説明

二酸化チタン

a)0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を持つ、NIR散乱性粒子状材料と;b)1種以上の非白色着色剤を含み;粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物。大きな結晶サイズを持つこの材料は、NIR輻射の異常に高い反射と、同時に可視光の著しく減少した反射を有する。また、材料が0.40μm超の平均結晶サイズを有し、被膜が1種以上の酸化物材料を含む、被覆された粒子状TiO材料も開示され;これは、以前には到達不能であった低レベルの光触媒活性をもたらす。この被覆されたTiO材料は組成物中で提供され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、二酸化チタンと、特に二酸化チタン粒子状材料および組成物に関する。
【0002】
いくつかの実施形態では、二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン粒子状材料は、スペクトルの近赤外(NIR)領域で赤外輻射を効率的に散乱する。組成物の実施形態では、この粒子状材料は、スペクトルの近赤外(NIR)領域で低吸収を有する非白色着色剤と組み合わされる。
【0003】
いくつかの実施形態では、二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン粒子状材料は、被覆され、極低光触媒活性を有する。このように、この材料を含有する製品は、慣用の二酸化チタンを含有する類似の製品に比して改良された光安定性を有し得る。
【背景技術】
【0004】
電磁スペクトルのNIR領域は、700nmと2500nmの間に在る。この領域において高反射と低吸収を有する材料は、多くの用途において利点を有し得る。例えば、このような材料から作られる製品は、太陽光の照射下で冷たい状態を保ち、結果として熱分解の低減、耐久性の改善、快適性の向上、エアコンディショニングコストの低下、および環境影響の低減を生むことができる。
【0005】
現行の環境面の焦点(およびコストファクター)は、建物の冷却に必要とされるエアコンディショニングの量を低下させることである。エアコンディショニングコストを低下させる一つの方法は、日射エネルギーを反射するルーフィング製品を使用することである。米国環境保護庁(EPA)のEnergy Star Initiativeは、25%のミニマム全日射反射率(TSR)を有するためには、急勾配(ピッチ付きの)の住宅ルーフィングを要求する。より淡色の製品はこのミニマムに合致し得るが、その性状により、暗色または濃色の製品は合致することができないこともあり、10%以下など25%よりもずっと下のTSRを有しがちである。このことは、暗色または濃色を美的にすばらしいと感じるが、高TSRの利点を望む者に対しては問題を生じる可能性がある。
【0006】
高い日射反射率が異なる方法で達成され得る。例えば、白い外表面を持つ品目は高い日射反射率を有し得るが、色を望むならば、このアプローチはこれを満たすことができない。あるいは、慣用のTiO顔料を非NIR吸収性着色顔料および染料と組み合わせることにより、高い日射反射率が達成され得る。日射反射の所望のレベルを得るのに必要とされる慣用のTiO顔料のレベルは、比較的淡い色を必然的に生じるために、このアプローチも限界がある。それゆえ、暗色または更に濃色は、このような反射性配合物においては可能でない。更に別な代替の実施形態では、高い日射反射率を有する白色層を品目に塗布し、その後にNIR透明な着色顔料を含有する層が塗布され得る。顔料入りのオーバーコートは、NIR輻射を反射または吸収しない。適切に塗布しないと、これらは、白色アンダーコートが着色したオーバーコートの一部からすけて見えて、「パッチ状」の外観を生じる可能性があり、オーバーコートが気候に曝されて失われ、更に多くのアンダーコートが露出するので、色は経時的に薄くなり得るために、このシステムもまた理想的でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、所定の日射反射に対して別法で達成可能である色よりも、広範囲の暗色ま
たは更なる濃色で使用可能な、高い全日射反射性材料を求めるニーズが存在する。このような色は、中間調、更にはより暗く濃いパステル調を含む。更には、ルーフィング表面、プラスチック品目、道路表面、および塗料を含む一連の用途で使用可能な、このような日射反射性着色材料を塗布するための一回塗りシステムを求めるニーズが存在する。次いで、消費者は、このような方法で、所望の色外観および良好な全日射反射と共に望む品目を有することができる。次いで、これらの品目は、より涼しい住環境および/またはエアコンディショニング使用の減少、熱分解、環境フットプリント、および/または地球温暖化への貢献に寄与することができる。
【0008】
加えて、太陽に曝露される品目は光安定性でないこともあり、早期に劣化する可能性がある。塗料、プラスチック製品、ルーフィング製品、および地表被覆物製品を含むこのような品目は、二酸化チタンを含有し得る。二酸化チタンそれ自身は分解しないが、二酸化チタンを含有する品目が分解する程度は、品目で使用される二酸化チタン顔料の光触媒活性に依存し得る。
【0009】
例えば、理論に束縛されるものでないが、二酸化チタン結晶がUV光を吸収すると、電子が高エネルギーレベル(伝導帯)に昇位され、格子から移動すると考えられる。価電子帯中の生成する空孔または「正孔」も有効に移動する。これらの可動電荷は、結晶表面に達すると、二酸化チタン含有製品(例えば、塗料の樹脂媒体)の媒体に移動可能であり、フリーラジカルを生成し、媒体を分解する。
【0010】
このように、極低光触媒活性を有する二酸化チタン粒子を求めるニーズが存在する。次いで、このような二酸化チタン粒子を使用して、太陽に曝露される品目の寿命を改善し得る。例えば、このような二酸化チタン粒子を高い光安定性樹脂、塗料バインダーなどとの組み合わせで使用して、太陽に曝露される品目の全体の寿命を延長し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の部分では、本発明は、第1の態様として、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料と;
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物を提供する。
【0012】
大きな結晶サイズを持つこの材料は、慣用の顔料と比較して、NIR輻射の異常に高い反射と、同時に可視光の著しく減少した反射を有する。この驚くべき効果は、このようなNIR散乱性材料の含有量が低くとも、良好なNIR反射レベルをなお達成することができるということを意味する。更なる利点は、任意の所定の更に暗色または更なる濃色を得るために、更に低レベルの非白色着色剤が必要とされるということである。
【0013】
驚くべきことには、大きな結晶の二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンである粒子状材料は、着色剤の色に過度に影響を及ぼすことなく更に暗色または濃色の着色剤と共に組成物中にブレンドする。対照的に、慣用のTiO顔料は、可視光に対して極めて反射性であり、組成物の色にはっきりと影響を及ぼし、色を著しく淡色とする。このように、大きな結晶の二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンである、本発明で使用される粒子状材料は、慣用のTiO顔料ほどに色に影響を及ぼすことなく暗色またはより濃色の着色剤と共に組成物中にブレンドする。
【0014】
本発明の第1の部分では、本発明は、また、第2の態様として、日射反射率および非白
色の色を有する単一塗膜の被覆物を提供するために、または日射反射率および非白色の色を有する物品を製造するために、第1の態様による組成物を使用することも提供する。
【0015】
本発明の第1の部分では、本発明は、また、第3の態様として、日射反射レベルを増加させるために、好ましくは、着色組成物の可視反射レベルを減少させる一方で日射反射レベルを増加させるために、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料を使用することも提供する。
【0016】
本発明の第1の部分では、本発明は、また、第4の態様として、第1の態様による組成物を含む物品も提供する。
【0017】
本発明の第2の部分では、本発明は、第1の態様として、
(i)材料が二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびこれらの組み合わせから選択され;
(ii)材料が0.40μm超の平均結晶サイズを有し;ならびに
(iii)被膜が1種以上の酸化物材料を含み、
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である、1種以上の元素酸化物である、被覆された粒子状材料を提供する。
【0018】
驚くべきことには、大きな結晶の二酸化チタンまたは大きな結晶のドープされた二酸化チタンを慣用のミル掛けおよび塗膜技術と組み合わせることにより、改善された二酸化チタン粒子含有製品が、以前には到達不能であった低レベルの光触媒活性とあわせて、入手可能であるということが見出された。
【0019】
この被覆された粒子状材料は実質的に白色である。好ましくは、この製品は95超の明度値L*(CIE L*a*b*色空間)ここで、a*の値が5未満であり、b*の値が5未満である、を有する。
(*)本発明の第2の部分では、本発明は、また、第2の態様として、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびこれらの組み合わせから選択される材料の光触媒活性を低下させるために、
(i)0.40μm超の平均結晶サイズ;および
(ii)1種以上の酸化物材料を含み、当該材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である、1種以上の元素酸化物である、被膜を使用することも提供する。
【0020】
本発明の第2の部分では、本発明は、第3の態様として、使用時に太陽に曝露される製品の耐久性および/または寿命を改善するために、第2の部分の第1の態様による材料を使用することも提供する。
【0021】
本発明の第2の部分では、本発明は、第4の態様として、使用時に太陽に曝露される第
2の部分の第1の態様による材料を含む製品も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1Bに係る結晶の電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施例1Bに係る試料のスペクトル、ならびに慣用のTiOおよび黒色基材に対するスペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明の実施例4Aに係る日射反射率に及ぼすTiO容積濃度およびサイズの影響を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例4Aに係る日射反射率に及ぼすTiOサイズの影響を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例5に係るL*に及ぼすTiO容積濃度およびサイズの影響を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例5に係るL*に及ぼすTiO容積濃度およびサイズの影響を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例6に係る日射反射率に及ぼすTiOサイズの影響を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例7に係る加速耐候性試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1の部分:日射反射性着色製品
本発明は、第1の態様として、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料と;
*1種以上の非白色着色剤
を含み、
粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物を提供する。
【0024】
好ましくは、非白色着色剤は、スペクトルのNIR部分において低吸収を有する。一つの実施形態では、非白色着色剤は、700nmと2500nmの間のNIR領域において50mm−1以下の平均吸収係数を有し得る。好ましくは、非白色着色剤は、700nmと2500nmの間のスペクトルにおいて20mm−1以下の、15mm−1以下のような、例えば12mm−1以下、例えば10mm−1以下などの平均吸収係数を有し得る。
【0025】
この組成物は、所望の太陽エネルギーを反射する効果を達成する一方で、一つの組成物中で一緒に混合される着色剤および粒子状材料を有する。
【0026】
大きな結晶サイズを持つ粒子状材料は、慣用の顔料と比較して、NIR輻射の異常に高い反射と、同時に可視光の著しく減少した反射を有する。この驚くべき効果は、このようなNIR散乱性材料の含有量が低くとも良好なNIR反射レベルをなお達成することができるということを意味する。更なる利点は、任意の所定の色を達成するために、更に低レベルの非白色着色剤が必要とされるということである。
【0027】
驚くべきことには、大きな結晶の二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンである粒子状材料は、着色剤の色に過度に影響を及ぼすことなく暗色またはより濃色の着色剤と共に組成物中にブレンドする。対照的に、慣用のTiO顔料は、可視光に対して極めて反射性であり、組成物の色にはっきりと影響を及ぼし、色を著しく淡色とする。このように、大きな結晶の二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンである、本発明で使用される粒子状材料は、慣用のTiO顔料ほどに色に影響を及ぼすことなく、暗色またはより濃色の着色剤と共に組成物中にブレンドする。
【0028】
本発明の組成物によってNIR反射性被膜を一回の塗布で塗ることが可能となる。このような一回塗膜の日射反射性被膜は、塗布の速度と、結果として得られる塗布のコストと、また表面にわたる色の均一性の点で利点をもたらす。
【0029】
JP2005330466Aは、0.5ミクロンから1.5ミクロン直径のIR反射性粒子であって、IR輻射に透明な樹脂フィルムにより被覆されているTiOであり得る粒子の使用を述べている。フィルム被膜は実質的に非IR吸収性の顔料を含有し得る。しかしながら、これらの製品は、大きな粒子直径を有するが、本発明の製品におけるように大きな結晶サイズの二酸化チタンから製造されるものとは述べられていない。下記に詳述するように、TiO粒子の粒子サイズおよび結晶サイズは同一でない。先行技術製品が大きな結晶サイズのTiOを使用しないという事実は、これらの製品と本発明の製品の間の多数の技術的な差異を生み出す。
【0030】
特に、慣用の(顔料)二酸化チタン結晶から形成される大きな(例えば、1ミクロン直径)粒子は、処理に対して堅牢でない。対照的に、本発明は、堅牢かつ耐久性の製品をもたらす、大きな結晶サイズを利用する。加えて、本発明では、同等のIR反射を得るのに、慣用の(顔料)二酸化チタン結晶を用いる製品と比較して、必要とされる材料が少ない。更に、JP2005330466Aの製品は、可視反射が低下する一方でIR反射が増加し、これにより本発明においていかなる所定の色を得るのにも、先行技術と比較して、必要とされる非白色着色剤が低レベルであるという、本発明の驚くべき利点を呈しない。更に、この特許に表示されている密度から、これらの製品は非被覆であり、それゆえ、太陽光への曝露用に設計された任意の組成物または製品において主要な障害である、有害な光触媒である傾向を有するということが判る。
【0031】
US2007065641は、粗TiOと着色IR反射体粒子を含有する、ルーフィング顆粒を述べている。粒子サイズ分布は、広く;40ミクロン未満100%、10ミクロン未満50〜100%、およびミクロン未満0〜15%である。これは、粒子の30%以上が1ミクロン未満の粒子サイズを有するという、本発明により要求される特定の定義された粒子サイズ分布と対照的である。US2007065641で述べられている粒子は、粗く、かつざらざらし、塊化する傾向があり、したがって装飾用用途などの多数の最終使用には不適である。
【0032】
US2008/0008832は、TiOにより被覆され得る着色コアを用いて形成されるルーフィング顆粒に関する。WO2005/095528は、TiOと熱反射性着色顔料成分を含有する壁塗料に関する。これらの両方の特許では、TiOは、本発明により要求される大きな結晶サイズを有するというのでなく、顔料である。
【0033】
先行技術は、驚くべきことには、大きな結晶サイズと定義された粒子サイズ分布の両方を有するNIR散乱性粒子状材料を着色剤と共に使用して、着色組成物を得ることにより達成される、卓越した耐候性および日射反射を有する着色組成物の配合におけるメリットを認識または示唆していない。
【0034】
この組成物は、単一のタイプのNIR散乱性粒子状材料のみを含んでもよく、または2つ以上の異なるタイプのNIR散乱性粒子状材料を含んでもよい。
【0035】
本発明で使用されるNIR散乱性粒子状材料は、二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン(またはこれらの組み合わせ)であり、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する。驚くべきことには、このような材料は、スペクトルのNIR領域(700−2500nm)において効率
的に散乱する。しかしながら、それはUV領域(300−400nm)において強く吸収する。それは、スペクトルの可視領域(400−700nm)において比較的低い散乱性および吸光度を有する。
【0036】
驚くべきことには、NIR散乱性粒子状材料の高屈折率は、強い日射紫外吸収を有する難点をのりこえて、卓越した全日射反射をもたらす。これらの粒子の強い日射紫外吸収は、太陽光に曝露されるいかなる物品の耐候性も増強することができる、高い日射紫外不透明性という有利な性質も与える。
【0037】
一つの実施形態では、粒子状材料は、ドープされた二酸化チタン、すなわち、TiOを含有する無機材料であるか、またはそれを含む。ドープされた二酸化チタンは、10重量%以上の、好ましくは12重量%以上のTiO含有量を有し得る。
【0038】
ドープされた二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ結晶形のいずれかであってもよい。好ましくは、ドープされた二酸化チタンはルチル結晶構造を有する。熟練者ならば認識するように、それは、必ずしもルチルでなく、ルチルと同形(iso−structural)である材料であることができる。
【0039】
本発明では、ルチル結晶形は、屈折率が高いために、好ましいことがある。これは、所定のNIR反射効果を得るのに必要量が少なく、最適化された場合、効果が強化されるということを意味する。例えば、それは、60%以上、例えば70%以上など50重量%以上のルチル、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上など95%以上、例えば99.5%以上などであり得る。
【0040】
ドープされた二酸化チタンは、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、アンチモン、リン、およびセシウムなどのドーパントによりドープされたものであり得る。
【0041】
ドープされた二酸化チタンは、8重量%以下、例えば5重量%以下などの、10重量%以下のレベルまでの不純物を含み得る。これらの不純物は、不完全な精製から生じ、例えば、鉄、シリカ、ニオビアまたは二酸化チタン担持フィード原料中に通常存在する他の不純物であり得る。
【0042】
一つの実施形態では、粒子状材料は二酸化チタンであるか、またはそれを含む。二酸化チタンはいかなる既知の方法によっても製造可能である。例えば、広い商品使用における2つの経路である、いわゆる「硫酸塩」経路またはいわゆる「塩化物」経路が使用され得る。同等に、フッ化物法、水熱法、エアロゾル法または抽出法を使用して、二酸化チタンを製造し得る。
【0043】
二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ結晶形のいずれかであってもよい。本発明では、ルチル結晶形は、屈折率が高いために、好ましいこともある。これは、所定のNIR反射効果を得るのに必要量が少なく、最適された場合、効果が強化されるということを意味する。
【0044】
一つの実施形態では、それは、60%以上、例えば70%以上などの、50重量%以上のルチル、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上、例えば99.5%以上など、95%以上であり得る。
【0045】
二酸化チタンは白色または半透明であってもよく、または着色していてもよい。一つの実施形態では、それは実質的に白色であり.好ましくは、95超の明度値L*(CIE
L*a*b*色空間)を有し、ここで、a*の値が5未満であり、b*の値が5未満であり得る。
【0046】
二酸化チタンは、例えば、8重量%以下、例えば5重量%以下などの、10重量%以下のレベルまでの不純物を含み得る。これらの不純物は、不完全な精製から生じ、例えば、鉄、シリカ、ニオビアまたは二酸化チタン担持フィード原料中に通常存在する他の不純物であり得る。好ましくは、二酸化チタンは、92重量%以上、例えば93重量%以上などの、90重量%以上のTiO含有量を有する。
【0047】
本発明では、NIR散乱性粒子状材料は、0.40μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する。好ましくは、NIR散乱性粒子状材料は、0.45μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する。好ましくは、平均結晶サイズは、0.50μm超またはそれに等しく、例えば0.55μm超、より好ましくは、0.70μm以上、例えば0.80μm以上などの0.60μm以上である。
【0048】
一つの実施形態では、NIR散乱性粒子状材料は、0.40μm超かつ1.20μmまでの、例えば0.45〜1.1μm、より好ましくは、0.60〜1.0μm、例えば0.70〜1.00μmなどの、0.50〜1.1μmの平均結晶サイズを有する。
【0049】
平均結晶サイズは、得られる写真を像分析(例えば、Quantimet 570像アナライザーを用いて)することによって、ラブアウト(rubbed out)された試料について透過電子顕微鏡法により測定され得る。これは、199+/−6nmの認定されたサイズを持つラテックスNANOSPHERE(登録商標)(NISTからの)のサイズ標準3200を参照として検証され得る。
【0050】
慣用のルチルTiOは、0.17〜0.29μmの平均結晶サイズを有し、一方慣用のアナターゼTiOは、0.10〜0.25μmの平均結晶サイズを有する。
【0051】
結晶サイズは粒子サイズと区別される。粒子サイズは、粒子を使用する系中の顔料の分散の有効性に依存する。粒子サイズは、結晶サイズおよびミル掛け法、例えば乾式、湿式または抱合式のミル掛けなどの要素により決定される。慣用のルチルTiOの粒子サイズは、0.25〜0.40μmであり、一方慣用のアナターゼTiOは0.20〜0.40μmの粒子サイズを有する。結晶が一緒に「塊化」するようなものである場合には、大きな粒子サイズを得ることができる。
【0052】
本発明では、NIR散乱性粒子状材料は、X線沈降法により求めると0.40μm超の平均粒子サイズを有する。例えば、平均粒子サイズは、0.40μm超かつ1.2μmまでであり得る。好ましくは、平均サイズは、0.45〜1.1μm、例えば0.50〜1.0μmなどの、0.45μm超またはそれに等しく、より好ましくは0.60〜1.0μmである。
【0053】
本発明では、NIR散乱性粒子状材料は、粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する。一つの実施形態では、NIR散乱性粒子状材料は、粒子の40%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布などの、粒子の35%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する。所定のサイズを有する粒子のパーセントに言及する本出願では、これは、重量パーセントであるように意図される。
【0054】
粒子サイズを測定するために、製品は、好適な分散剤の存在において高剪断混合にかけられて、粉砕せずに粒子を分散させる。X線ディスク遠心のブルックヘブンXDCを用いて、粒子サイズ分布が測定される。平均粒子サイズ、および粒子サイズ幾何重量標準偏差が記録される。
【0055】
NIR散乱性粒子状材料は、当業界で既知のように処理されるか、または被覆され得る。
【0056】
熟練者ならば認識するように、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンまたはこれらの組み合わせであるNIR散乱性粒子状材料は、ミル掛け段階を含む工程により作製される。ミル掛け段階から得られる粒子は、シリカ、アルミナ、またはジルコニアなどの水和酸化物により被覆され;この被覆段階が低減された光触媒活性、改善された分散性、低減された黄変または良好な不透明性を生じ得る。
【0057】
粒子は、例えば、20重量/重量%までのレベルで、例えば0.5〜20重量/重量%で無機または有機被膜により被覆され得る。
【0058】
一つの実施形態では、無機酸化物、水酸化物、およびこれらの組み合わせから選択される無機被覆材料が使用されてもよい。酸化物として表されるこれらの材料の例は、Al、SiO、ZrO、CeO、およびPである。
【0059】
例えば、ポリオール、アミン(例えば、アルカノールアミン)またはシリコーン誘導体による有機表面処理も存在してもよい。これは、特に、分散性を改善し得る。使用される通常の有機化合物は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アルキルホスホン酸(例えば、n−オクチルホスホン酸)、およびトリメチロールエタンである。
【0060】
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、またはこれらの組み合わせであるNIR散乱性粒子状材料の被覆方法は、当業界で既知の慣用の顔料材料のそれと類似し、材料を水中に分散し、それに続いて硫酸アルミニウムなどの好適な塗膜試剤を添加することを含む。次いで、pHを調整して、所望の水和酸化物の沈澱を生じさせて、材料の表面上に被膜を形成する。
【0061】
被膜形成後、材料は、塗膜により一緒にくっついた粒子を分離するために、例えば流体エネルギーミルまたは微粉末化機中で磨砕される前に、洗浄、乾燥され得る。
【0062】
この最終ミル掛け段階においては、例えばポリオール、アミン、アルキルホスホン酸またはシリコーン誘導体による有機表面処理は、必要に応じて適用され得る。
【0063】
一つの実施形態では、NIR散乱性粒子状材料は、組成物中で使用する前に特定のサイズ区分を選択的に除去するために処理され得る。例えば、5μm以上の直径であるいかなる粒子も除去してもよく;一つの実施形態では、3μm以上の直径であるいかなる粒子も除去してもよい。このような粒子は、例えば、遠心分離処理により除去され得る。
【0064】
第1の態様では、着色組成物は、NIR散乱性粒子状材料を1〜60容積%、例えば2〜50容積%などの、0.5〜70容積%の量で含んでもよい。
【0065】
適用におけるNIR散乱性粒子状材料のレベルは、意図した用途によって適当に選択されてもよい。
【0066】
一つの実施形態では、組成物は塗料としての使用に意図され、NIR散乱性粒子状材料を10〜30容積/容積%のような、例えば15〜20容積/容積%などの、5〜50容積/容積%の量で含んでもよい。熟練者ならば認識するように、同一の色を維持するためには、多量のNIR散乱性粒子状材料を添加するにしたがって、更に多量の非白色着色剤が必要とされ得る。
【0067】
一つの実施形態では、組成物はプラスチック樹脂組成物としての使用に意図され、NIR散乱性粒子状材料を0.5〜70容積/容積%の量で含んでもよく;例えばマスターバッチ中では50〜70容積/容積%もの高いレベルが可能であるか、または望ましいこともある。
【0068】
一つの実施形態では、組成物はルーフィングまたはグラウンド被覆物製品(道路表面、舗装またはフロアなど)用の被覆組成物、例えば、アスファルトまたはタール用の表面被覆組成物としての使用に意図され、NIR散乱性粒子状材料を1〜50容積/容積%の量で含んでもよい。
【0069】
組成物は、単一タイプの非白色着色剤のみを含んでもよく、または2種以上の異なるタイプの非白色着色剤を含んでもよい。
【0070】
非白色着色剤は、顔料および染料などのいかなる既知の着色剤からも選択され得る。着色剤としては、ブルー、ブラック、ブラウン、シアン、グリーン、バイオレット、マゼンタ、レッド、オレンジ、またはイエローの着色剤が挙げられてもよい。
【0071】
着色剤として使用され得る顔料としては、真珠光沢顔料、ウルトラマリン顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック、燐光顔料、および有機顔料が挙げられるが、それに限定されない。このような異なるタイプの顔料の混合物も使用可能である。
【0072】
非白色着色剤は、一つの実施形態では、カーボンブラック、有機着色顔料および無機着色顔料から選択されてもよい。
【0073】
カーボン製品の例としては、グラファイト、カーボンブラック、ガラス状カーボン、活性炭、カーボン繊維、または活性化カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの代表的な例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラックおよびランプブラックが挙げられる。
【0074】
有機着色顔料としては、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、ヘテロ環イエロー、キナクリドン、キノロノキノロン、および(チオ)インジゴイドが挙げられる。
【0075】
使用され得る無機顔料としては、コバルト顔料、銅顔料、クロム顔料、ニッケル顔料、鉄顔料、および鉛顔料が挙げられる。
【0076】
顔料の例は、コバルトクロマイト、コバルトアルミネート、銅フタロシアニン、ヘマタイト、クロムチタネートイエロー、ニッケルチタネートイエロー、合成弁柄、ペリレンブラック、およびキナクリドンレッドである。
【0077】
好ましくは、非白色着色剤または着色剤は、スペクトルのNIR領域内で低吸光度の非白色着色剤から選択される。このような着色剤の例は、クロムチタネートイエロー、ニッケルチタネートイエロー、合成弁柄、ペリレンブラック、銅フタロシアニン、およびキナクリドンレッドである。
【0078】
組成物は、非白色着色剤を0.5〜15容積%のような、例えば1〜10容積%、例えば約1容積%などの、0.1〜20容積%の量で含み得る。
【0079】
一つの実施形態では、着色剤は、単一の粒子中でNIR散乱性材料を提供するのでなく
、NIR散乱性材料と別である。応用物を準備する者に配合自由度を与え、より広い使用を可能とさせる点で、NIR散乱性材料と着色剤を別々にすることに実際的な利点が存在する。しかしながら、代替の実施形態では、着色剤は、単一の粒子中でNIR散乱性材料と共に提供され、例えば、NIR散乱性材料上の被膜中に提供されるか、または着色剤含有コア上の被膜として提供される。
【0080】
ビヒクルは、NIR散乱性粒子状材料および非白色着色剤を分散させることができる、いかなる製品または製品の組み合わせでもあり得る。例えば、それはキャリアまたは溶剤またはバインダーであってもよい。
【0081】
一つの実施形態では、ビヒクルは合成または天然樹脂であるか、またはそれを含む。好適なプラスチック樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂およびメタクリル樹脂などの汎用樹脂と;ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリアミド樹脂などのエンジニアリング樹脂が挙げられる。それは、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、またはオイルなどの塗料用の樹脂バインダーを含んでもよい。それは、道路または屋根用のアスファルト/タールバインダーであり得るか、またはそれを含んでもよい。一つの例では、ビヒクルは、アルキッド樹脂などのポリエステル樹脂であるか、またはそれを含む。一つの実施形態では、ビヒクルは、水などの水性キャリアまたは溶剤であるか、またはそれを含む。一つの実施形態では、ビヒクルは、有機キャリアまたは溶剤などの非水性キャリアまたは溶剤であるか、またはそれを含む。キャリアまたは溶剤は、例えば、脂肪族溶剤、芳香族溶剤、アルコール、またはケトンであってもよい。キャリアまたは溶剤としては、石油蒸留物、アルコール、ケトン、エステル、グリコールエーテルなどの有機キャリアまたは溶剤が挙げられる。
【0082】
一つの実施形態では、ビヒクルは、バインダーであるか、またはそれを含み、例えば、金属シリケートバインダー、例えばアルミノシリケートバインダー、またはポリマーバインダー、例えばアクリルポリマーバインダーまたアクリルコポリマーバインダーなどの有機ポリマーバインダーであり得る。
【0083】
着色組成物は、表面の被覆に使用可能な被覆組成物であり得るか、または例えば成形または他の方法により物品を成形することができる組成物であり得る。
【0084】
一つの実施形態では、着色組成物はプラスチック樹脂組成物である。別な実施形態では、着色組成物は塗料である。別な実施形態では、着色組成物はインクである。一つの実施形態では、着色組成物は粉末被覆物である。
【0085】
一つの実施形態では、着色組成物はテキスタイル製品の成分またはテキスタイル製品用の処理成分である。着色組成物は皮革処理組成物であってもよい。
【0086】
一つの実施形態では、着色組成物は、ルーフィング製品または地表被覆物製品(道路表面製品、フローリング製品、自動車道路表面製品、駐車場表面製品または舗装表面製品など)用の被覆組成物である。例えば、それは、アスファルトまたはタール製品の表面を被覆するための組成物であってもよい。
【0087】
組成物は、他の添加物を場合によっては含むことができる。他の添加物としては、増粘剤、安定剤、乳化剤、テクスチュアライザー、接着促進剤、UV安定剤、つや消し剤、分散剤、発泡防止剤、湿潤剤、凝集溶剤、および防かび剤を含む殺生物剤が挙げられるが、それに限定されない。
【0088】
一つの実施形態では、組成物はスペーサー粒子を含む。これらは、組成物中に含まれる粒子を間隔をあけるか、または支持するのに使用される成分である。これらの粒子は、組成物にある顔料効果を場合によっては付与する。スペーサー粒子は、「込み合い効果」によるNIR散乱性粒子状材料の散乱性効率の損失を低下させるのに使用される。
【0089】
使用されるいかなるスペーサー粒子のサイズも、かなり広い限度にわたって変わることができる。一般に、サイズは、粒子の性状に依存する。スペーサー粒子の平均サイズは、一つの実施形態では0.02から40μmである。
【0090】
スペーサー粒子は、例えば、シリカ、シリケート、アルミネート、サルフェート、カーボネートまたはクレー、または例えば、中空ポリマービーズまたは微小球の形のポリマー粒子、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはアクリルポリマーを含むビーズまたは微小球であってもよい。好ましくは、スペーサー粒子は、EP0573150に述べられているようにヘテロ凝集する。
【0091】
これらのスペーサー粒子は、組成物の美観および全日射反射率の両方を増強し得る。
【0092】
驚くべきことには、本発明の組成物は、改善されたNIR反射率を有するのみならず、低下した着色強度も有する。
【0093】
0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を持つNIR散乱性粒子状材料の作製は、下記の1つ以上が当てはまるように変成された、このような材料を得るための標準工程によるものであり得る。a)カ焼を、例えば1000℃以上などの、900℃以上の、標準よりも高い温度におけるものとする;
b)カ焼を例えば5時間以上の、標準よりも長い時間のものとする;
c)低減したレベルの成長調整剤を工程時に存在させる;例えば、それは成長調整剤を工程時に存在させないということもある;
d)成長促進剤を工程時に添加する;特に増加したレベルの成長促進剤を工程時に添加する;
e)カ焼装置フィードパルプ中のルチルシードレベルを低下させる。
【0094】
大きな結晶材料は、慣用の顔料と同一の方法で処理され得、例えば種々の添加物によって、塗料、プラスチック、アスファルトまたは他のビヒクルと混和性とされる。
【0095】
0.40μm超の平均結晶サイズを持ち、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を持つNIR散乱性二酸化チタン粒子状材料を得るための工程は、
含チタン鉄フィード原料と硫酸とを反応させて、固体の水溶性反応ケーキを形成し;
ケーキを水および/または弱酸に溶解して、硫酸チタンの溶液を作製し;
溶液を加水分解して、硫酸チタンを二酸化チタン水和物に添加し;
沈澱した二酸化チタン水和物を溶液から分離し、カ焼して、二酸化チタンを得る
ことを含み、下記の1つ以上が当てはまるものであり得る。
a)カ焼を例えば1000℃以上などの、900℃以上の、標準よりも高い温度におけるものとする;
b)カ焼を例えば5時間以上の、標準よりも長い時間のものとする;
c)低減したレベルの成長調整剤を工程時に存在させる;例えば、それは成長調整剤を工程時に存在させないということもある;
d)成長促進剤を工程時に添加する;特に増加したレベルの成長促進剤を工程時に添加する;
e)カ焼装置フィードパルプ中のルチルシードレベルを低下させる。
【0096】
カ焼時に場合によっては存在することができるルチル化促進剤としてはリチウムおよび亜鉛化合物が挙げられる。存在を制御しなければならない、ルチル化阻害剤としてはアルミニウム、カリウムおよびリン化合物が挙げられる。
【0097】
二酸化チタン粒子状材料は、材料を水中に分散し、それに続いて硫酸アルミニウムなどの好適な塗膜試剤を添加することにより塗膜され得る。次いで、pHを調整して、所望の水和酸化物の沈澱を生じさせて、材料の表面上に被膜を形成する。
【0098】
被膜形成後、例えば流体エネルギーミルまたは微粉末化機中で磨砕して、塗膜段階により一緒にくっついた粒子を分離する前に、材料を洗浄、乾燥してもよい。この最終ミル掛け段階においては、例えばポリオール、アミン、アルキルホスホン酸またはシリコーン誘導体による有機表面処理は、必要に応じて適用され得る。
【0099】
一つの実施形態では、二酸化チタン粒子状材料は、組成物中で使用される前に、特定のサイズ区分を選択的に除去するように処理されてもよい。
【0100】
本発明は、第2の態様として、日射反射率および非白色の色を有する単一塗膜被覆物を提供するために、または日射反射率および非白色の色を有する物品を製造するために、第1の態様による組成物を使用することも提供する。
【0101】
一つの実施形態では、被覆物は、65以下のような、例えば55以下などの、75以下の、好ましくは35以下のような、例えば25以下などの、45以下の明度値L*(CIE L*a*b*色空間)を有する。
【0102】
好ましくは、得られる日射反射性は、20%以上の、例えば25%以上の全日射反射率(TSR)である。
【0103】
好ましくは、組成物は、日射反射性および暗色または濃色を有する単一塗膜被覆物を提供するために使用される。
【0104】
本発明は、第3の態様として、好ましくは、着色組成物、例えば暗色または濃色の組成物の可視反射レベルを減少させる一方で、日射反射レベルを増加させるために、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料を使用することを提供する。
【0105】
一つの実施形態では、着色組成物は、65以下のような、例えば55以下などの、75以下の、好ましくは35以下のような、例えば25以下などの、45以下の明度値L*(CIE L*a*b*色空間)を有する。
【0106】
一つの実施形態では、NIR散乱性粒子状材料は、暗色または濃色の組成物に対して25%以上などの、20%以上の全日射反射率(TSR)を得るために使用される。
【0107】
NIR散乱性粒子状材料の好ましい特徴は、第1の態様に関連して上述した通りである。
【0108】
本発明は、第4の態様として、第1の態様による組成物を含む物品を提供する。
【0109】
一つの実施形態では、物品はルーフィング表面であり、例えば、屋根板、タイル、または顆粒状被覆物であってもよい。一つの実施形態では、物品は、タンク、パイプ、またはサイディングなどの容器、例えば水タンクまたは水パイプである。一つの実施形態では、物品は、コンクリート表面、道路表面、フローリング製品、自動車道路表面、駐車場表面または舗装表面などの地表被覆物製品である。一つの実施形態では、物品は塗装物品である。一つの実施形態では、物品は粉末被覆物品である。一つの実施形態では、物品は車両、例えば、車、キャラバン、トラックまたはバンである。一つの実施形態では、物品は建築物、例えば、家、ホテル、オフィスまたは工場である。一つの実施形態では、物品はプラスチック物品である。一つの実施形態では、物品はテキスタイルまたは皮革製品である。
【0110】
B.第2の部分:光安定性製品
本発明は、第1の態様の実施形態では、被覆された粒子状材料であって、
(i)材料が二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびこれらの組み合わせから選択され;
(ii)材料が0.40μm超の平均結晶サイズを有し;ならびに
(iii)被膜が1種以上の酸化物材料を含み、実施形態はそのように限定されていないが、材料がAl、Si、Zr、Ce、およびPなどの1種以上の元素の酸化物である、被覆された粒子状材料を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、被膜の酸化物材料は、Ti、Zn、およびSnの1種以上の酸化物であってもよい。
【0111】
一つの実施形態では、被膜は、酸化物材料の1種以上を含み、材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である1種以上の元素の酸化物を含む。
【0112】
このような製品によれば、慣用の顔料結晶サイズ材料を用いて達成可能な範囲を超えた耐久性が得られる。これは、利便性、費用、外観および持続可能性の点で利点を有する。
【0113】
多数の屋外用塗料では、カーボンブラックは、着色剤として作用するが、有害な紫外線を吸収し、それゆえ耐候性を増進する目的も果たす。カーボンブラックを代替の黒で置き換える場合には、結果として生じる光保護の不足も解決されなければならない。本発明は、そのUV吸収と低光触媒活性によりその不足の解決において特に有用である。
【0114】
被覆された粒子状材料は実質的に白色である。好ましくは、製品は、95超の明度値L*(CIE L*a*b*色空間)ここで、a*の値が5未満であり、b*の値が5未満である、を有する。一つの実施形態では、製品は、97超、98超、または99超などの、96超の明度値L*を有する。a*は、一つの実施形態では、3未満などの4未満であり得る。b*は、一つの実施形態では、3未満などの4未満であり得る。
【0115】
それゆえ、被膜は、眼に実質的に白色に見える製品を得るように、好適に選択される。好ましくは、酸化セリウムなど被膜中に含まれるいかなる着色酸化物材料も、0.5重量%以下の、好ましくは0.4重量%以下の、更に好ましくは0.3重量%以下の、特に0.2重量%以下の量で存在する。
【0116】
一つの実施形態では、被覆された粒子状材料は、
*NIR散乱性粒子状材料としての被覆された粒子状材料であって、材料が二酸化チタン
、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物を提供する。
【0117】
特に、この実施形態では、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンまたはこれらの組み合わせである、NIR散乱性粒子状材料は、ミル掛け段階を含む工程により作製される。ミル掛け段階から得られる粒子は、シリカ、アルミナ、またはジルコニアなどの水和酸化物により被覆され;この被覆段階は、低減された光触媒活性、改善された分散性、低減された黄変または良好な不透明性を生じ得る。
【0118】
粒子は、例えば、20重量/重量%までの、例えば0.5から20重量/重量%のレベルで無機被膜により被覆され得る。
【0119】
一つの実施形態では、無機酸化物から選択される無機被覆材料が使用され得る。酸化物として表わされるこれらの材料の例は、Al、SiO、ZrO、CeO、およびPである。
【0120】
好ましくは、非白色着色剤は、スペクトルのNIR部分において低い吸収を有する。一つの実施形態では、非白色着色剤は、700nmと2500nmの間のNIR領域において50mm−1以下の平均吸収係数を有し得る。好ましくは、非白色着色剤は、700nmと2500nmの間のスペクトルにおいて15mm−1以下のような、例えば12mm−1以下、例えば10mm−1以下などの、20mm−1以下の平均吸収係数を有し得る。
【0121】
したがって、一つの実施形態では、本発明は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散され、被膜が酸化物材料の1種以上を含み、材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である1種以上の元素の酸化物である、着色組成物を提供する。
【0122】
特に、被覆材料は、Al、SiO、ZrO、CeO、およびPから選択され得る。
【0123】
代替の実施形態では、被覆された粒子状材料は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物中で提供
されない。
【0124】
このような実施形態では、被覆された粒子状材料は、それ自身として、または被覆された粒子状材料と1つ以上の他の成分の組み合わせである任意の組成物中で提供されてもよく、但し、組成物は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物ではないものとする。
【0125】
本発明は、また、第2の態様として、
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびこれらの組み合わせから選択される材料の光触媒活性を低下させるために、
(i)0.40μm超の平均結晶サイズ;および
(ii)1種以上の酸化物材料を含み、材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である1種以上の元素の酸化物である、被膜を使用することも提供する。
【0126】
粒子状材料は、被覆されると、好ましくは実質的に白色である。好ましくは、製品は95超の明度値L*(CIE L*a*b*色空間)ここで、a*の値が5未満であり、b*の値が5未満である、を有する。一つの実施形態では、製品は、97超、98超、または99超などの、96超の明度値L*を有する。a*は、一つの実施形態では3未満などの4未満であってもよい。b*は、一つの実施形態では3未満などの4未満であってもよい。
【0127】
それゆえ、被膜は、眼に実質的に白色に見える製品を得るように、好適に選択される。好ましくは、酸化セリウムなど被膜中に含まれるいかなる着色酸化物材料も、0.5重量%以下の、好ましくは0.4重量%以下の、更に好ましくは0.3重量%以下の、特に0.2重量%以下の量で存在する。
【0128】
一つの実施形態では、使用は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料としての材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物に関係する。
【0129】
一つの実施形態では、酸化物被覆材料は、Al、SiO、ZrO、CeO、およびPから選択される。
【0130】
この着色組成物は上述の通りであり得る。
【0131】
代替の実施形態では、使用は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物に関係するものでない。
【0132】
このような実施形態では、使用は、それ自身の材料に関係してもよく、または使用は、被覆された粒子状材料と1つ以上の他の成分の組み合わせである任意の組成物中の材料に関係してもよく、但し、組成物は、
*二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料;および
*1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物ではないものとする。
【0133】
本発明は、また、第3の態様として、使用時に太陽に曝露される製品の耐久性および/または寿命を改善するために、第1の態様による材料を使用することも提供する。
【0134】
本発明は、また、第4の態様として、使用時に太陽に曝露される製品、第1の態様による材料を含む製品も提供する。
【0135】
米国特許第4,125,412号は、これらの顔料に緻密なシリカ被膜を付与し、続いてアルミナを堆積することにより、塗料配合で使用される場合、卓越した耐チョーキング性、優れた分散性および顕著な着色保持性を有する二酸化チタン顔料を述べている。しかしながら、これらの慣用の二酸化チタン顔料製品は、大きな結晶サイズと被膜の相乗的な組み合わせから得られる、本発明により可能となる驚くほど良好な耐久性を達成しない。
【0136】
EP0595471は、超音波を用いてTiOに緻密なシリカ被膜を塗布する方法を教示している。
【0137】
JP06107417は、針状TiOを1〜30重量%の金属塩と共に被覆し、次いで着色製品を提供するために焼成することを述べている。針状TiOは、その望ましくない性質を高アスペクト比/針状の特性に負っている、アスベストに物理的に類似している。本発明では、粒子状材料は、好ましくは4:1未満のアスペクト比を有する。
【0138】
先行技術は、使用時に太陽に曝露される製品の耐久性および/または寿命を改善する方法を教示していない。
【0139】
本発明の製品は、日射に曝露される二酸化チタン顔料含有物体に対して先行技術と比較して増大した寿命をもたらす。先行技術は、大きな結晶二酸化チタンと被膜の組み合わせがこのような光触媒活性の低下を与えるということを教示または示唆していない。
【0140】
大きな結晶二酸化チタンと被膜の組み合わせは、被膜の既知の効果から予期されていたものよりも大きな光触媒活性の低下を与える。この相乗効果は想定外であり、著しいメリットをもたらす。
【0141】
上述のように、本発明では、被膜は、1種以上の酸化物材料を含み、材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の
遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である1種以上の元素の酸化物を含む。好適なランタナイドの例としてはCeが挙げられる。
【0142】
熟練者ならば認識するように、酸化物材料は、オキシ水酸化物などの混合酸化物の形、または水和酸化物の形、ならびに元素プラス酸素のみを含有する酸化物の形のものであってよい。
【0143】
粒子上の被膜は、緻密なものであってもよく、または非緻密なものであってもよい。例えば、熟練者ならば、シリカおよびアルミナが両方とも緻密または非緻密な被膜として提供され得るということを認識するであろう。標準ルチル二酸化チタン結晶の試料は、ほぼ7m/gの表面積を有する。3重量/重量%の非緻密被膜の標準ルチルチタンの試料は、ほぼ17m/gの表面積を有する。3%重量/重量の緻密被膜の標準ルチルチタンの試料は、ほぼ6m/gと10m/gの間の表面積を有する。
【0144】
一つの実施形態では、酸化物材料を含む2種以上の被膜が使用される。これらは、組み合わせで使用されて、単一層をもたらしてもよく、またはそれぞれの層が異なる組成を有する、2種以上の別々の層をもたらすように使用されてもよい。
【0145】
例えば、粒子に対する被膜は、シリカ、例えば緻密なシリカの層と、アルミナの層を含んでもよい。
【0146】
粒子は、任意の好適な量の被覆材料により被覆され得る。粒子は、例えば、20重量/重量%までのレベルで、例えば、0.5から20重量/重量%で無機被膜により被覆され得る。一つの実施形態では、粒子は、例えば、20重量/重量%までのレベルで、例えば、0.5から10重量/重量%、例えば0.5から7重量/重量%などの、0.1から20重量/重量%で被覆され得る。
【0147】
例えば、ポリオール、アミン(例えば、アルカノールアミン)またはシリコーン誘導体による有機表面処理も存在してもよい。これは、特に、分散性を改善し得る。使用される通常の有機化合物は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アルキルホスホン酸(例えば、n−オクチルホスホン酸)、およびトリメチロールエタンである。
【0148】
本発明で使用される粒子状材料は、二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン(またはこれらの組み合わせ)であり、0.40μm超の平均結晶サイズを有する。単一タイプの粒子状材料のみが存在してもよく、または2種以上の異なるタイプの粒子状材料が存在してもよい。
【0149】
一つの実施形態では、粒子状材料は、ドープされた二酸化チタンであるか、またはそれを含む。
【0150】
ドープされた二酸化チタンは、10重量%以上の、好ましくは12重量%以上のTiO含有量を有してもよい。好ましくは、ドープされた二酸化チタンは、80重量%以上の、好ましくは85重量%以上のTiO含有量を有してもよい。
【0151】
ドープされた二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ結晶形のいずれかまたはアナタ
ーゼとルチルの混合物であり得る。
【0152】
一つの実施形態では、ドープされた二酸化チタンは、ルチル結晶構造を有する。別な実施形態では、ドープされた二酸化チタンは、アナターゼ結晶構造を有する。アナターゼとルチルは異なる強度を有し;本発明によっていずれかの形の高耐久性の形が可能となる。
【0153】
例えば、それは、60%以上のような、例えば70%以上などの、50重量%以上の、好ましくは80%以上の、更に好ましくは90%以上の、最も好ましくは99%以上のような、例えば99.5%以上などの、95%以上のルチルであってもよい。
【0154】
ドープされた二酸化チタンは、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、アンチモン、リン、およびセシウムなどのドーパントによりドーピングされてもよい。ドープされた二酸化チタンは、一つの実施形態では、Cr、V、MnおよびAlから選択されるドーパントによりドーピングされてもよい。
【0155】
ドープされた二酸化チタンは、例えば、8重量%以下のような、例えば5重量%以下など10重量%以下のレベルまで不純物を含み得る。これらの不純物は、不完全な精製から生じ、例えば、鉄、シリカ、ニオビアまたは二酸化チタン担持フィード原料中に通常存在する他の不純物であり得る。一つの実施形態では、ドープされた二酸化チタンは、0.1重量%以下のような、例えば0.01重量%以下などの、0.5重量%以下のレベルまで不純物を含んでもよく;これらの不純物は、例えば、Fe、P、Nbまたは二酸化チタン担持フィード原料中に通常存在する他の不純物であってもよい。
【0156】
ドープされた酸化チタンは、正孔と電子に対する再結合中心として作用する、不純物によりドーピングされている格子を有し得る。例えば、Cr、Mn、およびVがすべてドーパントとして使用されて、再結合を促進することができる。これらの不純物は、塩を、沈澱したスラリー/パルプに添加することにより、カ焼の前に塩の形で添加されがちである。あるいは、不純物は、チタン鉱石から制御された量で由来する可能性がある。使用されるドーパントの量は、耐久性メリットを色劣化に対してバランスをとらなければならないために、通常、2〜10ppmである。
【0157】
一つの実施形態では、粒子状材料は、二酸化チタンであるか、またはそれを含む。
【0158】
二酸化チタンは、いかなる既知の方法によっても製造可能である。例えば、広範な商業使用における2つの経路である、いわゆる「硫酸塩」経路またはいわゆる「塩化物」経路が使用され得る。等しく、フッ化物法、水熱法、エアロゾル法または抽出法が二酸化チタンの製造において使用され得る。
【0159】
二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ結晶形のいずれかであってもよい。一つの実施形態では、二酸化チタンは、60%以上のような、例えば70%以上などの、50重量%以上の、好ましくは80%以上の、更に好ましくは90%以上の、最も好ましくは99%以上のような、例えば99.5%以上などの、95%以上のルチルである。
【0160】
二酸化チタンは白色であってもよく、または着色していてもよい。一つの実施形態では、二酸化チタンは実質的に白色であり;例えば、95超の明度値L*(CIE L*a*b色空間)、ここで、a*の値が5未満であり、b*の値が5未満である、を有してもよい。
【0161】
二酸化チタンは、例えば、8重量%以下のような、例えば5重量%以下などの、10重量%以下のレベルまで不純物を含み得る。これらの不純物は、不完全な精製から生じ、例
えば、鉄、シリカ、ニオビアまたは二酸化チタン担持フィード原料中に通常存在する他の不純物であり得る。
【0162】
好ましくは、二酸化チタンは、92重量%以上のような、例えば93重量%以上などの、90重量%以上のTiO含有量を有する。更に好ましくは、二酸化チタンは、99重量%以上のような、例えば99.5重量%以上などの、95重量%以上のTiO含有量を有する。
【0163】
ドープされた酸化チタンは、正孔と電子に対する再結合中心として作用する、不純物によりドーピングされている格子を有し得る。例えば、Cr、Mn、およびVがすべてドーパントとして使用されて、再結合を促進することができる。これらの不純物は、塩を、沈澱したスラリー/パルプに添加することにより、カ焼の前に塩の形で添加されがちである。あるいは、不純物は、制御された量でチタン鉱石から由来したものである可能性がある。使用されるドーパントの量は、耐久性メリットを色劣化に対してバランスをとらなければならないために、通常、2〜10ppmである。
【0164】
本発明では、粒子状材料は、好ましくは、3:1未満などの、4:1未満、更に好ましくは2:1未満のアスペクト比を有する。
【0165】
本発明では、粒子状材料は、0.40μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する。好ましくは、粒子状材料は、0.45μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する。好ましくは、平均結晶サイズは、0.50μm超またはそれに等しく、例えば0.55μm以上、更に好ましくは0.70μm以上のような、例えば0.80μm以上などの、0.60μm以上である。
【0166】
一つの実施形態では、NIR散乱性粒子状材料は、0.40μm超かつ1.20μmまでの、例えば0.45〜1.1μmの、更に好ましくは0.60〜1.0μmのような、例えば0.70〜1.00μmなどの、0.50〜1.1μmの平均結晶サイズを有する。
【0167】
別な実施形態では、粒子状材料は、0.40μm超かつ2.0μmまでの、例えば0.45〜1.8μmの、更に好ましくは0.60〜1.4μmなどの、0.50〜1.6μmの平均結晶サイズを有する。
【0168】
平均結晶サイズは、ラブアウトした試料の電子線顕微鏡法により、得られる電子線顕微鏡写真を像解析(例えば、KS300像アナライザーを用いた)して求められ得る。これは、199+/−6nmの認定されたサイズを持つラテックスNANOSPHERE(登録商標)の3200NISTからのサイズ標準を参照して認証され得る。
【0169】
慣用のルチル二酸化チタン顔料は、0.17〜0.29μmの平均結晶サイズを有し、一方、慣用のアナターゼ二酸化チタン顔料は、0.10〜0.25μmの平均結晶サイズを有する。
【0170】
結晶サイズは粒子サイズと区別される。粒子サイズは、それを使用する系中の顔料の分散の有効性に依存する。粒子サイズは、結晶サイズおよびミル掛け法、例えば乾式、湿式または抱合式のミル掛けなどの要素により決定される。慣用のルチル二酸化チタンの粒子サイズは0.25〜0.40μmであり、一方慣用のアナターゼTiOは0.20〜0.40μmの粒子サイズを有する。結晶が一緒に「塊化」するようなものである場合には、大きな粒子サイズを得ることができる。
【0171】
本発明では、粒子状材料は、好ましくは、X線沈降法により求めると0.40μm超の平均粒子サイズを有する。例えば、平均粒子サイズは、0.40μm超かつ1.2μmまでであってよい。好ましくは、平均サイズは、0.45〜1.1μmのような、例えば0.50〜1.0μmなどの、0.45μm超またはそれに等しく、より好ましくは0.60〜1.0μmである。
【0172】
本発明では、粒子状材料は、粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する。一つの実施形態では、粒子状材料は、粒子の40%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布など、粒子の35%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する。所定のサイズを有する粒子のパーセントに言及する本出願では、これは、重量パーセントであるように意図される。
【0173】
粒子サイズを測定するために、製品が好適な分散剤の存在において高剪断混合にかけられて、粒子を粉砕せずに分散させる。粒子サイズ分布は、X線ディスク遠心のブルックヘブンXDCを用いて測定される。平均粒子サイズ、および粒子サイズ幾何重量標準偏差が記録される。
【0174】
熟練者ならば認識するように、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンまたはこれらの組み合わせである粒子状材料がミル掛け段階を含む工程により作製される。好ましいミル掛け段階は、微細媒体ミルおよびサンドミルから選択されるミルの使用を含む。このようなミル中では、重力以外の手段により加速される微細磨砕媒体が使用されて、スラリー化された顔料凝集物をサブマイクロメートルサイズまで縮小する。
【0175】
次いで、ミル掛け段階から得られる粒子が被覆される。ミル掛け段階から得られる粒子は、シリカ、アルミナ、またはジルコニアなどの水和酸化物により被覆され得る。
【0176】
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、またはこれらの組み合わせである粒子状材料の被覆は、当業界で既知の慣用の顔料材料のそれと類似してもよい。それゆえ、被覆は、材料を水中に分散し、それに続いて硫酸アルミニウムなどの好適な塗膜試剤を添加することを含んでもよい。次いで、pHが調整されて、所望の水和酸化物の沈澱を生じさせて、材料の表面上に被膜を形成する。
【0177】
一つの実施形態では、被覆は、硫酸アルミニウムなどの好適な塗膜試剤を被覆対象の材料の水性スラリーに添加することを含んでよく;次いで、水性スラリーpHを調整して、所望の水和酸化物の沈澱を生じさせて、二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、またはこれらの組み合わせの表面上に被膜を形成する。
【0178】
被覆は、一般に、好適な塩を粒子状材料に酸性pH(例えば、ほぼ1から2のpH)または塩基性pH(例えば、ほぼ9.5から12のpH)のいずれかにおいて添加し、中和によって沈澱を生じさせることにより行われ得る。最初に、塩を添加し、引き続いてpHを調整してもよく:あるいは塩を添加する間にpHを調整してもよい。
【0179】
被膜形成後、例えば流体エネルギーミルまたは微粉末化機中で磨砕して、塗膜および/または乾燥段階により一緒にくっついた粒子を分離する前に材料を洗浄、乾燥してもよい。
【0180】
この最終ミル掛け段階においては、例えばポリオール、アミン、アルキルホスホン酸またはシリコーン誘導体による有機表面処理は、必要に応じて適用され得る。
【0181】
一つの実施形態では、粒子状材料は、特定のサイズ区分を選択的に除去するように処理されてもよい。例えば、5μm以上の直径であるいかなる粒子も除去されてもよく;一つ
の実施形態では、3μm以上の直径であるいかなる粒子も除去されよい。このような粒子は、例えば遠心分離処理により除去されてもよい。
【0182】
使用時に太陽に曝露される製品は、第3および第4の態様として、被覆された粒子状材料を1から60容量%のような、例えば2から50容量%などの、0.5から70容量%の量で含み得る。
【0183】
適用における被覆された粒子状材料のレベルは、意図した用途に依って適当に選択されてもよい。
【0184】
使用時に太陽に曝露される製品は、第3および第4の態様として、プラスチック製品(例えば、プラスチック容器)、インキ、被覆組成物(塗料および粉末被覆組成物を含む)、ルーフィング組成物(例えば、屋根板、タイル、または顆粒状被覆であってもよい)、地表被覆物組成物(道路表面製品、フローリング製品、自動車道路表面製品、駐車場表面製品、または舗装表面などの)、および日射反射性製品から選択され得る。
【0185】
一つの実施形態では、製品は塗料であり、被覆された粒子状材料を10〜30容量/容量%、例えば15〜20容量/容量%など5〜50容量/容量%の量で含んでもよい。
【0186】
一つの実施形態では、製品は、プラスチック製品であり、被覆された粒子状材料を0.5〜70容量/容量%の量で含んでもよく;例えばマスターバッチ中では50〜70容量/容量%もの高いレベルが可能であるか、望ましいことがあり、一方、ポリエチレン袋中では1〜3容量/容量%もの低いレベル望ましいことがある。
【0187】
一つの実施形態では、製品は、ルーフィング製品または地表被覆物製品用の被覆組成物であり、被覆された粒子状材料を1〜50容量/容量%の量を含んでもよい。
【0188】
使用時に太陽に曝露される製品は、第3および第4の態様として、一つの実施形態では有機または無機UV吸収剤または散乱剤を更に含んでもよい。このようなUV吸収材/散乱材の例としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)および超微細TiOが挙げられる。
【0189】
0.40μm超の平均結晶サイズを持つ二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン粒子状材料の作製は、下記の1つ以上が当てはまるように変成された、このような材料を得るための標準工程によるものであり得る。
a)カ焼を例えば1000℃以上などの、900℃以上の、標準よりも高い温度におけるものとする;
b)カ焼を例えば5時間以上の、標準よりも長い時間のものとする;
c)低減したレベルの成長調整剤を工程時に存在させ;例えば、それは成長調整剤を工程時に存在させないということもある;
d)成長促進剤を工程時に添加し;特に増加したレベルの成長促進剤を工程時に添加する;
e)カ焼装置フィードパルプ中のルチルシードレベルを低下させる。
【0190】
大きな結晶材料は、慣用の顔料と同一の方法で処理され得、例えば種々の添加物によって、塗料、プラスチック、アスファルトまたは他のビヒクルと混和性とされる。
【0191】
0.40μm超の平均結晶サイズを持つ二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタン粒子状材料を得るための工程は、
含チタン鉄フィード原料と硫酸とを反応させて、固体の水溶性反応ケーキを形成し;
ケーキを水および/または弱酸に溶解して、硫酸チタンの溶液を作製し;
溶液を加水分解して、硫酸チタンを二酸化チタン水和物に転換し;
沈澱した二酸化チタン水和物を溶液から分離し、カ焼して、二酸化チタンを得る
ことを含み、下記の1つ以上が当てはまるものであり得る。
a)カ焼を例えば1000℃以上などの、900℃以上の、標準よりも高い温度におけるものとする;
b)カ焼を例えば5時間以上の、標準よりも長い時間のものとする;
c)低減したレベルの成長調整剤を工程時に存在させ;例えば、それは成長調整剤を工程時に存在させないということもある;
d)成長促進剤を工程時に添加し;特に増加したレベルの成長促進剤を工程時に添加する;
e)カ焼装置フィードパルプ中のルチルシードレベルを低下させる。
次いで、二酸化チタン粒子状材料が被覆される。
【0192】
材料が被覆段階の前に好適にミル掛けされる。ミル掛けは、本発明の大きな結晶材料により特に容易に行われる。特に、材料は、実際的なミル掛けエネルギーにおいて破砕されるのが観察され得る。これは、付加的な作製の選択肢を提供し、サイズコントロールも容易にし得る。
【0193】
被覆は、材料を水中に分散し、それに続いて硫酸アルミニウムなどの好適な塗膜試剤を添加することにより行われ得る。次いで、pHを調整して、所望の水和酸化物の沈澱を生じさせて、材料の表面上に被膜を形成する。
【0194】
被膜形成後、例えば流体エネルギーミルまたは微粉末化機中で磨砕して、塗膜により一緒にくっついた粒子を分離する前に、材料を洗浄、乾燥してもよい。この最終ミル掛け段階においては、例えばポリオール、アミン、アルキルホスホン酸またはシリコーン誘導体による有機表面処理は、要求に応じて適用され得る。
【0195】
一つの実施形態では、このように得られる二酸化チタン粒子状材料は、特定のサイズ区分を選択的に除去するように処理されてもよい。
【0196】
本明細書では、「平均」は、特記しない限り統計的な意味を指す。特に、平均サイズを指すときには、これは、「幾何学的な容積平均サイズ」を指すように意図されている。
【0197】
本発明は、図示のみにより、次の非限定的な実施例によりさらに述べられる。
【実施例】
【0198】
PVC=顔料容積濃度;pvc=ポリ塩化ビニル
実施例1A:大きな結晶のTiOの製造
1.1方法
含チタン鉄フィード原料を濃硫酸と共に温浸し、得られるケーキを溶解して、慣用のTiO顔料の方法による黒色硫酸塩液を形成した。引き続いて、この「黒色液」をブルーメンフェルド法により加水分解して、水和二酸化チタンを沈澱させた。このパルプに0.3%のブルーメンフェルド種(当分野の技術によれば、上述の水和二酸化チタンの一部を濃水酸化ナトリウム溶液中で消化し、生成したチタン酸ナトリウムと塩酸とを引き続いて反応させることにより、作製される)を添加した。このパルプに0.05重量/重量%のAlと0.2重量/重量%のKOを更に添加した。次いで、温度をほぼ1000℃まで1℃/分の速度で昇温することにより、添加パルプを焼成した厳密な温度を選択して、0.1と3%の間のアナターゼレベルを確保する。焼成の前に、場合によっては硫酸マンガンを<0.2%の濃度でドーパントとして使用してもよい。
【0199】
i)ラブアウトした試料の電子線顕微鏡写真を得、引き続いてKS300像アナライザーを用いて像を解析して、重量平均結晶サイズを得;およびii)X線回折パターンを測定して、%ルチルを得ることにより、得られる製品をキャラクタリゼーションした。
【0200】
1.2結果
透過電子顕微鏡法に測定し、続いてKS300(Carl Zeiss)を用いて像分析することにより、平均結晶サイズは0.79であり、幾何重量標準偏差は1.38であると判明した。ルチル含有量は99%であると判明した。
【0201】
実施例1B:大きな結晶のTiOの製造
1.1方法
a)メックレンブルグ沈澱を用いる出発材料の製造
含チタン鉄フィード原料を濃硫酸と共に温浸し、得られるケーキを溶解して、硫酸チタンの溶液を作製した。引き続いて、アナターゼ核を慎重に添加する(「メックレンブルグ」法)ことにより、この硫酸チタンを加水分解した。この水和酸化チタンパルプを出発材料として使用した。
【0202】
b)水和材料からの大きな結晶のTiOの形成
パルプを洗浄し、浸出させた。0.2%のKOと0.2%のAl(重量/重量%)をTiOに添加した。次いで、このパルプをロータリーキルン中で焼成した。温度を1℃/分の速度で1030℃まで上昇させた。次いで、この試料を1030℃で30分間保持し、その後冷却した。
【0203】
c)キャラクタリゼーション
電子顕微鏡写真の目視評価によりサイズについて、およびX線回折により%ルチルについて、得られたTiOをキャラクタリゼーションした。
【0204】
1.2結果
得られたTiOは、>0.5μmの平均結晶サイズ、>1μmの平均粒子サイズ、および99%の%ルチルを有していた。
【0205】
図1に電子顕微鏡写真を示す。
【0206】
実施例1C:大きな結晶のTiOの製造
1.1方法
a)メックレンブルグ沈澱を用いる水和材料の製造
含チタン鉄フィード原料を濃硫酸と共に温浸し、得られるケーキをより希薄な硫酸溶液に溶解して、硫酸チタンの溶液を作製した。引き続いて、この硫酸チタンを加熱して、水和酸化チタンを沈澱させ、微細なアナターゼ結晶を添加する(「メックレンブルグ」法)ことにより、沈澱の種を形成した。この水和酸化チタンパルプを水和材料として使用した。
【0207】
b)水和材料からの大きな結晶のTiOの形成
このパルプを濾過し、洗浄した。次いで、硫酸カリウムと硫酸アルミニウム溶液をパルプに添加して、0.2%のKOと0.2%のAl(TiO上の重量/重量%として表した)を得た。次いで、このパルプを乾燥し、ロータリーキルン中で焼成した。焼成時、温度を1℃/分の速度で1030℃まで昇温した。次いで、この試料を1030℃で30分間保持し、その後冷却した。焼成の前に、硫酸マンガンをドーパントとして使用してもよい。
【0208】
c)キャラクタリゼーション
i)ラブアウトされた試料の電子線顕微鏡写真を得、引き続いてKS300像アナライザー(Carl Zeiss)を用いて像を解析して、重量平均結晶サイズを得;およびii)X線回折パターンを測定して、%ルチルを得ることにより、得られるTiOをキャラクタリゼーションした。
【0209】
1.2結果
得られたTiOは、>0.5μmの重量結晶サイズおよび99%の%ルチルを有していた。
【0210】
実施例2:反射スペクトルの測定
2.1方法
実施例1Bで作製した大きな結晶ルチル試料を50重量/重量%(20容量/容量%)の量でボールミルにかけ、アルキッド塗料樹脂の中に加えた。ボールミル掛の後、#3Kバーを用いて、塗料を黒色基材にかぶせてドローダウンした。積分球付きのNIR/vis分光計により黒色基材上の反射を記録した。
【0211】
2.2結果
大きな結晶ルチルのスペクトルは、入手可能な慣用のTiO顔料と比較して、可視(400−700nm)において低反射を、NIR(700−2500nm)において高反射を示した。
【0212】
図2に実施例1Bの試料のスペクトル、ならび慣用のTiO(Tioxide(登録商標) TR81、Huntsman Pigments Divisionから市販されている)および黒色基材に対するスペクトルを示すグラフを示す。
【0213】
実施例3A:被覆された大きな結晶のTiOの製造
レイモンドミルを用いて、実施例1AからのTiOを最初に乾式ミル掛けする。次いで、それを350gplまでスラリー化し、オタワサンドを入れた微細な媒体ミル中で30分間ミル掛けする。次いで、サンドをスラリーから分離する。
【0214】
次いで、得られたスラリー(ブルックヘブンX線ディスク遠心機により測定して粒子サイズ0.87:幾何重量標準偏差1.44)を緻密なシリカおよびアルミナにより被覆する。この際、TiOスラリーを攪拌タンクの中に導入し、温度を75℃まで昇温し、pHを10.5に調整する。1.0%のシリカ(TiO上の重量/重量)をケイ酸ナトリウムとして30分にわたって添加し、30分間混合する。硫酸を60分にわたって添加して、pHを8.8とし、次いで35分にわたってpHを1.3とする。次に、0.6%のアルミナを苛性アルミン酸ナトリウムから25分にわたって添加して、pHを10.25とし:それを20分間混合する。最終的に、硫酸を添加することにより、pHを6.5に調整する。次いで、被覆された製品を洗浄、乾燥し、その後で流体エネルギーでミル掛けする。
【0215】
IR反射性製品を次の通りキャラクタリゼーションする。
粒子サイズ:この製品を好適な分散剤の存在において高剪断混合にかけて、粒子を粉砕なしで分散させる。X線ディスク遠心のブルックヘブンXDCを用いて、粒子サイズ分布を測定する。平均粒子サイズ、および粒子サイズ幾何重量標準偏差を記録する。
【0216】
結晶サイズ:この製品の小さい試料を分散し、任意の好適なラブアウト法で剪断にかける。得られるペーストを顕微鏡載物台上にたらし、蒸発させ、その後Jeol (登録商標)JEM 1200EX透過電子顕微鏡で評価する。Carl Zeiss KS300像分析ソフトウエアを用いて、平均結晶サイズ、および結晶サイズ幾何重量標準偏差を評
価する。
【0217】
この試料を加速ウエザリングにかけ、実施例7に述べる方法を用いて、0.68の耐久性比を測定した。
【0218】
実施例3B:被覆された大きな結晶のTiOの製造
方法
レイモンドミルを用いて、実施例1CからのTiOを最初に乾式ミル掛けする。次いで、それを350gplまでスラリー化し、オタワサンドを入れた微細な媒体ミル中で30分間ミル掛けする。次いで、サンドをスラリーから分離する。
【0219】
次いで、得られるスラリーを緻密なシリカおよびアルミナにより被覆する。この際、TiOスラリーを攪拌タンクの中に導入し、pHを10.5に調整する。3.0%のシリカ(TiO上の重量/重量)をケイ酸ナトリウムとして30分にわたって添加し、30分間混合する。硫酸を60分にわたって添加して、pHを8.8とし、次いで35分にわたってpHを1.3とする。次に、2.0%のアルミナを苛性アルミン酸ナトリウムから25分にわたって添加して、pHを10.25とし:それを20分間混合する。最終的に、硫酸を添加することにより、pHを6.5に調整する。
【0220】
次いで、被覆された製品を洗浄、乾燥し、その後で流体エネルギーでミル掛けする。
【0221】
実施例4A:黒色塗料中での大きな結晶のTiOの使用
実施例1Aの製品をアクリル塗料系において評価した。
方法
アクリル樹脂、湿潤および分散添加物、溶剤、および着色剤を用いて、着色剤コンセントレートを作製する。着色剤は、カーボンブラックまたはNIR透明な黒色着色剤(例えばBASF(登録商標)paliogen black、S0084)であることができる。
【0222】
【表1】

【0223】
この着色剤コンセントレートをスチールガラス小球によりミル掛けする。これから、着色したアクリル樹脂溶液を作製する。
【0224】
【表2】

【0225】
試験対象の顔料を着色したアクリル樹脂溶液の一部に添加して、ミルベースを作る。顔料の量を変えて、異なる顔料容積濃度(pvc)を得る。次いで、この着色したアクリルミルベースを2分間ミル掛けし、次いで、更なる量の着色したアクリル樹脂溶液により塗料化する。
【0226】
次いで、そのゲージが公称の湿潤膜厚を決定する、ワイヤ巻きアプリケーターを用いて、試験塗料を不透明性チャートに塗布する。溶剤を蒸発させ、次いでパネルを105℃で30分間乾燥する。
【0227】
積分球と400−2600nmの波長範囲を持つUV/vis/NIR分光光度計を用いて、反射スペクトルを測定する。ASTME903に述べられている方法にしたがって、全日射反射をこのデータから計算する。D65光源下のL*、a*およびb*もこのデータから計算する。図3および4に結果を示す。ロレンスバークレイSRI計算機のL*40でこの値を置き換えることにより、図4中の例に対して次の結果を得た(基準:ASTM1980規格)。
【0228】
【表3】

【0229】
実施例4B:塗料の製造
着色塗料を製造するために、実施例1Bで作製した大きな結晶ルチル試料を約15%容量/容量の量でアルキッド塗料樹脂の中にボールミルで加え、非白色着色剤を約1%容量/容量の量で添加する。
【0230】
使用され得る非白色着色剤は、(i)クロムチタネートイエロー、(ii)ニッケルチタネートイエロー、(iii)ペリレンブラック、(iv)合成弁柄、(v)銅フタロシアニン、および(vi)キナクリドンレッドである。
【0231】
実施例4C:塗料の製造
実施例3Bからの被覆TiOを使用して、改善された塗料製品を作製する。この関連で、実施例3Bで作製した被覆された大きな結晶ルチル試料をアルキッドメラミンホルムアルデヒドベースの塗料の中に約23%容量/容量の量で組み込む。
【0232】
耐久性をAtlas C165aウエザロメーター(登録商標)で測定し、2000時間の曝露にわたる重量損失として評価する。
【0233】
実施例5:錯体無機着色顔料を用いる場合のPVCuにおけるメリット
全顔料容積濃度を一定に保つような、一連の二酸化チタンおよびPigment Green17の濃度によりPVCプラークを作製した。
【0234】
【表4】

【0235】
【表5】

【0236】
慣用の顔料TiOおよび実施例1Aの方法を用いて得られる材料の2つのタイプのTiOのそれぞれに対して、この実験を行う。使用されるこの材料は、0.97ミクロンの平均結晶サイズおよび0.85ミクロンの平均粒子サイズを有するものであった(その結晶サイズによりミル掛けした)。pvcプラークを次のように作製する。
*クリプトピアレス型ミキサーを用いて、ドライブレンドを作製する。
*J.R.Dare二本ロールミル(155℃フロントローラーおよび150℃リアローラー)を使用して、pvcを作製する。
*得られるpvcを165℃で3分間予熱し、次いで15トン/inで2分間プレスする。
【0237】
積分球と400−2600nmの波長範囲を持つUV/vis/NIR分光光度計を用いて、反射スペクトルを測定する。ASTME903に述べられている方法にしたがって
、全日射反射をこのデータから計算する。D65光源下のL*、a*およびb*もこのデータから計算する。図5および6に結果を示す。
【0238】
グラフは、慣用の二酸化チタンに対して、本発明のチタニアが低い可視の着色低下を呈し、所定のL*に達するのに高濃度の使用が可能となるということを示す。結果として、高濃度を使用してもよく、所定のL*において改善された日射反射を得る。
【0239】
ロレンスバークレイSRI計算機のL*40においてこの値を使用して、図6中の例に対して次の結果を得た(基準:ASTM1980規格)。
【0240】
【表6】

【0241】
実施例6:カーボンブラック着色PVC−uにおけるメリット
容積比(二酸化チタン:カーボンブラック)によりPVCプラークを作製する。樹脂100部当りのTiOの部数を5%に固定し、カーボンブラックを0.100%、0.050%、0.010%および0.005%のphrとなるように変動させる。
【0242】
慣用の顔料TiOおよび実施例1Aの方法を用いて得られる材料の2つのタイプのTiOのそれぞれに対して、この実験を行う。
【0243】
【表7】

【0244】
クリプトピアレス型ミキサーを用いて、ドライブレンドを作製する。J.R.Dare二本ロールミル(155℃フロントローラーおよび150℃リアローラー)を使用して、pvcを作製する。得られるpvcを165℃で3分間予熱し、次いで15トン/inで2分間プレスする。図7に結果を示す。
【0245】
【表8】

【0246】
実施例7:乾燥アルキッドメラミンホルムアルデヒド塗料における耐久性メリット
下記のミルベースを16時間ボールミル掛けする。
【0247】
【表9】

【0248】
15gの60%の市販のアルキッド樹脂を添加することにより、ミルベースを安定化し、30分間転動する。転動後、24.3gの60%のアルキッド樹脂と15.3gの60%の市販のメラミンホルムアルデヒド樹脂を更に添加する。得られる塗料を更に30分間転動し、その後デカンテーションし、放置して、15分間脱気する。
【0249】
脱脂したスチールパネルを秤量し、試験対象の塗料を試験パネルの前面にスピンコートする。塗料を最低60分間とばし、その後150℃で30分間乾燥する。充分な塗料を塗布して、少なくとも40μmの乾燥膜厚を得る。次いで、パネルを再秤量する。
【0250】
パネルをAtlas Ci65aウエザロメーター(登録商標)中で合計3000時間曝露し、測定のために250時間ごとに取り出し、その後更なる曝露のためにウエザロメーターに戻す。
【0251】
試験顔料について、標準顔料についての対応する点に対して各測定時間における重量損失をプロットする。最小二乗法によるフィッティングを使用して、耐久性比のDRである、勾配を求める。卓越した耐候性を示す、小さいDRが好ましい。図8および下記の表に結果を示す。
【0252】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料と;
1種以上の非白色着色剤
を含み、
粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物。
【請求項2】
NIR散乱性粒子状材料が無機酸化物、水酸化物、およびこれらの組み合わせから選択される無機被膜により20重量/重量%までのレベルで被覆されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
NIR散乱性粒子状材料が0.50μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
NIR散乱性粒子状材料が0.60μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
NIR散乱性粒子状材料が0.70μmから1.20μmの平均結晶サイズを有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が0.5から70容量%の量のNIR散乱性粒子状材料を含む、請求項1から5のいずれか一に記載の組成物。
【請求項7】
着色剤がクロムチタネートイエロー、ニッケルチタネートイエロー、合成弁柄、ペリレンブラック、銅フタロシアニン、およびキナクリドンレッドから選択される、請求項1から6のいずれか一に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が0.1〜20容量%の量の非白色着色剤を含む、請求項1から7のいずれか一に記載の組成物。
【請求項9】
着色組成物がプラスチック組成物;塗料;粉末被覆;インキ;テキスタイル成分;テキスタイル処理組成物;皮革処理組成物;ルーフィング製品用の組成物または地表被覆物製品用の組成物である、請求項1から8のいずれか一に記載の組成物。
【請求項10】
日射反射率および非白色の色を有する単一塗膜被覆を提供するための、請求項1から9のいずれか一に記載の組成物の使用。
【請求項11】
日射反射率および非白色の色を有する物品を製造するための、請求項1から9のいずれか一に記載の組成物の使用。
【請求項12】
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズを有し、ならびに粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有して、暗色または濃色の組成物の日射反射レベルを増加させる、NIR散乱性粒子状材料の使用。
【請求項13】
暗色または濃色の組成物に対して20%以上の全日射反射率を得るために、NIR散乱性粒子状材料が使用される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一に記載の組成物を含む、物品。
【請求項15】
ルーフィング表面;容器;塗装物品;車両;建築物;テキスタイル;皮革製品;コンクリート表面;道路表面;フローリング製品;自動車道路表面;駐車場表面;舗装表面;粉末被覆物品;またはプラスチック物品である、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
被覆された粒子材料であって、
(i)材料が二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され;
(ii)材料が0.40μm超の平均結晶サイズを有し;ならびに
(iii)被覆が1種以上の酸化物材料を含み、当該材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である、1種以上の元素酸化物であり、被覆製品が実質的に白色である、被覆された粒子状材料。
【請求項17】
被覆された粒子状材料が
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料と;
1種以上の非白色着色剤
を含み、
粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物中に提供される、請求項16に記載されている材料。
【請求項18】
被膜がAl、SiO、ZrO、CeO、およびPから選択される酸化物材料である、請求項17に記載されている材料。
【請求項19】
被覆された粒子状材料が
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびこれらの組み合わせから選択され、0.40μm超の平均結晶サイズ、および粒子の30%以上が1μm未満であるような粒子サイズ分布を有する、NIR散乱性粒子状材料と;
1種以上の非白色着色剤
を含み、粒子状材料と非白色着色剤がビヒクル内で分散されている、着色組成物中に提供されない、請求項16に記載されている材料。
【請求項20】
二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびこれらの組み合わせから選択される材料の光触媒活性を低下させるための、
(i)0.40μm超の平均結晶サイズ;および
(ii)1種以上の酸化物材料を含み、材料が
(a)Ti、ZrおよびZnから選択される、4(IVB)族および12(IIB)族の遷移金属および/または
(b)Si、Al、PおよびSnから選択される13−15(IIIA−VA)族のpブロック元素および/または
(c)ランタナイド
である、1種以上の元素酸化物である、被覆
の使用。
【請求項21】
使用時に太陽に曝露される製品の耐久性および/または寿命を改善するための請求項16から19のいずれか一に記載の材料の使用。
【請求項22】
請求項16から19のいずれか一に記載の材料を含む、使用時に太陽に曝露される製品。
【請求項23】
使用時に太陽に曝露される製品がプラスチック製品、インキ、塗料と他の被覆組成物、ルーフィング組成物、地表被覆物組成物、および日射反射性製品から選択される、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載の製品。
【請求項24】
使用時に太陽に曝露される製品が有機または無機のUV吸収剤または散乱剤を更に含む、請求項21から23のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項25】
酸化物材料を含む2つ以上の被膜が使用されている、請求項16から24のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項26】
粒子用の被膜がSiの酸化物を含む層と、Alの酸化物を含む層を含む、請求項16から25のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項27】
粒子状材料が0.50μm超またはそれに等しい平均結晶サイズを有する、請求項16から26のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項28】
粒子状材料が0.50μmから2μmの平均結晶サイズを有する、請求項27に記載の製品または使用。
【請求項29】
製品が95超の明度値L*、ここでa*の値が5未満であり、b*の値が5未満である、を有する、請求項16から28のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項30】
粒子状材料中に含まれるいかなる着色酸化物材料も0.5重量%以下の量で存在する、請求項16から29のいずれか一に記載の製品または使用。
【請求項31】
粒子状材料が4:1未満のアスペクト比を有する、請求項16から30のいずれか一に記載の製品または使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−522910(P2011−522910A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507979(P2011−507979)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001096
【国際公開番号】WO2009/136141
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510286008)テイオキサイド・ユーロプ・リミテツド (6)
【Fターム(参考)】