説明

二酸化炭素の吸着脱離方法

【課題】酸素存在下において、二酸化炭素を選択的に吸着脱離できる二酸化炭素の吸着脱離方法及び吸着脱離装置を提供する。
【解決手段】不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る工程Aと、該工程Aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る工程Bと、を含む二酸化炭素の吸着脱離方法;不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る手段aと、該手段aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る手段bと、を含む二酸化炭素の吸着脱離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の吸着脱離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の吸着脱離方法としては、2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノンと、アミノ基を有する化合物とを配位子とした金属錯体を用いる、電気化学的な酸化還元による方法が知られている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】R.Nobleら、J.Electrochemical.Soc. 2003, 150(5), D91−D98.
【非特許文献2】R.DuBoisら、Inorganic.Chem.2005, 44, 3046−3056.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した二酸化炭素の吸着脱離方法は、酸素存在下において、二酸化炭素を選択的に吸着脱離することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、酸素存在下においても、二酸化炭素を選択的に吸着脱離できる二酸化炭素の吸着脱離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。即ち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
【0007】
[1] 不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る工程Aと、
該工程Aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る工程Bと、
を含む二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0008】
[2] 前記工程Aが、不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程の後に行われる、[1]に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0009】
[3] 前記工程Aが、不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程と同時に行われる、[1]に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0010】
[4] 前記不対電子を有する物質の還元が、電解還元である、[2]又は[3]に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0011】
[5] 前記二酸化炭素吸着体の酸化が、電解酸化である、[1]〜[4]のいずれかに記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0012】
[6] 前記不対電子を有する物質が、下記式(1)で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【0013】
【化1】

[式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換されてもよいヒドロカルビル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、ホルミル基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基、又は、置換されてもよいアミノカルボニル基を表すか、R1とR2とが一体となって環を形成してもよい。]
【0014】
[7] 不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る手段aと、
該手段aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る手段bと、
を含む二酸化炭素の吸着脱離装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の二酸化炭素の吸着脱離方法によれば、酸素存在下において、二酸化炭素を選択的に吸着脱離することができる。これにより、例えば、各種産業、一般家庭等から排出される気体から、二酸化炭素を効率的に除去することが可能となり、地球温暖化問題の解決に貢献する。
また、本発明の二酸化炭素の吸着脱離方法の好ましい実施形態では、二酸化炭素を吸着及び脱離するために必要なエネルギーが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について説明する。
【0017】
<用語>
まず、本明細書において使用する用語について説明する。
「TEMPO」とは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシドを意味する。
「置換されていてもよい」とは、その直後に記載された化合物又は基を構成する水素原子が無置換の場合及び水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の双方を含む。置換基によって置換されている場合の置換基としては、特に説明がない限り、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビルアミノ基、炭素原子数3〜30のヘテロアリール基、炭素原子数1〜7のスルホニル基、炭素原子数1〜14のアミド基を意味し、これらの中でも、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、炭素原子数3〜16のヘテロアリール基であり、より好ましくは炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数3〜8のヘテロアリール基であり、更に好ましくは炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基である。ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、及びヒドロカルビルアミノ基等の置換基はそれぞれ、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよい。
【0018】
置換基であるハロゲン原子としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
【0019】
置換基であるヒドロカルビル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれでもよい。このヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、アンモニウムエチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、フェニル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基である。
【0020】
置換基であるヒドロカルビルオキシ基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれでもよい。このヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロパノキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アンモニウムエチトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α−ジメチルベンジロキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基である。
【0021】
置換基であるヒドロカルビルアミノ基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれでもよい。このヒドロカルビルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1−プロピルアミノ基、2−プロピルアミノ基、1−ブチルアミノ基、2−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、1−アダマンチルアミノ基、2−アダマンチルアミノ基、ノルボルニルアミノ基、アンモニウムエチルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、α,α−ジメチルベンジルアミノ基、2−フェネチルアミノ基、1−フェネチルアミノ基、フェニルアミノ基、アルコキシフェニルアミノ基、アルキルフェニルアミノ基、1−ナフチルアミノ基、2―ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基が挙げられ、好ましくは、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1−プロピルアミノ基、2−プロピルアミノ基、1−ブチルアミノ基、2−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基であり、更に好ましくは、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1−プロピルアミノ基、2−プロピルアミノ基、1−ブチルアミノ基、2−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基である。
【0022】
置換基であるヘテロアリール基としては、例えば、ピロール基、フリル基、チエニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、チアゾイル基、イミダゾイル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ベンゾフリル基、インドイル基、キノリル基、キナゾリル基、プリン基が挙げられ、好ましくは、ピロール基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、イミダゾイル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、インドイル基、キノリル基、キナゾリル基、プリン基であり、更に好ましくは、ピロール基、イミダゾイル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、インドイル基、プリン基である。
【0023】
置換基であるスルホニル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれでもよい。このスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、トリルスルホニル基、2−ニトロフェニルスルホニル基が挙げられ、好ましくは、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、トリルスルホニル基であり、更に好ましくは、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基である。
【0024】
<二酸化炭素の吸着脱離方法>
本発明の二酸化炭素の吸着脱離方法は、
不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る工程Aと、
該工程Aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る工程Bと、
を含む。
【0025】
・工程A
工程Aは、二酸化炭素の存在下で行われるが、二酸化炭素のみの存在下で行われてもよいし、二酸化炭素を含む混合物(例えば、混合ガス)の存在下で行われてもよい。
二酸化炭素を含む混合ガスに含まれる二酸化炭素以外のガスとしては、例えば、酸素および/または窒素があげられる。混合ガス中の二酸化炭素の量は、二酸化炭素以外のガスの合計量100000000体積部に対して、通常1体積部以上であり、好ましくは10体積部以上であり、より好ましくは100体積部以上である。混合ガス中の二酸化炭素の量の上限は、二酸化炭素以外のガスの合計量100000000体積部に対して、通常、20000000体積部であり、好ましい上限は10000000体積部である。二酸化炭素を含む混合ガスが酸素と窒素とを含む場合、酸素と窒素との体積比率(酸素/窒素)は通常0を超え1以下の範囲であり、好ましくは0.1〜0.8の範囲である。
【0026】
工程Aにおいて、不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させる方法としては、例えば、不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を含む混合物を接触させる方法が挙げられる。より詳細には、不対電子を有する物質の還元体に直接二酸化炭素を含む混合物を吹き付ける方法;不対電子を有する物質の還元体を溶媒に溶解させて溶液を調製し、この溶液に二酸化炭素又は二酸化炭素を含む混合物を吹き込む方法;不対電子を有する物質の還元体を溶媒と混合して、スラリー状態とし、そこに、二酸化炭素又は二酸化炭素を含む混合物を吹き込む方法が好ましい。これらの方法により、二酸化炭素吸着体が得られる。
【0027】
工程Aは、
[実施形態1]不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程の後に行われてもよいし、
[実施形態2]不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程と同時に行われてもよいが、
二酸化炭素の吸着初期において吸着能を有する不対電子を有する物質の還元体の存在比率がより高くなり、工程Aにおける二酸化炭素の吸着率がより優れるので、[実施形態1]が好ましい。
【0028】
[実施形態1]は、下記式(A−1)〜(A−2)で表される。
【0029】
【化2】

(式中、Rは、不対電子を有する物質を表す。)
【0030】
[実施形態2]は、下記式(AA)で表される。
【0031】
【化3】

(式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
【0032】
[実施形態1]は、不対電子を有する物質を一電子還元することでアニオン種(不対電子を有する物質の還元体)を形成し(A−1)、形成されたアニオン種に二酸化炭素を固定させることで吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る(A−2)方法である。
【0033】
[実施形態2]は、不対電子を有する物質を一電子還元することでアニオン種(不対電子を有する物質の還元体)を形成しながら、同時に、形成されたアニオン種に二酸化炭素を固定させることで吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る(AA)方法である。
【0034】
前記不対電子を有する物質の還元は、例えば、電解還元を用いた反応、還元剤を用いた反応により行うことができるが、電解還元を用いた反応により行うことが好ましい。
【0035】
電解還元では、通常、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって還元電位を測定し、測定された還元電位に基づき定電位電解を行うことで、不対電子を有する物質を還元する。その際の電圧は、通常、0V以下である。
【0036】
電解還元の反応温度は、通常、−5℃以上であり、二酸化炭素の溶解性が良好になるので、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは5〜50℃であり、更に好ましくは5〜40℃である。電解還元において、後述の溶媒を用いる場合には、電解還元の反応温度は、溶媒の沸点以下であることが好ましい。
【0037】
電解還元は、常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。電解還元の進行は、電流値測定、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、紫外分光測定法(UV)、赤外分光測定法(IR)、電子スピン共鳴測定法(ESR)、核磁気共鳴分光測定法(NMR)等の分析手段により、確認することができる。
【0038】
電解還元を行う際に、支持電解質を使用してもよい。支持電解質としては、例えば、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−エチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−プロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ヘキサデシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−オクチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−エチルアンモニウムパークロレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムパークロレート、テトラオクタデシルアンモニウムパークロレート等の四級アンモニウム塩;1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1、3−ジメトキシイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1、3−ジエトキシイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1、3−ジメトキシイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1、3−ジエトキシイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート等のイオン性液体;リチウムパークロレート、ナトリウムパークロレート、カリウムパークロレート、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられ、好ましくは、四級アンモニウム塩、無機塩、水酸化物である。
【0039】
電解還元において、支持電解質は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0040】
電解還元において、支持電解質を使用する場合、不対電子を有する物質100重量部に対して、支持電解質の割合は、通常、0.01重量部以上であり、その上限は、通常、1000重量部であり、好ましい上限は、500重量部である。
【0041】
電解還元において、不対電子を有する物質は、固体、液体、溶液、膜、粉末、ペレット、ゾル、ゲルのいずれの状態で使用してもよいが、好ましくは溶液として使用する。
【0042】
溶液として使用する場合、その溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系炭化水素溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;アセトン、n−ブチルメチルケトン、tert−ブチルメチルケトン等の脂肪族ケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリドン、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸プロピレン等のエステル系溶媒が挙げられ、好ましくは、脂肪族溶媒、芳香族溶媒、ハロゲン系炭化水素溶媒、ニトリル溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、アルコール類、エーテル系溶媒、酢酸、ピリドン、エステル系溶媒であり、より好ましくは、芳香族溶媒、ハロゲン系炭化水素溶媒、ニトリル溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、アルコール類、エーテル系溶媒、酢酸、エステル系溶媒であり、更に好ましくは、ハロゲン系炭化水素溶媒、ニトリル溶媒、アルコール類、エーテル系溶媒、酢酸である。
【0043】
電解還元において、溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0044】
電解還元において、溶媒を使用する場合、不対電子を有する物質100重量部に対して、溶媒の割合は、通常、0.01重量部以上であり、その上限は、通常、5000重量部であり、好ましい上限は、1000重量部である。
【0045】
不対電子を有する物質は、単体でも化合物でもよいが、通常、化合物である。この化合物としては、例えば、脂肪族化合物、芳香族化合物、複素環式化合物、ハロゲン化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、カルボニル化合物、アミン化合物、アゾ化合物、ニトロ化合物、アミノ酸化合物、ペプチド化合物および核酸化合物からなる群から選ばれる化合物から1電子或いはプロトンと1電子を取り除いた化合物、ニトロキシド化合物、これらの化合物を多量化又は複合化させて得られる化合物が挙げられる。好ましくは、脂肪族化合物、芳香族化合物、複素環式化合物、アミン化合物、アミノ酸化合物、ペプチド化合物および核酸化合物からなる群から選ばれる化合物から1電子或いはプロトンと1電子を取り除いた化合物、ニトロキシド化合物であり、より好ましくは、脂肪族化合物、芳香族化合物、複素環式化合物およびアミン化合物からなる群から選ばれる化合物から1電子或いはプロトンと1電子を取り除いた化合物、ニトロキシド化合物であり、更に好ましくは、芳香族化合物および複素環式化合物からなる群から選ばれる化合物から1電子或いはプロトンと1電子を取り出した化合物、ニトロキシド化合物である。
【0046】
不対電子を有する物質は、不対電子の安定性が優れるので、前記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0047】
式(1)中、R1及びR2で表される置換されていてもよいヒドロカルビル基におけるヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基;エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素原子数2〜30の直鎖状、分岐状、及び環状のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、2−ペンチニル基、4−メチル−2−ペンチニル基等の炭素原子数2〜30の直鎖状、及び分岐状のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等の炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられ、好ましくは、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基、炭素原子数2〜20の直鎖状、分岐状、及び環状のアルケニル基、炭素原子数2〜20の直鎖状、及び分岐状のアルキニル基、炭素原子数6〜25のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基、炭素原子数2〜10の直鎖状、分岐状、及び環状のアルケニル基、炭素原子数2〜10の直鎖状、及び分岐状のアルキニル基、炭素原子数6〜20のアリール基であり、更に好ましくは、炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基、炭素原子数2〜6の直鎖状、分岐状、及び環状のアルケニル基、炭素原子数2〜6の直鎖状、及び分岐状のアルキニル基、炭素原子数6〜14のアリール基である。
【0048】
式(1)中、R1及びR2で表される置換されてもよいヘテロアリール基におけるヘテロアリール基としては、例えば、ピロール基、フリル基、チエニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、チアゾイル基、イミダゾイル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ベンゾフリル基、インドイル基、キノリル基、キナゾリル基、プリル基、プテリジニル基、トリアゾニル基、テトラゾニル基等の炭素原子数1〜30のヘテロアリール基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜25のヘテロアリール基であり、より好ましくは炭素原子数1〜20のヘテロアリール基であり、更に好ましくは炭素原子数1〜10のヘテロアリール基である。
【0049】
式(1)中、R1及びR2で表される置換されていてもよい炭化水素オキシ基における炭化水素オキシ基としては、R1及びR2で表される置換されていてもよいヒドロカルビル基にオキシ基を結合させてなる基が挙げられ、好ましい例も同様である。
【0050】
式(1)中、R1及びR2で表される置換されてもよい炭化水素カルボニル基における炭化水素カルボニル基としては、R1及びR2で表される置換されていてもよいヒドロカルビル基にカルボニル基を結合させてなる基が挙げられ、好ましい例も同様である。
【0051】
式(1)中、R1及びR2で表される置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基における炭化水素オキシカルボニル基としては、R1及びR2で表される置換されていてもよいヒドロカルビル基にオキシカルボニル基を結合させてなる基が挙げられ、好ましい例も同様である。
【0052】
1及びR2は、好ましくは、置換されてもよいヒドロカルビル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、ホルミル基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基、置換されてもよいアミノカルボニル基であり、より好ましくは、置換されてもよいヒドロカルビル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基であり、更に好ましくは、置換されてもよいヒドロカルビル基、置換されてもよいヘテロアリール基である。また、R及びRとが一体となって環を形成していることが好ましい。
【0053】
式(1)で表される化合物としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
【0054】
【化4】

[式(2)中、
Zは、-(CR)n-、-(CR10)-O-、-(CR1112)-NR21-、-(CR1314)-O-(CR1516)-または-(CR1718)-NR22-(CR1920)-を表す。
nは、2または3を表す。
,R,R,R,R、R、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。複数存在するRは同一であっても異なっていてもよく、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。]
【0055】
式(2)で表される化合物としては、R,R,RおよびRからなる群から選ばれる1つ以上が置換基である化合物が好ましく、2つ以上が置換基である化合物がより好ましい。
【0056】
式(2)中、R,R,R,R,R、R、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20における置換基としては、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜10のヒドロカルビルオキシ基、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、カルボキシル基、チオール基、置換されていてもよいシリル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアミノ基である。
20およびR21における置換基としては、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基が好ましい。
【0057】
式(2)中、Zとしては、-(CR)n-、-(CR1314)-O-(CR1516)-または-(CR1718)-NR22-(CR1920)が好ましく、-(CR)n-がより好ましい。
【0058】
上記の置換基のうち、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜10のヒドロカルビルオキシ基の具体例は、<用語>の項に記載の具体例と同様である。
置換のシリル基の炭素数は通常1〜20である。置換のシリル基の具体例としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリストリメチルシリル基があげられる。
置換のアミノ基の炭素数は通常1〜30である。置換のアミノ基としては、<用語>の項に記載の炭素数1〜30のヒドロカルビルアミノ基があげられる。
【0059】
式(1)で表される化合物としては、ラジカルの安定性が確保でき、かつ、ラジカルカップリングを抑制できるので、ニトロキシラジカルに隣接する部位の立体障害が大きい化合物が好ましく、その中でも環状化合物がより好ましい。
【0060】
ニトロキシラジカルに隣接する部位の立体障害が大きい化合物としては、例えば、N,N−ジメチルニトロキシドラジカル、N,N−ジエチルニトロキシドラジカル、N,N−ジプロピルニトロキシドラジカル、N,N−ジイソプロピルニトロキシドラジカル、N,N−ジ-n−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ-イソブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−sec−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−tert−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジシクロペンチルニトロキシドラジカル、N,N−ジシクロヘキシルニトロキシドラジカル、N,N−ジフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジナフチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−メチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−3−メチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−メチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−エチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−プロピルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ペンチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ヘキシルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−イソプロピルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−イソブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−sec−ブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−tert−ブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−tert−ブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル)フェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ピロリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−オキサゾイルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−5−イソオキサゾイルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−イミダゾイルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−ピリジルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−ピリダジルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ピリミジルニトロキシドラジカル、N,N−ジベンゾフリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−3−インドイルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−キノリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−キナゾリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−8−プリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−1,3,5−トリアゾニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−5−テトラゾールニトロキシドラジカル、N,N−ジメトキシニトロキシドラジカル、N,N−ジエトキシニトロキシドラジカル、N,N−ジプロポキシニトロキシドラジカル、N,N−ジイソプロポキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−n−ブトキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−sec−ブトキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−tert−ブトキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−ペンチルオキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−ヘキシルオキシニトロキシドラジカル、ポリ(エチレングリコール)−ビス−TEMPO、N,N−ジ−シクロヘキシルオキシニトロキシドラジカル、N,N−ジアセチルニトロキシドラジカル、N,N−ジアセトアミドキシニトロキシドラジカル、N,N−ジメトキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、N,N−ジエトキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、N,N−ジベンジルオキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシラジカル、N−フェニル−N−オキシ−tert−ブチルアミン、N−ナフチル−N−オキシ−tert−ブチルアミン、N−tert−ブチル−N−オキシ−2−ピロール、N−tert−ブチル−N−オキシ−2−イミダゾール、N−tert−ブチル−N−オキシ−4−ピリジン、N−tert−ブチル−N−オキシ−4−ピリダジン、N−tert−ブチル−N−オキシ−2−ピリミジン、N−tert−ブチル−N−オキシ−ベンゾフラン、N−tert−ブチル−N−オキシ−3−インドール、N−tert−ブチル−N−オキシ−2−キノリン、N−tert−ブチル−N−オキシ−8−プリン、N−tert−ブチル−N−オキシ−6−チミン、N−tert−ブチル−N−オキシ−6−シトシン、N−tert−ブチル−N−オキシ−8−アデニン、N−tert−ブチル−N−オキシ−6−アデニン、N−tert−ブチル−N−オキシ−8−グアニン、N−tert−ブチル−N−オキシ−2−グアニン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−シアノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、N−オキシピロール、7−オキシプリン、N−オキシトリアゾール、1,3,5−トリオキシル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、N−オキシ−2−ピロリジノン、N−オキシ−2,5−ピロリジンジノン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド、2−アザアダマンタン−N−オキシル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキサゾリジン−オキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−3−イミダゾリジン−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチルモルホリン−N−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチルモルホリンピペラジン−N−オキシラジカル、N、N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン−4−イル)−1’,3’−フェニルジウレアが挙げられ、
好ましくは、N,N−ジイソプロピルニトロキシドラジカル、N,N−ジ-n−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ-イソブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−sec−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−tert−ブチルニトロキシドラジカル、N,N−ジシクロペンチルニトロキシドラジカル、N,N−ジシクロヘキシルニトロキシドラジカル、N,N−ジフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジナフチルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−tert−ブチルフェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル)フェニルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ピロリルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−ピリジルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−4−ピリダジルニトロキシドラジカル、N,N−ジ−2−ピリミジルニトロキシドラジカル、ポリ(エチレングリコール)−ビス−TEMPO、N,N−ジ−シクロヘキシルオキシニトロキシドラジカル、N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、N,N−ジベンジルオキシカルボニルアミノ−N−オキシラジカル、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシラジカル、N−フェニル−N−オキシ−tert−ブチルアミン、N−ナフチル−N−オキシ−tert−ブチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−シアノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、2−アザアダマンタン−N−オキシル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル、N、N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン−4−イル)−1’,3’−フェニルジウレアであり、
より好ましくは、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシラジカル、N−フェニル−N−オキシ−tert−ブチルアミン、ポリ(エチレングリコール)−ビス−TEMPO、2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−メトキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−オキシラジカル、2−アザアダマンタン−N−オキシル、1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン−4−イル)−1’,3’−フェニルジウレアである。
【0061】
式(1)で表される化合物は、二置換アミン化合物を酸化剤で酸化することで合成してもよいし、市販品をそのまま用いてもよい。
【0062】
工程Aにおいて、不対電子を有する物質の還元体は、一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。
【0063】
不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させる際、不対電子を有する物質の還元体の割合は、吸着させる二酸化炭素に対して、通常、100モル部以下であり、好ましくは50モル部以下であり、より好ましくは10モル部以下であり、更に好ましくは、5モル部以下である。この割合の下限は、通常、0.01モル部である。
【0064】
・工程B
工程Bは、工程Aで得られた二酸化炭素吸着体を一電子酸化することでラジカルを再生して不対電子を有する物質を得ると共に、吸着した二酸化炭素を放出させる〔(B)〕方法である。
【0065】
工程Bは、下記式(B)で表される。
【0066】
【化5】

【0067】
二酸化炭素吸着体の酸化は、例えば、電解酸化、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を用いた方法により行うことができるが、反応後の不純物の除去の観点から、電解酸化により行うことが好ましい。
【0068】
電解酸化では、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって酸化電位を測定し、測定された酸化電位に基づき定電位電解を行うことで、二酸化炭素吸着体を酸化する。その際の電圧は、通常、0V以上である。
【0069】
電解酸化において、二酸化炭素吸着体は、固体、液体、溶液、膜、粉末、ペレット、ゾル、ゲルのいずれの状態で使用してもよいが、好ましくは溶液として使用する。
【0070】
電解酸化において、二酸化炭素吸着体を溶液として使用する場合、溶媒の種類は、不対電子を有する物質の電解還元における溶媒の説明及び例と同じである。
【0071】
電解酸化において、溶媒を使用する場合、二酸化炭素吸着体100重量部に対して、溶媒の割合は、通常、0.01重量部以上であり、その上限は、通常、5000重量部であり、好ましい上限は、1000重量部である。
【0072】
電解酸化において、溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0073】
電解酸化を行う際に、支持電解質を使用してもよく、支持電解質の種類は、不対電子を有する物質の電解還元における支持電解質の説明及び例と同じである。
【0074】
電解酸化において、支持電解質を使用する場合、二酸化炭素吸着体100重量部に対して、支持電解質の割合は、通常、0.01重量部以上であり、その上限は、通常、1000重量部であり、好ましい上限は、500重量部である。
【0075】
電解酸化において、支持電解質は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0076】
電解酸化の反応温度は、二酸化炭素の放出挙動に影響を与えるため、通常、−5℃以上であり、好ましくは5〜70℃であり、より好ましくは5〜50℃であり、更に好ましくは、5〜40℃である。電解酸化において、前記溶媒を用いる場合には、電解酸化の反応温度は、溶媒の沸点以下であることが好ましい。
【0077】
電解酸化は、常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよいし、および減圧下で行ってもよい。電解酸化の進行は、不対電子を有する物質の電解還元における説明及び例と同じ分析手段により、確認することができる。
【0078】
工程B及び電解酸化において、二酸化炭素吸着体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0079】
<二酸化炭素の吸着脱離装置>
本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、
不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る手段aと、
該手段aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る手段bと、
を含む。
【0080】
本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る手段aaをさらに含むことが好ましい。
【0081】
本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、手段a、手段b、手段aaを、各々、一種のみ有していても二種以上有していてもよい。
【0082】
本発明の二酸化炭素の吸着脱離方法、及び、本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、気体中から選択的に二酸化炭素を分離する装置、液体中から選択的に二酸化炭素を分離する装置、純度の低い二酸化炭素を精製する装置、二酸化炭素の濃度を調整する装置に応用することができる。
本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、二酸化炭素の吸着熱を利用し、ヒートポンプに応用することもできる。
また、二酸化炭素の濃度を調整する装置は、ビニールハウス用の素材、冷蔵庫に用いることで、植物及び野菜の成長促進及び保存に有効である。
【0083】
本発明の二酸化炭素の吸着脱離装置は、不対電子を有する物質の二酸化炭素吸着能を再生することができるので、繰り返し使用することができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
二酸化炭素濃度の測定には、理研計器製赤外線式ポータブルCO2検知器(商品名:IRX−10)を用いた。
電解反応(電解還元、電解酸化)装置は、北斗電工株式会社製のH型電解槽(商品名:HX−108)を用いた。
サイクリックボルタンメトリー及び電解反応には、ALS製 モデル701Cデュアル電気化学アナライザー(商品名)を用いた。
【0085】
<参考例1>
作用電極にグラッシーカーボン電極、対電極に白金電極、参照電極にAg/Ag+電極を用い、0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート/アセトニトリル溶液10mlをCV測定用の容器に仕込み、該容器内の気体を窒素ガスバブリングにより窒素ガスで置換した後、TEMPO:2.0mg(0.01mmol)を加え、再度、該容器内の気体を窒素バブリングにより窒素ガスで置換をした後、23℃にてCV測定を行った。
【0086】
酸化波:0.5V、還元波:0.3V、−2.2V
【0087】
<実施例1>
対電極と作用電極をナフィオン(登録商標)膜(Nafion117)で遮断したH型電解槽に、8.23gのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレートと19.65gのアセトニトリルとからなる溶液25mlを、23℃にて、対電極側、作用電極側のそれぞれに加えた後、TEMPO0.4gを作用電極側に加え、攪拌して溶解させた。次いで、窒素ガスを1時間バブリングすることにより、系内の気体を置換した。その後、攪拌しながら、−2.5Vの電圧を−250Cに達するまで約2時間かけてTEMPOを電解還元して、TEMPO還元体Aを含む溶液を得た。
その後、TEMPO還元体Aを含む溶液に、乾燥空気(0.05体積部の二酸化炭素;80体積部の窒素;20体積部の酸素)を50ml/分で5時間バブリングすることにより、二酸化炭素を吸着したTEMPO還元体Bを得た。
次いで、窒素ガスをバブリングすることで系内の二酸化炭素を除去した後、0.17mのグローブボックス内で12時間窒素ガスを通気することにより、グローブボックス内の二酸化炭素を除去した。系内及びグローブボックス内の二酸化炭素濃度が0ppm(重量基準)であることを確認した後、グローブボックス内で、攪拌を継続しながら、1.5Vの電圧を300Cに達するまで約3.0時間かけて二酸化炭素を吸着したTEMPO還元体Bを電解酸化して、二酸化炭素の分離を行った。電気酸化後のグローブボックス内の二酸化炭素濃度は40ppm(重量基準)であった。
TEMPOによる二酸化炭素吸着脱離率(吹き込んだ二酸化炭素総量に対する、還元体Bの二酸化炭素の脱離量)は91%であった。
【0088】
<参考例2>
作用電極にグラッシーカーボン電極、対電極に白金電極、参照電極にAg/Ag+電極を用い、0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート/アセトニトリル溶液10mlをCV測定用の容器に仕込み、該容器内の気体を窒素バブリングにより窒素ガスで置換した後、2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン:2.0mg(0.01mmol)を加え、再度、該容器内の気体を窒素ガスバブリングにより窒素ガスで置換をした後、23℃にてCV測定を行った。
酸化波:−1.0V、−1.7V還元波:−1.0V、−2.0V
【0089】
<比較例1>
対電極と作用電極をナフィオン(登録商標)膜(Nafion117)で遮断したH型電解槽に、8.23gのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレートと19.65gのアセトニトリルとからなる溶液25mlを、23℃にて、対電極側、作用電極側のそれぞれに加えた後、2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン0.55gを作用電極側に加え、攪拌して溶解させた。次いで、窒素ガスを1時間バブリングすることにより、系内の気体を置換した。その後、攪拌しながら、−2.0Vの電圧を−100Cに達するまで約2時間かけて2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノンを電解還元して、2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン還元体を含む溶液を得た。
その後、2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン還元体を含む溶液に、乾燥空気(0.05体積部の二酸化炭素;80体積部の窒素;20体積部の酸素)を50ml/分で2時間バブリングすることにより、二酸化炭素を吸着した2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン還元体を得た。
次いで、窒素ガスをバブリングすることで系内の二酸化炭素を除去した後、0.17mのグローブボックス内で12時間窒素ガスを通気することにより、グローブボックス内の二酸化炭素を除去した。系内及びグローブボックス内の二酸化炭素濃度が0ppm(重量基準)であることを確認した後、グローブボックス内で、攪拌を継続しながら、1.0Vの電圧で約3.0時間かけて二酸化炭素を吸着した2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン還元体を電解酸化して、二酸化炭素の分離を行った。電気酸化後のグローブボックス内の二酸化炭素濃度は10ppm(重量基準)であった。
2、6−ジ−tert−ブチルベンゾキノンによる二酸化炭素吸着脱離率(吹き込んだ二酸化炭素総量に対する、還元体の二酸化炭素の脱離量)は30%であった。
【0090】
<参考例3>
作用電極にグラッシーカーボン電極、対電極に白金電極、参照電極にAg/Ag+電極を用い、0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート/アセトニトリル溶液10mlをCV測定用の容器に仕込み、該容器内の気体を窒素バブリングにより窒素ガスで置換した後、Cu2(tpmc)(NO:13.0mg(0.01mmol)を加え、再度、該容器内の気体を窒素ガスバブリングにより窒素ガスで置換をした後、23℃にてCV測定を行った。
酸化波:0.0V、−0.3V還元波:−0.1V、−0.4V
【0091】
<比較例2>
対電極と作用電極をナフィオン(登録商標)膜(Nafion117)で遮断したH型電解槽に、8.23gのテトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレートと19.65gのアセトニトリルとからなる溶液25mlを、23℃にて、対電極側、作用電極側のそれぞれに加えた後、Cu(tpmc)(NO(tpmcは、「N,N’,N’’,N’’’−テトラキス(2−ピリジルメチル)−1、4、8、11−テトラアザシクロテトラデカン」を表す。以下同じ。)2.34gを作用電極側に加え、攪拌した。次いで、窒素ガスを1時間バブリングすることにより、系内の気体を置換した。その後、攪拌しながら、−1.0Vの電圧を−300Cに達するまで約2時間かけてCu(tpmc)(NOを電解還元して、Cu(tpmc)(NO還元体を含む溶液を得た。
その後、Cu(tpmc)(NO還元体を含む溶液に、乾燥空気(0.05体積部の二酸化炭素;80体積部の窒素;20体積部の酸素)を50ml/分で5時間バブリングすることにより、二酸化炭素を吸着したCu(tpmc)(NO還元体を得た。
次いで、窒素ガスをバブリングすることで系内の二酸化炭素を除去した後、0.17mのグローブボックス内で12時間窒素ガスを通気することにより、グローブボックス内の二酸化炭素を除去した。系内及びグローブボックス内の二酸化炭素濃度が0ppm(重量基準)であることを確認した後、グローブボックス内で、攪拌を継続しながら、0.5Vの電圧で約3.0時間かけて二酸化炭素を吸着したCu(tpmc)(NO還元体を電解酸化して、二酸化炭素の分離を行った。電気酸化後のグローブボックス内の二酸化炭素濃度は10ppm(重量基準)であった。
Cu(tpmc)(NOによる二酸化炭素吸着脱離率(吹き込んだ二酸化炭素総量に対する、還元体の二酸化炭素の脱離量)は30%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る工程Aと、
該工程Aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る工程Bと、
を含む二酸化炭素の吸着脱離方法。
【請求項2】
前記工程Aが、不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程の後に行われる、請求項1に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【請求項3】
前記工程Aが、不対電子を有する物質を還元させることにより不対電子を有する物質の還元体を得る工程と同時に行われる、請求項1に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【請求項4】
前記不対電子を有する物質の還元が、電解還元である、請求項2又は3に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素吸着体の酸化が、電解酸化である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【請求項6】
前記不対電子を有する物質が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二酸化炭素の吸着脱離方法。
【化1】

[式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換されてもよいヒドロカルビル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、ホルミル基、置換されてもよい炭化水素カルボニル基、置換されてもよい炭化水素オキシカルボニル基、又は、置換されてもよいアミノカルボニル基を表すか、R1とR2とが一体となって環を形成してもよい。]
【請求項7】
不対電子を有する物質の還元体に二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素吸着体を得る手段aと、
該手段aで得られた二酸化炭素吸着体を酸化させることにより、該二酸化炭素吸着体から二酸化炭素を脱離させて不対電子を有する物質を得る手段bと、
を含む二酸化炭素の吸着脱離装置。

【公開番号】特開2013−10099(P2013−10099A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125700(P2012−125700)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】