説明

仕上げ排煙脱硫装置を供えた排煙脱硫設備及びこれを用いた排ガス処理システム

【課題】仕上げ排煙脱硫装置を供えた排煙脱硫設備及びこれを用いた排ガス処理システムを提供する。
【解決手段】燃焼排ガス(排ガス)11から硫黄酸化物を、カルシウム化合物を含む吸収液スラリ(以下吸収液スラリともいう)12により除去する主脱硫装置13と、該主脱硫装置13で硫黄酸化物を除去した脱硫ガス14中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する仕上げ脱硫装置15と、該仕上げ脱硫装置15に所定濃度のカルシウム化合物を含む吸収液スラリ12を供給する吸収液スラリ供給手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕上げ排煙脱硫装置を供えた排煙脱硫設備及びこれを用いた排ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
排ガス処理システムの一例を図6に示す。図6に示すように、排ガス処理システム1000においては、ボイラ(石炭焚ボイラ)101からの排ガス11は、脱硝装置102で排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去した後、まずエアヒータ103に導かれてボイラに供給される空気を加熱する。その後排ガスGは、乾式の電気集塵機104に導入されて煤塵が除去される。次に、排ガス11は、脱硫装置105に導入されて硫黄酸化物(SOx)が除去される。その後、排ガス11はCO2回収装置106に導入されて、二酸化炭素を除去し、その後煙突111より浄化ガス112が大気に放出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
脱硫と脱炭素を同時に処理する方法として種々の提案がある(特許文献2〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−179147号公報
【特許文献2】特開平06−86911号公報
【特許文献3】特開2003−53134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脱硫装置105で脱硫した後に、CO2回収装置106を設置する場合、当該CO2回収装置106に許容量を超える硫黄酸化物や煤塵が残存すると、CO2吸収液として例えばアミン系吸収液を用いる場合、CO2吸収液(例えばアミン吸収液)中に蓄積され、或いは当該劣化相当分の吸収液をリクレーミングしたり、新液を補充したりする際にランニングコストが多く発生する、という問題がある。
【0006】
よって、予め脱硫装置105で硫黄酸化物が除去された排ガス11に対して、更に排ガス中の対象成分を極低濃度まで浄化できる仕上げ排煙脱硫装置を供えた排煙脱硫設備の出現が切望されており、これを備えた排ガス処理システムが考案されている。
【0007】
一方で仕上げ脱硫装置では入口排ガス中のS分吸収負荷が低くなり、仕上げ脱硫装置の入口排ガス中の水分が飽和状態で蒸発が促進され難い条件下で仕上げ脱硫装置の吸収液スラリ中の固体状の硫酸カルシウム成分、すなわち石膏粒子濃度が低くなる事から、スラリ中で硫酸イオンとカルシウムがイオンが反応する際に吸収塔内で壁面や構造物、配管等の表面上に石膏スケールが析出する事を防止するための種晶石膏粒子のスラリ中の含有濃度が不足し当該スケールが剥離し吸収液噴出ノズルを閉塞させる懸念がある。このため、例えば、前記の石膏スケールの設備部材への析出を防止できるスラリ中石膏濃度として5重量パーセント以上を保持とする事が望ましい。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑み、当該石膏スケールの設備部材への析出を防止することができる仕上げ排煙脱硫装置を供えた排煙脱硫設備及びこれを用いた排ガス処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、燃焼排ガスから硫黄酸化物を、カルシウム化合物を含む吸収液スラリにより除去する主脱硫装置と、該主脱硫装置で硫黄酸化物を除去した脱硫ガス中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する仕上げ脱硫装置と、該仕上げ脱硫装置に所定濃度のカルシウム化合物を含む吸収液スラリをスケーリング防止用の種晶石膏源として供給する吸収液スラリ供給手段とを具備することを特徴とする排煙脱硫設備にある。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記吸収液スラリ供給手段が、前記主脱硫装置を循環する吸収液スラリ循環ラインと、該吸収液スラリ循環ラインから分岐され、循環する吸収液スラリの一部をスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置に供給する吸収液スラリ供給ラインとを具備することを特徴とする排煙脱硫設備にある。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記吸収液スラリ供給手段が、前記主脱硫装置を循環する吸収液スラリ循環ラインと、該吸収液スラリ循環ラインから分岐され、循環する吸収液スラリの一部をスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置に供給する吸収液スラリ供給ラインと、前記仕上げ脱硫装置内の吸収液スラリ濃度をスケーリング防止用の種晶石膏源として機能する所定設定値に調整する吸収液濃度調整手段と、を具備することを特徴とする排煙脱硫設備にある。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、前記吸収液スラリ供給手段が、前記主脱硫装置から抜き出した吸収液スラリから固液分離した石膏をスラリ化するスラリホッパと、該石膏スラリをスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置に供給する石膏スラリ供給ラインとを具備することを特徴とする排煙脱硫設備にある。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記仕上げ脱硫装置内に強アルカリを供給する強アルカリ供給手段を具備することを特徴とする排煙脱硫設備にある。
【0014】
第6の発明は、ボイラ等からの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、窒素酸化物除去後のガス中の煤塵を除去する集塵機と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、この脱硫後の排ガス中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する第1乃至5のいずれか一つの排煙脱硫設備と、浄化ガス中の二酸化炭素を回収するCO2回収装置とを具備することを特徴とする排ガス処理システムにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仕上げ脱硫装置の吸収液スラリを所定硫酸カルシウム濃度とし種晶石膏として機能させることで、仕上げ脱硫装置内での石膏スケーリングの発生を防ぎ、安定した継続的な操業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1に係る排煙脱硫設備の概略図である。
【図2−1】図2−1は、実施例2に係る排煙脱硫設備の概略図である。
【図2−2】図2−2は、実施例2に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
【図3−1】図3−1は、実施例3に係る排煙脱硫設備の概略図である。
【図3−2】図3−2は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
【図3−3】図3−3は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
【図3−4】図3−4は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
【図4】図4は、実施例4に係る排煙脱硫設備の概略図である。
【図5】図5は、実施例5に係る排ガス処理システムの概略図である。
【図6】図6は、排ガス処理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0018】
本発明による実施例に係る排煙脱硫設備について、図面を参照して説明する。図1は、実施例1に係る排煙脱硫設備の概略図である。
図1に示すように、排煙脱硫設備10Aは、燃焼排ガス(以下「排ガス」という)11から硫黄酸化物を、カルシウム化合物を含む吸収液スラリ(以下吸収液スラリともいう)12により除去する主脱硫装置13と、該主脱硫装置13で硫黄酸化物を除去した脱硫ガス14中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する仕上げ脱硫装置15と、該仕上げ脱硫装置15に所定濃度のカルシウム化合物を含む吸収液スラリ12をスケーリング防止用の種晶石膏源として供給する吸収液スラリ供給手段とを具備するものである。なお、図1中、符号19は主脱硫装置13からの脱硫ガス14を仕上げ脱硫装置15側に供給する煙道を図示する。
【0019】
本実施例では、吸収液スラリ供給手段は、主脱硫装置13を循環して噴霧ノズル17より噴出流(液柱)18を噴出させ、吸収液スラリ12を循環させる吸収液スラリ循環ラインL1と、該吸収液スラリ循環ラインL1から分岐され、循環する吸収液スラリ12の一部を仕上げ脱硫装置15に供給する吸収液スラリ供給ラインL2とから構成されている。
なお、吸収液スラリ循環ラインL1には、吸収液スラリ12の循環をする循環ポンプP1が介装されており、吸収液スラリ12の循環量を制御装置22により制御している。
【0020】
仕上げ脱硫装置15に供給された吸収液スラリ12は、仕上げ脱硫装置15内に設けられた噴霧ノズル17より噴出流(液柱)18を噴出させ、脱硫ガス14と接触させることで脱硫ガス14中に残存する硫黄酸化物をさらに除去し浄化ガス14Aとして、高深度脱硫を行っている。
なお、落下液はその底部側の貯留部15aに貯留される。
貯留された吸収液スラリ12は、仕上げ脱硫装置15に介装された抜き出しポンプP2及び、吸収液スラリ返送ラインL3により主脱硫装置13に返送している。
なお、仕上げ脱硫装置15の底部側の貯留部15aには液面を監視するレベル計21が設けられ、その液面の水位を制御装置22により制御している。
【0021】
すなわち、仕上げ脱硫装置15に設けたレベル計21で計測を行い、制御装置22において、所定のレベル値に達していると判定したら、吸収液スラリ供給ラインL2に介装したバルブV1又は吸収液スラリ返送ラインL3に介装した抜き出しポンプP2を制御して、所定の水位を維持するようにしている。
【0022】
なお、主脱硫装置13では、主脱硫装置13の底部側の貯留部13aに貯留された吸収液スラリ12は、吸収液スラリ抜き出しラインL4により、石膏脱水機31に供給され、ここで固液分離されて石膏32と脱水濾液33とに分離される。
分離された脱水濾液33は、別途排水34として排水処理されている。なお、脱水濾液33の一部は、主脱硫装置13側へ脱水濾液返送ラインL5により、返送されて、主脱硫装置13内での石膏濃度を所定濃度(例えば30wt%程度)に制御している。
【0023】
本実施例によれば、仕上げ脱硫装置15において、主脱硫装置13から所定石膏濃度の吸収液スラリ12を供給することで、主脱硫装置13と仕上げ脱硫装置15とにおいて、吸収液スラリ濃度が同じものが循環されるので、仕上げ脱硫装置15内に供給する脱硫ガス14の水分が飽和であっても、仕上げ脱硫装置15の内部に供給される水(例えば入口ダクトやミストエリミネータの洗浄水等)により吸収液スラリ濃度が薄まることがなくなる。
【0024】
この結果、仕上げ脱硫装置15内での種晶石膏濃度が極端に薄いような設計条件とする場合に較べて、石膏付着核の場(表面積)が大きくなり、石膏過飽和度が小さくなり、仕上げ脱硫装置15の壁面や構造物、配管等の表面上における石膏の成長が防止される。
【0025】
これに対し、仕上げ脱硫装置15内での種晶石膏濃度が極端に薄い設計条件とする場合には、石膏付着核の場(表面積)が極めて小さくなる事で、石膏過飽和度が大きくなる可能性がある。この石膏過飽和度が大きくなると、仕上げ脱硫装置15内の壁面や構造物、配管等の表面上に石膏が成長し、これが振動や発停時のヒートショック等で剥離し、このスケール片が循環液に混入し、吸収塔スプレーパイプ内部やノズルを閉塞させる結果、脱硫・除塵性能低下に至るおそれがある。
【0026】
本発明では、主脱硫装置13側と仕上げ脱硫装置15側とを同一の濃度(例えば20〜30wt%)の吸収液スラリ12を用いて共有することで、仕上げ脱硫装置15におけるスケール発生を防止することができ、安定した継続的な脱硫操業が可能となる。
【実施例2】
【0027】
本発明による実施例に係る排煙脱硫設備について、図面を参照して説明する。図2−1及び図2−2は、実施例2に係る排煙脱硫設備の概略図である。なお、実施例1の構成部材と同一の部材については、同一の符号を付してその説明は省略する。
図2−1に示すように、実施例2に係る排煙脱硫設備10Bは、主脱硫装置13を循環する吸収液スラリの一部をスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置15に供給する吸収液スラリ供給ラインL2と、前記仕上げ脱硫装置15内の吸収液スラリ濃度をスケーリング防止用の種晶石膏源として機能する所定設定値に調整する吸収液濃度調整手段と、を具備するものである。
【0028】
本実施例では、主脱硫装置13から濃い吸収液スラリ(例えば所定石膏濃度20〜30wt%)のものを仕上げ脱硫装置15に送液しつつ、仕上げ脱硫装置15で測定する密度計23の値を主脱硫装置13からの供給バルブV1と連動させ、仕上げ脱硫装置15における吸収液スラリの石膏濃度を、主脱硫装置13の吸収液スラリ濃度の半分程度の所定濃度(例えば石膏濃度10〜20wt%)に調整している。
なお、仕上げ脱硫装置15での循環した吸収液12Aは、仕上げ脱硫性能に寄与して落下し、底部側の貯留部15aに貯留される。
【0029】
ここで、仕上げ脱硫装置15内を循環する吸収液スラリ12Aの密度計23の密度(ρ)としては、石膏濃度が10〜20wt%程度の1.06〜1.15の範囲とするのが好ましい。
【0030】
なお、貯留された吸収液スラリ12A(所定石膏濃度10〜20wt%)は、吸収液スラリ返送ラインL3により主脱硫装置13に返送している。
その際、仕上げ脱硫装置15のレベル計21と返送バルブV3とも連動させて仕上げ脱硫装置15の液位を一定に保つようにしている。
なお、吸収液スラリ12Aは、吸収液スラリ循環ラインL10を介して仕上げ脱硫装置15内を循環させている。
【0031】
また、仕上げ脱硫装置15に供給する貯留部15aの内部には、整流格子24を設けている。これにより、仕上げ脱硫装置15内に吹き出され、投入箇所でのスラリ密度の変動による不均一化を防止している。
【0032】
また、仕上げ脱硫装置15内部には、攪拌機25を設置して、仕上げ脱硫装置15内部全体に攪拌力を行渡らせるようにしている。
【0033】
ここで、排煙脱硫設備10Bの設置初期乃至定期修繕後の再起動当初における吸収液スラリ12は、主脱硫装置13側において、所定最低濃度(例えば石膏濃度5wt%)の薄い濃度の吸収液スラリとした後、その薄い濃度の吸収液スラリ12を仕上げ脱硫装置15側に吸収液スラリ供給ラインL2を介して供給する。そして、排煙脱硫装置の運転を開始して、主脱硫装置13では、石膏濃度を所定の例えば30wt%とする。一方、仕上げ脱硫装置15側では、目標の10〜20wt%に達した後には、その後、密度計23によりその目標濃度を監視し、必要に応じて、バルブV1を操作して、仕上げ脱硫装置15側へ濃い濃度の吸収液スラリ12を供給するようにすればよい。
【0034】
また、本実施例では、図2−2に示す他の排煙脱硫設備10Bのように、仕上げ脱硫装置15内を循環する循環吸収液スラリ12Aの一部(※1)を、吸収液スラリ供給ラインL2に導入して、吸収液スラリの濃度を所定濃度とした後に、仕上げ脱硫装置15内に供給するようにしてもよい。これにより例えば30wt%という主脱硫装置13からの濃い石膏濃度の吸収液スラリ12の投入が防止され、投入箇所でのスラリ密度の変動による不均一化を抑制するようにしている。
【0035】
この際、薄め液として、濃度の調整を循環する吸収液スラリ12Aを用いても良く、これにより系内の水バランスが崩れることがないものとなる。
【実施例3】
【0036】
本発明による実施例に係る排煙脱硫設備について、図面を参照して説明する。図3−1乃至図3−4は、実施例3に係る排煙脱硫設備の概略図である。
図3−1に示すように、実施例3に係る排煙脱硫設備10C−1は、主脱硫装置13から抜き出した吸収液スラリ12から固液分離した石膏32(※2)を石膏スラリ41にスラリ化するスラリホッパ42と、得られた石膏スラリ41を仕上げ脱硫装置15内に供給する石膏スラリ供給ラインL11とを具備するものである。
【0037】
この際、仕上げ脱硫装置15の液密度を常時密度計23で測定し、この値で投入する量を制御して、吸収液スラリ濃度を調節するようにしている。
【0038】
本実施例では、石膏脱水機31から分離された石膏32を仕上げ脱硫装置に供給し、所定の石膏濃度とすることで、スケールの防止を図るようにしている。
【0039】
図3−2は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
図3−2に示す排煙脱硫設備10C−2においては、石膏32以外に石灰石44をスラリホッパ42に投入し、これらの混合物である石膏・石灰石スラリ45を仕上げ脱硫装置15内にスラリ供給ラインL11により供給するようにしている。
【0040】
図3−3は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
図3−3に示す排煙脱硫設備10C−3においては、石膏脱水機31で分離した石膏32をベルトコンベヤにより投入ホッパ46に直接粉体のまま供給し、粉体の石膏32を直接仕上げ脱硫装置15内に供給するようにしている。
【0041】
この際、仕上げ脱硫装置15内を循環させる吸収液スラリ循環ラインL10をから一部分岐した分岐ラインL11より、吸収液スラリ41を抜き出して投入ホッパ46に供給してスラリー化させ、重力により仕上げ脱硫装置15の底部に吸収液スラリ41を供給している。この際、供給する石膏32の量は、密度計23と連動して吸収液スラリ41の調整を図るようにしている。
【0042】
図3−4は、実施例3に係る他の排煙脱硫設備の概略図である。
図3−4に示す排煙脱硫設備10C−4においては、排煙脱硫設備10C−3において、投入ホッパ46に、さらに粉体の石灰石44を投入し、粉体の混合物(石膏32、石灰石44)47を直接仕上げ脱硫装置15内に直接供給するようにしている。
なお、石膏32のみを投入ホッパ46に投入して、石灰石44を直接仕上げ脱硫装置15内に直接供給するようにしてもよい。
【実施例4】
【0043】
本発明による実施例に係る排煙脱硫設備について、図面を参照して説明する。図4は、実施例3に係る排煙脱硫設備の概略図である。
図4に示すように、実施例4に係る排煙脱硫設備10Dは、実施例1の排煙脱硫設備10Aにおいて、さらに仕上げ脱硫装置15内に強アルカリ52を、強アルカリ槽51かアルカリ供給ラインL7を介して供給する強アルカリ供給手段を備えている。
【0044】
本実施例では、実施例1乃至3の仕上げ脱硫装置15の内部の運転状態を正常に保つことを目的として、仕上げ脱硫装置15で使用する吸収液スラリ12のカルシウム化合物以外の吸収液の種類を適宜入れ替えたり、混合したりしている。
【0045】
この切り替えは、オンラインもしくはオフラインで行うことが可能であり、その切替タイミングは、計器信号(基準条件での脱硫性能、石灰石の活性、基準ガス量における仕上げ脱硫装置ガス圧損等)を解析することで切替タイミングを決定するようにしている。
【0046】
吸収液スラリ12としてカルシウム化合物の吸収液から、強アルカリ吸収液に切替える制御を制御手段22で行い、バルブV4を開放した後、強アルカリ槽51から強アルカリ52をポンプP7により送給している。
この強アルカリ吸収液の使用によって、ガス境膜抵抗の低減を図り、脱硫性能を向上するようにしている。
【0047】
ここで、強アルカリ吸収液としては、NaOH、Na2CO3、NaHCO3、Mg(OH)2等を用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
このような強アルカリ52に切り替えることで、不具合発生時においても迅速に対応できることとなる。
【実施例5】
【0049】
本発明による実施例5に係る排ガス処理システムの概略構成図を図5に示す。
図5に示すように、実施例4に係る排ガス処理システム100は、例えばボイラ101からの排ガス11中の窒素酸化物を除去する脱硝装置102と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収するエアヒータ103と、熱回収後のガス中の煤塵を除去する電気集塵機104と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する主脱硫装置13と仕上げ脱硫装置15とを具備する排煙脱硫装置と、浄化ガス14A中の二酸化炭素を回収するCO2回収装置106と、CO2回収後の浄化ガス112を外部に排出する煙突111とを具備するものである。
【0050】
よって、仕上げ排煙脱硫装置15の後段側に設置されるCO2回収装置106に供給される浄化ガス112は、硫黄酸化物の濃度が極めて少なくなるので、CO2回収装置106で循環して利用されるCO2吸収液(例えばアミン吸収液)中における硫黄酸化物や煤塵の蓄積が少なくなり、劣化を抑制することができる。
この結果、CO2吸収液が劣化に起因するCO2吸収性能の低下が少なくなり、安定してCO2の回収を行うことができる。
【0051】
また、CO2吸収性能の低下を補うために、CO2吸収性能の追加供給の回数と供給量が少なくなると共に、CO2吸収性能の回復のためのリクレーミング頻度の増大がなくなり、排ガス処理システムにおけるランニングコストの削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
10A〜10D 排煙脱硫設備
11 排ガス
12 カルシウム化合物を含む吸収液スラリ(吸収液スラリ)
13 主脱硫装置
14 脱硫ガス
15 仕上げ脱硫装置
100 排ガス処理システム
101 ボイラ
102 脱硝装置
103 エアヒータ
104 電気集塵機
105 脱硫装置
106 CO2回収装置
111 煙突

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスから硫黄酸化物を、カルシウム化合物を含む吸収液スラリにより除去する主脱硫装置と、
該主脱硫装置で硫黄酸化物を除去した脱硫ガス中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する仕上げ脱硫装置と、
該仕上げ脱硫装置に所定濃度のカルシウム化合物を含む吸収液スラリをスケーリング防止用の種晶石膏源として供給する吸収液スラリ供給手段とを具備することを特徴とする排煙脱硫設備。
【請求項2】
請求項1において、
前記吸収液スラリ供給手段が、
前記主脱硫装置を循環する吸収液スラリ循環ラインと、
該吸収液スラリ循環ラインから分岐され、循環する吸収液スラリの一部をスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置に供給する吸収液スラリ供給ラインとを具備することを特徴とする排煙脱硫設備。
【請求項3】
請求項1において、
前記吸収液スラリ供給手段が、
前記主脱硫装置を循環する吸収液スラリ循環ラインと、
該吸収液スラリ循環ラインから分岐され、循環する吸収液スラリの一部をスケーリング防止用の種晶石膏源として仕上げ脱硫装置に供給する吸収液スラリ供給ラインと、
前記仕上げ脱硫装置内の吸収液スラリ濃度をスケーリング防止用の種晶石膏源として機能する所定設定値に調整する吸収液濃度調整手段と、を具備することを特徴とする排煙脱硫設備。
【請求項4】
請求項1において、
前記吸収液スラリ供給手段が、
前記主脱硫装置から抜き出した吸収液スラリから固液分離した石膏をスラリ化するスラリホッパと、
該石膏スラリを仕上げ脱硫装置にスケーリング防止用の種晶石膏源として供給する石膏スラリ供給ラインとを具備することを特徴とする排煙脱硫設備。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記仕上げ脱硫装置内に強アルカリを供給する強アルカリ供給手段を具備することを特徴とする排煙脱硫設備。
【請求項6】
ボイラ等からの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、窒素酸化物除去後のガス中の煤塵を除去する集塵機と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、この脱硫後の排ガス中に残存する硫黄酸化物を極低濃度までさらに除去する請求項1乃至5のいずれか一つの排煙脱硫設備と、浄化ガス中の二酸化炭素を回収するCO2回収装置とを具備することを特徴とする排ガス処理システム。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240034(P2012−240034A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116094(P2011−116094)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】