et al., EMBO J. 16:5386 (1997))のいずれかへ結合すると、癌細胞(しかし正常細胞ではない)において選択的かつ強力なアポトーシスの誘導因子となることが示された。TRAILによるプロアポトーシス性死受容体の活性化は、アダプターとしての受容体FADD(Kischkel et al., Immunity 12:611 (2000);Kuang et al., J. Biol Chem. 275:25065 (2000))とイニシエータカスーパーゼとしてのカスパーゼ-8とからなる、死誘導シグナリング複合体(death inducing signaling complex)(DISC)の形成を誘導する。一旦DISCが形成されると、カスパーゼ-8は、誘導された接近(induced proximity)によって、自動処理されそして活性化される(Medema et al., EMBO J. 16:2794 (1997);Muzio et al, J. Biol Chem. 273:2926 (1998))。
【0011】
TRAILは、癌細胞を選択的に標的化するために、可能性がある癌治療薬としてかなり関心を持たれ(French et al., Nat. Med. 5:146 (1999))、一方、大抵の正常細胞は、TRAILに対して耐性であるようである(Ashkenazi et al., Science 281:1305 (1998); Walczak et al., Nat. Med. 5:157 (1999))。TRAILの全身投与は、マウスにおいて、異種移植された乳房または結腸腫瘍を死滅させそして生存を延長させる点で、安全かつ有効であるとわかった(Walczak et al., Nat. Med. 5:157 (1999))。TRAILは、多くのタイプの癌細胞を特異的に死滅させることが出来るが、多くの他のものはTRAIL耐性を示す(Kim et al., Clin. Cancer Res. 6:335 (2000);Zhang et al., Cancer Res. 59:2747 (1999))。さらに、癌細胞は、TRAIL-R1またはTRAIL-R2のいずれかを特異的に認識する抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)の適用によって死滅した。
【0012】
多数の機構が、TRAIL耐性の原因である可能性のある因子として同定された。このような機構は、受容体レベル、ミトコンドリアレベル、ポストミトコンドリアレベル、およびDISCレベルを含む、多数のレベルで存在する。例えば、カスパーゼ-8発現の喪失(Teitz et al., Nat. Med. 6:529 (2000);Griffith et al., J. Immunol. 161:2833 (1998))、または細胞性FLICEインヒビタータンパク質(cFLIP)の高発現(Kim et al., Clin. Cancer Res. 6:335 (2000);Zhang et al., Cancer Res. 59:2747 1999;Kataoka et al., J. Immunol. 161:3936 (1998))は、癌細胞をTRAILに対して耐性にする。Yehらは、cFLIP欠損胚性マウス線維芽細胞が、特に受容体媒介アポトーシスに感受性であることを示した(Yeh et al., Immunity 12:533 (2000))。短いスプライス変異体であるcFLIP-Sおよびより長いスプライス変異体であるcFLIP-Lを含む、cFLIPのいくつかのスプライス変異体が公知である。cFLIP欠損胚性マウス線維芽細胞は、cFLIP-Sのレトロウイルス媒介形質導入の結果として、TRAIL誘導アポトーシスに対して耐性となったことが示された(Bin et al., FEBS Lett. 510:37 (2002))。
【0013】
TRAILは、腫瘍選択的死受容体活性化について潜在的に有望な候補である(即ち、それは、正常組織においてではなく優先的に腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する)が、多くの癌細胞は、上述したように、アポトーシス誘導薬物に対して耐性である。結果として、このような薬物での治療は、治療効果を達成するために照射および/または細胞傷害性化学物質を用いる併用治療をしばしば必要とする。しかし、放射線および化学療法は両方とも相当な副作用を有し、そして可能であれば一般的に回避される。
【0014】
従って、周囲の正常細胞を感作することなしに、選択的なアポトーシス誘導薬物(例えば、TRAILまたはTRAIL受容体抗体)に対して腫瘍細胞を選択的かつ効率的に感作することが出来る薬剤についての必要性が存在する。このような薬剤はまた、受容体媒介アポトーシス性癌薬物の使用に一般的に関連する薬物耐性を減少または防止するために有用であり、従ってそれらの効果を改善しそして併用療法の必要性を排除する。
【0015】
最近、Smac/DIABLO(第2のミトコンドリア由来カスパーゼ活性化因子)は、アポトーシス刺激に応答してミトコンドリアから細胞質ゾルへ放出されるタンパク質と同定された(Budihardjo et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 15:269 (1999);Du et al., Cell 102:33 (2000))。Smacは、成熟ポリペプチドへの成熟の間にタンパク質分解で除去されるN末端ミトコンドリア標的性配列を伴って、合成される。Smacは、XIAPおよび他のIAPと直接相互作用し、そしてそれらのカスパーゼへの結合を妨害し、カスパーゼ活性化を促進することが示された。Smacは、XIAPの強力な内因性インヒビターである。
【0016】
Smacタンパク質およびペプチドと複合体化したXIAPのBIR3ドメインの高分解能実験的3次元(3D)構造が、最近、測定された(Sun et al., J. Biol. Chem. 275:36152 (2000);Wu et al., Nature 408:1008 (2000))(図1)。SmacのN末端テトラペプチド(Ala-Val-Pro-Ile、またはAVPI(配列番号1))は、いくつかの水素結合相互作用およびファン・デル・ワールス接触を介してXIAPのBIR3ドメイン上の表面溝を認識する。BIR3とカスパーゼ-9との相互作用もまた、BIR3ドメイン上の同一の表面溝へカスパーゼ-9の小さなサブユニットのアミノ末端上の4つの残基(Ala-Thr-Pro-Phe、またはATPF(配列番号2))を関与させることが示された。いくつかの最近の研究は、Smacは、BIR3ドメインの表面上の同一の結合溝についてカスパーゼ-9と競合することによってカスパーゼ-9の触媒活性を促進することを納得のいくように実証した(Ekert et al., J. Cell Biol. 152:483 (2001);Srinivasula et al., Nature 410:112 (2001))。
【0017】
大抵のタンパク質-タンパク質相互作用とは異なって、Smac-XIAP相互作用は、Smacタンパク質上の4つのアミノ酸残基のみおよびXIAPのBIR3ドメイン上の十分に規定された表面溝によって媒介される。XIAPに対するSmacペプチドAVPI(配列番号1)のKd値(Kd=0.4 μM)は、成熟Smacタンパク質(Kd=0.42 μM)と本質的に同一である。この十分に規定された相互作用部位は、XIAPへのSmacの結合を模倣する非ペプチドの薬物様小分子の設計について理想的である。
【0018】
細胞内送達を促進するようにキャリアペプチドへつなぎ留められたSmacのN末端の最初の4個のアミノ酸残基(AVPI(配列番号1))からなる細胞透過性Smacペプチドは、死受容体結合または細胞傷害性薬物によって誘導されるアポトーシスに対してインビトロで種々の腫瘍細胞およびインビボで悪性神経膠腫細胞を感作することが最近示された(Fulda et al., Nature Med. 8:808 (2002))。重要なことに、このSmacペプチドは、インビボで頭蓋内悪性神経膠腫異種移植片モデルにおいてApo2L/TRAILの抗腫瘍活性を強力に増強した。定着した腫瘍の完全な根絶およびマウスの生存は、SmacペプチドおよびApo2L/TRAILでの組み合わせた治療時にのみ達成された。重要なことに、Smacペプチドは、正常な脳組織に対して検出可能な毒性を有しない。
【0019】
別の最近の独立した研究はまた、異なるキャリアペプチドへつなぎ留められたSmacのN末端の最初の4〜8個のアミノ酸残基からなるペプチドは、MCF-7および他のヒト乳癌細胞株において、パクリタキセル、エトポシド、SN-38、およびドキソルビシンを含む、広範囲の化学療法薬の、アポトーシスの誘導および長期間の抗増殖効果を増強することを示した(Arnt et al., J. Biol. Chem. 277:44236 (2002))。この研究は、XIAPおよびcIAP-1が、細胞においてこれらのペプチドについての主要な分子標的であることを納得のいくように示した。
【0020】
第3の研究は、ポリアルギニンへつなぎ留められた最初の7個のN末端残基のSmacペプチドが、非小細胞肺癌H460細胞においてアポトーサム(apoptosome)活性を回復させそしてアポトーシス耐性を逆転させたことを示した(Yang et al., Cancer Res. 63:831 (2003))。XIAPは、H460細胞におけるカスパーゼ活性の抑制およびアポトーサム活性の欠損の原因であることが示された。化学療法と組み合わせて使用した場合、細胞透過性Smacペプチドは、少量のマウス毒性を伴って、インビボで腫瘍増殖を逆行させた。総合すると、これらの最近の独立した研究は、強力で安定な細胞透過性Smac模倣物は、ヒト乳癌および他のタイプの癌の治療について大きな治療的可能性を有し得ることを強く示唆している。
【0021】
ペプチドに基づくインヒビターは、IAPの抗アポトーシス機能および化学療法剤に対する癌細胞の応答におけるIAPの役割を明らかにするための有用なツールである。しかし、ペプチドに基づくインヒビターは、一般的に、潜在的に有用な治療剤として固有の制限を有する。これらの制限としては、それらの低い細胞透過性および低いインビボ安定性が挙げられる。実際に、Smacに基づくペプチドインヒビターを使用するこれらの3つの公開された研究において、ペプチドは、それらを比較的細胞透過性にするためにキャリアペプチドへ融合されなければならなかった。
【0022】
米国特許出願公開第2005/0197403は、式Iの二量体Smac模倣化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を開示している:

式中、R1およびR1'は、水素、置換されてもよいメチル、およびヒドロキシからなる群より選択され;
R2およびR2'は、置換されてもよいメチルおよび置換されてもよいエチルからなる群より選択され;
R3およびR3'は、CH2、NH、OおよびSより選択され;
R4およびR4'は、CHおよびNより選択され;
R5〜R8、およびR5'〜R8'は、水素、任意でヘテロの、置換されてもよいアルキル、任意でヘテロの、置換されてもよいアルケニル、任意でヘテロの、置換されてもよいアルキニル、任意でヘテロの、置換されてもよいアリールより選択され;そして
Lは、R2、R5、R6またはR7とR2'、R5'、R6'またはR7'とを共有結合するリンカーである。
【0023】
ペプチドに基づくインヒビターの固有の制限を克服するために、本発明は、二価の立体配座的に制限されたSmac模倣物の設計を含む。
【発明の開示】
【0024】
発明の概要
一般的に、アポトーシスの誘導因子(例えば、抗癌剤および放射線)への曝露または遺伝子病変に応答して癌細胞またはそれらの支持細胞がアポトーシスを行うことができないことが、癌の発病および進行における主要な因子であることが受け入れられている。癌細胞またはそれらの支持細胞(例えば、腫瘍血管系における血管新生細胞)におけるアポトーシスの誘導は、今日市販されているかまたは実施されている有効な癌治療剤または放射線療法の事実上全てについての共通の作用機構であると考えられる。細胞がアポトーシスを行うことができないことについての1つの理由は、IAPの増加された発現および蓄積である。
【0025】
本発明は、IAPの作用を阻害する治療有効量の薬物(例えば、小分子)への、癌またはアポトーシスの調節異常に関連する他の過剰増殖性障害もしくは疾患に苦しむ動物の曝露が、疾患細胞または支持細胞(その持続生存がIAPの過剰活性または過剰発現に依存する細胞)を完全に死滅させ、および/または集団としてのこのような細胞を癌治療剤もしくは放射線療法の細胞死誘導活性へより感受性とすることを意図する。本発明は、IAP作用に依存する癌細胞においてアポトーシスを誘導するために単独療法として投与される場合か、または、癌治療剤または放射線療法単独でのみ治療された動物における対応の細胞の割合と比較してより高い割合の癌細胞または支持細胞をアポトーシスプログラム実行に感受性にするために他の細胞死誘導癌治療剤または放射線療法と時間的に関係して投与される場合かのいずれかに、IAPのインヒビターが、多数の癌タイプの治療について満たされていない必要性を満足することを意図する。
【0026】
本発明のある態様において、治療有効量の本発明の化合物と抗癌剤または放射線のコースとを用いる動物の併用治療は、該化合物または抗癌剤/放射線のみで治療されたものと比較して、このような動物においてより大きな腫瘍応答および臨床的利益を生じさせる。換言すると、前記化合物は、IAPを発現する全ての細胞のアポトーシス閾値を低下させるため、抗癌剤/放射線のアポトーシス誘導活性に応答してアポトーシスプログラムを首尾良く実行する細胞の割合が増加される。または、本発明の化合物は、従来の用量の抗癌剤/放射線のみと同一の腫瘍応答/臨床的利益を生じさせるために、より少ない、そして従ってより低い毒性およびより高い許容性の用量の抗癌剤および/または放射線の投与を可能にするために使用され得る。全ての承認された抗癌剤および放射線治療についての用量が公知であるため、本発明は、それらと本発明の化合物との種々の組み合わせを意図する。また、本発明の化合物は、少なくとも一部は、IAPを阻害することによって作用するため、治療有効量の該化合物への癌細胞および支持細胞の曝露は、抗癌剤または放射線療法に応答してアポトーシスプログラムを実行しようとする細胞の試みと一致するように時間的に関連付けられ得る。従って、ある態様において、特定の時間的な関係に関連して本発明の組成物を投与することは、特に有効な治療プラクティスを提供する。
【0027】
本発明は、IAPタンパク質の活性を阻害しそしてアポトーシスの誘導因子に対する細胞の感受性を増大させるために有用であるSmac模倣物に関する。1つのある態様において、前記Smac模倣物は、式IIの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中:
A1およびA1'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびZからなる群より、独立して選択され;
A2およびA2'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびCOR1からなる群より、独立して選択され、ここで、VがOである場合にA2は存在せず、そしてV'がOである場合にA2'は存在せず;
VおよびV'は、N、CHおよびOからなる群より、独立して選択され;
WおよびW'は、CHおよびNからなる群より、独立して選択され;
XおよびX'は、独立して、置換されてもよいC1-3アルキルであり;
YおよびY'は、CONR1、C(O)O、(CR1R2)1-3(ここで1つまたは複数のCH2基が、O、SまたはNR1によって置換され得る)、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
DおよびD’は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)n-R5a-(CR3R4)mからなる群より、独立して選択され;
JおよびJ'は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)p-R5b-(CR3R4)qからなる群より、独立して選択され;
TおよびT'は、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1R2、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
UおよびU'は、水素、NR1R2、OR1、SR1、置換されてもよいアルキル、および置換されてもよいアリールからなる群より、独立して選択され;
n、m、pおよびqは、独立して0〜5であり;
各R1は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール、およびZからなる群より選択され;
各R2、R3およびR4は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5aおよびR5bは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、およびCR1R2からなる群より、独立して選択され;ならびに
Zは、A1、Y、D、J、TおよびUの1つとA1'、Y'、D'、J'、T'およびU'の1つとを共有結合するリンカーである。
【0028】
本発明は、IAPタンパク質のインヒビターである、式IIによって表される化合物に関する。本発明は、細胞においてアポトーシスを誘導するための本発明の化合物の使用に関する。本発明はまた、アポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作するための本発明の化合物の使用に関する。前記化合物は、アポトーシス細胞死の誘導に応答性である障害、例えば、アポトーシスの調節異常を特徴とする障害(過剰増殖性疾患、例えば、癌を含む)の治療、改善、または予防に有用である。ある態様において、前記化合物は、癌療法に対する耐性を特徴とする癌(例えば、化学療法抵抗性、放射線抵抗性、ホルモン抵抗性などであるもの)を治療、改善または予防するために使用され得る。他の態様において、前記化合物は、IAPの過剰発現を特徴とする過剰増殖性疾患を治療するために使用され得る。
【0029】
本発明は、細胞においてアポトーシスを誘導するかまたはアポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作するための治療有効量で式IIの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0030】
本発明は、さらに、式IIの化合物および該化合物を動物へ投与するための使用説明書を含むキットを提供する。前記キットは、任意で、他の治療剤、例えば、抗癌剤またはアポトーシス調節剤を含み得る。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、Smacの模倣物でありかつIAPのインヒビターとして作用する、式IIによって表される二価の立体配座的に制限された化合物に関する。これらの化合物は、アポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作し、そして、場合によっては、それら自体が、IAPを阻害することによってアポトーシスを誘導する。従って、本発明は、細胞を式IIの化合物と単独でまたはアポトーシスの誘導因子と組み合わせて接触させることを含む、アポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作する方法および細胞においてアポトーシスを誘導する方法に関する。本発明は、さらに、式IIの化合物およびアポトーシスの誘導因子を動物へ投与することを含む、動物におけるアポトーシスの誘導に応答性である障害を治療、改善、または予防する方法に関する。このような障害としては、アポトーシスの調節異常を特徴とするもの、およびIAPの過剰発現を特徴とするものが挙げられる。
【0032】
用語「IAPタンパク質」は、本明細書中において使用される場合、XIAP、cIAP-1、cIAP-2、ML-IAP、HIAP、TSIAP、KIAP、NAIP、サバイビン、リビン、ILP-2、アポロン、およびBRUCEを含むがこれらに限定されない、アポトーシスタンパク質ファミリーのインヒビターの任意の公知のメンバーを指す。
【0033】
用語「IAPの過剰発現」は、本明細書中において使用される場合、IAPタンパク質をコードする基礎レベルのmRNAを発現するかまたは基礎レベルのIAPタンパク質を有する類似の対応する非病理学的細胞と比較して、細胞において高いレベル(例えば、異常なレベル)のIAPタンパク質をコードするmRNAおよび/または高いレベルのIAPタンパク質を指す。細胞におけるIAPタンパク質をコードするmRNAのレベルまたはIAPタンパク質のレベルを検出するための方法としては、IAPタンパク質抗体を使用するウエスタンブロッティング、免疫組織化学方法、および核酸増幅または直接RNA検出の方法が挙げられるが、これらに限定されない。細胞におけるIAPタンパク質の絶対レベルと同じぐらい重要であるのは、それらがIAPタンパク質を過剰発現しているかを決定することであり、このような細胞内の他のプロアポトーシス性シグナル伝達分子(例えば、プロアポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質)に対するIAPタンパク質の相対レベルもそうである。これら2つのバランスが、そのレベルのIAPタンパク質が存在しない場合、プロアポトーシス性シグナル伝達分子は、細胞にアポトーシスプログラムを実行させそして死滅させるに十分であり、該細胞は、それらの生存についてIAPタンパク質に依存する。このような細胞において、阻害有効量のIAPタンパク質インヒビターへの曝露は、細胞にアポトーシスプログラムを実行させそして死滅させるに十分である。従って、用語「IAPタンパク質の過剰発現」はまた、プロアポトーシスシグナルおよびアンチアポトーシスシグナルの相対レベルに起因して、IAPタンパク質の作用を阻害する阻害有効量の化合物に応答してアポトーシスを行う細胞を指す。
【0034】
用語「抗癌剤」および「抗癌薬」は、本明細書中において使用される場合、癌などの過剰増殖性疾患の治療(例えば、哺乳動物における)において使用される、任意の治療剤(例えば、化学療法化合物および/または分子療法化合物)、放射線療法、または外科的介入を指す。
【0035】
用語「プロドラッグ」は、本明細書中において使用される場合、プロドラッグを活性薬物へ(例えば、酵素的に、生理的に、機械的に、電磁気的に)変換するかまたは放出するために標的生理系内での生体内変化(例えば、自発的または酵素的)を必要とする、親「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体を指す。プロドラッグは、安定性、毒性、特異性の欠如、または制限されたバイオアベイラビリティーに関連する問題を克服するように設計される。例示的なプロドラッグは、活性薬物分子自体および化学的マスキング基(例えば、薬物の活性を可逆的に抑制する基)を含む。ある好ましいプロドラッグは、代謝条件下で切断可能である基を有する化合物の変形体または誘導体である。例示的なプロドラッグは、それらが生理学的条件下で加溶媒分解を受けるかまたは酵素分解もしくは他の生化学的変換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を受けると、インビボまたはインビトロで薬学的に活性となる。プロドラッグは、しばしば、哺乳動物生物において溶解性、組織適合性、または遅延放出という利点を提供する。(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam (1985);およびSilverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, CA (1992)を参照のこと)。一般的なプロドラッグとしては、酸誘導体、例えば、親の酸と好適なアルコール(例えば、低級アルコール)との反応によって調製されるエステル、親の酸化合物とアミンとの反応によって調製されるアミド、または反応してアシル化塩基誘導体(例えば、低級アルキルアミド)を形成する塩基性基が挙げられる。
【0036】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書中において使用される場合、標的動物(例えば、哺乳動物)において生理学的に許容される本発明の化合物の(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)任意の塩を指す。本発明の化合物の塩は、無機または有機酸および塩基から誘導され得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。他の酸、例えば、シュウ酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において使用され得る。
【0037】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NW4+の化合物(式中、Wは、C1-4アルキルである)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
塩の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩など。塩の他の例としては、好適なカチオン、例えば、Na+、NH4+、およびNW4+(式中、Wは、C1-4アルキル基である)を伴って合成された本発明の化合物のアニオンなどが挙げられる。治療用途のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されると意図される。しかし、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製において、使用され得る。
【0039】
用語「治療有効量」は、本明細書中において使用される場合、障害の1つまたは複数の症状を改善させるか、または障害の進行を予防するか、または障害を逆行させるに十分な治療剤の量を指す。例えば、癌の治療について、治療有効量は、好ましくは、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、腫瘍増殖速度を低下させるか、腫瘍質量を減少させるか、転移数を低下させるか、腫瘍進行までの時間を増加させるか、または生存期間を増加させる、治療剤の量を指す。
【0040】
用語「感作する」および「感作すること」は、本明細書中において使用される場合、第1薬剤(例えば、式IIの化合物)の投与によって、動物または動物内の細胞を、第2薬剤の生物学的効果(例えば、細胞分裂、細胞成長、増殖、浸潤、脈管形成、またはアポトーシスが挙げられるが、これらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)に対してより感受性、またはより応答性とすることを指す。標的細胞に対する第1薬剤の感作効果は、第1薬剤の投与有りまたは無しで第2薬剤の投与時に観察される、意図される生物学的効果(例えば、細胞成長、増殖、浸潤、脈管形成、またはアポトーシスが挙げられるが、これらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)における差異として測定され得る。感作された細胞の応答は、第1薬剤無しでの応答と比べて、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%増加され得る。
【0041】
用語「アポトーシスの調節異常」は、本明細書中において使用される場合、細胞がアポトーシスによって細胞死を行う能力(例えば、性質)における任意の異常を指す。アポトーシスの調節異常は、例えば、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、移植片対宿主病、重症筋無力症、またはシェーグレン病)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息、またはクローン病)、過剰増殖性障害(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫、またはT細胞リンパ腫)、ウイルス感染(例えば、ヘルペス、乳頭腫、またはHIV)、ならびに他の状態、例えば、変形性関節症およびアテローム性動脈硬化症を含む、種々の状態に関連するかまたはこれらによって誘導される。調節異常がウイルス感染によって誘導されるかまたはこれに関連する場合、調節異常が生じるかまたは観察される時点でウイルス感染は検出可能であるかもしれないし検出可能でないかもしれないことが、注意されるべきである。即ち、ウイルスに誘導される調節異常は、ウイルス感染の症状の消失の後にさえ、生じ得る。
【0042】
用語「過剰増殖性疾患」は、本明細書中において使用される場合、動物における増殖細胞の局在的な集団が、正常な増殖の通常の制限によって支配されていない任意の状態を指す。過剰増殖性障害の例としては、腫瘍、新生物、リンパ腫などが挙げられるが、これらに限定されない。新生物は、それが浸潤または転移を行わない場合は良性、それがこれらのいずれかを行う場合は悪性と言われる。「転移性」細胞は、該細胞が隣接する身体構造に浸潤しそしてこれらを破壊し得ることを意味する。過形成は、構造または機能の顕著な変化なしに組織または器官における細胞数の増加を含む細胞増殖の形態である。化成は、完全に分化したある種の細胞が、別の種の分化細胞の代わりとなる、制御された細胞増殖の形態である。
【0043】
活性化されたリンパ球様細胞の病理学的増殖は、しばしば、自己免疫疾患または慢性炎症状態を生じさせる。本明細書中において使用される場合、用語「自己免疫疾患」は、生物が、その生物自体の分子、細胞または組織を認識する抗体または免疫細胞を産生する任意の状態を指す。自己免疫疾患の非限定的な例としては、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、バージャー病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、移植片対宿主病、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン病、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑などが挙げられる。
【0044】
用語「新生物性疾患」は、本明細書中において使用される場合、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかである細胞の任意の異常増殖を指す。
【0045】
用語「抗新生物剤」は、本明細書中において使用される場合、標的(例えば、悪性)新生物の増殖、成長、または拡散を遅延する任意の化合物を指す。
【0046】
用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」は、本明細書中において使用される場合、動物における病理学的細胞(例えば、過剰増殖性または新生物性細胞)の発生の減少を指す。予防は、完全、例えば、被験体における病理学的細胞の完全な非存在であってもよい。予防はまた、被験体における病理学的細胞の発生が本発明なしで生じていたであろうものよりも少ないように、部分的であってもよい。
【0047】
用語「アポトーシス調節剤」は、本明細書中において使用される場合、アポトーシスの調節(例えば、阻害、減少、増加、促進)に関与する薬剤を指す。アポトーシス調節剤の例としては、デスドメインを含むタンパク質、例えば、Fas/CD95、TRAMP、TNF R1、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、およびRIP(しかしこれらに限定されない)が挙げられる。アポトーシス調節剤の他の例としては、TNFα、Fasリガンド、Fas/CD95および他のTNFファミリー受容体に対する抗体、TRAIL(Apo2リガンドまたはApo2L/TRAILとしても公知)、TRAIL-R1またはTRAIL-R2のアゴニスト(例えば、モノクローナルまたはポリクローナルアゴニスト性抗体)、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PPl、およびカスパーゼタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。調節剤は、広く、TNFファミリーリガンドおよびTNFファミリー受容体のアゴニストおよびアンタゴニストを含む。アポトーシス調節剤は、可溶性または膜結合性(例えば、リガンドまたは受容体)であり得る。好ましいアポトーシス調節剤は、アポトーシスの誘導因子、例えば、TNFまたはTNF関連リガンド、特に、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILである。
【0048】
本発明のIAPのインヒビターは、一般式IIを有する化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中:
A1およびA1'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびZからなる群より、独立して選択され;
A2およびA2'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびCOR1からなる群より、独立して選択され、ここで、VがOである場合にA2は存在せず、そしてV'がOである場合にA2'は存在せず;
VおよびV'は、N、CHおよびOからなる群より、独立して選択され;
WおよびW'は、CHおよびNからなる群より、独立して選択され;
XおよびX'は、独立して、置換されてもよいC1-3アルキルであり;
YおよびY'は、CONR1、C(O)O、(CR1R2)1-3(ここで、1つまたは複数のCH2基が、O、SまたはNR1によって置換され得る)、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
DおよびD’は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)n-R5a-(CR3R4)mからなる群より、独立して選択され;
JおよびJ'は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)p-R5b-(CR3R4)qからなる群より、独立して選択され;
TおよびT'は、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1R2、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
UおよびU'は、水素、NR1R2、OR1、SR1、置換されてもよいアルキル、および置換されてもよいアリールからなる群より、独立して選択され;
n、m、pおよびqは、独立して0〜5であり;
各R1は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール、およびZからなる群より選択され;
各R2、R3およびR4は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5aおよびR5bは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、およびCR1R2からなる群より、独立して選択され;そして
Zは、A1、Y、D、J、TおよびUの1つとA1'、Y'、D'、J'、T'およびU'の1つとを共有結合するリンカーである。
【0049】
さらなる態様において、ZはDとU'とを結合する。さらなる態様において、ZはDとD'とを結合する。さらなる態様において、ZはUとU'とを結合する。さらなる態様において、nおよびmは、n+mが3または4となるように0〜4より独立して選択される。さらなる態様において、pおよびqは、p+qが1となるように0および1より独立して選択される。さらなる態様において、nおよびmは、n+mが3または4となるように0〜4より独立して選択され、かつ、pおよびqは、p+qが1となるように0および1より独立して選択される。さらなる態様において、TはC=Oである。さらなる態様において、UはNR1R2である。さらなる態様において、R5bはCH2である。さらなる態様において、YはCONHであり、WはCHであり、かつ、VはNである。さらなる態様において、A2およびA2'は、水素および置換されてもよいアルキルからなる群より、独立して選択される。
【0050】
別のある態様において、本発明のIAPのインヒビターは、式IIIの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中、A1、A2、V、W、X、Y、D、J、Z、A1'、A2'、V'、W'、X'、Y'、D'、J'およびR2は、上記の意味を有する。
【0051】
別のある態様において、本発明のIAPのインヒビターは、式IVの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中、A1、A2、V、W、X、Y、D、J、Z、T、U、A1'、A2'、V'、W'、X'、Y'、D'、J'、T'およびU'は、上記の意味を有する。
【0052】
別のある態様において、本発明のIAPのインヒビターは、式Vの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中、A1、A2、V、W、X、Y、D、J、Z、A1'、A2'、V'、W'、X'、Y'、D'、J'、T'、U'およびR2は、上記の意味を有する。
【0053】
別のある態様において、本発明のIAPのインヒビターを作製するために有用な中間体は、式XIIIの化合物である:

式中:
D''は、(CR1R2)n-R5c-(CR3R4)mであり;
Jは、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)p-R5b-(CR3R4)qからなる群より選択され;
Tは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1R2、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;
Uは、水素、NR1R2、OR1、SR1、置換されてもよいアルキル、および置換されてもよいアリールからなる群より選択され;
n、m、pおよびqは、0〜5より独立して選択され;
各R1、R2、R3およびR4は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5cは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1aR2a、NCOR8およびNCO2R8からなる群より選択され;
R1aおよびR2aは、水素、ヒドロキシ、アジド、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5bは、O、S、NR1、CR1R2、C=O、C=S、およびC=NR1からなる群より選択され;
R7は、水素、CO2R7a、およびCOCH(R7b)N(R7c)CO2R7aからなる群より選択され;
R7aは、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;
R7bは、置換されてもよいC1-3アルキルであり;
R7cは、水素および置換されてもよいアルキルからなる群より選択され;そして
R8は、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択される。
【0054】
さらなる態様において、R7aはt-ブチルである。さらなる態様において、nは1であり、mは2であり、R5cはNCO2R8であり、かつR8はベンジルである。さらなる態様において、R5cはCR1aR2aであり、R1aはヒドロキシ、アジド、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され、かつR2aは水素である。
【0055】
有用なアルキル基としては、直鎖または分枝鎖のC1-18アルキル基、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、sec-ブチル、3-ペンチルおよび3-ヘキシル基が挙げられる。用語「アルキレニル」は、-(CH2)4-によって例示されるような、1、2、3または4つの結合されたメチレン基を含む二価アルキル基を指す。
【0056】
有用なアルケニル基としては、直鎖または分枝鎖のC2-18アルキル基、特に、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、およびヘキセニルが挙げられる。
【0057】
用語「アルケニレン」は、本明細書中において使用される場合、-CH2CH=CHCH2-によって例示されるような、アルケンから誘導される二価基を指す。
【0058】
有用なアルキニル基は、C2-18アルキニル基、特に、エチニル、プロピニル、ブチニル、および2-ブチニル基である。
【0059】
有用なシクロアルキル基は、C3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、およびノルボルニルが挙げられる。
【0060】
有用なアリール基としては、C6-14アリール、特にフェニル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニル、およびフルオレニル基が挙げられる。
【0061】
有用なヘテロアリール基としては、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンテニル(phenoxanthenyl)、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル(phthalzinyl)、ナフチリジニル、キノザリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシンドリル(oxindolyl)、および2-オキソベンズイミダゾリルが挙げられる。ヘテロアリール基が環内に窒素原子を含む場合、このような窒素原子は、Nオキシド、例えば、ピリジルNオキシド、ピラジニルNオキシド、ピリミジニルNオキシドなどの形態をとり得る。
【0062】
任意の置換基としては、1つまたは複数のアルキル;ハロ;アジド;ハロアルキル;ヒドロキシル;アルキニル;シクロアルキル;ヘテロアルキル;ヘテロアルキニル;1つまたは複数の低級アルキル、ハロ、ハロアルキル、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアリール;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、もしくはヘテロアリール基で置換されてもよいアリールオキシ;アラルキル;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよいヘテロアリール;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよいヘテロアリールオキシ;アルコキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミド;アミノ;アシルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよいアリールアシルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル、ハロ、もしくはハロアルキル基で置換されてもよいジフェニルホスフィニルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよいヘテロシクロ;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよいヘテロシクロアルコキシ;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキル;1つまたは複数の低級アルキル、ハロアルキル、およびアリール基で置換されてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルオキシ;ならびに任意の共有結合リンカー(下記を参照のこと)が挙げられる。
【0063】
有用な飽和または部分的に飽和した炭素環式基は、上記で定義したシクロアルキル基、ならびにシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルである。炭素環式基としてはまた、融合した置換されてもよいアリール基を有する基、例えば、テトラリンが挙げられる。
【0064】
有用なハロまたはハロゲン基としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。
【0065】
有用なアルキルアリールおよびアルキルヘテロアリール基としては、任意の上述のC6-14アリール基またはヘテロアリール基で置換された任意の上述のC1-18アルキル基が挙げられる。有用なものとしては、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが挙げられる。
【0066】
有用なハロアルキル基としては、1つまたは複数のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子で置換されたC1-10アルキル基、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、クロロメチル、クロロフルオロメチル、およびトリクロロメチル基が挙げられる。
【0067】
有用なヘテロアルキル基としては、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含むC1-10アルキル基、例えば、-CH2CH2OCH3、-CH2OH、-CH2CH2NH2、および-CH2CH2NHCH3基が挙げられる。
【0068】
有用なヘテロアルキニル基としては、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含むC2-18アルキニル基、例えば、-CH2OCH2CCHが挙げられる。
【0069】
有用なアルコキシ基としては、上述のC1-10アルキル基の1つによって置換された酸素が挙げられる。
【0070】
有用なアルキルチオ基としては、上述のC1-10アルキル基の1つによって置換された硫黄が挙げられる。このようなアルキルチオ基のスルホキシドおよびスルホンもまた挙げられる。
【0071】
有用なアミド基としては、カルボニルアミドならびにアミノ窒素へ結合された任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタノイルアミド、ペンタノイルアミド、ヘキサノイルアミド、ならびにアリール置換されたC2-6置換アシル基が挙げられる。
【0072】
有用なアシルオキシ基は、オキシ(-O-)基へ結合された任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシなどである。
【0073】
有用なアリールアシルオキシ基としては、任意の上述のアシルオキシ基において置換された任意の上述のアリール基、例えば、2,6-ジクロロベンゾイルオキシ、2,6-ジフルオロベンゾイルオキシ、および2,6-ジ-(トリフルオロメチル)-ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0074】
有用なアミノ基としては、-NH2、-NHR11、および-NR11R11が挙げられ、ここで、R11およびR12は、上述のC1-10アルキルまたはシクロアルキル基である。
【0075】
有用な飽和または部分的に飽和したヘテロ環式基としては、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトロノイル(tetronoyl)、およびテトラモイル(tetramoyl)基が挙げられる。
【0076】
有用なアリーレン基としては、C6-14アリーレン、特に、フェニレン、ナフチレン、フェナントレニレン、アントラセニレン、インデニレン、アズレニレン、ビフェニレン、ビフェニレニレン、およびフルオレニレン基が挙げられる。
【0077】
有用なヘテロアリーレン基としては、二置換ヘテロアリール基、例えば、2,5-チエニレン、2,4-イミダゾイレン(2,4-imidazoylene)、および1,3-トリアゾリレンが挙げられる。
【0078】
本明細書にわたって、基およびそれらの任意の置換基は、安定な部分および化合物を提供するように選択される。
【0079】
本発明において使用され得る共有結合リンカーとしては、任意の二価共有結合リンカーが挙げられる。ある態様において、リンカーは、5〜50個の原子の連続鎖である。リンカーは、典型的に、標準の結合長および結合角を使用して、約5オングストローム〜約100オングストロームの長さを有する。より好ましくは、リンカーは、約10オングストローム〜約50オングストロームの長さを有する。ある態様において、リンカーは、少なくとも1つのアリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環式部分を含む。他の態様において、リンカーは、対称である。他の態様において、リンカーは、非対称である。リンカーは、多くの公知のホモ二官能性リンカーおよびヘテロ二官能性リンカーのいずれであってもよい。例えば、米国特許第7,001,989号、第6,967,107号、第6,921,669号、第6,906,182号、第6,887,952号、第6,759,509号、第6,521,431号、第6,512,101号、第5,880,270号、第5,856,571号、第5,824,805号、第5,262,524号、第5,258,498号、第5,212,075号、第5,165,923号、第5,141,648号を参照のこと。これらの各々は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0080】
別の態様において、リンカーは、A1、Y、D、J、TまたはUのいずれか1つとA1'、Y'、D'、J'、T'またはU'のいずれか1つとへ結合された-COR9a-または-R9aCO-基を含み得、ここで、R7aはO、SまたはNR10aであり、そしてR10aは、水素または低級アルキルである。この態様において、リンカーは、置換されてもよいアルキレン基を含んでもよい、第1基のR9a-および第2基のCO-へ結合された基をさらに含み、ここで、該アルキレン基の炭素原子のいずれもが、1つまたは複数のO、S、NR10a、アリーレン、およびヘテロアリーレン基で置換されてもよい。このようなリンカーの例としては、非限定的に、以下が挙げられる:



【0081】
別の態様において、リンカーは、A1、Y、D、J、TまたはUのいずれか1つおよびA1'、Y'、D'、J'、T'またはU'のいずれか1つへ結合されたカルボニル基を含み得、そしてさらに該カルボニル基へ結合されたアルキレン、ポリアルキレンまたはアラルキルグリコール基を含み得る。このようなグリコールの例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ならびにポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレングリコールのブロックコポリマー、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオエチレングリコール、ならびにペンタエチレン、ヘキサエチレン、ヘプタエチレン、オクタエチレン、ノナエチレン、およびデカエチレングリコールが挙げられる。これらのグリコールの特定の例としては、エチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-プロパンジオール;2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3,ジオール;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール;2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール;2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;2,2-4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール;チオジエタノール 1,2-シクロヘキサンジメタノール;1,3-シクロヘキサンジメタノール;1,4-シクロヘキサンジメタノール;2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール;p-キシリレンジオール、2,3-ナフタレンジオール、および2,7-ナフタレンジオールが挙げられる。ジアミノ化合物の例としては、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン;2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール;2,4-ジアミノ-5-メチルフェノキシエタノール;2,4-ジアミノジフェニルアミン;2,4-ジアミノフェノール;2,4-ジアミノフェノール;2,4-ジアミノフェノキシエタノール;2,6-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ピリジンジアミン;2,6-ジアミノピリジン;2,6-ジメトキシ-3,5-ピリジンジアミン、2-クロロ-5-ニトロ-n-ヒドロキシエチル p-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノメチル-p-アミノフェノール、および4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾールが挙げられる。アミノ-ヒドロキシ化合物の例としては、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン;2-アミノ-3-ニトロフェノール;2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール;2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソールスルフェート;および2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールが挙げられる。
【0082】
別の態様において、リンカーは、A1、Y、D、J、TまたはUのいずれか1つおよびA1'、Y'、D'、J'、T'またはU'のいずれか1つへ結合された酸素またはアミノ基を含み得、そしてさらに二酸を含み得、それによってジエステル、ジアミドまたはエステルアミドを与える。このような二酸の例としては、コハク酸、フマル酸、アジピン酸などが挙げられる。
【0083】
別の態様において、リンカーは、プロパルギル基とアジド基との付加環化によって導入される1,2,3-トリアゾール-4,5-エン基を含む。
【0084】
リンカーは、2つのSmac模倣化合物を連結して二価構造を作製するために使用される。一緒に連結されるSmac模倣化合物は、同一であっても異なっていてもよく、そしてIAPへ結合しIAPとカスパーゼとの相互作用を阻害することが公知である任意のSmac模倣化合物であり得る。1つの態様において、Smac模倣物は、立体配座的に制限されている。別の態様において、Smac模倣物は、天然のアミノ酸を含まない。さらなる態様において、Smac模倣物は、ペプチド結合を含まない。本発明における出発材料として有用である公知のSmac模倣化合物の例としては、以下が挙げられる。
【0085】
WO 2005/069888は、式VIのSmacペプチド模倣化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを開示している:

式中:
R1は、C1-2アルキルまたはC1-2ハロアルキルであり;
R2は、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
R3は、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
Yは、(CH2)0-3であり、ここで、1つまたは複数の炭素が、酸素、硫黄、および窒素より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換され得、そしてCH2基中の1つまたは複数の水素が、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくは環状アルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換され得;ならびに
Zは、CONH、CH2O、NHCO、(CH2)1-4、(CH2)1-3CONH(CH2)0-3、(CH2)1-3S(CH2)0-3、(CH2)1-3NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHCO(CH2)0-3、(CH2)1-3NHSO2(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(O)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(S)NH(CH2)0-3、または(CH2)1-3NR'(CH2)0-3であり、ここでR'は、分枝鎖または非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールである。
【0086】
WO 2005/069894は、式VIIのSmac模倣化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを開示している:

式中:
R1は、C1-2アルキルまたはC1-2ハロアルキルであり;
R2は、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールであり;
Xは、CONH、CH2O、CH2NH、CH2S、または(CH2)1-3であり;
Y1は、(CH2)1-5であり、ここで、1つまたは複数の炭素が、酸素、硫黄、および窒素より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換され得、そしてCH2基中の1つまたは複数の水素が、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくは環状アルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換され得;
Y2は、(CH2)1-5であり、ここで、1つまたは複数の炭素が、酸素、硫黄、および窒素より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって置換され得、そしてCH2基中の1つまたは複数の水素が、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくは環状アルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換され得;ならびに
Zは、CONH、CH2O、NHCO、(CH2)1-4、(CH2)1-3CONH(CH2)0-3、(CH2)1-3S(CH2)0-3、(CH2)1-3NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHCO(CH2)0-3、(CH2)1-3NHSO2(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(O)NH(CH2)0-3、(CH2)1-3NHC(S)NH(CH2)0-3、または(CH2)1-3NR'(CH2)0-3であり、ここで、R'は、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、または置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールである。
【0087】
WO 2006/010118は、式VIIIのSmac模倣物化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを開示している:

式中:
Aは、NR1R2、またはN+R1R2R3であり;
R1、R2、およびR3は、独立して、水素または置換されてもよいC1-8アルキル、C2-8アルケニル、もしくはC2-8アルキニルであり、ここで、1つまたは複数の炭素が、C=O、C=S、またはO、S、およびNより選択されるヘテロ原子によって置換され得、そしてCH、CH2またはCH3基中の1つまたは複数の水素が、フッ素、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、置換されてもよいアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリール、またはOR4、SR4、もしくはNR4R5によって置換され得;
R4、およびR5は、独立して、水素または置換されてもよいC1-4アルキル、C2-5アルケニル、もしくはC2-5アルキニルであり、ここで、1つまたは複数の炭素が、O、S、およびNより選択されるヘテロ原子、または置換されてもよいアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリールによって置換され得;または
R1、R2、およびR3のいずれか2つが、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、ヘテロ環式基を形成し、ここで、1つまたは複数の炭素原子が、C=O、C=S、またはO、S、およびNより選択されるヘテロ原子によって置換され得、但し、該ヘテロ原子は、少なくとも2つの炭素によって該窒素原子から隔てられており;
Bは、置換されてもよいC1-4アルキル、C2-4アルケニル、またはC2-4アルキニルであり、ここで、1つまたは複数の水素がフッ素によって置換され得;
Uは、CONH、C(O)O、C(S)O、C(S)NH、C(NH)NH、または(CH2)1-5であり、ここで、1つまたは複数の炭素が、O、S、およびNより選択されるヘテロ原子によって置換され得;
VおよびWは、独立して(CH2)1-5であり、ここで、1つまたは複数の炭素が、C=O、C=S、またはO、S、およびNより選択されるヘテロ原子によって置換され得、そしてCH2基中の1つまたは複数の水素が、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、置換されてもよいアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリール、またはOR4、SR4、もしくはNR4R5によって置換され得;
Xは、置換されてもよいC1-18アルキル、C2-18アルケニル、C2-18アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、1つまたは複数の炭素が、C=O、C=S、またはO、S、およびNより選択されるヘテロ原子によって置換され得、そしてCH、CH2またはCH3基中の1つまたは複数の水素が、分枝鎖もしくは非分枝鎖のアルキルもしくはシクロアルキル、置換されてもよいアリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、もしくはアルキルヘテロアリール、またはOR4、SR4、もしくはNR4R5によって置換され得;
Yは、CHまたはNであり;
Zは、CH2、C=O、C=S、CHSR、CHOR、またはCHNRであり;ならびに
Rは、水素または置換されてもよいC1-4アルキル、C2-4アルケニル、もしくはC2-4アルキニルである。
【0088】
米国特許出願公開第2005/0234042号は、式IXの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を開示している:

式中、R1は、H; C1-C4アルキル;C1-C4アルケニル;C1-C4アルキニルまたはC3-C10シクロアルキルであり、これらは、非置換であるかまたは置換されており;
R2は、H;C1-C4アルキル;C1-C4アルケニル;C1-C4アルキニルまたはC3-C10シクロアルキルであり、これらは、非置換であるかまたは置換されており;
R3は、H;-CF3;-C2F5;C1-C4アルキル;C1-C4アルケニル;C1-C4アルキニル;-CH2-Zであり、またはR2およびR3は、窒素と一緒になって、het環(het ring)を形成し;
Zは、H;-OH;F;Cl;-CH3;-CF3;-CH2Cl;-CH2Fまたは-CH2OHであり;
R4は、C1-C16直鎖または分枝鎖のアルキル;C1-C16アルケニル;C1-C16アルキニル;または-C3-C10シクロアルキル;-(CH2)1-6-Z1;-(CH2)0-6-アリール;および-(CH2)0-6-hetであり;ここで、アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは、非置換であるかまたは置換されており;
Z1は、-N(R8)-C(O)-C1-C10アルキル;-N(R8)-C(O)-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-N(R8)-C(O)-(CH2)0-6-フェニル;-N(R8)-C(O)-(CH2)1-6-het;-C(O)-N(R9)(R10);-C(O)-O-C1-C10アルキル;-C(O)-O-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-C(O)-O-(CH2)0-6-フェニル;-C(O)-O-(CH2)1-6-het;-O-C(O)-C1-C10アルキル;-O-C(O)-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-O-C(O)-(CH2)0-6-フェニル;-O-C(O)-(CH2)1-6-hetであり;ここで、アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは、非置換であるかまたは置換されており;
hetは、N、OおよびSより選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロ環式環、またはN、OおよびSより選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む少なくとも1つの5〜7員のヘテロ環式環を含む8〜12員の融合環系であり、このヘテロ環式環または融合環系は、炭素または窒素原子上において置換されているかまたは非置換であり;
R8は、H;-CH3;-CF3;-CH2OHまたは-CH2Clであり;
R9およびR10は、各々、独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C7シクロアルキル;-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-(CH2)0-6-フェニルであり;ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは、非置換であるかまたは置換されており、またはR9およびR10は、窒素と一緒になって、hetを形成し;
R5は、H;C1-C10-アルキル;アリール;フェニル;C3-C7シクロアルキル;-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-C1-C10アルキル-アリール;-(CH2)0-6-C3-C7シクロアルキル-(CH2)0-6-フェニル;-(CH2)0-4CH-((CH2)1-4-フェニル)2;-(CH2)0-6-CH(フェニル)2;-インダニル;-C(O)-C1-C10アルキル;-C(O)-(CH2)1-6-C3-C7-シクロアルキル;-C(O)-(CH2)0-6-フェニル;-(CH2)0-6-C(O)-フェニル;-(CH2)0-6-het;-C(O)-(CH2)1-6-hetであり;またはR5は、アミノ酸の残基であり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、フェニル、およびアリール置換基は、非置換であるかまたは置換されており;
Uは、構造Xで示される通りである:

式中、n=0〜5であり;
Xは、-CHまたはNであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、もしくはN原子またはC0-8アルキルであり、ここで、該アルキル鎖中の1つまたは複数の炭素原子は、O、S、もしくはNより選択されるヘテロ原子によって置換され得、そしてここで、該アルキルは、非置換であってもよくまたは置換されていてもよく;
Rdは、(a)-Re-Q-(Rf)p(Rg)q;または(b)Ar1-D-Ar2より選択され;
RcはHであるか、またはRcおよびRdは、一緒になって、シクロアルキルまたはhetを形成してもよく;ここで、RdおよびRcがシクロアルキルまたはhetを形成する場合、R5は、CまたはN原子において、該形成される環へ結合され;
pおよびqは、独立して0または1であり;
Reは、C1-8アルキルまたはアルキリデンであり、そしてReは、非置換であっても置換されていてもよく;
Qは、N、O、S、S(O)、またはS(O)2であり;
Ar1およびAr2は、置換または非置換のアリールまたはhetであり;
RfおよびRgは、各々、独立して、H;-C1-C10アルキル;C1-C10アルキルアリール;-OH;-O-C1-C10アルキル;-(CH2)0-6-C3-C7シクロアルキル;-O-(CH2)0-6-アリール;フェニル;アリール;フェニル-フェニル;-(CH2)1-6-het;-O-(CH2)1-6-het;-OR11;-C(O)-R11;-C(O)-N(R11)(R12);-N(R11)(R12);-S-R11;-S(O)-R11;-S(O)2-R11;-S(O)2-NR11R12;-NR11-S(O)2-R12;S-C1-C10アルキル;アリール-C1-C4アルキル;het-C1-C4-アルキル(ここで、アルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは、非置換であるかまたは置換されている);-SO2-C1-C2アルキル;-SO2-C1-C2アルキルフェニル;-O-C1-C4アルキルであり;または、RgおよびRfは、hetまたはアリールより選択される環を形成し;
Dは、-CO-;-C(O)-C1-7アルキレンまたはアリーレン;-CF2-;-O-;-S(O)(ここで、rは0〜2である);1,3ジオアキソラン(1,3dioaxolane);またはC1-7アルキル-OHであり;ここで、アルキル、アルキレン、またはアリーレンは、1つまたは複数のハロゲン、OH、-O-C1-C6アルキル、-S-C1-C6アルキルまたは-CF3で置換されていてもよくまたは非置換でもよく;または、Dは、-N(Rh)であり、ここで、Rhは、H;C1-7アルキル(非置換または置換);アリール;-O(C1-7シクロアルキル)(非置換または置換);C(O)-C1-C10アルキル;C(O)-C0-C10アルキル-アリール;C-O-C1-C10アルキル;C-O-C0-C10アルキル-アリール、またはSO2-C1-C10-アルキル;SO2-(C0-C10-アルキルアリール)であり;
R6、R7、R'6およびR'7は、各々、独立して、H;-C1-C10アルキル;-C1-C10アルコキシ;アリール-C1-C10アルコキシ;-OH;-O-C1-C10アルキル;-(CH2)0-6-C3-C7シクロアルキル;-O-(CH2)0-6-アリール;フェニル;-(CH2)1-6-het;-O-(CH2)1-6-het;-OR11;-C(O)-R11;-C(O)-N(R11)(R12);-N(R11)(R12);-S-R11;-S(O)-R11;-S(O)2-R11;-S(O)2-NR11R12;-NR11-S(O)2-R12であり;ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換であるかまたは置換されており;そして、R6、R7、R'6およびR'7は、一体化し環系を形成し得;
R11およびR12は、独立して、H;C1-C10アルキル;-(CH2)0-6-C3-C7シクロアルキル;-(CH2)0-6-(CH)0-1(アリール)1-2;-C(O)-C1-C10アルキル;-C(O)-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-C(O)-O-(CH2)0-6-アリール;-C(O)-(CH2)0-6-O-フルオレニル;-C(O)-NH-(CH2)0-6-アリール;-C(O)-(CH2)0-6-アリール;-C(O)-(CH2)1-6-het;-C(S)-C1-C10アルキル;-C(S)-(CH2)1-6-C3-C7シクロアルキル;-C(S)-O-(CH2)0-6-アリール;-C(S)-(CH2)0-6-O-フルオレニル;-C(S)-NH-(CH2)0-6-アリール;-C(S)-(CH2)0-6-アリール;-C(S)-(CH2)1-6-hetであり;ここで、アルキル、シクロアルキル、およびアリールは、非置換であるかまたは置換されており;または、R11およびR12は、細胞膜を通る前記分子の輸送を促進する置換基であり;または、R11およびR12は、窒素原子と一緒になって、hetを形成し;
ここで、R11およびR12のアルキル置換基は、C1-C10アルキル、ハロゲン、OH、-O-C1-C6アルキル、-S-C1-C6アルキル、または-CF3より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよくまたは非置換であってもよく;
R11およびR12の置換シクロアルキル置換基は、C1-C10アルケン;C1-C6アルキル;ハロゲン;OH;-O-C1-C6アルキル;-S-C1-C6アルキルまたは-CF3より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されており;ならびに
R11およびR12の置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン;ヒドロキシ;C1-C4アルキル;C1-C4アルコキシ;ニトロ;-CN;-O-C(O)-C1-C4アルキルおよび-C(O)-O-C1-C4-アリールより選択される1つまたは複数の置換基によって置換されている。
【0089】
米国特許出願公開第2005/0261203号は、式XIの化合物、ならびにそれらの塩および溶媒和物を開示している:

式中、X1およびX2は、独立して、OまたはSであり;
Lは、結合、-C(X3)-、-C(X3)NR12または-C(X3)O-であり、ここで、X3はOまたはSであり、そしてR12はHまたはR1であり;
R1は、アルキル、炭素環、炭素環置換アルキル、ヘテロ環、またはヘテロ環置換アルキルであり、ここで、各々は、任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、アミノ、ニトロ、アリール、およびヘテロアリールで置換され;
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロ環、またはヘテロシクリルアルキルであり;
R3は、Hまたはアルキルであり;
R4およびR4’は、独立して、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、ここで、各々は、任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アルキル、アルコキシ、アミノ、およびニトロで置換され;
R5およびR5’は、各々独立して、Hまたはアルキルであり;
R6は、Hまたはアルキルである。
【0090】
米国特許出願公開第2006/0014700号は、式XIIの化合物、ならびにそれらの塩および溶媒和物を開示している:

式中、X1、X2およびX3は、独立して、OまたはSであり;
Yは、(CHR7)n、OまたはSであり;ここで、nは1または2であり、そしてR7は、H、ハロゲン、アルキル、アリール、アラルキル、アミノ、アリールアミノ、アルキルアミノ、アラルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、またはアラルキルオキシであり;
Aは、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、ハロゲン、カルボキシル、アミジノ、グアニジノ、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、またはヘテロ環で置換されてもよい1〜4個のヘテロ原子を含む5員のヘテロ環であり;ここで、各アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、シクロアルキル、およびヘテロ環置換は、任意で、ヒドロキシル、ハロゲン、メルカプト、カルボキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、アリール、またはヘテロ環で置換され;
R1はHであるか、またはR1およびR2は、一緒になって、5〜8員環を形成し;
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロ環、またはヘテロシクリルアルキルであり;各々は、任意で、ヒドロキシル、メルカプト、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、またはアルキルチオで置換され;
R3は、Hまたはアルキルであり;
R4およびR4’は、独立して、H、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、ここで、各アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルは、任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、アルキル、アルコキシ、アミノ、およびニトロで置換され;
R5およびR5’は、各々独立して、Hまたはアルキルであり;
R6およびR6’は、各々独立して、H、アルキル、アリール、またはアラルキルである。
【0091】
本発明のある化合物は、光学異性体を含む立体異性体として存在し得る。本発明は、全ての立体異性体、純粋な個々の立体異性体調製物および各々の濃縮された調製物の両方、ならびにこのような立体異性体のラセミ混合物および個々のエナンチオマーの両方を含み、これらは、当業者に周知である方法に従って分離され得る。
【0092】
本発明のある態様において、式IIの化合物は、以下またはそれらの遊離塩基もしくはそれらの別の薬学的に許容される塩からなる群より選択される:







【0093】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して調製され得る。具体的には、式IIの化合物は、実施例における例示的な反応によって例示されるように調製され得る。
【0094】
本発明の重要な局面は、式IIの化合物がアポトーシスを誘導し、そしてまた、アポトーシス誘導シグナルに応答してアポトーシスの誘導を増強することである。従って、これらの化合物は、このような誘導因子に耐性である細胞を含む細胞を、アポトーシスの誘導因子に対して感作することが意図される。本発明のIAPインヒビターは、アポトーシスの誘導によって治療、改善、または予防され得る任意の障害においてアポトーシスを誘導するために使用され得る。従って、本発明は、IAPタンパク質を過剰発現すると特徴付けられる動物を標的化するための組成物および方法を提供する。ある態様において、細胞(例えば、癌細胞)は、非病理学的サンプル(例えば、非癌性細胞)と比べてIAPタンパク質の高い発現レベルを示す。他の態様において、細胞は、阻害有効量の式Iの化合物に対する応答においてアポトーシスプログラムを実行しそして死滅することによって、高い発現レベルのIAPタンパク質を実効的に示し、該応答は、少なくとも一部は、それらの生存についてのIAPタンパク質作用に対するこのような細胞の依存に起因して、生じる。
【0095】
別の態様において、本発明は、1つまたは複数のアポトーシス調節剤に関連するアポトーシス関連状態を調節することに関する。アポトーシス調節剤の例としては、Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、RIP、TNFα、Fasリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PPl、およびカスパーゼタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。アポトーシスの開始、決定および分解段階に関与する他の薬剤もまた含まれる。アポトーシス調節剤の例としては、その活性、存在、または濃度変化が被験体においてアポトーシスを調節し得る薬剤が挙げられる。好ましいアポトーシス調節剤は、アポトーシスの誘導因子、例えば、TNF、またはTNF関連リガンド、特に、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILである。
【0096】
ある態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば、ヒトおよび獣医学的動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物被験体)における、病変した細胞、組織、器官、または病理学的状態および/または疾患状態を治療するために使用される。この点で、種々の疾患および病状が、本発明の方法および組成物を使用する治療または予防に適用可能である。これらの疾患および状態の非限定的な例示的なリストとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:乳癌、前立腺癌、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌、結腸癌、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣癌、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頸部癌、神経膠腫、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、頭部または頚部癌腫、乳癌腫、卵巣癌腫、肺癌腫、小細胞肺癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌腫、精巣癌腫、膀胱癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、結腸癌腫、前立腺癌腫、泌尿生殖器癌腫、甲状腺癌腫、食道癌腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌腫、腎細胞癌腫、子宮内膜癌腫、副腎皮質癌腫、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド癌腫、絨毛癌、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、頚部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリー細胞白血病、神経芽腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽腫など、TおよびB細胞媒介自己免疫疾患;炎症性疾患;感染;過剰増殖性疾患;AIDS;変性状態、脈管疾患など。ある態様において、処理される癌細胞は、転移性である。他の態様において、処理される癌細胞は、抗癌剤に対して耐性である。
【0097】
ある態様において、本発明の組成物および方法での治療に好適な感染としては、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、プリオンなどによって引き起こされる感染が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明のある態様は、有効量の式Iの化合物ならびに少なくとも1つの追加の治療剤(化学療法抗新生物剤、アポトーシス調節剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない)を投与するため、および/または治療技術(例えば、外科的介入、および/または放射線治療)を施与するための方法を提供する。
【0099】
多数の好適な抗癌剤が、本発明の方法における使用について意図される。実際に、本発明は、以下のような多数の抗癌剤の投与を意図するが、これらに限定されない:アポトーシスを誘導する薬剤:ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣物(例えば、ゴシポールまたはBH3模倣物);BaxのようなBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、オリゴマー化するかまたは複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗物質;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗癌剤、毒素、ディフェンシンと結合された抗体)、毒素;放射性核種;生物学的応答修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫療法剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランス型レチノイン酸);遺伝子治療薬(例えば、アンチセンス療法薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管新生阻害剤;プロテオソームインヒビター;NF-KBモジュレーター;抗CDK化合物;HDACインヒビターなど。開示の化合物との同時投与に好適な化学療法化合物および抗癌療法の多数の他の例は、当業者に公知である。
【0100】
好ましい態様において、抗癌剤は、アポトーシスを誘導または刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射線(例えば、X線、γ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC));アンチセンス分子;抗体(例えば、HERCEPTIN、RITUXAN、ZEVALIN、およびAVASTIN);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェン、およびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド(bicalutamide)、フィナステリド、アミノグルテタミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ(celecoxib)、メロキシカム(meloxicam)、NS-398、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID));抗炎症薬(例えば、ブタゾリジン(butazolidin)、DECADRON、DELTASONE、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール(dexamethasone intensol)、DEXONE、HEXADROL、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、ORADEXON、ORASONE、オキシフェンブタゾン、PEDIAPRED、フェニルブタゾン、PLAQUENIL、プレドニゾロン、プレドニゾン、PRELONE、およびTANDEARIL);および癌化学療法剤(例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-1l、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、TAXOTEREまたはTAXOL);細胞内シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリンなど。
【0101】
なお他の態様において、本発明の組成物および方法は、式IIの化合物、ならびにアルキル化剤、代謝拮抗物質、および天然産物(例えば、ハーブおよび他の植物および/または動物由来化合物)より選択される少なくとも1つの抗過剰増殖剤または抗新生物剤を提供する。
【0102】
本発明の組成物および方法における使用に好適なアルキル化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン);4)ニトロソ尿素類(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));および5)トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド)。
【0103】
ある態様において、本発明の組成物および方法における使用に好適な代謝拮抗物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1)葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))。
【0104】
なおさらなる態様において、本発明の組成物および方法における使用に好適な化学療法剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物学的応答修飾物質(例えば、インターフェロン-α);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)アドレノコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン);12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール);13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);15)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド);ならびに17)性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(例えば、ロイプロリド)。
【0105】
癌療法の状況において慣用的に使用されている任意の腫瘍細胞崩壊剤が、本発明の組成物および方法において使用される。例えば、米国食品医薬品局は、米国における使用が承認された腫瘍細胞崩壊剤の処方集を管理する。U.S.F.D.A.に相当する国際機関は、類似の処方集を維持する。表1は、米国における使用が承認された例示的な抗新生物剤のリストを提供する。当業者は、全ての米国承認化学療法薬について必要とされる「製品ラベル」には、例示的な薬剤について、承認された表示、投薬情報、毒性データなどが記載されることを理解する。
【0106】
【表1】







【0107】
抗癌剤は、抗癌剤活性を有すると同定されたが、米国食品医薬品局または他の相当機関によって現在承認されていないか、または新規の用途について評価を受けている最中である化合物をさらに含む。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジクオン(apaziquone)、APC8015、アチプリモド(atiprimod)、ATN-161、アトラセンテン(atrasenten)、アザシチジン(azacitidine)、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ(bevacizumab)、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ(bortezomib)、ブリオスタチン-1(bryostatin-1)、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セテュキマブ(cetuximab)、CG0070、シレンギチド(cilengitide)、クロファラビン(clofarabine)、コンブレタスタチン(combretastatin)A4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン(decitabine)、DENSPM、ドキセルカルシフェロール(doxercalciferol)、E7070、E7389、エクチナサイジン(ecteinascidin)743、エファプロキシラル(efaproxiral)、エフロルニチン、EKB-569、エンザスタウリン(enzastaurin)、エルロチニブ(erlotinib)、エキシスリンド(exisulind)、フェンレチニド(fenretinide)、フラボピリドール(flavopiridol)、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン(fotemustine)、FR901228、G17DT、ガリキシマブ(galiximab)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ゲニステイン、グルフォスファミド(glufosfamide)、GTI-2040、ヒストレリン(histrelin)、HKI-272、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、HSPPC-96、hul4.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト(iloprost)、イミキモド、インフリキシマブ(infliximab)、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン(irofulven)、イクサベピロン(ixabepilone)、ラパチニブ(lapatinib)、レスタウルチニブ(lestaurtinib)、ロイプロリド、LMB-9抗毒素、ロナファルニブ(lonafarnib)、ルニリキシマブ(luniliximab)、マフォスファミド(mafosfamide)、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン(motexafin)、MS-275、MVA-MUCl-IL2、ニルタミド(nilutamide)、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセドジヒドロクロリド(nolatrexed dihydrochloride)、ノルバデックス(nolvadex)、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンソディウム(oblimersen sodium)、ONYX-015、オレゴボマブ(oregovomab)、OSI-774、パニツムマブ(panitumumab)、パラプラチン(paraplatin)、PD-0325901、ペメトレキセド(pemetrexed)、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン(pirfenidone)、ピキサントロン(pixantrone)、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ(ranpirnase)、レベッカマイシン(rebeccamycin)アナログ、rhuアンギオスタチン(rhuAngiostatin)タンパク質、rhuMab 2C4、ロジグリタゾン(rosiglitazone)、ルビテカン(rubitecan)、S-1、S-8184、サトラプラチン(satraplatin)、SB-, 15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ(sorafenib)、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット(talabostat)、タランパネル(talampanel)、タリキダル(tariquidar)、テムシロリムス(temsirolimus)、TGFa-PE38抗毒素、サリドマイド、チマルファシン(thymalfasin)、チピファルニブ(tipifarnib)、チラパザミン(tirapazamine)、TLK286、トラベクテジン(trabectedin)、グルコン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ(volociximab)、ボリノスタット(vorinostat)、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロイトン(zileuton)、およびゾスキダルトリヒドロクロリド(zosuquidar trihydrochloride)。
【0108】
抗癌剤および他の治療剤のより詳細な記載については、当業者は、Physician's Desk Reference and to Goodman and Gilman's「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」tenth edition, Eds. Hardman et al., 2002が挙げられるがこれに限定されない、任意の多数の指示マニュアルを参照のこと。
【0109】
本発明は、放射線療法と共に式IIの化合物を投与するための方法を提供する。本発明は、動物へ治療線量の放射線を送達するために使用されるタイプ、量、または送達および投与システムによって限定されない。例えば、動物は、光子放射線療法、粒子線照射療法、他のタイプの放射線療法、およびそれらの組み合わせを受け得る。ある態様において、放射線は、直線加速器を使用して動物へ送達される。なお他の態様において、放射線は、ガンマナイフを使用して送達される。
【0110】
放射線の供給源は、動物に対して外部または内部であり得る。外部放射線療法が最も一般的であり、高エネルギー放射線ビームを、例えば直線加速器を使用して、皮膚を介して腫瘍部位へ向けることを含む。放射線ビームが腫瘍部位へ集中されているが、正常で健康な組織の曝露を回避することはほぼ不可能である。しかし、外部放射線は、通常、動物によって十分に許容される。内部放射線療法は、癌細胞を特異的に標的化する送達システムを使用すること(例えば、癌細胞結合性リガンドへ結合された粒子を使用すること)を含む、放射線放出供給源(例えば、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子など)を腫瘍部位または腫瘍部位付近の体内に埋め込むことを含む。このような埋没物は、治療後に除去され得るか、または体内に不活性のままで残され得る。内部放射線療法のタイプとしては、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射線免疫療法などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
動物は、任意で、以下を受け得る:放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的細胞毒(DNA-affinic hypoxia selective cytotoxin)、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキサイド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター(intercalator)、5-チオトレトラゾール(5-thiotretrazole)誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフィリン(hydroxylated texaphrin)、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン(tiripazamine)、ニトロソ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(高熱)など)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキルジハイドロゲンホスホロチオエート、アミホスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6など)。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を増強する。放射線防護剤は、放射線の有害な効果から正常組織を防護する。
【0112】
放射線の線量が受け入れらない負の副作用なしに患者によって許容される限り、任意のタイプの放射線が動物へ与えられ得る。好適なタイプの放射線療法としては、例えば、電離(電磁)放射線療法(例えば、X線もしくはγ線)または粒子線照射療法(例えば、高線形エネルギー放射線)が挙げられる。電離放射線は、イオン化、即ち、電子の獲得または喪失を生じさせるに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と規定される(例えば、米国特許第5,770,581号に記載されている通りであり、これは、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。放射線の効果は、少なくとも部分的に、臨床医によって制御され得る。放射線の線量は、好ましくは、最大の標的細胞曝露および減少された毒性のために細分化される。
【0113】
動物へ与えられる放射線の総線量は、約.01グレイ(Gy)〜約100 Gyである。より好ましくは、約10 Gy〜約65 Gy(例えば、約15 Gy、20 Gy、25 Gy、30 Gy、35 Gy、40 Gy、45 Gy、50 Gy、55 Gy、または60 Gy)が、治療にわたって与えられる。ある態様においては、放射線の全線量が1日にわたって与えられ得るが、総線量は、理想的には、細分化され、そして数日間にわたって与えられる。望ましくは、放射線療法は、少なくとも3日間にわたって、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日間(約1〜8週間)にわたって、与えられる。従って、放射線の一日線量は、約1〜5 Gy(例えば、約1 Gy、1.5 Gy、1.8 Gy、2 Gy、2.5 Gy、2.8 Gy、3 Gy、3.2 Gy、3.5 Gy、3.8 Gy、4 Gy、4.2 Gy、または4.5 Gy)、好ましくは1〜2 Gy(例えば、1.5〜2 Gy)を含む。放射線の一日線量は、標的細胞の破壊を誘導するに十分であるべきである。ある期間を超える場合、放射線は、好ましくは、毎日与えられず、それによって、動物が休息しかつ治療効果が実現されることを可能にする。例えば、放射線は、望ましくは、各1週間の治療について、連続5日間与えられ、2日間与えられず、それによって1週間当たり2日間の休息が可能となる。しかし、放射線は、動物の応答性および可能性のある副作用に依存して、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または全7日/週、与えられ得る。放射線療法は、治療期間において、任意の時点で開始され得る。好ましくは、放射線は、第1週または第2週に開始され、そして治療期間の残りの期間与えられる。例えば、放射線は、例えば固形腫瘍を治療するための6週間を含む治療期間の第1〜6週または第2〜6週に与えられる。または、放射線は、5週間を含む治療期間の第1〜5週または第2〜5週に与えられる。しかし、これらの例示的な放射線療法投与スケジュールは、本発明を限定するようには意図されない。
【0114】
抗微生物治療剤もまた、本発明における治療剤として使用され得る。微生物の作用を消滅、阻害、またはそうでなければ軽減し得る任意の薬剤、ならびにこのような活性を有すると考えられる任意の薬剤が、使用され得る。抗微生物剤としては、単独でまたは組み合わせて使用される、天然および合成の抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えば、ディフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤などが挙げられるが、これらに限定されない。実際に、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などが挙げられるがこれらに限定されない任意のタイプの抗生物質が使用され得る。
【0115】
本発明のある態様において、式IIの化合物および1つまたは複数の治療剤もしくは抗癌剤が、1つまたは複数の以下の条件下で動物へ投与される:種々の周期性で、種々の継続時間、種々の濃度で、種々の投与経路によってなど。ある態様において、前記化合物は、治療剤または抗癌剤の前に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間前、1、2、3、4、5、または6日前、1、2、3、または4週間前に、投与される。ある態様において、前記化合物は、治療剤または抗癌剤の後に、例えば、抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間後、1、2、3、4、5、または6日後、1、2、3、または4週間後に、投与される。ある態様において、前記化合物および治療剤または抗癌剤は、同時にしかし異なるスケジュールで投与され、例えば、前記化合物は毎日投与され、一方、治療剤または抗癌剤は、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、または4週ごとに1回投与される。他の態様において、前記化合物は週に1回投与され、一方、治療剤または抗癌剤は、毎日、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、または4週ごとに1回投与される。
【0116】
本発明の範囲内の組成物は、本発明の化合物がその意図される目的を達成するに有効である量で含まれている全ての組成物を含む。個々の必要性は異なるが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該分野の技術内にある。典型的に、前記化合物は、アポトーシスの誘導に応答性である障害について治療される哺乳動物の体重の1日当たり、0.0025〜50 mg/kgの用量(または、それらの薬学的に許容される塩の当量)で、哺乳動物(例えば、ヒト)へ経口投与され得る。好ましくは、約0.01〜約25 mg/kgが、このような障害を治療、改善、または予防するために経口投与される。筋肉内注射については、用量は、一般的に、経口用量の約半分である。例えば、好適な筋肉内用量は、約0.0025〜約25 mg/kg、そして最も好ましくは、約0.01〜約5 mg/kgである。
【0117】
単位経口用量は、約0.01〜約1000 mg、好ましくは約0.1〜約100 mgの前記化合物を含み得る。単位用量は、約0.1〜約10、好都合には約0.25〜約50 mgの前記化合物またはその溶媒和物を各々が含有する1つまたは複数の錠剤またはカプセル剤として、1日1回または複数回投与され得る。
【0118】
局所製剤において、前記化合物は、担体1グラム当たり約0.01〜100 mgの濃度で存在し得る。好ましい態様において、前記化合物は、約0.07〜1.0 mg/ml、より好ましくは、約0.1〜0.5 mg/ml、最も好ましくは、約0.4 mg/mlの濃度で存在する。
【0119】
前記化合物を原料のままの化学物質として投与することに加えて、本発明の化合物は、薬学的に使用され得る調製物中への前記化合物のプロセッシングを促進する賦形剤および助剤を含む好適な薬学的に許容される担体を含有する薬学的調製物の一部として投与され得る。好ましくは、前記調製物、特に、経口または局所投与され得、かつ、好ましい投与タイプについて使用され得る調製物(例えば、錠剤、糖剤、徐放性ロゼンジおよびカプセル剤、マウスリンスおよびマウスウォッシュ、ジェル、液体懸濁液、ヘアーリンス、ヘアージェル、シャンプー)、ならびにまた経腸投与され得る調製物(例えば、坐剤)、ならびに静脈内注入、注射、局所または経口投与について好適な液剤は、賦形剤と共に、約0.01〜99%、好ましくは約0.25〜75%の活性化合物を含有する。
【0120】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有利な効果を経験し得る任意の動物へ投与され得る。本発明はそのように限定されるように意図されないが、このような動物の中で主要なのは哺乳動物、例えば、ヒトである。他の動物としては、獣医学的動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が挙げられる。
【0121】
前記化合物およびそれらの薬学的組成物は、それらの意図される目的を達成する任意の手段で投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経頬、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内、または局所経路により得る。代わりに、または同時に、投与は、経口経路により得る。投与される投薬量は、受容者の年齢、健康、および体重、もしあれば、同時治療の種類、治療の頻度、および望まれる効果の性質に依存する。
【0122】
本発明の薬学的調製物は、それ自体公知である様式で、例えば、通常の混合、造粒、糖衣作製、溶解、または凍結乾燥プロセスによって、製造され得る。従って、経口用の薬学的調製物は、活性化合物と固体賦形剤を混合し、望ましい場合または必要な場合、好適な助剤を添加した後、任意で、得られた混合物を粉砕しそして顆粒混合物を処理し、錠剤または糖衣コアを得ることによって、得られ得る。
【0123】
好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、糖類、例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、ならびに結合剤、例えば、デンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプンを使用する)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンである。必要に応じて、崩壊剤、例えば、上述のデンプンおよびまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムが添加され得る。助剤は、上記全て、流動調節剤(flow-regulating agent)および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣コアは、必要に応じて、胃液に耐性である、好適なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮された糖類溶液が使用され得、これは、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。胃液に耐性であるコーティングを作製するために、アセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの好適なセルロース調製物の溶液が使用される。例えば、同定のためまたは活性化合物用量の組み合わせを特徴付けるために、色素または顔料が、錠剤または糖衣コーティングへ添加される。
【0124】
経口的に使用され得る他の薬学的調製物としては、ゼラチンから作製されたプッシュ-フィットカプセル剤(push-fit capsule)、ならびにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製されたソフトシールドカプセル剤(soft, sealed capsule)が挙げられる。プッシュ-フィットカプセル剤は、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、および、任意で、安定剤と混合され得る顆粒の形態で活性化合物を含有し得る。ソフトカプセル剤において、活性化合物は、好ましくは、好適な液体、例えば、脂肪油、または流動パラフィン中に溶解または懸濁されている。さらに、安定剤が添加され得る。
【0125】
経直腸的に使用され得る可能性のある薬学的調製物としては、例えば、1つまたは複数の活性化合物と坐剤基剤との組み合わせからなる、坐剤が挙げられる。好適な坐剤基剤は、例えば、天然もしくは合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との組み合わせからなるゼラチン直腸カプセル剤を使用することも可能である。可能性のある基剤材料としては、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が挙げられる。
【0126】
非経口投与用の好適な製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩およびアルカリ性溶液が挙げられる。さらに、好適な油性注射懸濁剤としての活性化合物の懸濁液が、投与され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドまたはポリエチレングリコール-400が挙げられる。水性注射懸濁剤は、該懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含有し得る。任意で、該懸濁剤はまた安定剤を含有し得る。
【0127】
本発明の局所用組成物は、好適な担体の選択によって、好ましくは、オイル、クリーム、ローション、軟膏剤などとして製剤化される。好適な担体としては、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分岐鎖脂肪または油、動物性脂肪、および高分子量アルコール(C12より大きい)が挙げられる。好ましい担体は、その中で有効成分が可溶性であるものである。乳化剤、安定剤、湿潤剤および抗酸化剤、ならびに必要に応じて、色および香りを与える薬剤もまた、含まれ得る。さらに、経皮透過促進剤が、これらの局所用製剤において使用され得る。このような促進剤の例は、米国特許第3,989,816号および第4,444,762号に見られ得る。
【0128】
クリームは、好ましくは、鉱油、自己乳化性蜜蝋および水の混合物から製剤化され、この混合物において、少量の油(例えば、アーモンド油)に溶解されている有効成分が、混合されている。このようなクリームの典型的な例は、約40の割合の水、約20の割合の蜜蝋、約40の割合の鉱油、および約1の割合のアーモンド油を含むものである。
【0129】
軟膏剤は、植物油(例えば、アーモンド油)中の有効成分の溶液と温かい軟パラフィンとを混合しそして混合物を冷却することによって、製剤化され得る。このような軟膏剤の典型的な例は、約30重量%のアーモンド油および約70重量%の白色軟パラフィンを含むものである。
【0130】
ローションは、通常、好適な高分子量アルコール、例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール中に有効成分を溶解することによって、調製され得る。
【0131】
下記の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であり、しかし限定ではない。臨床治療において通常遭遇しかつ当業者に自明である種々の条件およびパラメータの他の好適な改変および適応は、本発明の精神内および範囲内にある。
【0132】
実施例1
二価Smac模倣物の合成
一般方法:NMRスペクトルを、300 MHzのプロトン周波数で得た。1H化学シフトは、内部標準としてのMe4Si(0.00 ppm)、CHCl3(7.26 ppm)、CD2HOD(3.31 ppm)、またはDHO 04.79 ppm)で報告される。13C化学シフトは、内部標準としてのCDCl3 (77.00 ppm)、CD3OD(49.00 ppm)、または1,4-ジオキサン(67.16 ppm)で報告される。旋光度を室温で測定した。
【0133】
一般手順A(濃縮):
CH2Cl2中の2つの基質の溶液(より少ない基質(substrate)について20 mg/mL)へ、撹拌しながら0℃で、EDC(1アミノ基当たり1.1 eq)、HOBt(1アミノ基当たり1.1 eq)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1アミノ基当たり4 eq)を添加した。混合物を室温で8時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、生成物が得られた。
【0134】
一般手順B(クリック化学):
CuSO4の溶液(10 mg/mL)へL(+)-アスコルビン酸ナトリウム(2 eq)を添加した。色が鮮黄色に変化するまで混合物を振盪した。アセトニトリルまたは2-メチルプロパノール中の前記2つの基質の溶液(より少ない基質について20 mg/mL)へ、CuSO4-L-アスコルビン酸ナトリウムの予め作製した混合物(より少ない基質1eq当たりCuSO4 0.1 eq)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、生成物が得られた。
【0135】
一般手順C(Bocの脱保護):
メタノール中の前記基質の溶液(20 mg/mL)へ、1,4-ジオキサン中のHClの溶液(4 M, 10-20 eq/Boc)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮し、生成物が得られた。
【0136】
実施例2
DQ-24、SH-143、SH-155およびSH-142の合成
化合物DQ-24、SH-143、SH-155およびSH-142をスキームIに従って合成した。
スキームI:

試薬および条件:(a)i.トリフルオロ酢酸無水物、Et3N、CH2Cl2、rt;ii.NaHCO3、MeOH、95%;(b)NaH、臭化プロパルギル、DMF、92%;(c)i.MsCl、Et3N;ii.NaN3、DMF、100℃、2工程にわたって85%;(d)i.3、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、CH3CN-H2O 3:1;ii.2N LiOH、1,4-ジオキサン-H2O 1:1、2工程にわたって74%;(e)i.NaH、ベンジル2-ブロモエチルエーテル;ii.10% Pd-C、H2、MeOH;iii.MsCl、Et3N;iv.NaN3、DMF、4工程にわたって65%;(f)i.3、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、CH3CN-H2O 3:1;ii.2N LiOH、1,4-ジオキサン-H2O 1:1、2工程にわたって72%;(g)プロパルギルエーテル(5 eq)、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、CH3CN-H2O 3:1、69%;(h)i.8、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、CH3CN-H2O 3:1、ii.1,4-ジオキサン中4N HCl、MeOH、95%:(i)NaH、臭化プロパルギル、DMF、82%;(j)i.8(2.2 eq)、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、CH3CN-H2O 3:1、ii.1.4-ジオキサン中4N HCl、MeOH、2工程にわたって62%。
【0137】
トリフルオロ酢酸無水物でのL-フェニルグリシノール1中のアミノ基の選択的保護によって、アルコール2が得られた。臭化プロパルギルでの2のアルキル化によって、アルキン3が得られた。2と塩化メタンスルホニルとを反応させ、続いて、得られたメシレートをNaN3で置換することによって、アジド4が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下で3および4を付加環化させ、続いてトリフルオロアセチル基を除去することによって、ジアミン5が得られた。
【0138】
2をベンジル2-ブロモエチルエーテルでアルキル化し、続いてベンジル保護基を加水分解することによって、アルコールが得られた。このアルコールと塩化メタンスルホニルとを反応させ、続いて、得られたメシレートをNaN3で置換することによって、アジド6が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下で6を3と付加環化し、続いてトリフルオロアセチル基を除去することによって、ジアミン7が得られた。
【0139】
本発明者の以前報告した方法(Sun et al, Tetrahedron Letters, 46:7015 (2005))に従って、化合物8を合成した。化合物8を過剰量のプロパルギルエーテル(5-10 eq)と付加環化することによって、アルキン9が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下で9および8を付加環化し、続いてBoc保護基を除去することによって、ジアミン10が得られた。
【0140】
本発明者の以前報告した方法(Sun et al., Tetrahedron Letters, 46:7015 (2005))に従って、化合物11を合成した。11を臭化プロパルギルでアルキル化することによって、アルキン12が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下で2.2 eqの8を1 eqの12と付加環化し、続いてBoc保護基を除去することによって、ジアミン13が得られた。
【0141】
スキームII:

試薬および条件:(a)10% Pd-C、MeOH、H2、100%;(b)i.ジアミン, EDC, HOBt, N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;ii.1,4-ジオキサン中4N HCl、MeOH;iii.L-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iv.1,4-ジオキサン中4N HCl。
文献に報告された方法(Duggan et al., Org. Biomol. Chem., 3:2287 (2005))(スキームII)に従って、化合物14を合成した。化合物14におけるC-C二重結合の還元およびベンジルエステルの加水分解によって、酸15が得られた。2.2 eqの15と上記ジアミンそれぞれとを縮合させ、続いてBoc保護基を除去することによって、4つのアンモニウム塩が得られた。これらの塩とL-N-Boc-N-メチルアラニンとをそれぞれ縮合させ、続いてBoc保護基を脱保護することによって、二価Smac模倣物DQ-24、SH-143、SH-142およびSH-155が得られた。各化合物についての合成スキームの効率を表2に示す。
【0142】
【表2】

【0143】




















【0144】
実施例3
SH-156、SH-158、SH-159、SH-164、SH-165、SH-166およびSH-167の合成
化合物SH-156、SH-158、SH-159、SH-164、SH-165、SH-166およびSH-167を、スキームIIIに従って合成した。
スキームIII:

試薬および条件:(a)i.17、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;ii.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH;iii.L-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、CH2Cl2、3工程にわたって78%;(b)i.ジアジド、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、t-BuOH-H2O 3:1;ii.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH。
【0145】
化合物16から文献に報告される方法[Messina, et al., J. Org. Chem., 64:3767 (1999)]に従って、キラルアミン17が調製され得る。酸15とキラルアミン17とを縮合させ、続いてメタノール中においてHClでBoc保護基を脱保護することによって、アンモニウム塩が得られた。この塩とL-N-Boc-N-メチルアラニンとを縮合させることによって、中間体18が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下で対応のジアジドそれぞれと18を付加環化し、続いてBoc保護基を脱保護することによって、設計された二価Smac模倣物SH-156、SH-158、SH-159、SH-164、SH-165、SH-166およびSH-167が得られた。各化合物についての合成スキームの効率を表3に示す。
【0146】
【表3】

【0147】
















【0148】
実施例4
SH-153およびSH-172の合成
化合物SH-153およびSH-172を、スキームIVおよびVに従って合成した。
スキームIV:

試薬および条件:(a)9-BBN、THF、次いでH2O2(水中35%)、3 N NaOH;(b)Dess-Martinペルヨージナン、CH2Cl2、20についての収率33%、21についての収率62%;(c)Dess-Martinペルヨージナン、CH2Cl2、96%;(d)NaBH3CN、MeOH、H2SO4(触媒)、94%。
【0149】
9-BBNでの処理によって化合物14中のC-C二重結合をボロハイドロゲネーション(borohydrogenation)し、続いて、得られたボランをアルカリ性H2O2によって酸化することによって、4つのアルコールの混合物が得られた。アルコール19は、クロマトグラフィーによって他の3つの異性体から分離され得、そしてその構造をX線解析によって確認した。Dess-Martinペルヨージナンにより他の3つの異性体の混合物を酸化することによって、2つのケトン20および21が得られ、これらはクロマトグラフィーによって分離され得る。触媒量のH2SO4の存在下でケトン20をNaBH3CNにより還元することによって、単一の異性体としてアルコール22が得られた。Dess-Martinペルヨージナンによりアルコール19を酸化することによっても、ケトン20が得られ、従ってアルコール22の構造も確認した。
【0150】
スキームV:

試薬および条件:(a)i.10% Pd-C、H2、MeOH;ii.(R)-(-)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチルアミン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iii.MsCl、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iv.NaN3、DMF;(b)プロパルギルエーテル(5 eq)、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、AcCN:t-BuOH:H2O 2:2:1、rt;(c)23または24、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、t-BuOH:H2O 1:1、rt;(d)i.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH;ii.L-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iii.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH。
【0151】
19および22におけるベンジルエステルを加水分解し、続いて、得られた酸と(R)-(-)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチルアミンとを縮合させることによって、2つのアミドが得られた(スキームV)。これら2つのアミドと塩化メタンスルホニルとを反応させ、続いて、得られた2つのメシレートをNaN3で置換することによって、2つのアジド23および24が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下でこれら2つのアジドを過剰量のプロパルギルエーテルと付加環化することによって、2つのアルキン25および26が得られた。これら2つのアルキンと23および24をそれぞれ付加環化することによって、化合物27および28が得られた。これら2つの化合物中のBoc保護基を除去し、続いてL-N-Boc-N-メチルアラニンと縮合することによって、2つのアミドが得られた。これら2つのアミド中のBoc保護基を除去することによって、SH-153およびSH-172がそれぞれ得られた。
【0152】

50 mLの乾燥THF中の化合物14(1.25 g, 3 mmol)の溶液へ、9 mLの9-BBN溶液(THF中0.5 M, 4.5 mmol)を添加した。溶液を12時間還流した後、1.5 mLの3 M NaOH溶液および2 mLのH2O2溶液(水中35%)を0℃で滴下した。室温へ加温しそして2時間撹拌した後、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物19(330 mg, 25%)および3つの他の異性体の混合物(580 mg, 45%)が得られた。
化合物19についての化学データ:

【0153】

15 mLのCH2Cl2中の上記で得られた3つの異性体の混合物(570 mg, 1.3 mmol)の溶液へ、室温で、Dess-Martinペルヨージナン(660 mmol, 1.56 mmol)を添加した。混合物を同一温度で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物20(160 mg, 28%)および21(330 mg, 58%)が得られた。化合物19は、同一の方法で化合物20へ酸化され得る。
化合物20の化学データ:

化合物21の化学データ:

【0154】

15 mLのメタノール中の化合物20(160 mg, 0.37 mmol)の溶液へ、-15℃で、NaBH3CN(120 mg, 1.9 mmol)および3滴のH2SO4(98%)を添加した。同一温度で4時間撹拌した後、10 mLの水を添加し、そして混合物を酢酸エチル(30 mL×4)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物22(147 mg, 92%)が得られた。

【0155】

10 mLのCH2Cl2中の化合物19(170 mg, 0.39 mmol)の溶液へ、塩化メタンスルホニル(0.05 mL, 0.6 mmol)を添加した。溶液を0℃へ冷却し、次いで0.2 mLのN,N-ジイソプロピルエチルアミンを滴下した。混合物を室温で4時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、メシレートが得られた。10 mLのメタノール中のこのメシレートの溶液へ、50 mgの10% Pd-Cを添加した。混合物を3時間H2下で室温において撹拌した後、触媒を濾別し、そして濾液(filtration)を濃縮し、酸が得られた。前記酸を10 mLのCH2Cl2に溶解した。この溶液へ、(R)-(-)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチルアミン(60 mg, 0.4 mmol)、EDC(77 mg, 0.4 mmol)、HOBt(55 mg, 0.4 mmol)および0.3 mLのN,N-ジイソプロピルエチルアミンを続いて添加した。この溶液を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、アミドが得られた。5 mLのDMF中のこのアミドの溶液へ、0.2 gのNaN3を添加した。混合物を110℃で6時間撹拌し、次いで60 mLの酢酸エチルおよび15 mLのブラインに分配した。有機層をNa2SO4で乾燥し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物23(132 mg, 4工程にわたって68%)が得られた。

【0156】

化合物22から、化合物6についての順序と同一の順序で、化合物24を合成した(4工程にわたって63%)。

【0157】

2 mLの水中の20 mgのCuSO4の溶液へ、40 mgのL(+)-アスコルビン酸ナトリウムを添加した。色が鮮黄色に変化するまで、混合物を振盪した。この混合物を、室温で、3 mLのアセトニトリルおよび3 mLのt-BuOH中の化合物23(120 mg, 0.24 mmol)および0.2 mLのプロパルギルエーテルの溶液へ滴下した。混合物を同一温度で一晩撹拌し、次いで60 mLのCH2Cl2および15 mLのブラインに分配した。有機層をNa2SO4で乾燥し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物25(105 mg, 74%)が得られた。

【0158】

化合物24から、化合物25についての方法と同一の方法で、化合物26を合成した(収率73%)。

【0159】

3 mLのアセトニトリルおよび3 mLのt-BuOH中の化合物23および25の溶液へ、2 mLの水中の20 mgのCuSO4および40 mgのL(+)-アスコルビン酸ナトリウムの混合物を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで60 mLのCH2Cl2および15 mLのブラインに分配した。有機層をNa2SO4で乾燥し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、化合物27(79%)が得られた。

【0160】

化合物24および26から、化合物27についての方法と同一の方法で、化合物28を合成した。

【0161】

5 mLのメタノール中の化合物27の溶液へ、1 mLのHCl溶液(1,4-ジオキサン中4 N)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮した。残渣を5 mLのCH2Cl2に懸濁させた。この混合物へ、L-N-メチル-N-Boc-アラニン、EDC、HOBtおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンを添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮した。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、アミドが得られた。5 mLのメタノール中のこのアミドの溶液へ、1 mLのHCl溶液(1,4-ジオキサン中4 N)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮し、粗SH-172がHClとの塩として得られた。この化合物をHPLCによって精製し、純粋な生成物が得られた。勾配を、25分で、75%の溶媒A(0.1%のTFAを含む水)および25%の溶媒B(0.1%のTFAを含むアセトニトリル)から55%の溶媒Aおよび45%の溶媒へ変化させた。分析HPLCによって、純度が95%超であることが示された。


【0162】

化合物28から、SH-172についての順序と同一の順序で、SH-153を合成した。

【0163】
実施例5
SH-146の合成
化合物SH-146をスキームVIに従って合成した。
スキームVI:

試薬および条件:(a)i.2 N LiOH、1,4-ジオキサン:H2O 1:1;ii.15、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2、2工程にわたって88%;(b)i.24、CuSO4、L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、t-BuOH-H2O 1:1;ii. 1,4-ジオキサン中4N HCl、MeOH;iii.L-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iv.1,4-ジオキサン中4N HCl、MeOH、4工程にわたって55%。
【0164】
化合物3中のトリフルオロアセチル保護基を除去し、続いて、得られたアミンと酸15とを縮合することによって、アミド29が得られた。CuSO4-L(+)-アスコルビン酸ナトリウムの触媒作用下においてアルキン29とアジド24を付加環化し、続いてBoc保護基を除去することによって、アンモニウム塩が得られた。この塩とL-N-Boc-N-メチルアラニンとを縮合した後、メタノール中のHClでの処理によってBoc保護基を切断し、二価Smac模倣物SH-146が得られた。




【0165】
実施例6
YP-317、YP-381、YP-383およびYP-385の合成
化合物YP-317をスキームVIIに従って合成した。

試薬および条件:(a)tert-ブチルジメチルシリルクロリド、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、塩化メチレン;(b)10% Pd-C、メタノール、H2、2工程にわたって88%;(c)Boc-Dap(Z)-OH、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、塩化メチレン;(d)テトラヒドロフラン中1 Mテトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラヒドロフラン、2工程にわたって87%;(e)Dess-Martinペルヨージナン、塩化メチレン、96%;(f)10% Pd-C、メタノール、H2、64%;(g)クロロギ酸ベンジル、炭酸水素ナトリウム、1,4-ジオキサン、95%;(h)塩化チオニル、メタノール;(i)Boc無水物、炭酸水素ナトリウム、1,4-ジオキサン、2工程にわたって71%;(j)H2O中2 M水酸化リチウム、1,4-ジオキサン-H2O;(k)アミノジフェニルメタン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン, 塩化メチレン、2工程にわたって74%;(l)1,4-ジオキサン中4 M塩化水素、メタノール;(m)L-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、塩化メチレン、2工程にわたって78%;(n)10% Pd-C、メタノール、H2、90%;(o)α,α'-ジブロモ-p-キシレン、炭酸水素ナトリウム、1,4-ジオキサン;(p)化合物21、炭酸水素ナトリウム、1,4-ジオキサン;(q)1,4-ジオキサン中4M塩化水素、メタノール、3工程にわたって34%。
【0166】
公開された方法(Zhang et al., Org. Lett., 4:4029-4032 (2002);(b) Polyak et al., J. Org. Chem. 63:5937-5949 (1998))によって、ピログルタミン酸(化合物30)から、6工程で、化合物31を調製した。化合物31中のヒドロキシル基をTBSで保護し、化合物32が得られた。接触水素化によってベンジル保護基を除去し、アミン33が得られ、これをBoc-Dap(Z)-OHとカップリングし、アミド34が得られた。化合物34中のTBS保護基を、テトラヒドロフラン中の1 Mテトラブチルアンモニウムフルオライドによって除去し、アルコール35が得られ、次いでこれをDess-Martinペルヨージナンによってアルデヒド36へ酸化した。接触水素化によって化合物36中のCbz保護基を除去し、所望のアミンと前記アルデヒドとを分子内縮合させ、そして引き続いて、得られたエナミンをワンポット(one pot)で還元し、二環式化合物37が得られた。アミン37をCbz保護基で保護し、化合物38が得られた。化合物38中のBoc保護基を除去し、そしてメタノール中の塩化チオニルでの処理によってtert-ブチルエステルをメチルエステルへ変換し、化合物39が得られた。アミン基をBoc保護基で保護し、化合物40が得られた。メチルエステル40をカルボン酸41へ変換し、これをアミノジフェニルメタンと縮合させ、アミド42が得られた。化合物42中のBoc保護基を除去し、遊離アミン43が得られ、これをL-N-Boc-N-メチルアラニンとカップリングし、アミド44が得られた。化合物44中のCbz保護基を接触水素化によって除去し、アミン45が得られ、これをα,α'-ジブロモ-p-キシレンで処理し、化合物46が得られた。化合物46を化合物45および炭酸水素ナトリウムで処理し、保護された二量体47が得られ、このBoc保護基を除去し、所望の二量体YP-317が形成された。

【0167】
YP-381、YP-383およびYP-385を、化合物45のアシル化によって類似の様式で合成した。






【0168】
実施例7
Smac模倣物中間体の合成
スキームVIII

試薬および条件:(a)i.1,4-ジオキサン中4 N HCl、メタノール;ii.Boc-Dap(Z)-OH、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2、2工程にわたって52%;(b)O3、次いでPPh3、CH2Cl2、90%;(c)H2、10% Pd-C、i-PrOH、41%;(d)9-BBN(2 eq)、THF、還流、12h、次いで3 N NaOH(2 eq)、35% H2O2(2.5 eq)、0℃ - rt、85%;(e)i.Dess-Martinペルヨージナン、CH2Cl2;ii.H2、10% Pd-C、i-PrOH、2工程にわたって50%。
中間体51および53の合成をスキームVIIIに示す。化合物48は、主生成物としてR形態異性体を含む2つのジアステレオ異性体の混合物(比は4:1である)として、報告される方法((1)Zhang, J.; Xiong, C.; Wang, W.; Ying, J.; Hruby, V., J. Org. Lett., 2002, 4 (23), 4029-4032および(2)Polyak, F. and Lubell, W. D. J. Org, Chem. 1998, 63, 5937-5949を参照のこと)に従って、ピログルタミン酸30から5工程で調製され得る。48中のBoc基を除去し、続いてN-α-(tert-ブトキシルカルボニル)-N-β-(ベンゾキシルカルボニル)-L-ジアミノ-プロピオン酸(Boc-Dap(Z)-OH)と縮合させ、アミド49が得られた。49中のC-C二重結合のオゾン酸化によって、アルデヒド50が得られた。4中のCbz基を切断し、得られたアミンと前記アルデヒド基とを分子内縮合させ、そして引き続いて、エナミンをワンポットで還元し、化合物51が得られた。この変換において、化合物51のみが得られ、そしてその異性体の検出可能な形成は存在せず、このことは、前記少量の方の異性体由来のアミノアルデヒドは、これらの条件下で環化しないことを示唆している。
【0169】
9-BBNで49中のC-C二重結合をヒドロボレーションし、続いて、得られたボランをアルカリ性酸化し、アルコール52が得られた。Dess-Martinペルヨージナンで52を酸化することによって、2つのアルデヒドの混合物が得られ、これを、化合物51についての手順と同一の手順で環化し、化合物53が得られた。51と同様に、この変換の間、1つの異性体のみが得られた。
化合物51についての分析データ:

化合物53についての分析データ:

【0170】
実施例8
SH-188、189および190の合成
スキームIX

試薬および条件:(a)EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;(b)i.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH;ii.(S)-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iii.10% Pd-C、H2、MeOH;(c)チオホスゲンまたはトリホスゲン、CH2Cl2;ii.1,4-ジオキサン中4 N HCl、MeOH。
酸15とアミン54または55とを縮合させることによって、アミド56および57がそれぞれ得られた(スキームIX)。56または57中のBoc保護基を除去し、続いて、得られたアンモニウムと(S)-N-Boc-N-メチルアラニンとを縮合させ、2つのアミドが得られた。これら2つのアミド中のCbz保護基を除去することによって、アミン58および59が得られた。58または59と0.5 eqのトリホスゲンとを縮合させることによって、2つの尿素が得られた。これら2つの尿素中のBoc保護基を除去することによって、SH-188およびSH-190がそれぞれ得られた。58と0.5 eqのチオホスゲンとを縮合させることによって、チオ尿素が得られた。このチオ尿素中のBoc保護基を除去することによって、SH-189が得られた。
【0171】
実施例9
SH-202の合成
スキームX

試薬および条件:(a)i.NaH(2.5 eq)、1,12-ジブロモドデカン、DMF;ii.1,4-ジオキサン中3 N LiOH;(b)酸15(2.2 eq)、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;(c)i.4 N HCl、1,4-ジオキサン、MeOH;ii.(S)-N-Boc-N-メチルアラニン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;iii.4 N HCl、1,4-ジオキサン、MeOH。
化合物60から誘導されたナトリウムアルコラートを1,12-ジブロモドデカンで置換し、続いて、トリフルオロアセチル基を除去し、ジアミン61が得られた。61と2 eqの酸15とを縮合させ、アミド62が得られた。62中のBoc保護基を除去し、続いて(S)-N-Boc-N-メチルアラニンと縮合させ、アミドが得られた。このアミド中のBoc保護基を除去することによって、SH-202が得られた。
【0172】
実施例10
Smac模倣物中間体の合成
スキームXI

試薬および条件:(a)i.1,4-ジオキサン中の4 N HCl、メタノール;ii.Boc-Dap(Z)-OH、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;(b)O3、次いでPPh3、CH2Cl2;(c)H2、10% Pd-C、i-PrOH;(d)i.CbzCl、NaHCO3、1,4-ジオキサン;ii.3 N LiOH、1,4-ジオキサン、次いで1 N HCl;(e)i.アミン、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;ii.1,4-ジオキサン中の4 N HCl、メタノール;iii.(S)-N-保護されたアミノ酸、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;(f)i.二酸(0.5 eq)、EDC、HOBt、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;ii.1,4-ジオキサン中の4 N HCl、メタノール。
重要な中間体41の合成について新規かつ効率的な方法を、スキームXIに示す。化合物48は、主生成物としてR形態異性体を含む2つのジアステレオ異性体の混合物(比は4:1である)として、報告される方法((1)Zhang, J.; Xiong, C.; Wang, W.; Ying, J. and Hruby, V., J. Org. Lett., 2002, 4 (23), 4029-4032および(2)Polyak, F. and Lubell, W. D. J. Org, Chem. 1998, 63, 5937-5949を参照のこと)に従って、ピログルタミン酸30から5工程で調製され得る。48中のBoc基を除去し、続いてN-α-(tert-ブトキシルカルボニル)-N-β-(ベンゾキシルカルボニル)-L-ジアミノ-プロピオン酸(Boc-Dap(Z)-OH)と縮合させ、アミド49が得られた。49中のC-C二重結合のオゾン酸化、続いてPPh3での還元によって、アルデヒド50が得られた。50中のCbz基を切断し、得られたアミンと前記アルデヒド基とを分子内縮合させ、そして引き続いて、エナミンをワンポットで還元し、化合物51が得られた。アミノ基を保護し、続いて51中のメチルエステルを加水分解することによって、酸41が得られた。
【0173】
41と異なるジアミンとを縮合させることによって、一連のアミドが得られた。これらのアミド中のBoc保護基を除去し、続いて、得られたアンモニウム塩と(S)-N-保護アミノ酸とを縮合させることによって、一連のアミド63が得られた。これらのアミド中の保護基を除去することによって、本発明者が設計した二価Smac模倣物64が得られた。
【0174】
実施例11
二価SMAC模倣物


















































【0175】
実施例12
XIAP BIR3へのインヒビターの結合
IAPタンパク質への二価Smac模倣物の結合能力を試験するために、蛍光偏光(FP)に基づく方法を使用する高感度かつ定量的なインビトロ結合アッセイを開発し、そしてXIAPタンパク質へのSmac模倣物の結合を測定するために使用した(Nikolovska-Coleska et al., Anal Biochem. 332:261-73 (2004))。このアッセイのために、5-カルボキシフルオレセイン(5-Fam)を、変異Smacペプチドのリジン側鎖へカップリングした;AbuRPF-K-(5-Fam)-NH2(SM5Fと呼ぶ)。XIAP BIR3タンパク質へのSM5Fペプチドの結合のKd値は、17.92 nMであると測定され、このことは、このペプチドがXIAPタンパク質の表面ポケットへ高親和性で結合することを示している。Hisタグへ融合されたヒトXIAPの組換えXIAP BIR3タンパク質(残基241-356)は安定かつ可溶性であり、そしてFPに基づく結合アッセイのために使用した。
【0176】
用量依存性結合実験を、DMSO中の試験化合物の連続希釈物を用いて行った。アッセイ緩衝液(100 mMリン酸カリウム, pH 7.5;100 μg/mlウシガンマグロブリン;0.02%アジ化ナトリウム, Invitrogen(商標)Life Technologyより購入)中のプレインキュベートしたXIAP BIR3タンパク質(30 nM)およびSM5Fペプチド(5 nM)ならびに試験サンプルの5μlのサンプルを、Dynex 96ウエルブラックラウンドボトムプレート(Fisher Scientific)へ添加し、125μlの最終量を作製した。各アッセイについて、組換えXIAP BIR3タンパク質およびSM5Fを含有する結合ペプチドコントロール(0%阻害に相当)と、遊離SM5Fのみを含有する遊離ペプチドコントロール(100%阻害に相当)とを含めた。結合が平衡に達した3時間のインキュベーション後に、ULTRA READER(Tecan U.S. Inc., Research Triangle Park, NC)を使用して、偏光値を測定した。結合ペプチドの50%が追放される(displace)インヒビター濃度である、IC50値を、非線形最小二乗分析を使用するプロットから測定した。曲線フィッティングを、GRAPHPAD PRISMソフトウエア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を使用して行った。
【0177】
実施例13
XIAPタンパク質に対する蛍光偏光に基づく結合アッセイ
Smac模倣物を、Dynex 96ウエルブラックラウンドボトムプレート(Fisher Scientific)において、アッセイ緩衝液(100 mMリン酸カリウム, pH 7.5;100 ug/ml ウシガンマグロブリン;0.02%アジ化ナトリウム)中で、ヒトXIAPタンパク質(残基120-356)(10 nM)およびトレーサーとしての蛍光標識されたSmacベースの二価ペプチド(Smac2-Fと呼ぶ)(0.5 nM)と共にインキュベートした。Smac2-Fは、1.2 nMのKd値でXIAPへ結合すると測定された。各アッセイについて、コントロールは、XIAPおよびSmac2-Fペプチド(0%阻害に相当)、およびSmac-2Fのみ(100%阻害に相当)を含んだ。偏光値を、前記Ultraプレートリーダーを使用して、2時間のインキュベーション後に測定した。結合トレーサーの50%が追放されるインヒビター濃度である、IC50値を、非線形最小二乗分析を使用するプロットから測定する。曲線フィッティングを、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウエアを使用して行う。

【0178】
結合アッセイにおいて試験した場合、二価Smac模倣物SH-164は、1.9±0.5 nMのIC50を有した(図1)。これは、一価Smac模倣物SH-122の結合親和性よりも500倍を超えてより高く、そして天然SmacペプチドAVPI(配列番号1)よりも>5000倍より強力であった。これらのデータは、二価Smac模倣物がIAP活性の強力なインヒビターとして作用することを示唆している。さらなる二価Smac模倣物の結合親和性を表4に示す。
【0179】
【表4】

【0180】
実施例14
二価Smac模倣物による細胞増殖阻害
種々の癌細胞株の増殖に対するSH-164の効果を試験した。細胞を、試験化合物共に3000細胞/ウエルの密度で96ウエル平底細胞培養プレート中に播種し、そして4日間、95%空気および5%CO2の雰囲気において、37℃でインキュベートした。種々の濃度の化合物で処理した後の細胞増殖阻害の割合を、WST-8キット(2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4 ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム一ナトリウム塩;Dojindo Molecular Technologies, Inc., Gaithersburg, Maryland)を使用して測定した。WST-8を各ウエルへ最終濃度10%で添加し、次いでプレートを37℃で2〜3時間インキュベートした。サンプルの吸光度を、ULTRA Tecan Reader(Molecular Device)を使用して450 nmで測定した。細胞増殖を50%阻害した試験化合物の濃度(IC50)を、未処理細胞および試験化合物で処理した細胞における吸光度を比較することによって算出した。
【0181】
MDA-MB-231ヒト乳癌細胞株およびMAMEL-3M黒色腫細胞株に対して試験した場合、SH-164は、1.4 nMのIC50を示した(図2)。さらに、SH-164はまた、いくつかの他の癌細胞株において強力なインヒビターである(図2)。
【0182】
実施例15
二価Smac模倣物による細胞死の誘導
種々の癌細胞株において細胞死を誘導するSH-164の能力を、トリパンブルー細胞生存能力アッセイを使用して試験した。0.3×106細胞を6個のウエルプレートに播種し、そして2日間、試験化合物有りまたは無しで、95%空気および5%CO2の雰囲気下において37℃でインキュベートした。1:1希釈の0.4%トリパンブルー(Invitrogen Corporation)を使用して、細胞生存能力を測定した。SH-164は、MDA-MB-231、MAMLE-3M、およびOVCAR-4細胞と共にインキュベートした場合、細胞死の有効な誘導因子であることが示された(図3)。各場合において、SH-164は、100 nMの濃度で少なくとも70%の細胞死を誘導した。
【0183】
実施例16
細胞増殖阻害に対する二価Smac模倣物と他の薬剤との組み合わせの効果
他の薬剤の増殖阻害効果に対して癌細胞を感作する二価Smac模倣物の能力を試験するために、細胞増殖阻害アッセイを、種々の薬剤のみを用いて、または増加する用量の二価Smac模倣物と組み合わせて行った。TRAILのみへのMDA-MB-231(2LMP)乳癌細胞の曝露は、2.2 ng/mlのIC50を生じさせた(図4A)。TRAILとSH-164との組み合わせは顕著にTRAILについてのIC50を低下させ、TRAILは、100 nM SH-164の存在下で、0.008 ng/mlのIC50を有した。類似の結果がMDA-MB-453乳癌細胞で見られ、ここで、TRAILのみは、>1000 ng/mlのIC50を有し、そしてTRAILと100 nM SH-164との組み合わせは16 ng/mlのIC50を有した(図4B)。PC-3ヒト前立腺癌細胞を使用した場合、TRAILのみは、>300 ng/mlのIC50を有し、一方、100 nM SH-164の存在下で、TRAILは、2 ng/mlのIC50を有した(図4C)。SH-122は、類似の、しかしあまり強力ではない効果を有し、TRAILと1000 nM SH-122との組み合わせは、30 ng/mlのIC50を有した。対照的に、500 nMのSH-149は、TRAILのIC50を低下させなかった。
【0184】
SH-164をまた、化学療法剤シスプラチンおよびミトキサントロンの増殖阻害を強化するその能力について試験した。MDA-MB-231(2LMP)ヒト乳癌細胞に対して試験した場合、SH-164は、100 nMの濃度で、両方の薬剤による増殖阻害に対して該細胞を感作した(図5)。これらのデータは、二価Smac模倣物が、種々の癌治療剤の増殖阻害効果に対して細胞を感作し得ることを示している。
【0185】
実施例17
アポトーシスアッセイ
アポトーシス検出キット(Bio Vision Research Products, Mountain View, CA)を使用して、製造業者のプロトコルに従って、アポトーシスの分析を行った。簡単に記載すると、細胞を12時間Smac模倣物で処理し、収穫し、そして氷冷PBSで洗浄した。細胞を暗所において室温で15分間アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(P.I.)で染色し、そして即座にFACS caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson, Erembodegem, Belgium)によって分析した。アネキシンV(+)およびP.I.(-)染色された細胞は、初期段階のアポトーシス細胞と考えられた。アネキシンV(+)およびP.I.(+)染色された細胞は、後期段階のアポトーシス細胞と考えられ、そしてアネキシンV(-)およびP.I.(+)染色された細胞は、壊死細胞と考えられた(図6)。
【0186】
実施例18
XIAPへの結合親和性および細胞増殖阻害活性
Smac模倣物のXIAPへの結合親和性および細胞増殖阻害活性を、表5に示す。
【0187】
【表5】


【0188】
本発明をここで完全に説明したので、本発明の範囲またはその態様に影響を与えることなしに、広くかつ均等の範囲の条件、製剤、および他のパラメータ内で本発明が実施され得ることが当業者によって理解される。本明細書中において引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書中に完全に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】XIAP BIR3タンパク質へのSmac模倣物の競合結合を示す。
【図2】SH-164によるMDA-MB-231、MAMLE-3M、SK-OV-3およびOVCAR-4細胞における細胞増殖の阻害を示す。
【図3】SH-164によるMDA-MB-231、MAMLE-3M、およびOVCAR-4における細胞死の誘導を示す。
【図4】TRAILと組み合わされたSH-164によるMDA-MB-231(A)、MDA-MB-453(B)、およびPC-3(C)細胞における細胞増殖の阻害を示す。
【図5】シスプラチンまたはミトキサントロンと組み合わされたSH-164によるMDA-MB-231細胞における細胞増殖の阻害を示す。
【図6】MDA-MB-231乳癌細胞株におけるSH-164によるアポトーシスの誘導を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIを有する化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:

式中:
A1およびA1'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびZからなる群より、独立して選択され;
A2およびA2'は、水素、置換されてもよいアルキルおよびCOR1からなる群より、独立して選択され、ここで、VがOである場合にA2は存在せず、そしてV'がOである場合にA2'は存在せず;
VおよびV'は、N、CHおよびOからなる群より、独立して選択され;
WおよびW'は、CHおよびNからなる群より、独立して選択され;
XおよびX'は、独立して、置換されてもよいC1-3アルキルであり;
YおよびY'は、CONR1、C(O)O、(CR1R2)1-3ここで1つまたは複数のCH2基が、O、SまたはNR1によって置換され得る、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
DおよびD’は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)n-R5a-(CR3R4)mからなる群より、独立して選択され;
JおよびJ'は、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)p-R5b-(CR3R4)qからなる群より、独立して選択され;
TおよびT'は、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1R2、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
UおよびU'は、水素、NR1R2、OR1、SR1、置換されてもよいアルキル、および置換されてもよいアリールからなる群より、独立して選択され;
n、m、pおよびqは、独立して、0〜5であり;
各R1は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール、およびZからなる群より選択され;
各R2、R3およびR4は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5aおよびR5bは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、およびCR1R2からなる群より、独立して選択され;ならびに
Zは、A1、Y、D、J、TおよびUの1つとA1'、Y'、D'、J'、T'およびU'の1つとを共有結合するリンカーである。
【請求項2】
ZがDとU'とを結合する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
ZがDとD'とを結合する、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
ZがUとU'とを結合する、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nおよびmが、n+mが3または4となるように0〜4より独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
pおよびqが、p+qが1となるように0および1より独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
nおよびmが、n+mが3または4となるように0〜4より独立して選択され、かつ、pおよびqが、p+qが1となるように0および1より独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
TがC=Oである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
UがNR1R2である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R5bがCH2である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
YがCONHであり、WがCHであり、かつVがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
以下からなる群より選択される請求項1記載の化合物、またはそれらの遊離塩基もしくはそれらの別の薬学的に許容される塩:







【請求項13】
式XIIIを有する化合物:

式中:
D''は、(CR1R2)n-R5c-(CR3R4)mであり;
Jは、置換されてもよいアルキレニルおよび(CR1R2)p-R5b-(CR3R4)qからなる群より選択され;
Tは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1R2、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;
Uは、水素、NR1R2、OR1、SR1、置換されてもよいアルキル、および置換されてもよいアリールからなる群より選択され;
n、m、pおよびqは、0〜5より独立して選択され;
各R1、R2、R3およびR4は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5cは、C=O、C=S、C=NR1、S、O、NR1、CR1aR2a、NCOR8およびNCO2R8からなる群より選択され;
R1aおよびR2aは、水素、ヒドロキシ、アジド、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より、独立して選択され;
R5bは、O、S、NR1、CR1R2、C=O、C=S、およびC=NR1からなる群より選択され;
R7は、水素、CO2R7a、およびCOCH(R7b)N(R7c)CO2R7aからなる群より選択され;
R7aは、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;
R7bは、置換されてもよいC1-3アルキルであり;
R7cは、水素および置換されてもよいアルキルからなる群より選択され;ならびに
R8は、置換されてもよいアルキル、置換されてもよい炭素環式化合物、置換されてもよいヘテロ環式化合物、置換されてもよいアリール、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択される。
【請求項14】
R7aがt-ブチルである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
nが1であり、mが2であり、R5cがNCO2R8であり、かつR8がベンジルである、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
R5cがCR1aR2aであり、R1aがヒドロキシ、アジド、および置換されてもよいヘテロアリールからなる群より選択され、かつR2aが水素である、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
以下からなる群より選択される、請求項13記載の化合物:





【請求項18】
請求項1記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項19】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、細胞においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項20】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、アポトーシスの誘導因子に対して細胞を感受性にする方法。
【請求項21】
細胞をアポトーシスの誘導因子と接触させる段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
アポトーシスの誘導因子が放射線である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
アポトーシスの誘導因子が、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF関連リガンド、またはTRAIL-R1もしくはTRAIL-R2のアゴニストである、請求項21記載の方法。
【請求項25】
TNF関連リガンドが、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、およびTRAILからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
TNF関連リガンドがTRAILである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
TRIAL-R1またはTRAIL-R2のアゴニストが抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
治療有効量の請求項1記載の化合物を動物へ投与する段階を含む、動物におけるアポトーシスの誘導に応答性である障害を治療、改善、または予防する方法。
【請求項29】
アポトーシスの誘導因子を投与する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
アポトーシスの誘導因子が放射線である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
アポトーシスの誘導因子が、TNF、TNF関連リガンド、またはTRAIL-R1もしくはTRAIL-R2のアゴニストである、請求項29記載の方法。
【請求項33】
TNF関連リガンドが、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、およびTRAILからなる群より選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
TNF関連リガンドがTRAILである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
TRAIL-R1またはTRAIL-R2のアゴニストが抗体である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
アポトーシスの誘導に応答性である障害が、過剰増殖性疾患である、請求項28記載の方法。
【請求項37】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子より前に投与される、請求項28記載の方法。
【請求項39】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子より後に投与される、請求項28記載の方法。
【請求項40】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子と同時に投与される、請求項28記載の方法。
【請求項41】
治療有効量の請求項1記載の化合物を動物へ投与する段階を含む、動物における過剰増殖性疾患を治療、改善、または予防する方法。
【請求項42】
アポトーシスの誘導因子を投与する段階をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
アポトーシスの誘導因子が放射線である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
アポトーシスの誘導因子が、TNF、TNF関連リガンド、またはTRAIL-R1もしくはTRAIL-R2のアゴニストである、請求項42記載の方法。
【請求項46】
TNF関連リガンドが、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、およびTRAILからなる群より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
TNF関連リガンドがTRAILである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
TRAIL-R1またはTRAIL-R2のアゴニストが抗体である、請求項45記載の方法。
【請求項49】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項41記載の方法。
【請求項50】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子より前に投与される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子より後に投与される、請求項49記載の方法。
【請求項52】
請求項1記載の化合物がアポトーシスの誘導因子と同時に投与される、請求項49記載の方法。
【請求項53】
請求項1記載の化合物および該化合物を動物へ投与するための使用説明書を含む、キット。
【請求項54】
アポトーシスの誘導因子をさらに含む、請求項53記載のキット。
【請求項55】
アポトーシスの誘導因子が化学療法剤である、請求項54記載のキット。
【請求項56】
アポトーシスの誘導因子が、TNF、TNF関連リガンド、またはTRAIL-R1もしくはTRAIL-R2のアゴニストである、請求項55記載のキット。
【請求項57】
TNF関連リガンドが、TRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、およびTRAILからなる群より選択される、請求項56記載のキット。
【請求項58】
TNF関連リガンドがTRAILである、請求項57記載のキット。
【請求項59】
TRAIL-R1またはTRAIL-R2のアゴニストが抗体である、請求項56記載のキット。
【請求項60】
使用説明書が、過剰増殖性疾患を有する動物へ化合物を投与するためのものである、請求項53記載のキット。
【請求項61】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項60記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−536204(P2009−536204A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509759(P2009−509759)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/010924
【国際公開番号】WO2007/130626
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507286909)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (13)
【Fターム(参考)】