説明

代理中継サーバ、帯域管理サーバ、ルータ装置、ファイル転送システム、方法およびプログラム

【課題】地域ネットワークでパケットの輻輳を抑制する代理中継サーバ、帯域管理サーバ、ルータ装置、ファイル転送システム、方法およびプログラムを得る。
【解決手段】代理中継サーバ10は一時格納手段11と地域回線状況受信手段12とパケット送出制御手段13とを備える。一時格納手段11は、バックボーンネットワークと特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する。地域回線状況受信手段12は、特定の地域ネットワークの回線の状況を受信し、パケット送出制御手段13は、この回線の状況に合わせて一時格納手段11に格納されたパケット信号を輻輳の生じにくい通信形態で特定の地域ネットワークに送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代理中継サーバ、帯域管理サーバ、ルータ装置、ファイル転送システム、ファイル転送方法およびファイル転送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールや動画の転送といった各種のデータ転送にインターネットに代表される通信ネットワークが広く利用されている。通信端末を使用するユーザは、それぞれの地域に存在する通信ネットワーク(以下、地域ネットワークと呼ぶ。)の通信事業者と通信のための契約を結ぶ。それぞれの地域ネットワークは、大容量の基幹通信回線としてのバックボーンネットワークを介して相互に接続されている。これにより、ある地域のユーザがインターネット上の特定のファイルサーバのファイルを閲覧したり、他の地域のユーザに画像ファイルを送信するといった通信形態を採ることが可能になる。
【0003】
このように多くのユーザが日々利用する通信ネットワークは、バックボーンネットワークと、これに接続された複数の地域ネットワークからなり、このため複数の事業者が構築したネットワークから構成されている。このような通信環境で、1つの地域ネットワーク内にとどまらない範囲でファイルの転送を行う場合を考える。地域ネットワーク上のルータ装置は、その地域ネットワークを伝送されるどのパケット信号(以下、適宜、パケットと略称する。)とどのパケットが同じファイルの情報であるかを判断するのは困難であり、特定のデータを保護することが難しい。また、データを送信するサーバやユーザも、個々の地域ネットワークにおける通信の混み具合を検出することができない。
【0004】
通信ネットワークではTCP(Transmission Control Protocol)と呼ばれる伝送制御プロトコルを使用した通信のように再送手順を備えた通信技術が多く使用されている。このような通信技術では、通信ネットワーク上で徐々に送信量を増加させながら通信を行い、パケットロスが発生したことを検出すると、送信量を減らして再送する方法を採っている。このため、パケットの再送によって実際のデータ量以上に帯域を消費している。
【0005】
このような問題を解消するために、エンド−エンドで帯域制御を行うことができる環境はまだ少ない。仮に、特定の地域ネットワーク内だけで帯域制御が行われるとして、バックボーンネットワークからの転送中にパケットの廃棄が発生したとする。このような場合には、廃棄されたパケットの転送も含めて確保した帯域が使われない時間が発生してしまい、効率が悪くなってしまう。
【0006】
そこで、ラベルスイッチングパスに指定された時間帯だけ帯域を確保する技術が、本発明の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この関連技術によれば、ネットワーク上に予めデータ転送経路となるラベルスイッチングパスを設定する。通信データは、このラベルスイッチングパス上に配置された各ラベルスイッチングルータを、ラベルを付け替えながら順に転送される。ラベルスイッチングパス上に配置された各ラベルスイッチングルータは、経路情報や所定の時間帯における確保すべき帯域値を設定することが可能であり、スケジュール管理サーバで制御される。これにより、データ転送の遅延やデータ廃棄を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−347829号公報(第0042段落、第0043段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今後、映像コンテンツのような巨大容量のデータの送受信が一般化していくと考えられている。ラベルスイッチングルータを用いた前記した関連技術では、通信ネットワークを短時間使用するユーザが他の同様のユーザと調整して特定の時間帯を指定して、通信ネットワークを使用することを想定している。現在の多くのネットワークは、再送制御も含めて、短時間の利用者が利用時間を調整できることを前提としており、複数のユーザが同時に長時間帯域を占有する状況に対応し難いネットワーク設計になっている。大容量ファイルは回線の占有時間が長い。したがって、多くのユーザが大容量ファイルの転送を同じ時間帯に行うと、輻輳状態が長く続き、再送パケットによって帯域がより圧迫される。この結果として更に多くの再送が発生して、輻輳状態を長引かせるという非効率な状態が発生し、最悪の場合には、帯域を浪費するだけで通信が途中で失敗してしまう懸念もある。
【0009】
しかも、各ユーザを直接収容する地域ネットワークはバックボーンネットワークと比較して規模の経済性が働きにくく、データの増加を設備の増強だけに頼るのは経済的に難しい。また、地域ネットワークにおける単純な回線の増強は、通信に要する消費電力の増大を招く。
【0010】
更に、地域ネットワークには各種の問題がある。まず、複数のユーザが回線を共有して、それぞれ所望の時点で通信を行うことが可能なベストエフォート方式の通信方式を採用するため、輻輳の発生自体を抑制できない。また、輻輳時のパケット廃棄を抑制することもできない。しかも、アクセス回線のブロードバンド化で、大容量ファイルのダウンロードが増えたため、輻輳による廃棄が頻繁に発生するようになっている。更に、パケットの廃棄を抑制できない状況が生まれたために、ユーザを直接収容するISP(Internet Services Provider)では、ユーザ端末が通信ネットワークに接続しにくい現象が発生するようになっている。
【0011】
そこで本発明の目的は、地域ネットワークとバックボーンネットワークの接続箇所に着目し、地域ネットワークを制御して、パケットの輻輳の発生を抑制することができる代理中継サーバ、帯域管理サーバ、ルータ装置、ファイル転送システム、ファイル転送方法およびファイル転送プログラムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納手段と、(ロ)前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信手段と、(ハ)この地域回線状況受信手段の受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を参考にして、前記した一時格納手段に格納された前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出するパケット送出制御手段とを代理中継サーバが具備する。
【0013】
また、本発明では、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続されたそれぞれの回線の帯域の設定を行う帯域設定手段と、(ロ)前記した地域ネットワーク上のユーザ端末が前記したバックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際にこれら地域ネットワークとバックボーンネットワークの接続部分に設けられたパケット転送を制御する転送制御手段に対して前記した帯域設定手段の設定内容に基づいた前記したユーザ端末と前記したバックボーンネットワークまでの特定経路における前記した帯域設定手段による回線の帯域の設定状況を通知する特定経路状況通知手段とを帯域管理サーバが具備する。
【0014】
更に本発明では、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークを構成する回線のうちの自装置に収容されたそれぞれの回線のルーティング制御を行うルーティング手段と、(ロ)前記した地域ネットワークの経路ごとに帯域を設定する手段から帯域の設定状況に応じて前記した各回線のそれぞれの稼働のオン・オフの指示を受信することで前記したルーティング手段に接続された回線の帯域および給電状態を制御する回線稼働オン・オフ制御手段とをルータ装置が具備する。
【0015】
更にまた本発明では、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納手段と、前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信手段と、この地域回線状況受信手段の受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記した一時格納手段に格納された前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出するパケット送出制御手段とを備えた代理中継サーバと、(ロ)前記した特定の地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続された各回線の帯域の設定を行う帯域設定手段と、前記した特定の地域ネットワーク上のユーザ端末が前記したバックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際に前記した代理中継サーバに対して前記したユーザ端末と前記したバックボーンネットワークまでの特定経路における前記した帯域設定手段による回線の帯域の設定状況を通知する特定経路状況通知手段とを備えた地域回線状況通知手段とをファイル転送システムが具備する。
【0016】
また本発明では、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納ステップと、(ロ)この一時格納ステップでファイルを格納したとき前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信ステップと、(ハ)この地域回線状況受信ステップで受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記した一時格納ステップで格納した前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出するパケット送出ステップとをファイル転送方法が具備する。
【0017】
更にまた本発明では、コンピュータに、ファイル転送プログラムとして、(イ)基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納処理と、(ロ)この一時格納処理でファイルを格納したとき前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信処理と、(ハ)この地域回線状況受信処理で受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記した一時格納処理で格納した前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出するパケット送出処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、バックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納して、特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を参考にして、これを読み出し輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出するようにした。これにより、地域ネットワークの帯域不足や設備の稼働状況といった回線の状況に応じて輻輳を抑えたパケット信号の転送が可能になる。しかも、バックボーンネットワークと特定の地域ネットワークの境界位置で制御を行うので、地域ネットワークごとにそれらの状況に合わせた内部統一の図られた制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の代理中継サーバのクレーム対応図である。
【図2】本発明の帯域管理サーバのクレーム対応図である。
【図3】本発明のルータ装置のクレーム対応図である。
【図4】本発明のファイル転送システムのクレーム対応図である。
【図5】本発明のファイル転送方法のクレーム対応図である。
【図6】本発明のファイル転送プログラムのクレーム対応図である。
【図7】本発明の実施の形態によるファイル転送システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図8】本実施の形態のファイル転送システムを具体的に示したブロック図である。
【図9】本実施の形態によるルータ装置の概略構成図である。
【図10】本実施の形態による代理中継サーバの具体的な構成を表わしたブロック図である。
【図11】本実施の形態によるファイル管理サーバの構成の概要を表わしたブロック図である。
【図12】本実施の形態による帯域管理サーバの構成の概要を表わしたブロック図である。
【図13】本実施の形態でファイルのダウンロード要求時のファイル管理サーバの処理を表わした流れ図である。
【図14】本実施の形態でダウンロード要求時の代理中継サーバの処理の様子を表わした流れ図である。
【図15】本実施の形態でダウンロード要求時のファイル転送システムにおける各部の処理の様子を表わした説明図である。
【図16】本実施の形態でダウンロードデータキャッシュ部の処理の原理を示した説明図である。
【図17】本実施の形態でファイル管理サーバから送られてくるファイルを転送する際の代理中継サーバの処理を示す流れ図である。
【図18】本実施の形態でダウンロードデータ転送制御部の制御の様子を示した説明図である。
【図19】本実施の形態でユーザ端末がファイルのアップロードを指示したときのファイル管理サーバの処理の様子を表わした流れ図である。
【図20】本実施の形態でアップロード指示時の代理中継サーバの処理の様子を表わした流れ図である。
【図21】本実施の形態でアップロード指示時の代理中継サーバの処理の様子を表わした流れ図である。
【図22】本実施の形態でアップロードデータキャッシュ部の処理の原理を示した説明図である。
【図23】本実施の形態でアップロードするファイルをユーザ端末から受信する際の代理中継サーバの処理を示す流れ図である。
【図24】本実施の形態でアップロードデータ転送制御部の制御の様子を示した説明図である。
【図25】本実施の形態で帯域管理サーバにおける帯域確保の制御の様子を表わした流れ図である。
【図26】本実施の形態で代理中継サーバから帯域確保要求が送られてきた場合の帯域管理サーバの処理の様子を表わした流れ図である。
【図27】本実施の形態で帯域管理サーバによる稼働帯域の増設処理の様子を表わした流れ図である。
【図28】本実施の形態で帯域管理サーバによる稼働帯域の減設処理の様子を表わした流れ図である。
【図29】帯域制御やファイル送信についてのタイミングの制御がない場合のファイル転送の様子を示す説明図である。
【図30】本実施の形態でファイルの転送制御を行う第1の手法を表わした説明図である。
【図31】本実施の形態でファイルの転送制御を行う第2の手法を表わした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の代理中継サーバのクレーム対応図を示したものである。本発明の代理中継サーバ10は、一時格納手段11と、地域回線状況受信手段12と、パケット送出制御手段13とを備えている。ここで、一時格納手段11は、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する。地域回線状況受信手段12は、前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する。パケット送出制御手段13は、この地域回線状況受信手段12の受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて一時格納手段11に格納された前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出す。そして、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出する。
【0021】
図2は、本発明の帯域管理サーバのクレーム対応図を示したものである。本発明の帯域管理サーバ20は、帯域設定手段21と、特定経路状況通知手段22を備えている。ここで、帯域設定手段21は、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続されたそれぞれの回線の帯域の設定を行う。特定経路状況通知手段22は、地域ネットワークとバックボーンネットワークの接続部分に設けられたパケット転送を制御する転送制御手段に対して回線の帯域の設定状況を通知する。これは、帯域設定手段21の設定内容に基づいた前記したユーザ端末と前記したバックボーンネットワークまでの特定経路における帯域設定手段21による回線の帯域の設定状況である。また、この回線の状況は、前記した地域ネットワーク上のユーザ端末が前記したバックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際の状況である。
【0022】
図3は、本発明のルータ装置のクレーム対応図を示したものである。本発明のルータ装置30は、ルーティング手段31と、回線稼働オン・オフ制御手段32とを備えている。ここで、ルーティング手段31は、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークを構成する回線のうちの自装置に収容されたそれぞれの回線のルーティング制御を行う。回線稼働オン・オフ制御手段32は、前記した地域ネットワークの経路ごとに帯域を設定する手段から帯域の設定状況に応じて前記した各回線のそれぞれの稼働のオン・オフの指示を受信することでルーティング手段31に接続された回線の帯域および給電状態を制御する。
【0023】
図4は、本発明のファイル転送システムのクレーム対応図を示したものである。本発明のファイル転送システム40は、代理中継サーバ41と、地域回線状況通知手段42とを備えている。ここで、代理中継サーバ41は、一時格納手段41Aと、地域回線状況受信手段41Bと、パケット送出制御手段41Cを備える。一時格納手段41Aは、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する。地域回線状況受信手段41Bは、前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する。パケット送出制御手段41Cは、地域回線状況受信手段41Bの受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて一時格納手段41Aに格納された前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出す。そして、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出する。地域回線状況通知手段42は、帯域設定手段42Aと、特定経路状況通知手段42Bを備える。帯域設定手段42Aは、前記した特定の地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続された各回線の帯域の設定を行う。特定経路状況通知手段42Bは、代理中継サーバ41に対して前記したユーザ端末と前記したバックボーンネットワークまでの特定経路における帯域設定手段42Aによる回線の帯域の設定状況を通知する。通知の時期は、前記した特定の地域ネットワーク上のユーザ端末が前記したバックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際である。
【0024】
図5は、本発明のファイル転送方法のクレーム対応図を示したものである。本発明のファイル転送方法50は、一時格納ステップ51と、地域回線状況受信ステップ52と、パケット送出ステップ53とを備えている。ここで、一時格納ステップ51では、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する。地域回線状況受信ステップ52では、一時格納ステップ51でファイルを格納したとき前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する。パケット送出ステップ53では、地域回線状況受信ステップ52で受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記した一時格納ステップ51で格納した前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出す。そして、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出する。
【0025】
図6は、本発明のファイル転送プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明のファイル転送プログラム60は、コンピュータに、一時格納処理61と、地域回線状況受信処理62と、パケット送出処理63とを実行させるようにしている。ここで、一時格納処理61では、基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する。地域回線状況受信処理62では、この一時格納処理61でファイルを格納したとき前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する。パケット送出処理63では、この地域回線状況受信処理62で受信した前記した特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記した一時格納処理61で格納した前記した特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出す。そして、輻輳の生じにくい通信形態で前記した特定の地域ネットワークに送出する。
【0026】
<発明の実施の形態>
【0027】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図7は、本発明の実施の形態によるファイル転送システムの概要を表わしたものである。このファイル転送システム100は、ファイル管理サーバ101を配置したバックボーンネットワーク102と、帯域管理サーバ103を配置した地域ネットワーク104の2つのネットワークを代理中継サーバ105が中継する構造となっている。一例として示したユーザ端末1061は、地域ネットワーク104に接続されている。
【0029】
本実施の形態でファイル管理サーバ101は、代理中継サーバ105を中継する手順に準拠した動作を行い、ユーザ端末1061との間でファイルの転送を行う主体である。バックボーンネットワーク102は、地域ネットワーク104を接続したネットワークであり、インターネット等のオープンネットワークや、VPN(Virtual Private Network)等の専用閉域ネットワークである。通常の場合、バックボーンネットワーク102は、図示しないが複数の地域ネットワークの間を繋ぎ、地域ネットワークのユーザに対するサービスを提供するサーバを必要により収容する。本実施の形態でバックボーンネットワーク102は、単純にパケットを転送するための網であると考えてよい。
【0030】
地域ネットワーク104は、企業や個人の端末を直接収容するネットワークであり、インターネット等のオープンネットワークや、VPN等の専用閉域ネットワークである。このような地域ネットワーク104は、地域事業者の機器選定により、地域内でファイル転送フローごとに帯域制御が可能であることを前提としている。バックボーンネットワーク102と地域ネットワーク104は事業者が同じであるとは限らない。
【0031】
このファイル転送システム100で代理中継サーバ105は、ユーザ端末1061とファイル管理サーバ101の間で転送されるファイルを一旦、キャッシュして中継するようになっている。これにより、代理中継サーバ105は、ファイルの転送時の負荷として、地域ネットワーク104に流れる転送ファイル容量の合計を把握することができる。
【0032】
地域ネットワーク104は、ファイル管理サーバ101とユーザ端末1061の間でのデータの転送の際に回線の稼働状態を制御できる、後の図で示すルータ装置を使用している。代理中継サーバ105は、ファイル管理サーバ101とユーザ端末1061の間のファイル転送の際に、特定の手順を用いることで、ファイルを一旦キャッシュし、中継する役割を果たす。また、代理中継サーバ105は、キャッシュしているファイルの容量からネットワークの負荷状況を把握する。代理中継サーバ105は、地域ネットワーク104内のルータ装置における回線の稼働状態や確保したい帯域について、帯域管理サーバ103に対して制御の指示を行うと共に、キャッシュしたファイルの転送タイミングが重ならないように制御する。
【0033】
帯域管理サーバ103は、地域ネットワーク104のネットワーク構成情報を保持すると共に、ルータ装置間を接続する回線の稼働状況を把握する。帯域管理サーバ103は、代理中継サーバ105からの帯域確保要求や、稼働回線の増減設要求を受けて地域ネットワーク104内のルータ装置を制御する。
【0034】
ユーザ端末1061はインターネットなどのオープンネットワークや、VPN等の専用閉域ネットワークを利用する企業や個人の通信端末である。本実施の形態でユーザ端末1061は、ファイル管理サーバ101と同様に、代理中継サーバ105を中継する手順に準拠した動作を行う。このため、ユーザ端末1061は、ファイル管理サーバ101と共にファイルの転送を行う主体となる。
【0035】
このような本実施の形態のファイル転送システム100で、代理中継サーバ105はその把握するファイル容量を基にして、帯域管理サーバ103と連携して、地域ネットワーク104内のルータ装置の稼働状態の制御と帯域制御を実施することができる。その上で、代理中継サーバ105はファイル転送のタイミングの制御も行うことができる。このように代理中継サーバ105は、地域ネットワーク104内のルータ装置の稼働状態制御と帯域制御とファイル転送タイミング制御を実施する。これにより代理中継サーバ105が、ユーザ端末1061とファイル管理サーバ101の間の経路全体の制御を行うことなく、帯域の効率的な利用の実現が可能である。すなわち、本実施の形態のファイル転送システム100は、以下に詳細に説明するように、ファイル間の輻輳を回避しながら一定の転送速度を確保し、ネットワークの負荷状態に合わせた設備の稼働状態を制御する。これにより、ファイル転送システム100は、帯域と電力を効率的に利用しながら、大容量のファイル転送を実現することができる。
【0036】
図8は、本実施の形態のファイル転送システムを更に具体的に示したものである。バックボーンネットワーク102は、代理中継サーバ105を接続したISP(Internet Services Provider)接続装置111を介して地域ネットワーク104に接続している。地域ネットワーク104は、IP(Internet Protocol)転送を行うルータ装置1121〜1124、……が、複数の回線114を集約した1本の集約回線115をレイヤ2の回線として接続することで形成されたネットワークである。ここで回線114は、レイヤ2の回線であり、IPネットワーク分野のリンク技術として使われるイーサネット(登録商標)による回線で実現される。集約回線115は、複数の回線114を束ねて、回線全体の帯域を増強させた1本のレイヤ2回線として動作する。集約回線115は、イーサネット(登録商標)の分野でリンクアグリゲーション(link aggregation)として知られる技術を用いて実現することができる。
【0037】
図8に示した例では、ルータ装置1123に接続されたユーザ収容装置1131にユーザ端末1061が接続されており、他のルータ装置1124に接続されたユーザ収容装置1132にユーザ端末1062が接続されている。ルータ装置1124には、帯域管理サーバ103が接続されている。破線116はバックボーンネットワーク102と地域ネットワーク104の境界位置を示しており、他の破線117は地域ネットワーク104とユーザ端末106の境界位置を示している。
【0038】
本実施の形態でISP接続装置111からユーザ収容装置1131までの経路上のルータ装置1121〜1123は、回線114単位で稼働状態と待機状態の切り替えをすることができるようになっている。これにより、たとえばルータ装置1121は、必要な帯域分だけ回線を使用することができ、不要な回線は待機状態にして無駄な電力を削減することができる。ルータ1121自体も、待機状態の回線分だけ転送処理が減るので、電力を削減することができる。また、ルータ装置1121〜1123は、帯域管理サーバ103からの指示を受けて、回線114の稼働状態の制御や、帯域制御を行うことができる。
【0039】
図9は、本実施の形態によるファイル転送の対象となるルータ装置の概要を表わしたものである。ルータ装置1123は、レイヤ2回線114の間でパケットを転送するルーティング部121と、レイヤ2回線を構成する回線処理部1221、1222ならびに回線収容部1231、1232、1233とからなる。回線処理部1221、1222は、集約回線1151、1152に属する回線114のいずれにパケットを振り分けるかの振分機能を担う。帯域制御や優先制御といったQoS(Quality of Service)に関する制御機能は、各部の関連する部分で実現されているものとする。
【0040】
回線処理部1221は、次の第1〜第3の状態のいずれかを採ることができるように設計されている。第1の状態は電源の入っていないオフ状態である。第2の状態は、電源が入っているがパケットの転送を行わずに省電力状態にある待機状態である。第3の状態は、電源が入っておりパケット転送が可能な状態としての稼働状態である。稼働状態と待機状態は、図8に示した帯域管理サーバ103からの指示で遷移する。
【0041】
ルーティング部121や回線処理部1221、1222は、図示しないプロセッサを備えている。これらのプロセッサには、マルチコアプロセッサ(multi-core processor)が使用されている。マルチコアプロセッサとは、2つ以上のプロセッサコアを1個のパッケージに集積したマイクロプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)である。マルチコアプロセッサは、転送能力に応じた数のプロセッサコアを使用する。これにより、マルチコアプロセッサは、稼働状態の回線114の数に合わせて個々のプロセッサコアの稼働状態や待機状態を制御することができ、効率的な電力制御ができる。
【0042】
本明細書では、たとえば図7に示す地域ネットワーク104に接続されていないファイル管理サーバ101から地域ネットワーク104に接続されているユーザ端末1061へのデータ転送をダウンロードと呼ぶことにする。また、地域ネットワーク104に接続されているユーザ端末1061から地域ネットワーク104に接続されていないファイル管理サーバ101へのデータ転送をアップロードと呼ぶことにする。
【0043】
更に、本明細書ではルータ装置112間に配置された回線114の数により実現されている帯域を、稼働帯域と呼ぶ。また、回線114を待機状態から稼働状態にすることを稼働帯域の増設と呼ぶ。反対に、回線114を稼働状態から待機状態にすることを稼働帯域の減設と呼ぶ。
【0044】
図10は、代理中継サーバの具体的な構成を表わしたものである。図7と共に説明する。
【0045】
代理中継サーバ105はマイクロプロセッサ(CPU)131と、このマイクロプロセッサ131が実行する制御プログラムを格納した記憶媒体としてのメモリ132を備えた制御部133を有している。制御部133は、ダウンロード手順制御部134を始めとする次の各部を制御している。これら各部の少なくとも一部は、ハードウェアで構成される必要はなく、マイクロプロセッサ131が実行する制御プログラムによってソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0046】
ダウンロード手順制御部134は、ユーザ端末1061からダウンロードの指示を受けて、ファイル管理サーバ101からユーザ端末1061までデータを転送する準備をする。ダウンロードデータキャッシュ部135は、ダウンロードデータの保存領域を確保し、保持する。また、ダウンロードデータキャッシュ部135は、ファイル管理サーバ101から受信した、ユーザ端末1061に送信中または送信待ち状態のファイル容量の合計が、増設閾値容量より大きい場合は帯域不足、減設閾値容量より小さい場合は帯域過剰と判断する。ダウンロードデータ転送制御部136は、ダウンロードデータが予め確保された帯域に収まるようにユーザ端末1061に転送しながらデータの蓄積量に応じて稼働帯域の増設や減設を行う。
【0047】
アップロード手順制御部137は、ユーザ端末1061からのアップロードの指示を受けて、ファイル管理サーバ101がユーザ端末1061からデータを受信する準備をする。アップロードデータキャッシュ部138は、アップロードデータの保存領域を確保し、保持する。また、アップロードデータキャッシュ部138は、ユーザから受信中または受信待ち状態のファイル容量の合計を基に、増設閾値容量より大きい場合は帯域不足、減設閾値容量より小さい場合は帯域過剰と判断する。アップロードデータ転送制御部139は、アップロードデータを予め確保された帯域に収まるようにユーザ端末1061から受信しながら、データの蓄積量に応じて稼働帯域の増設や減設を行う。
【0048】
図11は、ファイル管理サーバの構成の概要を表わしたものである。ファイル管理サーバ101は、マイクロプロセッサ(CPU)151と、このマイクロプロセッサ151が実行する制御プログラムを格納した記憶媒体としてのメモリ152を備えた制御部153を有している。制御部153は、次の各部を制御している。これら各部の少なくとも一部は、ハードウェアで構成される必要はなく、マイクロプロセッサ151が実行する制御プログラムによってソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0049】
ファイル格納部154は、アップロードおよびダウンロードの対象となるファイルを格納する。ファイル検索処理部155は、ファイル格納部154の検索を行う。送受信部156は他の装置との間の通信を制御する。ユーザ端末処理部157は、図7に示したユーザ端末1061に代表されるユーザ端末との間の処理を行う。代理中継サーバ処理部158は、代理中継サーバ105との間の処理を行う。
【0050】
図12は、帯域管理サーバの構成の概要を表わしたものである。帯域管理サーバ103は、マイクロプロセッサ(CPU)171と、このマイクロプロセッサ171が実行する制御プログラムを格納した記憶媒体としてのメモリ172を備えた制御部173を有している。制御部173は、次の各部を制御している。これら各部の少なくとも一部は、ハードウェアで構成される必要はなく、マイクロプロセッサ171が実行する制御プログラムによってソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0051】
送受信部174は他の装置との間の通信を制御する。帯域確保判別部175は、図7に示したユーザ端末1061に代表されるユーザ端末とファイル管理サーバ101との間でファイルの転送が行われる際に帯域が確保されるかの判別を行う。帯域加減設定部176は、帯域の増加あるいは減少の設定を行う。帯域データベース177は、帯域の確保を判別するためのデータベースである。この帯域データベース177には、図7に示したファイル転送システム100の管理者によって、図8に示したルータ装置1121〜1124、……のそれぞれについての帯域の設定に関する情報が登録されている。このため、代理中継サーバ105とユーザ端末1061の間のルートが分かると、帯域データベース177を用いてこのルートで確保できる帯域を判別することができる。
【0052】
なお、図7に示したユーザ端末1061に代表されるユーザ端末は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)あるいはパーソナルコンピュータ等の通信機能を備えた情報処理装置によって構成される。このような情報処理装置の構成は一般的なので、その詳細な構成の図示および説明は省略する。
【0053】
図13は、以上のような構成のファイル転送システムで、ユーザ端末がファイルのダウンロードを要求したときのファイル管理サーバの処理の様子を表わしたものである。また、図14はこのダウンロード要求時の代理中継サーバの処理の様子を表わしたものである。更に、図15はこのときのファイル転送システムにおける各部の処理の様子を表わしている。これらの図ならびに図10〜図12を基にして、ユーザ端末1061のユーザがファイル管理サーバ101から所望のファイルをダウンロードする場合を説明する。この場合の代理中継サーバ105の処理は、主としてダウンロード手順制御部134によって行われる。
【0054】
ユーザ端末1061のユーザは、ファイル管理サーバ101にアクセスして、ファイル検索処理部155を使用してファイル格納部154に格納されているファイルを検索する。この結果、所望のファイルを探し当てたとする。この場合、図13および図15においてユーザ端末1061からダウンロードの対象となるファイルの指示がファイル管理サーバ101に対して行われる。ファイル管理サーバ101はこの指示を受信すると(図13ステップS201:Y)、ユーザ端末1061の地域ネットワーク104との関係で定まる代理中継サーバ105に、ダウンロード手順で示された所定の情報を送信する(ステップS202)。これらの情報は、ファイル管理サーバ101の証明書と、データの容量情報と、ユーザ端末1061からのアクセスであるという情報からなる。
【0055】
代理中継サーバ105は、ファイル管理サーバ101からステップS202の情報を受信してダウンロードの中継を要求されると(図14ステップS221)、該当するユーザ端末1061に確認メッセージを送信する(ステップS222)。これは、ファイル管理サーバ101に対してファイルのダウンロードの指示を出したかの確認である。この後、代理中継サーバ105は、ユーザ端末1061から代理中継サーバ105に指示を出したことの確認が送られてくるのを待機する(ステップS223、ステップS224)。
【0056】
この確認通知がユーザ端末1061から所定の時間が経過してタイムアウトが生じる前に到来したとする(ステップS224:N、ステップS223:Y)。この場合、代理中継サーバ105は自身の証明書をファイル管理サーバ101に送信して(ステップS225)、処理を終了する(エンド)。ここで、証明書はPKI(Public Key Infrastructure)として知られる公開鍵を使ったセキュリティの仕組みの中で使われるX.509という形式の証明書を使うことができる。ステップS224でタイムアウトが生じたとき(Y)、あるいはユーザ端末1061が指示を出したことを否定する通知を行ってくる場合(図示せず)がある。このような場合、代理中継サーバ105は、ファイル管理サーバ101に対する以後の処理を行うことなく、処理を終了する(エンド)。
【0057】
一方、ファイル管理サーバ101側では、ステップS202の処理を行った後、所定の時間内に代理中継サーバ105から証明書が送られてくるかを待機している(ステップS203、ステップS204)。代理中継サーバ105からタイムアウトの生じる前に証明書が送られてきたら(ステップS204:N、ステップS203:Y)、ファイル管理サーバ101は、代理中継サーバ105を信頼する。そこでファイル管理サーバ101は、代理中継サーバ105にデータを転送して(ステップS205)、処理を終了する(エンド)。ステップS204でタイムアウトが生じたとき(Y)、あるいは代理中継サーバ105から証明書を発行できない旨の通知が送られてきたような場合(図示せず)、ファイル管理サーバ101はステップS205に示す、処理を行うことなく、処理を終了する(エンド)。
【0058】
以上の処理では代理中継サーバ105がステップS225で証明書を発行することにしたが、これに限る必要はない。たとえばユーザ端末1061がダウンロードしようとしたファイルが、誰にでも無償で公開できるものであるような場合には、証明書による確認処理を省略しても構わない。また、証明書の交換のタイミングは用途に応じて変えてよい。たとえば、ファイル管理サーバ101が代理中継サーバ105に送る情報に対して、プライバシー保護の観点から暗号化が必要な場合は、ステップS202の前に、代理中継サーバ105の証明書を要求し、その中に含まれる暗号鍵を使用して、ファイル管理サーバ101から代理中継サーバ105に送付する情報を暗号化して送信するなど、証明書の交換の順番を入れ替えてもよい。
【0059】
図16は、図10に示したダウンロードデータキャッシュ部の処理の原理を示したものである。図7と共に説明する。
【0060】
代理中継サーバ105におけるダウンロードデータキャッシュ部135は、転送するファイルのファイル容量とユーザ端末1061への転送速度の情報と、ファイルデータを保持する。そして、代理中継サーバ105がダウンロード用に確保するファイルデータの総容量における送信待ちあるいは送信中のファイルの容量を把握するために、増設閾値容量191と減設閾値容量192の2つの閾値を設定して管理する。ユーザ端末1061へのファイルデータの転送速度は、ユーザがプロバイダとの間で契約した契約速度を基にして決定することができる。
【0061】
図17は、ファイル管理サーバから送られてくるファイルをユーザ端末に転送する際の代理中継サーバの処理の様子を表わしたものである。この処理は、図10に示す代理中継サーバ105のダウンロードデータ転送制御部136が主に行う処理である。図7、図10および図16と共に説明する。
【0062】
ダウンロードデータ転送制御部136は、一例として示したユーザ端末1061に対してファイルの送信を試みるタイミングを監視している(ステップS241〜ステップS244)。監視のタイミングは、次の3つのいずれか1つを満足した場合である。一番目は、ファイル管理サーバ101からファイルを受信したときであって(ステップS241:Y)、ダウンロードデータキャッシュ部135にダウンロードしたデータの残りが存在しないときである(ステップS242:Y)。二番目は、いずれかのユーザ端末106に対する転送中のファイルの転送処理が完了したときである(ステップS243:Y)。三番目は、ファイルの送信を試みてから予め定めた所定時間が経過した結果、次にファイルの転送を試みるタイミングが到来した時点である(ステップS244:Y)。
【0063】
ファイルの送信完了を待たずに(ステップS243:N)、予め定めた所定時間が経過するたびに(ステップS244:Y)、代理中継サーバ105が該当するユーザ端末106へのファイルの転送を試みるのは、通信状況に対応するためである。すなわち、時間帯によっては、代理中継サーバ105からたとえばユーザ端末1061に送信する単位時間当たりのデータ量に対して、ファイル管理サーバ101から受信する量の方が多くなる場合がある。このような場合に、現状のままでユーザ端末1061に対するデータの転送を続けると、ダウンロードデータキャッシュ部135に蓄積されるデータの量が増大してしまう。このような場合に、代理中継サーバ105からユーザ端末1061に対する単位時間当たりのデータの送信量を増加させることが可能であれば、増加させることが好ましい。そこで、ダウンロードデータ転送制御部136は他のファイル送信完了を待たずに、所定時間が経過するたびにファイルの転送を試みることにしている。
【0064】
ファイルの転送を試みる時点が到来したら、代理中継サーバ105のダウンロードデータ転送制御部136は帯域管理サーバ103に対してユーザ端末1061にファイルを転送するための帯域の確保が可能であるかを問い合わせる(ステップS245)。この結果、帯域管理サーバ103から帯域確保が可能である旨の回答を受ければ(ステップS246:Y)、帯域確保要求を帯域管理サーバ103に送出する(ステップS247)。そして、帯域管理サーバ103から帯域を確保できた旨の受信があったら(ステップS248:Y)、ユーザ端末1061に対するファイルの送信を開始する(ステップS249)。この際に、ダウンロードデータ転送制御部136はダウンロードデータキャッシュ部135におけるキャッシュの残りファイルと減設閾値容量192を比較する(ステップS250)。この結果、帯域過剰の状態であれば(ステップS251:Y)、帯域を減設するように帯域管理サーバ103の帯域加減設定部176(図12)に指示する(ステップS252)。そして、ファイル送信によって所定量のデータを転送した後に転送するファイルがなくなった場合には(ステップS253:N)、ステップS241の処理に戻る(リターン)。転送するファイルがまだ存在する場合(ステップS253:Y)、ステップS245に戻って帯域を確保できれば、引き続き、ファイル送信を試みる。ステップS251で帯域過剰の状態でないと判別された場合には(N)、ステップS252の指示を行わずに、ステップS253の判別に進む。このようにして、帯域の確保ができなくなるまで、あるいは該当するファイルの送信が終了するまでユーザ端末1061に対するファイルの転送処理が続行する。
【0065】
以上説明したようなファイルの転送処理が行われている時点で帯域確保ができなくなったとする(ステップS246:N)。この場合、代理中継サーバ105は稼働回線の増設が可能であるかを判別する(ステップS254)。ファイル送信開始を試みた時点で帯域確保ができなかった場合も同様である。このような場合に稼働回線の増設が可能でないと判別されれば(N)、その時点でファイルデータの送信はできない。そこで、ステップS241まで処理を戻して(リターン)、次にファイルの転送を試みるタイミングの到来を待つことになる。
【0066】
一方、ステップS254で稼働回線の増設が可能と判別された場合(Y)、ダウンロードデータ転送制御部136はダウンロードデータキャッシュ部135におけるキャッシュの残りファイルと増設閾値容量191を比較する(ステップS255)。この結果、キャッシュの残りのファイル容量が増設閾値容量191未満の場合には(ステップS256:Y)、まだ地域ネットワーク104が混雑していないと判断し、ステップS241まで処理を戻し(リターン)、次のファイル送信タイミングを待つ。
【0067】
これに対して、キャッシュの残りのファイル容量が増設閾値容量191以上である場合には(ステップS256:N)、地域ネットワーク104が混雑してきたと判断する。そこでこの場合、ダウンロードデータ転送制御部136は帯域管理サーバ103に対して稼働回線の増設を指示する(ステップS257)。そして、帯域を確保してファイルを送信し(ステップS258)、ステップS253の処理に進むことになる。
【0068】
このように本実施の形態では、ダウンロードデータ転送制御部136が地域ネットワーク104の混雑度合いに合わせて稼働回線を増減設し、稼動回線の中で送信できる限度までファイルを送信する処理が可能になる。必要な帯域分だけしか動作させないため、常に全回線を動作させておく場合に比べて、電力を削減できる。
【0069】
図18は、以上説明したダウンロードデータ転送制御部の制御の様子を図解したものである。ダウンロードデータ転送制御部136の説明は図17で行ったので、図18の説明は省略する。
【0070】
図19は、ユーザ端末がファイルのアップロードを指示したときのファイル管理サーバの処理の様子を表わしたものである。また、図20はこのアップロード指示時の代理中継サーバの処理の様子を表わしたものである。更に、図21はこのときのファイル転送システムにおける各部の処理の様子を表わしている。これらの図ならびに図10〜図12を基にして、ユーザ端末1061のユーザがファイル管理サーバ101に所望のファイルをアップロードする場合を説明する。この場合の代理中継サーバ105の処理は、主としてアップロード手順制御部137によって行われる。
【0071】
ファイル管理サーバ101は、ユーザ端末1061からファイルをアップロードする指示があるのを待機する(図19ステップS271)。この指示があると(Y)、ファイル管理サーバ101は、ユーザ端末1061の地域ネットワーク104との関係で定まる代理中継サーバ105に、アップロード手順で示された所定の情報を送信する(図19ステップS272)。これらの情報は、ファイル管理サーバ101の証明書と、データの容量情報と、ユーザ端末106からのアクセスであるという情報からなる。
【0072】
代理中継サーバ105は、ファイル管理サーバ101からステップS272の情報を受信してアップロードの中継を要求されると(図20ステップS291:Y)、該当するユーザ端末1061に確認メッセージを送信する(ステップS292)。これは、ファイル管理サーバ101に対してファイルのアップロードの指示を出したかの確認である。この後、代理中継サーバ105は、ユーザ端末1061から代理中継サーバ105に指示を出したことの確認が送られてくるのを待機する(ステップS293)。
【0073】
この確認通知がユーザ端末1061から所定の時間が経過してタイムアウトが生じる前に到来したとする(ステップS294:N、ステップS293:Y)。この場合、代理中継サーバ105は自身の証明書をファイル管理サーバ101に送信して(ステップS295)、処理を終了する(エンド)。ここで、証明書はPKIとして知られる公開鍵を使ったセキュリティの仕組みの中で使われるX.509という形式の証明書を使うことができる。ステップS294でタイムアウトが生じたとき(Y)、あるいは図示を省略するが、ユーザ端末1061が指示を出したことを否定する通知を行ってくる場合がある。このような場合、代理中継サーバ105は、ファイル管理サーバ101に対する以後の処理を行うことなく、処理を終了する(エンド)。
【0074】
一方、ファイル管理サーバ101側では、図19ステップS272の処理を行った後、所定の時間内に代理中継サーバ105からその証明書が送られてくるかを待機している(ステップS273、ステップS274)。代理中継サーバ105からタイムアウトの生じる前に証明書が送られてきたら(ステップS274:N、ステップS273:Y)、ファイル管理サーバ101は、代理中継サーバ105を信頼する。そこでファイル管理サーバ101は、代理中継サーバ105からアップロード用のデータを受信する準備を行って待機し(ステップS275)、処理を終了する(エンド)。ステップS274でタイムアウトが生じたとき(Y)、あるいは代理中継サーバ105から証明書を発行できない旨の通知が送られてきたような場合(図示せず)、ファイル管理サーバ101はステップS275に示す処理を行うことなく、処理を終了する(エンド)。
【0075】
以上の処理では代理中継サーバ105がステップS295で証明書を発行することにしたが、これに限る必要はない。たとえばファイル管理サーバ101が、ファイルの送信者やファイルの内容が知られることに配慮する必要がない場合、証明書の確認は省いても構わない。また、証明書の交換のタイミングは用途に応じて変えてよい。たとえば、ファイル管理サーバ101が代理中継サーバ105に送る情報に対して、プライバシー保護の観点から暗号化が必要な場合は、証明書の交換の順番を入れ替えてもよい。たとえば、ステップS272の前に、代理中継サーバ105の証明書を要求し、その中に含まれる暗号鍵を使用して、ファイル管理サーバ101から代理中継サーバ105に送付する情報を暗号化して送信するようにすればよい。
【0076】
図22は、図10に示したアップロードデータキャッシュ部の処理の原理を示したものである。図7と共に説明する。
【0077】
アップロードデータキャッシュ部138は、転送するファイルのファイル容量とユーザ端末1061からの転送速度の情報と、ファイルデータを保持する。そして、代理中継サーバ105のアップロード用に確保するファイルデータの総容量におけるユーザ端末1061からの受信待ちあるいは受信中のファイルの容量を把握するために、増設閾値容量193と減設閾値容量194の2つの閾値を設定して管理する。ユーザ端末1061からのファイルデータの転送速度は、ユーザがプロバイダとの間で契約した契約速度を基に決定することができる。
【0078】
図23は、ファイル管理サーバにアップロードするファイルをユーザ端末から受信する際の代理中継サーバの処理の様子を表わしたものである。この処理は、図10に示す代理中継サーバ105のアップロードデータ転送制御部139が主に行う処理である。図7、図10および図22と共に説明する。
【0079】
アップロードデータ転送制御部139は、一例として示したユーザ端末1061からファイルの受信を試みるタイミングを監視している。監視のタイミングは、次の3つのいずれか1つを満足した場合である(ステップS301〜ステップS304)。一番目は、ユーザ端末1061からアップロードの要求を受信したときであって(ステップS301:Y)、アップロードデータキャッシュ部138にアップロードしたデータの残りが存在しないときである(ステップS302:Y)。二番目は、いずれかのユーザ端末106から受信中のアップロード用のファイルの受信処理が完了したときである(ステップS303:Y)。三番目は、ファイルの受信を試みてから予め定めた所定時間が経過した結果、次にファイルの受信を試みるタイミングが到来した時点である(ステップS304:Y)。
【0080】
予め定めた所定時間が経過するたびに代理中継サーバ105が該当するユーザ端末106へのからのファイルの受信を試みるのは、通信状況に対応するためである。すなわち、地域ネットワーク104の負荷が上がる時間帯によっては、代理中継サーバ105を経由してファイル管理サーバ101に送信されるデータの量に対して、ユーザ端末1061からのアップロードの要求の方が多くなる場合がある。このような場合に、現状のままでユーザ端末1061からのデータの受信を続けると、アップロードデータキャッシュ部138に蓄積されるデータの量が減少してしまう。このような場合に、ユーザ端末1061から代理中継サーバ105への単位時間当たりのデータの送信量を増加させることが可能であれば、増加させることが好ましい。そこで、アップロードデータ転送制御部139は他のファイル送信完了を待たずに、所定時間が経過するたびにファイルの受信を試みることにしている。
【0081】
所定時間が経過してファイルの受信を試みる時点が到来したら、アップロードデータ転送制御部139は帯域管理サーバ103に対してユーザ端末1061からファイルを受信するための帯域の確保が可能であるかを問い合わせる(ステップS305)。代理中継サーバ105は、帯域管理サーバ103から帯域確保が可能である旨の回答を受ければ(ステップS306:Y)、帯域確保要求を帯域管理サーバ103に送出する(ステップS307)。そして、帯域管理サーバ103から帯域を確保できた旨の受信があったら(ステップS308:Y)、ユーザ端末1061からのファイルの受信を開始する(ステップS309)。この際に、アップロードデータ転送制御部139はアップロードデータキャッシュ部138におけるキャッシュの残りファイルと減設閾値容量192を比較する(ステップS310)。この結果、帯域過剰の状態であれば(ステップS311:Y)、帯域を減設するように帯域管理サーバ103の帯域加減設定部176(図12)に指示する(ステップS312)。この後、所定量のデータを受信した後に受信するファイルの残りがなくなれば(ステップS313:N)、ステップS301の処理に戻る(リターン)。受診するファイルの残りが存在する場合には(ステップS313:Y)、ステップS305に戻って帯域を確保できれば、引き続き、ファイル受信を試みる。ステップS311で帯域過剰の状態でないと判別された場合には(N)、ステップS312の指示を行わずに、ステップS313の判別に進む。このようにして、帯域の確保ができなくなるまで、あるいは該当するファイルの受信が終了するまでユーザ端末1061からのファイルの受信が続行する。
【0082】
このようにファイルの受信処理が行われている時点で帯域確保ができなくなった場合(ステップS306:N)、稼働回線の増設が可能であるかを判別する(ステップS314)。ファイル受信開始を試みた時点で帯域の確保ができなかった場合も同様である。このような場合に稼働回線の増設が可能でないと判別されれば(N)、その時点でファイルデータの受信はできない。そこで、ステップS301まで処理を戻して(リターン)、次にファイルの受信を試みるタイミングを待つことになる。
【0083】
一方、ステップS314で稼働回線の増設が可能と判別された場合(Y)、アップロードデータ転送制御部139はアップロードデータキャッシュ部138におけるキャッシュの残りファイルと増設閾値容量193を比較する(ステップS315)。この結果、キャッシュの残りのファイル容量が増設閾値容量193未満の場合には(ステップS316:Y)、まだ地域ネットワーク104が混雑していないと判断し、次のファイルの受信タイミングを待つ(リターン)。
【0084】
これに対して、キャッシュの残りのファイル容量が増設閾値容量193以上である場合には(ステップS316:N)、地域ネットワーク104が混雑してきたと判断する。そこでこの場合、アップロードデータ転送制御部139は帯域管理サーバ103に対して稼働回線の増設を指示する(ステップS317)。そして、帯域を確保してファイルを受信し(ステップS318)、ステップS313の処理に進む。
【0085】
このように本実施の形態では、アップロードデータ転送制御部139が地域ネットワーク104の混雑度合いに合わせて稼働回線を増減設し、稼動回線の中で受信できる限度までファイルを受信する処理が可能になる。必要な帯域分だけしか動作させないため、常に全回線を動作させておく場合に比べて電力を削減できる。
【0086】
図24は、以上説明したアップロードデータ転送制御部の制御の様子を図解したものである。アップロードデータ転送制御部139の説明は図23で行ったので、図24の説明は省略する。
【0087】
図25は、帯域管理サーバにおける帯域確保の判定制御の様子を表わしたものである。図7および図12と共に説明する。
【0088】
帯域管理サーバ103は、たとえば図17のステップS245でユーザ端末1061にファイルの転送のための帯域の確保が可能であるかの問い合わせを受ける。このような帯域確保可否判定要求を受信すると(ステップS331:Y)、帯域管理サーバ103の帯域確保判別部175は、帯域データベース177を参照する。そして、帯域確保判別部175は、代理中継サーバ105とユーザ端末1061の間で帯域を確保できるかを判別する。また、帯域を確保できない場合には、稼働帯域の増設の可否と、増設が可能である場合にこれにより帯域の確保が可能になるかを確認する(ステップS332)。そして、この確認結果を基にして、帯域管理サーバ103は代理中継サーバ105に対して帯域の確保可否と増設を行う場合の増設可能な稼働帯域を通知する(ステップS333)。この後、帯域管理サーバ103は処理をステップS331の待機状態に戻すことになる(リターン)。
【0089】
図26は、代理中継サーバから帯域確保要求が送られてきた場合の帯域管理サーバの処理の様子を表わしたものである。図7および図12と共に説明する。
【0090】
帯域管理サーバ103が図25のステップS333で稼働帯域の増設により帯域の確保が可能であるという通知を代理中継サーバ105に行ったとする。すると、代理中継サーバ105はこれに対して帯域確保要求を返送してくる。そこで、帯域管理サーバ103はこの帯域確保要求の受信を待機している(ステップS351)。帯域管理サーバ103はこの帯域確保要求を受信すると(Y)、代理中継サーバ105とユーザ端末1061の間のルート上に位置するルータ装置112(図8)に特定ファイル用の帯域確保の設定の指示を出して、自身の管理情報を更新する(ステップS352)。図8に示した例では、帯域管理サーバ103がルータ装置1121〜1123に対して帯域確保の設定を行うことになる。もちろん、代理中継サーバ105とユーザ端末1061の間の図示しない他のルートを設定することも可能である。この後、帯域管理サーバ103は代理中継サーバ105に対して、ルータ装置1121〜1123に対する帯域確保の設定を終了したことを通知して(ステップS353)、処理をステップS351の待機状態に戻すことになる(リターン)。
【0091】
図27は、帯域管理サーバによる稼働帯域の増設処理の様子を表わしたものである。図7、図8および図12と共に説明する。
【0092】
現在の稼働帯域では帯域が確保できないときで、代理中継サーバ105が帯域不足と判断した場合、帯域管理サーバ103は代理中継サーバ105から稼働帯域増設要求と帯域確保要求を受ける。帯域確保要求の処理については、図26で説明した。待機状態で送受信部174が稼働帯域増設要求を受信すると(ステップS371:Y)、帯域加減設定部176は帯域データベース177を参照して、片方向のみ使用の稼働回線が存在するかを判別する(ステップS372)。帯域の増設要求は、アップロードとダウンロードの片方向ずつで発生する。このため、回線114としては稼働しながら、代理中継サーバ105に対しては片方向分が稼働帯域として割り当てられていない状態のときがある。この場合には(Y)、その回線114の稼働状態はそのままにして双方向使用するように変更することで帯域を増設する(ステップS373)。このような増設により、稼働帯域の増設要求が満足すれば(ステップS374:Y)、該当するルータ装置112に対して増設の帯域制御設定をするように指示を行って、管理情報を更新し(ステップS375)、待機状態に戻る(リターン)。
【0093】
ステップS374で増設要求をまだ満足しない場合(N)、あるいはステップS372で片方向使用の回線114がなかった場合には、デバイスの転送能力を上げて、待機状態の回線114を稼働状態に変更する(ステップS376)。そして、ステップS375に進んで該当するルータ装置112に対して増設の帯域制御設定をするように指示を行って、管理情報を更新し、待機状態に戻る(リターン)。
【0094】
なお、ステップS373の処理を先行させずに、ステップS376の処理を先行させてもよい。また、この図27の処理を行う場合、同時に帯域確保要求を受信する。この帯域確保要求を受信した場合には、図26で示した処理が実行される。
【0095】
図28は、帯域管理サーバによる稼働帯域の減設処理の様子を表わしたものである。図7、図8および図12と共に説明する。
【0096】
代理中継サーバ105が、帯域過剰になったと判断した場合、帯域管理サーバ103は稼働帯域減設要求を受けるようになっている。待機状態で送受信部174が稼働帯域減設要求を受信すると(ステップS391:Y)、帯域加減設定部176は帯域データベース177を参照して、稼働帯域を減設する決定を行う(ステップS392)。具体的には、双方向のうちの片方向しか使用されていない稼働帯域があれば、その回線114を待機状態に遷移させる決定を行い、該当するデバイスの転送能力を低下させる。そして、該当するルータ装置112に対して減設の帯域制御設定をするように指示を行って、管理情報を更新し(ステップS393)、待機状態に戻る(リターン)。なお、最低帯域のみ稼動しているときには減設しない。これは、すべての回線を待機状態にすると、通信が不可能になってしまうためである。最低帯域は、事業者が運用方針を策定し、決めればよい。
【0097】
以上説明したように本実施の形態では代理中継サーバ105と帯域管理サーバ103が連携する処理を行う。これにより、代理中継サーバ105のファイル容量を基にして地域ネットワーク104の負荷状況を判断し、回線114の稼働状態の制御と、帯域確保の制御を行いながら、ファイル転送のタイミングが重ならないようにすることができる。
【0098】
図29〜図31は、以上説明した本実施の形態のファイル転送システムによる効果を説明するためのものである。これらの図で縦軸は帯域の広がりを示し、横軸は時間の経過を示している。ここでは、図7に示したバックボーンネットワーク102から地域ネットワーク104に送出されたパケットの挙動を示しているものとして説明を行う。
【0099】
図29は、本実施の形態と異なり帯域制御やファイル送信についてのタイミングの制御(遅延制御)が無い場合を表わしている。すなわち、図29は本発明の適用が無い場合である。ある時刻t1を開始時点として、5つのファイルデータが地域ネットワーク内に流入し、転送が開始されたものとする。ファイルデータのうち、ファイル401〜403の3つは、大容量のファイルを表わしている。図は、流入するパケットの平均速度が同じ場合を示している。また、図29の縦軸は、平均速度を表わしている。これらのファイル転送ではTCP(Transmission Control Protocol)を使用している。TCPは各送信者が徐々に送信速度を上げながら、パケットロスが発生すると速度を落として再送するという動作を繰り返す特性上、他のユーザのTCPトラフィックの速度が増加して帯域を圧迫すると、どのファイルも帯域を確保していないので、同程度の頻度で宛先のユーザ端末に到達する前にパケットの欠落が発生する。TCPでは、再送制御機構を備えているので、パケットの欠落が発生した場合には、ユーザ端末の再送要求によって、パケットの再送が行われる。なお、この図は、ファイルサイズに対して、再送分のサイズを斜線で示した図であり、実際には、ファイルがパケットに分割され、送信が成功する部分と、再送分が交互に並ぶが、本図では容量を示すために、再送分をまとめて描いている。
【0100】
小さな容量のファイルの場合には、パケットの欠落が発生せずに転送が終了する場合もあり、再送分のデータ量は比較的少ない。地域ネットワークに比較的大容量の3つのファイル401〜403が転送される場合には、大容量ファイルの方が長時間にわたり他のユーザのトラフィックに影響を受けるので、パケットロスの頻度が増加し再送分のファイルが転送容量を大幅に増加させる原因となる。再送分のファイルが多くなると、全体にトラフィックが増大し、輻輳が発生し、廃棄を引き起こすという悪循環が生じる。
【0101】
図30は、本実施の形態でファイルの転送制御を行う第1の手法を表わしたものである。この第1の手法では、図29で時間的に並行して転送した比較的大容量の3つのファイル401〜403を、図7に示す代理中継サーバ105が一時的に格納する。そして、時刻t1にファイル401の転送を開始させ、その転送が終了したらその後の時刻t2に次のファイル402の転送を開始させる。また、ファイル402の転送が終了したらその後の時刻t3に次のファイル403の転送を開始させる。このように、大容量ファイル用の帯域411を十分確保することで、3つのファイル401〜403を廃棄なしに順番に転送する。
【0102】
この結果、図30に示した手法を採用すると、図29と比較した場合、時刻t4以降で、比較的大容量の3つのファイル401〜403の転送がすべてなくなり、破線で示した帯域がこのために再送用に使用しないで済むことになる。したがって、この破線で示した帯域を他のファイルの転送用に有効活用することができる。また、時刻t4以降の帯域に余裕が出た結果として、小容量ファイルの転送時に発生していた廃棄再送分までも減少することになる。
【0103】
図31は、本実施の形態でファイルの転送制御を行う第2の手法を表わしたものである。この第2の手法では、図29で時間的に並行して転送した比較的大容量の3つのファイル401〜403を、時間軸上で図30で示した場合よりも引き延ばして転送するようにしている。
【0104】
このように、各ファイルの転送時間を延ばして、各ファイルが輻輳を発生させることのない帯域412を図30で示した帯域411よりも狭くすることで、帯域413が余剰帯域となる。第2の手法では、この帯域413を図8で示した個々の回線114の整数倍に設定する。これにより、帯域413の広さに応じて、これに対応する回線114の本数分の回線設備を待機状態として電源を遮断し、あるいは待機時の電力に削減することができる。この図31に示した例では、比較的小容量のファイルについても転送に必要な帯域を十分確保しており、廃棄による再送がいずれのファイルでも発生していない。
【0105】
なお、図30に示した時刻t4以降では、比較的大容量の3つのファイル401〜403の転送が終了したので、図31の帯域413よりも更に広い余剰帯域を設定することができる。図30の例では、確保する帯域を大きくとったため、時刻t4までに転送が完了するため、ユーザ端末が転送のために使う電力も削減することができる。また、時刻t4以降は余剰帯域が発生するので、最低帯域を小さくすれば、稼動帯域を減設して電力を削減することができる。第1、第2の手法はいずれも、無駄な再送を省き、余剰帯域が発生するが、保有設備を増やすことができる場合は、通信量が増えたときに速度を大幅に引き上げて短時間で送信を終える第1の手法を使用し、通信量の小さい時間帯の電力削減効果だけ得ればよい。保有設備をあまり増やしたくない場合は契約帯域を絞り、転送時間を時間的に引き伸ばす第2の手法を使用し、電力削減効果とともに設備コストの抑制効果を得ることができる。
【0106】
以上説明したように本実施の形態のファイル転送システム100によれば、次に説明するような各種の効果を得ることができる。
【0107】
まず、本実施の形態ではファイル転送を行う2つの主体(ファイル管理サーバ101とユーザ端末1061)に対して、地域ネットワーク104に隣接する代理中継サーバ105が仲介してファイル容量の合計を把握するようにした。これにより、地域ネットワーク104内の回線稼働状況を適切に制御することができ、消費電力を節約できるという第1の効果が生じる。また、地域ネットワーク104内に確保する帯域を適切に制御することができ、輻輳や再送を抑制することができる。したがって、再送によって発生する帯域の無駄を防ぐことができるという第2の効果も生じる。
【0108】
また、本実施の形態ではファイル転送を行う2つの主体(ファイル管理サーバ101とユーザ端末1061)に対して、地域ネットワーク104に隣接する代理中継サーバ105が仲介してファイルを一旦キャッシュしている。このため、ファイルがまとまってから、確保した帯域を使ってファイルを一気に転送することができる。この結果、ファイル当たりの転送時間を減らすことができ、ユーザ側の設備の転送に関わる消費電力を減らすことができるという第3の効果が生じる。また、本実施の形態によれば、バックボーンネットワーク102から流入するパケットを一旦キャッシュして管理するので、地域ネットワーク104内に無秩序にパケットが流れ込むのを防ぐことができ、パケットが流れ込むタイミングを自在に制御することができるという第4の効果も生じる。
【0109】
<発明の変形可能性>
本発明の実施の形態ではTCPによる通信を利用した。このようにTCPによる通信を利用すると、ウィンドウ(Window)サイズと呼ばれるサイズまでまとめてデータを送信することができるが、受信側からの応答があるまで次の送信を待つことになる。TCPにはその後、ウィンドウのサイズを大きくできる規格の追加が行われている。近年、TCPの応答を待たずに高速化する手法も一般的に使われ始めている。そこで、これらの手法を図7に示した代理中継サーバ105とユーザ側の設備に導入することで、1ファイル当たりの転送時間を短くすることができる。
【0110】
また、以上説明した実施の形態では図30および図31に示したようにファイルを順番に転送することにした。これにより順番が後になってしまったファイルのユーザはそのファイルが代理中継サーバ105から転送されるまで比較的長時間待つことになる。この問題を解決するために、設備を予め増強しておいて、稼働回線を増設することが考えられる。しかしながら、この手法を採用すると、地域ネットワーク104の負荷の低い時間帯のランニングコストを低減することができても、最頻時に合わせた設備コストが掛かってしまう。
【0111】
このような場合には、地域ネットワーク104の負荷が下がったときにファイルのダウンロードやアップロードをするように、ユーザが依頼しておくと、負荷が下がった時間帯に代理中継サーバ105との間で自動的にファイルの送受信をすることが可能になる。これを実現するには、ネットワーク側からユーザ端末106を起動するWOL(Wakeup On Lan)と呼ばれる技術や、ユーザ端末106を、通常は省電力状態にして定期的に起動して代理中継サーバに問い合わせる手法を用いることができる。このような工夫により、ネットワークに関する設備を抑えながら、ファイル転送の時間を大幅にずらして消費する帯域を時間的に平均化することができ、設備コスト、ランニングコストをともに抑制しながら、大容量ファイルの転送を実現することができる。
【0112】
なお、本実施の形態ではファイルごとの優先順位を特に定めなかったが、一人のユーザが大量のトラフィックでファイルの転送をすることは一般に望ましくない。トラフィック自体が際限なく増加すれば、本発明においてもこれを抑制できないことは事実である。そこで、実際にはユーザごとに、1日あたりの転送ファイルサイズの制限を設け、それを超えるファイル転送は後回しにする等の制限を加えてもよい。この場合、代理中継サーバ105が、ユーザ端末106ごとの送信可能ファイルサイズを管理すればよい。
【0113】
また、以上説明した実施の形態では、パケットの送出順序と優先度について特に言及しなかったが、ある時間帯だけ占有契約をしているユーザを優先して先に送出する等のように、送信順序の優先制御を行ってもよいことはもちろんである。また、実施の形態では、代理中継サーバ105がISP接続装置111に接続するものとして説明したが、バックボーンネットワーク102上に配置されるものであってもよい。代理中継サーバ105は地域ネットワーク104のそれぞれに対応して配置されてもよいし、複数の地域ネットワーク104に統合される形で設けられてもよい。ただし、後者の場合であっても、それぞれの地域ネットワーク104ごとにパケットの制御を行うことになる。代理中継サーバ105が地域ネットワーク104のそれぞれに対応して配置される場合には、その位置が地域ネットワーク104側に存在する場合、その地域ネットワーク104の帯域管理サーバと統合された形となってもよい。
【0114】
また、実施の形態ではダウンロードあるいはアップロードの対象となるファイルの管理を行うファイル管理サーバ101をバックボーンネットワーク102上に配置した例を示したが、これに限るものではない。たとえば、バックボーンネットワーク102上に配置するサーバは、NSP(The network service provider)のアプリケーションサーバであってもよい。もちろん、本発明はバックボーンネットワーク102を介して複数の地域ネットワーク104の間でパケットが転送される場合にも適用される。この場合、ある地域ネットワーク104に、ダウンロードあるいはアップロードの対象となるサーバが配置される場合もある。ある地域ネットワーク104に配置されたサーバに他の地域ネットワーク104からアップロードするパケットの容量は、これらの地域ネットワーク104に対応して配置された代理中継サーバ105の双方あるいは一方が把握すればよい。
【0115】
更に、実施の形態では、代理中継サーバ105が地域ネットワーク104の帯域の制御を積極的に行い、これを基にして地域ネットワーク104に対するパケットの送出を行ったが、これに限るものではない。たとえば、代理中継サーバ105が帯域管理サーバ103から得た帯域に関する情報を基にして、許容される帯域の範囲内で代理中継サーバ105内に蓄積したパケットを地域ネットワーク104に送出する制御を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明した本発明の適用される分野について最後に説明する。本発明は各種の分野に利用可能である。幾つかの例を挙げる。
【0117】
まず、本発明は大容量のダウンロード型コンテンツ配信に利用することができる。帯域保証型のストリーミング配信の場合には、長時間ネットワークを占有する。このため、ネットワークの混雑しない時間にダウンロードして視聴するといった形態を発展させた方が、コンテンツ産業の発展に繋がると考えられる。コンテンツ産業の発展はネットワーク産業の発展にも寄与する。
【0118】
次に、本発明はディザスタリカバリサービスに利用することができる。ある企業拠点において、大災害等によって設備が故障する場合がある。このようなときに、重要なデータが破壊されてもすぐに復旧させることが、社会インフラとしてのネットワークの役割の中で重要になっている。大容量かつ、短時間でのデータバックアップが重要であり、地域ネットワーク内を短時間で転送できる制御方法として、本発明を役立てることができる。この場合、バックボーンネットワークには専用ネットワークを準備して遠隔地にも短時間で転送することが望ましい。
【0119】
また、本発明は防犯カメラの情報のバックアップにも利用することができる。防犯カメラ映像は一定期間保存するのが普通である。安全意識の高まりと共に、防犯カメラの使用は、企業内の不正防止、防犯、流通業の店舗内配置の効果測定等の用途へも広がっている。防犯カメラの情報をネットワーク経由でバックアップすることで、より安全、便利な社会の発展に寄与することになる。
【符号の説明】
【0120】
10、41、105 代理中継サーバ
11、41A 一時格納手段
12、41B 地域回線状況受信手段
20、103 帯域管理サーバ
21、42A 帯域設定手段
22、42B 特定経路状況通知手段
30、112 ルータ装置
31 ルーティング手段
32 回線稼働オン・オフ制御手段
40、100 ファイル転送システム
41C パケット送出制御手段
42 地域回線状況通知手段
50 ファイル転送方法
51 一時格納ステップ
52 地域回線状況受信ステップ
53 パケット送出ステップ
60 ファイル転送プログラム
61 一時格納処理
62 地域回線状況受信処理
63 パケット送出処理
101 ファイル管理サーバ
102 バックボーンネットワーク
104 地域ネットワーク
106 ユーザ端末
111 ISP接続装置
114 回線
115 集約回線
121 ルーティング部
122 回線処理部
123 回線収容部
131、151、171 マイクロプロセッサ(CPU)
132、152、172 メモリ
133、153、173 制御部
134 ダウンロード手順制御部
135 ダウンロードデータキャッシュ部
136 ダウンロードデータ転送制御部
137 アップロード手順制御部
138 アップロードデータキャッシュ部
139 アップロードデータ転送制御部
154 ファイル格納部
157 ユーザ端末処理部
158 代理中継サーバ処理部
175 帯域確保判別部
176 帯域加減設定部
177 帯域データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納手段と、
前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信手段と、
この地域回線状況受信手段の受信した前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を参考にして、前記一時格納手段に格納された前記特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記特定の地域ネットワークに送出するパケット送出制御手段
とを具備することを特徴とする代理中継サーバ。
【請求項2】
前記一時格納手段は、前記バックボーンネットワークから前記特定の地域ネットワークに転送されるパケット信号を一時的に格納する手段であり、前記パケット送出制御手段は、この一時格納手段に格納されたパケット信号の状況に応じて前記特定の地域ネットワークが転送を受けるパケット信号の帯域を制御することを特徴とする請求項1記載の代理中継サーバ。
【請求項3】
前記一時格納手段は、前記バックボーンネットワークから前記特定の地域ネットワークに転送されるパケット信号を一時的に格納する手段であり、前記パケット送出制御手段は、前記特定の地域ネットワークの回線の状況に適応してこの特定の地域ネットワークに送出するパケット信号の帯域を制御することを特徴とする請求項1記載の代理中継サーバ。
【請求項4】
前記一時格納手段は、前記バックボーンネットワークから前記特定の地域ネットワークに転送されるパケット信号を一時的に格納する手段であり、前記パケット送出制御手段は、送出するパケット信号の送出タイミングを制御することを特徴とする請求項1記載の代理中継サーバ。
【請求項5】
前記パケット送出制御手段は、送出するパケット信号のうち所定以上帯域を必要とするものを択一的に選択して時間的に重複しないように送出することを特徴とする請求項4記載の代理中継サーバ。
【請求項6】
前記地域回線状況受信手段は、前記特定の地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続されたそれぞれの回線の帯域管理を行う帯域管理サーバからの前記特定の地域ネットワークにおけるファイルのアップロードあるいはダウンロードを行うユーザ端末と前記バックボーンネットワークまでの経路における帯域の設定情報を受信することを特徴とする請求項5記載の代理中継サーバ。
【請求項7】
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続されたそれぞれの回線の帯域の設定を行う帯域設定手段と、
前記地域ネットワーク上のユーザ端末が前記バックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際にこれら地域ネットワークとバックボーンネットワークの接続部分に設けられたパケット転送を制御する転送制御手段に対して前記帯域設定手段の設定内容に基づいた前記ユーザ端末と前記バックボーンネットワークまでの特定経路における前記帯域設定手段による回線の帯域の設定状況を通知する特定経路状況通知手段
とを具備することを特徴とする帯域管理サーバ。
【請求項8】
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークを構成する回線のうちの自装置に収容されたそれぞれの回線のルーティング制御を行うルーティング手段と、
前記地域ネットワークの経路ごとに帯域を設定する手段から前記各回線のそれぞれの稼働のオン・オフの指示を受信して前記ルーティング手段に接続された回線の帯域および給電状態を制御する回線稼働オン・オフ制御手段
とを具備することを特徴とするルータ装置。
【請求項9】
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納手段と、前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信手段と、この地域回線状況受信手段の受信した前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記一時格納手段に格納された前記特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記特定の地域ネットワークに送出するパケット送出制御手段とを備えた代理中継サーバと、
前記特定の地域ネットワークに配置された各ルータ装置に接続された各回線の帯域の設定を行う帯域設定手段と、前記特定の地域ネットワーク上のユーザ端末が前記バックボーンネットワークを通じてファイルのアップロードあるいはダウンロードを行う際に前記代理中継サーバに対して前記ユーザ端末と前記バックボーンネットワークまでの特定経路における前記帯域設定手段による回線の帯域の設定状況を通知する特定経路状況通知手段とを備えた地域回線状況通知手段
とを具備することを特徴とするファイル転送システム。
【請求項10】
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納ステップと、
この一時格納ステップでファイルを格納したとき前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信ステップと、
この地域回線状況受信ステップで受信した前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記一時格納手段に格納された前記特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記特定の地域ネットワークに送出するパケット送出ステップ
とを具備することを特徴とするファイル転送方法。
【請求項11】
前記パケット送出ステップは、前記一時格納ステップで一時的に格納したパケット信号の状況に応じて前記特定の地域ネットワークが転送を受けるパケット信号の帯域を制御する帯域制御ステップを具備し、この帯域制御ステップで帯域を制御した前記特定の地域ネットワークにパケット信号を送出することを特徴とする請求項10記載のファイル転送方法。
【請求項12】
前記パケット送出ステップは、前記地域回線状況受信ステップで受信した前記特定の地域ネットワークの回線の状況に適応してこの特定の地域ネットワークに送出するパケット信号の帯域を設定する帯域設定ステップを具備し、この帯域設定ステップで設定した帯域で前記特定の地域ネットワークにパケット信号を送出することを特徴とする請求項10記載のファイル転送方法。
【請求項13】
前記パケット送出ステップでは、送出するパケット信号の送出タイミングを制御することを特徴とする請求項10記載のファイル転送方法。
【請求項14】
コンピュータに、
基幹通信回線としてのバックボーンネットワークと、このバックボーンネットワークに接続された特定の地域ネットワークの間を転送されるパケット信号を一時的に格納する一時格納処理と、
この一時格納処理でファイルを格納したとき前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況を受信する地域回線状況受信処理と、
この地域回線状況受信処理で受信した前記特定の地域ネットワークを構成する回線の状況に合わせて前記一時格納手段に格納された前記特定の地域ネットワーク向けのパケット信号を読み出して、輻輳の生じにくい通信形態で前記特定の地域ネットワークに送出するパケット送出処理
とを実行させることを特徴とするファイル転送プログラム。
【請求項15】
前記パケット送出処理では、前記一時格納処理で一時的に格納したパケット信号の状況に応じて前記特定の地域ネットワークが転送を受けるパケット信号の帯域を制御する帯域制御処理を実行し、この帯域制御処理で帯域を制御した前記特定の地域ネットワークにパケット信号を送出する処理を行うことを特徴とする請求項14記載のファイル転送プログラム。
【請求項16】
前記パケット送出処理では、前記地域回線状況受信処理で受信した前記特定の地域ネットワークの回線の状況に適応してこの特定の地域ネットワークに送出するパケット信号の帯域を設定する帯域設定処理を実行し、この帯域設定処理で設定した帯域で前記特定の地域ネットワークにパケット信号を送出する処理を行うことを特徴とする請求項14記載のファイル転送プログラム。
【請求項17】
前記パケット送出処理では、送出するパケット信号の送出タイミングを制御する処理を行うことを特徴とする請求項14記載のファイル転送プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−219655(P2010−219655A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61413(P2009−61413)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】