説明

二層分離型化粧料

【課題】 肌にべたつきのなさを確保したまま、かさつきがなくなめらかな感触を付与することができ、更に肌のなめらかさやべたつきのなさの持続性に優れた二層分離型化粧料の提供。
【解決手段】 圧縮強度が0.7〜10kgf/mm2である架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体と液状媒体を含有する二層分離型化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のゴム弾性を有する架橋樹脂粉体を含有する二層分離型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を含有する化粧料としては、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料のほかに、ボディーパウダー、ベビーパウダー、ボディーローション等のボディ用化粧料、フェイスローション、プレシェーブローション等のローション製剤などが市販されている。これらボディ用化粧料やローション製剤において、粉体は、肌上での伸びや感触の向上、皺隠し効果などの機能付与を目的として使用される。例えば、シリカ、タルク等の無機粉体、ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレン等からなる樹脂粉体が挙げられる。しかしながら、これらの粉体材料は、その種類に応じた特徴を有するものの、ソフトな感触やなめらかな感触を付与するという点では不十分である。
【0003】
特許文献1〜3には、圧縮強度が0.05〜0.6kgf/mm2の架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粒子を含有する外用剤が開示されている。このような粒子は良好な伸びと感触を有するが、まだ満足できるものではなく、より一層優れた伸び、なめらかさ、ソフト感などの感触を併せ持つ粒子が求められている。
【特許文献1】特開2000−186017号公報
【特許文献2】特開2000−302624号公報
【特許文献3】特開2002−265529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリカやタルク等の無機粉体や樹脂粉体を低粘度液体中に配合したプレシェーブローション、フェイスローション、ボディローション等の二層分離型化粧料が商品化されている。かかる化粧料を肌に適用した場合、粉体によって、汗や皮脂のべたつきを緩和し、シェーバーの滑りや肌のなめらかさを向上させるものの、粉体特有のかさついた感触が残るため自然な肌感触が得られない。特に乾燥した環境では粉をふいたような感触を与え、シェービングを終えた後や肌に適用後の肌感触は好ましいものではなかった。
【0005】
従って、本発明の課題は、肌にべたつきのなさを確保したまま、かさつきがなくなめらかな感触を付与することができ、更に肌のなめらかさやべたつきのなさの持続性に優れた二層分離型化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧縮強度が0.7〜10kgf/mm2である架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体と液状媒体を含有する二層分離型化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二層分離型化粧料は、肌のべたつきのなさを確保したまま、かさつかずなめらかな感触を付与することができ、更に肌のなめらかさやべたつきのなさの持続性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において二層分離型化粧料とは、水、低級アルコール及び多価アルコール等から選ばれる液状媒体に粉体を配合した化粧料をいう。かかる化粧料は、静置しておくと粉体が沈降し、液体層と粉体層の二層に分離するが、使用時に振盪すると粉体が容易に分散して懸濁液となる。使用者がその状態で皮膚に適用して用いることができる。
【0009】
以下、本発明の二層分離型化粧料を構成する成分を順次説明する。
【0010】
[架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体]
本発明に用いられる架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体は、肌のべたつきのなさ及びなめらかさを得る観点から、圧縮強度が0.7〜10kgf/mm2であり、特に2〜8kgf/mm2が好ましい。
【0011】
ここで、圧縮強度とは、樹脂粒子を(株)島津製作所製微小圧縮試験機MCT-M200にて圧縮試験を行った場合に、粒子径の10%変形時の荷重と粒子径とから下記式によって算出される値である。なお、圧縮強度は25℃で測定する。
【0012】
圧縮強度(kgf/mm2)=2.8×荷重(kgf)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}
樹脂粒子の圧縮強度は、樹脂粒子を構成する単量体と架橋剤の種類と配合量を制御することにより、適宜調節することができる。
【0013】
本発明で用いられる架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体(以下(メタ)アクリル酸エステル単量体という)とカルボキシル基を有する単量体とを含む単量体成分を共重合してなる架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体が好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を含む概念である。
【0014】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルが特に好ましい。これらは複数種組み合わせて用いてもよい。全単量体成分(後述の架橋性単量体も含む。以下同様)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体の割合は、30〜98質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましい。
【0015】
本発明で用いられるカルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは複数種組み合わせて用いてもよい。全単量体成分中のカルボキシル基を有する単量体の割合は、粉体の合着を抑制し、良好な粉体の感触(なめらかさ、さらさら感)を得る観点から、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0016】
架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体に含有されるカルボキシル基の一部は中和されていてもよい。中和のための塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基が好ましいが、アミン類、アルカノールアミン類、塩基性アミノ酸等の有機塩基も用いることができる。粉体のなめらかさとさらさら感をより向上させる観点から、中和度は1〜30%が好ましく、1〜20%が特に好ましい。ここで中和度とはカルボキシル基を有する単量体のカルボキシル基のモル数に対する、添加された塩基のモル数の比を百分率で表したものである。
【0017】
単量体成分は架橋剤として、ビニル基を2個以上有する架橋性単量体を含むことが好ましい。このような架橋性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系架橋性単量体、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル系単量体が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの架橋性単量体の中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが、皮膚刺激が低いため、二層分離型化粧料として用いるのに特に適している。これらの架橋性単量体は、全単量体成分に対し、3〜50質量%となるように使用するのが好ましい。
【0018】
単量体成分として、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体、カルボキシル基を有する単量体及び架橋性単量体以外に、これらと共重合可能な他の単量体を共重合させてもよい。他の単量体として、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0019】
架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体は、例えば上記の(メタ)アクリル酸エステル単量体、カルボキシル基を有する単量体及び架橋性単量体を含む単量体成分を、分散剤、重合開始剤等を用いて水性懸濁重合、乳化重合、シード重合、分散重合等により重合することで得ることができる。この内、球状で粒径のそろった樹脂粉体が得やすいという観点から、水性懸濁重合法が好ましい。
【0020】
水性懸濁重合は、単量体を含む油相と水相を混合した後、撹拌しながら昇温して行われる。この際、界面活性剤を分散剤として用いる。界面活性剤の使用量は、全単量体成分100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が特に好ましい。
【0021】
ここに、界面活性剤としては、スルホン酸(塩)基を有するものが好ましい。これにより、更になめらかでさらさら感を持つ樹脂粉体を得ることができる。
【0022】
スルホン酸(塩)基を有する界面活性剤としては、特開2003−146826号公報段落番号0032〜0036に記載されているものなどが挙げられる。中でも、炭素数5〜30のアルキル基又はアルケニル基を有し、1分子内に平均0.5〜25モルのアルキレンオキサイドを付加していてもよいアルキル又はアルケニルエーテルスルホン酸又はその塩、及び炭素数5〜30のアルキル基又はアルケニル基を有するアシル化タウリン又はその塩が好ましく、下記一般式(I)で表されるアシル化タウリン(塩)が特に好ましい。
【0023】
1CONR2CH2CH2SO3M (I)
[式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数5〜30のアルキル基又はアルケニル基、R2は水素原子又はメチル基、Mは水素原子又はカチオンを示す。]
一般式(I)において、R1としては、炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体例としては、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、テトラコシル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル等が挙げられる。また、アルキル基又はアルケニル基の置換基としては、水酸基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、アミド基等が挙げられる。
【0024】
Mで示されるカチオンとしては、アルカリ金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニルアミン、総炭素数1〜22のアルカノールアミン、塩基性アミノ酸塩等のカチオンが挙げられ、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオンが特に好ましい。
【0025】
重合に用いられる重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などの油溶性アゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の添加量は、全単量体成分に対し0.1〜10質量%が好ましい。
重合温度や重合時間は特に限定されるものではないが、重合温度は40〜100℃、重合時間は1〜15時間が好ましい。
【0026】
本発明の樹脂粉体の形状は、皮膚上での感触が良好であることから、球状体が好ましい。また、平均粒径は、きしみ感を低減するという観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上が更に好ましく、2μm以上が特に好ましい。一方、ざらつきを抑え、更に皮膚定着性を向上させる観点から、10μm以下が好ましく、8μm以下が更に好ましく、6μm以下が特に好ましい。
【0027】
尚、平均粒径は、レーザー回折型粒径分布測定装置(例えば、堀場製作所製 LA−920)を用い、粉体の水懸濁液を20℃において相対屈折率1.1にて重量平均粒径を測定することで求めることができる。
【0028】
[液状媒体]
本発明に用いられる液状媒体としては、水、低級アルコール及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、水と低級アルコール及び/又は多価アルコールとの混合溶媒が好ましい。水とアルコール類との混合比率は質量比で、水/アルコール類=1/99〜99/1が好ましく、5/95〜95/5が更に好ましい。
【0029】
本発明に用いられる低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜4のアルコールが挙げられ、特にエタノールが好ましい。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0030】
本発明の二層分離型化粧料においては、液状媒体の組成、例えば水とアルコール類の割合を変化させることによって、目的とする製品特性に応じて、乾燥速度、皮膚感触等の調整が可能である。また、アルコール類の配合量を増加させることにより、エステル油等の油剤、消炎剤、紫外線吸収剤、植物エキス等の有効成分を多量に均一溶解させることが可能となり、これらの成分による特定の作用を付与することができる。
【0031】
[二層分離型化粧料]
本発明の二層分離型化粧料は、プレシェーブローション、アフターシェーブローション等のシェービング用ローション、汗や皮脂等でべたついた皮膚にさらっとした感触を与えるフェイスローションやボディローション、デオドラント剤、更には手や足に塗布して手袋やストッキングの脱着を容易にするローション等として好ましく用いられる。
【0032】
本発明の二層分離型化粧料は、前記の架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体を含有することを特徴とする。本発明の二層分離型化粧料中の架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体の含有量は、肌のべたつきを抑え、滑らかさを付与し、且つ肌を白くさせない観点から、0.5〜50質量%が好ましく、1〜30質量%が更に好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。
また、本発明の二層分離型化粧料中の液状媒体の含有量は、50〜99.5質量%が好ましく、70〜99質量%が更に好ましく、80〜98質量%が特に好ましい。
【0033】
本発明の二層分離型化粧料には、耐ケーキング性及び安定性を損なわない範囲で、他の粉体、例えば、タルク、チタン等の無機粉体を適宜混合できる。また、本発明の二層分離型化粧料には、更に、一般に化粧料に用いられる界面活性剤、油剤、清涼剤、消炎剤、薬効剤、保湿剤、殺菌剤、制汗剤、酸化防止剤、美白剤、紫外線吸収剤、香料、着色剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜混合できる。
【0034】
本発明の二層分離型化粧料は、前記架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体及び液状媒体、必要に応じて他の成分を通常の手段により混合することにより得られ、通常、これを容器に充填して製品化される。上記容器としては、液体化粧料用ボトル、ロールオン型容器、ポンプスプレー容器、エアゾール容器等が挙げられる。
【0035】
本発明の二層分離型化粧料は、肌のべたつきやかさつきを抑え、シェーバーの滑りや肌のなめらかさを向上させることができ、更にはこれらの感触を持続させることができる。
【実施例】
【0036】
例中の%は、特記しない限り質量%である。
【0037】
製造例1
ビーカーにラウリルメタクリレート85g、エチレングリコールジメタクリレート15g、ラウロイルパーオキサイド2gを仕込み混合攪拌して溶解させた。ここにN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム(SMT)を0.75g溶解させた。イオン交換水400gを加え、ホモミキサーで粒径が2.4μmになるまで分散させた。
【0038】
4つ口フラスコにこの分散液を注ぎ込み、攪拌しながら窒素置換を30分行った。オイルバスによりフラスコ内部の温度を80℃まで加温し、80℃に達してから5時間重合を行った後、室温まで冷却した。重合した粒子の分散液を凍結乾燥し、粒子を回収することにより樹脂粉体Aを得た。
【0039】
製造例2
ビーカーにラウリルメタクリレート82g、メタクリル酸3g、エチレングリコールジメタクリレート15g、ラウロイルパーオキサイド2gを仕込み混合攪拌して溶解させた。ここにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.75g溶解させたイオン交換水400gを加え、ホモミキサーで粒径が2.5μmになるまで分散させた。
【0040】
4つ口フラスコにこの分散液を注ぎ込み、攪拌しながら窒素置換を30分行った。オイルバスによりフラスコ内部の温度を80℃まで加温し、80℃に達してから5時間重合を行った後、室温まで冷却した。重合した粒子の分散液を凍結乾燥し、粒子を回収することにより樹脂粉体Bを得た。
【0041】
製造例3
ビーカーにラウリルメタクリレート82g、メタクリル酸3g、エチレングリコールジメタクリレート15g、ラウロイルパーオキサイド2gを仕込み混合攪拌して溶解させた。ここにN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム(SMT)を0.75g溶解させたイオン交換水400gを加え、ホモミキサーで粒径が2.2μmになるまで分散させた。
【0042】
4つ口フラスコにこの分散液を注ぎ込み、攪拌しながら窒素置換を30分行った。オイルバスによりフラスコ内部の温度を80℃まで加温し、80℃に達してから5時間重合を行った後、室温まで冷却した。重合した粒子の分散液を凍結乾燥し、粒子を回収することにより樹脂粉体Cを得た。
【0043】
製造例4
製造例3において、重合した粒子の分散液に1N NaOH3.9gを滴下して中和を行った以外は、製造例3と同様にして樹脂粉体Cの中和品を得た。この樹脂粉体Cの中和品は、カルボキシル基の中和度が11.2%であった。
【0044】
製造例1〜4で得られた樹脂粉体A、B、C及びCの中和品について、下記方法で圧縮強度及び平均粒径を測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【0045】
<圧縮強度測定法>
樹脂粒子を、(株)島津製作所製微小圧縮試験機MCT-M200にて、29mgf/sの一定負荷速度で1gfの荷重まで圧縮試験を行い、粒子径の10%変形時の荷重と粒子径とから下記式によって算出した。10点の試料について測定を行い、その平均値をもって圧縮強度とした。
【0046】
圧縮強度(kgf/mm2)=2.8×荷重(kgf)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}。
【0047】
<平均粒径測定法>
樹脂粉体を(株)堀場製作所レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(型番:LA920)にて、相対屈折率が1.10(樹脂粉体の屈折率を1.46、水の屈折率を1.33とする)の条件にて、粒径を測定した際のメジアン径を平均粒径とした。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例1〜4及び比較例1〜2
表2に示す組成の二層分離型化粧水を調製した。これを専門パネラー5名が前腕部に塗布し、以下の使用感の評価項目について、下記の通り評点をつけた。5人の平均スコアを、下記基準でランクづけした。結果を表2に示す。
【0050】
<評価項目>
・肌の滑り
スコア4…よく滑る
スコア3…やや滑る
スコア2…余り滑らない
スコア1…滑らない
・かさつきの少なさ
スコア4…かさつかない
スコア3…余りかさつかない
スコア2…ややかさつく
スコア1…かさつく
・肌の滑りの持続性(塗布1時間後)
スコア4…肌の滑りが持続する
スコア3…肌の滑りがやや持続する
スコア2…肌の滑りが余り持続しない
スコア1…肌の滑りが持続しない
<判定基準>
平均スコア3.5〜4.0…◎
平均スコア2.5〜3.4…○
平均スコア1.5〜2.4…△
平均スコア1.0〜1.4…×
【0051】
【表2】

【0052】
*1:メチルシロキサン網状重合体の粉体(信越化学工業(株)製、圧縮強度12kgf/mm2、平均粒径2μm)。
【0053】
実施例5
下記組成の二層分離型化粧水を調製した。得られた化粧水は、肌の滑りが良く、かさつかず、また塗布1時間後も肌の滑りが持続していた。
【0054】
<組成>
樹脂粉体C 1.00%
エタノール 7.00
グリセリン 1.00
オウバクエキス 0.50
1,3−ブチレングリコール 0.20
クエン酸 0.10
クエン酸ナトリウム 0.10
パラオキシ安息香酸メチル 0.10
香料 0.01
モノラウリン酸ポリエチレングリコール*1 0.01
精製水 89.98
合計 100.00
*1:エマノーン1112(花王(株)製)。
【0055】
実施例6
下記組成の二層分離型ポンプスプレー化粧水を調製した。得られた化粧水は、肌の滑りが良く、かさつかず、また塗布1時間後も肌の滑りが持続していた。
【0056】
<組成>
樹脂粉体B 2.000%
ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(20EO) 0.500
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.010
グリセリン 0.500
ポリエチレングリコール1540*1 1.000
高重合ポリエチレングリコール*2 0.001
l−メントール 0.010
エデト酸二ナトリウム 0.010
パラオキシ安息香酸メチル 0.100
エタノール 5.000
精製水 90.869
合計 100.000
*1:PEG−1540(三洋化成工業(株)製)
*2:アルコックスE−100(明成化学工業(株)製)。
【0057】
実施例7
下記組成の二層分離型プレシェーブローションを調製した。得られたプレシェーブローションは、電動シェーバーでシェービングする時の滑りが良く、かさつかず、またシェービング後の肌感触も良好であった。
【0058】
<組成>
樹脂粉体Cの中和品 5.0%
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1.0
イソステアリルグリセリルエーテル 0.5
1,3−ブチレングリコール 0.1
β−グリチルレチン酸 0.1
香料 0.3
エタノール 81.0
精製水 12.0
合計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮強度が0.7〜10kgf/mm2である架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体と液状媒体を含有する二層分離型化粧料。
【請求項2】
架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体が、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体とカルボキシル基を有する単量体とを含む単量体成分を共重合してなる請求項1記載の二層分離型化粧料。
【請求項3】
樹脂粉体中のカルボキシル基の中和度が1〜30%である請求項2記載の二層分離型化粧料。
【請求項4】
樹脂粉体の平均粒径が1〜10μmである、請求項1〜3いずれかに記載の二層分離型化粧料。

【公開番号】特開2006−225335(P2006−225335A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42029(P2005−42029)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】