説明

二又はそれ以上の種類の液体成分を塗布するためのシステム及び装置

【課題】それぞれ容器に保存されている二つの液体成分の混合物を塗布するシステム、装置及び方法を提供する。
【解決手段】それぞれ容器19に保存されている二つの液体成分がノズルヘッド1のそれぞれの吐出口経路5のそれぞれの吐出口8を通って放出され、一方で、同時にガスがノズルヘッド1のガス吐出口経路の個別の吐出口を通して放出されることを含んでいる。上述の吐出口8が実質的に直線に沿って整列されており、ガスが吐出口からなる直線の一方の端部の吐出口を通って放出され、ノズル1の外部で各成分がガス吐出口を通って放出される噴流に巻き込まれるように、ガスの体積流れが各成分の体積流れに適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ又はそれ以上の液体成分を、個別の出口を有する個別の液体流路又は管を介して個別の容器から共に塗布するための装置及び方法に関する。好適な実施例においては、本装置及び方法は、スプレーを形成するためにガスと一緒にフィブリンシーラントの複数成分を共に塗布するのに有効である。
【背景技術】
【0002】
レドル(Redl)の特許文献1は、組織接着剤、例えばフィブリングルー又はフィブリンシーラントを、これを必要としている人間又は動物へ塗布するための二重バレルシリンジを開示している。記載されているフィブリンシーラントは主として、それぞれ使用時には液体形状である、二つの主要成分、すなわち、フィブリノーゲン含有成分とトロンビン含有成分からなる。基本的に、トロンビンとフィブリノーゲンが混合されると、フィブリノーゲンのペプチド鎖が開裂し、生成するフィブリンが重合して、止血及び組織を接合する際の流体及び空気の漏れを密封するのに有用であるクロットを形成する状態がもたらされる。早すぎるクロット形成を回避するため、二重バレルのアプリケータが用いられ、これは勿論、患者への塗布が必要とされるまで、二つの成分を隔離状態に保つ。特許文献1は、それぞれ一つの成分を含有する二つのカートリッジ内のピストンが共通に作動されて、それぞれから同時に流体を分配吐出することができることを開示している。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4359049号明細書
【特許文献2】米国特許第5116315号明細書
【特許文献3】米国特許第4631055号明細書
【特許文献4】欧州特許第592242号明細書
【特許文献5】国際公開第WO96/17618号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他の先行技術特許は、これら及び他の外科手術用シーラントに使用される二つ又はそれ以上の成分を混合する種々の混合ヘッドを記載している。例えば、ヒーマルディックス(Hemaldics) が譲受した特許文献2はヘッドを記載しており、このヘッドにおいては、成分カートリッジから通じる液体導管は、各成分が共通出口流路から出てくる前に各成分の渦巻き運動を付与するように形成されている混合室に入る。均一なフィブリンシーラントを形成するには、フィブリンシーラント成分の適切な混合が望まれる。効率の悪い混合はフィブリノーゲンとトロンビンの共同投与をもたらし、これは実際には小収量のシーラントにしかならないかもしれない。フィブリンシーラントアプリケータに関する困難は、装置、特にフィブリンシーラント成分が混合ヘッド内で混合される装置及び/又はフィブリンシーラント成分が共通流路を通って出てくる装置内での、早すぎるクロットの形成であることがある。最初のシーラントのスプレーが終了された後で、クロットは出口流路を塞いで、前記アプリケータを役に立たなくし、外科手術の密封関係を実行する際の外科医の融通性を大いに減少させている。
【0005】
イムノ(Immuno)の特許文献3は各成分の排出中に針又は混合ヘッドを通してガスを送出するためのガス搬送流路を含んでいる。しかしながら、関心のある解剖領域への材料の一定で均一な散布は依然として達成されていない。実際に、相当量の成分が無駄にされている。
【0006】
エドワードソン(Edwardson) らの特許文献4は最初の完全に自己由来のフィブリンシーラントを開示している。この特許文献4は、フィブリンモノマー溶液をフィブリンモノマーの重合に寄与する緩衝溶液との共同投与を提供し、このフィブリンモノマーが単一の血液源(好適にはシーラントを受容する患者の血液源)から30分以内で準備される。この躍進的な技術は、約140〜160mlの血液サンプルから、決まった量のフィブリンモノマー溶液を供給する。この安全で、効率的な自己由来のシーラント生成物から利益を得るためには、均一且つ効率的な混合がより一層重要であり、したがって、外科手術用シーラントを形成する二つ又はそれ以上の成分を塗布する新しい装置及び方法は上記技術への有効な追加となる。
【0007】
特許文献5は、フィブリンシーラントの成分を塗布する装置及び方法を開示している。この装置はガス源と各成分用の貯槽を備えており、ここでは、ガス源と各成分貯槽が共通手段によって作動されることができる。各貯槽とガス源が別々に、出口端にある中心開口と、この中心開口と同心で且つこの中心開口から半径方向外側に配置された複数の環状開口とを有するスプレーヘッドと流体連通しており、これによって、ガスと前記各成分が個別の開口を通して放出される。好適には、ガスが中心開口を通して放出され、フィブリンシーラント構成成分がそれぞれの環状開口を通して別々に放出される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、二つ又はそれ以上の液体成分を各成分の混合の均一性を高めた状態で共に塗布するためにガスを利用するための方法及び装置を開示しており、この装置は各成分のより均質な混合と利用されない成分の量を最小にすることを結果としてもたらす。本装置は、そこから複数の液体成分及びガスが分配吐出される吐出口を有するノズルヘッドを備え、ここでは、この吐出口が一直線上に配置されており、ガス吐出口がその直線の一方の端部にある。二つ又はそれ以上の液体成分、例えばフィブリンシーラントを形成する成分を塗布する装置及び方法において、前記複数の成分の供給源と、好適には使用されるガスの供給源とがアプリケータと流体連通していながらこのアプリケータから離れている装置及び方法がさらに開示されている。
【0009】
本方法においては、複数の成分及びガスの流速が、二つの液体成分がノズルヘッドのそれぞれの吐出口から出るときにノズルヘッドから放出される気体に引き込まれる又は巻き込まれるように、選択される。
【0010】
このようにして、ガス吐出口から最も遠い吐出口から出る成分がガス吐出口により近い吐出口を横切って巻き込まれるので、二つ又はそれ以上の成分が、ガス噴流に巻き込まれる前にノズルの外部で混合される。複数の成分がガス噴流にさらに混合され、混合体とガスはスプレーを形成する。加えて、吐出口は比較的小さく、結果として、放出が止められるときに比較的少量の成分が周囲に晒される。さらには、ノズルヘッドにおける各成分の混合がないので、吐出口の目詰まりの傾向が実質的に排除される。さらに、塗布行為の後に前記吐出口に残っている成分の量は殆ど無視することができる。後者の要因は自己由来のフィブリンモノマー溶液と緩衝溶液の混合体に関して極めて重要であり、この混合では、フィブリンモノマー溶液が比較的制限されており、したがって最適な条件に対して使用されなくてはならない。
【0011】
各成分が相互に異なる体積流れで放出されるときには、ガス噴流から最も遠くに設けられた吐出口を通して最も低い体積流れである成分を放出することが本発明によれば特に有利である。このようにして、最も低い体積流れで放出される成分が、前記複数の成分が混合された状態でガス噴流に入る前に、最も高い体積流れで放出される成分と混合されることが保証される。
【0012】
本発明によれば、ノズルヘッドを通した複数の成分の放出が放出手段によって実行されてもよく、この放出手段が電子制御ユニットによって作動され、ガスの放出が電子ユニットによって作動されるポンプによって実行されてもよく、前記電子制御ユニットがノズルヘッドを操作する使用者によって制御される信号装置によって作動される。結果として、複数の成分及びガスの放出が均等的に実質的に一定の体積流れで行われ得る。
【0013】
それぞれ押出しピストンを有するシリンジを成分用容器として使用する方法に関して、制御ユニットによる放出手段の中断停止は、本発明によれば、制御ユニットが前記放出手段を作動してシリンジのピストンを短い距離引き込ませることを含んでおり、その結果各成分がノズルの吐出口から短い距離引き込まれる。結果として、二つの成分が互いと接触する危険性と、その結果としてのノズル吐出口の目詰まりの危険性とがかなり削減される。
【0014】
本発明はさらにそれぞれ容器に保管されている二つの液体成分の混合物を塗布する装置に関し、この装置では、前記成分がそれぞれ液体移送手段を通ってノズルヘッドへ給送され、前記ノズルヘッドは各成分用の個別の吐出口経路並びにガス供給源からガス移送手段を通って給送される個別のガス用吐出口経路を備え、前記装置はそれぞれの成分を収容する容器を同時に作動する放出手段を備えている。本発明による装置は、ノズルヘッドの複数の成分吐出口とガス吐出口が実質的に直線に沿って整列されていて、このガス吐出口が吐出口の直線の一方の端部に設けられていることを特徴とする。このようなノズルヘッドは、任意の都合のよい手段、例えば射出成形により製造することが比較的容易であり、さらには、各成分の効率的で良好な混合を保証する。
【0015】
本発明によれば、ノズルヘッドが長寸のハンドルによって支持されてもよく、成分及びガスの移送手段が実質的に弾性のある管であってもよく、この管はそれぞれ前記ハンドルから容器及びガス供給源に関する放出手段の離れた設備まで延びている。その結果としてのノズルヘッドの操作は比較的容易になり、放出手段とガス供給源の存在による妨げなしに行われることが可能となる。
【0016】
さらには、ハンドルが、本発明によれば、差圧調節装置により放出手段の作動及びガスの給送のための押しボタンと組み合わせられていてもよい。結果として、成分供給源容器、例えばシリンジカートリッジのピストンが作動されて、ノズルヘッド及び組み合わせられているハンドルに隣接して電気を存在させずにガス及び成分を供給することができる。
【0017】
各成分用に使用される容器が問題の成分を放出するためのピストンをそれぞれ有するシリンジであるときには、放出手段は、本発明によれば、シリンジの保持のためのホルダと、シリンジのピストンを同時に作動するための電気的に駆動されるエレベータ手段とを備え、その結果、予め設定された特に正確で一定である体積流れがピストンの作動でノズルの各吐出口を通して得られる。
【0018】
最後に、本発明によれば、放出手段とガスポンプの形態のガス供給源とが、別々のユニットとして、電気的に駆動される制御ユニットと結合されていて、前記制御ユニットがノズルヘッドの使用者からの信号で放出手段とガスポンプとを制御するように適合されていることが特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に示される装置は、全体として参照番号2で示されるハンドルの端部に保持されているノズルヘッド1を備える。このハンドルは、遷移部分4を通じてノズルヘッド1に接続されている管状本体3を備え、前記管状本体3と前記遷移部分4と前記ノズルヘッド1とはそれぞれ円形断面を有している。しかしながら、任意のノズルヘッドを保持する又は設けるのに便利なハンドル又は手段が用いられることができる。
【0020】
図2及び図3に詳細に示されるように、ノズルヘッドが好適には三つの貫通経路5、6、及び7を含んで円錐形に形成されており、ここでは、二つの貫通経路は二つの異なる成分のための吐出口経路として働き、一方で、第三の貫通経路はガスのための吐出口経路として働く。勿論、追加の経路及び吐出口が、塗布される特定の材料又は生成物により必要とされて、利用されることがある。吐出口経路5、6、及び7が、任意の都合のよい手段、例えば、ポリスチレン材料、すなわち、SAN(アクリロニトリル−スチレン共重合体)のような適切なプラスチック材料で成形されているノズルヘッドによって構成される。吐出口経路はノズルヘッド5のハンドル2に隣接する最も広い端部にあるそれぞれの開口から延びており、前記開口が図2の破線で参照される二等辺三角形の角に配置されている。二等辺三角形の角では、各吐出口経路はおよそ1.2mmの直径であり、好適には、実質的に一定の直径を有する短い距離の後では、各吐出口経路が反対側の端部で所望の直径となるように狭くなっていく。所望の吐出口の大きさよりも大きい直径であってもよい流体移送管を使用するための利便を図るために、このことがなされる。任意の都合のよい直径の吐出口が利用されることができるが、0.3〜0.5mm、好適には0.3mmの直径を有する吐出口が好適である。吐出口経路のこの端部では、吐出口がおよそ0.5mmの中心距離を有して直線に沿って整列されている。吐出口がそれぞれ図2の参照番号8、9、及び10で示されている。
【0021】
ノズルヘッドの吐出口経路5、6、及び7の実質的に一定の内径の上記短い距離はそれぞれ流体移送管11、12、及び13の端部を受容する働きをし、この流体移送管11、12、及び13が前記各成分及び前記ガスを給送するために設けられている。これらの流体移送管11、12、及び13はハンドル2を通って軸線方向に延びて結合板14まで進み、この結合板14が、全体として参照番号15で示されている各成分用の放出手段並びにガスポンプ16と組み合わせられて配置されている。流体移送管11〜15が弾性的な保護ジャケット17によって周囲を覆われることができる。ハンドル2のノズルヘッド1と反対側の端部では、流体移送管11〜12を覆う保護ジャケット17が好適にはハンドル2に挿入されたキャップ18によりハンドル2に保持されることができる。キャップ18が中央貫通開口を具備されており、キャップ18は保護ジャケット17と協動し、摩擦により前記ハンドル2に保持される。
【0022】
上述されたように、本発明による好適な装置はスプレーアプリケータ又は「ペン」を備え、この装置は液体成分及び/又はガスの供給源から離れているが連通している。フィブリンシーラントの塗布のような領域では、この装置は大いに改善された外科医用の道具を提供する。これは従来技術のフィブリンシーラントアプリケータは全て手持ち形アプリケータに各成分供給源を含んでいるからである。既に説明されたように、従来技術のフィブリンシーラントアプリケータは典型的にはY字部品又は混合導管に取り付けられている二重バレルシリンジである。これは概して外科医が制御するには不便な器具であり、外科医が両手を使うときでさえ、望む以下の塗布しか達成されない。本発明の装置の一つの実施例が図4に示されている。
【0023】
本発明のスプレーアプリケータは、吐出口を有するノズルヘッドと、各吐出口と塗布される成分の供給源との間に流体連通を提供する個別の各成分用流体移送管とを備える。好適には、ノズルヘッドは、一方の端部にノズルヘッドを備えた長寸の「ペン」であることもあるハンドルを有し、流体移送管がこのハンドルを通って延びて、反対側の端部から出ていき、前記成分供給源へ続いている。任意の都合のよい容器、例えばシリンジカートリッジ内にあることがある、離れた場所にある成分の供給源は好適には放出手段の一部であり、この放出手段は、操作者又は外科医によって所望されると、供給源から流体移送管を通してノズルヘッドの吐出口の外へこれらの成分を分配吐出又は放出する。これは、アプリケータのノズルヘッド又はハンドルにある弁のような任意の都合のよい手段によって、あるいは、好適には操作者又は外科医による作動時に供給ユニットへ信号を送る作動手段を提供することによって、達成されることができる。作動手段は装置技術で知られるような足踏みペダル又はアプリケータのボタンとすることができる。好適な実施例においては、作動手段はアプリケータ内に配置され且つ加圧ラインを介して信号手段に接続されている弾性空気袋であり、外科医の指先又は手による弾性空気袋の押圧によって信号手段が圧力の差を検出して、各成分を供給するために供給ユニットに信号を出すようにされている。
【0024】
複数の成分を共に塗布するために使用されるガスがさらに、好適な実施例における放出手段から供給され且つこの放出手段によって制御されることができる、あるいは、複数の液体成分から独立的に供給され且つ/又は制御されることができる。
【0025】
好適な放出手段をさらに説明するにあたり図1に戻って、結合板14では、流体移送管11、12がそれぞれボア穴(図示されていない)を通って挿入されており、このボア穴の反対側の端部では、流体移送管が、それぞれの成分のためのそれぞれのシリンジ19(又は他の都合のよい成分供給源容器)と接続されるように適合されている。図面は流体移送管11と連通している一つのシリンジ19のみを示している。結合板14が、流体移送管11及び12とシリンジ19のような複数のシリンジとの両方が容易に取り外されることができるように、適合されている。後者のシリンジ19を受容するための結合板14の向こうに、放出手段15はシリンジ10の内容物を放出するためのエレベータ手段20を備える。
【0026】
図1に示されるように、第三の流体移送管13はガスを給送する働きをし、吐出口ノズル21及びルアーカップリング(luer coupling) 22を通してガスポンプ16に接続されている。ルアーカップリング22は、上記流体移送管が前記結合板14に容易に結合され且つこの結合板14から取り外されることができることをさらに意味している。フィルタ手段が吐出口ノズル21内に設けられる。
【0027】
図1に示されるように、第四の管23が保護ジャケット17の内側にさらに設けられる。前記第四の管23が一方の端部では線図的に示されているハンドル2内の押しボタン24と組み合わせられており、一方で、反対側の端部では詳細には示されていない方法で制御ユニット25に取り外し可能に接続されていて、前記制御ユニットが放出手段15と組み合わせられている。押しボタンが下方に押圧されるとき、前記押しボタン24と制御ユニットとに繋がる第四の管23が第四の管23の内側に生じた圧力差を制御ユニット25へ信号として伝達するように適合されている。結果として、制御ユニットは線図的に示されている管26、27を通してそれぞれ放出手段15のエレベータ手段20と空気ポンプ16との必要な作動を始める。第四の管23が、詳細には記載されていない方法で、当業者によく知られた手段により、制御ユニット25に取り外し可能に結合される。
【0028】
説明された装置は主として、二つ又はそれ以上の成分、例えばそれぞれ前述の特許文献5と特許文献4に記載されているようなフィブリンモノマー及びpH−10の緩衝液の混合物の塗布を目的としている。これら二つの成分がシリンジ10のようなそれぞれのシリンジに収容されており、エレベータ手段20によりこれらのシリンジのピストンを同時に作動することによって、これらのシリンジは互いに所望の混合比が確立されるような寸法構成にされる。pH−10の緩衝液とフィブリンモノマーとの混合比は好適には1対7であり、通常は、5mlシリンジがフィブリンモノマーを収容するために使用され、pH−10緩衝液には1mlシリンジが使用される。好適な実施例によれば、流体移送管11〜13が押し出しにより形成され、これらの流体移送管の内側層は問題の流体に対して不活性であるポリウレタンから作られ、これらの流体移送管の外側層はポリウレタン又はPVCから作られる。これらの流体移送管が内径0.3mmで形成され、結果として、2mの長さは各流体移送管におよそ0.3mlの流体、すなわち合計0.6mlの流体が収容されることを許容するのみである。
【0029】
押しボタン24が下方に押圧されることによって、放出手段15と空気ポンプ16が作動せしめられると、二つの成分がノズルヘッド1のそれぞれの吐出口から放出され、一方で、同時にガスがノズルヘッドの組み合わせられている吐出口を通して放出される。
【0030】
ガスが吐出口からなる列の一方の端部の吐出口を通して放出され、一方、最も少ない量で給送される成分、すなわち、pH緩衝液が反対側の端部に設けられた吐出口9を通して放出される。もう一方の成分、すなわち、フィブリンモノマーが吐出口からなる列の中央の吐出口8を通して放出される。これらの成分が任意の都合のよい流速で放出されることができるが、低流速が有利であることが分かっている。したがって、pH−10緩衝液が0.0040ml/秒と0.0100ml/秒との間の流速で、フィブリン溶液が0.028ml/秒と0.070ml/秒との間の流速で、好適には前述の1:7の比で放出されることができる。最も好適には、混合されるフィブリンモノマーとpH−10緩衝液とがそれぞれおよそ0.04ml/秒と0.0057ml/秒の体積流れで放出される。
【0031】
好適な実施例においては、空気がガスとして使用されており、この空気が周囲から吸入され、続いて空気ポンプ16からフィルタを通ってノズルヘッド1へ運ばれる。あるいはまた、所望されるガスの任意の供給源を用いることができる。使用される空気の量が最小限に抑えられなければならないと同時に、空気分子の速度は比較的高くなくてはならない。0.3mmの吐出口直径は、より低い体積流れが好適である放出手順の間に、空気の体積流れがおよそ1.25リットル/分となる効果を有する。
【0032】
空気と二つの成分がそれぞれの吐出口から流出するとき、流体が空気の流れに巻き込まれ、実質的に霧化される。二つの流体成分が空気の流れに巻き込まれるときには、二つの流体成分の混合が少なくとも部分的になされている。それぞれの放出速度を低くすることが、吐出口の直径と相互の距離を両者が可能な限り小さくなるように調節することによって、実行される。このように、比較的長い管を使って操作することが可能である、すなわち、ノズルヘッド1と結合板14との間の距離を、例えば2mのように、比較的長くすることができる。低放出速度は液体混合物を薄い均一な層に塗布することを可能にし、結果として、全体の厚さがより厚い層が、互いの頂面により多くの層を積層することによって、提供されるであろう。
【0033】
それぞれのシリンジからの成分の押出しが上述のように放出手段15の内部で実行され、この放出手段15は制御ユニット25と一緒に結合されたユニットを形成する。放出手段15と制御ユニットの両方が電気的に駆動される。このユニットがそれぞれに混合物が塗布される場所から比較的離れて配置されてもよく、このユニットは再利用に合わせて適合させることができるが、ハンドル2と流体移送管11、12、及び13を有するノズルヘッドは使い捨てであるように適合されてもよい。シリンジ19が空になる前の塗布行為の中断はエレベータ手段20がシリンジ19のピストンを短い距離引き込まさせて、問題の流体がノズルヘッド1の吐出口から短い距離吸引されるようにする結果を及ぼすことができるようにすることができる。このようにして、塗布行為の中断が、特にフィブリンIを収容するシリンジに任意に存在する気泡で流体移送管の壁に蓄積される圧力によって引き起こされる後放出を伴うことが避けられる。好適な引き込み体積はおよそ0.04mlであり、この体積は1秒分の放出に相当する。
【0034】
説明された装置はおよそ170μmの厚さで流体混合物を塗布することを可能にし、これは5mlの量のフィブリンと対応する量のpH−10緩衝液が300cm2 の面積を覆うことを意味している。およそ2mの管の長さに関して、前記管の損失流体の合計量は前述されたようにおよそ0.3mlであり、これによって、シリンジからの分配吐出が完了した後の使用されない成分の量は比較的少なくなる。
【0035】
本発明がフィブリンモノマーとpH−10緩衝液の混合物を投与するための装置の好適な実施例を参照して説明された。使用される混合比は混合物が比較的中性であることを保証しなくてはならず、好適には、塗布場所に到達してしまう前に、空中で前記中性状態が既に達成されている。生成処理の間に、問題のフィブリンモノマーがpH値4.6の凝集阻止剤を混合される。フィブリンモノマーの中性状態への回復は凝集過程が再び始まることを意味する。
【0036】
問題の装置はさらにフィブリンIとpH−10緩衝液を越える他の成分に使用されることができ、ここでは、混合比及び体積流れがこれらの成分に適合されていなくてはならない。例えば、フィブリノーゲン含有成分とトロンビン又はトロンビンに類似の酵素を含有する成分がさらに即席の装置及び方法を利用して適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による装置を示す。
【図2】本発明による装置で使用されるノズルヘッドの正面図である。
【図3】図2の線I−Iに沿って切り取られた同じノズルヘッドの図である。
【図4】本発明による装置の別な図を示す。
【符号の説明】
【0038】
1 ノズルヘッド
5 吐出口経路
6 吐出口経路
7 吐出口経路
8 吐出口
9 吐出口
10 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ又はそれ以上の液体成分を所望の場所へガスの流れと共に塗布する装置であって、前記複数の成分とガスが個別にノズルヘッドへ供給されてノズルヘッドから分配吐出される装置において、前記ノズルヘッドは前記各成分とガスとのための個別の吐出口を備え、さらに前記吐出口が一直線上に配置されていることが改善点である装置。
【請求項2】
前記ガス吐出口が前記直線の吐出口の一方の端部にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の成分は前記所望の場所への塗布時にフィブリンシーラントを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
それぞれの容器に個別に保管され且つノズルヘッドへ前記ノズルヘッド及び前記容器と流体連通しているそれぞれの流体移送手段を通して給送される、二つ又はそれ以上の液体成分の混合物を塗布する装置であって、前記ノズルヘッドは各成分のための個別の吐出口経路並びにガス供給源からガス移送手段を通して給送されるガスのための個別の吐出口経路を備え、前記装置はそれぞれの成分が収容されている容器の共通作動のための放出手段を備え、さらに、前記成分吐出口経路及びノズルヘッドのガス吐出口経路の前記吐出口が実質的に直線に沿って整列しており、ガス吐出口経路の吐出口が吐出口の前記直線の端部に設けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ノズルヘッドが長寸ハンドルと一体となっており、成分及びガスの移送手段は、前記ハンドルから前記放出手段の離れた場所まで延びている実質的に弾性的な管である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
作動手段が前記ハンドルと接続して設けられており、この作動手段は差圧記録装置によって放出手段を作動しガスの給送を行う、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
各成分のために使用される前記容器が、前記成分を放出するためにそれぞれピストンを有する複数のシリンジであり、さらに、放出手段は、前記シリンジの保持のためのホルダと、前記複数のシリンジのピストンを同時に作動するための電気的に駆動されるエレベータ手段とを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記放出手段とガスポンプの形態のガス供給源が個別のユニットとして電気的に駆動される制御ユニットと結合されており、この制御ユニットが前記ノズルヘッドの使用者からの信号で放出手段及びガスポンプを制御するように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ガスの体積流れが各成分の体積流れに適合されて、ノズルの外部で前記成分がガス吐出口を通って放出されるガスの噴流に巻き込まれるようにされている、請求項1の装置を使用して二つの液体成分の混合物を塗布する方法。
【請求項10】
ガス吐出口が前記吐出口からなる直線の一方の端部にあるようにした、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記成分が相互に異なる体積流れで放出され、最も低い体積流れである成分がガス吐出口から最も離れた吐出口を通して放出されるようにした、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ノズルヘッドを通る前記成分の放出が放出手段によって実行され、この放出手段が電子制御ユニットにより作動され、前記ガスの放出がポンプによって実行され、このポンプがさらに電子制御ユニットによって作動され、前記制御ユニットがノズルヘッドを操作する使用者によって作動される信号装置により作動されるようにした、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
それぞれ放出ピストンを有する複数のシリンジが各成分用の容器として使用され、前記シリンジが空になる前の前記制御ユニットによる放出手段の中断停止は、前記シリンジのピストンを短い距離引っ込めさせ、それによって、各成分が前記ノズルの吐出口から短い距離吸引されるように、前記制御ユニットが放出手段を作動する結果を及ぼす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
必要とされる場所へフィブリンシーラントを塗布するシステムであって、
片手で保持され且つ作動されるように適合され、一方の端部にあるそこからフィブリンシーラントの一つ又はそれ以上の成分が分配吐出可能であるスプレーヘッドと、前記一つ又はそれ以上の成分及びガスを第二の端部から前記スプレーヘッドへ移送するための個別の経路手段とを備えるスプレーペンと、
前記スプレーペンの前記第二の端部と前記一つ又はそれ以上の成分及びガスの供給源との間に流体連通を提供する管手段と、
前記スプレーペンから離れている放出手段であって、前記ガス供給源と、前記一つ又はそれ以上の成分の供給源と、前記ガス及び一つ又はそれ以上の成分を前記放出手段から、前記管手段を通り、前記スプレーペンを通り、前記スプレーヘッドからでるように移送するための制御可能な手段とを備える放出手段とからなる、フィブリンシーラントを塗布するシステム。
【請求項15】
前記成分が、フィブリンモノマー溶液と、前記フィブリンモノマー溶液と混合されたときに前記フィブリンモノマーを重合させる成分とである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記成分が、フィブリノーゲン含有合成物と、前記トロンビン又はトロンビンと類似の酵素を含有する合成物とである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ガス及び成分の流れを制御するための制御手段が前記スプレーペンに設けられており、信号手段を介して前記放出手段と連絡可能である、請求項14に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−203294(P2007−203294A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57418(P2007−57418)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【分割の表示】特願平9−521474の分割
【原出願日】平成8年12月6日(1996.12.6)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】