説明

二次イオン質量分析装置及びその使用方法

【課題】二次イオン検出手段の先端部分の汚染成分となる付着物を効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行う。
【解決手段】ガス導入手段20によりガスを真空チャンバー10内に導入し、引き出し電極4の近傍を局所的に低真空状態に調節し、この状態で、プラズマ発生機構30により、引き出し電極4に所定の電圧を印加することでグロー放電によりプラズマ11を発生させ、引き出し電極4をプラズマ11に晒して清浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、一次イオンの照射により試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段とを含み、試料の深さ方向の元素分析を行う二次イオン質量分析装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、ウェル領域やチャネルドープ領域等における不純物濃度及びその分布がデバイス特性に大きな影響を与える。近年では、半導体装置の微細化、薄層化の進展に伴って半導体基板や堆積させた薄膜の表面から浅い領域における不純物濃度分布を精度良く形成することが求められている。
【0003】
このような要請に応えるためには、測定対象領域における不純物濃度分布を高精度に把握することが必要である。そのため、半導体基板や堆積させた薄膜の表面から深さ方向の不純物等の元素分布を測定するための代表的手段として、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)が主に用いられている(特許文献1等を参照)。
【0004】
ここで、図5を参照して従来のSIMSを説明する。図5は、従来の二次イオン質量分析装置(以下、SIMS装置とする。)の概略的構成図である。
従来のSIMS装置は、内部が所定の真空状態(真空度)に調節自在とされた真空チャンバー100と、真空チャンバー100内に設けられ、測定対象となる試料101を固定保持するとともに、X,Y,Z方向への移動と傾斜及び回転が可能な試料ホルダー102と、試料101に対して一次イオンを照射するイオン銃103と、一次イオンの照射により試料から発生した二次イオンを選択、加速して質量分析器105に導入する引き出し電極104と、導入された二次イオンを質量分析する質量分析器(例えば、四重極型質量分析器)105と、一次イオンの照射による試料101の帯電を補正する中和電子銃106とを備えて構成されている。
【0005】
ここで、引き出し電極104及び質量分析器105を含み二次イオン検出器108が構成されており、二次イオン検出器108にゴム製等のリング状の絶縁体107が設けられ、この絶縁体107で電気的に遮断された二次イオン検出器110の先端部分が引き出し電極104となる。
【0006】
イオン銃103により一次イオンを試料101に照射することで、試料101から正・負の電荷を持つ二次イオンのほか、電荷を持たない中性粒子、試料表面で散乱された一次イオンが発生する。この際、検出目的とする二次イオンとは反対極性の電圧を引き出し電極104に印加することにより、二次イオンを質量分析器105に選択的に導入することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−75378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のSIMS装置において、引き出し電極104の表面には、電荷を持たない中性粒子や高エネルギーの一次イオンが衝突して付着する。SIMS装置を永年使用していると、引き出し電極104の表面に付着した物質が酸化等により絶縁物となる。この場合、正常な電場の発生が阻害される。さらには、二次イオンが引き出し電極を通過する際に付着物をイオン化してしまい、本来試料内に存在しない元素が検出されたり、検出強度が増加する等の不都合が生じる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、二次イオン検出手段の先端部分の汚染成分となる付着物を効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行うことを可能とする二次イオン質量分析装置及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の二次イオン質量分析装置は、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段と、前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分に局所的にガスを導入するガス導入手段と、前記ガス導入手段により導入された前記ガスにより前記先端部分が前記真空チャンバー内で局所的に低真空化した状態で、前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するプラズマ発生機構とを含む。
【0011】
本発明の二次イオン質量分析装置の使用方法は、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段とを含む二次イオン質量分析装置の使用方法であって、前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分にガスを導入して前記真空チャンバー内で局所的に低真空化するステップと、導入された前記ガスにより局所的に低真空化した状態で前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二次イオン検出手段の先端部分の汚染成分となる付着物を効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行うことが可能となり、分析精度の大幅な向上が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
−本発明の基本骨子−
本発明者は、SIMS装置において、二次イオン検出手段の先端部分の汚染成分となる付着物を除去して清浄化すべく、プラズマを用いることに想到した。通常、SIMS装置では、引き出し電極及び質量分析器を含み二次イオン検出手段が構成されており、二次イオン検出手段の先端部分が引き出し電極に相当する。本発明では、ガス導入手段により先端部分にガスを導入して局所的に低真空化し、この状態で先端部分に所定の電圧を印加して、例えばグロー放電によりプラズマを発生させ、当該先端部分をプラズマに晒す。なお、グロー放電の代わりに、所定の高周波電圧や、エレクトロンインパクト等によりプラズマを発生させるようにしても良い。この構成により、先端部分では付着物がイオン化して除去され、質量分析器及び真空チャンバー内を殆ど汚染することなく当該先端部分が清浄化される。
【0014】
ここで、先端部分に近接するように電極板を設け、付着物の除去を補強するようにしても良い。この場合、プラズマの発生に起因して先端部分でイオン化した付着物と反対極性の電圧を電極板に印加することにより、電極板で付着物を効率良く付着させる。この電極板は、先端部分に対して相対的に移動(平行移動、回転移動)自在に配設することが望ましい。この構成により、プラズマの強度を所望に変化させることができ、付着物の性質やその付着量等に応じたきめ細かで確実な清浄化処理が可能となる。
【0015】
−本発明を適用した好適な諸実施形態−
以下、本発明を適用した好適な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
このSIMS装置は、内部が所定の真空状態(真空度)に調節自在とされた真空チャンバー10と、真空チャンバー10内に設けられ、測定対象となる試料1を固定保持するとともに、X,Y,Z方向への移動と傾斜及び回転が可能な試料ホルダー2と、試料1に対して一次イオンを照射するイオン銃3と、一次イオンの照射により試料から発生した二次イオンを選択、加速して質量分析器5に導入する引き出し電極4と、導入された二次イオンを質量分析する質量分析器(例えば、四重極型質量分析器)5と、一次イオンの照射による試料1の帯電を補正する中和電子銃6とを備えている。
【0017】
ここで、引き出し電極4及び質量分析器5を含み二次イオン検出器8が構成されており、二次イオン検出器8にゴム製等のリング状の絶縁体7が設けられ、この絶縁体7で電気的に遮断された二次イオン検出器8の先端部分が引き出し電極4となる。一次イオンとしては、酸素(O2)やセシウム(Cs)等のイオンが用いられる。
【0018】
このSIMS装置は、上記構成に加えて、真空チャンバー10内における引き出し電極4に局所的にガスを導入するガス導入手段20と、ガス導入手段20により引き出し電極4にガスを導入して局所的に低真空化した状態で引き出し電極4にプラズマを発生させ、当該引き出し電極4を清浄化するプラズマ発生機構30と、引き出し電極4に近接するように設けられた電極板40と、を含み構成されている。
【0019】
ガス導入手段20は、所定のガスが封入されたガス封入部21と、ガス封入部21からのガスの供給(供給量、供給速度等)をコントロールするリークバルブ22と、引き出し電極4の近傍にガスを供給するためのノズル23とを備えて構成されている。
【0020】
ここで、所定のガスとしては、希ガス(He,Ar等)、酸素(O2)、及びハロゲン化炭素の単体ガスからなる群より選ばれた1種、又は前記群より選ばれた少なくとも2種からなる混合ガス等が用いられる。ここで、酸素は引き出し電極4の付着物が有機物等である場合に、ハロゲン化炭素は付着物がシリコン酸化物等である場合にそれぞれ有効であり、希ガスはほぼ全ての付着物に有効である。
【0021】
プラズマ発生機構30は、図示の例では引き出し電極4及び電極板40と接続されており、引き出し電極4に所定の電圧を印加して、グロー放電によりプラズマを発生させ、引き出し電極4をプラズマに晒す。プラズマ発生機構30は、グロー放電の代わりに、所定の高周波電圧を引き出し電極4に印加することにより、引き出し電極4にプラズマを発生させる構成のものでも良い。なお、このSIMS装置では、二次イオンを選択的に検出するため、例えば不図示の電圧印加機構により引き出し電極4に電圧を印加する構成を採る。従って、この電圧印加機構に、プラズマ発生機構30におけるプラズマ発生時に引き出し電極4に電圧を印加する機能を兼備させるようにしても良い。
【0022】
電極板40は、例えばプラズマ発生機構30により、プラズマの発生に起因して引き出し電極4でイオン化した付着物と反対極性の電圧が印加される。これにより、電極板40に付着物が選択的に吸着される。この電極板40は、引き出し電極4に対して相対的に移動(平行移動及び回転移動)自在に配設されている。この電極板40を所定状態に適宜移動させて設置することにより、プラズマの強度を所望に変化させることができ、付着物の性質やその付着量等に応じたきめ細かで確実な清浄化処理が可能となる。なお、図示の例では、電極板40が試料1の表面に対して平行に移動自在とされた様子を例示する。
【0023】
図2は、第1の実施形態において、SIMS装置の清浄化処理を行う様子を示す模式図である。上記構成のSIMS装置においては、引き出し電極4に汚染成分となる付着物12が確認された際に、以下のように清浄化処理を実行する。
【0024】
先ず、ガス導入手段20のリークバルブ22及びノズル23を通して、所定のガス、例えば酸素又はArの単体もしくは混合ガスを真空チャンバー10内に導入し、引き出し電極4の近傍を局所的に、例えば1×10-2mbar程度の低真空状態(真空チャンバー10内の他の部位における真空状態に比べて低真空状態)に調節する。
【0025】
続いて、引き出し電極4の近傍が局所的に低真空状態に調節された状態で、プラズマ発生機構30により、引き出し電極4に所定の電圧を印加することでグロー放電によりプラズマ11を発生させ、引き出し電極4をプラズマ11に晒す。
【0026】
このとき、プラズマ発生機構30により、所定位置に設置された電極板4に、引き出し電極4でイオン化した付着物12と反対極性の電圧を印加する。これにより、電極板40に付着物12が選択的に吸着され、質量分析器5及び真空チャンバー10内の付着物12による汚染が可及的に防止される。
【0027】
上記のように引き出し電極4の付着物12を除去して清浄化した後に、SIMS装置を通常稼動させ、試料1からの二次イオンの質量分析を行う。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、引き出し電極4の汚染成分となる付着物を効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行うことが可能となり、分析精度の大幅な向上が見込まれる。
【0029】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
本例では、第1の実施形態と同様にSIMS装置を構成し清浄化処理を行うが、プラズマ発生機構が異なる点で相違する。なお、第1の実施形態で説明したSIMS装置の構成部材等と対応するものについては、同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
図3は、第1の実施形態の変形例によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
このSIMS装置では、プラズマ発生機構30の代わりに、例えば中和電子銃6がプラズマ発生機構を兼備している。本例では、引き出し電極4の清浄化処理において、中和電子銃6により引き出し電極4に電子線を照射し、エレクトロンインパクトを利用してプラズマを発生させ、引き出し電極4をプラズマに晒す構成を採る。
【0031】
電極板40には、例えば不図示の電圧印加機構が接続されており、当該電圧印加機構により、プラズマの発生に起因して引き出し電極4でイオン化した付着物と反対極性の電圧が印加される。これにより、電極板40に付着物が選択的に吸着される。なお、本例においてもプラズマ発生機構30を設け、これにより電極板40の電圧制御を行うように構成しても良い。
【0032】
以上説明したように、本例によれば、引き出し電極4の汚染成分となる付着物を効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行うことが可能となり、分析精度の大幅な向上が見込まれる。
【0033】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様にSIMS装置を構成し清浄化処理を行うが、レーザ機構が付加されている点で相違する。なお、第1の実施形態で説明したSIMS装置の構成部材等と対応するものについては、同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
図4は、第2の実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
このSIMS装置では、図1に示した第1の実施形態によるSIMS装置の構成に加え、レーザ機構50が設けられている。
【0035】
レーザ機構50は、プラズマ発生機構30の駆動によりプラズマに晒された引き出し電極4に、所定のレーザ光、例えばYAGレーザ光を照射する。引き出し電極4の付着物に対するレーザ光の照射により、付着物の元素の仕事関数が局所的に低下する。この構成により、プラズマと相俟って付着物のイオン化が促進し、引き出し電極4のより確実且つ効率的な清浄化が達成される。
【0036】
以上説明したように、本例によれば、引き出し電極4の汚染成分となる付着物をより効率良く除去し、高精度の二次イオン質量分析を確実に行うことが可能となり、分析精度の大幅な向上が見込まれる。
【0037】
なお、本発明の活用対象としては、引き出し電極を有するSIMS装置が典型的なものであるが、試料から発生した有機系のガスが電子線によって励起され、汚染成分として対物レンズ下面等に付着する電子顕微鏡、電子線プローブX線マイクロアナライザ、オージェ電子分光装置等にも適用されるものである。これらの装置に本発明を適用する場合、上記したようなプラズマ発生機構を設け(或いは既存の電圧供給機構や中和電子銃等に兼用させ)、使用を重ねるにつれて試料から発生した汚染成分が付着する部位にプラズマを発生させ、当該部位をプラズマに晒すことにより付着物を除去して清浄化する。
【0038】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0039】
(付記1)真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、
前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段と、
前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分に局所的にガスを導入するガス導入手段と、
前記ガス導入手段により導入された前記ガスにより前記先端部分が前記真空チャンバー内で局所的に低真空化した状態で、前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するプラズマ発生機構と
を含むことを特徴とする二次イオン質量分析装置。
【0040】
(付記2)前記二次イオン検出手段の前記先端部分に近接するように設けられた電極板を更に含み、
前記電極板は、電圧の印加により、前記プラズマによって前記先端部分でイオン化して離脱した付着物を捕獲することを特徴とする付記1に記載の二次イオン質量分析装置。
【0041】
(付記3)前記電極板は、前記二次イオン検出手段の前記先端部分に対して相対的に移動自在とされていることを特徴とする付記2に記載の二次イオン質量分析装置。
【0042】
(付記4)前記ガスは、希ガス、酸素、及びハロゲン化炭素の単体ガスからなる群より選ばれた1種、又は前記群より選ばれた少なくとも2種からなる混合ガスであることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
【0043】
(付記5)前記プラズマ発生機構は、グロー放電、高周波、及びエレクトロンインパクトのうちから選ばれた1種により、前記プラズマを発生させることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
【0044】
(付記6)レーザ機構を更に含み、
前記レーザ機構は、前記プラズマに晒された前記二次イオン検出手段の前記先端部分にレーザ光を照射することを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
【0045】
(付記7)真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、
前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段と
を含む二次イオン質量分析装置の使用方法であって、
前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分にガスを導入して前記真空チャンバー内で局所的に低真空化するステップと、
導入された前記ガスにより局所的に低真空化した状態で前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するステップと
を含むことを特徴とする二次イオン質量分析装置の使用方法。
【0046】
(付記8)前記二次イオン検出手段の前記先端部分に近接するように電極板を設け、
前記先端部分を清浄化するステップにおいて、前記電極板に電圧を印加することにより、前記プラズマによって前記先端部分でイオン化して離脱した付着物を前記電極板に捕獲することを特徴とする付記7に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。
【0047】
(付記9)前記電極板を、前記二次イオン検出手段の前記先端部分に対して相対的に移動自在とすることを特徴とする付記8に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。
【0048】
(付記10)前記ガスは、希ガス、酸素、及びハロゲン化炭素の単体ガスからなる群より選ばれた1種、又は前記群より選ばれた少なくとも2種からなる混合ガスであることを特徴とする付記7〜9のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。
【0049】
(付記11)前記プラズマを、グロー放電、高周波、及びエレクトロンインパクトのうちから選ばれた1種により発生させることを特徴とする付記7〜10のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。
【0050】
(付記12)前記二次イオン検出手段の前記先端部分を清浄化するステップにおいて、前記プラズマに晒された前記先端部分にレーザ光を照射することを特徴とする付記7〜11のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態において、SIMS装置の清浄化処理を行う様子を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態の変形例によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】第2の実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】従来の二次イオン質量分析装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1 試料
2 試料ホルダー
3 イオン銃
4 引き出し電極
5 質量分析器
6 中和電子銃
7 絶縁体
8 二次イオン検出器
10 真空チャンバー
11 プラズマ
12 付着物
20 ガス導入手段
21 ガス封入部
22 リークバルブ
23 ノズル
30 プラズマ発生機構
40 電極板
50 レーザ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、
前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段と、
前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分に局所的にガスを導入するガス導入手段と、
前記ガス導入手段により導入された前記ガスにより前記先端部分が前記真空チャンバー内で局所的に低真空化した状態で、前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するプラズマ発生機構と
を含むことを特徴とする二次イオン質量分析装置。
【請求項2】
前記二次イオン検出手段の前記先端部分に近接するように設けられた電極板を更に含み、
前記電極板は、前記プラズマによって前記先端部分でイオン化して離脱した付着物を捕獲することを特徴とする請求項1に記載の二次イオン質量分析装置。
【請求項3】
前記電極板は、前記二次イオン検出手段の前記先端部分に対して相対的に移動自在とされていることを特徴とする請求項2に記載の二次イオン質量分析装置。
【請求項4】
レーザ機構を更に含み、
前記レーザ機構は、前記プラズマに晒された前記二次イオン検出手段の前記先端部分にレーザ光を照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
【請求項5】
真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に設置された試料に一次イオンを照射する一次イオン照射手段と、
前記一次イオンの照射により前記試料から発生した二次イオンを検出する二次イオン検出手段と
を含む二次イオン質量分析装置の使用方法であって、
前記真空チャンバー内における前記二次イオン検出手段の先端部分にガスを導入して前記真空チャンバー内で局所的に低真空化するステップと、
導入された前記ガスにより局所的に低真空化した状態で前記先端部分にプラズマを発生させ、当該先端部分を清浄化するステップと
を含むことを特徴とする二次イオン質量分析装置の使用方法。
【請求項6】
前記二次イオン検出手段の前記先端部分に近接するように電極板を設け、
前記先端部分を清浄化するステップにおいて、前記電極板に電圧を印加することにより、前記プラズマによって前記先端部分でイオン化して離脱した付着物を前記電極板に捕獲することを特徴とする請求項5に記載の二次イオン質量分析装置の使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−209312(P2008−209312A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47784(P2007−47784)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】