説明

二官能性レソルシノール、チオレソルシノールおよびジチオレソルシノール誘導体金属キレート形成性結合体

本発明は、一般に金属含有医薬用診断剤または治療剤として使用するための金属キレート形成性結合体に関する。具体的には、本発明の結合体は、1つまたは複数の担体、リンカー、および金属配位部分を含み、金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含み、それを介してリンカーに結合している。本発明ではまた、これらの結合体を用いる診断法または治療法、あるいはキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
本発明は、一般に金属含有医薬用診断剤または治療剤として使用するための金属キレート形成性結合体(conjugate)に関する。
【0002】
金属含有医薬用診断剤および治療剤は、生物学および医学研究、ならびに診断および治療手法において、増加の一途をたどる用途がある。一般に、これらの作用剤は、対象に導入されたとき、選択された特定の器官、組織、または骨格構造に局在する放射性同位体または常磁性金属を含有する。手法の目的が診断である場合、放射性同位体、常磁性または放射線不透過性金属のin vivo分布を示す画像は、金属錯体の選択金属および置換パターンに応じて、単光子放出、磁気共鳴、およびx線を含めて、様々な手段によって作成することができる。検出された放射性同位体、常磁性または放射線不透過性金属の分布および対応する相対強度は、標的組織によって占有される空間を示すだけでなく、受容体、抗原、異常、病理学的状態などの存在も示すことができる。手法の目的が治療である場合、作用剤は、通常は放射性同位体を含み、この放射性物質によって、用量の放射線が局所部位に送達される。
【0003】
関心のある標的器官または組織および所望の診断または治療手法に応じて、一連の金属含有医薬用作用剤を使用することができる。よくある1つの形は、放射性または常磁性の金属、結合体が特定の器官または組織部位を標的とするための担体物質、および金属と担体を化学結合させるための結合を含む結合体である。このような結合体では、金属は、通常は配位錯体の形で、より典型的には大環状キレートとして結合体と結合する。例えば、Liu、特許文献1を参照のこと。
【0004】
特許文献2で、Tweedleらは、ランタニド元素の常磁性イオンと大環状キレート形成剤の非イオン性錯体を利用して、哺乳類の組織を画像化する方法を開示している。しかし、非イオン性錯体は、アニオン性錯体より不安定である(すなわち、アニオン性錯体は、カチオン性金属とアニオン性リガンドの静電的相互作用がより強い傾向がある)。
【0005】
配位を補助するためにヒドロキシベンジル基を有する金属配位部分を利用する金属含有薬剤はよく知られており、例えばHBEDが挙げられる。フェノール性酸素は、オルトの位置関係に存在するアミノメチル部分と協調して、多くの金属にとって良好なキレート形成基を提供することが十分実証されている。しかし、これらの化合物の全体的な毒性を低減するため、金属に対してより高い親和性を示す金属配位基を作製する必要性は、依然として重要である。Martellらは、関連するキレートおよび金属結合部分に関して一般的説明を開示し、Cacherisら、毒性を制御するため外因性金属対内因性金属に対するキレートの選択性の重要性を記述している。(非特許文献1、ならびに非特許文献2参照のこと)。
【特許文献1】米国特許第6,916,460号明細書
【特許文献2】米国特許第6,143,274号明細書
【非特許文献1】A. MartellおよびR. Smith、CriticalStability Constants、第1巻: Amino Acides, Plenum Press(1974年)
【非特許文献2】W. Cacherisら、「The RelationshipBetween Thermodynamics and the Toxicity of Gadnollnium Complexes」、MagneticResonance Imaging、8巻(4号)(1990年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの態様の中には、診断および治療手法で使用するための結合体の提供がある。有利には、このような結合体は、非標的組織への非特異的結合のリスクを低減して、特定の器官、組織、または骨格構造内に蓄積する傾向があり、それによって、望むなら、結合体が特定の病状を標的とすることが可能になる。さらに、これらの結合体は比較的低温で形成することができ、それによって結合体を生体組織または器官へ標的化させるための担体が錯体化反応中で破壊される確率を低減する。
【0007】
したがって、簡潔に言えば本発明は、結合体を対象とし、結合体は、結合体を生体組織または器官へ標的化させるための1つまたは複数の担体、金属配位部分、および金属配位部分と担体を化学結合させるためのリンカーを含み、金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含み、それを介してリンカーに結合している。
【0008】
本発明はさらに、結合体を対象とし、結合体は、結合体を生体組織または器官へ標的化させるための1つまたは複数の担体、金属配位部分、金属配位部分によって錯体を形成している金属、および金属配位部分と担体を化学結合させるためのリンカーを含み、金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含み、それを介してリンカーに結合している。
【0009】
本発明はさらに、診断または治療方法に関する。本方法は、結合体を対象に投与することを含み、結合体は、結合体を生体組織または器官へ標的化させるための1つまたは複数の担体、金属配位部分、金属配位部分によって錯体を形成している放射性、常磁性、または放射線不透過性金属、および金属配位部分と担体を化学結合させるためのリンカーを含み、金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含み、それを介してリンカーに結合している。
【0010】
本発明はさらに、金属含有薬剤を調製するキットに関する。本キットは、診断または治療方法で使用するための結合体を含み、結合体は、結合体を生体組織または器官へ標的化させるための1つまたは複数の担体、金属配位部分、金属配位部分によって錯体を形成している金属、および金属配位部分と担体を化学結合させるためのリンカーを含み、金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含み、それを介してリンカーに結合している。
【0011】
本発明の他の態様は、ある程度明らかであり、一部を以下に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(種々の実施形態の詳細な説明)
本発明は、診断もしくは治療用の金属含有薬剤、または磁気共鳴イメージング造影剤で使用するための、金属と配位錯体を速やかに形成することができる結合体を提供する。結合体は、組織型、器官、または生物学的に発現された他の組成物もしくは受容体にin vivoで結合する、生体分子と呼ばれることもある生体指向性担体(bio−directing carrier)に金属イオンを結合させるための2官能性キレート剤(BFC)としても機能することができる。本発明の金属を含有する標的特異性薬剤は、磁気共鳴イメージングもしくはシンチグラフィーによる疾患診断、または全身放射線療法による疾患治療において有用である。
【0013】
一般に、本発明の結合体は、生体指向性担体、およびリンカーを介して間接的に共有結合している金属配位部分を含み、リンカーは、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体(((ジ)チオ)レソルシノールと総称されることもある)を介して金属配位部分に化学結合している。したがって、本発明の((ジ)チオ)レソルシノール誘導体は、一般式:
【0014】
【化13】

【0015】
を有し、式中、Zはそれぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子である。
【0016】
特定の理論に拘束されないが、金属キレート剤の結合点の炭素に対してオルトである2つの位置における、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基および/またはチオール基の配向(下記の式(A)を参照のこと)によって、金属にとってより強力な配位環境が提供されると考えられる。例えば、イットリウム−酸素配位結合は極めて不安定であることが知られている。したがって、溶液中で、この結合は急速に開裂および再形成を行っている。第2の位置的に等価なフェノール性酸素(レソルシノール誘導体の場合)が利用できるので、酸素−金属結合の急速な再形成が可能になる。したがって、この第2の酸素は、外部の競合に対する分子内の競合的結合事象をもたらし、放射性同位体−錯体の脱錯体化および分解を起こすことがある。同様に、多くの金属はチオール基と安定な配位結合を形成するので、ヒドロキシル基の一方または両方をチオール基で置換することができる。
【0017】
リンカーは、利用可能な任意の位置で((ジ)チオ)レソルシノール誘導体に結合することができる。本明細書で「金属キレート剤」と呼ぶ金属配位部分の残りの部分は、ZH基によって置換されている両方の炭素原子に対してオルトである炭素原子で((ジ)チオ)レソルシノール環に結合している。したがって、生体指向性担体、リンカー、および((ジ)チオ)レソルシノール誘導体を含む金属配位部分を含む本発明の結合体は、概略的には式(A):
【0018】
【化14】

【0019】
に対応し、式中、
Lは、金属配位部分を生体指向性担体に直接的にまたは間接的に共有結合させ、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄である。
【0020】
式(A)は単一の生体指向性担体しか示していないが、結合体は、複数の生体指向性担体を含むことができ、それぞれリンカーLを介して金属配位部分に結合していることが意図される。このリンカーは、より詳細に下記に説明するように、単一の共有結合からいくつかの生体指向性担体との結合を有する炭水化物基に及ぶことがある。結合部分は、生体指向性担体標的に対する効力、生体内分布、体内からの排泄経路、および薬物の物質または生成物の安定性など、金属含有薬剤の特性に直接影響を与えるために使用される。
【0021】
診断または治療手法で使用する前に、式Aに対応する結合体は、金属と錯体を形成して、本発明の金属含有医薬用診断剤または治療剤を形成する。
【0022】
生体指向性担体
上記の通り、本発明の結合体は、結合体を所望の組織、器官、受容体、または生物学的に発現された他の組成物標的に誘導する生体分子としても知られている、1つまたは複数の生体指向性担体を含む。理想的には、担体は標的とする器官または組織部位に対して選択的または特異的である。
【0023】
典型的な生体指向性担体としては、ホルモン、アミノ酸、ペプチド、ペプチド模倣物、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、酵素、炭水化物、糖模倣物(glycomimetic)、脂質、アルブミン、モノおよびポリクローナル抗体、受容体、シクロデキストリンなどの封入化合物、ならびに受容体結合分子、例えばαβが挙げられる。担体の具体例としては、乳房および前立腺病変の治療用のステロイドホルモン;神経内分泌腫瘍の治療用のソマトスタチン、ボンベシン、CCK、およびニューロテンシン受容体結合分子;肺癌の治療用のCCK受容体結合分子;結腸直腸癌の治療用のST受容体および癌胎児性抗原(CEA)結合分子;悪性黒色腫の治療用のジヒドロキシインドールカルボン酸(dihyroxyindolecarboxylic acid)および他のメラニン産生生合成中間体;血管性疾患の治療用のインテグリン受容体およびアテローム硬化性プラーク(atheroscleroticplaque)結合分子;ならびに脳病変の治療用のアミロイド斑結合分子が挙げられる。生体指向性担体としては例えば、ポリアミノ酸、ポリオール、ポリアミン、ポリ酸、オリゴヌクレオチド、アルボロール(arborol)、デンドリマー、およびアプタマーなどの合成ポリマーも挙げられる。
【0024】
一実施形態では、生体指向性担体は、アミド、エーテル、抗体(例えば、NeutroSpect(登録商標)、Zevalin(登録商標)、およびHerceptin(登録商標))、タンパク質(例えば、TCII、HSA、アネキシン、およびHb)、ペプチド(例えば、オクトレオチド、ボンベシン、ニューロテンシン、およびアンジオテンシン)、窒素を含む単純な炭水化物もしくは複合炭水化物(例えば、グルコサミンおよびグルコース)、窒素含有ビタミン(例えば、ビタミンA、B1、B2、B12、C、D2、D3、E、H、およびK)、窒素含有ホルモン(例えば、エストラジオール、プロゲステロン、およびテストステロン)、窒素含有有効薬剤(例えば、セレコキシブまたは他の窒素含有NSAIDS、AMD3100、CXCR4、およびCCR5アンタゴニスト)、または窒素含有ステロイドのうちから選択される。この実施形態の一例では、生体分子は、イミダゾール、トリアゾール、ペプチド、窒素置換された単純な炭水化物または複合炭水化物、窒素置換ビタミン、および窒素置換低分子のうちから選択される。別の例では、生体分子は、イミダゾール、トリアゾール、ペプチドのN末端、窒素置換された単純な炭水化物または複合炭水化物、または窒素置換ビタミンである。
【0025】
別の実施形態では、生体指向性担体を反応性((ジ)チオ)レソルシノール誘導体に添加する。例えば、リンカーは、イミダゾール−カルボニルもしくはトリアゾール−カルボニル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、p−ニトロフェニルエステル、または置換反応性の(substitutionally-reactive)部分を有する錯体を提供する他のよく使用される脱離基(例えば、PearsonおよびRoush、Handbookof Reacgents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting GroupsまたはBodansky、PeptideChemistry: A Practical Textbookを参照のこと)から選択することができる。新しく尿素またはアミド結合を形成する求核性部分を有する生体指向性担体を添加することによって、トリアゾール、イミダゾール、または反応性エステルを置換することができる。
【0026】
特定の標的組織、器官受容体、または他の生物学的に発現された組成物に対する特異性を増加させるために、複数の生体指向性担体を利用することができる。このような場合、生体指向性担体は、同じでも異なってもよい。例えば、単一の結合体は、所望の抗原またはハプテンを対象とする複数の抗体または抗体断片を有することができる。通常は、結合体で使用される抗体は、所望の抗原またはハプテンを対象とするモノクローナル抗体または抗体断片である。したがって、例えば結合体は、所望のエピトープに対して特異性を有する2つ以上のモノクローナル抗体を含むことができ、それによって所望の部位で結合体の濃度が上昇する。同様にかつ独立に、結合体は、2つ以上の異なる生体指向性担体を含むことができ、それぞれ、同じ標的組織または器官の異なる部位を標的としている。このように複数の生体指向性担体を利用することによって、結合体が、標的組織または器官のいくつかの領域で濃縮し、治療的処置の有効性が潜在的に高められることは有利である。さらに、結合体は、所望の治療および/または診断結果を最適に実現する、結合体を標的組織または器官で濃縮するように設計された生体指向性担体を一定の割合で有することができる。
【0027】
リンカー
上記の通り、生体指向性担体は、リンカーLを介して金属配位部分の((ジ)チオ)レソルシノール誘導体に共有結合している。リンカーは、好ましくは((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基および/またはチオール基にメタである位置に結合しているが、本発明では、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基および/またはチオール基に対してオルトである位置のいずれかに結合していることが意図される。
【0028】
さらに、選択されたリンカーは、結合体の特定の器官、組織、または骨格構造における蓄積に干渉すべきでない。場合によっては、リンカーは、本発明の結合体の特定の器官、組織、または骨格構造における蓄積を補助し、非標的組織への非特異的結合のリスクを低減することができる。
【0029】
リンカーを、複数の生体指向性担体に結合し、かつ/または結合体の生体内分布に影響するように修飾または合成することができる。例えば、リンカーは、C〜C20炭水化物部分を含むことができ、この炭水化物部分には、エーテル結合を介して1つまたは複数の生体指向性担体に結合する能力がある。さらに、炭水化物部分によって、結合体の水溶性が高まり、それによって生体内分布が影響される。
【0030】
一実施形態では、Lは、C1〜10アルキレン、酸素、硫黄、ケト(−C(O)−)、アミノ(−NH−)、アミド(−C(O)NH−)、尿素(−NHC(O)NH−)、チオ尿素(−NHC(S)NH−)、エステル(−C(O)O−)、ポリオキソ(例えば、−O−CHCH−O−CHCH−O−)、ポリヒドロキシ(例えば、炭水化物)、およびペプチドからなる群より選択され、このアルキレン、アミノ、アミド、尿素、およびチオ尿素基は、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキル、またはC1〜7アルコキシアルキルで場合によって置換されている。この実施形態の一例では、Lは、C1〜10アルキレン、酸素、硫黄、ケト、アミノ、アミド、チオ尿素、エステル、C〜C20炭水化物からなる群より選択され、このアルキレン、アミノ、アミド、およびチオ尿素基は、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキル、またはC1〜7アルコキシアルキルで場合によって置換されている。別の例としては、Lは、より限定的な群から選択することができ、例えば、アミド、チオ尿素、単糖類(例えば、ヘキソースおよびペントース)、および二糖類(例えば、スクロース)であってよい。この実施形態の一代替例では、Lは、尿素結合以外を含む。
【0031】
金属
in vivoもしくはin vitroでの診断手法で検出することができ、または疾患の治療的処置で有用である任意の金属を、この結合体内の金属として使用することができる。特に、ヒトもしくは動物の体内でまたはin vitro診断検査で診断結果または治療応答をもたらすことができる任意の放射性金属イオンまたは常磁性金属イオンを使用することができる。意図する目的に基づいて適切な金属を選択することは、当業者に公知である。一実施形態では、金属は、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される。例えば、金属は、Y−90、In−111、Tc−99m、Re−186、Re−188、Cu−64、Ga−67、Ga−68、およびLu−177からなる群より選択することができる。別の例としては、金属は、より限定的な群から選択することができ、例えばY−90、In−111、Tc−99m、Re−186、Cu−64、Ga−67、およびLu−177、またはY−90、In−111、およびTc−99mであってよい。別の実施形態では、イットリウムおよびインジウムなど、酸素と不安定な結合を形成する金属が、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体を有する金属配位部分に適した金属である。
【0032】
金属配位部分
金属配位部分は、1つまたは複数の金属を生理的条件下で錯化(「配位」とも呼ばれる)するために使用される((ジ)チオ)レソルシノール誘導体を有する任意の部分であり得る。好ましくは、金属配位部分は、金属と共に熱力学的および動力学的に安定な錯体を形成して、錯体を生理的条件下でインタクトで維持する。そうでない場合、配位金属の全身放出が起こる可能性がある。
【0033】
考察を容易にするため、金属配位部分は、(a)金属キレート剤および(b)((ジ)チオ)レソルシノール誘導体の2成分からなるとみなすことができる。必須ではないが、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基をそれぞれ構成する酸素原子または硫黄原子が、金属の錯体化に関与することができる。言い換えれば、金属配位部分は、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基が関与してか、または関与せずに金属を錯化することができる。((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基の関与は、選択された金属キレート剤および特定の金属の性質に依存する。一実施形態では、金属配位部分は、式(B):
【0034】
【化15】

【0035】
に対応し、式中、Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄である。
【0036】
一般に、金属配位部分は、非環式または環式とすることができる。例えば、金属配位部分としては、EDTA、DTPA、DCTA、DOTA、TETA、またはそれらの類似体もしくは同族体などのポリカルボン酸が挙げられる。しかし、生理的条件下でより高い安定性を提供するために、大員環、例えばトリアザおよびテトラアザ大員環が、一般に好ましい。いくつかの実施形態では、大環状金属配位部分は、サイクレン(cyclen)またはタクン(tacn)である。
【0037】
一実施形態では、金属配位部分は、置換ヘテロ環を含み、ここでヘテロ原子は窒素である。通常は、ヘテロ環は、約9〜約15個の原子を含み、これらの環原子の少なくとも3個は窒素である。この実施形態の一例では、ヘテロ環は、3〜5個の環窒素原子を含み、これらの環窒素原子の少なくとも1個は置換されている。これらの実施形態では、環炭素原子は、場合によって置換されている。このような1つの大員環は、式(1):
【0038】
【化16】

【0039】
に対応し、式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜20であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト(sulfato)、スルフィト(sulfito)、ホスファト(phosphato)、ホスフィト(phosphito)、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【0040】
【化17】

【0041】
からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される。
【0042】
式(1)の金属配位部分では、置換基Dが存在する場合それは独立に、置換可能なフェニル環炭素原子のいずれかに結合している。一実施形態では、Dはそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスファートのうちの1つもしくは複数で場合によって置換されているC1〜8アルキルである。より典型的には、Dはそれぞれ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、またはヒドロキシルである。
【0043】
さらに、式(1)の金属配位部分では、置換基Eが存在する場合それは独立に、置換可能なフェニル環炭素原子のいずれかに結合している。一実施形態では、Eはそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスファトのうちの1つもしくは複数で場合によって置換されているC1〜8アルキルである。より典型的には、Eはそれぞれ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、またはヒドロキシルである。
【0044】
通常は、式(1)の金属配位部分では、X〜Xは独立に、C1〜6アルキル、ハロ、またはヒドロキシルで場合によって置換されているメチレンである。
【0045】
式(1)の金属配位部分の別の実施形態では、qは0である。したがって、Q、Q、およびQは独立に、
【0046】
【化18】

【0047】
からなる群より選択される。
【0048】
金属配位部分が式(1)に対応し、mが0を超える場合、一般にAはそれぞれ、安定性および生体内分布にポジティブに影響する置換基であることが好ましい。Aは存在する場合、それぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオ置換基で置換されていることがある。さらに、Aがアリールまたはアルキルである場合、これらはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオで場合によって置換されているアリールまたはC1〜20アルキル部分で場合によって置換されていてもよい。
【0049】
さらに、式(1)の金属配位部分では、置換基Aが存在する場合それは、環炭素原子のいずれかに結合している。さらに、環炭素原子はそれぞれ、1つまたは2つの置換基Aで置換されていてもよく、したがって可能な置換基Aの数は環炭素原子の数によって変わる。少なくとも1つの置換基Aを有する式(1)の金属配位部分の一実施形態では、Aはそれぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシ、およびチオで場合によって置換されているアリールまたはC1〜8アルキルである。例えば、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、ケト、アミド、およびオキシで場合によって置換されているアリールまたはC1〜6アルキルであり得る。別の例としては、Aはそれぞれ、メチルであり得る。
【0050】
一般に、nの値が増大するにつれて、大員環のサイズが増大する。このようにして、大員環のサイズを、配位される金属のサイズおよび配位能力に一致するように調節することができる。
【0051】
式(1)の金属配位部分としては例えば、
【0052】
【化19】

【0053】
が挙げられる。
【0054】
ヘテロ環を含む金属配位部分に加えて、金属配位部分は、代替的に炭素原子および窒素原子の置換鎖を含むことができる。本明細書では、窒素および炭素の鎖は、「バックボーン」または「原子鎖」と呼ばれることがある。通常は、原子鎖は、約4〜約10個の原子を含み、前記原子の少なくとも2個は窒素である。好ましくは、原子鎖は2〜4個の窒素原子を含み、この鎖の窒素原子の少なくとも1つは置換されている。バックボーンの炭素原子は、場合によって置換されている。通常は、バックボーンの窒素原子は互いに、2個の炭素原子によって隔てられている。この実施形態では、金属配位部分は、通常次式(2):
【0055】
【化20】

【0056】
を有し、式中
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜12であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【0057】
【化21】

【0058】
からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、ホスフィト、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト(phospito)、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される。
【0059】
式(2)の金属配位部分では、置換基Dが存在する場合それは独立に、置換可能なフェニル環炭素原子のいずれかに結合している。一実施形態では、Dはそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスファートのうちの1つもしくは複数で場合によって置換されているC1〜8アルキルである。より典型的には、Dはそれぞれ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、またはヒドロキシルである。
【0060】
さらに、式(2)の金属配位部分では、置換基Eが存在する場合それは独立に、置換可能なフェニル環炭素原子のいずれかに結合している。一実施形態では、Eはそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、またはC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスファトのうちの1つもしくは複数で場合によって置換されているC1〜8アルキルである。より典型的には、Eはそれぞれ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、またはヒドロキシルである。
【0061】
通常は、式(2)の金属配位部分では、X〜Xは独立に、C1〜6アルキル、ハロ、またはヒドロキシルで場合によって置換されているメチレンである。
【0062】
式(2)の金属配位部分の別の実施形態では、qは0である。したがって、Q、Q、Q、およびQは独立に、
【0063】
【化22】

【0064】
からなる群より選択される。
【0065】
金属配位部分が式(2)に対応し、mが0を超える場合、一般にAはそれぞれ、安定性および生体内分布にポジティブに影響する置換基であることが好ましい。Aは存在する場合、それぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオ置換基で置換されていることがある。さらに、Aがアリールまたはアルキルである場合、これらはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオで場合によって置換されているアリールまたはC1〜20アルキル部分で場合によって置換されていてもよい。
【0066】
さらに、式(2)の金属配位部分では、置換基Aが存在する場合それは、バックボーンの炭素原子のいずれかに結合している。さらに、バックボーンの炭素原子はそれぞれ、1つまたは2つの置換基Aで置換されていてもよく、したがって可能な置換基Aの数は炭素原子の数によって変わる。少なくとも1つの置換基Aを有する式(2)の金属配位部分の一実施形態では、Aはそれぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシ、およびチオで場合によって置換されているアリールまたはC1〜8アルキルである。例えば、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、ケト、アミド、およびオキシで場合によって置換されているアリールまたはC1〜6アルキルであり得る。別の例としては、Aはそれぞれ、メチルであり得る。
【0067】
一般に、nの値が増大するにつれて、原子鎖の長さが増大する。このようにして、バックボーンの長さを、配位される金属のサイズおよび配位能力に一致するように調節することができる。
【0068】
上記の実施形態のいずれの場合も、金属配位部分は、金属Mと錯体を形成して、それによって金属錯体を形成することができる。
【0069】
金属配位部分がヘテロ環であり、金属Mと錯体を形成する一実施形態では、錯体は、次式(3):
【0070】
【化23】

【0071】
を有し、式中
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜20であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【0072】
【化24】

【0073】
からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、ホスフィト、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファートのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される。
【0074】
式(3)に示されていないが、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基は独立に、金属の配位に関与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基もチオール基も、直接的には金属の配位に関与しないが、他の実施形態では、ヒドロキシル基またはチオール基の一方または両方が金属の配位に関与する。選択された金属および選択された特定の金属配位部分の両方の性質によって、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基が金属の配位に関与するかどうかが決まる。さらに、金属配位部分がレソルシノール誘導体を含む場合、両方の酸素原子は、平衡が存在するため、次から次へと金属の結合に関与している。しかし、両方のヒドロキシル酸素が同時に同じ金属には結合しない。
【0075】
あるいは、金属配位部分が原子鎖を含み、金属Mと錯体を形成する一実施形態では、錯体は、次式(4):
【0076】
【化25】

【0077】
を有し、式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜12であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【0078】
【化26】

【0079】
からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される。
【0080】
式(4)に示されていないが、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基および/またはチオール基は独立に、金属の配位に関与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、単一の((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基の一方が、直接に金属の配位に関与し、他の実施形態では、ヒドロキシル基またはチオール基の他方が、金属の配位に関与する。別の実施形態では、両方の基が次から次へ関与する。例えば、
【0081】
【化27】

【0082】
式中、2個の酸素原子は、M−Oの開裂および再形成のため、相互変換する(a、b、およびcの文字は、2個の酸素原子間の相互変換をよりよく示すために記載する)。
【0083】
選択された金属および選択された特定の金属配位部分の両方の性質によって、((ジ)チオ)レソルシノール誘導体のヒドロキシル基またはチオール基が金属の配位に関与するかどうかが決まる。さらに、金属配位部分がレソルシノール誘導体を含む場合、両方の酸素原子は、平衡が存在するため、次から次へと金属の結合に関与している。しかし、両方のヒドロキシル酸素が同時に同じ金属には結合しない。
【0084】
好ましい錯体が式(3)または式(4)に対応するかどうかは、通常は配位のために選択された特定の金属に依存する。例えば、イットリウムおよびランタニドの場合、式(3)に対応する錯体が好ましい。式(3)は、鉄、銅、およびマンガンの場合にも好ましく、式(4)は、残りの遷移金属に好ましい錯体である。任意の特定の金属に好ましい錯体は、内因性イオンとの金属交換反応(transmetallation)の可能性と関係がある。したがって、式(3)は、イットリウム、ランタニド、およびガリウムが挙げられるが、これらに限定されない高い交換金属の場合、より高い安定性をもたらす。内因性イオンとの金属交換反応は、通常の遷移金属に大きな懸念をもたらさない。
【0085】
三次元の空隙を有する大環状金属配位部分は、安定性の高い金属錯体を形成することが多い。これらの錯体は、金属サイズおよび配位化学、ならびに錯体を形成していない形の予め組織化された立体配座を採用し、金属錯化を容易にする能力に基づいて、特定の金属イオンに対して選択性を示すことが多い。適切な大環状金属配位部分および金属の選択は、当業者に周知である。
【0086】
さらに、nの好ましい値、したがって金属配位部分のサイズまたは長さは、配位される特定の金属に依存する。イットリウムおよびランタニドの場合、例えばnは好ましくは1である。遷移金属の場合、nは通常は0または1である。マンガンおよびテクネチウムの場合、nは、X〜Xの値に応じて0、1、または2である。
【0087】
一般合成
((ジ)チオ)レソルシノールを有する金属配位部分を調製するための一般合成を下記に示す。
【0088】
【化28】

【0089】
この場合、金属キレート剤のアミン部分はサイクレンであり、補助的な配位部分はカルボキシメチル基であり、レソルシノール結合部分は、尿素結合を介して生体指向性担体(上記のスキームの「R」として表す)に結合している。
【0090】
金属含有薬学的組成物
本発明の金属含有薬学的組成物は、金属と錯体を形成し、薬学的に受容可能な担体中に分散している結合体を含む。当技術分野で賦形剤、ビヒクル、補助剤(auxiliary)、アジュバント、または希釈剤としても知られている薬学的に受容可能な担体は、通常は薬剤として不活性であり、適切な粘稠性を付与し、または組成物に形成し、結合体の治療または診断の有効性を低減しない物質である。担体は、一般に、哺乳類、特にヒトに投与したとき許容しがたい有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を起こさない場合「薬学的または薬理学的に受容可能である」とみなされる。
【0091】
薬学的に受容可能な担体の選択は、一部には投与経路にも応じる。一般に、本発明の金属含有薬学的組成物は、標的組織がその投与経路を介して利用できる限り、いずれの投与経路向けに製剤することができる。例えば、適切な投与経路としては、経口、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、関節内、脊髄内、腹腔内、または胸骨内)、局所(経鼻、経皮、眼内)、膀胱内、髄腔内、経腸、経肺、リンパ内、体腔内、経腟、経尿道、皮内、経耳、乳房内、口腔内、正所性、気管内、病巣内、経皮、内視鏡的、経粘膜、舌下、および腸管内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明の組成物で使用するための薬学的に受容可能な担体は、当業者に周知であり、いくつかの要因:使用する特定の結合体、ならびにその濃度、安定性、および意図するバイオアベイラビリティ;本組成物を用いて治療または診断される疾患、障害、または病態;対象者、その年齢、サイズ、および全身状態;ならびに投与経路に基づいて選択される。適切な薬学的に受容可能な非水性極性溶媒としては、アルコール(例えば、α−グリセロールホルマール、β−グリセロールホルマール、1,3−ブチレングリコール;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、またはステアリルアルコールなどの2〜30個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)などの脂肪アルコールの脂肪酸エステル、ソルビタン、スクロース、およびコレステロール);アミド(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、安息香酸ベンジル(DMA)、ジメチルホルムアミド、N−(β−ヒドロキシエチル)−ラクトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アミド、2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノン、またはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、モノアセチン、ジアセチン、およびトリアセチンなどの酢酸エステル、カプリル酸エチルもしくはオクタン酸エチルなどの脂肪族もしくは芳香族エステル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クエン酸もしくは酒石酸モノ、ジ、もしくはトリグリセリルなどのグリセリンのエステル、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸由来のPEGエステル、モノステアリン酸グリセリン、モノ、ジ、もしくはトリグリセリドなどのグリセリドエステル、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル、PEG−ヒドロキシオレアートおよびPEG−ヒドロキシステアラートなどの脂肪酸由来のPEGエステル、N−メチルピロリジノン、プルロニック60、ポリ(エトキシ化)30〜60ソルビトールポリ(オレアート)2〜4、ポリ(オキシエチレン)15〜20モノオレアート、ポリ(オキシエチレン)15〜20モノ12−ヒドロキシステアラート、およびポリ(オキシエチレン)15〜20モノリシノレアートなどのポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、およびPolysorbate(登録商標)20、40、60、もしくは80(ICI Americas製、Wilmington、DE)などのポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシル40水素添加ヒマシ油およびポリオキシエチル化ヒマシ油などのアルキレンオキシ修飾脂肪酸エステル(例えば、Cremophor(登録商標)EL溶液またはCremophor(登録商標)RH 40溶液)、糖脂肪酸エステル(すなわち、単糖(例えば、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、およびキシルロースなどのペントース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、およびソルボースなどのヘキソース、トリオース、テトロース、ヘプトース、ならびにオクトース)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、およびトレハロース)、もしくはオリゴ糖、またはそれらの混合物と、C〜C22脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸などの飽和脂肪酸、ならびにパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、およびリノール酸などの不飽和脂肪酸)との縮合生成物)、またはステロイド系エステル);2〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、または環式エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3〜30個の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4〜30個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族、または芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはテトラメチレンスルホキシド);ミネラル、植物、動物、エキス、もしくは合成由来の油(例えば、脂肪族または蝋系炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族および芳香族混合系炭化水素、ならびに精製パラフィン油などの鉱油、アマニ油、キリ油、ベニバナ油、ダイズ油、ヒマシ油、綿実油、グラウンドナッツ(groundnut)油、ナタネ油、ココナツ油、ヤシ油、オリーブ油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、ゴマ油、杏仁油、および落花生油、ならびにモノ、ジ、もしくはトリグリセリドなどのグリセリドなどの植物油、魚油、海洋性(marine)油、鯨油、タラ肝油、ハリバ(haliver)油、スクアレン油、スクアラン油、および鮫肝油などの動物油、オレイン酸油、およびポリオキシエチル化ヒマシ油);1〜30個の炭素原子、および場合によっては1つを超えるハロゲン置換基を有するアルキルもしくはアリールハロゲン化物;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トロラミン;ω−3高度不飽和脂肪酸(例えば、αリノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、またはドコサヘキサエン酸);12−ヒドロキシステアリン酸とポリエチレングリコールのポリグリコールエステル(Solutol(登録商標)HS−15、BASF製、Ludwigshafen、Germany);ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;またはソルビタンモノオレアートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本発明で使用するための薬学的に受容可能な他の溶媒は、当業者に周知であり、下記に特定されている:The Chemotherapy Source Book(Williams & Wilkens Publishing)、TheHandbook of Pharmaceutical Excipients(American Pharmaceutical Association、Washington,D.C.、およびThe Pharmaceutical Society of Great Britain、London、England、1968年)、ModernPharmaceutics(G. Bankerら編、第3版)(Marcei Dekker, Inc.、New York、New York、1995年)、ThePharmacological Basis of Therapeutics(Goodman & Gilman、McGraw HillPublishing)、Pharmaceutical Dosage Forms(H. Liebermanら編)(Marcel Dekker, Inc.、NewYork、New York、1980年)、Remington's Pharmaceutical Sciences(A. Gennaro編、第19版)(MackPublishing、Easton、PA、1995年)、The United States Pharmacopeia 24、The National Formulary19(National Publishing、Philadelphia、PA、2000年)、A.J. Spiegelら、および「Use ofNonaqueous Solvents in Parenteral Products」、JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES、第52巻、第10号、917〜927頁(1963年)。
【0094】
投与量
本発明の薬学的組成物の投与に関する投与量およびレジメンは、疾患の診断または治療の技術者によって容易に決定することができる。結合体の用量は、レシピエントの年齢、性別、健康、および体重、併用療法がある場合はその種類、治療頻度、および所望の効果の性質に依存することは理解されよう。いずれの投与モードの場合でも、本明細書に記載する有利な効果を実現するのに必要な結合体の実際に送達される量、および投与スケジュールは、一部には結合体のバイオアベイラビリティ、治療または診断される障害、所望の治療または診断用投与量のような要因、および当業者に明らかな他の要因にも依存する。本発明の場合、動物、特にヒトに投与される投与量は、動物において適正な期間にわたって所望の治療または診断応答に影響するのに十分な程度でなければならない。
【0095】
本発明により提供される放射性標識シンチグラフィー造影剤は、適切な量の放射能を有して提供される。診断用放射性錯体を形成する際に、約0.01ミリキュリー(mCi)/mL〜100mCi/mLの濃度の放射能を含有する、放射性錯体を溶液中に形成することが一般に好ましい。一般に、投与する単位用量は、約0.01mCi〜約100mCi、好ましくは約1mCi〜約30mCiの放射能を有する。単位投与量の注射溶液は、約0.01mL〜約10mlである。投与に適した放射性標識結合体の量は、速やかに浄化される結合体が、速やかに浄化されない結合体より高い投与量で投与する必要があり得るという意味で、選択された結合体の分布プロファイルに依存する。in vivo分布および局在化は、投与の後、適切な時間、通常は非標的組織におけるクリアランス速度に対する標的部位における蓄積速度に応じて、30分間〜180分間、標準的シンチグラフィー技法で追跡することができる。
【0096】
通常は、In−111の診断用投与量は3〜6mCiであり、典型的なTc−99mの投与量は10〜30mCiである。一般に、放射性薬剤の放射線治療用投与量は、腫瘍、および注射サイクル数に応じて、大きく異なる。例えば、Y−90の蓄積線量は、約100〜600mCi(20〜150mCi/投与)の範囲であり、Lu−177の蓄積線量は、約200〜800mCi(50〜200mCi/投与)の範囲である。
【0097】
キット
便宜上、本発明の金属含有薬学的組成物を、必要な成分の一部または全部を含有するキットの形で使用者に提供することができる。成分の一部、例えば放射性同位体の貯蔵寿命が、特に組合せの場合に限定されるので、キットの使用は特に好都合である。したがって、キットは、下記の構成要素の1つまたは複数を含むことがある:(i)結合体、(ii)結合体に配位しているか、または結合体による配位のための金属、(iii)担体溶液、ならびに(iv)それらの組合せおよび使用のための指示書。金属に応じて、還元剤は、結合体との反応のための金属を調製するのに必要である場合がある。還元剤としては例えば、Ce(III)、Fe(II)、Cu(I)、Ti(III)、Sb(III)、およびSn(II)が挙げられる。これらのうち、Sn(II)が特に好ましい。キットの成分は、単位投薬形態(例えば、個別のバイアルにそれぞれの成分)であることが多い。
【0098】
安定性の理由から、結合体は、乾燥した凍結乾燥状態で提供されることが好ましいことがある。次いで、使用者は、担体または他の溶液を添加することによって、結合体を再構成することができる。
【0099】
適切な放射性核種の半減期は短いため、使用者にキットを放射性核種なしで提供することが最も都合がよいことが多い。次いで、放射性核種は、手順で求められる場合に別に取り寄せる。あるいは、放射性核種がキットに含まれる場合、キットはおそらく、必要とされる直前に使用者に輸送される。
【0100】
金属配位部分、生体分子、反応性求電子物質(例えば、活性尿素、活性エステル、活性ハロゲン化アルキル、および酸塩化物)、金属、および脱保護用酸(deproctecting acid)に加えて、本発明のキットは、通常は緩衝剤を含む。緩衝剤としては例えば、シトラート、ホスファートおよびボラートが挙げられる。
【0101】
キットは、実施する最終使用者による放射性薬剤合成の容易さ、キット製造の容易さ、キットの貯蔵寿命、または放射性薬剤の安定性および貯蔵寿命を改善するよう意図されていることが多い他の成分を場合によっては含む。本発明のこのような成分としては、凍結乾燥助剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、デキストラン、フィコール、およびポリビニルピロリジン(PVP));安定化助剤(例えば、アスコルビン酸、システイン、モノチオグリセロール、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ゲンチジン酸、およびイノシトール);および静菌剤(例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、ならびにメチル、プロピル、およびブチルパラベン)が挙げられる。
【0102】
通常は、結合体がキットとして製剤される場合、キットは、活性尿素基を有する保護された金属配位部分、脱保護用酸、緩衝剤、およびIn−191、Y−90、またはLu−177などが挙げられるが、これらに限定されない放射性金属の溶液からなる複数のバイアルを含む。実際には、使用者は、金属配位部分を含有するバイアルを取り出し、反応性アミノ(NH)基を有する関心のある生体指向性担体の溶液を添加する。結合が完了したら、脱保護用酸を添加して、脱保護を行い、続いて放射性金属を添加する。次いで、混合物を緩衝して、金属キレート剤による放射性金属の錯体化を完了する。
【0103】
定義
本明細書に記載する化合物は、不斉中心を有することがある。不斉置換原子を含む本発明の化合物は、光学活性またはラセミの形態で単離することができる。本発明の化合物のシスおよびトランスの幾何異性体は記載しており、異性体の混合物として、または別々の異性体の形態として単離することができる。特定の立体化学または異性体の形態が、具体的に記載されていない限り、構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミの形、およびすべての幾何異性体の形態が意図されている。本発明の化合物を調製するために使用されるすべてのプロセス、およびそこで作製される中間体は、本発明の一部分とみなされる。
【0104】
本発明には、本化合物に存在する原子のすべての同位体が含まれる。同位体には、原子番号が同じであるが質量数が異なる原子が含まれる。
【0105】
別段の示唆のない限り、本明細書に記載するアルキル基は、主鎖中に好ましくは1〜8個の炭素原子、および最高20個の炭素原子を含む低級アルキルである。これらは、直鎖もしく分枝鎖、または環式とすることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0106】
本明細書では、用語「アミド」は、置換アミド部分を包含する。この置換基としては、アリールおよびC1〜20アルキルの1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されず、それぞれ、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオ置換基によって場合によって置換されていてもよい。
【0107】
本明細書では、用語「アミノ」は、置換アミノ部分を包含する。この置換基としては、アリールおよびC1〜20アルキルの1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されず、それぞれ、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオ置換基によって場合によって置換されていてもよい。
【0108】
本明細書では、用語「アリール」または「アル」は単独でまたは別の基の一部分として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルなど、場合によって置換されているホモ環式芳香族基、好ましくは環部分に6〜12個の炭素を含む単環式または二環式の基を表す。フェニルおよび置換フェニルが、より好ましいアリールである。
【0109】
用語「錯体」は、金属と錯体を形成または配位している、例えば式(1)の本発明の金属配位部分を意味する。金属は、通常は放射性同位体または常磁性金属イオンである。
【0110】
用語「結合体」は、金属配位部分が金属と錯体を形成しているか否かに関わらず、生体指向性担体(生体分子)に結合している、例えば式(1)の本発明の金属配位部分を意味する。本発明では、金属配位部分は、生体指向性担体に直接に、または尿素部分を介して間接的に結合している。
【0111】
本明細書では、用語「ハロゲン」または「ハロ」は単独でまたは別の基の一部分として、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を意味する。
【0112】
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を意味するものである。
【0113】
本明細書では、用語「ヘテロ環」または「複素環」は単独でまたは別の基の一部分として、少なくとも1つの環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、場合によって置換されている完全飽和または不飽和の単環式または二環式の芳香族または非芳香族基を表す。ヘテロ環基は、好ましくは環中に1〜5個の窒素原子を有し、分子の残りの部分に炭素原子を介して結合することができる。ヘテロシクリックとしては例えば、大員環、サイクレン、DOTA、DOTMA、DOTP、およびTETAが挙げられる。
【0114】
本明細書に記載する「ヘテロ置換アルキル」部分は、アルキル基であり、ここで炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子に、場合によっては水素と共に共有結合しており、ヘテロ原子は、例えば窒素原子である。
【0115】
本明細書では、用語「金属含有薬剤」は、画像処理または治療に有用である、金属を含む薬学的に受容可能な化合物を意味する。
【0116】
本明細書では、「レソルシノール誘導体」は、m−ジヒドロキシベンゼン部分を含む。
【0117】
本明細書では、「チオレソルシノール誘導体」は、ヒドロキシル基の一方がチオール部分で置換されているレソルシノール誘導体を含む。
【0118】
本明細書では、「ジチオレソルシノール誘導体」は、ヒドロキシル基の両方がチオール基で置換されているレソルシノール誘導体を含む。
【実施例】
【0119】
下記の実施例は、予側的である。
【0120】
(実施例1)
【0121】
【化29】

【0122】
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸トリス(1,1−ジメチルエチル)エステルを、アセトニトリル中、塩基として重炭酸ナトリウムを用いて、2−(ブロモメチル)−1,3−ジ−tert−ブトキシ−5−ニトロベンゼンと反応させる。得られた生成物を、結晶化によって反応混合物から単離し、ヒドラジンおよびラネーニッケルで処理して、ニトロ基を還元する。得られたアニリンをCDIで処理して、その中間体をボンベシン1−14(lys)と反応させる。生成物を、トリフルオロ酢酸:ジクロロメタンの1:1混合物に溶解させ、逆相クロマトグラフィーによって精製し、蒸発させて、脱保護リガンド−結合体を得る。これをインジウム−111と反応させて、GRP陽性癌検出のための予側的診断剤を得る。
【0123】
(実施例2)
【0124】
【化30】

【0125】
サイクレンを2−(ブロモメチル)−1,3−ジ−t−ブトキシベンゼンで選択的にトリアルキル化して、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス(2−イル(1,3−ジ−t−ブトキシベンゼンメチル)を得る。このアミンを4−(ブロモメチル)−3,5−ジ−t−ブトキシ安息香酸t−ブチルでアルキル化する。このt−ブチルエステルをギ酸で処理して除去し、得られたカルボン酸を、Hortonら、JOC、第68巻(第18号)、7108〜7111頁、2003年に従って、5’−カルバモイル修飾CNCbIのアミノエーテルに結合する。t−ブチルエーテル基をトリフルオロエタノール中、トリフルオロメタンスルホン酸で処理することによって除去する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体指向性担体、金属配位部分、および該金属配位部分を該担体に化学的に結合させるリンカーを含む結合体であって、該金属配位部分は、レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を含む、結合体。
【請求項2】
前記生体指向性担体が、イミダゾール、トリアゾール、抗体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ビタミン、ホルモン、薬物、および有機低分子からなる群より選択される、請求項1に記載の結合体。
【請求項3】
前記結合体が1つを超える生体指向性担体を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項4】
前記金属配位部分がポリカルボン酸である、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項5】
前記金属配位部分が、EDTA、DTPA、DCTA、DOTA、TETA、またはそれらの類似体もしくは同族体からなる群より選択される、請求項4に記載の結合体。
【請求項6】
前記金属配位部分がトリアザまたはテトラザ大員環である、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項7】
前記金属配位部分が金属と錯体を形成し、該金属が放射性同位体または常磁性金属からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項8】
前記金属が、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される、請求項7に記載の結合体。
【請求項9】
前記金属配位部分が置換ヘテロ環を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項10】
前記ヘテロ環が9〜15個の環原子を含み、該環原子の少なくとも3個が窒素である、請求項9に記載の結合体。
【請求項11】
前記ヘテロ環が3〜5個の環窒素原子を含む、請求項9または10に記載の結合体。
【請求項12】
前記ヘテロ環が、1つまたは複数の環炭素原子において場合によって置換されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項13】
前記ヘテロ環が、1つまたは複数の環窒素原子において置換されている、請求項12に記載の結合体。
【請求項14】
前記金属配位部分が、下記の構造を有する置換ヘテロ環:
【化1】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜20であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化2】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される]を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項15】
前記金属配位部分が炭素原子および窒素原子の置換鎖を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項16】
前記置換鎖が4〜10個の原子を含み、該原子の少なくとも2個が窒素である、請求項15に記載の結合体。
【請求項17】
前記置換鎖が2〜4個の窒素原子を含む、請求項15または16に記載の結合体。
【請求項18】
前記置換鎖が、1つまたは複数の炭素原子において場合によって置換されている、請求項15から17のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項19】
前記置換鎖が、1つまたは複数の窒素原子において置換されている、請求項18に記載の結合体。
【請求項20】
前記金属配位部分が、下記の構造を有する炭素原子および窒素原子の置換鎖:
【化3】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜12であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化4】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される]を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項21】
前記リンカーが、C1〜10アルキレン、酸素、硫黄、ケト、アミノ、アミド、尿素、チオ尿素、およびエステルからなる群より選択され、該アルキレン、アミノ、アミド、尿素、およびチオ尿素基は、アリール、C1〜7アルキル、C1〜7ヒドロキシアルキル、またはC1〜7アルコキシアルキルで場合によって置換されている、請求項1に記載の結合体。
【請求項22】
前記リンカーが、C1〜10アルキレン、酸素、硫黄、ケト、アミノ、アミド、チオ尿素、およびエステルからなる群より選択される、請求項21に記載の結合体。
【請求項23】
前記金属配位部分が金属Mと錯体を形成して、次式を有する金属錯体:
【化5】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜20であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化6】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスフェートのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される]を形成する、請求項1に記載の結合体。
【請求項24】
前記金属配位部分が金属Mと錯体を形成して、次式を有する金属錯体:
【化7】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜12であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、エーテル、C4〜20炭水化物、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C4〜20炭水化物、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化8】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、エーテル、C4〜20炭水化物、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
Mは、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される]を形成する、請求項1に記載の結合体。
【請求項25】
前記金属配位錯体がレソルシノール誘導体を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の結合体および薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項27】
癌の診断で使用するための請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
癌の治療で使用するための請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
レソルシノール、チオレソルシノール、またはジチオレソルシノール誘導体を有する金属配位部分、反応性求電子物質、脱保護用酸、および緩衝剤を含むキットであって、該金属配位部分が、下記の構造:
【化9】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜20であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化10】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスフェートのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される];あるいは
【化11】

[式中、
Zはそれぞれ独立に、酸素または硫黄であり;
nは、0、1、または2であり;
mは0〜12であり、mが0を超える場合、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、またはチオによって場合によって置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり;
qは0〜3であり、qが0を超える場合、Dはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択され;
、X、X、X、およびXは独立に、場合によって置換されているメチレンであり、この置換基は、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプト、およびチオからなる群より選択され;
〜Qは独立に、
【化12】

からなる群より選択され;
は0〜4であり、qが0を超える場合、Eはそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ホスファト、ならびにC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスピト、スルファト、およびホスファトのうちの1つまたは複数で場合によって置換されているC1〜20アルキルからなる群より選択される]の1つを含むキット。
【請求項30】
前記緩衝剤が、シトラート、ホスファートおよびボラートからなる群より選択される、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記反応性求電子物質が、活性尿素、活性エステル、および活性ハロゲン化アルキルからなる群より選択される、請求項29または30に記載のキット。
【請求項32】
前記金属配位部分、前記反応性求電子物質、前記脱保護用酸、および前記緩衝剤が単位投薬形態である、請求項29から31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
さらに、放射性金属の溶液を含む、請求項29から32のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
前記放射性金属が、Lu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、As、およびAs−211からなる群より選択される、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記金属配位部分がレソルシノール誘導体を含む、請求項34に記載のキット。

【公表番号】特表2009−527559(P2009−527559A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556387(P2008−556387)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/004427
【国際公開番号】WO2007/100563
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】