説明

二重管式掘削装置

【課題】掘削後に地盤中に残置するリングビットへの掘削刃の設置数を最少に抑えることができる、施工性に優れた二重管式掘削装置を提供する。
【解決手段】二重管式掘削装置1は、インナービット100が、回転付与面123および回転付与部係止面126を具備する回転付与部120と、打撃付与面142を具備する打撃付与部140とを有し、アウタービット200が、被回転面224、被係止面228および被打撃面226を具備する従動部220を有している。インナービット100がアウタービット200内を軸心方向に移動して、回転付与部120が従動部220同士の間を通過した後回転した際、回転付与面123が被回転面224に当接し、さらに、前面方向に移動した際、打撃付与面142が被打撃面226に当接する。反対に、後面方向に移動した際、回転付与部係止面126が被係止面228に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管式掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面や法面あるいはトンネル内壁等の様々な地盤を掘削する装置として、削孔の崩壊を防ぎながら掘削を進めることができる二重管式掘削装置が広く用いられている。
二重管式掘削装置は、前面に掘削刃(掘削チップ、掘削用突起等)を具備するインナービットと、前面または側面に掘削刃を具備する筒状のリングビットとによって掘削ビットを構成し、インナービットをリングビットに挿入して着脱自在に一体化し、該一体化された掘削ビットに回転および打撃を加えながら掘削するものである。
すなわち、掘削が進むに従って、インナービットには回転および打撃を伝達する駆動ロッドを、また、リングビットには掘削中の孔壁の崩壊を防止するためのケーシングパイプを順次連結して所定の深さまで掘削する。そして掘削終了後、インナービットをリングビットから離して駆動ロッドを順次地上に引き上げ、最後にインナービットを回収する。一方、ケーシングパイプとリングビットは地盤中に残置したり、順次地上に引き上げて回収したりする。
そして、発明者等は、掘削力が作用しない時に、不用意にリングビットがインナービットから外れることがなく、また、インナービットを回収する時は、インナービットをリングビットから確実に外すことができる二重管式掘削装置を提供している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3849788号公報(第1−2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記二重管式掘削装置は優れた施工性を実現したことから、次は、経済性の面からの改善要請があった。すなわち、多数の掘削刃を具備する筒状のリングビットを地盤中に残置するため、高価な掘削刃が1回の掘削に使用されるだけで、複数回の掘削に使用することができなかった。
【0005】
本発明は、このような要請に応えるものであり、掘削後に地盤中に残置するリングビットへの掘削刃の設置数を最少に抑えながら、掘削後に回収するインナービットへの掘削刃の設置数を増すことができる、施工性に優れた二重管式掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る二重管式掘削装置は、前面に掘削刃を具備するインナービットと、前面に掘削刃を具備し、前記インナービットに着脱自在なリングビットとを有し、前記インナービットに付与された回転および打撃を前記リングビットに伝達しながら地盤を掘削する二重管式掘削装置であって、
前記インナービットが、前面寄りに形成された軸心に平行な回転付与面および該回転付与面に略直交する角部を形成する回転付与部係止面を具備する回転付与部と、後面寄りに形成された軸心に垂直な打撃付与面を具備する打撃付与部と、を外周面の複数箇所に有し、
前記アウタービットが、前面寄りに形成された軸心に平行な被回転面と、該被回転面に略直交して隅部を形成する被係止面と、該被係止面よりも後面寄りに形成された軸心に垂直な被打撃面と、を具備する従動部を、内周面の複数箇所に有し、
前記インナービットが前記アウタービット内を軸心方向に移動して、前記回転付与部が前記アウタービットの従動部同士の間を通過した後、前記インナービットが回転した際、前記回転付与部の回転付与面が前記アウタービットの被回転面に当接し、
さらに、前記インナービットが前面方向に移動した際、前記打撃付与部の打撃付与面が前記アウタービットの被打撃面に当接すると共に、前記インナービットが後面方向に移動した際、前記回転付与部の回転付与部係止面が前記アウタービットの被係止面に当接することを特徴とする。
【0007】
(2)また、前記アウタービットの従動部に、前面に突出する掘削刃が埋め込まれていることを特徴とする。
(3)また、前記インナービットに、前記回転付与部の回転付与面と前記打撃付与部の打撃付与面との間に、円環状のくびれ部が形成され、該くびれ部に流体流出孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
(4)また、前記インナービットの打撃付与部同士の間および回転付与部同士の間を連通する、軸心に平行な掘削土砂排出溝が形成されていることを特徴とする。
(5)また、前記インナービットの掘削土砂排出溝に、前面に到達する凹部が形成され、該凹部に流体流出孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(i)本発明に係る二重管式掘削装置は、インナービットが前面寄りに回転付与部を有するため、当該回転付与部に掘削刃を設置することが可能になることから、インナービットに設置される掘削刃の数量が増大すると共に、かかる増大分に応じてアウタービットに設置される掘削刃の数量が減少する。よって、掘削毎に廃棄される掘削刃の数量が減少するから、施工に要する施工工具コストが安価になる。
また、インナービットに打撃力が付与された場合、かかる打撃力がインナービットに設置された掘削刃に直接伝わるから、掘削が促進され、施工時間を短縮することができる。
【0010】
(ii)また、アウタービットの従動部に掘削刃が埋め込まれているため、掘削刃が堅固に固定されると共に、従動部を除く範囲を薄肉にして、アウタービットの軽量化を図ることが可能になる。
(iii)また、インナービットが、流体流出孔が形成されている円環状のくびれ部を有するから、インナービットとアウタービットとの隙間への掘削土砂の堆積が防止されるから、両者の切り離し作用が容易かつ確実になる。
【0011】
(iv)また、インナービットが、全長に渡る軸心に平行な掘削土砂排出溝を有するため、掘削土砂の排出が確実に実行される。
(v)また、インナービットの掘削土砂排出溝に、流体流出孔が形成された凹部が設けられているため、流体流出孔からの注水や空気の吹き出しによって掘削土砂の排出が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施の形態1]
図1〜図3は本発明の実施形態1に係る二重管式掘削装置の構成部材を模式的に示すものであって、図1はインナービットの側面図、図2の(a)はインナービットの正面図、図2の(b)はインナービットの背面図、図3の(a)はアウタービットの正面図、図3の(b)は図3の(a)に示すX−X断面(略側面視)の断面図である。
二重管式掘削装置1はインナービット100(図1、2)およびアウタービット200(図3)を有している。なお、図1および図3の(b)において、左方向を前面(正面)または前面側と、右方向を後面(背面)または後面側と、左右方向(前後方向に同じ)を軸方向と、軸方向に直角の方向を円周方向と定義する。また、図中、部位同士の接合部や各部位の稜線には、隅RやR面取りが施されているが、形状の理解を容易にするため、当該部位を実線にて模式的に示している。
【0013】
(インナービット)
図1および図2において、インナービット100は、前面から後面にかけて順次、インナー前面110と、インナー前面110に連なう回転付与部120と、くびれ部130と、打撃付与部140と、径大部150と、掘削機(図示しない)との連結に供する連結部160と、インナー後面170と、回転付与部120、打撃付与部140および径大部150をそれぞれ円周方向で3分割する3条の掘削土砂排出溝180と、を有している。
【0014】
インナー前面110は軸心に垂直な平面であって、軸心からの距離が相違する3ヶ所に、超硬製の掘削刃111が埋め込まれ、外周面に沿って等角3ヶ所の凹部112が形成されている。したがって、インナービット100に打撃力が付与された場合、かかる打撃力が掘削刃111に直接伝わるから、掘削が促進され、施工時間を短縮することができる。
また、凹部112の底には、それぞれ流体流出孔113が開口している。流体流出孔113は、インナー後面170に開口する中心流体路(図示しない)に連通している。
【0015】
回転付与部120は掘削土砂排出溝180によって分断され、円周方向3ヶ所に等角配置され正面視円弧状の突起である。すなわち、回転付与部120は、インナー前面110に連なって外周面になるほど後方に位置する回転付与部傾斜面122と、正面視で反時計回り方向側の回転付与面123と、正面視で時計回り方向側の回転付与部土砂排出面124と、回転付与部外周面125と、回転付与部傾斜面122に対向して軸心に垂直な回転付与部係止面126と、を有している。そして、回転付与部傾斜面122には、超硬製の掘削刃121が埋め込まれている。
【0016】
打撃付与部140は掘削土砂排出溝180によって分断され、円周方向3ヶ所に等角配置され正面視円弧状の突起である。すなわち、打撃付与部140は、くびれ部130のくびれ部外周面132に連なって外周面になるほど後方に位置する打撃付与面142と、正面視で反時計回り方向側および時計回り方向側の打撃部土砂排出面143および打撃部土砂排出面144と、打撃部外周面145とを有している。
【0017】
径大部150は、打撃付与部140の打撃部外周面145に連なる径大部傾斜面152と、径大部外周面155とを有し、掘削土砂排出溝180によって円周方向3ヶ所に等角に分割されている。すなわち、掘削土砂排出溝180によって、径大部土砂排出面153および径大部土砂排出面154が形成されている。
【0018】
連結部160は径大部150の径大部後面156に設置されている。連結部160には、ダウンザホールハンマー(図示しない)に連結されるスプライン161が形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく、スプライン161に替えて雄ネジを形成したり、あるいは、径大部後面156から前面方向に向けて雌ネジを形成してもよい。
【0019】
(アウタービット)
図3において、アウタービット200は、筒状体であって、アウター後面270側に薄肉の内径大範囲250と、アウター前面210側に内径大範囲よりは内径が小さい(より厚肉に同じ)の内径小範囲230を有している。このとき、内径小範囲230にはインナービット100の回転付与部120が侵入自在になるよう、内径大範囲250にはケーシングパイプシュー(図示しない)の一部が侵入自在になるよう、それぞれの寸法が設定されている。
また、内径小範囲230には、円周方向で3ヶ所等角配置された従動部220が内径側(軸心方向に同じ)に突出している。
【0020】
(従動部220)
従動部220は、側面視(軸心から外周面に向かって見た景色に同じ)においてL字状である。すなわち、アウター前面210に連続した内側傾斜面213と、従動部前面222に平行な被係止面228と、従動部前面222に平行な被打撃面(打撃受動面に同じ)226と、正面視において半時計回り方向の大側面223と、軸心に平行する被回転面224と、正面視において半時計回り方向の小側面227と、を有している。
そして、従動部内面225は円筒面の一部であって、その内径はインナービット100のくびれ部外周面131の外径よりも大きくなっている。
【0021】
したがって、内径小範囲230には軸心に略平行する大側面223と小側面227とに挟まれた、インナービット100の回転付与部120が軸方向に通過自在な回転付与部通過溝280が形成されている。
そして、被係止面228と被打撃面226との距離が、インナービット100のくびれ部130の間隔よりも小さく、被係止面228と被打撃面226とに挟まれた範囲がくびれ部130内に侵入自在になっている。また、被回転面224と被係止面228とによって形成される懐部に、インナービット100の回転付与部120が反時計回り方向に侵入することが可能になっている。
【0022】
すなわち、インナービット100の正面視において反時計回りの回転によって、アウタービット200の被回転面224にインナービット100の回転付与面123が当接する。また、インナービット100のインナー前面110方向の移動によって、アウタービット200の被打撃面226にインナービット100の打撃付与面142が当接する。さらに、インナービット100のインナー後面170方向の移動によって、アウタービット200の被係止面228にインナービット100の回転付与部係止面126が当接する。
【0023】
よって、アウタービット200には、インナービット100から回転と打撃とが伝達されると共に、回転と打撃との伝達時に、アウタービット200とインナービット100ととの係止が開放され、両者が分離することがない。
また、掘削終了時には、インナービット100を正面視において時計回りに回転させてインナー後面170の方向に引き出せば、インナービット100の回転付与部120はアウタービット200の回転付与部通過溝280を通過するから、両者を容易に分離することができる。
【0024】
(掘削刃)
アウター前面210には外周面になるほどアウター後面270に近づく外側傾斜面212が形成され、内側傾斜面213の従動部220に繋がった位置に超硬製の掘削刃211が等角配置されている。掘削刃211は軸心に対してアウター前面210側が開くように傾斜した姿勢で、従動部220の大側面223と被回転面224とに挟まれた厚肉範囲に堅固に埋め込まれている。このため、かかる埋め込み範囲を除く内径小範囲230の肉厚を薄くすることが可能になるから、アウタービット200を軽量にすることができる。
また、掘削刃211の外周面側の面は、アウタービット200の外周面201よりも僅かに外側に突出している。このため、アウタービット200の回転によって掘削された削孔の内径は外周面201の外径よりも大きくなり、両者の間には隙間が形成されるから、外周面201に摺動抵抗が作用しない状態でアウタービット200を回転させることができる。
【0025】
(施工状況)
図4は本発明の実施形態に係る二重管式掘削装置を用いた施工状況を模式的に示す略側面視の断面図である。なお、説明の便宜上、アウタービット200の断面の手前に位置する(実際は見えない)従動部220を複斜線にて表示し、上側と下側で一部(ケーシングパイプシュー)の位相がずれている。また、図1〜3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0026】
(ケーシングパイプシュー)
図4において、アウタービット200のアウター後面270にケーシングパイプシュー300が設置され、ケーシングパイプシュー300にケーシングパイプ400が溶接接続されている。そして、ケーシングパイプ400の内部または外部には掘削装置(図示しない)が配置され、該掘削装置にインナービット100の連結部160が接続されている。
【0027】
なお、ケーシングパイプシュー300は、アウタービット200の内径大範囲250に挿入されるアウタービット挿入部310と、ケーシングパイプ400に挿入されるケーシングパイプ挿入部330と、両者の中間に位置するフランジ部320とを有している。
このとき、ケーシングパイプシュー300のアウタービット挿入部310の長さbは、ケーシングパイプシュー300の端面がインナービット100の径大部傾斜面152から最も離れたときの距離a(図4の下側の断面参照)よりも大きくなっている(b>a)。したがって、ケーシングパイプシュー300の端面が径大部傾斜面152に最も近づいた場合(当接した場合)でも、アウタービット挿入部310がアウタービット200の内径大範囲250から抜け出すことがない(図4の上側の断面参照)。
【0028】
なお、本発明はアウタービット200にケーシングパイプシュー300を設置する要領は限定するものではない。たとえば、アウター後面270とフランジ部320とを溶接接続したり、内径大範囲250に雌ネジを形成し、アウタービット挿入部310に雄ネジを形成して、ネジ接続したりして、両者を固定してもよい。あるいは、たとえば、内径大範囲250に円周方向の内面溝を形成し、アウタービット挿入部310に円周方向の外面溝を形成し、内面溝と外面溝との間にリング状の接合部材(Cクリップ等)を設置して、両者を軸心を中心に相対的に回転自在に接続してもよい。
【0029】
インナービット100とアウタービット200との接合は、前記のように、軸心方向の挿入と軸心を中心にした回転とからなるバヨネット機構による。
すなわち、インナービット100の回転付与部120が、アウタービット200の回転付与部通過溝280を通過して前進した後、インナービット100の回転によって、回転付与部120が、アウタービット200の被回転面224と被係止面228とによって形成される懐部に侵入し、やがて、回転付与面123が被回転面224に当接する。よって、インナービット100の回転がアウタービット200に伝達される。
また、インナービット100のインナー前面110方向の移動によって、打撃付与面142がアウタービット200の被打撃面226に当接するから、インナービット100からアウタービット200に打撃が伝達される。
【0030】
さらに、掘削終了時、インナービット100を掘削時とは反対の方向に回転して、インナー後面170の方向に引き出せば、インナービット100の回転付与部120はアウタービット200の回転付与部通過溝280を通過するから、両者を容易に分離することができる。
すなわち、掘削された削孔にアウタービット200やケーシングパイプ400等を残置して、インナービット100を回収することができる。このとき、アウタービット200には設置される掘削刃211は最少数に抑えられているから、掘削刃211の廃棄数が抑えられている。また、インナービット100に設置された多くの掘削刃111は、繰返し使用されることになる。よって、施工の要する掘削工具のコストが安価になる。
【0031】
以上、インナービット100では3条の掘削土砂排出溝180によって、回転付与部120等が円周方向で3分割され、これに対応して、アウタービット200では、従動部220が円周方向で3ヶ所等角配置されているが、本発明は掘削土砂排出溝180の数量を限定するものではなく、2条または4条以上であってもよい(これに伴って従動部220が2ヶ所または4ヶ所以上であってもよい)。
【0032】
[実施の形態2]
図5および図6は本発明の実施形態2に係る二重管式掘削装置を説明するものであって、図5は構成部材であるアウタービットの側面視の断面図、図6は施工状況を模式的に示す略側面視の断面図である。なお、実施の形態1(図4等)と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0033】
(アウタービット)
図5において、アウタービット500は、実施の形態1におけるアウタービット200の内径大範囲250のアウター後面270の近くに、所定幅の雌ネジ550を設けたものである。
【0034】
(ケーシングパイプシュー)
図6において、ケーシングパイプシュー600は、実施の形態1におけるケーシングパイプシュー300のアウタービット挿入部310に雌ネジ550に螺合する所定幅の雄ネジ610を設けたものである。
このとき、雄ネジ610のネジ山の外径が、アウタービット500のアウター後面250の内径より僅かに小さくなっているから、雄ネジ610の雌ネジ550への螺合を進めると、やがて、雄ネジ610は雌ネジ550から離脱して、アウター後面250内に侵入して、軸方向に移動自在になる。
すなわち、ケーシングパイプシュー600(ケーシングパイプ400に同じ)は、アウタービット500に対して、軸方向に所定の距離だけ移動自在でありながら、雄ネジ610を雌ネジ550に再度螺合して、相対的に回転しない限り、両者は離れることがない。したがって、鉛直方向に掘削するとき、仮に、インナービット100とアウタービット500とが離れるようなことが起こったとしても、アウタービット500が単独で地盤内に落下するようなことがない。
【0035】
なお、図6において、ケーシングパイプシュー600のアウタービット挿入部310の外周に雄ネジ610が、アウタービット500のアウタービット挿入部310の内周に雌ネジ550が、それぞれ設けられているが、本発明はこれに限定するものではなく、アウタービット挿入部310の内周に雌ネジを設け、アウタービット500の外周面201に雄ネジを設けてもよい。このとき、アウタービット挿入部310の外径をフランジ部320の外径と略同じにして内径を拡大し、一方、アウタービット500の外周面201のアウター後面270に近い範囲の外径を小さくして、アウタービット挿入部310の中に侵入自在にする。
また、図6において、連結部160の先端には図示しない雄ネジが形成され、該雄ネジがインナービット100に形成された図示しない雌ネジに螺合して、両者が連結されているが、本発明はかかる連結要領をネジ接合に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、軟弱土砂、砂礫層、岩盤層等の各種地盤や、コンクリート等の各種構造物を掘削する二重管式掘削装置に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る二重管式掘削装置の構成部材であるインナービットを模式的に示す側面図。
【図2】図1に示すインナービットを模式的に示す正面図と背面図。
【図3】本発明の実施形態に係る二重管式掘削装置の構成部材であるアウタービットを模式的に示す正面図と略側面視の断面図。
【図4】図1に示す二重管式掘削装置を用いた施工状況を模式的に示す略側面視の断面図。
【図5】本発明の実施形態2に係る二重管式掘削装置を説明する構成部材であるアウタービットの側面視の断面図。
【図6】本発明の実施形態2に係る二重管式掘削装置の施工状況を模式的に示す略側面視の断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 二重管式掘削装置
100 インナービット
110 インナー前面
111 掘削刃
112 凹部
113 流体流出孔
120 回転付与部
121 掘削刃
122 回転付与部傾斜面
123 回転付与面
124 回転付与部土砂排出面
125 回転付与部外周面
126 回転付与部係止面
130 くびれ部
132 くびれ部外周面
140 打撃付与部
142 打撃付与面
143 打撃部土砂排出面
144 打撃部土砂排出面
145 打撃部外周面
150 径大部
152 径大部傾斜面
153 径大部土砂排出面
154 径大部土砂排出面
155 径大部外周面
156 径大部後面
160 連結部
161 スプライン
170 インナー後面
180 掘削土砂排出溝
200 アウタービット
201 外周面
210 アウター前面
211 掘削刃
212 外側傾斜面
213 内側傾斜面
220 従動部
222 従動部前面
223 大側面
224 被回転面
225 従動部内面
226 被打撃面
227 小側面
228 被係止面
230 内径小範囲
250 内径大範囲
270 アウター後面
280 回転付与部通過溝
300 ケーシングパイプシュー
310 アウタービット挿入部
320 フランジ部
330 ケーシングパイプ挿入部
400 ケーシングパイプ
500 アウタービット
550 雌ネジ
600 ケーシングパイプシュー
610 雄ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に掘削刃を具備するインナービットと、前面に掘削刃を具備し、前記インナービットに着脱自在なリングビットとを有し、前記インナービットに付与された回転および打撃を前記リングビットに伝達しながら地盤を掘削する二重管式掘削装置であって、
前記インナービットが、前面寄りに形成された軸心に平行な回転付与面および該回転付与面に略直交する角部を形成する回転付与部係止面を具備する回転付与部と、後面寄りに形成された軸心に垂直な打撃付与面を具備する打撃付与部と、を外周面の複数箇所に有し、
前記アウタービットが、前面寄りに形成された軸心に平行な被回転面と、該被回転面に略直交して隅部を形成する被係止面と、該被係止面よりも後面寄りに形成された軸心に垂直な打撃受動面と、を具備する従動部を、内周面の複数箇所に有し、
前記インナービットが前記アウタービット内を軸心方向に移動して、前記回転付与部が前記アウタービットの従動部同士の間を通過した後、前記インナービットが回転した際、前記回転付与部の回転付与面が前記アウタービットの被回転面に当接し、
さらに、前記インナービットが前面方向に移動した際、前記打撃付与部の打撃付与面が前記アウタービットの被打撃面に当接すると共に、前記インナービットが後面方向に移動した際、前記回転付与部の回転付与部係止面が前記アウタービットの被係止面に当接することを特徴とする二重管式掘削装置。
【請求項2】
前記アウタービットの従動部に、前面に突出する掘削刃が埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の二重管式掘削装置。
【請求項3】
前記インナービットに、前記回転付与部の回転付与面と前記打撃付与部の打撃付与面との間に、円環状のくびれ部が形成され、該くびれ部に流体流出孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の二重管式掘削装置。
【請求項4】
前記インナービットの打撃付与部同士の間および回転付与部同士の間を連通する、軸心に平行な掘削土砂排出溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の二重管式掘削装置。
【請求項5】
前記インナービットの掘削土砂排出溝に、前面に到達する凹部が形成され、該凹部に流体流出孔が形成されていることを特徴とする請求項4記載の二重管式掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−121275(P2010−121275A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293125(P2008−293125)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(596147367)株式会社ティーエフティー (11)
【出願人】(508271861)株式会社TFT北海道 (3)
【Fターム(参考)】