説明

二次電池および二次電池モジュール

【課題】電池容器が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁が開裂した場合に、ガス漏れを防止できるシンプルなガス排出構造を有する二次電池と、この二次電池が複数並置されてなる二次電池モジュールと、を提供する。
【解決手段】電極群が収容される金属製の缶18、および缶18を封止してガス排出弁が設けられた金属製の蓋10を有する電池容器7と、蓋10に固定されて、ガス排出弁から排出されるガスを収集して案内するダクト30と、を備え、蓋10のガス排出弁の周囲には複数の突起15が互いに平行に立設され、ダクト30は、弾性部材であって、ガス排出弁の周囲における蓋10の面に当接する基部29を有し、基部29には、複数の突起15が取り付けられる突起取付孔が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの二次電池および二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車等の動力源として大容量の充放電が可能で、体積エネルギー密度の高い大型の角形リチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
二次電池は、過充電等の異常により発熱してガスが発生することがある。そこで、ガスが発生して電池容器内の圧力が高くなった場合に、所定の圧力で開裂するガス排出弁が設けられた二次電池に関する種々の提案がなされている。たとえば、特許文献1には、ガス排出部材(ダクト)に嵌め入れ型連結部と受け型連結部とを形成して、隣り合うバッテリに備えらえたガス排出部材の嵌め入れ型連結部と受け型連結部とが互いに連結されてなるガス排出構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−216731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、樹脂によりケース(電池容器)と一体成型されたガス排出部材(ダクト)を有するバッテリと、複数のバッテリからなり、隣り合うバッテリのガス排出部材同士を接続したバッテリ列と、が開示されている。
【0006】
しかしながら、電池容器は、充分な強度を持たせるために金属製とすることがある。さらに、ダクトを電池容器と一体成型することなく別に製造しておき、ダクトを別工程で電池容器に接続することがある。
【0007】
電池容器毎に個々のダクトを接続する構成としたガス排出構造については、現在のところ提案されていない。そのため、電池容器が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁が開裂した場合に、ダクトと電池容器との接続部においてガスが漏れることのないシンプルなガス排出構造を有する二次電池が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明による二次電池は、電極群が収容される金属製の缶、および缶を封止してガス排出弁が設けられた金属製の蓋を有する電池容器と、蓋に固定されて、ガス排出弁から排出されるガスを収集して案内するダクトと、を備え、蓋のガス排出弁の周囲には複数の突起が立設され、ダクトは、弾性部材であって、ガス排出弁の周囲における蓋の面に当接する基部を有し、基部には、複数の突起が取り付けられる突起取付孔が設けられていることを特徴とする。
請求項9の発明による二次電池モジュールは、請求項8に記載の二次電池が複数並置され、パイプ部のジョイント部が隣接する二次電池のパイプ部のジョイント部と接続されることで、複数の二次電池のパイプ部同士が連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池容器が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁が開裂した場合に、ガス漏れを防止できるシンプルなガス排出構造を有する二次電池と、この二次電池が複数並置されてなる二次電池モジュールと、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るダクト取付前の二次電池を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る二次電池の内部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る二次電池の電池容器に収容される捲回電極群を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る二次電池のダクトの平面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る二次電池における蓋とダクトとの接続構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る二次電池における蓋とダクトとの接続構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る二次電池における蓋とダクトとの接続構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る二次電池における蓋とダクトとの接続構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る二次電池モジュールを示す斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る二次電池モジュールのガス案内流路を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による二次電池をリチウムイオン電池に適用した実施形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
−二次電池−
本実施の形態に係る二次電池は、図1に示すように、電池容器7と、ダクト30と、を備えている。
−電池容器−
電池容器7は、図2に示すように、缶18と蓋10とを有している。缶18および蓋10の材質はいずれもアルミニウムである。缶18は、一端部に開口を有する矩形箱状とされる。蓋10は、矩形平板状であって、缶18の開口を塞ぐように溶接されている。つまり、蓋10は、缶18を封止している。
【0012】
蓋10には、缶18内に電解液を注入する注液口16が穿設され、注液口16は、電解液注入後に注液栓によって封止される。この注液栓は、溶接によって蓋10に固定される。
【0013】
−ガス排出弁−
蓋10の中央付近には、円形状のガス排出弁14が設けられている。ガス排出弁14は、蓋10よりも薄く形成されている。したがって、電池容器7内の圧力が上昇して所定値に達すると、ガス排出弁14が開いて電池容器7内からガスが排出され、電池容器7内の圧力が低減される。
【0014】
ガス排出弁14は、アルミニウム板をプレス加工して蓋10と一体的に成形される。ガス排出弁14である薄板部には、ガス排出弁14が開いたときに大きな開口が形成されるように、所定の溝が形成されている(図示せず)。
【0015】
−捲回電極群−
図3に示すように、二次電池の電池容器7には、電気を充放電する機能を有する捲回電極群6が収容されている。捲回電極群6は、図4に示すように、セパレータ5を挟んで正極箔1と負極箔3とを扁平形状に捲回して構成される。
【0016】
正極箔1は、厚さ30μm程度のアルミニウムであり、負極箔3は厚さ15μm程度の銅である。セパレータ5は、多孔質のポリエチレン樹脂である。正極箔1の両面には正極活物質2が塗布されており、負極箔3の両面には負極活物質4が塗布されている。
【0017】
正極箔1および負極箔3における捲回軸方向の端部近傍には、正極活物質2および負極活物質4が塗布されていない電極箔露出面が設けられている。この正極箔1および負極箔3における電極箔露出面は、正極接続部と負極接続部であって、図3に示したように、それぞれ正極集電板8と負極集電板9の一端が接続される。
【0018】
正極集電板8および負極集電板9の他端は、それぞれ蓋10上に配置される正極端子11および負極端子12に接続されている。なお、蓋10と端子11、12との間には、端子11、12を蓋10から電気的に絶縁するための絶縁シール部材13が配設されている。同様に、蓋10と集電板8、9との間には、集電板8、9を蓋10から電気的に絶縁するための絶縁シール部材(図示せず)が配設されている。
【0019】
このように、正極端子11および負極端子12が、それぞれ正極集電板8および負極集電板9を介して正極箔1および負極箔3に電気的に接続されているため、捲回電極群6の正極活物質2と負極活物質4との間で充放電が行われることになる。
【0020】
[蓋とダクトとの接続構造]
次に、本発明の特徴である蓋10とダクト30との接続構造について説明する。図2に示すように、蓋10のガス排出弁14の周囲には、六つの突起15が互いに平行に容器外方に向けて立設されている。この突起15は、平板状の蓋10の所定位置をプレスすることにより円柱状に形成されている。
【0021】
ダクト30は、図1に示したように、蓋10に固定されて、ガス排出弁14から排出されるガスを収集して案内する。ダクト30は、弾性変形可能な樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂など)により形成されている。
【0022】
ダクト30は、円形開口が形成された平板状の基部29と、基部29に立設される円筒28と、円筒28の軸心と直交する方向に延在するパイプ部20と、が一体成型されることで構成されている。円筒28とパイプ部20とは連通されてガス通路が形成されている。なお、パイプ部20は、二次電池の高さ方向の寸法を抑えるために断面形状が楕円状に形成されている。
【0023】
パイプ部20には、図1および図5に示すように、その一端にジョイント部としてのオスジョイント26が形成され、他端にジョイント部としてのメスジョイント25が形成されている。オスジョイント26の外径は、メスジョイント25の内径と略同一とされている。また、オスジョイント26には、Oリング27が配設されている。
【0024】
したがって、複数の二次電池を並置した際に、隣り合う二次電池のオスジョイント26とメスジョイント25とを接続させることで、隣り合うパイプ部20同士が連結される。ダクト30を連結させることについては後述する。
【0025】
図1および図6に示すように、基部29は、ガス排出弁14を覆うように、底面が蓋10の表面に当接された状態で配置される。つまり、ガス排出弁14の周囲において、蓋10の表面と、基部29の底面と、が当接している。
【0026】
蓋10の表面および基部29の底面におけるガス排出弁14の周囲には、それぞれ平面視円環状の溝が形成されて、この溝の間に円環状のガスケット(Oリング)31が配設されている。
【0027】
基部29には、図6に示すように、蓋10上に設けられた六つの突起15が挿通される六つの貫通口33が設けられている。この貫通口33は、突起15の外径と略同一径の小径部と、突起15の外径よりも大きな径の大径部と、を有している。
【0028】
ダクト30は、図7に示すように、貫通口33に突起15を挿通させた状態で、突起15がかしめられることで、蓋10に固定される。突起15がかしめられると、突起15の先端部において、かしめ部34が形成される。
【0029】
かしめ部34は、大径部と小径部との間に形成される段差部分に押し付けられて、大径部を塞ぐように形成される。よって、かしめ部34は、基部29を蓋10側に押し付けるように、基部29と係合することとなる。
【0030】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)複数の突起15にそれぞれ貫通口33が係合されているため、突起15と直交する方向のずれを防止することができる。突起15の先端部に形成されたかしめ部34が、基部29を蓋10側に押し付けるように、基部29と係合しているため、剥離方向(突起15と平行となる方向)のずれも防止することができる。
つまり、ダクト30は蓋10に強固に固定されており、電池容器7が内圧の上昇により変形した際、ならびに、ガスがダクト30内に勢いよく噴出した際に、ダクト30が蓋10から剥離されることなく、蓋10上の所定位置にダクト30を固定させておくことができる。
【0031】
(2)ダクト30は、弾性変形が可能であるため、電池容器7の内部の圧力が上昇して電池容器7の蓋10が変形したとき、この変形に追従して蓋10の表面に当接している平板状の基部29も変形することになる。つまり、過充電等で電池に異常が生じて、温度上昇によるガス発生により電池容器7の内部の圧力が上昇して、電池容器7の蓋10が変形すると、ダクト30の位置ずれおよび剥離が防止されつつ、ダクト30の基部29が蓋10の変形に追従して変形することになる。
【0032】
(3)(1)および(2)の作用効果により、蓋10とダクト30の基部29との間に配置されているガスケット31の位置ずれが防止される。
【0033】
(4)したがって、本実施形態によれば、(1)〜(3)の作用効果により、ガス排出弁14の開裂時にダクト30と蓋10との接続部においてガス漏れを防止できる二次電池を提供することができる。
【0034】
(5)ガス排出弁14の周囲に設けられた複数の突起15に、ダクト30の基部29に設けられる複数の貫通口33を係合させることで、蓋10上の所定位置にダクト30を容易に配置させることができる。さらに、ダクト30の位置決めをした後、突起15をかしめることで、ダクト30を蓋10に容易に固定することができる。つまり、本実施形態によれば、ダクト30と蓋10との接続部がシンプルな構成の生産性に優れた二次電池を提供することができる。
【0035】
(6)ダクト30は、一体成型の樹脂製であるため、任意の形状に成型しやすく、金属製に比べて生産性に優れる。
【0036】
[第2の実施形態]
図8を参照して本発明による二次電池の第2の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る蓋10とダクト30との接続構造を示す断面図である。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、ダクト30を蓋10上に配置した後(図6参照)、貫通口33に挿通された突起15の先端にレーザを照射して、突起15の先端部を溶融させることで係止部35が形成されている。なお、レーザにはファイバーレーザを用い、出力2kWで0.1秒間照射した。
【0037】
突起15の先端部を溶融すると、溶融金属は重力により溶け落ちて、溶融金属が凝固してなる溶接金属が係止部35として大径部を塞ぐように形成される。形成された係止部35は、基部29と密着して係合するため、ダクト30は蓋10に強固に固定されて、ダクト30の基部29が剥離することが防止される。
【0038】
なお、アルミニウムは融点が660℃と比較的低いが、レーザの照射時間を短くすることで樹脂製の基部29と溶融金属の接触部において、基部29の表面の一部は溶かすことになるが、炭化することは防止される。
【0039】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、電池容器7の蓋10が変形したときには、ダクト30の位置ずれおよび剥離が防止されつつ、ダクト30の基部29が蓋10の変形に追従して変形するため、ガスケット31の位置がずれることなく密閉性を確実に確保することができる。すなわち、シンプルな構成のガス排出構造を有する二次電池であって、電池容器7内の圧力が上昇してガス排出弁12が開裂しても、蓋10とダクト30との接続部からのガス漏れを防止できる二次電池を提供することができる。
【0040】
[第3の実施形態]
図9を参照して本発明による二次電池の第3の実施形態について説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る蓋10とダクト30との接続構造を示す断面図である。
【0041】
第3の実施形態では、第1および第2の実施形態におけるかしめ部34や係止部35を形成しない。第3の実施形態では、かしめ部34や係止部35に代えて、蓋10の表面あるいは基部29の蓋10側の面に接着剤36が塗布された後、ダクト30が蓋10上に配置されている。
【0042】
基部29の蓋10側の面は、接着剤36を介して蓋10の表面と当接して接着されている。接着剤36によって二次電池の密閉性を確保することができるため、第3の実施形態では、ガスケット31(図7および図8参照)を省略した。さらに、かしめ部34や係止部35を形成しないため、貫通口33に大径部および小径部を形成してない。なお、かしめ部34や係止部35を形成しないため、貫通口33に代えて突起15が嵌合される窪みを突起取付孔として形成してもよい。
【0043】
なお、第3の実施形態では、接着剤36によりダクト30を蓋10に結合させているため、ダクト30と蓋10との結合力は、第1および第2の実施形態に比べて弱い。よって、接着面積を確保するべく、基部29を比較的大きく形成しておくことが好ましい。
【0044】
このように、蓋10とダクト30の基部29とを接着剤36により固定することでも、第1および第2の実施形態と同様、電池容器7が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁14が開裂した場合に、ガス漏れを防止できるシンプルなガス排出構造を有する二次電池を提供することができる。
【0045】
[第4の実施の形態]
図10を参照して本発明による二次電池モジュールの実施の形態について説明する。図10は、二次電池モジュールの斜視図である。第4の実施形態では、図10に示すように、四つの二次電池が並置されて二次電池モジュールが構成されている。
【0046】
本実施形態に係る二次電池モジュールは、第2の実施形態の二次電池のダクト30のパイプ部20同士が連結されている。なお、二次電池相互間には二次電池を所定間隔に配設させるためのセルホルダが配置される(図示せず)。
【0047】
ダクト30には、上記したようにオスジョイント26とメスジョイント25とが形成されている(図1および図5参照)。ダクト30のパイプ部20は、二次電池が並置される方向に延在している。ダクト30のオスジョイント26と、隣接する二次電池のダクト30のメスジョイント25とが接続されると、図11に示すように、複数のダクト30が一本のガス案内流路を形成する。
【0048】
なお、ダクト30の形状はそれぞれ同一であるため、ダクト30によって形成されるガス案内流路は両端が開口となるが、一端に閉止栓40が装着され、他端に管41が接続されてダクト30で構成されるガス案内流路と連通される。すなわち、他端に接続される管41もガス案内流路として形成されて、ガスを所定の場所まで案内する。
【0049】
オスジョイント26の外周には溝が形成され、Oリング27が取り付けられており、隣り合う二次電池のダクト30のオスジョイント26とメスジョイント25とが嵌着されることで、複数のダクト30で形成されるガス案内流路内が密閉されている。
【0050】
第4の実施形態によれば、特定の二次電池に過充電等の異常が生じ、電池容器7内部の温度上昇によりガスが発生して電池容器7が変形しても、蓋10の変形に追従して基部29が変形するため、電池容器7が膨れた状態でガス排出弁14が開裂したときに、蓋10と基部29との接続部からガスが漏れることはない。
【0051】
すなわち、第4の実施形態によれば、複数の二次電池のうちのいずれかの二次電池の電池容器7が膨らんだ状態でガス排出弁14が開裂すると、ガスは漏れることなくガス案内流路を通って所定の場所(図示せず)に排出される。したがって、電池容器7が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁14が開裂した場合に、ガス漏れを防止できるシンプルなガス排出構造を有する二次電池モジュールを提供することができる。
【0052】
本実施形態の二次電池モジュールは、ある電池の内圧が上昇して蓋10が膨らみ、その結果、ダクト30も筒状のパイプ部20の軸方向と直角方向にずれて、オスジョイント26と隣接する電池のメスジョイント25との間に隙間が生じたとしても、オスジョイント26とメスジョイント25とはOリング27により密閉されているので、ガスが漏れることがない。
【0053】
なお、第1〜第4の実施形態は、以下のように変形することもできる。
[変形例]
(1)ダクト30は、樹脂製に限定されることなく、弾性変形可能な薄肉金属板などで形成してもよい。つまり、ダクト30の素材には、弾性変形可能な種々の素材を採用することができる。
(2)ダクト30は、一体成型により形成してもよいし、パイプ部20、円筒28および基部29を個別に成形し、それぞれを接続して形成してもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、突起15をかしめる、もしくは突起15の先端部を溶融して係止部35を形成する、または基部29と蓋10とを接着するなどして、ダクト30を蓋10に固定することについて説明した。固定方法としては、これらを組み合わせてもよいし、突起の先端にねじ溝を設けてねじの頭で基部29を蓋側に押し付けるようにして、ねじによりダクト30を蓋10に固定することとしてもよい。
【0055】
(4)ガスケット31あるいは接着剤36のいずれか一方により密閉性を確保する場合に限ることなく、ガスケット31を設置するとともに、蓋10と基部29とを接着剤36により固定することで、密閉性をより向上させることもできる。
【0056】
(5)蓋10と基部29との間に配置されるガスケット31は、Oリングに限定されるものでもなく、液状ガスケットにより密閉性を確保することとしてもよい。
(6)ダクト30と基部29との結合力を高めて、基部29の底面を蓋10の表面に密着固定することで、ガスケット31および接着剤36を省略することもできる。
【0057】
(7)上記した第1および第2の実施形態において、貫通口33には大径部と小径部とを設けることとしたが、これに限定されない。たとえば、貫通口33を突起15の外径と略同一径で形成し、かしめ部34または係止部35を基部29の上面に係合させることで、蓋10にダクト30を固定してもよい。なお、上記した第1および第2の実施形態の如く、大径部を設けることで、かしめ部34あるいは係止部35を適切な形状、大きさに形成することができるため好適である。
【0058】
(8)突起15は、円柱状に限定されない。直方体形状や円筒形状など、種々の形状を採用できる。突起取付孔は、突起15の形状に対応した形状とされる。
(9)突起15の数は、六つに限定されない。七つ以上または五つ以下の突起15が、ガス排出弁14を囲むように所定間隔をおいて蓋10上に立設されることもある。ただし、位置決めが容易に行えるように、少なくとも二つ以上の突起15が蓋10上に設けられる。
【0059】
(10)ダクト30のパイプ部20の断面形状は、楕円状に限定されることなく、円形状、矩形状等の種々の形状を採用できる。
【0060】
(11)第4の実施形態において、第2の実施形態の二次電池を例に二次電池モジュールの説明をしたが、二次電池モジュールを構成する二次電池は第2の実施形態に係る二次電池のみに限定されない。第1の実施形態および第3の実施形態に係る二次電池、ならびに上記した種々の形態の二次電池を複数並置して二次電池モジュールを構成することができる。
【0061】
(12)電池容器7の缶18に収容される電極群は、正極箔1と負極箔3とをセパレータ5を介して捲回した捲回電極群6とする場合に限定されることなく、複数枚の正極箔1と負極箔3とをセパレータ5を介して積層した積層電極群としてもよい。
【0062】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0063】
6:捲回電極群、7:電池容器、10:蓋、14:ガス排出弁、15:突起、18:缶、20:パイプ部、25:メスジョイント、26:オスジョイント、27:Oリング、28:支持部、29:基部、30:ダクト、31:ガスケット、33:貫通口、34:かしめ部、35:係止部、36:接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極群が収容される金属製の缶、および前記缶を封止してガス排出弁が設けられた金属製の蓋を有する電池容器と、
前記蓋に固定されて、前記ガス排出弁から排出されるガスを収集して案内するダクトと、を備え、
前記蓋の前記ガス排出弁の周囲には複数の突起が立設され、
前記ダクトは、弾性部材であって、前記ガス排出弁の周囲における前記蓋の面に当接する基部を有し、前記基部には、前記複数の突起が取り付けられる突起取付孔が設けられていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池において、
前記ダクトは、樹脂製とされていることを特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二次電池において、
前記突起取付孔は、前記突起が挿通される貫通口とされ、
前記貫通口に挿通された前記突起をかしめることで、前記ダクトを前記蓋に固定したことを特徴とする二次電池。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の二次電池において、
前記突起取付孔は、前記突起が挿通される貫通口とされ、
前記貫通口に挿通された前記突起の先端部を溶融することで係止部を形成し、前記係止部を前記基部に係合させることにより前記ダクトを前記蓋に固定したことを特徴とする二次電池。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記突起は、円柱状であって、
前記突起取付孔は、前記突起が挿通される貫通口とされ、
前記貫通口は、前記突起の外径と略同一径の小径部と、前記突起の外径よりも大きな径の大径部と、を有していることを特徴とする二次電池。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記蓋と前記ダクトの基部とを接着剤で固定したことを特徴とする二次電池。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記蓋と前記ダクトの基部との間に、ガスケットが配置されていることを特徴とする二次電池。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記ダクトは、前記二次電池を並置する方向に延在する筒状のパイプ部を有し、前記パイプ部の両端には、ジョイント部がそれぞれ形成されていることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
請求項8に記載の二次電池が複数並置され、
前記パイプ部のジョイント部が隣接する二次電池のパイプ部のジョイント部と接続されることで、前記複数の二次電池の前記パイプ部同士が連結されていることを特徴とする二次電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−99432(P2012−99432A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248385(P2010−248385)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】