説明

人体用ゲル状害虫忌避組成物

【課題】害虫忌避効果、人体への安全性や使用感にすぐれることはもちろん、害虫忌避成分の皮膚付着状態を見た目で認知しえる人体用ゲル状害虫忌避組成物の提供。
【解決手段】(a)害虫忌避成分、(b)C2〜C3のアルコール、(c)ゲル基剤、及び(d)水を含有する人体用ゲル状害虫忌避組成物において、(a)害虫忌避成分の皮膚付着表示剤として、(e)無機及び/又は有機粉末をベースとする光沢材とともに(f)C3〜C6のグリコールを配合した人体用ゲル状害虫忌避組成物。好ましくは、(a)害虫忌避成分を1〜15重量%、(b)C2〜C3のアルコールを10〜40重量%、(c)ゲル基剤を0.05〜0.5重量%、(e)光沢材を0.1〜1.0重量%含有し、かつ(c)ゲル基剤に対する(b)C2〜C3のアルコール及び(f)C3〜C6のグリコールの総量の重量比が100〜500である人体用ゲル状害虫忌避組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るための人体用ゲル状害虫忌避組成物に関する。更に詳しくは、害虫忌避効果、人体への安全性や使用感にすぐれることはもちろん、害虫忌避成分の皮膚付着状態を見た目で認知しえる人体用ゲル状害虫忌避組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、害虫忌避剤としては、使用法が簡便なエアゾールタイプが主流であるが、害虫忌避成分を微粒子にして皮膚面に噴霧するため、鼻粘膜に刺激を感じる人も多く、また塗布面の塗りむらを生じて薬剤の付着していない部分ができやすい。蚊はこの僅かな部分を敏感に感知し吸血行動を起こすため、塗りむらがなく、薬剤の飛散しにくい塗布タイプの害虫忌避剤を求めるニーズが増加傾向にある。
かかる現状からゲル状害虫忌避剤が種々検討されている。ゲル状害虫忌避剤を皮膚に塗布するにあたっては、内容物を手の平にとってから腕や足などの皮膚に塗り延ばすか、又は腕や足などの皮膚の一部に内容物を吐出後、手の平で皮膚全面に塗り延ばすのであるが、害虫忌避成分の付着性の向上、使用感の改善、忌避効力時間の延長及び皮膚からの吸収の低減等を目的とした特許がいくつか出願されている。例えば、ゲル基剤、中和剤、水、忌避剤及び分散剤を配合し、皮膚面上にべとつき感を伴うことなく、均一かつ効率的に塗布することを可能とした特許(特開平5−331033号公報)、また、忌避剤、アルコール、ゲル基剤、水及びケイ酸化合物を配合し、皮膚からの吸収が少ない製剤とした特許(特開2003−171204号公報)、更に、忌避剤、アルコール、ゲル基剤、水及びセルロース系高分子を配合し、皮膚からの吸収が少ない製剤とした特許(特開2003−171205号公報)があげられる。
【0003】
ところで、従来のゲル状害虫忌避剤は、特開2003−171204号公報や特開2003−171205号公報のように、吸液性の粉状物を配合してべとつき感を軽減し忌避効果の延長を図る一方、粉状物による白残りを抑えようとするのが一般的であった(例えば、特開2003−171204号公報では、ケイ酸化合物による塗布後の白残りを生じさせないためにポリオールを配合する処方を開示している)。
従って、皮膚面上における害虫忌避成分の付着状態は、見た目には全く認知できず、しばしば皮膚に過剰に塗布してしまったり、また、当然のことながら、忌避効果の終了時点を視覚的に判断できないという問題が避けられなかった。
【特許文献1】特開平5−331033号公報
【特許文献2】特開2003−171204号公報
【特許文献3】特開2003−171205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、害虫忌避効果、人体への安全性や使用感にすぐれることはもちろん、害虫忌避成分の皮膚付着状態を見た目で認知しえる人体用ゲル状害虫忌避組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成を採用する。
(1)(a)害虫忌避成分、(b)C2〜C3のアルコール、(c)ゲル基剤、及び(d)水を含有する人体用ゲル状害虫忌避組成物において、(a)害虫忌避成分の皮膚付着表示剤として、(e)無機及び/又は有機粉末をベースとする光沢材とともに(f)C3〜C6のグリコールを配合した人体用ゲル状害虫忌避組成物。
(2)(a)害虫忌避成分を1〜15重量%、(b)C2〜C3のアルコールを10〜40重量%、(c)ゲル基剤を0.05〜0.5重量%、(e)光沢材を0.1〜1.0重量%含有し、かつ(c)ゲル基剤に対する(b)C2〜C3のアルコール及び(f)C3〜C6のグリコールの総量の重量比が100〜500である(1)記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
(3)(a)害虫忌避成分がディート及び/又は3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルである(1)又は(2)記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
(4)(c)ゲル基剤が、アクリル酸系高分子化合物である(1)ないし(3)のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
(5)(d)水が、硬度700以下の天然ミネラル水である(1)ないし(4)のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
(6)(e)光沢材が、ポリエチレンテレフタレートに金属を蒸着したフィルム、及び/又はポリエチレンテレフタレートと他の樹脂との積層フィルムの細断片で、かつその平均粒子径が50μm〜1000μmである(1)ないし(5)のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物は、害虫忌避効果、人体への安全性や使用感にすぐれることはもちろん、害虫忌避成分の皮膚付着状態を見た目で認知することができる。従って、皮膚に過剰に塗布する心配がないうえ、忌避効果の終点を視覚的に知ることができ、更に光沢材による装飾性をも備えるので、その実用性は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いる(a)害虫忌避成分としては、害虫に対して忌避作用あるいは吸血阻害作用を有する合成あるいは天然の各種化合物が挙げられる。例えば、ディート、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、ピカリディン、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、α―ピネン、カンファー、ゲラニオール、カランー3,4−ジオールなどを例示できる。更に天然物としては、桂皮、シトロネラ、レモングラス、クローバ、ベルガモット、月桂樹、ユーカリなどから採れる精油、抽出液などを例示でき、これらの1種または2種以上を選択して用いることができる。上記化合物及び天然物のなかでは、ディートならびに3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルが好ましい。ディートは長年にわたる使用実績があり、一方、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルはディートとほぼ同等の忌避効果を有し、ディートよりも水に溶けやすいので本発明の組成物により適した害虫忌避成分といえる。
害虫忌避成分は各薬剤の忌避効力等により異なるが、本発明で用いるエアゾール原液全体量に対して1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%配合される。
【0008】
本発明では、水に不溶な害虫忌避成分を可溶化したり、あるいは清涼感を付与するために(b)C2〜C3のアルコールを用いる。これらのアルコールとしてはエタノールやイソプロパノールが代表的で、組成物中に好ましくは10〜40重量%配合される。なお、エタノールを用いる場合、肌への作用が緩和で、かつ食品用として一般的な醸造エタノールが好ましい。
【0009】
(c)ゲル基剤としては、アクリル酸共重合体、(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)共重合体、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド共重合体等のアクリル酸系高分子化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子化合物、アルギン酸及びその塩類等の多糖類等があげられ、組成物全体量に対して0.05〜0.5重量%程度配合すればよい。
ゲル基剤は、害虫忌避成分の皮膚面への付着性や皮膚上での延展性に重要な役割を担っているが、特にアクリル酸系高分子化合物は、水溶液中でチキソトロピー性を有し、少量で十分な増粘効果を示すので本発明に好適である。
【0010】
(d)水の種類は特に限定されないが、硬度700以下の天然ミネラル水が好ましい。海洋深層水、海洋表層水、地下深層水、山麓の涌き水等のミネラル水は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン等の金属イオンを含み、人体に不足しがちなミネラル成分を補給しやすいことから各方面で注目されており、例えば、逆浸透膜法等により濾過、脱塩処理を行い硬度を100〜1000程度に調整したものが飲料として販売されている。
本発明では、硬度700以下のミネラル水を含む人体用ゲル状害虫忌避組成物を皮膚に直接塗布することで、少量のミネラル成分による保湿感、さっぱり感がより一層付与されることも見出されたのである。上記の天然ミネラル水のうち、特に硬度が5〜100に調整された海洋深層水はミネラル成分のバランスが良く、また水深200m以上の無光層より採取しているため、清浄性、安定性が良好で、製剤化した際の使用感、製剤安定性にも優れている。
【0011】
本発明で用いる(e)光沢材は、無機及び/又は有機粉末をベースとし、例えば、ポリエチレンテレフタレートにアルミニウムを蒸着したフィルム、ポリエチレンテレフタレートに金を蒸着したフィルム、ポリエチレンテレフタレートとポリオレフィンとの積層フィルム、ポリエチレンテレフタレートとポリメチルメタクリレートとの積層フィルム、あるいはポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとの積層フィルムの細断片、白雲母粉、金雲母粉等の天然雲母粉、及びこれらを溶融し不純物を取り除いた合成雲母粉、雲母粉に酸化チタンを混合した雲母チタン等の鉱物類、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール等の多価アルコールエステル類、色素を内包した寒天カプセル等があげられる。
これらを配合することにより、皮膚への付着後、付着面を容易に判別でき、かつ煌びやかに見せることが可能となる。なお、光沢材は細かすぎると本発明の目的に合致せず、その平均粒子径は、50μm〜1000μm程度が適当である。
【0012】
(f)C3〜C6のグリコールは、害虫忌避成分の皮膚への付着性を高め、かつ(a)害虫忌避成分や(e)光沢材が汗等で皮膚上から流れ落ちないように皮膚上に保持し、(e)光沢材とともに(a)害虫忌避成分の皮膚付着表示剤を構成する。
グリコールとして、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して使用することができるが、性能的に1,3−ブチレングリコールが好ましい。
そして、(c)ゲル基剤に対する(b)C2〜C3のアルコール及び(f)C3〜C6のグリコールの総量の重量比が100〜500になるように各成分の配合量を設定すれば、(a)害虫忌避成分の皮膚付着表示剤としての効果をより一層明確に発揮しえるものである。すなわち、重量比が100未満の場合、粘度が高くなり皮膚上での延展性が悪く、べたつきを感じやすくなる。逆に500を越えると、粘度が低く害虫忌避成分や光沢材が皮膚上から流れ落ちやすくなったり、組成物中で光沢材が沈降して安定性や皮膚付着表示剤としての作用に支障をきたす恐れがある。
【0013】
また、本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物には、本発明の趣旨を損なわない限り、例えば上記組成物の安定性を高めたり、使用感を更に良くしたりするために、必要に応じてpH調整剤、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤、消炎剤、制汗剤、あるいは保湿剤、界面活性剤、分散剤、香料等の添加剤や補助剤を、組成物の安定性等に影響を及ぼさない範囲で配合することができる。
【0014】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン等があげられる。アクリル酸系高分子化合物は、上記pH調整剤を用いて中和することにより増粘性が高まる特性を有しており、(c)ゲル基剤としてアクリル酸系高分子化合物を採用し、かつ0.01〜0.6重量%程度のpH調整剤を併用すれば好結果を得ることができる。
【0015】
紫外線吸収剤や紫外線散乱剤としては、パラアミノ安息香酸、アミルサリシネート、オクチルシンナメート、メトキシ桂皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、酸化亜鉛等があげられ、消炎剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、酢酸トコフェロール、カンフル等を、また制汗剤としては、硫酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛等を例示できる。更に、透明感を損なわない程度に、無水ケイ酸、タルク等の無機粉末、変性デンプン、シルク繊維粉末等の有機粉末を配合してもよい。
【0016】
こうして得られた本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物は、害虫忌避成分の付着性や延展性がよく、人体への安全性や使用感(べとつき感の改善等)にすぐれ、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の刺咬害虫に対して極めて高い害虫忌避効果を示す。しかも、害虫忌避成分の皮膚付着状態を見た目で認知できるため、皮膚に過剰に塗布する心配がなく、忌避効果の終点を視覚的に知ることができる。更に、光沢材による装飾性をも備えるので、その実用性は極めて高いものである。
【0017】
次に具体的な実施例ならびに試験例に基づき、本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
脱塩処理した硬度200の海洋深層水40gにアクリル酸共重合体(商品名:カーボポール)0.2gを分散させ、この液中にエタノール32gと1,3−ブチレングリコール5.0gを加え均一に溶解させた後、害虫忌避成分・ディート6.0gと紫外線吸収剤としてのメトキシ桂皮酸オクチル0.2gを添加し混合した。この溶液にPET/アルミニウム蒸着粉末0.3gを加え分散させた後、トリエタノールアミン0.3gを添加した。更に、海洋深層水を加えて全量を100gとし、よく攪拌して本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物を得た。
【0019】
この組成物は、5℃及び40℃の恒温槽に1ケ月間保存しても均一透明で光沢材の沈降は認められなかった。また、本組成物8gを、蛍光剤入りのシリカゲルを表面に塗布したガラス板(40cm×40cm)に塗り延ばし、紫外線(254nm)を照射してディートの塗りむらを確認したところ、塗りむらはなく、かつ光沢材の付着面と一致した。
夏季の晴天日に、本組成物約3gを片腕の1箇所に吐出して実使用に供した。その際、流れ落ちはなく、その内容物は片腕全体に容易に塗り延ばすことができ、しかもその塗布面は清涼感があり、べとつきもなくさっぱりとした感触であった。
光沢材は使用約6時間にわたり皮膚面上に保持され、その後剥がれ落ちたが、これはディートの皮膚付着、すなわち害虫忌避効果の持続時間にほぼ相応した。
更に、光沢材の有無サンプルについて、20歳代〜30歳代の20名の女性パネラーにアンケート調査したところ、光沢材を配合した方が好きと答えた人は17名で、配合による装飾効果が十分に認められた。
【実施例2】
【0020】
実施例1に準じ、硬度100の地下深層水37gにカルボキシビニルポリマー0.4gを分散させ、この液中にエタノール34gとジプロピレングリコール4.5gを加え均一に溶解させた後、害虫忌避成分・3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル5.0gを添加し混合した。この溶液に雲母チタン粉末0.3gを加え分散させた後、アミノメチルプロパノール0.2gを添加した。更に、地下深層水を加えて全量を100gとし、よく攪拌して本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物を得た。
【0021】
本組成物は、実施例1の場合と同様、害虫忌避成分の付着性や延展性、人体への安全性ならびに使用感(べとつき感の改善等)、害虫忌避効果、及び害虫忌避成分の皮膚付着表示機能、更には光沢材による装飾性ともにすぐれ実用性の高いものであった。また、本組成物で用いた害虫忌避成分の3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルは、ディートに比べると水に溶けやすいため製剤化の面で有利であった。
【実施例3】
【0022】
実施例1に準じて表1に示す各種人体用ゲル状害虫忌避組成物を調製し、下記に示す試験を行った。なお、害虫忌避成分の配合量は、ディート5.0重量%とした。
(1)塗りむら
蛍光剤入りのシリカゲルを表面に塗布したガラス板(40cm×40cm)に組成物をまんべんなく塗布した。紫外線(254nm)を照射するとき、忌避成分・ディートが付着した部分はその吸収により紫色に変色することを利用してその塗りむらを確認した。結果を、○(塗りむらなし)、△(僅かに塗りむらあり)、×(塗りむらあり)で示した。
(2)使用感
片腕の1箇所に約3g吐出後、その内容物を片腕全体に塗り延ばした際、塗り延ばしやすさ及び塗布面の感触を評価した。結果を、〇(塗り延ばしやすく、べとつきなし)、△、×(塗り延ばしにくい、べたつく)で示した。
(3)害虫忌避成分の皮膚付着表示機能
蚊に対する害虫忌避効果の持続時間、ならびに光沢材が消失するまでの時間を観察し、両者の対比から害虫忌避成分の皮膚付着表示機能を評価した。結果を、○(ほぼ相応)、△、×(相応しない)で示した。
(4)塗布面の装飾性
光沢材の有無サンプルについて、20歳代〜30歳代の20名の女性パネラーにどちらを購入したいかアンケート調査を行った。光沢材入りが良いと答えた人が15名以上の場合を○、10〜14名の場合を△、10名未満の場合を×で示した。
【0023】
【表1】

【0024】
本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物は、害虫忌避成分の付着均一性、使用感、害虫忌避成分の皮膚付着表示機能、及び装飾性のいずれにおいても優れ、実用性の高いものであった。なお、実施例5の評価からみて、(b)アルコールの配合量が10〜40重量%で、かつ(c)ゲル基剤に対する(b)アルコール及び(f)グリコールの総量の重量比を100〜500の範囲に設計するのが好ましいことが確認された。
これに対し、比較例1のように、スプレータイプの薬液に光沢材を配合しても塗りむらが生じやすく、害虫忌避成分の皮膚付着表示機能は不良であった。光沢材を含まないゲル組成物(比較例2)は、害虫忌避成分の皮膚付着表示機能及び装飾性を奏しえず、また、比較例3のように、(f)グリコールを配合しないゲル組成物においても、害虫忌避成分の皮膚付着表示効果が十分でないことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の人体用ゲル状害虫忌避組成物は、人体用の害虫忌避用途だけでなく、殺虫・殺ダニ用や殺菌・抗菌用、あるいは消臭・防臭用途等にも利用できる可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)害虫忌避成分、(b)C2〜C3のアルコール、(c)ゲル基剤、及び(d)水を含有する人体用ゲル状害虫忌避組成物において、(a)害虫忌避成分の皮膚付着表示剤として、(e)無機及び/又は有機粉末をベースとする光沢材とともに(f)C3〜C6のグリコールを配合したことを特徴とする人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【請求項2】
(a)害虫忌避成分を1〜15重量%、(b)C2〜C3のアルコールを10〜40重量%、(c)ゲル基剤を0.05〜0.5重量%、(e)光沢材を0.1〜1.0重量%含有し、かつ(c)ゲル基剤に対する(b)C2〜C3のアルコール及び(f)C3〜C6のグリコールの総量の重量比が100〜500であることを特徴とする請求項1記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【請求項3】
(a)害虫忌避成分がディート及び/又は3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルであることを特徴とする請求項1又は2記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【請求項4】
(c)ゲル基剤が、アクリル酸系高分子化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【請求項5】
(d)水が、硬度700以下の天然ミネラル水であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。
【請求項6】
(e)光沢材が、ポリエチレンテレフタレートに金属を蒸着したフィルム、及び/又はポリエチレンテレフタレートと他の樹脂との積層フィルムの細断片で、かつその平均粒子径が50μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の人体用ゲル状害虫忌避組成物。




【公開番号】特開2007−39342(P2007−39342A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222342(P2005−222342)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【Fターム(参考)】