説明

人工器官のコンポーネントアセンブリ

【課題】 複数の支柱は適切に準備された寛骨臼に配置されたシェルを保持するのを助けるように適合されている人工器官カップアセンブリを提供することを目的とする。
【解決手段】 内側面および上記内側面に配置された内側テーパ部、及び、外側面および該外側面から延びる複数の支柱を備えるシェルと、外側面、および上記外側面に配置されると共に第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分を有する外側テーパ部を備えたベアリングインサートであって、上記第1の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部の一部分と実質的に合致するように構成され、上記第2の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部のその他の部分との締まりばめを提供するように構成された、上記ベアリングインサートとを有する、骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリ。である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年11月16日に出願された米国仮特許出願第60/333,180号の優先権を主張する出願の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、股関節の人工器官に関連して開示された人工器官カップアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
自然の臼蓋窩(socket)の代わりに寛骨臼に取り付けるための金属製のシェルコンポーネント(シェル)と、シェルに挿入されて人工器官の大腿骨のボール要素を受容するためのベアリング面を提供するプラスチック製のベアリングコンポーネントとを含む寛骨臼のカップアセンブリを提供することが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、伝統的なベアリングコンポーネントは、ベアリング面の一部分の周りの強化リップ部を含んでいる(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
そのような寛骨臼のカップアセンブリのひとつの課題は、外側の金属製のシェルとプラスチック製のベアリングコンポーネント(またはベアリングインサート)との間の動きである。外側の金属製のシェルとプラスチック製のベアリングコンポーネント(またはベアリングインサート)との間の動きは、摩滅を引き起こし、したがって、摩滅による破片の粒子が生ずる可能性がある。摩滅による破片の粒子は、粒子によって誘発された骨溶解と関連すると考えられてきた。この観点から、寛骨臼のカップアセンブリの金属製のシェルとプラスチック製のベアリングインサートとの間の動きを低減または除去することが望ましい。
【0005】
従来の寛骨臼のカップアセンブリの設計は、金属製のシェルとプラスチック製のベアリングインサートとの間の巨視的な動きに焦点が合わせられていた。他の設計は、金属製のシェルとプラスチック製のベアリングインサートとの間の相互に作用する表面の表面仕上げ(surface finish)を減少させることで、そのような動き(金属製のシェルとプラスチック製のベアリングインサートとの間の動き)によって生じた粒子の量を減らすよう努めてきた(例えば、特許文献4参照)。さらに、寛骨臼のカップアセンブリの設計は、ドーム状の負荷を保ちながらアセンブリの部品(金属製のシェルとプラスチック製のベアリングインサート)の巨視的な安定性を保持するための方法として第3の部材を用いることに焦点が合わせられてきた。ドーム状の負荷の設計は、ライナー(ベアリングコンポーネント)のリップ部の下に隙間を残しながらドーム状の領域で確実に接触するように本質的にしている。しかし、これらのドーム状の負荷の設計は、加えられた負荷の方向に沿ってインサートが配置されるようにする。
【0006】
図20および図21を参照すると、符号500が付された従来の寛骨臼のカップアセンブリが示されている。この従来の寛骨臼のカップアセンブリ500は典型的なドーム状の負荷のリング状の固定の設計を代表するものであり、シェル502、およびシェル502の内側に配置された(図示せず)ベアリングインサート(またはライナー)を含む。寛骨臼のカップアセンブリ500の縞模様でハッチングで示された部分は、負荷が中心の開口504で画定される軸に対して20度の角度でライナーの内側に加えられたときの、寛骨臼のカップアセンブリ500のライナーとシェル502とが合致している部分を表している。したがって、寛骨臼アセンブリの縞模様でハッチングで示された部分は、負荷のパターンであるとみなされてよく、符号506が付されている。したがって、縞模様でハッチングで示されていない(格子模様でハッチングされた)寛骨臼のカップアセンブリのその他の部分は、ライナーとシェル502が合致していない部分を表している。
【0007】
より詳しく述べると、従来のドーム状の負荷のリング状の固定の設計は、主として球状の表面へ負荷を加える。これによって、ライナー(典型的にはポリエチレンからなる)は、加えられた負荷の向きに沿ってシェル502の内側面に対して配置される。加えられる負荷がある向きから他の向きに移動すると、負荷のパターン506がシェルに関して移動する。この移動を伴う動きはライナーに加えられ、続いて、シェルにも加えられて、ライナーの摩滅が生ずる。
【0008】
したがって、寛骨臼のカップアセンブリでの上述された状態の低減および除去のいずれか一方もしくは両方を行なうことが望ましい。さらに、寛骨臼のカップアセンブリのライナーとシェルの合致する部分が増加された人工器官のコンポーネントアセンブリを提供することが望ましい。ライナーに加えられた負荷にかかわらずライナーとシェルの増加された合致する部分を保持できる人工器官のコンポーネントアセンブリを提供することも望ましい。さらに、人工器官のコンポーネントアセンブリのライナーとシェルとの間の制御可能な動きを提供する人工器官のコンポーネントアセンブリを提供することが望ましい。さらに、ライナーとシェルとの間の均一な制御可能な動きを提供する人工器官のコンポーネンとアセンブリを提供することが望ましい。
【特許文献1】米国特許第5,049,158号明細書(第4欄、第1図)
【特許文献2】米国特許第5,282,864号明細書(第4欄、第5図)
【特許文献3】米国特許第5,413,603号明細書(第4−5欄、第5図)
【特許文献4】米国特許第5,310,408明細書(第8欄、第16図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術は以上のように構成されているので、加えられる負荷のパターンのシェルに関する移動が、ライナーにも加えられて、ライナーの摩滅が生ずるなどの課題があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加えられる負荷のパターンのシェルに関する移動がライナーに加えられてライナーの摩滅が生ずる状態を低減または除去できる人工器官のコンポーネントアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に基づけば、股関節などの関節に用いるための人工器官のカップアセンブリが提供される。その人工器官のカップアセンブリは、キャビティを画定するシェルと、シェルのキャビティに挿入するように適合されたベアリングインサート(またはライナー)とを含む。シェルのキャビティおよびベアリングインサートの外側面は共同する(お互いに作用しあって動作する)テーパ部を備えるように構成されている。共同するテーパ部を用いることにより、シェルとベアリングインサートとの間の相対的な動きを制御できるようになる。
【0012】
ある実施の形態では、シェルのキャビティおよびベアリングインサートの外側面の共同するテーパ部はベアリングインサートおよびシェルの間の締まりばめ(interference fit)を提供する。テーパ部は、ベアリングインサートがシェルと本質的に合致するようにシェルおよびベアリングインサートに配置されている。
【0013】
他の実施の形態では、共同するシェルのキャビティのテーパ部およびベアリングインサートのテーパ部の各々は第1の部分および第2の部分を有する。第1の部分および第2の部分は、各テーパ部のゲージ点(または移行点)から画定されている。任意的に、各テーパ部の第1の部分は本質的に互いに平行な状態および合致した状態のいずれか一方または両方であり、各テーパ部の第2の部分は互いに収斂する(次第に一点に集中する:convergent)状態である。
【0014】
平行なもしくは合致した部分は、互いの間の実質的に零の締めしろ(zero interference:以下「負の締めしろ」という)を画定し、収斂する部分は、互いの間の非零の締めしろ(non-zero interference)を画定する。2つの収斂するテーパ部の間の締めしろの量は、文字通り、その2つの収斂するテーパ部の間の収斂する角度の量によって定義される。2つの収斂するテーパ部の間の収斂の全体の角度は、その収斂するテーパ部の間の収斂の全体の量を定義する。締めしろの量は変化してよい。締めしろの量を変化させることは、収斂するテーパ部の各々の角度を変化させることにより達成される。角度をなしたテーパ部のさまざまな組み合わせが、さまざまな締めしろを提供する。締めしろは、ベアリングインサートが有効にシェルに固定されるようにする。ベアリングインサートを有効にシェルに固定することにより、ベアリングインサートとシェルの間の動きの制御を有効に制御することができる。
【0015】
収斂する2つのテーパ部の長さもまた、互いに対する長さも含めて、変化できる。そのように収斂するテーパ部の長さの変化はテーパ部の収斂の角度の変化と組合せることができる。このようにして、シェルとベアリングインサートとの間の締めしろの量を制御してよい。このこと(締めしろの量の制御)は、ベアリングインサートとシェルの間の不動性(固定)の量と解釈できる。
【0016】
本発明は、ベアリングインサートがシェルに対して実質的に完全にドーム状の負荷を加えながら、かつ周縁領域(テーパ部)に安定性を提供すること(負荷の分散)を可能にする。ベアリングインサートはテーパ部およびドーム部の両方に固定されているので、ベアリングインサートの相対的な位置は負荷がライナー(ベアリングインサート)に加えられたときに移動または変化しない。
【0017】
ある実施の形態では、本発明は骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリを提供する。その人工器官のコンポーネントアセンブリは、シェルおよびライナーを含む。シェルは内側テーパ部を有する内側面を備えるように構成されている。内側テーパ部は内側テーパ角を有する。ライナーはシェルに受容されるように構成されていて、かつ外側テーパ部を有する外側面を備えるように構成されている。外側テーパ部は、第1の外側テーパ部と第2の外側テーパ部とを有する。第1の外側テーパ部は第1の外側テーパ角を有し、第2の外側テーパ部は第2の外側テーパ角を有する。第1の外側テーパ角は内側テーパ角より小さくまたは内側テーパ角と等しい。第2の外側テーパ角は、ライナーの前組立状態では、内側テーパ角よりも大きい。
【0018】
他の実施の形態では、本発明は骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリを提供する。その人工器官のコンポーネントアセンブリは、シェルおよびライナーを含む。シェルは内側テーパ部を有する内側面を備えるように構成されている。内側テーパ部は内側テーパ角を有する。ライナーはシェルに受容されるように構成されていて、かつ外側テーパ部を有する外側面を備えるように構成されている。外側テーパ部は、第1の外側テーパ部と第2の外側テーパ部とを有する。第1の外側テーパ部は第1の外側テーパ角を画定する。第2の外側テーパ部は第2の外側テーパ角を画定する。第1の外側テーパ角は内側テーパ角より小さくまたは内側テーパ角と等しい。第2の外側テーパ角は、ライナーの前組立状態では、内側テーパ角よりも大きくまたは内側テーパ角と等しい。
【0019】
さらに他の実施の形態では、本発明は骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリを提供する。その人工器官のコンポーネントアセンブリは、シェルおよびライナーを含む。シェルは内側テーパ部を有する内側面を備えるように構成されている。内側テーパ部は第1の内側テーパ部と第2の内側テーパ部とを有する。第1の内側テーパ部は第1の内側テーパ角を有し、第2の内側テーパ部は第2の内側テーパ角を有する。ライナーは外側テーパ部を有する外側面を備える。外側テーパ部は、第1の外側テーパ部と第2の外側テーパ部とを有する。第1の外側テーパ部は第1の外側テーパ角を有し、第2の外側テーパ部は第2の外側テーパ角を有する。第1の外側テーパ角は第1の内側テーパ角より小さくまたは第1の内側テーパ角と等しく、第2の外側テーパ角は、ライナーの前組立状態では、第2の内側テーパ角よりも大きい。
【0020】
さらに他の実施の形態では、本発明は人工器官のコンポーネントアセンブリを組立てる方法からなる。その方法は、(a)内側面を備えたキャビティを有するシェルを提供する過程であって、内側面が内側テーパ部を有し、内側テーパ部が内側テーパ角を有する、上記シェルを提供する過程と、(b)外側テーパ部を備えた外側面を有するライナーを提供する過程であって、外側テーパ部が第1の外側テーパ部および第2の外側テーパ部を有し、第1の外側テーパ部が第1の外側テーパ角を有し、第2の外側テーパ部が第2の外側テーパ角を有し、第1の外側テーパ角は内側テーパ角と実質的に等しく、第2の外側テーパ角は内側テーパ角より大きい前組立テーパ角からなる、上記ライナーを提供する過程と、(c)第2の外側テーパ部が内側テーパ部と機械的に係合してライナーがキャビティにさらに挿入されるのが防止されるまでシェルのキャビティにライナーを挿入する過程とを含む。
【0021】
さらに他の実施の形態では、本発明は骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリからなる。その人工器官のコンポーネントアセンブリは、シェルと、ベアリングインサートとを含む。シェルは、内側面と、内側面に配置された内側テーパ部とを有する。ベアリングインサートは、外側面と、外側面に配置された外側テーパ部とを有する。外側テーパ部は第1の外側テーパ部および第2の外側テーパ部を有する。第1の外側テーパ部は、ベアリングインサートがシェルに組立てられたときに内側テーパ部の一部と実質的に合致するように構成されていて、第2の外側テーパ部は、ベアリングインサートがシェルに組立てられたときに内側テーパ部のその他の部分との間の締まりばめ(interference-fit)を提供するように構成されている。
【0022】
本発明のその他の特徴は、現在のところ本発明を実施する最良のモードであると認められるものを例示した好ましい実施の形態に関する以下の詳細な説明を考慮して当業者には明らかとなる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、金属製のライナーと金属製のシェルとの間の相対的な動きの可能性を本質的に除去して、ベアリングの外側面での研磨による摩滅の可能性が実質的に除去される効果がある。
本発明によれば、テーパ部を含むライナーによってベアリングが予め決められた位置に付勢されるのが援助され、摩滅による破片がライナーから患者の体内に逸脱することが防止される効果がある。
本発明によれば、多様な金属製のライナーとプラスチック製のベアリングのサブアセンブリに用いられて、金属製のシェル内でのベアリングの構成を無限に選択できるようにする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
全図面を通して対応する符号は対応する構成要素を示している。
【0025】
本発明の一実施の形態の寛骨臼のカップアセンブリ10が図1に示されている。カップアセンブリ10は、自然の股関節の臼蓋(socket)に代わって寛骨臼(図示されていない)に取り付けられるように適合されたシェル12と、シェル12に結合されるように適合されたライナー14と、ライナー14に結合されるように適合されたベアリング16とを含む。シェル12は、適切に準備された寛骨臼にシェル12を保持するのを容易にするために表面模様を有するように加工されて(textured)よい外側面18を含む。シェル12は、好ましくは、チタンから作られるが、コバルト・クロム材料または他の適切な材料から作られてもよい。シェル12は、実質的に半球状の形状の内側面20をも含む。本明細書および特許請求の範囲の記載では、「実質的に半球状」という用語は、半球よりも小さい球状の一部およびある場合には半球よりも大きい球状の一部を含む寛骨臼および関節窩のシェル、ライナー、およびカップベアリングで通常使用される半球状の範囲を包含することを意図している。シェル12はリム22をさらに含む。リム22は内側面20によって画定されたシェル12のキャビティ24にライナー14およびベアリング16が入るときに通過する平面を画定する。シェル12の内側面20は側壁26をさらに含み、側壁26の外側延長部28には凹状テーパ部30が設けられている。凹状テーパ部30はリム22に隣接してキャビティ24の周縁部全体に沿って延在する。凹状テーパ部30のキャビティ24内での軸方向の高さは変更できることが理解される。
【0026】
ライナー14は球状の外側面32を含み、外側面32は凹状テーパ部30と係合して凹状テーパ部30に固定されるような寸法を有する凸状テーパ部44を有する。凸状テーパ部44が凹状テーパ部30と緊密に係合する限り、凸状テーパ部44の長さは変更できることが理解される。ライナー14は好ましくはチタンから作られるが、コバルト・クロム材料またはその他の適切な材料から作られてもよい。ライナー14は内側面34を含み、内側面34は好ましくは、ベアリングコンポーネント16を受容するような寸法を有するチャンバ36を画定する。典型的には、内側面34は実質的に半球状の形状を有する。さらに、突出部53が互いに間隔を置いて内側面34から延出してベアリングコンポーネント16に緊密に係合するようになっている。図2を参照されたい。典型的には、ライナー14は、互いに実質的に90度の角度をなして配置された4個の突出部53を含み、ベアリングコンポーネント16がチャンバ36内で回転するのが防止される。ライナー14は外側リム40をさらに含む。好ましくは、固定タブ42が外側リム40に隣接する内側面34からチャンバ36内に延出している。図2を参照されたい。
【0027】
再び図1を参照すると、ベアリング16は実質的に半球状の形状を有する外側面52を含む。ベアリング16は人工器官の大腿骨ボール(図示せず)を受容する寸法の開口55を画定する内側ベアリング面54をも含む。リム56がベアリング16の開口55の周りに円周状に延在している。ベアリング16は左右対称的である。しかし、本発明のベアリング16は非対称な構成要素でもよいことが理解される。ベアリング16は、リム56から間隔を置いて配置されると共にライナー14の固定タブ42を受容する寸法の円周状の溝58をさらに含む。ベアリング16は好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のような高分子材料から作られる。もちろん、ベアリング16は金属材料またはセラミック材料のようなその他のタイプの移植可能なベアリング材料で作られてもよい。
【0028】
例えば図2に示されているように、ベアリング16は本発明のキットに基づいてサブアセンブリ60を形成するためにライナー14に選択的に結合されてよい。利用者は、シェル12と、例えば図2、図5、および図6に各々示されているような少なくとも2つのベアリング・ライナーのサブアセンブリ60、サブアセンブリ160、およびサブアセンブリ260とを含むキットを入手する。利用者が適切に準備された寛骨臼にシェル12を取り付けた後に、環境に応じて使用に適切な適切なサブアセンブリ(サブアセンブリ60、サブアセンブリ160、およびサブアセンブリ260)が選択される。
【0029】
図2を参照すると、本発明のキットのサブアセンブリ60を形成するために、ベアリング16がライナー14のチャンバ36内にプレスばめ(press-fit)される。ライナー14の内側面34はベアリング16の外側面52の予め決められた半径の公称値64(図1)より小さい内径66を有する。したがって、組立てる前に、ベアリング16は、外側面52が収縮して短縮された第2の半径になる温度まで冷却される。短縮される量は、ベアリング16を構成する材料およびベアリング16が冷却される温度に応じて変化することが理解される。典型的には、ベアリング16は液体窒素内で冷却されるが、その他の一般的な冷却方法が用いられてもよい。したがって、外側面52が予め決められた半径の公称値64から短縮された第2半径に収縮すると、ベアリング16はライナー14のチャンバ36内にプレスばめされる。円周状の溝58はライナー14の固定タブ42に実質的に整合する。円周状の溝58および固定タブ42が整合した後に、ベアリング16が外側面52の半径が予め決められた半径の公称値64に戻るのに十分な温度まで暖められる。したがって、ベアリング16およびライナー14は固定された位置で互いに取り付けられて、ベアリング・ライナーのサブアセンブリ60が形成される。
【0030】
次に、このサブアセンブリ60がシェル12のキャビティ24内に挿入されて、組立てられた寛骨臼のカップアセンブリ40が形成される。図3を参照されたい。ライナー14がキャビティ24内に圧入されると、凹状テーパ部30および凸状テーパ部44が共同して(お互いに作用しあって動作して)サブアセンブリ60を所定の位置に保持する。ライナー14の凸状テーパ部44はシェル12の凹状テーパ部30に係合して、テーパ部44とテーパ部30との間に金属同士の固定する機械的な接続が形成される。テーパ部30およびテーパ部44は図2から図7に示すような直線状のテーパ部でよく、または円、楕円、放物線、双曲線、またはそれらに類似の形状のような円錐の一部の曲線でもよい。ライナー14の外側面32のテーパ部44が直線状の場合、シェル12の側壁26のテーパ部30もまた直線状である。
【0031】
図4を参照すると、テーパ部30およびテーパ部44は、シェル12とライナー14の間で正確な整合を確立して保持しかつシェル12およびライナー14を修理のためまたは他の部品との交換のために分離できるようにする接続を提供するマシンテーパでよい。テーパ部30およびテーパ部44は自己保持テーパ(すなわち自己固定テーパ)または自己解放テーパでよい。本明細書および特許請求の範囲の記載では、「自己保持」および「自己固定」という用語は、他の保持するための手段を必要とせずに、互いに係合したときにテーパ角に起因して所定の位置に留まる凸状テーパ部および凹状テーパ部として定義される。すなわち、直線状の対称的なテーパ部の場合には、凸状のテーパ部44の直径上の向かい合う点の間の開先角度(included angle)は零度より大きくなり、実質的に17度と等しいか17度よりも小さくなる。対称的なテーパ部30およびテーパ部44を例示した図4に示されているように、凸状テーパ部44の直径上の向かい合う点の間の角度48は零度より大きく、実質的に7度と等しいか7度よりも小さい。湾曲した固定テーパは、湾曲した部分の大部分に亘る接線とリム40に対する垂線との間の鋭角が零度より大きく実質的に7度を超過しないときに達成される。凸状テーパ部は、ドリフトキーまたはその他のホジティブな機構(positive mechanism)を用いた除去を開始することにより、凹状のテーパ部から取り外される。
【0032】
本明細書および特許請求の範囲の記載では、「自己解放」という用語は、ベアリングコンポーネント16に対する対応する大腿骨の(人工器官の)ヘッドからの正の圧力のようなホジティブな固定装置に応じて凸状テーパ部を凹状テーパ部に保持するようにテーパ角が十分に大きいことによって、「自己保持」または「自己固定」という用語と区別される。直線状の対称的なテーパ部の場合には、凸状テーパ部44の直径上で向かい合う点の間の開先角度は実質的に17度になる。凸状テーパ部44および凹状テーパ部30の間のテーパによる嵌め合わせは、整合を保持するようにだけ働く。自己解放テーパはテーパ部が開放するように働く。
【0033】
寛骨臼カップアセンブリ110の他の実施の形態が図5に示されている。寛骨臼アセンブリ110は、シェル12と、シェル12に結合されるライナー114と、ライナー114に結合されてライナー・ベアリングのサブアセンブリ160を形成するベアリング16とを含む。ライナー114は、シェル12の内側面20と係合するように形成された外側面132と、内側チャンバ134と、ライナー114の周縁部に沿って延在する外側リム140とを含む。さらに、固定タブ142がベアリング16と係合するように内側チャンバ134内に向けて延在している。図5に示されているように、外側面132はその周縁部に対して角度をなしてライナー114の相対する側面133および側面135でのテーパ部の長さを異なるようにしている凸状テーパ部144を含む。この角度をなしたテーパ部144は、ライナー・ベアリングのサブアセンブリ160がシェル12内でリップ部をなす姿勢になるようにしている。角度は変更でき、サブアセンブリ160のシェル12内での複数の姿勢を形成するためのさまざまなテーパ部の長さが形成されることが理解される。そのようなリップ部をなす姿勢は、大腿骨の(人工器官の)ボールが脱臼するのを防止するのを助けるためにある種の環境では有益である。
【0034】
寛骨臼カップアセンブリ210のさらに他の実施の形態が図6に示されている。寛骨臼カップアセンブリ210は、シェル12と、シェル12に結合されるライナー214と、ライナー214に結合されてライナー・ベアリングのサブアセンブリ260を形成するベアリング16とを含む。ライナー214はリング形であり、シェル12の凸状テーパ部30と係合するように形成された外側面232と、反対側の内側面234とを含む。さらに、ライナー214は、内側リム238と、外側リム240と、内側リム238および外側リム240の間に延在する内側チャンバ235を含む。さらに、固定タブ242がベアリング16の外側面52と係合するように内側チャンバ235内に延在している。図6に示されているように、外側面232は円周状に延在する凸状テーパ部244として形成されている。したがって、ライナー・ベアリングのサブアセンブリ260は、シェル12と結合されたとき、ベアリング16をシェル12内で位置決めする。
【0035】
本発明のテーパ部の特徴は、2つまたは3つの部品構成に対する機械的な固定の完全さを提供する。この他の設計(実施の形態)は、金属製の固定リングの必要をなくし、ライナーの強固な係合を提供して、金属製のライナーと金属製のシェルとの間の相対的な動きの可能性を本質的に除去する。この相対的な動きがなければ、ベアリングの外側面での研磨による摩滅の可能性が実質的に除去される。さらに、テーパ部を含むライナーによってベアリングが予め決められた位置に付勢されるのが援助され、摩滅による破片がライナーから患者の体内に逸脱することが防止される。
【0036】
さらに、本発明のテーパ部の特徴は、多様な金属製のライナーとプラスチック製のベアリングのサブアセンブリに用いられて、金属製のシェル内でのベアリングの構成を無限に選択できるようにする。この特徴は、手術手技の間に大腿骨の(人工器官の)ヘッドに対して適切な構成のベアリングコンポーネントを選択しなければならない外科医に極めて有益である。好ましくは、各サブアセンブリは対応する大腿骨の(人工器官の)ヘッドが脱臼するのを防止するために適したさまざまな姿勢を生み出すようにシェル内で無限に調節可能である。すなわち、外科医は大腿骨の(人工器官の)ヘッドに対する適切なベアリングの姿勢のみを選択して、対応するテーパ部にサブアセンブリを係合させるようにサブアセンブリを所定の位置に押し込む。テーパ部が係合された後は、寛骨臼カップアセンブリは自動的かつ容易に所定の位置に保持される。
【0037】
さらに、図7乃至図15は本発明のさらに他の実施の形態を示している図である。より詳しく述べると、図7乃至図9はシェル300を示し、図10乃至図15はベアリング302を示していて、シェル300とベアリング302は組立てられたとき、本発明の特徴を組み込んだ他の寛骨臼カップアセンブリを全体として形成する。その寛骨臼カップアセンブリは、図7乃至図15に示された構成要素から作られ、図1乃至図6に示された実施の形態に関する上述されたライナーとベアリングのサブアセンブリをシェルのキャビティに挿入する方法と同じようにシェル300によって画定されたキャビティ304内にベアリング302(図10から図15)を挿入することによって組立てられる。しかし、図7乃至図15に関して記載された実施の形態が2つの部品からなるカップアセンブリであるのに対して、図1乃至図6に関して記載された各実施の形態は3つの部品からなるカップアセンブリであることが注意されなければならない。
【0038】
シェル300は実質的に半球状の形状を有し、好ましくはチタン合金のような金属材料から作られている。代わりに、シェル300はコバルト・クロムのような金属材料から作られてもよい。シェル300は図7に示されているようにシェル300の外側面に配置された多孔性の被膜306を有する。多孔性の被膜306は患者の骨のシェルの外側面での生物学的な内殖(biological ingrowth)を容易にしてシェル300が患者の骨に長期間に亘って固定されるようにするためのものである。複数のスパイク(図示せず)がシェルの外側面に取り付けられて、当業者に知られているように患者の骨にシェル300を固定することがさらに容易にされてもよい。頂点開口308がシェル300に画定されている。頂点開口308には挿入器具(図示せず)と結合できるようにするための複数のねじ山が設けられている。挿入器具は患者の体に寛骨臼カップアセンブリを挿入する間にシェル300に結合されてよい。
【0039】
シェル300はシェル300の上側リム312に配置された複数の突起部310を有する。複数の突起部310の各々は図8に示すようにシェル300の中心に向けて内向きに延出している。複数の突起部310は図8に示すようにシェル300の上側リム312の周りに均等に間隔を置いて配置された複数の回転止め凹部313を画定している。シェル300は複数の突起部310の直下に配置された環状の凹部314をも含んでいる(図8および図9を参照されたい)。
【0040】
シェル300は図9に示されているようにシェル300の内側面に画定された凹状テーパ部315をも含む。凹状テーパ部315はシェル300のキャビティ304の周縁部全体に沿って延在している。さらに、凹状テーパ部315は図9に示されているように上側リム312の近くから軸方向に距離D1に亘って延在している。
【0041】
図10乃至図15を参照すると、ベアリング302は実質的に半球状の形状を有し、好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のような高分子材料から作られている。もちろん、ベアリング302はヒトの体に移植するのに適したその他のタイプの材料で作られていてもよい。
【0042】
ベアリング302は人工器官の大腿骨のボール(図示せず)を受容するように構成されたキャビティ316を画定する。ベアリング302は図11に示されているようにベアリング302の上側リム320の周りに等しい間隔を置いて配置された複数の回転止め突出部318を含む。複数の突出部318の各々は図11に示すようにベアリング302の中心から離れるように外向きに延出している。
【0043】
ベアリング302は図10および図12乃至図15に示されているようにベリング302の外側面に画定された凸状テーパ部323をも含む。凸状テーパ部323はベアリング302の周縁部全体に沿って延在している。さらに、凸状テーパ部323は図14に示されているように上側リム320の近くから軸方向に距離D2に亘って延在している。ベアリング302は複数の突出部318の直下に配置された環状の固定部材324をも含む(図8および図9を参照されたい)。環状の固定部材324はベアリング302の周縁部全体に沿って延在している。環状の固定部材324は凸状テーパ部323から外向きに延出している。
【0044】
図7乃至図15に示されたコンポーネントから作られた寛骨臼カップアセンブリが組立てられてベアリング302がシェル300のキャビティ304内に配置されると、シェル300の凹状テーパ部315はベアリング302の凸状テーパ部323と係合して凸状テーパ部323に固定されてシェル300がベアリング302に固定される。さらに、寛骨臼カップアセンブリが組立てられてベアリング302がシェル300のキャビティ304内に配置されると、ベアリング302の環状の固定部材324がシェル300に画定された環状の凹部314内に配置されてシェル300にベアリング302がさらに固定される。
【0045】
凹状テーパ部315および凸状テーパ部323の長さは凹状テーパ部315および凸状テーパ部323が互いに緊密に係合するのに十分な大きさである限り変更できることが適切に理解されなければならない。さらに、シェル300の凹状テーパ部315およびベアリング302の凸状テーパ部323を適切に係合させて固定するために、凹状テーパ部315および凸状テーパ部323の間のテーパ角は自己固定テーパが形成される範囲の値に選択される。例えば、凹状テーパ部315および凸状テーパ部323の各々が2度から8度までの範囲の値のテーパ角(全体のテーパ角が4度乃至17度の値)ならば、2つのコンポーネント(シェルおよびベアリング)の間には適切な係合および固定が達成される。
【0046】
さらに、ベアリング302が上述したようにシェル300のキャビティ304内に配置されたとき、複数の突出部318は各々複数の凹部313内に配置される。凹部313内に配置された突出部318によってベアリング302のシェル300に対する回転運動が禁止される。
【0047】
図16乃至図19は本発明の特徴を組み込んださらに他の寛骨臼カップアセンブリを形成するためにベアリング302に代わって用いられる他のベアリング400を示している図である。そのような寛骨臼カップアセンブリはベアリング400のキャビティ402がシェル300に対して傾くようにし、それはある環境では(人工器官の)大腿骨のボールが脱臼するのを防止するのに有益である。
【0048】
ベアリング400は図16および図18に最もよく示されているように半球状に近い形状を有する。ベアリング400は好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のような高分子材料から作られる。代わりに、ベアリング400は金属材料またはセラミック材料のようなヒトの体への移植に適したその他のタイプの材料で作られてもよい。
【0049】
ベアリング400は人工器官の大腿骨ボール(図示せず)を受容するように構成されたキャビティ402を画定する。ベアリング400は図17に示すようにベアリング400の周りに等しい間隔で配置された複数の回転止め突出部404を含む。複数の回転止め突出部404の各々は図17に示すようにベアリング400の中心から離れて外向きに延出している。
【0050】
ベアリング400は図16および図18、図19に示されているようにベアリング400の外側面に画定された凸状テーパ部406をも含む。凸状テーパ部406はベアリング400の周縁部全体に沿って延在している。さらに、凸状テーパ部406は図16に示すように軸方向に距離D3に亘って延在している。ベアリング400は複数の突出部404の直下に配置された環状の固定部材410をも含む(図19を参照されたい)。環状の固定部材410はベアリング400の周縁部全体に沿って延在している。環状の固定部材410は凸状テーパ部406から外向きに延出している。
【0051】
図7乃至図9および図16乃至図19に示されたコンポーネントで作られた寛骨臼カップアセンブリが組立てられてベアリング400がシェル300のキャビティ304内に配置されたとき、シェル300の凹状テーパ部315はベアリング400の凸状テーパ部406と係合して凸状テーパ部406に固定されて、ベアリング400をシェル300に固定する。さらに、寛骨臼アセンブリが組立てられてベアリング400がシェル300のキャビティ304内に配置されたとき、ベアリング400の環状の固定部材410はシェル300に画定された環状の凹部314内に配置されて、ベアリング400をシェル300にさらに固定する。
【0052】
凹状テーパ部315および凸状テーパ部406の長さは凹状テーパ部315および凸状テーパ部406が互いに緊密に係合するのに十分な大きさである限り変更できることが適切に理解されなければならない。さらに、シェル300の凹状テーパ部315およびベアリング400の凸状テーパ部406を適切に係合させて固定するために、凹状テーパ部315および凸状テーパ部406の間のテーパ角は上述されたように自己固定テーパが形成される範囲の値に選択される。
【0053】
さらに、ベアリング400が上述したようにシェル300のキャビティ304内に配置されたとき、複数の突出部404は各々複数の凹部313内に配置される。凹部313内に配置された突出部404によってベアリング400のシェル300に対する回転運動が禁止される。
【0054】
図24を参照すると、符号600が付された本発明の原理に基づいたベアリングインサートまたはライナー(以下「ライナー」という)の他の例示的な実施の形態が前組立状態(すなわち、人工器官のアセンブリを形成するためのその他のコンポーネントがない状態)で示されている。ライナー600は好ましくはプラスチックのような高分子材料から作られる。特に、ライナー600は可塑性ポリエチレンから作られるのが好ましい。さらに、ライナー600は好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から作られるのがより好ましい。しかし、金属材料、セラミック材料、またはポリエチレン以外のプラスチックのようなその他の適切な移植可能な材料がライナー600を作るのに用いられてもよいことが適切に理解されなければならない。ライナー600がひとつの部品として形成されることも好ましい。
【0055】
ライナー600は、内部(または、チャンバ、キャビティ)604を画定する本体602と内部604の開口を取り囲むリム606とによって形成されている。内部604は、好ましくは、しかし必ずというわけではなく、準半球状から半球状の形状を有する。キャビティ(内部)604は全ての形状において人工器官のヘッド(図示せず)または骨の骨頭(図示せず)を受容するように構成されている。内部604はリム606から内部604内に延在する角度をなしたまたは傾斜した部分608を有する。内部604は、内部604の上部でまたは内部604の開口で環状に延在していることが好ましい。内部604は傾斜した部分608の端部から始まるドーム形のもしくは実質的に半球状の形状の表面609をも有する。
【0056】
リム606はリム606に沿って環状に間隔を置いて配置された複数の突出部610を含んでよい。突出部610はリム606から実質的に半径方向に延出していて、ライナー600が本明細書に記載されているように組立てられたときにライナー600の回転を防止する(ライナー600を安定化する)のを助ける。ライナー600は6個の突出部610を有するように例示されているが、突出部610の個数は本質的には任意の数であるが、回転を防止する(安定化する)のに十分な数である。
【0057】
本体602は、先細りのもしくは角度をなした外側面の部分(または外側テーパ部)614を備えた側壁(または壁)618と、外側テーパ部614から延在するドーム形のもしくは実質的に半球状の部分(外側面)616とを有する。外側テーパ部614は、外側のテーパ部もしくは凸状テーパ部とも呼ばれ、好ましくは、しかし必ずということではなく、壁618の周縁部全体に沿って環状に延在している。ある実施の形態では、テーパ部614は実質的に半球状の部分616とリム602との間の環状の帯を形成する。リム602とテーパ部614の間には帯状の間隔がさらにあってもよい。
【0058】
ライナー600は患者のさまざまな解剖学的構造を収容するように異なる寸法で製造されてよい。ある実施の形態では、ライナー600のキャビティ604は対応する人工器官のさまざまなボールもしくはヘッドを収容するような寸法を有する。他の実施の形態では、本体602は本明細書に記載されているさまざまな寸法のシェル内に収容されるような寸法を有する。
【0059】
図25には、符号620が付された本発明の原理に基づいたシェルの他の例示的な実施の形態が前組立状態(すなわち、人工器官のアセンブリを形成するためのその他のコンポーネントがない状態)で示されている。シェル620は自然の股関節の臼蓋窩の代わりに患者(図示せず)の寛骨臼に取り付けるように適合さている。シェル620は実質的に準半球状から半球状の形状を有する外側面636を含む。外側面636は適切に準備された寛骨臼(図示せず)内の所定の位置に保持するのを容易にするために表面模様を有するように加工されて(textured)よい。シェル620は、好ましくはチタンのような金属から作られるが、コバルト・クロム材料、その他の金属材料、または他の適切な材料から作られてもよい。シェル620は複数のぺグ(または支柱もしくはそれらの類似物)638をも含んでいてよく、ぺグ638は適切に準備された寛骨臼に配置されたシェル620を保持するのを助けるように適合されている。ぺグ638は所望に応じて設けられるもので、したがって設けられていても設けられなくてもよい。
【0060】
シェル620は、先細りのもしくは角度をなした内側面(または内側テーパ部)632を備えた内部(または、チャンバ、キャビティ)630を有し、内側テーパ部632は内側テーパ部632の終端点から延在する実質的に半球状の形状を有する内側面634に接続されている。内側テーパ部632は、凹状のテーパ部、内側のテーパ部、または内側テーパ部と呼ばれ、好ましくは、しかし必ずということではなく、キャビティ630の周縁部全体に沿って環状に延在する。シェル620はリム626をも有する。リム626は、人工器官のコンポーネント(この場合、シェル620およびライナー600からなる)が組立てられたときにライナー620がキャビティ630内に入るときに通過する平面を画定する。リム626はリム626に沿って環状に間隔をおいて配置された複数のノッチ(または切り欠き)628を有する。ノッチ628はライナー600の突出部610に対応する形状を有し、突出部610よりもわずかに大きい寸法(幅および長さ)を有する。したがって、突出部610は、このようにして、組立てられたときにノッチ628に受容されるように適合されている。
【0061】
例えば図26に示されているように、ライナー600はシェル620内に受容されて人工器官のコンポーネントアセンブリ(人工器官アセンブリ)650が形成される。人工器官アセンブリ650はキットとして供給されてよい。使用者(典型的には医者)は、シェル620およびライナー600を含むキットを入手する。しかし、シェルおよびライナーのアセンブリはヒトの解剖学的構造のさまざまな相違に適応する(さまざまな相違を収容する)ためにさまざまな寸法のものが供給されている。ライナー600は組立プロセスのある段階でシェル620に挿入される。
【0062】
より詳しく述べると、図26はライナー600がシェル620に嵌め合わされるもしくは受容される(組立てられる)様子を示した分解斜視図である。図26の分解斜視図はシェル620およびライナー600に関するものであり、したがってシェル620が患者の骨に取り付けられていることは省略されていることが適切に理解されなければならない。
【0063】
より詳しく述べると、ライナー600はシェル620のキャビティ630内に受容される。ライナー600の外側テーパ部614がシェル620の内側テーパ部632と共同して(お互いに作用しあって動作して)ライナー600がシェル620に対して軸線方向に沿ってさらに動くのが妨げられるまで、ライナー600は軸線方向に沿ってキャビティ630内に向けて受容される。ライナー600の外側テーパ部614がシェル620の内側テーパ部632と共同することにより、ライナー600のシェル620に対する回転運動(微視的な動き)も妨げられる。ノッチ628および突出部610もライナー600のシェル620に対する回転運動(巨視的な動き)を妨げる。そのような外側テーパ部614および内側テーパ部632の共同は、ライナー600をシェル620に(好ましくは解除可能に)固定する。この段階で、ライナー600の外側面616はシェル620の内側面634と実質的に合致する。さらに、ライナー600およびシェル620に突出部610およびノッチ628が設けられている場合には、突出部610がノッチ628に受容される。
【0064】
図27を参照すると、ライナー600の外側テーパ部614がライナー(またはベアリングインサート)600の側壁(または壁)618の一部に関する断面図で示されている。外側テーパ部614は開始点666と終了点676との間で画定されている。開始点666および終了点676は任意の指定であり、点676を開始点と指定し点666を終了点と指定してもよいことが適切に理解されなければならない。開始点666は表面616の開始点をも画定している。
【0065】
壁618の厚みは、壁618の全長に沿ったその他の部分と同様に外側テーパ部614(壁618の一部)の全長に沿って実質的に一定でよい。代わりに、壁618の厚みは外側テーパ部614の全長に沿って変化してもよい。壁618のその他の部分の厚みも変化してもよい。さらに、ライナー600の壁618は厚みの変化可能な部分と厚みの一定の部分とから形成されてもよい。変化可能な厚みの壁618の例示的な実施の形態では、外側テーパ部614は開始点666に比べて終了点676の厚みが大きくてよい。このような厚みはある点から他の点までの漸進的なものであってよく、したがって壁618の厚みの勾配を画定する。
【0066】
本発明のある実施の形態に基づけば、外側テーパ部614は第1の(または下側)部分660(第1の外側テーパ部分660)および第2の(または上側)部分670(第2の外側テーパ部分670)を有する。再び、第1および第2の指定は任意的なものであり、第1の部分および第2の部分は指定されたものと逆であってもよいことが適切に理解されなければならない。移行点668が第1の部分660および第2の部分670を画定する。より詳しく述べると、第1の部分660は開始点666と移行点668の間で画定され、第2の部分670は移行点668と終了点676との間で画定される。第1の部分660および第2の部分670の長さは本明細書に記載されている任意の制約の範囲内で変更可能である。しかし、本発明のある実施の形態に基づけば、第1の部分660および第2の部分670の長さ(外側テーパ部614内の移行点(またはゲージ点)668によって画定される)は、好ましくは、外側テーパ部614の全体の長さに対する予め決められた比率を満たす。さらに、厚みに関しては、第1の部分660および第2の部分670はそれぞれ独自に一定の厚みまたは変化可能な厚みを有してよく、変化可能な厚みには厚みの勾配を画定するものが含まれる。
【0067】
人工器官アセンブリ650の最小材料条件(LMC)および人工器官の最大材料条件(MMC)(以下により詳しく記載される)から、好ましいベンチマーク(基準)または基準の移行点は終了点676から外側テーパ部614の全長の実質的に2/3の長さであることが見出された。この実施の形態に基づけば、第1の部分660の長さは好ましくは外側テーパ部614の全長の実質的に1/3の長さであり、第2の部分670の長さは好ましくは外側テーパ部614の全長の実質的に2/3の長さである。これは、その他の長さの第1の部分660および第2の部分670と外側テーパ部614の全長とが考慮されるときの基準または基準の位置とみなされてもよい。
【0068】
外側テーパ部614の全長、および第1の部分660および第2の部分670の長さに関係なく、第1の部分660の第1の外側面662は垂線664に対して角度φL をなし、第2の部分670の第2の外側面672は垂線674に対して角度θL をなす。垂線664および垂線674は平行で、角度φL および角度θL が共通の(移動可能な)垂線から定義されるようにしている。角度φL および角度θL は零ではなく(非零であり)、ここで零の角度とは垂線664および垂線674と平行なまたは合致した角度として定義される。
【0069】
開始点666と移行点668の間の第1の外側面662は垂線664からの角度φL を画定する。角度φL は内部604から半径方向外向きに向かっている。角度φL は好ましくは0度以上22.5度以下(0°≦φL ≦22.5°)である。移行点668と終了点676の間の第2の外側面672は垂線674からの角度θL を画定する。角度θL は内部604から半径方向外向きに向かっている。角度θL は好ましくは0度以上22.5度以下(0°≦θL ≦22.5°)である。角度φL および角度θL は、好ましくは、角度θL が角度φL と等しいか角度φL より大きいという関係(φL ≦θL )を有する。第2の外側面672(外側テーパ部614の第2の部分670の外側面)は好ましくは第1の外側面662(外側テーパ部614の第1の部分660の外側面)の角度φL よりも大きい角度θL をなす。
【0070】
図28に示されているように、第1の部分660の第1の外側面662が第1の部分660の第1の外側面662のさまざまな点の外径に関しても記載される。第1の外側面662は、ライナー600の片側の開始点666およびライナー600の反対側(片側の開始点666から180°の角度)の開始点666から画定される外径ODL1と、ライナー600の片側の移行点668およびライナー600の反対側(片側の移行点668から180°の角度)の移行点668から画定される外径ODL2とを有する。外径ODL1および外径ODL2は、ODL1<ODL2という関係を有する。外径の正のスロープもしくは勾配700が外径ODL1と外径ODL2の間で画定される。
【0071】
第1の部分660は、円錐に交わり円錐の底面に平行な2つの互いに平行な平面(一方の平面は開始点666を通るように画定され、もう一方の平面は移行点668を通るように画定されている)によって画定される第1の円錐の一部(円錐台)としても考えることができる。円錐は第1の外側面662の角度φL に対応する角度をなした側面を有する。
【0072】
第2の部分670の第2の外側面672は、第2の部分670の第2の外側面672のさまざまな点の外径に関しても記載される。第2の外側面672は、ライナー600の片側の移行点668およびライナー600の反対側(片側の移行点668から180°の角度)の移行点668から画定される外径ODL2と、ライナー600の片側の終了点676およびライナー600の反対側(片側の終了点676から180°の角度)の終了点676から画定される外径ODL3とを有する。外径ODL2および外径ODL3は、ODL2<ODL3という関係を有する。外径の正のスロープもしくは勾配702が外径ODL2と外径ODL3の間で画定される。
【0073】
第2の部分670は、円錐に交わり円錐の底面に平行な2つの互いに平行な平面(一方の平面は移行点668を通るように画定され、もう一方の平面は終了点676を通るように画定されている)によって画定される第2の円錐の一部(円錐台)としても考えることができる。円錐は第2の外側面672の角度θL に対応する角度をなした側面を有する。
【0074】
全体的に見れば、外側テーパ部614は外側テーパ部614のさまざまな点の外径に関して記載される。より詳しく述べると、外側テーパ部614は外径ODL1と外径ODL3の間の外側面662の点からのさまざまな外径として画定される。外径ODL1から外径ODL3は、ODL1<ODL3の関係を有し、外径の間の正のスロープまたは勾配704を画定する。外径のスロープは、角度θL が角度φL よりも大きい(θL >φL )場合には、移行点668で変化してもよい(より大きくなってもよい)。
【0075】
図29を参照すると、シェル620の内側テーパ部632がシェル620の側壁(または壁)642の一部に関して断面で示されている。内側テーパ部632は開始点686と終了点696の間で画定されている。開始点686および終了点696は任意に指定されていて、点696を開始点として指定し点686を終了点として指定するというように逆に指定してもよいことが適切に理解されなければならない。開始点686は外側面636および内側面634の開始点をも画定している。
【0076】
壁642の厚みは、壁642の全長に沿ったその他の部分と同様に内側テーパ部632(壁642の一部)の全長に亘って実質的に一定でよい。代わりに、内側テーパ部632の全長に沿った壁642の厚みが変化してもよい。壁642のその他の部分の厚みも同様に変化してよい。さらに、シェル620の壁642は変化可能な壁の厚みの部分と一定の壁の厚みの部分とで形成されてもよい。変化可能な厚みの壁642の例示的な実施の形態では、内側テーパ部632は開始点686に比べて終了点696での厚みが大きくてよい。これは、ある点から他の点へ漸進的でよく、したがって壁の厚みの勾配を画定する。
【0077】
本発明のある実施の形態に基づけば、内側テーパ部632は第1の部分(または下側部分)680(第1の内側テーパ部分680)と第2の部分(または上側部分)690(第2の内側テーパ部分690)とを有する。再び、第1および第2の指定は任意的なものであり、第1の部分および第2の部分は指定されたものと逆であってもよいことが適切に理解されなければならない。移行点688は第1の部分680および第2の部分690を画定する。より詳しく述べると、第1の部分680は開始点686および移行点688の間で画定され、第2の部分690は移行点688および終了点696の間で画定される。第1の部分680および第2の部分690の長さは、本明細書に記載された任意の制約の範囲内で変更可能である。しかし、本発明のある実施の形態に基づけば、第1の部分680および第2の部分690の各々の長さ(内側テーパ部632での移行点(またはゲージ点)688の位置によって画定される)は、好ましくは、内側テーパ部632の全長に対する予め決められた比率の範囲内である。さらに、厚みに関しては、第1の部分680および第2の部分690はそれぞれ独自に一定の厚みまたは変化可能な厚みを有してよく、変化可能な厚みには厚みの勾配を画定するものが含まれる。
【0078】
人工器官アセンブリ650の最小材料条件(LMC)および人工器官の最大材料条件(MMC)(以下により詳しく記載される)から、好ましいベンチマーク(基準)または基準の移行点は終了点696から内側テーパ部632の全長の実質的に2/3の長さであることが見出された。この実施の形態に基づけば、第1の部分680の長さは好ましくは内側テーパ部632の全長の実質的に1/3の長さであり、第2の部分690の長さは好ましくは内側テーパ部632の全長の実質的に2/3の長さである。これは、その他の長さの第1の部分680および第2の部分690と内側テーパ部632の全長とが考慮されるときの基準または基準の位置とみなされてもよい。これは、ライナー600の外側テーパ部614の寸法にも当てはまる。
【0079】
内側テーパ部632の全長、および第1の部分680および第2の部分690の長さに関係なく、第1の部分680の第1の内側面682は垂線684に対して角度φS をなし、第2の部分690の第2の内側面692は垂線694に対して角度θS をなす。垂線684および垂線694は平行で、角度φS および角度θS が共通の(移動可能な)垂線から定義されるようにしている。角度φS および角度θS は零ではなく(非零であり)、ここで零の角度とは垂線684および垂線694と平行なまたは合致した角度として定義される。
【0080】
開始点686と移行点688の間の第1の内側面682は垂線684からの角度φS を画定する。角度φS はキャビティ630から半径方向内向きに向かっている。角度φS は好ましくは0度以上22.5度以下(0°≦φS ≦22.5°)である。移行点688と終了点696の間の第2の内側面692は垂線694からの角度θS を画定する。角度θS はキャビティ630から半径方向内向きに向かっている。角度θS は好ましくは0度以上22.5度以下(0°≦θS ≦22.5°)である。角度φS および角度θS は、好ましくは、角度θS が角度φS と等しいか角度φS より大きいという関係(θS ≧φS )を有するが、角度θS が角度φS より小さくてもよい。第2の内側面692(内側テーパ部632の第2の部分690の内側面)は好ましくは第1の内側面682(内側テーパ部632の第1の部分680の外側面)の角度φS と等しい角度θS をなす。
【0081】
図30に示されているように、第1の部分680の第1の内側面682が第1の部分680の第1の内側面682のさまざまな点の内径に関しても記載される。第1の内側面682は、シェル620の片側の開始点686およびシェル620の反対側(片側の開始点686から180°の角度)の開始点686から画定される内径IDS1と、シェル620の片側の移行点688およびシェル620の反対側(片側の移行点688から180°の角度)の移行点688から画定される内径IDS2とを有する。内径IDS1および内径IDS2は、IDS1<IDS2という関係を有する。内径の正のスロープもしくは勾配710が内径IDS1と内径IDS2の間で画定される。
【0082】
第1の部分680は、円錐に交わり円錐の底面に平行な2つの互いに平行な平面(一方の平面は開始点686を通るように画定され、もう一方の平面は移行点688を通るように画定されている)によって画定される第1の円錐の一部(円錐台)としても考えることができる。円錐は第1の内側面682の角度φS に対応する角度をなした側面を有する。
【0083】
第2の部分690の第2の内側面692は、第2の部分690の第2の内側面692のさまざまな点の内径に関しても記載される。第2の内側面692は、シェル620の片側の移行点688およびシェル620の反対側(片側の移行点688から180°の角度)の移行点688から画定される内径IDS2と、シェル620の片側の終了点696およびシェル620の反対側(片側の終了点696から180°の角度)の終了点696から画定される内径IDS3とを有する。内径IDS2および内径IDS3は、IDS2<IDS3という関係を有する。内径の正のスロープもしくは勾配712が内径IDS2と内径IDS3の間で画定される。
【0084】
第2の部分690は、円錐に交わり円錐の底面に平行な2つの互いに平行な平面(一方の平面は移行点688を通るように画定され、もう一方の平面は終了点696を通るように画定されている)によって画定される第2の円錐の一部(円錐台)としても考えることができる。円錐は第2の内側面692の角度θS に対応する角度をなした側面を有する。
【0085】
全体的に見れば、内側テーパ部632は内側テーパ部632のさまざまな点の内径に関して記載される。より詳しく述べると、内側テーパ部632は内径IDS1と内径IDS3の間の内側面682の点からのさまざまな内径として画定される。内径IDS1から内径IDS3は、IDS1<IDS3の関係を有し、内径の間の正のスロープまたは勾配714を画定する。内径のスロープは、移行点688で変化しても変化しなくてもよい。角度φS および角度θS が等しい場合には、内側テーパ部632は連続しているとみなされ、したがって2つの部分を有しない。
【0086】
ライナー600の移行点(またはゲージ点)668およびシェル620の移行点(またはゲージ点)688は、組立てられたとき、ライナー600の移行点668での外側面およびシェル620の移行点688での内側面の間に実質的に零の締めしろ(interference)または締まりばめ(interference fit)を提供する。ライナー600の第1の外側面662(第1の部分660)は、シェル620内に組立てられたとき、第1の内側面682(第1の部分680)と実質的に合致するか、第1の外側面662と第1の内側面682の間に空隙または公差(負の締めしろ(negative interference))を画定する。第1の外側面662と第1の内側面682の間に空隙または公差は一定であっても増加してもよい。したがって、第1の部分660の角度φL は、第1の部分680の角度φS と等しいか角度φS よりも小さい(即ち、φL ≦φS )。さらに、第1の部分660の外径ODL1および外径ODL2は、各々、第1の部分680の内径IDS1および内径IDS2と実質的に等しいか内径IDS1および内径IDS2よりも小さい。
【0087】
ライナー600の第2の外側面672(第2の部分670)は、シェル620内に組立てられたとき、シェル620の第2の内側面692に対して締まりばめを提供する。締まりばめはライナー600の移行点668およびシェル620の移行点688の各々で始まる。締まりばめは、角度θL および角度θS の角度的な関係にも依存している。締まりばめの量は、第2の外側面672および第2の内側面692の各々の角度(角度θL および角度θS )に依存している。したがって、第2の部分672の角度θL は第2の部分692の角度θS と等しいか角度θS よりも大きい(即ち、θL ≧θS )。さらに、第1の部分660の外径ODL1および外径ODL2は、各々、第1の部分680の内径IDS1および内径IDS2と実質的に等しいか内径IDS1および内径IDS2より小さい。
【0088】
シェルのテーパ部632はその全長に亘って一定の角度を有してもよいことが適切に理解されなければならない。そのような場合、シェルのテーパ部632は2つの部分(第1の部分680および第2の部分690)に分割(もしくは分離)されなくてもよい。しかし、シェルのテーパ部632の移行点(またはゲージ点)688は、締まりばめが変化する点であるライナー600およびシェル620に対する零の締めしろについての締めしろのベンチマークもしくは基準の位置を提供する。したがって、シェル620の移行点688はこのような特定の実施の形態においても組立てられたときにライナー600の移行点(またはゲージ点)668との整合を提供する。
【0089】
図31乃至図36を参照すると、符号650’が付された、組立てられた人工器官のコンポーネントアセンブリの例示的な実施の形態が示されている。本発明の原理に基づく、組立てられた人工器官のコンポーネントを示しているのに加えて、図31乃至図36は最大材料条件(MMC)およびMMCを原因とするライナーおよびシェルのテーパ部の間の付随する締まりばめの関係を示している図である。MMCは、最大量の許容される締まりばめを提供する。MMCはライナー600’の外径に対する最大量の材料をも提供する(即ち、テーパ部が最大で、それによってテーパ部の外径が最大となる)。より詳しく述べると、MMCの人工器官のコンポーネントアセンブリ650’は外径が48mmのシェル620’と、外径が48mmで内径が28mmのライナー(またはベアリングインサート)600’とを含む。
【0090】
図33に最も良く示されているように、MMCの人工器官のコンポーネントアセンブリ650’は、組立てられたときに、シェルのゲージ点での内径IDS2がライナーのゲージ点での外径ODL2よりわずかに小さくなっている。シェル620’の溝の直径720は、ライナー600’の戻り部の直径722より大きい。
【0091】
図34に最も良く示されているように、ライナーの角度θL (この実施の形態では5.35°)はシェルの角度θS (この実施の形態では4.95°)よりも大きい。この角度は、組立てられたときにテーパ部614’およびテーパ部632’の間に締まりばめを提供する。前組立状態のとき、ライナー600’はシェル620’の内径(IDS3)よりも大きい外径(ODL3)を有する。
【0092】
そのような締まりばめが図35に示されている。ライナー面での締まりばめは図示するためにライナー600’の外側に投影して示されている。さらに、図35には、ライナー600’およびシェル620’の球面の半径の合致、同一直線上のゲージ点、ゲージ点でのライナーとシェルの間の締まりばめ、テーパ部のドームの端部での隙間、および、ライナーおよびシェルのゲージ点の位置が示されている。
【0093】
図36には、シェル620’の内側面の溝724が示されている。ライナー600’はライナー600’がシェル620’内に組立てられたときに溝724内に配置される戻り部726を含んでよい。
【0094】
図37乃至図42を参照すると、符号150’’が付された、組立てられた人工器官のコンポーネントアセンブリの例示的な実施の形態が示されている。本発明の原理に基づく、組立てられた人工器官のコンポーネントアセンブリの例示に加えて、図37乃至図42は最小材料条件(LMC)およびLMCに起因するライナーおよびシェルのテーパ部の間の付随する締まりばめの関係を示している図である。LMCは最小の量の許容される締まりばめを提供する。LMCはライナー600’’の外径に対する最小の量の材料をも提供する(即ち、テーパ部は最小であり、これによってテーパ部での最小の外径が生み出される)。より詳しく述べると、LMCの人工器官のコンポーネントアセンブリ650’’は48mmの外径のシェル620’’と、48mmの外径で28mmの内径のライナー(またはベアリングインサート)600’’とを含む。
【0095】
図39に示されているように、LMCの人工器官のコンポーネントアセンブリ650’’は、組立てられたときにシェルのゲージ点で内径IDS2がライナーのゲージ点での外径ODL2よりもわずかに小さい。シェル620’’の溝の直径720’はライナー600’’の戻り部の直径722’よりも大きい。
【0096】
図40に最も良く示されているように、ライナーの角度θL (この実施の形態では5.35°)は、シェルの角度θS (この実施の形態では4.95°)よりも大きい。この角度は、組立てられたときにテーパ部614’’およびテーパ部632’’の間に締まりばめを生み出す。前組み立て状態では、ライナー600’’はシェル620’’の内径(IDS3)よりも大きい外径(ODL3)を有する。
【0097】
そのような締まりばめが図41に示されている。ライナー面での締まりばめは図示するためにライナー600’’の外側に投影して示されている。さらに図42には、ライナー600’’およびシェル620’’の球面の半径の合致、同一直線上のゲージ点、ゲージ点でのライナーとシェルの間の締まりばめ、テーパ部のドームの端部での隙間、ライナーおよびシェルのゲージ点の位置、およびその他の点が示されている。
【0098】
図42には、シェル620’’の内側面の溝724’が示されている。ライナー600’’はライナー600’’がシェル620’’内に組立てられたときに溝724’内に配置される戻り部726’を含んでよい。
【0099】
図22および図23を参照すると、図24乃至図42のコンポーネントによって画定された、符号620が付された人工器官のコンポーネントアセンブリに対する負荷のパターンが示されている。縞模様でハッチングされた人工器官のコンポーネントアセンブリ620の部分は、負荷が中心の開口634から画定される軸に対して20度の角度でライナー600の内側に加えられたときの、ライナー600およびシェル620の合致を表している。したがって、シェル620の縞模様でハッチングされた部分636は負荷のパターンであるとみなされる。したがって、シェル620の縞模様でハッチングされていない(格子模様でハッチングされた)その他の部分622はライナー600とシェル620が合致していないことを示している。
【0100】
本発明がある好ましい実施の形態について説明されたが、変形および変更が特許請求の範囲に記載され定義された本発明の範囲および真髄を逸脱せずに存在する。例えば、人工器官のカップアセンブリが股関節の人工器官について説明されたが、人工器官のカップアセンブリは患者のその他の部位で使用されても良い。さらに、図示されたさまざまな実施の形態のテーパ部は各々が直線状のテーパとして示されたが、それらのテーパ部は、円、楕円、放物線、双曲線、またはそれらに類似の形状のような円錐の一部の曲線のような構成でもよい。しかし、テーパ部が非直線状の構成を有する場合には、そのテーパ部と嵌め合わされるテーパ部は相補的な構成を有しなければならないことが適切に理解されなければならない。
【0101】
この発明の具体的な実施態様および変形例は以下の通りである。
(1)第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分が、外側の移行点によって分離されていて、上記外側の移行点は、ライナーおよびシェルが組立てられたときに、上記外側の移行点と内側テーパ部の間に実質的に零の締まりばめを画定する、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(2)外側の移行点が、外側テーパ部の終了点から上記外側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置されている、実施態様(1)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(3)外側テーパ部の終了点が、第2の外側テーパ部分の終了点に相当する、実施態様(2)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(4)ライナーがポリエチレンから形成され、シェルが金属から形成されている、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(5)金属が、チタンまたはコバルト・クロムからなる、実施態様(4)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【0102】
(6)第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分が、外側の移行点によって分離されていて、上記外側の移行点は、ライナーおよびシェルが組立てられたときに、上記外側の移行点と内側テーパ部の間に実質的に零の締まりばめを画定する、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(7)外側の移行点が、外側テーパ部の終了点から上記外側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置されている、実施態様(6)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(8)外側テーパ部の終了点が、第2の外側テーパ部分の終了点に相当する、実施態様(7)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(9)ライナーがポリエチレンから形成され、シェルが金属から形成されている、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(10)金属が、チタンまたはコバルト・クロムからなる、実施態様(9)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【0103】
(11)ライナーが、外側テーパ部の終了点から開始される半球状の形状の外側面を備えるように形成され、シェルが、内側テーパ部の終了点から開始されると共に上記ライナーを受容するための寸法を有する半球状の形状のキャビティを備えるように形成されている、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(12)ライナーの半球状の形状の外側面が、上記ライナーがシェルに組立てられたときに、半球状の形状のキャビティと実質的に合致する、実施態様(11)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(13)第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分が、外側の移行点によって分離され、第1の内側テーパ部分および第2の内側テーパ部分が、内側の移行点によって分離され、上記外側の移行点が、ライナーおよびシェルが組立てられたときに、上記外側の移行点と上記内側の移行点との間に実質的に零の締まりばめを画定する、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(14)外側の移行点が、外側テーパ部の終了点から上記外側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置され、内側の移行点が、内側テーパ部の終了点から上記内側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置された、実施態様(13)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(15)外側テーパ部の終了点が、第2の外側テーパ部分の終了点に相当し、内側テーパ部の終了点が、第2の内側テーパ部分の終了点に相当する、実施態様(14)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【0104】
(16)ライナーがポリエチレンから形成され、シェルが金属から形成されている、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(17)金属が、チタンまたはコバルト・クロムからなる、実施態様(16)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(18)ライナーを挿入する過程が、キャビティにライナーを軸方向に沿って挿入しながら第2の外側テーパ部分を内側テーパ部に対して半径方向内向きに圧縮する過程を含む、人工器官のコンポーネントアセンブリを組立てる方法。
(19)内側テーパ部が内側テーパ角を備え、第1の内側テーパ部分が上記内側テーパ角と実質的に等しい第1の内側テーパ角を備え、第2の内側テーパ部分が上記内側テーパ角よりも大きい第2の内側テーパ角を備える、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(20)内側テーパ部が内側テーパ角を備え、第1の内側テーパ部分が上記内側テーパ角と実質的に等しい第1の内側テーパ角を備え、第2の内側テーパ部分が上記内側テーパ角よりも大きいまたは上記内側テーパ角と等しい第2の内側テーパ角を備える、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【0105】
(21)内側テーパ部が、第1の内側テーパ部分および第2の内側テーパ部分を有し、第1の外側テーパ部分が、ベアリングインサートがシェルに組立てられたときに、上記第1の内側テーパ部分と実質的に合致するように構成されていて、第2の外側テーパ部分が、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに、上記第2の内側テーパ部分との締まりばめを提供するように構成されている、人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(22)内側テーパ部が、第1の内側テーパ部分および第2の内側テーパ部分を分離する内側の移行点を有し、外側テーパ部が、第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分を分離する外側の移行点を有し、上記外側の移行点が、ライナーおよびシェルが組立てられた状態で、上記外側の移行点および上記内側の移行点の間に実質的に零の締まりばめを提供する、実施態様(21)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(23)外側の移行点が、外側テーパ部の終了点から上記外側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置され、内側の移行点が、内側テーパ部の終了点から上記内側テーパ部の全長の実質的に2/3の位置に配置された、実施態様(22)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
(24)外側テーパ部の終了点が、第2の外側テーパ部分の終了点に相当し、内側テーパ部の終了点が、第2の内側テーパ部分の終了点に相当する、実施態様(23)記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【0106】
内側面および上記内側面に配置された内側テーパ部、及び、外側面および該外側面から延びる複数の支柱を備えるシェルと、
外側面、および上記外側面に配置されると共に第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分を有する外側テーパ部を備えたベアリングインサートであって、上記第1の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部の一部分と実質的に合致するように構成され、上記第2の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部のその他の部分との締まりばめを提供するように構成された、上記ベアリングインサートと
を有する、骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリ。
前記シェルの内側面には、間隔を置いて配置された複数の回転止め凹部が形成されており、前記ベアリングインサートの外側面には、前記シェルの複数の回転止め凹部内に配置される複数の回転止め突出部が形成されている、骨に固定するために用いられる、上記人工器官のコンポーネントアセンブリ。
前記シェルの内側面には、前記シェルの中心に向けて内向きに延出し、間隔を置いて配置された複数の突起部が形成されており、前記複数の突起部が、前記複数の回転止め凹部を画定しており、前記ベアリングインサートの複数の回転止め突出部は、前記ベアリングインサートの中心から離れるように外向きに延出している、上記人工器官のコンポーネントアセンブリ。
前記シェルの複数の回転止め凹部は、均等な間隔を置いて配置されており、前記ベアリングインサートの複数の回転止め突出部は、均等な間隔を置いて配置されている、上記人工器官のコンポーネントアセンブリ。
前記シェルの内側面には、環状の凹部が形成されており、前記ベアリングインサートの外側面には、環状の固定部材が形成されており、前記シェルの環状の凹部内に、前記ベアリングインサートの環状の固定部材が配置されることにより、前記シェルに対する前記ベアリングインサートの固定が確実に達成される、上記人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施の形態に基づく寛骨臼カップアセンブリの分解斜視図である。
【図2】ベアリングコンポーネントがライナー内に取り付けられた状態を示す図1の寛骨臼カップアセンブリのライナーおよびベアリングコンポーネントの断面図である。
【図3】図1の組立てられた寛骨臼カップアセンブリの断面図である。
【図4】図2の寛骨臼カップアセンブリの一部の拡大断面図である。
【図5】本発明に基づく寛骨臼カップアセンブリの他の実施の形態の断面図である。
【図6】本発明に基づく寛骨臼カップアセンブリの他の実施の形態の断面図である。
【図7】図10乃至図15または図16乃至図19のベアリングコンポーネントと共に組立てられて、本発明の特徴を組み込んだ他の寛骨臼カップアセンブリを形成するシェルの正面図である。
【図8】図7の矢印8−8の向きから見た図7のシェルの正面図である。
【図9】図8の矢印9−9の向きから見た図8のシェルの断面図である。
【図10】図7乃至図9のシェルと共に組立てられて、本発明の特徴を組み込んだ寛骨臼カップアセンブリを形成するベアリングコンポーネントの正面図である。
【図11】図10の矢印11−11の向きから見た図10のベアリングコンポーネントの正面図である。
【図12】図11の矢印12−12の向きから見た図11のベアリングコンポーネントの断面図である。
【図13】図10の図13として示された円で囲まれたベアリングコンポーネントの部分の拡大図である。
【図14】図11の矢印14−14の向きから見たベアリングコンポーネントの断面図である。
【図15】図14の図15として示された円で囲まれたベアリングコンポーネントの部分の拡大図である。
【図16】図7乃至図9のシェルと共に組立てられて、本発明の特徴を組み込んだ寛骨臼カップアセンブリを形成する他のベアリングコンポーネントの正面図である。
【図17】図16の矢印17−17の向きから見たベアリングコンポーネントの正面図である。
【図18】図17の矢印18−18の向きから見たベアリングコンポーネントの断面図である。
【図19】図16の図19として示された円で囲まれたベアリングコンポーネントの部分の拡大図である。
【図20】負荷のパターンを示す従来の寛骨臼カップアセンブリの上面図である。
【図21】負荷のパターンを示す図20の従来の寛骨臼カップアセンブリの斜視図である。
【図22】負荷のパターンを示す本発明の原理に基づく寛骨臼カップアセンブリの実施の形態の上面図である。
【図23】負荷のパターンを示す図22の寛骨臼カップアセンブリの斜視図である。
【図24】図22および図23に示された負荷のパターンを提供する寛骨臼カップアセンブリのベアリングインサート(またはライナー)の実施の形態の斜視図である。
【図25】図24のベアリングインサート(またはライナー)と共に用いられて図22および図23の負荷のパターンを提供する寛骨臼カップアセンブリのシェルの実施の形態の斜視図である。
【図26】図24のベアリングインサート(またはライナー)および図25のシェルを有する寛骨臼カップアセンブリの分解斜視図である。
【図27】図24および図16のライナーの壁の一部分の特にテーパ部を示す拡大一部断面図である。
【図28】ライナーの断面図である。
【図29】図25および図26のシェルの壁の一部分の特にテーパ部を示す拡大一部断面図である。
【図30】シェルの断面図である。
【図31】本発明の原理に基づく人工器官のコンポーネントアセンブリの最大材料条件の実施の形態の拡大正面図である。
【図32】図31の人工器官のコンポーネントアセンブリの底面図である。
【図33】図32の線33A−33Aに沿った人工器官のコンポーネントアセンブリの断面図である。
【図34】図32の線34B−34Bに沿った人工器官のコンポーネントアセンブリの断面図である。
【図35】本発明の原理に基づくベアリングインサートとシェルの最大材料条件の締まりばめを特に示した図33および図34の人工器官のコンポーネントアセンブリの一部分の拡大一部断面図である。
【図36】ベアリングインサートの戻り部のシェルの溝に対する位置決めを特に示した図33および図34の人工器官のコンポーネントアセンブリの一部分の拡大一部断面図である。
【図37】本発明の原理に基づく人工器官のコンポーネントアセンブリの最小材料条件の実施の形態の拡大正面図である。
【図38】図37の人工器官コンポーネントアセンブリの底面図である。
【図39】図38の線39A−39Aに沿った人工器官コンポーネントアセンブリの断面図である。
【図40】図38に線40B−40Bに沿った人工器官コンポーネントアセンブリの断面図である。
【図41】本発明の原理に基づくベアリングインサートとシェルの最小材料条件の締まりばめを特に示した図39および図40の人工器官コンポーネントアセンブリの一部分の拡大一部断面図である。
【図42】ベアリングインサートの戻り部のシェルの溝に対する位置決めを特に示した図39および図40の人工器官コンポーネントアセンブリの一部分の拡大一部断面図である。
【符号の説明】
【0108】
10 カップアセンブリ
12 シェル
14 ライナー
16 ベアリング
18 外側面
20 内側面
22 リム
24 キャビティ
26 側壁
28 外側延長部
30 凹状テーパ部
32 外側面
34 内側面
36 チャンバ
40 外側リム
42 固定タブ
44 凸状テーパ部
48 角度
52 外側面
53 突出部
54 内側ベアリング面
55 開口
56 リム
58 溝
60 サブアセンブリ
64 半径の公称値
66 内径
110 寛骨臼カップアセンブリ
114 ライナー
132 外側面
133 側面
134 内側チャンバ
135 側面
140 外側リム
142 固定タブ
144 テーパ部
160 サブアセンブリ
210 寛骨臼カップアセンブリ
214 ライナー
232 外側面
234 内側面
235 内側チャンバ
238 内側リム
240 外側リム
242 固定タブ
244 テーパ部
260 サブアセンブリ
300 シェル
302 ベアリング
304 キャビティ
306 多孔性の被膜
308 頂点開口
310 突起部
312 上側リム
313 回転止め凹部
314 環状の凹部
315 凹状のテーパ部
316 キャビティ
318 回転止め突出部
320 上側リム
323 凸状のテーパ部
324 環状の固定部材
400 ベアリング
402 キャビティ
404 回転止め突出部
406 凸状のテーパ部
410 固定部材
500 カップアセンブリ
502 シェル
504 開口
506 負荷のパターン
600 ライナー
600’ ライナー
600’’ ライナー
602 本体
604 内部
604’ 内部
604’’ 内部
606 リム
608 傾斜した部分
608’ 傾斜した部分
608’’ 傾斜した部分
609 表面
609’ 表面
609’’ 表面
610 突出部
610’ 突出部
610’’ 突出部
614 外側テーパ部
614’ 外側テーパ部
614’’ 外側テーパ部
616 実質的に半球状の部分
618 壁
620 シェル
620’ シェル
620’’ シェル
622 その他の部分
626 リム
626’ リム
626’’ リム
628 ノッチ
628’ ノッチ
628’’ ノッチ
630 内部
632 内側テーパ部
632’ 内側テーパ部
632’’ 内側テーパ部
634 内側面
636 外側面
636’ 外側面
636’’ 外側面
638 ぺグ
650 人工器官アセンブリ
650’ 人工器官アセンブリ
650’’ 人工器官アセンブリ
660 第1の部分
662 第1の外側面
664 垂線
666 開始点
668 移行点
668’ 移行点
668’’ 移行点
670 第2の部分
672 第2の外側面
674 垂線
676 終了点
680 第1の部分
684 垂線
686 開始点
688 移行点
688’ 移行点
688’’ 移行点
690 第2の部分
694 垂線
696 終了点
702 勾配
704 勾配
710 勾配
712 勾配
720 直径
720’ 直径
722 直径
722’ 直径
724 溝
724’ 溝
726 戻り部
726’ 戻り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面および上記内側面に配置された内側テーパ部、及び、外側面および該外側面から延びる複数の支柱を備えるシェルと、
外側面、および上記外側面に配置されると共に第1の外側テーパ部分および第2の外側テーパ部分を有する外側テーパ部を備えたベアリングインサートであって、上記第1の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部の一部分と実質的に合致するように構成され、上記第2の外側テーパ部分は、上記ベアリングインサートが上記シェルに組立てられたときに上記内側テーパ部のその他の部分との締まりばめを提供するように構成された、上記ベアリングインサートと
を有する、骨に固定するために用いられる人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【請求項2】
前記シェルの内側面には、間隔を置いて配置された複数の回転止め凹部が形成されており、前記ベアリングインサートの外側面には、前記シェルの複数の回転止め凹部内に配置される複数の回転止め突出部が形成されている、骨に固定するために用いられる、請求項1に記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【請求項3】
前記シェルの内側面には、前記シェルの中心に向けて内向きに延出し、間隔を置いて配置された複数の突起部が形成されており、前記複数の突起部が、前記複数の回転止め凹部を画定しており、前記ベアリングインサートの複数の回転止め突出部は、前記ベアリングインサートの中心から離れるように外向きに延出している、請求項2に記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【請求項4】
前記シェルの複数の回転止め凹部は、均等な間隔を置いて配置されており、前記ベアリングインサートの複数の回転止め突出部は、均等な間隔を置いて配置されている、請求項2に記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。
【請求項5】
前記シェルの内側面には、環状の凹部が形成されており、前記ベアリングインサートの外側面には、環状の固定部材が形成されており、前記シェルの環状の凹部内に、前記ベアリングインサートの環状の固定部材が配置されることにより、前記シェルに対する前記ベアリングインサートの固定が確実に達成される、請求項2に記載の人工器官のコンポーネントアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2009−56341(P2009−56341A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321779(P2008−321779)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【分割の表示】特願2002−332574(P2002−332574)の分割
【原出願日】平成14年11月15日(2002.11.15)
【出願人】(599134034)デピュイ・オーソピーディックス・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Orthopaedics, Inc.
【住所又は居所原語表記】700 Orthopaedic Drive, Warsaw, IN 46581, U.S.A.
【Fターム(参考)】