説明

二重配管装置

外管及び内管の内部を流れるガスが前記外管の外部に漏洩するのを防止する二重配管装置を提供する。本実施例に係る二重配管装置(10)は、外管(11)と、この外管(11)に内挿された内管(12)とから構成された二重配管装置の内部を流れるガスAの流量を調整する二重配管装置であって、内管(12)の内部を流れるガス(A)の流量を調整する流量調整弁(13)と、この流量調整弁(13)を支持し、外管(11)及び内管(12)を貫通する弁棒(14)とを有すると共に、外管(11)と内管(12)との間に、ガスAが外管(11)の外に漏洩するのを防止する流体漏洩防止手段としてベローズ(15)を含む流体漏洩防止手段(16)を有する。ベローズ(15)の一端を外管(11)の内壁(11a)に取り付けると共に、他端を弁棒(14)に形成されたフランジ(14a)に取り付けることで、内管(12)の内部を流れるガス(A)が外管(11)の外部に漏洩するのを防止する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外管及び内管内を流通する流体の漏洩を防止する二重配管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス源からタービンにガスなどの流体を通すための配管としては通常一重構造のものが使用されている。一方、配管の内側に他の配管を配置し、内側の配管(以下、内管)が外側の配管(以下、外管)に対して一定のすきまを保持した状態で内挿された二重配管構造のものがあり、外管及び内管の内部を供給源などの上流から送られた2種類のガスが通過して、所定の排出先などの下流に供給するようにしている(特許文献1)。
【0003】
また、使用済核燃料処理施設や放射性廃棄物処理施設あるいは原子力発電施設などの配管系においても例えば二重配管構造のものが用いられる(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3971683号公報
【特許文献2】特開平09−54189号公報
【特許文献3】特開2003−294883号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、従来の二重配管装置では、前記外管及び前記内管の内部を流れるガスの流量を調整する弁を外部から前記弁棒で操作する必要があるため、前記弁棒と前記外管との隙間からガスが漏洩する、という問題がある。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑み、外管及び内管の内部を流れるガスが前記外管の外部に漏洩するのを防止する二重配管装置を提供することを課題とする。
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の第1の態様は、外管と、該外管に内挿された内管とから構成された二重配管装置の内部を流れる流体の流量を調整する二重配管装置であって、前記外管または前記内管の内部を流れる流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量調整弁を支持し、前記外管及び前記内管を貫通する弁棒とを有すると共に、前記外管と前記内管との間に、前記流体が前記外管の外に漏洩するのを防止するベローズ又は他の伸縮継手を含む流体漏洩防止手段を有する二重配管装置である。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様において、前記ベローズは、一端が前記外管の内壁に取り付けられると共に、他端が前記弁棒に取り付けられる二重配管装置である。
【0009】
上記態様によれば、外管と内管とから構成される二重配管装置において、前記外管または前記内管の内部を流れる流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量調整弁を支持し、前記外管及び前記内管を貫通する弁棒とを有すると共に、前記外管と前記内管との間に、前記流体が前記外管の外に漏洩するのを防止するベローズ又は他の伸縮継手を含む流体漏洩防止手段を有しているため、前記外管及び前記内管の内部を流れるガスが前記外管の外部に漏洩するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例に係る二重配管装置の構成を簡略に示す概略図である。
【図2】図1に示す二重配管装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】本実施例に係る二重配管装置の他の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明による実施例1に係る二重配管装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る二重配管装置の構成を簡略に示す概略図であり、図2は、図1に示す二重配管装置の構成を模式的に示す図である。
図1、2に示すように、本実施例に係る二重配管装置10は、外管11と、この外管11に内挿された内管12とから構成された二重配管装置の内部を流れるガスAの流量を調整する二重配管装置であって、内管12の内部を流れるガスAの流量を調整する流量調整弁13と、この流量調整弁13を支持し、外管11及び内管12を貫通する弁棒14とを有すると共に、外管11と内管12との間に、ガスAが外管11の外に漏洩するのを防止するベローズ15を含む流体漏洩防止手段16を有するものである。
【0013】
本実施例に係る二重配管装置10においては、流体漏洩防止手段16は、蛇腹状のベローズ15と、そのベローズ15の一端(図中上端)が外管11の内壁11aに取り付けられる取付部17aと、弁棒14に形成されたフランジ14aと、そのベローズ15の他端(図中下端)がフランジ14aに取り付けられる取付部17bと、弁棒14と外管11との間、弁棒14と内管12との間にガスの漏洩を防止するシール部19とを有するものである。
【0014】
流体漏洩防止手段16のように、ベローズ15の一端(図中上端)を外管11の内壁11aに取り付けると共に、他端(図中下端)を弁棒14に形成されたフランジ14aに取り付けることで、内管12の内部を流れるガスAが外管11の外部に漏洩するのを防止することができる。
【0015】
ベローズ15を外管11と内管12の間の空間に設けることで、内管12内を流れるガスAが直接ベローズ15に接触することが無いため、内管12内を極端に過酷な条件のガスが流れる場合であってもベローズ15の耐久性が損なわれるのを防ぎ、安全性を高めることができる。
【0016】
本実施例では、ベローズ15は外管11の内壁11a、フランジ14aとの取付部17a、17bで例えば溶接して接合するようにしているが、ベローズ15の取り付け方法は、特にこれに限定されるものではなく、ボルト締めなど他の取り付け方法を用いてもよい。
【0017】
ベローズ15の下端は、フランジ14aを介して弁棒14に取り付けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図3に示すように、ベローズ15の他端(図中下端)を弁棒14に直接取り付け、弁棒14に取付部17bを有するようにしてもよい。
【0018】
本実施例に係る二重配管装置10においては、弁棒14を介して流量調整弁13を上下に移動する弁調整機構18を有しており、外管11及び内管12内を流れるガスAの流量を調整する。これにより例えばガスタービン設備などの図示しないガス供給源から所定の排出先に向けて供給されるガスAの流量を調整することができる。
【0019】
ガスAは、外管11及び内管12により供給される気体または液体からなる流体であり、例えば高温ガス炉から出る熱で高温に熱せられ、タービンに供給される窒素ガス、アルゴンガス等からなる不活性ガスなどの危険性のないガスや液体などがある。
【0020】
外管11、内管12の材質は、通過するガスAの性質や周囲の環境に合わせて適宜に選択すればよく、例えば、鉄鋼管、ステンレス管、鉄管、樹脂管、内面を樹脂でコーティングした鉄管などがある。
【0021】
本実施例に係る二重配管装置10においては、流体漏洩防止手段16に蛇腹状のベローズ15を用いているが、本発明は弁棒14の上下運動を吸収でき、密閉性を有する伸縮性のものであればよく、ベローズに限定するものでは無い。
【0022】
本実施例に係る二重配管装置10においては、弁棒14と外管11との間、弁棒14と内管12との間にシール部19を設け、ガスシールを行っている。シール部19では、例えばグランドパッキンなどを行う。これにより、外管11から内管12へのガスAの流入を抑制することができると共に、ベローズ15が破損した場合でも、外管11及び内管12の内部を流れるガスAが外管11の外部に漏洩するのを最小限に抑えることができる。
【0023】
本実施例に係る二重配管装置によれば、外管11と、この外管11に内挿された内管12とから構成された二重配管装置の内部を流れるガスAの流量を調整する二重配管装置であって、内管12の内部を流れるガスAの流量を調整する流量調整弁13と、この流量調整弁13を支持し、外管11及び内管12を貫通する弁棒14とを有すると共に、外管11と内管12との間に、ガスAが外管11の外に漏洩するのを防止するベローズ15を含む流体漏洩防止手段16を設けているため、内管12の内部を流れるガスAが外管11の外部に漏洩するのを防止することができる。
【0024】
ベローズ15は外管11と内管12の間の空間に設けられ、しかも内管12内を流れるガスAが直接ベローズ15に接触することが無いため、内管12内を極端に過酷な条件のガスが流れる場合であってもベローズ15の耐久性が損なわれることが無く、安全性が高い。更に、ベローズ15が損傷しても、弁棒14が外管11を貫通している部分にもシール部19が設けられているため、外部への流体の流出の危険性は極めて少なくすることができる。
【0025】
本実施例に係る二重配管装置10においては、ベローズ15は高温高圧に耐えられるものとする。本実施例に係る二重配管装置10の配管は、二重構造であるため、高温高圧条件下において使用することができ、例えば高温ガス炉から出る熱で高温に熱せられた窒素ガス、アルゴンガス等からなる不活性ガスをタービンに供給する高温ガス炉の配管として使用することができる。このとき、外管11、内管12内が例えば9MPa程度の高圧となり、外管11と内管12との間のガス温度は例えば200℃程度、内管12内部の温度は例えば500℃程度の高温条件となる。
【0026】
本実施例に係る二重配管装置10が高温ガス炉の配管に用いる場合には、ベローズ15を高温高圧に耐えられるようにすることで、外管11及び内管12の内部を流れるガスAが外管11の外部に漏洩するのを防止することができる。
【0027】
本実施例に係る二重配管装置10においては、弁棒14と外管11との間、弁棒14と内管12との間の両方にシール部19を設けているが本発明はこれに限定されるものではなく、弁棒14と外管11との間、弁棒14と内管12との間の何れか一方にのみにシール部19を設けるようにしてもよい。
【0028】
本実施例において用いられる二重配管装置は、例えば高温ガス炉の配管に限定されるものではなく、二重配管からなる配管構造であればよく、本発明は、原子炉圧力容器、循環ポンプ、バルブ類など他の蒸気タービンやガスタービン設備にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明に係る二重配管装置は、外管と内管とから構成される二重配管装置において、前記外管と前記内管との間に、前記流体が前記外管の外に漏洩するのを防止するベローズを設けることで、前記外管または前記内管の内部を流れる流体が前記外管の外部に漏洩するのを防止することができるため、前記外管と前記内管との二重構造からなる二重配管装置に用いて適している。
【符号の説明】
【0030】
10 二重配管装置
11 外管
11a 内壁
12 内管
13 流量調整弁
14 弁棒
14a フランジ
15 ベローズ
16 流体漏洩防止手段
17a、17b 取付部
18 弁調整機構
19 シール部
A ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、該外管に内挿された内管とから構成された二重配管装置の内部を流れる流体の流量を調整する二重配管装置であって、
前記外管または前記内管の内部を流れる流体の流量を調整する流量調整弁と、
該流量調整弁を支持し、前記外管及び前記内管を貫通する弁棒とを有すると共に、
ベローズ又は他の伸縮継手を含む流体漏洩防止手段を備え、
前記流体漏洩防止手段は、前記外管と前記内管との間の空間に備えられ、前記二重配管装置を流れる前記流体が、前記流体漏洩防止手段に直接接触しないようにし、前記流体が前記外管の外に漏洩するのを防止する二重配管装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベローズは、一端が前記外管の内壁に取り付けられると共に、他端が前記弁棒に取り付けられる二重配管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−506856(P2011−506856A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524012(P2010−524012)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/JP2009/056999
【国際公開番号】WO2009/119919
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】