説明

人体検出装置

【課題】人体から放出される赤外線を検出して人体が存在するエリアを判断する人体検出装置において、人体検出手段の個数よりもが多くの数の検知エリアの人の有無を判定し、人がいる場所を確実に判断することができる人体検出装置を提供すること。
【解決手段】人体から放射される赤外線を検出する赤外線検出部2と、赤外線検出部2と対で設けられ、その赤外線検出エリア5を複数の集光領域に分割して赤外線検出エリア5からの赤外線を集光する赤外線集光部3とを有する人体検出手段1を複数設け、少なくとも2つの人体検出手段1の赤外線検出エリア5の一部が互いに重複するとともに、重複部分における集光領域は各々が略一致した形状で互いに重複することにより、重複部分に人がいると確実に判定でき、構造を大きく変えることなく、より高精度の人体検出装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体から放出される赤外線を検出して人体が存在するエリアを判定する人体検出装置及び人体検出装置を備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の人体検出装置として、複数の人体検出手段の赤外線検出エリアを重複させて、人体検出手段の個数よりも多いエリアに分割して、各エリアの人体の有無を判別するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7(a)は、特許文献1に記載された従来の人体検出装置の検出エリアの一例を示す平面図、(b)は検出エリアの集光領域の一例を示す平面図を示すものである。図7に示すように、2つの人体検出手段の赤外線検出エリアの一部を互いに重複させることでエリアを3つに分割して各々のエリアの人体の有無を判別することができる。
【特許文献1】特許第3387206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、複数の人体検出手段の赤外線検出エリアの重複部分に人がいる場合、各々の人体検出手段の赤外線検出エリアの重複部分での集光領域にズレがあると、人体の場所や動きの大きさによっては、重複部分を赤外線検出エリアに含む全ての人体検出手段で必ずしも人体反応を検知できず、非重複部分に人がいると誤った判定をしてしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数の人体検出手段の赤外線検出エリアの重複部分に人がいる場合には、誤判定せず重複部分に人がいると判定できる人体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の人体検出装置は、人体から放射される赤外線を検出する赤外線検出部と、前記赤外線検出部と対で設けられ、その赤外線検出エリアを複数の集光領域に分割して前記赤外線検出エリアからの赤外線を集光する赤外線集光部とを有する人体検出手段を複数設け、少なくとも2つの前記人体検出手段の前記赤外線検出エリアの一部が互いに重複するとともに、前記重複部分における前記集光領域は各々が略一致した形状で互いに重複する構成としたものである。
【0007】
これによって、重複部分に人がいる場合、重複部分を赤外線検出エリアに含む全ての人体検出手段で略同時に人体反応を検知でき、重複部分に人がいると確実に判定できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の人体検出装置は、複数の人体検出手段の赤外線検出エリアの重複部分に人がいる場合、重複部分を赤外線検出エリアに含む全ての人体検出手段で略同時に人体反応を検知でき、重複部分に人がいると確実に判定でき、構造を大きく変えることなく、より高精度の人体検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、人体から放射される赤外線を検出する赤外線検出部と、前記赤外線検出部と対で設けられ、その赤外線検出エリアを複数の集光領域に分割して前記赤外線検出エ
リアからの赤外線を集光する赤外線集光部とを有する人体検出手段を複数設け、少なくとも2つの前記人体検出手段の前記赤外線検出エリアの一部が互いに重複するとともに、前記重複部分における前記集光領域は各々が略一致した形状で互いに重複する構成とすることにより、複数の人体検出手段の赤外線検出エリアの重複部分に人がいる場合、重複部分を赤外線検出エリアに含む全ての人体検出手段で略同時に人体反応を検知でき、重複部分に人がいると確実に判定でき、構造を大きく変えることなく、より高精度の人体検出装置を提供することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段が所定時間内に各々反応した場合は赤外線検出エリアの前記重複部分に人体が存在すると判定し、前記所定時間を超えて各々反応した場合は前記赤外線検出エリアの非重複部分に人体が存在すると判定する人体検出エリア判定手段を設けたことにより、重複部分と非重複部分に分けて人の有無を判定することができ、人体検出手段の個数よりも多くの数のエリアの人の有無を判定でき、人がいる場所をより確実に判定でき、構造を大きく変えることなく、より高精度の人体検出装置を提供することができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、赤外線検出エリアの非重複部分の集光領域は互いに集光距離が異なる構成とすることにより、複数の距離が異なるエリアに分けて人体の在否検知することができ、人体検出手段の個数よりも多くの数の距離が異なるエリアの人の在否判定でき、人の居場所までの距離を確実に判断することができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第3の発明の重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、互いに水平の集光方向が等しい構成とすることにより、重複部分における集光領域各々が略一致した形状で互いに重複するよう配置し易く、重複部分に人がいるとより確実に判定できる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1または第2の発明の重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、赤外線検出エリアの非重複部分の集光領域は互いに水平の集光方向が異なる構成とすることにより、複数の水平方向が異なるエリアに分けて人体の在否検知することができ、人体検出手段の個数よりも多くの数の水平方向が異なるエリアの人の在否判定でき、人がいる方向を確実に判断することができる。
【0014】
第6の発明は、特に、第5の発明の重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、互いに等しい集光距離を有する構成とすることにより、重複部分における集光領域各々が略一致した形状で互いに重複するよう配置し易く、重複部分に人がいるとより確実に判定できる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜6の発明の人体検出装置で検出された人体の在否に応じて、熱交換器で熱交換された空気を送風機で制御して室内に送風する、人体検出装置を備えた空気調和機であって、より高精度に人体の在否を検知することで確実に所望の空調制御を行うことができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態を示す図である。図1は、本発明の第1の実施の形態における人体検出装置の二対の赤外線検出エリアの集光領域の(a)平面図及び(b)側面図、図2は、本発明の第1の実施の形態における人体検出装置の全体構成ブロッ
ク図、図3は、本発明の第1の実施の形態における人体検出装置の赤外線集光部の正面図、図4は、本発明の第1の実施の形態における人体検出装置の一対の赤外線検出エリアの集光領域の(a)平面図及び(b)側面図を示すものである。
【0018】
図2において、人体検出手段1は、焦電素子、サーモパイル素子等で構成され、人体から放射される赤外線量の差分を検出して電気信号に変換する赤外線検出部2と、複数の部分検出エリアに分割され、赤外線検出部2と一対に配設され、この赤外線検出部2上に焦点を結び赤外線を集光するフレネルレンズ等による赤外線集光部3とからなり、赤外線集光部3が集光する赤外線の有効検出エリア5を示す。人体検出手段1で検出された電気信号出力は、増幅器6で帯域増幅され、赤外線処理手段7、人体検出エリア判定手段4で処理されて赤外線検出エリアでの人体の有無が判定される。
【0019】
また、上記の赤外線検出部2と赤外線集光部3とからなる人体検出手段1、有効検出エリア5、増幅器6、赤外線処理手段7の各々を組合せたものを一対セットとし、計三対セットで全体を構成し、それぞれのセットにA〜Cまでの副番記号を付けるものとする。例えば、図2に示すように各有効検出エリアは5A,5B,5Cと表される。なお、人体検出エリア判定手段4は上記各々の赤外線処理手段7A,7B,7Cからの出力を受け、この出力と予め設定された判定基準とを比較して人体の存在エリアを特定する。
【0020】
図3は所定のエリアを複数の部分検出エリアに分割するフレネルレンズよりなる各赤外線集光部3A,3B,3Cの正面図であり、ここでは赤外線集光部3Bを例に説明する。赤外線集光部3Bは縦2方向で計18方向に分割された3B1 〜3B18 のレンズで構成されている。この分割された集光レンズ3B1 〜3B18 は所定のエリアを図4に示す5B1 〜5B18 の各集光領域に分割する。これにより赤外線検出部2Bは集光距離方向に2分割で計18分割された各集光領域5B1 〜5B18から集光した赤外線の信号を受信することになる。
【0021】
図4は赤外線集光部3Bによって得られる有効検出エリア5Bの(a)平面図と(b)側面図を示し、また集光レンズ3B1 〜3B18 に対応した各集光領域5B1 〜5B18 を示す。なお、他の赤外線集光部3A,3Cも同様に有効検出エリア5A,5Cに対する集光領域5A1 〜5A27 ,5C1 〜5C18 を有するものである。
【0022】
図4に示すように有効検出エリア5Bを、非連続の分離した各集光領域5B1 〜5B18に分割することによって、検出エリア5B内で人が移動等するとその付近の各集光領域の赤外線量が変化し、その変化量を検知することで人体の有無を検出することができる。本実施の形態では、検出エリア5Bの外側の円弧長が約6.5m、一番遠距離の各集光領域5B1 〜5B12の外側の各円弧長が約30cmであり、検出エリア内の人体の有無が集光領域5B1 〜5B18の何れかの領域で検知される程度の大きさで、人体検出装置を備えた空気調和機が23畳程度の部屋に取り付けられた際にも精度よく人体の在否を検知することができるものである。
【0023】
図1は、2つの人体検出手段1A、1B各々の検出エリアの集光領域を示す(a)平面図と、(b)側面図である(平面図はX―X‘の断面、側面図はY―Y’の断面)。
【0024】
第1の人体検出手段1Aの有効検出エリア5Aは、センサからの距離が最も遠い検出エリアaと中間距離の検出エリアbでの人体の有無を検知し、第2の人体検出手段1Bの有効検出エリア5Bは、センサからの距離が最も近い検出エリアcと中間距離の検出エリアbでの人体の有無を検知するように有効検出エリアが配置されている。
【0025】
一方、人体検出手段1A、1Bの赤外線検出部2A、2Bの受光面に対して、赤外線が
直角に入光する方向が人体検出手段の集光方向とすると、人体検出手段1A、1Bの集光方向は等しく、本実施の形態では、検出エリア5A、5Bは左右対称に分割されているから、各人体検出手段1A、1Bの有効検出エリア5A、5Bの中心線が水平の集光方向となり、図1(a)のY―Y’線と重なっている。
【0026】
つまり、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bの非重複部分の赤外線検出エリアaとcは互いに集光距離が異なり、水平の集光方向は互いに等しくなるよう配置され、検出エリアbで互いに重なるように配置されている。
【0027】
さらに各々の検出エリア5A、5Bは複数の集光領域から構成されており、重複部である中間距離の検出エリアbでの第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bの各集光領域が略一致した形状で互いに重なるように配光されている。
【0028】
本実施の形態では、検出エリア5Aは集光領域5A1 〜5A27に27分割され、検出エリア5Bは5B1 〜5B18に18分割されて構成されており、重複部である中間距離の検出エリアbに配光された集光領域5A16 〜5A27と5B1 〜5B12が夫々、略一致した形状で互いに重なるように配光されている。
【0029】
これによって、重複部である検出エリアbで人が動いた場合に重複部bを一部の検出エリアとして含む第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bで人体を略同時に検知することができる。例えば、集光領域5A20における人体の有無を第1の人体検出手段1Aが赤外線集光部3A20で検知するとほぼ同時に、第2の人体検出手段1Bが、集光領域5A20と略一致した形状で互いに重なる集光領域5B5に対応する赤外線集光部3B5で人体の有無を検知できる。そこで、人体検出エリア判定手段4は、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bの人体検出反応の出力情報を基に、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bが所定時間内に反応した場合として重複部の中間距離の検出エリアbに人体が存在すると判定する。
【0030】
一方、前記所定時間を超えて反応した場合は非重複部の遠距離の検出エリアaと近距離の検出エリアcの両方に人体が存在すると判定する。例えば、集光領域5A3に対応する第1の人体検出手段1Aの赤外線集光部3A3と、集光領域5B15に対応する第2の人体検出手段1Bの赤外線集光部3B15で反応があった場合にも、人体検出エリア判定手段4は、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bの人体検出反応から人体の存在エリアを判定するが、複数の人がほぼ同時に動く可能性は少ないので、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bによる検出反応が所定時間を超えて発生している場合には、それぞれ別の場所であると判定され、従って、非重複部の遠距離の検出エリアaと近距離の検出エリアcの両方に人体が存在すると判定する。
【0031】
また、第1の人体検出手段1Aのみ人体検出反応があった場合は、遠距離の検出エリアaのみに人体が存在すると判定し、第2の人体検出手段1Bのみ人体検出反応があった場合は、近距離の検出エリアcのみに人体が存在すると判定する。よって、人体検出手段の個数よりも多くの数の距離が異なる検出エリアの人の有無を判定でき、人がいる距離を確実に判断することができる。
【0032】
尚、本実施の形態で「集光領域は各々が略一致した形状で互いに重複」とは、空気調和機での実使用上で有効な範囲、例えば、通常のLDK等の室内の壁(に据え付けた空気調和機)にセンサが設置されることを想定すると、センサから人がよく居る居場所までの距離は遠くても5〜7mくらいであり、これくらいの距離でくつろいでいる人の微動(10〜20cmくらいの上体や、手、頭等の動き)を複数のセンサでほぼ同時に捉えるためには、複数センサ間の取り付け角度精度(センサ実装上の精度)も考え併せて、「集光領域
の領域範囲を示す角度のズレが3度以内」(水平の集光方向、及び集光距離の範囲を示す角度のズレが夫々3度以内)であることが望ましく、更に1度以内であれば、より好ましい。
【0033】
図5に、本発明の第1の実施の形態における人体検出のフローチャートを示す。
【0034】
まずステップS01で、時間を計るカウンターtを初期化(t=0)する。ステップS02で、第1の人体検出手段1Aが検出エリア5Aで赤外線量の差分を検出して人体検出反応があった場合、ステップS03へ進み、人体検出反応がなかった場合、ステップS05へ進む。
【0035】
ステップS03で、第2の人体検出手段1Bが検出エリア5Bで赤外線量の差分を検出して人体検出反応があった場合、ステップS04へ進み、人体検出反応がなかった場合、ステップS08へ進む。
【0036】
ステップS04では、時間を計るカウンターtが所定時間(例えば10秒)内かどうかを判定し、所定時間内であれば、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bがほぼ同時に反応したものと考えられるので、ステップS06で、検出エリア5Aと検出エリア5Bの重複部の中間距離の検出エリアbに人体が存在すると判定する。
【0037】
ステップS04で、時間を計るカウンターtが所定時間(例えば10秒)を超えていた場合、第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bは別々に反応したものと考えられるので、ステップS07で、検出エリア5Aと検出エリア5Bの非重複部の遠距離の検出エリアaと近距離の検出エリアcの両方に人体が存在すると判定する。
【0038】
ステップS08では、第1の人体検出手段1Aが人体検出し、第2の人体検出手段1Bが人体検出しなかったので、非重複部の遠距離の検出エリアaのみに人体が存在すると判定する。
【0039】
ステップS02で、第1の人体検出手段1Aが人体検出せず、次のステップS05で、第2の人体検出手段1Bが人体検出した場合には、ステップS09で非重複部の近距離の検出エリアcのみに人体が存在すると判定する。
【0040】
ステップS05でも、第2の人体検出手段1Bが人体検出しない場合には、ステップS10で、検出エリア内には人体が存在しないと判定する。
【0041】
これらの人体検出フローを必要に応じて繰り返す。
【0042】
本実施の形態では、各人体検出手段の一度の検出結果を用いて人体の在否を判定したが、人体検出手段の検出結果を複数回累積して人体の在否を判定してもよいし、その累積結果から各領域の特性を設定し、その領域特性に更に人体検出手段の検出結果を加味して人体の在否を判定してもよい。これによってより人体検出の精度を向上させることができる。
【0043】
尚、本実施の形態では、重複部である中間距離の検出エリアbでの第1の人体検出手段1Aと第2の人体検出手段1Bのそれぞれの集光領域が略一致した形状で互いに重なるようにするため、第1の人体検出手段1Aの有効検出エリア5Aを5A1 〜5A24に24分割し、第2の人体検出手段1Bの有効検出エリア5Bを5B1 〜5B18に18分割したが、分割方法はこれに拘らないことは言うまでもない。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施の形態における別の人体検出装置の二対の赤外線検出エリ
アの集光領域の(a)は平面図、(b)は側面図である(平面図はX―X‘の断面、側面図はY―Y’の断面)。
【0045】
第1の人体検出手段1Bの有効検出エリア5Bは、センサから見て左側の検出エリアdと中央の検出エリアeでの人体の有無を検知し、第2の人体検出手段1Cの有効検出エリア5Cは、センサから見て右側の検出エリアfと中央の検出エリアeでの人体の有無を検知するように有効検出エリアが配置されている。
【0046】
即ち、人体検出手段1B、1Cの赤外線検出部2B、2Cの受光面に対して、赤外線が直角に入光する方向が人体検出手段の集光方向とすると、人体検出手段1B、1Cの集光方向は異なっている。
【0047】
一方、人体検出手段1B、1Cの検出エリア5B、5Cは、センサからの距離、即ち集光距離は互いに等しい。
【0048】
つまり、第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cの非重複部分の赤外線検出エリアdとfは互いに水平の集光方向が異なり、集光距離は互いに等しくなるよう配置され、検出エリアeで互いに重なるように配置されている。
【0049】
さらに各々の検出エリア5B、5Cは複数の集光領域から構成されており、重複部である中央の検出エリアeでの第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cの各集光領域が略一致した形状で互いに重なるように配光されている。
【0050】
本実施の形態では、検出エリア5Bは集光領域5B1 〜5B18に18分割され、検出エリア5Cは5C1 〜5C18に18分割されて構成されており、重複部である中央の検出エリアeに配光された集光領域5B1 〜5B5、5B11 〜5B14と5C6 〜5C10、5C15
〜5C18が夫々、略一致した形状で互いに重なるように配光されている。
【0051】
これによって、重複部である検出エリアeで人が動いた場合に重複部eを一部の検出エリアとして含む第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cで人体を略同時に検知することができる。例えば、集光領域5B4における人体の有無を第1の人体検出手段1Bが赤外線集光部3B4で検知するとほぼ同時に、第2の人体検出手段1Cが、集光領域5B4と略一致した形状で互いに重なる集光領域5C9に対応する赤外線集光部3C9で人体の有無を検知できる。そこで、人体検出エリア判定手段4は、第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cの人体検出反応の出力情報を基に、第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cが所定時間内に反応した場合として重複部の中間距離の検出エリアeに人体が存在すると判定する。
【0052】
一方、前記所定時間を超えて反応した場合は非重複部の左側の検出エリアdと右側の検出エリアfの両方に人体が存在すると判定する。例えば、集光領域5B8に対応する第1の人体検出手段1Bの赤外線集光部3B8と、集光領域5C12に対応する第2の人体検出手段1Cの赤外線集光部3C12で反応があった場合にも、人体検出エリア判定手段4は、第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cの人体検出反応から人体の存在エリアを判定するが、複数の人がほぼ同時に動く可能性は少ないので、第1の人体検出手段1Bと第2の人体検出手段1Cによる検出反応が所定時間を超えて発生している場合には、それぞれ別の場所であると判定され、従って、非重複部の左側の検出エリアdと右側の検出エリアfの両方に人体が存在すると判定する。
【0053】
また、第1の人体検出手段1Bのみ人体検出反応があった場合は、左側の検出エリアdのみに人体が存在すると判定し、第2の人体検出手段1Cのみ人体検出反応があった場合
は、右側の検出エリアfのみに人体が存在すると判定する。よって、人体検出手段の個数よりもが多くの数の水平方向が異なる検出エリアの人の有無を判定でき、人がいる方向を確実に判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる人体検出装置は、構造を大きく変えることなく、より高精度の人体検出が可能となるので、空気調和機、空気清浄機、除湿機、加湿器、扇風機、換気扇等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1における人体検出装置の二対の赤外線検出エリアの集光領域の(a)は平面図(b)は側面図
【図2】本発明の実施の形態1における人体検出装置の全体構成ブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における人体検出装置の赤外線集光部の正面図
【図4】本発明の実施の形態1における人体検出装置の一対の赤外線検出エリアの集光領域の(a)は平面図(b)は側面図
【図5】本発明の実施の形態1における人体検出のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1における別の人体検出装置の二対の赤外線検出エリアの集光領域の(a)は平面図(b)は側面図
【図7】従来の人体検出装置の検出エリアの一例を示す平面図
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B、1C 人体検出手段
2、2A、2B、2C 赤外線検出部
3、3A、3B、3C 赤外線集光部
3B1 〜3B18 分割された集光レンズ
4 人体検出エリア判定手段
5、5A、5B、5C 検出エリア
5A1 〜5A27、5B1 〜5B18 、5C1 〜5C18 集光領域
6、6A、6B、6C 増幅器
7、7A、7B、7C 赤外線処理手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体から放射される赤外線を検出する赤外線検出部と、前記赤外線検出部と対で設けられ、その赤外線検出エリアを複数の集光領域に分割して前記赤外線検出エリアからの赤外線を集光する赤外線集光部とを有する人体検出手段を複数設け、少なくとも2つの前記人体検出手段の前記赤外線検出エリアの一部が互いに重複するとともに、前記重複部分における前記集光領域は各々が略一致した形状で互いに重複することを特徴とする人体検出装置。
【請求項2】
重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段が所定時間内に各々反応した場合は赤外線検出エリアの前記重複部分に人体が存在すると判定し、前記所定時間を超えて各々反応した場合は前記赤外線検出エリアの非重複部分に人体が存在すると判定する人体検出エリア判定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の人体検出装置。
【請求項3】
重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、赤外線検出エリアの非重複部分の集光領域は互いに集光距離が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の人体検出装置。
【請求項4】
重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、互いに水平の集光方向が等しいことを特徴とする請求項3に記載の人体検出装置。
【請求項5】
重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、赤外線検出エリアの非重複部分の集光領域は互いに水平の集光方向が異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の人体検出装置。
【請求項6】
重複部分を有する少なくとも2つの人体検出手段は、互いに等しい集光距離を有することを特徴とする請求項5に記載の人体検出装置。
【請求項7】
熱交換器で熱交換された室内の空気を、人体検出装置で検出された人体の在否に応じて、送風機で制御して室内に送風することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の人体検出装置を備えた空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−164432(P2008−164432A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354283(P2006−354283)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】