説明

二次電池の保護システム

【課題】二次電池の充放電経路を流れる過電流の状態推移を連続的に監視する。
【解決手段】複数の電池セルが直列に接続された二次電池の充放電経路に設けられ、充放電経路を導通及び遮断するスイッチ(2,3)と、充放電経路を流れる電流を検出する電流検出ユニット(8)と、電流検出ユニットで検出された電流の時間積分値を得る積分ユニット(4,6,7)と、電流検出ユニットにより検出された充放電経路を流れる電流が閾値電流を上回り、且つ積分ユニットにより得られた時間積分値が閾値時間積分値を上回ったときに、充放電経路を遮断するようスイッチを制御する制御ユニット(8)と、を備える、二次電池の保護システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を利用したシステムでは、異常な充放電状態が継続すると二次電池の内部で短絡や発熱を引き起こす問題が懸念されている。このため、一般的には、充電時又は放電時の過電流を防止する手段が設けられている。例えば、特許文献1に開示された図6に示す二次電池の保護システムが提案されている。
【0003】
図6に示す二次電池の保護システムでは、+端子12と−端子13の間に複数の電池セルが直列に接続された二次電池1の充放電経路において、充電時の過電流保護用のFET(以下、充電FETと呼ぶ)2と、放電時の過電流保護用のFET(以下、放電FETと呼ぶ)3と、充電電流又は放電電流を電圧降下として検出する電流検出用抵抗8と、が設置されている。充電FET2は、その寄生ダイオードの順方向が充電電流と逆方向となるように設置され、放電FET3は、その寄生ダイオードの順方向が放電電流と逆方向となるように設置されている。これにより、充電電流と放電電流との双方を遮断することができる。
【0004】
さらに、二次電池1の過充放電を防止するための制御を行う制御回路15が設けられている。制御回路15では、充電電流又は放電電流が流れることによって電流検出用抵抗8の両端に発生する微小な電圧を増幅してそれを充電電流又は放電電流として検出する充放電電流検出手段14が設けられている。さらに、制御回路15では、充放電電流検出手段14によって検出された充電電流又は放電電流に基づいて、二次電池1の各電池セルの相対電圧又はその時間微分値が一定値を超えるときに、二次電池1の充放電を禁止するように充電FET2及び放電FET3のオンオフを制御する手段が設けられている。
【0005】
例えば、制御回路15は二次電池1の各電池セルの両端電圧をそれぞれ検出し、それらの両端電圧の相対電圧が許容電圧(例えば、0.3V)よりも小さくなる場合において、電池セルの両端電圧が第1の電圧値(例えば、4.3V)以上となったときには、充電FET2をオフして充電電流を遮断するような過充電保護を実行している。また、電池セルの両端電圧が第2の電圧値(例えば、4.0V)以下となったときには、充電FET2をオンして過充電保護機能を解除している。
【0006】
なお、過充電保護機能の解除に関して、充電FET2がオフして二次電池1への充電電流の供給が遮断されている状態で規定電流(例えば、0.2A)以上の放電電流が許容時間(例えば、10ms)以上連続して流れた場合には、電池セルの両端電圧が第2の電圧値以下とならなくても充電FET2をオフからオンに切り替えて過充電保護機能を解除している。このように、過充電保護の動作中に許容値以上の放電電流が連続して流れた場合には、充電FET2をオフからオンに切り替えることで、放電電流に応じた寄生ダイオードの電力損失によって充電FET2が破壊することを防止している。
【0007】
さらに、電池セルの両端電圧の相対電圧が許容電圧以上となった場合には、電池セルの両端電圧が第1の電圧値に到達してなくても、充電FET2及び放電FET3を共にオフすることで、二次電池1への充電及び放電を永久に禁止している。このように、相対電圧が許容電圧以上になったことを検出することで、電池セルの劣化等によってその容量が不均一となり、セルバランスの崩れが発生したことを検出できる。また、このとき、二次電池1の使用を禁止することによって、二次電池1の過充電を未然に防止することができる。
【0008】
なお、過放電保護並びにその解除の動作についても上記の過充電保護並びにその解除の動作と同様である。さらに、特許文献1には、充電電流又は放電電流の検出電流に反比例するように設定された所定の遅延時間後に充電又は放電を禁止している。例えば、検出電流が5Aのときには遅延時間を1.0msに設定し、10Aのときには500μsに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3273714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の過電流保護の場合、充電電流又は放電電流の規定電流並びにその許容時間が離散的に設定されており、例えば、充電電流又は放電電流の異常な状態を検出してもそれまでの状態推移が監視できていないので、充電電流又は放電電流の連続的で且つ適切なタイミングでの過電流保護とはならない。このため、特許文献1の過電流保護の場合、実質的な安全性を確保できないという課題があった。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、二次電池の充放電経路を流れる電流の状態推移を連続的に監視することで安全性を向上させた二次電池の保護システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した従来の課題を解決するために、本発明のある形態に係る二次電池の保護システムは、複数の電池セルが直列に接続された二次電池の充放電経路に設けられ、当該充放電経路を導通及び遮断するスイッチと、前記充放電経路を流れる電流を検出する電流検出ユニットと、前記電流検出ユニットで検出された電流の時間積分値を得る積分ユニットと、前記電流検出ユニットにより検出された前記充放電経路を流れる電流が閾値電流を上回り、且つ前記積分ユニットにより得られた時間積分値が閾値時間積分値を上回ったときに、前記充放電経路を遮断するよう前記スイッチを制御する制御ユニットと、を備える、ものである。
【0013】
ここで、「積分ユニットにより得られた時間積分値」は、二次電池の充放電経路を流れ且つ時々刻々変化する電流の微小時間における電流値と当微小時間との積の総和を表す。なお、「微小時間」とは無限大の時間であってもよいし有限の時間であってもよい。したがって、「前記電流検出ユニットにより検出された前記充放電経路を流れる電流が閾値電流を上回り、且つ前記積分ユニットにより得られた時間積分値が閾値時間積分値を上回ったとき」とは、過電流として規定する電流(下限値)を閾値電流値として規定し、且つ、当該閾値電流値の電流が流れることが許容される時間と当該閾値電流値との積を閾値時間積分値として規定した場合、二次電池の充放電経路を流れる電流が規定電流を上回っている時間(すなわち過電流状態となる時間)が許容される時間を上回っているときを指す。したがって、この構成によれば、二次電池の充放電経路を流れる電流の時間積分値に基づいて当該充放電経路を流れる過電流の状態推移が離散的ではなく連続的に監視されるので、二次電池保護システムの安全性を向上させることができる。
【0014】
前記二次電池の保護システムにおいて、前記電流検出ユニットは、前記充放電経路に備えられた電流検出用抵抗であり、前記積分ユニットは、前記電流検出用ユニットの電圧降下に応じて変化する周波数成分を持つパルス信号を生成する電圧−周波数変換器と、前記閾値電流を上回る前記パルス信号の周波数成分を通過させる高域通過フィルタと、前記高域通過フィルタを通過した前記パルス信号のパルス数をカウントするカウンタと、を備え、前記制御ユニットは、前記カウンタのカウント値が前記閾値時間積分値を上回ったときに前記充放電経路を遮断するよう前記スイッチを制御するように構成されている、
としてもよい。
【0015】
この構成によれば、積分ユニット及び制御ユニットをハードウェアで実現することができる。これらのユニットをソフトウェアで実現するとコンピュータが暴走する可能性が潜在するが、これらのユニットをハードウェアで実現することによりそのような可能性を排除して、これらのユニットをソフトウェアで実現する場合に比べて二次電池保護システムの安全性をより高めることができる。
【0016】
前記二次電池の保護システムにおいて、前記電圧−周波数変換器から出力される前記パルス信号は、前記二次電池に充放電される単位時間あたりの電荷量を検出する電荷カウンタに用いられる、としてもよい。
【0017】
この構成によれば、二次電池に充放電される単位時間あたりの電荷量を監視する目的で電荷カウンタを設ける際に必要な電圧−周波数変換器を流用して上記の制御回路を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二次電池の充放電経路を流れる過電流の状態推移を連続的に監視することにより安全性の高い二次電池の保護システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る二次電池の保護システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は図1に示す本発明の実施の形態に対する比較形態の構成を示した図である。
【図3】図3は比較形態の過電流保護の概念を模式的に表した図である。
【図4】図4は比較形態の充放電経路に流れる電流の時間推移を示した図である。
【図5】図5は比較形態におけるカウンタの動作と本発明の実施の形態におけるカウンタの動作を比較するための図である。
【図6】図6は従来の二次電池の保護システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0021】
(実施の形態)
[構成例]
図1は本発明の実施の形態に係る二次電池の保護システムの構成例を示す図である。
【0022】
図1に示す二次電池の保護システムでは、+端子12と−端子13の間に複数の電池セルが直列に接続された二次電池1の充放電経路において、充電時の過電流保護用のFET(以下、充電FETと呼ぶ)2と、放電電流が流れる方向が順方向となるように充電FET2と並列に接続されたダイオード20と、放電時の過電流保護用のFET(以下、放電FETと呼ぶ)3と、充電電流が流れる方向が順方向となるように放電FET3と並列に接続されたダイオード30と、充電電流又は放電電流を検出する電流検出用抵抗8と、が設置されている。
【0023】
さらに、図1に示す二次電池の保護システムでは、二次電池1の過充放電を防止するための過電流保護回路50が設けられている。過電流保護回路50は、VF(Voltage Frequency)コンバータ4と、電荷カウンタ(クーロンカウンタとも呼ばれる)5と、高域通過フィルタ6と、カウンタ7と、駆動制御回路11とを集積化した1チップの集積回路として実現されている。
【0024】
図1に示す二次電池の保護システムでは、二次電池1に充放電される電荷量を検出することで二次電池1の充電又は放電状態が管理されている。二次電池1に対する充電又は放電により電流検出用抵抗8に電流が流れると、電流検出用抵抗8の両端に生じる電圧降下分がVFコンバータ4により周波数変換され、その周波数成分を持つ信号が電荷カウンタ5に入力される。ここで、充電電流又は放電電流が増加すれば、電流検出用抵抗8の両端電圧の上昇に伴い、VFコンバータ4の出力周波数ひいては電荷カウンタ5のカウント値は増加する。逆に、充電電流又は放電電流が減少すれば、電流検出用抵抗8の両端電圧の下降に伴い、VFコンバータ4の出力周波数ひいては電荷カウンタ5のカウント値が減少する。したがって、電荷カウンタ5のカウント値(充電電流又は放電電流と時間との積分値)の変化量から二次電池1に充放電される単位時間あたりの電荷量を間接的に検出することができる。
【0025】
VFコンバータ4の出力は電荷カウンタ5の他に高域通過フィルタ6にも入力される。高域通過フィルタ6ではVFコンバータ4の出力から充電電流又は放電電流の閾値電流に相当する所定のカットオフ周波数以上の周波数成分が取り出され、その周波数成分を持つ信号がカウンタ7へと入力される。カウンタ7は、高域通過フィルタ6から出力された所定のカットオフ周波数以上の周波数成分を持つ信号のパルス数をカウントする。そして、カウンタ7は、パルス数のカウント値が電流検出用抵抗8に流れる電流量に応じた遅延時間が経過した旨を表したときに、駆動制御回路11に対して過電流状態を検出した旨を表した過電流検出信号を出力するように構成されている。つまり、瞬間的な過電流に対しては反応しないように遅延時間が設定されており、この遅延時間は電流検出用抵抗8に流れる電流量に応じて可変される。
【0026】
駆動制御回路11はカウンタ7から過電流検出信号を受信したタイミングで、充電FET2及び放電FET3のスイッチング制御を行うように構成されている。具体的には、充電FET2及び放電FET3は二次電池1の充放電時においてダイオード20,30の保護のために共にオンの状態となっており、過充電保護の場合には充電FET2のみをオフさせ、過放電保護の場合には放電FET3のみをオフさせるよう構成されている。さらに、駆動制御回路11は高域通過フィルタ6の所定の閾値の設定並びにカウンタ7の過電流検出信号の出力時間の調整も併せて実行するように構成されている。つまり、充放電状態を管理するためのVFコンバータ4の出力を用いて充電FET2及び放電FET3のスイッチング制御を実行している。
【0027】
なお、以上の構成の他に、例えば、アナログ/デジタル変換器を用いて電流検出用抵抗8に流れる電流量をデジタル処理で検出してもよい。ただし、過電流の保護系では、安全性の観点から、上記のとおりハードウェアで構成することが好ましい。
【0028】
また、ダイオード20,30は、充電FET2,放電FET3の寄生ダイオードで実現されてもよいし、ディスクリート素子のダイオードやダイオード接続のトランジスタであってもよい。
【0029】
[比較形態の構成]
本実施の形態の作用効果を理解し易くするため、以下、本実施の形態を比較形態と対比して説明する。
【0030】
図2は図1に示す本発明の実施の形態に対する比較形態の構成を示した図である。図2に示す比較形態では、電流検出用抵抗8の一端に過電流検出コンパレータ9A,9B,9Cが接続されている。過電流検出コンパレータ9A,9B,9Cは、例えば、その非反転入力端子に電流検出用抵抗8の一端が接続され、その反転入力端子に各々の参照電源が接続された差動増幅器で構成されている。つまり、過電流検出コンパレータ9は、電流検出用抵抗8の一端の電圧が各々の参照電源の電圧を上回ると、充電電流又は放電電流がある一定の閾値を上回る過充放電が生じたことを検出する。なお、過電流検出コンパレータ9A,9B,9Cそれぞれに用いられる参照電源では、互いに異なった状態の過電流を検出できるように、互いに異なった電圧が設定されている。例えば、過電流検出コンパレータ9Aは放電電流の異常電流として1mA、過電流検出コンパレータ9Bは放電電流の他の異常電流として10mA、過電流検出コンパレータ9Cは放電電流のさらに他の異常電流として100mAを検出できるように、各々の参照電源の電圧が設定されている。
【0031】
また、図2に示す比較形態では、過電流検出コンパレータ9A,9B,9Cの出力端子にカウンタ10A,10B,10Cが接続されている。カウンタ10A,10B,10Cは、過電流検出コンパレータ9A,9B,9Cの出力に基づいて、ある一定の閾値を超えた過電流が流れた時間をカウントするように構成されている。駆動制御回路11は、カウンタ10A,10B,10Cの出力に基づいて、過電流が流れた時間がある一定時間を経過したときに、充電FET2及び/又は放電FET3をオフさせるように構成されている。なお、以上の構成の他に、充電電流の異常電流を検出できるように、別途過電流検出コンパレータ及びカウンタを設けてもよい。
【0032】
[本実施の形態と比較形態との対比]
図2に示す比較形態の場合、3つの過電流検出コンパレータ9A,9B,9C及び3つのカウンタ10A,10B,10Cを用いて、離散的な過電流状態を検出している。つまり、充放電経路に流れる電流量に基づいて3つの充放電経路の状態を定義しておき、それらの状態がある時間経過したときにシステム上危険であると判断することで、充電FET2及び/又は放電FET3をオンからオフに切り替えている。それによって、システムの安全性を確保している。
【0033】
図3は比較形態の過電流保護の概念を模式的に表した図である。図3に示されるように、充放電経路に流れる電流に関して、検出ポイントA(規定電流A,許容時間A)、検出ポイントB(規定電流B,許容時間B)、検出ポイントC(規定電流C,許容時間C)が定義されている。検出ポイントAでは、他の規定電流B,Cと比べて最も多い規定電流Aと、他の許容時間B,Cと比べて最も短い許容時間Aが定義されている。つまり、検出ポイントAでは、最も多い規定電流A以上の電流が流れることが許容される許容時間Aは最も短いものとなっており、システム上最も危険な状態になっているか否かを判断することができる。同様に、検出ポイントBでは規定電流Bに対する許容時間Bが定義され、検出ポイントCでは規定電流Cに対する許容時間Cが定義されている。したがって、比較形態の場合、過電流の状態推移を離散的に3つの検出ポイントA,B,Cで監視しており、安全性が実質的に確保できていない。
【0034】
図4は、比較形態の充放電経路に流れる電流の時間推移を示した図である。図4に示す規定電流A,B,Cは図3で定義した監視対象の規定電流である。また、図4では、規定電流Aを超える電流が流れる時間(過電流時間)をT1と表し、規定電流Bを超える電流が流れる時間(過電流時間)をT2と表し、規定電流Cを超える電流が流れている時間(過電流時間)をT3と表している。ここで、「過電流時間T1<許容時間A、且つ過電流時間T2<許容時間B、且つ過電流時間T3<許容時間C」であるような電流の推移が発生した場合、検出ポイントA,B,Cのすべての条件を満たさず、過電流保護のための充電FET2及び/又は放電FET3のスイッチング制御を行えない。したがって、例えば、規定電流A〜Cの間で振幅するような電流が流れ、規定電流A以上の電流が流れている過電流時間T1が存在するような異常な状態に陥ったときに、過電流保護のための充電FET2及び/又は放電FET3のスイッチング制御を行えず、安全性を著しく低下させることとなる。
【0035】
これに対し、本実施の形態では、充放電状態を管理するためのVFコンバータ4の出力を利用して、二次電池1の充放電経路を流れる過電流の状態推移を連続的に監視している。具体的には、例えば、過電流として規定する電流(下限値:閾値電流値)として上述の規定電流Cが規定され、当該閾値電流値の電流が流れることが許容される時間として上述の許容時間Cが規定され、且つ閾値時間積分値として規定電流Cと許容時間Cとの積が規定されている。なお、この場合、規定電流C及び許容時間Cは充電FET2並びに放電FET3の保護の観点から設定されるが、これに限られない。
【0036】
図5は、比較形態におけるカウンタ10A,10B,10Cの動作と本発明の実施の形態におけるカウンタ7の動作を比較するための図である。比較形態におけるカウンタ10A,10B,10Cの場合、検出ポイントA,B,Cのタイミングでそれぞれカウント動作を開始しており、カウントの周波数並びにカウントされる過電流時間T1,T2,T3は一定である。
【0037】
一方、本実施の形態におけるカウンタ7の場合、電流検出用抵抗8に流れる電流が許容電流Cを上回るとカウンタ7によるカウントが開始され、その後は、電流検出用抵抗8に流れる電流量に応じて、1回のカウントに要する時間は変動する。例えば、電流量が上昇すれば、その分、1回のカウントに要する時間が短くなり、電流量が減少すれば、1回のカウントに要する時間が長くなる。そして、総カウント数が上述の閾値時間積分値に対応して設定されたカウント数に到達すると、充電FET2及び/又は放電FET3をオンからオフに切り替えるようにしている。
【0038】
このように、本発明の実施の形態によれば、例えば充電FET2及び放電FET3として許容される電流量に適合するように、過電流検出にとって必要な遅延時間Tが自動的に変動することになるので、充放電経路上に流れる電流を連続的に監視することができ、過電流の経過時間を考慮に入れた保護が可能となる。また、本発明の実施の形態によれば、比較形態のように過電流状態を検出するためのコンパレータを複数必要としないので、搭載されるハードウェアを削減することができ、この結果、低消費電力化を図ることができる。
【0039】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、二次電池の充放電経路を流れる過電流の状態推移を連続的に監視することにより安全性を向上させた二次電池の保護システム等として有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 二次電池
2 充電FET
3 放電FET
4 VFコンパレータ
5 電荷カウンタ
6 高域通過フィルタ
7 カウンタ
8 電流検出用抵抗
9A、9B、9C 過電流検出コンパレータ
10A、10B、10C カウンタ
11 駆動制御回路
12 +端子
13 −端子
50 過電流保護回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続された二次電池の充放電経路に設けられ、当該充放電経路を導通及び遮断するスイッチと、
前記充放電経路を流れる電流を検出する電流検出ユニットと、
前記電流検出ユニットで検出された電流の時間積分値を得る積分ユニットと、
前記電流検出ユニットにより検出された前記充放電経路を流れる電流が閾値電流を上回り、且つ前記積分ユニットにより得られた時間積分値が閾値時間積分値を上回ったときに、前記充放電経路を遮断するよう前記スイッチを制御する制御ユニットと、
を備える、二次電池の保護システム。
【請求項2】
前記電流検出ユニットは、前記充放電経路に備えられた電流検出用抵抗であり、
前記積分ユニットは、前記電流検出用ユニットの電圧降下に応じて変化する周波数成分を持つパルス信号を生成する電圧−周波数変換器と、前記閾値電流を上回る前記パルス信号の周波数成分を通過させる高域通過フィルタと、前記高域通過フィルタを通過した前記パルス信号のパルス数をカウントするカウンタと、を備え、
前記制御ユニットは、前記カウンタのカウント値が前記閾値時間積分値を上回ったときに前記充放電経路を遮断するよう前記スイッチを制御するように構成されている、請求項1に記載の二次電池の保護システム。
【請求項3】
前記電圧−周波数変換器から出力される前記パルス信号は、前記二次電池に充放電される単位時間あたりの電荷量を検出する電荷カウンタに用いられる、請求項2に記載の二次電池の保護システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27209(P2013−27209A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161265(P2011−161265)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】