説明

二軸ガスタービン

【課題】高圧タービン及び低圧タービンの間のホイールスペースの温度上昇を抑制する。
【解決手段】低圧タービン初段静翼5及びダイアフラム11を介してケーシング17外からの冷却空気を上記ホイールスペースに導く冷却空気導入路、上流側スペースを絞って外周部25及び内周部27に分けて冷却空気導入路から上流側スペース内周部27に導かれた冷却空気を上流側スペース外周部25に噴出させ、上流側スペース外周部25に径方向外向きの空気の流れを形成する上流側スペースシール部41、及び下流側スペースを絞って外周部26及び内周部28に分け、冷却空気導入路から下流側スペース内周部28に導かれた冷却空気を下流側スペース外周部26に噴出させ、下流側スペース外周部26に径方向外向きの空気の流れを形成する下流側スペースシール部42を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の回転軸を有する二軸ガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の回転軸を有する二軸式ガスタービンでは、一般的に高圧タービン及び低圧タービンの各軸の問を隔壁で隔てている(特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−9440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二軸ガスタービンでは一般に高圧タービン及び低圧タービン間のホイールスペースとガスパスとを低圧タービン初段静翼の内周壁で隔てているが、静止体である静翼内周壁は、相手回転体すなわち高圧タービン及び低圧タービンのロータとの間に間隙を設けざるを得ない。一般に回転体と静止体に挟まれた領域では風損が発生するが、この風損の発生量は回転体と静止体の間の間隙が大きいほど、また回転体の周速が大きいほど大きくなる。高速回転するガスタービンにあってホイールスペースの外周部における高圧タービン及び低圧タービンの周速は極めて大きく、上記ホイールスペースの外周部には大きな風損が発生する恐れがある。そのため、低圧タービン初段静翼の内周壁と両タービンロータ間の間隙を介してガスパスの高温ガスが上記ホイールスペースに巻き込まれ、これらホイールスペースの外周側が昇温する可能性がある。さらに、ホイールスペース内にはシール部が存在せず外周部からタービンの回転中心に至るまで流体の移動が構造的に妨げられないため、ホイールスペース外周側の昇温に伴って内周側の温度が上昇する恐れもある。
【0005】
そこで本発明は、高圧タービン及び低圧タービンの間のホイールスペースの温度上昇を抑制することができる二軸ガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、高圧タービンと低圧タービンの間の隔壁の上流側及び下流側のホイールスペースをそれぞれシール部で外周側と内周側に分け、上流側及び下流側のホイールスペースの各内周側に冷却空気を供給し、上流側及び下流側のホイールスペースの各内周側にガスパスに向かう空気の流れを形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高圧タービン及び低圧タービンの間のホイールスペースの温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
二軸ガスタービンはタービン内に複数のタービンロータを有し、燃焼器にて圧縮機からの圧縮空気を燃料とともに燃焼して生成した燃焼ガスによって各タービンロータを回転させ回転動力を得るものである。高圧側のタービンロータは圧縮機ロータと連結されて圧縮機を駆動する。一方、低圧側のタービンロータは発電機やポンプ等の負荷機器に連結されて負荷機器を駆動する。低圧側のタービンロータを発電機のロータに連結した場合、低圧タービンで得られた回転動力は電気エネルギーに変換される。このように、複数のタービンロータを設けることにより、圧縮機や発電機等を異なる回転数で回転させることが可能となり、タービンロータを分割しない1軸のガスタービンに比して、エネルギーロスを低減させることができるようになっている。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の二軸ガスタービンの第1の実施の形態の要部構造を表す側断面図であり、回転中心となる軸心線を含む断面を表している。図2は図1中のII−II断面による断面図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、二軸ガスタービンのタービンは、高圧タービンHと、高圧タービンHの下流側に配置された低圧タービンLを備えている。タービンの回転軸は高圧タービンHの高圧タービンロータ1と低圧タービンLの低圧タービンロータ2に分割されており、高圧タービンロータ1と低圧タービンロータ2は各々独立に回転する。高圧タービンロータ1と低圧タービンロータ2には、外周部にそれぞれ動翼3,4が取り付けられている。これら動翼3,4は燃焼器(不図示)からの作動流体である高温ガスが流れる流路部(ガスパス)に臨んでおり、高温ガスの流体エネルギーが動翼3,4で各タービンロータ1,2の回転エネルギーに変換され、高圧タービンH及び低圧タービンLでそれぞれ回転動力が得られる。なお、図1では高圧タービンロータ1の最終段動翼3と低圧タービンロータ2の初段動翼4のみ図示している。
【0011】
低圧タービン初段動翼4に最適な角度で高温ガスを流入させるため、低圧タービン初段静翼5を低圧タービン初段動翼4の直前(高圧タービン最終段動翼3と低圧タービン初段動翼4の間)に設置している。低圧タービン初段静翼5は、翼部6、翼部6の外周側の外周壁7、翼部6の内周側の内周壁8から構成されている。
【0012】
低圧タービン初段静翼5の外周壁7の下流端及び上流端の部分にはフック13,16が設けられており、外周壁7の外周面の下流端に設けたフック13が低圧タービン初段のケーシングシュラウド14に、外周壁7の外周面の上流端に設けたフック16が高圧タービン最終段のケーシングシュラウド15にそれぞれ嵌合している。これにより、低圧タービン初段静翼5はケーシングシュラウド14,15の内周面に保持されている。ケーシングシュラウド14,15は、ケーシング17の内周面に設けたフック18,19を介し、ケーシング17の内周面に保持されている。
【0013】
低圧タービン初段静翼5の内周壁8は、その内周側に形成されるタービンロータ1,2間のホイールスペースとガスパスとを隔てる役割を果たしている。但し低圧タービン初段静翼5の内周壁8は静止体であるため、回転体であるタービンロータ1,2との間にそれぞれ適当な隙間20が介在させてある。また、この内周壁8の内周面にはフック9,10が設けられており、内周壁8の内周部にはフック9,10に周方向から嵌め合わせるようにして中空のダイアフラム11が固定されている。ダイアフラム11と高圧タービンロータ1及び低圧タービンロータ2の各ホイールとの間隙は極力狭くなるように設定されている。ダイアフラム11の内周側には円板状の隔壁12が取り付けられている。
【0014】
なお、静翼5の外周壁7及び内周壁8は環状のガスパスを構成するが、周方向に複数のセグメントに分割された構造となっている。セグメント間には適当な間隙が介在しており、これによって運転中の熱伸びが許容される。同じように、ケーシングシュラウド14,15やダイアフラム11も周方向に分割されたセグメント構造である。ケーシングシュラウド14,15、低圧タービン初段静翼5、ダイアフラム11の各セグメントは、それぞれケーシング17、ケーシングシュラウド14,15、低圧タービン初段静翼5に対し、周方向から順次組み入れられる。ケーシング17は上半側と下半側に分割された半割れ構成であり、タービンの組立ての際には、上半側ケーシング・下半側ケーシングにそれぞれケーシングシュラウド14,15、低圧タービン初段静翼5、ダイアフラム11の各セグメントを組みつけておき、下半側の静止体ユニットにタービン1,2及び隔壁12を組み込み、これに上半側の静止体ユニットを被せる。
【0015】
先述した隔壁12は、例えばダイアフラム11の内周面に設けた溝に嵌まり込んでダイアフラム11の内周部に保持されており、高圧タービンロータ1と低圧タービンロータ2のホイール間に位置し両タービンロータ1,2間のホイールスペースを上流側スペースと下流側スペースに隔てている。これにより高圧タービンHと低圧タービンLが遮断され、上流側ホイールスペースと下流側ホイールスペースとの流体の漏れが抑制され、ホイールスペースの高圧側と低圧側の適正な圧力差が確保される。
【0016】
このとき、上流側ホイールスペースには上流側スペースシール部41が設けられており、上流側ホイールスペースは上流側スペースシール部41によって領域断面を絞られ、ガスパス側の上流側スペース外周部25及びその内側の上流側スペース内周部27に分けられている。同じように、下流側ホイールスペースには下流側スペースシール部42が設けられており、下流側ホイールスペースは下流側スペースシール部42によって領域断面を絞られ、ガスパス側の下流側スペース外周部26及びその内側の下流側スペース内周部28に分けられている。スペースシール部41,42はホイールスペース内において外周寄りに位置し、上流側及び下流側のスペース外周部25,26が、それぞれ上流側及び下流側のスペース内周部27,28に対して狭く仕切られている。
【0017】
上流側スペースシール部41は、ダイアフラム11と、高圧タービンHの最終段ホイールのダイアフラム11との対向部とで構成されている。さらに説明すると高圧タービンロータ1では、各段のタービンホイールが軸方向に積層されてスタッキングボルトと呼ばれる複数の通しボルト(不図示)によって締結されている。タービンホイールにはこれら通しボルトを通すボルト挿通部40が設けられている。ボルト挿通部40は、タービンホイールの軸方向両側に突出しており、軸方向に隣接するタービンホイール若しくはスペーサのボルト挿通部40に当接して通しボルトによる締結部の剛性を高めている。高圧タービン最終段においては、図1に示したように最終段ホイールの下流側のボルト挿通部40が低圧タービンロータ2との間のホイールスペースの上流側に突出している。そこで本実施の形態では、ダイアフラム11の上流側の部分に内周側に延びる突起部(上流側突起部)35を設け、この上流側突起部35の先端部をボルト挿通部40に近接させている。すなわち、上流側突起部35と、高圧タービン最終段ホイールのこの上流側突起部35との対向部であるボルト挿通部40とで前述した上流側スペースシール部41を構成している。前述した下流側スペースシール部42も上流側スペースシール部41と同様にして、ダイアフラム11の下流側の部分に内周側に突設した突起部(下流側突起部)35と、低圧タービン初段ホイールのこの下流側突起部35との対向部(初段ホイールの上流側のボルト挿通部40)とで構成されている。
【0018】
ここで、ケーシング17、低圧タービン初段静翼5の外周壁7及び内周壁8、ダイアフラム11はそれぞれ空気孔29,30,31,32を備えている。ケーシング17の空気孔29には、圧縮機(不図示)から抽気した空気を導く圧縮空気導入管(不図示)が接続される。また低圧タービン初段静翼5の翼部6と隔壁12は中空となっており、それぞれ回転中心に向かって延びる静翼内通路45、隔壁内通路46を備えている。また、隔壁12はタービン中心軸部において上流側に上流側中心孔33を、下流側に下流側中心孔34を有しており、隔壁内通路46は、上流側中心孔33を介して上流側スペース内周部27に、下流側中心孔34を介して下流側スペース内周部28にそれぞれ連通している。これにより、例えば圧縮機(不図示)から抽気した冷却空気が、空気孔29→空気孔30→静翼内通路45→空気孔31→空気孔32→隔壁内通路46→中心孔33,34と繋がる冷却空気導入路を経由してホイールスペースのタービン軸心線付近に導かれる。冷却空気導入路の冷却空気は、リークを除いて全量が中心孔33,34を介してホイールスペース内周部27,28に供給される。このように低圧タービン初段静翼5及びダイアフラム11を経由する冷却空気導入路により導かれた冷却空気は、上流側中心孔33及び下流側中心孔34を介して上流側スペース内周部27及び下流側スペース内周部28にそれぞれ噴出する。その結果、本実施の形態では、上流側及び下流側のスペース内周部27,28が昇圧し、上流側及び下流側のスペースシール部41,42を介してそれぞれスペース内周部27,28からスペース外周部25,26に空気が噴出し、上流側及び下流側のスペースシール部25,26にガスパスに向かう径方向外向きの空気の流れが形成される。
【0019】
なお、本実施の形態では隔壁12に中心孔33,34が設けられているので、構造的には中心孔33,34を介して上流側スペース内周部27と下流側スペース内周部28が連通するが、上流側スペース内周部27や下流側スペース内周部28よりも隔壁内通路46が高圧であるため、中心孔33,34を介しての両スペース内周部27,28間の流体の移動は実質的に生じない構成となっている。また、ダイアフラム11は、前述したように周方向に複数のセグメントに分割された構成であるが、図2に示したように各セグメント35は、周方向に隣り合うセグメント35の対向面に溝22,23を有し、これら溝22,23にシールキー24を組み入れてセグメント35,35間の間隙21をシールしている。
【0020】
ここで、図5に上流側及び下流側のスペースシール部41,42や冷却空気導入路を省略した構成を比較のための構成例として示す。
【0021】
図5の比較例では、冷却空気導入路が省略されており隔壁12’に内部の通路や中心孔が設けられていない。ダイアフラム11’のタービンロータ1,2との間の間隔(スペース外周部25,26)も図1の構成に比べて広い。そのため、ホイールスペースの圧力は図1の構成に比べて低く、ホイールスペースの風損も大きいため、ガスパスからホイールスペース外周部25,26に高温ガスが巻き込まれ、ホイールスペース外周部25,26の温度が上昇し易い。また、ホイールスペース外周部25,26はホイールスペース内周部27,28と仕切られておらず圧力差が殆どないため、両者間の流体移動が妨げられない。そのため、ホイールスペース外周部25,26の温度上昇に伴ってホイールスペース内周部27,28の温度が上昇する可能性がある。
【0022】
それに対し本実施の形態によれば、前述したようにホイールスペースの外周部25,26に冷却空気が供給されてスペース25,26が昇圧するので、低圧タービン初段静翼5の内周壁8の前後の隙間20からスペース外周部25,26への高温ガスの巻き込みを抑制することができる。また、ホイールスペースの外周部25,26はスペース内周部27,28に対してスペースシール部41,42で仕切られて圧力に差が生じている(スペース内周部27,28の方が高圧)ので、運転中、ホイールスペースのスペース外周部25,26からスペース内周部27,28への流体の移動を抑止することができる。したがって、スペース外周部25,26の温度が上昇したとしても、その影響を受けてスペース内周部27,28が昇温することを抑制することができる。
【0023】
このように高圧タービンH及び低圧タービンLの間のホイールスペースにおいて、隔壁12を挟んだ上流側・下流側ともに全体に中心から径方向外向きに流体の流れを生じさせ、ガスパスから高温ガスが流入し難く温度が上昇し難くすることができる。またタービンロータ1,2とダイアフラム11との間隙を狭めるほど、上流側及び下流側のホイールスペースの外周部25,26の風損が減少し、ホイールスペース外周部25,26への高温ガスの巻き込み量を減少させることができる。
【0024】
また、遠心力に起因してロータ各部に作用する応力は外周側の部分よりも内周側の部分の方が大きくなるので、ホイールスペース内周部27,28の温度をスペース外周部25,26よりも低下させることによってタービンロータ1,2の信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、前述したように低圧タービン初段静翼5やダイアフラム11をセグメント構造とした場合、セグメント間の隙間や静翼内周壁8とダイアフラム11の間の隙間36、或いは隔壁12とダイアフラム11との間からリークが発生し、前述した冷却空気導入路内の空気の温度上昇を招くことも考えられる。これに対しても本実施の形態では、図2のようにダイアフラム11のセグメント間の隙間21はシールキー24によりシールされているので、セグメント間の隙間21からのリークが抑制されている。また、シールキー24に対して溝22,23の幅や厚みを大き目に設定し溝22,23におけるシールキー24の自由度を確保することにより、ダイアフラム11の各セグメントの熱伸びにも柔軟に対応することができる。さらに、前述したようにホイールスペースの内周部27,28の温度上昇が抑制されるので、冷却空気のリークによる隔壁内通路46内の空気温度の上昇を抑制することができる。
【実施例2】
【0026】
図3は本発明の二軸ガスタービンの第2の実施の形態の要部構造を表す側断面図である。図3において第1の実施の形態と同様の部分には図1と同符号を付して説明を省略する。
【0027】
本実施の形態は、内部に通路を持たない一枚構造の隔壁50を用いた実施の形態である。この隔壁50の中心部には、上流側スペース内周部27と下流側スペース内周部28とを連通させる中心孔51が貫通している。また、本実施の形態におけるダイアフラム52は、上流側スペース内周部27に臨む空気孔53を有しており、冷却空気導入路からの冷却空気は、リーク分を除く全量が空気孔33を介して上流側スペース内周部27に供給される。本実施の形態では、このように空気孔33を介してダイアフラム52からの冷却空気を上流側スペース内周部27に噴出させるとともに、隔壁50の中心孔51を介して上流側スペース内周部27からの冷却空気を下流側スペース内周部28に噴出させる。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0028】
冷却空気導入路をこのような経路としても、隔壁50の上流側及び下流側のホイールスペースをスペースシール部41,42で仕切ることにより、ホイールスペース内周部27,28がホイールスペース外周部25,26に対して高圧となり、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、隔壁構造が簡略な分、タービンの構成を簡素化することができる。
【実施例3】
【0029】
図4は本発明の二軸ガスタービンの第3の実施の形態の要部構造を表す側断面図である。図4において第2の実施の形態と同様の部分には図3と同符号を付して説明を省略する。
【0030】
本実施の形態は、先の第2の実施の形態(図3)においてダイアフラム52に下流側スペース内周部28に臨む空気孔54を追加し、隔壁50の中心孔51を省略した実施の形態である。冷却空気導入路は、ダイアフラム52の空気孔(上流側空気噴出孔)53及び空気孔(下流側空気噴出孔)54を介してダイアフラム52からの冷却空気を上流側スペース内周部27及び下流側スペース内周部28に噴出させる。冷却空気導入路からの冷却空気は、リーク分を除く全量が空気孔33,34を介してスペース内周部27,28に供給される。その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0031】
冷却空気導入路をこのような経路としても、隔壁50の上流側及び下流側のホイールスペースをスペースシール部41,42で仕切ることにより、ホイールスペース内周部27,28がホイールスペース外周部25,26に対して高圧となり、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。勿論、中心孔のない一枚板で隔壁50を構成したのでタービン構成を簡素化することもできる。これに加え、ダイアフラム52に空気孔53,54を設け、ホイールスペースの両内周部27,28にダイアフラム52から冷却空気を直接供給する構成とすることにより、冷却空気量の調整が容易になるメリットもある。
【0032】
なお、第1〜第3の実施の形態では、ダイアフラム11,52に突起部35を設け突起部35をタービンホイールに近付けてスペースシール部41,42を構成したが、突起部35を設けずに、例えばダイアフラムを高圧タービン最終段ホイールと低圧タービン初段ホイールに近接する大きさに形成することにより上流側及び下流側のスペースシール部41,42を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の二軸ガスタービンの第1の実施の形態の要部構造を表す側断面図である。
【図2】図1中のII−II断面による断面図である。
【図3】本発明の二軸ガスタービンの第2の実施の形態の要部構造を表す側断面図である。
【図4】本発明の二軸ガスタービンの第3の実施の形態の要部構造を表す側断面図である。
【図5】本発明の二軸ガスタービンに対する一比較例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 高圧タービンロータ
2 低圧タービンロータ
3 高圧タービン最終段動翼
4 低圧タービン初段動翼
5 低圧タービン初段静翼
6 翼部
7 外周壁
8 内周壁
9,10 フック
11 ダイアフラム
12 隔壁
13 フック
14,15 ケーシングシュラウド
16 フック
18,19 フック
20 隙間
21 間隙
22,23 溝
24 シールキー
25 上流側スペース外周部
26 下流側スペース外周部
27 上流側スペース内周部
28 下流側スペース内周部
29−32 空気孔
33 上流側中心孔
34 下流側中心孔
35 突起部
36 隙間
40 ボルト挿通部
41 上流側スペースシール部
42 下流側スペースシール部
45 静翼内通路
46 隔壁内通路
50 隔壁
51 中心孔
52 ダイアフラム
53,54 空気孔
H 高圧タービン
L 低圧タービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧タービンと、
前記高圧タービンの下流側に配置された低圧タービンと、
前記低圧タービン初段静翼の内周側に固定したダイアフラムと、
前記ダイアフラムの内周側に保持されて前記低圧タービン及び前記高圧タービンのホイール間に位置し、両タービン間のホイールスペースを上流側スペースと下流側スペースに隔てる隔壁と、
前記低圧タービン初段静翼及び前記ダイアフラムを介してケーシング外からの冷却空気を前記ホイールスペースに導く冷却空気導入路と、
前記上流側スペースを絞ってガスパス側の上流側スペース外周部及びその内側の上流側スペース内周部に分け、前記冷却空気導入路から前記上流側スペース内周部に導かれた冷却空気を前記上流側スペース外周部に噴出させ、前記上流側スペース外周部に径方向外向きの空気の流れを形成する上流側スペースシール部と、
前記下流側スペースを絞ってガスパス側の下流側スペース外周部及びその内側の下流側スペース内周部に分け、前記冷却空気導入路から前記下流側スペース内周部に導かれた冷却空気を前記下流側スペース外周部に噴出させ、前記下流側スペース外周部に径方向外向きの空気の流れを形成する下流側スペースシール部と
を備えたことを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項2】
請求項1の二軸ガスタービンにおいて、
前記隔壁は、回転中心に向かって延びる隔壁内通路、前記隔壁内通路と前記上流側スペース内周部を連通させる上流側中心孔、及び前記隔壁内通路と前記下流側スペース内周部を連通させる下流側中心孔を有し、
前記ダイアフラムは、前記隔壁内通路に接続する空気孔を有しており、
前記冷却空気導入路は、前記隔壁内通路を介して前記ダイアフラムからの冷却空気を回転中心に導き、前記上流側中心孔及び下流側中心孔を介して前記上流側スペース内周部及び前記下流側スペース内周部に噴出させる
ことを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項3】
請求項1の二軸ガスタービンにおいて、
前記隔壁は、前記上流側スペース内周部及び前記下流側スペース内周部を連通させる中心孔を有し、
前記ダイアフラムは、前記上流側スペース内周部に臨む空気孔を有しており、
前記冷却空気導入路は、前記空気孔を介して前記ダイアフラムからの冷却空気を前記上流側スペース内周部に噴出させるとともに、前記中心孔を介して前記上流側スペース内周部からの冷却空気を前記下流側スペース内周部に噴出させる
ことを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項4】
請求項1の二軸ガスタービンにおいて、
前記ダイアフラムは、前記上流側スペース内周部に臨む上流側中心孔、及び前記下流側スペース内周部に臨む下流側中心孔を有しており、
前記冷却空気導入路は、前記上流側中心孔及び前記下流側中心孔を介して前記ダイアフラムからの冷却空気を前記上流側スペース内周部及び前記下流側スペース内周部に噴出させる
ことを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの二軸ガスタービンにおいて、
前記低圧タービンの初段静翼及びダイアフラムは、周方向に複数のセグメントに分割されていることを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項6】
請求項5の二軸ガスタービンにおいて、前記ダイアフラムは、周方向に隣り合うセグメントの対向面に溝を有し、これら溝にシールキーを組み込んでセグメント間の間隙をシールしていることを特徴とする二軸ガスタービン。
【請求項7】
請求項1の二軸ガスタービンにおいて、
前記ダイアフラムは、前記隔壁の上流側及び下流側にそれぞれ前記高圧タービンの最終段ホイールと前記低圧タービンの初段ホイールに近接する突起部を有しており、
前記上流側スペースシール部は、前記上流側突起部と、前記高圧タービンの最終段ホイールの前記上流側突起部との対向部とで構成され、
前記下流側スペースシール部は、前記下流側突起部と、前記低圧タービンの初段ホイールの前記下流側突起部との対向部とで構成されている
ことを特徴とする二軸ガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−209772(P2009−209772A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53461(P2008−53461)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】