説明

人体通信用電子機器

【課題】 人体通信用電子機器において、部品点数の削減および工数の削減を図る。
【解決手段】 制御基板7に取り付けられた第1および第2の電極片27,28のそれぞれは、電池装填部22に装填されたボタン電池2の外周面および底面に電気的に接触する。制御基板7に取り付けられた第4の電極片33は上ケース5の孔38に臨み、上パネル9の底面に貼着された正極用アンテナ基板42に電気的に接触する。第2の電極板28には、第2の電極板28の切欠き28a内に位置するように、第3の電極片31が一体に設けられている。この第3の電極片31は、下ケース4の孔23に臨み、下パネル8の上面に貼着された負極用アンテナ基板41に電気的に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を介して電界を伝搬させて通信を行う人体通信用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の人体通信用電子機器においては、電界を発生させるために互いに対向して配置された正極用アンテナ基板および負極用アンテナ基板と、これら両基板の間に設けられる絶縁基板と、この絶縁基板と電池の正極および負極のそれぞれとの間を電気的に接続する一対の電池用電極片と、絶縁基板に取り付けられ前記両アンテナ基板のそれぞれに電力を供給するための一対のアンテナ基板用電極片とを備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の人体通信用電子機器においては、絶縁基板に、電池との間を電気的に接続するための一対の電池用電極片と、アンテナ基板に電力を供給するための一対のアンテナ基板用電極片との4本の電極片を取り付ける構造であるため、部品点数が多くなるだけでなく電極片を取り付けるための工数が多くなるという問題があった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、部品点数の削減および工数の削減を図った人体通信用電子機器を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、外周面および底面のそれぞれが正極および負極である円盤状に形成された電池と、この電池を装填する電池装填部と、この電池装填部に臨み前記ボタン電池の正極および負極のそれぞれに電気的に接続される正極用電池電極片および負極用電池電極片と、これら正極用電池電極片および負極用電池電極片を介してボタン電池からの電力が供給され人体に電界を発生させる互いに対向した正極用アンテナ基板および負極用アンテナ基板とを備えた人体通信用電子機器において、前記負極用電池電極片に前記負極用アンテナ基板と直接電気的に接触する接触片を一体に設けたものである。
【0006】
本発明は、前記発明において、前記負極用電池電極片を、前記電池装填部に装填する電池の移動方向に延設し、電池の挿入方向側の端部の中央部に切欠きを設け、この切欠き内に前記接触片を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負極用アンテナ基板と電気的に接触する接触片を負極用電池電極に一体に形成したことにより、この接触片を制御基板に取り付ける工数を省略することができ、部品点数も削減することができる。
【0008】
前記発明のうちの一つの発明によれば、接触片を負極用電池電極の切欠き内のスペースを利用して形成したことにより、接触片の形成が容易で、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る人体通信送受信機を分解して示す斜視図、図2は同じく上ケースを取り外した状態を示す平面図、図3は同じく装填時における電池と電池用電極片との接触状態を説明するための制御基板の平面図、図4は図2における上ケースを取り付けた状態のIV-IV 線断面図であって、同図(A)は電池の装填開始時を示し、同図(B)は装填が終了した状態を示す、図5は図2に上ケースを取り付けた状態のV-V 線断面図である。
【0010】
図1に全体を符号1で示す人体通信送受信機は、円盤状のボタン電池2と、このボタン電池2を保持する電池ホルダー3と、ハウジング6を形成するプラスチックによって形成された下ケース4および上ケース5と、下ケース4に取り付けられた制御基板7と、下ケース4の底面に貼着された下パネル8と上ケース5の上面に貼着された上パネル9とによって概ね構成されている。
【0011】
図4において、ボタン電池2の外周面11は正極であり、底面12は負極である。電池ホルダー3は、図1に示すように扁平な直方体に形成された把持部14と、この把持部14に一体に形成されボタン電池2の外周面11を囲むリング状の保持部15と、この保持部15の下端部に水平方向に一体に突設されボタン電池2の外周面11の周縁を載置する載置部16とからなり、この載置部16に載置されたボタン電池2の底面12が臨む孔17が設けられている。
【0012】
下ケース4は、図1に示すように平板状に形成され、矢印B方向の端部に上ケース5とともに形成される電池挿入口20が設けられており、この電池挿入口20の両側には互いに対向するガイドリブ21,21が立設されている。下ケース4の電池挿入口20に対する矢印A方向側の部位には、電池挿入口20から挿入されたボタン電池2を装填する電池装填部22が設けられており、この電池装填部22に対応して下ケース4には平面視T字状に形成された孔23が設けられている。24は下ケース4の周縁に立設された複数の係合片であって、上ケース5の係合突起(図示せず)が係合する係合孔24aが設けられている。
【0013】
制御基板7の矢印B方向の端部には、図3に示すように略正方形の切欠き26が設けられており、制御基板7は、図2に示すように、この切欠き26が電池装填部22に対応するように下ケース4に取り付けられている。27は接点部27aが電池装填部22に臨むように制御基板7に取り付けられた正極用電池電極片としての第1の電極片であって、接点部27aが電池装填部22に装填されたボタン電池2の外周面11に電気的に接触する。
【0014】
28は基部が制御基板7に取り付けられ、自由端部が電池挿入口20側(矢印B方向)に延設された負極用電池電極片としての第2の電極片であって、矢印B方向側の端部の中央部に切欠き28aが設けられており、この切欠き28aを挟んで一対の第2の電極部30,30が形成されている。この第2の電極部30の矢印B方向側の端部30aは矢印B方向に向かって図中下方側に傾斜するように折り曲げられ、この第2の電極部30の矢印A−B方向の中央部には、矢印A方向に向かって図中上方側に傾斜するように折り曲げられ電池装填部22に装填されたボタン電池2の底面12に電気的に接触する接点部30bが形成されている。
【0015】
31は切欠き28a内に位置し第2の電極片28の矢印A−B方向の中央部から矢印B方向に一体に突設された接触片としての第3の電極片であって、図4に示すように矢印B方向に向かって下方に傾斜するように折り曲げられており、この第3の電極片31は下ケース4の孔23に臨み後述する負極用アンテナ基板41に電気的に接触する。図2において、33は制御基板7の矢印A方向側に取り付けられた第4の電極片であって、上ケース5の後述する孔38に臨み正極用アンテナ基板42に電気的に接触する。34は制御基板7の矢印A方向の端部に取り付けられたスイッチであって、操作部材35を介して操作することにより人体通信送受信機1がON、OFFされる。
【0016】
上ケース5は、図1に示すように矢印B方向に開口(電池挿入口20)が形成された囲い壁37が一体に設けられており、この囲い壁37には、上述した下ケース4の係合片24の係合孔24aに係合する係合突起(図示せず)が設けられている。38は上ケース5に設けられた孔であって、この孔38内に上述した第4の電極片33が臨む。下パネル8の上面には、フィルム状の銅板によって形成された負極用アンテナ基板41が貼着されている。上パネル9の下面には、フィルム状の銅板によって形成された正極用アンテナ基板42が貼着されている。これら負極用アンテナ基板41および正極用アンテナ基板42は互いに対向し、第2の電極片28または第1の電極片27を介してボタン電池2の負極または正極に接続されて第2の電極片28または第1の電極片27を介してボタン電池2の負極または正極に接続されており、ボタン電池2から電力を供給されることにより、人体に電界を発生させる。
【0017】
このような構成において、制御基板7を下ケース4上に取り付け、上ケース5を下ケース4に取り付けてハウジング6を構成することにより、下ケース4と上ケース5との間に電池挿入口20に連通された電池装填部22が形成される。上パネル9を上ケース5の上面に、下パネル8を下ケース4の下面にそれぞれ貼着し、電池ホルダー3のボタン電池2が保持された保持部15を電池挿入口20から挿入し電池装填部22に装填した後、ねじ44によって電池ホルダー3を締結する。
【0018】
このように、負極用アンテナ基板41に電気的に接触する第3の電極片31を第2の電極片28に一体に形成したことにより、この第3の電極片31を制御基板7に取り付ける工数を省略することができ、部品点数も削減することができる。
【0019】
また、ボタン電池2を電池装填部22に装填する際に、図4(A)に示すように、仮にボタン電池2が傾いていたとしても、第2の電極片28の端部に切欠き28aが設けられているため、図3に示すように最初にボタン電池2の挿入端部2aが切欠き28aに臨む。このため、この切欠き28aがボタン電池2との接触を遅らせることによって、最初にボタン電池2の外周面11と底面12とが第1の電極部30に同時に接触するまでの距離δを充分に確保することができる。したがって、ボタン電池2の装填時に発生していた電気的な短絡を防止することができる。
【0020】
また、第3の電極片31を第2の電極片28の切欠き28a内のスペースを利用して形成したことにより、第3の電極片31の形成が容易で、省スペース化を図ることができる。
【0021】
なお、本実施の形態においては、第3の電極片31を第2の電極片28の切欠き28a内に位置するように設けたが、第2の電極片28の側部に設けてもよく、要は第2の電極片28に一体に設けれていればよい。また、本実施の形態においては、人体通信用電子機器を、送信機能と受信機能とを併せもつ送受信機としたが、送信機能を専用とする送信機でもよいし、受信機能を専用とする受信機としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る人体通信送受信機を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明に係る人体通信送受信機において、上ケースを取り外した状態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る人体通信送受信機において、装填時における電池と電池用電極片との接触状態を説明するための制御基板の平面図である。
【図4】図2における上ケースを取り付けた状態のIV-IV 線断面図であって、同図(A)は電池の装填開始時を示し、同図(B)は装填が終了した状態を示す。
【図5】図2における上ケースを取り付けた状態のV-V 線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…人体通信送受信機、2…ボタン電池、3…電池ホルダー、4…下ケース、5…上ケース、6…ハウジング、7…制御基板、8…下パネル、9…上パネル、11…外周面(正極)、12…底面(負極)、20…電池挿入口、22…電池装填部、27…第1の電極片(正極用電池電極片)、28…第2の電極片(負極用電池電極片)、28a…切欠き、31…第3の電極片(接触片)、33…第4の電極片、41…負極用アンテナ基板、42…正極用アンテナ基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面および底面のそれぞれが正極および負極である円盤状に形成された電池と、この電池を装填する電池装填部と、この電池装填部に臨み前記ボタン電池の正極および負極のそれぞれに電気的に接続される正極用電池電極片および負極用電池電極片と、これら正極用電池電極片および負極用電池電極片を介してボタン電池からの電力が供給され人体に電界を発生させる互いに対向した正極用アンテナ基板および負極用アンテナ基板とを備えた人体通信用電子機器において、
前記負極用電池電極片に前記負極用アンテナ基板と直接電気的に接触する接触片を一体に設けたことを特徴とする人体通信用電子機器。
【請求項2】
前記負極用電池電極片を、前記電池装填部に装填する電池の移動方向に延設し、電池の挿入方向側の端部の中央部に切欠きを設け、この切欠き内に前記接触片を設けたことを特徴とする請求項1記載の人体通信用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130464(P2010−130464A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304182(P2008−304182)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】