人工呼吸から離脱させる統合肺指標
本発明は、人工呼吸(MV)から患者を離脱させるシステムを提供する。システムは換気装置及び制御装置を有し、制御装置は2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、制御装置は、更に2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸から患者を離脱させるシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、種々の医学的疾患を負い人工呼吸の環境に置かれる。これらの医学的疾患は、肺疾患、胸部傷害、心不全、麻痺、神経筋不全、多臓器不全、肺合併症に繋がる敗血症、術後管理及び他の症状を含む。人工呼吸装置(機械的換気装置)を、換気及び酸素補給の2つを提供するために適応させるのが典型的である。換気は、一般的に1回換気量及び呼吸速度のセットを用いて換気の時間を制御して輸送することを含む。これは、肺に供給するガスの設定圧力又は設定容積を用いて提供できる。酸素補給は、あるレベルの所定の酸素及び/又は呼吸終末陽圧(PEEP)を輸送することで制御するのが一般的であり、この酸素及び/又は呼吸終末陽圧(PEEP)は機能的残気量(FRC)を増加させるよう用いる。
【0003】
換気技術の改良が日進月歩だとしても、換気装置への依存は、未だに医療上及び経済上深刻な問題である。時に深刻な致命的合併症により、患者への換気装置の補助が長くなり得ることがよく知られている。また、換気装置を伴う治療は、専門的で非常に高額な集中治療室の環境で提供されるため、換気装置への依存を最小化する必要がある。人工呼吸からの患者の離脱は、関連する集中治療換気の最も難しい課題の1つである。
【0004】
先行技術の換気装置から離脱させるモニタリング法は、効率性が十分ではなく、臨床上の疲労や苦悩といった主観的印象、及び/又は疾患がすでに発現した後にその疾患を必然的に計測した際の動脈血ガスの異常に依存することがよくある。1回換気量の呼吸速度に対する比率などのより最新のモニタリング技術が、未だにかなり大まかな離脱性能の指標となっている。換気装置依存からの離脱は不測の急激な換気不全があるため潜在的に危険であり、好適なモニタリング手段による早期離脱が患者の安全性にとって急務である。さらに、弱った呼吸筋を回復させ、回復筋肉に圧力がかかり過ぎずに更なる損傷が生じないように、呼吸筋に加わる圧力を制御することが急務である。臨床上、その圧力から離脱させる適切度合いを安全に定義することは難しいことが多い。
【0005】
さらに、医師や看護師などの医療提供者が患者の換気装置からの離脱を考え、及び/又は離脱プロセスの進捗をモニターしたいとき、医師や看護師は、膨大な量の患者関連パラメーター(データ)を考慮し、頻繁に分析さえしなければならない。これらの多様なパラメーターは、各々単位が異なることがあり、時おり、同一のパラメーターに異なった単位を用いることがある。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示し得る。そのため、従来の離脱の開始やモニタリングの難しさにパラメーターの複雑さや多さも付け加わっている。
【非特許文献1】ヤン・ヤンツェン、「ファジー論理に関する指導書」、http://fuzzy.iau.dtu.dk/download/logic.pdf、1998年(“Tutorial on Fuzzy logic”, by JanJantzen, 1998)
【非特許文献2】「一般人のみに向けたファジー論理」第1章から第3章、http://www.fuzzy-logic.com/Ch1.htm,http://www.fuzzy-logic.com/Ch2.htm,http://www.fuzzy-logic.com/Ch3.htm(“Fuzzy logic for just plain folks”, chapters 1-3)
【非特許文献3】T.トラン及びZ.ゾモロディ、「わずかに灰色」、http://www.duke.edu/vertices/win94/fuzlogic.html(“A touch of gray” by Tran T. andZomorodi, Z.)
【非特許文献4】M.ジョルダン、編集者著「グラフィックモデルにおける学習」(MIT出版(マサチューセッツ州ケンブリッジ)1999年中のD.ヘッカーマン著「ベイジアンネットワークを用いた学習に関する指導書」(“A Tutorial on Learning with Bayesian Networks” by Heckerman D, in “Learning in GraphicalModels” by M. Jordan,ed. MIT Press, Cambridge, MA, 1999)
【非特許文献5】F.ルッジェーリ、R.ケネット、及びF.ファルチン(編集者)のベン‐ガル、品質及び信頼性の統計学辞典の「ベイジアンネットワーク」、ジョンウィリー・アンド・サンズ出版、2007年(“Bayesian Networks” by Ben-Gal in F.Ruggeri, R. Kenett, and F. Faltin (editors), Encyclopedia of Statics in Qualityand Reliability, John Wiley & Sons (2007))
【非特許文献6】J.R.クインラン、「C4.5における連続的寄与の使用改善」、人工知能研究学会誌第4巻77から90頁、1996年(“Improved Use of Continuous Attributes in C4.5”, by J. R. Quinlan, Journal of Artificial Intelligence Research,4:77-90, 1996)
【非特許文献7】R.O.ドゥダ、P.E.ハート、D.G.ストーク、「パターン分類」(第2版)、ウィリー出版、2001年(“Pattern classification” (2nd edition),by Duda, R.O., Hart, P.E., Stork, D.G., (2001) Wiley Publishers)
【非特許文献8】C.M.ビショップ、「パターン認識用ニューラルネットワーク」、オックスフォード大学出版、1995年(“Neural Networks for Pattern Recognition” by Bishop, C.M. (1995), Oxford University Press)
【非特許文献9】B.クラウゼ及びD.R.ヘス、「救命救急部における手続き的沈静及び沈痛用カプノグラフィ」、救急医学年報50(2)巻、172から181頁、2007年(Krause B. and Hess D.R. (2007) “Capnography for procedural sedation and analgesia in the emergencydepartment”, Ann Emerg Med. 50(2), Pages 172-81)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、換気からの離脱過程にある患者の常に変化する状況を容易にモニターできるシステム、装置及び方法用の技術が必要であり、本発明はこのような技術を提供することを目的とする。
【0007】
関連技術の先の実施例及びそれに関連した限定事項は、排他的な意図のものではなく例示的な意図のものである。関連技術の他の限定事項は、当業者が本明細書を読み、図面を見ることで明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の実施形態及びその態様は、典型的かつ例示的であって本発明の範囲の限定を意図しないシステム、装置及び方法に関連して記述し説明する。様々な実施形態では、上述の1以上の課題が軽減又は解決された一方、他の実施形態は他の利点又は改良を目的としている。
【0009】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置を有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、制御装置は、更に2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する。言い換えると、制御装置は、IPI、時間に関するIPIの動き及び/又はIPIの動向に基づき、1以上の離脱関連パラメーターを調整する換気装置に信号を与えることで換気装置の1以上の離脱関連パラメーターを調整するようにされている。
【0010】
「調整(adjust)」又は「調整すること(adjusting)」は、換気装置の任意の離脱関連パラメーターを変化させるか或いは維持することを意味し、次の処理を含むが、それらに限定されない。すなわち、その処理は、オン/オフモードに換気装置を設定すること、容積及び/又は圧力を減少及び/又は増加させること、酸素補給を減少及び/又は増加させること、換気の補助レベルを変化させること、患者が離脱の試みを休めること、離脱のモード及び/又はプログラム(例えば、PEEP(呼吸終末陽圧)、CPAP(持続的気道内陽圧)、BiPAP(二相性気道内陽圧)及びSIMV(同期的間欠的強制換気))を変化させることなどである。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させるシステムが提供され、システムは、換気装置と、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置とを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、制御装置は、更に2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する。
【0012】
IPIは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく第1の計測患者パラメーターの特徴付け、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく指標値の計算であって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、計算によって計算してもよい。
【0013】
1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0014】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に人工呼吸を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0015】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に酸素補給を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0016】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含んでいてもよい。
【0017】
制御装置は、更にIPIの値の動向を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値の動向に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整してもよい。制御装置は、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされていてもよい。制御装置は、更に換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされていてもよい。
【0018】
IPIの値及び/又は換気装置からの離脱に関するアドバイスを表示する図形を更に含んでいてもよい。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有する、ことと、計算したIPIの値に基づき換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整することとを有する。IPIは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく第1の計測患者パラメーターの特徴付け、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく指標値の計算であって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、計算によって計算する。
【0020】
1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0021】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に人工呼吸を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0022】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に酸素補給を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0023】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含んでいてもよい。
【0024】
IPIは1から10の範囲にあり、IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなってもよい。IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となってもよい。IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となってもよい。IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0025】
少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従ってIPIを計算してもよい。制御装置は、更にIPIの値の動向を計算するようにされているとともに、IPIの値の動向に基づき、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整してもよい。制御装置は、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされていてもよい。制御装置は、更に換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされていてもよい。IPIの値を表示する図形を更に含んでいてもよい。
【0026】
IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを含んでいてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求めてもよい。
【0027】
2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを含み、1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択されてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。計算は学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。IPIの計算は、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づいていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターを受け取ることであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターを肺センサーから生成することと、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標値を計算することとを含む。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、統合肺指標の計算は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含んでいてもよい。統合肺指標の計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0030】
更なる実施形態によれば、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化してもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0031】
更なる実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関の変化、CO2使用率、CO2使用率の変化、換気量、換気量の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0032】
追加実施形態によれば、統合肺指標値を計算することは、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターに第1の値を割り当てることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターに第2の値を割り当てることと、第1の割り当て値及び第2の割り当て値に基づき統合肺指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値の影響を受けることとを含んでいてもよい。
【0033】
更なる実施形態によれば、第1の値、第2の値又はその両方の割り当ては、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを有する。第1の値、第2の値又はその両方の割り当ては、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0034】
追加実施形態によれば、統合肺指標値の生成は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含む。統合肺指標値の生成は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0035】
更に追加実施形態によれば、方法は複数のパラメーターを受け取ることを更に含んでいてもよい。
【0036】
更に追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、更に学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0037】
更に追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、1以上の患者特徴を受け取ることと、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算することとを更に含んでいてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
更なる実施形態によれば、統合肺指標は1から10の範囲にある。統合肺指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。統合肺指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる。
【0039】
また更なる実施形態によれば、統合肺指標値の計算は、少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性を考慮に入れることを更に含んでいてもよい。
【0040】
追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、統合肺指標値の動向を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、統合肺指標値の信頼性指標を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、医療アドバイスを提供することを更に含んでいてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、患者の統合肺指標値を計算する方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターを受け取ることであって、計測患者パラメーターが1以上の検出装置から生成する、ことと、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けることと、特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき指標値を計算することであって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、こととを含む。
【0042】
追加実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターを少なくとも有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターに第1の値を割り当てることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターに第2の値を割り当てることと、第1の割り当て値及び第2の割り当て値に基づき指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値の影響を受けることとを含む。
【0043】
追加実施形態によれば、方法は、第3の参照値と第3の計測患者パラメーターの比較に基づき第3の計測患者パラメーターに第3の値を割り当てることと、第1の割り当て値、第2の割り当て値及び第3の割り当て値に基づき指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値及び第3の割り当て値の影響を受けることとを更に含んでいてもよい。
【0044】
また更なる実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は少なくとも2つの計測患者パラメーターを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、1以上の参照値と計測患者パラメーターの比較に基づき少なくとも2つの計測患者パラメーターの各々に値を割り当てることと、割り当て値に基づき指標値を生成することであって、少なくとも1つの割り当て値に適用された重み付けファクターが、1以上の割り当て値の影響を受けることとを含む。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は少なくとも2つの計測患者パラメーターを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、1以上の参照値と計測患者パラメーターの比較に基づき少なくとも2つの計測患者パラメーターの各々に値を割り当てることであって、少なくとも1つの参照値が1以上の割り当て値の影響を受けることと、割り当て値に基づき指標値を生成することとを含む。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、指標値の計算は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含んでいてもよい。指標の計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化してもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求めてもよい。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関の変化、CO2使用率、CO2使用率の変化、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、更に学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、1以上の患者特徴を受け取ることと、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき指標値を計算することとを更に含んでいてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、指標値は1から10の範囲にあってもよい。指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、指標値の計算は、少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性を考慮に入れることを更に含んでいてもよい。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、指標値の動向を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、指標値の信頼性指標を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、医療アドバイスを提供することを更に含んでいてもよい。
【0054】
追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取る1以上のポート部であって、少なくとも1つの計測患者パラメーターを肺センサーから生成する、ポート部と、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標値を計算するようにされた処理ロジックとを含む。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、処理ロジックは、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用するようにされていてもよい。処理ロジックは、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用するようにされていてもよい。
【0056】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化するようにされていてもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0057】
追加実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0058】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けることと、特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき統合肺指標値を生成することであって、特徴付けられた第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、ことによって統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。
【0059】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは学習過程を適用するようにされ、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0060】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、更に2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0061】
更なる実施形態によれば、統合肺指標値は1から10の範囲にあってもよい。統合肺指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。統合肺指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0062】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、更に少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従って統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に統合肺指標値の動向を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に統合肺指標値の信頼性指標を計算するようにされている。処理ロジックは、更に医療アドバイスを提供するようにされている。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を生成する装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたポート部であって、計測患者パラメーターを1以上の検出装置から生成する、ポート部と処理ロジックとを含み、処理ロジックは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けるようにされ、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けるようにされ、かつ(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき指標値を計算するようにされ、特徴付けられた第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受けるようにされている。
【0064】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用するようにされていてもよい。処理ロジックは、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用するようにされていてもよい。
【0065】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化するようにされていてもよい。期間は予め求める。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0067】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは学習過程を適用するようにされ、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0068】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、更に2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0069】
更なる実施形態によれば、統合肺指標値は1から10の範囲にあってもよい。指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0070】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、更に少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従って指標値を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に指標値の動向を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされている。処理ロジックは、更に医療アドバイスを提供するようにされている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】CO2の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1B】呼吸速度の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1C】SpO2の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1D】心拍数の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図2】幾つかの実施形態に係りファジー論理推論モデルを用いたときの、年齢に関するメンバーシップ関数を示す例示的なグラフである。
【図3】危険性レベルの関数としてのPI値を示す例示的なグラフである。
【図4A】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算する方法の例示的な説明図である。
【図4B】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算するベイジアンネットワークの例示的な説明図である。
【図4C】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算する決定木グラフ構造の例示的な説明図である。
【図4D】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算するフィードフォーワードニューラルネットワークの例示的説明図である。
【図5】幾つかの実施形態に係る学習モデルの例示的なブロック図スキームである。
【図6A】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースの例示的なブロック図である。
【図6B】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図6C】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図6D】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図7】幾つかの実施形態に係る医療モニタリングシステムのブロック図である。
【図8】幾つかの実施形態に係るシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
上述の例示的態様及び実施形態に加え、更なる態様及び実施形態が、図面の参照及び以下の発明を実施するための形態の詳細な調査により明らかとなろう。
【0073】
以下の説明では、本発明の様々な態様を述べる。説明を目的として、本発明の十分な理解を提供するために特定の形態及び詳細を述べている。しかしながら、本明細書に示されている特定の詳細無しに本発明が実施可能であることは当業者にも明らかであろう。さらに、本発明を明りょうにするために周知の特徴を省略又は簡略化できる。
【0074】
本明細書で言及するように、「ユーザー」、「医療ユーザー」、「医療提供者」及び「医療エキスパート」の語は交換可能に用いてもよい。これらの語は、患者を治療及び/又は看護できる任意の医療提供者を含んでいてもよい。たとえば、ユーザーは、看護師、呼吸療法士、医師、麻酔科医などを含んでいてもよく、更には患者も含んでいてよい。
【0075】
本明細書で言及するように、「装置」、「モニタリング装置」及び「医療装置」の語は交換可能に用いてもよい。
【0076】
本明細書で言及するように、「患者」及び「被験者」の語は、交換可能に用いてもよく、更には任意の身体状態関連パラメーター及び/又は健康関連パラメーター用の任意のモニタリング装置でモニターされている被験者に関していてもよい。
【0077】
本明細書で言及するように、「通常の(ordinary)」、「正常な(normal)」、「典型的な(typical)」、「標準的な(standard)」及び「普通の(common)」の語は、交換可能に用いてもよい。
【0078】
本明細書で言及するように、「状態指標値」、「健康指標」及び「指標値」の語は交換可能に用いてもよい。
【0079】
本明細書で言及するように、「肺の(pulmonary)」は、肺に関連し、肺に影響し、又は肺に生じることを含む。
【0080】
本明細書で言及するように、「呼吸器の(respiratory)」は、空気の身体への出入りの運動に介在する気道、肺、及び呼吸筋から成るシステム、又はこれらを含むシステムに関する。
【0081】
本明細書で言及するように、「換気の(ventilatory)」は、生理学上の換気、空気の身体への出入りの運動に関する。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、第1、第2及び/又は任意の他の計測患者パラメーターなどの「計測患者パラメーター」の語は、患者に関する任意の計測可能又は検出したパラメーターを言及してもよく、このパラメーターは、例えば呼吸速度、CO2関連パラメーターなどの呼吸関連パラメーター;例えばSpO2、酸素飽和度などのO2関連パラメーター;例えば心拍数、ECG、血圧などの心臓関連パラメーター;例えばEEGなどの神経学的パラメーター;例えばFEV1(Forced Expiratory Volume in 1 second1秒間努力呼気容量)、FVC(Forced Vital Capacity努力肺活量)などの肺活量関連パラメーターなどを含むが、これらに限定されない。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、第1、第2及び/又は任意の他の参照値などの「参照値」の語は、値自体、値の範囲を含んでいてもよく、或いは値の範囲の一部を定義するものであってもよい。「参照値」の語は、例えば値自体、値の範囲を言及していてもよく、或いは正常な(健康な)状態を示す値の範囲の一部を定義するものであってもよい。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、「肺指標値」又は「統合肺指標値」の語は、肺の指標及び/又は呼吸器の指標を言及していてもよい。さらに、「肺指標値」又は「統合肺指標値」の語は、呼吸器及び心臓の指標、及び/又は肺及び心臓の指標に関していてもよい。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、「肺センサー」の語は、カプノグラフ、肺活量計、流量計、オキシメータ、音響計測装置、又はこれらの任意の組み合わせなどの任意の装置、センサー、システムなどを含んでいてもよく、この装置、センサー、システムなどは、肺関連パラメーター及び/又は呼吸器関連パラメーターを取得、決定、検出及び/又は計測するようにされている。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、「計算された (calculated)及び「算出された(computed)」の語は交換可能に用いてもよい。
【0087】
現在、ほとんどの医療現場では、患者関連パラメーター(データ)がオンライン(又は他の手段)で収集され、このパラメーターにより患者の状態に関する情報が看護師、医師、呼吸療法士、麻酔科医などの様々な医療提供者に提供し得る。定期的に提供される情報は、種々センサーで検出可能な種々パラメーターに関する多様なタイプの情報を含んでいてもよい。提供された情報を見て解釈することは、時に医療提供者にとって厄介、複雑かつ時間のかかる作業であり得る。さらに詳しくは、医師や看護師などの医療提供者が換気装置からの患者の離脱を考え、及び/又は離脱プロセスの進捗をモニターしたいとき、医師や看護師は、膨大な量の患者関連パラメーター(データ)を考慮し、頻繁に分析さえしなければならない。これらの多様なパラメーターは、各々単位が異なることがあり、時おり、異なった単位を同一のパラメーターに用いることがある。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。そのため、従来の離脱の開始やモニタリングの難しさにパラメーターの複雑さや多さも付け加わっている。
【0088】
そこで、本発明の幾つかの実施形態に係り、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法が提供され、その方法は、被験者の2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有することと、計算したIPIの値に基づき1以上の離脱関連パラメーターを求めることとを有する。
【0089】
本発明の幾つかの実施形態によれば、統合肺指標(IPI)は換気及び酸素補給をモニターするものであってもよい。IPIは、例えば、換気、呼吸速度及び換気の成分、代謝の副産物、呼気終末の二酸化炭素(EtCO2)、酸素補給、パルス(脈拍)酸素飽和度(SpO2)、その脈拍から取得した心拍数(HR)及び他の値から取得した値を用いた単一の指標値を計算する。本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは、幾つかの又はすべての肺の出力又は心肺の出力に関する共通の基準を示すものと考えてよく、IPIによって健康レベルに関連した単一の指標が得られる。たとえば、IPIが10のレベルで最良の状態であり、1のレベルで最悪の状態である。
【0090】
本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは患者の健康の指標として用いてもよく、更には患者の状態が自発呼吸を補助しやすい状態にあるときにIPIを求めるように用いてもよい。
【0091】
患者が自発的に呼吸を補助できるまでに、人工呼吸器が提供する補助を減らすことで離脱を完了してもよい。さらに、呼吸は外部と内部とで定義できる。外部呼吸は、呼吸ガスすなわち吸気及び呼気を大気と交換することと言ってもよい。内部呼吸は、組織レベルでのガス交換と言ってもよく、このガス交換は、代謝の副産物として酸素を組織に供給し、二酸化炭素を除去するものである。本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは内部呼吸及び外部呼吸が如何に良く機能しているかを示す指標を提供してもよく、これにより、離脱が如何に良く進行しているかに関する指標が提供される。
換気量の調節による人工呼吸の離脱
【0092】
一般的に、人工呼吸器は、1分間に患者に与えるすべての呼吸器補助のレベルを選択可能に提供する。これは、換気量(VE)として知られている。その補助は、次のモードの範囲を用いて設定できる。すなわち、そのモードは、補助制御、制御、同期的間欠的人工呼吸、圧力制御、圧力補助、気道解放人工呼吸(MV)、これらのモードの変形例及び他のモードを含む。換気量は、体内からの二酸化炭素の除去レベルを達成するように設定する。換気量を高く設定すると、二酸化炭素除去の補助の度合いが大きくなる。
【0093】
患者の状態が改善すると、人工呼吸器に設定された換気量は、モードと独立して低減できる。機械的な換気量のこの低減により、二酸化炭素除去レベル維持用の追加換気量の提供が患者に必要となろう。患者が提供する換気量の作動方法は、体内の化学受容体で決まり、化学受容体は、二酸化炭素に関連した血液のpH値の変化に応答する。患者の全般的な恒常性が改善されるならば、患者の換気量要件を満足している。これは、二酸化炭素レベルが呼吸性アシドーシスを生成しないように、又は非代償性の呼吸性アシドーシスを生成しないように調節されていることを意味する。血液中では、二酸化炭素は水と結合して、酸性状態の炭酸(H2CO3)を生成する。二酸化炭素が多くなると、呼吸性アシドーシスの危険性も大きくなる。
【0094】
人工呼吸を介して必要とされる換気量要件が減り、恒常性条件を満足すると、IPIが応答することになる。たとえば、人工呼吸(装置)からの換気量が減少し、二酸化炭素が増加するならば、IPIはEtCO2の変化を認識し、IPIスコアを下げることで応答するであろう。これは、患者が離脱しにくいことを示唆する。
【0095】
他方、人工呼吸(装置)からの換気量が減少し、二酸化炭素が安定ならば、IPIはEtCO2の変化を認識せず、IPIスコアに変化を見せないであろう。これは、患者がより離脱しやすくなっていることを示唆する。
【0096】
IPIは、cに加えて、呼吸速度(RR)、SpO2などのO2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、これらの任意の組み合わせ及び任意の他のパラメーターなどの他のパラメーターを用いて計算可能であることを注記する。
【0097】
CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0098】
医師は人工呼吸(装置)の減少及び人工呼吸が供給する換気量の減少を指示できる。医師は、人工呼吸(装置)の減少の間にIPIレベルをX(例えば、6又は7)未満の値まで下げないように設定できる。人工呼吸で設定され、患者が供給する全換気量を患者が維持できるならば、人工呼吸(装置)は更に減らすことができる。患者の病状及び病歴に基づきIPIがX未満まで下がらない限り、離脱過程を継続できる。
【0099】
たとえば、患者が人工呼吸(装置)から10Lpm(1分当たりのリットル数)の換気量を受け、1.0リットル(L)の1回換気量及び10bpmのRR(呼吸速度)を用いると、IPIスコア(値)は8となる。酸素補給を考慮しない換気量離脱についての抜管要件は、IPIが7であることである。医師が8Lpmまで人工呼吸(装置)を下げるよう指示したとする。患者は離脱過程を更に進めるために7以上のIPIを維持しなければならない。患者が10Lpmの換気量を維持できる一方、EtCO2に関わらず呼吸速度が10bpmから20bpmに増えるならば、呼吸速度の変化をIPIが認識することで、IPIは下がるであろう。これは、換気量は十分であるが、患者が離脱をすぐにできる状態ではないことを示唆し、或いは、例えば換気装置回路の呼吸抵抗を補正するようにPS(圧力補助)で離脱試行を補助すべきであることを示唆する。いずれの状況でも、IPIは、介入が必要であることを医療提供者に警告し得る。適切な対応があれば、換気量要件を満たす更なる呼吸要求に至り得る状態を患者は避けることができ、呼吸疲れや呼吸障害をより回避できるであろう。
【0100】
離脱過程の成功の実施例では、人工呼吸(装置)が減り、WOB(呼吸仕事量)を増やす呼吸システムに負荷をかけ過ぎずに換気量を満たし、EtCO2を維持し、呼吸速度が制御され、離脱過程を継続するに適した選択範囲にIPIがあり続ける。
酸素補給による離脱
【0101】
人工呼吸の間に補給酸素を頻繁に供給する。増加したFiO2(混合ガス中の吸入酸素の比率)は組織が低酸素状態になるのを防止する。FiO2の効果は、SpO2を用いて計測され、心肺システムの全体健康状態を求めるようにIPIにおいて用いられる。組織の酸素補給が不十分であると、組織に更に速く血液を循環させようとして心拍数が増加し得る。本発明の幾つかの実施形態によれば、この事象はIPIによっても計測できる。心臓負荷が増す状況では、酸素消費が増すため、二酸化炭素の産生も増し、酸素消費の増加及び二酸化炭素産生の増加の両方ともIPIを用いて計測でき、間接的にはEtCO2/RR及びSpO2/HRによって計測できることは注目に値する。
【0102】
離脱の間、医師はFiO2を減らすなどの操作を指示できる。FiO2を減少させてSpO2を適切に維持すると、IPIは一定に保たれる。SpO2を減少させると、IPIはそれに対応して減少するであろう。これは、離脱を中止すべきか遅延すべきであることを示す。
【0103】
酸素補給を改善する別の方法は、呼吸終末陽圧(PEEP)を付加することである。PEEPは肺胞を回復させることで肺の表面積を増し、これによりFRC(機能的残気量)が増える。IPIの閾値が線引きされない限り、IPIの閾値を選択し、PEEPを低減することで、PEEPを低減できる。
【0104】
たとえば、FiO2を60%に設定する。FiO2が35%に達するまでの間は、IPIが7未満まで下がらないようにFiO2を1時間当たり10%だけ下げるよう医師は指示する。あるいは、対応するIPIレベルを維持する限り、PEEPが1時間当たり5cmH2Oだけ下がるように15cmH2OのPEEPを医師は指示できる。
【0105】
IPIは、どの単一のパラメーターよりも速く酸素離脱に反応するであろう。
IPIを用いた離脱方法の選択
【0106】
医師は、人工呼吸(装置)を減らし始める前にFiO2又はPEEPを減らす選択をしてもよい。麻酔薬の影響がなくなるまで全換気量が十分でない手術後離脱の場合など他のケースでは、人工呼吸(装置)が、十分な酸素補給に基づいた医療提供者の第1の選択であってもよい。一般的な麻酔は、呼吸を遅くでき、必ずしも肺が支配的になる状況を生み出すわけではないことを注記する。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、IPIは、人工呼吸器を用いて手動で傾くように用いることができる。代替又は追加実施形態によれば、IPIは人工呼吸器内に組み込むことができ、人工呼吸器は、患者のニーズに基づき所定の位置で又は選択可能に離脱する指令を有する。任意の離脱方法において、IPIは離脱の新規な方法と考えてもよい。IPIは、すべての離脱指令の共通基準と考えてもよい。IPIは、離脱方法や離脱テストにかかわらず離脱の客観的な指標を提供する点で自発的呼吸の試みとは異なる。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、オンライン、リアルタイムで収集する多様な患者関連パラメーター(データ)を分析し、より総合的な、分かりやすい、意味のある、直観的な、明りょうな、かつ有用な患者の状態に関する情報を医療提供者に提供する必要がある。収集したデータを決定/計算/算出してもよく、医療提供者への情報は、患者の臨床状態に直接関連した状態指標の形態で提供してもよい。状態指標値は、好適なセンサーで検出及び/又は計測可能な患者の多様なパラメーターに基づき決定/計算/算出してもよい。多様なパラメーターに従って状態指標値が決定され、各パラメーターは異なった単位を有していてもよく、時に、同一のパラメーターに異なった単位を用いてもよい。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。さらに、このパラメーターの特性は、異なった単位で計測可能な多様なパラメーターを統合する状態指標値が重要であることを示し、絶対的な患者状態の指標となり得る1つの分かりやすい指標値が異なった意味を有し得ることを示している。状態指標値が医療提供者に提供されることで、任意の患者及び任意の患者状態に更なる治療が必要とされる際、医療提供者はその表示を明確に理解できる。状態指標値及びそれに起因する表示を数個のパラメーターから導くことが可能なため、患者の状態をモニターする感度が向上でき、早期介入を伴う早期離脱が期待できる。
【0109】
更なる実施形態によれば、状態指標値は、例えばモニタリング装置などの装置で決定/計算/算出/決定してもよい。モニタリング装置は1以上のセンサーを含んでいてもよく、センサーは、多様な健康関連パラメーターの検出及び/又は計測及び/又は計算及び/又は決定に用いてもよい。モニタリング装置は、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなど、及び/又はこれらの組み合わせなどの任意の既知の医療モニタリング装置を含んでいてもよい。種々計測に基づき、装置は、状態指標値を算出できるとともに、指標値単独で、或いは好適なセンサーで検出及び/又は計測可能な多様な患者パラメーターとの組み合わせで表示できる。また、収集した患者データの分析に基づき、装置は、ユーザーに医療アドバイスの提供もできる。さらに、装置は、医療提供者に患者の状態の時間変化を追跡して通知できる。たとえば、装置は、患者の安定、改善又は悪化の状態を医療提供者に通知できる。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、状態指標値は、例えば1から100の範囲など任意の所定の範囲内で無次元の値であってもよい。状態指標値は1から10の範囲にあってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示してもよい。1から10の範囲内において、部分的範囲(一部分)を割り当ててもよい。たとえば、8から10の部分的範囲が安定、正常な状態の指標となってもよく、その範囲では介入が必要ない。6から7の部分的範囲が、更に注意が必要であるとの医療提供者にとっての指標となってもよく、その範囲では患者再評価が推奨される。5未満の部分的範囲が、介入が必要であって、患者再評価を必要としてもよいとの医療提供者にとっての指標となってもよい。また、状態指標値の様々な部分的範囲は、医療提供者に表示される際、異なった図形表示を割り当ててもよい。異なった図形表示は、例えば異なる色、異なる単位、異なる文字などを含んでいてもよい。たとえば、8から10の部分的範囲の状態指標値については、値を緑色で表示してもよく、5から7の部分的範囲の状態指標値については、値を黄色で表示してもよく、5未満の部分的範囲の状態指標値については、値を赤色で表示してもよい。また、他の様々な視覚的表示手段が、既知の身体状態に関連可能な変化を示すように用いることもでき、例えば上向き矢印及び下向き矢印などの表示手段が、例えば、1以上の計測患者パラメーターの上昇又は下降をそれぞれ示してもよい。
【0111】
幾つかの実施形態によれば、状態指標値は、例えば、数学の方程式、アルゴリズム、公式などを用いるといった多様な手段で算出してもよく、この手段は、モニタリング装置で計測されているパラメーターの1以上の値又はその値の微分値を含む派生値を考慮してもよい。
【0112】
更なる実施形態によれば、状態指標値の時間に関する変化(本明細書では状態指標値の動向と呼ぶ)を図形的に表示してもよい。この図形表示は、モニタリングの最終「n」(時間単位)に亘る状態指標値の動向を表示してもよい。たとえば、nは、5分から12時間の範囲にある任意の期間であってもよい。この表示は、患者状態の変化程度の表示のみならず、例えば安定、改善、悪化といった患者の状態を示すために用いてもよい。状態指標値の動向を表示することによって、個々のパラメーターの動向に基づく患者状態の判断に比し、患者状態の変化の判断を簡素化できる。個々のパラメーターの動向を見ると、個々のパラメーターの絶対値及びこれらの相互作用を考慮せずに、患者状態及びその変化を決定することは容易でも直観的でもないこともある。
【0113】
更なる実施形態によれば、状態指標値の動向は、状態指標値の時間に関する図形表示として示してもよい。その動向の持続期間は、例えば最終計測5分から12時間の範囲にある任意の期間に亘って選択してもよい。したがって、図形表示の解像度は、選択した期間に連関して変化してもよい。
【0114】
更なる実施形態によれば、信頼性の指標(本明細書では「信頼性指標」又は「RI」とも呼ぶ)も求めてもよい。信頼性指標は、データの信頼性の指標、更に詳しくは状態指標値の信頼性の指標を提供できる。たとえば、信頼性指標は、アーチファクトを予測、予想するために用いてもよい。信頼性指標は、例えば、カプノグラムで描くように、CO2波形を分析することで求めてもよい。呼吸流量も計測するならば、流量の波形もこの目的のために用いてもよい。呼吸流量の計測を用いることで、信頼性指標を精緻化し改善できる。呼吸流量計測の波形は、CO2計測で生成される波形を強く補う。これは、両方の計測が呼吸周期という同一の事象を本質的に表しているからである。呼吸流量が波形の外形に関するのに対し、CO2はその外形内のCO2濃度に関する。両方のパラメーターを用いることで、何が計測ノイズ、アーチファクトなどであるかをより明らかに露わにできる。
【0115】
追加実施形態によれば、休止頻度パラメーターを求めてもよい。このパラメーターは、呼吸がある期間に亘って検出されない事象の指標を含んでいてもよい。呼吸がない事象は、例えば呼吸の休止及び無呼吸事象を含んでいてもよく、休止頻度パラメーターは、ある期間に亘る患者の呼吸休止及び無呼吸の計測値を含んでいてもよい。休止頻度パラメーターは、カプノグラムで得られるようなCO2波形から決定/計算してもよい。休止事象は、次のような任意の吸気ステージと定義してもよく、そのステージは、例えば、5から40秒(例えば20秒など)の範囲にある任意の秒数より長く続き、呼気期間後に始まる。この呼気の持続期間は、例えば、5から20秒(例えば10秒など)の範囲にある任意の秒数より短い。たとえば、その休止事象の期間は、最後の3つの呼気周期の平均時間に従って求めてもよい。このような休止事象の決定は、休止事象のグループとして定義されている呼吸パターンからゆっくりとした、リズミカルな呼吸パターンを除くように用いてもよい。また、例えば100秒から最大時間を求めてもよい。休止を検出し、少なくとも3つの新しく有効な呼吸サイクルが予め検出されるならば、新たな休止だけが計算可能となる。そのため、休止頻度パラメーターは単位期間(例えば、1時間など)当たりの休止事象の数で定義してもよい。休止頻度は、1時間の期間後に、例えば5分ごとなど任意の時間間隔で更新してもよい。さらに、休止頻度の値は、休止頻度の動向を表示するために保存して用いてもよく、その動向データは、時間に関する休止頻度の変化を表す。幾つかの例示的実施形態によれば、第1の時間の間(データの蓄積が不十分な段階のとき)は、1時間に達するまで値を15分ごとに提供、更新してもよい。この期間では、休止頻度は、1時間用として決定/計算する。この期間では、休止頻度が未だに1時間より短い期間に基づいていることを示す表示を表示してもよい。看護師などの医療提供者は常に患者及び/又はモニタリング装置近くにいるわけではなく、更には患者状態を常に追跡、モニターしているわけでもないので、休止頻度パラメーターなどのパラメーターが周期的なタイプの影響を及ぼし、そのパラメーターを違う方法でモニタリング装置が追跡しない限りは、医療提供者は頻繁にパラメーターを見なくてもよい。また、更なる実施形態によれば、休止振幅パラメーターも求めてもよい。休止振幅パラメーターは、検出した各休止事象の時間長さ(例えば、5から60秒の範囲)の計測、及びある期間(例えば、60分の期間)に亘る休止事象の時間長さの分散の計測で求めてもよい。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、装置は、更に医療エキスパートへの医療アドバイスを含んで表示してもよい。医療アドバイスは、個々パラメーター値及びパターンの少なくとも幾つかを分析し、個々パラメーターの既知の範囲及びパターンと計測した値及びパターンとを比較して分析することから導いてもよい。これらのアドバイスは、決定/計算した状態指標値から導出した表示に加えて表示してもよい。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、医療装置はユーザーインターフェースを含んでいてもよく、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは表示すべきデータを選択し、多様な操作パラメーターを制御できる。さらに、看護師、医師、麻酔科医など異なるユーザーの異種ニーズを提供するように異なった表示を含んでいてもよい。ユーザーがデータの表示を変化可能なことにより、ユーザーは、状態を更に評価するための情報を異なったレベルで切り替え可能であってもよい。たとえば、基本スクリーンが状態指標値及び状態指標値の動向データを表示してもよい。次の表示に変えると、実際の計測データ値、及び状態指標値を決定/計算するパラメーターに関する値の動向が現れてもよい。更に表示を切り替えると、休止頻度及び他の関連分析及び計算が提供されてもよい。多様な表示を用いることで、ユーザーは、事象及び/又はアドバイスをユーザーに示すことになったパラメーターに焦点を当てることもできる。
【0118】
更なる実施形態によれば、ユーザーインターフェースによって、ユーザーが各患者の特徴に関する情報に進入することも可能であってよい。患者の特徴に関する情報を使用するには、様々な計測及び計算の精度を許容することが必要である。このような情報は、例えば、特定の患者の年齢、体重、身長、性別などを含んでいてもよい。また、例えば年齢グループ、体重グループ、性別などのパラメーターに基づくことが可能なように多様な患者の分類検出手段を利用してもよい。このような分類を用いることで、患者のタイプや環境に関連した分類に適するようにモニタリング装置の設定を直すことが可能となる。
【0119】
幾つかの例示的実施形態によれば、状態指標値は、患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態を示してもよい。この指標値は、呼吸器、肺及び/又は心臓の多様なパラメーターの1以上に基づき決定/計算する指標値を与えることで得てもよい。この呼吸器、肺及び/又は心臓の多様なパラメーターは、CO2関連パラメーター;O2関連パラメーター;EtCO2;CO2波形関連パラメーター、例えばEtCO2の変化、CO2使用率、呼気に対する吸気の比率、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、各呼吸間の相関、CAP‐FEV1(カプノグラフ計測、流量計測の少なくとも1つから得る1秒間努力呼気肺活量)、CAP‐FEV1/FVCなど;呼気CO2濃度;呼吸関連パラメーター;心臓機能関連パラメーター;神経学的パラメーター;全身かん流関連パラメーター;視覚パラメーター;FEV1(流量計測、1秒間努力呼気肺活量)、FVC(容積計測、努力肺活量);血圧;NI血圧;拡張期血圧に対する収縮期血圧の比率;呼吸速度;呼吸流速;肺活量計の読み;酸素飽和度;SpO2;血圧;血液ガス;心拍数;心電図(ECG);脳造影図(EEG);心エコー図などの超音波計測、又はこれらの任意の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書で言及するように、EtCO2の語は呼吸終末のCO2に関する。このCO2は身体から吐き出され、呼吸終末のCO2(EtCO2)とも知られる吐き出したCO2の濃度は、肺胞のCO2圧力の概算値であることで、動脈レベルのCO2圧力の概算値となる。呼吸周期におけるCO2濃度の計測はカプノグラフで行い、その結果は、カプノグラムという名の波形形状の図形形態でも表示する数値である。EtCO2の値は、容積の単位又は例えばmmHgなどの圧力単位で計測してもよい。
【0121】
本明細書で言及するように、SpO2の語は周辺酸素の飽和度に関する。SpO2は、循環器系の赤血球中のヘモグロビンに付着した酸素の計測量である。SpO2の値は一般的に、例えば、正常値が96%を超えるといったパーセントの量として与えられる。SpO2は、例えばパルスオキシメータなどの様々なモニターでモニターして計測してもよい。
【0122】
本明細書で言及するように、呼吸速度(RR)の語は1分に行う呼吸の数と定義し、呼吸速度は、多様な心理学上及び医療上の条件下で変化可能である。その呼吸速度は、異常に速い状態(頻呼吸)、異常に遅い状態(緩徐呼吸)又は存在しない状態(無呼吸)があってもよい。
【0123】
本明細書で言及するように、心拍数、脈拍数(HR)の語は、1分間の心臓の脈拍(拍動)の数に関する。脈拍は、通常、左心室の1回拍出量、排出速度、動脈系の相対的適合性及び相対的容量、並びに圧力波の組み合わせで考える。圧力波は、血液の順行性流れ、及び周辺の血液循環から戻る動脈の圧力拍動の反射から生じ、周辺の血液循環の幾つか又はすべてがCO2の影響を受けていてもよい。たとえば、左心室代償不全に続く急性肺水腫には、明らかに呼吸器不全がある。また、例えばモルヒネなどの薬物蓄積を受けての心臓の影響は、pO2(血液中の酸素分圧)の低下やpCO2(血液中の二酸化炭素分圧)の上昇につながるであろう。そこで、心拍数を、呼吸器/肺状態の重症度を表すために用いてもよい。
【0124】
本明細書で言及するように、「低換気」の語は呼吸抑制の状態に関し、この状態は、換気が十分でなく要求のガス交換を行えないときに生じ得る。低換気は、二酸化炭素濃度の増加と呼吸性アシドーシスを引き起こし得る。多様な医療条件及び/又は幾つかの薬物及び薬剤の使用が、低換気を引き起こし得る。
【0125】
本明細書で言及するように、「過換気」の語は、要求より呼吸が速く、且つ/又は、深い状態に関し、これにより、血液の二酸化炭素濃度が正常値より下がる。
【0126】
幾つかの例示的実施形態によれば、状態指標値は、肺の/呼吸器の指標値であってもよく、本明細書では「PI」又は「IPI」(統合肺指標)とも言及してよい。PI指標は、患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態の計測値を表してもよい。PI指標は、例えば、EtCO2、呼吸速度、SpO2及び心拍数などの多様な計測患者パラメーターから導出してもよい。個々のパラメーターに従ってPIが算出され、各パラメーターは異なった単位を有していてもよく、時に、同一のパラメーターに異なった単位を用いてもよく、例えばEtCO2は、例えばkPas、mmHg又はVol(パーセント)の異なった単位で定義できる。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。これら及び他の理由により、PIなどの状態指標値の重要性が示され、状態指標値は異なった単位で計測可能な多様なパラメーターを統合し、かつ1つの分かりやすい指標値が異なった意味を有し得る。さらに、状態指標値は、一般的に患者状態の絶対的な指標となり得、特に患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態の絶対的な指標となり得る。PIは、1から10の範囲の無次元の値であってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示してもよい。1から10の範囲内において、部分的範囲(一部分)を割り当ててもよい。たとえば、8から10の部分的範囲が安定、正常な状態の指標となってもよく、その範囲では介入が必要ない。6から7の部分的範囲が、更に注意が必要であるとの医療提供者にとっての指標となってもよい。5未満の部分的範囲が、治療における介入及び/又は患者再評価及び/又は変更を推奨するとの医療提供者にとっての指標となってもよい。また、状態指標値の様々な部分的範囲は、医療提供者に表示される際、異なった図形表示を割り当ててもよい。異なった図形表示は、例えば異なる色、異なる単位、異なる文字などを含んでいてもよい。たとえば、8から10の部分的範囲の状態指標値については、値を緑色で表示してもよく、5から7の部分的範囲の状態指標値については、値を黄色で表示してもよく、5未満の部分的範囲の状態指標値については、値を赤色で表示してもよい。また、他の様々な視覚的表示手段が、既知の医療状態に関連可能な変化を示すように用いることもでき、例えば上向き矢印及び下向き矢印の表示手段が、例えば過換気の状態及び低換気の状態をそれぞれ示してもよい。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、PI指標値は、以下に更に詳細に示すように、多様な計算方法及び多様なアルゴリズムを用いて多様な手段で求めてもよい。一般的に、PIは多様なパラメーターから導出してもよく、多様なパラメーターの個々の値が十分にこれらパラメーターの各正常域にあるときに、最高値、例えば「10」をPIに割り当ててもよい。1以上の個々パラメーターの値がこのパラメーターの各正常域から変わるときに、PI値が「10」から減少してもよい。PI値は、数個の個々パラメーターが共に変化するときに、その減少がより急激になってもよい。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、PI値は、連続的に更新してもよく、PI値を生成するように用いるパラメーターの平均値から決定/計算してもよい。また、PI値の決定に用いる平均時間も適応可能であってよい。たとえば、異常な計測がある場合、平均時間を増加してもよい。平均時間の決定に用いる異常な特性は、例えば呼吸速度の値、CO2波形、及びPIの計算に使用する任意の他の好適なパラメーターに起因してもよい。
【0129】
更なる実施形態によれば、PI値は、低換気及び過換気などの状態の指標ともなってよい。PIがこれらの状態の指標となるとき、例えば、上向き矢印(過換気の指標)及び下向き矢印(低換気の指標)などの適切で追加的な指標信号伝達を表示してもよい。呼吸速度が計測患者パラメーターの1つであるときに、例えば呼吸速度に基づいて、患者が低換気又は過換気のいずれの状態にあるかを決定してもよい。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、PI値の計算には多様な方法がある。一般的に、多様なパラメーターは、PI値の計算用に計測及び使用し得る。幾つかの例示的実施形態によれば、PIは、EtCO2、呼吸速度、SpO2及び心拍数のパラメーターの少なくとも1つの値の計測に基づき決定/計算してもよい。これらのパラメーターのリアルタイム値を連続的に計測してもよい。たとえば、4つの計測患者パラメーター(平均EtCO2、平均呼吸速度、平均心拍数及び平均SpO2)のすべてに関する適応可能な移動平均を収集してもよい。この適応可能な移動平均は、パラメーターを毎秒計測するモニターに表示したデータを収集し、以下で説明するようなある期間に亘る平均化で決定/計算してもよい。このようにして、決定/計算する平均値は、最後の「x」秒まで収集した値のみならず、その値を表示した時間の長さも考慮に入れる。その後、これらの平均値を用いてPIを決定/計算してもよい。平均化の期間は、適応可能なタイプのアルゴリズムを用いて決定/計算及び定義してもよい。たとえば、期間のデフォルト値は、例えば30秒など5秒から60秒範囲内にあってもよい。時間は、例えば15秒刻みなど、例えば2秒から30秒の刻み幅で増していってもよく、最大期間は、例えば、90秒、120秒など5秒から180秒の範囲内にあってもよい。データの安定又は異常を評価するために、平均時間をそれぞれ増加すべきか低減すべきかの決定に使用可能な情報、例えば呼吸速度のパラメーター値を用いてもよい。例えば30秒など所定の最終期間に亘る呼吸速度の標準偏差を連続的に計測してもよい。呼吸速度の値の標準偏差が所定の閾値を下回るならば、平均化期間を変更しない。最終期間に亘る呼吸速度の標準偏差が所定の閾値を上回るならば、平均化期間を例えば、15秒だけ増加させてもよい。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、PIは数学的計算を用いて決定/計算してもよい。その計算は、上で詳述したように、EtCO2、呼吸速度(RR)、SpO2及び心拍数(HR)のパラメーターの少なくとも1つの値の計測、並びにそれらのパラメーターの決定/計算平均に基づいていてもよい。その計算は、以下で詳述するように、患者特徴に関連した各計測患者パラメーターの既知の規定領域の値に依存してもよい。多様な計測患者パラメーターの所定条件を満たすことで、適切な決定/計算PI値が得られる。たとえば、実施例1で更に詳述するように、次の条件を満足すると、PIが10か9となり得、病状の変化の指標となる矢印が表示されない。すなわち、12<RR<28、かつ28<=EtCO2<44、かつSpO2>94%という条件を満足するならば、PIは10となる。12<RR<28、かつ28<=EtCO2<44、かつ90%<SpO2<94%という条件を満足するならば、PIは9となる。
【0132】
幾つかの実施形態によれば、PIは数学的計算を用いて決定/計算してもよい。その計算は、各計測患者パラメーターに関連した医療重要度レベル(危険性/確率レベル)の乗算に基づいていてもよい。各計測患者パラメーターの医療重要度レベルは、グラフ、インデックス表などを作成することで決定してもよく、換気状態(例えば呼吸活動(breathing)、呼吸(respiration)、呼気活動(exhaling)、吸気活動(inhaling))などの身体状態の通常(標準/典型、普通/正常)レベルのパラメーター値と関連する。身体状態の通常レベルは、0から1の範囲にあってもよく、1は身体状態が最善であることを示し、0は身体状態が最悪であることを示す。そこで、例えば、各計測患者パラメーターに数学的関数を与えてよく、ここでは、最大値1が通常の身体状態を表し、例えば換気性能が全く検出されないときなど、最悪の身体状態を最小値0が表してもよい。図1AにEtCO2パラメーターの医療重要度(危険性レベル)を表すグラフを例示する。図1Aに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸がmmHg単位のEtCO2レベルである。医療重要度曲線は、通常レベルとEtCO2レベル及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。グラフから導くことができるように、低いEtCO2では、通常レベルの値が、無呼吸に向かう動きを示すゼロに減少し、高いEtCO2では、危険な状態(血液をアルカリ性に変え、結果的に多様で本質的な化学反応を引き起こしかねない状態)を示すが、通常レベルの値がゼロまでには至らない。図1Aに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y1 = 8e-06x3 - 0.0015x2
+ 0.0724x - 0.0496という方程式で記述してもよい。図1Bに呼吸速度パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Bに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸が1分当たりの呼吸数の単位の呼吸速度である。医療重要度曲線は、通常レベルと呼吸速度及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Bに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y2 = 4e-05x3
- 0.0043x2 + 0.1231x - 0.0378という方程式で記述してもよい。図1CにSpO2パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Cに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸がパーセント単位のSpO2である。医療重要度曲線は、通常レベルとSpO2及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Cに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y3 = -2e-05x3 + 0.004x2 - 0.2778x + 6.1214という方程式で記述してもよい。図1Dに心拍数パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Dに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸が1分当たりの拍動数で計測する心拍数である。医療重要度曲線は、通常レベルと心拍数及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Dに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y4 = 8e-07x3 - 0.0003x2 +
0.0406x - 0.4389という方程式で記述してもよい。相関方程式の生成及び計算と同様に、インデックス表も通常レベルと各計測患者パラメーターの値との間の相関を求めるために用いてよい。
【0133】
幾つかの実施形態によれば、上で詳述した方程式により得られた各計測患者パラメーターの医療重要度ファクターを乗算し、PI値が1から10の範囲内になるように、この乗算結果を10倍することでPIを決定/計算してもよい。この方程式は、PI=Y1* Y2* Y3* Y4と記述してもよい。幾つかの実施形態によれば、心拍数の医療重要度の値(Y4)は、その他パラメーターの1つの医療重要度の値が0.8未満である場合に限り、その計算に導入する。また、上述の方程式は個々パラメーターの次の最大値まで有効である。すなわち、EtCO2の最大値は約90mmHgであり、呼吸速度の最大値は約50bpmであり、SpO2の最大値は50%である。これらの値の上下に0.2のデフォルト値を用いてもよい。
【0134】
追加実施形態によれば、決定/計算指標が8未満である場合、1分当たりの所定拍動数(BPM)、例えば24BPMを超える呼吸速度ならば、上向き矢印で表示してもよい。所定BPM、例えば12BPM未満の呼吸速度ならば、下向き矢印で表示してもよい。呼吸速度が所定の範囲、例えば12BPMから24BPMの間ならば、矢印を表示しない。
【0135】
更なる実施形態によれば、多様なアルゴリズムを用いることでPIを決定/計算してもよく、このアルゴリズムは、患者の肺/呼吸器の状態に関する医療提供者の「リアルタイム」評価を反映可能なPI指標用の数学モデルを生成するために使用してもよい。この観点において、「リアルタイム」とは、医療提供者が医療状況に対応する「時間内」と定義できる。たとえば、「リアルタイム」は、秒範囲(例えば、0秒から120秒)、分範囲(例えば、1分から10分)などにあってもよい。このようなアルゴリズム又は方法の要件の幾つかは、医療エキスパート、医師、看護師などの様々な医療提供者の合意評価を正確に表すことであって、その合意評価を加重平均及び/又は単純平均で決定してもよい。たとえば、加重平均によって、医師の評価を呼吸療法士の評価よりも重く重み付けできる。たとえば、加重平均によって、各医療提供者は各意見を「重み付け」でき、例えば、彼らの評価に信頼値(容易で柔軟性のあるアルゴリズム実施(すなわち、数学モデルの微調整の簡略化)及び高速計算)を付加することで「重み付け」できる。そのため、そのアルゴリズムを実施することにより、医療提供者の交替、及び医療提供者の意思決定アプローチの置換の際にPIを効果的に使用できる。
【0136】
幾つかの実施形態によれば、前記指標用の数学モデル内で生成又は使用するアルゴリズムは、例えばファジー論理推論を含んでいてもよく、ファジー論理推論は、予測指標値についての医療提供者の知識及び解釈を用いて構築、構成又は強化してもよい。たとえば、PI指標値は、多様なタイプの医療パラメーターの任意の数及び/又は任意の組み合わせで与えてもよい。幾つかの例示的実施形態によれば、用いるパラメーターは、例えば、EtCO2、呼吸速度(RR)、心拍数(HR)、SpO2、血圧、肺活量、相対的な流れパラメーター、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよい。
【0137】
追加の例示的実施形態によれば、例えば、4つのパラメーター(EtCO2、RR、HR及びSpO2)に基づきPI値を決定するために、質問事項及び/又は実際の患者ログファイルを看護師、医師、呼吸療法士及び麻酔科医など様々な医療提供者に送ってもよい。質問事項は、異なったパラメーター値を有する多様なケース群を含んでいてもよい。その後、医療提供者は所定のコードに従ってPI値を割り当てるように質問事項に答えてもよい。たとえば、所定のコードは、十分に健康で正常な状態を示唆する指標値10と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、正常な状態を示唆する指標値8から9と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、理解可能な状態を示唆する指標値7と関連していてもよく、その状態は更なる注意を必要とする。たとえば、所定のコードは、更なる注意の推奨アドバイスを示唆する指標値5から6と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、更に注意を必要とし、介入を推奨することを示唆する指標値3から5と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、介入の必要性を示唆する指標値1から3と関連していてもよい。以下の実施例2では、PI値を決定するために用いる所定のPI値コード表が示されている。また、医療提供者/エキスパートが盲目的に又は判断してPI値に進入するように定期的に質問に答える多様な臨床試験を実施してもよく、この試験は後にアルゴリズムの意思決定の評価及び微調整に用いてもよい。
【0138】
追加実施形態によれば、例えば上述のようにして取得可能な医療提供者のデータの合意を用いてファジー論理推論を構築してもよい。たとえば、指標を生成するために選択する各パラメーターにメンバーシップ関数を割り当ててもよく、多様なパラメーター用の範囲を決定してもよい。たとえば、その範囲は、正常、高い、非常に高い、低い、及び非常に低いなどの記述を含んでいてもよい。そのため、指標自体は、指標値の大きさで求める多数のメンバーシップ関数を有していてもよい。たとえば、1から10の大きさの指標が10個のメンバーシップ関数を有し、各指標値に1つのメンバーシップ関数が対応していてもよい。メンバーシップ関数を得る際、メンバーシップ関数の言語記述子を用いて、計測患者パラメーターの入力と出力を関係付ける規則セットを決定してもよく、結果的に指標値が決定される。たとえば、例として5つのパラメーターで決定する指標に関し、第1のパラメーターが「非常に高く」、かつ、第2のパラメーターが「高く」、かつ、第3のパラメーターが「正常」、かつ、第4のパラメーターが「低く」、かつ、第5のパラメーターが「正常」ならば、指標値はXとなる。用いるファジー論理演算子は、例えば、AND演算用の最小値、OR演算用の最大値、非ファジー化領域の集合及び図心(重心)用の最大値を含んでいてもよい。以下の実施例2では、例示的なファジー論理メンバーシップ関数及び例示的なファジー論理規則行列が示されている。
【0139】
追加実施形態によれば、数人の医療提供者のノウハウに基づく指標モデルのファジー推論設計は、平均値、又は中央値若しくは最頻値など任意の他の統計的結果、医療提供者が決定する指標値と比較することで、更に強化又は微調整してもよい。さらに、指標モデルのファジー論理推論を検証してもよい。たとえば、ファジー推論モデルの検証は、追加質問事項、又は標本ケースを含む実際のデータに関して行なってもよい。追加質問事項では、ファジー推論モデルで決定/計算した指標値が示され、医療提供者はその値について意見することができる。医療提供者の意見を考慮することにより、ファジー論理モデルを更に微調整できる。
【0140】
ファジー論理に関する追加情報を例えば非特許文献1から3に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。
【0141】
幾つかの実施形態によれば、指標の計算用に使用するパラメーターの範囲を決定するとき、非限定的な実施例として、患者の年齢、患者の体重、患者の性別、患者の現在及び/又は過去の医療状態、投薬(現在及び/又は過去に蓄積されたもの)、既知の呼吸器又は心臓の疾患、ペースメーカー又は患者内の他の埋め込み物、臓器移植などの幾つかを考慮すべきある。多様なパラメーターは異なる患者用の異種範囲を有してもよいため、それらの考慮は統合肺指標にとって重要となり得る。たとえば、大人と年齢が異なる子供とで心拍数及び呼吸速度の正常範囲に違いがあることが知られており、このようにして、同一パラメーター用のPI値が、患者の異種クラスでは異なってよい。そこで、PIモデルは、異なる年齢で正常呼吸速度範囲及び正常心拍数範囲が変わることを考慮するために、離散年齢に関し設計してもよい。さらに、1歳未満の年齢では、パラメーター値は子供の体重にも依存する。そのため、PI値を決定する際に多様なオペレーションモードを用いてもよく、オペレーションモードは、追加パラメーター(ファクター)を考慮に入れ、このパラメーターは、例えば、年齢、体重、性別、病状、投薬など又はこれらの任意の組み合わせなどの患者の特定の特徴を含んでいてもよい。たとえば、年齢に関して、数グループが決定され、各グループは、心拍数及び呼吸速度などの多様なパラメーターの特定の正常範囲にある。たとえば、新生児(年齢1ヵ月まで)について、正常呼吸速度は、例えば約30から60BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約100から160回の範囲にあってもよい。たとえば、幼児(年齢1ヵ月から1歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約30から40BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約90から150回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢1歳から2歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約22から30BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約80から125回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢3歳から5歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約20から24BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から115回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢6歳から12歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約16から22BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約60から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢1歳から2歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約22から30BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から125回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢3歳から5歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約19から25BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢6歳から12歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約14から24BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢12歳以上)について、正常呼吸速度は、例えば約10から18BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約60から100回の範囲にあってもよい。前記指標の決定に用いるファジー論理推論モデルをパラメーターのメンバーシップ関数に適用して変更してもよく、そのメンバーシップ関数の範囲は特定の患者パラメーターの影響を受ける。たとえば、PI値への年齢の影響に関して、ファジー論理モデルは、以下に記述する図2に更に示すように、呼吸速度及び心拍数のメンバーシップ関数の範囲内で変更してもよい。
【0142】
幾つかの実施形態によれば、指標の計算は、ノイズを防止するために入力値を平均して用いてもよい。時間窓平均化は、例えば、大人モード用30秒、小児モード用15秒など一定であってもよい。また、或いは代替的に、時間窓平均化は、一定でない及び/又は適合可能な時間窓であって、多様なアルゴリズムで決定可能な時間窓であってもよい。
【0143】
他の実施形態によれば、特別な数ケースが、特定の注意を要し得るモニタリングの間に生じてもよい。このようなケースは、例えば、呼吸が検出されない状態(無呼吸);オートゼロの状態;計測プローブが接続されていない状態を含んでいてもよく、これにより、計測パラメーターは記録されない。次のケースにおいて、モニタリング装置はPI値を表示してもよい。すなわち、呼吸がない状態(無呼吸)をいったん検出すると(X秒を超えるとCO2が新たに検出されず、Xはユーザーが定義し、通常20から30秒である)、EtCO2=0、RR=0となる。これらの値は有効であり、PIは緩やかに減少することが予測される。呼吸がいったん再開すると、1回の呼吸後EtCO2>0、2回の呼吸後RR>0となり、PIは同様に扱われ、すなわち、PIは緩やかに増加することが予測される。オートゼロ状態では、PIが最終値を表してもよい。計測プローブが接続されていないとき、無効な計測値を無視し、有効な計測値を用いて平均化を行ってもよい。平均化用の時間窓が通過した後にのみ入力値が無効なこともあるため、PIが無効となることもあり得る。
【0144】
幾つかの実施形態によれば、指標値を決定、計算するときに、例えば、ファジー論理インターフェースを用いて、多様な計測/検出パラメーター間の非線形又は任意の形態の干渉を考慮に入れてもよい。このようなパラメーター間の干渉は、例えば、多様なパラメーター間の相乗効果を含んでいてもよい。幾つかのケースでは、パラメーターの組み合わせが相乗効果を有していてもよく、ファジー論理規則を用いることでパラメーター間の非線形干渉が明らかになるため、指標計算に用いる入力パラメーター間の相乗効果を得ることができる。たとえば、PI値の決定に用いるファジー論理インターフェース規則の相乗効果を例として挙げる。すなわち、RRレベルのみが正常値より高い場合危険性があると感知される一方、これに付随してEtCO2レベルが正常値より高くても危険性レベルが低いというのは、生理学上、予測される正常反応である。数個の健康関連パラメーターを計算に用いてもよい。たとえば、以下の実施例2に示すように、(EtCO2が非常に高く)、かつ、(RRが非常に高く)、かつ、(SpO2が正常)、かつ、(HRが高い)ならば、(PIは2)となる。この計算は、種々メンバーシップ関数及び種々パラメーター間の相乗効果を考慮している。この実施例では、EtCO2が非常に高く、かつ、RRが非常に高いとPIが3となり、SpO2が正常であることで、SpO2はPI値に影響を及ぼし得ない。これより、HRが高いという特性が、PI値を3から1つレベルを減少させ、2となる結果をもたらしている。別の実施例では、EtCO2が高く、かつ、RRが正常、かつ、SpO2が低く、かつ、HRが正常ならば、PIは6となる。この実施例では、EtCO2が高く、かつ、RRが正常であるとPIは7となり、HRが正常であることで、HRはPI値に更に影響を及ぼし得ない。これより、SpO2が低いという特性が、PI値を7から1つレベルを減少させ、6となる結果をもたらしている。
【0145】
幾つかの実施形態によれば、ファジー論理インターフェースをノイズ及びアーチファクトフィルター用に更に調整してもよく、ノイズ及びアーチファクトは視覚的に及び/又は他の同定手段で同定され、真の医療条件としては同定されない。たとえば、ファジー論理(インターフェース)モジュールは、一定の窓長さ(例えば、大人モード用として30秒、小児モード用として15秒など)又は適応可能な窓長さを用いてある移動時間窓に亘って平均化してもよい。適応可能な窓長さは、例えば、多様なアルゴリズムで求めてよいのと同様に、或いは、基準値に応じて時間窓を拡大又は収縮して動的に調整してよいのと同様に、例えば最新計測での入力を変動させることで予め定めてもよい。たとえば、ファジー論理への入力は、平均化、及びアーチファクト同定結果としての更なる計算からフィルターをかけて除去してもよい。アーチファクトの同定は、例えばCO2波形分析に基づいていてもよい。たとえば、波形がアーチファクトとして分類されるとき(例えば、患者が食事、会話などしているとき)、その期間に関連するEtCO2及びRRを平均化用の修正数学アルゴリズムを用いて更新してもよい。あるいは、その期間を無視してもよい。たとえば、患者が酸素補給を受けているとき、酸素補給は結果としてCO2信号を希釈する。この希釈の補正が、例えばEtCO2レベルについてなされてもよい。
【0146】
更なる実施形態によれば、PI値の時間に関する変化(PI動向)を図形的に表示してもよい。その図形表示は、モニタリングの最終「n」(時間単位)に亘ってPI動向を表してもよい。たとえば、nは、5分から12時間の範囲にある任意の期間であってもよい。この表示は、例えば、安定、改善、悪化などの患者の状態を示すために使用可能なのはもちろん、患者の状態の度合い及び変化を示してもよい。PI動向を表示することで、個々パラメーターの動向に基づく患者状態の評価に比し、患者の換気状態の変化の評価が簡略化できる。個々パラメーターの動向を見る際、個々パラメーターの絶対値やそれらパラメーターの干渉を考慮せずに患者状態やこの状態変化を決定するのが容易ではなく直観的でもないことがある。これは、それらパラメーターのいずれかの増加及び/又は減少が、パラメーターの絶対値に関わらず、「良い」(改善)又は「悪い」(悪化)となり得るからである。たとえば、絶対値が正常より高い値からその正常値に向かう減少が「良い」と考える場合がある一方、正常値からこの正常値より低い値へ向かう減少が「悪い」と考える場合もある。同様に、正常値より低い値からその正常値に向かう増加が「良い」と考える場合がある一方、正常値からこの正常値より高い値へ向かう増加が「悪い」と考え場合もある。PI動向は、PI値の時間に関する図形表示として示してもよい。その動向の持続期間は、例えば、最終計測の5分から12時間の範囲にある任意の期間に亘って選択してもよい。したがって、図形表示の解像度は、選択した期間に連関して変化してもよい。PI指標の動向を与えることにより、患者の呼吸状態の変化の仕方、例えば安定、改善又は悪化を評価できる。これは、PI自体が患者の呼吸状態の全体像であるという事実に起因し得るものであり、この指標値の変化により、患者の状態が変化しているか否かに関して明りょうなイメージを提供できる。
【0147】
追加実施形態によれば、パラメーターの動向(すなわち、時間に関するパラメーター値の変化)も前記指標を決定する際に考慮してよく、更にはその動向を表示してもよい。
【0148】
更なる実施形態によれば、信頼性の指標も決定してよい。信頼性の指標(本明細書では「信頼性指標」又は「RI」とも呼ぶ)は、データの信頼性の指標、更に詳しくはPIの信頼性の指標を提供できる。たとえば、信頼性指標は、アーチファクトを予測、予想するために用いてもよい。信頼性指標は、例えば、カプノグラムで描くように、CO2波形を分析することで求めてもよい。呼吸流量も計測するならば、流量の波形もこの目的のために用いてもよい。呼吸流量の計測を用いることで、信頼性指標を精緻化し改善できる。呼吸流量の波形は、CO2計測で生成される波形を強く補う。これは、両方の計測が呼吸周期という同一の事象を本質的に表しているからである。呼吸流量が波形の外形に関するのに対し、CO2はその外形内のCO2濃度に関する。両方のパラメーターを用いることで、有効な計測値とノイズ、アーチファクトなどとの区別を明らかに露わにできる。信頼性指標によって、低いPI値又は任意の他計測値が実際の事象であるか(本当の臨床上の事象を表すのか)、一過性の事象であるか、又はアーチファクトであるかをユーザー(医療提供者)が決定し易くなり得る。さらに、信頼性指標によって、表示されたPI値がどの程度信頼できるかを医療提供者が評価し易くなり得る。また、信頼性指標によって、モニタリング装置が患者に対して適切に配置されていないとき、モニタリング装置が適切に計測していないときなどでも医療提供者がアーチファクトを検出可能となり得る。信頼性指標は、CO2波形及び呼吸速度パターンの両方を分析することで決定してもよい。比較試験のデータを得ることで、アーチファクトに起因する特性パターンを決定してもよい。モニタリング装置に表示のリアルタイム波形の分析、及び既知のアーチファクトパターンとの比較を信頼性指標の計算に用いてもよい。
【0149】
また更なる実施形態によれば、信用性(信頼性)レベルが指標値に付随していてもよい。さらに、信用性(信頼性)は医療提供者用に表示されてもよい。信用性(信頼性)の値は、例えば0から1の範囲の数であってもよい。信用性(信頼性)レベルの値は、多様な入力変数(計測/検出)パラメーターはもちろん、もし同定されるならアーチファクトも含めてその標準偏差(std)から決定/計算してもよい。さらに、多様な入力変数は、それらの信用性(信頼性)レベルに従って重み付けしてもよい。信用性区間レベル又は他の区間推定を計算又は決定する他の数学的方法(統計的方法を含む)を用いてもよいことが当業者に理解されるであろう。
【0150】
追加実施形態によれば、休止頻度パラメーターを決定してもよい。このパラメーターは、呼吸がある期間に亘って検出されない事象の指標を含んでいてもよい。呼吸がない事象は、例えば呼吸の休止及び無呼吸事象を含んでいてもよく、休止頻度パラメーターは、ある期間に亘る患者の呼吸休止及び無呼吸の計測値を含んでいてもよい。機械的閉塞又は時に中心(脳)閉塞のため、患者が短期間呼吸停止することが頻繁にあり得る。その休止(無呼吸事象)は周期的であり、その休止頻度は患者の状態の指標となり得る。休止頻度パラメーターは、カプノグラムで得られるようなCO2波形から決定/計算してもよい。休止事象は、次のような任意の吸気ステージと定義してもよく、そのステージは、例えば、5から40秒(例えば20秒など)の範囲にある任意の秒数より長く続き、呼気期間後に始まる。この呼気の持続期間は、例えば、5から20秒(例えば10秒など)の範囲にある任意の秒数より短い。たとえば、その休止事象の期間は、最後の3つの呼気周期の平均時間に従って求めてもよい。このような休止事象の決定は、休止事象のグループとして定義されている呼吸パターンからゆっくりとした、リズミカルな呼吸パターンを除くように用いてもよい。また、例えば100秒から最大時間を求めてもよい。休止を検出し、少なくとも3つの新しく有効な呼吸サイクルが予め検出されるならば、新たな休止だけが計算可能となる。そのため、休止頻度パラメーターは単位期間(例えば、1時間など)当たりの休止事象の数で定義してもよい。休止頻度は、1時間の期間後に、例えば5分ごとなど任意の時間間隔で更新してもよい。さらに、休止頻度の値は、休止頻度の動向を表示するために保存して用いてもよく、その動向データは、時間に関する休止頻度の変化を表す。幾つかの例示的実施形態によれば、第1の時間の間(データの蓄積が不十分な段階のとき)は、1時間に達するまで値を15分ごとに提供、更新してもよい。この期間では、休止頻度は、1時間用として決定/計算する。この期間では、休止頻度が未だに1時間より短い期間に基づいていることを示す表示を表示してもよい。看護師などの医療提供者は常に患者及び/又はモニタリング装置近くにいるわけではなく、更には患者状態を常に追跡、モニターしているわけでもないので、休止頻度パラメーターなどのパラメーターが周期的なタイプの影響を及ぼし、そのパラメーターを違う方法でモニタリング装置が追跡しない限りは、医療提供者は頻繁にパラメーターを見なくてもよい。また、更なる実施形態によれば、休止振幅パラメーターも求めてもよい。休止振幅パラメーターは、検出した各休止事象の時間長さ(例えば、5から60秒の範囲)の計測、及びある期間(例えば、60分の期間)に亘る休止事象の時間長さの分散の計測で求めてもよい。
【0151】
幾つかの実施形態によれば、多様な追加パラメーター(ファクター)が、前記指標を決定するための主要パラメーターに加えて指標決定の計算用に追加されてもよい。追加パラメーター(ファクター)は、患者の特徴を示し得る多様な患者特定パラメーターを含んでいてもよい。追加パラメーター(ファクター)は、オンライン、リアルタイムで検出/計測可能な健康関連パラメーターである「オンライン」パラメーターを含んでいてもよく、且つ/又は、他の入力(例えば、キーボード、スイッチ若しくはタッチパネルによる入力など)又は他のパラメーター(例えば、年齢、性別、体重など)を含んでいてもよい。追加パラメーターは「オフライン」パラメーターを含んでいてもよく、「オフライン」パラメーターは、患者の病歴及び人口統計に関連するパラメーター及び/又は患者の最近/現在の健康状態に関連するパラメーターを含んでいてもよい。また、追加パラメーターの動向(すなわち、パラメーター値の時間に関する変化)もまた指標を決定する際に考慮してよい。指標計算用に追加パラメーターを用いることで、動的可能、すなわち、任意の所定時間での加重平均化の必要性又は変動性に従うことが可能となる。追加パラメーターは、手動で又は任意の通信経路で追加してもよい。たとえば、HR、RR、EtCO2及びSpO2のパラメーターにより決定するPI指標に関して、追加オンラインパラメーターは、CO2波形及びCO2波形関連パラメーター、例えば、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、各呼吸間の相関、CAP‐FEV1(カプノグラフ計測、流量計測の少なくとも1つから得る1秒間努力呼気肺活量)、CAP‐FEV1/FVC、呼気に対する吸気の比率(例えば、EtCO2計測値を掛けた呼気に対する吸気の比率は、CO2の換気量の決定に用いてもよい)、CO2使用率(換気量の計測値に関連する)、など;呼吸関連パラメーター;例えば、血圧、NI血圧、拡張期血圧に対する収縮期血圧の比率などの心臓機能関連パラメーター;神経学的パラメーター;全身かん流関連パラメーター;視覚パラメーター;流速;肺活量など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでもよいが、これらに限定されない。たとえば、追加オフラインパラメーターは、例えば、年齢、性別、体重、現在の診断、病歴(例えば、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、服薬、ペースメーカー)など、及びこれらの任意の組み合わせなど患者の病歴及び人口統計に関連するパラメーターなどのパラメーターを含んでもよいが、これに限定されない。患者の最近の健康状態に関連する追加オフラインパラメーターは、治療(例えば、投薬、換気、酸素補給)、室内検査(例えば、血液ガス、pH、一般的な血液検査、尿検査)、患者が挿管されているか否か、患者が眠っているかどうか(眠っている間は安定したCO2波形が予想され、不安定な波形は睡眠不足状態の指標となる一方で、起きている間は反対の事象が予想され、すなわち、不安定な波形が正常状態である一方、安定した波形は悪い状態の指標となる)など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0152】
幾つかの実施形態によれば、例えば多様な計測患者パラメーターの限界範囲を変更することで、追加パラメーター(ファクター)をメンバーシップ関数への入力の操作に用いてもよい。たとえば、正常、高い及び低い範囲の心拍数(HR)の評価は、更に患者の年齢に依存してもよい。したがって、メンバーシップ関数のパラメーターは年齢の線形関数又は非線形関数として定義できる。ここで図2を参照すると、メンバーシップ関数の例示的値が年齢の関数として示されている。図2に示すグラフは、心拍数(HR、1分当たりの拍動/鼓動(bpm))のメンバーシップ関数(mf)の値が年齢(年)の関数として表されている。図2に示すように、4つのパラメーターを用いる際、メンバーシップ関数は台形形状に生成される。パラメーターが年齢に依存する際、年齢に従った違う形状を生成してもよい。たとえば、1歳の年齢では、正常心拍数の範囲が12歳から60歳の正常心拍数の範囲より高い(たとえば、1歳の心拍数パラメーターが70、80、135、145bpmとすると、12歳から60歳の心拍数パラメーターは40、60、100、120bpmにそれぞれ相当する)。台形(太線)及び台形(細線)の境界を画定するパラメーターに従うことは、メンバーシップ関数が年齢及びHRに従属することを示している。なお、グラフでは、X軸が年齢(単位:年)を示し、Y軸が心拍数(単位:bpm)を示し、Z軸が、大きさ0から1にある正常心拍数用のメンバーシップ関数を示している。
【0153】
更なる実施形態によれば、例えば、ファジー論理推論モデルを用いて実施可能な追加規則の生成に追加パラメーター(ファクター)を用いてもよい。以下の図4Aに例示する形態などのように、パラメーターのメンバーシップ関数、及びパラメーターの規則への組み込みを用いて、任意の基本(主要)パラメーターとして追加パラメーターを用いてもよい。追加規則は平坦又は階層的な構造にあってもよい。たとえば、PI指標の計算に使用可能な追加オンラインパラメーターが、例えば、拡張期血圧(BP)などのパラメーターを含んでいてもよく、このBPは、例えば次の規則で示すようにHRとともに用いてもよい。すなわち、HRが高く、かつ、BPが高ければ、PI=PI(正常HR)−2となる。HRが高いか低い、かつ、BPが正常ならば、PI=PI(正常HR)−1となる。
【0154】
更なる実施形態によれば、適応可能な指標危険性関数の生成用に追加パラメーター(ファクター)を用いてもよい。その指標値は患者の健康に対する危険性を反映する。特定の指標値と関連する危険性は違う条件では異なってもよい。このような違う条件によって、例えば、患者の病気、入院施設などの追加パラメーターが使用可能となり得、この追加パラメーターの使用は、危険性関連関数の更新に用いてもよい。たとえば、PI指標に関して、例えば、PI指標値が8から10であることが、患者が良好な状態にあることを意味するように、指標値は患者の健康に対する危険性を反映する。特定の指標値と関連する危険性は違う条件では異なってもよい。そのため、低いPI値又は高いPI値での変化に対して感度がより高くなることを示すようにPIと危険性間の線形関数を変更してもよい。PIはそのまま決定/計算してもよく、PIの最終値は前記関連関数に従って変更してもよい。このような危険性関連関数は例えば図3に示され、図3は危険性レベル(X軸「低い」から「高い」)に関するPI値(Y軸、1から10の目盛り上)を表すグラフを示している。グラフ中、線aはPIと危険性間の線形関数を示し、線bは低いPI値での変化に対して高い感度を示すグラフであり、線cは高いPI値での変化に対して高い感度を示すグラフである。この実施例では、線aにおけるPI値5は、関連規則に従って線cを用いると値が2に変わり得る。
【0155】
ここで図4Aを参照すると、幾つかの実施形態に係り、ファジー論理推論を用いたPI指標を計算する方法の例示的なブロック図スキームが示されている。図4Aに示すように、パラメーター170Aなどの入力主要パラメーターは、例えば工程172Aなどの特徴付け工程に入る。入力パラメーターは、直接的又は間接的に検出/計測/決定可能な任意の数の患者パラメーターを含んでいてもよい。入力パラメーターは、任意の多数の検出/計測/決定した患者パラメーターを含んでいてもよい。たとえば、入力主要パラメーターは、心拍数、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。その特徴付け工程では、各特徴グループ(例えばグループ173Aから173C)に対して各メンバーシップ値を計算/算出/割り当てする。特徴グループは、例えば「正常」、「高い」、「低い」、「非常に高い」、「非常に低い」などとラベル付けされてもよい。同様な工程が、例えば入力パラメーター170Bなど任意の数の入力主要パラメーターに適用されてもよく、入力パラメーター170Bは特徴付け工程172Bで特徴付けられてもよく、そこでは各特徴グループ(グループ173Dから137Fなど)に対して各メンバーシップ値が計算される。次の工程にて、各グループ対の多様な組み合わせが出力特徴グループ(例えば、出力特徴グループ(174Aから174n)であって、nは0よい大きい任意の整数を含んでいてもよい)に入る。たとえば、図4Aに示すように、特徴グループ173A及び173Dは出力特徴グループ174Aに入ってもよい。両方のパラメーターグループのメンバーシップ値、各メンバーシップ値に関連する重み及び各メンバーシップ値を組み合わせる論理演算子(例えば、「AND」、「OR」など)を各出力特徴グループに関するメンバーシップ値の計算/決定/算出/割り当てに用いてもよい。たとえば、医療エキスパートの知識、臨床試験、文献、標本ケースなどを用いてそのネットワークのトポロジーを設計する。結果的に、出力値175などの出力値はすべての値のメンバーシップ関数、例えば、集合関数(例えば、MAXなど)及び/又は平均化関数(例えば、図心、平均値(mean)、平均(average)など)によって計算される。追加実施形態によれば、指標を計算する方法は、主要パラメーターに加えて、多様な追加パラメーター(ファクター)の使用を更に含んでいてもよい。追加パラメーター(ファクター)は多様な患者特定パラメーターを含んでいてもよく、このパラメーターは、例えば、血圧、年齢、病状、鎮静、患者覚醒、患者睡眠などの患者の特徴であってもよい。たとえば、追加パラメーター(ファクター)(例えば、追加パラメーター(ファクター)176など)は1以上の特徴付け工程に入ってもよく、これにより、特徴付け工程に起因する各出力特徴グループ用のメンバーシップ関数及びメンバーシップ値を制御/調整できる。
【0156】
追加実施形態によれば、計算モデルはベイジアンネットワークを含んでいてもよい。ベイジアンネットワークは、当技術分野で知られているように、確率論に基づいた各変数間の関係を図形表示したものを含んでいてもよい。ベイジアンネットワークは有向非循環グラフを含み、有向非循環グラフは、条件付き確率の表に付随した変数を表現するノードを有する。ノードは、円弧によって接続され、各変数間の関係をモデル化している。ノードの確率は、他の変数の値が既知であると計算できる。ベイジアンネットワークは既知ケースを用いる学習能力を有するとともに、欠測値を容認し得る。ベイジアンネットワークのトポロジー及び確率は、例えば、エキスパートの知識、教科書、臨床試験、標本ケースなどを用いて与えてもよい。ベイジアンネットワークのノードは、多様なパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターを含んでいてもよく、このパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターは、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など);病状(例えば、心不全、ぜんそく、喫煙、肺疾患など);人口統計(例えば、年齢、性別、体重など);室内検査結果(例えば、血液ガス、pH、尿検査など);投薬(例えば、ステロイド、鎮静剤、抗炎症薬など);などを含んでいてもよい。ノードの値は離散的又は連続的であってもよい。多様なパラメーター及び/又は入力を考慮すると、ベイジアンネットワークは、例えば患者の状態の確率を表すPIなどの健康関連指標の計算/評価/決定に用いてもよい。さらに、ベイジアンネットワークは、例えば、過換気、低換気などの診断の確率の計算/評価/決定に用いてもよく、更には追加試験及び/又は介入のアドバイスを提供してもよい。ベイジアンネットワークに関する追加情報を例えば、非特許文献4及び5に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。ここで図4Bを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なベイジアンネットワークが示されている。図4Bに示すように、例示的なベイジアンネットワーク120は、例えば、血圧121、年齢123、心拍数122、SpO2126、呼吸速度124、EtCO2125などの多様なパラメーター及び/又はファクター及び/又は入力間の関係(矢印で表示)を示していてもよい。多様なファクター間に様々な関係を与えることで、例えばPIといった指標などの出力127を決定/計算/算出できる。
【0157】
追加実施形態によれば、計算モデルは決定木を含んでいてもよい。決定木は、ある事項の目標値に関する結論に対するその事項に関する観察を地図上に示すことに使用可能な予測モデルである。木は、ノード及び有向線分から成る階層的グラフ構造を有する。上層は、例えばパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターなどの入力ノードを含んでいてもよく、このパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターは、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など);病状(例えば、心不全、ぜんそく、喫煙、肺疾患など);人口統計(例えば、年齢、性別、体重など);室内検査結果(例えば、血液ガス、pH、尿検査など);投薬(例えば、ステロイド、鎮静剤、抗炎症薬など);などを含むが、これらに限定されない。決定ノードはグラフを通して進行順序を決定する。木の「葉」が可能なすべての結果又は分類であるのに対して、「根」は最終結果であって、例えば、患者状態の分類、介入のアドバイスなどを含んでいてもよい。木はエキスパートの知識、標本ケース、文献、臨床試験などを用いて構築してもよい。決定木を構築する方法は、当業者に周知の決定木アルゴリズムである、例えば、C5.0、CART及びID3などのアルゴリズムを含んでいてもよい。木構造及びパラメーターを精緻化するために強化学習があってもよい。対応する確率を出力分類に与えてもよい。より複雑な分類を生成するように、別の木と組み合わせることで木の集団を生成してもよい。決定木に関する追加情報を例えば、非特許文献6に見出してもよく、この内容全体を本明細書に援用する。ここで図4Cを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的な決定木グラフ構造が示されている。図4Cに示すように、例示的な決定木グラフ構造140は、有向辺及びノード(円及び矢印で表示)を示し、例えば、年齢、冠状動脈性心臓病(CHF)、心拍数(HR)、血圧及びそれらの予測結果などの多様なパラメーター及び/又はファクター及び/又は入力間を関連付けている。ノードは入力ノード及び/又は決定ノードを含んでいてもよく、更には決定木グラフを通ずる進行の順序の決定に用いてもよい。たとえば、図4Cに示すように、入力ノード141(年齢)は、例えば年齢が60歳未満又は60歳を超えることを矢印で示す2つの決定木に通じていてもよい。各決定ノードに従って、他の入力ノードへの進行が決定される。たとえば、図4Cに示すように、年齢が60歳を超えるならば、CHF入力ノード142を考慮する。CHF入力ノードが肯定的ならば、例えば血圧144などの別の入力ノードを考慮する。追加的に又は代替的に、並行して又は連続して、他の入力ノードを考慮してもよい。図4Cに示すように、心拍数(HR)入力ノード143も並行して考慮してよい。HRが高ければ、血圧入力ノード144も考慮する。追加決定ノードが3重の点で示されている。木の「根」は決定木の最終結果を示す。たとえば、その結果は、患者の状態(状況)が同じならば(例えば、結果146など)、或いは患者の状態(状況)が悪化しているならば(例えば、結果145など)といった条件を含んでいてもよい。
【0158】
追加実施形態によれば、計算モデルはフィードフォーワードニューラルネットワークを含んでいてもよい。フィードフォーワードニューラルネットワークは生物学的に触発された分類アルゴリズムである。そのフィードフォーワードニューラルネットワークは、層内に組織された単一のニューロン様処理ユニットを含んでいてもよい。層内の各ユニットは前層内のユニットと接続している。その接続は、すべてが同等でなくてもよく、各接続は異なる強さ又は重みを有していてもよい。接続の重みによってネットワークの知識がコード化される。ニューラルネットワークのユニットはよくノードとも呼ばれる。データは、それが出力に到達するまで入力としてネットワークに入りネットワークの各層を通過する。通常オペレーションの間、すなわち、処理ユニットが分類器として機能する際、各層間にフィードバックが存在しない。学習フェーズの間、ネットワークの重みを修正してもよい。パターンを表示する際、適切なカテゴリーを有する出力ユニットが最大の出力値を有するようにすべての重みを修正する。学習は誤差逆伝播アルゴリズムを用いて実行してもよい。強化学習も可能である。ネットワークの階層構造も設計してよい。ネットワークへの入力は、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など)及び/又は患者特有の多様な追加パラメーター(ファクター)を含んでいてもよく、更には例えば、血圧、年齢、病状、鎮静、患者覚醒、患者睡眠などの特徴であってもよい。出力は、例えば、患者状態の分類を表すPIなどの健康関連指標を含んでいてもよい。ネットワークは、前時点の入力ノードを加えることで入力パラメーターの時間に関する変化(動向)も捕らえてよい。フィードフォーワードニューラルネットワークに関する追加情報を例えば、非特許文献7及び8に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。
【0159】
ここで図4Dを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なフィードフォーワードニューラルネットワークが示されている。図4Dに示すように、例示的なフィードフォーワードニューラルネットワーク160は、多様な入力測定/検出パラメーター(例えば、心拍数HR161A、呼吸速度RR161B、SpO2161C、EtCO2161Dなど)からネットワークのニューロン様処理ユニット(層)(例えば、隠れ層162A、162B及び162Cなど)に向かう情報の伝播、及びこのユニットを通しての情報の伝播を示していてもよい。ネットワークの多様な層で処理/評価/決定された情報から、例えばPIなどの出力164(図4D参照)を決定してもよい。多様な層間の重み及び関係は、例えば、フィートバック機構を用いることで修正してもよく、このフィートバック機構は、特に学習フェーズの間に用いてもよい。
【0160】
更なる実施形態によれば、指標値を決定する際、指標危険性関連関数を定義或いは精緻化するため、及び/又は規則を微調整するため、及び/又はメンバーシップ関数を微調整するために学習モデルを用いてもよく、これにより、指標が決定/計算される。図5に示すように、学習モデルスキーム100は3つの主要なブロックを含んでいてもよい。すなわち、その第1のブロックは環境102であって、計測患者パラメーターを入力としてモデルに送るものである。そのパラメーターは、EtCO2、SpO2、RR、HRなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。第2のブロックは計算モデル104であり、計算モデル104は、例えば、ファジー推論モデル、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、及び非線形回帰モデルなどの多様な数学モデルを含んでいてもよいが、これらに限定されない。たとえば、計算モデルはファジー推論モデルを含んでいてもよい。そして、計算モデルは、例えばPI値を含むことが可能な出力106を計算してもよい。たとえば、計算モデルはベイジアンネットワークを含んでいてもよい。たとえば、計算モデルは決定木を含んでいてもよい。たとえば、計算モデルはフィードフォーワードニューラルネットワークを含んでいてもよい。第3のブロックは性能基準108であり、性能基準108はモデル予測の信頼性(品質)を評価するスコアを含んでいてもよい。その基準は、例えば医療提供者のエキスパートが評価してもよい。加えて、或いは代替的に、その基準は、患者状態及び医療介入に関して収集した追加データを用いた自動的な評価であってもよい。性能基準を用いることで、学習過程110は、収束解が得られるまで性能を最小化するために適用できる。たとえば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法及び期待値最大化(EM)などを含むが、これらに限定されない多様な方法を用いて学習及び最適化を実行してもよい。学習は、より一般的なモデルを得るためにオフラインで実行してもよく、或いは、各特定/個々の患者にフィットするモデルを適応するためにオンラインで実行してもよい。このオンライン実行のケースでは、患者を長くモニターすればするほど、患者状態に対するモデルのフィッティングもより多くなる。
【0161】
幾つかの実施形態によれば、モニタリング装置は、医療エキスパートへの医療アドバイスの表示を更に含んでいてもよい。医療アドバイスは、少なくとも幾つかの個々パラメーターの値及びパターンの解析や、個々パラメーターの既知の範囲及びパターンと計測値及びパターンとの比較の解析から導いてもよい。これらのアドバイスは、決定/計算した状態指標値由来の表示に加えて表示してもよい。医療アドバイスは、例えば、CO2波形(カプノグラムとして表示)及びRI値の特性に基づいていてもよい。医療提供者に提供するアドバイスは、例えば、CO2波形の観察結果が部分的閉塞の指標(長い下り勾配の波形など)となる特性を有しているならば、装置により「気道開放」や「気道チェック」とアドバイスできるといったものを含んでいてもよい。CO2波形が非常に小さく肺への血流が少ないことを示す形状が優れているならば、装置により「血圧チェック」又は類似の表示でアドバイスしてもよい。既知のCO2波形パターンの検出は、患者治療を改善するために既知の患者状態を治療すべきなのか治療し得るのかの指標となり、更には医療エキスパートへアドバイスを提供する契機及び発信源に用いてもよい。たとえば、部分的閉塞に入っている患者では、カプノグラムの下降勾配が時間と共に増加して徐々に落ちてゆく波形パターンが促進されるのがごく普通である。このような場合に、医療提供者に「患者の気道チェック」などの通知を発してもよい。たとえば、CO2波形パターンが非常に丸く小さくなったならば、これはカプノグラフの挿管に機械的な問題がある指標であり、「挿管インターフェースチェック」といったアドバイスを発してもよい。モニタリング装置が発するそれらの医療アドバイス及び他の類似の医療アドバイスは、PI由来の表示に加えて示されてもよい。波形パターンのこのような分析の実施例を非特許文献9の刊行物に見出してもよく、この内容全体を本明細書に援用する。たとえば、小さい気道閉塞は、上昇曲線フェーズと上り勾配の肺胞プラトーを示すカプノグラムに見て取ることができ、この上昇曲線フェーズと上り勾配の肺胞プラトーは、急性気管支けいれん又は閉塞性肺疾患の存在を示し、例えば、CO2波形により緩徐呼吸性低換気と過換気とを区別してもよい。緩徐呼吸性低換気では呼吸速度が減少し、波形振幅が大きく、カプノグラムが幅広く検出される一方で、過換気では呼吸速度が増加し、波形振幅が小さく、カプノグラムが狭く検出される。
【0162】
幾つかの実施形態によれば、医療装置はユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、ユーザーインターフェースにより、表示すべきデータであって、多様な動作パラメーターを制御するデータをユーザーが選択可能である。さらに、看護師、医師、麻酔科医などの異なるユーザーの異なったニーズに応える違う表示を含んでいてもよい。ユーザーがデータの表示を変えられることで、ユーザーは、状態を更に評価するための異なった情報のレベルを切り替えることができる。たとえば、基本スクリーンは状態指標値及び状態指標値の動向データを表示してもよい。次の表示に変えると、実際の計測データ値、及び状態指標値を決定/計算するパラメーターに関する値の動向が現れてもよい。更に表示を切り替えると、休止頻度並びに他の関連分析及び計算が提供されてもよい。多様な表示を用いることで、ユーザーは、事象及び/又はアドバイスをユーザーに示すことになったパラメーターに焦点を当てることもできる。
【0163】
更なる実施形態によれば、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは各患者に特徴的な情報に進入することもできる。特徴的な患者情報の使用は、様々な計測及び計算の精度を許容するのに必要である。このような情報は、例えば、特定の患者の年齢、体重、身長、性別などはもちろん、挿管(患者が挿管されているか否か)など患者の他の関連情報さえも含んでいてよい。たとえば、患者のサイズ及び年齢はPI計算を変更できる。すなわち、大人にとって12BPMの呼吸速度は正常であり、36BPMは速いと考え得るが、子供にとっては12BPMの呼吸速度は遅いと考えられ、36BPMの呼吸速度は正常と考え得る。また、患者の分類検出手段を利用してもよく、その分類は、例えば、年齢グループ、体重グループ、性別、挿管などのパラメーターに基づいていてもよい。このような分類を用いることで、患者のタイプや環境に関連した分類に適するようにモニタリング装置の設定を直すことが可能となる。また、ユーザーインターフェースは、使用されている計測インターフェースに従って患者のタイプを自動的に検出可能であってもよい。たとえば、呼気中の二酸化炭素の計測に用いる挿管インターフェースは大人と子供とで違ってもよい。したがって、ユーザーインターフェースは患者のサイズグループに適合するように患者設定を自動的に調節できる。
【0164】
ここで図6を参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なグラフィカルユーザーインターフェースが示されている。図6Aに示すように、ユーザーインターフェースディスプレー200は、決定/計算した指標に関連する1以上の要素を表示してもよい。表示すべきものの内容は、ユーザーが決定してもよい。たとえば、ディスプレー200は要素202を含んでいてもよく、ディスプレー200では、ユーザーが指定ディスプレーを選択し、更にはどのディスプレーを選択するかを指示可能であってもよい。要素204が決定/計算したPI値を表示してもよい。要素206が決定/計算したPIの動向(時間に関する変化)を表示してもよい。要素208がPI値の変化に関するグラフィカル表示を含んでいてもよい。要素210が指標値の決定に用いる1以上のパラメーター値を示していてもよい。要素212が指標値の決定に用いる1以上のパラメーター値の動向を示していてもよい。医療提供者への医療アドバイスを表示するように要素214を用いてもよい。多様な要素の表示は、例えば、数値、ディスプレー、グラフディスプレー、チャート、表、グラフィカル表示ディスプレー、色付けされた指標の表示など任意のタイプの表示を含んでいてもよい。ここで図6Bを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Bに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース250は様々な要素を表示してもよい。たとえば、要素252は、ユーザーが指定表示を選択し、更にはどの表示を選択するかを指示可能であってもよい。たとえば、多様な表示は動向、システム、患者タイプ、警告、印刷、ズームなどを含んでいてもよい。要素254がPI値の数値ディスプレーを含んでいてもよい。要素258がPIの変化のグラフィカル表示(例えば、矢印など)を含んでいてもよい。要素256が、例えば2時間などの選択期間に亘る指標の動向の表示を含んでいてもよい。この動向表示は、例えば、時間に関するPI値の変化を示すグラフの形態であってもよい。要素260Aから260Dが、多様なパラメーターの値を表示してもよく、そこでは、少なくとも幾つかのパラメーターに従ってPIが決定/計算される。たとえば、図6Bに示すように、要素260AはEtCO2レベル(mmHgの単位)を数値として表示する。たとえば、要素260Bは呼吸速度(RR、1分当たりの呼吸数の単位)を数値として表示する。たとえば、要素260CはSpO2レベル(飽和度%の単位)を数値として表示する。たとえば、要素260Dは心拍数(HR、1分当たりの拍動の単位)を数値として表示する。また、要素262Aから262Dは多様なパラメーターの変化のグラフィカル表示手段である。たとえば、要素262Aから262Dは上向き矢印及び/又は下向き矢印の形態であってもよい。要素264がCO2波形(mmHgの単位)を描くグラフを更に示していてもよい。ここで図6Cを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Cに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース300は、例えば、PI値、及び指標値の決定に用いる多様なパラメーターなど様々な要素の動向(時間に関する変化)を表示してもよい。その動向を観察する選択期間は、例えば、0.1時間から24時間などの任意の期間を含んでいてもよい。その期間はユーザーが選択してもよく、且つ/又は自動的に決定してもよい。たとえば、その動向を表示する期間は6時間であってもよい。たとえば、要素304がPI値の数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素305が選択期間に亘るPI値の動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素306が心拍数パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素307が選択期間に亘る心拍数パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素308がSpO2パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素309が選択期間に亘るSpO2パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素310が呼吸速度パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素311が選択期間に亘る呼吸速度パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素312がEtCO2パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素313が選択期間に亘るEtCO2パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、各個々の動向の範囲を隠してもよいため、その動向の「正常」範囲からのずれが容易に識別される。追加的に、又は代替的に、正常範囲から逸脱するそれらの範囲を色付けするように(例えば、黄色及び/又は赤色に)グラフを変更してもよい。ここで図6Dを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Dに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース350は、警告リミット(閾値)からのずれをある期間に亘って検出してきた事象の頻度を表示してもよい。事象の頻度の表示は、数値、グラフディスプレー、色分けされた表示など、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。たとえば、要素352が、呼吸速度が速い方の警告リミット(上部パネル353A)を超えた時間数又は遅い方の警告リミット(下部パネル353B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素354が、SpO2が高い方の警告リミット(上部パネル355A)を超えた時間数又は低い方の警告リミット(下部パネル355B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素356が、EtCO2が高い方の警告リミット(上部パネル357A)を超えた時間数又は低い方の警告リミット(下部パネル357B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素358が、心拍数が高い方の警告リミット(上部パネル359A)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素360が、PI値が低い方の警告リミット(上部パネル361A)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。事象の頻度を決定する期間は、自動的に又はユーザーが決定してもよい。事象の頻度の表示に加えて、グラフィカルユーザーインターフェース350は、任意のパラメーター及び/又は値のグラフ及び/又は数値ディスプレーを更に表示してもよい。たとえば、要素362がEtCO2の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素364が呼吸速度の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素368がSpO2の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素370が心拍数の瞬間計測値を表示してもよい。
【0165】
これにより、幾つかの実施形態によれば、呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態など患者の健康状態をモニターするために使用可能な医療装置及びシステムが提供される。この装置は、例えば、二酸化炭素に加えて多様なパラメーターの計測値を検出及び/又は取得するために適応可能なカプノグラフィ装置を含んでいてもよい。このパラメーターは、例えば、SpO2などの酸素レベル及び酸素分圧、心拍数、血圧などを含んでいてもよい。その装置は処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。処理ロジックは、例えばプロセッサなど任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。状態指標値は1から10の範囲にあってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示す。モニタリング装置は、これが収集して決定/計算したデータの表示に使用可能な1以上のディスプレーを更に含んでいてもよい。ディスプレーは、例えば数値フォーマット及び指標付きフォーマットの決定/計算した状態指標を表示してもよく、1から10範囲の決定/計算した指標に沿った異なる範囲を異なる色;決定/計算した指標の時間に関する変化(動向);決定/計算した指標値の信頼性;モニタリング装置の様々なセンサーが計測した多様なパラメーターの値及びパターン;例えば上向き矢印及び下向き矢印など、患者の状態に関するグラフィカル表示;などに割り当ててもよい。さらに、モニタリング装置は、決定/計算した状態指標値及び他の計測患者パラメーターに基づき医療アドバイスを発するようにされていてもよい。また、モニタリング装置はユーザーインターフェースを含んでいてもよく、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、及び/又はサイズを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態、例えば、グラフ、数値、表示手段などをユーザーが選択可能であってもよい。
【0166】
ここで図7を参照すると、幾つかの実施形態に係る医療モニタリングシステムのブロック図が示されている。図7に示すように、医療モニタリングシステム400は、例えばセンサー402Aから402Dの1以上のセンサーを含んでいてもよく、このセンサーは、多様な健康関連パラメーターを取得/検出/計測するようにされていてもよい。センサーは、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなどのセンサーを含んでいてもよいが、これらに限定されない。このように計測するパラメーターは、例えば、EtCO2、CO2レベル、SpO2、心拍数、血圧、流量、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。医療モニタリングシステム400は、例えば処理ロジック404などの処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。たとえば、状態指標値は肺/呼吸器指標であってもよい。処理ロジックは、例えばプロセッサなど任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。処理ロジックとセンサーとの接続は、例えば、ワイヤー、ケーブル、無線などの使用といった任意のタイプの通信経路を含んでいてもよい。さらに、医療モニタリングシステムは1以上のディスプレー(例えば、図7のディスプレー406など)を含んでいてもよく、このディスプレーは、処理ロジック、例えば指標値、指標の動向、指標の決定に用いるパラメーターなどによって収集して決定/計算/算出したデータの表示に用いてもよい。また、医療モニタリングシステムはユーザーインターフェース408などのユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、このユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、体重、身長、病歴、現在の健康状態など、又はこれらの任意の組み合わせを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態をユーザーが選択可能であってもよい。
【0167】
ここで図8を参照すると、幾つかの実施形態に係るシステムの模式図が示されている。図8に示すように、医療モニタリングシステム500などのシステムは、医療モニタリングシステム500は、例えばセンサー502Aから502Dの1以上のセンサーを含んでいてもよく、このセンサーは、多様な健康関連パラメーターを取得/検出/計測するようにされていてもよい。1以上のセンサーは患者(例えば患者520)に直接又は間接的に接続していてもよい。センサーは、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなどのセンサーを含んでいてもよいが、これらに限定されない。このように計測するパラメーターは、例えば、EtCO2、CO2レベル、SpO2、心拍数、血圧、流量、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。システム500は、例えば処理ロジック504などの処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。たとえば、状態指標値は肺/呼吸器指標であってもよい。処理ロジックは任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。処理ロジックとセンサーとの接続は、例えば、ワイヤー、ケーブル、無線などの使用といった任意のタイプの通信経路を含んでいてもよい。さらに、医療モニタリングシステムは1以上のディスプレー(例えば、図8のディスプレー506など)を含んでいてもよく、このディスプレーは、処理ロジック、例えば指標値、指標の動向、指標の決定に用いるパラメーターなどによって収集して決定したデータの表示に用いてもよい。また、医療モニタリングシステムはユーザーインターフェース508などのユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、このユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、体重、身長、病歴、現在の健康状態など、又はこれらの任意の組み合わせを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態をユーザーが選択可能であってもよい。
【0168】
多数の例示的な態様及び実施形態を上で議論してきたが、当業者は、一定の修正、置換、追加及びこれらのサブコンビネーションを理解するであろう。よって、以下に添付の請求項及び以下に導く請求項は、このような修正、置換、追加及びサブコンビネーションのすべてが請求項の真の精神及び範囲内にあるものと解すべきであることを意図する。
【0169】
実施例
【0170】
実施例1‐数学モデルを用いたPI値計算
【0171】
上述したように、PIの計算に使用した任意のパラメーター値は、平均EtCO2、平均呼吸速度、平均心拍数及び平均SpO2の決定/計算/算出値に基づいている。EtCO2(呼吸終末二酸化炭素)は単位mmHgで計測する。呼吸速度(RR)は1分当たりの呼吸数で計測する。SpO2はパーセントで計測する。心拍数(HR)は1分当たりの拍動で計測する。以下の実施例は様々な条件での指標値を例示している。
【0172】
PI ≧ 9から10
次の条件を実現すると、指標は10か9となり、過換気又は低換気の指標である矢印は表示されない。次の条件は次のように解釈される。すなわち、呼吸速度が12から28BPMの範囲にあり、かつ、EtCO2が28mmHg以上かつ44mmHg未満であり、かつ、SpO2が94%より高いならば、決定/計算/算出指標は10となる。呼吸速度が12から28BPMの範囲にあり、かつ、EtCO2が28mmHg以上かつ44mmHg未満であり、かつ、SpO2が90から94%の範囲ならば、決定/計算/算出指標は9となる。それらの条件は次のように要約できる。すなわち、
12 < RR < 28 かつ 28 ≦ EtCO2 < 44 かつ SpO2 > 94% ならば、指標 10
12 < RR < 28 かつ 28 ≦ EtCO2 < 44 かつ 90% < SpO2 < 94% ならば、指標9
【0173】
PI ≦7 及び低換気の表示
RR ≦ 5 ならば、指標4低下
RR ≦ 8 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 ≦ 12 又は SpO2 ≦ 86% ならば、指標3低下
RR ≦ 5 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 ≦ 12 かつ SpO2 ≦ 86% ならば、指標1低下
RR ≦ 5 かつ SpO2 ≦ 86% ならば、指標2低下
5 < RR ≦ 8 かつ 46 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24かつ 86% < SpO2 ≦ 90% ならば、指標5低下
5 < RR ≦ 8 かつ 46 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 > 90% ならば、指標6低下
8 < RR ≦ 12 かつ EtCO2 ≧ 55 又は EtCO2 < 18 かつ SpO2 ≦ 90% ならば、指標6低下
8 < RR ≦ 12 かつ EtCO2 ≧ 55 又は EtCO2 < 18 かつ SpO2 > 90% ならば、指標7低下
【0174】
PI ≦8 及び 過換気及び低換気の表示なし
12 < RR < 16 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 < 12 かつ SpO2 < 90% ならば、指標6
12 < RR < 16 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 < 12 かつ SpO2 > 90%
ならば、指標7
12 < RR < 16 かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90% ならば、指標7
12 < RR < 16 かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 > 90% ならば、指標8
【0175】
PI ≦8 及び過換気の表示
RR ≧ 40 かつ HR ≧ 110 ならば、指標4上昇
RR ≧ 40 かつ EtCO2 ≧ 50 かつ HR ≧ 110 ならば、指標3上昇
RR ≧ 40 かつ EtCO2 ≧ 50 かつ HR ≧ 110 かつ SpO2 ≦ 90% ならば、指標2上昇
RR ≧ 40 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50 かつ HR ≧ 100 かつ SpO2 ≦ 90%ならば、指標3上昇
RR ≧ 40 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50 かつ HR ≧ 100 かつ SpO2 > 90% らば、指標4上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 100 ならば、指標8上昇
32 ≦ RR < 40 かつ 100 ≦ HR < 120 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50ならば、指標7上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 100 かつ EtCO2 ≧ 44 かつ SpO2 ≦ 90%ならば、指標6上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 120 かつ EtCO2 ≧ 55ならば、指標5上昇
28 ≦ RR < 32 かつ HR ≧ 120 かつ EtCO2 ≧ 55ならば、指標6上昇
28 ≦ RR < 32 かつ HR ≧ 100 かつ EtCO2 ≧ 44ならば、指標7上昇
44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90% ならば、指標7上昇
16 < RR < 28かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90%ならば、指標7上昇
【0176】
実施例2‐数学モデルを用いたPI値決定‐ファジー論理アルゴリズム
【0177】
ファジー論理推論は、医療提供者の知識、並びに4つのパラメーター、EtCO2、呼吸速度(RR)、心拍数(HR)及びSpO2から得られる予測PI値の解釈を用いて構築される。異なる年齢での大人と子供とでHR及びRRの正常範囲に違いがあるので、同一パラメーターのPI値は異なってもよい。このようにしてPIモデルは異なった年齢用に設計される。次の説明はすべてのモードに適用されるが、より具体的には大人のモードに適用される。
【0178】
4つのパラメーター(EtCO2、RR、HR及びSpO2)に基づいてPI値を決定するために、22人の医療エキスパート(看護師、呼吸療法士、医師及び麻酔科医)に質問事項を送る。質問事項は異なったパラメーター値を有する85ケースのセットを含む。エキスパートは所定のコード(表1参照)に従ってPI値を割り当てるよう質問に答える。
【0179】
【表1】
【0180】
ファジー論理推論はデータに対するエキスパートの合意を用いて構築される。マスワークス社(Mathworks Inc.)のマトラボ(matlab)ファジー論理ツールボックスを用いて設計を実施する。初めに、メンバーシップ関数を各パラメーターに割り当て、HR及びSpO2には正常値、高い値及び低い値用の範囲を決定し、EtCO2及びRRには正常値、高い値、非常に高い値、低い値及び非常に低い値用の範囲を決定する。PIは10個のメンバーシップ関数を有し、各指標値に1つのメンバーシップ関数が対応する。
【0181】
メンバーシップ関数の言語記述子を用いて、入力と出力を関係付ける規則セットを決定する。(EtCO2が非常に高く)、かつ、(RRが非常に高く)、かつ、(SpO2が正常)、かつ、(HRが高い)ならば、PIは2となる。この規則は表2に要約されている。
【0182】
【表2】
【0183】
用いるファジー論理演算子は、AND演算用の最小値、OR演算用の最大値、非ファジー化領域の集合及び図心用の最大値である。
【0184】
上述の実施例は非限定的な実施例であって、本開示の範囲の限定を意図するものではない。記述した実施例は異なる特徴を有していてもよく、その特徴のすべてが本開示のすべての実施形態に必要とされるわけではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸から患者を離脱させるシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、種々の医学的疾患を負い人工呼吸の環境に置かれる。これらの医学的疾患は、肺疾患、胸部傷害、心不全、麻痺、神経筋不全、多臓器不全、肺合併症に繋がる敗血症、術後管理及び他の症状を含む。人工呼吸装置(機械的換気装置)を、換気及び酸素補給の2つを提供するために適応させるのが典型的である。換気は、一般的に1回換気量及び呼吸速度のセットを用いて換気の時間を制御して輸送することを含む。これは、肺に供給するガスの設定圧力又は設定容積を用いて提供できる。酸素補給は、あるレベルの所定の酸素及び/又は呼吸終末陽圧(PEEP)を輸送することで制御するのが一般的であり、この酸素及び/又は呼吸終末陽圧(PEEP)は機能的残気量(FRC)を増加させるよう用いる。
【0003】
換気技術の改良が日進月歩だとしても、換気装置への依存は、未だに医療上及び経済上深刻な問題である。時に深刻な致命的合併症により、患者への換気装置の補助が長くなり得ることがよく知られている。また、換気装置を伴う治療は、専門的で非常に高額な集中治療室の環境で提供されるため、換気装置への依存を最小化する必要がある。人工呼吸からの患者の離脱は、関連する集中治療換気の最も難しい課題の1つである。
【0004】
先行技術の換気装置から離脱させるモニタリング法は、効率性が十分ではなく、臨床上の疲労や苦悩といった主観的印象、及び/又は疾患がすでに発現した後にその疾患を必然的に計測した際の動脈血ガスの異常に依存することがよくある。1回換気量の呼吸速度に対する比率などのより最新のモニタリング技術が、未だにかなり大まかな離脱性能の指標となっている。換気装置依存からの離脱は不測の急激な換気不全があるため潜在的に危険であり、好適なモニタリング手段による早期離脱が患者の安全性にとって急務である。さらに、弱った呼吸筋を回復させ、回復筋肉に圧力がかかり過ぎずに更なる損傷が生じないように、呼吸筋に加わる圧力を制御することが急務である。臨床上、その圧力から離脱させる適切度合いを安全に定義することは難しいことが多い。
【0005】
さらに、医師や看護師などの医療提供者が患者の換気装置からの離脱を考え、及び/又は離脱プロセスの進捗をモニターしたいとき、医師や看護師は、膨大な量の患者関連パラメーター(データ)を考慮し、頻繁に分析さえしなければならない。これらの多様なパラメーターは、各々単位が異なることがあり、時おり、同一のパラメーターに異なった単位を用いることがある。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示し得る。そのため、従来の離脱の開始やモニタリングの難しさにパラメーターの複雑さや多さも付け加わっている。
【非特許文献1】ヤン・ヤンツェン、「ファジー論理に関する指導書」、http://fuzzy.iau.dtu.dk/download/logic.pdf、1998年(“Tutorial on Fuzzy logic”, by JanJantzen, 1998)
【非特許文献2】「一般人のみに向けたファジー論理」第1章から第3章、http://www.fuzzy-logic.com/Ch1.htm,http://www.fuzzy-logic.com/Ch2.htm,http://www.fuzzy-logic.com/Ch3.htm(“Fuzzy logic for just plain folks”, chapters 1-3)
【非特許文献3】T.トラン及びZ.ゾモロディ、「わずかに灰色」、http://www.duke.edu/vertices/win94/fuzlogic.html(“A touch of gray” by Tran T. andZomorodi, Z.)
【非特許文献4】M.ジョルダン、編集者著「グラフィックモデルにおける学習」(MIT出版(マサチューセッツ州ケンブリッジ)1999年中のD.ヘッカーマン著「ベイジアンネットワークを用いた学習に関する指導書」(“A Tutorial on Learning with Bayesian Networks” by Heckerman D, in “Learning in GraphicalModels” by M. Jordan,ed. MIT Press, Cambridge, MA, 1999)
【非特許文献5】F.ルッジェーリ、R.ケネット、及びF.ファルチン(編集者)のベン‐ガル、品質及び信頼性の統計学辞典の「ベイジアンネットワーク」、ジョンウィリー・アンド・サンズ出版、2007年(“Bayesian Networks” by Ben-Gal in F.Ruggeri, R. Kenett, and F. Faltin (editors), Encyclopedia of Statics in Qualityand Reliability, John Wiley & Sons (2007))
【非特許文献6】J.R.クインラン、「C4.5における連続的寄与の使用改善」、人工知能研究学会誌第4巻77から90頁、1996年(“Improved Use of Continuous Attributes in C4.5”, by J. R. Quinlan, Journal of Artificial Intelligence Research,4:77-90, 1996)
【非特許文献7】R.O.ドゥダ、P.E.ハート、D.G.ストーク、「パターン分類」(第2版)、ウィリー出版、2001年(“Pattern classification” (2nd edition),by Duda, R.O., Hart, P.E., Stork, D.G., (2001) Wiley Publishers)
【非特許文献8】C.M.ビショップ、「パターン認識用ニューラルネットワーク」、オックスフォード大学出版、1995年(“Neural Networks for Pattern Recognition” by Bishop, C.M. (1995), Oxford University Press)
【非特許文献9】B.クラウゼ及びD.R.ヘス、「救命救急部における手続き的沈静及び沈痛用カプノグラフィ」、救急医学年報50(2)巻、172から181頁、2007年(Krause B. and Hess D.R. (2007) “Capnography for procedural sedation and analgesia in the emergencydepartment”, Ann Emerg Med. 50(2), Pages 172-81)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、換気からの離脱過程にある患者の常に変化する状況を容易にモニターできるシステム、装置及び方法用の技術が必要であり、本発明はこのような技術を提供することを目的とする。
【0007】
関連技術の先の実施例及びそれに関連した限定事項は、排他的な意図のものではなく例示的な意図のものである。関連技術の他の限定事項は、当業者が本明細書を読み、図面を見ることで明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の実施形態及びその態様は、典型的かつ例示的であって本発明の範囲の限定を意図しないシステム、装置及び方法に関連して記述し説明する。様々な実施形態では、上述の1以上の課題が軽減又は解決された一方、他の実施形態は他の利点又は改良を目的としている。
【0009】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置を有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、制御装置は、更に2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する。言い換えると、制御装置は、IPI、時間に関するIPIの動き及び/又はIPIの動向に基づき、1以上の離脱関連パラメーターを調整する換気装置に信号を与えることで換気装置の1以上の離脱関連パラメーターを調整するようにされている。
【0010】
「調整(adjust)」又は「調整すること(adjusting)」は、換気装置の任意の離脱関連パラメーターを変化させるか或いは維持することを意味し、次の処理を含むが、それらに限定されない。すなわち、その処理は、オン/オフモードに換気装置を設定すること、容積及び/又は圧力を減少及び/又は増加させること、酸素補給を減少及び/又は増加させること、換気の補助レベルを変化させること、患者が離脱の試みを休めること、離脱のモード及び/又はプログラム(例えば、PEEP(呼吸終末陽圧)、CPAP(持続的気道内陽圧)、BiPAP(二相性気道内陽圧)及びSIMV(同期的間欠的強制換気))を変化させることなどである。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させるシステムが提供され、システムは、換気装置と、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置とを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、制御装置は、更に2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する。
【0012】
IPIは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく第1の計測患者パラメーターの特徴付け、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく指標値の計算であって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、計算によって計算してもよい。
【0013】
1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0014】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に人工呼吸を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0015】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に酸素補給を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0016】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含んでいてもよい。
【0017】
制御装置は、更にIPIの値の動向を計算するようにされているとともに、計算したIPIの値の動向に基づき、換気装置に信号を与えるようにされ、信号は、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整してもよい。制御装置は、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされていてもよい。制御装置は、更に換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされていてもよい。
【0018】
IPIの値及び/又は換気装置からの離脱に関するアドバイスを表示する図形を更に含んでいてもよい。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有する、ことと、計算したIPIの値に基づき換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整することとを有する。IPIは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく第1の計測患者パラメーターの特徴付け、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく指標値の計算であって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、計算によって計算する。
【0020】
1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0021】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に人工呼吸を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0022】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に酸素補給を継続するか増加させることを含んでいてもよい。
【0023】
換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、IPIの値が所定値未満の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含んでいてもよい。
【0024】
IPIは1から10の範囲にあり、IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなってもよい。IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となってもよい。IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となってもよい。IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0025】
少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従ってIPIを計算してもよい。制御装置は、更にIPIの値の動向を計算するようにされているとともに、IPIの値の動向に基づき、換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整してもよい。制御装置は、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされていてもよい。制御装置は、更に換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされていてもよい。IPIの値を表示する図形を更に含んでいてもよい。
【0026】
IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを含んでいてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求めてもよい。
【0027】
2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを含み、1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択されてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。計算は学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。IPIの計算は、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づいていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターを受け取ることであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターを肺センサーから生成することと、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標値を計算することとを含む。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、統合肺指標の計算は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含んでいてもよい。統合肺指標の計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0030】
更なる実施形態によれば、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化してもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0031】
更なる実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関の変化、CO2使用率、CO2使用率の変化、換気量、換気量の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0032】
追加実施形態によれば、統合肺指標値を計算することは、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターに第1の値を割り当てることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターに第2の値を割り当てることと、第1の割り当て値及び第2の割り当て値に基づき統合肺指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値の影響を受けることとを含んでいてもよい。
【0033】
更なる実施形態によれば、第1の値、第2の値又はその両方の割り当ては、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを有する。第1の値、第2の値又はその両方の割り当ては、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0034】
追加実施形態によれば、統合肺指標値の生成は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含む。統合肺指標値の生成は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0035】
更に追加実施形態によれば、方法は複数のパラメーターを受け取ることを更に含んでいてもよい。
【0036】
更に追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、更に学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0037】
更に追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、1以上の患者特徴を受け取ることと、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算することとを更に含んでいてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
更なる実施形態によれば、統合肺指標は1から10の範囲にある。統合肺指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。統合肺指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる。
【0039】
また更なる実施形態によれば、統合肺指標値の計算は、少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性を考慮に入れることを更に含んでいてもよい。
【0040】
追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する方法は、統合肺指標値の動向を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、統合肺指標値の信頼性指標を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、医療アドバイスを提供することを更に含んでいてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、患者の統合肺指標値を計算する方法が提供され、方法は、2以上の計測患者パラメーターを受け取ることであって、計測患者パラメーターが1以上の検出装置から生成する、ことと、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けることと、特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき指標値を計算することであって、第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、こととを含む。
【0042】
追加実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターを少なくとも有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターに第1の値を割り当てることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターに第2の値を割り当てることと、第1の割り当て値及び第2の割り当て値に基づき指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値の影響を受けることとを含む。
【0043】
追加実施形態によれば、方法は、第3の参照値と第3の計測患者パラメーターの比較に基づき第3の計測患者パラメーターに第3の値を割り当てることと、第1の割り当て値、第2の割り当て値及び第3の割り当て値に基づき指標値を生成することであって、第2の割り当て値に適用された重み付けファクターが、第1の割り当て値及び第3の割り当て値の影響を受けることとを更に含んでいてもよい。
【0044】
また更なる実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は少なくとも2つの計測患者パラメーターを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、1以上の参照値と計測患者パラメーターの比較に基づき少なくとも2つの計測患者パラメーターの各々に値を割り当てることと、割り当て値に基づき指標値を生成することであって、少なくとも1つの割り当て値に適用された重み付けファクターが、1以上の割り当て値の影響を受けることとを含む。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を計算する方法が提供され、方法は、一組の計測患者パラメーターを受け取ることであって、その一組は少なくとも2つの計測患者パラメーターを有し、少なくとも1つの計測患者パラメーターが検出装置から生成する、ことと、1以上の参照値と計測患者パラメーターの比較に基づき少なくとも2つの計測患者パラメーターの各々に値を割り当てることであって、少なくとも1つの参照値が1以上の割り当て値の影響を受けることと、割り当て値に基づき指標値を生成することとを含む。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、指標値の計算は、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用することを含んでいてもよい。指標の計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを含んでいてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化してもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求めてもよい。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関の変化、CO2使用率、CO2使用率の変化、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、更に学習過程の適用を含み、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、1以上の患者特徴を受け取ることと、2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき指標値を計算することとを更に含んでいてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、指標値は1から10の範囲にあってもよい。指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、指標値の計算は、少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性を考慮に入れることを更に含んでいてもよい。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、指標値を計算する方法は、指標値の動向を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、指標値の信頼性指標を計算することを更に含んでいてもよい。方法は、医療アドバイスを提供することを更に含んでいてもよい。
【0054】
追加実施形態によれば、患者の統合肺指標値を生成する装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取る1以上のポート部であって、少なくとも1つの計測患者パラメーターを肺センサーから生成する、ポート部と、2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標値を計算するようにされた処理ロジックとを含む。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、処理ロジックは、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用するようにされていてもよい。処理ロジックは、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用するようにされていてもよい。
【0056】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化するようにされていてもよい。期間は予め求めてもよい。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0057】
追加実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0058】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けることと、第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けることと、特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき統合肺指標値を生成することであって、特徴付けられた第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受ける、ことによって統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。
【0059】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは学習過程を適用するようにされ、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0060】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、更に2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0061】
更なる実施形態によれば、統合肺指標値は1から10の範囲にあってもよい。統合肺指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。統合肺指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0062】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、更に少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従って統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に統合肺指標値の動向を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に統合肺指標値の信頼性指標を計算するようにされている。処理ロジックは、更に医療アドバイスを提供するようにされている。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、患者の状態の指標となる指標値を生成する装置が提供され、装置は、2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたポート部であって、計測患者パラメーターを1以上の検出装置から生成する、ポート部と処理ロジックとを含み、処理ロジックは、(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づき第1の計測患者パラメーターを特徴付けるようにされ、(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づき第2の計測患者パラメーターを特徴付けるようにされ、かつ(c)特徴付けられた第1の計測患者パラメーター及び第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づき指標値を計算するようにされ、特徴付けられた第2の計測患者パラメーターに連関した値に適用された重み付けファクターが、第1の計測患者パラメーターの特徴付けの影響を受けるようにされている。
【0064】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、医療エキスパートの考察、文献、臨床データ、医療経験又はこれらの任意の組み合わせを反映した数学的モデルを適用するようにされていてもよい。処理ロジックは、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用するようにされていてもよい。
【0065】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化するようにされていてもよい。期間は予め求める。1以上の患者特徴若しくは計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき期間を求める。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、2以上の計測患者パラメーターは、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0067】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは学習過程を適用するようにされ、学習過程は指標値の信頼性を増加させてもよい。学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0068】
追加実施形態によれば、処理ロジックは、更に2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づき統合肺指標値を計算するようにされていてもよい。1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0069】
更なる実施形態によれば、統合肺指標値は1から10の範囲にあってもよい。指標値の増加が、患者の状態の改善の指標となってもよい。指標値の減少が、患者の状態の悪化の指標となってもよい。
【0070】
更なる実施形態によれば、処理ロジックは、更に少なくとも1つのパラメーターの医療上重要性に従って指標値を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に指標値の動向を計算するようにされていてもよい。処理ロジックは、更に指標値の信頼性指標を計算するようにされている。処理ロジックは、更に医療アドバイスを提供するようにされている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】CO2の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1B】呼吸速度の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1C】SpO2の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図1D】心拍数の医療重要度レベルを示すグラフである。
【図2】幾つかの実施形態に係りファジー論理推論モデルを用いたときの、年齢に関するメンバーシップ関数を示す例示的なグラフである。
【図3】危険性レベルの関数としてのPI値を示す例示的なグラフである。
【図4A】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算する方法の例示的な説明図である。
【図4B】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算するベイジアンネットワークの例示的な説明図である。
【図4C】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算する決定木グラフ構造の例示的な説明図である。
【図4D】幾つかの実施形態に係り、指標値を計算するフィードフォーワードニューラルネットワークの例示的説明図である。
【図5】幾つかの実施形態に係る学習モデルの例示的なブロック図スキームである。
【図6A】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースの例示的なブロック図である。
【図6B】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図6C】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図6D】幾つかの実施形態に係るグラフィカルユーザーインターフェースを示す例示的な説明図である。
【図7】幾つかの実施形態に係る医療モニタリングシステムのブロック図である。
【図8】幾つかの実施形態に係るシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
上述の例示的態様及び実施形態に加え、更なる態様及び実施形態が、図面の参照及び以下の発明を実施するための形態の詳細な調査により明らかとなろう。
【0073】
以下の説明では、本発明の様々な態様を述べる。説明を目的として、本発明の十分な理解を提供するために特定の形態及び詳細を述べている。しかしながら、本明細書に示されている特定の詳細無しに本発明が実施可能であることは当業者にも明らかであろう。さらに、本発明を明りょうにするために周知の特徴を省略又は簡略化できる。
【0074】
本明細書で言及するように、「ユーザー」、「医療ユーザー」、「医療提供者」及び「医療エキスパート」の語は交換可能に用いてもよい。これらの語は、患者を治療及び/又は看護できる任意の医療提供者を含んでいてもよい。たとえば、ユーザーは、看護師、呼吸療法士、医師、麻酔科医などを含んでいてもよく、更には患者も含んでいてよい。
【0075】
本明細書で言及するように、「装置」、「モニタリング装置」及び「医療装置」の語は交換可能に用いてもよい。
【0076】
本明細書で言及するように、「患者」及び「被験者」の語は、交換可能に用いてもよく、更には任意の身体状態関連パラメーター及び/又は健康関連パラメーター用の任意のモニタリング装置でモニターされている被験者に関していてもよい。
【0077】
本明細書で言及するように、「通常の(ordinary)」、「正常な(normal)」、「典型的な(typical)」、「標準的な(standard)」及び「普通の(common)」の語は、交換可能に用いてもよい。
【0078】
本明細書で言及するように、「状態指標値」、「健康指標」及び「指標値」の語は交換可能に用いてもよい。
【0079】
本明細書で言及するように、「肺の(pulmonary)」は、肺に関連し、肺に影響し、又は肺に生じることを含む。
【0080】
本明細書で言及するように、「呼吸器の(respiratory)」は、空気の身体への出入りの運動に介在する気道、肺、及び呼吸筋から成るシステム、又はこれらを含むシステムに関する。
【0081】
本明細書で言及するように、「換気の(ventilatory)」は、生理学上の換気、空気の身体への出入りの運動に関する。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、第1、第2及び/又は任意の他の計測患者パラメーターなどの「計測患者パラメーター」の語は、患者に関する任意の計測可能又は検出したパラメーターを言及してもよく、このパラメーターは、例えば呼吸速度、CO2関連パラメーターなどの呼吸関連パラメーター;例えばSpO2、酸素飽和度などのO2関連パラメーター;例えば心拍数、ECG、血圧などの心臓関連パラメーター;例えばEEGなどの神経学的パラメーター;例えばFEV1(Forced Expiratory Volume in 1 second1秒間努力呼気容量)、FVC(Forced Vital Capacity努力肺活量)などの肺活量関連パラメーターなどを含むが、これらに限定されない。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、第1、第2及び/又は任意の他の参照値などの「参照値」の語は、値自体、値の範囲を含んでいてもよく、或いは値の範囲の一部を定義するものであってもよい。「参照値」の語は、例えば値自体、値の範囲を言及していてもよく、或いは正常な(健康な)状態を示す値の範囲の一部を定義するものであってもよい。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、「肺指標値」又は「統合肺指標値」の語は、肺の指標及び/又は呼吸器の指標を言及していてもよい。さらに、「肺指標値」又は「統合肺指標値」の語は、呼吸器及び心臓の指標、及び/又は肺及び心臓の指標に関していてもよい。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、「肺センサー」の語は、カプノグラフ、肺活量計、流量計、オキシメータ、音響計測装置、又はこれらの任意の組み合わせなどの任意の装置、センサー、システムなどを含んでいてもよく、この装置、センサー、システムなどは、肺関連パラメーター及び/又は呼吸器関連パラメーターを取得、決定、検出及び/又は計測するようにされている。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、「計算された (calculated)及び「算出された(computed)」の語は交換可能に用いてもよい。
【0087】
現在、ほとんどの医療現場では、患者関連パラメーター(データ)がオンライン(又は他の手段)で収集され、このパラメーターにより患者の状態に関する情報が看護師、医師、呼吸療法士、麻酔科医などの様々な医療提供者に提供し得る。定期的に提供される情報は、種々センサーで検出可能な種々パラメーターに関する多様なタイプの情報を含んでいてもよい。提供された情報を見て解釈することは、時に医療提供者にとって厄介、複雑かつ時間のかかる作業であり得る。さらに詳しくは、医師や看護師などの医療提供者が換気装置からの患者の離脱を考え、及び/又は離脱プロセスの進捗をモニターしたいとき、医師や看護師は、膨大な量の患者関連パラメーター(データ)を考慮し、頻繁に分析さえしなければならない。これらの多様なパラメーターは、各々単位が異なることがあり、時おり、異なった単位を同一のパラメーターに用いることがある。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。そのため、従来の離脱の開始やモニタリングの難しさにパラメーターの複雑さや多さも付け加わっている。
【0088】
そこで、本発明の幾つかの実施形態に係り、人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法が提供され、その方法は、被験者の2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有することと、計算したIPIの値に基づき1以上の離脱関連パラメーターを求めることとを有する。
【0089】
本発明の幾つかの実施形態によれば、統合肺指標(IPI)は換気及び酸素補給をモニターするものであってもよい。IPIは、例えば、換気、呼吸速度及び換気の成分、代謝の副産物、呼気終末の二酸化炭素(EtCO2)、酸素補給、パルス(脈拍)酸素飽和度(SpO2)、その脈拍から取得した心拍数(HR)及び他の値から取得した値を用いた単一の指標値を計算する。本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは、幾つかの又はすべての肺の出力又は心肺の出力に関する共通の基準を示すものと考えてよく、IPIによって健康レベルに関連した単一の指標が得られる。たとえば、IPIが10のレベルで最良の状態であり、1のレベルで最悪の状態である。
【0090】
本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは患者の健康の指標として用いてもよく、更には患者の状態が自発呼吸を補助しやすい状態にあるときにIPIを求めるように用いてもよい。
【0091】
患者が自発的に呼吸を補助できるまでに、人工呼吸器が提供する補助を減らすことで離脱を完了してもよい。さらに、呼吸は外部と内部とで定義できる。外部呼吸は、呼吸ガスすなわち吸気及び呼気を大気と交換することと言ってもよい。内部呼吸は、組織レベルでのガス交換と言ってもよく、このガス交換は、代謝の副産物として酸素を組織に供給し、二酸化炭素を除去するものである。本発明の幾つかの実施形態によれば、IPIは内部呼吸及び外部呼吸が如何に良く機能しているかを示す指標を提供してもよく、これにより、離脱が如何に良く進行しているかに関する指標が提供される。
換気量の調節による人工呼吸の離脱
【0092】
一般的に、人工呼吸器は、1分間に患者に与えるすべての呼吸器補助のレベルを選択可能に提供する。これは、換気量(VE)として知られている。その補助は、次のモードの範囲を用いて設定できる。すなわち、そのモードは、補助制御、制御、同期的間欠的人工呼吸、圧力制御、圧力補助、気道解放人工呼吸(MV)、これらのモードの変形例及び他のモードを含む。換気量は、体内からの二酸化炭素の除去レベルを達成するように設定する。換気量を高く設定すると、二酸化炭素除去の補助の度合いが大きくなる。
【0093】
患者の状態が改善すると、人工呼吸器に設定された換気量は、モードと独立して低減できる。機械的な換気量のこの低減により、二酸化炭素除去レベル維持用の追加換気量の提供が患者に必要となろう。患者が提供する換気量の作動方法は、体内の化学受容体で決まり、化学受容体は、二酸化炭素に関連した血液のpH値の変化に応答する。患者の全般的な恒常性が改善されるならば、患者の換気量要件を満足している。これは、二酸化炭素レベルが呼吸性アシドーシスを生成しないように、又は非代償性の呼吸性アシドーシスを生成しないように調節されていることを意味する。血液中では、二酸化炭素は水と結合して、酸性状態の炭酸(H2CO3)を生成する。二酸化炭素が多くなると、呼吸性アシドーシスの危険性も大きくなる。
【0094】
人工呼吸を介して必要とされる換気量要件が減り、恒常性条件を満足すると、IPIが応答することになる。たとえば、人工呼吸(装置)からの換気量が減少し、二酸化炭素が増加するならば、IPIはEtCO2の変化を認識し、IPIスコアを下げることで応答するであろう。これは、患者が離脱しにくいことを示唆する。
【0095】
他方、人工呼吸(装置)からの換気量が減少し、二酸化炭素が安定ならば、IPIはEtCO2の変化を認識せず、IPIスコアに変化を見せないであろう。これは、患者がより離脱しやすくなっていることを示唆する。
【0096】
IPIは、cに加えて、呼吸速度(RR)、SpO2などのO2関連パラメーター、心拍数、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量、これらの任意の組み合わせ及び任意の他のパラメーターなどの他のパラメーターを用いて計算可能であることを注記する。
【0097】
CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0098】
医師は人工呼吸(装置)の減少及び人工呼吸が供給する換気量の減少を指示できる。医師は、人工呼吸(装置)の減少の間にIPIレベルをX(例えば、6又は7)未満の値まで下げないように設定できる。人工呼吸で設定され、患者が供給する全換気量を患者が維持できるならば、人工呼吸(装置)は更に減らすことができる。患者の病状及び病歴に基づきIPIがX未満まで下がらない限り、離脱過程を継続できる。
【0099】
たとえば、患者が人工呼吸(装置)から10Lpm(1分当たりのリットル数)の換気量を受け、1.0リットル(L)の1回換気量及び10bpmのRR(呼吸速度)を用いると、IPIスコア(値)は8となる。酸素補給を考慮しない換気量離脱についての抜管要件は、IPIが7であることである。医師が8Lpmまで人工呼吸(装置)を下げるよう指示したとする。患者は離脱過程を更に進めるために7以上のIPIを維持しなければならない。患者が10Lpmの換気量を維持できる一方、EtCO2に関わらず呼吸速度が10bpmから20bpmに増えるならば、呼吸速度の変化をIPIが認識することで、IPIは下がるであろう。これは、換気量は十分であるが、患者が離脱をすぐにできる状態ではないことを示唆し、或いは、例えば換気装置回路の呼吸抵抗を補正するようにPS(圧力補助)で離脱試行を補助すべきであることを示唆する。いずれの状況でも、IPIは、介入が必要であることを医療提供者に警告し得る。適切な対応があれば、換気量要件を満たす更なる呼吸要求に至り得る状態を患者は避けることができ、呼吸疲れや呼吸障害をより回避できるであろう。
【0100】
離脱過程の成功の実施例では、人工呼吸(装置)が減り、WOB(呼吸仕事量)を増やす呼吸システムに負荷をかけ過ぎずに換気量を満たし、EtCO2を維持し、呼吸速度が制御され、離脱過程を継続するに適した選択範囲にIPIがあり続ける。
酸素補給による離脱
【0101】
人工呼吸の間に補給酸素を頻繁に供給する。増加したFiO2(混合ガス中の吸入酸素の比率)は組織が低酸素状態になるのを防止する。FiO2の効果は、SpO2を用いて計測され、心肺システムの全体健康状態を求めるようにIPIにおいて用いられる。組織の酸素補給が不十分であると、組織に更に速く血液を循環させようとして心拍数が増加し得る。本発明の幾つかの実施形態によれば、この事象はIPIによっても計測できる。心臓負荷が増す状況では、酸素消費が増すため、二酸化炭素の産生も増し、酸素消費の増加及び二酸化炭素産生の増加の両方ともIPIを用いて計測でき、間接的にはEtCO2/RR及びSpO2/HRによって計測できることは注目に値する。
【0102】
離脱の間、医師はFiO2を減らすなどの操作を指示できる。FiO2を減少させてSpO2を適切に維持すると、IPIは一定に保たれる。SpO2を減少させると、IPIはそれに対応して減少するであろう。これは、離脱を中止すべきか遅延すべきであることを示す。
【0103】
酸素補給を改善する別の方法は、呼吸終末陽圧(PEEP)を付加することである。PEEPは肺胞を回復させることで肺の表面積を増し、これによりFRC(機能的残気量)が増える。IPIの閾値が線引きされない限り、IPIの閾値を選択し、PEEPを低減することで、PEEPを低減できる。
【0104】
たとえば、FiO2を60%に設定する。FiO2が35%に達するまでの間は、IPIが7未満まで下がらないようにFiO2を1時間当たり10%だけ下げるよう医師は指示する。あるいは、対応するIPIレベルを維持する限り、PEEPが1時間当たり5cmH2Oだけ下がるように15cmH2OのPEEPを医師は指示できる。
【0105】
IPIは、どの単一のパラメーターよりも速く酸素離脱に反応するであろう。
IPIを用いた離脱方法の選択
【0106】
医師は、人工呼吸(装置)を減らし始める前にFiO2又はPEEPを減らす選択をしてもよい。麻酔薬の影響がなくなるまで全換気量が十分でない手術後離脱の場合など他のケースでは、人工呼吸(装置)が、十分な酸素補給に基づいた医療提供者の第1の選択であってもよい。一般的な麻酔は、呼吸を遅くでき、必ずしも肺が支配的になる状況を生み出すわけではないことを注記する。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、IPIは、人工呼吸器を用いて手動で傾くように用いることができる。代替又は追加実施形態によれば、IPIは人工呼吸器内に組み込むことができ、人工呼吸器は、患者のニーズに基づき所定の位置で又は選択可能に離脱する指令を有する。任意の離脱方法において、IPIは離脱の新規な方法と考えてもよい。IPIは、すべての離脱指令の共通基準と考えてもよい。IPIは、離脱方法や離脱テストにかかわらず離脱の客観的な指標を提供する点で自発的呼吸の試みとは異なる。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、オンライン、リアルタイムで収集する多様な患者関連パラメーター(データ)を分析し、より総合的な、分かりやすい、意味のある、直観的な、明りょうな、かつ有用な患者の状態に関する情報を医療提供者に提供する必要がある。収集したデータを決定/計算/算出してもよく、医療提供者への情報は、患者の臨床状態に直接関連した状態指標の形態で提供してもよい。状態指標値は、好適なセンサーで検出及び/又は計測可能な患者の多様なパラメーターに基づき決定/計算/算出してもよい。多様なパラメーターに従って状態指標値が決定され、各パラメーターは異なった単位を有していてもよく、時に、同一のパラメーターに異なった単位を用いてもよい。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。さらに、このパラメーターの特性は、異なった単位で計測可能な多様なパラメーターを統合する状態指標値が重要であることを示し、絶対的な患者状態の指標となり得る1つの分かりやすい指標値が異なった意味を有し得ることを示している。状態指標値が医療提供者に提供されることで、任意の患者及び任意の患者状態に更なる治療が必要とされる際、医療提供者はその表示を明確に理解できる。状態指標値及びそれに起因する表示を数個のパラメーターから導くことが可能なため、患者の状態をモニターする感度が向上でき、早期介入を伴う早期離脱が期待できる。
【0109】
更なる実施形態によれば、状態指標値は、例えばモニタリング装置などの装置で決定/計算/算出/決定してもよい。モニタリング装置は1以上のセンサーを含んでいてもよく、センサーは、多様な健康関連パラメーターの検出及び/又は計測及び/又は計算及び/又は決定に用いてもよい。モニタリング装置は、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなど、及び/又はこれらの組み合わせなどの任意の既知の医療モニタリング装置を含んでいてもよい。種々計測に基づき、装置は、状態指標値を算出できるとともに、指標値単独で、或いは好適なセンサーで検出及び/又は計測可能な多様な患者パラメーターとの組み合わせで表示できる。また、収集した患者データの分析に基づき、装置は、ユーザーに医療アドバイスの提供もできる。さらに、装置は、医療提供者に患者の状態の時間変化を追跡して通知できる。たとえば、装置は、患者の安定、改善又は悪化の状態を医療提供者に通知できる。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、状態指標値は、例えば1から100の範囲など任意の所定の範囲内で無次元の値であってもよい。状態指標値は1から10の範囲にあってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示してもよい。1から10の範囲内において、部分的範囲(一部分)を割り当ててもよい。たとえば、8から10の部分的範囲が安定、正常な状態の指標となってもよく、その範囲では介入が必要ない。6から7の部分的範囲が、更に注意が必要であるとの医療提供者にとっての指標となってもよく、その範囲では患者再評価が推奨される。5未満の部分的範囲が、介入が必要であって、患者再評価を必要としてもよいとの医療提供者にとっての指標となってもよい。また、状態指標値の様々な部分的範囲は、医療提供者に表示される際、異なった図形表示を割り当ててもよい。異なった図形表示は、例えば異なる色、異なる単位、異なる文字などを含んでいてもよい。たとえば、8から10の部分的範囲の状態指標値については、値を緑色で表示してもよく、5から7の部分的範囲の状態指標値については、値を黄色で表示してもよく、5未満の部分的範囲の状態指標値については、値を赤色で表示してもよい。また、他の様々な視覚的表示手段が、既知の身体状態に関連可能な変化を示すように用いることもでき、例えば上向き矢印及び下向き矢印などの表示手段が、例えば、1以上の計測患者パラメーターの上昇又は下降をそれぞれ示してもよい。
【0111】
幾つかの実施形態によれば、状態指標値は、例えば、数学の方程式、アルゴリズム、公式などを用いるといった多様な手段で算出してもよく、この手段は、モニタリング装置で計測されているパラメーターの1以上の値又はその値の微分値を含む派生値を考慮してもよい。
【0112】
更なる実施形態によれば、状態指標値の時間に関する変化(本明細書では状態指標値の動向と呼ぶ)を図形的に表示してもよい。この図形表示は、モニタリングの最終「n」(時間単位)に亘る状態指標値の動向を表示してもよい。たとえば、nは、5分から12時間の範囲にある任意の期間であってもよい。この表示は、患者状態の変化程度の表示のみならず、例えば安定、改善、悪化といった患者の状態を示すために用いてもよい。状態指標値の動向を表示することによって、個々のパラメーターの動向に基づく患者状態の判断に比し、患者状態の変化の判断を簡素化できる。個々のパラメーターの動向を見ると、個々のパラメーターの絶対値及びこれらの相互作用を考慮せずに、患者状態及びその変化を決定することは容易でも直観的でもないこともある。
【0113】
更なる実施形態によれば、状態指標値の動向は、状態指標値の時間に関する図形表示として示してもよい。その動向の持続期間は、例えば最終計測5分から12時間の範囲にある任意の期間に亘って選択してもよい。したがって、図形表示の解像度は、選択した期間に連関して変化してもよい。
【0114】
更なる実施形態によれば、信頼性の指標(本明細書では「信頼性指標」又は「RI」とも呼ぶ)も求めてもよい。信頼性指標は、データの信頼性の指標、更に詳しくは状態指標値の信頼性の指標を提供できる。たとえば、信頼性指標は、アーチファクトを予測、予想するために用いてもよい。信頼性指標は、例えば、カプノグラムで描くように、CO2波形を分析することで求めてもよい。呼吸流量も計測するならば、流量の波形もこの目的のために用いてもよい。呼吸流量の計測を用いることで、信頼性指標を精緻化し改善できる。呼吸流量計測の波形は、CO2計測で生成される波形を強く補う。これは、両方の計測が呼吸周期という同一の事象を本質的に表しているからである。呼吸流量が波形の外形に関するのに対し、CO2はその外形内のCO2濃度に関する。両方のパラメーターを用いることで、何が計測ノイズ、アーチファクトなどであるかをより明らかに露わにできる。
【0115】
追加実施形態によれば、休止頻度パラメーターを求めてもよい。このパラメーターは、呼吸がある期間に亘って検出されない事象の指標を含んでいてもよい。呼吸がない事象は、例えば呼吸の休止及び無呼吸事象を含んでいてもよく、休止頻度パラメーターは、ある期間に亘る患者の呼吸休止及び無呼吸の計測値を含んでいてもよい。休止頻度パラメーターは、カプノグラムで得られるようなCO2波形から決定/計算してもよい。休止事象は、次のような任意の吸気ステージと定義してもよく、そのステージは、例えば、5から40秒(例えば20秒など)の範囲にある任意の秒数より長く続き、呼気期間後に始まる。この呼気の持続期間は、例えば、5から20秒(例えば10秒など)の範囲にある任意の秒数より短い。たとえば、その休止事象の期間は、最後の3つの呼気周期の平均時間に従って求めてもよい。このような休止事象の決定は、休止事象のグループとして定義されている呼吸パターンからゆっくりとした、リズミカルな呼吸パターンを除くように用いてもよい。また、例えば100秒から最大時間を求めてもよい。休止を検出し、少なくとも3つの新しく有効な呼吸サイクルが予め検出されるならば、新たな休止だけが計算可能となる。そのため、休止頻度パラメーターは単位期間(例えば、1時間など)当たりの休止事象の数で定義してもよい。休止頻度は、1時間の期間後に、例えば5分ごとなど任意の時間間隔で更新してもよい。さらに、休止頻度の値は、休止頻度の動向を表示するために保存して用いてもよく、その動向データは、時間に関する休止頻度の変化を表す。幾つかの例示的実施形態によれば、第1の時間の間(データの蓄積が不十分な段階のとき)は、1時間に達するまで値を15分ごとに提供、更新してもよい。この期間では、休止頻度は、1時間用として決定/計算する。この期間では、休止頻度が未だに1時間より短い期間に基づいていることを示す表示を表示してもよい。看護師などの医療提供者は常に患者及び/又はモニタリング装置近くにいるわけではなく、更には患者状態を常に追跡、モニターしているわけでもないので、休止頻度パラメーターなどのパラメーターが周期的なタイプの影響を及ぼし、そのパラメーターを違う方法でモニタリング装置が追跡しない限りは、医療提供者は頻繁にパラメーターを見なくてもよい。また、更なる実施形態によれば、休止振幅パラメーターも求めてもよい。休止振幅パラメーターは、検出した各休止事象の時間長さ(例えば、5から60秒の範囲)の計測、及びある期間(例えば、60分の期間)に亘る休止事象の時間長さの分散の計測で求めてもよい。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、装置は、更に医療エキスパートへの医療アドバイスを含んで表示してもよい。医療アドバイスは、個々パラメーター値及びパターンの少なくとも幾つかを分析し、個々パラメーターの既知の範囲及びパターンと計測した値及びパターンとを比較して分析することから導いてもよい。これらのアドバイスは、決定/計算した状態指標値から導出した表示に加えて表示してもよい。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、医療装置はユーザーインターフェースを含んでいてもよく、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは表示すべきデータを選択し、多様な操作パラメーターを制御できる。さらに、看護師、医師、麻酔科医など異なるユーザーの異種ニーズを提供するように異なった表示を含んでいてもよい。ユーザーがデータの表示を変化可能なことにより、ユーザーは、状態を更に評価するための情報を異なったレベルで切り替え可能であってもよい。たとえば、基本スクリーンが状態指標値及び状態指標値の動向データを表示してもよい。次の表示に変えると、実際の計測データ値、及び状態指標値を決定/計算するパラメーターに関する値の動向が現れてもよい。更に表示を切り替えると、休止頻度及び他の関連分析及び計算が提供されてもよい。多様な表示を用いることで、ユーザーは、事象及び/又はアドバイスをユーザーに示すことになったパラメーターに焦点を当てることもできる。
【0118】
更なる実施形態によれば、ユーザーインターフェースによって、ユーザーが各患者の特徴に関する情報に進入することも可能であってよい。患者の特徴に関する情報を使用するには、様々な計測及び計算の精度を許容することが必要である。このような情報は、例えば、特定の患者の年齢、体重、身長、性別などを含んでいてもよい。また、例えば年齢グループ、体重グループ、性別などのパラメーターに基づくことが可能なように多様な患者の分類検出手段を利用してもよい。このような分類を用いることで、患者のタイプや環境に関連した分類に適するようにモニタリング装置の設定を直すことが可能となる。
【0119】
幾つかの例示的実施形態によれば、状態指標値は、患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態を示してもよい。この指標値は、呼吸器、肺及び/又は心臓の多様なパラメーターの1以上に基づき決定/計算する指標値を与えることで得てもよい。この呼吸器、肺及び/又は心臓の多様なパラメーターは、CO2関連パラメーター;O2関連パラメーター;EtCO2;CO2波形関連パラメーター、例えばEtCO2の変化、CO2使用率、呼気に対する吸気の比率、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、各呼吸間の相関、CAP‐FEV1(カプノグラフ計測、流量計測の少なくとも1つから得る1秒間努力呼気肺活量)、CAP‐FEV1/FVCなど;呼気CO2濃度;呼吸関連パラメーター;心臓機能関連パラメーター;神経学的パラメーター;全身かん流関連パラメーター;視覚パラメーター;FEV1(流量計測、1秒間努力呼気肺活量)、FVC(容積計測、努力肺活量);血圧;NI血圧;拡張期血圧に対する収縮期血圧の比率;呼吸速度;呼吸流速;肺活量計の読み;酸素飽和度;SpO2;血圧;血液ガス;心拍数;心電図(ECG);脳造影図(EEG);心エコー図などの超音波計測、又はこれらの任意の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書で言及するように、EtCO2の語は呼吸終末のCO2に関する。このCO2は身体から吐き出され、呼吸終末のCO2(EtCO2)とも知られる吐き出したCO2の濃度は、肺胞のCO2圧力の概算値であることで、動脈レベルのCO2圧力の概算値となる。呼吸周期におけるCO2濃度の計測はカプノグラフで行い、その結果は、カプノグラムという名の波形形状の図形形態でも表示する数値である。EtCO2の値は、容積の単位又は例えばmmHgなどの圧力単位で計測してもよい。
【0121】
本明細書で言及するように、SpO2の語は周辺酸素の飽和度に関する。SpO2は、循環器系の赤血球中のヘモグロビンに付着した酸素の計測量である。SpO2の値は一般的に、例えば、正常値が96%を超えるといったパーセントの量として与えられる。SpO2は、例えばパルスオキシメータなどの様々なモニターでモニターして計測してもよい。
【0122】
本明細書で言及するように、呼吸速度(RR)の語は1分に行う呼吸の数と定義し、呼吸速度は、多様な心理学上及び医療上の条件下で変化可能である。その呼吸速度は、異常に速い状態(頻呼吸)、異常に遅い状態(緩徐呼吸)又は存在しない状態(無呼吸)があってもよい。
【0123】
本明細書で言及するように、心拍数、脈拍数(HR)の語は、1分間の心臓の脈拍(拍動)の数に関する。脈拍は、通常、左心室の1回拍出量、排出速度、動脈系の相対的適合性及び相対的容量、並びに圧力波の組み合わせで考える。圧力波は、血液の順行性流れ、及び周辺の血液循環から戻る動脈の圧力拍動の反射から生じ、周辺の血液循環の幾つか又はすべてがCO2の影響を受けていてもよい。たとえば、左心室代償不全に続く急性肺水腫には、明らかに呼吸器不全がある。また、例えばモルヒネなどの薬物蓄積を受けての心臓の影響は、pO2(血液中の酸素分圧)の低下やpCO2(血液中の二酸化炭素分圧)の上昇につながるであろう。そこで、心拍数を、呼吸器/肺状態の重症度を表すために用いてもよい。
【0124】
本明細書で言及するように、「低換気」の語は呼吸抑制の状態に関し、この状態は、換気が十分でなく要求のガス交換を行えないときに生じ得る。低換気は、二酸化炭素濃度の増加と呼吸性アシドーシスを引き起こし得る。多様な医療条件及び/又は幾つかの薬物及び薬剤の使用が、低換気を引き起こし得る。
【0125】
本明細書で言及するように、「過換気」の語は、要求より呼吸が速く、且つ/又は、深い状態に関し、これにより、血液の二酸化炭素濃度が正常値より下がる。
【0126】
幾つかの例示的実施形態によれば、状態指標値は、肺の/呼吸器の指標値であってもよく、本明細書では「PI」又は「IPI」(統合肺指標)とも言及してよい。PI指標は、患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態の計測値を表してもよい。PI指標は、例えば、EtCO2、呼吸速度、SpO2及び心拍数などの多様な計測患者パラメーターから導出してもよい。個々のパラメーターに従ってPIが算出され、各パラメーターは異なった単位を有していてもよく、時に、同一のパラメーターに異なった単位を用いてもよく、例えばEtCO2は、例えばkPas、mmHg又はVol(パーセント)の異なった単位で定義できる。さらに、パラメーターの絶対値は、理解/解釈するには必ずしも直観的と言えず、病状の深刻さに直線的に比例するとも言えない。また、幾つかのパラメーターは、その増加及び/又は減少が患者の病状について異なった意味を有することがある。すなわち、あるパラメーターの値の減少が病状改善を示す一方、他のパラメーターの値の減少が患者の病状悪化を示す場合がある。これら及び他の理由により、PIなどの状態指標値の重要性が示され、状態指標値は異なった単位で計測可能な多様なパラメーターを統合し、かつ1つの分かりやすい指標値が異なった意味を有し得る。さらに、状態指標値は、一般的に患者状態の絶対的な指標となり得、特に患者の呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態の絶対的な指標となり得る。PIは、1から10の範囲の無次元の値であってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示してもよい。1から10の範囲内において、部分的範囲(一部分)を割り当ててもよい。たとえば、8から10の部分的範囲が安定、正常な状態の指標となってもよく、その範囲では介入が必要ない。6から7の部分的範囲が、更に注意が必要であるとの医療提供者にとっての指標となってもよい。5未満の部分的範囲が、治療における介入及び/又は患者再評価及び/又は変更を推奨するとの医療提供者にとっての指標となってもよい。また、状態指標値の様々な部分的範囲は、医療提供者に表示される際、異なった図形表示を割り当ててもよい。異なった図形表示は、例えば異なる色、異なる単位、異なる文字などを含んでいてもよい。たとえば、8から10の部分的範囲の状態指標値については、値を緑色で表示してもよく、5から7の部分的範囲の状態指標値については、値を黄色で表示してもよく、5未満の部分的範囲の状態指標値については、値を赤色で表示してもよい。また、他の様々な視覚的表示手段が、既知の医療状態に関連可能な変化を示すように用いることもでき、例えば上向き矢印及び下向き矢印の表示手段が、例えば過換気の状態及び低換気の状態をそれぞれ示してもよい。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、PI指標値は、以下に更に詳細に示すように、多様な計算方法及び多様なアルゴリズムを用いて多様な手段で求めてもよい。一般的に、PIは多様なパラメーターから導出してもよく、多様なパラメーターの個々の値が十分にこれらパラメーターの各正常域にあるときに、最高値、例えば「10」をPIに割り当ててもよい。1以上の個々パラメーターの値がこのパラメーターの各正常域から変わるときに、PI値が「10」から減少してもよい。PI値は、数個の個々パラメーターが共に変化するときに、その減少がより急激になってもよい。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、PI値は、連続的に更新してもよく、PI値を生成するように用いるパラメーターの平均値から決定/計算してもよい。また、PI値の決定に用いる平均時間も適応可能であってよい。たとえば、異常な計測がある場合、平均時間を増加してもよい。平均時間の決定に用いる異常な特性は、例えば呼吸速度の値、CO2波形、及びPIの計算に使用する任意の他の好適なパラメーターに起因してもよい。
【0129】
更なる実施形態によれば、PI値は、低換気及び過換気などの状態の指標ともなってよい。PIがこれらの状態の指標となるとき、例えば、上向き矢印(過換気の指標)及び下向き矢印(低換気の指標)などの適切で追加的な指標信号伝達を表示してもよい。呼吸速度が計測患者パラメーターの1つであるときに、例えば呼吸速度に基づいて、患者が低換気又は過換気のいずれの状態にあるかを決定してもよい。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、PI値の計算には多様な方法がある。一般的に、多様なパラメーターは、PI値の計算用に計測及び使用し得る。幾つかの例示的実施形態によれば、PIは、EtCO2、呼吸速度、SpO2及び心拍数のパラメーターの少なくとも1つの値の計測に基づき決定/計算してもよい。これらのパラメーターのリアルタイム値を連続的に計測してもよい。たとえば、4つの計測患者パラメーター(平均EtCO2、平均呼吸速度、平均心拍数及び平均SpO2)のすべてに関する適応可能な移動平均を収集してもよい。この適応可能な移動平均は、パラメーターを毎秒計測するモニターに表示したデータを収集し、以下で説明するようなある期間に亘る平均化で決定/計算してもよい。このようにして、決定/計算する平均値は、最後の「x」秒まで収集した値のみならず、その値を表示した時間の長さも考慮に入れる。その後、これらの平均値を用いてPIを決定/計算してもよい。平均化の期間は、適応可能なタイプのアルゴリズムを用いて決定/計算及び定義してもよい。たとえば、期間のデフォルト値は、例えば30秒など5秒から60秒範囲内にあってもよい。時間は、例えば15秒刻みなど、例えば2秒から30秒の刻み幅で増していってもよく、最大期間は、例えば、90秒、120秒など5秒から180秒の範囲内にあってもよい。データの安定又は異常を評価するために、平均時間をそれぞれ増加すべきか低減すべきかの決定に使用可能な情報、例えば呼吸速度のパラメーター値を用いてもよい。例えば30秒など所定の最終期間に亘る呼吸速度の標準偏差を連続的に計測してもよい。呼吸速度の値の標準偏差が所定の閾値を下回るならば、平均化期間を変更しない。最終期間に亘る呼吸速度の標準偏差が所定の閾値を上回るならば、平均化期間を例えば、15秒だけ増加させてもよい。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、PIは数学的計算を用いて決定/計算してもよい。その計算は、上で詳述したように、EtCO2、呼吸速度(RR)、SpO2及び心拍数(HR)のパラメーターの少なくとも1つの値の計測、並びにそれらのパラメーターの決定/計算平均に基づいていてもよい。その計算は、以下で詳述するように、患者特徴に関連した各計測患者パラメーターの既知の規定領域の値に依存してもよい。多様な計測患者パラメーターの所定条件を満たすことで、適切な決定/計算PI値が得られる。たとえば、実施例1で更に詳述するように、次の条件を満足すると、PIが10か9となり得、病状の変化の指標となる矢印が表示されない。すなわち、12<RR<28、かつ28<=EtCO2<44、かつSpO2>94%という条件を満足するならば、PIは10となる。12<RR<28、かつ28<=EtCO2<44、かつ90%<SpO2<94%という条件を満足するならば、PIは9となる。
【0132】
幾つかの実施形態によれば、PIは数学的計算を用いて決定/計算してもよい。その計算は、各計測患者パラメーターに関連した医療重要度レベル(危険性/確率レベル)の乗算に基づいていてもよい。各計測患者パラメーターの医療重要度レベルは、グラフ、インデックス表などを作成することで決定してもよく、換気状態(例えば呼吸活動(breathing)、呼吸(respiration)、呼気活動(exhaling)、吸気活動(inhaling))などの身体状態の通常(標準/典型、普通/正常)レベルのパラメーター値と関連する。身体状態の通常レベルは、0から1の範囲にあってもよく、1は身体状態が最善であることを示し、0は身体状態が最悪であることを示す。そこで、例えば、各計測患者パラメーターに数学的関数を与えてよく、ここでは、最大値1が通常の身体状態を表し、例えば換気性能が全く検出されないときなど、最悪の身体状態を最小値0が表してもよい。図1AにEtCO2パラメーターの医療重要度(危険性レベル)を表すグラフを例示する。図1Aに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸がmmHg単位のEtCO2レベルである。医療重要度曲線は、通常レベルとEtCO2レベル及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。グラフから導くことができるように、低いEtCO2では、通常レベルの値が、無呼吸に向かう動きを示すゼロに減少し、高いEtCO2では、危険な状態(血液をアルカリ性に変え、結果的に多様で本質的な化学反応を引き起こしかねない状態)を示すが、通常レベルの値がゼロまでには至らない。図1Aに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y1 = 8e-06x3 - 0.0015x2
+ 0.0724x - 0.0496という方程式で記述してもよい。図1Bに呼吸速度パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Bに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸が1分当たりの呼吸数の単位の呼吸速度である。医療重要度曲線は、通常レベルと呼吸速度及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Bに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y2 = 4e-05x3
- 0.0043x2 + 0.1231x - 0.0378という方程式で記述してもよい。図1CにSpO2パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Cに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸がパーセント単位のSpO2である。医療重要度曲線は、通常レベルとSpO2及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Cに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y3 = -2e-05x3 + 0.004x2 - 0.2778x + 6.1214という方程式で記述してもよい。図1Dに心拍数パラメーターの医療重要度レベルを表すグラフを例示する。図1Dに示すように、Y軸が0から1の目盛りの通常レベルである。X軸が1分当たりの拍動数で計測する心拍数である。医療重要度曲線は、通常レベルと心拍数及び決定/計算曲線との間で相関曲線を描き、決定/計算曲線は医療重要度曲線と最も良く相関している。図1Dに示す例示的な医療重要度曲線の方程式は、Y4 = 8e-07x3 - 0.0003x2 +
0.0406x - 0.4389という方程式で記述してもよい。相関方程式の生成及び計算と同様に、インデックス表も通常レベルと各計測患者パラメーターの値との間の相関を求めるために用いてよい。
【0133】
幾つかの実施形態によれば、上で詳述した方程式により得られた各計測患者パラメーターの医療重要度ファクターを乗算し、PI値が1から10の範囲内になるように、この乗算結果を10倍することでPIを決定/計算してもよい。この方程式は、PI=Y1* Y2* Y3* Y4と記述してもよい。幾つかの実施形態によれば、心拍数の医療重要度の値(Y4)は、その他パラメーターの1つの医療重要度の値が0.8未満である場合に限り、その計算に導入する。また、上述の方程式は個々パラメーターの次の最大値まで有効である。すなわち、EtCO2の最大値は約90mmHgであり、呼吸速度の最大値は約50bpmであり、SpO2の最大値は50%である。これらの値の上下に0.2のデフォルト値を用いてもよい。
【0134】
追加実施形態によれば、決定/計算指標が8未満である場合、1分当たりの所定拍動数(BPM)、例えば24BPMを超える呼吸速度ならば、上向き矢印で表示してもよい。所定BPM、例えば12BPM未満の呼吸速度ならば、下向き矢印で表示してもよい。呼吸速度が所定の範囲、例えば12BPMから24BPMの間ならば、矢印を表示しない。
【0135】
更なる実施形態によれば、多様なアルゴリズムを用いることでPIを決定/計算してもよく、このアルゴリズムは、患者の肺/呼吸器の状態に関する医療提供者の「リアルタイム」評価を反映可能なPI指標用の数学モデルを生成するために使用してもよい。この観点において、「リアルタイム」とは、医療提供者が医療状況に対応する「時間内」と定義できる。たとえば、「リアルタイム」は、秒範囲(例えば、0秒から120秒)、分範囲(例えば、1分から10分)などにあってもよい。このようなアルゴリズム又は方法の要件の幾つかは、医療エキスパート、医師、看護師などの様々な医療提供者の合意評価を正確に表すことであって、その合意評価を加重平均及び/又は単純平均で決定してもよい。たとえば、加重平均によって、医師の評価を呼吸療法士の評価よりも重く重み付けできる。たとえば、加重平均によって、各医療提供者は各意見を「重み付け」でき、例えば、彼らの評価に信頼値(容易で柔軟性のあるアルゴリズム実施(すなわち、数学モデルの微調整の簡略化)及び高速計算)を付加することで「重み付け」できる。そのため、そのアルゴリズムを実施することにより、医療提供者の交替、及び医療提供者の意思決定アプローチの置換の際にPIを効果的に使用できる。
【0136】
幾つかの実施形態によれば、前記指標用の数学モデル内で生成又は使用するアルゴリズムは、例えばファジー論理推論を含んでいてもよく、ファジー論理推論は、予測指標値についての医療提供者の知識及び解釈を用いて構築、構成又は強化してもよい。たとえば、PI指標値は、多様なタイプの医療パラメーターの任意の数及び/又は任意の組み合わせで与えてもよい。幾つかの例示的実施形態によれば、用いるパラメーターは、例えば、EtCO2、呼吸速度(RR)、心拍数(HR)、SpO2、血圧、肺活量、相対的な流れパラメーター、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよい。
【0137】
追加の例示的実施形態によれば、例えば、4つのパラメーター(EtCO2、RR、HR及びSpO2)に基づきPI値を決定するために、質問事項及び/又は実際の患者ログファイルを看護師、医師、呼吸療法士及び麻酔科医など様々な医療提供者に送ってもよい。質問事項は、異なったパラメーター値を有する多様なケース群を含んでいてもよい。その後、医療提供者は所定のコードに従ってPI値を割り当てるように質問事項に答えてもよい。たとえば、所定のコードは、十分に健康で正常な状態を示唆する指標値10と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、正常な状態を示唆する指標値8から9と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、理解可能な状態を示唆する指標値7と関連していてもよく、その状態は更なる注意を必要とする。たとえば、所定のコードは、更なる注意の推奨アドバイスを示唆する指標値5から6と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、更に注意を必要とし、介入を推奨することを示唆する指標値3から5と関連していてもよい。たとえば、所定のコードは、介入の必要性を示唆する指標値1から3と関連していてもよい。以下の実施例2では、PI値を決定するために用いる所定のPI値コード表が示されている。また、医療提供者/エキスパートが盲目的に又は判断してPI値に進入するように定期的に質問に答える多様な臨床試験を実施してもよく、この試験は後にアルゴリズムの意思決定の評価及び微調整に用いてもよい。
【0138】
追加実施形態によれば、例えば上述のようにして取得可能な医療提供者のデータの合意を用いてファジー論理推論を構築してもよい。たとえば、指標を生成するために選択する各パラメーターにメンバーシップ関数を割り当ててもよく、多様なパラメーター用の範囲を決定してもよい。たとえば、その範囲は、正常、高い、非常に高い、低い、及び非常に低いなどの記述を含んでいてもよい。そのため、指標自体は、指標値の大きさで求める多数のメンバーシップ関数を有していてもよい。たとえば、1から10の大きさの指標が10個のメンバーシップ関数を有し、各指標値に1つのメンバーシップ関数が対応していてもよい。メンバーシップ関数を得る際、メンバーシップ関数の言語記述子を用いて、計測患者パラメーターの入力と出力を関係付ける規則セットを決定してもよく、結果的に指標値が決定される。たとえば、例として5つのパラメーターで決定する指標に関し、第1のパラメーターが「非常に高く」、かつ、第2のパラメーターが「高く」、かつ、第3のパラメーターが「正常」、かつ、第4のパラメーターが「低く」、かつ、第5のパラメーターが「正常」ならば、指標値はXとなる。用いるファジー論理演算子は、例えば、AND演算用の最小値、OR演算用の最大値、非ファジー化領域の集合及び図心(重心)用の最大値を含んでいてもよい。以下の実施例2では、例示的なファジー論理メンバーシップ関数及び例示的なファジー論理規則行列が示されている。
【0139】
追加実施形態によれば、数人の医療提供者のノウハウに基づく指標モデルのファジー推論設計は、平均値、又は中央値若しくは最頻値など任意の他の統計的結果、医療提供者が決定する指標値と比較することで、更に強化又は微調整してもよい。さらに、指標モデルのファジー論理推論を検証してもよい。たとえば、ファジー推論モデルの検証は、追加質問事項、又は標本ケースを含む実際のデータに関して行なってもよい。追加質問事項では、ファジー推論モデルで決定/計算した指標値が示され、医療提供者はその値について意見することができる。医療提供者の意見を考慮することにより、ファジー論理モデルを更に微調整できる。
【0140】
ファジー論理に関する追加情報を例えば非特許文献1から3に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。
【0141】
幾つかの実施形態によれば、指標の計算用に使用するパラメーターの範囲を決定するとき、非限定的な実施例として、患者の年齢、患者の体重、患者の性別、患者の現在及び/又は過去の医療状態、投薬(現在及び/又は過去に蓄積されたもの)、既知の呼吸器又は心臓の疾患、ペースメーカー又は患者内の他の埋め込み物、臓器移植などの幾つかを考慮すべきある。多様なパラメーターは異なる患者用の異種範囲を有してもよいため、それらの考慮は統合肺指標にとって重要となり得る。たとえば、大人と年齢が異なる子供とで心拍数及び呼吸速度の正常範囲に違いがあることが知られており、このようにして、同一パラメーター用のPI値が、患者の異種クラスでは異なってよい。そこで、PIモデルは、異なる年齢で正常呼吸速度範囲及び正常心拍数範囲が変わることを考慮するために、離散年齢に関し設計してもよい。さらに、1歳未満の年齢では、パラメーター値は子供の体重にも依存する。そのため、PI値を決定する際に多様なオペレーションモードを用いてもよく、オペレーションモードは、追加パラメーター(ファクター)を考慮に入れ、このパラメーターは、例えば、年齢、体重、性別、病状、投薬など又はこれらの任意の組み合わせなどの患者の特定の特徴を含んでいてもよい。たとえば、年齢に関して、数グループが決定され、各グループは、心拍数及び呼吸速度などの多様なパラメーターの特定の正常範囲にある。たとえば、新生児(年齢1ヵ月まで)について、正常呼吸速度は、例えば約30から60BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約100から160回の範囲にあってもよい。たとえば、幼児(年齢1ヵ月から1歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約30から40BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約90から150回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢1歳から2歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約22から30BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約80から125回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢3歳から5歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約20から24BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から115回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢6歳から12歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約16から22BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約60から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢1歳から2歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約22から30BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から125回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢3歳から5歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約19から25BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢6歳から12歳まで)について、正常呼吸速度は、例えば約14から24BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約70から110回の範囲にあってもよい。たとえば、子供(年齢12歳以上)について、正常呼吸速度は、例えば約10から18BPMの範囲にあってもよく、正常心拍数は、例えば1分間当たり約60から100回の範囲にあってもよい。前記指標の決定に用いるファジー論理推論モデルをパラメーターのメンバーシップ関数に適用して変更してもよく、そのメンバーシップ関数の範囲は特定の患者パラメーターの影響を受ける。たとえば、PI値への年齢の影響に関して、ファジー論理モデルは、以下に記述する図2に更に示すように、呼吸速度及び心拍数のメンバーシップ関数の範囲内で変更してもよい。
【0142】
幾つかの実施形態によれば、指標の計算は、ノイズを防止するために入力値を平均して用いてもよい。時間窓平均化は、例えば、大人モード用30秒、小児モード用15秒など一定であってもよい。また、或いは代替的に、時間窓平均化は、一定でない及び/又は適合可能な時間窓であって、多様なアルゴリズムで決定可能な時間窓であってもよい。
【0143】
他の実施形態によれば、特別な数ケースが、特定の注意を要し得るモニタリングの間に生じてもよい。このようなケースは、例えば、呼吸が検出されない状態(無呼吸);オートゼロの状態;計測プローブが接続されていない状態を含んでいてもよく、これにより、計測パラメーターは記録されない。次のケースにおいて、モニタリング装置はPI値を表示してもよい。すなわち、呼吸がない状態(無呼吸)をいったん検出すると(X秒を超えるとCO2が新たに検出されず、Xはユーザーが定義し、通常20から30秒である)、EtCO2=0、RR=0となる。これらの値は有効であり、PIは緩やかに減少することが予測される。呼吸がいったん再開すると、1回の呼吸後EtCO2>0、2回の呼吸後RR>0となり、PIは同様に扱われ、すなわち、PIは緩やかに増加することが予測される。オートゼロ状態では、PIが最終値を表してもよい。計測プローブが接続されていないとき、無効な計測値を無視し、有効な計測値を用いて平均化を行ってもよい。平均化用の時間窓が通過した後にのみ入力値が無効なこともあるため、PIが無効となることもあり得る。
【0144】
幾つかの実施形態によれば、指標値を決定、計算するときに、例えば、ファジー論理インターフェースを用いて、多様な計測/検出パラメーター間の非線形又は任意の形態の干渉を考慮に入れてもよい。このようなパラメーター間の干渉は、例えば、多様なパラメーター間の相乗効果を含んでいてもよい。幾つかのケースでは、パラメーターの組み合わせが相乗効果を有していてもよく、ファジー論理規則を用いることでパラメーター間の非線形干渉が明らかになるため、指標計算に用いる入力パラメーター間の相乗効果を得ることができる。たとえば、PI値の決定に用いるファジー論理インターフェース規則の相乗効果を例として挙げる。すなわち、RRレベルのみが正常値より高い場合危険性があると感知される一方、これに付随してEtCO2レベルが正常値より高くても危険性レベルが低いというのは、生理学上、予測される正常反応である。数個の健康関連パラメーターを計算に用いてもよい。たとえば、以下の実施例2に示すように、(EtCO2が非常に高く)、かつ、(RRが非常に高く)、かつ、(SpO2が正常)、かつ、(HRが高い)ならば、(PIは2)となる。この計算は、種々メンバーシップ関数及び種々パラメーター間の相乗効果を考慮している。この実施例では、EtCO2が非常に高く、かつ、RRが非常に高いとPIが3となり、SpO2が正常であることで、SpO2はPI値に影響を及ぼし得ない。これより、HRが高いという特性が、PI値を3から1つレベルを減少させ、2となる結果をもたらしている。別の実施例では、EtCO2が高く、かつ、RRが正常、かつ、SpO2が低く、かつ、HRが正常ならば、PIは6となる。この実施例では、EtCO2が高く、かつ、RRが正常であるとPIは7となり、HRが正常であることで、HRはPI値に更に影響を及ぼし得ない。これより、SpO2が低いという特性が、PI値を7から1つレベルを減少させ、6となる結果をもたらしている。
【0145】
幾つかの実施形態によれば、ファジー論理インターフェースをノイズ及びアーチファクトフィルター用に更に調整してもよく、ノイズ及びアーチファクトは視覚的に及び/又は他の同定手段で同定され、真の医療条件としては同定されない。たとえば、ファジー論理(インターフェース)モジュールは、一定の窓長さ(例えば、大人モード用として30秒、小児モード用として15秒など)又は適応可能な窓長さを用いてある移動時間窓に亘って平均化してもよい。適応可能な窓長さは、例えば、多様なアルゴリズムで求めてよいのと同様に、或いは、基準値に応じて時間窓を拡大又は収縮して動的に調整してよいのと同様に、例えば最新計測での入力を変動させることで予め定めてもよい。たとえば、ファジー論理への入力は、平均化、及びアーチファクト同定結果としての更なる計算からフィルターをかけて除去してもよい。アーチファクトの同定は、例えばCO2波形分析に基づいていてもよい。たとえば、波形がアーチファクトとして分類されるとき(例えば、患者が食事、会話などしているとき)、その期間に関連するEtCO2及びRRを平均化用の修正数学アルゴリズムを用いて更新してもよい。あるいは、その期間を無視してもよい。たとえば、患者が酸素補給を受けているとき、酸素補給は結果としてCO2信号を希釈する。この希釈の補正が、例えばEtCO2レベルについてなされてもよい。
【0146】
更なる実施形態によれば、PI値の時間に関する変化(PI動向)を図形的に表示してもよい。その図形表示は、モニタリングの最終「n」(時間単位)に亘ってPI動向を表してもよい。たとえば、nは、5分から12時間の範囲にある任意の期間であってもよい。この表示は、例えば、安定、改善、悪化などの患者の状態を示すために使用可能なのはもちろん、患者の状態の度合い及び変化を示してもよい。PI動向を表示することで、個々パラメーターの動向に基づく患者状態の評価に比し、患者の換気状態の変化の評価が簡略化できる。個々パラメーターの動向を見る際、個々パラメーターの絶対値やそれらパラメーターの干渉を考慮せずに患者状態やこの状態変化を決定するのが容易ではなく直観的でもないことがある。これは、それらパラメーターのいずれかの増加及び/又は減少が、パラメーターの絶対値に関わらず、「良い」(改善)又は「悪い」(悪化)となり得るからである。たとえば、絶対値が正常より高い値からその正常値に向かう減少が「良い」と考える場合がある一方、正常値からこの正常値より低い値へ向かう減少が「悪い」と考える場合もある。同様に、正常値より低い値からその正常値に向かう増加が「良い」と考える場合がある一方、正常値からこの正常値より高い値へ向かう増加が「悪い」と考え場合もある。PI動向は、PI値の時間に関する図形表示として示してもよい。その動向の持続期間は、例えば、最終計測の5分から12時間の範囲にある任意の期間に亘って選択してもよい。したがって、図形表示の解像度は、選択した期間に連関して変化してもよい。PI指標の動向を与えることにより、患者の呼吸状態の変化の仕方、例えば安定、改善又は悪化を評価できる。これは、PI自体が患者の呼吸状態の全体像であるという事実に起因し得るものであり、この指標値の変化により、患者の状態が変化しているか否かに関して明りょうなイメージを提供できる。
【0147】
追加実施形態によれば、パラメーターの動向(すなわち、時間に関するパラメーター値の変化)も前記指標を決定する際に考慮してよく、更にはその動向を表示してもよい。
【0148】
更なる実施形態によれば、信頼性の指標も決定してよい。信頼性の指標(本明細書では「信頼性指標」又は「RI」とも呼ぶ)は、データの信頼性の指標、更に詳しくはPIの信頼性の指標を提供できる。たとえば、信頼性指標は、アーチファクトを予測、予想するために用いてもよい。信頼性指標は、例えば、カプノグラムで描くように、CO2波形を分析することで求めてもよい。呼吸流量も計測するならば、流量の波形もこの目的のために用いてもよい。呼吸流量の計測を用いることで、信頼性指標を精緻化し改善できる。呼吸流量の波形は、CO2計測で生成される波形を強く補う。これは、両方の計測が呼吸周期という同一の事象を本質的に表しているからである。呼吸流量が波形の外形に関するのに対し、CO2はその外形内のCO2濃度に関する。両方のパラメーターを用いることで、有効な計測値とノイズ、アーチファクトなどとの区別を明らかに露わにできる。信頼性指標によって、低いPI値又は任意の他計測値が実際の事象であるか(本当の臨床上の事象を表すのか)、一過性の事象であるか、又はアーチファクトであるかをユーザー(医療提供者)が決定し易くなり得る。さらに、信頼性指標によって、表示されたPI値がどの程度信頼できるかを医療提供者が評価し易くなり得る。また、信頼性指標によって、モニタリング装置が患者に対して適切に配置されていないとき、モニタリング装置が適切に計測していないときなどでも医療提供者がアーチファクトを検出可能となり得る。信頼性指標は、CO2波形及び呼吸速度パターンの両方を分析することで決定してもよい。比較試験のデータを得ることで、アーチファクトに起因する特性パターンを決定してもよい。モニタリング装置に表示のリアルタイム波形の分析、及び既知のアーチファクトパターンとの比較を信頼性指標の計算に用いてもよい。
【0149】
また更なる実施形態によれば、信用性(信頼性)レベルが指標値に付随していてもよい。さらに、信用性(信頼性)は医療提供者用に表示されてもよい。信用性(信頼性)の値は、例えば0から1の範囲の数であってもよい。信用性(信頼性)レベルの値は、多様な入力変数(計測/検出)パラメーターはもちろん、もし同定されるならアーチファクトも含めてその標準偏差(std)から決定/計算してもよい。さらに、多様な入力変数は、それらの信用性(信頼性)レベルに従って重み付けしてもよい。信用性区間レベル又は他の区間推定を計算又は決定する他の数学的方法(統計的方法を含む)を用いてもよいことが当業者に理解されるであろう。
【0150】
追加実施形態によれば、休止頻度パラメーターを決定してもよい。このパラメーターは、呼吸がある期間に亘って検出されない事象の指標を含んでいてもよい。呼吸がない事象は、例えば呼吸の休止及び無呼吸事象を含んでいてもよく、休止頻度パラメーターは、ある期間に亘る患者の呼吸休止及び無呼吸の計測値を含んでいてもよい。機械的閉塞又は時に中心(脳)閉塞のため、患者が短期間呼吸停止することが頻繁にあり得る。その休止(無呼吸事象)は周期的であり、その休止頻度は患者の状態の指標となり得る。休止頻度パラメーターは、カプノグラムで得られるようなCO2波形から決定/計算してもよい。休止事象は、次のような任意の吸気ステージと定義してもよく、そのステージは、例えば、5から40秒(例えば20秒など)の範囲にある任意の秒数より長く続き、呼気期間後に始まる。この呼気の持続期間は、例えば、5から20秒(例えば10秒など)の範囲にある任意の秒数より短い。たとえば、その休止事象の期間は、最後の3つの呼気周期の平均時間に従って求めてもよい。このような休止事象の決定は、休止事象のグループとして定義されている呼吸パターンからゆっくりとした、リズミカルな呼吸パターンを除くように用いてもよい。また、例えば100秒から最大時間を求めてもよい。休止を検出し、少なくとも3つの新しく有効な呼吸サイクルが予め検出されるならば、新たな休止だけが計算可能となる。そのため、休止頻度パラメーターは単位期間(例えば、1時間など)当たりの休止事象の数で定義してもよい。休止頻度は、1時間の期間後に、例えば5分ごとなど任意の時間間隔で更新してもよい。さらに、休止頻度の値は、休止頻度の動向を表示するために保存して用いてもよく、その動向データは、時間に関する休止頻度の変化を表す。幾つかの例示的実施形態によれば、第1の時間の間(データの蓄積が不十分な段階のとき)は、1時間に達するまで値を15分ごとに提供、更新してもよい。この期間では、休止頻度は、1時間用として決定/計算する。この期間では、休止頻度が未だに1時間より短い期間に基づいていることを示す表示を表示してもよい。看護師などの医療提供者は常に患者及び/又はモニタリング装置近くにいるわけではなく、更には患者状態を常に追跡、モニターしているわけでもないので、休止頻度パラメーターなどのパラメーターが周期的なタイプの影響を及ぼし、そのパラメーターを違う方法でモニタリング装置が追跡しない限りは、医療提供者は頻繁にパラメーターを見なくてもよい。また、更なる実施形態によれば、休止振幅パラメーターも求めてもよい。休止振幅パラメーターは、検出した各休止事象の時間長さ(例えば、5から60秒の範囲)の計測、及びある期間(例えば、60分の期間)に亘る休止事象の時間長さの分散の計測で求めてもよい。
【0151】
幾つかの実施形態によれば、多様な追加パラメーター(ファクター)が、前記指標を決定するための主要パラメーターに加えて指標決定の計算用に追加されてもよい。追加パラメーター(ファクター)は、患者の特徴を示し得る多様な患者特定パラメーターを含んでいてもよい。追加パラメーター(ファクター)は、オンライン、リアルタイムで検出/計測可能な健康関連パラメーターである「オンライン」パラメーターを含んでいてもよく、且つ/又は、他の入力(例えば、キーボード、スイッチ若しくはタッチパネルによる入力など)又は他のパラメーター(例えば、年齢、性別、体重など)を含んでいてもよい。追加パラメーターは「オフライン」パラメーターを含んでいてもよく、「オフライン」パラメーターは、患者の病歴及び人口統計に関連するパラメーター及び/又は患者の最近/現在の健康状態に関連するパラメーターを含んでいてもよい。また、追加パラメーターの動向(すなわち、パラメーター値の時間に関する変化)もまた指標を決定する際に考慮してよい。指標計算用に追加パラメーターを用いることで、動的可能、すなわち、任意の所定時間での加重平均化の必要性又は変動性に従うことが可能となる。追加パラメーターは、手動で又は任意の通信経路で追加してもよい。たとえば、HR、RR、EtCO2及びSpO2のパラメーターにより決定するPI指標に関して、追加オンラインパラメーターは、CO2波形及びCO2波形関連パラメーター、例えば、EtCO2の変化、CO2濃度の増加率、CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、各呼吸間の相関、CAP‐FEV1(カプノグラフ計測、流量計測の少なくとも1つから得る1秒間努力呼気肺活量)、CAP‐FEV1/FVC、呼気に対する吸気の比率(例えば、EtCO2計測値を掛けた呼気に対する吸気の比率は、CO2の換気量の決定に用いてもよい)、CO2使用率(換気量の計測値に関連する)、など;呼吸関連パラメーター;例えば、血圧、NI血圧、拡張期血圧に対する収縮期血圧の比率などの心臓機能関連パラメーター;神経学的パラメーター;全身かん流関連パラメーター;視覚パラメーター;流速;肺活量など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでもよいが、これらに限定されない。たとえば、追加オフラインパラメーターは、例えば、年齢、性別、体重、現在の診断、病歴(例えば、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、服薬、ペースメーカー)など、及びこれらの任意の組み合わせなど患者の病歴及び人口統計に関連するパラメーターなどのパラメーターを含んでもよいが、これに限定されない。患者の最近の健康状態に関連する追加オフラインパラメーターは、治療(例えば、投薬、換気、酸素補給)、室内検査(例えば、血液ガス、pH、一般的な血液検査、尿検査)、患者が挿管されているか否か、患者が眠っているかどうか(眠っている間は安定したCO2波形が予想され、不安定な波形は睡眠不足状態の指標となる一方で、起きている間は反対の事象が予想され、すなわち、不安定な波形が正常状態である一方、安定した波形は悪い状態の指標となる)など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0152】
幾つかの実施形態によれば、例えば多様な計測患者パラメーターの限界範囲を変更することで、追加パラメーター(ファクター)をメンバーシップ関数への入力の操作に用いてもよい。たとえば、正常、高い及び低い範囲の心拍数(HR)の評価は、更に患者の年齢に依存してもよい。したがって、メンバーシップ関数のパラメーターは年齢の線形関数又は非線形関数として定義できる。ここで図2を参照すると、メンバーシップ関数の例示的値が年齢の関数として示されている。図2に示すグラフは、心拍数(HR、1分当たりの拍動/鼓動(bpm))のメンバーシップ関数(mf)の値が年齢(年)の関数として表されている。図2に示すように、4つのパラメーターを用いる際、メンバーシップ関数は台形形状に生成される。パラメーターが年齢に依存する際、年齢に従った違う形状を生成してもよい。たとえば、1歳の年齢では、正常心拍数の範囲が12歳から60歳の正常心拍数の範囲より高い(たとえば、1歳の心拍数パラメーターが70、80、135、145bpmとすると、12歳から60歳の心拍数パラメーターは40、60、100、120bpmにそれぞれ相当する)。台形(太線)及び台形(細線)の境界を画定するパラメーターに従うことは、メンバーシップ関数が年齢及びHRに従属することを示している。なお、グラフでは、X軸が年齢(単位:年)を示し、Y軸が心拍数(単位:bpm)を示し、Z軸が、大きさ0から1にある正常心拍数用のメンバーシップ関数を示している。
【0153】
更なる実施形態によれば、例えば、ファジー論理推論モデルを用いて実施可能な追加規則の生成に追加パラメーター(ファクター)を用いてもよい。以下の図4Aに例示する形態などのように、パラメーターのメンバーシップ関数、及びパラメーターの規則への組み込みを用いて、任意の基本(主要)パラメーターとして追加パラメーターを用いてもよい。追加規則は平坦又は階層的な構造にあってもよい。たとえば、PI指標の計算に使用可能な追加オンラインパラメーターが、例えば、拡張期血圧(BP)などのパラメーターを含んでいてもよく、このBPは、例えば次の規則で示すようにHRとともに用いてもよい。すなわち、HRが高く、かつ、BPが高ければ、PI=PI(正常HR)−2となる。HRが高いか低い、かつ、BPが正常ならば、PI=PI(正常HR)−1となる。
【0154】
更なる実施形態によれば、適応可能な指標危険性関数の生成用に追加パラメーター(ファクター)を用いてもよい。その指標値は患者の健康に対する危険性を反映する。特定の指標値と関連する危険性は違う条件では異なってもよい。このような違う条件によって、例えば、患者の病気、入院施設などの追加パラメーターが使用可能となり得、この追加パラメーターの使用は、危険性関連関数の更新に用いてもよい。たとえば、PI指標に関して、例えば、PI指標値が8から10であることが、患者が良好な状態にあることを意味するように、指標値は患者の健康に対する危険性を反映する。特定の指標値と関連する危険性は違う条件では異なってもよい。そのため、低いPI値又は高いPI値での変化に対して感度がより高くなることを示すようにPIと危険性間の線形関数を変更してもよい。PIはそのまま決定/計算してもよく、PIの最終値は前記関連関数に従って変更してもよい。このような危険性関連関数は例えば図3に示され、図3は危険性レベル(X軸「低い」から「高い」)に関するPI値(Y軸、1から10の目盛り上)を表すグラフを示している。グラフ中、線aはPIと危険性間の線形関数を示し、線bは低いPI値での変化に対して高い感度を示すグラフであり、線cは高いPI値での変化に対して高い感度を示すグラフである。この実施例では、線aにおけるPI値5は、関連規則に従って線cを用いると値が2に変わり得る。
【0155】
ここで図4Aを参照すると、幾つかの実施形態に係り、ファジー論理推論を用いたPI指標を計算する方法の例示的なブロック図スキームが示されている。図4Aに示すように、パラメーター170Aなどの入力主要パラメーターは、例えば工程172Aなどの特徴付け工程に入る。入力パラメーターは、直接的又は間接的に検出/計測/決定可能な任意の数の患者パラメーターを含んでいてもよい。入力パラメーターは、任意の多数の検出/計測/決定した患者パラメーターを含んでいてもよい。たとえば、入力主要パラメーターは、心拍数、呼吸速度、CO2関連パラメーター、O2関連パラメーター、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、肺活量など、又はこれらの任意の組み合わせなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。その特徴付け工程では、各特徴グループ(例えばグループ173Aから173C)に対して各メンバーシップ値を計算/算出/割り当てする。特徴グループは、例えば「正常」、「高い」、「低い」、「非常に高い」、「非常に低い」などとラベル付けされてもよい。同様な工程が、例えば入力パラメーター170Bなど任意の数の入力主要パラメーターに適用されてもよく、入力パラメーター170Bは特徴付け工程172Bで特徴付けられてもよく、そこでは各特徴グループ(グループ173Dから137Fなど)に対して各メンバーシップ値が計算される。次の工程にて、各グループ対の多様な組み合わせが出力特徴グループ(例えば、出力特徴グループ(174Aから174n)であって、nは0よい大きい任意の整数を含んでいてもよい)に入る。たとえば、図4Aに示すように、特徴グループ173A及び173Dは出力特徴グループ174Aに入ってもよい。両方のパラメーターグループのメンバーシップ値、各メンバーシップ値に関連する重み及び各メンバーシップ値を組み合わせる論理演算子(例えば、「AND」、「OR」など)を各出力特徴グループに関するメンバーシップ値の計算/決定/算出/割り当てに用いてもよい。たとえば、医療エキスパートの知識、臨床試験、文献、標本ケースなどを用いてそのネットワークのトポロジーを設計する。結果的に、出力値175などの出力値はすべての値のメンバーシップ関数、例えば、集合関数(例えば、MAXなど)及び/又は平均化関数(例えば、図心、平均値(mean)、平均(average)など)によって計算される。追加実施形態によれば、指標を計算する方法は、主要パラメーターに加えて、多様な追加パラメーター(ファクター)の使用を更に含んでいてもよい。追加パラメーター(ファクター)は多様な患者特定パラメーターを含んでいてもよく、このパラメーターは、例えば、血圧、年齢、病状、鎮静、患者覚醒、患者睡眠などの患者の特徴であってもよい。たとえば、追加パラメーター(ファクター)(例えば、追加パラメーター(ファクター)176など)は1以上の特徴付け工程に入ってもよく、これにより、特徴付け工程に起因する各出力特徴グループ用のメンバーシップ関数及びメンバーシップ値を制御/調整できる。
【0156】
追加実施形態によれば、計算モデルはベイジアンネットワークを含んでいてもよい。ベイジアンネットワークは、当技術分野で知られているように、確率論に基づいた各変数間の関係を図形表示したものを含んでいてもよい。ベイジアンネットワークは有向非循環グラフを含み、有向非循環グラフは、条件付き確率の表に付随した変数を表現するノードを有する。ノードは、円弧によって接続され、各変数間の関係をモデル化している。ノードの確率は、他の変数の値が既知であると計算できる。ベイジアンネットワークは既知ケースを用いる学習能力を有するとともに、欠測値を容認し得る。ベイジアンネットワークのトポロジー及び確率は、例えば、エキスパートの知識、教科書、臨床試験、標本ケースなどを用いて与えてもよい。ベイジアンネットワークのノードは、多様なパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターを含んでいてもよく、このパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターは、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など);病状(例えば、心不全、ぜんそく、喫煙、肺疾患など);人口統計(例えば、年齢、性別、体重など);室内検査結果(例えば、血液ガス、pH、尿検査など);投薬(例えば、ステロイド、鎮静剤、抗炎症薬など);などを含んでいてもよい。ノードの値は離散的又は連続的であってもよい。多様なパラメーター及び/又は入力を考慮すると、ベイジアンネットワークは、例えば患者の状態の確率を表すPIなどの健康関連指標の計算/評価/決定に用いてもよい。さらに、ベイジアンネットワークは、例えば、過換気、低換気などの診断の確率の計算/評価/決定に用いてもよく、更には追加試験及び/又は介入のアドバイスを提供してもよい。ベイジアンネットワークに関する追加情報を例えば、非特許文献4及び5に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。ここで図4Bを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なベイジアンネットワークが示されている。図4Bに示すように、例示的なベイジアンネットワーク120は、例えば、血圧121、年齢123、心拍数122、SpO2126、呼吸速度124、EtCO2125などの多様なパラメーター及び/又はファクター及び/又は入力間の関係(矢印で表示)を示していてもよい。多様なファクター間に様々な関係を与えることで、例えばPIといった指標などの出力127を決定/計算/算出できる。
【0157】
追加実施形態によれば、計算モデルは決定木を含んでいてもよい。決定木は、ある事項の目標値に関する結論に対するその事項に関する観察を地図上に示すことに使用可能な予測モデルである。木は、ノード及び有向線分から成る階層的グラフ構造を有する。上層は、例えばパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターなどの入力ノードを含んでいてもよく、このパラメーター及び/又は入力及び/又はファクターは、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など);病状(例えば、心不全、ぜんそく、喫煙、肺疾患など);人口統計(例えば、年齢、性別、体重など);室内検査結果(例えば、血液ガス、pH、尿検査など);投薬(例えば、ステロイド、鎮静剤、抗炎症薬など);などを含むが、これらに限定されない。決定ノードはグラフを通して進行順序を決定する。木の「葉」が可能なすべての結果又は分類であるのに対して、「根」は最終結果であって、例えば、患者状態の分類、介入のアドバイスなどを含んでいてもよい。木はエキスパートの知識、標本ケース、文献、臨床試験などを用いて構築してもよい。決定木を構築する方法は、当業者に周知の決定木アルゴリズムである、例えば、C5.0、CART及びID3などのアルゴリズムを含んでいてもよい。木構造及びパラメーターを精緻化するために強化学習があってもよい。対応する確率を出力分類に与えてもよい。より複雑な分類を生成するように、別の木と組み合わせることで木の集団を生成してもよい。決定木に関する追加情報を例えば、非特許文献6に見出してもよく、この内容全体を本明細書に援用する。ここで図4Cを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的な決定木グラフ構造が示されている。図4Cに示すように、例示的な決定木グラフ構造140は、有向辺及びノード(円及び矢印で表示)を示し、例えば、年齢、冠状動脈性心臓病(CHF)、心拍数(HR)、血圧及びそれらの予測結果などの多様なパラメーター及び/又はファクター及び/又は入力間を関連付けている。ノードは入力ノード及び/又は決定ノードを含んでいてもよく、更には決定木グラフを通ずる進行の順序の決定に用いてもよい。たとえば、図4Cに示すように、入力ノード141(年齢)は、例えば年齢が60歳未満又は60歳を超えることを矢印で示す2つの決定木に通じていてもよい。各決定ノードに従って、他の入力ノードへの進行が決定される。たとえば、図4Cに示すように、年齢が60歳を超えるならば、CHF入力ノード142を考慮する。CHF入力ノードが肯定的ならば、例えば血圧144などの別の入力ノードを考慮する。追加的に又は代替的に、並行して又は連続して、他の入力ノードを考慮してもよい。図4Cに示すように、心拍数(HR)入力ノード143も並行して考慮してよい。HRが高ければ、血圧入力ノード144も考慮する。追加決定ノードが3重の点で示されている。木の「根」は決定木の最終結果を示す。たとえば、その結果は、患者の状態(状況)が同じならば(例えば、結果146など)、或いは患者の状態(状況)が悪化しているならば(例えば、結果145など)といった条件を含んでいてもよい。
【0158】
追加実施形態によれば、計算モデルはフィードフォーワードニューラルネットワークを含んでいてもよい。フィードフォーワードニューラルネットワークは生物学的に触発された分類アルゴリズムである。そのフィードフォーワードニューラルネットワークは、層内に組織された単一のニューロン様処理ユニットを含んでいてもよい。層内の各ユニットは前層内のユニットと接続している。その接続は、すべてが同等でなくてもよく、各接続は異なる強さ又は重みを有していてもよい。接続の重みによってネットワークの知識がコード化される。ニューラルネットワークのユニットはよくノードとも呼ばれる。データは、それが出力に到達するまで入力としてネットワークに入りネットワークの各層を通過する。通常オペレーションの間、すなわち、処理ユニットが分類器として機能する際、各層間にフィードバックが存在しない。学習フェーズの間、ネットワークの重みを修正してもよい。パターンを表示する際、適切なカテゴリーを有する出力ユニットが最大の出力値を有するようにすべての重みを修正する。学習は誤差逆伝播アルゴリズムを用いて実行してもよい。強化学習も可能である。ネットワークの階層構造も設計してよい。ネットワークへの入力は、例えば、計測/検出パラメーター(例えば、EtCO2、RR、SpO2、HR、血圧など)及び/又は患者特有の多様な追加パラメーター(ファクター)を含んでいてもよく、更には例えば、血圧、年齢、病状、鎮静、患者覚醒、患者睡眠などの特徴であってもよい。出力は、例えば、患者状態の分類を表すPIなどの健康関連指標を含んでいてもよい。ネットワークは、前時点の入力ノードを加えることで入力パラメーターの時間に関する変化(動向)も捕らえてよい。フィードフォーワードニューラルネットワークに関する追加情報を例えば、非特許文献7及び8に見出してもよく、これらの内容全体を本明細書に援用する。
【0159】
ここで図4Dを参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なフィードフォーワードニューラルネットワークが示されている。図4Dに示すように、例示的なフィードフォーワードニューラルネットワーク160は、多様な入力測定/検出パラメーター(例えば、心拍数HR161A、呼吸速度RR161B、SpO2161C、EtCO2161Dなど)からネットワークのニューロン様処理ユニット(層)(例えば、隠れ層162A、162B及び162Cなど)に向かう情報の伝播、及びこのユニットを通しての情報の伝播を示していてもよい。ネットワークの多様な層で処理/評価/決定された情報から、例えばPIなどの出力164(図4D参照)を決定してもよい。多様な層間の重み及び関係は、例えば、フィートバック機構を用いることで修正してもよく、このフィートバック機構は、特に学習フェーズの間に用いてもよい。
【0160】
更なる実施形態によれば、指標値を決定する際、指標危険性関連関数を定義或いは精緻化するため、及び/又は規則を微調整するため、及び/又はメンバーシップ関数を微調整するために学習モデルを用いてもよく、これにより、指標が決定/計算される。図5に示すように、学習モデルスキーム100は3つの主要なブロックを含んでいてもよい。すなわち、その第1のブロックは環境102であって、計測患者パラメーターを入力としてモデルに送るものである。そのパラメーターは、EtCO2、SpO2、RR、HRなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。第2のブロックは計算モデル104であり、計算モデル104は、例えば、ファジー推論モデル、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、及び非線形回帰モデルなどの多様な数学モデルを含んでいてもよいが、これらに限定されない。たとえば、計算モデルはファジー推論モデルを含んでいてもよい。そして、計算モデルは、例えばPI値を含むことが可能な出力106を計算してもよい。たとえば、計算モデルはベイジアンネットワークを含んでいてもよい。たとえば、計算モデルは決定木を含んでいてもよい。たとえば、計算モデルはフィードフォーワードニューラルネットワークを含んでいてもよい。第3のブロックは性能基準108であり、性能基準108はモデル予測の信頼性(品質)を評価するスコアを含んでいてもよい。その基準は、例えば医療提供者のエキスパートが評価してもよい。加えて、或いは代替的に、その基準は、患者状態及び医療介入に関して収集した追加データを用いた自動的な評価であってもよい。性能基準を用いることで、学習過程110は、収束解が得られるまで性能を最小化するために適用できる。たとえば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法及び期待値最大化(EM)などを含むが、これらに限定されない多様な方法を用いて学習及び最適化を実行してもよい。学習は、より一般的なモデルを得るためにオフラインで実行してもよく、或いは、各特定/個々の患者にフィットするモデルを適応するためにオンラインで実行してもよい。このオンライン実行のケースでは、患者を長くモニターすればするほど、患者状態に対するモデルのフィッティングもより多くなる。
【0161】
幾つかの実施形態によれば、モニタリング装置は、医療エキスパートへの医療アドバイスの表示を更に含んでいてもよい。医療アドバイスは、少なくとも幾つかの個々パラメーターの値及びパターンの解析や、個々パラメーターの既知の範囲及びパターンと計測値及びパターンとの比較の解析から導いてもよい。これらのアドバイスは、決定/計算した状態指標値由来の表示に加えて表示してもよい。医療アドバイスは、例えば、CO2波形(カプノグラムとして表示)及びRI値の特性に基づいていてもよい。医療提供者に提供するアドバイスは、例えば、CO2波形の観察結果が部分的閉塞の指標(長い下り勾配の波形など)となる特性を有しているならば、装置により「気道開放」や「気道チェック」とアドバイスできるといったものを含んでいてもよい。CO2波形が非常に小さく肺への血流が少ないことを示す形状が優れているならば、装置により「血圧チェック」又は類似の表示でアドバイスしてもよい。既知のCO2波形パターンの検出は、患者治療を改善するために既知の患者状態を治療すべきなのか治療し得るのかの指標となり、更には医療エキスパートへアドバイスを提供する契機及び発信源に用いてもよい。たとえば、部分的閉塞に入っている患者では、カプノグラムの下降勾配が時間と共に増加して徐々に落ちてゆく波形パターンが促進されるのがごく普通である。このような場合に、医療提供者に「患者の気道チェック」などの通知を発してもよい。たとえば、CO2波形パターンが非常に丸く小さくなったならば、これはカプノグラフの挿管に機械的な問題がある指標であり、「挿管インターフェースチェック」といったアドバイスを発してもよい。モニタリング装置が発するそれらの医療アドバイス及び他の類似の医療アドバイスは、PI由来の表示に加えて示されてもよい。波形パターンのこのような分析の実施例を非特許文献9の刊行物に見出してもよく、この内容全体を本明細書に援用する。たとえば、小さい気道閉塞は、上昇曲線フェーズと上り勾配の肺胞プラトーを示すカプノグラムに見て取ることができ、この上昇曲線フェーズと上り勾配の肺胞プラトーは、急性気管支けいれん又は閉塞性肺疾患の存在を示し、例えば、CO2波形により緩徐呼吸性低換気と過換気とを区別してもよい。緩徐呼吸性低換気では呼吸速度が減少し、波形振幅が大きく、カプノグラムが幅広く検出される一方で、過換気では呼吸速度が増加し、波形振幅が小さく、カプノグラムが狭く検出される。
【0162】
幾つかの実施形態によれば、医療装置はユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、ユーザーインターフェースにより、表示すべきデータであって、多様な動作パラメーターを制御するデータをユーザーが選択可能である。さらに、看護師、医師、麻酔科医などの異なるユーザーの異なったニーズに応える違う表示を含んでいてもよい。ユーザーがデータの表示を変えられることで、ユーザーは、状態を更に評価するための異なった情報のレベルを切り替えることができる。たとえば、基本スクリーンは状態指標値及び状態指標値の動向データを表示してもよい。次の表示に変えると、実際の計測データ値、及び状態指標値を決定/計算するパラメーターに関する値の動向が現れてもよい。更に表示を切り替えると、休止頻度並びに他の関連分析及び計算が提供されてもよい。多様な表示を用いることで、ユーザーは、事象及び/又はアドバイスをユーザーに示すことになったパラメーターに焦点を当てることもできる。
【0163】
更なる実施形態によれば、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは各患者に特徴的な情報に進入することもできる。特徴的な患者情報の使用は、様々な計測及び計算の精度を許容するのに必要である。このような情報は、例えば、特定の患者の年齢、体重、身長、性別などはもちろん、挿管(患者が挿管されているか否か)など患者の他の関連情報さえも含んでいてよい。たとえば、患者のサイズ及び年齢はPI計算を変更できる。すなわち、大人にとって12BPMの呼吸速度は正常であり、36BPMは速いと考え得るが、子供にとっては12BPMの呼吸速度は遅いと考えられ、36BPMの呼吸速度は正常と考え得る。また、患者の分類検出手段を利用してもよく、その分類は、例えば、年齢グループ、体重グループ、性別、挿管などのパラメーターに基づいていてもよい。このような分類を用いることで、患者のタイプや環境に関連した分類に適するようにモニタリング装置の設定を直すことが可能となる。また、ユーザーインターフェースは、使用されている計測インターフェースに従って患者のタイプを自動的に検出可能であってもよい。たとえば、呼気中の二酸化炭素の計測に用いる挿管インターフェースは大人と子供とで違ってもよい。したがって、ユーザーインターフェースは患者のサイズグループに適合するように患者設定を自動的に調節できる。
【0164】
ここで図6を参照すると、幾つかの実施形態に係る例示的なグラフィカルユーザーインターフェースが示されている。図6Aに示すように、ユーザーインターフェースディスプレー200は、決定/計算した指標に関連する1以上の要素を表示してもよい。表示すべきものの内容は、ユーザーが決定してもよい。たとえば、ディスプレー200は要素202を含んでいてもよく、ディスプレー200では、ユーザーが指定ディスプレーを選択し、更にはどのディスプレーを選択するかを指示可能であってもよい。要素204が決定/計算したPI値を表示してもよい。要素206が決定/計算したPIの動向(時間に関する変化)を表示してもよい。要素208がPI値の変化に関するグラフィカル表示を含んでいてもよい。要素210が指標値の決定に用いる1以上のパラメーター値を示していてもよい。要素212が指標値の決定に用いる1以上のパラメーター値の動向を示していてもよい。医療提供者への医療アドバイスを表示するように要素214を用いてもよい。多様な要素の表示は、例えば、数値、ディスプレー、グラフディスプレー、チャート、表、グラフィカル表示ディスプレー、色付けされた指標の表示など任意のタイプの表示を含んでいてもよい。ここで図6Bを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Bに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース250は様々な要素を表示してもよい。たとえば、要素252は、ユーザーが指定表示を選択し、更にはどの表示を選択するかを指示可能であってもよい。たとえば、多様な表示は動向、システム、患者タイプ、警告、印刷、ズームなどを含んでいてもよい。要素254がPI値の数値ディスプレーを含んでいてもよい。要素258がPIの変化のグラフィカル表示(例えば、矢印など)を含んでいてもよい。要素256が、例えば2時間などの選択期間に亘る指標の動向の表示を含んでいてもよい。この動向表示は、例えば、時間に関するPI値の変化を示すグラフの形態であってもよい。要素260Aから260Dが、多様なパラメーターの値を表示してもよく、そこでは、少なくとも幾つかのパラメーターに従ってPIが決定/計算される。たとえば、図6Bに示すように、要素260AはEtCO2レベル(mmHgの単位)を数値として表示する。たとえば、要素260Bは呼吸速度(RR、1分当たりの呼吸数の単位)を数値として表示する。たとえば、要素260CはSpO2レベル(飽和度%の単位)を数値として表示する。たとえば、要素260Dは心拍数(HR、1分当たりの拍動の単位)を数値として表示する。また、要素262Aから262Dは多様なパラメーターの変化のグラフィカル表示手段である。たとえば、要素262Aから262Dは上向き矢印及び/又は下向き矢印の形態であってもよい。要素264がCO2波形(mmHgの単位)を描くグラフを更に示していてもよい。ここで図6Cを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Cに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース300は、例えば、PI値、及び指標値の決定に用いる多様なパラメーターなど様々な要素の動向(時間に関する変化)を表示してもよい。その動向を観察する選択期間は、例えば、0.1時間から24時間などの任意の期間を含んでいてもよい。その期間はユーザーが選択してもよく、且つ/又は自動的に決定してもよい。たとえば、その動向を表示する期間は6時間であってもよい。たとえば、要素304がPI値の数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素305が選択期間に亘るPI値の動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素306が心拍数パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素307が選択期間に亘る心拍数パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素308がSpO2パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素309が選択期間に亘るSpO2パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素310が呼吸速度パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素311が選択期間に亘る呼吸速度パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素312がEtCO2パラメーターの数値ディスプレーを含んでいてもよい。たとえば、要素313が選択期間に亘るEtCO2パラメーターの動向のグラフディスプレーを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、各個々の動向の範囲を隠してもよいため、その動向の「正常」範囲からのずれが容易に識別される。追加的に、又は代替的に、正常範囲から逸脱するそれらの範囲を色付けするように(例えば、黄色及び/又は赤色に)グラフを変更してもよい。ここで図6Dを参照すると、幾つかの実施形態に係るPI指標の例示的なグラフィカルディスプレーが示されている。図6Dに示すように、グラフィカルユーザーインターフェース350は、警告リミット(閾値)からのずれをある期間に亘って検出してきた事象の頻度を表示してもよい。事象の頻度の表示は、数値、グラフディスプレー、色分けされた表示など、又はこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。たとえば、要素352が、呼吸速度が速い方の警告リミット(上部パネル353A)を超えた時間数又は遅い方の警告リミット(下部パネル353B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素354が、SpO2が高い方の警告リミット(上部パネル355A)を超えた時間数又は低い方の警告リミット(下部パネル355B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素356が、EtCO2が高い方の警告リミット(上部パネル357A)を超えた時間数又は低い方の警告リミット(下部パネル357B)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素358が、心拍数が高い方の警告リミット(上部パネル359A)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。たとえば、要素360が、PI値が低い方の警告リミット(上部パネル361A)を下回った時間数を示す棒グラフを示している。事象の頻度を決定する期間は、自動的に又はユーザーが決定してもよい。事象の頻度の表示に加えて、グラフィカルユーザーインターフェース350は、任意のパラメーター及び/又は値のグラフ及び/又は数値ディスプレーを更に表示してもよい。たとえば、要素362がEtCO2の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素364が呼吸速度の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素368がSpO2の瞬間計測値を表示してもよい。たとえば、要素370が心拍数の瞬間計測値を表示してもよい。
【0165】
これにより、幾つかの実施形態によれば、呼吸器の状態及び/又は肺の状態及び/又は心臓の状態など患者の健康状態をモニターするために使用可能な医療装置及びシステムが提供される。この装置は、例えば、二酸化炭素に加えて多様なパラメーターの計測値を検出及び/又は取得するために適応可能なカプノグラフィ装置を含んでいてもよい。このパラメーターは、例えば、SpO2などの酸素レベル及び酸素分圧、心拍数、血圧などを含んでいてもよい。その装置は処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。処理ロジックは、例えばプロセッサなど任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。状態指標値は1から10の範囲にあってもよく、10は最良の状態を示し、1は最悪の状態を示す。モニタリング装置は、これが収集して決定/計算したデータの表示に使用可能な1以上のディスプレーを更に含んでいてもよい。ディスプレーは、例えば数値フォーマット及び指標付きフォーマットの決定/計算した状態指標を表示してもよく、1から10範囲の決定/計算した指標に沿った異なる範囲を異なる色;決定/計算した指標の時間に関する変化(動向);決定/計算した指標値の信頼性;モニタリング装置の様々なセンサーが計測した多様なパラメーターの値及びパターン;例えば上向き矢印及び下向き矢印など、患者の状態に関するグラフィカル表示;などに割り当ててもよい。さらに、モニタリング装置は、決定/計算した状態指標値及び他の計測患者パラメーターに基づき医療アドバイスを発するようにされていてもよい。また、モニタリング装置はユーザーインターフェースを含んでいてもよく、ユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、及び/又はサイズを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態、例えば、グラフ、数値、表示手段などをユーザーが選択可能であってもよい。
【0166】
ここで図7を参照すると、幾つかの実施形態に係る医療モニタリングシステムのブロック図が示されている。図7に示すように、医療モニタリングシステム400は、例えばセンサー402Aから402Dの1以上のセンサーを含んでいてもよく、このセンサーは、多様な健康関連パラメーターを取得/検出/計測するようにされていてもよい。センサーは、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなどのセンサーを含んでいてもよいが、これらに限定されない。このように計測するパラメーターは、例えば、EtCO2、CO2レベル、SpO2、心拍数、血圧、流量、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。医療モニタリングシステム400は、例えば処理ロジック404などの処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。たとえば、状態指標値は肺/呼吸器指標であってもよい。処理ロジックは、例えばプロセッサなど任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。処理ロジックとセンサーとの接続は、例えば、ワイヤー、ケーブル、無線などの使用といった任意のタイプの通信経路を含んでいてもよい。さらに、医療モニタリングシステムは1以上のディスプレー(例えば、図7のディスプレー406など)を含んでいてもよく、このディスプレーは、処理ロジック、例えば指標値、指標の動向、指標の決定に用いるパラメーターなどによって収集して決定/計算/算出したデータの表示に用いてもよい。また、医療モニタリングシステムはユーザーインターフェース408などのユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、このユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、体重、身長、病歴、現在の健康状態など、又はこれらの任意の組み合わせを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態をユーザーが選択可能であってもよい。
【0167】
ここで図8を参照すると、幾つかの実施形態に係るシステムの模式図が示されている。図8に示すように、医療モニタリングシステム500などのシステムは、医療モニタリングシステム500は、例えばセンサー502Aから502Dの1以上のセンサーを含んでいてもよく、このセンサーは、多様な健康関連パラメーターを取得/検出/計測するようにされていてもよい。1以上のセンサーは患者(例えば患者520)に直接又は間接的に接続していてもよい。センサーは、例えばカプノグラフ、オキシメータ、肺活量計、心拍数センサー、血圧センサー、ECG、EEG、超音波センサーなどのセンサーを含んでいてもよいが、これらに限定されない。このように計測するパラメーターは、例えば、EtCO2、CO2レベル、SpO2、心拍数、血圧、流量、CO2波形パターン、血液ガスなどのパラメーターを含んでいてもよいが、これらに限定されない。システム500は、例えば処理ロジック504などの処理ロジックを更に含んでいてもよく、処理ロジックは、少なくとも1つのセンサーからの情報を受け取るように、かつ、患者の状態に直接関連する状態指標値を計算/決定/生成するように用いてもよい。たとえば、状態指標値は肺/呼吸器指標であってもよい。処理ロジックは任意のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてもよい。処理ロジックとセンサーとの接続は、例えば、ワイヤー、ケーブル、無線などの使用といった任意のタイプの通信経路を含んでいてもよい。さらに、医療モニタリングシステムは1以上のディスプレー(例えば、図8のディスプレー506など)を含んでいてもよく、このディスプレーは、処理ロジック、例えば指標値、指標の動向、指標の決定に用いるパラメーターなどによって収集して決定したデータの表示に用いてもよい。また、医療モニタリングシステムはユーザーインターフェース508などのユーザーインターフェースを更に含んでいてもよく、このユーザーインターフェースによって、ユーザーは患者を特定する患者関連データ、例えば年齢、性別、体重、身長、病歴、現在の健康状態など、又はこれらの任意の組み合わせを入力可能であってもよい。さらに、ユーザーインターフェースにより、表示すべきパラメーター、及びパラメーターを表示可能な形態をユーザーが選択可能であってもよい。
【0168】
多数の例示的な態様及び実施形態を上で議論してきたが、当業者は、一定の修正、置換、追加及びこれらのサブコンビネーションを理解するであろう。よって、以下に添付の請求項及び以下に導く請求項は、このような修正、置換、追加及びサブコンビネーションのすべてが請求項の真の精神及び範囲内にあるものと解すべきであることを意図する。
【0169】
実施例
【0170】
実施例1‐数学モデルを用いたPI値計算
【0171】
上述したように、PIの計算に使用した任意のパラメーター値は、平均EtCO2、平均呼吸速度、平均心拍数及び平均SpO2の決定/計算/算出値に基づいている。EtCO2(呼吸終末二酸化炭素)は単位mmHgで計測する。呼吸速度(RR)は1分当たりの呼吸数で計測する。SpO2はパーセントで計測する。心拍数(HR)は1分当たりの拍動で計測する。以下の実施例は様々な条件での指標値を例示している。
【0172】
PI ≧ 9から10
次の条件を実現すると、指標は10か9となり、過換気又は低換気の指標である矢印は表示されない。次の条件は次のように解釈される。すなわち、呼吸速度が12から28BPMの範囲にあり、かつ、EtCO2が28mmHg以上かつ44mmHg未満であり、かつ、SpO2が94%より高いならば、決定/計算/算出指標は10となる。呼吸速度が12から28BPMの範囲にあり、かつ、EtCO2が28mmHg以上かつ44mmHg未満であり、かつ、SpO2が90から94%の範囲ならば、決定/計算/算出指標は9となる。それらの条件は次のように要約できる。すなわち、
12 < RR < 28 かつ 28 ≦ EtCO2 < 44 かつ SpO2 > 94% ならば、指標 10
12 < RR < 28 かつ 28 ≦ EtCO2 < 44 かつ 90% < SpO2 < 94% ならば、指標9
【0173】
PI ≦7 及び低換気の表示
RR ≦ 5 ならば、指標4低下
RR ≦ 8 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 ≦ 12 又は SpO2 ≦ 86% ならば、指標3低下
RR ≦ 5 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 ≦ 12 かつ SpO2 ≦ 86% ならば、指標1低下
RR ≦ 5 かつ SpO2 ≦ 86% ならば、指標2低下
5 < RR ≦ 8 かつ 46 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24かつ 86% < SpO2 ≦ 90% ならば、指標5低下
5 < RR ≦ 8 かつ 46 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 > 90% ならば、指標6低下
8 < RR ≦ 12 かつ EtCO2 ≧ 55 又は EtCO2 < 18 かつ SpO2 ≦ 90% ならば、指標6低下
8 < RR ≦ 12 かつ EtCO2 ≧ 55 又は EtCO2 < 18 かつ SpO2 > 90% ならば、指標7低下
【0174】
PI ≦8 及び 過換気及び低換気の表示なし
12 < RR < 16 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 < 12 かつ SpO2 < 90% ならば、指標6
12 < RR < 16 かつ EtCO2 ≧ 64 又は EtCO2 < 12 かつ SpO2 > 90%
ならば、指標7
12 < RR < 16 かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90% ならば、指標7
12 < RR < 16 かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 > 90% ならば、指標8
【0175】
PI ≦8 及び過換気の表示
RR ≧ 40 かつ HR ≧ 110 ならば、指標4上昇
RR ≧ 40 かつ EtCO2 ≧ 50 かつ HR ≧ 110 ならば、指標3上昇
RR ≧ 40 かつ EtCO2 ≧ 50 かつ HR ≧ 110 かつ SpO2 ≦ 90% ならば、指標2上昇
RR ≧ 40 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50 かつ HR ≧ 100 かつ SpO2 ≦ 90%ならば、指標3上昇
RR ≧ 40 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50 かつ HR ≧ 100 かつ SpO2 > 90% らば、指標4上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 100 ならば、指標8上昇
32 ≦ RR < 40 かつ 100 ≦ HR < 120 かつ 44 ≦ EtCO2 < 50ならば、指標7上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 100 かつ EtCO2 ≧ 44 かつ SpO2 ≦ 90%ならば、指標6上昇
32 ≦ RR < 40 かつ HR ≧ 120 かつ EtCO2 ≧ 55ならば、指標5上昇
28 ≦ RR < 32 かつ HR ≧ 120 かつ EtCO2 ≧ 55ならば、指標6上昇
28 ≦ RR < 32 かつ HR ≧ 100 かつ EtCO2 ≧ 44ならば、指標7上昇
44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12 < EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90% ならば、指標7上昇
16 < RR < 28かつ 44 ≦ EtCO2 < 64 又は 12
< EtCO2 ≦ 24 かつ SpO2 < 90%ならば、指標7上昇
【0176】
実施例2‐数学モデルを用いたPI値決定‐ファジー論理アルゴリズム
【0177】
ファジー論理推論は、医療提供者の知識、並びに4つのパラメーター、EtCO2、呼吸速度(RR)、心拍数(HR)及びSpO2から得られる予測PI値の解釈を用いて構築される。異なる年齢での大人と子供とでHR及びRRの正常範囲に違いがあるので、同一パラメーターのPI値は異なってもよい。このようにしてPIモデルは異なった年齢用に設計される。次の説明はすべてのモードに適用されるが、より具体的には大人のモードに適用される。
【0178】
4つのパラメーター(EtCO2、RR、HR及びSpO2)に基づいてPI値を決定するために、22人の医療エキスパート(看護師、呼吸療法士、医師及び麻酔科医)に質問事項を送る。質問事項は異なったパラメーター値を有する85ケースのセットを含む。エキスパートは所定のコード(表1参照)に従ってPI値を割り当てるよう質問に答える。
【0179】
【表1】
【0180】
ファジー論理推論はデータに対するエキスパートの合意を用いて構築される。マスワークス社(Mathworks Inc.)のマトラボ(matlab)ファジー論理ツールボックスを用いて設計を実施する。初めに、メンバーシップ関数を各パラメーターに割り当て、HR及びSpO2には正常値、高い値及び低い値用の範囲を決定し、EtCO2及びRRには正常値、高い値、非常に高い値、低い値及び非常に低い値用の範囲を決定する。PIは10個のメンバーシップ関数を有し、各指標値に1つのメンバーシップ関数が対応する。
【0181】
メンバーシップ関数の言語記述子を用いて、入力と出力を関係付ける規則セットを決定する。(EtCO2が非常に高く)、かつ、(RRが非常に高く)、かつ、(SpO2が正常)、かつ、(HRが高い)ならば、PIは2となる。この規則は表2に要約されている。
【0182】
【表2】
【0183】
用いるファジー論理演算子は、AND演算用の最小値、OR演算用の最大値、非ファジー化領域の集合及び図心用の最大値である。
【0184】
上述の実施例は非限定的な実施例であって、本開示の範囲の限定を意図するものではない。記述した実施例は異なる特徴を有していてもよく、その特徴のすべてが本開示のすべての実施形態に必要とされるわけではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸(MV)から患者を離脱させるシステムであって、
換気装置と、
2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置であって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、前記制御装置は、更に前記2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算した該IPIの値に基づき、前記換気装置に信号を与えるようにされ、該信号は、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、制御装置と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記IPIは、
(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく該第1の計測患者パラメーターの特徴付け、
(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく該第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び
(c)特徴付けられた前記第1の計測患者パラメーター及び前記第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく前記指標値の計算であって、前記第2の計測患者パラメーターに連関した前記値に適用された重み付けファクターが、前記第1の計測患者パラメーターの前記特徴付けの影響を受ける、計算
によって計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に前記人工呼吸を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記酸素補給を継続するか増加させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記IPIは1から10の範囲にあり、該IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記パラメーターの医療上重要性に従って前記IPIを計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御装置は、更に前記IPIの値の動向を計算するようにされているとともに、該IPIの値の該動向に基づき、前記換気装置に信号を与えるようにされ、該信号は、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御装置は、更に前記指標値の信頼性指標を計算するようにされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御装置は、更に前記換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記IPIの値及び/又は前記換気装置からの離脱に関する前記アドバイスを表示する図形を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
1以上の患者特徴若しくは前記計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき前記期間を求める、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを有し、該1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、前記CO2濃度の増加率、前記CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記計算は学習過程の適用を有し、該学習過程は前記指標値の信頼性を増加させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記IPIの計算は、前記2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法であって、
2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有する、ことと、
計算した前記IPIの値に基づき換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整することと、
を有する方法。
【請求項28】
前記IPIは、
(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく該第1の計測患者パラメーターの特徴付け、
(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく該第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び
(c)特徴付けられた前記第1の計測患者パラメーター及び前記第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく前記指標値の計算であって、前記第2の計測患者パラメーターに連関した前記値に適用された重み付けファクターが、前記第1の計測患者パラメーターの前記特徴付けの影響を受ける、計算
によって計算する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に前記人工呼吸を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記酸素補給を継続するか増加させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記IPIは1から10の範囲にあり、該IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの前記パラメーターの医療上重要性に従って前記IPIを計算する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記制御装置は、更に前記IPIの値の動向を計算するようにされているとともに、該IPIの値の該動向に基づき、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記制御装置は、更に前記指標値の信頼性指標を計算するようにされている、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記制御装置は、更に前記換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされている、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記IPIの値を表示する図形を更に有する、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
1以上の患者特徴若しくは前記計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき前記期間を求める、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを有し、該1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
前記CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、前記CO2濃度の増加率、前記CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記計算は学習過程の適用を有し、該学習過程は前記指標値の信頼性を増加させる、請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記IPIの計算は、前記2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項51】
前記1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項51に記載の方法。
【請求項1】
人工呼吸(MV)から患者を離脱させるシステムであって、
換気装置と、
2以上の計測患者パラメーターを受け取るようにされたインターフェースモジュールを有する制御装置であって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有し、前記制御装置は、更に前記2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算するようにされているとともに、計算した該IPIの値に基づき、前記換気装置に信号を与えるようにされ、該信号は、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、制御装置と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記IPIは、
(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく該第1の計測患者パラメーターの特徴付け、
(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく該第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び
(c)特徴付けられた前記第1の計測患者パラメーター及び前記第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく前記指標値の計算であって、前記第2の計測患者パラメーターに連関した前記値に適用された重み付けファクターが、前記第1の計測患者パラメーターの前記特徴付けの影響を受ける、計算
によって計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に前記人工呼吸を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記酸素補給を継続するか増加させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記IPIは1から10の範囲にあり、該IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記パラメーターの医療上重要性に従って前記IPIを計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御装置は、更に前記IPIの値の動向を計算するようにされているとともに、該IPIの値の該動向に基づき、前記換気装置に信号を与えるようにされ、該信号は、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御装置は、更に前記指標値の信頼性指標を計算するようにされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御装置は、更に前記換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記IPIの値及び/又は前記換気装置からの離脱に関する前記アドバイスを表示する図形を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
1以上の患者特徴若しくは前記計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき前記期間を求める、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを有し、該1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、前記CO2濃度の増加率、前記CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記計算は学習過程の適用を有し、該学習過程は前記指標値の信頼性を増加させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記IPIの計算は、前記2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
人工呼吸(MV)から患者を離脱させる方法であって、
2以上の計測患者パラメーターに基づき統合肺指標(IPI)の値を計算することであって、少なくとも1つの計測患者パラメーターがCO2関連パラメーターを有する、ことと、
計算した前記IPIの値に基づき換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整することと、
を有する方法。
【請求項28】
前記IPIは、
(a)第1の参照値と第1の計測患者パラメーターの比較に基づく該第1の計測患者パラメーターの特徴付け、
(b)第2の参照値と第2の計測患者パラメーターの比較に基づく該第2の計測患者パラメーターの特徴付け、及び
(c)特徴付けられた前記第1の計測患者パラメーター及び前記第2の計測患者パラメーターの各々に連関した値に基づく前記指標値の計算であって、前記第2の計測患者パラメーターに連関した前記値に適用された重み付けファクターが、前記第1の計測患者パラメーターの前記特徴付けの影響を受ける、計算
によって計算する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記1以上の離脱関連パラメーターは、換気容積、換気圧力、補給酸素、呼吸終末陽圧(PEEP)又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に前記人工呼吸を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記人工呼吸の補助を継続するか増加させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に酸素補給を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記酸素補給を継続するか増加させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターの調整は、前記IPIの値が所定値以上の場合に呼吸終末陽圧(PEEP)を減少させるか停止させ、前記IPIの値が前記所定値未満の場合に前記呼吸終末陽圧(PEEP)を継続するか追加することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記IPIは1から10の範囲にあり、該IPIの値が高くなると、患者の状態が良くなる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記IPIの値の増加が、患者が離脱に成功する良い機会の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記IPIの値の増加又はその安定化が、離脱過程の成功の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記IPIの値の減少が、患者の状態の悪化の指標となる、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの前記パラメーターの医療上重要性に従って前記IPIを計算する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記制御装置は、更に前記IPIの値の動向を計算するようにされているとともに、該IPIの値の該動向に基づき、前記換気装置における1以上の離脱関連パラメーターを調整する、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記制御装置は、更に前記指標値の信頼性指標を計算するようにされている、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記制御装置は、更に前記換気装置からの離脱に関する医療アドバイスを提供するようにされている、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記IPIの値を表示する図形を更に有する、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記IPIの計算は、ファジー論理、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、放射基底関数、線形回帰モデル、非線形回帰モデル、エキスパートシステム、又はこれらの任意の組み合わせを適用することを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記IPIの計算は、ある期間に亘って計測患者パラメーターを平均化することを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
1以上の患者特徴若しくは前記計測患者パラメーターの安定性、又はその両方に基づき前記期間を求める、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記2以上の計測患者パラメーターはCO2関連パラメーター及び1以上の計測患者パラメーターを有し、該1以上の計測患者パラメーターは、別のCO2関連パラメーター、呼吸速度(RR)、O2関連パラメーター、心拍数(HR)、心電図(ECG)、脳造影図(EEG)、血圧、及び肺活量で成る群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
前記CO2関連パラメーターは、CO2波形関連パラメーター、呼気CO2濃度、呼吸速度又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記CO2波形関連パラメーターは、EtCO2、EtCO2の変化、前記CO2濃度の増加率、前記CO2濃度の増加率の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇時間の変化、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度、CO2濃度の所定パーセントの最大値への上昇角度の変化、各呼吸間の相関、各呼吸間の相関、CO2使用率、CO2使用率の変化又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記計算は学習過程の適用を有し、該学習過程は前記指標値の信頼性を増加させる、請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記学習過程は、ニューラルネットワーク法、サポートベクターマシン(SVM)、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、期待値最大化(EM)、事例に基づく推論、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記IPIの計算は、前記2以上の計測患者パラメーター及び1以上の患者特徴に基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項51】
前記1以上の患者特徴は、年齢、体重、性別、病状、投薬、換気、酸素補給、室内検査結果、血圧、病歴、挿管又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記病歴は、喫煙、心疾患、肺疾患、睡眠時無呼吸、ペースメーカー、又はこれらの任意の組み合わせを有する、請求項51に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−531246(P2012−531246A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516977(P2012−516977)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000511
【国際公開番号】WO2010/150264
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510313005)オリディオン メディカル 1987 リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ORIDION MEDICAL 1987 LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000511
【国際公開番号】WO2010/150264
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510313005)オリディオン メディカル 1987 リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ORIDION MEDICAL 1987 LTD.
【Fターム(参考)】
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