交通信号制御装置及び及びこれを用いた交通信号システム
【課題】 隣接交差点の交通信号機と連係しつつ、交通状況の急激な変動に対して迅速に追従した交通信号制御を実現し、しかも、制御対象エリア内の交差点数等が異なる場合でも簡単に対応可能とする。
【解決手段】 自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の赤信号中に得られた自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2及び隣接交差点CR’,CR”からの情報に基づいて、信号機A1,A2の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、信号機A3,A4の赤信号中に得られた各流入路R3,R4の交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に基づいて、信号機A3,A4の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する通信号機A1,A2の赤時間が設定される。
【解決手段】 自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の赤信号中に得られた自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2及び隣接交差点CR’,CR”からの情報に基づいて、信号機A1,A2の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、信号機A3,A4の赤信号中に得られた各流入路R3,R4の交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に基づいて、信号機A3,A4の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する通信号機A1,A2の赤時間が設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、幹線道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる複数の交差点の交通信号機を連係して制御する場合、各部の交通状況情報(例えば、交通量等)を得て、これらの交通状況情報に基づいて、当該エリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置によって、各交差点の交通信号機のサイクル長、スプリット及びオフセットの3種類の信号制御パラメータを制御していた(例えば、下記非特許文献1)。ここで、サイクル長とは、交差する道路のうちの一方の道路用の交通信号機の青信号表示開始時点から当該交通信号機の次回の青信号表示開始時点までの時間である。スプリットとは、1サイクルの中で各現示に割り当てられる時間の長さである。オフセットとは、各交差点間の時間的な相対関係である。
【非特許文献1】社団法人交通工学研究会編集、「交通信号の手引」、第1版第2刷、社団法人交通工学研究会、平成11年7月、p.75−84
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来技術では、サイクル長、スプリット及びオフセットの3種類の信号制御パラメータを制御しているので、現在以前に取得された交通状況情報に基づいて、次回のサイクルのサイクル長、スプリット及びオフセットが決定されてしまう。換言すれば、現在のサイクルのサイクル長、スプリット及びオフセットは、最新でも1サイクル長以前に取得された交通状況情報に基づいて決定されてしまう。
【0004】
したがって、前述した従来技術では、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して迅速に追従できなかった。
【0005】
また、エリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置が用いられているので、当該エリア内の交差点の数等によってその制御プログラム等を改変しなければならないとともにその改変が複雑なものとなるので、制御対象エリアに合わせた設計等に手数を要しコストアップを免れないとともに、設置後に制御対象エリアを拡大するようなことも簡単には行うことができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による交通信号制御装置は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、前記両側の各隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、を備えたものである。
【0008】
この第1の態様によれば、所定道路用の第1の交通信号機の赤信号中に得られた所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報、及び、所定道路用の第1の交通信号機の赤信号中に取得された隣接交差点情報に基づいて、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第2の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。また、交差道路用の第2の交通信号機の赤信号中に得られた交差道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報に基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第1の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。このように、この第1の態様では、現在の一方の道路の交通信号機の青信号表示時間は、その直前の当該交通信号機の赤信号表示時間中に得られた当該一方の道路の各流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、前記第1の態様によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。そして、前記第1の態様では、所定道路用の第1の交通信号機の次回の青信号表示時間は、所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報のみならず隣接交差点情報にも基づいて設定されるので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現することができる。さらに、前記第1の態様では、このような連係は、自交差点の第1及び第2の交通信号機の制御を行う交通信号制御装置(すなわち、自交差点に対応して設けられた交通信号制御装置)が隣接交差点情報を取得するだけで実現され、前述した従来技術のようにエリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置を用いるものではないので、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。
【0009】
本発明の第2の態様による交通信号制御装置は、前記第1の態様において、前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段を、含むものである。
【0010】
この第2の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関して、信号待ち車両台数を用いることで、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0011】
本発明の第3の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0012】
この第3の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第1の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0013】
本発明の第4の態様による交通信号制御装置は、前記第2又は第3の態様において、前記両側の各隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むものである。
【0014】
この第4の態様は、隣接交差点情報の具体例を挙げたものである。隣接交差点情報としてこのような情報を取得すれば、例えば後述する第5の態様や第6の態様のように、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じて、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様による交通信号制御装置は、前記第4の態様において、(a)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎にTb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、(b)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、(c)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、(d)前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0016】
この第5の態様によれば、自交差点の信号待ち台数の他に、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じた隣接交差点から自交差点への流入車両台数を考慮しつつ、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定されることになるので、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0017】
本発明の第6の態様による交通信号制御装置は、前記第5の態様において、前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出するものである。
【0018】
この第6の態様は、前記第5の態様の具体例を挙げたものである。このような第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間の算出手法を採用することで、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0019】
本発明の第7の態様による交通信号制御装置は、前記第5又は第6の態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0020】
この第7の態様のように、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第5及び第6の態様では、例えば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0021】
本発明の第8の態様による交通信号制御装置は、前記第7の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に選択した前記候補時間Tに対応する前記所定道路の前記自交差点に対する流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、を備えたものである。
【0022】
この第8の態様によれば、前記打ち切る手段を備えているので、隣接交差点から自交差点への実際の流入車両が少なくても、無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0023】
本発明の第9の態様による交通信号制御装置は、前記第8の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであるものである。
【0024】
この第9の態様のように打ち切り時間を設定すると、無駄青時間をより適切に低減することができるので、好ましい。
【0025】
本発明の第10の態様による交通信号制御装置は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の一方側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、前記一方側の隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、を備えたものである。
【0026】
前記第1の態様が自交差点の交通信号機を自交差点の前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御するのに対し、この第10の態様は、自交差点の交通信号機を自交差点の前記所定道路上の片側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御するが、両者は基本的に同様であり、同様の利点が得られる。例えば、前記第10の態様による交通信号制御装置は、後述する第28及び第29の態様のように、所定道路の制御対象エリアの端部の交差点の交通信号機の制御に用いることができる一方、前記第1の態様による交通信号制御装置は、後述する第29の態様のように、所定道路の制御対象エリア内の中間の交差点の交通信号機の制御に用いることができる。なお、前記第10の態様による交通信号制御装置が制御する交差点の交通信号機の連係の相手先の隣接交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1の態様による交通信号制御装置や前記第10の態様による交通信号制御装置に限定されるものではなく、例えば、既存の地点制御用の交通信号制御装置でもよい。同様に、前記第1の態様による交通信号制御装置が制御する交差点の交通信号機の連係の相手先の隣接交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1の態様による交通信号制御装置や前記第10の態様による交通信号制御装置に限定されるものではなく、例えば、既存の地点制御用の交通信号制御装置でもよい。
【0027】
本発明の第11の態様による交通信号制御装置は、前記第10の態様において、前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、を含むものである。
【0028】
この第11の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の信号待ち車両台数を得るとともに、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路については更に交通量を得る例を挙げたものである。この場合、交通状況情報としてこれらを用いることで、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0029】
本発明の第12の態様による交通信号制御装置は、前記第11の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0030】
この第12の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第1の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0031】
本発明の第13の態様による交通信号制御装置は、前記第11又は第12の態様において、前記第1の交通量取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記所定道路の前記自交差点に対する当該流入路の交通量を得るものである。
【0032】
この第13の態様は、前記所定道路の自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0033】
本発明の第14の態様による交通信号制御装置は、前記第11乃至第13のいずれかの態様において、前記一方側の隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むものである。
【0034】
この第14の態様は、隣接交差点情報の具体例を挙げたものである。隣接交差点情報としてこのような情報を取得すれば、例えば後述する第15の態様や第16の態様のように、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じて、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0035】
本発明の第15の態様による交通信号制御装置は、前記第14の態様において、(a)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、Tb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、(b)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で前記一方側の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、(c)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、(d)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第2の候補時間算出手段を含み、(e)前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0036】
この第15の態様によれば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点の側の流入路に関しては、自交差点の信号待ち台数の他に、当該隣接交差点の交通信号表示の状態に応じた当該隣接交差点から自交差点への流入車両台数を考慮しつつ、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tが算出されることになる。一方、前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点と反対側の流入路に関しては、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間が、候補時間Tとして算出されることになる。前記第15の態様によれば、これらの候補時間Tに基づいて第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間が設定されるので、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0037】
本発明の第16の態様による交通信号制御装置は、前記第15の態様において、前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、前記一方側の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出するものである。
【0038】
この第16の態様は、前記第15の態様の具体例を挙げたものである。前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点の側の流入路に関して、このような第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間の算出手法を採用することで、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0039】
本発明の第17の態様による交通信号制御装置は、前記第15又は第16の態様において、前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0040】
この第17の態様のように、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第15及び第16の態様では、例えば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0041】
本発明の第18の態様による交通信号制御装置は、前記第17の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記第1の候補時間算出手段により算出された候補時間Tを選択したことを前提条件として、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、を備えたものである。
【0042】
この第18の態様によれば、前記打ち切る手段を備えているので、連係すべき隣接交差点から自交差点への実際の流入車両が少なくても、無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0043】
本発明の第19の態様による交通信号制御装置は、前記第18の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであるものである。
【0044】
この第19の態様のように打ち切り時間を設定すると、無駄青時間をより適切に低減することができるので、好ましい。
【0045】
本発明の第20の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第19のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0046】
この第20の態様によれば、前記所定道路の各流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第19の態様は、この第19の態様に限定されるものではない。
【0047】
本発明の第21の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第20のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0048】
この第21の態様によれば、前記所定道路の渋滞が著しいような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第2の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第20の態様は、この第21の態様に限定されるものではない。
【0049】
本発明の第22の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第21のいずれかの態様において、前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むものである。
【0050】
この第22の態様は、前記交差道路の各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の交通量及び信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、前記交差道路に関して、交通量及び信号待ち車両台数を用いることで、例えば後述する第25の態様のように、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間を精度良く予測することができる。このため、前記第21の態様によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0051】
本発明の第23の態様による交通信号制御装置は、前記第22の態様において、前記第2の交通量取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の交通量を得るものである。
【0052】
この第23の態様は、前記交差道路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0053】
本発明の第24の態様による交通信号制御装置は、前記第22又は第23の態様において、前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0054】
この第24の態様は、前記交差道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第2の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0055】
本発明の第25の態様による交通信号制御装置は、前記第22乃至第24のいずれかの態様において、(a)前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第2の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該各流入路毎に、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第3の候補時間算出手段を含み、(b)前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0056】
この第25の態様では、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関する前記候補時間Tは、当該流入路に関して、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間に相当している。したがって、前記候補時間Tは、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間の精度の良い予測値となる。このため、前記第25の態様によれば、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tに基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定するので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0057】
本発明の第26の態様による交通信号制御装置は、前記第25の態様において、前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0058】
この第26の態様のように、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第25の態様では、例えば、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0059】
本発明の第27の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第26のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0060】
この第27の態様によれば、前記交差道路の各流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第26の態様は、この第27の態様に限定されるものではない。
【0061】
本発明の第28の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第27のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0062】
この第28の態様によれば、前記交差道路の渋滞が著しいような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第1の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第27の態様は、この第28の態様に限定されるものではない。
【0063】
本発明の第29の態様による交通信号システムは、所定道路上において互いに隣接する2つの交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、前記2つの交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する2つの交通信号制御装置と、を備え、前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、前記2つの交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、前記各交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置であるものである。
【0064】
この第29の態様によれば、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置が用いられているので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0065】
本発明の第30の態様による交通信号システムは、所定道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる3つ以上の交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、前記3つ以上の交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する3つ以上の交通信号制御装置と、を備え、前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、3つ以上の交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の一方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれかの態様による交通信号制御装置であり、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の他方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれかの態様による交通信号制御装置であり、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の端部以外の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1乃至第9のいずれかの態様による交通信号制御装置であるものである。
【0066】
この第30の態様によれば、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置及び前記第1乃至第9のいずれかの態様による交通信号制御装置が用いられているので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下、本発明による交通信号制御装置及び及びこれを用いた交通信号システムについて、図面を参照して説明する。
【0069】
図1は、本発明の一実施の形態による交通信号システムの制御対象エリア200を模式的に示す概略平面図である。本実施の形態による交通信号システムは、図1に示すように、幹線道路等の所定道路(以下、「主道路」と呼ぶ。)10上において順次隣接して連なる5つの交差点CR1〜CR5を、制御対象エリア200としている。交差点CR1〜CR5において、主道路10に対して交差道路(以下、「従道路」と呼ぶ。)21〜25がそれぞれ交差している。隣接する交差点間隔は、例えば、数十m〜数百m程度である。各交差点CR1〜CR5には、主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機が設定されているが、図1ではその図示は省略している。本実施の形態による交通信号システムは、各交差点CR1〜CR5においてそれぞれ設置された主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機(図1では図示せず)と、5つの交差点CR1〜CR5に対して1対1に設けられ対応する交差点の主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機をそれぞれ制御する5つの交通信号制御装置(図1では図示せず)と、を備えている。
【0070】
図2は、5つの交差点CR1〜CR5のうちの1つの交差点を自交差点CRとして着目し、5つの交差点CR1〜CR5のうち自交差点CRに対する主道路上り側の隣接交差点をCR’とし、5つの交差点CR1〜CR5のうち自交差点CRに対する主道路下り側の隣接交差点をCR”とした場合の、交差点CR,CR’,CR”に設置されている交通信号機A1〜A4,A1’〜A4’,A1”〜A4”及び交差点CR,CR’,CR”に対して1対1に設けられた交通信号制御装置1,1’,1”の配置例を模式的に示す概略平面図である。ただし、図2では、自交差点CRは、制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかであるものとして示している。自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合は、制御対象エリア200内には主道路下り側の隣接交差点CR”は存在せず、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合は、制御対象エリア200内には主道路上り側の隣接交差点CR”は存在しない。図2では、自交差点CRの従道路を20、主道路上り側の隣接交差点CR’の従道路を20’、主道路下り側の隣接交差点CR”の従道路を20”として、示している。
【0071】
図2に示すように、自交差点CRに設置された主道路10用の交通信号機(第1の交通信号機)A1,A2は、主道路10の自交差点CRに対する流入路R1,R2に対して交通信号を表示するように設置されている。同様に、自交差点CRに設置された従道路20用の交通信号機(第2の交通信号機)A3,A4は、従道路20の自交差点CRに対する流入路R3,R4に対して交通信号を表示するように設置されている。流入路R1,R2の自交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっており、流入路R3,R4の自交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっている。流入路R1の自交差点CRに対する流入方向は主道路下りり方向、流入路R2の自交差点CRに対する流入方向は主道路上り方向になっている。交通信号機A1,A2は互いに同一の信号表示を行い、交通信号機A3,A4は互いに同一の信号表示を行う。図2中のL1〜L4は、それぞれ自交差点CRに対する流入路R1〜R4の停止線である。なお、図2において、上り側の隣接交差点CR’に関する要素には、自交差点CRに関する対応要素の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付し、下り側の隣接交差点CR”に関する要素には、自交差点CRに関する対応要素の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
本実施の形態では、制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4に対応して設けられている交通信号制御装置は互いに同一の構成を有する一方、制御対象エリア200内の端部の交差点CR1,CR2に対応して設けられている交通信号制御装置は、交差点CR2〜CR4に対応して設けられている交通信号制御装置と基本的に同様の構成を有し、後述するようにその制御処理部3の動作が若干変更されている。
【0073】
図3は、自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1を示す概略ブロック図である。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1〜CR5のいずれの場合であっても、自交差点CRに対応して設けられる交通信号制御装置1は、図3に示す構成を有している。
【0074】
自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1は、図3に示すように、超音波車両感知器等の車両感知器B1〜B4と、撮像手段としてのテレビカメラC1〜C4と、制御ユニット2と、を備えている。制御ユニット2は、渋滞長計測処理部D1〜D4と、制御処理部3と、制御処理部3からの制御信号に従って自交差点CRの交通信号機A1〜A4を点灯駆動する駆動回路4と、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CRとの間で後述する情報の授受を行うLAN等の通信部5と、を備えている。通信部5は、公知の通信技術に従って、隣接交差点CR’,CRとの間の通信不能状態(例えば、通信回線7の途絶等)を検出する通信不能状態検出部6を有している。図2には、自交差点CRの交通信号制御装置1の車両感知器B1〜B4、テレビカメラC1〜C4及び制御ユニット2の配置状態が示されている。なお、図2において、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’に関する要素には、自交差点CRの交通信号制御装置1に関する対応要素の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付し、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”に関する要素には、自交差点CRの交通信号制御装置1に関する対応要素の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
図4は、図3中の主道路10の自交差点CRに対する流入路R1上の車両100の様子の例、並びに、流入路R1に関連して配置されたテレビカメラC1の視野及び車両感知器B1の感知位置を示す説明図である。図4において、停止線L1の手前に停車している車両100を実線で示し、自交差点CRに向かって走行している車両100を破線で示している。
【0076】
車両感知器B1〜B4は、図3及び図4に示すように、各流入路R1〜R4の上流側所定位置(例えば、自交差点CRから170mの位置)で車両100をそれぞれ感知する。テレビカメラC1〜C4は、各流入路R1〜R4の停止線L1〜L4の位置と上流側所定位置(例えば、自交差点CRから150mの位置)との範囲を含む画像をそれぞれ撮像する。なお、車両感知器B1〜B4はテレビカメラC1〜C4の視野外に配置することが好ましいが、その視野内に配置してもよい。
【0077】
渋滞長計測処理部D1〜D4は、テレビカメラC1〜C4からの画像をそれぞれ処理して停止線L1〜L4の手前に停車している車両100の列の長さ(渋滞長)をそれぞれ得る。このようなテレビカメラ及び渋滞長計測処理部を組み合わせた装置は、渋滞長計測処理装置として実用化されており、公知である。
【0078】
制御処理部3は、例えばコンピュータ等で構成され、車両感知器B1〜B4からの感知信号及び渋滞長計測処理部D1〜D4からの渋滞長を示す出力信号に基づいて、交通信号機A1〜A4の信号表示を制御する制御処理を行う。
【0079】
図5は、この自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1の制御処理部3の動作によって実現される自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作例を示すタイムチャートである。
【0080】
本実施の形態では、図5において、全赤時間(全ての交通信号機A1〜A4に赤信号表示をさせる時間)AR、交通信号機A1,A2の黄色信号表示時間(黄時間)Ym、及び、交通信号機A3,A4の黄時間Ysは、それぞれ常に一定の固定値としており、それらの値は制御処理部3の内部メモリ(図示せず)に格納されている。一方、交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)Gm、及び、交通信号機A3,A4の青信号表示時間(青時間)Gsは、それぞれその都度設定される可変値である。交通信号機A1,A2の単独赤信号表示時間(単独赤時間)(交通信号機A1,A2のみが赤信号表示を行い、交通信号機A3,A4が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rm、及び、交通信号機A3,A4の単独赤時間(交通信号機A3,A4のみが赤信号表示を行い、交通信号機A1,A2が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rsは、それぞれRm=Gs+Ys、Rs=Gm+Ymに従って設定される可変値である。図5からわかるように、交通信号機A1,A2の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rm+ARの全体であり、交通信号機A3,A4の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rs+ARの全体である。もっとも、本発明は、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、Gm,Gs,Rm,Rsの値は、制御処理部3の内部メモリに格納され、その都度新たな値に更新されることで設定される。
【0081】
なお、図面には示していないが、上流側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’〜A4’の動作についても、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作と同様であり、以下の説明において必要に応じて、上流側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’〜A4’の動作に関する各時間等には、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作に関する対応時間等の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付して説明する。また、下流側の隣接交差点CR”の交通信号機A1”〜A4”の動作についても、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作と同様であり、以下の説明において必要に応じて、下流側の隣接交差点CR”の交通信号機A1’〜A4’の動作に関する各時間等には、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作に関する対応時間等の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付して説明する。ただし、本実施の形態では、全赤時間AR及び黄時間Ys,Ymに関しては、いずれの交差点についても同一であるので、隣接交差点CR’,CR”についての全赤時間及び黄時間であっても、シングルクォート「’」もダブルクォート「”」も付さない。
【0082】
ここで、制御処理部3の動作の説明に先立って、自交差点CRに対する各流入路R1〜R4について算出される候補時間T1〜T4について、説明する。
【0083】
まず、本実施の形態において従道路20の自交差点CRに対する下り方向の流入路R3について算出される、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T3について、図6を参照して説明する。図6は、流入路R3に関して、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青開始時点(赤終了時点)からの時間経過と、当該流入路R3による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R3による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。図6では、赤終了時点(青開始時点)の流入路R3の信号待ち台数がn3であり、交通信号機A3,A4の青時間中の当該流入路R3による自交差点CRへの流入交通量q3(台/秒)が一定であり、当該流入路R3による自交差点CRからの流出は、当該流入路R3に対して設定されている一定値の飽和交通流S3(台/秒)で行われるものとしている。
【0084】
この場合、q3<S3であるので、赤終了時点から時間(青時間)が経過していくと、やがて流出累積台数と流入累積台数とが一致する。この両者が一致する時間を、流入路R3についての候補時間T3として算出する。候補時間T3は、T3=n3/(S3−q3)の式で表される。
【0085】
候補時間T3が経過した時点で従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間を終了させるとすると、その時点での流入路R3に関する捌け残り台数はちょうどゼロになる。したがって、候補時間T3が経過した時点で自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間を終了させれば、流入路R3については、捌け残りがないとともに青時間に無駄が生ずることがなく、効率が良いことがわかる。
【0086】
同様の観点から、本実施の形態では、従道路20の自交差点CRに対する上り方向の流入路R4について、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間の候補としての候補時間T4を、T4=n4/(S4−q4)の式により算出する。ここで、n4、S4、q4は、流入路R4に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0087】
また、本実施の形態では、通信回線7の途絶などによって自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から後述する情報が取得できない場合や、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合には、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青時間の候補としての候補時間T1を、T1=n1/(S1−q1)の式により算出する。ここで、n1、S1、q1は、流入路R1に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0088】
さらに、本実施の形態では、通信回線7の途絶などによって自交差点CRの交通信号制御装置1が下り側の隣接交差点CR”から後述する情報が取得できない場合や、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合には、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青時間の候補としての候補時間T2を、T2=n2/(S2−q2)の式により算出する。ここで、n2、S2、q2は、流入路R2に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0089】
次に、本実施の形態において、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から後述する情報が取得できる通常の場合に、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について算出される、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T1について、図7乃至図15を参照して説明する。
【0090】
この通常の場合の候補時間T1は、基本的には、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’が青時間を開始してから自交差点CRへ最初に流入する車両が自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達する際に、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2がどのような状態にあるかを勘案した上で、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’中に主道路10の上り側の隣接交差点CR’に対する下り方向の流入路R1’(流入路R1の上流の隣接交差点CR’の対応流入路R1’)の停止線L1’を出発して、自交差点CRへ流入すると予測される予測流入車両台数と、交通信号機A1,A2の赤終了時点における自交差点CRの流入路R1の信号待ち車両台数n1の、全体について、流入路R1の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき交通信号機A1,A2の青時間として、決定される。
【0091】
この通常の場合の候補時間T1の決定方法について、図7乃至図15を参照して具体的に説明する。
【0092】
本実施の形態では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、当該隣接交差点CR’の交通信号表示制御に関する情報である上り側隣接交差点情報として、その取得時に最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間開始時点(単独赤開始時点)SECs’と、上り側の隣接交差点CR’に対する主道路10の各流入路R1’,R2’のうち自交差点CRに向かう下り方向の流入路R1’について上り側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’,A2’の青時間の候補として算出された候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間T1に対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’とを、通信回線7を介して取得する。なお、本発明では、青開始時点SECm’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよいし、単独赤開始時点SECs’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよいし、単独赤時間Rm’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよい。例えば、単独赤開始時点SECs’は、黄時間終了時点を取得すれば、全赤時間ARは既知であるので、特定することができる。
【0093】
本実施の形態では、図7乃至図9に示すように、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、上り側隣接交差点情報を、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの直前の全赤時間ARの開始時点(単独赤時間Rm’の終了時点)付近で、取得する。図7乃至図9は、自交差点CRの交通信号制御装置1の上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の状態との関係を示す図である。
【0094】
図7(a)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’中である場合、図7(b)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の黄時間Ym直後の全赤時間AR中である場合、図8(a)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の黄時間Ym中である場合、図8(b)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’中である場合、図9は、当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’直後の全赤時間AR中である場合、をそれぞれ示している。
【0095】
本実施の形態では、前記取得タイミングで取得された上り側の隣接交差点情報に基づいて、図7(b)、図8(a)及び図8(b)に示すようにSECm’>SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より後)である場合には、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0’を、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’とする。一方、図7(a)及び図9に示すようにSECm’<SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より前)である場合には、基準時点SECm0’を、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の次回の青開始時点(すなわち、SECs’+Rm’+AR、つまり、単独赤開始時点SECs’から単独赤時間Rm及び全赤時間ARを経過した時点)とする。
【0096】
図10は、SECm’>SECs’の場合(すなわち、SECm0’=SECm’の場合)に、基準時点SECm0’と、予測到達時点SECa1(基準時点SECm0’で上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’の停止線L1’の位置から出発した車両(基準時点SECm0’から開始する青時間中に最初に出発する車両)が自交差点CRの流入路R1の停止線L1の位置に到達すると予測される時点)との関係を示す図である。図11は、SECm’<SECs’の場合(すなわち、SECm0’=SECs’+Rm’+ARの場合)に、基準時点SECm0’と、予測到達時点SECa1との関係を示す図である。図10及び図11には、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、後述する基本時間Tb1及び余裕時間Tex1も示している。
【0097】
本実施の形態では、図10及び図11に示すように、上り側の隣接交差点CR’の停止線L1’を出発した車両は、停止線L1,L1’間の距離と予め定められた自由流速度とから求められる旅行時間Tf1後に、自交差点の停止線L1に到達するものとし、予測到達時点SECa1を、SECa1=SECm0’+Tf1によって求める。
【0098】
予測到達時点SECa1から、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間Tに対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)だけ、上り側の隣接交差点CR’からの車両が自交差点CRに流入するものと考えられる。本実施の形態において、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’でなく、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’を使用する理由としては、本実施の形態では、青時間Gm’は下り方向の流入路L1’について算出された候補時間T1’と上り方向の流入路L2’について算出された候補時間T2’のうち、より大きい候補時間を青時間Gm’として採用するため、下り方向の流入路L2’について算出された候補時間T2’が青時間Gm’として採用された場合でも、下り方向の流入路L1’からは候補時間T1だけしか車両が流出しないと考えることができるためである。もっとも、本発明では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’についての候補時間T1’に代えて、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’を使用してもよく、予測到達時点SECa1から、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’だけ、上り側の隣接交差点CR’からの車両が自交差点CRに流入するものとみなしてもよい。この場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、候補時間T1’に代えて、青時間Gm’又はこれを特定するための情報を取得すればよい。
【0099】
本実施の形態では、図10及び図11に示すように、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1に関して、Tb1=n1/S1の式で表される基本時間Tb1を算出する。ここで、n1は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm(交通信号機A1,A2の赤終了時)での、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち台数である。S1は、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流である。基本時間Tb1は、信号待ち台数n1がちょうど捌け残りゼロとなる時間を意味している。
【0100】
また、本実施の形態では、図10及び図11に示すように、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め余裕時間Tex1が設定されている。この余裕時間Tex1の意義については、後述する。
【0101】
自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点((SECm+Tb1)の時点)、及び、前記青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点((SECm+Tb1+Tex1)の時点)に対する、予測到達時点SECa1の時間的な前後関係を考慮すると、図10に示すSECm’>SECs’の場合には、図10中のケースA〜Dが考えられ、図11に示すSECm’<SECs’の場合には、図11中のケースE〜Hが考えられる。
【0102】
ケースAでは、SECa1<SECm(予測到達時点SECa1が青開始時点SECmより前)である。ケースB,Eでは、SECm≦SECa1<SECm+Tb1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点より前)である。ケースC,Fでは、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点より前)である。ケースD,G,Hでは、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点以後)である。
【0103】
ケースAのようにSECa1<SECmの場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図12を参照して説明する。図12は、SECa1<SECmの場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。図12では、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入交通量は、上り側の隣接交差点CR’における下り方向の流入路R1’に予め設定されている一定値の飽和交通流S1’と等しいものとし、この交通量で、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’の間だけ自交差点CRに流入するものとしている(この点は、後述する図13乃至図15の場合も同様である。)。また、下り方向の流入路R1による自交差点CRからの流出は、当該流入路R1に対して設定されている一定値の飽和交通流S1で行われるものとしている(この点は、後述する図13乃至図15の場合も同様である。)。
【0104】
図12では、SECa1<SECmである(すなわち、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、自交差点CRの青信号開始時間SECmの前に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している)ため、自交差点CRの青開始時点SECm(自交差点CRの交通信号機A1,A2の赤終了時)での、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち台数n1のなかに、(SECm−SECa1)・S1’台の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数が含まれている。図12に示すように、SECa1<SECmの場合は、このことを考慮した上で、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}・S1’/S1の式により算出する。S1’≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}の式により算出してもよい。
【0105】
ケースB,EのようにSECm≦SECa1<SECm+Tb1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図13を参照して説明する。図13は、SECm≦SECa1<SECm+Tb1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0106】
図13では、SECm≦SECa1<SECm+Tb1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、基本時間Tb1の経過中に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合、図13に示すように、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1+T1’・S1’/S1の式により算出する。S’1≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=Tb1+T1’の式により算出してもよい。
【0107】
ケースC,FのようにSECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図14を参照して説明する。図14は、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0108】
図14では、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、基本時間Tb1の経過後の、余裕時間Tex1の経過中に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合には、赤終了時の信号待ち台数n1のみを捌いてしまえば自交差点CRの流入路R1に関する捌け残り台数はゼロとなる。しかし、赤終了時の信号待ち台数n1のみを捌くだけでは、その後すぐ上り側の隣接交差点CR’からの車両が到着するため、それらの車両は自交差点CRで長い間信号待ちをしなければならなくなってしまうとともに、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両は自交差点CRで急停止を強いられて危険である。余裕時間Tex1は、これらの不都合を防止するために設けた時間である。 図14に示すように、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合は、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=(SECa1−SECm)+T1’・S1’/S1の式により算出する。S’1≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=(SECa1−SECm)+T1’の式により算出してもよい。
【0109】
ケースD,G,HのようにSECm+Tb1+Tex1≦SECa1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図15を参照して説明する。図15は、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0110】
図15では、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、余裕時間Tex1の経過後に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合、図15に示すように、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、赤終了時の信号待ち台数n1のみをちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1の式により算出する。
【0111】
以上、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から前述した上り側の隣接交差点情報が取得できる通常の場合に、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について算出される、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T1について、図7乃至図15を参照して説明した。前述したように候補時間T1を算出するので、候補時間T1が経過時点で自交差点CRの主道路20用の交通信号機A1,A1の青時間を終了させれば、自交差点CRに対する主道路10の下り方向の流入路R1については、上り側の隣接交差点CR’の交通信号表示と適切に連係し、捌け残りがないとともに青時間に無駄が生ずることがなく、効率が良いことがわかる。
【0112】
本実施の形態では、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が下り側の隣接交差点CR”から下り側隣接交差点情報(前述した上り側の隣接交差点情報に対応する情報)が取得できる通常の場合には、図7乃至図15を参照して前述した通常の場合の候補時間T1と同様の方法によって、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T2が算出される。
【0113】
本実施の形態では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、以上説明した自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2についての候補時間T1,T2に基づいて、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmを設定する。また、自交差点CRの交通信号制御装置1は、先に説明した自交差点CRの従道路20の流入路R3,R4についての候補時間T3,T4に基づいて、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmを設定する。また、本実施の形態では、後述する青打ち切り制御も行われる。
【0114】
次に、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作について、図16乃至図23を参照して具体的に説明する。図16乃至図23は、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作を示す概略フローチャートである。
【0115】
制御処理部3は、動作を開始すると、まず、各時点を経過時間sとして計測する内蔵するタイマ(s)をs=0からスタートさせる(ステップS1)。なお、このタイマ(s)は、制御対象エリア200内の全ての交差点CR1〜CR5の交通信号制御装置の制御処理部3で、同期させる。
【0116】
引き続いて、制御処理部3は、自交差点CRの全ての交通信号機A1〜A4に赤表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS2)。
【0117】
次に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS3)。
【0118】
次いで、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間Gsを初期値Gs0に設定する(ステップS4)。
【0119】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の単独赤時間Rmを、Rm=Gs+Ysにより算出する(ステップS5)。
【0120】
引き続いて、制御処理部3は、ステップS3の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS6)。制御処理部3は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、従道路20の交通信号機A3,A4に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS7)。
【0121】
次に、制御処理部3は、この時点のタイマ(s)の計測時間sを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報と1つとなる、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の単独赤開始時点SECsとして、内部メモリに保存する(ステップS8)。この単独赤開始時点SECsは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この単独赤開始時点SECsは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0122】
次いで、制御処理部3は、ステップS5で最新に算出された自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の単独赤時間Rmを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報の1つとして、内部メモリに保存する(ステップS9)。この単独赤時間Rmは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この単独赤時間Rmは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0123】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、自交差点CRの主道路10の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測を、開始する(ステップS10)。すなわち、制御処理部3は、ステップS10の時点で内部メモリ内の台数N1,N2の値をゼロにリセットし、ステップS10の時点から後述する当該計測を終了するステップS23の時点までの間に、車両感知器B1から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N1の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B2から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N2の値を1だけインクリメントする。
【0124】
ステップS10の後に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS11)。
【0125】
次に、制御処理部3は、ステップS11の時点から現在設定されている青時間Gsを経過したか否かを判定する(ステップS12)。制御処理部3は、青時間Gsを経過していなければ青時間Gsを経過するまで待ち、青時間Gsを経過すると、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる(ステップS13)。
【0126】
次いで、制御処理部3は、ステップS11の時点から、ステップS5で最新に算出された主道路10の交通信号機A1,A2の単独赤時間Rmを経過したか否かを判定する(ステップS14)。制御処理部3は、単独赤時間Rmを経過していなければ単独赤時間Rmを経過するまで待ち、単独赤時間Rmを経過すると、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS21)。
【0127】
次に、制御処理部3は、この時点のタイマ(s)の計測時間sと全赤時間ARとを用いて、SECm=s+ARにより、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青開始時点SECmを算出し、この青開始時点SECmを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報の1つとして、内部メモリに保存する(ステップS22)。この青開始時点SECmは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この青開始時点SECmは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0128】
その後、制御処理部3は、ステップS10で開始した計測(すなわち、主道路10の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、主道路10の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測)を終了する(ステップS23)。よって、ステップS23以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N1は、前回の単独赤時間Rm中に主道路10の流入路R1における車両感知器B1の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS23以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N2は、前回の単独赤時間Rm中に主道路10の流入路R2における車両感知器B2の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0129】
次に、制御処理部3は、主道路10の流入路R1のカメラC1及び渋滞長計測処理部D1によって計測された現在の渋滞長E1、及び、主道路10の流入路R2のカメラC2及び渋滞長計測処理部D2によって計測された現在の渋滞長E2を、内部メモリに取り込む(ステップS24)。
【0130】
次いで、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS25)。
【0131】
その後、制御処理部3は、ステップS10,S23により最新に得られた単独赤時間Rm中の通過台数N1,N2、及び、ステップS5で最新に得られた単独赤時間Rmを用いて、q1=N1/Rm、q2=N2/Rmにより、主道路10の流入路R1の交通量q1(台/秒)及び主道路10の流入路R2の交通量q2(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS26,S27)。
【0132】
また、制御処理部3は、ステップS24で最新に取り込んだ主道路10の流入路R1の渋滞長E1及び主道路10の流入路R2の渋滞長E2、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n1=E1/F、n2=E2/Fにより、主道路10の流入路R1の信号待ち車両台数n1及び主道路10の流入路R2の信号待ち車両台数n2を、それぞれ算出する(ステップS28,S29)。
【0133】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの交通信号制御装置1の通信部5の通信不能状態検出部6からの検出結果に基づいて、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かを判定する(ステップS30)。その取得が可能であれば、制御処理部3は、上り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かの示すフラグ(「上り側情報取得可否フラグ」と呼ぶ。)FUを可能であることを示す値「1」にセットし(ステップS31)、ステップS32へ移行する。一方、その取得が不能であれば、制御処理部3は、上り側情報取得可否フラグFUを不能であることを示す値「0」にセットし(ステップS33)、ステップS34へ移行する。
【0134】
ステップS34において、制御処理部3は、ステップS26,S28で最新に算出したq1,n1、流入路R1について予め設定された飽和交通流(台/秒)S1を用いて、T1=n1/(S1−q1)により、流入路R1についての候補時間T1を算出する。その後、ステップS35へ移行する。
【0135】
ステップS32において、制御処理部3は、上り側の隣接交差点情報に基づく流入路R1についての候補時間T1の算出処理を行う。その後、ステップS35へ移行する。
【0136】
ここで、ステップS32の候補時間T1の算出処理の具体的な内容について、図21を参照して説明する。
【0137】
ステップS32の算出処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS28で最新に算出した主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち車両台数n1、流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=n1/S1により、基本時間Tb1を算出する(ステップS101)。
【0138】
次に、制御処理部3は、上り側の隣接交差点CR’から、上り側の隣接交差点情報として、最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤開始時点SECs’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間の候補として算出された候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間Tに対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’とを、通信回線7を介して取得する(ステップS102)。
【0139】
次いで、制御処理部3は、ステップS102で最新に取得した青開始時点SECm’及び単独赤開始時点SECs’について、SECm’>SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より後)であるか否かを判定する(ステップS103)。SECm’>SECs’であれば、制御処理部3は、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0’を、ステップS102で最新に取得した青開始時点SECm’とし(ステップS104)、ステップS106へ移行する。一方、SECm’<SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より前)であれば、制御処理部3は、ステップS102で最新に取得した単独赤開始時点SECs’及び単独赤時間Rm’を用いるとともに全赤時間ARを用いて、SECs’+Rm’+ARで表される上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の次回の青開始時点を算出し、基準時点SECm0’を、算出した次回の青開始時点とし(ステップS105)、ステップS106へ移行する。
【0140】
ステップS106において、制御処理部3は、ステップS104又はS105で決定された基準時点SECm0’と、停止線L1,L1’間の距離と予め定められた主道路10の下り方向の流入路R1についての自由流速度とから求められる旅行時間Tf1とを用いて、SECa1=SECm0’+Tf1により、予測到達時点SECa1を算出する。
【0141】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmからステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を経過した時点((SECm+Tb1)の時点)、及び、前記青開始時点SECmからステップS101で最新に算出した基本時間Tb1及び自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された余裕時間Tex1を経過した時点((SECm+Tb1+Tex1)の時点)に対する、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1の時間的な前後関係を判定する(ステップS107,S109,S111)。そして、制御処理部3は、SECa1<SECm(予測到達時点SECa1が青開始時点SECmより前)の場合は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS108)。また、制御処理部3は、SECm≦SECa1<SECm+Tb1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=Tb1+T1’・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS110)。さらに、制御処理部3は、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=(SECa1−SECm)+T1’・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS112)。さらにまた、制御処理部3は、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点以後)の場合は、制御処理部3は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を用いて、T1=Tb1の式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS113)。
【0142】
そして、制御処理部3は、ステップS108,S110,S112,S113の候補時間T1の算出後に、ステップS32の上り側の隣接交差点情報に基づく流入路R1についての候補時間T1の算出処理を終了して、図17中のステップS35へ移行する。
【0143】
ステップS35において、制御処理部3は、自交差点CRの交通信号制御装置1の通信部5の通信不能状態検出部6からの検出結果に基づいて、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下りり側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かを判定する。その取得が可能であれば、制御処理部3は、下り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かの示すフラグ(「下り側情報取得可否フラグ」と呼ぶ。)FDを可能であることを示す値「1」にセットし(ステップS36)、ステップS37へ移行する。一方、その取得が不能であれば、制御処理部3は、下り側情報取得可否フラグFDを不能であることを示す値「0」にセットし(ステップS38)、ステップS39へ移行する。
【0144】
ステップS39において、制御処理部3は、ステップS27,S29で最新に算出したq2,n2、流入路R2について予め設定された飽和交通流(台/秒)S2を用いて、T2=n2/(S2−q2)により、流入路R2についての候補時間T2を算出する。その後、ステップS41へ移行する。
【0145】
ステップS37において、制御処理部3は、下り側の隣接交差点情報に基づく流入路R2についての候補時間T2の算出処理を行う。その後、ステップS41へ移行する。
【0146】
ここで、ステップS37の候補時間T2の算出処理の具体的な内容について、図22を参照して説明する。ステップS37の処理の内容は、前述したステップS32の処理の内容と同様である。
【0147】
ステップS37の算出処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS29で最新に算出した主道路10の上り方向の流入路R2の信号待ち車両台数n2、流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=n2/S2により、基本時間Tb2を算出する(ステップS121)。
【0148】
次に、制御処理部3は、下り側の隣接交差点CR”から、下り側の隣接交差点情報として、最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の青開始時点SECm”と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の単独赤開始時点SECs”と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の青時間の候補として算出された候補時間T1”(自交差点CRの流入路R2についての候補時間T2に対応する、隣接交差点CR”の流入路R2”についての候補時間T2”)と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の単独赤時間Rm”とを、通信回線7を介して取得する(ステップS122)。
【0149】
次いで、制御処理部3は、ステップS122で最新に取得した青開始時点SECm”及び単独赤開始時点SECs”について、SECm”>SECs”(すなわち、青開始時点SECm”が単独赤開始時点SECs”より後)であるか否かを判定する(ステップS123)。SECm”>SECs”であれば、制御処理部3は、下り側の隣接交差点CR”から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0”を、ステップS122で最新に取得した青開始時点SECm”とし(ステップS124)、ステップS126へ移行する。一方、SECm”<SECs”(すなわち、青開始時点SECm”が単独赤開始時点SECs”より前)であれば、制御処理部3は、ステップS122で最新に取得した単独赤開始時点SECs”及び単独赤時間Rm”を用いるとともに全赤時間ARを用いて、SECs”+Rm”+ARで表される下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の次回の青開始時点を算出し、基準時点SECm0”を、算出した次回の青開始時点とし(ステップS125)、ステップS126へ移行する。
【0150】
ステップS126において、制御処理部3は、ステップS124又はS125で決定された基準時点SECm0”と、停止線L2,L2”間の距離と予め定められた主道路10の上り方向の流入路R2についての自由流速度とから求められる旅行時間Tf2とを用いて、SECa2=SECm0”+Tf2により、予測到達時点SECa2を算出する。
【0151】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmからステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を経過した時点((SECm+Tb2)の時点)、及び、前記青開始時点SECmからステップS121で最新に算出した基本時間Tb2及び自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された余裕時間Tex2を経過した時点((SECm+Tb2+Tex2)の時点)に対する、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2の時間的な前後関係を判定する(ステップS127,S129,S131)。そして、制御処理部3は、SECa2<SECm(予測到達時点SECa2が青開始時点SECmより前)の場合は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=Tb2+{T2”−(SECm−SECa2)}・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS128)。また、制御処理部3は、SECm≦SECa2<SECm+Tb2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb2を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=Tb2+T2”・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS130)。さらに、制御処理部3は、SECm+Tb2≦SECa2<SECm+Tb2+Tex2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECmから基本時間Tb2を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb2及び余裕時間Tex2を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=(SECa2−SECm)+T2”・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS132)。さらにまた、制御処理部3は、SECm+Tb2+Tex2≦SECa2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECmから基本時間Tb2及び余裕時間Tex2を経過した時点以後)の場合は、制御処理部3は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を用いて、T2=Tb2の式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T1を算出する(ステップS133)。
【0152】
そして、制御処理部3は、ステップS128,S130,S132,S133の候補時間T1の算出後に、ステップS37の下り側の隣接交差点情報に基づく流入路R2についての候補時間T1の算出処理を終了して、図18中のステップS41へ移行する。
【0153】
ところで、図12乃至図13に関する説明では、理解を容易にするため、信号待ち車両台数n1を、交通信号機A1,A2の赤終了時点(次回の青時間Gm開始時)における自交差点CRの流入路R1の信号待ち車両台数として説明した。また、図6に関する説明では、信号待ち車両台数n3を、交通信号機A3,A4の赤終了時点(次回の青時間Gs開始時)における自交差点CRの流入路R3の信号待ち車両台数として説明した。
【0154】
しかしながら、本実施の形態では、実際には、前述したステップS24,S28,S29のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm終了時における自交差点CRの流入路R1,R2の各信号待ち車両台数を、交通信号機A1,A2の赤終了時点(次回の青時間Gm開始時)における自交差点CRの流入路R1,R2の各信号待ち車両台数であるとそれぞれみなして、それぞれn1,n2としている。同様に、後述するステップS70,S83,S84のタイミングからわかるように、交通信号機A3,A4の単独赤時間Rs終了時における自交差点CRの流入路R3,R3の各信号待ち車両台数を、交通信号機A3,A4の赤終了時点(次回の青時間Gs開始時)における自交差点CRの流入路R3,R4の各信号待ち車両台数であるとそれぞれみなして、それぞれn3,n4としている。
【0155】
また、図6に関する説明では、流入交通量q3を、交通信号機A3,A4の青時間Gs中の流入路R3による自交差点CRへの流入交通量と説明した。
【0156】
しかしながら、本実施の形態では、実際には、前述したステップS10,S23,S26,S27のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量を、交通信号機A1,A2の青時間Gm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量であるとみなして、それぞれq1,q2としている。同様に、後述したステップS63,S69,S81,S82のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量を、交通信号機A3,A4の青時間Gs中の流入路R3,R4による自交差点CRへの各流入交通量であるとみなして、それぞれq3,q4としている。
【0157】
なお、このような予測精度をより高めるためには、ステップS23のタイミングやステップS24のタイミングを、信号機A1,A2の赤時間終了時点(青時間Gmの開始時点)により近づければよく、単独赤時間Rmの次の全赤時間ARの途中にすればよい。ただし、本実施の形態では、後述するステップS50までの処理が交通信号機A1,A2の赤時間終了時点までに終了している必要がある。これらの点は、後述するステップS69のタイミングやステップS70のタイミングについても同様である。
【0158】
ステップS41へ移行すると、制御処理部3は、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1についての候補時間T1、及び、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2についての候補時間T2に関して、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青時間Gmに対して予め設定した最小値Gmin1及び最大値Gmax1を用いた判定(ステップS41〜S45)を行い、T1≧T2かつGmax1≧T1≧Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT1に設定し(ステップS46)、T1<T2かつGmax1≧T2≧Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT2に設定し(ステップS49)、T1≧T2かつT1<Gmin1の場合及びT1<T2かつT2<Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmin1に設定し(ステップS48)、T1≧T2かつT1>Gmax1の場合及びT1<T2かつT2>Gmax1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmax1に設定する(ステップS47)。
【0159】
もっとも、本発明では、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。最小値Gmin1及び最大値Gmax1を両方とも用いない場合は、T1≧T2の場合に次回の青時間GmをT1に設定し、T1<T2の場合に次回の青時間GmをT2に設定すればよい。また、最小値Gmin1のみを用いない場合は、ステップS42,S44,S48を取り除き、ステップS41でYESの場合はステップS43へ移行し、ステップS41でNOの場合はステップS45へ移行すればよい。さらに、最大値Gmax1のみを用いない場合は、ステップS43,S45,S47を取り除き、ステップS42でYESの場合はステップS46へ移行し、ステップS44でYESの場合はステップS49へ移行すればよい。これらの点は、後述するステップS87〜95についても同様である。
【0160】
また、本発明では、ステップS41〜S49において、候補時間T1を直接用いる代わりに、候補時間T1に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。同様に、ステップS41〜S49において、候補時間T2を直接用いる代わりに、候補時間T2に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。さらに、本発明では、例えば、S41〜S49の代わりに、候補時間T1,T2の平均値Tav=(T1+T2)/2を用いた処理を行ってもよい。この場合、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方を用いて、Gmax1≧Tav≧Gmin1の場合に次回の青時間GmをTavに設定し、Tav<Gmin1の場合に次回の青時間GmをGmin1に設定し、Tav>Gmax1の場合に次回の青時間GmをGmax1に設定すればよい。また、平均値Tavを用いる場合においても、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。これらの点は、後述するステップS87〜S95についても同様である。
【0161】
ステップS46〜S49の後に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより算出する(ステップS50)。
【0162】
引き続いて、制御処理部3は、ステップS25の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS51)。制御処理部3は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS61)。
【0163】
その後、制御処理部3は、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1を、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報と1つとして、内部メモリに保存するとともに、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2を、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’へ供給するための情報と1つとして、内部メモリに保存する(ステップS62)。これらの候補時間T1,T2は、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、これらの候補時間T1,T2は、隣接交差点CR”,CR’の交通信号制御装置1”,1’からの取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR”,CR’の交通信号制御装置1”,1’にそれぞれ供給される。
【0164】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測を、開始する(ステップS63)。すなわち、制御処理部3は、ステップS63の時点で内部メモリ内の台数N3,N4の値をゼロにリセットし、ステップS63の時点から後述する当該計測を終了するステップS69の時点までの間に、車両感知器B3から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N3の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B4から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N4の値を1だけインクリメントする。
【0165】
ステップS63の後に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS64)。
【0166】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切り制御処理を行う(ステップS65)。
【0167】
この打ち切り制御処理の概要について、図24を参照して説明する。図24は、ステップS65の青打ち切り制御処理のうち、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、ステップS32で得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1に従って決定されたものである場合(すなわち、ステップS30でYESでかつステップS41でYESの場合)に行われる青打ち切り制御処理の例を、示している。
【0168】
現在設定されている青時間GmがステップS32で得た候補時間T1に従って決定されたものである場合において、前述した図12乃至図13にそれぞれに示す場合には、上り側の隣接交差点CR’からの車両が、上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’についての候補時間T1’だけ、上り側の隣接交差点CR’の上り方向の流入路R1’の飽和交通流S1’で自交差点CRに流入することを想定し、その流入台数を考慮して候補時間T1を算出している。しかし、実際には、上り側の隣接交差点CR’から飽和交通流S1’で車両が流入する時間が候補時間T1’よりも短い場合もあり得るが、その場合にまで、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を、現在設定されている青時間Gmの間継続するとすれば、無駄青時間が生じてしまう。そこで、本実施の形態では、このような場合には、図24に示すように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。
【0169】
上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへ流入する車両の計測には、図3中の車両感知器B1を使用し、車両感知器B1の感知信号に基づいて単位時間v0(例えば、1秒間)を経過している際に車両の通過が無かった場合に、1ずつ増加する一方、車両が通過すると0にリセットするカウンタ値nP1を用いる。自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1において、基本時間Tbを経過した後にカウンタ値nP1によるカウントをスタートし、カウント値nP1が予め定められた打ち切り時間Tc1・v0に相当するカウント値Tc1となったときに、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。この打ち切り時間Tc1は、自交差点CRの流入路R1の停止線L1から車両感知器B1までの距離と流入路R1について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じにしておくことが、好ましい。最後に車両感知器B1の感知位置を車両が通過してから打ち切り時間Tc1・v0を経過した後には車両感知器B1の感知位置を通過する車両が無い場合、自交差点CRと車両感知器B1の感知位置との間には車両は存在しないことから、これ以降の上りの側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの車両の流入は無いものとして、これを青信号表示の打ち切りタイミングとして使用している。
【0170】
また、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、ステップS37で得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に従って決定されたものである場合(すなわち、ステップS35でYESでかつステップS41でNOの場合)にも、同様に、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。
【0171】
ここで、ステップS65の青打ち切り制御処理の具体的な内容について、図23を参照して説明する。
【0172】
ステップS65の青打ち切り制御処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS41と同じく、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1、及び、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に関して、T1≧T2であるか否か(すなわち、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1に従って決定されたものであるか、それとも、自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に従って決定されたものであるか)を判定する(ステップS141)。候補時間T1に従って決定されたものであれば、ステップS142へ移行する一方、候補時間T2に従って決定されたものであれば、ステップS162へ移行する。
【0173】
ステップS142において、制御処理部3は、上り側情報取得可否フラグFUが1であるか(すなわち、ステップS32の算出処理により候補時間T1が算出されたか)否かを判定する。上り側情報取得可否フラグFUが1でなければ(すなわち、ステップS34の算出処理により候補時間T1が算出された場合)、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。上り側情報取得可否フラグFUが1であれば、ステップS143へ移行する。
【0174】
ステップS143において、制御処理部3は、ステップS64の時点からステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を経過したか否かを判定する。制御処理部3は、基本時間Tb1を経過していなければ基本時間Tb1を経過するまで待ち、基本時間Tb1を経過すると、経過時間uを計測する内蔵するタイマ(u)をu=0にリセットした後にスタートさせ(ステップS144)、内部メモリ内のカウント値nP1をゼロにセットする(ステップS145)。
【0175】
その後、制御処理部3は、内部メモリ内の台数N1をゼロにリセットし、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測を開始する(すなわち、以後に、車両感知器B1から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N1の値を1だけインクリメントする)(ステップS146)。
【0176】
次に、制御処理部3は、経過時間v計測する内蔵するタイマ(v)をv=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS147)。
【0177】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmを経過したか否かを判定する(ステップS148)。青時間Gmを経過していれば、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。一方、青時間Gmを経過していなければ、ステップS149へ移行する。
【0178】
ステップS149において、制御処理部3は、ステップS147の時点から所定の単位時間v0(例えば、1秒)を経過したか否かを判定する。単位時間v0を経過していなければ、ステップS148へ戻る一方、単位時間v0を経過していれば、ステップS150へ移行する。
【0179】
ステップS150において、制御処理部3は、ステップS146で最新に計測を開始した車両感知器B1による台数N1の計測値が1以上であるか否か(すなわち、単位時間v0中に車両感知器B1により車両が感知されたか否か)を判定する。台数N1が1以上であれば、カウント値nP1をゼロにリセットし(ステップS151)、ステップS153へ移行する。一方、台数N1が1以上でなければ、カウント値nP1を1だけインクリメントし(ステップS152)、ステップS153へ移行する。
【0180】
ステップS153において、制御処理部3は、カウント値nP1が予め定められた打ち切り時間Tc1・v0に相当するカウント値Tc1以上であるか否かを判定する。カウント値Tc1以上でなければ、ステップS146へ戻る一方、カウント値nP1以上であれば、ステップS154へ移行する。
【0181】
ステップS154において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切りを決定し、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1とステップS144の時点からの経過時間uとを用いて、現在設定されている交通信号機A1,A2の青時間Gmを、打ち切り後の長さであるTb1+uに設定し直す。
【0182】
次に、制御処理部3は、ステップS154で設定し直した交通信号機A1,A2の青時間Gm及び黄時間Ymを用いて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより再び算出する(ステップS155)。その後、制御処理部3は、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。
【0183】
また、ステップS141でNOと判定されると、制御処理部3は、制御処理部3は、下り側情報取得可否フラグFDが1であるか(すなわち、ステップS37の算出処理により候補時間T1が算出されたか)否かを判定する。下り側情報取得可否フラグFDが1でなければ(すなわち、ステップS39の算出処理により候補時間T1が算出された場合)、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。下り側情報取得可否フラグFDが1であれば、ステップS163へ移行する。
【0184】
ステップS163において、制御処理部3は、ステップS64の時点からステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を経過したか否かを判定する。制御処理部3は、基本時間Tb2を経過していなければ基本時間Tb2を経過するまで待ち、基本時間Tb2を経過すると、経過時間uを計測する内蔵するタイマ(u)をu=0にリセットした後にスタートさせ(ステップS164)、内部メモリ内のカウント値nP2をゼロにセットする(ステップS165)。
【0185】
その後、制御処理部3は、内部メモリ内の台数N2をゼロにリセットし、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測を開始する(すなわち、以後に、車両感知器B2から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N2の値を1だけインクリメントする)(ステップS166)。
【0186】
次に、制御処理部3は、経過時間v計測する内蔵するタイマ(v)をv=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS167)。
【0187】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmを経過したか否かを判定する(ステップS168)。青時間Gmを経過していれば、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。一方、青時間Gmを経過していなければ、ステップS169へ移行する。
【0188】
ステップS169において、制御処理部3は、ステップS167の時点から所定の単位時間v0(例えば、1秒)を経過したか否かを判定する。単位時間v0を経過していなければ、ステップS168へ戻る一方、単位時間v0を経過していれば、ステップS170へ移行する。
【0189】
ステップS170において、制御処理部3は、ステップS166で最新に計測を開始した車両感知器B2による台数N2の計測値が1以上であるか否か(すなわち、単位時間v0中に車両感知器B2により車両が感知されたか否か)を判定する。台数N2が1以上であれば、カウント値nP2をゼロにリセットし(ステップS171)、ステップS173へ移行する。一方、台数N2が1以上でなければ、カウント値nP2を1だけインクリメントし(ステップS172)、ステップS173へ移行する。
【0190】
ステップS173において、制御処理部3は、カウント値nP2が予め定められた打ち切り時間Tc2・v0に相当するカウント値Tc2以上であるか否かを判定する。カウント値Tc2以上でなければ、ステップS166へ戻る一方、カウント値nP2以上であれば、ステップS174へ移行する。
【0191】
ステップS174において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切りを決定し、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2とステップS164の時点からの経過時間uとを用いて、現在設定されている交通信号機A1,A2の青時間Gmを、打ち切り後の長さであるTb2+uに設定し直す。
【0192】
次に、制御処理部3は、ステップS174で設定し直した交通信号機A1,A2の青時間Gm及び黄時間Ymを用いて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより再び算出する(ステップS175)。その後、制御処理部3は、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。
【0193】
ステップS66において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる。
【0194】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、ステップS50あるいはS155又はS175で最新に算出された自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の単独赤時間Rsを経過したか否かを判定する(ステップS67)。制御処理部3は、単独赤時間Rsを経過していなければ単独赤時間Rsを経過するまで待ち、単独赤時間Rsを経過すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS68)。
【0195】
その後、制御処理部3は、ステップS63で開始した計測(すなわち、自交差点CRの従道路20の流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測)を終了する(ステップS69)。よって、ステップS69以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N3は、前回の単独赤時間Rs中に自交差点CRの従道路20の流入路R3における車両感知器B3の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS69以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N4は、前回の単独赤時間Rs中に自交差点CRの従道路20の流入路R4における車両感知器B4の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0196】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の流入路R3のカメラC3及び渋滞長計測処理部D3によって計測された現在の渋滞長E3、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4のカメラC4及び渋滞長計測処理部D4によって計測された現在の渋滞長E4を、内部メモリに取り込む(ステップS70)。
【0197】
次いで、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS71)。
【0198】
その後、制御処理部3は、ステップS63,S69により最新に得られた単独赤時間Rs中の通過台数N3,N4、及び、ステップS50あるいはS155又はS175で最新に得られた単独赤時間Rsを用いて、q3=N3/Rs、q4=N4/Rsにより、自交差点CRの従道路20の流入路R3の交通量q3(台/秒)及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の交通量q4(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS81,S82)。
【0199】
また、制御処理部3は、ステップS70で最新に取り込んだ自交差点CRの従道路20の流入路R3の渋滞長E3及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の渋滞長E4、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n3=E3/F、n4=E4/Fにより、自交差点CR従道路20の流入路R3の信号待ち車両台数n3及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の信号待ち車両台数n4を、それぞれ算出する(ステップS83,S84)。
【0200】
その後、制御処理部3は、ステップS81〜S84で最新に算出したq3,q4,n3,n4、自交差点CRの従道路20の下り方向の流入路R3について予め設定された飽和交通流(台/秒)S3、及び、自交差点CRの従道路20の上り方向の流入路R4について予め設定された飽和交通流(台/秒)S4を用いて、T3=n3/(S3−q3)、T4=n4/(S4−q4)により、流入路R3についての候補時間T3及び流入路R4についての候補時間T4をそれぞれ算出する(ステップS85,S86)。
【0201】
ステップS86の後に、制御処理部3は、ステップS85で最新に得た自交差点CRの従道路20の下り方向の流入路R3についての候補時間T3、及び、ステップS86で最新に得た自交差点CRの従道路20の上り方向の流入路R4についての候補時間T4に関して、自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の青時間Gsに対して予め設定した最小値Gmin2及び最大値Gmax2を用いた判定(ステップS87〜S91)を行い、T3≧T4かつGmax2≧T3≧Gmin2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT3に設定し(ステップS92)、T3<T4かつGmax2≧T4≧Gmin2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT4に設定し(ステップS95)、T3≧T4かつT3<Gmin2の場合及びT3<T4かつT4<Gmin2の場合に自交差点CR従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmin2に設定し(ステップS94)、T3≧T4かつT3>Gmax2の場合及びT3<T4かつT4>Gmax2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmax2に設定する(ステップS93)。
【0202】
ステップS87〜S95の後に、ステップS5へ戻る。
【0203】
以上、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作について、図16乃至図23を参照して具体的に説明した。
【0204】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2に限定されるものではない。本実施の形態では、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。
【0205】
なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、通信回線7の途絶等により上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報が取得できない場合や下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26,S27で自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2の交通量q1,q2を得ており、上り側の隣接交差点情報が取得不能である場合にはステップS34で候補時間T1を算出し、下り側の隣接交差点情報が取得不能である場合にはステップS39で候補時間T1を算出している。したがって、本実施の形態によれば、通信回線7の途絶等が生じて隣接交差点情報が取得不能となっても、隣接交差点との連係は行われなくなるものの、特別な支障を来すことなく、自交差点CRの交通信号表示を継続することができるという利点が得られる。また、本実施の形態では、交通量q1,q2取得用の車両感知器として、前述した青打ち切り制御用の自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2の車両感知器B1,B2を兼用しているので、コストダウンを図ることができる。もっとも、本発明では、このような隣接交差点情報の取得不能に対して必ずしも備える必要はなく、その場合には、ステップS10,S23,S26,S27,S30,S31,S33,S34,S35,S36,S38,S39,S142,S162及び通信不能状態検出部6は、不要である。
【0206】
また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A3の赤信号表示中の、自交差点CRの従道路20の各流入路R3,R4の交通状況情報として、ステップS81,S82で算出した流入路R3,R4の交通量q3,q4、及び、ステップS85,S86で算出した流入路R3,R4の信号待ち車両台数n3,n4を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に限定されるものではない。本実施の形態では、車両感知器B3,B4、及び、制御処理部3のステップS63,S64,S81,S82の機能によって、交通量q3,q4を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、テレビカメラC3,C4、渋滞長計測処理部D3,D4、及び、制御処理部3のステップS70,S85,S86の機能によって、信号待ち車両台数n3,n4を得る取得手段が構成されている。これらの点は、以下に説明する自交差点CRが制御対象エリア200内の端部の交差点CR1,CR2のいずれかである場合も、同様である。
【0207】
自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合には、制御対象エリア200内には主道路下り側の隣接交差点CR”は存在しないため、自交差点の交通信号制御装置1の制御処理部3の動作は、前述した図16乃至図23に示す動作に対して以下に説明するように改変される。すなわち、自交差点CRが交差点CR1である場合には、ステップS35〜S38が除去されてステップS32,S34の後にステップS39を経てステップS41へ移行し、ステップS141,S162〜S175が除去されてステップS64の後にステップS142へ移行する。
【0208】
この説明からわかるように、自交差点CRが交差点CR1である場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2、及び、ステップS27で算出した流入路R2の交通量q2を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2及び交通量q2に限定されるものではない。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、車両感知器B2、及び、制御処理部3のステップS10,S23,S27の機能によって、交通量q2を得る取得手段が構成されている。なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、通信回線7の途絶等により上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26で自交差点CRの主道路10の流入路R1の交通量q1を得ているが、本発明では、必ずしもこれに備える必要はない。
【0209】
また、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合には、制御対象エリア200内には主道路上り側の隣接交差点CR’は存在しないため、自交差点の交通信号制御装置1の制御処理部3の動作は、前述した図16乃至図23に示す動作に対して以下に説明するように改変される。すなわち、自交差点CRが交差点CR5である場合には、ステップS30〜S33が除去されてステップS29の後にステップS34を経てステップS35へ移行し、ステップS141〜S155が除去されてステップS64の後にステップS162へ移行する。
【0210】
この説明からわかるように、自交差点CRが交差点CR5である場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2、及び、ステップS26で算出した流入路R2の交通量q1を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2及び交通量q1に限定されるものではない。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、車両感知器B1、及び、制御処理部3のステップS10,S23,S26の機能によって、交通量q1を得る取得手段が構成されている。なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、通信回線7の途絶等により下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26で自交差点CRの主道路10の流入路R2の交通量q2を得ているが、本発明では、必ずしもこれに備える必要はない。
【0211】
本実施の形態によれば、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1について説明すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号中に得られた自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報n1,n2、及び、自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の赤信号中に得られた上り側及び下り側の隣接交差点情報に基づいて、自交差点CRの主道路10の主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmが設定され、これに応じて、当該青時間Gmに対応する自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の赤信号中に得られた自交差点CRの従道路20の各流入路R3,R4の交通状況情報q3,q4,n3,n4に基づいて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsが設定され、これに応じて、当該青時間Gsに対応する自交差点CRの主道路10の交通通信号機A1,A2の赤時間が設定される。このように、本実施の形態では、現在の一方の道路の信号機の青時間は、その直前の当該交通信号機の赤時間中に得られた当該一方の道路の各流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、本実施の形態によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0212】
そして、本実施の形態では、自交差点CRが交差点C2〜C4のいずれかである場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間は、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報のみならず上り側及び下り側の隣接交差点情報にも基づいて設定されるので、上り側及び下り側の隣接交差点CR’,CR”の交通信号機A1’〜A4’,A1”〜A4”と連係した交通信号制御を実現することができる。
【0213】
以上説明した点は、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部の交差点CR1又はCR5である場合も、同様である。
【0214】
さらに、本実施の形態では、自交差点CRが交差点C1〜C5のいずれかである場合、前述したような隣接交差点間の連係は、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側及び下り側の隣接交差点情報を取得するだけで実現され、前述した従来技術のようにエリア内の複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置を用いるものではないので、各交差点CR1〜CR5に対して交通信号制御装置が1対1に設けられ各交差点CR1〜CR5毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。例えば、交差点CR5に対応した交通信号制御装置を交差点C2〜C4に対応した交通信号制御装置と同じものとし、交差点CR5に対して上り側に隣接する交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置として、本実施の形態における交差点CR5に対応した交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置を設置するだけで、簡単に制御対象エリア200を6個の交差点に拡大することができる。
【0215】
また、本実施の形態では、自交差点CRの主道路10の流入路R1についての候補時間T1を前述したステップS32により算出し、自交差点CRの主道路10の流入路R2についての候補時間T2を前述したステップS32により算出し、これらに基づいて、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青信号を設定しているので、隣接交差間の交通信号表示をより適切に連携させることができ、円滑で効率の良い交通を実現することができる。
【0216】
さらに、本実施の形態では、前述したように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmは下限値Gmin1以上に設定され、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsは下限値Gmin2以上に設定される。したがって、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通量がほとんどないような場合や従道路20の各流入路R3,R4の交通量がほとんどないような場合においても、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青時間Gmが短すぎたり自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の青時間Gs短すぎたりして信号表示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができる。
【0217】
また、本実施の形態では、前述したように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmは上限値Gmax1以下に設定されるので、自交差点CRの主道路10の渋滞が著しいような場合においても、自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の青時間Gmが長すぎて自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。同様に、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsは上限値Gmax2以下に設定されるので、自交差点CRの従道路20の渋滞が著しいような場合においても、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の青時間Gsが長すぎて自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。
【0218】
さらに、本実施の形態では、ステップS65の青打ち切り制御処理を行うので、隣接交差点CR’,CR”から自交差点CRへの実際の流入車両が少なくても、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0219】
さらにまた、本実施の形態では、隣接交差点間で授受する情報は、前述したように、青開始時点、単独赤開始時点、候補時間及び単独赤時間であるので、その通信トラフィックは非常に少なくてすむ。
【0220】
以上、本発明の一実施の形態による交通信号システムについて説明したが、本発明は、このような交通信号システムやこれに用いられている交通信号制御装置に限定されるものではない。
【0221】
例えば、前述した実施の形態では、制御対象エリア200内の順次隣接する交差点の数が5個であったが、その数は2つ以上であればよい。2つの場合には、上り側の交差点の交通信号制御装置として、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じものを用い、下り側の交差点の交通信号制御装置として、前記実施の形態における交差点CR5の交通信号制御装置を用いればよい。
【0222】
また、例えば、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置と組み合わせる、その交差点の上り側の隣接交差点の交通信号制御装置は、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置や前記実施の形態における交差点C5の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置に限定されるものではなく、任意の交通信号制御装置でよい。この場合、必要に応じて、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置では、前記ステップS102において、候補時間T1’に代えて、主道路10の上り側の隣接交差点の青時間Gm’を取得し、前記ステップS108,S110において、候補時間T1’に代えて当該青時間Gm’を用いればよい。
【0223】
さらに、例えば、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置と組み合わせる、その交差点の上り側の隣接交差点の交通信号制御装置も、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置や前記実施の形態における交差点C5の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置に限定されるものではなく、任意の交通信号制御装置でよい。この場合も、必要に応じて、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置では、前記ステップS102において、候補時間T1’に代えて、主道路10の上り側の隣接交差点の青時間Gm’を取得し、前記ステップS108,S110において、候補時間T1’に代えて当該青時間Gm’を用いればよい。
【0224】
また、前記実施の形態は、各交差点において交差する2つの道路が片側1車線の道路の例であったが、本発明は、各交差点において交差する2つの道路の両方又は一方が片側複数車線の道路の場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】本発明の一実施の形態による交通信号システムの制御対象エリアを模式的に示す概略平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による交通システムの一部の配置例を模式的に示す概略平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による交通システムの自交差点に対応して設けられた交通信号制御装置を示す概略ブロック図である。
【図4】図3中の主道路の自交差点に対する流入路上の車両の様子の例、並びに、当該流入路に関連して配置されたテレビカメラの視野及び車両感知器の感知位置を示す説明図である。
【図5】図3に示す自交差点の交通信号制御装置により実現される自交差点の交通信号機の動作例を示すタイムチャートである。
【図6】自交差点の従道路の流入路についての候補時間の算出方法を示す図である。
【図7】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す図である。
【図8】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す他の図である。
【図9】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す更に他の図である。
【図10】基準時点と予測到達時点との関係を示す図である。
【図11】基準時点と予測到達時点との関係を示す他の図である。
【図12】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す図である。
【図13】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す他の図である。
【図14】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す更に他の図である。
【図15】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す更に他の図である。
【図16】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示すフローチャートである。
【図17】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す他のフローチャートである。
【図18】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図19】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図20】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図21】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図22】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図23】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図24】青打ち切り制御を示す図である。
【符号の説明】
【0226】
1,1’,1” 交通信号制御装置
2,2’,2” 制御ユニット
3 制御処理部
4 駆動回路
5 通信部
6 通信不能状態検出部
7 通信回線
10 主道路
20,20’,20”21〜24 従道路
100 車両
200 制御対象エリア
A1〜A4,A1’〜A4’,A1”〜A4” 交通信号機
B1〜B4,B1’〜B4’,B1”〜B4” 車両感知器
C1〜C4,C1’〜C4’,C1”〜C4” テレビカメラ
CR,CR’,CR”,CR1〜CR5 交差点
D1〜D4,D1’〜D4’,D1”〜D4” 渋滞長計測処理部
L1〜L4,L1’〜L4’,L1”〜L4” 停止線
R1〜R4,R1’〜R4’,R1”〜R4” 流入路
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、幹線道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる複数の交差点の交通信号機を連係して制御する場合、各部の交通状況情報(例えば、交通量等)を得て、これらの交通状況情報に基づいて、当該エリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置によって、各交差点の交通信号機のサイクル長、スプリット及びオフセットの3種類の信号制御パラメータを制御していた(例えば、下記非特許文献1)。ここで、サイクル長とは、交差する道路のうちの一方の道路用の交通信号機の青信号表示開始時点から当該交通信号機の次回の青信号表示開始時点までの時間である。スプリットとは、1サイクルの中で各現示に割り当てられる時間の長さである。オフセットとは、各交差点間の時間的な相対関係である。
【非特許文献1】社団法人交通工学研究会編集、「交通信号の手引」、第1版第2刷、社団法人交通工学研究会、平成11年7月、p.75−84
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来技術では、サイクル長、スプリット及びオフセットの3種類の信号制御パラメータを制御しているので、現在以前に取得された交通状況情報に基づいて、次回のサイクルのサイクル長、スプリット及びオフセットが決定されてしまう。換言すれば、現在のサイクルのサイクル長、スプリット及びオフセットは、最新でも1サイクル長以前に取得された交通状況情報に基づいて決定されてしまう。
【0004】
したがって、前述した従来技術では、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して迅速に追従できなかった。
【0005】
また、エリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置が用いられているので、当該エリア内の交差点の数等によってその制御プログラム等を改変しなければならないとともにその改変が複雑なものとなるので、制御対象エリアに合わせた設計等に手数を要しコストアップを免れないとともに、設置後に制御対象エリアを拡大するようなことも簡単には行うことができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による交通信号制御装置は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、前記両側の各隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、を備えたものである。
【0008】
この第1の態様によれば、所定道路用の第1の交通信号機の赤信号中に得られた所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報、及び、所定道路用の第1の交通信号機の赤信号中に取得された隣接交差点情報に基づいて、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第2の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。また、交差道路用の第2の交通信号機の赤信号中に得られた交差道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報に基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第1の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。このように、この第1の態様では、現在の一方の道路の交通信号機の青信号表示時間は、その直前の当該交通信号機の赤信号表示時間中に得られた当該一方の道路の各流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、前記第1の態様によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。そして、前記第1の態様では、所定道路用の第1の交通信号機の次回の青信号表示時間は、所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報のみならず隣接交差点情報にも基づいて設定されるので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現することができる。さらに、前記第1の態様では、このような連係は、自交差点の第1及び第2の交通信号機の制御を行う交通信号制御装置(すなわち、自交差点に対応して設けられた交通信号制御装置)が隣接交差点情報を取得するだけで実現され、前述した従来技術のようにエリア内の前記複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置を用いるものではないので、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。
【0009】
本発明の第2の態様による交通信号制御装置は、前記第1の態様において、前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段を、含むものである。
【0010】
この第2の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関して、信号待ち車両台数を用いることで、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0011】
本発明の第3の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0012】
この第3の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第1の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0013】
本発明の第4の態様による交通信号制御装置は、前記第2又は第3の態様において、前記両側の各隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むものである。
【0014】
この第4の態様は、隣接交差点情報の具体例を挙げたものである。隣接交差点情報としてこのような情報を取得すれば、例えば後述する第5の態様や第6の態様のように、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じて、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様による交通信号制御装置は、前記第4の態様において、(a)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎にTb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、(b)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、(c)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、(d)前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0016】
この第5の態様によれば、自交差点の信号待ち台数の他に、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じた隣接交差点から自交差点への流入車両台数を考慮しつつ、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定されることになるので、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0017】
本発明の第6の態様による交通信号制御装置は、前記第5の態様において、前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出するものである。
【0018】
この第6の態様は、前記第5の態様の具体例を挙げたものである。このような第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間の算出手法を採用することで、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0019】
本発明の第7の態様による交通信号制御装置は、前記第5又は第6の態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0020】
この第7の態様のように、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第5及び第6の態様では、例えば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0021】
本発明の第8の態様による交通信号制御装置は、前記第7の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に選択した前記候補時間Tに対応する前記所定道路の前記自交差点に対する流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、を備えたものである。
【0022】
この第8の態様によれば、前記打ち切る手段を備えているので、隣接交差点から自交差点への実際の流入車両が少なくても、無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0023】
本発明の第9の態様による交通信号制御装置は、前記第8の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであるものである。
【0024】
この第9の態様のように打ち切り時間を設定すると、無駄青時間をより適切に低減することができるので、好ましい。
【0025】
本発明の第10の態様による交通信号制御装置は、所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の一方側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、前記一方側の隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、を備えたものである。
【0026】
前記第1の態様が自交差点の交通信号機を自交差点の前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御するのに対し、この第10の態様は、自交差点の交通信号機を自交差点の前記所定道路上の片側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御するが、両者は基本的に同様であり、同様の利点が得られる。例えば、前記第10の態様による交通信号制御装置は、後述する第28及び第29の態様のように、所定道路の制御対象エリアの端部の交差点の交通信号機の制御に用いることができる一方、前記第1の態様による交通信号制御装置は、後述する第29の態様のように、所定道路の制御対象エリア内の中間の交差点の交通信号機の制御に用いることができる。なお、前記第10の態様による交通信号制御装置が制御する交差点の交通信号機の連係の相手先の隣接交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1の態様による交通信号制御装置や前記第10の態様による交通信号制御装置に限定されるものではなく、例えば、既存の地点制御用の交通信号制御装置でもよい。同様に、前記第1の態様による交通信号制御装置が制御する交差点の交通信号機の連係の相手先の隣接交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1の態様による交通信号制御装置や前記第10の態様による交通信号制御装置に限定されるものではなく、例えば、既存の地点制御用の交通信号制御装置でもよい。
【0027】
本発明の第11の態様による交通信号制御装置は、前記第10の態様において、前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、を含むものである。
【0028】
この第11の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の信号待ち車両台数を得るとともに、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路については更に交通量を得る例を挙げたものである。この場合、交通状況情報としてこれらを用いることで、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0029】
本発明の第12の態様による交通信号制御装置は、前記第11の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0030】
この第12の態様は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第1の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0031】
本発明の第13の態様による交通信号制御装置は、前記第11又は第12の態様において、前記第1の交通量取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記所定道路の前記自交差点に対する当該流入路の交通量を得るものである。
【0032】
この第13の態様は、前記所定道路の自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0033】
本発明の第14の態様による交通信号制御装置は、前記第11乃至第13のいずれかの態様において、前記一方側の隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むものである。
【0034】
この第14の態様は、隣接交差点情報の具体例を挙げたものである。隣接交差点情報としてこのような情報を取得すれば、例えば後述する第15の態様や第16の態様のように、隣接交差点の交通信号表示の状態に応じて、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0035】
本発明の第15の態様による交通信号制御装置は、前記第14の態様において、(a)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、Tb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、(b)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で前記一方側の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、(c)前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、(d)前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第2の候補時間算出手段を含み、(e)前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0036】
この第15の態様によれば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点の側の流入路に関しては、自交差点の信号待ち台数の他に、当該隣接交差点の交通信号表示の状態に応じた当該隣接交差点から自交差点への流入車両台数を考慮しつつ、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tが算出されることになる。一方、前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点と反対側の流入路に関しては、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間が、候補時間Tとして算出されることになる。前記第15の態様によれば、これらの候補時間Tに基づいて第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間が設定されるので、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0037】
本発明の第16の態様による交通信号制御装置は、前記第15の態様において、前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、前記一方側の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出するものである。
【0038】
この第16の態様は、前記第15の態様の具体例を挙げたものである。前記所定道路の自交差点に対する各流入路のうち連係すべき隣接交差点の側の流入路に関して、このような第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間の算出手法を採用することで、自交差点の交通信号表示を隣接交差点の交通信号表示に対してより適切に連係させることができる。
【0039】
本発明の第17の態様による交通信号制御装置は、前記第15又は第16の態様において、前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0040】
この第17の態様のように、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第15及び第16の態様では、例えば、前記所定道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0041】
本発明の第18の態様による交通信号制御装置は、前記第17の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記第1の候補時間算出手段により算出された候補時間Tを選択したことを前提条件として、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、を備えたものである。
【0042】
この第18の態様によれば、前記打ち切る手段を備えているので、連係すべき隣接交差点から自交差点への実際の流入車両が少なくても、無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0043】
本発明の第19の態様による交通信号制御装置は、前記第18の態様において、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであるものである。
【0044】
この第19の態様のように打ち切り時間を設定すると、無駄青時間をより適切に低減することができるので、好ましい。
【0045】
本発明の第20の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第19のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0046】
この第20の態様によれば、前記所定道路の各流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第19の態様は、この第19の態様に限定されるものではない。
【0047】
本発明の第21の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第20のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0048】
この第21の態様によれば、前記所定道路の渋滞が著しいような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第2の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第20の態様は、この第21の態様に限定されるものではない。
【0049】
本発明の第22の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第21のいずれかの態様において、前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むものである。
【0050】
この第22の態様は、前記交差道路の各流入路の交通状況情報として、当該各流入路の交通量及び信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、前記交差道路に関して、交通量及び信号待ち車両台数を用いることで、例えば後述する第25の態様のように、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間を精度良く予測することができる。このため、前記第21の態様によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0051】
本発明の第23の態様による交通信号制御装置は、前記第22の態様において、前記第2の交通量取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の交通量を得るものである。
【0052】
この第23の態様は、前記交差道路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0053】
本発明の第24の態様による交通信号制御装置は、前記第22又は第23の態様において、前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0054】
この第24の態様は、前記交差道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第2の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0055】
本発明の第25の態様による交通信号制御装置は、前記第22乃至第24のいずれかの態様において、(a)前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第2の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該各流入路毎に、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第3の候補時間算出手段を含み、(b)前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0056】
この第25の態様では、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関する前記候補時間Tは、当該流入路に関して、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間に相当している。したがって、前記候補時間Tは、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間の精度の良い予測値となる。このため、前記第25の態様によれば、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tに基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定するので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0057】
本発明の第26の態様による交通信号制御装置は、前記第25の態様において、前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0058】
この第26の態様のように、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第25の態様では、例えば、前記交差道路の自交差点に対する各流入路の候補時間Tの平均時間に基づいて、第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0059】
本発明の第27の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第26のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0060】
この第27の態様によれば、前記交差道路の各流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第26の態様は、この第27の態様に限定されるものではない。
【0061】
本発明の第28の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第27のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0062】
この第28の態様によれば、前記交差道路の渋滞が著しいような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第1の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第27の態様は、この第28の態様に限定されるものではない。
【0063】
本発明の第29の態様による交通信号システムは、所定道路上において互いに隣接する2つの交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、前記2つの交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する2つの交通信号制御装置と、を備え、前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、前記2つの交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、前記各交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置であるものである。
【0064】
この第29の態様によれば、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置が用いられているので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0065】
本発明の第30の態様による交通信号システムは、所定道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる3つ以上の交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、前記3つ以上の交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する3つ以上の交通信号制御装置と、を備え、前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、3つ以上の交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の一方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれかの態様による交通信号制御装置であり、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の他方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第10乃至第19のいずれかの態様による交通信号制御装置であり、前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の端部以外の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、前記第1乃至第9のいずれかの態様による交通信号制御装置であるものである。
【0066】
この第30の態様によれば、前記第10乃至第19のいずれの態様による交通信号制御装置及び前記第1乃至第9のいずれかの態様による交通信号制御装置が用いられているので、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、隣接する交差点の交通信号機と連係した交通信号制御を実現しつつ、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができ、しかも、各交差点毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下、本発明による交通信号制御装置及び及びこれを用いた交通信号システムについて、図面を参照して説明する。
【0069】
図1は、本発明の一実施の形態による交通信号システムの制御対象エリア200を模式的に示す概略平面図である。本実施の形態による交通信号システムは、図1に示すように、幹線道路等の所定道路(以下、「主道路」と呼ぶ。)10上において順次隣接して連なる5つの交差点CR1〜CR5を、制御対象エリア200としている。交差点CR1〜CR5において、主道路10に対して交差道路(以下、「従道路」と呼ぶ。)21〜25がそれぞれ交差している。隣接する交差点間隔は、例えば、数十m〜数百m程度である。各交差点CR1〜CR5には、主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機が設定されているが、図1ではその図示は省略している。本実施の形態による交通信号システムは、各交差点CR1〜CR5においてそれぞれ設置された主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機(図1では図示せず)と、5つの交差点CR1〜CR5に対して1対1に設けられ対応する交差点の主道路用の交通信号機及び従道路用の交通信号機をそれぞれ制御する5つの交通信号制御装置(図1では図示せず)と、を備えている。
【0070】
図2は、5つの交差点CR1〜CR5のうちの1つの交差点を自交差点CRとして着目し、5つの交差点CR1〜CR5のうち自交差点CRに対する主道路上り側の隣接交差点をCR’とし、5つの交差点CR1〜CR5のうち自交差点CRに対する主道路下り側の隣接交差点をCR”とした場合の、交差点CR,CR’,CR”に設置されている交通信号機A1〜A4,A1’〜A4’,A1”〜A4”及び交差点CR,CR’,CR”に対して1対1に設けられた交通信号制御装置1,1’,1”の配置例を模式的に示す概略平面図である。ただし、図2では、自交差点CRは、制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかであるものとして示している。自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合は、制御対象エリア200内には主道路下り側の隣接交差点CR”は存在せず、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合は、制御対象エリア200内には主道路上り側の隣接交差点CR”は存在しない。図2では、自交差点CRの従道路を20、主道路上り側の隣接交差点CR’の従道路を20’、主道路下り側の隣接交差点CR”の従道路を20”として、示している。
【0071】
図2に示すように、自交差点CRに設置された主道路10用の交通信号機(第1の交通信号機)A1,A2は、主道路10の自交差点CRに対する流入路R1,R2に対して交通信号を表示するように設置されている。同様に、自交差点CRに設置された従道路20用の交通信号機(第2の交通信号機)A3,A4は、従道路20の自交差点CRに対する流入路R3,R4に対して交通信号を表示するように設置されている。流入路R1,R2の自交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっており、流入路R3,R4の自交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっている。流入路R1の自交差点CRに対する流入方向は主道路下りり方向、流入路R2の自交差点CRに対する流入方向は主道路上り方向になっている。交通信号機A1,A2は互いに同一の信号表示を行い、交通信号機A3,A4は互いに同一の信号表示を行う。図2中のL1〜L4は、それぞれ自交差点CRに対する流入路R1〜R4の停止線である。なお、図2において、上り側の隣接交差点CR’に関する要素には、自交差点CRに関する対応要素の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付し、下り側の隣接交差点CR”に関する要素には、自交差点CRに関する対応要素の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
本実施の形態では、制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4に対応して設けられている交通信号制御装置は互いに同一の構成を有する一方、制御対象エリア200内の端部の交差点CR1,CR2に対応して設けられている交通信号制御装置は、交差点CR2〜CR4に対応して設けられている交通信号制御装置と基本的に同様の構成を有し、後述するようにその制御処理部3の動作が若干変更されている。
【0073】
図3は、自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1を示す概略ブロック図である。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1〜CR5のいずれの場合であっても、自交差点CRに対応して設けられる交通信号制御装置1は、図3に示す構成を有している。
【0074】
自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1は、図3に示すように、超音波車両感知器等の車両感知器B1〜B4と、撮像手段としてのテレビカメラC1〜C4と、制御ユニット2と、を備えている。制御ユニット2は、渋滞長計測処理部D1〜D4と、制御処理部3と、制御処理部3からの制御信号に従って自交差点CRの交通信号機A1〜A4を点灯駆動する駆動回路4と、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CRとの間で後述する情報の授受を行うLAN等の通信部5と、を備えている。通信部5は、公知の通信技術に従って、隣接交差点CR’,CRとの間の通信不能状態(例えば、通信回線7の途絶等)を検出する通信不能状態検出部6を有している。図2には、自交差点CRの交通信号制御装置1の車両感知器B1〜B4、テレビカメラC1〜C4及び制御ユニット2の配置状態が示されている。なお、図2において、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’に関する要素には、自交差点CRの交通信号制御装置1に関する対応要素の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付し、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”に関する要素には、自交差点CRの交通信号制御装置1に関する対応要素の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
図4は、図3中の主道路10の自交差点CRに対する流入路R1上の車両100の様子の例、並びに、流入路R1に関連して配置されたテレビカメラC1の視野及び車両感知器B1の感知位置を示す説明図である。図4において、停止線L1の手前に停車している車両100を実線で示し、自交差点CRに向かって走行している車両100を破線で示している。
【0076】
車両感知器B1〜B4は、図3及び図4に示すように、各流入路R1〜R4の上流側所定位置(例えば、自交差点CRから170mの位置)で車両100をそれぞれ感知する。テレビカメラC1〜C4は、各流入路R1〜R4の停止線L1〜L4の位置と上流側所定位置(例えば、自交差点CRから150mの位置)との範囲を含む画像をそれぞれ撮像する。なお、車両感知器B1〜B4はテレビカメラC1〜C4の視野外に配置することが好ましいが、その視野内に配置してもよい。
【0077】
渋滞長計測処理部D1〜D4は、テレビカメラC1〜C4からの画像をそれぞれ処理して停止線L1〜L4の手前に停車している車両100の列の長さ(渋滞長)をそれぞれ得る。このようなテレビカメラ及び渋滞長計測処理部を組み合わせた装置は、渋滞長計測処理装置として実用化されており、公知である。
【0078】
制御処理部3は、例えばコンピュータ等で構成され、車両感知器B1〜B4からの感知信号及び渋滞長計測処理部D1〜D4からの渋滞長を示す出力信号に基づいて、交通信号機A1〜A4の信号表示を制御する制御処理を行う。
【0079】
図5は、この自交差点CRに対応して設けられた交通信号制御装置1の制御処理部3の動作によって実現される自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作例を示すタイムチャートである。
【0080】
本実施の形態では、図5において、全赤時間(全ての交通信号機A1〜A4に赤信号表示をさせる時間)AR、交通信号機A1,A2の黄色信号表示時間(黄時間)Ym、及び、交通信号機A3,A4の黄時間Ysは、それぞれ常に一定の固定値としており、それらの値は制御処理部3の内部メモリ(図示せず)に格納されている。一方、交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)Gm、及び、交通信号機A3,A4の青信号表示時間(青時間)Gsは、それぞれその都度設定される可変値である。交通信号機A1,A2の単独赤信号表示時間(単独赤時間)(交通信号機A1,A2のみが赤信号表示を行い、交通信号機A3,A4が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rm、及び、交通信号機A3,A4の単独赤時間(交通信号機A3,A4のみが赤信号表示を行い、交通信号機A1,A2が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rsは、それぞれRm=Gs+Ys、Rs=Gm+Ymに従って設定される可変値である。図5からわかるように、交通信号機A1,A2の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rm+ARの全体であり、交通信号機A3,A4の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rs+ARの全体である。もっとも、本発明は、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、Gm,Gs,Rm,Rsの値は、制御処理部3の内部メモリに格納され、その都度新たな値に更新されることで設定される。
【0081】
なお、図面には示していないが、上流側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’〜A4’の動作についても、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作と同様であり、以下の説明において必要に応じて、上流側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’〜A4’の動作に関する各時間等には、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作に関する対応時間等の符号に対してシングルクォート「’」を付した符号を付して説明する。また、下流側の隣接交差点CR”の交通信号機A1”〜A4”の動作についても、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作と同様であり、以下の説明において必要に応じて、下流側の隣接交差点CR”の交通信号機A1’〜A4’の動作に関する各時間等には、図5に示す自交差点CRの交通信号機A1〜A4の動作に関する対応時間等の符号に対してダブルクォート「”」を付した符号を付して説明する。ただし、本実施の形態では、全赤時間AR及び黄時間Ys,Ymに関しては、いずれの交差点についても同一であるので、隣接交差点CR’,CR”についての全赤時間及び黄時間であっても、シングルクォート「’」もダブルクォート「”」も付さない。
【0082】
ここで、制御処理部3の動作の説明に先立って、自交差点CRに対する各流入路R1〜R4について算出される候補時間T1〜T4について、説明する。
【0083】
まず、本実施の形態において従道路20の自交差点CRに対する下り方向の流入路R3について算出される、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T3について、図6を参照して説明する。図6は、流入路R3に関して、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青開始時点(赤終了時点)からの時間経過と、当該流入路R3による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R3による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。図6では、赤終了時点(青開始時点)の流入路R3の信号待ち台数がn3であり、交通信号機A3,A4の青時間中の当該流入路R3による自交差点CRへの流入交通量q3(台/秒)が一定であり、当該流入路R3による自交差点CRからの流出は、当該流入路R3に対して設定されている一定値の飽和交通流S3(台/秒)で行われるものとしている。
【0084】
この場合、q3<S3であるので、赤終了時点から時間(青時間)が経過していくと、やがて流出累積台数と流入累積台数とが一致する。この両者が一致する時間を、流入路R3についての候補時間T3として算出する。候補時間T3は、T3=n3/(S3−q3)の式で表される。
【0085】
候補時間T3が経過した時点で従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間を終了させるとすると、その時点での流入路R3に関する捌け残り台数はちょうどゼロになる。したがって、候補時間T3が経過した時点で自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間を終了させれば、流入路R3については、捌け残りがないとともに青時間に無駄が生ずることがなく、効率が良いことがわかる。
【0086】
同様の観点から、本実施の形態では、従道路20の自交差点CRに対する上り方向の流入路R4について、自交差点CRの従道路20用の交通信号機A3,A4の青時間の候補としての候補時間T4を、T4=n4/(S4−q4)の式により算出する。ここで、n4、S4、q4は、流入路R4に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0087】
また、本実施の形態では、通信回線7の途絶などによって自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から後述する情報が取得できない場合や、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合には、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青時間の候補としての候補時間T1を、T1=n1/(S1−q1)の式により算出する。ここで、n1、S1、q1は、流入路R1に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0088】
さらに、本実施の形態では、通信回線7の途絶などによって自交差点CRの交通信号制御装置1が下り側の隣接交差点CR”から後述する情報が取得できない場合や、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合には、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青時間の候補としての候補時間T2を、T2=n2/(S2−q2)の式により算出する。ここで、n2、S2、q2は、流入路R2に関するもので、流入路R3に関するn3,S3,q3にそれぞれ対応している。
【0089】
次に、本実施の形態において、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から後述する情報が取得できる通常の場合に、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について算出される、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T1について、図7乃至図15を参照して説明する。
【0090】
この通常の場合の候補時間T1は、基本的には、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’が青時間を開始してから自交差点CRへ最初に流入する車両が自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達する際に、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2がどのような状態にあるかを勘案した上で、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’中に主道路10の上り側の隣接交差点CR’に対する下り方向の流入路R1’(流入路R1の上流の隣接交差点CR’の対応流入路R1’)の停止線L1’を出発して、自交差点CRへ流入すると予測される予測流入車両台数と、交通信号機A1,A2の赤終了時点における自交差点CRの流入路R1の信号待ち車両台数n1の、全体について、流入路R1の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき交通信号機A1,A2の青時間として、決定される。
【0091】
この通常の場合の候補時間T1の決定方法について、図7乃至図15を参照して具体的に説明する。
【0092】
本実施の形態では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、当該隣接交差点CR’の交通信号表示制御に関する情報である上り側隣接交差点情報として、その取得時に最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間開始時点(単独赤開始時点)SECs’と、上り側の隣接交差点CR’に対する主道路10の各流入路R1’,R2’のうち自交差点CRに向かう下り方向の流入路R1’について上り側の隣接交差点CR’の交通信号機A1’,A2’の青時間の候補として算出された候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間T1に対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’とを、通信回線7を介して取得する。なお、本発明では、青開始時点SECm’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよいし、単独赤開始時点SECs’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよいし、単独赤時間Rm’に代えてこれを特定するための情報を取得してもよい。例えば、単独赤開始時点SECs’は、黄時間終了時点を取得すれば、全赤時間ARは既知であるので、特定することができる。
【0093】
本実施の形態では、図7乃至図9に示すように、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、上り側隣接交差点情報を、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの直前の全赤時間ARの開始時点(単独赤時間Rm’の終了時点)付近で、取得する。図7乃至図9は、自交差点CRの交通信号制御装置1の上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の状態との関係を示す図である。
【0094】
図7(a)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’中である場合、図7(b)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の黄時間Ym直後の全赤時間AR中である場合、図8(a)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の黄時間Ym中である場合、図8(b)は当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’中である場合、図9は、当該取得タイミングが上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’直後の全赤時間AR中である場合、をそれぞれ示している。
【0095】
本実施の形態では、前記取得タイミングで取得された上り側の隣接交差点情報に基づいて、図7(b)、図8(a)及び図8(b)に示すようにSECm’>SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より後)である場合には、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0’を、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’とする。一方、図7(a)及び図9に示すようにSECm’<SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より前)である場合には、基準時点SECm0’を、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の次回の青開始時点(すなわち、SECs’+Rm’+AR、つまり、単独赤開始時点SECs’から単独赤時間Rm及び全赤時間ARを経過した時点)とする。
【0096】
図10は、SECm’>SECs’の場合(すなわち、SECm0’=SECm’の場合)に、基準時点SECm0’と、予測到達時点SECa1(基準時点SECm0’で上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’の停止線L1’の位置から出発した車両(基準時点SECm0’から開始する青時間中に最初に出発する車両)が自交差点CRの流入路R1の停止線L1の位置に到達すると予測される時点)との関係を示す図である。図11は、SECm’<SECs’の場合(すなわち、SECm0’=SECs’+Rm’+ARの場合)に、基準時点SECm0’と、予測到達時点SECa1との関係を示す図である。図10及び図11には、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、後述する基本時間Tb1及び余裕時間Tex1も示している。
【0097】
本実施の形態では、図10及び図11に示すように、上り側の隣接交差点CR’の停止線L1’を出発した車両は、停止線L1,L1’間の距離と予め定められた自由流速度とから求められる旅行時間Tf1後に、自交差点の停止線L1に到達するものとし、予測到達時点SECa1を、SECa1=SECm0’+Tf1によって求める。
【0098】
予測到達時点SECa1から、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間Tに対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)だけ、上り側の隣接交差点CR’からの車両が自交差点CRに流入するものと考えられる。本実施の形態において、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’でなく、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’を使用する理由としては、本実施の形態では、青時間Gm’は下り方向の流入路L1’について算出された候補時間T1’と上り方向の流入路L2’について算出された候補時間T2’のうち、より大きい候補時間を青時間Gm’として採用するため、下り方向の流入路L2’について算出された候補時間T2’が青時間Gm’として採用された場合でも、下り方向の流入路L1’からは候補時間T1だけしか車両が流出しないと考えることができるためである。もっとも、本発明では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’についての候補時間T1’に代えて、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間Gm’を使用してもよく、予測到達時点SECa1から、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’だけ、上り側の隣接交差点CR’からの車両が自交差点CRに流入するものとみなしてもよい。この場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から、候補時間T1’に代えて、青時間Gm’又はこれを特定するための情報を取得すればよい。
【0099】
本実施の形態では、図10及び図11に示すように、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1に関して、Tb1=n1/S1の式で表される基本時間Tb1を算出する。ここで、n1は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm(交通信号機A1,A2の赤終了時)での、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち台数である。S1は、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流である。基本時間Tb1は、信号待ち台数n1がちょうど捌け残りゼロとなる時間を意味している。
【0100】
また、本実施の形態では、図10及び図11に示すように、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め余裕時間Tex1が設定されている。この余裕時間Tex1の意義については、後述する。
【0101】
自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点((SECm+Tb1)の時点)、及び、前記青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点((SECm+Tb1+Tex1)の時点)に対する、予測到達時点SECa1の時間的な前後関係を考慮すると、図10に示すSECm’>SECs’の場合には、図10中のケースA〜Dが考えられ、図11に示すSECm’<SECs’の場合には、図11中のケースE〜Hが考えられる。
【0102】
ケースAでは、SECa1<SECm(予測到達時点SECa1が青開始時点SECmより前)である。ケースB,Eでは、SECm≦SECa1<SECm+Tb1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点より前)である。ケースC,Fでは、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点より前)である。ケースD,G,Hでは、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点以後)である。
【0103】
ケースAのようにSECa1<SECmの場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図12を参照して説明する。図12は、SECa1<SECmの場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。図12では、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入交通量は、上り側の隣接交差点CR’における下り方向の流入路R1’に予め設定されている一定値の飽和交通流S1’と等しいものとし、この交通量で、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の候補時間T1’の間だけ自交差点CRに流入するものとしている(この点は、後述する図13乃至図15の場合も同様である。)。また、下り方向の流入路R1による自交差点CRからの流出は、当該流入路R1に対して設定されている一定値の飽和交通流S1で行われるものとしている(この点は、後述する図13乃至図15の場合も同様である。)。
【0104】
図12では、SECa1<SECmである(すなわち、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、自交差点CRの青信号開始時間SECmの前に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している)ため、自交差点CRの青開始時点SECm(自交差点CRの交通信号機A1,A2の赤終了時)での、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち台数n1のなかに、(SECm−SECa1)・S1’台の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数が含まれている。図12に示すように、SECa1<SECmの場合は、このことを考慮した上で、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}・S1’/S1の式により算出する。S1’≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}の式により算出してもよい。
【0105】
ケースB,EのようにSECm≦SECa1<SECm+Tb1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図13を参照して説明する。図13は、SECm≦SECa1<SECm+Tb1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0106】
図13では、SECm≦SECa1<SECm+Tb1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、基本時間Tb1の経過中に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合、図13に示すように、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1+T1’・S1’/S1の式により算出する。S’1≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=Tb1+T1’の式により算出してもよい。
【0107】
ケースC,FのようにSECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図14を参照して説明する。図14は、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0108】
図14では、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、基本時間Tb1の経過後の、余裕時間Tex1の経過中に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合には、赤終了時の信号待ち台数n1のみを捌いてしまえば自交差点CRの流入路R1に関する捌け残り台数はゼロとなる。しかし、赤終了時の信号待ち台数n1のみを捌くだけでは、その後すぐ上り側の隣接交差点CR’からの車両が到着するため、それらの車両は自交差点CRで長い間信号待ちをしなければならなくなってしまうとともに、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両は自交差点CRで急停止を強いられて危険である。余裕時間Tex1は、これらの不都合を防止するために設けた時間である。 図14に示すように、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1の場合は、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、自交差点CRの流入路R1の赤終了時の信号待ち台数n1と赤終了以降の上り側の隣接交差点CR’からの流入台数をちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=(SECa1−SECm)+T1’・S1’/S1の式により算出する。S’1≒S1である場合は、S’1=S1とみなして、候補時間T1を、T1=(SECa1−SECm)+T1’の式により算出してもよい。
【0109】
ケースD,G,HのようにSECm+Tb1+Tex1≦SECa1の場合の、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1(自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1)の決定方法について、図15を参照して説明する。図15は、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1の場合の、時間経過と、上り側の隣接交差点CR’の主道路下り方向の流入路R1’から自交差点CRの流入路R1による自交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該流入路R1による自交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。
【0110】
図15では、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1であるので、上り側の隣接交差点CR’を流出した最初の車両が、余裕時間Tex1の経過後に、自交差点CRの下り方向の流入路R1の停止線L1に到達している。この場合、図15に示すように、自交差点CRの主道路下り方向の候補時間T1を、赤終了時の信号待ち台数n1のみをちょうど捌く時間とし、候補時間T1を、T1=Tb1の式により算出する。
【0111】
以上、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側の隣接交差点CR’から前述した上り側の隣接交差点情報が取得できる通常の場合に、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1について算出される、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T1について、図7乃至図15を参照して説明した。前述したように候補時間T1を算出するので、候補時間T1が経過時点で自交差点CRの主道路20用の交通信号機A1,A1の青時間を終了させれば、自交差点CRに対する主道路10の下り方向の流入路R1については、上り側の隣接交差点CR’の交通信号表示と適切に連係し、捌け残りがないとともに青時間に無駄が生ずることがなく、効率が良いことがわかる。
【0112】
本実施の形態では、通信回線7の途絶などがないとともに自交差点CRが自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1ではなく、自交差点CRの交通信号制御装置1が下り側の隣接交差点CR”から下り側隣接交差点情報(前述した上り側の隣接交差点情報に対応する情報)が取得できる通常の場合には、図7乃至図15を参照して前述した通常の場合の候補時間T1と同様の方法によって、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2について、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)の候補としての候補時間T2が算出される。
【0113】
本実施の形態では、自交差点CRの交通信号制御装置1は、以上説明した自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2についての候補時間T1,T2に基づいて、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmを設定する。また、自交差点CRの交通信号制御装置1は、先に説明した自交差点CRの従道路20の流入路R3,R4についての候補時間T3,T4に基づいて、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmを設定する。また、本実施の形態では、後述する青打ち切り制御も行われる。
【0114】
次に、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作について、図16乃至図23を参照して具体的に説明する。図16乃至図23は、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作を示す概略フローチャートである。
【0115】
制御処理部3は、動作を開始すると、まず、各時点を経過時間sとして計測する内蔵するタイマ(s)をs=0からスタートさせる(ステップS1)。なお、このタイマ(s)は、制御対象エリア200内の全ての交差点CR1〜CR5の交通信号制御装置の制御処理部3で、同期させる。
【0116】
引き続いて、制御処理部3は、自交差点CRの全ての交通信号機A1〜A4に赤表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS2)。
【0117】
次に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS3)。
【0118】
次いで、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間Gsを初期値Gs0に設定する(ステップS4)。
【0119】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の単独赤時間Rmを、Rm=Gs+Ysにより算出する(ステップS5)。
【0120】
引き続いて、制御処理部3は、ステップS3の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS6)。制御処理部3は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、従道路20の交通信号機A3,A4に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS7)。
【0121】
次に、制御処理部3は、この時点のタイマ(s)の計測時間sを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報と1つとなる、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の単独赤開始時点SECsとして、内部メモリに保存する(ステップS8)。この単独赤開始時点SECsは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この単独赤開始時点SECsは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0122】
次いで、制御処理部3は、ステップS5で最新に算出された自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の単独赤時間Rmを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報の1つとして、内部メモリに保存する(ステップS9)。この単独赤時間Rmは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この単独赤時間Rmは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0123】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、自交差点CRの主道路10の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測を、開始する(ステップS10)。すなわち、制御処理部3は、ステップS10の時点で内部メモリ内の台数N1,N2の値をゼロにリセットし、ステップS10の時点から後述する当該計測を終了するステップS23の時点までの間に、車両感知器B1から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N1の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B2から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N2の値を1だけインクリメントする。
【0124】
ステップS10の後に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS11)。
【0125】
次に、制御処理部3は、ステップS11の時点から現在設定されている青時間Gsを経過したか否かを判定する(ステップS12)。制御処理部3は、青時間Gsを経過していなければ青時間Gsを経過するまで待ち、青時間Gsを経過すると、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる(ステップS13)。
【0126】
次いで、制御処理部3は、ステップS11の時点から、ステップS5で最新に算出された主道路10の交通信号機A1,A2の単独赤時間Rmを経過したか否かを判定する(ステップS14)。制御処理部3は、単独赤時間Rmを経過していなければ単独赤時間Rmを経過するまで待ち、単独赤時間Rmを経過すると、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS21)。
【0127】
次に、制御処理部3は、この時点のタイマ(s)の計測時間sと全赤時間ARとを用いて、SECm=s+ARにより、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青開始時点SECmを算出し、この青開始時点SECmを、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’及び下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報の1つとして、内部メモリに保存する(ステップS22)。この青開始時点SECmは、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、この青開始時点SECmは、隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”からの各取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR’,CR”の交通信号制御装置1’,1”にそれぞれ供給される。
【0128】
その後、制御処理部3は、ステップS10で開始した計測(すなわち、主道路10の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、主道路10の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測)を終了する(ステップS23)。よって、ステップS23以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N1は、前回の単独赤時間Rm中に主道路10の流入路R1における車両感知器B1の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS23以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N2は、前回の単独赤時間Rm中に主道路10の流入路R2における車両感知器B2の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0129】
次に、制御処理部3は、主道路10の流入路R1のカメラC1及び渋滞長計測処理部D1によって計測された現在の渋滞長E1、及び、主道路10の流入路R2のカメラC2及び渋滞長計測処理部D2によって計測された現在の渋滞長E2を、内部メモリに取り込む(ステップS24)。
【0130】
次いで、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS25)。
【0131】
その後、制御処理部3は、ステップS10,S23により最新に得られた単独赤時間Rm中の通過台数N1,N2、及び、ステップS5で最新に得られた単独赤時間Rmを用いて、q1=N1/Rm、q2=N2/Rmにより、主道路10の流入路R1の交通量q1(台/秒)及び主道路10の流入路R2の交通量q2(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS26,S27)。
【0132】
また、制御処理部3は、ステップS24で最新に取り込んだ主道路10の流入路R1の渋滞長E1及び主道路10の流入路R2の渋滞長E2、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n1=E1/F、n2=E2/Fにより、主道路10の流入路R1の信号待ち車両台数n1及び主道路10の流入路R2の信号待ち車両台数n2を、それぞれ算出する(ステップS28,S29)。
【0133】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの交通信号制御装置1の通信部5の通信不能状態検出部6からの検出結果に基づいて、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かを判定する(ステップS30)。その取得が可能であれば、制御処理部3は、上り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かの示すフラグ(「上り側情報取得可否フラグ」と呼ぶ。)FUを可能であることを示す値「1」にセットし(ステップS31)、ステップS32へ移行する。一方、その取得が不能であれば、制御処理部3は、上り側情報取得可否フラグFUを不能であることを示す値「0」にセットし(ステップS33)、ステップS34へ移行する。
【0134】
ステップS34において、制御処理部3は、ステップS26,S28で最新に算出したq1,n1、流入路R1について予め設定された飽和交通流(台/秒)S1を用いて、T1=n1/(S1−q1)により、流入路R1についての候補時間T1を算出する。その後、ステップS35へ移行する。
【0135】
ステップS32において、制御処理部3は、上り側の隣接交差点情報に基づく流入路R1についての候補時間T1の算出処理を行う。その後、ステップS35へ移行する。
【0136】
ここで、ステップS32の候補時間T1の算出処理の具体的な内容について、図21を参照して説明する。
【0137】
ステップS32の算出処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS28で最新に算出した主道路10の下り方向の流入路R1の信号待ち車両台数n1、流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=n1/S1により、基本時間Tb1を算出する(ステップS101)。
【0138】
次に、制御処理部3は、上り側の隣接交差点CR’から、上り側の隣接交差点情報として、最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青開始時点SECm’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤開始時点SECs’と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の青時間の候補として算出された候補時間T1’(自交差点CRの流入路R1についての候補時間Tに対応する、隣接交差点CR’の流入路R1’についての候補時間T1’)と、上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の単独赤時間Rm’とを、通信回線7を介して取得する(ステップS102)。
【0139】
次いで、制御処理部3は、ステップS102で最新に取得した青開始時点SECm’及び単独赤開始時点SECs’について、SECm’>SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より後)であるか否かを判定する(ステップS103)。SECm’>SECs’であれば、制御処理部3は、上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0’を、ステップS102で最新に取得した青開始時点SECm’とし(ステップS104)、ステップS106へ移行する。一方、SECm’<SECs’(すなわち、青開始時点SECm’が単独赤開始時点SECs’より前)であれば、制御処理部3は、ステップS102で最新に取得した単独赤開始時点SECs’及び単独赤時間Rm’を用いるとともに全赤時間ARを用いて、SECs’+Rm’+ARで表される上り側の隣接交差点CR’の主道路10用の交通信号機A1’,A2’の次回の青開始時点を算出し、基準時点SECm0’を、算出した次回の青開始時点とし(ステップS105)、ステップS106へ移行する。
【0140】
ステップS106において、制御処理部3は、ステップS104又はS105で決定された基準時点SECm0’と、停止線L1,L1’間の距離と予め定められた主道路10の下り方向の流入路R1についての自由流速度とから求められる旅行時間Tf1とを用いて、SECa1=SECm0’+Tf1により、予測到達時点SECa1を算出する。
【0141】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmからステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を経過した時点((SECm+Tb1)の時点)、及び、前記青開始時点SECmからステップS101で最新に算出した基本時間Tb1及び自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された余裕時間Tex1を経過した時点((SECm+Tb1+Tex1)の時点)に対する、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1の時間的な前後関係を判定する(ステップS107,S109,S111)。そして、制御処理部3は、SECa1<SECm(予測到達時点SECa1が青開始時点SECmより前)の場合は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=Tb1+{T1’−(SECm−SECa1)}・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS108)。また、制御処理部3は、SECm≦SECa1<SECm+Tb1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=Tb1+T1’・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS110)。さらに、制御処理部3は、SECm+Tb1≦SECa1<SECm+Tb1+Tex1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS106で最新に得た予測到達時点SECa1、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS102で最新に取得した候補時間T1’、上り側の隣接交差点CR’の主道路10の下り方向の流入路R1’について予め設定された飽和交通流S1’、及び、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1について予め設定された飽和交通流S1を用いて、T1=(SECa1−SECm)+T1’・S1’/S1の式又はこの式においてS1’=S1とした式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS112)。さらにまた、制御処理部3は、SECm+Tb1+Tex1≦SECa1(予測到達時点SECa1が、青開始時点SECmから基本時間Tb1及び余裕時間Tex1を経過した時点以後)の場合は、制御処理部3は、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を用いて、T1=Tb1の式により、主道路10の自交差点CRに対する下り方向の流入路R1についての候補時間T1を算出する(ステップS113)。
【0142】
そして、制御処理部3は、ステップS108,S110,S112,S113の候補時間T1の算出後に、ステップS32の上り側の隣接交差点情報に基づく流入路R1についての候補時間T1の算出処理を終了して、図17中のステップS35へ移行する。
【0143】
ステップS35において、制御処理部3は、自交差点CRの交通信号制御装置1の通信部5の通信不能状態検出部6からの検出結果に基づいて、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下りり側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かを判定する。その取得が可能であれば、制御処理部3は、下り側の隣接交差点情報の取得が可能であるか否かの示すフラグ(「下り側情報取得可否フラグ」と呼ぶ。)FDを可能であることを示す値「1」にセットし(ステップS36)、ステップS37へ移行する。一方、その取得が不能であれば、制御処理部3は、下り側情報取得可否フラグFDを不能であることを示す値「0」にセットし(ステップS38)、ステップS39へ移行する。
【0144】
ステップS39において、制御処理部3は、ステップS27,S29で最新に算出したq2,n2、流入路R2について予め設定された飽和交通流(台/秒)S2を用いて、T2=n2/(S2−q2)により、流入路R2についての候補時間T2を算出する。その後、ステップS41へ移行する。
【0145】
ステップS37において、制御処理部3は、下り側の隣接交差点情報に基づく流入路R2についての候補時間T2の算出処理を行う。その後、ステップS41へ移行する。
【0146】
ここで、ステップS37の候補時間T2の算出処理の具体的な内容について、図22を参照して説明する。ステップS37の処理の内容は、前述したステップS32の処理の内容と同様である。
【0147】
ステップS37の算出処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS29で最新に算出した主道路10の上り方向の流入路R2の信号待ち車両台数n2、流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=n2/S2により、基本時間Tb2を算出する(ステップS121)。
【0148】
次に、制御処理部3は、下り側の隣接交差点CR”から、下り側の隣接交差点情報として、最新の4つの情報、すなわち、隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の青開始時点SECm”と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の単独赤開始時点SECs”と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の青時間の候補として算出された候補時間T1”(自交差点CRの流入路R2についての候補時間T2に対応する、隣接交差点CR”の流入路R2”についての候補時間T2”)と、下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の単独赤時間Rm”とを、通信回線7を介して取得する(ステップS122)。
【0149】
次いで、制御処理部3は、ステップS122で最新に取得した青開始時点SECm”及び単独赤開始時点SECs”について、SECm”>SECs”(すなわち、青開始時点SECm”が単独赤開始時点SECs”より後)であるか否かを判定する(ステップS123)。SECm”>SECs”であれば、制御処理部3は、下り側の隣接交差点CR”から自交差点CRへの予測流入車両台数を得るための基礎となる基準時点SECm0”を、ステップS122で最新に取得した青開始時点SECm”とし(ステップS124)、ステップS126へ移行する。一方、SECm”<SECs”(すなわち、青開始時点SECm”が単独赤開始時点SECs”より前)であれば、制御処理部3は、ステップS122で最新に取得した単独赤開始時点SECs”及び単独赤時間Rm”を用いるとともに全赤時間ARを用いて、SECs”+Rm”+ARで表される下り側の隣接交差点CR”の主道路10用の交通信号機A1”,A2”の次回の青開始時点を算出し、基準時点SECm0”を、算出した次回の青開始時点とし(ステップS125)、ステップS126へ移行する。
【0150】
ステップS126において、制御処理部3は、ステップS124又はS125で決定された基準時点SECm0”と、停止線L2,L2”間の距離と予め定められた主道路10の上り方向の流入路R2についての自由流速度とから求められる旅行時間Tf2とを用いて、SECa2=SECm0”+Tf2により、予測到達時点SECa2を算出する。
【0151】
その後、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10用の交通信号機A1,A2の設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、この青開始時点SECmからステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を経過した時点((SECm+Tb2)の時点)、及び、前記青開始時点SECmからステップS121で最新に算出した基本時間Tb2及び自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された余裕時間Tex2を経過した時点((SECm+Tb2+Tex2)の時点)に対する、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2の時間的な前後関係を判定する(ステップS127,S129,S131)。そして、制御処理部3は、SECa2<SECm(予測到達時点SECa2が青開始時点SECmより前)の場合は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=Tb2+{T2”−(SECm−SECa2)}・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS128)。また、制御処理部3は、SECm≦SECa2<SECm+Tb2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECm以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb2を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=Tb2+T2”・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS130)。さらに、制御処理部3は、SECm+Tb2≦SECa2<SECm+Tb2+Tex2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECmから基本時間Tb2を経過した時点以後で、かつ、青開始時点SECmから基本時間Tb2及び余裕時間Tex2を経過した時点より前)の場合は、制御処理部3は、ステップS126で最新に得た予測到達時点SECa2、設定すべき次回の青時間Gmの青開始時点SECm、ステップS122で最新に取得した候補時間T2”、下り側の隣接交差点CR”の主道路10の上り方向の流入路R2”について予め設定された飽和交通流S2”、及び、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2について予め設定された飽和交通流S2を用いて、T2=(SECa2−SECm)+T2”・S2”/S2の式又はこの式においてS2”=S2とした式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T2を算出する(ステップS132)。さらにまた、制御処理部3は、SECm+Tb2+Tex2≦SECa2(予測到達時点SECa2が、青開始時点SECmから基本時間Tb2及び余裕時間Tex2を経過した時点以後)の場合は、制御処理部3は、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を用いて、T2=Tb2の式により、主道路10の自交差点CRに対する上り方向の流入路R2についての候補時間T1を算出する(ステップS133)。
【0152】
そして、制御処理部3は、ステップS128,S130,S132,S133の候補時間T1の算出後に、ステップS37の下り側の隣接交差点情報に基づく流入路R2についての候補時間T1の算出処理を終了して、図18中のステップS41へ移行する。
【0153】
ところで、図12乃至図13に関する説明では、理解を容易にするため、信号待ち車両台数n1を、交通信号機A1,A2の赤終了時点(次回の青時間Gm開始時)における自交差点CRの流入路R1の信号待ち車両台数として説明した。また、図6に関する説明では、信号待ち車両台数n3を、交通信号機A3,A4の赤終了時点(次回の青時間Gs開始時)における自交差点CRの流入路R3の信号待ち車両台数として説明した。
【0154】
しかしながら、本実施の形態では、実際には、前述したステップS24,S28,S29のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm終了時における自交差点CRの流入路R1,R2の各信号待ち車両台数を、交通信号機A1,A2の赤終了時点(次回の青時間Gm開始時)における自交差点CRの流入路R1,R2の各信号待ち車両台数であるとそれぞれみなして、それぞれn1,n2としている。同様に、後述するステップS70,S83,S84のタイミングからわかるように、交通信号機A3,A4の単独赤時間Rs終了時における自交差点CRの流入路R3,R3の各信号待ち車両台数を、交通信号機A3,A4の赤終了時点(次回の青時間Gs開始時)における自交差点CRの流入路R3,R4の各信号待ち車両台数であるとそれぞれみなして、それぞれn3,n4としている。
【0155】
また、図6に関する説明では、流入交通量q3を、交通信号機A3,A4の青時間Gs中の流入路R3による自交差点CRへの流入交通量と説明した。
【0156】
しかしながら、本実施の形態では、実際には、前述したステップS10,S23,S26,S27のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量を、交通信号機A1,A2の青時間Gm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量であるとみなして、それぞれq1,q2としている。同様に、後述したステップS63,S69,S81,S82のタイミングからわかるように、交通信号機A1,A2の単独赤時間Rm中の流入路R1,R2による自交差点CRへの各流入交通量を、交通信号機A3,A4の青時間Gs中の流入路R3,R4による自交差点CRへの各流入交通量であるとみなして、それぞれq3,q4としている。
【0157】
なお、このような予測精度をより高めるためには、ステップS23のタイミングやステップS24のタイミングを、信号機A1,A2の赤時間終了時点(青時間Gmの開始時点)により近づければよく、単独赤時間Rmの次の全赤時間ARの途中にすればよい。ただし、本実施の形態では、後述するステップS50までの処理が交通信号機A1,A2の赤時間終了時点までに終了している必要がある。これらの点は、後述するステップS69のタイミングやステップS70のタイミングについても同様である。
【0158】
ステップS41へ移行すると、制御処理部3は、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1についての候補時間T1、及び、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2についての候補時間T2に関して、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青時間Gmに対して予め設定した最小値Gmin1及び最大値Gmax1を用いた判定(ステップS41〜S45)を行い、T1≧T2かつGmax1≧T1≧Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT1に設定し(ステップS46)、T1<T2かつGmax1≧T2≧Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT2に設定し(ステップS49)、T1≧T2かつT1<Gmin1の場合及びT1<T2かつT2<Gmin1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmin1に設定し(ステップS48)、T1≧T2かつT1>Gmax1の場合及びT1<T2かつT2>Gmax1の場合に自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmax1に設定する(ステップS47)。
【0159】
もっとも、本発明では、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。最小値Gmin1及び最大値Gmax1を両方とも用いない場合は、T1≧T2の場合に次回の青時間GmをT1に設定し、T1<T2の場合に次回の青時間GmをT2に設定すればよい。また、最小値Gmin1のみを用いない場合は、ステップS42,S44,S48を取り除き、ステップS41でYESの場合はステップS43へ移行し、ステップS41でNOの場合はステップS45へ移行すればよい。さらに、最大値Gmax1のみを用いない場合は、ステップS43,S45,S47を取り除き、ステップS42でYESの場合はステップS46へ移行し、ステップS44でYESの場合はステップS49へ移行すればよい。これらの点は、後述するステップS87〜95についても同様である。
【0160】
また、本発明では、ステップS41〜S49において、候補時間T1を直接用いる代わりに、候補時間T1に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。同様に、ステップS41〜S49において、候補時間T2を直接用いる代わりに、候補時間T2に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。さらに、本発明では、例えば、S41〜S49の代わりに、候補時間T1,T2の平均値Tav=(T1+T2)/2を用いた処理を行ってもよい。この場合、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方を用いて、Gmax1≧Tav≧Gmin1の場合に次回の青時間GmをTavに設定し、Tav<Gmin1の場合に次回の青時間GmをGmin1に設定し、Tav>Gmax1の場合に次回の青時間GmをGmax1に設定すればよい。また、平均値Tavを用いる場合においても、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。これらの点は、後述するステップS87〜S95についても同様である。
【0161】
ステップS46〜S49の後に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより算出する(ステップS50)。
【0162】
引き続いて、制御処理部3は、ステップS25の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS51)。制御処理部3は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS61)。
【0163】
その後、制御処理部3は、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1を、下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”へ供給するための情報と1つとして、内部メモリに保存するとともに、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2を、上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’へ供給するための情報と1つとして、内部メモリに保存する(ステップS62)。これらの候補時間T1,T2は、上書き保存されて最新のもののみが保持される。また、これらの候補時間T1,T2は、隣接交差点CR”,CR’の交通信号制御装置1”,1’からの取得要求に応じて、通信回線7を介して隣接交差点CR”,CR’の交通信号制御装置1”,1’にそれぞれ供給される。
【0164】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測を、開始する(ステップS63)。すなわち、制御処理部3は、ステップS63の時点で内部メモリ内の台数N3,N4の値をゼロにリセットし、ステップS63の時点から後述する当該計測を終了するステップS69の時点までの間に、車両感知器B3から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N3の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B4から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N4の値を1だけインクリメントする。
【0165】
ステップS63の後に、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS64)。
【0166】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切り制御処理を行う(ステップS65)。
【0167】
この打ち切り制御処理の概要について、図24を参照して説明する。図24は、ステップS65の青打ち切り制御処理のうち、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、ステップS32で得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1に従って決定されたものである場合(すなわち、ステップS30でYESでかつステップS41でYESの場合)に行われる青打ち切り制御処理の例を、示している。
【0168】
現在設定されている青時間GmがステップS32で得た候補時間T1に従って決定されたものである場合において、前述した図12乃至図13にそれぞれに示す場合には、上り側の隣接交差点CR’からの車両が、上り側の隣接交差点CR’の下り方向の流入路R1’についての候補時間T1’だけ、上り側の隣接交差点CR’の上り方向の流入路R1’の飽和交通流S1’で自交差点CRに流入することを想定し、その流入台数を考慮して候補時間T1を算出している。しかし、実際には、上り側の隣接交差点CR’から飽和交通流S1’で車両が流入する時間が候補時間T1’よりも短い場合もあり得るが、その場合にまで、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を、現在設定されている青時間Gmの間継続するとすれば、無駄青時間が生じてしまう。そこで、本実施の形態では、このような場合には、図24に示すように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。
【0169】
上り側の隣接交差点CR’から自交差点CRへ流入する車両の計測には、図3中の車両感知器B1を使用し、車両感知器B1の感知信号に基づいて単位時間v0(例えば、1秒間)を経過している際に車両の通過が無かった場合に、1ずつ増加する一方、車両が通過すると0にリセットするカウンタ値nP1を用いる。自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1において、基本時間Tbを経過した後にカウンタ値nP1によるカウントをスタートし、カウント値nP1が予め定められた打ち切り時間Tc1・v0に相当するカウント値Tc1となったときに、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。この打ち切り時間Tc1は、自交差点CRの流入路R1の停止線L1から車両感知器B1までの距離と流入路R1について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じにしておくことが、好ましい。最後に車両感知器B1の感知位置を車両が通過してから打ち切り時間Tc1・v0を経過した後には車両感知器B1の感知位置を通過する車両が無い場合、自交差点CRと車両感知器B1の感知位置との間には車両は存在しないことから、これ以降の上りの側の隣接交差点CR’から自交差点CRへの車両の流入は無いものとして、これを青信号表示の打ち切りタイミングとして使用している。
【0170】
また、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、ステップS37で得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に従って決定されたものである場合(すなわち、ステップS35でYESでかつステップS41でNOの場合)にも、同様に、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切る。
【0171】
ここで、ステップS65の青打ち切り制御処理の具体的な内容について、図23を参照して説明する。
【0172】
ステップS65の青打ち切り制御処理を開始すると、制御処理部3は、まず、ステップS41と同じく、ステップS32又はS34で最新に得た自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1、及び、ステップS37又はS39で最新に得た自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に関して、T1≧T2であるか否か(すなわち、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmが、自交差点CRの下り方向の流入路R1についての候補時間T1に従って決定されたものであるか、それとも、自交差点CRの上り方向の流入路R2についての候補時間T2に従って決定されたものであるか)を判定する(ステップS141)。候補時間T1に従って決定されたものであれば、ステップS142へ移行する一方、候補時間T2に従って決定されたものであれば、ステップS162へ移行する。
【0173】
ステップS142において、制御処理部3は、上り側情報取得可否フラグFUが1であるか(すなわち、ステップS32の算出処理により候補時間T1が算出されたか)否かを判定する。上り側情報取得可否フラグFUが1でなければ(すなわち、ステップS34の算出処理により候補時間T1が算出された場合)、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。上り側情報取得可否フラグFUが1であれば、ステップS143へ移行する。
【0174】
ステップS143において、制御処理部3は、ステップS64の時点からステップS101で最新に算出した基本時間Tb1を経過したか否かを判定する。制御処理部3は、基本時間Tb1を経過していなければ基本時間Tb1を経過するまで待ち、基本時間Tb1を経過すると、経過時間uを計測する内蔵するタイマ(u)をu=0にリセットした後にスタートさせ(ステップS144)、内部メモリ内のカウント値nP1をゼロにセットする(ステップS145)。
【0175】
その後、制御処理部3は、内部メモリ内の台数N1をゼロにリセットし、自交差点CRの主道路10の下り方向の流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測を開始する(すなわち、以後に、車両感知器B1から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N1の値を1だけインクリメントする)(ステップS146)。
【0176】
次に、制御処理部3は、経過時間v計測する内蔵するタイマ(v)をv=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS147)。
【0177】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmを経過したか否かを判定する(ステップS148)。青時間Gmを経過していれば、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。一方、青時間Gmを経過していなければ、ステップS149へ移行する。
【0178】
ステップS149において、制御処理部3は、ステップS147の時点から所定の単位時間v0(例えば、1秒)を経過したか否かを判定する。単位時間v0を経過していなければ、ステップS148へ戻る一方、単位時間v0を経過していれば、ステップS150へ移行する。
【0179】
ステップS150において、制御処理部3は、ステップS146で最新に計測を開始した車両感知器B1による台数N1の計測値が1以上であるか否か(すなわち、単位時間v0中に車両感知器B1により車両が感知されたか否か)を判定する。台数N1が1以上であれば、カウント値nP1をゼロにリセットし(ステップS151)、ステップS153へ移行する。一方、台数N1が1以上でなければ、カウント値nP1を1だけインクリメントし(ステップS152)、ステップS153へ移行する。
【0180】
ステップS153において、制御処理部3は、カウント値nP1が予め定められた打ち切り時間Tc1・v0に相当するカウント値Tc1以上であるか否かを判定する。カウント値Tc1以上でなければ、ステップS146へ戻る一方、カウント値nP1以上であれば、ステップS154へ移行する。
【0181】
ステップS154において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切りを決定し、ステップS101で最新に算出した基本時間Tb1とステップS144の時点からの経過時間uとを用いて、現在設定されている交通信号機A1,A2の青時間Gmを、打ち切り後の長さであるTb1+uに設定し直す。
【0182】
次に、制御処理部3は、ステップS154で設定し直した交通信号機A1,A2の青時間Gm及び黄時間Ymを用いて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより再び算出する(ステップS155)。その後、制御処理部3は、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。
【0183】
また、ステップS141でNOと判定されると、制御処理部3は、制御処理部3は、下り側情報取得可否フラグFDが1であるか(すなわち、ステップS37の算出処理により候補時間T1が算出されたか)否かを判定する。下り側情報取得可否フラグFDが1でなければ(すなわち、ステップS39の算出処理により候補時間T1が算出された場合)、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。下り側情報取得可否フラグFDが1であれば、ステップS163へ移行する。
【0184】
ステップS163において、制御処理部3は、ステップS64の時点からステップS121で最新に算出した基本時間Tb2を経過したか否かを判定する。制御処理部3は、基本時間Tb2を経過していなければ基本時間Tb2を経過するまで待ち、基本時間Tb2を経過すると、経過時間uを計測する内蔵するタイマ(u)をu=0にリセットした後にスタートさせ(ステップS164)、内部メモリ内のカウント値nP2をゼロにセットする(ステップS165)。
【0185】
その後、制御処理部3は、内部メモリ内の台数N2をゼロにリセットし、自交差点CRの主道路10の上り方向の流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測を開始する(すなわち、以後に、車両感知器B2から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N2の値を1だけインクリメントする)(ステップS166)。
【0186】
次に、制御処理部3は、経過時間v計測する内蔵するタイマ(v)をv=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS167)。
【0187】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の現在の青信号表示について設定されている青時間Gmを経過したか否かを判定する(ステップS168)。青時間Gmを経過していれば、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示を打ち切ることなく、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。一方、青時間Gmを経過していなければ、ステップS169へ移行する。
【0188】
ステップS169において、制御処理部3は、ステップS167の時点から所定の単位時間v0(例えば、1秒)を経過したか否かを判定する。単位時間v0を経過していなければ、ステップS168へ戻る一方、単位時間v0を経過していれば、ステップS170へ移行する。
【0189】
ステップS170において、制御処理部3は、ステップS166で最新に計測を開始した車両感知器B2による台数N2の計測値が1以上であるか否か(すなわち、単位時間v0中に車両感知器B2により車両が感知されたか否か)を判定する。台数N2が1以上であれば、カウント値nP2をゼロにリセットし(ステップS171)、ステップS173へ移行する。一方、台数N2が1以上でなければ、カウント値nP2を1だけインクリメントし(ステップS172)、ステップS173へ移行する。
【0190】
ステップS173において、制御処理部3は、カウント値nP2が予め定められた打ち切り時間Tc2・v0に相当するカウント値Tc2以上であるか否かを判定する。カウント値Tc2以上でなければ、ステップS166へ戻る一方、カウント値nP2以上であれば、ステップS174へ移行する。
【0191】
ステップS174において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青信号表示の打ち切りを決定し、ステップS121で最新に算出した基本時間Tb2とステップS164の時点からの経過時間uとを用いて、現在設定されている交通信号機A1,A2の青時間Gmを、打ち切り後の長さであるTb2+uに設定し直す。
【0192】
次に、制御処理部3は、ステップS174で設定し直した交通信号機A1,A2の青時間Gm及び黄時間Ymを用いて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより再び算出する(ステップS175)。その後、制御処理部3は、ステップS65の青打ち切り制御処理を終了して、図19中のステップS66へ移行する。
【0193】
ステップS66において、制御処理部3は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる。
【0194】
次いで、制御処理部3は、ステップS64の時点から、ステップS50あるいはS155又はS175で最新に算出された自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の単独赤時間Rsを経過したか否かを判定する(ステップS67)。制御処理部3は、単独赤時間Rsを経過していなければ単独赤時間Rsを経過するまで待ち、単独赤時間Rsを経過すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS68)。
【0195】
その後、制御処理部3は、ステップS63で開始した計測(すなわち、自交差点CRの従道路20の流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測)を終了する(ステップS69)。よって、ステップS69以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N3は、前回の単独赤時間Rs中に自交差点CRの従道路20の流入路R3における車両感知器B3の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS69以降では、制御処理部3のメモリ内の台数N4は、前回の単独赤時間Rs中に自交差点CRの従道路20の流入路R4における車両感知器B4の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0196】
次に、制御処理部3は、自交差点CRの従道路20の流入路R3のカメラC3及び渋滞長計測処理部D3によって計測された現在の渋滞長E3、及び、自交差点CRの従道路20の流入路R4のカメラC4及び渋滞長計測処理部D4によって計測された現在の渋滞長E4を、内部メモリに取り込む(ステップS70)。
【0197】
次いで、制御処理部3は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS71)。
【0198】
その後、制御処理部3は、ステップS63,S69により最新に得られた単独赤時間Rs中の通過台数N3,N4、及び、ステップS50あるいはS155又はS175で最新に得られた単独赤時間Rsを用いて、q3=N3/Rs、q4=N4/Rsにより、自交差点CRの従道路20の流入路R3の交通量q3(台/秒)及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の交通量q4(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS81,S82)。
【0199】
また、制御処理部3は、ステップS70で最新に取り込んだ自交差点CRの従道路20の流入路R3の渋滞長E3及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の渋滞長E4、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n3=E3/F、n4=E4/Fにより、自交差点CR従道路20の流入路R3の信号待ち車両台数n3及び自交差点CRの従道路20の流入路R4の信号待ち車両台数n4を、それぞれ算出する(ステップS83,S84)。
【0200】
その後、制御処理部3は、ステップS81〜S84で最新に算出したq3,q4,n3,n4、自交差点CRの従道路20の下り方向の流入路R3について予め設定された飽和交通流(台/秒)S3、及び、自交差点CRの従道路20の上り方向の流入路R4について予め設定された飽和交通流(台/秒)S4を用いて、T3=n3/(S3−q3)、T4=n4/(S4−q4)により、流入路R3についての候補時間T3及び流入路R4についての候補時間T4をそれぞれ算出する(ステップS85,S86)。
【0201】
ステップS86の後に、制御処理部3は、ステップS85で最新に得た自交差点CRの従道路20の下り方向の流入路R3についての候補時間T3、及び、ステップS86で最新に得た自交差点CRの従道路20の上り方向の流入路R4についての候補時間T4に関して、自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の青時間Gsに対して予め設定した最小値Gmin2及び最大値Gmax2を用いた判定(ステップS87〜S91)を行い、T3≧T4かつGmax2≧T3≧Gmin2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT3に設定し(ステップS92)、T3<T4かつGmax2≧T4≧Gmin2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT4に設定し(ステップS95)、T3≧T4かつT3<Gmin2の場合及びT3<T4かつT4<Gmin2の場合に自交差点CR従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmin2に設定し(ステップS94)、T3≧T4かつT3>Gmax2の場合及びT3<T4かつT4>Gmax2の場合に自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmax2に設定する(ステップS93)。
【0202】
ステップS87〜S95の後に、ステップS5へ戻る。
【0203】
以上、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1の制御処理部3の動作について、図16乃至図23を参照して具体的に説明した。
【0204】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2に限定されるものではない。本実施の形態では、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。
【0205】
なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの交通信号制御装置1は、通信回線7の途絶等により上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報が取得できない場合や下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26,S27で自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2の交通量q1,q2を得ており、上り側の隣接交差点情報が取得不能である場合にはステップS34で候補時間T1を算出し、下り側の隣接交差点情報が取得不能である場合にはステップS39で候補時間T1を算出している。したがって、本実施の形態によれば、通信回線7の途絶等が生じて隣接交差点情報が取得不能となっても、隣接交差点との連係は行われなくなるものの、特別な支障を来すことなく、自交差点CRの交通信号表示を継続することができるという利点が得られる。また、本実施の形態では、交通量q1,q2取得用の車両感知器として、前述した青打ち切り制御用の自交差点CRの主道路10の流入路R1,R2の車両感知器B1,B2を兼用しているので、コストダウンを図ることができる。もっとも、本発明では、このような隣接交差点情報の取得不能に対して必ずしも備える必要はなく、その場合には、ステップS10,S23,S26,S27,S30,S31,S33,S34,S35,S36,S38,S39,S142,S162及び通信不能状態検出部6は、不要である。
【0206】
また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR2〜CR4のいずれかである場合、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A3の赤信号表示中の、自交差点CRの従道路20の各流入路R3,R4の交通状況情報として、ステップS81,S82で算出した流入路R3,R4の交通量q3,q4、及び、ステップS85,S86で算出した流入路R3,R4の信号待ち車両台数n3,n4を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に限定されるものではない。本実施の形態では、車両感知器B3,B4、及び、制御処理部3のステップS63,S64,S81,S82の機能によって、交通量q3,q4を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、テレビカメラC3,C4、渋滞長計測処理部D3,D4、及び、制御処理部3のステップS70,S85,S86の機能によって、信号待ち車両台数n3,n4を得る取得手段が構成されている。これらの点は、以下に説明する自交差点CRが制御対象エリア200内の端部の交差点CR1,CR2のいずれかである場合も、同様である。
【0207】
自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路下り側の端部の交差点CR1である場合には、制御対象エリア200内には主道路下り側の隣接交差点CR”は存在しないため、自交差点の交通信号制御装置1の制御処理部3の動作は、前述した図16乃至図23に示す動作に対して以下に説明するように改変される。すなわち、自交差点CRが交差点CR1である場合には、ステップS35〜S38が除去されてステップS32,S34の後にステップS39を経てステップS41へ移行し、ステップS141,S162〜S175が除去されてステップS64の後にステップS142へ移行する。
【0208】
この説明からわかるように、自交差点CRが交差点CR1である場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2、及び、ステップS27で算出した流入路R2の交通量q2を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2及び交通量q2に限定されるものではない。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、車両感知器B2、及び、制御処理部3のステップS10,S23,S27の機能によって、交通量q2を得る取得手段が構成されている。なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR1である場合、通信回線7の途絶等により上り側の隣接交差点CR’の交通信号制御装置1’から上り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26で自交差点CRの主道路10の流入路R1の交通量q1を得ているが、本発明では、必ずしもこれに備える必要はない。
【0209】
また、自交差点CRが制御対象エリア200内の主道路上り側の端部の交差点CR5である場合には、制御対象エリア200内には主道路上り側の隣接交差点CR’は存在しないため、自交差点の交通信号制御装置1の制御処理部3の動作は、前述した図16乃至図23に示す動作に対して以下に説明するように改変される。すなわち、自交差点CRが交差点CR5である場合には、ステップS30〜S33が除去されてステップS29の後にステップS34を経てステップS35へ移行し、ステップS141〜S155が除去されてステップS64の後にステップS162へ移行する。
【0210】
この説明からわかるように、自交差点CRが交差点CR5である場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A1の赤信号表示中の、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS28,S99で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2、及び、ステップS26で算出した流入路R2の交通量q1を得ている。ただし、本発明では、前記交通状況情報は、信号待ち車両台数n1,n2及び交通量q1に限定されるものではない。本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部3のステップS24,S28,S29の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、車両感知器B1、及び、制御処理部3のステップS10,S23,S26の機能によって、交通量q1を得る取得手段が構成されている。なお、本実施の形態では、自交差点CRが交差点CR5である場合、通信回線7の途絶等により下り側の隣接交差点CR”の交通信号制御装置1”から下り側の隣接交差点情報が取得できない場合に備えて、主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号表示中にステップS26で自交差点CRの主道路10の流入路R2の交通量q2を得ているが、本発明では、必ずしもこれに備える必要はない。
【0211】
本実施の形態によれば、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部以外の交差点CR2〜CR4のいずれかである場合の、自交差点CRの交通信号制御装置1について説明すると、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の赤信号中に得られた自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報n1,n2、及び、自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の赤信号中に得られた上り側及び下り側の隣接交差点情報に基づいて、自交差点CRの主道路10の主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmが設定され、これに応じて、当該青時間Gmに対応する自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の赤信号中に得られた自交差点CRの従道路20の各流入路R3,R4の交通状況情報q3,q4,n3,n4に基づいて、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsが設定され、これに応じて、当該青時間Gsに対応する自交差点CRの主道路10の交通通信号機A1,A2の赤時間が設定される。このように、本実施の形態では、現在の一方の道路の信号機の青時間は、その直前の当該交通信号機の赤時間中に得られた当該一方の道路の各流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、本実施の形態によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0212】
そして、本実施の形態では、自交差点CRが交差点C2〜C4のいずれかである場合、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間は、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通状況情報のみならず上り側及び下り側の隣接交差点情報にも基づいて設定されるので、上り側及び下り側の隣接交差点CR’,CR”の交通信号機A1’〜A4’,A1”〜A4”と連係した交通信号制御を実現することができる。
【0213】
以上説明した点は、自交差点CRが制御対象エリア200内の端部の交差点CR1又はCR5である場合も、同様である。
【0214】
さらに、本実施の形態では、自交差点CRが交差点C1〜C5のいずれかである場合、前述したような隣接交差点間の連係は、自交差点CRの交通信号制御装置1が上り側及び下り側の隣接交差点情報を取得するだけで実現され、前述した従来技術のようにエリア内の複数の交差点の交通信号機の全体を制御する中央制御装置を用いるものではないので、各交差点CR1〜CR5に対して交通信号制御装置が1対1に設けられ各交差点CR1〜CR5毎に分散していて制御対象エリア内の交差点の数等が異なる場合でも簡単に対応することができる。例えば、交差点CR5に対応した交通信号制御装置を交差点C2〜C4に対応した交通信号制御装置と同じものとし、交差点CR5に対して上り側に隣接する交差点の交通信号機を制御する交通信号制御装置として、本実施の形態における交差点CR5に対応した交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置を設置するだけで、簡単に制御対象エリア200を6個の交差点に拡大することができる。
【0215】
また、本実施の形態では、自交差点CRの主道路10の流入路R1についての候補時間T1を前述したステップS32により算出し、自交差点CRの主道路10の流入路R2についての候補時間T2を前述したステップS32により算出し、これらに基づいて、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青信号を設定しているので、隣接交差間の交通信号表示をより適切に連携させることができ、円滑で効率の良い交通を実現することができる。
【0216】
さらに、本実施の形態では、前述したように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmは下限値Gmin1以上に設定され、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsは下限値Gmin2以上に設定される。したがって、自交差点CRの主道路10の各流入路R1,R2の交通量がほとんどないような場合や従道路20の各流入路R3,R4の交通量がほとんどないような場合においても、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の青時間Gmが短すぎたり自交差点CRの従道路20の信号機A3,A4の青時間Gs短すぎたりして信号表示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができる。
【0217】
また、本実施の形態では、前述したように、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の次回の青時間Gmは上限値Gmax1以下に設定されるので、自交差点CRの主道路10の渋滞が著しいような場合においても、自交差点CRの主道路10の信号機A1,A2の青時間Gmが長すぎて自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。同様に、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の次回の青時間Gsは上限値Gmax2以下に設定されるので、自交差点CRの従道路20の渋滞が著しいような場合においても、自交差点CRの従道路20の交通信号機A3,A4の青時間Gsが長すぎて自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。
【0218】
さらに、本実施の形態では、ステップS65の青打ち切り制御処理を行うので、隣接交差点CR’,CR”から自交差点CRへの実際の流入車両が少なくても、自交差点CRの主道路10の交通信号機A1,A2の無駄青時間を低減することができ、効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0219】
さらにまた、本実施の形態では、隣接交差点間で授受する情報は、前述したように、青開始時点、単独赤開始時点、候補時間及び単独赤時間であるので、その通信トラフィックは非常に少なくてすむ。
【0220】
以上、本発明の一実施の形態による交通信号システムについて説明したが、本発明は、このような交通信号システムやこれに用いられている交通信号制御装置に限定されるものではない。
【0221】
例えば、前述した実施の形態では、制御対象エリア200内の順次隣接する交差点の数が5個であったが、その数は2つ以上であればよい。2つの場合には、上り側の交差点の交通信号制御装置として、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じものを用い、下り側の交差点の交通信号制御装置として、前記実施の形態における交差点CR5の交通信号制御装置を用いればよい。
【0222】
また、例えば、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置と組み合わせる、その交差点の上り側の隣接交差点の交通信号制御装置は、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置や前記実施の形態における交差点C5の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置に限定されるものではなく、任意の交通信号制御装置でよい。この場合、必要に応じて、前記実施の形態における交差点CR1の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置では、前記ステップS102において、候補時間T1’に代えて、主道路10の上り側の隣接交差点の青時間Gm’を取得し、前記ステップS108,S110において、候補時間T1’に代えて当該青時間Gm’を用いればよい。
【0223】
さらに、例えば、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置と組み合わせる、その交差点の上り側の隣接交差点の交通信号制御装置も、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置や前記実施の形態における交差点C5の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置に限定されるものではなく、任意の交通信号制御装置でよい。この場合も、必要に応じて、前記実施の形態における交差点CR2〜CR4の交通信号制御装置と同じ交通信号制御装置では、前記ステップS102において、候補時間T1’に代えて、主道路10の上り側の隣接交差点の青時間Gm’を取得し、前記ステップS108,S110において、候補時間T1’に代えて当該青時間Gm’を用いればよい。
【0224】
また、前記実施の形態は、各交差点において交差する2つの道路が片側1車線の道路の例であったが、本発明は、各交差点において交差する2つの道路の両方又は一方が片側複数車線の道路の場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】本発明の一実施の形態による交通信号システムの制御対象エリアを模式的に示す概略平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による交通システムの一部の配置例を模式的に示す概略平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による交通システムの自交差点に対応して設けられた交通信号制御装置を示す概略ブロック図である。
【図4】図3中の主道路の自交差点に対する流入路上の車両の様子の例、並びに、当該流入路に関連して配置されたテレビカメラの視野及び車両感知器の感知位置を示す説明図である。
【図5】図3に示す自交差点の交通信号制御装置により実現される自交差点の交通信号機の動作例を示すタイムチャートである。
【図6】自交差点の従道路の流入路についての候補時間の算出方法を示す図である。
【図7】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す図である。
【図8】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す他の図である。
【図9】上り側の隣接交差点情報の取得タイミングと、上り側の隣接交差点の主道路の交通信号機の状態との関係を示す更に他の図である。
【図10】基準時点と予測到達時点との関係を示す図である。
【図11】基準時点と予測到達時点との関係を示す他の図である。
【図12】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す図である。
【図13】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す他の図である。
【図14】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す更に他の図である。
【図15】主道路の自交差点に対する下り方向の流入路についての候補時間の決定方法を示す更に他の図である。
【図16】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示すフローチャートである。
【図17】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す他のフローチャートである。
【図18】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図19】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図20】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図21】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図22】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図23】図3に示す自交差点の交通信号制御装置の制御処理部の動作を示す更に他のフローチャートである。
【図24】青打ち切り制御を示す図である。
【符号の説明】
【0226】
1,1’,1” 交通信号制御装置
2,2’,2” 制御ユニット
3 制御処理部
4 駆動回路
5 通信部
6 通信不能状態検出部
7 通信回線
10 主道路
20,20’,20”21〜24 従道路
100 車両
200 制御対象エリア
A1〜A4,A1’〜A4’,A1”〜A4” 交通信号機
B1〜B4,B1’〜B4’,B1”〜B4” 車両感知器
C1〜C4,C1’〜C4’,C1”〜C4” テレビカメラ
CR,CR’,CR”,CR1〜CR5 交差点
D1〜D4,D1’〜D4’,D1”〜D4” 渋滞長計測処理部
L1〜L4,L1’〜L4’,L1”〜L4” 停止線
R1〜R4,R1’〜R4’,R1”〜R4” 流入路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、
前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、
前記両側の各隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、
前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、
前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、
前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、
前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、
前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項2】
前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段を、含むことを特徴とする請求項1記載の交通信号制御装置。
【請求項3】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項4】
前記両側の各隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の交通信号制御装置。
【請求項5】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎にTb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項4記載の交通信号制御装置。
【請求項6】
前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出する、ことを特徴とする請求項5記載の交通信号制御装置。
【請求項7】
前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項5又は6記載の交通信号制御装置。
【請求項8】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、
前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に選択した前記候補時間Tに対応する前記所定道路の前記自交差点に対する流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7記載の交通信号制御装置。
【請求項9】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであることを特徴とする請求項8記載の交通信号制御装置。
【請求項10】
所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の一方側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、
前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、
前記一方側の隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、
前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、
前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、
前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、
前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、
前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項11】
前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、を含むことを特徴とする請求項10記載の交通信号制御装置。
【請求項12】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項11記載の交通信号制御装置。
【請求項13】
前記第1の交通量取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記所定道路の前記自交差点に対する当該流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項11又は12記載の交通信号制御装置。
【請求項14】
前記一方側の隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項15】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、Tb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で前記一方側の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第2の候補時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項14記載の交通信号制御装置。
【請求項16】
前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、前記一方側の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出する、ことを特徴とする請求項15記載の交通信号制御装置。
【請求項17】
前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項15又は16記載の交通信号制御装置。
【請求項18】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、
前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記第1の候補時間算出手段により算出された候補時間Tを選択したことを前提条件として、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、
を備えたことを特徴とする請求項17記載の交通信号制御装置。
【請求項19】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであることを特徴とする請求項18記載の交通信号制御装置。
【請求項20】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項21】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項22】
前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項23】
前記第2の交通量取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項22記載の交通信号制御装置。
【請求項24】
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項22又は23記載の交通信号制御装置。
【請求項25】
前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第2の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該各流入路毎に、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第3の候補時間算出手段を含み、
前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項26】
前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項25記載の交通信号制御装置。
【請求項27】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項28】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項29】
所定道路上において互いに隣接する2つの交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、
前記2つの交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する2つの交通信号制御装置と、
を備え、
前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、前記2つの交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、
前記各交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であることを特徴とする交通信号システム。
【請求項30】
所定道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる3つ以上の交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、
前記3つ以上の交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する3つ以上の交通信号制御装置と、
を備え、
前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、3つ以上の交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の一方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であり、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の他方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であり、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の端部以外の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載の交通信号制御装置である、
ことを特徴とする交通信号システム。
【請求項1】
所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の両側の各隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、
前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、
前記両側の各隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、
前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、
前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、
前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、
前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、
前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項2】
前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段を、含むことを特徴とする請求項1記載の交通信号制御装置。
【請求項3】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項4】
前記両側の各隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の交通信号制御装置。
【請求項5】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎にTb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項4記載の交通信号制御装置。
【請求項6】
前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた当該流入路の上流の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、当該流入路の上流の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路毎に、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出する、ことを特徴とする請求項5記載の交通信号制御装置。
【請求項7】
前記第1の設定手段は、前記第1の候補時間算出手段により算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項5又は6記載の交通信号制御装置。
【請求項8】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、
前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に選択した前記候補時間Tに対応する前記所定道路の前記自交差点に対する流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7記載の交通信号制御装置。
【請求項9】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであることを特徴とする請求項8記載の交通信号制御装置。
【請求項10】
所定道路と交差道路とが交差する自交差点に設置される前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記交差道路用の第2の交通信号機を、前記自交差点と隣接する前記所定道路上の一方側の隣接交差点の交通信号表示と連係するように制御する交通信号制御装置であって、
前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、
前記一方側の隣接交差点の交通信号表示制御に関する情報である隣接交差点情報を、前記第1の交通信号機の赤信号表示中に取得する隣接交差点情報取得手段と、
前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報及び前記隣接交差点情報取得手段により得られた隣接交差点情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、
前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、
前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、
前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、
前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び第2の交通信号機の交通信号表示を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項11】
前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、を含むことを特徴とする請求項10記載の交通信号制御装置。
【請求項12】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記所定道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項11記載の交通信号制御装置。
【請求項13】
前記第1の交通量取得手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する前記隣接交差点とは反対側の流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記所定道路の前記自交差点に対する当該流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項11又は12記載の交通信号制御装置。
【請求項14】
前記一方側の隣接交差点の前記隣接交差点情報は、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第1の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点又はこれを特定するための情報である、第2の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間又はこれを特定するための情報、あるいは、当該隣接交差点に対する前記所定道路の各流入路のうち前記自交差点に向かう流入路について当該隣接交差点の前記所定道路用の青信号表示時間の候補として算出された候補時間である、第3の情報と、当該隣接交差点の前記所定道路用の単独赤信号表示時間又はこれを特定するための情報である、第4の情報と、を含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項15】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、Tb=n/Sの式で表される基本時間Tbを算出する基本時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第1の情報による所定道路用の青信号表示時間開始時点が、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2の情報による所定道路用の単独赤信号表示時間開始時点より後である場合には、当該青信号表示時間開始時点を基準時点とするとともに、その逆である場合には、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第2及び第4の情報に基づいて当該単独赤信号表示時間開始時点の次の青信号表示時間開始時点を得てこれを基準時点として、前記基準時点で前記一方側の隣接交差点の対応流入路の停止線位置から出発した車両が前記自交差点の当該流入路の停止線位置に到達すると予測される時点である予測到達時点を得る予測到達時点取得手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間開始時点である第1の時点、該第1の時点から前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを経過した時点である第2の時点、及び、該第2の時点から当該流入路について予め設定された余裕時間を経過した時点である第3の時点に対する、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点の時間的な前後関係に応じて、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tb、前記第1の時点、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点、及び、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報に基づいて、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第1の候補時間算出手段を含み、
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、当該流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点とは反対側の流入路に関して、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第2の候補時間算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項14記載の交通信号制御装置。
【請求項16】
前記第1の時点をSECmとし、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間をTbとし、前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点をSECaとし、前記隣接交差点情報取得手段により得られた前記一方側の隣接交差点の前記第3の情報による前記所定道路用の青信号表示時間又は前記候補時間をTXとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとし、前記一方側の隣接交差点の対応流入路について予め設定された飽和交通流をS’としたとき、前記第1の候補時間算出手段は、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して、(i)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点より前である場合には、T=Tb+{TX−(SECm−SECa)}・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(ii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が前記第1の時点以後でかつ当該流入路についての前記第2の時点より前である場合には、T=Tb+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iii)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第2の時点以後でかつ当該流入路についての前記第3の時点より前である場合には、T=(SECa−SECm)+TX・S’/Sの式又はこの式においてS’=Sとした式によって、(iv)前記予測到達時点取得手段により当該流入路について得られた前記予測到達時点が当該流入路についての前記第3の時点以後である場合には、T=Tbの式によって、当該流入路について前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての前記候補時間Tを算出する、ことを特徴とする請求項15記載の交通信号制御装置。
【請求項17】
前記第1の設定手段は、前記第1及び第2の候補時間算出手段によりそれぞれ算出された前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項15又は16記載の交通信号制御装置。
【請求項18】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられ、当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器と、
前記第1の交通信号機の青信号表示時間中において、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記第1の候補時間算出手段により算出された候補時間Tを選択したことを前提条件として、前記第1の設定手段が当該青信号表示時間を設定する際に前記基本時間算出手段により当該流入路について算出された前記基本時間Tbを、当該青信号表示時間の開始時点から経過した後に、前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路に関して設けられた前記車両感知器によって、当該流入路について予め設定された打ち切り時間の間継続して車両が感知されない場合に、当該青信号表示を打ち切る手段と、
を備えたことを特徴とする請求項17記載の交通信号制御装置。
【請求項19】
前記所定道路の前記自交差点に対する各流入路のうち前記一方側の隣接交差点の側の流入路について予め設定された前記打ち切り時間は、当該流入路に関して設けられた前記車両感知器の感知位置から当該流入路の停止線位置までの、当該流入路について予め設定された自由流速度による旅行時間と略同じであることを特徴とする請求項18記載の交通信号制御装置。
【請求項20】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項21】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項22】
前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路の当該自交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項23】
前記第2の交通量取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して設けられ当該流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項22記載の交通信号制御装置。
【請求項24】
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する少なくとも1つの流入路に関して、当該流入路の停止線位置と当該流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記交差道路の前記自交差点に対する当該少なくとも1つの流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項22又は23記載の交通信号制御装置。
【請求項25】
前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該流入路について前記第2の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路に関して、当該各流入路毎に、T=n/(S−q)の式によって、当該流入路について前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の候補としての候補時間Tを算出する第3の候補時間算出手段を含み、
前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項26】
前記第3の設定手段は、前記第3の候補時間算出手段により算出された前記交差道路の前記自交差点に対する各流入路についての候補時間Tのうち最も長い時間を選択してこれに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項25記載の交通信号制御装置。
【請求項27】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項28】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項29】
所定道路上において互いに隣接する2つの交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、
前記2つの交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する2つの交通信号制御装置と、
を備え、
前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、前記2つの交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、
前記各交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であることを特徴とする交通信号システム。
【請求項30】
所定道路上における所定エリア内において順次隣接して連なる3つ以上の交差点に対して各交差点毎に設置される、前記所定道路用の第1の交通信号機及び前記所定道路と交差する交差道路用の第2の交通信号機と、
前記3つ以上の交差点に対して1対1に設けられ対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機をそれぞれ制御する3つ以上の交通信号制御装置と、
を備え、
前記各交通信号制御装置は、対応する交差点の前記第1及び第2の交通信号機を、3つ以上の交差点のうち当該対応する交差点と隣接する交差点の前記第1及び第2の交通信号機による交通信号表示と連係するように制御し、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の一方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であり、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の他方端部の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置であり、
前記3つ以上の交通信号制御装置のうち前記所定エリア内の端部以外の交差点の前記第1及び第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載の交通信号制御装置である、
ことを特徴とする交通信号システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図10】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−260313(P2006−260313A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78275(P2005−78275)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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