説明

二次電池代替電源装置及び二次電池代替電源制御方法

【課題】車載モータを試験する二次電池代替電源装置及び二次電池代替試験制御方法に関し、コストダウンを図る。
【解決手段】交流電源5からの交流電圧を全波整流回路11により直流電圧に変換し、この直流電圧を基に、試験用の車載モータ4の種別対応の電圧として出力する電源部1と、この電源部1から車載モータ4に供給する電流を検出する検出部3と、車載二次電池の種別対応の特性データを保持するテーブル22と、このテーブル22から読出した車載二次電池の特性データと検出部3による検出電流値と車載モータの回転速度情報とを基に、電源部1からの出力電圧を制御する制御データを生成する制御処理部21と、この制御処理部21からの制御データに基づいて電源部1の出力制御を行う出力制御部23とを含む出力制御回路2とを備え、車載モータ4の種別対応且つ車載二次電池の種別対応に従って試験を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車等の走行駆動源の車載モータの各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源装置によって実行する二次電池代替電源装置及び二次電池代替電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護の観点から電気自動車(EV;Electric Vehicle)やハイブリッド車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)が実用化され、その普及が進んでいる。この電気自動車やハイブリッド車の駆動動力源として、直流モータ又は交流モータが搭載されており、この車載モータを駆動する為に、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池が駆動用電源として車載モータと共に搭載され、その駆動用電源から車載モータに供給する電力を制御する為の制御装置も搭載されている。又車載モータが同期モータや誘導モータ等の交流モータの場合は、車載二次電池の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ等を含む制御装置が搭載されている。従って、車載モータの駆動試験を行う場合、車載二次電池と同様の二次電池を電源として、車載モータの種別対応の構成の駆動制御装置から駆動電力を供給して、実際の駆動状態を模擬する車載モータの負荷試験等を行っている。
【0003】
又車載モータは、エンジンによって駆動することにより発電機として作用させることができる構成が一般的である。そこで、車載二次電池から車載モータに電力を供給して車両を走行させ、その車載二次電池の充電量が少なくなった時に、エンジンによってモータを駆動して発電機として動作させ、発生した電力により、車載二次電池を充電する構成とし、その車載二次電池の充電状態を表すパラメータの一つとしてSOC(State of Charge)を算出する手段が提案されている。この場合、SOC=100%で、二次電池は満充電状態を表し、SOC=0%で、二次電池の完全放電状態を表し、二次電池の開放出力電圧Eを、二次電池の電流Iと、二次電池の温度により変化する内部抵抗rとを基に、E=V+I×rとして算出する車載二次電池に適用するSOC演算方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
又図6に示すように、第1の車載モータ101と第2の車載モータ102との回転軸をカップリングにより結合或はフライホイールを設けて結合し、第1の車載モータ101に第1のインバータ103の出力端子U1,V1,W1を接続し、第2の車載モータ102に第2のインバータ104の出力端子U2,V2,W2を接続し、二次電池等の直流電源(DC)105に第1インバータ103の入力端子P1,N1と第2インバータ104の入力端子P2,N2とを接続した構成とし、直流電源105からの直流電圧を第1のインバータ103により交流電圧に変換して第1の車載モータ101に供給し、第1の車載モータ101の回転により、第2の車載モータ102を発電機として動作させ、この第2の車載モータ102の発生交流電圧を第2のインバータ104により直流電圧に変換して、直流電源105と第1のインバータ103とに帰還し、或は、直流電源105からの直流電圧を第2のインバータ104により交流電圧に変換して第2の車載モータ102に供給し、第2の車載モータ102の回転により、第1の車載モータ101を発電機として動作させ、この第1の車載モータ101の発生交流電圧を第1のインバータ103により直流電圧に変換し、直流電源105と第2のインバータ104とに帰還する試験手段が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
又図7に示すように、車載モータとして適用可能の三相交流モータ201と直流発電機202との回転軸を結合し、交流電源207からの3相交流電圧を、制御部によりトランジスタを制御する回生電源回路206により全波整流して、その出力の直流電圧をインバータ203に入力し、駆動出力制御回路205により制御されるインバータ203によって3相交流電圧に変換し、その3相交流電圧をモータ201に供給し、モータ201の回転速度等の検出情報をインバータ203の制御部に入力し、この制御部によりトランジスタを制御して、駆動出力制御回路205により指示された条件に従って、モータ201を駆動する為の3相交流電圧を出力する。このモータ201に機械的に結合された発電機202の発生電力を、昇圧コンバータ204に入力し、駆動出力制御回路205からの制御に従って昇圧して直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータ203の入力側へ帰還する。この帰還電力が大きい場合、回生電源回路206により交流電圧に変換して、交流電源207側へ帰還することもできる。従って、モータ201の試験のランニングコストを低減する試験手段も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−258513号公報
【特許文献2】特開2004−88832号公報
【特許文献3】特開2007−244022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載モータの試験は、車載二次電池を電源として、各種の走行状態を模擬して行うことにより、実車試験と同様な試験が可能である。その場合の車載二次電池は、前述のように、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等が適用されており、車載モータの試験時にもこのような二次電池を用いることが好適である。その場合、端子電圧や供給電流の積算値等を基に二次電池の放電状態を監視し、放電終了と見做す状態となると、再充電を行い、充電完了により、再度車載モータの試験を行うことになる。このような試験手段に於いては、連続的な車載モータの試験ができない問題がある。この場合、2個の車載二次電池を用意して、一方の車載二次電池を試験用として使用中に、他方の車載二次電池を充電し、一方の車載二次電池の放電完了により、他方の車載二次電池に切替えて、車載モータの試験を継続することが考えられる。しかし、車載モータの試験に2個の車載二次電池を用意する必要があり、コスト的に問題がある。
【0008】
又車載二次電池の端子電圧は、車載モータの構成等に対応して選択する必要があり、直列接続数や並列接続数を選択可能の構成が考えられる。従って、各種の端子電圧の二次電池や各種の電流容量の二次電池を用意する必要がある。又二次電池は、充放電サイクル数や過放電及び過充電の状態に応じた使用可能の寿命があり、且つ、車載モータの駆動試験は、各種の荷重試験等を含むから、通常の車載用二次電池の使用状況よりも過酷な条件で試験する場合を多く、従って、一般の二次電池の寿命に比較して、試験用電源としての二次電池の寿命は短いものとなる場合が一般的である。このように、試験用電源として使用できなくなった二次電池は、新品と交換しなければならなくなる。車載用二次電池は、従来の鉛蓄電池とは相違して比較的高価であり、それをしばしば交換することは、車載モータの試験装置の運用コストが上昇する問題がある。しかし、このような問題点については、前述の先行技術文献にも何らの提案もなく、且つ解決手段も提起されていない。
【0009】
本発明は、前述の従来例の問題点を解決することを目的とし、車載二次電池を模擬できる電源装置を車載モータの試験用電源として継続使用を可能とし、車載モータの試験の操作性の改善と共にコストダウンを図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の二次電池代替電源装置は、車載モータの各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源装置によって実行する二次電池代替電源装置であって、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を基に、被試験用車載モータの種別対応の電圧に変換して出力する電源部と、この電源部から被試験車載モータに供給する電流を検出する検出部と、車載二次電池の種別対応の特性データを保持するテーブルと、このテーブルから読出した車載二次電池の特性データと前記検出部による検出電流値と前記車載モータの回転速度情報とを基に、前記電源部からの出力電圧を制御する制御データを生成する制御処理部と、この制御処理部からの制御データに基づいて前記電源部の出力制御を行う出力制御部とを含む制御部とを備えている。
【0011】
又前記電源部は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路からの直流電圧を被試験用車載モータに交流電圧を印加するインバータとを含む構成を有し、前記制御部は、被試験用車載モータに供給する電流の検出値と回転数検出値とを基に、前記テーブルからの車載二次電池の特性データと被試験用車載モータの特性データとに従って、前記インバータから被試験用車載モータに印加する電圧及び周波数を制御する構成を備えている。
【0012】
又本発明の二次電池代替電源制御方法は、車載モータの各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源装置によって実行する二次電池代替電源制御方法であって、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を基に被試験用車載モータに供給する電圧を出力する電源部と、車載二次電池の種別対応の特性データを格納したテーブルと、このテーブルに格納した内容に従って前記電源部を制御する制御部とを含み、被試験用車載モータについての試験データと試験用の車載二次電池の特性データとを基に、制御部により電源部を制御し、この電源部から被試験用車載モータに電力を供給して試験を行う過程を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
各種の車載モータを試験する場合に、実際の車載二次電池を使用することなく、車載二次電池の充放電特性を模擬できるように出力制御を行う電源部を用いるものであるから、車載二次電池の充電処理や寿命による交換等の必要がなくなり、且つ回生制御等により電力消費の軽減を図ることが可能となるから、車載モータの種別対応の各種試験を経済的に且つ迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2の説明図である。
【図4】本発明の実施例3の説明図である。
【図5】本発明の実施例3の電源部の双方向コンバータの動作説明図である。
【図6】従来例の車載モータとインバータとを含む試験手段の説明図である。
【図7】従来例の負荷試験装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の二次電池代替電源装置は、図1を参照して説明すると、車載モータ4の各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源部1によって実行する二次電池代替電源装置であって、交流電源5からの交流電圧を全波整流回路11により直流電圧に変換し、この直流電圧を基に、被試験用車載モータ4の種別対応の電圧、即ち、交流車載モータには交流電圧とし、直流車載モータには直流電圧として出力する電源部1と、この電源部1から被試験用車載モータ4に供給する電流を検出する検出部3と、車載二次電池の種別対応の特性データを保持するテーブル22と、このテーブル22から読出した車載二次電池の特性データと前記検出部3による検出電流値と被試験用車載モータの回転速度情報とを基に、電源部1からの出力電圧を制御する制御データを生成する制御処理部21と、この制御処理部21からの制御データに基づいて電源部1の出力制御を行う出力制御部23とを含む出力制御回路2とを備えている。
【0016】
又本発明の二次電池代替電源制御方法は、車載モータ4の各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源部1によって実行する二次電池代替電源制御方法であって、交流電源5からの交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を基に被試験用車載モータ4に供給する電圧を出力する電源部1と、車載二次電池の種別対応の特性データを格納したテーブル22と、このテーブル22に格納した内容に従って前記電源部1を制御する出力制御回路2とを含み、被試験用車載モータ4についての試験データと試験用の車載二次電池の特性データとを基に、出力制御回路2によって電源部1を制御し、この電源部1から被試験用車載モータの構成に従った電力を供給して試験を行う過程を含むものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1は電源部、2は出力制御回路、3は検出部、4は被試験用の車載モータ、5は商用交流電源(AC)、11は整流部、12はインバータ、13は制御部、21は制御処理部、22は車載二次電池の特性データ等を格納したテーブル、23は出力制御部を示す。電源部1は、商用交流電源5からの100Vや200Vの交流電圧を直流電圧に変換する全波整流回路やコンデンサを含む整流部11と、直流を交流に変換するインバータ12と、このインバータ12の出力交流電圧や周波数を制御する制御部13とを含む場合を示す。又被試験用車載モータ4は、誘導モータや同期モータ等の交流モータを使用する場合が多いから、電源部1は、インバータ12により、被試験用車載モータ4に供給する交流電圧や周波数を、制御部13により制御する構成を備えている。なお、被試験用車載モータ4として直流モータを適用する場合は、直流出力電圧及び直流出力電流を制御部13により制御可能の構成を設けるものであるが、図示を省略している。
【0018】
又出力制御回路2は、制御処理部21と車載二次電池の出力特性データ等を格納したテーブル22と出力制御部23とを含む構成を備え、検出部3による被試験用車載モータ4に対する電源部1から供給する電圧と電流とを含む検出値と、被試験用車載モータ4の回転数データとを制御処理部21に入力する。この制御処理部21は、デーブル22を参照して、車載二次電池の出力特性に対応した出力電圧を、被試験用車載モータ4に印加できるように、出力制御部23を介して電源部1の制御部13に制御情報を加える。テーブル22には、車載二次電池の種別対応に、出力電圧特性、出力電流特性、出力容量等の出力特性データを格納すると共に、被試験用車載モータ4の種別対応の試験処理データ等を格納する。
【0019】
被試験用車載モータ4に対する試験開始前に、出力制御回路2に対して、被試験用車載モータ4の種別情報と、車載二次電池の種別情報とを入力する。それにより、出力制御回路2は、テーブル22から被試験用車載モータ4の種別対応の印加電圧や電流等のデータと、車載二次電池の種別対応の出力電圧や出力電圧等のデータとを含む試験データを読出して、出力制御部23から電源部1の制御部13に制御情報を入力する。電源部1の制御部13は、被試験用車載モータ4に印加する電圧や周波数を、試験データに従ってインバータ12を制御し、検出部3を介して被試験用車載モータ4に、インバータ12から交流電圧を供給する。被試験用車載モータ4に対する試験としては、負荷試験等を含むものであるから、従来例と同様に、被試験用車載モータ4に発電機等を負荷として結合し、その発電機の出力電力を疑似負荷等により消費させる制御等により、被試験用車載モータ4の負荷の制御等を行うことができる。
【0020】
又被試験用車載モータ4の試験開始からの経過時間と負荷の大きさ等に対応して、車載二次電池の端子電圧は低下すると共に、出力可能の電流値も変化するものであり、出力制御回路2のテーブル22には、このような車載二次電池の出力特性データも含むものであり、それによって、被試験用車載モータ4の試験経過時間と負荷状態とに対応して、通常の車載二次電池の場合は、出力電圧の低下等の特性を有するものであるから、その特性に対応した電源部1の制御により、被試験用車載モータ4に印加する電圧等を、車載二次電池を用いる場合と同様の制御を行うことができる。又車載二次電池は温度により特性が僅かではあるが変化するから、このような車載二次電池の種別対応の温度特性データもテーブル22に格納し、被試験用車載モータ4の試験時に、テーブル22から読出したデータに従って電源部1から被試験用車載モータ4に印加する電圧等を制御することもできる。
【0021】
図2は、本発明の実施例1のフローチャートを示すもので、被試験用車載モータに対する試験開始前に、出力制御回路2のテーブル22から、車載二次電池の充電率、充放電のサイクル数、内部抵抗値、解放電圧値、周囲温度等の環境条件に関するデータを制御処理部21により読込み(a1)、車載二次電池としての初期端子電圧を算出し(a2)、出力制御部23を介して、電源部1の制御部13へ制御データを入力し、インバータ12の端子電圧制御を開始する(a3)。そして、被試験用車載モータの試験モードの中の回生動作と力行動作との何れかの試験モードの選択を行い(a4)、回生動作の場合(a5)は、被試験用車載モータ4を発電機として動作させ、発生した電力を電源部1側へ帰還して消費させる動作であり、例えば、図1のインバータ12を制御して、交流電源5側へ帰還させることにより、回生動作を行わせることができる。又力行動作の場合(a6)は、被試験用車載モータ4に図示を省略した負荷を接続して動作させる。そして、検出部3により電流を測定し(a7)、制御処理部21により電流値の積算処理を行い(a8)、電流容量値を算出し(a9)、車載二次電池の充電量を示すSOCを更新し(a10)、車載二次電池のSOC対応の端子電圧を算出し(a11)、算出した端子電圧となるように、電源部1の制御部13を介してインバータ12を制御する(a12)。そして、試験を継続するか否かを判定し(a13)、継続する場合は、ステップ(a4)へ移行して、前述の制御動作を繰り返して、被試験用車載モータに対する試験を、電源部1からの電力供給により実行する。従って、車載二次電池を実際に使用することなく、車載二次電池と等価な特性の電源部1によって、被試験用車載モータの試験を連続的に実行することができる。又周囲温度による車載二次電池の特性を模擬する為に、端子電圧算出過程に於いて、温度情報を選択的に入力し、その温度情報に従った端子電圧制御を含ませることも可能である。
【実施例2】
【0022】
図3は、本発明の実施例2の説明図であり、31は被試験用車載モータ、32はインバータ、33は全波整流回路、34は交流電源、35は出力制御回路、36は電流検出部、37は回転位置及び回転速度の検出部を示す。被試験用車載モータ31を、例えば、永久磁石界磁型の回転子を有する3相同期モータとした場合について説明する。又検出部37は、被試験用車載モータ31の回転子に結合した回転速度センサ37aと回転位置検出センサ37bとを含む構成を有する場合を示し、被試験用車載モータ31の回転子の回転速度と回転位置とを検出するものである。又全波整流回路33は、交流電源34からの3相交流電圧を全波整流して、コンデンサにより平滑化する構成を有し、前述の図1に於ける整流部11に相当する。又インバータ32は、スイッチングトランジスタとスイッチング制御部とを含む構成を有し、前述の図1に於けるインバータ12に相当する。又出力制御回路35は、制御処理部41とテーブル42と出力制御部43と共に、速度制御部44、分配処理部45、加算部46、乗算部47,48、加算部49,50とを含む構成を有し、前述の図1に於ける出力制御回路2に相当する。又電流検出部36は、被試験用車載モータ31に供給する電流を検出して、出力制御回路35に入力するもので、前述の図1に於ける検出部3に相当する。
【0023】
又出力制御回路35のテーブル42は、車載二次電池の種別対応に、出力電圧特性、出力電流特性、出力容量等の出力特性データを格納すると共に、被試験用車載モータ31の種別対応の試験処理データ等を格納し、制御処理部41に対して、図示を省略した設定入力部から、被試験用車載モータ31の種別と試験項目と車載二次電池種別とを含む試験要求データを入力する。制御処理部41は、試験要求データに従ってテーブル42から、指定された車載二次電池の種別対応の出力電圧、出力電流設定入力内容に対応したデータをテーブル42から読出し、インバータ32を制御して、被試験用車載モータ31に供給する交流電圧、周波数等を制御し、回転速度センサ37aにより検出した回転速度が、試験処理データの回転速度となるように、速度処理部44と分配処理部45とを含む制御機能によりインバータ32の出力交流周波数を制御する。なお、回転位置検出センサ37bは、被試験用車載モータ31の回転子の所定の磁極の位置を検出して、分配処理部45を含む制御経路により、インバータ32から被試験用車載モータ31に供給する交流電圧の位相を制御する。なお、出力制御回路35は、加算器や乗算器を含む構成とし、インバータ32の各トランジスタの制御タイミングを制御するものであるが、加算器や乗算器の機能をプロセッサによる演算機能によって実現する構成とし、被試験用車載モータの種別対応及び車載二次電池の種別対応に、テーブル42に試験用の各種データを格納し、車載二次電池の特性に従った被試験用車載モータの各種試験を、プログラムに従って制御動作させることも可能である。
【実施例3】
【0024】
図4は、本発明の実施例3の説明図であり、51は電源部、52は出力制御回路、53は検出部、54は被試験用の車載モータ、55は商用交流電源を示す。電源部51は、全波整流回路61と、コンデンサC1,C2と、電界効果トランジスタ等のスイッチング素子Q1,Q2と、リアクトルL1と、ダイオードD1,D2とを含む構成を有し、出力制御部52は、アンドゲート回路G1,G2と、ゲート回路G3と、インバータG4と、デッドタイム設定部DT1,DT2と、パルス幅制御部PWCと、鋸歯状波発生部SWGと、差動増幅器DFAと、可変抵抗RVと、基準電圧VREF1,VREF2とを含む構成を有し、検出部53は、電流検出用抵抗IRと、電流検出用の差動増幅器DFとを含む構成を備えている。なお、車載二次電池の特性データ等の各種データや、試験プログラム等を格納した構成及びそれらを基に電源出力制御を行う構成は図示を省略している。
【0025】
被試験用車載モータ54は、直流モータの場合を示すもので、自動車等の負荷に相当する構成は図示を省略しており、車両走行中に相当する力行動作時は、電源部51から被試験用車載モータ54に直流電流を供給し、車両のブレーキ動作時等に相当する回生動作時は、被試験用車載モータ54に発生した直流電圧による直流電流を電源部51に帰還するもので、電源部51は、スイッチング素子Q1,Q2のオン、オフ制御による双方向コンバータの機能を備えており、相互に逆極性の基準電圧VREF1,VREF2を印加する可変抵抗RVは、差動増幅器DFAに入力する基準電圧の極性と電圧値とを制御するものであり、中点位置では0Vであるが、他の位置では、中点位置からの移動位置に応じた極性及び電圧値となる。従って、被試験用車載モータ54の各種の力行動作の電力供給や、回生動作時の回生電力の吸収動作を模擬することができる。なお、可変抵抗RVの制御は手動設定も可能であるが、図示を省略した車載二次電池の特性を加味した試験プログラムに従って制御することができる。
【0026】
又出力制御部52の差動増幅器DFAは、検出部53の電流検出用抵抗IRの両端位置の電圧を差動増幅器DFにより求めて電流方向に対応した極性且つ電流値に対応した値の電流検出信号を、出力制御回路52の差動増幅器DFAに入力し、可変抵抗VR1により調整した基準電圧と比較し、その比較出力信号をパルス幅制御部PWCに入力し、鋸歯状波発生部SWGからの鋸歯状波信号と比較し、差分に相当する出力信号をゲート回路G3とインバータG4とに入力する。又デッドタイム設定部DT1,DT2は、スイッチング素子Q1,Q2が同時的にオンとなることを防止する為のものであり、一方のデッドタイム設定部DT1は、パルス幅制御部PWCの出力信号の立上りタイミングでトリガされて予め設定した時間、出力信号をローレベルとする。又デッドタイム設定部DT2は、パルス幅制御部PWCの出力信号の立下りタイミングでトリガされて予め設定した時間、出力信号をローレベルとする。それによって、アンドゲート回路G1,G2の出力信号により制御される一方のスイッチング素子がオフとなった後、設定時間後に他方のスイッチング素子がオンとなる。それによって、スイッチング素子Q1,Q2の同時オンによる電源部61に対するショート状態の発生を回避することができる。
【0027】
図5は、電源部の双方向コンバータの動作説明図であり、(A)はスイッチング素子Q1,Q2のオン、オフ動作の一例を示し、(B)は基準電圧と電流との関係を示す。同図の(A)に於いて、スイッチング素子Q1,Q2のオン、オフの1周期をTとし、スイッチング素子Q1,Q2のオン期間をT1,T3とし、前述のデッドタイム設定部DT1,DT2により形成される同時オフ期間T2,T4との合計が1周期Tとなる。又(B)に示すように、差動増幅器DFAに入力する可変抵抗RVによる基準電圧VREFが0Vの時に、流れる電流Iが0Aとすると、基準電圧VREFを0Vから+方向に上昇させると、電流Iは、+方向に上昇する。又基準電圧VREFを−方向に降下させると、電流Iは−方向に降下する。従って、被試験用車載モータの各種の負荷を駆動する力行動作時の試験及び負荷側から駆動される回生動作時の試験を行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 電源部
2 出力制御回路
3 検出部
4 車載モータ
11 整流回路
12 インバータ
13 制御部
21 制御処理部
22 テーブル
23 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載二次電池と同等の充放電特性に制御する二次電池代替電源装置に於いて、
交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換し、該直流電圧を試験用の車載モータの種別対応の電圧に変換して出力する電源部と、
該電源部から前記試験用の車載モータに供給する電流を検出する検出部と、
車載二次電池の種別対応の充放電特性を含む特性データを保持したテーブルと、該テーブルから読出した車載二次電池の種別対応の特性データと前記検出部により検出した電流値と前記車載モータの回転速度情報とを基に前記電源装置からの出力電圧を制御する制御データを生成する制御処理部と、該制御処理部からの制御データに基づいて前記電源部の出力制御を行う出力制御部とを含む出力制御回路と
を備えたことを特徴とする二次電池代替電源装置。
【請求項2】
前記電源部は、前記交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、該整流回路からの直流電圧を前記試験用の車載モータに供給する交流電圧に変換するインバータとを含む構成を有し、前記制御部は、前記試験用の車載モータに供給する電流の検出値と回転数検出値とを基に、前記テーブルから読出した前記車載二次電池の種別対応の充放電特性を含む特性データと前記試験用の車載モータの特性データとに従って、前記インバータから前記試験用の車載モータに印加する電圧及び周波数を制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の二次電池代替電源装置。
【請求項3】
車載モータの各種試験を、車載二次電池と同等の特性に制御する電源装置によって実行する二次電池代替電源制御方法であって、
交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換し、該直流電圧を基に試験用の車載モータに供給する電圧を出力する電源部と、車載二次電池の種別対応の充放電特性を含む特性データを格納したテーブルと、該テーブルから読出したデータに基づいて前記電源部を制御する出力制御回路とを含み、前記試験用の車載モータについての試験データと前記車載二次電池の特性データとを基に、前記制御部により前記電源部を制御して、該電源部から前記試験用の車載モータに電力を供給して試験を行う過程を含むことを特徴とする二次電池代替電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−259602(P2011−259602A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131629(P2010−131629)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】