説明

二重構造容器

【課題】耐衝撃等の性能を向上させ、より壊れにくい二重構造容器を提供する。
【解決手段】内袋2は、周縁にシール領域を有する表・裏シート21,22と、前記容器1内の底部上に半折されて配置され周縁にシール領域を有する底シート23と、を備え、前記表・裏シート21,22の左右端下部及び下端部における前記シール領域と、前記底シート23の前記シール領域とがシールされると共に、前記表・裏シート21,22の前記上端開口部2bを除く上端部及び前記左右端下部を除く左右端部における前記シール領域が互いにシールされてなり、前記底シート23の中心部は、前記内容物の充填前の状態において該内袋2の上端開口部2b方向に突出するように半折される一方、前記内容物の充填後の状態において該内袋2の上端開口部2b方向と逆方向に突出して前記容器1内の底部に当接するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と、該容器内に挿設され所定の圧力で圧縮された内容物を内部に充填するためのパウチ袋等の内袋と、該内袋の上端開口部に固着し、且つ該内袋の内部に連通する内管を有するハウジング等の固定具と、前記内容物を噴射するためのノズルと、を備える二重構造容器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1及び2に開示されるように、容器とその内部に挿設された内袋を備えるエアゾール式二重構造容器が知られている。この二重構造容器は、床方向への噴射のみならず、天井方向への噴射等のどの方向に対しても内容物を噴射可能であり、しかも、内袋に充填された内容物を最後までほぼ完全に使い尽くすこができるというメリットを有している。
【0003】
例えば、特許文献1では、内袋のハウジングに対する挿入深さの管理やチューブの装着作業、溶着を容易に確実に行えるようにし、内袋に収納された内容物を確実に排出し得るようにする構成が記載されている。
【特許文献1】実開平2−137953号公報
【特許文献2】特開2005−67668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような二重構造容器においては、容器内上部の例えばハウジング等に内袋を吊り下げるような構成としているため、内袋に内容物が充填された状態において、該内袋の取り付け部分に局所荷重(負荷)がかかるという問題があった。また、より多く量の内容物を内袋に充填させるには、内袋の容積をできるだけ大きくする必要があるが、必要以上に大きくすると、内袋に内容物が充填された場合に、内袋の一部が容器の内壁に当たり圧力がかかることによって、該内袋の取り付け部分に局所荷重(負荷)がかかるという問題があった。このような問題は、例えば二重構造容器の流通過程において、外部からの衝撃等により内袋がハウジング等から外れる等の不具合に対して悪影響を与えてしまう。
【0005】
また、従来の二重構造容器の殆どは、例えばハウジングに取り付けられたチューブが内袋の内部に延びる構成となっているため、該チューブが内袋にキズ等を発生させる可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の問題等に鑑みてなされたものであり、内袋の取り付け部分等に局所荷重(負荷)がかかることを防ぎ、耐衝撃等の性能を向上させることが可能な二重構造容器を提供することを課題とする。また、内袋のキズ等の発生を極力無くすことが可能な二重構造容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、容器(1)と、該容器(1)内に挿設され所定の圧力で圧縮された内容物を内部に充填するためのパウチ袋等の内袋(2)と、該内袋(2)の上端開口部(2b)に固着し、且つ該内袋(2)の内部に連通する内管を有するハウジング等の固定具(3)と、を備える二重構造容器であって、前記内袋(2)は、周縁にシール領域を有する表・裏シート(21,22)と、前記容器(1)内の底部上に半折されて配置され周縁にシール領域を有する底シート(23)と、を備え、前記表・裏シート(21,22)の左右端下部及び下端部における前記シール領域と、前記底シート(23)の前記シール領域とがシールされると共に、前記表・裏シート(21,22)の前記上端開口部(2b)を除く上端部及び前記左右端下部を除く左右端部における前記シール領域が互いにシールされてなり、前記底シート(23)の中心部は、前記内容物の充填前の状態において該内袋(2)の上端開口部(2b)方向に突出するように半折される一方、前記内容物の充填後の状態において該内袋(2)の上端開口部(2b)方向と逆方向に突出して前記容器(1)内の底部に当接するように構成する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二重構造容器において、前記容器(1)内の底部は、前記内袋(2)の上端開口部(2b)方向に隆起しており、前記内容物の充填後の状態において前記底シート(23)の中心部(23a)は、前記隆起した頂上部(13a)と当接するように構成する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の二重構造容器において、前記固定具(3)における、前記内袋(2)の上端開口部(2b)との固着部分には、前記内袋(2)の上端開口部(2b)の中心から前記表・裏シート(21,22)の前記上部における前記シール領域に向かって次第に薄くなる突起部(3c,3d)が形成され、該突起部(3c,3d)は前記固着部分から前記内袋(2)の内部方向に向かって突出し、且つ前記表・裏シート(21,22)の左右端部方向における前記突起部(3c,3d)の長さが前記固着部分から前記内袋(2)の内部方向に向かって次第に短くなるように構成する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の二重構造容器において、前記表・裏シート(21,22)を平面に沿って広げた状態において前記表・裏シート(21,22)の左端中央部における前記シール領域の内縁と前記表・裏シート(21,22)の右端中央部における前記シール領域の内縁までの最短長は前記容器の内周長の略1/2であるように構成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の二重構造容器において、前記底シート(23)を平面に沿って広げた状態において該底シート(23)が前記半折されるための軸上であって該底シート(23)の略中心点を通る軸上における該底シート(23)の前記シール領域の両内縁間の長さは、前記容器(1)の内周長の略1/2であると共に、前記半折されるための軸と垂直な軸上であって該底シート(23)の略中心点を通る軸上における該底シート(23)の前記シール領域の両内縁間の長さは、前記容器(1)の内径にほぼ等しいように構成する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の二重構造容器において、前記表・裏シート(21,22)の前記上部における前記シール領域の面積は、該表・裏シート(21,22)の前記上端開口部(2b)から上端隅部方向に向かって次第に広くなるように構成する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、内容物の充填後の状態において、内袋(2)が容器(1)上部に吊り下がる状態になることを防ぎ、内袋(2)の取り付け部分等に局所荷重(負荷)がかかることを防ぐことができ、ひいては、二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、より一層、内袋(2)の取り付け部分等に局所荷重がかかることを防ぐことができ、ひいては、二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、特に内容物の充填前の状態において、内袋(2)と固定具(3)との接触を極力柔らかくし、内袋(2)内部のキズ等の発生を防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、内袋(2)の中央部が容器(1)の内壁に当たり圧力がかかることを防ぎ、内袋(2)の取り付け部分等に局所荷重がかかることを防ぐことができ、ひいては、二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、内袋(2)が、丁度、容器(1)円筒体に沿った形状にすることができ、よって、内袋(2)の中央部が容器(1)の内壁に当たり圧力がかかることを防ぎ、内袋(2)の取り付け部分等に局所荷重がかかることを防ぐことができ、ひいては、二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、内容物の充填後の状態において、内袋(2)の上部が容器(1)の内壁に当たり圧力がかかることを防ぎ、よって、内袋(2)の取り付け部分等に局所荷重がかかることを防ぐことができ、ひいては、二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
なお、以下に説明する実施形態は、エアゾール式二重構造容器に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0021】
図1及び図2は、本実施形態に係るエアゾール式二重構造容器の外観及び内部構造を示す図である。図3は、エアゾール式二重構造容器におけるハウジングの構成を説明するための図である。図4は、エアゾール式二重構造容器におけるパウチ袋の構成を説明するための図であり、図5は、上記パウチ袋における底シートの構成を説明するための図である。
【0022】
本実施形態に係るエアゾール式二重構造容器は、図1乃至図3に示すように、金属製(例えば、アルミニウムや、スズメッキ銅板等)の容器1と、該容器1内に挿設され所定の圧力(例えば、数MPa)で圧縮された内容物を内部に充填するための内袋としてのパウチ袋2と、該パウチ袋2の上端開口部2bに固着(例えば、熱融着)し、且つ該パウチ袋2の内部に連通する内管3aを有する固定具としてのハウジング3と、該ハウジング3の先端に取り付けられたノズル4と、噴射ヘッド5と、を備えて構成されている。また、容器1とパウチ袋2との間には、圧縮された空気や窒素ガス等が収容される。
【0023】
なお、図1及び図2は、説明の便宜上、容器1(後述するアンダーカップ13を除く)及び噴射ヘッド5の片側半分を切り開いた状態を示しており、また、図1は、パウチ袋2が内容物の充填前の状態を示し、図2は、パウチ袋2が内容物の充填後の状態を示している。
【0024】
容器1は、マウンティングカップ11、円筒体12、及びアンダーカップ13により構成されている。マウンティングカップ11及びアンダーカップ13は、例えば、円筒体12に二重巻き締めで固着されている。また、マウンティングカップ11は、ハウジング3の先端付近の環状凹部にかしめられ、これにより、該ハウジング3は、容器1に固定される。また、アンダーカップ13(つまり、容器1内の底部)は、パウチ袋2の上端開口部2b方向(図4に示す矢印Y2方向)に隆起している(つまり、アンダーカップ13の周縁部13bから中心部(つまり、頂上部13a)に向かって次第に盛り上がっている)。
【0025】
なお、容器1の材質は、金属製が望ましいが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックであっても良い。
【0026】
パウチ袋2は、平面に沿って広げた状態において図4(A),(B)に示すような構成となっている。図4(A)は、パウチ袋2を横から(図2の紙面方向に)見た構成を表しており、図4(B)は、パウチ袋2を図4(A)に示す矢印X3方向に見た構成を表している。また、図5は、図4(B)に示すパウチ袋2における底シート23を平面に沿って広げた状態を表している。
【0027】
図4(A),(B)、及び図5に示すように、パウチ袋2は、周縁にシール領域2a(図4(A)のxxx部で示す領域)を有する表・裏シート21,22と、容器1内の底部上に半折されて配置され周縁にシール領域23b(図5のxxx部で示す領域)を有する底シート23と、を備えており、表・裏シート21,22の左右端下部及び下端部におけるシール領域2aと、底シート23のシール領域23bとがシール(例えば、ヒートシール)されると共に、表・裏シート21,22の上端開口部2bを除く上端部及び左右端下部を除く左右端部におけるシール領域2aが互いにシール(例えば、ヒートシール)されてなる。
【0028】
なお、表・裏シート21,22及び底シート23は、夫々、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックと、アルミニウムとが積層ラミネートされてなる。
【0029】
そして、底シート23の中心部23aは、内容物の充填前の状態において該パウチ袋2の上端開口部2b方向(図4に示す矢印Y2方向)に突出するように半折される(図4(A)及び図5の破線軸Zにて)一方、内容物の充填後の状態において該パウチ袋2の上端開口部2b方向と逆方向(図4に示す矢印Y1方向)に突出して容器1内の底部、つまり、アンダーカップ13における隆起した頂上部13aと当接(接触する程度)するようになっている。図2は、底シート23の中心部23aと、アンダーカップ13における隆起した頂上部13aとが当接しており(説明の便宜上、図2の破線部分で底シート23のシール領域23bを一部カットしている)、且つ、表・裏シート21,22の下端部がアンダーカップ13の周縁部13bに延びてきている様子を表している。このように、容器1の寸法に対して、パウチ袋2における表・裏シート21,22及び底シート23の寸法、及びシール領域2a,23bの位置(面積)を決めることによって、図2に示すようにパウチ袋2に内容物が充填され膨れあがった状態で、パウチ袋2が容器2におけるマウンティングカップ11に吊り下がる状態になることを防ぎ、パウチ袋2とハウジング3の上端開口部2bにおける固着部分、及びマウンティングカップ11とハウジング3とのかしめ部分への局所荷重(負荷)を防ぐことができ、ひいては、エアゾール式二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0030】
また、表・裏シート21,22の上部におけるシール領域2aの面積は、図4(A)に示すように、該表・裏シート21,22の上端開口部2bから上端隅部方向に向かって次第に広くなっている(図中、パウチ袋2の肩口部におけるシール領域2aの内縁a1の形状が滑らかになっている(弧状になっている))。このように構成することにより、図2に示すようにパウチ袋2に内容物が充填され膨れあがった状態で、パウチ袋2の上部が容器1の内壁に当たり圧力がかかることを防ぎ、よって、パウチ袋2とハウジング3の上端開口部2bにおける固着部分、及びマウンティングカップ11とハウジング3とのかしめ部分への局所荷重を防ぐことができ、ひいては、エアゾール式二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0031】
なお、パウチ袋2の肩口部におけるシール領域2aの内縁a1の形状は、弧状に限定されるものではなく、直線状であっても良い。
【0032】
また、図4(A)に示すように、該表・裏シート21,22の左端中央部におけるシール領域2aの内縁と、表・裏シート21,22の右端中央部におけるシール領域2aの内縁までの最短長d1は、容器1の内周長の略(誤差を考慮)1/2(半分)であるようになっている(表・裏シート21,22の左端中央部におけるシール領域2aの内縁と、表・裏シート21,22の右端中央部におけるシール領域2aの内縁は、平行になっており、長さd1を維持している)。そして、図5に示すように、底シート23が半折されるための軸Z上であって該底シート23の略中心点を通る軸Z上における該底シート23のシール領域23bの両内縁間の長さd1も、容器1の内周長の略1/2であるようになっている。更に、図5に示すように、底シート23が半折されるための軸Zと垂直な軸上であって該底シート23の略中心点を通る軸上における該底シート23のシール領域23bの両内縁間の長さ2d2(図4(A)に示すd2の2倍の長さ)は、容器1の内径にほぼ(誤差を考慮)等しくなっている。このように、容器1の寸法に対して、パウチ袋2における表・裏シート21,22及び底シート23のシール領域2a,23bの内縁間の寸法を決めることによって、図2に示すようにパウチ袋2に内容物が充填され膨れあがった状態において、該パウチ袋2が、丁度、円筒体12に沿った形状にすることができ(つまり、パウチ袋2を円筒状態により近づけることができ)、パウチ袋2の中央部が容器1の内壁に当たり圧力がかかることを防ぎ、よって、パウチ袋2とハウジング3の上端開口部2bにおける固着部分、及びマウンティングカップ11とハウジング3とのかしめ部分への局所荷重を防ぐことができ、ひいては、エアゾール式二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0033】
そして、このように内容物の充填後の状態におけるパウチ袋2を円筒体12に沿った形状とした構成と、上述したように底シート23の中心部23aと、アンダーカップ13における隆起した頂上部13aとが当接し、且つ、表・裏シート21,22の下端部がアンダーカップ13の周縁部13bに延びた構成にしたこととの相乗効果によって、より一層、十分な容積を有する膨らんだパウチ袋2をこの取り付け部分等に局所荷重(負荷)を与えることなく、容器1内で安定させることができ、ひいては、エアゾール式二重構造容器の耐衝撃等の性能を向上させることができる。
【0034】
なお、パウチ袋2の底シート23におけるシール領域23bの内縁a2の形状は、直線状に限定されるものではなく、弧状であっても良い(言い換えれば、底シート23におけるシール領域23bの内縁全体の形状が略楕円形状であっても良い)。
【0035】
このようなパウチ袋2に所定の圧力で圧縮され充填される内容物は、液状、或いは粉末状(空気を含んでも良い)のものであり、例えば、消火剤、殺虫剤、防虫剤、防水剤、除草剤、除菌剤、化粧剤、頭髪剤(例えば、染毛剤、育毛剤、脱色剤、整髪剤等)、消臭剤、制汗剤、塗装剤、その他、噴射可能な様々な内容物を適用することができる。また、該内容物は、容器1とパウチ袋2との間に圧縮された例えば空気等が収容されている状態において、ノズル4を通じてパウチ袋2内部に入れられ充填される。
【0036】
次に、ハウジング3は、図3に示すような構成となっている。図3(A)は、ハウジング3を横から(図2の紙面方向に)見た構成を表しており(斜線部分は断面を表す)、図3(B)は、ハウジング3を上(噴射ヘッド5部分)から見た構成を表している。このハウジング3における、パウチ袋2の上端開口部2bとの固着部分には、図3(A),(B)及び図4(A)に示すように、パウチ袋2の上端開口部2bの中心から表・裏シート21,22の上部におけるシール領域2aに向かって(つまり、図3(B)に示す矢印X2,X1方向に向かって)次第に薄くなる突起部3c,3dが形成されており、該突起部3c,3dは上記固着部分からパウチ袋2の内部方向(つまり、図3(A)に示す矢印Y1方向)に向かって突出し、且つ、表・裏シート21,22の左右端部方向における突起部3c,3dの長さが上記固着部分からパウチ袋2の内部方向に向かって次第に短くなっている(つまり、突起部3c,3dを含むハウジング3は、上記固着部分からパウチ袋2内部に舌状に突き出している)。このようにパウチ袋2の内部におけるハウジング3の形状変化を緩やかに構成することで、特に内容物の充填前の状態において、パウチ袋2とハウジング3との接触を極力柔らかくし、パウチ袋2内部のキズ等の発生を防止することができる。また、ハウジングには、チューブを取り付けることが不要なので、パウチ袋2内部のキズ等の発生を防止できると共に、パウチ袋2の上部に内容物が残存することなくほぼ完全に放出させることができる。
【0037】
なお、ハウジング3の材質は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックであることが望ましい。
【0038】
また、ハウジング3の内管3aには、ステム(図示せず)及びスプリング(図示せず)がガイドされつつ設けられており、スプリングの下部はスプリング抑えリブ3bにより固定されており、ステムは上部方向(ノズル4の方向)に押圧付勢され、該ステムの上部がステムガスケット(図示せず)に密着(これによりパウチ袋2内部と外部(大気)との導通を阻止し、内容物の放出を阻止)している。そして、使用者が噴射ヘッド5を押し下げると、ステムとステムガスケット(図示せず)の全部又は一部が離れ、パウチ袋2内部と外部(大気)とが導通し、容器1とパウチ袋2との間に収容された例えば空気の圧力によってパウチ袋2が圧縮され、該パウチ袋2内部に充填された内容物が、ハウジング3の内管3a及びノズル4を通じて外部に噴射して放出されることになる。なお、ハウジング3の内管3aにおける内容物の放出機構のこれ以上の詳細については、公知であり本発明と直接の関係がないので、省略する。
【0039】
以上説明したように、上記実施形態によれば、従来のエアゾール式二重構造容器に比し、耐衝撃等の性能を向上させ、更に、パウチ袋2のキズ等の発生が無い、より優れたエアゾール式二重構造容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係るエアゾール式二重構造容器の外観及び内部構造を示す図である。
【図2】本実施形態に係るエアゾール式二重構造容器の外観及び内部構造を示す図である。
【図3】エアゾール式二重構造容器におけるハウジングの構成を説明するための図である。
【図4】エアゾール式二重構造容器におけるパウチ袋の構成を説明するための図である。
【図5】上記パウチ袋における底シートの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
2 パウチ袋
3 ハウジング
4 ノズル
5 噴射ヘッド
11 マウンティングカップ
12 円筒体
13 アンダーカップ
21,22 表・裏シート
23 底シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、該容器内に挿設され所定の圧力で圧縮された内容物を内部に充填するための内袋と、該内袋の上端開口部に固着し、且つ該内袋の内部に連通する内管を有する固定具と、を備える二重構造容器であって、
前記内袋は、周縁にシール領域を有する表・裏シートと、前記容器内の底部上に半折されて配置され周縁にシール領域を有する底シートと、を備え、前記表・裏シートの左右端下部及び下端部における前記シール領域と、前記底シートの前記シール領域とがシールされると共に、前記表・裏シートの前記上端開口部を除く上端部及び前記左右端下部を除く左右端部における前記シール領域が互いにシールされてなり、
前記底シートの中心部は、前記内容物の充填前の状態において該内袋の上端開口部方向に突出するように半折される一方、前記内容物の充填後の状態において該内袋の上端開口部方向と逆方向に突出して前記容器内の底部に当接することを特徴とする二重構造容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重構造容器において、
前記容器内の底部は、前記内袋の上端開口部方向に隆起しており、
前記内容物の充填後の状態において前記底シートの中心部は、前記隆起した頂上部と当接することを特徴とする二重構造容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二重構造容器において、
前記固定具における、前記内袋の上端開口部との固着部分には、前記内袋の上端開口部の中心から前記表・裏シートの前記上部における前記シール領域に向かって次第に薄くなる突起部が形成され、
該突起部は前記固着部分から前記内袋の内部方向に向かって突出し、且つ前記表・裏シートの左右端部方向における前記突起部の長さが前記固着部分から前記内袋の内部方向に向かって次第に短くなっていることを特徴とする二重構造容器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の二重構造容器において、
前記表・裏シートを平面に沿って広げた状態において前記表・裏シートの左端中央部における前記シール領域の内縁と前記表・裏シートの右端中央部における前記シール領域の内縁までの最短長は前記容器の内周長の略1/2であることを特徴とする二重構造容器。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の二重構造容器において、
前記底シートを平面に沿って広げた状態において該底シートが前記半折されるための軸上であって該底シートの略中心点を通る軸上における該底シートの前記シール領域の両内縁間の長さは、前記容器の内周長の略1/2であると共に、前記半折されるための軸と垂直な軸上であって該底シートの略中心点を通る軸上における該底シートの前記シール領域の両内縁間の長さは、前記容器の内径にほぼ等しいことを特徴とする二重構造容器。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の二重構造容器において、
前記表・裏シートの前記上部における前記シール領域の面積は、該表・裏シートの前記上端開口部から上端隅部方向に向かって次第に広くなっていることを特徴とする二重構造容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−153421(P2007−153421A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353510(P2005−353510)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(502193842)株式会社ホリグチ (1)
【出願人】(505453756)
【出願人】(505453767)
【Fターム(参考)】