説明

交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ

【課題】LEDの発熱を極めて効率よく放熱して、LEDの寿命を長く、しかも発光効率を高くする。電球に代わって使用しながら、優れた耐振動強度を実現する。
【解決手段】交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプは、表面で光を反射する反射器4の中央部に設けてなる開口部41に脱着自在にセットされるランプホルダ3を介して交換自在に連結している。LEDランプは、光源であるLED2の発熱を放熱する放熱器6を有する。この放熱器6は、反射器4の開口部41を閉塞するランプホルダ3のリングプレート31の内側露出面31Aに接触して熱結合される接触部61を有し、放熱器6の熱を接触部61を介してランプホルダ3に伝導して、ランプホルダ3を介して放熱している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機に、従来の電球に代わって使用される光源をLEDとするランプに関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号機用のランプには電球が使用される。電球は発光効率が低いので、電力消費が大きい欠点がある。また、寿命が数千時間と短いことから、定期的に交換する必要があってメンテナンスに手間がかかる欠点もある。さらにメンテナンスを簡単にするために、電球の寿命を長く設計すると、発光効率が急激に低下して消費電力が大きくなる欠点がある。電球の発光効率と寿命とは互いに相反する特性であって、両者を同時に満足できない。この欠点を解決するために、電球に代わってLEDを光源とする交通信号機用のLEDランプが開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−294002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDを光源とするランプは、LEDの発熱をいかに放熱するかが大切である。LEDの温度上昇がLEDの寿命を短くして、発光効率を低下させるからである。LEDは半導体の発光素子であるから、フィラメントを赤熱して発光させる電球とは比較にならない低い温度環境が要求される。
【0005】
特許文献1のLEDランプは、図1に示すように、LED92の発熱を放熱するためにアルミプレート93と、このアルミプレート93に連結している支柱94とを備えている。アルミプレート93は、実装密度の高いLED92に熱結合して、LED92の発熱を放熱する。さらに、アルミプレート93に伝導される熱は、支柱94に伝導されて、支柱94からランプの外部に放熱される。
【0006】
図1のLEDランプは、LED91の発熱をアルミプレート92を介して支柱93に伝導して放熱する。ただ、この構造のLEDランプは、支柱から効率よく放熱できない欠点がある。それは、支柱は放熱面積が小さいことに加えて、これが交通信号機の内部の閉鎖空間に配置されるからである。図2は交通信号機の断面図を示している。この図に示すように、交通信号機は、反射器4の中央部にランプ81を固定して、その前面をガラスや透明プラスチックからなる透光性のカバー9で閉塞している。
【0007】
反射器4は、中央部に開口部41を設けて、ここにランプホルダ3を脱着できるように連結している。開口部41は、ここからランプ81を出し入れして交換できるように、その内形をランプ81の外形よりも大きくしている。開口部41は、ランプホルダ3を簡単に脱着できるように、外部に突出する円筒状の筒状突出部42を設けている。ランプホルダ3は、この筒状突出部42の内側に挿入して連結される円筒状の連結筒部32を有し、この連結筒部32の前面には、反射器4の開口部41を閉塞するリングプレート31を設けている。リングプレート31は、中心に内側筒体33を設けて、この内側筒体33の後端には、ランプ81をねじ込んで連結するソケット5を固定している。
【0008】
以上の交通信号機は、以下のようにしてランプ81を交換する。
(1)ランプホルダ3を反射器4の筒状突出部42から引き抜いて反射器4から外す。
(2)反射器4から外された状態で、ランプホルダ3のランプ81を新しいものに交換する。
(3)その後、ランプホルダ3の連結筒部32を反射器4の筒状突出部42に挿入して、反射器4に連結する。ランプホルダ3を反射器4の開口部41に挿入する状態で、ランプホルダ3を固定するために、反射器4には弾性バネからなる連結具8を設けている。
【0009】
以上のようにして、電球をLEDランプに交換することで、ランプの寿命を長く、しかも高い発光効率によって消費電力を極めて少なくできる。ただ、図1に示すLEDランプは、支柱の熱を反射器の内側に放熱するので、LEDの熱が反射器の内部にこもって効率よく放熱できない欠点がある。
【0010】
本発明の第1の目的は以上の欠点を解決すること、すなわち、LEDの発熱を極めて効率よく放熱することで、LEDの寿命を長く、しかも発光効率を高くできる交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプを提供することにある。
【0011】
さらに、電球に代わって使用される交通信号機用のLEDランプは、振動に対する強度も要求される。それは道路を通過する重いトラック等で信号機が振動されるからである。とくに、交通信号機は細長い柱の先端に固定されることから、道路のわずかな振動も長い柱で大きく揺り動かされる状態となる。交通信号機は、電球をねじ込んで交換できるように連結するソケットを設けている。ソケットにねじ込んで連結される電球は、ソケットに連結する金属製の連結部に、フィラメントを内蔵するガラス球を固定している。連結部は、金属板を外周面に雄ネジのある円筒状に加工している。電球を使用する従来の信号機は、この連結部に軽いガラス球を固定するので、連結部が振動されても、連結部とガラス球との連結部が損傷されることはない。ところが、LEDランプは、電球に比べて相当に重くなるので、連結部が振動されると、連結部との境界部分で破損しやすい欠点がある。とくに電球に代わって使用されるLEDランプは、電球を連結するソケットに連結されることから、連結部の構造を電球と同じ構造に必要がある。この連結構造は、軽い電球を振動に強い構造で連結できるが、重いLEDランプを優れた振動強度を実現する状態では連結できない。
【0012】
本発明の第2の目的は、電球に代わって使用しながら、優れた耐振動強度を向上できる交通信号機用のLEDランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプは、表面で光を反射する反射器4の中央部に設けてなる開口部41に脱着自在にセットされるランプホルダ3を介して交換自在に連結している。LEDランプは、光源であるLED2の発熱を放熱する放熱器6を有する。この放熱器6は、反射器4の開口部41を閉塞するランプホルダ3のリングプレート31の内側露出面31Aに接触して熱結合される接触部61を有し、放熱器6の熱を接触部61を介してランプホルダ3に伝導して、ランプホルダ3を介して放熱している。
【0014】
以上のLEDランプは、交通信号機用の電球に代わって使用しながら、LEDの発熱を極めて効率よく放熱して、LEDの寿命を長くして、発光効率を高くできる特長がある。それは、このLEDランプが、光源であるLEDの発熱を放熱する放熱器を備えており、この放熱器が、反射器の開口部を閉塞するランプホルダのリングプレートの内側露出面に接触部を熱結合状態で接触させて、放熱器の熱をランプホルダに伝導して放熱しているからである。このように、放熱器の熱をランプホルダのリングプレートに伝導して放熱する構造は、LEDの熱が反射器の内部にこもるのを有効に防止して、極めて効率よく放熱して、ランプを長寿命にしながら、高い発光効率を実現できる。
【0015】
本発明のLEDランプは、光源のLED2の電流を制限する定電流素子19を備えて、この定電流素子19を放熱器6に熱結合状態として、定電流素子19の発熱を放熱器6で放熱することができる。
【0016】
本発明のLEDランプは、放熱器6の接触部61を、リングプレート31の内側露出面31Aに弾性的に押圧して接触させることができる。
【0017】
本発明のLEDランプは、放熱器6の接触部61を、リングプレート31の内側露出面31Aに向かって伸びる蛇腹状として、蛇腹61Aを弾性的に伸ばしてリングプレート31の内側露出面31Aに接触させることができる。
【0018】
本発明の請求項5に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプは、表面で光を反射する反射器4の中央部に設けてなる開口部41に脱着自在にセットしてなるランプホルダ3のソケット5にねじ込んで交換自在に連結している。LEDランプは、ランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結される外周に雄ネジ12を設けてなる連結部11と、この連結部11に固定してなるランプ本体10とからなる。ランプ本体10は、ランプホルダ3に弾性的に接触してランプ本体10を支持する弾性支持リング7を有し、連結部11がランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結される状態で、弾性支持リング7がランプホルダ3に接触して、ランプ本体10を支持している。
【0019】
以上のLEDランプは、交通信号機用の電球に代わって使用しながら、優れた耐振動強度を向上できる。それは、このLEDランプが、ランプホルダに弾性的に接触してランプ本体を支持する弾性支持リングを備えており、連結部をランプホルダのソケットにねじ込んでLEDランプをソケットに連結する状態で、弾性支持リングをランプホルダに接触させてランプ本体を支持しているからである。このLEDランプは、連結部をソケットに連結する状態で、弾性支持リングをランプホルダに弾性的に接触させて支持するので、電球に比べて重いLEDランプを、電球を連結するソケットに連結しながら、優れた振動強度を実現できる。
【0020】
本発明のLEDランプは、弾性支持リング7を、底部にソケット5を設けてなるランプホルダ3の中心孔34の内面34Aに弾性的な押圧状態で接触する弾性リングとし、ランプ本体10が、ランプホルダ3の中心孔34に挿入される挿入部21の外周面に、弾性支持リング7を案内するガイド溝25を設けて、このガイド溝25に弾性支持リング7を案内することができる。
【0021】
本発明のLEDランプは、弾性支持リング7を、ランプ本体10の発熱をランプホルダ3に熱伝導する熱伝導ゴムとすることができる。
このLEDランプは、弾性支持リングを熱伝導ゴムとするので、ランプ本体の発熱をランプホルダに熱伝導させて効果的に放熱できる。
【0022】
本発明のLEDランプは、弾性支持リング7を、シリコンゴム、熱伝導粉末を添加してなるゴム状弾性体のいずれかとすることができる。
このLEDランプは、弾性支持リングを優れた弾性としながら、ランプ本体の発熱をランプホルダに熱伝導させて効果的に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来のLEDランプの断面図である。
【図2】電球を使用する交通信号機の断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかるLEDランプを電球に代わって使用する交通信号機の一例を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示す交通信号機の反射器の背面斜視図である。
【図5】図3に示す交通信号機の反射器からランプホルダを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】図4に示す反射器からランプホルダを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図7】図3に示す交通信号機の反射器とランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【図8】図7に示すLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【図9】図8に示すLEDランプとランプホルダの断面図である。
【図10】図8に示すLEDランプの透光性カバーを取り除いた図である。
【図11】図9に示すLEDランプのXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の一実施例にかかるLEDランプの概略回路図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかるLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例にかかるLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプを例示するものであって、本発明はLEDランプを以下のものに特定しない。
【0025】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0026】
本発明のLEDランプを使用してなる交通信号機を図3ないし図7に示す。これらの図に示す交通信号器は、歩行者用の信号機を示している。ただ、本発明は、交通信号機を歩行者用の信号機には特定せず、車両用の信号機とすることもできる。
【0027】
図3ないし図7に示すLEDランプ1は、ランプホルダ3を介して、反射器4の中央部に設けている開口部41に、電球に代わって交換できるように連結される。ランプホルダ3を介してLEDランプ1を連結する交通信号機は、表面で光を反射する反射器4の中央部に開口部41を設けており、この開口部41にランプホルダ3を脱着できるように連結している。LEDランプ1は、直接には反射器4に連結されず、ランプホルダ3に交換できるように連結される。交通信号機は、ランプを交換するときにランプホルダ3を反射器4から外し、この状態でランプホルダ3のランプを新しいものに交換し、新しいランプのセットされたランプホルダ3を反射器4にセットする。図8ないし図10は、反射器4から外したランプホルダ3とLEDランプ1を示している。
【0028】
ランプホルダ3は、金属板をプレス加工して製作される。ランプホルダ3は、反射器4の中心に、後方に突出するように設けている筒状突出部42の内側に挿入して連結される円筒状の連結筒部32を有する。この連結筒部32の前面は、反射器4の開口部41を閉塞するリングプレート31を設けている。さらにリングプレート31には、中心に内側筒体33を連結してランプホルダ3に中心孔34を設けている。中心孔34を構成する内側筒体33の後端、すなわち中心孔34の底部には、電球をねじ込んで連結するソケット5を固定している。ソケット5は、電球の雄ネジ12をねじ込んで連結するために、内面に雌ネジ52を設けている。
【0029】
LEDランプ1は、図8と図9に示すように、ランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結される連結部11と、この連結部11に固定しているランプ本体10とを備える。連結部11は、外周に雄ネジ12を設けて、ソケット5の雌ネジ42にねじ込んで連結できるようにしている。さらに、連結部11は電球と同じように、外周面と先端とに、互いに絶縁して電極13、14を設けている。
【0030】
ランプ本体10は、ランプホルダ3に連結される連結保持部20と、この連結保持部20の前方に固定される回路基板15を介して定位置に配置される複数のLED2と、連結保持部20の前面をカバーする透光性カバー16とを備えている。
【0031】
連結保持部20は、ランプホルダ3の中心孔34に挿入される円柱状の挿入部21の一端に、円盤状の鍔部22を連結してなる形状にプラスチックで一体成形している。挿入部21は、ランプホルダ3の中心孔34に挿入できるように、その外形を中心孔34の外形より小さくしている。中心孔34に挿入される挿入部21は、その先端に、連結部11を被せて固定している。鍔部22は、リングプレート31の前方に位置して、リングプレート31から離れた姿勢で配置している。鍔部22は、その前方に回路基板15を固定している。図の鍔部22は、前面から突出する固定リブ23を設けており、この固定リブ23に、回路基板15を貫通する止ネジ24をねじ込んで、回路基板15を定位置に固定している。図9ないし図11のLEDランプは、6枚の長方形の回路基板15Aを六角形の筒状に配置すると共に、これらの回路基板15Aの前方の端面に多角形状または円形の回路基板15Bを配置している。前方に配置される回路基板15Bは、接着または係止して、6枚の回路基板15Aの端面に固定している。
【0032】
複数のLED2は、回路基板15に固定して、ランプ本体10の定位置に配置している。図に示すLEDランプ1は、六角形状に配置される6枚の回路基板15Aにそれぞれ5個ずつのLED2を固定すると共に、前端面に配置される回路基板15Bに6個のLED2を固定して、全体で36個のLEDを固定している。これらのLED2は、各々の回路基板15に、所定の間隔で固定している。ただ、複数の回路基板は、三角形ないし五角形状に配置し、あるいは七角形以上の多角形状に配置することもできる。例えば、複数の回路基板を五角形状に配置する構造は、各回路基板に5個のLEDを固定して、全体で30個のLEDを配置でき、あるいは、複数の回路基板を七角形状に配置する構造は、各回路基板に4個のLEDを固定して、全体で32個のLEDを配置できる。ただ、回路基板に固定されるLEDの個数は、回路基板の数や配置、さらには、LEDの定格電圧や要求される明るさ等に応じて種々に変更できる。LEDランプは、たとえば、6ないし100個のLEDを配置することができる。
【0033】
図12は、LEDランプ1の概略回路図を示している。この図に示すようにLEDランプは、連結部11の外周面と先端とに設けた電極13、14の間に複数のLED2を直列に接続している。このLEDランプ1は、商用電源が供給されて複数のLED2を点灯する。LEDランプ1は、入力される交流電源を整流して直流に変換して出力する整流回路18と、この整流回路18の出力側に接続されて、LED2の電流を一定の電流値に制限する定電流素子19とを備える。
【0034】
整流回路18は、ダイオードブリッジ18Aである。ダイオードブリッジ18Aは、入力される交流電源を直流に変換して、複数のLED2を直列接続してなる直列回路のプラス側とマイナス側に整流された直流を出力する。直列に接続するLED2の個数は、供給される電源電圧とLED2の定格電圧で特定される。たとえば、商用電源としてAC100Vの交流電源を供給するLEDランプは、定格電圧を3VとするLEDを、30個〜40個直列に接続して点灯できる。図のLEDランプ1は36個のLED2を備えているので、全てのLED2を直列に接続している。ただ、複数のLEDは、直列と並列とに接続することもできる。
【0035】
透光性カバー16は、連結保持部20に配置された複数のLED2の発光を外部に透過できる透光性を有する。透光性カバー16は、連結保持部20の前方に固定している複数の回路基板15を内部に収納できる形状にプラスチックやガラスで成形している。図8と図9の透光性カバー16は、円筒部16Aの先端に球面部16Bを設けた形状に成形しており、円筒部16Aの内部に、連結保持部20に固定される複数の回路基板15を収納している。この透光性カバー16は、連結保持部20の前方に固定されて、内部に収納される光源であるLED2の発光を外部に透過させる。透光性カバー16は、接着して、あるいは、ねじ込んで、あるいはまた係止構造で、連結保持部20の鍔部22の外周縁部に固定される。
【0036】
さらに、図の透光性カバー16は、内部の空気を換気する換気口17を開口している。図8と図11に示す透光性カバー16は、円筒部16Aに、円周方向に延びる複数列のスリットを開口して換気口17としている。スリット状の換気口17は、円周方向に等間隔で開口している。さらに、円周方向に設けたスリット状の換気口17を、軸方向に等間隔で開口して、円筒部16Aの外周面に複数列の換気口17を設けている。このように、透光性カバー16に換気口17を有するLEDランプ1は、透光性カバー16の内部の空気を外部に換気して、光源であるLED2の発熱を空気の対流によって有効に放熱できる。
【0037】
さらに、図に示すLEDランプ1は、光源であるLED2の発熱を放熱する放熱器6を備えている。放熱器6は、反射器4の開口部41を閉塞するランプホルダ3のリングプレート31の内側露出面31Aに接触して熱結合される接触部61を有する。図のランプ本体10は、鍔部22の背面であって、リングプレート31と対向する面に放熱器6の接触部61を固定している。この接触部61は、リングプレート31の内側露出面31Aを弾性的に押圧して接触する構造としている。
【0038】
図8ないし図10に示す接触部61は、薄い金属板を、リングプレート31の内側露出面31Aに向かって伸びる蛇腹状に成形したものである。金属板からなる蛇腹61Aは、内形の異なるリング部が互いに交互に積層された構造で、これらのリング部が軸方向に往復運動することで軸方向に弾性変形する。弾性変形する蛇腹61Aは、LEDランプ1をランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結する状態で、ランプ本体10の鍔部22とリングプレート31とに挟着されて、鍔部22の表面とリングプレート31の内側露出面31Aとを互いに押圧する状態で接触して熱結合する。とくに、金属板からなる蛇腹61Aは、広い両端面を広い接触面積で鍔部22と内側露出面31Aとに接触させて優れた熱伝導を実現できる。したがって、LEDランプに内蔵されるLEDの発熱を接触部を介してリングプレートに熱伝導させて、LED2の発熱を効率よく放熱できる。ただ、蛇腹は、プラスチック製とすることもできる。プラスチック製の蛇腹は、熱伝導粉末を添加してなるプラスチックを蛇腹状に成形して、優れた熱伝導性と弾性とを実現できる。
【0039】
さらに、図13に示す接触部61は、リングプレート31の内側露出面31Aを弾性的に押圧するゴム状リング61Bとしている。ゴム状リング61Bである接触部61は、熱伝導ゴムを所定の厚さのリング状に成形したものである。このゴム状リング61Bは、シリコンゴム、または、熱伝導粉末を添加してなるゴム状弾性体である。ゴム状リング61Bである接触部61も、LEDランプ1をランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結する状態で、ランプ本体10の鍔部22とリングプレート31とに挟着されて、鍔部22の表面とリングプレート31の内側露出面31Aとを互いに押圧する状態で接触して熱結合する。ゴム状リング61Bである接触部61は、簡単かつ安価に製造できると共に、両端面を鍔部22と内側露出面31Aとに密着させて優れた熱伝導を実現できる。
【0040】
さらに、以上のLEDランプ1は、放熱器6の接触部61として、鍔部22とリングプレート31との間に、弾性的に接触する蛇腹61Aまたはゴム状リング61Bを配置するので、電球に比べて重いLEDランプ1を、接触部61で支持して優れた振動強度を実現できる特長もある。
【0041】
さらに、図9、図11、及び図13に示すLEDランプ1の放熱器6は、光源であるLED2の発熱をより効率よく接触部61に熱伝導するために、LED2を固定してなる回路基板15の内面に熱伝導プレート62を配置している。熱伝導プレート62は、複数の回路基板15を所定の位置に固定できるように、金属プレートを折曲加工したものである。図のLEDランプ1は、6枚の回路基板15Aを六角形の筒状に配置して、前方の端面に回路基板15Bを固定するので、熱伝導プレート62は、これらの回路基板15の内面に接触して熱結合できる形状に折曲加工している。図の放熱器6は、全ての回路基板15の内面に熱結合状態で熱伝導プレート62を配置するので、図9と図13に示すように、前方の端面に配置される回路基板15Bに整流回路18や定電流素子19等の通電状態で発熱する部材を配置しながら、これらの部材を放熱器6に熱結合状態として、これらの部材の発熱も放熱器6で効果的に放熱できる。
【0042】
さらに、熱伝導プレート62は、リングプレート31側の先端部を鍔部22に貫通させて外部に引き出しており、この引出部62Aに接触部61を熱結合状態に連結している。連結保持部20は、熱伝導プレート62をインサート成形して引出部62Aを鍔部22に貫通させることができる。ただ、連結保持部は、熱伝導プレートの引出部を貫通させるスリットを鍔部に設けて、このスリットに引出部を挿通して鍔部を貫通させることもできる。鍔部22を貫通する引出部62Aは、鍔部22の背面において、鍔部22の表面に沿って折曲されて、接触部61に広い面積で熱結合している。
【0043】
さらに、図14に示すLEDランプは、ランプ本体10が、ランプホルダ3に弾性的に接触してランプ本体10を支持する備えている。図のLEDランプ1は、底部にソケット5を設けてなるランプホルダ3の中心孔34に挿入されるランプ本体10の挿入部21の外周面に弾性支持リング7を固定している。ランプ本体10は、挿入部21の外周面に、弾性支持リング7を案内するガイド溝25を設けており、このガイド溝25に弾性支持リング7を案内して固定している。弾性支持リング7は、ランプホルダ3の中心孔34の内面34Aに弾性的な押圧状態で接触する弾性リングとしている。弾性リングである弾性支持リング7は、LEDランプ1をランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結する状態で、ランプ本体10の挿入部21と中心孔34の内面34Aとの隙間に圧入されて、挿入部21の外周面と中心孔34の内面34Aとに互いに押圧する状態で接触する。このため、LEDランプ1は、弾性支持リング7を介してランプホルダ3に接触して、ランプ本体10を優れた振動強度としながら支持される。図のLEDランプ1は、挿入部21の外周面に1列の弾性支持リング7を設けているが、LEDランプは、複数列の弾性支持リングを配設することもできる。
【0044】
さらに、弾性支持リング7は、ランプ本体10の発熱をランプホルダ3に熱伝導する熱伝導ゴムとすることができる。この弾性支持リングは、たとえば、シリコンゴムとし、あるいは、熱伝導粉末を添加してなるゴム状弾性体とする。これらの弾性支持リングは、優れた弾性としてランプホルダに連結されるランプ本体を安定して支持しながらながら、ランプ本体の発熱をランプホルダに熱伝導させて、効果的に放熱できる特長が実現できる。
【0045】
さらに、LEDランプは、図示しないが、ランプ本体に、前述の放熱器と弾性支持リングの両方を設けることもできる。このLEDランプは、ランプホルダに優れた振動強度で連結しながら、優れた放熱特性を実現できる。
【符号の説明】
【0046】
1…LEDランプ
2…LED
3…ランプホルダ
4…反射器
5…ソケット
6…放熱器
7…弾性支持リング
8…連結具
9…透光性のカバー
10…ランプ本体
11…連結部
12…雄ネジ
13…電極
14…電極
15…回路基板 15A…回路基板
15B…回路基板
16…透光性カバー 16A…円筒部
16B…球面部
17…換気口
18…整流回路 18A…ダイオードブリッジ
19…定電流素子
20…連結保持部
21…挿入部
22…鍔部
23…固定リブ
24…止ネジ
25…ガイド溝
31…リングプレート 31A…内側露出面
32…連結筒部
33…内側筒体
34…中心孔 34A…内面
41…開口部
42…筒状突出部
52…雌ネジ
61…接触部 61A…蛇腹
61B…ゴム状リング
62…熱伝導プレート 62A…引出部
81…ランプ
92…LED
93…アルミプレート
94…支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面で光を反射する反射器(4)の中央部に設けてなる開口部(41)に、脱着自在にセットされるランプホルダ(3)を介して交換自在に連結される光源をLED(2)とする交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプであって、
光源であるLED(2)の発熱を放熱する放熱器(6)を有し、この放熱器(6)が、前記反射器(4)の開口部(41)を閉塞するランプホルダ(3)のリングプレート(31)の内側露出面(31A)に接触して熱結合される接触部(61)を有し、放熱器(6)の熱が接触部(61)を介してランプホルダ(3)に伝導されて、ランプホルダ(3)を介して放熱されるようにしてなることを特徴とする交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項2】
光源のLED(2)の電流を制限する定電流素子(19)を有し、この定電流素子(19)は前記放熱器(6)に熱結合状態にあり、定電流素子(19)の発熱が放熱器(6)で放熱されるようにしてなる請求項1又は2に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項3】
前記放熱器(6)の接触部(61)が、前記リングプレート(31)の内側露出面(31A)に弾性的に押圧されて接触する請求項1又は2に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項4】
前記放熱器(6)の接触部(61)が、リングプレート(31)の内側露出面(31A)に向かって伸びる蛇腹状で、蛇腹(61A)が弾性的に伸びてリングプレート(31)の内側露出面(31A)に接触してなる請求項1ないし3のいずれかに記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項5】
表面で光を反射する反射器(4)の中央部に設けてなる開口部(41)に脱着自在にセットしてなるランプホルダ(3)のソケット(5)にねじ込んで交換自在に連結される光源をLED(2)とする交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプであって、
前記ランプホルダ(3)のソケット(5)にねじ込んで連結される外周に雄ネジ(12)を設けてなる連結部(11)と、この連結部(11)に固定してなるランプ本体(10)とからなり、
前記ランプ本体(10)が、前記ランプホルダ(3)に弾性的に接触してランプ本体(10)を支持する弾性支持リング(7)を有し、前記連結部(11)がランプホルダ(3)のソケット(5)にねじ込んで連結される状態で、前記弾性支持リング(7)がランプホルダ(3)に接触して、ランプ本体(10)を支持するようにしてなる交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項6】
前記弾性支持リング(7)が、底部に前記ソケット(5)を設けてなるランプホルダ(3)の中心孔(34)の内面(34A)に弾性的な押圧状態で接触する弾性リングで、前記ランプ本体(10)がランプホルダ(3)の中心孔(34)に挿入される挿入部(21)の外周面に、弾性支持リング(7)を案内するガイド溝(25)を有し、このガイド溝(25)に前記弾性支持リング(7)を案内してなる請求項5に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項7】
前記弾性支持リング(7)が、ランプ本体(10)の発熱をランプホルダ(3)に熱伝導する熱伝導ゴムである請求項5又は6に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。
【請求項8】
前記弾性支持リング(7)が、シリコンゴム、熱伝導粉末を添加してなるゴム状弾性体のいずれかである請求項7に記載される交通信号機用の電球に代わって使用されるLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−124051(P2011−124051A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279956(P2009−279956)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(391016886)日本フネン株式会社 (30)
【Fターム(参考)】