説明

人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法

【課題】従来の人工股関節置換術は、規格品であるインプラントを人体に装着するため、場合によっては患部以外の健康な骨までも削り出すといった侵襲性の高い手術であり、また個々の患者ごとに異なる最適取付け位置の検討や骨研削などの施術に長時間を要するため、医師や患者にとって負担の大きい手術となっている。
【解決手段】CT,MRI,MRAなどによる、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データを得るステップと、この三次元画像データを用いて、寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データを作成するステップと、この寛骨臼テンプレートの形状データを、三次元積層造型機用の造形データに修正するステップと、この造形データに基づいて三次元積層造型機により寛骨臼テンプレートの構造体を成形するステップと、この寛骨臼テンプレートの構造体の隙間に生体内活性材料を注入するステップからなる人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節置換術において寛臼骨の侵襲性を減らし、生体骨への再生が可能なインプラントを患部に挿入する寛臼骨テンプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工股関節置換術は、股関節疾患に対して術後早期より除痛および機能回復の得られる有効な治療方法であり、骨盤臼蓋に対しては臼蓋の骨を半球形に掘消することでソケット型の臼蓋コンポーネントを設置し、大腿骨に対しては、大腿骨の一部である大腿骨頸部を骨切りし、同じく大腿骨の一部である大腿骨頭を摘出後、ボール及びそれにつながる棒状のステムからなる大腿骨コンポーネントを挿入する手術である。
【0003】
1960年代より世界的に広く行われるようになった人工股関節置換術は、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどの疾患による股関節の障害の治療において施術され、世界中で年間およそ50万件実施されている。人工股関節置換術は、大腿骨側と骨盤側の2つに分かれ、可動関節部はコバルト・クロム合金やチタン合金などの金属材料で作られており、骨盤側は、通常、金属製の殻のなかにポリエチレン製のカップが装着された構造になっている。人工関節を骨に固定する方法には、骨セメントを使うセメント固定と、骨セメントを使わないセメントレス固定の二つの方法がある。
【0004】
一方、近年において、MRIやCTスキャンで得られた画像データから、コンピュータ上でCADシステムにより立体モデルを設計し、これをコンピュータ上で一定の間隔でスライスしてその断面のデータを作成し、この断面データに基づき、光硬化性樹脂などの構造材料を積層して三次元立体モデルを形成する三次元積層造形の手法を利用して患者の患部のモデルを作成し、手術の除去部分の検討や手術のシミュレーションを行うことが可能となり、医療分野においても注目されるようになってきている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0005】
また、公開特許公報2008-188400号(特許文献4)には、人工股関節置換の手術部位となる臼蓋ないし大腿骨の三次元形状を利用して、臼蓋ないし大腿骨に一部ないしすべてを嵌合させ得る骨嵌合部と、人工股関節置換の術前計画に基づいて臼蓋コンポーネントおよび大腿骨コンポーネントの適切な位置ないし方向の情報を提供する設置情報表示部で構成される三次元モデルに基づいて光造形などのラピッドプロダクトタイピング技術で造形化した人工股関節置換術支援補助部材を作成し、術野で直接臼蓋コンポーネントないし大腿骨コンポーネントの設置位置や方向を確認して手術を行えるようにしたものが提案されている。
【0006】
さらに、公開特許公報2002-65708号(特許文献5)には、欠損骨を再生又は修復するために損傷部に埋め込まれる骨代替物の構造を最適に設計することを支援するために、解析のための要素モデルを、MRIまたはCTスキャンによる画像データから作成することが示されている。
【0007】
さらに、公開特許公報2007-229048号(特許文献6)には、骨親和性および骨伝導性に優れ、骨形成速度と生体吸収速度とのバランスが良好である骨補填材として、リン酸三カルシウム系骨補填材が紹介されている。
【特許文献1】公開特許公報2006-78604号
【特許文献2】公開特許公報2006-119435号
【特許文献3】公開特許公報2006-314580号
【特許文献4】公開特許公報2008-188400号
【特許文献5】公開特許公報2002-65708号
【特許文献6】公開特許公報2007-229048号
【特許文献7】公開特許公報2004-26648号
【特許文献8】公開特許公報2002-129203号
【特許文献9】公開特許公報2008-86676号
【特許文献10】公開特許公報平8-38589号
【非特許文献1】石井良章、松野丈夫、坂巻豊教:『股関節の外科』、 医学書院社
【非特許文献2】高岡邦夫:新世代の整形外科手術第6『新しい人工関節置換術と再置換術』 MEDICAL VIEW社
【非特許文献3】國本桂史、斎川義則:「医療領域での3次元解釈と光造形法を用いたプロダクトソリューションへのアプローチ」 名古屋市立大学大学院芸術工学部修士学位論文、2007,参照、日本デザイン学会、2008
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の人工股関節置換術の問題点を以下に示す。いずれも、状況によっては再手術を必要とするなど、実用上の大きな課題となっている。
1.経時的に、チタン素材のソケットが骨結合することにより寛臼骨の形状変異が生じる。
2.規格品であるインプラントを人体に装着するため、場合によっては患部以外の健康な骨までも削り出すといった侵襲性の高い手術であり、また、個々の患者ごとに異なる最適取付け位置の検討や骨研削などの施術に長時間を要するため、医師や患者にとって負担の大きい手術となっている。
3.固定方法としてスクリューを用いた場合、位置設計が難しいという難点があり、また、弛みが生じると骨破壊を引き起こす。
4.固定方法として骨セメントを使用した場合、骨セメント原料の一つであるメチルメタアクリレートモノマーが生体内に放出され、血圧降下などをもたらす。
【0009】
なお、特許文献4に記載の技術は、人工股関節の置換術支援の補助部材を提供しようとするもので、従来の人工股関節あるいは人工股関節置換術の課題を解決するものではない。また、特許文献5に記載の技術は、骨代替物の解析用モデルの設計支援に関するものであり、やはり、従来の人工股関節あるいは人工股関節置換術の課題を解決するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記従来の人工股関節置換術の問題点を解決するためになされたものであり、CT,MRI,MRAなどによる、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データを得るステップと、この三次元画像データを用いて、寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データを作成するステップと、この寛骨臼テンプレートの形状データを、三次元積層造型機用の造形データに修正するステップと、この造形データに基づいて三次元積層造型機により寛骨臼テンプレートの構造体を成形するステップと、この寛骨臼テンプレートの構造体の隙間に生体内活性材料を注入するステップからなることを特徴とする人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、CT,MRI,MRAなどによる、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データを得るステップと、この三次元画像データを用いて、寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データを作成するステップと、この寛骨臼テンプレートの形状データを、三次元積層造型機用の造形データに修正するステップと、この造形データに基づいて三次元積層造型機により寛骨臼テンプレートの構造体を成形するステップと、この寛骨臼テンプレートの構造体の隙間に生体内活性材料を注入するステップからなることを特徴とする人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法であるから、テンプレートが生体内活性材料を含んで成形されることから、経時的な寛臼骨の形状変異が生じることがなく、インプラントを人体に装着するために患部以外の健康な骨までも削り出す必要が少く、また、骨セメントやスクリューなどの再手術の危険性がある固定方法をとらずに済む、といった人体侵襲性の低い人工股関節置換術を可能とするとともに、患者個々の患部形状に即して最適な臼蓋位置、即ち人工大腿骨頭の埋め込み位置が決定された人口股関節が手術前に準備できるため、医師や患者にとって負担の大きい人工股関節置換術の手術時間の大幅な短縮が期待できるという効果を奏する。
【0012】
また、上記寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データが、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データと標準モデル股関節データとから、臼蓋位置が患者にとって最適となるようデータ分析して作成されるものであるから、患者個々に最適な臼蓋位置を有する寛骨臼テンプレートを、患者に負担をかけることなく容易に作成することができる。
【0013】
また、上記三次元積層造型機が光造型機であって、上記寛骨臼テンプレートの構造体が光硬化性樹脂で形成されるものであるから、高精度、軽量でかつ十分な強度を有する構造体が成形できる。
【0014】
また、上記寛骨臼テンプレートの構造体が、複数の穴が開いた壁面によって構成されるハネカム構造であるから、三次元積層造型機や構造体材料の種類によらず、軽量でかつ十分な強度を有する構造体が成形できる。
【0015】
また、上記生体内活性材料がリン酸カルシウムまたはリン酸カルシウムを主成分とする充填材料であるから、生体骨との親和性、骨再生性に優れ、十分な強度と速やかな骨再生が期待できる。
【0016】
さらに、上記生体内活性材料が、上記寛骨臼テンプレートの構造体の外周層として敷設されてなるものであるから、人体への有害性がなく、生体活性を有する材料による初期接着を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ステップ1:CT,MRI,MRAなどの画像診断システムを用いた患者の股関節部分の画像データの作成:
CT,MRI,MRAなどの画像診断システムを用いて患者の股関節形状データを作成し、光造型機などの三次元積層造型機を用いて骨モデルを作成する方法としては、たとえば、公開特許公報2006-78604号(特許文献1)、公開特許公報2008-188400号(特許文献2)及び、公開特許公報2006-314580号(特許文献3)、公開特許公報2008-188400号(特許文献4)などに示された方法、手段を用いることができる。
【0018】
ステップ2:3D CAD/CAMを用いたテンプレートデータの製作:
人工股関節置換術では寛骨臼の左右対称を前提として寛臼の位置を決める。標準モデル股関節データとして、たとえば、患部とは反対側の股関節の形状データと、手術によって除去される患部の形状に従って、テンプレートの外形とこれに対する寛臼の最適位置と方向を決定する。許容誤差は10ミリ程度である。誤差は人体の再生性によってもとの場所に回復される。
【0019】
ステップ3:作成されたテンプレート形状データを、三次元積層造形用データに変換するために、3D CAD/CAMデータをSTLデータに書き出す。次いで、そのSTLデータを3次元積層造形機用のソフトで三次元積層造形用データに修正する。この具体的な手法は、(非特許文献3:國本桂史、斎川義則:「医療領域での3次元解釈と光造形法を用いたプロダクトソリューションへのアプローチ」 名古屋市立大学大学院芸術工学部修士学位論文、2007,参照、日本デザイン学会、2008)に示されたものを用いることができる。このとき、寛骨臼テンプレートの構造体は、テンプレートを患部に装着したときに、寛臼の位置が適切となるように、テンプレート形状と患者の股関節データとから設計されるとともに、構造体内にリン酸三Caからなる充填材を注入することのできる隙間を有する構造とする。
【0020】
ステップ4:3次元積層造形法を用いたテンプレートの製作:
この方法や手段は、たとえば上記特許文献1,2,3,8あるいは非特許文献3に示されるように、MRIやCTスキャンで得られた画像データから、コンピュータ上でCADシステムにより立体モデルを設計し、これをコンピュータ上で一定の間隔でスライスしてその断面のデータを作成し、この断面データに基づき、光硬化性樹脂などの構造材料を積層して三次元立体モデルを形成する三次元積層造形の手法を用いることができる。
【0021】
ステップ5:リン酸三Caをボーンチップ(BoneChip)のように細かく(直径2〜5ミリ)チップ化して、三次元積層造形で作成された構造体に手作業で注入し、構造体内に隙間なく充填する。 また、外周にリン酸三Caを敷設し、骨との生体活性による融合を促す。初期状態では、溶解性接着剤など、既存手術で用いられている体に無害な一時的な固定手段を用いる。
【実施例】
【0022】
以下に、ラピットプロダクト手法論と生体内活性材料のリン酸三Caを用いて、人間の体に最適化された人工股関節、プラスチィック構造体とリン酸Caで構成される臼蓋テンプレートの設計、製造の具体例を図面を用いて説明する。
【0023】
1)寛臼骨テンプレート形状データの作成
1.データ取得:MRI,CTなどの画像診断システムを用いて患者のDICOMデータを取得する。
2.修正可能なデータへの変換: DICOMデータ編集ソフト(例えば「OSIRIX」)を用いてCADデータへ変換する。
3.3Dソフト上での寛骨臼テンプレート(1)のデータの製作:デザインモデリングなどで用いられている3次元ソフト(例えば「3DSMAX」,「RHINO」など)を用いて寛骨臼データの製作を行う。それ以外にも3dsファイルの修正が可能である3次元ソフトの使用が可能である。このとき、寛骨臼テンプレート(1)の構造体(6)は、テンプレートを患部に装着したときに、寛臼(2)の位置・方向が適切となるように、テンプレート形状と患者の寛骨臼(5)データとから設計されるとともに、構造体内にリン酸三Caからなる充填材(7)を注入することのできる隙間を有する構造(穴(12)を有する壁面からなるハニカム構造:図3)とする。テンプレートの外形形状設計に当たっては、患者本来の寛骨臼(5)に近い形状を作ることを目指して、病気などにより骨破壊が起こった患部の形を考慮して設計する。
4.作られた寛骨臼データを3次元積層造型機で作るために3次元積層データに変換する。この実施例では、画像データから、コンピュータ上でCADシステムにより立体モデルを設計し、これをコンピュータ上で一定の間隔でスライスしてその断面のデータを作成する。
【0024】
2)寛臼骨テンプレートの製作
1.3Dソフトで作られた寛骨臼テンプレートを、3次元積層造形機である光造形を用いてその構造体を製作する。具体的には、たとえば特許文献1,2,3,8あるいは非特許文献3に示されるように、スライスデータから、光硬化性樹脂などの構造材料を積層して三次元立体モデルを形成する。
2.このとき、寛骨臼テンプレートの構造体(6)は、テンプレートを患部に装着したときに、寛臼の位置が適切となるように、テンプレート外形形状と患者の寛骨臼(5)データとから設計されるとともに、構造体内にリン酸三Caからなる充填材(7)を注入することのできる隙間を有する構造(穴(12)を有する壁面からなるハニカム構造:図3)とする。
3.後処理:光造形で成形された寛骨臼テンプレートはそのままでは使用できない。その後では人体に対して有害性をなくし、また造形品の強度、耐久性を保つために以下に示す4段階の後処理を行う。
第1段階:樹脂液(MTFG:メチルプロピレントリノプリコル)が入っている超音波洗浄機に入れてまだ造形品の外側に付いている光硬化樹脂を除去する。
第2段階:イソプロピルアルコール(IPA)を用いて第1段階作業によって付着した超音波洗浄液を除去する。
第3段階:赤外線硬化機に20分程いれて、柔らかい表面である造形品の耐久性を出す処理を行う。第4段階:研磨材を用いて、表面を滑らかにする研磨加工を施す。
【0025】
3)作られた寛臼骨テンプレートの構造体(6)(ハニカム構造)内へのリン酸三Caの注入。
1.一体的な骨再生を促進するために、穴(12)にもリン酸三Caがいきわたるよう、隙間無く充填する。また、構造体と寛骨臼(5)の接着を強固なものとするために、テンプレートの外周にもリン酸三Caを敷設し、骨との生体活性による融合を促す。初期状態では、溶解性接着剤など、既存手術で用いられている体に無害な一時的な固定手段を用いる。リン酸三カルシウム(TCP)粉末は、例えば、公開特許公報2004−26648号に記載の方法(特許文献7)を用いて製造したものを用いることができる。
2.3次元積層造形機として、公開特許公報2004−66360号(特許文献9)に示されるように、インクジェットを用いて固相の析出を誘起する物質を含む液を噴射し、該固相の析出を誘起する物質を基材上の所望の位置に配置する工程;該固相の析出を誘起する物質を析出流体と接触させて、該基材上で該固相を析出させる工程;を含む、構造体またはパターンの形成方法を用いることにより、構造体自体をリン酸三Caとし、より生体骨に近い再生を促すことができる。
【0026】
4)本発明のテンプレートを応用した大腿骨インプラントの装着。
1.複数の穴(12)が開いた壁面を有するハニカム構造の寛骨臼テンプレート(1)は、穴が開いていることによって、各ハニカム構造の中に充填されているリン酸三Caが連結し、最終的には寛骨臼テンプレート(1)内で連続した骨の固まりになる。穴は構造体の強度を守れる程度の大きさとするが、その数は患者の身体条件によって変更される。施術後の骨再生に関しては、公開特許公報2008−86676号(特許文献9)、公開特許公報平8−38589号(特許文献10)に示されている。
2.寛骨臼テンプレート(1)の装着は、人体に挿入する前にすでにテンプレートの製作は完了させておくことができるので、手術中は、患部の周りに医療用の一時的な固定を目的とした接着剤を塗り、患部に寛臼骨テンプレートを挿入することで済み、手術時間の大幅な短縮が達成できる。
3.大腿骨(3)側には、従来から用いられている人工股関節(4)(人工股関節のソケットパーツ(8)、人工股関節のアセタブラーシェル(9)、人工股関節のヘッド(10)、人工股関節のステム(11)からなる)を装着するが、寛骨臼テンプレート(1)の設計において、人工股関節(4)装着時を想定して寛臼(2)の位置・方向が最適となるように設定されているので、大腿骨(3)側の装着においても原則として手術中における装着位置調整や固定方法の検討などの時間を最小限とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、医療機器、特に人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】寛骨臼に寛骨臼テンプレートを設置したときの状態を示す図
【図2】人工関節の構造を説明するための分解図
【図3】図2に「A」で示す部分の断面拡大図
【符号の説明】
【0029】
1、寛骨臼テンプレート
2、寛臼
3、大腿骨
4、人工股関節
5、寛骨臼
6、寛骨臼テンプレート構造体
7、 寛骨臼テンプレートに注入されたリン酸Ca
8、人工股関節のソケットパーツ
9、人工股関節のアセタブラーシェル
10、人工股関節のヘッド
11、人工股関節のステム
12、ハニカム構造の壁に有する穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CT,MRI,MRAなどによる、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データを得るステップと、この三次元画像データを用いて、寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データを作成するステップと、この寛骨臼テンプレートの形状データを、三次元積層造型機用の造形データに修正するステップと、この造形データに基づいて三次元積層造型機により寛骨臼テンプレートの構造体を成形するステップと、この寛骨臼テンプレートの構造体の隙間に生体内活性材料を注入するステップからなることを特徴とする人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。
【請求項2】
上記寛臼部を含んだ寛骨臼テンプレートの形状データが、患者個々の股関節部分の骨形状の三次元画像データと標準モデル股関節データとから、臼蓋位置が患者にとって最適となるよう分析して作成される請求項1に記載の人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。
【請求項3】
上記三次元積層造型機が光造型機であって、上記寛骨臼テンプレートの構造体が光硬化性樹脂で形成されてなる請求項1または請求項2に記載の人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。
【請求項4】
上記寛骨臼テンプレートの構造体が、複数の穴が開いた壁面によって構成されるハネカム構造である請求項1または請求項2に記載の人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。
【請求項5】
上記生体内活性材料がリン酸カルシウムまたはリン酸カルシウムを主成分とする充填材料である請求項1または請求項4に記載の人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。
【請求項6】
上記生体内活性材料が、上記寛骨臼テンプレートの構造体の外周層として敷設されてなる請求項1、請求項4または請求項5に記載の人工股関節置換術の臼蓋回りの寛骨臼テンプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−110360(P2010−110360A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283020(P2008−283020)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(506218664)公立大学法人名古屋市立大学 (48)
【Fターム(参考)】