説明

亜硫酸電解水素製造方法および装置

【課題】低電解電圧での水素発生を可能としたハイブリッド熱化学法プロセスにおける亜硫酸電解による水素製造に際し、亜硫酸中に混入する硫酸および不純物金属元素を予め除去し、高い水素製造効率を得るとともに、亜硫酸電解装置で使用される陽イオン交換膜の劣化を防止する方法と装置を提供する。
【解決手段】硫酸加熱工程[1]と、三酸化硫黄電解工程と[2]と、亜硫酸電解工程[3]とからなる亜硫酸電解水素製造方法において、三酸化硫黄電解工程[2]と亜硫酸電解工程[3]との間に硫酸分離装置を設け、三酸化硫黄電解工程[2]から供給されるSO2とH2Oと未分解SO3を含む高温の混合ガスを100〜200℃の温度に冷却し、SO3をH2Oと結合させて液体硫酸(H2SO4およびH2SO4・H2O)として分離し、SO2と余剰のH2Oからなる混合ガスを亜硫酸電解工程[3]へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜硫酸(二酸化硫黄の水溶液)の電解による水素製造方法および装置に関し、さらに詳しくは、水素発生用原料として供給する亜硫酸中に混入する硫酸および不純物金属元素を予め除去し、低い電解電圧での水素発生を可能として水素製造効率を向上させるとともに、亜硫酸電解装置の長寿命化を図るための方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硫酸の合成と分解反応を組み合わせて電気化学的および熱化学的に水から水素を製造するハイブリッド熱化学法プロセスは、従来から数多くの方法が提案されている。
その一つとして、硫酸(H2SO4)を熱分解して三酸化硫黄(SO3)と水(H2O)を生成する硫酸加熱工程と、三酸化硫黄を二酸化硫黄(SO2)と酸素(O2)に分解する三酸化硫黄分解工程と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素(H2)と硫酸を生成する亜硫酸電解工程とを組み合わせたハイブリッド熱化学法プロセスによる水素製造方法が知られている。
【0003】
かような水素製造方法に関連する技術としては、本願と同一出願人による特許文献1がある。この特許文献の発明においては、三酸化硫黄を二酸化硫黄と酸素に分解する三酸化硫黄分解工程を、酸素イオン透過性の固体電解質からなる隔壁を用いた電気分解により行うことを特徴とするものであり、これにより、従来の三酸化硫黄分解工程では約800℃の反応温度が必要であったのに対して、熱と電気を併用することで600℃以下で電解することが可能となった。
【0004】
しかしながら、三酸化硫黄電解工程の生成物である二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を亜硫酸電解工程へ供給するに際しては、未分解の三酸化硫黄も亜硫酸中に混入し、この三酸化硫黄は水と結合して硫酸となって亜硫酸電解工程へ供給されるため、亜硫酸電解工程における電解電圧の上昇が起こり、水素製造のための消費電気エネルギー量が増加する。また、亜硫酸電解工程へ供給される亜硫酸と硫酸の混合液中には、混合液の流路となる配管等を起源とする不純物金属イオンも混入するため、亜硫酸電解装置で使用される陽イオン交換膜を短時間で劣化させるという問題も生じる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−232031公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、亜硫酸電解による水素製造に際して、水素発生用原料として供給する亜硫酸中に混入する硫酸および不純物金属イオンを予め除去し、低い電解電圧での水素発生を可能としてハイブリッド熱化学法プロセスにおいて高い水素製造効率を得るとともに、亜硫酸電解装置で使用される陽イオン交換膜の劣化を防止し、亜硫酸電解装置の長寿命化を達成することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1に記載の発明は、硫酸を熱分解して三酸化硫黄と水を生成する硫酸加熱工程と、三酸化硫黄を電気分解して二酸化硫黄と酸素に分解する三酸化硫黄電解工程と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解工程とからなる亜硫酸電解水素製造方法において、三酸化硫黄電解工程と亜硫酸電解工程との間に硫酸分離工程を設けたことを特徴とする亜硫酸電解水素製造方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1における硫酸分離工程が、三酸化硫黄電解工程から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを100〜200℃の温度に冷却し、三酸化硫黄を水と結合させて液体硫酸として分離し、二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを亜硫酸電解工程へ供給することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2における硫酸分離工程で分離した液体硫酸を、硫酸加熱工程へ供給することを特徴とするものである。
【0009】
さらに請求項4に記載の発明は、硫酸を熱分解して三酸化硫黄と水を生成する硫酸加熱装置と、三酸化硫黄を電気分解して二酸化硫黄と酸素に分解する三酸化硫黄電解装置と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解装置とからなる亜硫酸電解水素製造装置において、三酸化硫黄電解装置と亜硫酸電解装置との間に硫酸分離装置を設けたことを特徴とする亜硫酸電解水素製造装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4における硫酸分離装置が、分離槽と、分離槽内を100〜200℃の温度に維持する温度制御手段と、三酸化硫黄電解装置から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを分離槽内へ導入する導入管と、高温の混合ガスが分離槽内で冷却されて三酸化硫黄と水が結合して生成する液体硫酸を分離槽下部に貯留するための貯留部と、貯留部に貯留した液体硫酸を分離槽外部へ抜き出す抜出管と、三酸化硫黄が液体硫酸として分離除去された二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを分離槽から排出し亜硫酸電解装置へ供給する排出管とからなることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5における硫酸分離装置の抜出管を前記硫酸加熱装置へ接続して、前記貯留部に貯留した液体硫酸を前記硫酸加熱装置へ供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
さらに請求項7に記載の発明は、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解装置の前段に硫酸分離装置を備えた亜硫酸電解水素製造装置であって、前記硫酸分離装置は、分離槽と、分離槽内を100〜200℃の温度に維持する温度制御手段と、三酸化硫黄電解装置から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを分離槽内へ導入する導入管と、高温の混合ガスが分離槽内で冷却されて三酸化硫黄と水が結合して生成する液体硫酸を分離槽下部に貯留するための貯留部と、貯留部に貯留した液体硫酸を分離槽外部へ抜き出す抜出管と、三酸化硫黄が液体硫酸として分離除去された二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを分離槽から排出し亜硫酸電解装置へ供給する排出管とからなることを特徴とする硫酸分離装置を備えた亜硫酸電解水素製造装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜6に係る本発明によれば、三酸化硫黄電解工程または三酸化硫黄電解装置で分解されなかった未分解三酸化硫黄に起因する硫酸が、硫酸分離工程または硫酸分離装置で効果的に分離除去され、硫酸を含まない亜硫酸を亜硫酸電解工程または亜硫酸電解装置で電気分解することができ、低い電解電圧で効果的に水素を製造することが可能となる。電解電圧を低くできることで、ハイブリッド熱化学法プロセス全体の電気エネルギー消費量を低減できる。
【0013】
また、硫酸分離工程または硫酸分離装置により液体硫酸を分離する際に、配管由来の不純物金属イオンも液体硫酸とともに分離除去することができ、亜硫酸電解工程または亜硫酸電解装置への金属イオンの流入を防止できる。これにより、亜硫酸電解装置中の陽イオン交換膜の劣化を防止し、長寿命化が可能となる。
【0014】
特に請求項3と6に係る本発明によれば、硫酸トラップ機能を備えた硫酸分離工程または硫酸分離装置で分離され濃縮された硫酸(H2SO4:100質量%硫酸、およびH2SO4・H2O:65質量%)を、硫酸加熱工程または硫酸加熱装置に供給することにより、硫酸加熱工程または硫酸加熱装置において余分な水の蒸発に必要な熱エネルギーを低減することができる。
【0015】
したがって、硫酸分離工程または硫酸分離装置を使用することによって、電気エネルギー消費量と熱エネルギーの低減、さらには亜硫酸電解装置の長寿命化が同時に達成でき、ハイブリッド熱化学法プロセス全体の熱効率および水素製造効率を高めるとともに、プロセス全体の長時間運転および低コスト化が可能となる。
【0016】
さらに、請求項7に係る本発明によれば、製鉄所や火山等から発生する二酸化硫黄を利用して亜硫酸電解による水素製造を行うに場合にも、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸中に混入する硫酸や不純物金属イオンを硫酸分離装置により効果的に分離除去することができる結果、亜硫酸電解装置における電解電圧を低くでき、電気エネルギー消費量の低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図3は、本発明において採用するハイブリッド熱化学法プロセスにおける亜硫酸電解水素製造方法を構成する反応および反応式を示している。
硫酸加熱工程:
2SO4熱分解反応 H2SO4→SO3+H2O …[1](400℃)
三酸化硫黄電解工程:
SO3電解反応 SO3→SO2+1/2O2 …[2](>500℃)
亜硫酸電解工程:
亜硫酸電解反応 SO2+2H2O→H2SO4+H2…[3]
(<100℃、電解電圧:0.17V)
【0018】
約500℃以上で運転される三酸化硫黄電解工程から亜硫酸電解工程に供給される流体中には、SO2とH2O(水または水蒸気)に加えて、未分解のSO3が混入する。混入したSO3はH2Oと結合してH2SO4となる。
図4は、亜硫酸中のH2SO4濃度と亜硫酸電解電圧との関係を示すグラフであり、亜硫酸中のH2SO4濃度の上昇とともに亜硫酸の電解電圧が上昇することがわかる。このため、SO3またはH2SO4を予め除去し、SO2とH2Oのみを亜硫酸電解工程に供給することで、水素発生のための電解電圧を低く維持でき、過電圧を低減させることができる。
【0019】
SO3は372℃以下でH2Oと結合してH2SO4になる。一方、SO2は100℃以下では液体の水に対する溶解度を持つが、100℃以上の水蒸気とは結合せず、単体のガスとして存在する。図5は、SO2、SO3およびH2O混合ガスの平衡状態を示す状態図であり、熱力学データベースMALT2および平衡計算ソフトGEMを使用して求めた計算結果である。図5からわかるように、三酸化硫黄電解工程から亜硫酸電解工程へ供給されるSO2、SO3およびH2O混合ガス(各ガスの初期モル数は、SO2:1mol、SO3:1mol、H2O:2mol)を100〜200℃の温度範囲におくことで、SO2ガス、水蒸気および液体硫酸(H2SO4およびH2SO4・H2O)の混合物となり、SO2ガスと水蒸気からなる混合ガスから液体硫酸を容易に分離除去することができる。
【0020】
そこで本発明においては、三酸化硫黄電解工程と亜硫酸電解工程との間に硫酸分離工程を設け、三酸化硫黄電解工程から供給されるSO2、H2Oおよび未分解SO3を含む高温の混合ガスを硫酸分離工程で100〜200℃の温度に冷却し、SO3をH2Oと結合させて液体硫酸(H2SO4およびH2SO4・H2O)として分離することにより、SO2ガスと余剰のH2O(水蒸気または凝縮した水)のみを亜硫酸電解工程へ供給することができる。
【0021】
また、三酸化硫黄電解工程から供給されるSO2、H2OおよびSO3の混合物中には配管材料から溶出したFeやCr等の不純物金属イオンが混入している可能性がある。これらの金属イオンは、亜硫酸電解装置で使用されている陽イオン交換膜(例えば「ナフィオン(Nafion)」(デュポン社の商品名)等)を劣化させることが知られている。本発明によれば、硫酸分離工程により分離される液体硫酸とともに金属イオンも分離除去することができるため、亜硫酸電解装置の寿命を延ばすことが可能となる。
【実施例】
【0022】
本発明の亜硫酸電解による水素製造方法の実施例を示す図1の工程図を参照して、本発明方法の各工程および本発明を実施するための装置構成を以下に説明する。
図1に示した本発明の亜硫酸電解水素製造装置は、硫酸加熱装置と、三酸化硫黄電解装置と、硫酸分離装置と、亜硫酸電解装置とから構成されている。
【0023】
硫酸加熱装置においては、亜硫酸電解装置から供給されるH2SO4およびH2SO4・H2Oを約400℃に加熱することで、硫酸熱分解反応[1]にしたがってSO3とH2Oの混合ガスが得られる。
三酸化硫黄電解装置においては、硫酸加熱装置から供給されるSO3とH2Oの混合ガスを電気分解することで、SO3電解反応[2]にしたがってSO3はSO2とO2に分解され、O2は電解装置から排出される。前記した特許文献1に記載された発明によれば、このSO3電解反応を熱と電気を併用することにより、温度600℃以下、電解電圧0.2V以下で行うことができる。本発明の実施例においては、温度を約500℃、電解電圧を最小0.13Vで実施している。
【0024】
硫酸分離装置においては、三酸化硫黄電解装置から供給されるSO2、H2Oおよび未分解SO3を含む高温(約500℃)の混合ガスを100〜200℃の温度範囲に冷却することで、SO3とH2Oとが結合反応し、液体硫酸(H2SO4およびH2SO4・H2O)が生成される。SO2と、SO3との反応で消費されなかった余剰のH2Oとは、気体状態のまま100〜200℃に冷却され、亜硫酸電解装置へ供給される。生成した液体硫酸は、硫酸分離装置から抜き出すことことによりSO2とH2Oの混合ガスから容易に分離することができる。この液体硫酸は濃縮されているため、抜き出した液体硫酸を硫酸加熱装置に供給することにより、硫酸加熱装置においてH2SO4中から余分なH2Oを蒸発するために要する熱エネルギーを低減できる。また、三酸化硫黄電解装置から硫酸分離装置へ供給される高温の混合ガス中には、配管材料から溶出した不純物金属イオンが混入している場合もあるが、これらの金属イオンは硫酸分離装置内で生成する液体硫酸中に移行するため、液体硫酸とともに効果的に分離除去することができる。
【0025】
亜硫酸電解装置においては、硫酸分離装置により液体硫酸と不純物金属イオンが分離除去されたSO2とH2Oの混合ガスと、別途供給される原料としての液体H2Oとを混合して亜硫酸とし、亜硫酸電解反応[3]にしたがって亜硫酸を分解することによりH2SO4とH2が生成される。亜硫酸電解装置は、図1に示すように、電解槽1内部を「ナフィオン」等の陽イオン交換膜2により2つの反応室に区切り、これらの反応室に陽極3と陰極4をそれぞれ配設した構造を有しており、電極間に電源装置(図示せず)から電圧を印加する。電極材料としては、白金、金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の貴金属材料や炭素系材料が使用できる。本発明の実施例においては、温度100℃以下、電解電圧0.17Vで亜硫酸の電解が行われ、陽極側反応室でH2SO4が、陰極側反応室でH2がそれぞれ生成され、H2SO4は硫酸加熱装置へ循環供給され、H2は製品として陰極側反応室から排出される。
2の陰極側反応室からの排出は、N2のごときパージガス、あるいは陰極側反応室で生成するH2SO4と同程度の濃度の液体硫酸を、パージ流体として陰極側反応室に流すことにより行うことができる。
【0026】
図2は、硫酸分離装置の実施例を示す説明図である。この硫酸分離装置は、分離槽10と、この分離槽10内を100〜200℃の温度に維持する温度制御手段11(ヒータまたは冷却器)と、三酸化硫黄電解装置から供給される高温(約500℃)のSO2+SO3+H2O混合ガスを分離槽10内へ導入する導入管12と、この高温の混合ガスが分離槽内で冷却されてSO3とH2Oが結合して生成する液体硫酸(H2SO4+H2SO4・H2O)を分離槽10下部に貯留するための貯留部Lと、貯留部Lに貯留した液体硫酸(100〜200℃)を分離槽10外部へ抜き出す抜出管13と、SO3が液体硫酸として分離除去されたSO2+H2O混合ガス(100〜200℃)を分離槽から排出し亜硫酸電解装置へ供給する排出管14とを有している。分離槽10の硫酸に接触する部分を構成する材料は、使用温度に応じて、SiO2、ZrO2、Al23等の耐硫酸性のセラミックスや、高Si鋳鉄、ステンレス鋼、ニッケル合金等の金属材料が用いられる。
【0027】
導入管12から分離槽10内に導入された高温の混合ガスが分離槽内で冷却されることで、混合ガス中のSO3はH2Oと結合し、生成する液体硫酸は分離槽10下部の貯留部Lに貯まる。一方、SO2+H2O混合ガスは分離槽10上部のガス空間Gに留まるため、SO2+H2O混合ガスと液体硫酸とを容易に分離することができ、SO2+H2O混合ガスのみを排出管14から亜硫酸電解装置へ供給することができる。なお、ミスト状となった液体硫酸がSO2+H2O混合ガスと同伴して排出管14に流入しないようにするために、排出管14の下方にミストセパレータ15を配設することが望ましい。図3に示したようなハイブリッド熱化学法プロセスを実施する場合には、抜出管13から抜き出された液体硫酸は硫酸加熱装置へ循環供給される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の亜硫酸電解水素製造方法の実施例を示す工程図である。
【図2】本発明を実施するための硫酸分離装置の実施例を示す説明図である。
【図3】本発明において採用するハイブリッド熱化学法プロセスにおける亜硫酸電解水素製造方法を構成する反応および反応式の説明図である。
【図4】亜硫酸中のH2SO4濃度と亜硫酸電解電圧との関係を示すグラフである。
【図5】SO2、SO3およびH2O混合ガスの平衡状態を示す状態図である。
【符号の説明】
【0029】
10:分離槽
11:温度制御手段
12:SO2+SO3+H2O混合ガス導入管
13:液体硫酸抜出管
14:SO2+H2O混合ガス排出管
L :液体硫酸貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸を熱分解して三酸化硫黄と水を生成する硫酸加熱工程と、三酸化硫黄を電気分解して二酸化硫黄と酸素に分解する三酸化硫黄電解工程と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解工程とからなる亜硫酸電解水素製造方法において、三酸化硫黄電解工程と亜硫酸電解工程との間に硫酸分離工程を設けたことを特徴とする亜硫酸電解水素製造方法。
【請求項2】
前記硫酸分離工程は、三酸化硫黄電解工程から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを100〜200℃の温度に冷却し、三酸化硫黄を水と結合させて液体硫酸として分離し、二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを亜硫酸電解工程へ供給することを特徴とする請求項1に記載の亜硫酸電解水素製造方法。
【請求項3】
硫酸分離工程で分離した液体硫酸を、硫酸加熱工程へ供給することを特徴とする請求項2に記載の亜硫酸電解水素製造方法。
【請求項4】
硫酸を熱分解して三酸化硫黄と水を生成する硫酸加熱装置と、三酸化硫黄を電気分解して二酸化硫黄と酸素に分解する三酸化硫黄電解装置と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解装置とからなる亜硫酸電解水素製造装置において、三酸化硫黄電解装置と亜硫酸電解装置との間に硫酸分離装置を設けたことを特徴とする亜硫酸電解水素製造装置。
【請求項5】
前記硫酸分離装置は、分離槽と、分離槽内を100〜200℃の温度に維持する温度制御手段と、三酸化硫黄電解装置から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを分離槽内へ導入する導入管と、高温の混合ガスが分離槽内で冷却されて三酸化硫黄と水が結合して生成する液体硫酸を分離槽下部に貯留するための貯留部と、貯留部に貯留した液体硫酸を分離槽外部へ抜き出す抜出管と、三酸化硫黄が液体硫酸として分離除去された二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを分離槽から排出し亜硫酸電解装置へ供給する排出管とからなることを特徴とする請求項4に記載の亜硫酸電解水素製造装置。
【請求項6】
前記硫酸分離装置の抜出管を前記硫酸加熱装置へ接続して、前記貯留部に貯留した液体硫酸を前記硫酸加熱装置へ供給するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の亜硫酸電解水素製造装置。
【請求項7】
二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素と硫酸を生成する亜硫酸電解装置の前段に硫酸分離装置を備えた亜硫酸電解水素製造装置であって、前記硫酸分離装置は、分離槽と、分離槽内を100〜200℃の温度に維持する温度制御手段と、三酸化硫黄電解装置から供給される二酸化硫黄と水と未分解三酸化硫黄を含む高温の混合ガスを分離槽内へ導入する導入管と、高温の混合ガスが分離槽内で冷却されて三酸化硫黄と水が結合して生成する液体硫酸を分離槽下部に貯留するための貯留部と、貯留部に貯留した液体硫酸を分離槽外部へ抜き出す抜出管と、三酸化硫黄が液体硫酸として分離除去された二酸化硫黄と余剰の水からなる混合ガスを分離槽から排出し亜硫酸電解装置へ供給する排出管とからなることを特徴とする硫酸分離装置を備えた亜硫酸電解水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−302936(P2007−302936A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131668(P2006−131668)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】