交通整理支援方法、及び当該方法を実現する装置
【課題】車載装置の搭載有無に関係なく、全ての車両が交差点で出合い頭に衝突しないようにすることを可能とする、信号機に代わる交通整理支援方法を提供すること。
【解決手段】 交差点に向かう車両の、交差点までの距離を計測するとともに、この距離の分だけ当該交差点から他方面に向って進んだ地点の路上近傍に、人間が視認できるように印を打つ。そして、印の現出する領域を適切に取るとともに、この現出をリアルタイムで実施すれば、現出した印を交差点内で踏まないようにするだけで、全てのドライバーが印の現出元の車両と交差点で衝突しないようにできる。さらに、当該の現出を全ての車線から全ての車線に向けて実施されるようにすれば、ドライバー同士の認識に基づいた調整機能の発揮も期待できる。よってこの方法により、交差点を通過する車両は、信号機がなくとも、互いに避け合いながら交差点を通過できるようになる。
【解決手段】 交差点に向かう車両の、交差点までの距離を計測するとともに、この距離の分だけ当該交差点から他方面に向って進んだ地点の路上近傍に、人間が視認できるように印を打つ。そして、印の現出する領域を適切に取るとともに、この現出をリアルタイムで実施すれば、現出した印を交差点内で踏まないようにするだけで、全てのドライバーが印の現出元の車両と交差点で衝突しないようにできる。さらに、当該の現出を全ての車線から全ての車線に向けて実施されるようにすれば、ドライバー同士の認識に基づいた調整機能の発揮も期待できる。よってこの方法により、交差点を通過する車両は、信号機がなくとも、互いに避け合いながら交差点を通過できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機に代わり、交差点における交通整理を実現できる方法に関し、特に、全ての車両が車載設備なしに該交通整理を利用することができる方法に関するとともに、より詳細には、交差点で出会い頭に衝突しないようにするための走行支援を、道路設備によって提供する方法に関する。また、本発明は、このような方法を実現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術の発展は、自動車等の車両に搭載される車載装置の高度化をもたらしている。例えば、有料道路における料金自動収受(いわゆるETC)や、目的地までの経路を誘導するカーナビゲーション装置などが挙げられる。このような潮流は、交差点における衝突防止を課題とした技術の進歩にも共通して見られ、例えば、無線通信機能を有する車載装置を搭載した複数の車両同士で、衝突防止を実現する、車車間通信技術などの進歩が目覚しい(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、車車間通信により、交差点において自車と衝突する可能性のある他車を特定し、ドライバに通報するものである。一方、特許文献2に記載された発明は、衝突回避のための車車間通信と路車間通信(車両の走行情報を道路に設置された受信装置で集約し、解析した上で、車両に対し走行指示を下す通信形態)を適切に切り替え、処理の効率化を図ったものである。
【0004】
また、可視光を用いた車車間通信として、特許文献3がある。特許文献3では、可視光のビームを路上に照射するとともにその照射パターンに変化を加え、これを撮像した他車が車載機によって照射パターンを分析し、通信を実施するものである。
【0005】
一方、交差点における衝突防止を課題とした技術として、路車間通信の技術も発達しており、前記特許文献2以外にも、特許文献4や特許文献5などがある。
【0006】
さらに、車載装置の搭載をもって、衝突の危険を感知する技術として、特許文献6がある。特許文献6に記載された技術では、車載装置によって歩行者の検知を実現しているが、その特徴は当該の歩行者側に何の携帯機器も要求しない点にある。
具体的には、所定の領域内に電磁波を照射してその反射波を分析し、当該領域内に歩行者がいることによる反射パターンの変化を検知した上で、歩行者の存在をドライバーに伝えるものである。
【0007】
しかし、これら車載装置の搭載を前提とした技術では、完全な普及は見込めない。
そして、完全な普及が見込めない以上、交差点における従来の信号機を用いた交通整理方法をなくし、交差点における交通整理の効率を向上させる技術とはなり得ない。
【0008】
そこで、車載装置を前提としない、全ての車両に共通して使用できる、衝突回避の技術を挙げるならば、例えば特許文献7がある。
【0009】
特許文献7は、交差点近傍の道路にセンサを設置することで、交差点に車両が接近してきた際にこれを検知し、交差点で当該路線と交差する方面の路線に向けて当該検知情報を伝達する。なお、ここでの伝達は、道路に設置された表示板経由で伝達するというものである。この技術をもってすれば、全ての車両が、車載装置なしに交差点での衝突の危険を事前に感知できる。しかし、路上に設置された表示板による情報伝達では、衝突の危険が伝達された際は、伝達を受けた車両は、当該の交差点前で徐行もしくは停止を余儀なくされるだろう。これでは、交通量の少ない交差点でしか効率を上げることができない。
【0010】
そこで、交差点において、交差道路の車両同士が避けることにより、衝突を回避する技術を挙げる。しかし、車載装置が不要な技術を前提とするならば、道路を立体交差させるしかないのが現状である(例えば、特許文献8や特許文献9、および特許文献10)。立体交差であれば、立体交差でない場合に比べ、信号機から受ける影響を減ずることができるが、建設費がかかるとともに、建設期間も長期間に及ぶという問題がある。
【特許文献1】 特開2007−323185号公報
【特許文献2】 特開2008−90732号公報
【特許文献3】 特開2003−231450号公報
【特許文献4】 特開2007−272598号公報
【特許文献5】 特開2007−286994号公報
【特許文献6】 特開2002−329297号公報
【特許文献7】 特開2004−252879号公報
【特許文献8】 特開2004−324206号公報
【特許文献9】 特開2005−264581号公報
【特許文献10】 特開2005−256578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の背景技術の通り、交差点での衝突を回避するための技術の多くは、車載装置の搭載を前提としている。つまり、信号機のない交差点で、交差する2車両が衝突の危険に晒されている場合には、2車両が共に衝突回避を実現する車載装置を搭載しているか、あるいは(車載装置の適用技術にも拠るが)、少なくとも片方の車両に衝突回避のための車載装置を搭載している必要がある。しかしこれでは、当該の技術に未対応の車両同士が交差点で出会った際は、従来の信号機による交通整理に頼らざるを得ない。従って、車載装置の設置を前提とした技術では、既存の信号機に代わり、交差点における交通整理を実現することはできない。
【0012】
一方、車載装置を必要としない交通整理の方法もあるにはあるが、交差点手前での停止や徐行の多発するがために低効率であるようなものや、大掛かりな立体交差技術などしかないのが現状である。
【0013】
本発明は、斯かる問題を鑑みてなされたものであり、車載装置なしに、平面交差する交差点をスムーズに通過できるようにする、信号機に代わるか、あるいはかなりの割合で信号機への依存を排除した交通整理支援方法を提供することを課題とする。本発明はまた、このような交通整理支援方法であって、車載装置を搭載する車両に対しては、これを搭載しない車両よりもよりスムーズで、かつより安全な交差点の通過を実現する交通整理支援方法を提供することを課題とする。さらにまた、本発明は、このような交通整理支援方法を実現する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の交通整理支援方法では、ある方面から交差点に向かう車両の、当該交差点までの距離がLであるとき、別の方面から当該交差点に向かう車線上の、交差点からLの地点近傍が、例えば可視光といった、ドライバが視認できるような形態で現出されるようにする。そして、このような現出操作を可能な限り連続的に行なわれるようにするのである。すると、当該の現出が行なわれる車線上を交差点に向かう車両のドライバは、当該の現出部分を避けながら交差点を通過することにより、交差点に信号機がなくても、前記現出元の車両と交差点で衝突することはない。なお、本発明において車両とは、二輪車等も含めて考えるものとする。
【0015】
次に、本発明では、当該の現出先の車線上を交差点に向かう車両についても、交差点までの距離L’を求め、前記現出元の車線上の交差点からL’の距離の地点近傍に可視光等で現出を実施することも提案している。このようにすれば、当該の両車両が、互いの存在を意識し合い、互いに調整し合いながら互いの現出部分を効率的に避け合える。そして、信号機がなくとも、交差点でスムーズに、衝突を回避しつつ通過することができる。
【0016】
そして、このような現出操作を、交差点に向かう全車線から全車線に向けて適切に実施することにより、当該交差点に向かう全車両が、スムーズに、互いを避け合いながら交差点を通過できる。全車両が、交差点でお互いを避け合えるわけだから、信号機が不要になるということである。
【0017】
ところで、車両を運転するドライバーが、当該の現出部分を避ける操作は、現出部分が当該車両と並走しながら交差点に向かうため、いわば同じ車線上の別の車両に追突しないように走行する操作に似ている(ただし、駐車車両が存在する場合は、当然のことながら現出部分は停止している。このような停止した現出部分を視認したドライバーは、当該現出部分とは、交差点において自車両と重なり得ないことを容易に判断できる。つまり、当該の停止した現出部分は、解決すべき課題の解決には影響しないと考えてよい)。また、車両を運転するドライバーが、交差点において当該の現出部分と重ならないように、交差点より手前で当該現出部分を抜いて相対的に前に出る操作は、車両を運転し、並走する別の車両を追い越す操作に似ている(現出部分の追い越しは、車線変更を伴わない。そしてその分、現出部分を抜く方が、実際の追い抜き操作よりも容易である)。なお、ここで追い越された現出部分の現出元の車両から見ると、自分よりも速い現出部分が、自分を追い越されたことを視認できる。つまり、当該の両車両は、互いに一連の追い越し操作を認識できるのである。以上で見てきたことをまとめると、次のようなことが言える。つまり、現出部分と重ならないように交差点を通過する運転操作は、従来から用いられている運転操作によって実現でき、しかも容易である。本発明の交通整理支援方法を用いれば、信号機が無くとも、容易な運転操作で、交差点での高効率な交通整理を実現できる。これが、前述した課題を解決するための手段のポイントである。
【0018】
なお、現出部分の領域は、交差点における衝突が回避されるように決せられることにも注意が必要である。つまり、事前に衝突の回避が可能な範囲に現出が起こるように計算し、本発明を実現する装置を設計・製造することが重要である。領域の決定は、いろいろなケースが考え得るが、一つのやり方として、図15〜図18に示した方法が有効である。解決手段の概要を把握できるように、ここで当該方法を説明する。
【0019】
図15〜図18に示した方法では、現出部分の形状と面積が(つまり、路面方向で、かつ車線の進行方向に対する、現出部分の形状と面積が)、現出元の車両の(路面方向の)形状と面積によって決するとし、現出元の車両から交差点までの距離には依存しないとする。このとき、現出元の領域の、交差点に最も近い地点と最も遠い地点から車線方向に垂直で、かつ路面方向であるような垂線を引き、これらの垂線と現出元の車線とで構成された領域を構成する(以後、この領域を領域αと称し、領域αの境界線である、交差点に近い方の垂線の線分を最前部構成線γ1、交差点から遠い方の垂線の線分を最後部構成線γ2と称する)。続いて、当該領域αを現出元の車線に沿って交差点まで移動させるとともに、現出元の車線と現出先の車線(ここでの「車線」とは、次のような意味で用いられている。すなわち、ここでの「車線」という文言は、交差点に向かう車線が、交差点に至り、これを通過後、任意の一つの車線上を交差点から遠ざかっていくというような、任意に決まる一連の経路全体を指して述べたものである。なお以後は、ここでの「車線」という文言に代えて、「コース」という文言を用いる)が重なる領域(以後、この領域を領域βと称する)に、最前部構成線γ1が最初に重なり始めるまでの領域αの移動距離をL1とする。続いて、引き続き領域αを移動させる。そして、領域αが領域βとの重なりを解消された時点において、そこまでの領域αの移動距離をL2とする(交差点通過後に、現出元と現出先が同一の車線を走行する場合(つまり、交差点通過後にコースが合流するようなケース)には、現出元と現出先のコースの中心線の方向が一致した地点までの移動距離をL2とする。また、このL2を計測した地点において、コースの中心線と直交するとともに路面に平行な直線を引き、これをコースの境界線によって切り出す。この結果得られた線分を、領域βの境界線として採用し、領域βを決定する)。
【0020】
すると、現出先のコース上を交差点に向かう車両が、当該の現出元の車両と交差点で衝突しないための十分条件は、現出元の車両が交差点に至ることにより、最前部構成線γ1が領域βと重なり始めるまでに、現出先のコース上を走行する車両が領域βを通過済となるようにするか、あるいは、現出元の車両が交差点に至った後、最後部構成線γ2が領域βを通過した後に、現出先のコース上を走行する車両が領域βの通過開始することである。
【0021】
この議論を、さらに単純化する。すなわち、領域βを通り、現出先のコースの中心線に直交する直線が、当該コースの境界線によって切り取られた無数の線分を考える。そして、現出先のコース上を交差点に至り、領域βを通過するような状況を考える。このとき、前記の無数の線分のうち、最初に通過する線分を回避最前部制限線δ1とし、最後に通過する線分を回避最後部制限線δ2とするのである。すると、前記の衝突しないための十分条件は、次のように言い換えられる。
すなわち、当該十分条件は、現出元の車両の交差点への接近に伴う領域αの移動により、最前部構成線γ1が領域βに差し掛かる時点では、現出先のコース上の車両は回避最後部制限線δ2を通過しているか、あるいは、領域αの移動に伴い、最後部構成線γ2が領域βを通過した後、現出先のコース上の車両が回避最前部制限線δ1を越えて領域βに至ることである。
【0022】
よって、現出部分は次のように決めることができる。まず、回避最後部制限線δ2を、現出先のコースの中心線に沿って、これと垂直になるように維持しながら、当該コースの進行方向と逆向きにL1だけ移動し、移動後の線分を線分ω2とする。
同様に、回避最前部制限線δ1をL2だけ移動し、移動後の線分を線分ω1とする。
このとき、現出部分は、現出先のコースと線分ω1、および線分ω2で囲まれた領域とするのである(結果的に、このような現出方法により、現出元の車両から交差点(ここでは領域βを指す)までの距離(請求項1における距離(3)に相当)だけ、交差点(ここでは領域βを指す)から現出先のコースを進行方向逆向きに進んだ地点の近傍が現出部分になっていると判断できる)。図18は、この様子を図示したものである。なお、本例において衝突が発生し得る領域は領域βである。少なくとも、回避最後部制限線δ2よりも現出先のコースの進行方向下流側においては現出は意味が無く、実施しないものとしている。
【0023】
また、現出部分をドライバに認識させる方法は様々だが、必ずしも当該の全てを発光等させる必要は無い。例えば現出を行なう部分の境界部分のみを発光させたり、あるいは斑点状に発光させることで現出部分を認識させることも可能である。要は、現出操作をもってして、人間によって前記の現出部分が認識できるようにすれば良いのである。
【0024】
次に、以上では、現出部分の領域には、現出元の車両の速度の影響を加味していなかったが、本発明では、現出元の車両の速度も計算に入れた方法や、これを実現する装置も提案している。これは、速度の考慮により、課題の解決をより効果的に実施できると期待されるからである。具体的には、交差点に向かう現出元の車両が極めて高速な場合、その分単位時間当たりの進行距離が伸びる。このことが意味することは、ドライバーによる一瞬の操作ミス等を許容するために、現出部分の広さを、現出先のコースの方向に拡大するという方法が有効である、ということである。
例えば、交差点内において、現出先の車両が何らかのトラブルに見舞われたとしても、現出元の車両は高速であるがために、危険を察知できてもすぐに停止できず、衝突が起きてしまうと言うケースが考えられる。
【0025】
また同様に、速度だけでなく、現出元の車両の加速度に伴う危険対処も、課題に対する解決手段をより効果的にする。すなわち、現出元の車両の速度が遅い場合は、高い加速度で加速してもさしたる事ではないが、高速走行中の急加速は極めて危険な走行である。そして、この場合も現出先の車両が領域βに至った時点で衝突されてしまう危険性が高まると言える。そこで、本発明が提案する方法およびこれを実現する装置では、まず、現出元の車両の速度と加速度を継続して観測する。そして、これを事前に決められた速度と加速度の単調増加関数に入力して値を得るとともに、これを記憶する。続いて、得られた値の最大値を継続的に監視して、この最大値の大きさに応じて現出部分を拡張させるのである。つまり、最大値が更新された場合には、現出部分を増大させるが、一旦増大した現出部分の広さは、その後当該の単調増加関数の演算結果が減少しても、減じない。このようにすることで、交差点近傍で現出元の車両が高速度でかつ高加速度な危険な走行を一度でもした場合には、現出先のコース上の車両にもそのことが認識できるようにするのである。
【0026】
ところで、本発明では、特に交差点内での現出の仕方に注意する旨の提案を行なっている。交差点内では多くのコースが交差している。よって、それぞれのコース上における現出部分が互いに判別できないような形態の現出を実施してしまうと、次のような問題が発生してしまうのである。例えばあるコース上を走行し、交差点を通過しようとする車両が、交差する他のコース上に現出された現出部分を自コース上の現出部分と混同してしまう恐れがあるのである。よって本発明では、少なくとも交差点内では、各ルート上の現出部分が互いに判別できるようにすることを提案している。
【0027】
当該の現出元のコースが、直進や右折、あるいは左折といった専用車線であったり、あるいは直進や右折、あるいは左折のうちの2つを組み合わせた用途に専用に用いられる車線である場合は(要するに、現出元のコース上の車線に定められた直進や右左折といった用途が何であるかの別を踏まえて)、本発明は次のように課題を解決することを提案する。すなわち、現出元のコース上の交差点に至る前の車線の用途に応じて、取り得る交差点内の経路が決まるので、当該の取り得る経路によってのみ、計測手順(4)および伝送手順(6)、そして現出手順(9)を機能させるのである。
これは、例えば、現出元のコース上の、交差点に至る前の車線が左折専用の場合は、少なくとも、交差点で対向してくる直進専用の車線上の車両とは衝突し得ないわけで、この場合は当該の交差点で対向してくる直進専用の車線上には現出を行なわないのである。このようすることで、無駄な現出を省き、省エネルギーに貢献できるだけでなく、よりスムーズな交通整理が実現できる。また結果として、より効果的に課題を解決することができる。
【0028】
続いて、更に効率的に課題を解決するための手段として、本発明ではまた、現出部分の近傍に車両が存在しない場合には、現出を実施しないようにすることも提案している。
【0029】
また、本発明では、課題をより効果的に解決する方法として、現出元の車両の速度だけでなく、現出部分近傍の、衝突を回避するために当該の現出部分を認識すべき車両の速度をも加味し、少なくともこれら2種類の速度によって、現出部分を決定することも提案している。図26は、当該の方法の実施の形態を説明した図であり、当該発明の本質を物語っている。ただし、図26は実施の形態を例示したものであるから、使用されている関数形などは単純化されており、これゆえ、課題を解決する手段の要素には、このような単純化の要素が含まれないことに注意する。図26を基に説明すると、当該の方法では、ここまでで述べてきた、課題を解決するための手段において規定される、各々の発明での現出部分に、次に述べる加工を施す。まず、図中の車両探索手順により、現出部分の最も進行方向下流側から、現出先のコースに沿って、当該コースの進行方向逆向きに、走行車両を探索する。探索範囲は、予め経験的に決定された所定の範囲とし、見つからなかった場合には、本発明の実施(現出部分の拡張)は行なわない。車両探索手順によって車両が発見された場合には、次に速度計測手順(11)を実施する。なお、ここでの探索で発見された車両が車両(10)である。速度計測手順(11)の実施では、車両(10)と現出元の車両の速度を計測する。そして、計測したこれらの速度は、一旦コンピュータのメモリに格納するとともに、演算手順(12)を実施する。演算手順(12)では、予め経験的に定められた、車両(10)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関して単調増加するような関数に、メモリに格納された2つの速度を代入し、結果を記憶媒体に格納する(図26では、単純化された関数にもって、実施例を説明している)。
続いて、現出部分拡張手段(13)が、当該の格納された最新の演算結果を取り出し、正値の場合に限り、この値に比例する距離の分だけ現出部分を拡張する(比例定数が1となるように演算式の式形を調整しても良い)。なお、当該の現出部分の拡張は、次のように実施される。すなわち、ここまでで述べてきた方法による現出部分を考え、当該現出部分のうち、最も現出されたコースの進行方向下流側に位置する境界線を、ここで求めた拡張距離の分だけ、コースの中心線に沿って、その進行方向の向きにずらすのである。
【0030】
このようにすることで、現出先の車両(10)が遅ければ遅いほど、また現出元の車両が速ければ早いほど、車両(10)から見た現出部分は巨大に見える。そして車両(10)に対し、当該の現出部分を抜くという行為が、危険なものであるという認識を植え付けることができるのである。よって、車両(10)は、自身が遅いほど、また現出部分の速度が速いほど、現出部分を無理に追い越すという行為ことをしなくなる。
そして、当該方法を用いることにより安全性が増し、より効果的に課題を解決することが可能となる。
【0031】
また、本発明では、現出部分の速度を、平準化する方法も示している。現出部分の速度が平準化されれば、複数の現出部分毎に速度がバラバラである場合よりも、これを避けることが容易となる(現出部分は、交差点に集まる色々な方面からの車両の存在によってもたらされる(「方面」という文言は、次のように使用する。例えば十字路であれば4つの方面が存在し、T字路では3方面存在するとする。更に言えば、東西南北から道路が至る十字路があった場合は、例えば北から十字路に至る全車線は同じ方面であるとともに、東や南、および西のいずれから十字路に至る車線とも、その方面を異にする)。同じ方面から交差点に向かってくる複数の車両であれば、一般に、それぞれの速度にはあまりバラつきが無い。しかし、いろいろな方面から車両が集まってきている場合には、当然の如く速度のバラつきが予想される。特に、それぞれの方面毎に制限速度が違っていた場合などは、当然のことながら、このような傾向はさらに強いものとなる。本発明は、このような状況に対応し、解決する手段を示したものである)。これゆえ、より効果的な課題の解決手段を提供することができるのである。当該の平準化は、次のように実施される。まず、現出元の車両の速度と交差点までの距離(3)をリアルタイムに計測する。すると、距離(3)を計測された速度で割ることにより、その時点での速度における、交差点までの所要時間が求まる。この時間を、仮にT_Xと置く。次に、現出先での現出開始の地点(現出が実施可能な、最も交差点から遠い場所)から交差点までの距離を、平準化したい速度で割る。すると、現出先のコース上を、平準化したい速度で交差点に向かった場合における、交差点までの所要時間が求まる(これをT_0と称する)。今、現出元の車両が交差点から遠く、交差点までの距離が長い段階では、その時点の現出元の車両の速度では、交差点までの所要時間T_Xは長く、T_0よりも大きいだろう。しかし、現出元の車両が交差点に接近するに従い、T_Xは小さくなってくる。つまり、交差点まで辿り着くための所要時間が少なくなるということである。そして、やがてT_X=T_0となる。これが成立するとき、次のような状況が成立していることになる。つまり、現出元の車両が、その時点の速度のまま交差点まで向かった場合の所要時間が、現出先の現出開始地点から、平準化したい速度を保ちながら交差点に向けて走行した場合の、交差点までの所要時間と同じということである。よって、当該の発明が提案する方法は、この時点をもって、現出先の現出開始地点に現出を実施することとしている(請求項7記載の発明の場合は、当該の瞬間における現出開始地点を、現出対象の部分として特定する)。
【0032】
さらに、当該の現出は、次のようにして継続的に実行される。すなわち、現出開始地点での現出後も、リアルタイムで次のような処理が繰り返される。まず、現出元の車両の交差点までの距離と速度を計測し、これを基に距離を速度で割り、各瞬間における現出元車両の交差点までの所要時間を求めるのである。つまり、現出元の車両は、ここで求めた所要時間の後に、交差点に達するということである。次に、希望した前記の平準化速度で、求めた所要時間だけ現出先のコースを進んだ場合に、丁度交差点に達するような位置を求める。そして、求めた現出先のコース上の地点に、現出を実施する。続いて、ここまでの、一連の処理を繰り返す。この方法により、現出開始後、現出元の車両が速度をできるだけ一定に保って走行すれば、現出部分の速度は、希望した平準化速度で移動することとなる。なお、ここでの議論では、所定の範囲(8)については言及していない。これは、ここでの議論が現出部分が全体としてどの地点に位置するべきかを論じているからである。
【0033】
本発明ではまた、交差点の性質により決っする、車線間の優先関係を、現出部分によって明示する方法も提案している。例えば、優先度の高い車線上の車両の存在に伴う現出が、これよりも優先度の低い車線上に現出されるときなどは、現出部分の外周部分を赤く発光させるなどし、現出元の車両の方が優先度が高いことを明示する。優先度を適切に設定することで、よりスムーズな交通整理の実現が期待でき、課題の解決をより効果的に実施できる。
【0034】
一方、本発明では、信号機をなくす手段ではないが、信号機への依存度を低減し、より効率的な交通整理を実現する方法も提案している。具体的には、本発明では、以上で述べてきた本発明が提案する交通整理支援方法と、従来の信号機による交通整理支援方法のメリットの部分だけを組み合わせた、折衷案が提示されている。当該提示を説明する前に、ここまでで述べてきた本発明の問題点を説明する。すなわち、本発明では、現出部分の面積は、任意の2つのコースの重なり合う部分の面積(2つのコースが交差点を通過後に同一の車線を走行する場合は、これらのコースが重なり合った段階でコースの中心線に直交する直線を引き、これをもって境界線とし、コースの重なり合う部分の面積を確定させる)に伴って増大する。問題は、この増大の程度であり、特に右折を伴うコースでは、交差点を斜めに横切るような経路を採ることから、結果として、現出部分の面積が異常に大きくなってしまう傾向があるのである(左折の場合は、交差点内の通過部分が少なくて済むため、むしろ現出部分の面積が少なくて済む傾向がある)。このような問題から、本発明では、少なくとも右折専用の車線がある場合には、信号機を設置し、右折車線からの右折であれば、交差点内のどの方面からでも可能とするようなパターンと、直進および左折車線からの交差点進入であれば、どの方面からでも可能とするようなパターンの2種類のシチュエーションを繰り返しす方法を提案している。なお、当該のパターンでは、左折は直進と同じにしているが、仮に左折専用の車線がある場合には、前記のパターンを、直進のみ可能な場合と右左折のみ可能な場合、というようにしても良い。また、当該の発明は、十字路以外のT字路、および五叉路以上の交差点でも利用可能である。
【発明の効果】
【0035】
信号機による交通整理は、平均的な交通量のパラメータに基いた交通整理を行なうため、当該の平均的な交通量からの「ずれ」による非効率的な交通整理操作を多く伴う。例えば、交通量が極めて少ない方面の信号が、必要以上に長く青信号となるケースがある。本発明による交通整理方法であれば、個々の車両が、最も効率的な交通整理を能動的に実施するため、当該の「ずれ」による交通整理の効率低下は皆無である。結果、当該交差点の通過に要する平均の所要時間を減ずることができる。またそれだけでなく、極めて高効率な交通整理が実現し、渋滞が生じにくく、地球環境とってもプラスである。
【0036】
一方、信号機による交通整理(夜間に多く見られる点滅信号を含む)は、車両に対し、最もエネルギー効率を悪化させる、停止(速度を減じて0にする)と発信(速度を0から増加させる)を強いる。本発明による交通整理支援方法であれば、交差点に近付く過程で、交差点で衝突の危険性がある交差車両同士が、事前に衝突回避のために走行状態を調整し、調整後は、互いにその走行速度を大きく変化させることなく、交差点を通過することとなる。よって、その燃費を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
基本的に、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、請求項1記載の発明の実施の形態を説明するものであり、特に、発明の原理を示したものである。図1では、車線D上を車両Aが交差点に向かい、通過後、車線F上を交差点から遠ざかっていく。同様に、車両Bと車両Cも、車線E上を交差点に向かい、通過後に車線G上を遠ざかっていく。そしてここでは、車両Aが請求項1記載の車両(2)に相当するものとしており、当該車両Aから交差点までの距離Lを計測手順(4)が計測し、伝送手順(6)によって、車線(5)に相当する車線Eに送り、現出手順(9)によって現出させている。なお、ここでの距離Lは請求項1記載の距離(3)に相当している。図1より分かるように、車両Bや車両Cは、交差点において現出部分をにいなければ、衝突することは無い。
【0038】
しかし、図1は、車両A、車両B、車両Cの全てが交差点を直進で通過することを前提としている。実際には、交差点を通過する車両は、直進することもあれば、左折や右折をすることもある。そして、ここでも右左折を考慮に入れ手考える。しかし、ここでの考慮は、若干状況を複雑にする。具体的には、計測手順(4)が複雑になり、交差点からの距離を図る際の基準(図1における点Hの場所)が状況によって変化する。図2は、このような点Hの変化に注目して説明をしたものである。
【0039】
図2の説明に先立ち、まず点Hの決まり方を説明する。現出元である車両Aは、交差点で直進することもあれば、左折や右折をすることもある。そのようないろいろな進路(以降、「コース」もしくは「経路」と称する。なお、コースと経路は同じ意味を持つものとして扱う)が考えられるが、そのうちの任意の1つのコースの中心線を、中心線Jとする。そして、当該コースは、車線D上を交差点に向かい、通過後に車線D’上を交差点から遠ざかっていくものとする。同様に、車線E上を交差点に向かう車両Bの任意の1つのコースの中心線を、中心線Kとし、車両Bは交差点通過後に車線E’上を、交差点から遠ざかっていくものとする。このとき、点Hは中心線Jと中心線Kの交点として決まる。
【0040】
図2では、計測手順(4)は、車両Aから点Hまでの距離を中心線Jに沿って計測し、伝送手順(6)がこの情報を車線Eに伝え、現出手順(9)が中心線Kに沿って距離Lだけ点Hから車線Eに向かった地点の近傍に現出を実施していることが理解される。
【0041】
図3も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明している。図2でも説明したように、中心線Jと中心線Kは、一般に多く存在する。後の実施例でも述べるように、右左折および直進専用の車線などがある場合には、確かに、交差点手前で車両が走行車線によって直進や右左折の意思表示をでき、当該の中心線の本数は、多少は減る。しかし、このような直進や右左折専用の車線が用意されていない場合も多く、この場合、車両は一般的には方向指示器で意思表明をするしかない。そして、当該の方向指示器による意思表示をセンサーで読み取れないとするならば、結局は、車両が交差点に至るまで直進か右左折かの、どのアクションを採るかは分からない。
このため、前記の中心線の種類も、その分多くなる(なお、現状の技術水準を考慮するならば、方向指示器の表示をセンサーで読み取る技術の普及は難しいと言える。
ゆえに、できるだけ従来の技術水準を逸脱しないようにしながら課題を解決するため、基本的には方向指示器の内容をセンサーで読み取れないとの前提を置いて、実施の形態を紹介する)。図3は、前記の中心線の本数が多いような状況を図示したものであり、中心線Jを実線で、中心線Kを破線で示している。そして、それぞれの中心線毎に点Hが決まるので(本例の場合は車両Bが、交差点を左折する場合は車両Aとの衝突はあり得ない。このため、車両Bが左折する場合は点Hはない)、これをそれぞれ▲1▼〜▲5▼で番号付けする。そして、それぞれの点H毎に、現出手順(9)によって現出が実施される。それが、図中の▲1▼〜▲5▼で番号付けされた現出部分である。車両Bは、交差点にて当該の現出部分さえ踏まなければ、車両Aがどのコースを採ろうとも、衝突することは無い。なお説明の都合上、ここでは現出手順(9)は、それぞれの点H毎に個別に現出を実施するように描いている。だが実際上は、それぞれの点H毎の現出情報を現出手順(9)によって取りまとめ、当該のとりまとめが完了した後、一度に現出を行なってしまうことになるものと思われる。そして、この方が効率的である。
【0042】
次に、図4の説明を行なう。図4も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。図3では、現出先が、車両Aが走行する車線Dに対し、右の方から交差点に至る車線であった。図4では、現出先の車線が、車線Dに対し、交差点で対向してくるような場合を示したものでる。図4より分かるように、点Hは4つ想定され、その現出部分は図の通りとなっている。
【0043】
図5も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。図4では、現出先が、車両Aが走行する車線Dに対し、対向する方向から交差点に至る場合であった。図5では、現出先の車線が、車線Dに対し、左方向から交差点に至るような場合である。この場合は、図5より分かるように、点Hは5つ想定され、その現出部分は図の通りである。
【0044】
ここまでで、車線Dから交差点に至る車両Aに関する、本発明の適用を見てきた。そして、当該の現出により、車線Dとは違う方面から交差点に向かう車両Bは、交差点で車両Aを避けることが可能である。しかし、当該手順によって、既に課題は解決されるのだが、更に効率良く課題を解決するための請求項1記載の発明の実施形態として、全車線(コース)上の車両の存在に基づいた現出を、全コースに対して行なうというものである。つまり、ここまでで見てきた車両Bの存在に伴う現出も、車線Dに対して実施するのである。図6はこれを説明したものである。
【0045】
図6は、車線Dと車線Eとで、それぞれ車両Bと車両Aの存在に伴なう現出が実施された場合である。この実施の形態のポイントは、車両Aは車両Bの存在に伴う現出部分を避け、車両Bは車両Aの存在に伴う現出部分を避けることで、更に効率良く交差点での衝突回避が実施できるところにある。また、このようにすることで、当該2車両のどちらか一方が、交差点における衝突回避のための現出部分の回避を放棄する走行を行なったとしても、他方の車両は現出部分を通じて危険を把握できるので、充分に衝突の回避が可能である。
【0046】
図7は、図6で説明した内容を、更に発展させたものであり、全車線(コース)上の車両の存在に伴う現出を、全車線(コース)上に対して実施したものである。これにより、もはや当該交差点では信号機による交通整理は不要であり、車両は交差点内で現出部分を走行しないようにするだけで良い。なお、図7中のA〜F、H、およびJは、それぞれ車両を表わしている。
【0047】
図8は、請求項1記載の発明の実施の形態であり、これまでの十字路の実施形態ではなく、T字路の実施形態を示したものである。ここまでで述べてきたことは、T字路にも同様に適用できる。なお、図中のA〜F、H、およびJはそれぞれ車両を表わしている。そして、T字路だけでなく、十字路を越える五叉路以上の交差点でも、当該発明が同様に実施できる。
【0048】
続いて、図9であるが、これも請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。特に、当図では、計測手順(4)と現出手順(9)の実施の形態を示している。
まず、赤外線センサーによって、車両の位置情報が取得されるとともに、これによって計測手順(4)が距離(3)を求める。続いて、当該の距離情報が、伝送手順(6)によって現出を実施するコースに送られる。現出を実施するコースでは、図にあるように、車線(コース)に沿うように配された複数の溝状の現出面(例えば、LEDといった発光体の利用が考えられる)にて現出が実施される。なお、現出面を溝状に配した理由は、路面全体に現出をするよりも電力消費の低減が期待でき、また上部に車両が走行しても重量崩壊しないためである。しかし、これらの問題を気にしなかったり、あるいはそもそも問題にならないのであれば、溝状にする必要性は無い。いずれにしても、計測手順(4)や伝送手順(6)、および現出手順(9)には、数多くの実施の形態が考えられるのである。しかしながら、赤外線センサーを用いた方法であれば、技術的に2輪車の感知も容易であるとともに、複雑な交差点内部での本発明の実施にも適している。少なくともこの点はメリットである。
【0049】
一方、他の方法の例を挙げるならば、路面自体に発光体を埋め込むのではなく、上部から照明を当てて現出する方法や、路面に蛍光物を配し、現出すべきタイミングにおいて、上部から紫外光を照射するという方法もある(いわゆるブラックライトによる作用であり、照射部分が発光し、これによって現出が認識されることになる。当該の現出方法に近い方法の詳細説明を後述している)。またさらに、現出方法として、図10に示す方法も考えられる。
【0050】
図10の現出方法は、現出面(図では溝状)に筒状の磁石を取り付けた比較的短い紐を配し、現出のタイミングで上方向に向けて送風すると共に電磁石で紐に取り付けた磁石を反発させ、紐を路面に対して垂直に立たせる。一方、現出しないタイミングでは、現出する時とは逆の極に電磁石を磁化させる。これによって現出しようというものである。
【0051】
一方、上記の赤外線センサー等による車両の位置情報取得や現出は、路面だけでなく、空間や側面(例えば車線の脇に配した壁など)、上面(例えば車線上に設置された屋根の部分や、トンネルの天井)を用いて実施するなどしてもよい。
【0052】
続いて、他の実施形態として、請求項1の計測手順(4)と伝送手順(6)、および現出手順(9)を、単純な方法で実施する形態を示す。図12と図13、および図14は、ここで述べる方法の計測手順(4)と伝送手順(6)を実施する形態である。まず図12は、現出元の車線(コース)を、その方向と垂直で、かつ水平な方向から見たものである。ポイントは、路面上部から紫外光を照射し、これを路面に埋め込まれた鏡で反射するとともに、路面上部で反射波を確保している点である。車両が存在すると、反射波の確保ができないことになる(なお、路面から直接発光させて、上部でこれを確保してもよい。あるいはまた、上部から発光し、路面で反射させずに、路面で集光してもよい。なお、ここで述べたいずれの形態も、この後の議論の本質への影響はない)。
【0053】
図13は、現出元の車線(コース)を、車線(コース)の方向から見たものである。紫外光の発光源と鏡、および受光部のセットを複数配することにより、路面の広い部分をカバーしている。
【0054】
図14は、計測手順(4)と伝送手順(6)、および現出手順(9)の実施のポイントを示した図である。まず、現出元の車線(コース)では、紫外光の受光部を図のように斜めに配した鏡面とし、この鏡面での紫外光の反射位置そのものを、車両の位置情報とする。そして、この位置情報を保存するように当該の反射波をさらに反射し、現出先の車線まで伝送する。なお、複数の車線に向けて伝送する場合は、ハーフミラーを使用し、当該の紫外光を分割する。現出先の車線(コース)では、図のように、再度、斜めに配した路面上部の鏡面に反射させ、これを路面上の蛍光塗料を塗った蛍光面に入射させ、発光させる。このようにして、現出先の車線(コース)上で、発光が無い部分が現出部分であることを認識することができる。この方法であれば、光の反射と蛍光物質の紫外光に対する発光作用のみを利用している為、単純であり、それゆえドライバーが安心して当該方法を利用できるというメリットがある。しかし、この方法では、交差点内部での計測手順(4)、伝送手順(6)、および現出手順(9)の実施が複雑となる。それぞれのコース毎に、これに沿った溝状の装置で発明を実施するなどの工夫が必要だからである。そのため、一つのやり方としては、交差点に至るまでは、ここで述べた実施方法を採用し、交差点内部では、赤外線センサーを用いて発明を実施してもよい。
【0055】
続いて、請求項2記載の発明の実施の形態を説明する。請求項2記載の発明では、現出部分の、現出先の車線(コース)の方向に対する形状と面積が、現出元の車両の移動によって変化しないことを規定している。これを踏まえ、交差点にて衝突しないようにするために最適な現出部分の領域を求め、本発明が実施できるような形態を、以下に示す。
【0056】
最適な現出部分を求めるため、初めに図15と図16を説明する。図15は、現出元の車両が交差点に向かって接近している状況である。ここで「コース」と言う文言をもって、交差点に至り、交差点を通過し、交差点から離れていく、一連の経路の全てをつなぎ合わせた車路を表現する(以降では、経路もコースと同義に扱う)。図15は、現出元と現出先のコースが、交差点通過後に合流しない場合を示した図である。そして、現出元のコースと現出先のコースの重なる部分を、領域βとして表わす。また、領域βから現出先のコースの中心線に直交する直線がコースによって切り取られた線分のうち、コースの進行方向に関して最も下流側に位置するものを、回避最後部制限線δ2と称する。一方同様に、最も上流側に位置するものを回避最前部制限線δ1と称する。
【0057】
引き続き図15についてであるが、現出元の車両を通り、コースの中心線に直交するとともに路面に平行な無数の直線のうち、最も当該軍両の最前部側に位置するものを考え、これがコースの境界線によって切り取られた部分の線分を最前部構成線γ1と称する。一方、同様に当該車両の最後部側を通る線分を最後部構成線γ2と称する。そして、当該の車線(コース)と最前部構成線γ1、および最後部構成線γ2で囲まれた領域を、領域αと称する。
【0058】
このとき、交差点において車両同士が衝突しないための十分条件は、現出先のコースを走行する車両が、交差点に至った時点で領域αを踏んでいないことである。この領域αの導入のメリットは、現出元の車両の形状をコースに沿った長方形のような形状(コースがカーブしているときはコース方向の辺もカーブするため、厳密には長方形ではないが)に均一化でき、本発明にかかる一連の方法を単純化できることである。一方、領域α導入の別のメリットには、現出元の車両が2輪車の場合にも、コースに垂直でかつ路面の平行な方向をコース幅いっぱいまで領域αを取るので、現出元が4輪車である場合同様に現出が実施できる点である。
【0059】
次に、図16の説明である。図16も、図15と同様、現出元の車両が交差点に向かって接近している状況であるが、図16では、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同じ車線(コース)上を走行する場合を示している。この場合も、領域αやこれを構成する最前部構成線γ1、最後部構成線γ2は図15と同様に決定されるが、領域βの決定には、次の点に注意する。すなわち、回避最後部制限線δ2の決め方であるが、両コースの中心線の方向が交差点通過後に一致した地点に、当該中心線に垂直で、路面に平行な直線を引き、この直線がコース境界によって切り出された線分をもって、回避最後部制限線δ2とするのである。図16中の領域βと回避最後部制限線δ2、および回避最前部制限線δ1は、前述の注意点を反映したものである。
【0060】
図17から図18にかけての説明である。図15と図16で、現出元のコースと現出先のコースの交差点通過後の車線が一致しない場合と一致する場合での、領域αや領域βの決まり方を述べたが、これらの領域が決まってしまえば、両コースの交差点通過後の車線が一致するか否かに関わらず、本実施の形態では、現出部分の決め方は一意であり、図17と図18はこの決定方法を説明している。
【0061】
図17では、まず上部の図で、現出元の車両が領域βに差し掛かった時点、具体的には、最前部構成線γ1が領域βに差し掛かった瞬間を表わしている。続いて、下部の図で、現出元の車両が領域βを通過した時点、具体的には、領域β上の全ての点から現出元のコースの中心線に下ろした垂線の足と当該中心線との交点のうち、最も現出元のコースの進行方向下流側に位置する地点を、最後部構成線γ2が通過する瞬間を表わしている。
そして、上部の図より示されることは、交差点において現出元の車両と衝突しないための十分条件が、上部の図の瞬間において、現出先のコースを走行する車両が回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの進行方向下流側に位置することである。
また下部の図より示されることは、交差点において現出元の車両と衝突しないための十分条件が、下部の図の瞬間において、現出先のコースを走行する車両が回避最前部制限線δ1よりも現出先コースの進行方向上流側に位置することである。
【0062】
図18は、図17で求めた十分条件を満たし、かつ請求項2記載の発明の実施要件を満たすような現出の実施を説明したものである。まず、図17の説明にて取り上げた前半の十分条件、すなわち、交差点にて現出先のコースを走行する車両が回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの進行方向下流側に位置するように仕向ける現出を考える。
これは、最前部構成線γ1を交差点に向けて現出元コースの中心線に沿って移動させ、領域βに重なり始めるまでの移動距離をL1とするならば、現出先のコース上の車両に対して、回避最後部制限線δ2を現出先コースの進行方向逆向きにL1だけ当該コースの中心線に沿って移動して得られた線分(以後、線分ω2と称する)よりも、コースの下流側を走行するように仕向ける現出を行なえばよい。
次に、図17の説明にて取り上げた後半の十分条件、すなわち交差点にて、現出先のコースを走行する車両が回避最前部制限線δ1よりも現出先コースの進行方向上流側に位置するように仕向ける現出を考える。
これは、最後部構成線γ2を交差点に向けて現出元コースの中心線に沿って移動させ、領域βを通過し終わるまでの移動距離をL2とするならば、現出先のコース上の車両に対して、回避最前部制限線δ1を現出先コースの進行方向逆向きにL2だけ当該コースの中心線に沿って移動して得られた線分(以後、線分ω1と称する)よりも、コースの上流側を走行するように仕向ける現出を行なえばよい。
よって、ここで求めた現出の要件を考慮するならば、図18にあるように、線分ω1と線分ω2、および現出先車線で囲まれた領域を現出部分にすればよい。
【0063】
なお、本実施例では、現出部分は現出元の車両の移動に伴って交差点に接近するが、回避最後部制限線δ2よりも、現出先コースの下流側では現出は実施ない。これは、回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの下流側では、現出元の車両と衝突することがあり得ないからである(厳密には、現出部分が領域βに到達する時点で現出元の車両も領域βに至るから、現出部分が領域βに差し掛かった段階で現出をやめてしまうとしても良い)。
【0064】
また、本実施例のように現出部分を決定しつつも、安全のために、現出部分を現出先コースの方向に更に広めに確保するように実施することも有効である。
【0065】
ここからは、請求項3記載の発明の最良の実施の形態を説明する。この説明のため、図19を用いる。図19は、図18の実施の形態に、請求項3記載の発明の要素を組み込んだものである。本実施の形態では、現出元の車両の速度に伴って増大するその停止距離(急ブレーキを踏んでから停止するまでの距離)に比例した分の距離だけ、現出部分を現出先のコースの進行方向に増大させている。本実施例では、線分ω2の部分から増大させていること、および増大部分(図中の「現出部分(追加分)」と記された領域)の現出のさせ方と、元々の現出部分(図18で説明した現出部分)の現出のさせ方を変えている点がポイントである。
【0066】
まず、線分ω2から現出先のコースの進行方向に増大させている理由は、現出元の車両の速度の増加に伴い、現出先の車両が領域βで衝突されないようにするためである。更に言うならば、現出元の車両の速度に比例して現出部分を増やす理由は、現出元の車両の速度に比例して高まる危険を回避するところにあり、当該の現出元の車両の速度に比例して高まる危険とは、現出元の車両が高速であるがために緊急時の停止距離が伸びてしまうことに起因する危険であり、当該の緊急時の停止距離が伸びてしまうことに起因する危険とは、現出先のコースを走行する車両が、何らかの理由で領域βに留まってしまったときに、現出元の車両がその停止距離の長さから、止まりきれずに衝突してしまうと言う危険である。このため、本実施の形態では、現出先のコースを走行する車両が領域βで衝突されるというシチュエーションに対応する目的で、線分ω2から現出元の車両の停止距離に比例した分だけ現出部分を増大させている。
【0067】
また、速度に依存して増大する現出部分と、速度に依存しない現出部分の相違を認識できるように現出する理由は、次のようになる。すなわち、速度に依存する現出部分に依存する現出部分は、交差点内でこれを踏んでいても通常は衝突しないが、速度に依存しない現出部分は、これを踏んだ状態で領域βに進入すると衝突してしまうためである。
また、次のような事情もある。つまり、図19が図18の例を用いたものであることから来る事情であって、現出元の車両の速度(これを、ここでは速度Vと称する)に依存して現出先のコース上での現出部分を拡大する一方で、現出元のコース上に対する、現出先のコース上を走行する車両に起因する現出の現出部分が、Vに依存しないのである。
これ故に、現出先のコース上を走行する車両(これをここでは車両Bと称する)が、速度に依存して追加された現出部分を踏んでいるにもかかわらず、現出元の車両は車両Bによる現出部分を踏んでいない、と言う状況が発生し得るのである(この状況を、以後、状況Sと称する)。そのため、踏んでいても通常は衝突の起こらない追加の現出部分は現出先に対する警告表示とする一方で、元々の現出部分は、これを踏んだ状態で領域βに至ると衝突してしまうことから危険表示とする、という区別が必要なのである。また、このようにすることで、状況Sが発生するとしても、より効果的に課題が解決されると言える。
【0068】
なお、請求項3記載の発明は、無線の速度探知機の設置等による速度観測の実施により、実現できる。
【0069】
図20と図21は、請求項4記載の発明の実施の形態の例を説明したものである。
なお、本例でも、請求項3の説明のときと同様、図18の状況を基準として用いる。
つまり、図20にも示されるように、まずは図18による方法で現出を行ない、同時に、請求項4記載の発明による追加の現出部分を求め、元々の現出部分に追加する方法である。なお、やはり前記の状況Sが発生することから、元々の現出部分と追加の現出部分とで、これらの相違を認識できるように現出するものとする。
【0070】
そしてここでは、請求項4記載の発明の実施の形態として、現出元の車両の速度をV、加速度をUとし、交差点近傍でこれを継続的に観測すると共に、UとVの単調増加関数F(U,V)=(U÷U0)+(V÷V0)を採用して(U0とV0は、経験等に基いて予め決められた加速度および速度の定数値。これにより、関数Fを無次元化する)、発明を実施する。つまり、得られたU、Vを基に関数Fを継続的に演算し、この最大値を監視する。そして、最大値が発生したら、現出部分を増大させる。図21は、関数Fの推移を例示したものである。図21より、観測開始(領域βから150m地点)から140m地点まではFは最大値を更新し続けており、その間は現出部分の増大が続く。その後、Fは一旦小さくなるが、現出部分の増加分は維持される。そして、Fは再び増加に転じ、85m地点で再度最大値を更新する。この最大値更新は75m地点まで続き、その間は現出部分が増加し続ける。そして、一旦増大した現出部分はそのまま維持され、領域βに至る。
【0071】
なお、ここでの実施の形態でも、図19の実施の形態同様、現出部分の増加は、線分ω2から現出先のコースの進行方向に向かって広がっていく。このようにする理由は、次のようになる。すなわち、現出元の車両に、高速度時における高加速は、現出先のコースを領域βに向かって走行する車両にとって、衝突される危険性が高まる走行行為である。このような走行行為を、現出先のコース上を走行する車両に認識させるため、現出部分を追加するのである。加速度および速度の計測は、加速度センサーおよび速度センサーによって実現する。また、ここでも同様に前記の状況Sが発生するので、拡張した部分の現出方法と、元々の現出部分を区別できるようにする。
【0072】
請求項5記載の発明の実施の形態を説明する。請求項5記載の発明においては、交差点内で各方面から交差点に至った各コース上の現出部分を、少なくとも交差点上で判別できるようにすることを述べている。まず、当該発明の意義を、図22をもって説明する。図22では、車両A、車両B、および車両Cが交差点に向かい、それぞれ現出が実施されている。仮にそれぞれの現出部分が全く同じ形態であったならば、車線E上の車両Bは、車線D上に現出された車両Cの存在による現出部分が、自車両(車両B)に向けられた現出部分であると勘違いしてしまう恐れがある。そして同様に、車両Aと車両Bによる車線M上への現出部分も、車両Aが自分に向けられた現出であると勘違いしてしまう恐れがあるのである。
【0073】
そこで、図23に示す実施の形態を説明する。図23では、現出部分を常にコースに沿った溝状の発光部によって構成していることが特徴であり、これにより、それぞれのコースを走行する車両は、自身が認識すべき現出部分を判別できる。本実施の形態では更に、コースによって発光の色を青、赤、黄色というように変化させている(ここでは青、赤、および黄色を用いているが、他の色を用いても良い)。
これによっても、当該の判別を容易にすることができる。なお、交差点内では多くのコースが交じり合い、これに伴ってそれぞれのコースに沿って配された発光部を組み込んだ溝も、交じり合う。この際、溝の交点部分は、平均交通量の多いコースの溝として発光させても良いし、節として発光させないでも良い。
【0074】
次に、図24を説明する。図24は、請求項6記載の発明の実施の形態を示したものである。図中、A〜C、P、Q、R、Tは交差点に向かう車両を表わしている。
図にある交差点内の破線は、交差点内におけるコースの経路を示したものである。
図より分かるように、本例では、当該交差点で右折した車両は、交差点通過後は必ず最もセンターライン寄りの車線を走行するものとしている。
【0075】
まず、車両Aの存在に伴う現出が実施されるコースを求める。車両Aは左折専用の車線上を走行しているので、交差点内で衝突し得るコースは車線12Lを含むコースのみである。よって、車両Aの現出は、車線12Lを含むコース上で実施される。
次に、車両Bの存在に伴う現出が実施されるコースを求める。車両Bは直進専用の車線を交差点に向かうため、このようなコースと交点を持つ他のコースを全て求めれば良い。そして、このような車両Bの採るコースと交点を持つコースは、車線8L,9L,10L,11L,12L,13Lを含むコースである。よって、これらの車線を含むコース上において、車両Bの現出が行なわれる。車両Cの現出も同様である。車両Cの現出は、車線8L,9L,10L,11L,12L,13L,14Lを含むコース上にて実施される。そして、車両Pの現出は、車線6L,7L,10L,11L,12L,13L,14Lを含むコース上にて実施される。
【0076】
一方、車両Qの現出については注意が必要である。車両Qは直進もしくは左折が可能な車線を走行する。従って、これらのそれぞれの場合について、交差点内で交差する他のコースを洗い出すとともに、最終的にこれらの交差するコースの全てに対して現出を実施する。まず、車両Qが交差点に至り、左折するコースの場合は、これに交わる他のコースは車線2Lから来るコースのみである。従って、車線2Lから至るコース上で、車両Qの現出が実施される。次に、車両Qが交差点で直進する場合のコースを考える。この場合は車線2L,3L,5L,6L,7L,8L,14Lから至るコースが交わる。従って、これらの車線を含むコース上でも車両Qの存在に伴う現出が実施される(車両Qが左折する場合、直進する場合のいずれにおいても、車線2Lからのコースは交わっている。この場合は、本例においては、車両Qのそれぞれのコース毎に現出部分を決定し、その結果をマージして車線2L上に現出するものとする)。
【0077】
続いて、車両Rおよび車両Tについても交わるコースから現出先を求める。車両Rの現出は、車線2L,3L,4L,6L,7L,8L,14Lを含むコースで実施され、車両Tの現出は、車線2L,3L,4L,7L,8L,12L,13Lを含むコースで実施される。結果は図24の通りであり、車線1Lを含むコース上への現出はない。
【0078】
図25を説明する。図25は、請求項7記載の発明を実施するための形態例を示したものである。なお図25では、図24において扱った交差点をそのまま流用して用いており、図中のA,P,T,W,Xは車両を表わしている。また本図では、説明の都合から、車線11Lから交差点に向かう車両Tによる現出のみが示されている。
【0079】
図25では、車両Tの存在に伴い、車線2L,3L,4L,7L,8L,12L,13Lを含むコースに現出が行なわれようとする。しかし、図に示されている通り、車線2L,3L,4Lを含むコース上には現出が行なわれない(他のコース上には現出が行なわれている)。
これは、図に示した現出部分の近傍領域(車線1L,2L,3L,4L上の細かい斜線の付いた四角い領域)に車両が存在しないためである。なお本実施例では、仮に車線1L,2L,3L,4Lのいずれかの当該近傍領域に車両が存在する場合には、車線2L,3L,4Lを含むコース上への現出は全て実施されるものとしている。このことは、車線7Lと車線8L上の車両Tによる現出の実施が、車線6L上を走行する車両Xの存在に拠るものであることより理解される(また、車線12Lと車線13L上の現出が、車線13L上の車両Wによるものであることからも理解される)。なお、交差点に向かうそれぞれの方面では、車両が度々車線変更を実施する。このため、ある方面の前記近傍領域に1台でも車両が存在した場合には、その方面の、車両Tの現出が行なわれるべき全てのコース上において、車両Tの現出を実施する。このことは、車線6L上の車両Xが、そのままのコースであれば車両Tと衝突しないにもかかわらず、隣の車線7L上には現出対象の部分が存在するため、前記の近傍領域に指定され、さらに車両Xが当該領域上に存在するため、当該方面の現出対象の部分は、全て現出が実施されるのである(車両Xが隣の車線7Lに車線変更する際に、車線7L上に既に現出部分があることで、車両Xのドライバがこれを認識した運転操作を実施でき、安全性の向上に繋がる)。なお、車線5L上には前記の近傍領域は存在しない。これは、最寄りの現出対象の車線7Lまで、2車線以上(ここでは2車線分であるが、本実施例では、2車線以上はなれている場合には、前記の近傍領域を設定しないとしているため、「2車線以上」と表現した)離れているためである。
【0080】
図25の構成は、例えば赤外線センサーによる車両の存在検知を利用すれば実施できる。
【0081】
図26の説明である。 図26は、請求項8記載の発明の実施の形態例を示したものである。ポイントは、演算手順(12)にて使用する演算の関数系として、F(V0,V1)=(V0−V1)÷Vbを採用していることである(Vbは予め経験的に決定しておく基準速度であり、正値である)。確かに、現出元の車両の速度V0に関して単調増加であり、車両(10)の速度V1に関しては単調減少となっている。ここでの演算結果を記憶するとともに、現出部分拡張手順(13)が記憶した前記の演算結果を取り出し、正値ならば、これに比例した分の距離だけ現出部分を拡張する。そして、ここで述べた一連の手順は、常に繰り返し実行される(車両探索手順は、一度車両を見つけたら繰り返し実行する必要は必ずしも無いが、本実施の形態では、車両探索手順も含めて繰り返し実行する)。また、現出部分の拡張においては、前記の状況Sの状況となっているため、少なくとも、交差点内において踏んでいたら衝突してしまうような現出部分とは、現出の仕方を区別できるようにする。なお、車両探索手順における探索範囲は、原則、経験的に決めるものとする。
【0082】
更にまた、請求項7記載の発明においては、現出は必ずしも実施されるとは限らない。そこで、前記の車両探索手順の探索範囲を次のように決める。すなわち、請求項7記載の発明における、現出が実施されるために車両が存在しなければならない、現出対象の部分の近傍領域の内部とするように決めるのである。
【0083】
請求項8記載の発明は、コンピュータの利用と赤外線センサーによる車両の探索、および速度センサーによる速度計測技術によって実装可能である。
【0084】
図27を説明する。図27は、請求項9記載の発明の実施の形態の例を示したものである。図中、現出元の車両から交差点までの距離であるx2は、請求項(1)記載の距離(3)に相当するものである。また、現出元の車両の図の時点における速度は、v2である。また、現出先の車線については、次のようになっている。つまり、現出が開始される地点が図のように配されており、当該の地点から交差点までの距離がL3である。
【0085】
ところで、請求項9記載の発明では、現出先の車線上における現出部分の速度を、可能な限り平準化された速度に近付ける方法を示したものである。ここでは、「平準化された速度」を、現出先の車線の制限速度U3をもって、平準化された速度とする。つまり、現出部分が制限速度で移動すれば、現出先の車両も自然に制限速度と同程度の速度で走行するようになり、安全性が高まるのである。
【0086】
このとき、本発明を実現するため、当該の実施の形態では、コンピュータによる処理を用いる。図中に示されたフロー図は、当該処理を表わしたものであり、現出判断手段と称する。そして当該の処理は、図中の現出元の車線上の現出判断手段開始地点から開始される。当該処理は、まず現出元の車両の速度v2と交差点までの距離x2を計測する。続いて、その時点の速度で、現出元の車両(2)が交差点までどれほどの時間で至るかを求めるため、x2÷v2を演算する。続いて、当該の演算結果と、予め記憶媒体に格納されていたL3÷U3を取り出し、前記x2÷v2と大小比較を行なう。なお、L3÷U3は、現出先の車線上の現出開始地点から、当該車線の制限速度で交差点まで走行した場合の所要時間である。故に、ここでの大小比較は次のような意味である。すなわち、現出元の車両が交差点から遠く、x2が大きいときには、x2÷v2>>L3÷U3となっていることが予想される。つまり、この段階ではまだ、現出元の車両が交差点に至るまでの時間は、現出先の車線上を、現出開始地点から制限速度で交差点に向かって走行した場合の所要時間よりも大きいのである。
【0087】
しかし、現出元の車両が交差点に近付いてくると、交差点までの所要時間、つまりx2÷v2が小さくなってくる。そして、これがL3÷U3と一致した時点で、現出元の車両が交差点まで至るのに要する時間と、現出先で、現出開始地点から交差点まで制限速度で至るのに要する時間が一致するのである。そこで、この時点ではじめて、現出開始地点の近傍に現出を実施する。
【0088】
なお、現出判断手段は常時サイクル的に実行されている。現出開始地点での現出後は、次のように処理が行なわれる。すなわち、現出元の車両について、x2とv2を計測し、これを基に交差点までの所要時間x2÷v2を演算によって計算する。そして、得られた現出元の車両が交差点までに要する時間をかけて、現出先の車線の制限速度で移動できる距離を求め、ここで求めた距離の分だけ交差点から現出先の車線上を進行方向逆向きに進んだ地点の近傍を現出させるのである。そして、さらにこの処理を繰り返すことにより、現出部分が交差点に近付いていく。
【0089】
本発明のポイントは、次のようになる。つまり、少なくとも現出開始地点では、現出部分の移動速度を、現出先の制限速度に一致させることができるのである。現出部分が現出開始地点を出発した後は、現出元の車両が速度を変化させないで交差点に近付いていけば、現出部分の速度は制限速度のまま移動することになる。現出部分を走行する車両からすれば、現出元の速度の増加により、現出開始地点以降、現出部分の速度が速くなったとしても、少なくとも現出開始地点では制限速度に一致していたわけであり、運転操作にムラが無くなり、運転操作が楽に実施できるようになる。
【0090】
なお、図27中の危険フラグについてであるが、これは当初は危険状態を表わすONの状態となっている。しかし、現出開始地点から現出が実施されると、当該のフラグを、危険でないことを示すOFFの状態に移行させるのである。これは例えば、現出元の車両がものすごく高速で走行している場合の対応である。つまり、現出判断手段が開始される現出判断手段開始地点の段階で、高速であるがために、x2÷v2がすでにL3÷U3を下回っていた場合には、現出開始地点よりも交差点側に、突然現出部分が現れてしまうのである。これでは危険なので、前記の危険フラグを用い、現出開始地点から正常に開始された現出部分のみ現出を実施し、現出開始地点以降に現出が現れようとする場合には、何らかの警告を現出先の車線に対して実施するものである。
【0091】
また、請求項9記載の発明では、現出部分は、請求項1から8のいずれか1項記載の発明によって実施されるものとしており、所定の範囲(8)等への言及は行なわない。これは、請求項9記載の発明が、現出部分の構造に関するものではなく、現出部分が全体としてどのように振舞うかについて規定した発明だからである。また、ここでの議論において、「交差点までの距離」とは、「点Hまでの距離」に等しいものとする。
【0092】
なお、図27に示した実施の形態は、赤外線センサーなどによるx2やv2の採取が有効である。また、コンピュータを用いた処理が実行されます。
【0093】
次に請求項10記載の発明の実施の形態を説明する。ここで取り上げる例は、現出部分を発光させるとともに、現出元の速度に伴って発光の色を変化させるやり方である。ただし、交差点内で色々なコース上の現出が混同されない様に、それぞれのコースは、例えば互いに青系、赤系、緑系、黄色系等と決め、これらの色の系統をコースの特徴とすると共に、色の濃さなどをもって、現出元の車両の速度を表現する。また、本発明における速度の計測手順は、速度センサ等によって実施可能である。
【0094】
次に請求項11記載の発明の実施の形態を説明する。ここで取り上げる例は、現出部分を発光させるとともに、現出元の加速度に伴って光の強さを変化させると言うやり方である。ただし、交差点内で色々なコース上の現出が混同されない様に、それぞれのコースは、例えば互いに青系、赤系、緑系、黄色系等と決め、これらの色の系統をコースの特徴とすると共に、発光の明るさをもって、現出元の車両の加速度を表現する。また、本発明における加速度の計測手順は、加速度センサ等によって実施可能である。
【0095】
請求項12記載の発明は、その特徴の多くが請求項8記載の発明と共通するため、ここでの実施の形態も、請求項8との対比によって論ずる。すなわち実質的に、請求項12記載の発明の実施の形態は、請求項8記載の発明の実施の形態とは、現出部分を延ばすか、あるいは目立たせるようにするかの違いである。
【0096】
請求項13記載の発明の実施の形態を説明する。本発明は、現出元の車線が勾配を下る場合に、現出部分を拡張するというものである。具体的には、計測手順(4)が開始される地点から、交差点に至るまでの区間について、全体として勾配を下ることとなる場合には、その平均勾配に比例して現出部分を、線分ω2から現出先の車線の進行方向に拡張する。このようにすることで、下り勾配であるがために、高い位置エネルギーを有した現出元の車両(2)から衝突を受ける危険性を低めることができる。
【0097】
請求項14記載の発明の実施の形態を説明する。本発明は、交差点が近付くにつれ、現出部分を拡張していくというものであり、これによって安全性を高めようというものである。
【0098】
図28は、請求項15記載の発明の実施の形態を示したものである。当図では、大きな道路と小さな道路が交差する交差点を示しており、大きな道路の方が小さな道路よりも優先度が高い。また、右折は直進や左折よりも優先度が劣るが、大きな道路からの右折は、小さな道路からの交差点進入よりも優先されるものとする。このとき、図よりわかるように、優先度の低いコース上に優先度の高い車両、すなわち車両Aの現出が行われる際は、現出部分の周囲が赤く囲まれ、車両Aの方が優先されることを明示していることが分かる。
同様に、直進や左折が右折よりも優先されるがために、大きな道路上の車線でも、車両Aの走行する車線に対向してくる方面から右折してくるコース上には、車両Aの存在に伴う赤い枠の付いた現出が行われている。そして他方、優先度の低い、小さな道路から交差点に向かう車両Bの存在に伴う現出部分には赤い枠が無く、これゆえに、車両Bの方が優先度が低いことを、車両Aが認識することができる。なお、本実施の形態では図示していないが、最良と考え得る実施の形態においては、優先度が同じ場合でも、現出は互いに赤枠付きの現出を実施するのがより安全であると言える。
【0099】
図29から図36は、請求項16記載の発明の実施の形態を説明するためのものである。ここでは、典型的な十字路の場合において、考え得る交差パターン毎に、本発明で示す最低限現出が必要な領域を図示している。図より分かるように、現出範囲は現出元の車両の進行方向の長さと車線の幅員の和より大きいことが多く、現出部分は大きく感じられる。しかしながら、従来の車両の走行での先行車両との走行間隔の大きさを考慮するならば、ある現出パターンを除けば、問題ない範囲の大きさであると考えられる。むしろ、従来の先行車両との走行間隔を、本発明における現出部分の回避に利用しているとも言え、合理的である。ここで、上記の「あるパターン」についてであるが、これは図32と図33のパターンである。右折と対抗する直進のコースの交わりに関する現出は、異常に広範囲に渡ってしまうのである。これは、右折車線は、交差点通過時に交差点を斜めに横切ることから来るものである。この問題を解決するための一つのやり方として、現出元の車両の進行方向と垂直でかつ路面に平行な方向の大きさや位置を、現出範囲の決定に組み込むという方法がある。これまでのやり方では、現出部分の決定時に、現出元の車両の進行方向に垂直で路面に平行な方向の大きさを、車線幅としてオーバーに計算してきたため(つまり、現出元の車両が占める領域を領域αとして拡大して考えてきたため)、現出部分が大きくなってしまう傾向があったのである。
【0100】
一方、もう一つの解決方法は、請求項16の発明で示された、本発明による方法と従来の信号機による交通整理方法の折衷案である。具体的な実施例を挙げるならば、次のように成る。すなわち、右折専用の車線が存在する十字路の交差点に信号機が設置されており、この信号は、自由に直進および左折することを許可するパターンと、自由に右折することを許可するパターンの2通りのみで構成されるようにするのである。この方法では信号機の排除には至らないが、信号機のパターンをたった2パターンにしたため、確実に、従来よりも信号待ちの時間を短縮することが可能である。なお、当該方法においては、信号待ちのときは、互いに現出部分を避けながら停止するようにする。また、左折専用の車線がある場合には、前記の信号機は、直進のみを自由に行えるパターンと、左折と右折を自由に行えるパターンで構成することもできる。これは、左折と直進を同時に扱う先の方法では、左折車の左折直後における減速が、危険をもたらす可能性があるからである。一方、右折と左折は、もしも車線数が多い交差点ならば、互いに交差点通過後に同一のコースとならないように誘導することが可能であるし、またそもそも右折と左折では、現出部分の領域面積が小さい傾向があり、合理的だからである。そして、右折も左折も、共通して交差点通過直後に減速する傾向があることから、直進と組み合わせるよりも危険が少ないのである。
【0101】
なお、上記の請求項16の発明の実施の形態での説明では、十字路を用いたものを示したが、実際にはT字路や、五叉路以上の交差点などでも適用可能である。
【0102】
請求項17の記載の発明の実施の形態は、次のようになる。すなわち、方向指示器連動手順は、予め車内に設置された車載装置によって実施する。当該の方向指示器連動手順は、伝送手順(6)に対し、方向指示器が示した経路(コース)上を走行すると言う前提に立って、現出を実施するコースを導出するように指示を出す。続いて、当該の指示を受けた伝送手順(6)は、方向指示器が示す方向へのコースを取った場合に、衝突の回避が必要となるようなコースに対してのみ、現出が実施されるように伝送を行なうのである。
【0103】
請求項18の記載の発明の実施の形態は、次のようになる。すなわち、カーナビゲーションシステム連動手順は、予め車内に設置された車載装置によって実施する。
カーナビゲーションシステム連動手順は、伝送手順(6)に対し、カーナビゲーションシステムが誘導している経路(コース)上を走行すると言う前提に立って、現出を実施するコースを導出するように指示を出す。続いて、当該の指示を受けた伝送手順(6)は、カーナビゲーションシステムが示す方向へのコースを取った場合に、衝突の回避が必要となるようなコースに対してのみ、現出が実施されるように伝送を行なうのである。
【0104】
請求項19記載の発明の実施の形態は、例えば次のようになる。すなわち、現出手順(9)の構成として、ドライバが視認できるような現出に加え、現出部分一体だけに、微弱な電波を発する機能も付加するのである。例えば、当該電波を路面から垂直方向に発すれば、現出部分一帯のみに信号を送ることが可能である。続いて、車両に搭載された車載装置が当該の電波を受信した場合を考える。つまり、車載装置が、現出部分を踏んでいることを感知したことになり、このとき、車載装置は警告音や音声案内でドライバに通知したり、あるいは、ブレーキ等を自動制御し、現出部分からの回避図るようにするのである。
【0105】
さらに、当該の車載装置が、地図情報に関するデータベースを有し、かつGPS機能によって現在位置を把握できる場合には、当該発明の実施の形態として、次のようにすることも可能である。すなわち、当該の車載装置により、交差点までの距離が把握できる訳であるから、現出部分を踏んでいても、交差点までまだ距離がある地点においては、音声案内だけでの警告を行なうようにする。しかし、これよりも交差点に近付いた場合には、現出部分を踏んでいる場合にブザーを鳴らしてドライバーに回避を呼び掛けるものとする。しかし、さらに交差点に近付いた段階で現出部分を踏んだ場合には、ブレーキやクラクション、ハンドル操作等の自動制御をもって、現出部分の回避を実施するようにするのである。
【0106】
請求項17と18、および19は、車載装置の搭載を前提とした発明であるが、このような車載装置を前提とした発明は、あくまで本願発明の解決手段に対して、補助的な位置付けであることに注意が必要である。すなわち、請求項17や18、および19で示された発明を実現するような車載装置を搭載していれば、より効率的に、そしてより安全に本願発明の実施が可能ではあるが、本願発明が提示する課題に対して、必須の技術ではないのである。例えば、方向指示器に示されたドライバの意思表明を、伝送手順(6)に伝達できなかったとしても、本願発明が、別の所で指し示した提案内容を用いれば、問題なく課題が解決されるのである。
【0107】
請求項20記載の発明の実施の形態を説明する。すなわち、現出部分の位置を、交差点から距離(3)の単調増加関数(本例のように同一の交差点においても、その方面や車線によって、関数形を変えるようにしても良い)で求まる距離の位置とするが、この位置の決め方を例えば次のようにする。つまり、優先道路上への現出は、交差点に近付くにつれて現出部分の速度を遅くするようにし、一方の非優先道路の方は、交差点に近付くにつれ、現出部分の速度が速くなるようにするのである。これにより、優先道路からの車両は高速を維持するが、非優先道路からの車両は、現出部分の速度が速いために付いていけず、現出部分が減り、ある程度安全になってから交差点に進入するようになるのである。このような現出部分の動きを実現するためには、その車線や方面において実施したい要素をもって、前記の単調増加関数を適切に決定することが必要である。
【0108】
請求項21から24記載の発明は、ここまでで述べてきた実施の形態を、実現するような装置に関するものなので、ここでは省略する。
【0109】
請求項25記載の発明は、本願発明により、車両に対し、側面から衝突される危険性の高まりに対応したものである。例えば、側面の壁を厚くしたような車体や、側面の遊び(空間を広めに設けること)を広くとり、衝突時の衝撃の吸収を高めるような車体の提案などがある。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、信号機による交通整理、および立体交差道路による交通整理の代替手段として、新しい産業分野の創出契機野位置付けで利用される。
【0111】
図11は、本発明で用いられる、現出手順(9)の一形態を示したものである。具体的には、現出に、ホタルイカの発光を利用している。つまり、路面下部にホタルイカの養殖施設を配し、路面には溝状の窓を設けて水槽が見えるようにする。図に示す通り、水槽の底部は鏡面となっている。このとき、もし現出のタイミングとなった場合は、水槽上部に灯りが点く仕組みとする。すると、ホタルイカは、その強い走光性(光に向かっていく習性)により、灯り周辺の現出部分に集まる。同時に、ホタルイカは、その習性により水槽の底に向かって発光する。その結果、当該の発光は底部の鏡面に反射され、この反射波が、路面上の窓から発することとなる。そしてこれにより、ドライバーは、現出を認識することになる。
【0112】
実のところ、ホタルイカの養殖は、現時点ではまだ実現しておらず、図11に示す現出は実施はできない。しかし、少ない電燈の灯りでホタルイカの強い発光を得られること、養殖施設を利用しているため、食糧確保につながる点が、大きなメリットである。将来の利用分野として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、課題である衝突の回避をどのようにして実現しているかのポイントを示したものである。
【図2】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における直進や右左折の別を考慮した現出を行なうためのポイントを示したものである。
【図3】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が右側から交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図4】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が対向するように交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図5】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が左側から交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図6】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両同士が、互いに現出を行なっている様子を示したものである。
【図7】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、十字路における全ての車線で現出を行なった場合を示している。
【図8】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、T字路における全ての車線で現出を行なった場合を示している。
【図9】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)と伝送手順(6)の実施方法の例を示している。当図ではまた、現出そのものの実現態様も例示している。
【図10】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出そのものの実現態様として、路面から物体(紐)を隆起させること形態を例示している。
【図11】産業上の利用可能性を説明するための図であり、特に、現出手順(9)の実施に、ホタルイカの発行を利用しようと言うものである。
【図12】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)を、現出元の車線と垂直で、路面と平行な方向から示したものである。
【図13】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)を、現出元の車線および路面と平行な方向から示したものである。
【図14】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)と伝送手段(6)、および現出手段(9)を単純な方法で実現するための原理を説明したものである。
【図15】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同一車線に合流しない場合における、当該発明の説明のための用語等を示したものである。
【図16】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同一車線に合流する場合における、当該発明の説明のための用語等を示したものである。
【図17】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における衝突の回避を実現するための十分条件を、交差点に現出元の車両が到達した時点に焦点を当てて示したものである。
【図18】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出位置の導出方法を例示したものである。
【図19】請求項3記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度に応じて現出部分が増大している様子を示したものである。
【図20】請求項4記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度と加速度に応じて現出部分が増大している様子を示したものである。
【図21】請求項4記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度と加速度の継続的監視により、速度と加速度の単調増加関数が、どのタイミングでどの程度最大値を更新するか、モニターしている様子を示したものである。
【図22】請求項5記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における現出形態が、各コース毎に判別できない場合の様子を示したものである。
【図23】請求項5記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点内でそれぞれのコース上の現出部分を判別できるように対応した様子を示したものである。
【図24】請求項6記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両が走行する車線の用途(直進、右左折の別)に基いて現出先が決定される様子を示したものである。
【図25】請求項7記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出対象の部分近傍における車両の存否次第で現出の実施/未実施が決まる様子が示されている。
【図26】請求項8記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元と現出先の車両の速度と、現出部分とこれを避ける車両の位置関係により、どのように現出部分が追加されるのかを示したものである。
【図27】請求項9記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出部分の移動速度の初速度を、全て当該車線上の制限速度に一致させる方法を示したものである。
【図28】請求項15記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、優先度の低い車線上への、優先度の高い車線上の車輛の現出が実施される際の現出の判別例を示したものである。
【図29】〜(図36)請求項16記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、本発明の実施の形態で示された現出部分の領域の広さを、それぞれ直進、左折、右折のそれぞれのコースの組み合わせ毎に、示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機に代わり、交差点における交通整理を実現できる方法に関し、特に、全ての車両が車載設備なしに該交通整理を利用することができる方法に関するとともに、より詳細には、交差点で出会い頭に衝突しないようにするための走行支援を、道路設備によって提供する方法に関する。また、本発明は、このような方法を実現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術の発展は、自動車等の車両に搭載される車載装置の高度化をもたらしている。例えば、有料道路における料金自動収受(いわゆるETC)や、目的地までの経路を誘導するカーナビゲーション装置などが挙げられる。このような潮流は、交差点における衝突防止を課題とした技術の進歩にも共通して見られ、例えば、無線通信機能を有する車載装置を搭載した複数の車両同士で、衝突防止を実現する、車車間通信技術などの進歩が目覚しい(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、車車間通信により、交差点において自車と衝突する可能性のある他車を特定し、ドライバに通報するものである。一方、特許文献2に記載された発明は、衝突回避のための車車間通信と路車間通信(車両の走行情報を道路に設置された受信装置で集約し、解析した上で、車両に対し走行指示を下す通信形態)を適切に切り替え、処理の効率化を図ったものである。
【0004】
また、可視光を用いた車車間通信として、特許文献3がある。特許文献3では、可視光のビームを路上に照射するとともにその照射パターンに変化を加え、これを撮像した他車が車載機によって照射パターンを分析し、通信を実施するものである。
【0005】
一方、交差点における衝突防止を課題とした技術として、路車間通信の技術も発達しており、前記特許文献2以外にも、特許文献4や特許文献5などがある。
【0006】
さらに、車載装置の搭載をもって、衝突の危険を感知する技術として、特許文献6がある。特許文献6に記載された技術では、車載装置によって歩行者の検知を実現しているが、その特徴は当該の歩行者側に何の携帯機器も要求しない点にある。
具体的には、所定の領域内に電磁波を照射してその反射波を分析し、当該領域内に歩行者がいることによる反射パターンの変化を検知した上で、歩行者の存在をドライバーに伝えるものである。
【0007】
しかし、これら車載装置の搭載を前提とした技術では、完全な普及は見込めない。
そして、完全な普及が見込めない以上、交差点における従来の信号機を用いた交通整理方法をなくし、交差点における交通整理の効率を向上させる技術とはなり得ない。
【0008】
そこで、車載装置を前提としない、全ての車両に共通して使用できる、衝突回避の技術を挙げるならば、例えば特許文献7がある。
【0009】
特許文献7は、交差点近傍の道路にセンサを設置することで、交差点に車両が接近してきた際にこれを検知し、交差点で当該路線と交差する方面の路線に向けて当該検知情報を伝達する。なお、ここでの伝達は、道路に設置された表示板経由で伝達するというものである。この技術をもってすれば、全ての車両が、車載装置なしに交差点での衝突の危険を事前に感知できる。しかし、路上に設置された表示板による情報伝達では、衝突の危険が伝達された際は、伝達を受けた車両は、当該の交差点前で徐行もしくは停止を余儀なくされるだろう。これでは、交通量の少ない交差点でしか効率を上げることができない。
【0010】
そこで、交差点において、交差道路の車両同士が避けることにより、衝突を回避する技術を挙げる。しかし、車載装置が不要な技術を前提とするならば、道路を立体交差させるしかないのが現状である(例えば、特許文献8や特許文献9、および特許文献10)。立体交差であれば、立体交差でない場合に比べ、信号機から受ける影響を減ずることができるが、建設費がかかるとともに、建設期間も長期間に及ぶという問題がある。
【特許文献1】 特開2007−323185号公報
【特許文献2】 特開2008−90732号公報
【特許文献3】 特開2003−231450号公報
【特許文献4】 特開2007−272598号公報
【特許文献5】 特開2007−286994号公報
【特許文献6】 特開2002−329297号公報
【特許文献7】 特開2004−252879号公報
【特許文献8】 特開2004−324206号公報
【特許文献9】 特開2005−264581号公報
【特許文献10】 特開2005−256578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の背景技術の通り、交差点での衝突を回避するための技術の多くは、車載装置の搭載を前提としている。つまり、信号機のない交差点で、交差する2車両が衝突の危険に晒されている場合には、2車両が共に衝突回避を実現する車載装置を搭載しているか、あるいは(車載装置の適用技術にも拠るが)、少なくとも片方の車両に衝突回避のための車載装置を搭載している必要がある。しかしこれでは、当該の技術に未対応の車両同士が交差点で出会った際は、従来の信号機による交通整理に頼らざるを得ない。従って、車載装置の設置を前提とした技術では、既存の信号機に代わり、交差点における交通整理を実現することはできない。
【0012】
一方、車載装置を必要としない交通整理の方法もあるにはあるが、交差点手前での停止や徐行の多発するがために低効率であるようなものや、大掛かりな立体交差技術などしかないのが現状である。
【0013】
本発明は、斯かる問題を鑑みてなされたものであり、車載装置なしに、平面交差する交差点をスムーズに通過できるようにする、信号機に代わるか、あるいはかなりの割合で信号機への依存を排除した交通整理支援方法を提供することを課題とする。本発明はまた、このような交通整理支援方法であって、車載装置を搭載する車両に対しては、これを搭載しない車両よりもよりスムーズで、かつより安全な交差点の通過を実現する交通整理支援方法を提供することを課題とする。さらにまた、本発明は、このような交通整理支援方法を実現する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の交通整理支援方法では、ある方面から交差点に向かう車両の、当該交差点までの距離がLであるとき、別の方面から当該交差点に向かう車線上の、交差点からLの地点近傍が、例えば可視光といった、ドライバが視認できるような形態で現出されるようにする。そして、このような現出操作を可能な限り連続的に行なわれるようにするのである。すると、当該の現出が行なわれる車線上を交差点に向かう車両のドライバは、当該の現出部分を避けながら交差点を通過することにより、交差点に信号機がなくても、前記現出元の車両と交差点で衝突することはない。なお、本発明において車両とは、二輪車等も含めて考えるものとする。
【0015】
次に、本発明では、当該の現出先の車線上を交差点に向かう車両についても、交差点までの距離L’を求め、前記現出元の車線上の交差点からL’の距離の地点近傍に可視光等で現出を実施することも提案している。このようにすれば、当該の両車両が、互いの存在を意識し合い、互いに調整し合いながら互いの現出部分を効率的に避け合える。そして、信号機がなくとも、交差点でスムーズに、衝突を回避しつつ通過することができる。
【0016】
そして、このような現出操作を、交差点に向かう全車線から全車線に向けて適切に実施することにより、当該交差点に向かう全車両が、スムーズに、互いを避け合いながら交差点を通過できる。全車両が、交差点でお互いを避け合えるわけだから、信号機が不要になるということである。
【0017】
ところで、車両を運転するドライバーが、当該の現出部分を避ける操作は、現出部分が当該車両と並走しながら交差点に向かうため、いわば同じ車線上の別の車両に追突しないように走行する操作に似ている(ただし、駐車車両が存在する場合は、当然のことながら現出部分は停止している。このような停止した現出部分を視認したドライバーは、当該現出部分とは、交差点において自車両と重なり得ないことを容易に判断できる。つまり、当該の停止した現出部分は、解決すべき課題の解決には影響しないと考えてよい)。また、車両を運転するドライバーが、交差点において当該の現出部分と重ならないように、交差点より手前で当該現出部分を抜いて相対的に前に出る操作は、車両を運転し、並走する別の車両を追い越す操作に似ている(現出部分の追い越しは、車線変更を伴わない。そしてその分、現出部分を抜く方が、実際の追い抜き操作よりも容易である)。なお、ここで追い越された現出部分の現出元の車両から見ると、自分よりも速い現出部分が、自分を追い越されたことを視認できる。つまり、当該の両車両は、互いに一連の追い越し操作を認識できるのである。以上で見てきたことをまとめると、次のようなことが言える。つまり、現出部分と重ならないように交差点を通過する運転操作は、従来から用いられている運転操作によって実現でき、しかも容易である。本発明の交通整理支援方法を用いれば、信号機が無くとも、容易な運転操作で、交差点での高効率な交通整理を実現できる。これが、前述した課題を解決するための手段のポイントである。
【0018】
なお、現出部分の領域は、交差点における衝突が回避されるように決せられることにも注意が必要である。つまり、事前に衝突の回避が可能な範囲に現出が起こるように計算し、本発明を実現する装置を設計・製造することが重要である。領域の決定は、いろいろなケースが考え得るが、一つのやり方として、図15〜図18に示した方法が有効である。解決手段の概要を把握できるように、ここで当該方法を説明する。
【0019】
図15〜図18に示した方法では、現出部分の形状と面積が(つまり、路面方向で、かつ車線の進行方向に対する、現出部分の形状と面積が)、現出元の車両の(路面方向の)形状と面積によって決するとし、現出元の車両から交差点までの距離には依存しないとする。このとき、現出元の領域の、交差点に最も近い地点と最も遠い地点から車線方向に垂直で、かつ路面方向であるような垂線を引き、これらの垂線と現出元の車線とで構成された領域を構成する(以後、この領域を領域αと称し、領域αの境界線である、交差点に近い方の垂線の線分を最前部構成線γ1、交差点から遠い方の垂線の線分を最後部構成線γ2と称する)。続いて、当該領域αを現出元の車線に沿って交差点まで移動させるとともに、現出元の車線と現出先の車線(ここでの「車線」とは、次のような意味で用いられている。すなわち、ここでの「車線」という文言は、交差点に向かう車線が、交差点に至り、これを通過後、任意の一つの車線上を交差点から遠ざかっていくというような、任意に決まる一連の経路全体を指して述べたものである。なお以後は、ここでの「車線」という文言に代えて、「コース」という文言を用いる)が重なる領域(以後、この領域を領域βと称する)に、最前部構成線γ1が最初に重なり始めるまでの領域αの移動距離をL1とする。続いて、引き続き領域αを移動させる。そして、領域αが領域βとの重なりを解消された時点において、そこまでの領域αの移動距離をL2とする(交差点通過後に、現出元と現出先が同一の車線を走行する場合(つまり、交差点通過後にコースが合流するようなケース)には、現出元と現出先のコースの中心線の方向が一致した地点までの移動距離をL2とする。また、このL2を計測した地点において、コースの中心線と直交するとともに路面に平行な直線を引き、これをコースの境界線によって切り出す。この結果得られた線分を、領域βの境界線として採用し、領域βを決定する)。
【0020】
すると、現出先のコース上を交差点に向かう車両が、当該の現出元の車両と交差点で衝突しないための十分条件は、現出元の車両が交差点に至ることにより、最前部構成線γ1が領域βと重なり始めるまでに、現出先のコース上を走行する車両が領域βを通過済となるようにするか、あるいは、現出元の車両が交差点に至った後、最後部構成線γ2が領域βを通過した後に、現出先のコース上を走行する車両が領域βの通過開始することである。
【0021】
この議論を、さらに単純化する。すなわち、領域βを通り、現出先のコースの中心線に直交する直線が、当該コースの境界線によって切り取られた無数の線分を考える。そして、現出先のコース上を交差点に至り、領域βを通過するような状況を考える。このとき、前記の無数の線分のうち、最初に通過する線分を回避最前部制限線δ1とし、最後に通過する線分を回避最後部制限線δ2とするのである。すると、前記の衝突しないための十分条件は、次のように言い換えられる。
すなわち、当該十分条件は、現出元の車両の交差点への接近に伴う領域αの移動により、最前部構成線γ1が領域βに差し掛かる時点では、現出先のコース上の車両は回避最後部制限線δ2を通過しているか、あるいは、領域αの移動に伴い、最後部構成線γ2が領域βを通過した後、現出先のコース上の車両が回避最前部制限線δ1を越えて領域βに至ることである。
【0022】
よって、現出部分は次のように決めることができる。まず、回避最後部制限線δ2を、現出先のコースの中心線に沿って、これと垂直になるように維持しながら、当該コースの進行方向と逆向きにL1だけ移動し、移動後の線分を線分ω2とする。
同様に、回避最前部制限線δ1をL2だけ移動し、移動後の線分を線分ω1とする。
このとき、現出部分は、現出先のコースと線分ω1、および線分ω2で囲まれた領域とするのである(結果的に、このような現出方法により、現出元の車両から交差点(ここでは領域βを指す)までの距離(請求項1における距離(3)に相当)だけ、交差点(ここでは領域βを指す)から現出先のコースを進行方向逆向きに進んだ地点の近傍が現出部分になっていると判断できる)。図18は、この様子を図示したものである。なお、本例において衝突が発生し得る領域は領域βである。少なくとも、回避最後部制限線δ2よりも現出先のコースの進行方向下流側においては現出は意味が無く、実施しないものとしている。
【0023】
また、現出部分をドライバに認識させる方法は様々だが、必ずしも当該の全てを発光等させる必要は無い。例えば現出を行なう部分の境界部分のみを発光させたり、あるいは斑点状に発光させることで現出部分を認識させることも可能である。要は、現出操作をもってして、人間によって前記の現出部分が認識できるようにすれば良いのである。
【0024】
次に、以上では、現出部分の領域には、現出元の車両の速度の影響を加味していなかったが、本発明では、現出元の車両の速度も計算に入れた方法や、これを実現する装置も提案している。これは、速度の考慮により、課題の解決をより効果的に実施できると期待されるからである。具体的には、交差点に向かう現出元の車両が極めて高速な場合、その分単位時間当たりの進行距離が伸びる。このことが意味することは、ドライバーによる一瞬の操作ミス等を許容するために、現出部分の広さを、現出先のコースの方向に拡大するという方法が有効である、ということである。
例えば、交差点内において、現出先の車両が何らかのトラブルに見舞われたとしても、現出元の車両は高速であるがために、危険を察知できてもすぐに停止できず、衝突が起きてしまうと言うケースが考えられる。
【0025】
また同様に、速度だけでなく、現出元の車両の加速度に伴う危険対処も、課題に対する解決手段をより効果的にする。すなわち、現出元の車両の速度が遅い場合は、高い加速度で加速してもさしたる事ではないが、高速走行中の急加速は極めて危険な走行である。そして、この場合も現出先の車両が領域βに至った時点で衝突されてしまう危険性が高まると言える。そこで、本発明が提案する方法およびこれを実現する装置では、まず、現出元の車両の速度と加速度を継続して観測する。そして、これを事前に決められた速度と加速度の単調増加関数に入力して値を得るとともに、これを記憶する。続いて、得られた値の最大値を継続的に監視して、この最大値の大きさに応じて現出部分を拡張させるのである。つまり、最大値が更新された場合には、現出部分を増大させるが、一旦増大した現出部分の広さは、その後当該の単調増加関数の演算結果が減少しても、減じない。このようにすることで、交差点近傍で現出元の車両が高速度でかつ高加速度な危険な走行を一度でもした場合には、現出先のコース上の車両にもそのことが認識できるようにするのである。
【0026】
ところで、本発明では、特に交差点内での現出の仕方に注意する旨の提案を行なっている。交差点内では多くのコースが交差している。よって、それぞれのコース上における現出部分が互いに判別できないような形態の現出を実施してしまうと、次のような問題が発生してしまうのである。例えばあるコース上を走行し、交差点を通過しようとする車両が、交差する他のコース上に現出された現出部分を自コース上の現出部分と混同してしまう恐れがあるのである。よって本発明では、少なくとも交差点内では、各ルート上の現出部分が互いに判別できるようにすることを提案している。
【0027】
当該の現出元のコースが、直進や右折、あるいは左折といった専用車線であったり、あるいは直進や右折、あるいは左折のうちの2つを組み合わせた用途に専用に用いられる車線である場合は(要するに、現出元のコース上の車線に定められた直進や右左折といった用途が何であるかの別を踏まえて)、本発明は次のように課題を解決することを提案する。すなわち、現出元のコース上の交差点に至る前の車線の用途に応じて、取り得る交差点内の経路が決まるので、当該の取り得る経路によってのみ、計測手順(4)および伝送手順(6)、そして現出手順(9)を機能させるのである。
これは、例えば、現出元のコース上の、交差点に至る前の車線が左折専用の場合は、少なくとも、交差点で対向してくる直進専用の車線上の車両とは衝突し得ないわけで、この場合は当該の交差点で対向してくる直進専用の車線上には現出を行なわないのである。このようすることで、無駄な現出を省き、省エネルギーに貢献できるだけでなく、よりスムーズな交通整理が実現できる。また結果として、より効果的に課題を解決することができる。
【0028】
続いて、更に効率的に課題を解決するための手段として、本発明ではまた、現出部分の近傍に車両が存在しない場合には、現出を実施しないようにすることも提案している。
【0029】
また、本発明では、課題をより効果的に解決する方法として、現出元の車両の速度だけでなく、現出部分近傍の、衝突を回避するために当該の現出部分を認識すべき車両の速度をも加味し、少なくともこれら2種類の速度によって、現出部分を決定することも提案している。図26は、当該の方法の実施の形態を説明した図であり、当該発明の本質を物語っている。ただし、図26は実施の形態を例示したものであるから、使用されている関数形などは単純化されており、これゆえ、課題を解決する手段の要素には、このような単純化の要素が含まれないことに注意する。図26を基に説明すると、当該の方法では、ここまでで述べてきた、課題を解決するための手段において規定される、各々の発明での現出部分に、次に述べる加工を施す。まず、図中の車両探索手順により、現出部分の最も進行方向下流側から、現出先のコースに沿って、当該コースの進行方向逆向きに、走行車両を探索する。探索範囲は、予め経験的に決定された所定の範囲とし、見つからなかった場合には、本発明の実施(現出部分の拡張)は行なわない。車両探索手順によって車両が発見された場合には、次に速度計測手順(11)を実施する。なお、ここでの探索で発見された車両が車両(10)である。速度計測手順(11)の実施では、車両(10)と現出元の車両の速度を計測する。そして、計測したこれらの速度は、一旦コンピュータのメモリに格納するとともに、演算手順(12)を実施する。演算手順(12)では、予め経験的に定められた、車両(10)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関して単調増加するような関数に、メモリに格納された2つの速度を代入し、結果を記憶媒体に格納する(図26では、単純化された関数にもって、実施例を説明している)。
続いて、現出部分拡張手段(13)が、当該の格納された最新の演算結果を取り出し、正値の場合に限り、この値に比例する距離の分だけ現出部分を拡張する(比例定数が1となるように演算式の式形を調整しても良い)。なお、当該の現出部分の拡張は、次のように実施される。すなわち、ここまでで述べてきた方法による現出部分を考え、当該現出部分のうち、最も現出されたコースの進行方向下流側に位置する境界線を、ここで求めた拡張距離の分だけ、コースの中心線に沿って、その進行方向の向きにずらすのである。
【0030】
このようにすることで、現出先の車両(10)が遅ければ遅いほど、また現出元の車両が速ければ早いほど、車両(10)から見た現出部分は巨大に見える。そして車両(10)に対し、当該の現出部分を抜くという行為が、危険なものであるという認識を植え付けることができるのである。よって、車両(10)は、自身が遅いほど、また現出部分の速度が速いほど、現出部分を無理に追い越すという行為ことをしなくなる。
そして、当該方法を用いることにより安全性が増し、より効果的に課題を解決することが可能となる。
【0031】
また、本発明では、現出部分の速度を、平準化する方法も示している。現出部分の速度が平準化されれば、複数の現出部分毎に速度がバラバラである場合よりも、これを避けることが容易となる(現出部分は、交差点に集まる色々な方面からの車両の存在によってもたらされる(「方面」という文言は、次のように使用する。例えば十字路であれば4つの方面が存在し、T字路では3方面存在するとする。更に言えば、東西南北から道路が至る十字路があった場合は、例えば北から十字路に至る全車線は同じ方面であるとともに、東や南、および西のいずれから十字路に至る車線とも、その方面を異にする)。同じ方面から交差点に向かってくる複数の車両であれば、一般に、それぞれの速度にはあまりバラつきが無い。しかし、いろいろな方面から車両が集まってきている場合には、当然の如く速度のバラつきが予想される。特に、それぞれの方面毎に制限速度が違っていた場合などは、当然のことながら、このような傾向はさらに強いものとなる。本発明は、このような状況に対応し、解決する手段を示したものである)。これゆえ、より効果的な課題の解決手段を提供することができるのである。当該の平準化は、次のように実施される。まず、現出元の車両の速度と交差点までの距離(3)をリアルタイムに計測する。すると、距離(3)を計測された速度で割ることにより、その時点での速度における、交差点までの所要時間が求まる。この時間を、仮にT_Xと置く。次に、現出先での現出開始の地点(現出が実施可能な、最も交差点から遠い場所)から交差点までの距離を、平準化したい速度で割る。すると、現出先のコース上を、平準化したい速度で交差点に向かった場合における、交差点までの所要時間が求まる(これをT_0と称する)。今、現出元の車両が交差点から遠く、交差点までの距離が長い段階では、その時点の現出元の車両の速度では、交差点までの所要時間T_Xは長く、T_0よりも大きいだろう。しかし、現出元の車両が交差点に接近するに従い、T_Xは小さくなってくる。つまり、交差点まで辿り着くための所要時間が少なくなるということである。そして、やがてT_X=T_0となる。これが成立するとき、次のような状況が成立していることになる。つまり、現出元の車両が、その時点の速度のまま交差点まで向かった場合の所要時間が、現出先の現出開始地点から、平準化したい速度を保ちながら交差点に向けて走行した場合の、交差点までの所要時間と同じということである。よって、当該の発明が提案する方法は、この時点をもって、現出先の現出開始地点に現出を実施することとしている(請求項7記載の発明の場合は、当該の瞬間における現出開始地点を、現出対象の部分として特定する)。
【0032】
さらに、当該の現出は、次のようにして継続的に実行される。すなわち、現出開始地点での現出後も、リアルタイムで次のような処理が繰り返される。まず、現出元の車両の交差点までの距離と速度を計測し、これを基に距離を速度で割り、各瞬間における現出元車両の交差点までの所要時間を求めるのである。つまり、現出元の車両は、ここで求めた所要時間の後に、交差点に達するということである。次に、希望した前記の平準化速度で、求めた所要時間だけ現出先のコースを進んだ場合に、丁度交差点に達するような位置を求める。そして、求めた現出先のコース上の地点に、現出を実施する。続いて、ここまでの、一連の処理を繰り返す。この方法により、現出開始後、現出元の車両が速度をできるだけ一定に保って走行すれば、現出部分の速度は、希望した平準化速度で移動することとなる。なお、ここでの議論では、所定の範囲(8)については言及していない。これは、ここでの議論が現出部分が全体としてどの地点に位置するべきかを論じているからである。
【0033】
本発明ではまた、交差点の性質により決っする、車線間の優先関係を、現出部分によって明示する方法も提案している。例えば、優先度の高い車線上の車両の存在に伴う現出が、これよりも優先度の低い車線上に現出されるときなどは、現出部分の外周部分を赤く発光させるなどし、現出元の車両の方が優先度が高いことを明示する。優先度を適切に設定することで、よりスムーズな交通整理の実現が期待でき、課題の解決をより効果的に実施できる。
【0034】
一方、本発明では、信号機をなくす手段ではないが、信号機への依存度を低減し、より効率的な交通整理を実現する方法も提案している。具体的には、本発明では、以上で述べてきた本発明が提案する交通整理支援方法と、従来の信号機による交通整理支援方法のメリットの部分だけを組み合わせた、折衷案が提示されている。当該提示を説明する前に、ここまでで述べてきた本発明の問題点を説明する。すなわち、本発明では、現出部分の面積は、任意の2つのコースの重なり合う部分の面積(2つのコースが交差点を通過後に同一の車線を走行する場合は、これらのコースが重なり合った段階でコースの中心線に直交する直線を引き、これをもって境界線とし、コースの重なり合う部分の面積を確定させる)に伴って増大する。問題は、この増大の程度であり、特に右折を伴うコースでは、交差点を斜めに横切るような経路を採ることから、結果として、現出部分の面積が異常に大きくなってしまう傾向があるのである(左折の場合は、交差点内の通過部分が少なくて済むため、むしろ現出部分の面積が少なくて済む傾向がある)。このような問題から、本発明では、少なくとも右折専用の車線がある場合には、信号機を設置し、右折車線からの右折であれば、交差点内のどの方面からでも可能とするようなパターンと、直進および左折車線からの交差点進入であれば、どの方面からでも可能とするようなパターンの2種類のシチュエーションを繰り返しす方法を提案している。なお、当該のパターンでは、左折は直進と同じにしているが、仮に左折専用の車線がある場合には、前記のパターンを、直進のみ可能な場合と右左折のみ可能な場合、というようにしても良い。また、当該の発明は、十字路以外のT字路、および五叉路以上の交差点でも利用可能である。
【発明の効果】
【0035】
信号機による交通整理は、平均的な交通量のパラメータに基いた交通整理を行なうため、当該の平均的な交通量からの「ずれ」による非効率的な交通整理操作を多く伴う。例えば、交通量が極めて少ない方面の信号が、必要以上に長く青信号となるケースがある。本発明による交通整理方法であれば、個々の車両が、最も効率的な交通整理を能動的に実施するため、当該の「ずれ」による交通整理の効率低下は皆無である。結果、当該交差点の通過に要する平均の所要時間を減ずることができる。またそれだけでなく、極めて高効率な交通整理が実現し、渋滞が生じにくく、地球環境とってもプラスである。
【0036】
一方、信号機による交通整理(夜間に多く見られる点滅信号を含む)は、車両に対し、最もエネルギー効率を悪化させる、停止(速度を減じて0にする)と発信(速度を0から増加させる)を強いる。本発明による交通整理支援方法であれば、交差点に近付く過程で、交差点で衝突の危険性がある交差車両同士が、事前に衝突回避のために走行状態を調整し、調整後は、互いにその走行速度を大きく変化させることなく、交差点を通過することとなる。よって、その燃費を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
基本的に、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、請求項1記載の発明の実施の形態を説明するものであり、特に、発明の原理を示したものである。図1では、車線D上を車両Aが交差点に向かい、通過後、車線F上を交差点から遠ざかっていく。同様に、車両Bと車両Cも、車線E上を交差点に向かい、通過後に車線G上を遠ざかっていく。そしてここでは、車両Aが請求項1記載の車両(2)に相当するものとしており、当該車両Aから交差点までの距離Lを計測手順(4)が計測し、伝送手順(6)によって、車線(5)に相当する車線Eに送り、現出手順(9)によって現出させている。なお、ここでの距離Lは請求項1記載の距離(3)に相当している。図1より分かるように、車両Bや車両Cは、交差点において現出部分をにいなければ、衝突することは無い。
【0038】
しかし、図1は、車両A、車両B、車両Cの全てが交差点を直進で通過することを前提としている。実際には、交差点を通過する車両は、直進することもあれば、左折や右折をすることもある。そして、ここでも右左折を考慮に入れ手考える。しかし、ここでの考慮は、若干状況を複雑にする。具体的には、計測手順(4)が複雑になり、交差点からの距離を図る際の基準(図1における点Hの場所)が状況によって変化する。図2は、このような点Hの変化に注目して説明をしたものである。
【0039】
図2の説明に先立ち、まず点Hの決まり方を説明する。現出元である車両Aは、交差点で直進することもあれば、左折や右折をすることもある。そのようないろいろな進路(以降、「コース」もしくは「経路」と称する。なお、コースと経路は同じ意味を持つものとして扱う)が考えられるが、そのうちの任意の1つのコースの中心線を、中心線Jとする。そして、当該コースは、車線D上を交差点に向かい、通過後に車線D’上を交差点から遠ざかっていくものとする。同様に、車線E上を交差点に向かう車両Bの任意の1つのコースの中心線を、中心線Kとし、車両Bは交差点通過後に車線E’上を、交差点から遠ざかっていくものとする。このとき、点Hは中心線Jと中心線Kの交点として決まる。
【0040】
図2では、計測手順(4)は、車両Aから点Hまでの距離を中心線Jに沿って計測し、伝送手順(6)がこの情報を車線Eに伝え、現出手順(9)が中心線Kに沿って距離Lだけ点Hから車線Eに向かった地点の近傍に現出を実施していることが理解される。
【0041】
図3も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明している。図2でも説明したように、中心線Jと中心線Kは、一般に多く存在する。後の実施例でも述べるように、右左折および直進専用の車線などがある場合には、確かに、交差点手前で車両が走行車線によって直進や右左折の意思表示をでき、当該の中心線の本数は、多少は減る。しかし、このような直進や右左折専用の車線が用意されていない場合も多く、この場合、車両は一般的には方向指示器で意思表明をするしかない。そして、当該の方向指示器による意思表示をセンサーで読み取れないとするならば、結局は、車両が交差点に至るまで直進か右左折かの、どのアクションを採るかは分からない。
このため、前記の中心線の種類も、その分多くなる(なお、現状の技術水準を考慮するならば、方向指示器の表示をセンサーで読み取る技術の普及は難しいと言える。
ゆえに、できるだけ従来の技術水準を逸脱しないようにしながら課題を解決するため、基本的には方向指示器の内容をセンサーで読み取れないとの前提を置いて、実施の形態を紹介する)。図3は、前記の中心線の本数が多いような状況を図示したものであり、中心線Jを実線で、中心線Kを破線で示している。そして、それぞれの中心線毎に点Hが決まるので(本例の場合は車両Bが、交差点を左折する場合は車両Aとの衝突はあり得ない。このため、車両Bが左折する場合は点Hはない)、これをそれぞれ▲1▼〜▲5▼で番号付けする。そして、それぞれの点H毎に、現出手順(9)によって現出が実施される。それが、図中の▲1▼〜▲5▼で番号付けされた現出部分である。車両Bは、交差点にて当該の現出部分さえ踏まなければ、車両Aがどのコースを採ろうとも、衝突することは無い。なお説明の都合上、ここでは現出手順(9)は、それぞれの点H毎に個別に現出を実施するように描いている。だが実際上は、それぞれの点H毎の現出情報を現出手順(9)によって取りまとめ、当該のとりまとめが完了した後、一度に現出を行なってしまうことになるものと思われる。そして、この方が効率的である。
【0042】
次に、図4の説明を行なう。図4も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。図3では、現出先が、車両Aが走行する車線Dに対し、右の方から交差点に至る車線であった。図4では、現出先の車線が、車線Dに対し、交差点で対向してくるような場合を示したものでる。図4より分かるように、点Hは4つ想定され、その現出部分は図の通りとなっている。
【0043】
図5も、請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。図4では、現出先が、車両Aが走行する車線Dに対し、対向する方向から交差点に至る場合であった。図5では、現出先の車線が、車線Dに対し、左方向から交差点に至るような場合である。この場合は、図5より分かるように、点Hは5つ想定され、その現出部分は図の通りである。
【0044】
ここまでで、車線Dから交差点に至る車両Aに関する、本発明の適用を見てきた。そして、当該の現出により、車線Dとは違う方面から交差点に向かう車両Bは、交差点で車両Aを避けることが可能である。しかし、当該手順によって、既に課題は解決されるのだが、更に効率良く課題を解決するための請求項1記載の発明の実施形態として、全車線(コース)上の車両の存在に基づいた現出を、全コースに対して行なうというものである。つまり、ここまでで見てきた車両Bの存在に伴う現出も、車線Dに対して実施するのである。図6はこれを説明したものである。
【0045】
図6は、車線Dと車線Eとで、それぞれ車両Bと車両Aの存在に伴なう現出が実施された場合である。この実施の形態のポイントは、車両Aは車両Bの存在に伴う現出部分を避け、車両Bは車両Aの存在に伴う現出部分を避けることで、更に効率良く交差点での衝突回避が実施できるところにある。また、このようにすることで、当該2車両のどちらか一方が、交差点における衝突回避のための現出部分の回避を放棄する走行を行なったとしても、他方の車両は現出部分を通じて危険を把握できるので、充分に衝突の回避が可能である。
【0046】
図7は、図6で説明した内容を、更に発展させたものであり、全車線(コース)上の車両の存在に伴う現出を、全車線(コース)上に対して実施したものである。これにより、もはや当該交差点では信号機による交通整理は不要であり、車両は交差点内で現出部分を走行しないようにするだけで良い。なお、図7中のA〜F、H、およびJは、それぞれ車両を表わしている。
【0047】
図8は、請求項1記載の発明の実施の形態であり、これまでの十字路の実施形態ではなく、T字路の実施形態を示したものである。ここまでで述べてきたことは、T字路にも同様に適用できる。なお、図中のA〜F、H、およびJはそれぞれ車両を表わしている。そして、T字路だけでなく、十字路を越える五叉路以上の交差点でも、当該発明が同様に実施できる。
【0048】
続いて、図9であるが、これも請求項1記載の発明の実施の形態を説明したものである。特に、当図では、計測手順(4)と現出手順(9)の実施の形態を示している。
まず、赤外線センサーによって、車両の位置情報が取得されるとともに、これによって計測手順(4)が距離(3)を求める。続いて、当該の距離情報が、伝送手順(6)によって現出を実施するコースに送られる。現出を実施するコースでは、図にあるように、車線(コース)に沿うように配された複数の溝状の現出面(例えば、LEDといった発光体の利用が考えられる)にて現出が実施される。なお、現出面を溝状に配した理由は、路面全体に現出をするよりも電力消費の低減が期待でき、また上部に車両が走行しても重量崩壊しないためである。しかし、これらの問題を気にしなかったり、あるいはそもそも問題にならないのであれば、溝状にする必要性は無い。いずれにしても、計測手順(4)や伝送手順(6)、および現出手順(9)には、数多くの実施の形態が考えられるのである。しかしながら、赤外線センサーを用いた方法であれば、技術的に2輪車の感知も容易であるとともに、複雑な交差点内部での本発明の実施にも適している。少なくともこの点はメリットである。
【0049】
一方、他の方法の例を挙げるならば、路面自体に発光体を埋め込むのではなく、上部から照明を当てて現出する方法や、路面に蛍光物を配し、現出すべきタイミングにおいて、上部から紫外光を照射するという方法もある(いわゆるブラックライトによる作用であり、照射部分が発光し、これによって現出が認識されることになる。当該の現出方法に近い方法の詳細説明を後述している)。またさらに、現出方法として、図10に示す方法も考えられる。
【0050】
図10の現出方法は、現出面(図では溝状)に筒状の磁石を取り付けた比較的短い紐を配し、現出のタイミングで上方向に向けて送風すると共に電磁石で紐に取り付けた磁石を反発させ、紐を路面に対して垂直に立たせる。一方、現出しないタイミングでは、現出する時とは逆の極に電磁石を磁化させる。これによって現出しようというものである。
【0051】
一方、上記の赤外線センサー等による車両の位置情報取得や現出は、路面だけでなく、空間や側面(例えば車線の脇に配した壁など)、上面(例えば車線上に設置された屋根の部分や、トンネルの天井)を用いて実施するなどしてもよい。
【0052】
続いて、他の実施形態として、請求項1の計測手順(4)と伝送手順(6)、および現出手順(9)を、単純な方法で実施する形態を示す。図12と図13、および図14は、ここで述べる方法の計測手順(4)と伝送手順(6)を実施する形態である。まず図12は、現出元の車線(コース)を、その方向と垂直で、かつ水平な方向から見たものである。ポイントは、路面上部から紫外光を照射し、これを路面に埋め込まれた鏡で反射するとともに、路面上部で反射波を確保している点である。車両が存在すると、反射波の確保ができないことになる(なお、路面から直接発光させて、上部でこれを確保してもよい。あるいはまた、上部から発光し、路面で反射させずに、路面で集光してもよい。なお、ここで述べたいずれの形態も、この後の議論の本質への影響はない)。
【0053】
図13は、現出元の車線(コース)を、車線(コース)の方向から見たものである。紫外光の発光源と鏡、および受光部のセットを複数配することにより、路面の広い部分をカバーしている。
【0054】
図14は、計測手順(4)と伝送手順(6)、および現出手順(9)の実施のポイントを示した図である。まず、現出元の車線(コース)では、紫外光の受光部を図のように斜めに配した鏡面とし、この鏡面での紫外光の反射位置そのものを、車両の位置情報とする。そして、この位置情報を保存するように当該の反射波をさらに反射し、現出先の車線まで伝送する。なお、複数の車線に向けて伝送する場合は、ハーフミラーを使用し、当該の紫外光を分割する。現出先の車線(コース)では、図のように、再度、斜めに配した路面上部の鏡面に反射させ、これを路面上の蛍光塗料を塗った蛍光面に入射させ、発光させる。このようにして、現出先の車線(コース)上で、発光が無い部分が現出部分であることを認識することができる。この方法であれば、光の反射と蛍光物質の紫外光に対する発光作用のみを利用している為、単純であり、それゆえドライバーが安心して当該方法を利用できるというメリットがある。しかし、この方法では、交差点内部での計測手順(4)、伝送手順(6)、および現出手順(9)の実施が複雑となる。それぞれのコース毎に、これに沿った溝状の装置で発明を実施するなどの工夫が必要だからである。そのため、一つのやり方としては、交差点に至るまでは、ここで述べた実施方法を採用し、交差点内部では、赤外線センサーを用いて発明を実施してもよい。
【0055】
続いて、請求項2記載の発明の実施の形態を説明する。請求項2記載の発明では、現出部分の、現出先の車線(コース)の方向に対する形状と面積が、現出元の車両の移動によって変化しないことを規定している。これを踏まえ、交差点にて衝突しないようにするために最適な現出部分の領域を求め、本発明が実施できるような形態を、以下に示す。
【0056】
最適な現出部分を求めるため、初めに図15と図16を説明する。図15は、現出元の車両が交差点に向かって接近している状況である。ここで「コース」と言う文言をもって、交差点に至り、交差点を通過し、交差点から離れていく、一連の経路の全てをつなぎ合わせた車路を表現する(以降では、経路もコースと同義に扱う)。図15は、現出元と現出先のコースが、交差点通過後に合流しない場合を示した図である。そして、現出元のコースと現出先のコースの重なる部分を、領域βとして表わす。また、領域βから現出先のコースの中心線に直交する直線がコースによって切り取られた線分のうち、コースの進行方向に関して最も下流側に位置するものを、回避最後部制限線δ2と称する。一方同様に、最も上流側に位置するものを回避最前部制限線δ1と称する。
【0057】
引き続き図15についてであるが、現出元の車両を通り、コースの中心線に直交するとともに路面に平行な無数の直線のうち、最も当該軍両の最前部側に位置するものを考え、これがコースの境界線によって切り取られた部分の線分を最前部構成線γ1と称する。一方、同様に当該車両の最後部側を通る線分を最後部構成線γ2と称する。そして、当該の車線(コース)と最前部構成線γ1、および最後部構成線γ2で囲まれた領域を、領域αと称する。
【0058】
このとき、交差点において車両同士が衝突しないための十分条件は、現出先のコースを走行する車両が、交差点に至った時点で領域αを踏んでいないことである。この領域αの導入のメリットは、現出元の車両の形状をコースに沿った長方形のような形状(コースがカーブしているときはコース方向の辺もカーブするため、厳密には長方形ではないが)に均一化でき、本発明にかかる一連の方法を単純化できることである。一方、領域α導入の別のメリットには、現出元の車両が2輪車の場合にも、コースに垂直でかつ路面の平行な方向をコース幅いっぱいまで領域αを取るので、現出元が4輪車である場合同様に現出が実施できる点である。
【0059】
次に、図16の説明である。図16も、図15と同様、現出元の車両が交差点に向かって接近している状況であるが、図16では、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同じ車線(コース)上を走行する場合を示している。この場合も、領域αやこれを構成する最前部構成線γ1、最後部構成線γ2は図15と同様に決定されるが、領域βの決定には、次の点に注意する。すなわち、回避最後部制限線δ2の決め方であるが、両コースの中心線の方向が交差点通過後に一致した地点に、当該中心線に垂直で、路面に平行な直線を引き、この直線がコース境界によって切り出された線分をもって、回避最後部制限線δ2とするのである。図16中の領域βと回避最後部制限線δ2、および回避最前部制限線δ1は、前述の注意点を反映したものである。
【0060】
図17から図18にかけての説明である。図15と図16で、現出元のコースと現出先のコースの交差点通過後の車線が一致しない場合と一致する場合での、領域αや領域βの決まり方を述べたが、これらの領域が決まってしまえば、両コースの交差点通過後の車線が一致するか否かに関わらず、本実施の形態では、現出部分の決め方は一意であり、図17と図18はこの決定方法を説明している。
【0061】
図17では、まず上部の図で、現出元の車両が領域βに差し掛かった時点、具体的には、最前部構成線γ1が領域βに差し掛かった瞬間を表わしている。続いて、下部の図で、現出元の車両が領域βを通過した時点、具体的には、領域β上の全ての点から現出元のコースの中心線に下ろした垂線の足と当該中心線との交点のうち、最も現出元のコースの進行方向下流側に位置する地点を、最後部構成線γ2が通過する瞬間を表わしている。
そして、上部の図より示されることは、交差点において現出元の車両と衝突しないための十分条件が、上部の図の瞬間において、現出先のコースを走行する車両が回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの進行方向下流側に位置することである。
また下部の図より示されることは、交差点において現出元の車両と衝突しないための十分条件が、下部の図の瞬間において、現出先のコースを走行する車両が回避最前部制限線δ1よりも現出先コースの進行方向上流側に位置することである。
【0062】
図18は、図17で求めた十分条件を満たし、かつ請求項2記載の発明の実施要件を満たすような現出の実施を説明したものである。まず、図17の説明にて取り上げた前半の十分条件、すなわち、交差点にて現出先のコースを走行する車両が回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの進行方向下流側に位置するように仕向ける現出を考える。
これは、最前部構成線γ1を交差点に向けて現出元コースの中心線に沿って移動させ、領域βに重なり始めるまでの移動距離をL1とするならば、現出先のコース上の車両に対して、回避最後部制限線δ2を現出先コースの進行方向逆向きにL1だけ当該コースの中心線に沿って移動して得られた線分(以後、線分ω2と称する)よりも、コースの下流側を走行するように仕向ける現出を行なえばよい。
次に、図17の説明にて取り上げた後半の十分条件、すなわち交差点にて、現出先のコースを走行する車両が回避最前部制限線δ1よりも現出先コースの進行方向上流側に位置するように仕向ける現出を考える。
これは、最後部構成線γ2を交差点に向けて現出元コースの中心線に沿って移動させ、領域βを通過し終わるまでの移動距離をL2とするならば、現出先のコース上の車両に対して、回避最前部制限線δ1を現出先コースの進行方向逆向きにL2だけ当該コースの中心線に沿って移動して得られた線分(以後、線分ω1と称する)よりも、コースの上流側を走行するように仕向ける現出を行なえばよい。
よって、ここで求めた現出の要件を考慮するならば、図18にあるように、線分ω1と線分ω2、および現出先車線で囲まれた領域を現出部分にすればよい。
【0063】
なお、本実施例では、現出部分は現出元の車両の移動に伴って交差点に接近するが、回避最後部制限線δ2よりも、現出先コースの下流側では現出は実施ない。これは、回避最後部制限線δ2よりも現出先コースの下流側では、現出元の車両と衝突することがあり得ないからである(厳密には、現出部分が領域βに到達する時点で現出元の車両も領域βに至るから、現出部分が領域βに差し掛かった段階で現出をやめてしまうとしても良い)。
【0064】
また、本実施例のように現出部分を決定しつつも、安全のために、現出部分を現出先コースの方向に更に広めに確保するように実施することも有効である。
【0065】
ここからは、請求項3記載の発明の最良の実施の形態を説明する。この説明のため、図19を用いる。図19は、図18の実施の形態に、請求項3記載の発明の要素を組み込んだものである。本実施の形態では、現出元の車両の速度に伴って増大するその停止距離(急ブレーキを踏んでから停止するまでの距離)に比例した分の距離だけ、現出部分を現出先のコースの進行方向に増大させている。本実施例では、線分ω2の部分から増大させていること、および増大部分(図中の「現出部分(追加分)」と記された領域)の現出のさせ方と、元々の現出部分(図18で説明した現出部分)の現出のさせ方を変えている点がポイントである。
【0066】
まず、線分ω2から現出先のコースの進行方向に増大させている理由は、現出元の車両の速度の増加に伴い、現出先の車両が領域βで衝突されないようにするためである。更に言うならば、現出元の車両の速度に比例して現出部分を増やす理由は、現出元の車両の速度に比例して高まる危険を回避するところにあり、当該の現出元の車両の速度に比例して高まる危険とは、現出元の車両が高速であるがために緊急時の停止距離が伸びてしまうことに起因する危険であり、当該の緊急時の停止距離が伸びてしまうことに起因する危険とは、現出先のコースを走行する車両が、何らかの理由で領域βに留まってしまったときに、現出元の車両がその停止距離の長さから、止まりきれずに衝突してしまうと言う危険である。このため、本実施の形態では、現出先のコースを走行する車両が領域βで衝突されるというシチュエーションに対応する目的で、線分ω2から現出元の車両の停止距離に比例した分だけ現出部分を増大させている。
【0067】
また、速度に依存して増大する現出部分と、速度に依存しない現出部分の相違を認識できるように現出する理由は、次のようになる。すなわち、速度に依存する現出部分に依存する現出部分は、交差点内でこれを踏んでいても通常は衝突しないが、速度に依存しない現出部分は、これを踏んだ状態で領域βに進入すると衝突してしまうためである。
また、次のような事情もある。つまり、図19が図18の例を用いたものであることから来る事情であって、現出元の車両の速度(これを、ここでは速度Vと称する)に依存して現出先のコース上での現出部分を拡大する一方で、現出元のコース上に対する、現出先のコース上を走行する車両に起因する現出の現出部分が、Vに依存しないのである。
これ故に、現出先のコース上を走行する車両(これをここでは車両Bと称する)が、速度に依存して追加された現出部分を踏んでいるにもかかわらず、現出元の車両は車両Bによる現出部分を踏んでいない、と言う状況が発生し得るのである(この状況を、以後、状況Sと称する)。そのため、踏んでいても通常は衝突の起こらない追加の現出部分は現出先に対する警告表示とする一方で、元々の現出部分は、これを踏んだ状態で領域βに至ると衝突してしまうことから危険表示とする、という区別が必要なのである。また、このようにすることで、状況Sが発生するとしても、より効果的に課題が解決されると言える。
【0068】
なお、請求項3記載の発明は、無線の速度探知機の設置等による速度観測の実施により、実現できる。
【0069】
図20と図21は、請求項4記載の発明の実施の形態の例を説明したものである。
なお、本例でも、請求項3の説明のときと同様、図18の状況を基準として用いる。
つまり、図20にも示されるように、まずは図18による方法で現出を行ない、同時に、請求項4記載の発明による追加の現出部分を求め、元々の現出部分に追加する方法である。なお、やはり前記の状況Sが発生することから、元々の現出部分と追加の現出部分とで、これらの相違を認識できるように現出するものとする。
【0070】
そしてここでは、請求項4記載の発明の実施の形態として、現出元の車両の速度をV、加速度をUとし、交差点近傍でこれを継続的に観測すると共に、UとVの単調増加関数F(U,V)=(U÷U0)+(V÷V0)を採用して(U0とV0は、経験等に基いて予め決められた加速度および速度の定数値。これにより、関数Fを無次元化する)、発明を実施する。つまり、得られたU、Vを基に関数Fを継続的に演算し、この最大値を監視する。そして、最大値が発生したら、現出部分を増大させる。図21は、関数Fの推移を例示したものである。図21より、観測開始(領域βから150m地点)から140m地点まではFは最大値を更新し続けており、その間は現出部分の増大が続く。その後、Fは一旦小さくなるが、現出部分の増加分は維持される。そして、Fは再び増加に転じ、85m地点で再度最大値を更新する。この最大値更新は75m地点まで続き、その間は現出部分が増加し続ける。そして、一旦増大した現出部分はそのまま維持され、領域βに至る。
【0071】
なお、ここでの実施の形態でも、図19の実施の形態同様、現出部分の増加は、線分ω2から現出先のコースの進行方向に向かって広がっていく。このようにする理由は、次のようになる。すなわち、現出元の車両に、高速度時における高加速は、現出先のコースを領域βに向かって走行する車両にとって、衝突される危険性が高まる走行行為である。このような走行行為を、現出先のコース上を走行する車両に認識させるため、現出部分を追加するのである。加速度および速度の計測は、加速度センサーおよび速度センサーによって実現する。また、ここでも同様に前記の状況Sが発生するので、拡張した部分の現出方法と、元々の現出部分を区別できるようにする。
【0072】
請求項5記載の発明の実施の形態を説明する。請求項5記載の発明においては、交差点内で各方面から交差点に至った各コース上の現出部分を、少なくとも交差点上で判別できるようにすることを述べている。まず、当該発明の意義を、図22をもって説明する。図22では、車両A、車両B、および車両Cが交差点に向かい、それぞれ現出が実施されている。仮にそれぞれの現出部分が全く同じ形態であったならば、車線E上の車両Bは、車線D上に現出された車両Cの存在による現出部分が、自車両(車両B)に向けられた現出部分であると勘違いしてしまう恐れがある。そして同様に、車両Aと車両Bによる車線M上への現出部分も、車両Aが自分に向けられた現出であると勘違いしてしまう恐れがあるのである。
【0073】
そこで、図23に示す実施の形態を説明する。図23では、現出部分を常にコースに沿った溝状の発光部によって構成していることが特徴であり、これにより、それぞれのコースを走行する車両は、自身が認識すべき現出部分を判別できる。本実施の形態では更に、コースによって発光の色を青、赤、黄色というように変化させている(ここでは青、赤、および黄色を用いているが、他の色を用いても良い)。
これによっても、当該の判別を容易にすることができる。なお、交差点内では多くのコースが交じり合い、これに伴ってそれぞれのコースに沿って配された発光部を組み込んだ溝も、交じり合う。この際、溝の交点部分は、平均交通量の多いコースの溝として発光させても良いし、節として発光させないでも良い。
【0074】
次に、図24を説明する。図24は、請求項6記載の発明の実施の形態を示したものである。図中、A〜C、P、Q、R、Tは交差点に向かう車両を表わしている。
図にある交差点内の破線は、交差点内におけるコースの経路を示したものである。
図より分かるように、本例では、当該交差点で右折した車両は、交差点通過後は必ず最もセンターライン寄りの車線を走行するものとしている。
【0075】
まず、車両Aの存在に伴う現出が実施されるコースを求める。車両Aは左折専用の車線上を走行しているので、交差点内で衝突し得るコースは車線12Lを含むコースのみである。よって、車両Aの現出は、車線12Lを含むコース上で実施される。
次に、車両Bの存在に伴う現出が実施されるコースを求める。車両Bは直進専用の車線を交差点に向かうため、このようなコースと交点を持つ他のコースを全て求めれば良い。そして、このような車両Bの採るコースと交点を持つコースは、車線8L,9L,10L,11L,12L,13Lを含むコースである。よって、これらの車線を含むコース上において、車両Bの現出が行なわれる。車両Cの現出も同様である。車両Cの現出は、車線8L,9L,10L,11L,12L,13L,14Lを含むコース上にて実施される。そして、車両Pの現出は、車線6L,7L,10L,11L,12L,13L,14Lを含むコース上にて実施される。
【0076】
一方、車両Qの現出については注意が必要である。車両Qは直進もしくは左折が可能な車線を走行する。従って、これらのそれぞれの場合について、交差点内で交差する他のコースを洗い出すとともに、最終的にこれらの交差するコースの全てに対して現出を実施する。まず、車両Qが交差点に至り、左折するコースの場合は、これに交わる他のコースは車線2Lから来るコースのみである。従って、車線2Lから至るコース上で、車両Qの現出が実施される。次に、車両Qが交差点で直進する場合のコースを考える。この場合は車線2L,3L,5L,6L,7L,8L,14Lから至るコースが交わる。従って、これらの車線を含むコース上でも車両Qの存在に伴う現出が実施される(車両Qが左折する場合、直進する場合のいずれにおいても、車線2Lからのコースは交わっている。この場合は、本例においては、車両Qのそれぞれのコース毎に現出部分を決定し、その結果をマージして車線2L上に現出するものとする)。
【0077】
続いて、車両Rおよび車両Tについても交わるコースから現出先を求める。車両Rの現出は、車線2L,3L,4L,6L,7L,8L,14Lを含むコースで実施され、車両Tの現出は、車線2L,3L,4L,7L,8L,12L,13Lを含むコースで実施される。結果は図24の通りであり、車線1Lを含むコース上への現出はない。
【0078】
図25を説明する。図25は、請求項7記載の発明を実施するための形態例を示したものである。なお図25では、図24において扱った交差点をそのまま流用して用いており、図中のA,P,T,W,Xは車両を表わしている。また本図では、説明の都合から、車線11Lから交差点に向かう車両Tによる現出のみが示されている。
【0079】
図25では、車両Tの存在に伴い、車線2L,3L,4L,7L,8L,12L,13Lを含むコースに現出が行なわれようとする。しかし、図に示されている通り、車線2L,3L,4Lを含むコース上には現出が行なわれない(他のコース上には現出が行なわれている)。
これは、図に示した現出部分の近傍領域(車線1L,2L,3L,4L上の細かい斜線の付いた四角い領域)に車両が存在しないためである。なお本実施例では、仮に車線1L,2L,3L,4Lのいずれかの当該近傍領域に車両が存在する場合には、車線2L,3L,4Lを含むコース上への現出は全て実施されるものとしている。このことは、車線7Lと車線8L上の車両Tによる現出の実施が、車線6L上を走行する車両Xの存在に拠るものであることより理解される(また、車線12Lと車線13L上の現出が、車線13L上の車両Wによるものであることからも理解される)。なお、交差点に向かうそれぞれの方面では、車両が度々車線変更を実施する。このため、ある方面の前記近傍領域に1台でも車両が存在した場合には、その方面の、車両Tの現出が行なわれるべき全てのコース上において、車両Tの現出を実施する。このことは、車線6L上の車両Xが、そのままのコースであれば車両Tと衝突しないにもかかわらず、隣の車線7L上には現出対象の部分が存在するため、前記の近傍領域に指定され、さらに車両Xが当該領域上に存在するため、当該方面の現出対象の部分は、全て現出が実施されるのである(車両Xが隣の車線7Lに車線変更する際に、車線7L上に既に現出部分があることで、車両Xのドライバがこれを認識した運転操作を実施でき、安全性の向上に繋がる)。なお、車線5L上には前記の近傍領域は存在しない。これは、最寄りの現出対象の車線7Lまで、2車線以上(ここでは2車線分であるが、本実施例では、2車線以上はなれている場合には、前記の近傍領域を設定しないとしているため、「2車線以上」と表現した)離れているためである。
【0080】
図25の構成は、例えば赤外線センサーによる車両の存在検知を利用すれば実施できる。
【0081】
図26の説明である。 図26は、請求項8記載の発明の実施の形態例を示したものである。ポイントは、演算手順(12)にて使用する演算の関数系として、F(V0,V1)=(V0−V1)÷Vbを採用していることである(Vbは予め経験的に決定しておく基準速度であり、正値である)。確かに、現出元の車両の速度V0に関して単調増加であり、車両(10)の速度V1に関しては単調減少となっている。ここでの演算結果を記憶するとともに、現出部分拡張手順(13)が記憶した前記の演算結果を取り出し、正値ならば、これに比例した分の距離だけ現出部分を拡張する。そして、ここで述べた一連の手順は、常に繰り返し実行される(車両探索手順は、一度車両を見つけたら繰り返し実行する必要は必ずしも無いが、本実施の形態では、車両探索手順も含めて繰り返し実行する)。また、現出部分の拡張においては、前記の状況Sの状況となっているため、少なくとも、交差点内において踏んでいたら衝突してしまうような現出部分とは、現出の仕方を区別できるようにする。なお、車両探索手順における探索範囲は、原則、経験的に決めるものとする。
【0082】
更にまた、請求項7記載の発明においては、現出は必ずしも実施されるとは限らない。そこで、前記の車両探索手順の探索範囲を次のように決める。すなわち、請求項7記載の発明における、現出が実施されるために車両が存在しなければならない、現出対象の部分の近傍領域の内部とするように決めるのである。
【0083】
請求項8記載の発明は、コンピュータの利用と赤外線センサーによる車両の探索、および速度センサーによる速度計測技術によって実装可能である。
【0084】
図27を説明する。図27は、請求項9記載の発明の実施の形態の例を示したものである。図中、現出元の車両から交差点までの距離であるx2は、請求項(1)記載の距離(3)に相当するものである。また、現出元の車両の図の時点における速度は、v2である。また、現出先の車線については、次のようになっている。つまり、現出が開始される地点が図のように配されており、当該の地点から交差点までの距離がL3である。
【0085】
ところで、請求項9記載の発明では、現出先の車線上における現出部分の速度を、可能な限り平準化された速度に近付ける方法を示したものである。ここでは、「平準化された速度」を、現出先の車線の制限速度U3をもって、平準化された速度とする。つまり、現出部分が制限速度で移動すれば、現出先の車両も自然に制限速度と同程度の速度で走行するようになり、安全性が高まるのである。
【0086】
このとき、本発明を実現するため、当該の実施の形態では、コンピュータによる処理を用いる。図中に示されたフロー図は、当該処理を表わしたものであり、現出判断手段と称する。そして当該の処理は、図中の現出元の車線上の現出判断手段開始地点から開始される。当該処理は、まず現出元の車両の速度v2と交差点までの距離x2を計測する。続いて、その時点の速度で、現出元の車両(2)が交差点までどれほどの時間で至るかを求めるため、x2÷v2を演算する。続いて、当該の演算結果と、予め記憶媒体に格納されていたL3÷U3を取り出し、前記x2÷v2と大小比較を行なう。なお、L3÷U3は、現出先の車線上の現出開始地点から、当該車線の制限速度で交差点まで走行した場合の所要時間である。故に、ここでの大小比較は次のような意味である。すなわち、現出元の車両が交差点から遠く、x2が大きいときには、x2÷v2>>L3÷U3となっていることが予想される。つまり、この段階ではまだ、現出元の車両が交差点に至るまでの時間は、現出先の車線上を、現出開始地点から制限速度で交差点に向かって走行した場合の所要時間よりも大きいのである。
【0087】
しかし、現出元の車両が交差点に近付いてくると、交差点までの所要時間、つまりx2÷v2が小さくなってくる。そして、これがL3÷U3と一致した時点で、現出元の車両が交差点まで至るのに要する時間と、現出先で、現出開始地点から交差点まで制限速度で至るのに要する時間が一致するのである。そこで、この時点ではじめて、現出開始地点の近傍に現出を実施する。
【0088】
なお、現出判断手段は常時サイクル的に実行されている。現出開始地点での現出後は、次のように処理が行なわれる。すなわち、現出元の車両について、x2とv2を計測し、これを基に交差点までの所要時間x2÷v2を演算によって計算する。そして、得られた現出元の車両が交差点までに要する時間をかけて、現出先の車線の制限速度で移動できる距離を求め、ここで求めた距離の分だけ交差点から現出先の車線上を進行方向逆向きに進んだ地点の近傍を現出させるのである。そして、さらにこの処理を繰り返すことにより、現出部分が交差点に近付いていく。
【0089】
本発明のポイントは、次のようになる。つまり、少なくとも現出開始地点では、現出部分の移動速度を、現出先の制限速度に一致させることができるのである。現出部分が現出開始地点を出発した後は、現出元の車両が速度を変化させないで交差点に近付いていけば、現出部分の速度は制限速度のまま移動することになる。現出部分を走行する車両からすれば、現出元の速度の増加により、現出開始地点以降、現出部分の速度が速くなったとしても、少なくとも現出開始地点では制限速度に一致していたわけであり、運転操作にムラが無くなり、運転操作が楽に実施できるようになる。
【0090】
なお、図27中の危険フラグについてであるが、これは当初は危険状態を表わすONの状態となっている。しかし、現出開始地点から現出が実施されると、当該のフラグを、危険でないことを示すOFFの状態に移行させるのである。これは例えば、現出元の車両がものすごく高速で走行している場合の対応である。つまり、現出判断手段が開始される現出判断手段開始地点の段階で、高速であるがために、x2÷v2がすでにL3÷U3を下回っていた場合には、現出開始地点よりも交差点側に、突然現出部分が現れてしまうのである。これでは危険なので、前記の危険フラグを用い、現出開始地点から正常に開始された現出部分のみ現出を実施し、現出開始地点以降に現出が現れようとする場合には、何らかの警告を現出先の車線に対して実施するものである。
【0091】
また、請求項9記載の発明では、現出部分は、請求項1から8のいずれか1項記載の発明によって実施されるものとしており、所定の範囲(8)等への言及は行なわない。これは、請求項9記載の発明が、現出部分の構造に関するものではなく、現出部分が全体としてどのように振舞うかについて規定した発明だからである。また、ここでの議論において、「交差点までの距離」とは、「点Hまでの距離」に等しいものとする。
【0092】
なお、図27に示した実施の形態は、赤外線センサーなどによるx2やv2の採取が有効である。また、コンピュータを用いた処理が実行されます。
【0093】
次に請求項10記載の発明の実施の形態を説明する。ここで取り上げる例は、現出部分を発光させるとともに、現出元の速度に伴って発光の色を変化させるやり方である。ただし、交差点内で色々なコース上の現出が混同されない様に、それぞれのコースは、例えば互いに青系、赤系、緑系、黄色系等と決め、これらの色の系統をコースの特徴とすると共に、色の濃さなどをもって、現出元の車両の速度を表現する。また、本発明における速度の計測手順は、速度センサ等によって実施可能である。
【0094】
次に請求項11記載の発明の実施の形態を説明する。ここで取り上げる例は、現出部分を発光させるとともに、現出元の加速度に伴って光の強さを変化させると言うやり方である。ただし、交差点内で色々なコース上の現出が混同されない様に、それぞれのコースは、例えば互いに青系、赤系、緑系、黄色系等と決め、これらの色の系統をコースの特徴とすると共に、発光の明るさをもって、現出元の車両の加速度を表現する。また、本発明における加速度の計測手順は、加速度センサ等によって実施可能である。
【0095】
請求項12記載の発明は、その特徴の多くが請求項8記載の発明と共通するため、ここでの実施の形態も、請求項8との対比によって論ずる。すなわち実質的に、請求項12記載の発明の実施の形態は、請求項8記載の発明の実施の形態とは、現出部分を延ばすか、あるいは目立たせるようにするかの違いである。
【0096】
請求項13記載の発明の実施の形態を説明する。本発明は、現出元の車線が勾配を下る場合に、現出部分を拡張するというものである。具体的には、計測手順(4)が開始される地点から、交差点に至るまでの区間について、全体として勾配を下ることとなる場合には、その平均勾配に比例して現出部分を、線分ω2から現出先の車線の進行方向に拡張する。このようにすることで、下り勾配であるがために、高い位置エネルギーを有した現出元の車両(2)から衝突を受ける危険性を低めることができる。
【0097】
請求項14記載の発明の実施の形態を説明する。本発明は、交差点が近付くにつれ、現出部分を拡張していくというものであり、これによって安全性を高めようというものである。
【0098】
図28は、請求項15記載の発明の実施の形態を示したものである。当図では、大きな道路と小さな道路が交差する交差点を示しており、大きな道路の方が小さな道路よりも優先度が高い。また、右折は直進や左折よりも優先度が劣るが、大きな道路からの右折は、小さな道路からの交差点進入よりも優先されるものとする。このとき、図よりわかるように、優先度の低いコース上に優先度の高い車両、すなわち車両Aの現出が行われる際は、現出部分の周囲が赤く囲まれ、車両Aの方が優先されることを明示していることが分かる。
同様に、直進や左折が右折よりも優先されるがために、大きな道路上の車線でも、車両Aの走行する車線に対向してくる方面から右折してくるコース上には、車両Aの存在に伴う赤い枠の付いた現出が行われている。そして他方、優先度の低い、小さな道路から交差点に向かう車両Bの存在に伴う現出部分には赤い枠が無く、これゆえに、車両Bの方が優先度が低いことを、車両Aが認識することができる。なお、本実施の形態では図示していないが、最良と考え得る実施の形態においては、優先度が同じ場合でも、現出は互いに赤枠付きの現出を実施するのがより安全であると言える。
【0099】
図29から図36は、請求項16記載の発明の実施の形態を説明するためのものである。ここでは、典型的な十字路の場合において、考え得る交差パターン毎に、本発明で示す最低限現出が必要な領域を図示している。図より分かるように、現出範囲は現出元の車両の進行方向の長さと車線の幅員の和より大きいことが多く、現出部分は大きく感じられる。しかしながら、従来の車両の走行での先行車両との走行間隔の大きさを考慮するならば、ある現出パターンを除けば、問題ない範囲の大きさであると考えられる。むしろ、従来の先行車両との走行間隔を、本発明における現出部分の回避に利用しているとも言え、合理的である。ここで、上記の「あるパターン」についてであるが、これは図32と図33のパターンである。右折と対抗する直進のコースの交わりに関する現出は、異常に広範囲に渡ってしまうのである。これは、右折車線は、交差点通過時に交差点を斜めに横切ることから来るものである。この問題を解決するための一つのやり方として、現出元の車両の進行方向と垂直でかつ路面に平行な方向の大きさや位置を、現出範囲の決定に組み込むという方法がある。これまでのやり方では、現出部分の決定時に、現出元の車両の進行方向に垂直で路面に平行な方向の大きさを、車線幅としてオーバーに計算してきたため(つまり、現出元の車両が占める領域を領域αとして拡大して考えてきたため)、現出部分が大きくなってしまう傾向があったのである。
【0100】
一方、もう一つの解決方法は、請求項16の発明で示された、本発明による方法と従来の信号機による交通整理方法の折衷案である。具体的な実施例を挙げるならば、次のように成る。すなわち、右折専用の車線が存在する十字路の交差点に信号機が設置されており、この信号は、自由に直進および左折することを許可するパターンと、自由に右折することを許可するパターンの2通りのみで構成されるようにするのである。この方法では信号機の排除には至らないが、信号機のパターンをたった2パターンにしたため、確実に、従来よりも信号待ちの時間を短縮することが可能である。なお、当該方法においては、信号待ちのときは、互いに現出部分を避けながら停止するようにする。また、左折専用の車線がある場合には、前記の信号機は、直進のみを自由に行えるパターンと、左折と右折を自由に行えるパターンで構成することもできる。これは、左折と直進を同時に扱う先の方法では、左折車の左折直後における減速が、危険をもたらす可能性があるからである。一方、右折と左折は、もしも車線数が多い交差点ならば、互いに交差点通過後に同一のコースとならないように誘導することが可能であるし、またそもそも右折と左折では、現出部分の領域面積が小さい傾向があり、合理的だからである。そして、右折も左折も、共通して交差点通過直後に減速する傾向があることから、直進と組み合わせるよりも危険が少ないのである。
【0101】
なお、上記の請求項16の発明の実施の形態での説明では、十字路を用いたものを示したが、実際にはT字路や、五叉路以上の交差点などでも適用可能である。
【0102】
請求項17の記載の発明の実施の形態は、次のようになる。すなわち、方向指示器連動手順は、予め車内に設置された車載装置によって実施する。当該の方向指示器連動手順は、伝送手順(6)に対し、方向指示器が示した経路(コース)上を走行すると言う前提に立って、現出を実施するコースを導出するように指示を出す。続いて、当該の指示を受けた伝送手順(6)は、方向指示器が示す方向へのコースを取った場合に、衝突の回避が必要となるようなコースに対してのみ、現出が実施されるように伝送を行なうのである。
【0103】
請求項18の記載の発明の実施の形態は、次のようになる。すなわち、カーナビゲーションシステム連動手順は、予め車内に設置された車載装置によって実施する。
カーナビゲーションシステム連動手順は、伝送手順(6)に対し、カーナビゲーションシステムが誘導している経路(コース)上を走行すると言う前提に立って、現出を実施するコースを導出するように指示を出す。続いて、当該の指示を受けた伝送手順(6)は、カーナビゲーションシステムが示す方向へのコースを取った場合に、衝突の回避が必要となるようなコースに対してのみ、現出が実施されるように伝送を行なうのである。
【0104】
請求項19記載の発明の実施の形態は、例えば次のようになる。すなわち、現出手順(9)の構成として、ドライバが視認できるような現出に加え、現出部分一体だけに、微弱な電波を発する機能も付加するのである。例えば、当該電波を路面から垂直方向に発すれば、現出部分一帯のみに信号を送ることが可能である。続いて、車両に搭載された車載装置が当該の電波を受信した場合を考える。つまり、車載装置が、現出部分を踏んでいることを感知したことになり、このとき、車載装置は警告音や音声案内でドライバに通知したり、あるいは、ブレーキ等を自動制御し、現出部分からの回避図るようにするのである。
【0105】
さらに、当該の車載装置が、地図情報に関するデータベースを有し、かつGPS機能によって現在位置を把握できる場合には、当該発明の実施の形態として、次のようにすることも可能である。すなわち、当該の車載装置により、交差点までの距離が把握できる訳であるから、現出部分を踏んでいても、交差点までまだ距離がある地点においては、音声案内だけでの警告を行なうようにする。しかし、これよりも交差点に近付いた場合には、現出部分を踏んでいる場合にブザーを鳴らしてドライバーに回避を呼び掛けるものとする。しかし、さらに交差点に近付いた段階で現出部分を踏んだ場合には、ブレーキやクラクション、ハンドル操作等の自動制御をもって、現出部分の回避を実施するようにするのである。
【0106】
請求項17と18、および19は、車載装置の搭載を前提とした発明であるが、このような車載装置を前提とした発明は、あくまで本願発明の解決手段に対して、補助的な位置付けであることに注意が必要である。すなわち、請求項17や18、および19で示された発明を実現するような車載装置を搭載していれば、より効率的に、そしてより安全に本願発明の実施が可能ではあるが、本願発明が提示する課題に対して、必須の技術ではないのである。例えば、方向指示器に示されたドライバの意思表明を、伝送手順(6)に伝達できなかったとしても、本願発明が、別の所で指し示した提案内容を用いれば、問題なく課題が解決されるのである。
【0107】
請求項20記載の発明の実施の形態を説明する。すなわち、現出部分の位置を、交差点から距離(3)の単調増加関数(本例のように同一の交差点においても、その方面や車線によって、関数形を変えるようにしても良い)で求まる距離の位置とするが、この位置の決め方を例えば次のようにする。つまり、優先道路上への現出は、交差点に近付くにつれて現出部分の速度を遅くするようにし、一方の非優先道路の方は、交差点に近付くにつれ、現出部分の速度が速くなるようにするのである。これにより、優先道路からの車両は高速を維持するが、非優先道路からの車両は、現出部分の速度が速いために付いていけず、現出部分が減り、ある程度安全になってから交差点に進入するようになるのである。このような現出部分の動きを実現するためには、その車線や方面において実施したい要素をもって、前記の単調増加関数を適切に決定することが必要である。
【0108】
請求項21から24記載の発明は、ここまでで述べてきた実施の形態を、実現するような装置に関するものなので、ここでは省略する。
【0109】
請求項25記載の発明は、本願発明により、車両に対し、側面から衝突される危険性の高まりに対応したものである。例えば、側面の壁を厚くしたような車体や、側面の遊び(空間を広めに設けること)を広くとり、衝突時の衝撃の吸収を高めるような車体の提案などがある。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、信号機による交通整理、および立体交差道路による交通整理の代替手段として、新しい産業分野の創出契機野位置付けで利用される。
【0111】
図11は、本発明で用いられる、現出手順(9)の一形態を示したものである。具体的には、現出に、ホタルイカの発光を利用している。つまり、路面下部にホタルイカの養殖施設を配し、路面には溝状の窓を設けて水槽が見えるようにする。図に示す通り、水槽の底部は鏡面となっている。このとき、もし現出のタイミングとなった場合は、水槽上部に灯りが点く仕組みとする。すると、ホタルイカは、その強い走光性(光に向かっていく習性)により、灯り周辺の現出部分に集まる。同時に、ホタルイカは、その習性により水槽の底に向かって発光する。その結果、当該の発光は底部の鏡面に反射され、この反射波が、路面上の窓から発することとなる。そしてこれにより、ドライバーは、現出を認識することになる。
【0112】
実のところ、ホタルイカの養殖は、現時点ではまだ実現しておらず、図11に示す現出は実施はできない。しかし、少ない電燈の灯りでホタルイカの強い発光を得られること、養殖施設を利用しているため、食糧確保につながる点が、大きなメリットである。将来の利用分野として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、課題である衝突の回避をどのようにして実現しているかのポイントを示したものである。
【図2】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における直進や右左折の別を考慮した現出を行なうためのポイントを示したものである。
【図3】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が右側から交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図4】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が対向するように交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図5】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両が交差点にて直進や右左折のいずれを行なっても衝突しないようにするための現出のポイントを示したものである。なお当図では、十字路において、現出元車両の進行方向に対し、現出先車線の進行方向が左側から交差点に接近する向きである場合を取り上げている。
【図6】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、関係車両同士が、互いに現出を行なっている様子を示したものである。
【図7】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、十字路における全ての車線で現出を行なった場合を示している。
【図8】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、T字路における全ての車線で現出を行なった場合を示している。
【図9】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)と伝送手順(6)の実施方法の例を示している。当図ではまた、現出そのものの実現態様も例示している。
【図10】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出そのものの実現態様として、路面から物体(紐)を隆起させること形態を例示している。
【図11】産業上の利用可能性を説明するための図であり、特に、現出手順(9)の実施に、ホタルイカの発行を利用しようと言うものである。
【図12】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)を、現出元の車線と垂直で、路面と平行な方向から示したものである。
【図13】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)を、現出元の車線および路面と平行な方向から示したものである。
【図14】請求項1記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、計測手順(4)と伝送手段(6)、および現出手段(9)を単純な方法で実現するための原理を説明したものである。
【図15】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同一車線に合流しない場合における、当該発明の説明のための用語等を示したものである。
【図16】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元のコースと現出先のコースが、交差点通過後に同一車線に合流する場合における、当該発明の説明のための用語等を示したものである。
【図17】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における衝突の回避を実現するための十分条件を、交差点に現出元の車両が到達した時点に焦点を当てて示したものである。
【図18】請求項2記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出位置の導出方法を例示したものである。
【図19】請求項3記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度に応じて現出部分が増大している様子を示したものである。
【図20】請求項4記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度と加速度に応じて現出部分が増大している様子を示したものである。
【図21】請求項4記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両の速度と加速度の継続的監視により、速度と加速度の単調増加関数が、どのタイミングでどの程度最大値を更新するか、モニターしている様子を示したものである。
【図22】請求項5記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点における現出形態が、各コース毎に判別できない場合の様子を示したものである。
【図23】請求項5記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、交差点内でそれぞれのコース上の現出部分を判別できるように対応した様子を示したものである。
【図24】請求項6記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元の車両が走行する車線の用途(直進、右左折の別)に基いて現出先が決定される様子を示したものである。
【図25】請求項7記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出対象の部分近傍における車両の存否次第で現出の実施/未実施が決まる様子が示されている。
【図26】請求項8記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出元と現出先の車両の速度と、現出部分とこれを避ける車両の位置関係により、どのように現出部分が追加されるのかを示したものである。
【図27】請求項9記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、現出部分の移動速度の初速度を、全て当該車線上の制限速度に一致させる方法を示したものである。
【図28】請求項15記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、優先度の低い車線上への、優先度の高い車線上の車輛の現出が実施される際の現出の判別例を示したものである。
【図29】〜(図36)請求項16記載の発明の実施の形態を説明した図であり、特に、本発明の実施の形態で示された現出部分の領域の広さを、それぞれ直進、左折、右折のそれぞれのコースの組み合わせ毎に、示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点(1)に向かう車両(2)の、交差点(1)までの距離(3)を計測する、計測手順(4)と、該計測手順(4)によって計測された距離(3)の情報を、前記交差点(1)に前記車両(2)と違う方面から向かう車線(5)に伝送する、伝送手順(6)と、伝送手順(6)によって前記車線(5)に送られた距離(3)を基に、該車線(5)上の、前記交差点(1)から距離(3)の地点(7)近傍の所定の範囲(8)を、目視で認識できるように印す、現出手順(9)と、から成ることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項2】
前記所定の範囲(8)は、車両(2)が占める路面方向の領域によって決するとともに、車両(2)から交差点(1)までの距離には依存せず、かつ、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)を踏んでいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように決せられることを特徴とする、請求項1記載の交通整理支援方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の交通整理支援方法において、さらに、前記車両(2)の速度を計測する速度計測手順と、前記速度計測手順によって得られた速度を、事前に設定された、所定の単調増加関数に入力し、演算する、拡張領域導出手順と、を有することを特徴とし、ただし、所定の単調増加関数とは、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)にいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように、当該範囲(8)の拡張領域を導出するものであることを特徴とし、拡張領域導出手順によって得られた拡張領域をもって、請求項1または2記載の現出部分を拡張する、拡張実施手順を有することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、さらに、前記車両(2)の加速度を計測する加速度計測手順と、前記加速度計測手順によって得られた加速度を、事前に設定された、所定の単調増加関数に入力し、演算する、加速度考慮時拡張領域導出手順と、を有することを特徴とし、ただし、当該の所定の単調増加関数とは、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)にいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように、当該範囲(8)の拡張領域を導出するものであることを特徴とし、加速度考慮時拡張領域導出手順によって得られた拡張領域をもって、請求項1または2記載の現出部分を拡張する、加速度考慮時拡張実施手順を有することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項5】
現出手順(9)は、少なくとも交差点内においては、複数の走行経路上の現出を、目視で区別できるようにすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項6】
伝送手順(6)は、車両(2)が交差点到達前に走行する車線が示す、交差点通過後に到達可能なあらゆる車線までの経路に基づき、衝突回避のための現出を実施する必要がある車線にのみ現出のための情報を伝送することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項7】
現出手順(9)は、現出先の方面において、現出部分近傍の所定の範囲内に車両が存在するときのみ実行することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項記載の現出部分から、または請求項7記載の現出対象となる部分から開始し、それぞれの現出先の経路毎に実施するような探索であって、かつ、当該の現出先の経路上を、その進行方向逆向きに、所定の範囲内について車両が存在するか探し、最寄りの車両のみを抽出するような探索である、車両探索手順と、当該車両探索手順によって探索された車両(10)に関し、その速度を計測するとともに、現出元の車両の速度も計測する、現出元及び現出先車両速度計測手順(11)と、計測したこれらの速度を、車両(10)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関して単調増加する所定の関数に代入し演算する、速度効果演算手順(12)と、得られた結果が正の場合のみ、これに比例する距離だけ現出部分の進行方向側を拡張する、現出部分拡張手順(13)と、を付加したことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項9】
請求項1から6、もしくは8のいずれか1項記載の、現出が開始される地点における現出部分、もしくは請求項7かまたは8記載の現出対象の部分の初速度を、予め決めた、現出先の車線に固有の一定の速度になるようにすることを特徴とし、これゆえ、交差点(1)から現出部分までの距離を、距離(3)の近傍に固定しないようにすることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、車両(2)の速度を計測する速度計測手順がなければ、新たにこれを付加し、また、現出手順(9)は、当該の速度計測手順によって得られた速度に伴い、現出方法を変化させることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、車両(2)の加速度を計測する加速度計測手順がなければ、新たにこれを付加し、また、現出手順(9)は、当該の加速度計測手順によって得られた速度に伴い、現出方法を変化させることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項12】
請求項1から6、もしくは9から11のいずれか1項記載の現出部分、もしくは請求項7、または9から11のいずれか1項記載の現出対象の部分において、請求項8記載の車両探索手順がなければこれを追加し、また、当該車両探索手順によって車両(16)が見つかった場合に、その速度を計測するとともに、現出元の車両の速度を計測する、速度計測手順がなければ、これを追加し、また、これらによって得られた速度に関し、車両(16)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関しては単調増加するような、予め決められた所定の関数に代入し演算する演算手順(14)と、得られた結果が正の場合のみ、これに比例する度合だけ現出部分を強調して現出する現出部分強調手順(15)と、を付加したことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項13】
現出元の車線が、現出を開始してから交差点に至るまでの区間において、全体として勾配を下ることとなる場合には、当該区間の平均勾配の大きさに伴って、現出部分を現出先の経路の進行方向に向かって引き延ばすことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項14】
現出手順(9)は、交差点までの距離(3)が小さくなるとともに、その現出部分を拡張することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項15】
現出手順(9)は、現出元の車線と現出先の車線の優先関係を車両の操縦者に認識させることを目的に、その現出方法の態様をもって、これを示す、請求項1から14のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項16】
交差点(1)に右折専用の車線がある場合において、少なくとも直進車と右折車の走行を分けるために信号機を設置したことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項記載の発明であって、かつ、方向指示器と連動して現出先の経路の指定情報を採取する、方向指示器連動手順と、当該の方向指示器連動手順で採取した現出先の経路の情報を基に、伝送手順(6)に対し、当該情報に基づいた情報の伝送を実施させる、方向指示機による情報伝送補助手順と、を新たに付加したことを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項記載の発明であって、かつ、カーナビゲーションシステムと連動して現出先の経路の情報を採取する、カーナビゲーションシステム連動手順と、当該のカーナビゲーションシステム連動手順で採取した現出先の経路の情報を基に、伝送手順(6)に対し、当該情報に基づいた情報の伝送を実施させる、カーナビゲーションシステムによる情報伝送補助手順と、を新たに付加したことを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項記載の発明であって、現出部分を走行する車両に対し、警報を鳴らすか、あるいは自動的に現出部分を避けるように制御することで、運転を補助することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、交差点から現出部分までの距離を、予め決められた距離(3)の単調増加関数の出力によって決めることを特徴とし、これをもって、当該交差点独自の事情を考慮した、柔軟な現出を実現できるようにした、交通整理支援方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法を実現する装置。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、計測手順(4)を実現する装置。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、伝送手順(6)を実現する装置。
【請求項24】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、現出手順(9)を実現する装置。
【請求項25】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において用いることが適切な、従来よりも側面からの衝撃に強く作られた車両。
【請求項1】
交差点(1)に向かう車両(2)の、交差点(1)までの距離(3)を計測する、計測手順(4)と、該計測手順(4)によって計測された距離(3)の情報を、前記交差点(1)に前記車両(2)と違う方面から向かう車線(5)に伝送する、伝送手順(6)と、伝送手順(6)によって前記車線(5)に送られた距離(3)を基に、該車線(5)上の、前記交差点(1)から距離(3)の地点(7)近傍の所定の範囲(8)を、目視で認識できるように印す、現出手順(9)と、から成ることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項2】
前記所定の範囲(8)は、車両(2)が占める路面方向の領域によって決するとともに、車両(2)から交差点(1)までの距離には依存せず、かつ、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)を踏んでいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように決せられることを特徴とする、請求項1記載の交通整理支援方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の交通整理支援方法において、さらに、前記車両(2)の速度を計測する速度計測手順と、前記速度計測手順によって得られた速度を、事前に設定された、所定の単調増加関数に入力し、演算する、拡張領域導出手順と、を有することを特徴とし、ただし、所定の単調増加関数とは、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)にいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように、当該範囲(8)の拡張領域を導出するものであることを特徴とし、拡張領域導出手順によって得られた拡張領域をもって、請求項1または2記載の現出部分を拡張する、拡張実施手順を有することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、さらに、前記車両(2)の加速度を計測する加速度計測手順と、前記加速度計測手順によって得られた加速度を、事前に設定された、所定の単調増加関数に入力し、演算する、加速度考慮時拡張領域導出手順と、を有することを特徴とし、ただし、当該の所定の単調増加関数とは、前記車線(5)から来る車両が、当該交差点(1)にて当該範囲(8)にいなければ、これらの車両が衝突を回避できるように、当該範囲(8)の拡張領域を導出するものであることを特徴とし、加速度考慮時拡張領域導出手順によって得られた拡張領域をもって、請求項1または2記載の現出部分を拡張する、加速度考慮時拡張実施手順を有することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項5】
現出手順(9)は、少なくとも交差点内においては、複数の走行経路上の現出を、目視で区別できるようにすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項6】
伝送手順(6)は、車両(2)が交差点到達前に走行する車線が示す、交差点通過後に到達可能なあらゆる車線までの経路に基づき、衝突回避のための現出を実施する必要がある車線にのみ現出のための情報を伝送することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項7】
現出手順(9)は、現出先の方面において、現出部分近傍の所定の範囲内に車両が存在するときのみ実行することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項記載の現出部分から、または請求項7記載の現出対象となる部分から開始し、それぞれの現出先の経路毎に実施するような探索であって、かつ、当該の現出先の経路上を、その進行方向逆向きに、所定の範囲内について車両が存在するか探し、最寄りの車両のみを抽出するような探索である、車両探索手順と、当該車両探索手順によって探索された車両(10)に関し、その速度を計測するとともに、現出元の車両の速度も計測する、現出元及び現出先車両速度計測手順(11)と、計測したこれらの速度を、車両(10)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関して単調増加する所定の関数に代入し演算する、速度効果演算手順(12)と、得られた結果が正の場合のみ、これに比例する距離だけ現出部分の進行方向側を拡張する、現出部分拡張手順(13)と、を付加したことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項9】
請求項1から6、もしくは8のいずれか1項記載の、現出が開始される地点における現出部分、もしくは請求項7かまたは8記載の現出対象の部分の初速度を、予め決めた、現出先の車線に固有の一定の速度になるようにすることを特徴とし、これゆえ、交差点(1)から現出部分までの距離を、距離(3)の近傍に固定しないようにすることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、車両(2)の速度を計測する速度計測手順がなければ、新たにこれを付加し、また、現出手順(9)は、当該の速度計測手順によって得られた速度に伴い、現出方法を変化させることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、車両(2)の加速度を計測する加速度計測手順がなければ、新たにこれを付加し、また、現出手順(9)は、当該の加速度計測手順によって得られた速度に伴い、現出方法を変化させることを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項12】
請求項1から6、もしくは9から11のいずれか1項記載の現出部分、もしくは請求項7、または9から11のいずれか1項記載の現出対象の部分において、請求項8記載の車両探索手順がなければこれを追加し、また、当該車両探索手順によって車両(16)が見つかった場合に、その速度を計測するとともに、現出元の車両の速度を計測する、速度計測手順がなければ、これを追加し、また、これらによって得られた速度に関し、車両(16)の速度に関して単調減少し、現出元の車両の速度に関しては単調増加するような、予め決められた所定の関数に代入し演算する演算手順(14)と、得られた結果が正の場合のみ、これに比例する度合だけ現出部分を強調して現出する現出部分強調手順(15)と、を付加したことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項13】
現出元の車線が、現出を開始してから交差点に至るまでの区間において、全体として勾配を下ることとなる場合には、当該区間の平均勾配の大きさに伴って、現出部分を現出先の経路の進行方向に向かって引き延ばすことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項14】
現出手順(9)は、交差点までの距離(3)が小さくなるとともに、その現出部分を拡張することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項15】
現出手順(9)は、現出元の車線と現出先の車線の優先関係を車両の操縦者に認識させることを目的に、その現出方法の態様をもって、これを示す、請求項1から14のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項16】
交差点(1)に右折専用の車線がある場合において、少なくとも直進車と右折車の走行を分けるために信号機を設置したことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項記載の交通整理支援方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項記載の発明であって、かつ、方向指示器と連動して現出先の経路の指定情報を採取する、方向指示器連動手順と、当該の方向指示器連動手順で採取した現出先の経路の情報を基に、伝送手順(6)に対し、当該情報に基づいた情報の伝送を実施させる、方向指示機による情報伝送補助手順と、を新たに付加したことを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項記載の発明であって、かつ、カーナビゲーションシステムと連動して現出先の経路の情報を採取する、カーナビゲーションシステム連動手順と、当該のカーナビゲーションシステム連動手順で採取した現出先の経路の情報を基に、伝送手順(6)に対し、当該情報に基づいた情報の伝送を実施させる、カーナビゲーションシステムによる情報伝送補助手順と、を新たに付加したことを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項記載の発明であって、現出部分を走行する車両に対し、警報を鳴らすか、あるいは自動的に現出部分を避けるように制御することで、運転を補助することを特徴とする、交通整理支援方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項記載の交通整理支援方法において、交差点から現出部分までの距離を、予め決められた距離(3)の単調増加関数の出力によって決めることを特徴とし、これをもって、当該交差点独自の事情を考慮した、柔軟な現出を実現できるようにした、交通整理支援方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法を実現する装置。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、計測手順(4)を実現する装置。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、伝送手順(6)を実現する装置。
【請求項24】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において使用される、現出手順(9)を実現する装置。
【請求項25】
請求項1から20のいずれか1項記載の交通整理支援方法において用いることが適切な、従来よりも側面からの衝撃に強く作られた車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
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【図27】
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【図29】
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【図31】
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【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2009−259257(P2009−259257A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−137685(P2009−137685)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(509148131)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137685(P2009−137685)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(509148131)
【Fターム(参考)】
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