説明

二次元コードが印刷された商品カタログ及び前記二次元コードから生成された注文を処理するためのコンピュータシステム及び方法

【課題】携帯電話の電子メールを多く利用する層を中心に、年配者やWWWブラウザの操作に不慣れな者でも容易に商品の注文を行うことを可能にする商品カタログ、コンピュータシステム及び方法を提供する。
【解決手段】商品カタログには、利用者特定情報と商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コード311〜314が印刷されている。二次元コード311〜314はQRコード(登録商標)であってもよく、前記文字情報は販売者が用意した電子メールアドレス又はショートメッセージ送信先情報を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信、通信販売及び印刷技術に関し、特に、携帯電話を利用した通信販売及び通信販売用カタログの印刷と注文の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多く行われている通信販売の手法として、利用者にカタログを郵送して行う通信販売(カタログ通信販売)と、利用者に携帯電話又はパーソナルコンピュータにより、インターネット上のウェブサイトを参照させて行う通信販売(インターネット通信販売)が存在する。
【0003】
従来のカタログ通信販売の場合、購入者は所定の申し込み用紙に住所、氏名、購入商品等を記載して郵便又はファクシミリにより送付するか、コールセンターに電話により申し込みをする必要があった。この場合、申し込み用紙の送付や電話による申し込みに代えて、電子メールを送信することも考えられなくはないが、一般に、パーソナルコンピュータ上において電子メールを使える者はワールドワイドウェブ(WWW)ブラウザも使うことが出来るので、後述のインターネットを利用した通信販売が存在することを考えればカタログ通信販売において購入者に電子メールの送信を求めることは実用的でない。販売者は、申し込み内容に基づいて、購入希望商品や代金の振込用紙の発送の準備等を行う。
【0004】
一方、インターネット通信販売の場合、購入者はインターネット上のウェブサイトの内容をパーソナルコンピュータ又は携帯電話に搭載されたWWWブラウザを用いて参照し、購入点数の調整など必要な操作をWWWブラウザによって行った後、WWWブラウザ上のフォームに住所、氏名等を入力して送信する。フォームを用意していないウェブサイトの場合には、住所、氏名、購入商品等の情報を全て電子メールに記載し、購入者から販売者に電子メールを送信する場合も存在する。販売者は、受信した電子メールの内容を見て、購入希望商品や代金の振込用紙の発送の準備等を行う。
【特許文献1】特開2010−102726公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記二つの通信販売の形式には、それぞれ問題点が存在する。まず、カタログ通信販売を郵便又はファクシミリにより行う場合、通常、購入者は手書きにより申し込み用紙の記載を行わなければならず、これは非常に煩雑な作業である。特に郵便による場合には、販売者に購入申し込み内容が届くまでの日数も掛かる。販売者が郵送、ファクシミリ、電話で受け付けた注文を遅滞なく処理するには、キーパンチによるデータ化の作業負担や、コールセンターの営業時間を長くするなどのコスト負担が重い。一方で、インターネット通信販売の場合、購入者がWWWブラウザの使い方に習熟していなければならないという欠点があり、コンピュータに馴染みがない年配者にとってはインターネット通信販売を利用することは事実上不可能である。また、携帯電話によるウェブサイトの閲覧には高額のパケット通信料を要する。
【0006】
本発明は従来のカタログ通信販売とインターネット通信販売における上記問題点を解消して、携帯電話の電子メールを多く利用する層を中心に、年配者やWWWブラウザの操作に不慣れな者でも容易に、何時でも、時間を掛けずに商品の注文を行うことを可能にする商品カタログ、コンピュータシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による商品カタログには、利用者特定情報と商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードが印刷されており、これにより上記課題を解決する。前記商品カタログには、暗号化された利用者特定情報と、暗号化された商品情報を含む暗号情報が符号化された二次元コードが印刷されていてもよい。前記二次元コードはQRコードであってもよく、前記文字情報は販売者が用意した電子メールアドレス又はショートメッセージ送信先情報を含んでいてもよい。前記文字情報の少なくとも一部は、暗号化される前若しくは後に、又は暗号化と同時に符号化されていてもよい。
【0008】
本発明によるコンピュータシステムは、複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと印刷装置に接続されたコンピュータシステムであって、前記データベースから一以上の利用者特定情報を取り出し、前記一以上の利用者特定情報と商品情報から二次元コードを生成し、前記二次元コードを含むデータを前記印刷装置に出力することにより、前記印刷装置に商品カタログを印刷させることが可能であり、これにより上記課題を解決する。
【0009】
本発明による別のコンピュータシステムは、暗号化された利用者特定情報と、暗号化された商品情報を含む暗号情報が符号化された二次元コードを読み取ることにより生成された電子メール又はショートメッセージを受信し、前記電子メール又はショートメッセージから利用者特定情報と商品情報を取得することが可能であり、これにより上記課題を解決する。
【0010】
本発明による別のコンピュータシステムは、複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと印刷装置に接続された、電子メールアドレス又はショートメッセージ送信先情報及び商品情報が格納された記憶部と信号処理部を備えたコンピュータシステムであって、前記信号処理部が、前記データベースから一以上の利用者特定情報を取り出して前記記憶部に格納し、前記記憶部に格納された前記一以上の利用者特定情報と電子メールアドレス又はショートメッセージ送信先情報及び前記商品情報を含む文字情報から二次元コードを生成し、前記二次元コードを含むデータを前記印刷装置に出力することにより、前記印刷装置に商品カタログを印刷させることが可能であり、これにより上記課題を解決する。前記文字情報の少なくとも一部は、暗号化される前若しくは後に、又は暗号化と同時に符号化されていてもよい。
【0011】
本発明による方法は、複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと表示装置に接続された、信号処理部と記憶部と通信制御部を備えたコンピュータシステムにより実施される方法であって、前記通信制御部が商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードから生成された発信元情報を含む電子メールを受信するステップと、前記信号処理部が前記通信制御部により受信された電子メールを前記記憶部に格納するステップと、前記信号処理部が前記記憶部に格納された電子メールに含まれる発信元情報を前記データベースに記録された前記複数の利用者特定情報と比較することにより、前記発信元情報に対応する利用者特定情報を決定するステップと、前記信号処理部が前記記憶部に格納された電子メールから商品情報を抽出して前記記憶部に格納するステップと、前記信号処理部が決定された前記利用者特定情報と前記記憶部に格納された商品情報を前記表示装置に表示させるステップを含んでおり、これにより上記課題を解決する。前記文字情報の少なくとも一部は、暗号化される前若しくは後に、又は暗号化と同時に符号化されていてもよい。
【0012】
本発明による別の方法は、複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと表示装置に接続された、信号処理部と記憶部と通信制御部を備えたコンピュータシステムにより実施される方法であって、前記通信制御部が商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードから生成された発信元情報を含むショートメッセージを受信するステップと、前記信号処理部が前記通信制御部により受信されたショートメッセージを前記記憶部に格納するステップと、前記信号処理部が前記記憶部に格納されたショートメッセージに含まれる発信元情報を前記データベースに記録された前記複数の利用者特定情報と比較することにより、前記発信元情報に対応する利用者特定情報を決定するステップと、前記信号処理部が前記記憶部に格納されたショートメッセージから商品情報を抽出して前記記憶部に格納するステップと、前記信号処理部が決定された前記利用者特定情報と前記記憶部に格納された商品情報を前記表示装置に表示させるステップを含んでおり、これにより上記課題を解決する。前記文字情報の少なくとも一部は、暗号化される前若しくは後に、又は暗号化と同時に符号化されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の商品カタログ、システム及び方法によれば、携帯電話用ウェブサイトを利用するための高額なパケット通信料や、グローバルネットワーク上の詐欺の被害の心配をすることなく、何時でも、時間を掛けずに、簡便かつ最低限の操作により商品を購入することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明による商品カタログを利用して注文を行うための装置の配置及び構成を示す模式図である。図1において、携帯端末110は、画像取込部111と、表示部112と、入力部113と、信号処理部114と、通信制御部115と、記憶部116を備えている。画像取込部111と、表示部112と、入力部113と、信号処理部114と、通信制御部115と、記憶部116は、相互にデータをやり取りすることが可能なバスにより接続されている。
【0016】
画像取込部111は、外部から映像を取得してデジタルデータにすることが可能な装置部分であり、典型的には携帯電話機に備えられたデジタルカメラである。画像取込部111は、QRコードのような二次元コード190を取り込んでデジタルデータに変換することができる。
【0017】
表示部112は、携帯電話機に備え付けられた表示装置であり、典型的には1〜4インチ程度の小型液晶表示装置である。入力部113は、利用者が携帯端末110に数字や文字を入力するための装置部分であり、典型的には一般的な携帯電話に備えられたテンキーと10種類程度の補助キー(クリアキー、通話キー等)の組み合わせである。
【0018】
信号処理部114は、記憶部116に記憶されたプログラム及びデータに基づいて演算及び各装置部分の制御を行うことが可能な装置部分であり、典型的には携帯電話用の小型のプロセッサである。通信制御部115は、移動体通信網120との通信を制御するための装置部分であり、典型的には携帯電話が備えた公知の通信制御モジュールである。
【0019】
記憶部116は、プログラム及び他のデータを記憶することが可能な装置部分であり、典型的には読み出し専用メモリ(ROM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)等のメモリ素子や、これらのメモリ素子の組み合わせである。記憶部116には、ハードディスク装置や光ディスク装置のような大容量記憶装置も含まれ得る。
【0020】
携帯端末110は、移動体通信網120を通じてプロバイダ130と通信し、プロバイダ130はグローバルネットワーク140に接続されている。典型的には、携帯端末110は一般に販売されている電子メールが利用可能な携帯電話機であり、グローバルネットワーク140はインターネットである。なお、本発明の実施のために使用される携帯端末110は、電子メールが利用可能であることが必要であるが、WWWブラウザが利用可能である必要はない。
【0021】
一方、グローバルネットワーク140には別のプロバイダ150も接続しており、このプロバイダ150は販売者側の通信装置160に接続されている。プロバイダ150と通信装置160の間の通信経路には、電話回線、光ファイバー、ケーブルテレビ回線、無線通信回線等の任意の通信手段が用いられる。通信装置160は、販売者の注文処理装置170の通信制御部172に接続されている。
【0022】
ここで、プロバイダ130は、携帯端末110がグローバルネットワーク140に接続して通信を行うための所要のプロトコルの変換を行う事業者及びその設備であり、一般に携帯電話会社やインターネット接続事業者がこのようなプロバイダの業務を行っている。同様に、プロバイダ150は、通信装置160がグローバルネットワーク140に接続して通信を行うための所要のプロトコルの変換を行う事業者及びその設備である。販売者の通信装置160が直接グローバルネットワーク140に接続可能である場合には、プロバイダ150は存在せず、通信装置160がグローバルネットワーク140に直接接続される。
【0023】
携帯端末110は、移動体通信網120、プロバイダ130,150、グローバルネットワーク140及び通信装置160を通じて、注文処理装置170に対して電子メールを送信することができる。携帯端末110は、グローバルネットワーク140に接続された任意の装置に対して電子メールを送信する機能を有していても良いが、本発明の実施には、注文処理装置170に対して電子メールを送信することができれば十分である。
【0024】
注文処理装置170は、信号処理部171と、通信制御部172と、記憶部173を備えており、信号処理部171と、通信制御部172及び記憶部173は、相互にデータをやり取り可能なバスにより接続されている。注文処理装置170の信号処理部171には、文字、画像等の各種の表示を行うことが可能な表示装置181と、紙やその他の印刷媒体への印刷を行うことが可能な印刷装置182と、文字、数字等の入力が可能な入力装置183が接続されていてもよい。また、注文処理装置170の信号処理部171は外部の顧客データベース185に接続されていてもよく、顧客データベース185には本発明による商品カタログを利用して注文を行い得る複数の利用者(顧客)のデータ(後述の「利用者特定情報」を含む。)が記録されている。
【0025】
携帯端末110は通常、利用者が所有する装置又は利用者により貸与された装置であり、利用者はいつでも携帯端末110を使用することができる。一方、注文処理装置170は、商品の販売者が所有又は占有する装置であり、販売者が利用者からの商品の注文を処理するために使用される。
【0026】
図2Aは、本発明の商品カタログに記載される二次元コードの元になる文字列の例を示す。図2Aに示された文字列は、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)形式により記載されており、販売者の電子メールアドレス、電子メールのタイトル、商品コード、商品の名称、発送先住所、発送先氏名、利用者の電子メールアドレス、及び利用者の電話番号を含んでいる。以下、前記情報のそれぞれについて説明する。
【0027】
まず、販売者の電子メールアドレス「abc@cde.com」は、販売者が商品の販売のために利用者からの電子メールを受け付けるアドレスである。携帯端末110により二次元コード190を取り込んだときに電子メールを送信するよう、「mailto:」の文字列に続いて電子メールアドレスが記載されている。次に、電子メールのタイトルは、商品の注文であることが分かればどのようなものでも良いが、図2Aの例では「商品注文」としている。携帯端末110により二次元コード190を取り込んだときに電子メールのタイトルとなるよう、「Subject=」の文字列に続いて電子メールのタイトルが記載されている。なお、第1行及び第2行の末尾に記載されている「&」は、情報の区切りを表すに過ぎないものであるため、電子メールアドレスやタイトルには含まれない。
【0028】
次に、第3行以降「Body=」の文字列に続いて、電子メールの本文になる内容が記載されている。この例では、商品名称が「SS−11 湯呑み茶碗」であり、「SS−11」は商品コードである。なお、商品コードのみを「商品コード:SS−11」のように独立した項目としてもよい。
【0029】
次に、第4〜5行には、「発送先:」の文字に続いて、商品を発送すべき宛先の住所が記載されている。続いて第6〜7行には、商品を発送すべき宛先の氏名及び電話番号が記載されている。第4〜7行の情報は、通常の場合には商品を購入する利用者自身の住所、氏名等であるが、他人に商品を贈りたい場合などには利用者以外の発送先の住所、氏名等であってもよい。説明を簡単にするため、以下の説明では発送先は利用者の住所であると仮定する。
【0030】
図2Aの第8行には利用者の電子メールアドレス(この例では「kouno@keitai.xx.jp」)が記載されており、販売者は後でこの電子メールアドレスに返信することにより、利用者の注文意思を確認することができる。第9行には「備考:」とのみ記載されており、後述する電子メールの送信の際に、利用者が「備考:」の文字に続いて任意の文字列を電子メールに付加することにより、販売者に注文に付随した任意の情報(例えば配達希望日時)を伝えることができる。
【0031】
本明細書において、利用者の住所、氏名、電話番号等、利用者を特定するための情報を「利用者特定情報」という。「利用者特定情報」は、前記に例示した利用者の住所、氏名(名称)及び電話番号の全てを含む必要はない。例えば、利用者の住所及び氏名(名称)だけでも利用者を特定することは可能であり、既に顧客データベースに利用者の住所が登録されている場合においては、利用者の氏名(名称)だけでも利用者を特定することが可能である。さらに、利用者各人に利用者コード(番号、英数字の組み合わせ等)を付した場合には、利用者コードも利用者特定情報の一部となり得る。
【0032】
図2B、図2Cは、上記文字列から生成された二次元コードの例を示す。図2Bに示されるのは一般に無償公開されたソフトウェアを利用して、図2Aの文字列から生成されたQRコードである。このような二次元コードを携帯端末110の画像取込部112から読み込むことにより、図2Aに示された元の文字列を得ることができる。一方、図2Cに示されるQRコードには暗号化が施されており、パスワード(この例では「meisai」という単語)を知らなければこのQRコードから図2Aに示された情報を得ることができない。
【0033】
次に、図2Dは、図2Aに示された文字列のうち、電子メールの本文に対応する部分のみを暗号化した文字列を示す。また、図2Eは、図2Dに示された文字列から生成された二次元コード(QRコード)を示す。図2EのQRコードから利用者が電子メールを生成すれば、万一電子メールの内容が何らかの理由により他人の目に触れたとしても、注文の内容や利用者の住所を他人に知られることはない。このように、二次元コードの生成の前後又は生成と同時に文字列の暗号化を施すことにより、携帯端末が二次元コードを取り込んだときに生成される電子メールの秘匿性及び安全性を高めることができる。
【0034】
図3は、本発明による二次元コードが印刷された商品カタログの例を示す。図3に示す商品カタログ300には、見開き2ページに4点の陶器(茶碗301、湯呑み302、皿303,304)が掲載されており、それぞれに関連した4つの二次元コード(ここではQRコード)311〜314が配置されている。二次元コードの詳細な内容は省略するが、基本的には、図2B、図2C又は図2Eに示されるような、商品情報と利用者特定情報を含む文字列(平文又は暗号化された文字列)から生成されたものである。
【0035】
また、図3の商品カタログ300には、茶碗301についての商品コード321、商品名称322及び商品説明323も記載されており、湯呑み302及び皿303,304についても同様である。二次元コード315は、皿303,304をセットとして注文するための二次元コードである。このように、商品カタログには商品ごと、利用者ごと又は購入個数ごとに二次元コードを掲載することができる。本発明の商品カタログは、基本的には利用者ごとに用意することが必要なものであるが、個々の利用者が同一の企業に属するなど利用者を区別する必要がない場合には、同一の二次元コードが掲載された商品カタログを複数部配布してもよい。
【0036】
例えば、利用者が茶碗301を注文したい場合、二次元コード311を利用者の携帯端末110により取り込み、二次元コード311が表す元の文字列(「mailto:」から始まる電子メール)を得る。この文字列の内容は、図2A及び図2Dを参照して上述したようなものである。一般的な携帯端末110は、「mailto:」から始まる文字列を電子メールの内容であると解釈するため、二次元コード311を読み取れば自動的に電子メールメッセージが生成される。利用者は携帯端末110を利用して、生成された電子メールを注文処理装置170に送信する。
【0037】
注文処理装置170は、受信した電子メールメッセージの内容を手動により、又は自動的に分析して、注文の内容を抽出する。具体的には、注文処理装置170は、記憶部173に記憶されたプログラムに従って、信号処理部171の動作により、通信制御部172により受信された電子メールを記憶部173に格納する。次に、信号処理部171は、記憶部173に格納された電子メールに含まれる発信元情報(発信者の電子メールアドレス)を、顧客データベース185に記録された複数の利用者特定情報に含まれる電子メールアドレスと比較することにより、発信元情報に対応する利用者特定情報を決定する。また、信号処理部171は、記憶部173に格納された電子メールから商品情報を抽出して記憶部173に格納する。ここで、商品情報が図2Dに示されるように暗号化されていた場合には、信号処理部171は復号化を行った上で商品情報を記憶部173に格納する。最後に、信号処理部171は、決定された利用者特定情報と記憶部173に格納された商品情報を表示装置181に表示する。
【0038】
この時点において、必要であれば注文処理装置170は、自動的に、又は販売者の手動により、返信の電子メールを携帯端末110を所持する利用者宛に送信してもよい。販売者は、表示装置181に表示された利用者特定情報に基づいて、完全な手作業により商品発送作業を進めてもよいし、自動的に印刷装置182から発送先の住所及び氏名等がラベルに印刷されるように注文処理装置170が設定されていてもよい。また、販売者は、表示装置181に表示された利用者特定情報に基づいて、返信する電子メールに支払方法を記載してもよいし、銀行、コンビニ等の振込用紙の発送作業や、商品との同梱発送作業を行ってもよい。
【0039】
図1に示される注文処理装置170の場合、印刷装置182及び顧客データベース185に接続されているので、顧客データベース185から利用者特定情報を取り出して、信号処理部171と記憶部173において所要の処理を行うことによって、図3に示される商品カタログ300を印刷することも可能である。
【0040】
具体的には、記憶部173には商品カタログ300の印刷を行うためのプログラムと、商品情報と、注文を受け付けるために用意された販売者の電子メールアドレスなどが予め記憶されている。記憶部173に記憶された前記プログラムに従って、信号処理部171が顧客データベース185から特定の顧客の利用者特定情報を取り出し、これに記憶部173に記憶された商品情報と販売者の電子メールアドレスを付加することによって、図2A(又は図2D)に示されたような文字列を得ることができる。この文字列を二次元コードに変換して記憶部173に記憶された商品画像や商品説明を付加すれば、商品カタログ300のような印刷イメージを得ることができるので、これを印刷装置182に出力すれば商品カタログが印刷される。
【0041】
なお、本発明の商品カタログは必ずしも図3のような見開きに印刷された形式である必要はなく、多数の両面印刷された紙が綴じられた書籍の形式、1枚だけのパンフレット又はチラシの形式であってもよい。また、商品カタログに印刷される二次元コードは、典型的にはQRコードであるが、例えばカラーコードやバーコード等、1色又は多色により表された任意の二次元コードも使用されうる。さらに、二次元コードが商品の注文に使用可能であることを表すために、二次元コードの内容を損なわない範囲で、例えば洋封筒の図柄のような電子メールを表す図形や、自社ブランドのロゴの図形等の任意の図形を、二次元コード上又は二次元コード内に、二次元コードと同色又は異なる色で印刷してもよい。
【0042】
さらに、本発明の商品カタログ、コンピュータシステム及び方法は、移動体通信網に接続可能な携帯端末間においてやり取りされるショートメッセージサービス(SMS)にも応用することが可能である。この場合には、商品カタログに掲載される二次元コードの元になる文字列には、販売者の電子メールアドレス(図2Aの例では「abc@cde.com」)に代えて販売者のショートメッセージ送信先情報(携帯電話番号又はショートメッセージ用アドレス文字列)が含まれており、利用者の電子メールアドレス(図2Aの例では「kouno@keitai.xx.jp」)に代えて利用者のショートメッセージ送信先情報が含まれている。この場合には、販売者は通信装置160を移動体通信網120と直接又は間接的に通信可能な仕様に構成して注文処理装置170によりショートメッセージを受信するか、注文処理装置170のようなコンピュータシステムを使用せずに、移動体通信網120に接続可能な携帯端末110とは別の携帯端末を使用してショートメッセージを受信する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、グローバルネットワークを利用した通信販売に利用することができる。また、ローカルネットワーク又は移動体通信網のみを利用した通信販売に利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による商品カタログを利用して注文を行うための装置の配置及び構成を示す模式図である。
【図2A】本発明の商品カタログに記載される二次元コードの元になる文字列の例を示す。
【図2B】図2Aに示された文字列から生成された二次元コードの例を示す。
【図2C】図2Aに示された文字列から生成された二次元コードの例を示す。
【図2D】図2Aに示された文字列のうち、電子メールの本文に対応する部分のみを暗号化した文字列を示す。
【図2E】図2Dに示された文字列から生成された二次元コードを示す。
【図3】本発明による二次元コードが印刷された商品カタログの例を示す。
【符号の説明】
【0045】
110 携帯端末
111 画像取込部
112 表示部
113 入力部
114,171 信号処理部
115,172 通信制御部
116,173 記憶部
120 移動体通信網
130,150 プロバイダ
140 グローバルネットワーク
160 通信装置
170 注文処理装置
181 表示装置
182 印刷装置
183 入力装置
185 顧客データベース
190,311〜315 二次元コード
300 カタログ
301 茶碗
302 湯呑み
303,304 皿
321 商品コード
322 商品名称
323 商品説明

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者特定情報と商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードが印刷された、商品カタログ。
【請求項2】
前記二次元コードがQRコードであり、前記文字情報が販売者が用意した電子メールアドレスを含む、請求項1又は2に記載の商品カタログ。
【請求項3】
前記二次元コードがQRコードであり、前記文字情報が販売者が用意したショートメッセージ送信先情報を含む、請求項1又は2に記載の商品カタログ。
【請求項4】
前記文字情報の少なくとも一部が、暗号化された後に符号化されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の商品カタログ。
【請求項5】
複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと印刷装置に接続された、電子メールアドレス及び商品情報が格納された記憶部と信号処理部を備えたコンピュータシステムであって、
前記信号処理部が、前記データベースから一以上の利用者特定情報を取り出して前記記憶部に格納し、
前記記憶部に格納された前記一以上の利用者特定情報、前記電子メールアドレス及び前記商品情報を含む文字情報から二次元コードを生成し、
前記二次元コードを含むデータを前記印刷装置に出力することにより、前記印刷装置に商品カタログを印刷させることが可能なコンピュータシステム。
【請求項6】
複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと印刷装置に接続された、ショートメッセージ送信先情報及び商品情報が格納された記憶部と信号処理部を備えたコンピュータシステムであって、
前記信号処理部が、前記データベースから一以上の利用者特定情報を取り出して前記記憶部に格納し、
前記記憶部に格納された前記一以上の利用者特定情報と前記ショートメッセージ送信先情報及び前記商品情報を含む文字情報から二次元コードを生成し、
前記二次元コードを含むデータを前記印刷装置に出力することにより、前記印刷装置に商品カタログを印刷させることが可能な、コンピュータシステム。
【請求項7】
前記信号処理部が、前記文字情報を暗号化した後に符号化することにより前記二次元コードを生成する、請求項5又は6に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと表示装置に接続された、信号処理部と記憶部と通信制御部を備えたコンピュータシステムにより実施される方法であって、
前記通信制御部が、商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードから生成された、発信元情報を含む電子メールを受信するステップと、
前記信号処理部が、前記通信制御部により受信された電子メールを前記記憶部に格納するステップと、
前記信号処理部が、前記記憶部に格納された電子メールに含まれる発信元情報を、前記データベースに記録された前記複数の利用者特定情報と比較することにより、前記発信元情報に対応する利用者特定情報を決定するステップと、
前記信号処理部が、前記記憶部に格納された電子メールから商品情報を抽出して前記記憶部に格納するステップと、
前記信号処理部が、決定された前記利用者特定情報と前記記憶部に格納された商品情報を前記表示装置に表示させるステップ
を含む方法。
【請求項9】
複数の利用者特定情報が記録されたデータベースと表示装置に接続された、信号処理部と記憶部と通信制御部を備えたコンピュータシステムにより実施される方法であって、
前記通信制御部が、商品情報を含む文字情報が符号化された二次元コードから生成された、発信元情報を含むショートメッセージを受信するステップと、
前記信号処理部が、前記通信制御部により受信されたショートメッセージを前記記憶部に格納するステップと、
前記信号処理部が、前記記憶部に格納されたショートメッセージに含まれる発信元情報を、前記データベースに記録された前記複数の利用者特定情報と比較することにより、前記発信元情報に対応する利用者特定情報を決定するステップと、
前記信号処理部が、前記記憶部に格納されたショートメッセージから商品情報を抽出して前記記憶部に格納するステップと、
前記信号処理部が、決定された前記利用者特定情報と前記記憶部に格納された商品情報を前記表示装置に表示させるステップ
を含む方法。
【請求項10】
前記文字情報の少なくとも一部が、暗号化された後に符号化されている、請求項8又は9に記載の方法。

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−14511(P2012−14511A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151110(P2010−151110)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(510183350)
【出願人】(510183361)
【Fターム(参考)】