説明

二次元コード、二次元コードの読取方法及び二次元コードの読取装置

【課題】多量の情報を表現できる二次元コード及びその読取装置等を提供する。
【解決手段】情報を表す二次元のコードであって、当該コードの基準となる形状を表した基準部11、12と、当該コード自体を示すコード部13と、を有する二次元コード10により上記課題を解決する。当該二次元コード10の読取装置は、二次元コード10を撮影する撮影手段と、撮影された基準部11、12の画像から、基準となる形状を特定する基準特定手段と、特定された基準となる形状と、撮影されたコード部13のコードの画像とを比較し、コード部13に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る情報読取手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二次元コード、これに対応する二次元コードの読取方法及び二次元コードの読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小さな領域に情報を表す手法として、複数のバーにより情報を表すバーコードや複数の正方形が並び各正方形の白黒(有り無し)の並び方により情報を表すQRコード等の二次元コードが知られている。このようなコードには、より小さい領域に多くの情報が表されることが求められている。このような二次元コードとして、色により情報を付加したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−322531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
二次元コードとしては、さらに多くの情報を表現できるものが求められている。そこで、本発明は、多量の情報を表現できる新規な二次元コード、その読取方法及びその読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の二次元コードは、情報を表す二次元のコードであって、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有することを特徴とする。
【0005】
これによれば、二次元コード自体にコードの基準となる形状を表した基準部があるため、二次元コードの読取装置において、基準部の形状とコード部の形状とを比較することにより、確実にコード部が表している形状を特定することができ、これに対応する情報を確実に読み取ることが可能となる。すなわち、コード部から読み取ったコードがどの基準のコードに対応するかを決定する際に、読取装置における誤動作がなくなることとなる。このように、新規な二次元コードを提供できるとともに、基準部の形状の種類やコード部に示されるコードの数を増やすことにより、情報量を増加させることができる。
【0006】
上記本発明の二次元コードにおいて、前記基準部は、さらに、前記コードの基準となる色を示したことを特徴とする。
【0007】
これによれば、基準となる色を複数色加えることにより、形状の違いにより対応する情報に、色の違いにより対応する情報を加えることができ、情報量を増加させることができる。
【0008】
上記本発明の二次元コードにおいて、前記基準部は、前記コードの基準となる形状として大きさが異なる同じ形状を表したことを特徴とする。
【0009】
これによれば、基準部のバリエーションとして、例えば大きさの異なる正方形により情報を表すことができるとともに、形状の違いにより対応する情報に、大きさの違いにより対応する情報を加えることもでき、情報量を増加させることができる。
【0010】
上記本発明の二次元コードにおいて、前記二次元コードの向きを決定する方向指示部を有することを特徴とする。
【0011】
これによれば、二次元コードが方向指示部を有することにより、二次元コードを読取装置において撮影等した際に正常な向き(位置)でない場合に、方向指示部を用いて画像の向き(位置)を補正し、二次元コードの読み取りに適した向き(位置)にすることができる。
【0012】
上記本発明の二次元コードにおいて、前記二次元コードは、略正方形のマス目を少なくとも縦方向4個少なくとも横方向4個有することにより略長方形ないしは略正方形の外観を有するものであり、当該二次元コードの上下端または左右端のマス目の各一列が前記基準部であり、前記基準部は、前記コードの基準となる色を示すとともに、前記コードの基準となる形状として大きさが異なる同じ形状を表すことにより、前記コード部が有する情報は、IPアドレス情報であることを特徴とする。
【0013】
これによれば、具体的にこのような態様とすることにより、二次元コードにおいて、(形状の種類数×色の種類数)のコード部のマス目数乗(少なくとも8個)の数のデータを表現することができる。このとき、形状の種類数と色の種類数とをそれぞれ4種類とした場合に、(4×4)≒4.3×10種類のデータを表現できることとなり、IPアドレス情報を表現するにも十分な情報量となる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の二次元コードの読取方法は、情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有する二次元コードから情報を読み取る二次元コードの読取方法であって、前記二次元コードを撮影する工程と、撮影された前記基準部の画像から、基準となる形状を特定する工程と、特定された基準となる形状と、撮影された前記コード部のコードの画像とを比較し、前記コード部に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
これによれば、二次元コード自体にコードの基準となる形状を表した基準部があるため、二次元コードを読み取る工程において、基準部の形状とコード部の形状とを比較することにより、確実にコード部が表している形状を特定することができ、これに対応する情報を確実に読み取ることが可能となる。すなわち、コード部から読み取ったコードがどの基準のコードに対応するかを決定する際に、読み取り工程を行う装置における誤動作がなくなることとなる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の二次元コードの読取装置は、情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有する二次元コードから情報を読み取る二次元コードの読取装置であって、前記二次元コードを撮影する撮影手段と、撮影された前記基準部の画像から、基準となる形状を特定する基準特定手段と、特定された基準となる形状と、撮影された前記コード部のコードの画像とを比較し、前記コード部に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る情報読取手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
これによれば、撮影された二次元コード自体にコードの基準となる形状を表した基準部があるため、基準特定手段において基準を特定し、情報読取手段において基準部の形状とコード部の形状とを比較することにより、確実にコード部が表している形状を特定することができ、これに対応する情報を確実に読み取ることが可能となる。すなわち、コード部から読み取ったコードがどの基準のコードに対応するかを決定する際に、読取装置における誤動作がなくなることとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二次元コードによれば、二次元コードの読取装置において、基準部の形状とコード部の形状とを比較することにより、確実にコード部が表している形状を特定することができ、これに対応する情報を確実に読み取ることが可能となる。このように、コード部から読み取ったコードがどの基準のコードに対応するかを決定する際に、読取装置における誤動作がなくなることとなる。このように、新規な二次元コードを提供できるとともに、基準部の形状の種類やコード部に示されるコードの数を増やすことにより、情報量を増加させることができる。本発明によれば、このような二次元コードの読取装置や読取方法をも提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態は、IPアドレス情報を表す二次元コードについて、本発明を適用した例を示す。
【0020】
(1)二次元コード
図1(A)に、本発明における基準部11、12と方向指示部14等を示した二次元コード10Aを示す。図1(B)に、図1(A)の二次元コード10に加えてデータ部13を示した二次元コード10Bを示す。図1(B)に示すように、二次元コード10Bは、IPアドレス情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部11、12と、当該コード自体を示すコード部13と、を示している。
【0021】
二次元コード10は、白い帯状の枠17で囲まれた中に縦4個横4個の略正方形のマス目を合計16個有する領域を有している。このうち、左右端の各一列が基準部11、12となっており、その間の縦方向二列がコード部13となっている。
【0022】
基準部11は、コードの基準となる形状として、大きさの異なる4つの正方形からなる。本実施形態においては、大サイズの正方形を11a、中サイズの正方形を11b、小サイズの正方形を11c、極小サイズの正方形を11dとする(後述する図2(A)参照)。なお、本明細書においては、これらの基準部11a、11b、11c、11dを総称して基準部11という。また、基準部12は、コードの基準となる色を示している。本実施形態においては、二次元コード10の四隅における左上から時計回りにシアン12C、マゼンタ12M、イエロー12Y、ブラック12Kが示されている(後述する図2(B)参照)。各図においては、シアンの着色を斜線で示し、マゼンタの着色を横縞で示し、イエローの着色をチェックで示す。なお、本明細書においては、これらの基準部12C、12M、12Y、12Kを総称して基準部12という。このように、二次元コード10の基準として、すなわち基準部11、12として、形状を4種類、色を4種類有することにより、4×4=16進数を表現することが可能となる。
【0023】
基準部11、12に挟まれたコード部13は、図1(A)、図1(B)においては、縦2列×横4列のマス目により8個分(8桁分)の情報(コード)を書き込めるようになっている。従って、IPアドレスを16進数に変換した場合に、(2桁.2桁.2桁.2桁.)となるため、上述のコードの基準を用いてIPアドレス情報を表現できることとなる。IPアドレスの変換等については後述する。なお、16進数8桁では、16≒4.3×10種類の情報を表現することができる。
【0024】
方向指示部14は、二次元コード10の向きを決定するものであり、図1(A)に示す二次元コード10の位置が基準となる位置とすると、上辺の左側にある黒の正方形14aと右辺の下側にある黒の正方形14bと、左下の基準部12であるブラック12K(14c)とからなる。これらの方向指示部14a、14b、14cを総称して方向指示部14という。
【0025】
一連の二次元コード10においては、通常、図1(A)に示すコード部13以外の部分が共通であり、共通の読取装置や共通の読取プログラムを用いた装置において二次元コード10の示す情報を読み取ることが可能となる。また、二次元コード10は、図6を用いて後述するように商品に付されていてもよいし、ポスターやパンフレット等に付されていてもよく、用いる用途や媒体は特に限定されない。
【0026】
次いで、データコードと16進数の数値との対応について、図2(A)〜図2(C)を参照して説明する。図2(A)に示すように、本実施形態の二次元コード10における各コードの形状は、略正方形の大きさを違えたものであり、大サイズの正方形11a、中サイズの正方形11b、小サイズの正方形11c、極小サイズの正方形11dからなる。また、図2(B)に示すように、本実施形態の二次元コード10における各コードの色は、印刷の三原色+黒である、シアン12C、マゼンタ12M、イエロー12Y、ブラック12Kからなる。
【0027】
これらを組み合わせたデータコード表を図2(C)に示ように、各形状(サイズ)及び各色を組み合わせて0〜9、A〜Fの16進数を示している。具体的に、サイズ大11a×色12Cは0、サイズ大11a×色12Mは1、サイズ大11a×色12Yは2、サイズ大11a×色12Kは3、サイズ中11b×色12Cは4、サイズ中11b×色12Mは5、サイズ中11b×色12Yは6、サイズ中11b×色12Kは7、サイズ小11c×色12Cは8、サイズ小11c×色12Mは9、サイズ小11c×色12YはA、サイズ小11c×色12KはB、サイズ極小11d×色12CはC、サイズ極小11d×色12MはD、サイズ極小11d×色12YはE、サイズ極小11d×色12KはF、を示している。このデータコード表を用いて二次元コード10の作成について以下に説明する。
【0028】
(2)二次元コードの作成
続いて、二次元コード10の作成手順について図3乃至図5を用いて説明する。
【0029】
図3(A)は、本実施形態にかかる二次元コード作成システムの説明図、図3(B)は二次元コード作成手順を示すシーケンスチャート、図4は二次元コード作成システムにかかるコンピュータ20の概要構成例を示すブロック図、図5は二次元コード作成工程の説明図である。
【0030】
コンピュータ20にて、入力されたURLアドレス(IPアドレス)に基づいて二次元コード10が作成され、プリンタにて二次元コード10が印刷される。
【0031】
先ず、コンピュータ20の構成及び機能について説明する。
【0032】
図4に示すように、コンピュータ20は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等から構成された制御部21と、二次元コード作成プロファイル等の各種データや情報を記憶保存(格納)するためのHD等から構成された記憶部22と、外部機器接続部23、を備えて構成され、制御部21、記憶部22、及び外部機器接続部23はバス24を介して相互に接続されている。
【0033】
制御部21は、図示しないCPU、作業用RAM、各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス24を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統括制御する。
【0034】
外部機器接続部23は、キーボード、マウス等の入力手段からの入力データを受信してコンピュータ20内に取り込み、また、コンピュータ20に内蔵されたビデオカード、及び、VGAケーブル、DVIケーブル、BNCケーブルなどを介してモニタへ指示信号を送出する。また、外部機器接続部23は、制御部21からの印刷情報を担う信号をプリンタに送出するためのものである。
【0035】
図3(B)のシーケンスチャート及び図5の説明図を参照して二次元コードの作成手順を説明する。先ず、操作者が、コンピュータ20の外部機器接続部23に接続されたキーボード・マウス等の入力手段を操作することにより、URLアドレスが入力される。そして、外部機器接続部23から入力されたURLアドレスがバス24を介して制御部21に送信され、制御部21において、入力されたURLアドレスがIPアドレス(例えば、10.255.255.255)に変換される。そして、制御部21は、入力されたIPアドレスを16進数(例えば、0A.FF.FF.FF)に変換した後に、二次元コード10のデータコード表(図2(C)参照)に基づいて二次元コード10に変換する。ここで、変換された二次元コード10は、図5に示すように、(1)0:大・シアン、A:小・イエロー、(2)F:極小・ブラック、F:極小・ブラック、(3)F:極小・ブラック、F:極小・ブラック、(4)F:極小・ブラック、F:極小・ブラック、となり、印刷データとしては、これらの(1)(2)(3)(4)の各キャラクタの組み合わせが縦に並んで図5における最下図の二次元コード10のようになる。次いで、制御部21は、上記印刷データをプリンタへ送信する。
【0036】
プリンタは、コンピュータ20より送信された印刷データ(二次元コードデータ)を受信して、二次元コード10を紙、シール、包装材料等の印刷媒体に印刷する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の二次元コード10は、特別な二次元コード作成装置等を用いることなく、汎用されるコンピュータ20とプリンタのみで作成できる。
【0038】
(3)二次元コードの読み取り
続いて、二次元コード10の情報を読み取る際の手順について図6乃至図12を用いて説明する。
【0039】
ここでは、図6に示す如く、ユーザが携帯電話30に具備するカメラを用いて二次元コード10を撮影し、二次元コード10のIPアドレス情報を読み取る際の構成について説明する。なお、図6中の点線は、携帯電話30に具備するカメラの撮影範囲を模式的に示したものである。
【0040】
図7に示す携帯電話30の概要構成例を示すブロック図を用いて、携帯電話30の構成及び機能について説明する。
【0041】
同図に示すように、携帯電話30は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等から構成された制御部31と、各種データや情報を記憶保存(格納)するためのHD等から構成された記憶部32と、二次元コード10を撮影するためのCCD等から成るカメラ33、プッシュボタン、各種機能ボタン等から構成された操作入力部34、を備えて構成され、制御部31、記憶部32、カメラ33及び操作入力部34はバス35を介して相互に接続されている。
【0042】
制御部31は、図示しないCPU、作業用RAM、各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス35を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統括制御する。本実施形態において、制御部31は、撮影された二次元コード10の基準部11、12の画像から、基準となる形状(サイズ)や色を特定し、また、特定された基準となる形状(サイズ)や色と、撮影されたコード部13のコードの画像とを比較し、コード部13に対応するIPアドレス情報を割り当てることにより情報を読み取る。
【0043】
なお、携帯電話30は、本発明の二次元コードの読取装置として機能し、カメラ33は本発明の撮影手段として機能し、制御部31は、本発明の基準特定手段及び情報読取手段として機能する。
【0044】
図8は、携帯電話30の制御部31おける二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理を示すフローチャートであり、当該フローチャートにより示される処理は、制御部31内の図示しないROM等に予め記憶されているプログラムに基づく当該制御部31の制御に基づいて実行されるものである。
【0045】
この処理は、携帯電話30のユーザが、商品等に付された二次元コード10をカメラ33にて撮影することによって、或いは、二次元コード10の撮影後、ユーザによって、携帯電話10に備えた操作入力部34を操作することにより情報読み取りが指示されること等により実行される(スタート)。なお、上述した二次元コードの作成により作成された二次元コード10を、情報を読み取る対象として用いている。
【0046】
先ず、カメラ33において二次元コード10を撮影したことを制御部31が認識し、二次元コード10のサイズ、色等を画像として認識する(ステップS10)。
【0047】
続いて、制御部31は、撮影された二次元コード10から、回転補正用の基準となる方向指示部14を認定する(ステップS11)。このとき、上辺左側の方向指示部14a、右辺下側の方向指示部14b、左下の基準部12K(14c)をまず認定する。次いで、制御部31は、基準部12Kに対して方向指示部14aが真上に、方向指示部14bが真右になるように、基準部12Kを中心に回転させて補正を行う(ステップS12)。このとき、図9(A)に示すように、L字型の破線で囲んだ部分15が回転補正のための調整部として機能する。図9(B)に左上の方向指示部14aから基準部12Kに至る破線が鉛直方向となっており、右下の方向指示部14bから基準部12Kに至る破線が水平方向となっている正常な位置を示すが、これに対して図9(C)のように破線の位置がずれて正常な位置でない場合には角度θだけ回転補正を行うこととなる。図9(C)においては、図示するように右回りに回転補正を行う。
【0048】
次いで、制御部31は、回転補正後の二次元コード10について、ホワイトバランスを調整する(ステップS13)。具体的には、図10(A)に示すように、二次元コードの周囲の白枠17について、縦方向(矢印18a)、及び横方向(矢印18b)に色のプロファイルを読み取り(スキャニングし)、この読み取ったプロファイルを基準に、二次元コード10の画像のホワイトバランスを調整する。このとき、例えば、図10(B)に示すように、位置に対する階調(白さ)に差があるものをそれぞれの位置に対する階調の値が210になるよう調整する。
【0049】
次いで、制御部31は、ホワイトバランスを調節した二次元コード10をRED(赤)、GREEN(緑)、BLUE(青)の三色で色分解する(ステップS14)。具体的には、図11(A)に示す二次元コード10の画像に対してマッピングした後、色分解して図11(B)の各図に示すようにする。図11(B)の左側におけるRED成分は、シアンC、ブラックKが黒、マゼンタM、イエローYが白となる。図11(B)の中心におけるGREEN成分は、マゼンタM、ブラックKが黒、シアンC、イエローYが白となる。図11(B)の右側におけるBLUE成分は、イエローY、ブラックKが黒、シアンC、マゼンタMが白となる。このような規則の下、GREEN成分とBLUE成分において白くなるものをシアンC、RED成分とBLUE成分において白くなるものをマゼンタM、RED成分とGREEN成分において白くなるものをイエローY、いずれの成分においても黒くなるものをブラックKと判断する。
【0050】
基準特定手段としての制御部31は、このようにして色分解されたものから、形状の基準部11のサイズを認識し、また、色の基準部12の色を認識する(ステップS15)。すなわち、撮影された基準部11の画像から、基準となる形状、色を特定する。具体的には、色の基準部12における各色の閾値を求め、当該閾値で2値化処理を行うとともに、形状の基準部11のそれぞれの画素数を取得し、図示しないサイズ認識テーブルを作成する。
【0051】
次いで、情報読取手段としての制御部31は、基準部12と比較して、コード部13における8つのコードのサイズと色を認識する(ステップS16)。すなわち、特定された基準となる形状、色と、撮影されたコード部13のコードの画像とを比較し、コード部13に対応する情報を割り当てる。図12(A)に示すように、二次元コード10のコード部13の各位置を上からi、ii、iii、ivとし、左側をa、右側をbとすると、i―a:大・シアン、i―b:小・イエロー、ii−a:極小・ブラック、ii−b:極小・ブラック、iii−a:極小・ブラック、iii−b:極小・ブラック、iv−a:極小・ブラック、iv−b:極小・ブラック、となる。
【0052】
なお、以上のステップS16の説明は省略して記載したが、制御部31は、記憶部32等において記憶している基準部11の形状の情報及び基準部12の色の情報と、撮影した二次元コード10から得た基準部11、12の各情報が共通することを確認するとともに、コード部13の各コードが形状の基準部11のある形状と同じ形状であること、色の基準部12のある色と同じ色であること、を認識し、その後、コード部13における8つのコードのサイズと色を認識できることとなる。
【0053】
次いで、情報読取手段としての制御部31は、これらのコードのサイズ、色から、16進数表記のIPアドレスに変換する(ステップS17)。すなわち、割り当てられたコード部13に対応する情報(サイズ・色)からIPアドレス情報を読み取る。具体的には、上記のコードのサイズと色の情報を、図2(C)のデータコード表を用いて変換し、図12(B)のデータ読込表に示すように、i―a:0、i―b:A、ii−a:F、ii−b:F、iii−a:F、iii−b:F、iv−a:F、iv−b:F、となる。これをIPアドレスとして表すと(0A.FF.FF.FF)となる。
【0054】
次いで、制御部31は、図12(B)に示すように、16進数表記のIPアドレス(0A.FF.FF.FF)を10進数表記のIPアドレス(10.255.255.255)に変換する(ステップS18)。さらに、制御部31は、図12(B)に示すように、10進数表記のIPアドレス(10.255.255.255)からURLアドレスを認定し(ステップS19)、処理を終了する(エンド)。
【0055】
なお、二次元コード10のデータコード表は、記憶部32に予め記憶してもよく、携帯電話30に備えたアンテナ等を介してインターネット等に接続し、他のコンピュータから取得するよう構成してもよい。また、制御部31は、取得したURLアドレスの情報を記憶部32に記憶して処理を終了する形態としてもよいし、IPアドレスの情報に基づいて、直接インターネットに接続して処理を終了する形態としてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の二次元コード10は、情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部11と、当該コード自体を示すコード部13と、を有する。この二次元コード10から情報を読み取る読取装置(携帯電話30)は、二次元コード20を撮影する撮影手段(カメラ33)と、撮影された基準部11の画像から、基準となる形状を特定する基準特定手段(制御部31)と、特定された基準となる形状と、撮影されたコード部13のコードの画像とを比較し、コード部13に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る情報読取手段(制御部31)と、を有する。そして、基準部12として、さらにコードの基準となる複数の色を用いている。このように、二次元コード10の読取装置である携帯電話30において、基準部11、12の形状及び色とコード部13の形状及び色とを比較することにより、確実にコード部13が表している形状を特定することができ、これに対応する情報を確実に読み取ることが可能となる。このように、コード部13から読み取ったコードがどの基準のコードに対応するかを決定する際に、読取装置である携帯電話30における誤動作がなくなることとなる。
【0057】
なお、本実施形態では、携帯電話20にて二次元コード10を撮影し、IPアドレス情報を取得する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、CCDカメラ等を用いて二次元コード10を撮影し、パーソナルコンピュータ等に撮影した画像データを保存して、当該パーソナルコンピュータ等の制御部にて上記二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理を行うよう構成してもよい。
【0058】
(4)二次元コードの変形形態
上述した実施形態における二次元コード10は、IPアドレス情報をコード化して表現したものであったが、本発明の二次元コード10は、これに限定されず、種々の情報を表現することができる。
【0059】
上述した実施形態における二次元コード10は、基準部11として大きさの異なる4種類の正方形を用いたが、これに限定されず、さらに大きさを異ならせて種類を増やしたり、少ない種類の大きさを用いてもよい。また、大きさを異ならせる場合、形状は正方形に限定されず、円形、長方形、菱形、星形等の種々の形状を用いることができる。また、同形状の大きさが異なるものでなくても、複数種類の異なる形状のマーク(例えば、ハート、ダイヤ、クラブ、スペード等)を基準部11として用いることもできる。ただし、これらの形状が基準部として、二次元コード内に表現されている必要がある。
【0060】
上述した実施形態における二次元コード10は、基準部12として印刷に用いられる4色を用いたが、これに限定されず、他の4色、もしくはこれよりも多い種類又は少ない種類の色を用いてもよい。また、情報量は少なくなるが、基準部に色を用いなくてもよい。さらに、色の代わりに図1等に直接示すように、斜線、横縞、縦横チェック、斜めチェック、縦縞、黒塗りつぶし、白抜き等のパターンを用いてもよい。ただし、これらの色やパターンが基準部として二次元コード内に表現されている必要がある。また、本発明の二次元コード10の基準部においては、色やパターンは任意に用いられるものであり、色やパターンを用いない場合にも、上述の基準となる形状を表した基準部11を有していればよい。
【0061】
基準部11、12に用いる形状の種類と色等の種類が多くなるほど二次元コード10により表すことのできる情報量が増す。この基準部11、12に用いられる形状の種類と色等の種類とは、二次元コード10の読取装置においても認識している必要がある。また、上述の実施形態においてはコード部13において8種類のコードを表現できる構成としたが、コード部13において表現するコードの数は特に限定されない。このコード部13において表現するコードの数が多くなるほど二次元コード10により表すことのできる情報量が増す。
【0062】
上述の実施形態における二次元コード10は、略正方形のマス目を複数有することにより略正方形の外観を有するものであり、左右端の各一列が基準部11、12であるが、二次元コード10全体の外観も、上述の実施形態に記載のものに限定されず、全体として略正方形でなく、略長方形やL字型等、種々の形状とすることができる。また、二次元コード10における基準部11、12の位置も、特に限定されず、例えば、略正方形の中の上下端等、全体の中の外側の任意の位置としてもよいし、全体の中の中心に設けてもよい。ただし、二次元コード10の読取装置において、二次元コード10におけるどの位置に基準部11、12が設けられているかを認識している必要がある。通常、一連の二次元コードにおいては、二次元コード10のコード部13以外の構成、特に基準部11、12に用いられる形状や色等と、基準部11、12の位置が共通している。
【0063】
上述の実施形態の二次元コード10における方向指示部14は、左上の黒い正方形14a、右下の黒い正方形14b、左下の黒い基準部14c(12K)からなるが、方向指示部14の形態は、これに限定されない。例えば、方向指示部14は、二次元コード10自体をL字型にして正常な方向がわかるようにしてもよいし、種々の方法で方向指示部14を設けることができる。なお、方向指示部14は、本発明の二次元コード10に任意に設けられる構成である。
【0064】
このように、本発明の二次元コードは、情報を表す二次元のコードであって、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有したものであればよく、具体的な実施形態は限定されずに上述のような種々の実施形態とすることができる。
【0065】
上述の実施形態においては、携帯電話30を二次元コード10の読取装置としての説明したが、二次元コード10の読取装置は、このような態様に限定されず、本発明の二次元コード10から情報を読み取ることができるものであれば、種々の装置を用いることができる。ただし、上述の二次元コード10を撮影する撮影手段と、撮影された基準部11の画像から、基準となる形状を特定する基準特定手段と、特定された基準となる形状と、撮影されたコード部13のコードの画像とを比較し、コード部13に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る情報読取手段と、を有している必要がある。また、上述の実施形態においては、コンピュータ20及びプリンタを二次元コード10の作成装置として説明したが、二次元コード10の作成装置は、このような態様に限定されず、本発明の二次元コード10を作成できるものであれば、種々の装置を用いることができる。
【0066】
また、上述のコンピュータ20、携帯電話30等の各動作に対応するプログラムをフレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、これをマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータを実施形態に係るコンピュータ20の制御部21、携帯電話30の制御部31等として機能させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(A)二次元コードのコード部を省略した説明図である。(B)二次元コードの説明図である。
【図2】(A)二次元コードの基準となる形状(サイズ)の説明図である。(B)二次元コードの基準となる色の説明図である。(C)二次元コードのデータコード表である。
【図3】(A)本実施形態にかかる二次元コード作成システムの説明図である。(B)二次元コード作成手順を示すシーケンスチャートである。
【図4】二次元コード作成システムにかかるコンピュータ20の概要構成例を示すブロック図である。
【図5】二次元コード作成工程の説明図である。
【図6】二次元コード10を読み取る際のイメージ図である。
【図7】携帯電話30の概要構成例を示すブロック図である。
【図8】携帯電話30の制御部31おける二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理を示すフローチャートである。
【図9】(A)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理における回転補正の説明図である。(B)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理における基準となる位置(向き)を示す図である。(C)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理における回転補正前の位置(向き)を示す図である。
【図10】(A)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理におけるホワイトバランス調整の説明図である。(A)ホワイトバランス調整の際の具体的動作を説明するグラフである。
【図11】(A)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理における色分解の説明図であり、色分解前の図である。(B)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理における色分解の説明図であり、色分解後の各図である。
【図12】(A)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理におけるコードの解読の仕方を示す図である。(B)二次元コード10のIPアドレス情報読み取り処理におけるコードの解読からURLアドレスを認定するまでの説明図である。
【符号の説明】
【0068】
10 二次元コード
11 形状(サイズ)の基準部
12 色の基準部
13 コード部
14 方向指示部
15 回転補正のための調整部
17 二次元コードの周囲の白枠
18a、18b ホワイトバランス調整のためのスキャン方向
20 コンピュータ
21 制御部
22 記憶部
23 外部機器接続部
24 バス
30 携帯電話
31 制御部
32 記憶部
33 カメラ
34 操作入力部
35 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表す二次元のコードであって、
当該コードの基準となる形状を表した基準部と、
当該コード自体を示すコード部と、
を有することを特徴とする二次元コード。
【請求項2】
前記基準部は、さらに、前記コードの基準となる色を示したことを特徴とする請求項1に記載の二次元コード。
【請求項3】
前記基準部は、前記コードの基準となる形状として大きさが異なる同じ形状を表したことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次元コード。
【請求項4】
前記二次元コードの向きを決定する方向指示部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次元コード。
【請求項5】
前記二次元コードは、略正方形のマス目を少なくとも縦方向4個少なくとも横方向4個有することにより略長方形ないしは略正方形の外観を有するものであり、
当該二次元コードの上下端または左右端のマス目の各一列が前記基準部であり、
前記基準部は、前記コードの基準となる色を示すとともに、前記コードの基準となる形状として大きさが異なる同じ形状を表すことにより、前記コード部が有する情報は、IPアドレス情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二次元コード。
【請求項6】
情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有する二次元コードから情報を読み取る二次元コードの読取方法であって、
前記二次元コードを撮影する工程と、
撮影された前記基準部の画像から、基準となる形状を特定する工程と、
特定された基準となる形状と、撮影された前記コード部のコードの画像とを比較し、前記コード部に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る工程と、
を有することを特徴とする二次元コードの読取方法。
【請求項7】
情報を表す二次元のコードであり、当該コードの基準となる形状を表した基準部と、当該コード自体を示すコード部と、を有する二次元コードから情報を読み取る二次元コードの読取装置であって、
前記二次元コードを撮影する撮影手段と、
撮影された前記基準部の画像から、基準となる形状を特定する基準特定手段と、
特定された基準となる形状と、撮影された前記コード部のコードの画像とを比較し、前記コード部に対応する情報を割り当てることにより情報を読み取る情報読取手段と、
を有することを特徴とする二次元コードの読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−179134(P2007−179134A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374048(P2005−374048)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】