説明

二次電池

【課題】生産タクトを改善でき、電池缶の気密性を発揮し、電池容量を高くでき、ハンドリング性の良好な二次電池を提供する。
【解決手段】電極群1と、この電極群を収容する外装ケース11と、外装ケース11と蓋部材12とで構成される電池缶10の内部に電解液を充填して気密に封口された二次電池において、電池缶10は、略直方体状の電極群収容部と、外装ケース11と蓋部材12とを二重巻き締めして封口する周縁部とを備え、この周縁部は、電極群収容部から外方にせり出して設けられ、二重巻き締めする板厚に応じた、気密性を発揮する適当なコーナーRを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関し、特に、電極群を収容する電池缶を確実に密閉し、持ち運びが容易でハンドリング性の良好な電池缶構造とされる二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高エネルギー密度を有し小型軽量化が可能であることからリチウム二次電池が、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器の電源用電池として用いられている。また、大容量化が可能であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等のモータ駆動電源や、電力貯蔵用蓄電池としても注目されてきている。
【0003】
上記リチウム二次電池は、電池缶を構成する外装ケース内部に正極板と負極板とをセパレータを挟んで対向配置した電極群を収容し、電解液を充填し、複数の正極板の正極集電タブに連結される正極集電端子と、この正極集電端子と電気的に接続される正極外部端子と、複数の負極板の負極集電タブに連結される負極集電端子と、この負極集電端子と電気的に接続される負極外部端子を備えた構成とされる。
【0004】
外装ケース内に電極群を収容し、外部端子と接続した後、外装ケースの開口部を封口する蓋部材を取り付け、レーザー溶接などの溶接法や、パッキング材を介した封口方式や、外装ケースと蓋部材の縁辺同士を巻き締めする封口方式などにより封口して密閉する。
【0005】
また、電極群としては、巻回型と積層型が知られている。巻回型の電極群は、正極板と負極板との間にセパレータを介装して一体に巻回した構成であり、積層型の電極群は、正極板と負極板とをセパレータを介して複数層積層した構成である。
【0006】
積層型の電極群を備えるリチウム二次電池においては、正極板と負極板とをセパレータを介して複数層積層した略直方体状の電極群を収容する外装ケースも略直方体とされ、この略直方体状の収容部を囲む周縁部を封口している。また、略直方体状の収容部の相対向した両側部から突出して正負の外部端子を設けている。すなわち、略直方体状の外装ケース内に略直方体状の電極群を収容し、非水電解液で充填し、正極板の正極集電タブに連結される正極集電端子を正極用外部端子に接続し、負極板の負極集電タブに連結される負極集電端子を負極用外部端子に接続している。
【0007】
この二次電池の電池性能を安定させるためには、確実に封口して気密性を高めることが肝要であって、例えば、レーザー溶接により、外装ケースと蓋部材との周縁部を重ね合わせて、その全周を封口して密閉する。
【0008】
また、レーザー溶接を用いた封口方式は、レーザー装置が高価なこと、および、封口速度が遅いことから、缶詰や飲料缶などに用いられている二重巻き締め式を用いて、より封口速度を速くするとした角形リチウム電池が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3482604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
二次電池の容量を大きくするためには、積層する各極板の面積を大きくし、積層数も増加し、充填する電解液量も増加することが必要であり、電池缶の大きさも大きくなる。また、このような大型の電池缶を作製するためには、缶強度を得るために、その板厚も厚くなってしまう。例えば、特許文献1に記載された角形リチウム電池では0.3mmのステンレス鋼版を用いているが、大型の積層型の二次電池では、その板厚は、0.8〜1.0mm程度まで厚くなっている。
【0011】
そのために、略直方体状の外装ケース内に略直方体状の電極群を収容し、この周縁部を二重巻き締めして封口する際に、板厚が0.3mm同士の板金では気密性を維持して封口できていたものが、同じ条件で二重巻き締めすると、板厚が0.8mm同士の板金では、その気密性が十分発揮できなくなってしまい問題となる。
【0012】
外装ケースの上部を封口する際に、その開口部の外周に沿って封口する場合は、外装ケースの角部の曲げrに応じたコーナーRで二重巻き締めする構成となる。この場合に、板厚が薄ければ、曲げrとコーナーRとが同程度であっても気密性を発揮するが、板厚が厚くて、そのコーナーRが曲げrと同程度に小さいと、気密性を維持して二重巻き締めすることは困難となる。そのために、二重巻き締めにより電池缶を構成する板金の板厚に応じた適当なコーナーRがあることが明らかであり、この適当なコーナーRを備える電池缶構成であることが好ましい。
【0013】
また、複数個の二次電池を組み合わせて大容量の蓄電池を構成することもできるので、二次電池の電池缶は、持ち運びが容易でハンドリング性の良好な電池缶構造であることが好ましい。
【0014】
また、電極群は、巻回型を押し潰した構成でも積層型の場合でも、平面視矩形、つまり略直方体状である方が製造容易であり、極板の面積も大きくなるので好ましい。また、略直方体状の電極群を収容する外装ケースも、所定量の電解液を貯留するためには、角部の曲げrが小さい略直方体状の収容部を備えていることが好ましい。
【0015】
そのために、生産タクトを改善するためには、電池缶を構成する外装ケースと蓋部材とを二重巻き締め方式で気密に封止できることが好ましく、電池容量を高くするためには、略直方体状の電極群収容部を備え、気密に二重巻き締めできる周縁部を備えた外装ケースを用いた電池缶構成が好ましい。
【0016】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、生産タクトを改善でき、電池缶の気密性を発揮し、電池容量を高くでき、ハンドリング性の良好な二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、正極板と負極板とセパレータとを積層してなる電極群と、この電極群を収容する外装ケースと、前記外装ケースを密閉する蓋部材とを備え、これらの外装ケースと蓋部材とで構成される電池缶の内部に電解液を充填した二次電池であって、前記電池缶は、略直方体状の前記電極群収容部と、前記外装ケースと前記蓋部材とを二重巻き締めして封口する周縁部とを備え、前記周縁部は、前記電極群収容部から外方にせり出して設けられ、前記外装ケースの角部の曲げrよりも大きなコーナーRを有することを特徴としている。
【0018】
この構成によると、略直方体状の電極群収容部から外方にせり出して周縁部を設け、このせり出した周縁部を、外装ケースの曲げrよりも大きなコーナーRで二重巻き締めしているので、所定の気密性を発揮可能な二重巻き締め部を形成でき、エネルギー密度を高く維持可能で電池容量を高くできる。また、大きなコーナーRを有するので、二重巻き締め作業を速やかに行うことができる。また、外方にせり出した二重巻き締め部を把持して容易に持ち運ぶことができる。すなわち、生産タクトを改善でき、電池缶の気密性を発揮し、電池容量を高くでき、ハンドリング性の良好な二次電池を得ることができる。
【0019】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記コーナーRは、前記曲げrの2倍以上であることを特徴としている。この構成によると、外装ケースの曲げrを小さくして、略直方体状の電極群を収容容易とし、電解液の貯留容量を大きくできると共に、二重巻き締めする周縁部のコーナーRを大きくして、生産タクトを改善し、気密性を良好にすることができる。
【0020】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記コーナーRは、二重巻き締めする前記外装ケースと前記蓋部材の板厚に応じた、気密性を発揮するコーナーRであることを特徴としている。この構成によると、二重巻き締めする周縁部のコーナーRを板厚に応じた所定の大きさとしたので、十分な気密性を発揮可能な二重巻き締め部を形成できる。さらに、二重巻き締め作業を速やかに行うことができる。
【0021】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記二重巻き締め部は、前記電極群収容部の外方にせりだして上方側に突出して設けられ、所定のチャックウォ−ル高さを有し、前記電極群収容部が嵌まり込む大きさを有する段差を形成していることを特徴としている。この構成によると、この段差に別の二次電池の電極群収容部(外装ケース)が嵌まり込む構成となるので、複数の二次電池を容易に積み重ねることができ、ハンドリング性が良好となる。
【0022】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記周縁部は、前記電極群収容部の周囲四方を延設して設けられていることを特徴としている。この構成によると、周縁部が平面視矩形の電極群収容部の周囲に突出して形成されるので、この周縁部を容易に把持してハンドリング可能である。
【0023】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記電池缶は、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、前記周縁部は、前記外部端子が設けられる短辺側を主に延設して設けられていることを特徴としている。この構成によると、外部端子が設けられている側の周縁部を把持して容易にハンドリング可能である。また、外部端子側の周縁部がせり出しているので、外部端子と不用意に接触しない。
【0024】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記電池缶は、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、前記周縁部は、前記外部端子が設けられていない長辺側を主に延設して設けられていることを特徴としている。この構成によると、外部端子が設けられていない側の周縁部を把持して容易にハンドリング可能である。
【0025】
また本発明は上記構成の二次電池において、前記外装ケースの板厚と前記蓋部材の板厚は共に前記電池缶の所定の缶強度を発揮する0.8mm〜1.0mm程度の板厚であり、前記コーナーRは、15mm程度以上であることを特徴としている。この構成によると、板厚0.8mm〜1.0mmの外装ケースと蓋部材とで電池缶を形成するので、缶強度を発揮することができる。また、コーナーR15mm程度以上で二重巻き締めするので、缶強度を維持しながら、気密に封口することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、略直方体状の電極群収容部から外方にせり出して周縁部を設け、このせり出した周縁部を、外装ケースの曲げrよりも大きなコーナーRで二重巻き締めしているので、所定の気密性を発揮可能な二重巻き締め部を形成でき、エネルギー密度を高く維持可能で電池容量を高くできる。また、大きなコーナーRを有するので、二重巻き締め作業を速やかに行うことができる。また、外方にせり出した二重巻き締め部を把持して容易に持ち運ぶことができる。すなわち、生産タクトを改善でき、電池缶の気密性を発揮し、電池容量を高くでき、ハンドリング性の良好な二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る二次電池の概要を説明する概略断面図である。
【図2】本発明に係る二次電池の第一実施形態を示す概略平面図である。
【図3】本発明に係る二次電池の第二実施形態を示す概略平面図である。
【図4】本発明に係る二次電池の第三実施形態を示す概略平面図である。
【図5】二重巻き締め部を示す要部拡大図である。
【図6】二次電池の分解斜視図である。
【図7】二次電池が備える電極群の分解斜視図である。
【図8】二次電池の完成品を示す斜視図である。
【図9】電極群の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0029】
本発明に係る二次電池としてリチウム二次電池について説明する。例えば、図1に示す本実施形態に係る二次電池RB1は、積層型のリチウム二次電池であって、外装ケース11Aと蓋部材12Aとから構成される電池缶10A内に、正極板と負極板とをセパレータを介して複数層積層した積層型の電極群1を収容している。
【0030】
上記二次電池RB1は、電池缶10Aを構成する外装ケース11A内部に正極板と負極板とをセパレータを挟んで対向配置した電極群1を収容し、電解液を充填し、複数の正負の極板の集電タブに連結される集電端子5と、この集電端子と電気的に接続される外部端子11fとを備えた構成とされる。
【0031】
また、外装ケース11A内に電極群1を収容し、外部端子11fと接続した後、外装ケース11Aの開口部を封口する蓋部材12Aを取り付けて、例えば、図に示すような二重巻き締め部WAを設けて封口する(密閉する)。
【0032】
この外装ケースと蓋部材との封口方法は、レーザー溶接などによる溶接法でもよいが、外装ケースの周縁部と蓋部材の周縁部とを重ね合わせて折り返して挟み込ませて接合する二重巻き締めによる封口方法が、生産性がよく、コスト面でも有利である。
【0033】
また、溶接法により接合する場合は、接合する両部材が同一の部材からなることが好ましいが、二重巻き締め法により接合する場合は、接合する両部材の材質が異なっていてもよい(例えば、ステンレス板とアルミ板)ので、材料の選択バリエーションが増加して好ましい。
【0034】
次に、積層型のリチウム二次電池RBと電極群1の具体的な構成について、図6〜図9を用いて説明する。
【0035】
図6に示すように、積層型のリチウム二次電池RBは平面視矩形とされ、それぞれが矩形とされる正極板と負極板とセパレータとを積層した電極群1を備えている。また、底部11aと側部11b〜11eを備えて箱型とされる外装ケース11と蓋部材12とから構成される電池缶10に収容して、外装ケース11の側面(例えば、側部11b、11cの対向する二側面)に設ける外部端子11fから充放電を行う構成としている。
【0036】
電極群1は、正極板と負極板とをセパレータを介して複数層積層した構成であって、図7に示すように、正極集電体2b(例えば、アルミニウム箔)の両面に正極活物質からなる正極活物質層2aが形成された正極板2と、負極集電体3b(例えば、銅箔)の両面に負極活物質からなる負極活物質層3aが形成された負極板3とがセパレータ4を介して積層されている。
【0037】
セパレータ4により、正極板2と負極板3との絶縁が図られているが、外装ケース11に充填される電解液を介して正極板2と負極板3との間でリチウムイオンの移動が可能となっている。
【0038】
ここで、正極板2の正極活物質としては、リチウムが含有された酸化物(LiFePO、LiCoO、LiNiO、LiFeO、LiMnO、LiMnなど)や、その酸化物の遷移金属の一部を他の金属元素で置換した化合物などが挙げられる。なかでも、通常の使用において、正極板2が保有するリチウムの80%以上を電池反応に利用し得るものを正極活物質として用いれば、過充電などの事故に対する安全性を高めることができる。
【0039】
また、負極板3の負極活物質としては、リチウムが含有された物質やリチウムの挿入/離脱が可能な物質が用いられる。特に、高いエネルギー密度を持たせるためには、リチウムの挿入/離脱電位が金属リチウムの析出/溶解電位に近いものを用いるのが好ましい。その典型例は、粒子状(鱗片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状および粉砕粒子状など)の天然黒鉛もしくは人造黒鉛である。
【0040】
なお、正極板2の正極活物質に加えて、また、負極板3の負極活物質に加えて、導電材、増粘材および結着材などが含有されていてもよい。導電材は、正極板2や負極板3の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、炭素繊維などの炭素質材料や導電性金属酸化物などを用いることができる。
【0041】
増粘材としては、例えば、ポリエチレングリコール類、セルロース類、ポリアクリルアミド類、ポリN−ビニルアミド類、ポリN−ビニルピロリドン類などを用いることができる。結着材は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎとめる役割を果たすものであり、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピリジン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系ポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマーや、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。
【0042】
また、セパレータ4としては、微多孔性の高分子フィルムを用いることが好ましい。具体的には、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどのポリオレフィン高分子からなるフィルムが使用可能である。
【0043】
また、電解液としては、有機電解液を用いることが好ましい。具体的には、有機電解液の有機溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ―ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタンなどのエーテル類、さらに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチルなどが使用可能である。なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0044】
さらに、有機溶媒には電解質塩が含まれていてもよい。この電解質塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO)、ホウフッ化リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸(LiCFSO)、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムおよび四塩化アルミン酸リチウムなどのリチウム塩が挙げられる。なお、これらの電解質塩は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0045】
電解質塩の濃度は特に限定されないが、約0.5〜約2.5mol/Lであれば好ましく、約1.0〜2.2mol/Lであればより好ましい。なお、電解質塩の濃度が約0.5mol/L未満の場合には、電解液中においてキャリア濃度が低くなり、電解液の抵抗が高くなる虞がある。一方、電解質塩の濃度が約2.5mol/Lよりも高い場合には、塩自体の解離度が低くなり、電解液中のキャリア濃度が上がらない虞がある。
【0046】
電池缶10は、外装ケース11と蓋部材12とを備え、鉄、ニッケルメッキされた鉄、ステンレススチール、およびアルミニウムなどからなる。また、本実施形態では、図8に示すように、電池缶10は、外装ケース11と蓋部材12とが組み合わされたときに、外形形状が実質的に扁平角型形状となるように形成されている。
【0047】
外装ケース11は、略長方形状の底面を持つ底部11aと、この底部11aから立設した4面の側部11b〜11eを有する箱型状とされ、この箱型状内部に電極群1を収容する。電極群1は、正極板の集電タブに連結される正極集電端子と、負極板の集電タブに連結される負極集電端子を備え、これらの集電タブと電気的に接続される外部端子11fが外装ケース11の側部にそれぞれ設けられている。外部端子11fは、例えば、対向する二側部11b、11cの二箇所に設けられる。また、10aは注液口であって、ここから電解液を注液する。
【0048】
外装ケース11に電極群1を収容し、それぞれの集電端子を外部端子に接続した後、もしくは、電極群1の集電端子にそれぞれの外部端子を接続して外装ケース11に収容し、外部端子を外装ケースの所定部位に固着した後、蓋部材12を外装ケース11の開口縁に固定する。すると、外装ケース11の底部11aと蓋部材12との間に電極群1が挟持され、電池缶10の内部において電極群1が保持される。なお、外装ケース11に対する蓋部材12の固定は、前述した二重巻き締めやレーザー溶接などによってなされる。また、集電端子と外部端子との接続は、超音波溶接やレーザー溶接、抵抗溶接などの溶接以外に導電性接着剤などを用いて行うこともできる。
【0049】
上記したように、本実施形態に係る積層型の二次電池は、正極板2と負極板3とをセパレータ4を介して複数層積層した電極群1と、この電極群1を収容し電解液が充填される外装ケース11と、外装ケース11に設ける外部端子11fと、正負の極板と外部端子11fとを電気的に接続する正負の集電端子と、外装ケース11に装着される蓋部材12と、を備えた構成である。
【0050】
外装ケース11に収容された電極群1は、例えば、図9に示すように、正極集電体2bの両面に正極活物質層2aが形成された正極板2と、負極集電体3bの両面に負極活物質層3aが形成された負極板3とがセパレータ4を介して積層され、さらに両端面にセパレータ4を配設している。また、両端面のセパレータ4に替えて、このセパレータ4と同じ材質の樹脂フィルムを巻回して、電極群1を絶縁性を有する樹脂フィルムで被覆する構成としてもよい。いずれにしても、積層電極群1の上面は、電解液浸透性および絶縁性を有する部材が積層される構成となる。そのために、この面に直接蓋部材12を当接させることができ、蓋部材を介して所定の圧で押さえ付けることも可能である。
【0051】
蓋部材12は平板状であっても図示するような缶の内部に嵌まり込む皿型状であってもよく、収容する電極群1の厚みによって適宜採用する。皿型状の蓋部材12を用いると、蓋部材が動くのを確実に防止できるので、溶接作業や巻き締め作業などが容易となる。また、皿型状の落ち込み量を変更することで、収容する電極群1の厚みの変化に容易に対応できる。さらに、皿型状であれば、蓋部材12の強度、および電池缶の強度を向上することが可能となって好ましい。
【0052】
また、このような構成の二次電池の容量を大きくするためには、積層する各極板の面積を大きくし、積層数も増加し、充填する電解液量も増加することが必要であり、電極群1を矩形の略直方体状とし電極群収容部も同様に略直方体状にすることが好ましい。
【0053】
また、二次電池の電池性能を高めるためには、電池缶の気密性を向上し、エネルギー密度を高くすることが好ましく、大型の電極群を収容し、十分な量の電解液を充填できる構成であることが好ましい。また、生産性を上げるためには、電池缶を構成する外装ケース11と蓋部材12とを接合して封口する加工速度を速くできることが好ましいので、本実施形態では、溶接法よりも低コストで高速化が可能で、且つ、高い気密性を発揮可能な二重巻き締め法を用いて封口することにした。
【0054】
しかし、外装ケース11と蓋部材12とを二重巻き締め法により封口する際には、その板厚に応じたコーナーRであることが好ましく、所定の大きさのコーナーRを設けて、二重巻き締めすることで、初めて所定の気密性を発揮する。また、電極群を収容する電極群収容部の板厚、すなわち外装ケースの板厚は、ケース強度を発揮するために、所定厚み(例えば、0.8mm〜1.0mm)以上必要であり、この板厚に応じた適当なコーナーRを用いて二重巻き締めすることが望ましい。
【0055】
そこで、本実施形態では、電極群収容部は略直方体状とし、二重巻き締め部は、二重巻き締めする板厚に応じた所定の大きさのコーナーRを設けたものである。すなわち、二重巻き締めする周縁部を外方にせり出して設け、このせり出した周縁部に、外装ケース11の曲げrよりも大きなコーナーRで二重巻き締めする構成としている。また、外装ケース11の周縁部を外方にせり出した構成であれば、このせり出した二重巻き締め部を把持して容易に持ち運ぶことができる。すなわち、生産タクトを改善でき、電池缶の気密性を発揮し、電池容量を高くでき、ハンドリング性の良好な二次電池を得ることができる。
【0056】
次に、具体的な二次電池の実施形態について、図2〜図4を用いて説明する。図2に第一実施形態の二次電池RB1Aを示し、図3に第二実施形態の二次電池RB1Bを示し、図4に第三実施形態の二次電池RB1Cを示す。
【0057】
図2の概略平面図に示す第一実施形態の二次電池RB1Aは、正極板と負極板とをセパレータを介して複数層積層した平面視矩形の電極群1と、この電極群を収容する外装ケース11Bと、外装ケース11Bを密閉する蓋部材12Bとを備え、外装ケース11Bと蓋部材12Bとを二重巻き締めして封口する周縁部とを備えている。また、電極群収容部から外方にせり出す周縁部を図中の黒三角で示す。すなわち、この二次電池RB1Aは、電極群収容部の四方の周縁部を外方にせり出して二重巻き締めしている。また、四箇所のコーナー部は、十分な気密性を発揮するように、板厚に応じた適当なコーナーRを有するように構成される。
【0058】
平面視矩形の二次電池の周縁部にはコーナー部が4箇所あるが、平面視矩形の電極群1を囲むように、所定の大きさのコーナーRを設けるためには、図中の上下左右の四方向の周縁部を全て延設して設ける本実施形態以外に、上下もしくは左右のいずれか一方の方向に主に延設する方法がある。
【0059】
例えば、電極群収容部の四方の周縁部を全て延設した構成の二次電池RB1Aは、電極群1から離れた周囲を囲むようにして二重巻き締め部WA1が形成されて、周縁部が平面視矩形の電極群収容部の周囲四方に突出して形成されるので、この四方に延設された周縁部を容易に把持してハンドリング可能である。また、電極群収容部は、略直方体状の電極群1を容易に収容可能な大きさとされるので、十分な量の電解液を充填できる。
【0060】
また、二重巻き締め部WA1は、電極群収容部の外方にせりだして上方側に突出して設けられ、所定のチャックウォ−ル高さ(図1に示す段差13とチャックウォールCW参照)を有し、電極群収容部が嵌まり込む大きさを有する段差13Aを形成している。この構成であれば、この段差13Aに別の二次電池の電極群収容部(外装ケース)が嵌まり込む構成となるので、複数の二次電池RB1Aを容易に積み重ねることができ、ハンドリング性が良好となる。
【0061】
図3には、図中の黒三角で示す左右の二方向に周縁部を延設した第二実施形態の二次電池RB1Bを示す。すなわち、この二次電池RB1Bの電池缶10Cは、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、周縁部は、外部端子が設けられる短辺側を主に延設して設けられている。この構成であれば、外部端子が設けられている側の周縁部を把持して容易にハンドリング可能である。また、外部端子側の周縁部がせり出しているので、外部端子と不用意に接触しない。
【0062】
この二次電池RB1Bでも、電池缶10Cを形成する外装ケース11Cと蓋部材12Cとを電極群収容部の外方にせりだして上方側に突出して二重巻き締め部WA2を設けているので、この二重巻き締め部WA2により形成される段差13Bに、別の二次電池の電極群収容部(外装ケース)が嵌まり込む構成となって、複数の二次電池RB1Bを容易に積み重ねることができる。
【0063】
図4には、図中の黒三角で示す上下の二方向に周縁部を延設した第三実施形態の二次電池RB1Cを示す。すなわち、この二次電池RB1Cの電池缶10Dは、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、周縁部は、外部端子が設けられていない長辺側を主に延設して設けられている。この構成であれば、外部端子が設けられていない側の周縁部を把持して容易にハンドリング可能である。
【0064】
この二次電池RB1Cでも、電池缶10Dを形成する外装ケース11Dと蓋部材12Dとを電極群収容部の外方にせりだして上方側に突出して二重巻き締め部WA3を設けているので、この二重巻き締め部WA3により形成される段差13Cに、別の二次電池の電極群収容部(外装ケース)が嵌まり込む構成となって、複数の二次電池RB1Cを容易に積み重ねることができる。
【0065】
上記したコーナーRは、電極群1を収容している電極群収容部を囲むようにして設けられているので、電極群収容部は略直方体状でよい。すなわち、外装ケースの角部の曲げrは小さくてよく、r2〜r7程度でよい。また、この外装ケースから外方にせり出して設ける周縁部のコーナーRは、この曲げrよりも大きな(例えば、2倍以上の)コーナーRとすることができる。このコーナーRは電極群収容部を囲むようにして設けられているので、電極群1の形状や大きさに対して阻害要因とはならない。また、このコーナーRの大きさを、種々の板厚で実験したところ、電池缶が0.8mm〜1.0mmの板厚のとき、つまり、外装ケース(11A〜11D)と蓋部材(12A〜12D)が0.8mm〜1.0mmの板金製からなるときに15mm程度以上が好ましいことが明らかとなった。
【0066】
すなわち、板厚が0.8〜1.0mmで曲げrが5mm程度のときに、コーナーRは、この曲げrの2倍以上の15〜20mm程度がよいことが判った。この構成であれば、外装ケースの曲げrを小さくして、略直方体状の電極群を収容容易とし、電解液の貯留容量を大きくできると共に、二重巻き締めする周縁部のコーナーRを大きくして、生産タクトを改善し、気密性を良好にすることができる。
【0067】
例えば図5に示すように、板厚0.8mmの外装ケース11Aaと蓋部材12Aaを用いてコーナーRが15mmで二重巻き締めしたときのせり出し長さLとチャックウォール高さHは、それぞれ、せり出し長さLは約15〜20mmで、チャックウォール高さHは10〜15mm程度のときに速やかに確実に二重巻き締めできることが判った。
【0068】
また、図に示すように二重巻き締め部に形成されるチャックウォールCWにより形成される段差に、別の二次電池の電極群収容部(外装ケース11Ab)が嵌まり込む構成となるので、複数の二次電池を容易に積み重ねることができる。また、二重巻き締めしたチャックウォールCW部や、せり出し長さ部などの周縁部を把持して容易にハンドリング可能である。
【0069】
次に、実際に作製したリチウム二次電池について説明する。
【0070】
(実施例)
[正極板の作製]
正極活物質としてのLiFePO4(88wt%)と、導電材としてのカーボンブラック(5wt%)と、バインダー(結着材)としてのスチレンブタジエンゴム(6wt%)と、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(1wt%)を混合し、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを適宜加えてスラリーを調製し、このスラリーを正極集電体としてのアルミニウム箔(厚み20μm)の両面上に均一に塗布して乾燥させた後、ロールプレスで圧縮し、所定のサイズで切断して板状の正極板2を作製した。
【0071】
また、作製した正極板のサイズは、150mm×340mmで、厚みは400μmであって、この正極板2を50枚用いた。
【0072】
[負極板の作製]
負極活物質としての天然黒鉛(98wt%)と、バインダー(結着材)としてのスチレンブタジエンゴム(1wt%)と、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(1wt%)を混合し、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを適宜加えて各材料を分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体としての銅箔(厚み16μm)の両面上に均一に塗布して乾燥させた後、ロールプレスで圧縮し、所定のサイズで切断して板状の負極板3を作製した。
【0073】
また、作製した負極板のサイズは、154mm×344mmで、厚みは350μmであって、この負極板2を51枚用いた。
【0074】
また、セパレータとして、サイズ160mm×350mmで、厚み20μmのポリエチレンフィルムを102枚作製した。
【0075】
[非水電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを、30:70の容積比で混合した混合液(溶媒)に、LiPFを1.2mol/L溶解して非水電解液を調整した。
【0076】
[電池缶の作製]
電池缶を構成する外装ケースおよび蓋部材の材料としては、ニッケルメッキされた厚み0.8mmの鉄板を用いてそれぞれ作成した。また、外装ケースの電極群収容部の長手方向(長辺)×短手方向(短辺)×深さ、がそれぞれ内寸で、380mm×170mm×40mmの電池缶サイズを基準とし、曲げrを5mm程度としている。また、蓋部材との接合は、チャックウォール高さが12mmになる段差を有する二重巻き締めで行うこととし、二重巻き締め後のせり出し長さが15mm程度でコーナーRが20mm程度になる周縁形状とし、開閉可能な注入口栓付き角型リチウム二次電池の電池缶を作製した。
【0077】
[二次電池の組立]
正極板と負極板とをセパレータを介して交互に積層する。その際に、正極板に対して負極板が外側に位置するように、また、セパレータが最外層にくるようにして、正極版50枚、負極板51枚、セパレータ102枚を積層した構成の電極群(積層体)を構築した。
【0078】
正負の極板間に介装するセパレータの大きさは前述したように、サイズ160mm×350mmであり、正極板(150mm×340mm)、負極板(154mm×344mm)よりも少し大きなサイズである。これにより、正極板および負極板に形成された活物質層を確実に被覆することができる。また、正極の集電体露出部および負極の集電体露出部に、集電部材(集電端子)の接続片を接続した。
【0079】
集電端子を接続した電極群を外装ケースに収容し、集電端子と外部端子とを接続し、蓋部材を取り付けて、外装ケースと蓋部材とを合わせた四方の周縁部を二重巻き締めして封口し、真空注液工程を介して注液口から非水電解液を減圧注液した。注液後に、注液口を密封して、二次電池RB1(RB1A〜RB1C)を作製した。
【0080】
作製した二次電池RB1に真空注液する際に、90kPaまで真空引きして、その気密性を確認したのちに電解液を注液した。板厚0.8mmの外装ケースと蓋部材をコーナーR15mmで二重巻き締めした二次電池RB1は、90kPaまで真空引きした際に、その真空状態を長く維持して封口部から外気が侵入しないことが判った。すなわち、この二次電池RB1は、高い気密性を発揮する。
【0081】
(実施例1)
前述した図2に示す第一実施形態の二次電池RB1A構造とし、コーナーR20となるように設計し、二重巻き締めして封口した。この際に、巻き締め部分には、電解液に対して耐性のあるポリオレフィン系のシール剤を塗布し、二重巻き締めを行った。
【0082】
(実施例2)
前述した図3に示す第二実施形態の二次電池RB1B構造とし、長手方向に巻き締め部がせり出した缶構造とし、コーナーR20となるように設計し、二重巻き締めして封口した。この際に、巻き締め部分には、電解液に対して耐性のあるポリオレフィン系のシール剤を塗布し、二重巻き締めを行った。
【0083】
(実施例3)
前述した図4に示す第三実施形態の二次電池RB1C構造とし、短手方向を主として巻き締め部分がせり出した缶構造とし、コーナーR20となるように設計し、二重巻き締めして封口した。この際に、巻き締め部分には、電解液に対して耐性のあるポリオレフィン系のシール剤を塗布し、二重巻き締めを行った。
【0084】
実施例1〜3で得られた二次電池は、30Aで5時間の定電流定電圧充電を3.5Vまで行い、10分間の休止を行い、その後、2.5Vまで30Aの定電流放電を行い、電池容量の初期測定を行った。次に、3.5Vまでの100A、2時間の定電流定電圧充電、10分間の休止、150A、2Vまでの定電流放電、10分間の休止、を繰り返すサイクル評価を行った。そして、500サイクル後の保持容量を、初回の保持容量で除して、サイクル保持率を測定した。この測定結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1に示す測定結果から判るように、実施例1〜3のいずれの構成であっても、97%以上の高いサイクル保持率を維持している。特に、電極群収容部の四方を外方にせり出した構成の実施例1が99%と高いサイクル保持率を示している。このように、板厚0.8mmの板金からなる電池缶であっても、周縁部を曲げrよりも大きなコーナーRで二重巻き締めすることで、良好なサイクル保持率を発揮する二次電池を得ることができる。
【0087】
上記したように、本実施形態に係る二次電池は、外装ケースと蓋部材との周縁部を、気密性を発揮する適当なコーナーRを持って二重巻き締めしているので、気密性の向上した電池缶を得ることができる。
【0088】
また、電極群収容部は略直方体状であって、この周囲を囲むように適当な大きさのコーナーRを形成しているので、正極板や負極板の大きさが制限されず、電解液量も十分に充填できて、エネルギー密度も高くできる。また、上下に積み重ね容易となる。
【0089】
また、外装ケースと蓋部材との周縁部を連続的に二重巻き締めして封口するので、封口のための作業性が向上して生産タクトを改善して生産性を向上させることができる。さらに、二重巻き締め部やせり出し部を把持してハンドリング性の良好な二次電池を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
そのために、本発明に係る二次電池は、所定サイズの二次電池を複数組み合わせて大容量化が求められる蓄電池に好適に利用可能となる。
【符号の説明】
【0091】
1 電極群
2 正極板
3 負極板
4 セパレータ
5 集電端子
10、10A〜10D 電池缶
11、11A〜11D 外装ケース
11f 外部端子
12、12A〜12D 蓋部材
13、13A〜13C 段差
H チャックウォール高さ
L せり出し長さ
RB、RB1 二次電池
RB1A 二次電池(第一実施形態)
RB1B 二次電池(第二実施形態)
RB1C 二次電池(第三実施形態)
WA、WA1〜WA3 二重巻き締め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とセパレータとを積層してなる電極群と、この電極群を収容する外装ケースと、前記外装ケースを密閉する蓋部材とを備え、これらの外装ケースと蓋部材とで構成される電池缶の内部に電解液を充填した二次電池であって、
前記電池缶は、略直方体状の前記電極群収容部と、前記外装ケースと前記蓋部材とを二重巻き締めして封口する周縁部とを備え、
前記周縁部は、前記電極群収容部から外方にせり出して設けられ、前記外装ケースの角部の曲げrよりも大きなコーナーRを有することを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記コーナーRは、前記曲げrの2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記コーナーRは、二重巻き締めする前記外装ケースと前記蓋部材の板厚に応じた、気密性を発揮するコーナーRであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記二重巻き締め部は、前記電極群収容部の外方にせりだして上方側に突出して設けられ、所定のチャックウォ−ル高さを有し、前記電極群収容部が嵌まり込む大きさを有する段差を形成していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記周縁部は、前記電極群収容部の周囲四方を延設して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
前記電池缶は、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、前記周縁部は、前記外部端子が設けられる短辺側を主に延設して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項7】
前記電池缶は、対向する両側面にそれぞれ配設される正負の外部端子を備えて長辺と短辺とを有する外形矩形とされる電極群収容部を備え、前記周縁部は、前記外部端子が設けられていない長辺側を主に延設して設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項8】
前記外装ケースの板厚と前記蓋部材の板厚は共に前記電池缶の所定の缶強度を発揮する0.8mm〜1.0mm程度の板厚であり、前記コーナーRは、15mm程度以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−33688(P2013−33688A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169974(P2011−169974)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】