説明

代謝性疾患の治療用のエンドセリン及びエンドセリン受容体アゴニスト

本発明は、食物摂取を減少させることにより軽減できる症状又は障害の治療方法を開示する。当該方法は、有効量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、単独で、又は十分な影響を及ぼす他の化合物又は組成物との組み合わせで投与することを含んでなる。当該方法は、肥満、2型糖尿病、摂食障害及びインスリン抵抗性症候群などの症状又は障害の治療に有用である。また、本発明の方法に用いられる医薬品組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は2006年3月23日に出願の米国仮特許出願第60/785447号に基づく優先権を主張し、その全開示内容を本願明細書中に援用する。
【0002】
(技術分野)
本発明は広義には医学及び健康の分野に関する。具体的には本発明は、少なくとも1つのエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストを使用する、患者の食物摂取を軽減させる、体重を減少させる、又は代謝性疾患(例えば糖尿病及び肥満)を治療するための方法及び組成物の提供に関する。
【背景技術】
【0003】
特に先進諸国(例えば米国)では、何百万人もの人が肥満である。世界保健機構によると、世界中で10億人以上の成人が体重超過であり、それらのうちの少なくとも3億人が肥満(30超の体格指数(BMI))である。Smyth他,Nature Medicine12:75−80(2005)。米国のみでは、約65%の成人が体重超過若しくは肥満である。驚くことに、世界中の約10%の児童が体重超過及び肥満である。Yach他,Nature Medicine12:62−66(2005)。過剰な重量は、個人の心血管疾患、脳卒中、骨関節炎、2型糖尿病、睡眠時無呼吸、呼吸器疾患、胃食道逆流症、メタボリックシンドローム、癌、並びに心理的結果(例えば低い自尊心及び臨床的鬱病)を含む無数の症状及び疾患の原因となる。重要なことに、肥満はまた、病的状態、及び実質的に全て他の疾患に由来する死亡率を著しく増加させる。
【0004】
肥満の病因は通常多く考えられるが、基本的な原因としては、エネルギー支出に対する不相応に高いカロリー摂取(すなわち食品又は栄養)が挙げられる。過剰なカロリーは、更なる脂肪又は脂肪組織の産生をもたらす。かかる脂肪組織を徐々に減少させることにより、肥満による望ましくない結果を減少若しくは排除することもできる。典型的には、例えば全カロリー摂取の制限のみ、あるいはそれに加えて運動などによるエネルギー支出の増加を組み合わせることにより、脂肪組織の減少が可能となる。
【0005】
解決方法は単純であるものの、特に肥満患者では、体重超過及び肥満の個人において、継続的に体重を減少させることは非常に困難である。治療戦略は多岐にわたり、食事及び運動療法、行動変化、食欲抑制剤及び食品吸収抑制剤のような薬物療法、並びに胃バイパス手術、及び機械装置(例えば顎ワイヤ、ウエストコード及びバルーン)などの使用が挙げられる。これらの各々のストラテジーの最終目的は、食品又は栄養の取り込みの継続的な減少である。しかしながら、様々な要因の存在により、継続的な食物摂取の減少という目的を達成することが困難になっている。極端な肥満の場合には、幾つかの治療方法は単に不適当である。例えば、これらの個人は身体が大きすぎるために運動が困難であったり、又は外科的介入が行いにくかったりする。また、体脂肪の減少が必要であるにもかかわらず、除脂肪体重の減少はむしろ望ましくない。除脂肪体重は体の筋肉、不可欠な器官、骨、関節及び他の非脂肪組織からなり、その損失は個人の健康にとり有害である。しかしながら、多くの治療により、脂肪組織の減少と同時に除脂肪体重の減少が生じ、治療により個人が衰弱するおそれがある。食物摂取の継続的な減少を困難にする更なる要因として、急激なカロリー制限後の食欲増進、及びエネルギーレベルの減少が挙げられる。
【0006】
エンドセリンは、健康及び心血管系機能の維持において鍵となる物質である。例えば、Miyauchi他,Ann.Rev.Physiol.61:391−415(1999)を参照のこと。ある研究グループは、代謝性障害(例えば肥満及び糖尿病)の治療において、エンドセリン系を標的とすることを提案しており、詳細には、エンドセリン変換酵素−2(ECE−2)の酵素活性を妨害することにより、エンドセリンの発現をアンタゴナイズ又はブロックする方法及び組成物の使用を特徴とする方法論である。米国特許出願第2003/0232044号を参照のこと。換言すれば、ECE−2活性のモジュレータを使用してエンドセリン活性を低下させるか又は除去することにより、代謝性障害の治療をする方法である。
【0007】
世界的に肥満の患者数が増加している状況から、食物摂取を減少させて体重減少を誘発し、同時に長期間にわたり体重減少を維持するための有効な方法に対する切実な必要性が存在する。エンドセリン及びエンドセリン受容体アゴニストが食物摂取を減少させるという知見から、各種症状及び障害の新規な代替的治療方法を見出すに至った。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、食物摂取を減少させることにより軽減できる症状又は障害を治療するための方法及び組成物であって、有効量のエンドセリン若しくはエンドセリンアゴニストを、単独で、あるいは食物摂取を減少させるか、満腹感を誘発するか又は体重減少若しくは維持を促進する他の化合物又は組成物との組合せで投与することを含んでなる、上記方法及び組成物を提供する。かかる方法は、肥満、2型糖尿病、メタボリックシンドローム及びインスリン抵抗性症候群などの症状を治療する際に有用である。
【0009】
すなわち、本発明の1つの態様では、望んでいる又は必要とする患者に、食物摂取の減少に効果的な量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを投与することによって、食物摂取を減少させる方法の提供に関する。
【0010】
本発明の他の態様では、望んでいる又は必要とする患者に、体重の減少若しくは維持に効果的な量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを投与することによって、体重を減少させ若しくは維持する方法の提供に関する。
【0011】
本発明の他の態様では、望んでいる又は必要とする患者に、肥満の治療に効果的な量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを投与することによって、肥満を治療する方法の提供に関する。
【0012】
本発明の他の態様では、望んでいる又は必要とする患者に、代謝性障害の予防若しくは治療に効果的な量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを投与することによって、代謝性障害を予防若しくは治療する方法の提供に関する。幾つかの実施形態では、前記代謝性障害は、肥満、真性糖尿病、インシュリン耐性症候群、エックス症候群、又は過剰なカロリー摂取と関連する障害である。
【0013】
上記の方法の一実施形態では、当該エンドセリンは、エンドセリン−1(例えば配列番号1−6の少なくとも1つ)、エンドセリン−2(例えば配列番号7−9)、又はエンドセリン−3(例えば配列番号10−13)である。一実施形態では、当該エンドセリンはエンドセリン−3である。他の実施形態では、当該エンドセリンは配列番号1、7、10のいずれか1つ、又はそれらのあらゆる組み合わせである。他の実施形態では、当該エンドセリンは配列番号1−13のいずれか1つ、又はそれらのあらゆる組み合わせ(特に配列番号1−13の1又は複数を除く各サブセットを含む)である。更に別の実施形態では、エンドセリンは、配列番号1、7又は10のいずれか1つと、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有する。更に他の実施形態では、当該エンドセリンアゴニストは、配列番号1、7又は10のいずれか1つと比較して、5未満のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加、又は10未満のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を含むエンドセリン類似体である。他の実施形態では、当該エンドセリンアゴニストは、配列番号1、7又は10のいずれか1つと比較し、5未満でアミノ酸置換を含むエンドセリン類似体である。
【0014】
他の実施態様では、当該エンドセリンアゴニストはエンドセリン−1、エンドセリン−2又はエンドセリン−3の断片であって、当該断片はET又はET受容体と結合して活性化させる。他の実施形態では、当該断片は選択的にET受容体と結合して活性化させ、その一方で、一実施形態では、当該断片はET受容体と結合して活性化させるが、ET受容体を活性化させない。一実施形態では、当該断片は、全長エンドセリン(例えば配列番号1−13)と比較し、7超のアミノ酸削除を含まない。
【0015】
更に他の態様では、当該エンドセリン受容体アゴニストは、サラフォトキシン(例えば配列番号15、16、17、18、31又は32のいずれか1つ)である。また、配列番号15、16、17、18、31又は32のいかなる組合せ(そのサブセットを含む)も包含されるが、上記の配列番号の1つ以上は除く。更に別の実施形態では、サラフォトキシンは、配列番号15、16、17、18、31又は32のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、サラフォトキシンは、配列番号15、16、17、18、31又は32のいずれか1つと比較し、10又は5未満の、アミノ酸削除、加算又は置換を含む。一実施形態では、サラフォトキシンは選択的にET受容体と結合して活性化させる。
【0016】
更なる態様では、当該エンドセリンアゴニストはデルマセプチンであり、更なる具体的実施形態では、上記デルマセプチンはアデノレグリンである。一実施形態では、デルマセプチン又はアデノレグリンは、配列番号20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64のいずれか1つのアミノ酸配列、又はそれらのあらゆる組み合わせ(そのあらゆるサブセットを含む)を有するが、具体的には配列番号20〜30及び33〜64の1又は複数を除く。更に別の実施形態では、デルマセプチン又はアデノレグリンは、配列番号20〜30又は33〜64のいずれか1つと、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、デルマセプチン又はアデノレグリンは、配列番号20〜30又は33〜64のいずれか1つと比較し、10未満又は5未満のアミノ酸削除、加算又は置換を含む。一実施形態では、デルマセプチン又はアデノレグリンは、選択的にET受容体と結合して活性化させる。
【0017】
本発明で開示される方法はまた、化合物の投与を更に含んでなり、前記化合物は満腹感を誘発するか、食物摂取を減少させるか、又は体重の減少若しくは維持を促進する。かかる化合物としては、非制限的に、エキセンディン、アミリン、PYY、レプチン、オキシントモジュリン、ニューロメディン又はコレシストキニン(CCK)、それらのアゴニスト類似体又はその誘導体を含み得る。特定の実施態様では、当該エンドセリンアゴニストは、アデノレグリン、IRL1620、サラフォトキシンS6c又はそれらのあらゆる組み合わせである。
【0018】
幾つかの実施形態では、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストはET受容体を経て作用する。具体的実施形態では、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストはET受容体を経て作用しない。
【0019】
本発明は更に、食物摂取を減少させることにより軽減できる症状又は障害の治療用の、少なくとも1つのエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを含んでなる製剤の、前記症状の治療に効果的な量における使用の提供に関する。本発明は更に、効果を発揮させるか、又は疾患若しくは障害を治療するため薬剤の製造のための、少なくとも1つのエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの使用の提供に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、希望する又は必要とする患者への食物摂取の減少又は体重の減少のための、エンドセリン及びエンドセリン受容体アゴニストの使用の提供に関する。エンドセリンは、多くの通常の生理学的及び病態生理学的な状態において、強力な活性を発揮する。例えばKedzierskiら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:851−76(2001)を参照。エンドセリンは、ベースの血管緊張を維持し、脈管成長を調整する強力なパラクリン血管収縮ペプチドとして作用する。これらのペプチドは、酸塩基バランス及び神経伝達と同様に、肺気道及び血管の緊張を制御し、腎臓水及びナトリウム分泌を調整する。逆にいえば、エンドセリンはまた、高血圧、動脈硬化、心肥大、鬱血性心不全、肺高血圧及び腎不全の発達及び病理に関与する。エンドセリン産生及び活性化を刺激する因子としては、トロンビン、TGF−β、TNF−α、ノルエピネフリン及びインシュリンが挙げられる。例えばMiyauchiら、Ann.Rev.Physiol.61:391−415(1999)を参照。しかしながら現在まで、エンドセリンの肥満及び糖尿病における唯一の役割としては、これらの疾患患者において観察される血管合併症及び高血圧のコントロールしか知られていなかった。例えばWolpertら、Metabolism 42:1027−30(1993)、Ferriら、Exp.Clin.Endocrinol.Diabetes 105(S2):38−40(1997)を参照。
【0021】
本発明では、エンドセリンの全身投与が食物摂取、減少体重又はその両方を減少させるという発見に関して開示する。従って、エンドセリン及びエンドセリン受容体アゴニストを使用して体重を減少させる方法は、代謝性障害(例えば肥満、2型糖尿病、インシュリン抵抗、エックス症候群、メタボリックシンドローム、及び望ましくないか過剰なカロリー摂取と関連する他の障害)の治療への新規な治療アプローチを意味する。かかる患者の食物摂取を減少させることは、これらの患者の血漿ブドウ糖濃度、血漿脂質濃度及び心血管疾患の危険度を減少させる際に有用である。
【0022】
特に明記しない限り、本発明で用いられる全ての専門的な及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本発明では、参照される全ての特許、特許出願、公表された特許出願及び他の刊行物の全内容を、本願明細書中に援用する。この部分で記載する定義が、本発明に参照によって援用される特許、特許出願、公表された特許出願及び他の刊行物に記載される定義と異なる若しくは矛盾する場合には、この部分に記載されている定義が、引用により援用される文献の定義に対して優先する。
【0023】
本発明で用いられる「a」又は「an」という語は、「少なくとも1つ」又は「1又は複数」という意味を有する。
【0024】
「食物摂取を減少させることにより治療、軽減、又は予防できる症状又は障害」とは、比較的多量の食物摂取によって生じ、悪化し、若しくは進行するか、又は、食物摂取及び/又は体重を減少させることにより軽減若しくは回避できる、患者のあらゆる症状又は障害のことを指す。かかる症状又は障害は、非制限的に、肥満、糖尿病(2型糖尿病など)、インスリン抵抗性症候群及びエックス症候群などを含む。食物摂取の減少はまた、体重を制御し、減少させ又は維持し、1日のカロリー摂取量を減少させる食餌計画により補助することができる。
【0025】
「エンドセリンアゴニスト」という用語は、エンドセリン受容体と結合して、その受容体においてエンドセリンが有する食物摂取減少作用を模倣し、その結果食物摂取の減少をもたらす、あらゆる単離された、天然の、又は合成された化合物のことを指す。すなわち、本発明では、エンドセリンアゴニスト及びエンドセリン受容体アゴニストは同義的に用いられる。幾つかの実施形態では、エンドセリンアゴニストは、特にエンドセリン−1、エンドセリン−2又はエンドセリン−3の1又は複数の作用を模倣する。生物学的機能としては、1又は複数のシグナリング物質の活性化{例えばPLC活性化、ホスホリパーゼA活性化、ホスホリパーゼD活性化、MAPK活性化、プロトオンコジーン(例えばc−fos、c−myc、c−jun)発現又はShc−Grb2複合体の形成}などが挙げられる。かかる活性は、標準的な技術及び分析方法に従い、in vitro又はin vivoで測定できる。例えば、Badrら、J.Clin.Invest.83:336−42(1989)、Takuwaら、J.Clin.Invest.85:653−58(1990)、Resnikら、Eur.J.Biochem.189:415−21(1990)、Cazaubonら、J.Biol.Chem.269:24805−09(1994)、Wangら、Am.J.Physiol.267:C1130−35(1994)、Simonsonら、J.Biol.Chem.267:8643−49(1992)を参照のこと。
【0026】
本発明で使用する「肥満(obesity又はobese)」なる用語は、典型的には、30kg/m又はそれ以上の肥満度指数(BMI)を有する個人のことを指す。National Institute of Health,Clinical Guidelines on the Identification,Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults(1998)を参照のこと。用語「体重超過」とは、25kg/m超であるが30kg/m未満である肥満度指数(BMI)を有している個人か、又はそれらのBMIに関係なく、体重を減少させたいという願望を有する個人のことを指す。BMIとは、身長に対する体重の関係(又は比率)を表す測定値であり、個人の体重(kg)を、その個人の身長(m)の二乗で除算する(すなわちwt/(ht))計算式に基づいて算出される。
【0027】
「代謝障害」という用語は、異常なエネルギーの使用又は消費によって身体内で生じるか又は特徴づけられる、障害、疾患及び症状のことを指す。代謝性疾患の例としては、例えば肥満、2型糖尿病、インシュリン抵抗症候群、メタボリックシンドローム及びエックス症候群が挙げられる。
【0028】
本発明で用いる用語「患者」には、ヒト、並びに家畜及び牧場に棲む動物、ヒト以外の霊長類、並びに動物園に棲む動物、競技用動物又はペット(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシなど)、並びに他の哺乳類が包含される。当該患者が、食物摂取の減少、減量、若しくは体重減少の持続が望ましいか必要である存在であることは、熟練した当業者であれば容易に理解できる。具体的実施形態では、当該患者はヒトである。
【0029】
「治療」又は「治療すること」という用語は、症状若しくは障害を有するか、又は当該症状若しくは障害に罹患する傾向を有する患者に対して1又は複数の治療薬を投与することを指し、当該投与は、当該症状又は障害、あるいは当該症状又は障害の傾向の少なくとも1つの進行を軽減し、緩和し、変化させ、修復し、改善し、改善し、影響を及ぼし、進行を減速若しくは停止させ、悪化を減速若しくは停止させるために行われる。
【0030】
エンドセリン系は、3つのエンドセリン、2つのエンドセリン受容体、並びに2つのエンドセリンに特異的なプロテアーゼを含んでなる。エンドセリンは、3つのアイソフォームの1つとして存在する{エンドセリン−1(ET−1)、エンドセリン−2(ET−2)、又はエンドセリン−3(ET−3)}。各エンドセリンは、約200のアミノ酸残基のプレプロエンドセリンを開始物質とする。フリン様エンドペプチターゼは、2つの塩基性の部位でプレプロエンドセリンを切断し、大分子エンドセリン(大分子ETs)又はプロエンドセリンとして公知の約37〜41アミノ酸の生物学的不活性中間体が形成される。エンドセリン変換酵素(例えばECE−1及びECE−2)は更に大分子ETsを切断し、生物学的活性を有する21アミノ酸の最終生成物を形成する。哺乳類では、2つのエンドセリン受容体(ET及びET)が発現される。これらのG共役受容体は、その〜400アミノ酸配列中に7つの膜貫通ドメインを有し、ホスホリパーゼC−β活性化、細胞内Ca2+増加及び初期遺伝子発現などのシグナル伝達カスケードを誘導する。当該受容体は、3つのETsにそれぞれ固有の親和性を示す。ETは、ET−1及びET−2とナノモル以下の親和性を示す(20〜60pm)が、ET−3とは親和性を示さない(6500pm)。ETは、ET−1、ET−2及びET−3と同様の親和性を示す。例えばAraiら、Nature 348:730−32(1990)、Sakuraiら、Nature 348:732−35(1990)、Sakuraiら、TiPS 13:103−08(1992)、米国特許第6821743号を参照。
【0031】
ET−3/ET系は、ET−1/ET系とは別の機能を有する。ET−1/ET系は、脈管構造の全体にわたって観察されるET発現による、増殖及び血管収縮における効果を媒介すると考えられる。すなわち、ETアンタゴニストは止血を復元するためにしばしば使用される。一方、ET発現は、腸、下垂体、脳、顎下腺、脳、心臓、腎臓、空腸及び胃では顕著に抑制されていると考えられる。例えばMatsumotoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.164:74−80(1989)、Shibaら、Biochem.Biophys.Res.Commun 186:588−94(1992)を参照。ET−3/ETは若干の症状においても血管収縮及び細胞増殖を媒介するが、主に血管緊張低下を媒介すると考えられる。
【0032】
典型的には、エンドセリンの循環濃度は、生物学的活性に必要な濃度より低い。例えば、血管壁内の局所ET−1濃度は、血漿のレベルに対して≧100倍である。例えばKedzierskiら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:851−76(2001)を参照。エンドセリンの血管活性化活性には高い局所濃度が必要となるため、エンドセリンアンタゴニスト及びアゴニストを低用量で全身投与することにより、エンドセリンの他の効果が期待できる。例えば、エンドセリンアゴニストは、全身投与の後に、負の心血管効果を生じさせることなく、動物の化学療法により媒介される腫瘍後退を促進したことが報告されている。米国特許出願公開第2004/0138121号、Rajeshkumarら、Breast Cancer Res.94:237−47(2005)を参照のこと。
【0033】
ET−1、ET−2又はET−3のいずれかの好適な源は、本発明の方法に係るETに使用できる。ETsは、天然給源から単離、精製してもよく、又は分子生物学技術(例えば外生的な調製)を使用するか、又は化学合成を使用して調製してもよい。一実施形態では、開示された組成物及び方法にとり有用なETsは、大分子ETs(プロETs)又はプレプロETsを含まない。他の実施形態では、開示された方法及び組成物にとり有用なETsは、36アミノ酸若しくはそれ以下のアミノ酸からなる配列を有する。本発明の方法及び組成物に用いられる典型的なエンドセリンを表1に示す。典型的には、エンドセリンは4つのシステイン残基を含み、外側の2つ、及び内側の2つのシステイン間にジスルフィド結合が形成される。例えば、配列番号1では、ジスルフィド結合はC及び15Cとの間、並びにC及び11Cとの間に存在する。一実施形態では、エンドセリン及びエンドセリンアゴニストは、本発明に記載のエンドセリン、サラフォトキシン、デルマセプチン又はアデノレグリンを含んでなる不活性形(プロドラッグ)の状態で患者に投与してもよい。好適なプロドラッグ形としては、プレプロエンドセリン又は大分子ETが挙げられる。
【0034】
表1:エンドセリンの例
【表1】

【0035】
例示的なETアゴニストとしては、非制限的に、ET−1、ET−2又はET−3の類似体、派生物又は機能性断片などを含む。さらに、エンドセリンの代表的な配列としては、非制限的に、Inoueら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2863−67(1989)、及び米国特許第5294569号、第5231166号及び第4981950号(これらの開示内容を本願明細書に援用する)に開示されるものが挙げられる。当該類似体、誘導体又は断片は、標準的な分子生物学的技術又は化学合成を使用して調製でき、本発明で記載されているような還元食物摂取の減少、体重の減少又はその両方など、生物学的機能又は活性を有する。一実施形態では、当該アゴニストはET受容体と結合する。具体的実施形態では、当該アゴニストは選択的にET受容体と結合するが、ET受容体とは顕著に結合せず、標準的なアッセイにおいても検出可能なET活性化が観察されない。一実施形態では、当該アゴニストはET受容体と結合しない。幾つかの実施形態では、エンドセリンアゴニストは、ET受容体よりも、例えば少なくとも5倍、10倍、25倍、100倍、200倍又は1000倍超の親和性でET受容体と結合する。
【0036】
開示された方法において有用なETアゴニストとしては、非制限的に、BQ−788(Clinalfa AG社、N−シス−2,6−ジメチルピペリジノカルボニル−L−γ−メチルロイシル−D−1−メトキシカルボニルトリプトファニル−D−ノルロイシン、Ishikawaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:4892(1994))、IRL1620(N−スクシニル−[Glu、Ala11,15]−エンドセリン1の8−21フラグメント、Takai,ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.184:953(1992))、BQ−3020(N−アセチル−[Ala11,15]−エンドセリン1 6−21フラグメント、Iharaら、Life Sci.51:PL47−PL52,(1992))、及び、[Ala1、3、11、15]ET−1(ASASSLMDKEAVYFAHLDIIW[配列番号14])を含む。
【0037】
ETアゴニストの他の給源は、サラフォトキシンである。burrowing asp(Atractaspic engadensisan)から単離されたこの凝血原毒素は、選択的にETと結合する。Takasakiら、Toxicon 26:543−48(1988)を参照。例示的なサラフォトキシンETアゴニストを、表2に示す。更なるサラフォトキシンとしては、CSCNDMNDKECMYFCHQDVIW(配列番号31)及びCSCKDMSDKECLNFCHQDVIW(配列番号32)を含む。エンドセリンの様に、サラフォトキシンのシステイン残基同士の外側の及び内側の対の間にジスルフィド結合があってもよい。
【0038】
表2:サラフォトキシンETアゴニストの例
【表2】

【0039】
更に別の実施形態では、ET受容体アゴニストはアデノレグリンである。例えばDonlyら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:10960−963(1992)、Amicheら、Biochem.Biophys.Res.Comm.191:983−90(1993)を参照。アデノレグリンの周知の配列としては、Genbank配列X70278及びX72387が挙げられる。元々、カエルPhyllomedusa bicolorの皮膚から単離され、アデノレグリンはデルマセプチンの1シリーズ(抗菌性ペプチドの1シリーズ)に属する。例えばAmicheら、J.Biol.Chem.269:17847−52(1994)、Zhouら、Biotechnol.Lett.27:725−30(2005)を参照。典型的なアデノレグリンを表3に示す。更なる典型的なアデノレグリンの投与による、食物摂取の減少の実施例を、表4に示す。一実施形態では、エンドセリン受容体アゴニストは、媒体又は処置なしと比較し、投与後120分で、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも70%の食物摂取の減少を示す。
【0040】
表3:アデノレグリンの例
【表3】

【0041】
表4:アデノレグリンによる120分の食物摂取(FI)の阻害%
【表4】

【0042】
更なるET受容体アゴニストは、公知技術の方法を使用して容易に同定できる。例えばDavenport,Pharmacological Rev.54:219−26(2002)、米国特許第6821743号を参照。例えば、ET、ET又はその両方を発現する細胞における周知のエンドセリン誘導性活性のin vitro若しくはin vivo分析を使用することにより、アゴニストは容易に同定できる。かかる細胞は、周知の分子生物学技術を使用して、内生的又は外生的に受容体を発現することができる。一実施形態では、選択的なETアゴニストは、ETと結合しないか又は顕著にETを活性化しない。反対に、他の実施形態では、選択的なETアゴニストは、ETと結合しないか又は顕著にETを活性化しない。
【0043】
かかるアゴニストとしては、多数の化学物質の種類が挙げられる。特定の実施形態では、それらは有機分子(好ましくは50Da超〜約2,500Da未満の分子量を有する小分子の有機化合物)である。ET受容体アゴニストはまた、抗体、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド擬態、糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はそれらの組み合わせなどの生体分子であってもよい。幾つかの実施形態では、ET受容体アゴニストは、ペプチド及びタンパク質薬品、例えば抗体又はその結合断片又は擬態(例えばFv、F(ab’)及びFab)であってもよい。周知の薬剤を用いて、特定の、若しくはランダムな化学的処理(例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化など)に供し、非選択的若しくは選択的なET受容体アゴニストとして作用する構造類似体を調製してもよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、ET受容体アゴニストはエンドセリン変異体(例えばET−1、ET−2又はET−3の類似体又は機能性断片)である。機能性断片とは、21未満のアミノ酸を有し、依然としてエンドセリン受容体と結合して活性化させ、食物摂取及び/又は体重の減少をもたらす機能を有するエンドセリンのことである。類似体は、5つ以下のアミノ酸置換を有し、配列番号1、配列番号7又は配列番号10の配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有するものを含む。他の実施形態では、エンドセリン誘導体は、周知のエンドセリン(例えば配列番号1、配列番号7又は配列番号10)と比較し、10以下、7以下、5以下、4以下、3以下、2以下又は単一のアミノ酸の欠失、付加又は置換を有する。ヒト以外の種由来のET−1、ET−2、及びET−3配列も包含される。
【0045】
幾つかの実施形態では、ET受容体アゴニストは、変異体(例えば本発明の表2又は3のサラフォトキシン又はアデノレグリンの類似体又は機能性断片)である。機能性断片とは、21未満のアミノ酸を有し、依然としてエンドセリン受容体と結合して活性化させ、食物摂取及び/又は体重の減少をもたらす機能を有するエンドセリンのことである。類似体とは、5つ以下のアミノ酸置換を有し、表2又は3の配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有するもののことである。他の実施形態では、当該変位体は、表2又は3の配列と比較し、10以下、7以下、5以下、4以下、3以下、2以下又は単一のアミノ酸の欠失、付加又は置換を有する。ヒト以外の種に由来する変異体の配列も包含される。
【0046】
「配列同一性」とは、従来技術において公知のように2以上のポリペプチド配列又は2以上のポリヌクレオチド配列の関係のことを指し、それらの配列を比較することによって決定される。従来技術においては、「同一性」とは、かかる配列間をマッチさせることによって定まる、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列の相関性の程度を意味する場合もある。同一性は、非限定的に、以下の文献などに記載の周知の方法によって容易に算出できる:Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York(1988)、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey(1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press(1987)、Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,Stockton Press,New York(1991)、及びCarillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J Applied Math,48:1073(1988)。同一性を決定する方法は、試験される配列間に最も大きなマッチが形成されるように設計されている。更に、同一性を決定する方法は、一般公開されているプログラムにコードされている。2つの配列間の同一性の決定に使用できるコンピュータプログラムとしては、非限定的に、GCG(Devereux,Jら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984);一連の5つのBLASTプログラムであって、3つはヌクレオチド配列問(BLASTN、BLASTX及びTBLASTX)用に設計され、2つはタンパク質配列質問(BLASTP及びTBLASTN)用に設計されている(Coulson,Trends in Biotechnology,12:76−80(1994)、Birrenら、Genome Analysis,1:543−559(1997))を含む。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のサイトから一般公開されている(BLAST Manual,Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH,Bethesda,MD 20894、Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))。公知のスミスウォーターマンアルゴリズムも、同一性の決定に使用できる。
【0047】
ポリペプチド配列比較のパラメータとしては、典型的には以下のものが挙げられる:
アルゴリズム:Needleman及びWunsch,(J.Mol.Biol.48):443−453(1970);比較マトリックス:BLOSSUM62 from Hentikoff及びHentikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915−10919(1992);Gap Penalty:12;Gap Length Penalty:4。これらのパラメータによって使用できるプログラムは、Genetics Computer Group(“GCG”)(マディソン、ウィスコンシン)の“gap”プログラムとして一般公開されている。エンドギャップに対するペナルティなしの上記パラメータは、ペプチド比較におけるデフォルトパラメータである。一実施形態では、NCBIのBLASTPプログラムを、デフォルトパラメータを構成的に調整せずに用いるが、但し、予想値:10;文字サイズ:3;BLOSUM62マトリックス;ギャップ伸長コスト:11;エンドギャップ伸長コスト:1;Blast伸長におけるドロップオフ(X):7(ビット);ギャップアラインメントのドロップオフ(X):15(ビット);ギャップアラインメントの最終ドロップオフ(X):25(ビット)とするのを除く。
【0048】
本発明は、少なくとも1つのエンドセリン又はそのアゴニストを投与することによって、望んでいる又は必要とする患者に食物摂取を減少させるか、又は体重を減少させる(又は維持する)、あるいはその両方のための方法の提供に関する。かかる患者は、典型的には、食物摂取の減少、体重の減少(又は維持)又はその両方から利益を得る症状又は障害を有するか、又はかかる症状若しくは障害を呈する危険を有する患者である。すなわち、本発明の一態様は、体重の減少を望んでいる又は必要とする患者に、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストの有効量を投与することを含んでなる、患者の体重を減少させる方法の提供に関する。本発明は更に、必要とする患者に、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストの有効量を投与することを含んでなる、患者の肥満の治療方法の提供に関する。本発明は更に、代謝性障害に罹患するか又は罹患する危険性を有している、患者にエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの有効量を投与することを含んでなる、それを望む患者の代謝性障害の予防若しくは治療方法の提供に関する。幾つかの実施形態では、当該代謝性障害は、肥満、真性糖尿病、インシュリン耐性症候群、メタボリックシンドローム、エックス症候群、あるいは過剰なカロリー摂取、又は食品若しくはエネルギー代謝の異常調整から生じる他の障害である。一実施形態では、代謝性障害を有する患者はまた肥満、体重超過であり、体重の減少又は維持を望んでいるか、又は体重の更なる増加の防止を望んでいる。
【0049】
エンドセリンは、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、又はその類似体、誘導体、機能性断片又はそれらの組み合わせであってもよい。具体的実施形態では、エンドセリンはヒトエンドセリン−3(配列番号10)である。幾つかの実施形態では、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストはET受容体を介して作用する。具体的実施形態では、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストはET受容体を介して作用しないか、又はET受容体との親和性が低い。他の実施形態では、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストはET受容体と選択的に作用する。一実施形態では、食物摂取を減少させるのに効果的な量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストを投与することを含む食物摂取を減少させることにより軽減できる症状又は障害の治療を望んでいるか又は必要とする患者には、心血管兆候のためのエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの投与を受けている患者を含まない。
【0050】
本発明は、食欲を抑制するか又は満腹感を誘発する方法であって、それらを望んでいるか又は必要とする患者に、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、食欲を抑制するか又は満腹感を誘発するのに効果的な量で投与することを含んでなる方法の提供に関する。
【0051】
本発明で開示される方法はまた、更なる化合物の投与を含み得、ここで当該更なる化合物は満腹感を誘発し、食物摂取を減少させ、又は体重を維持若しくは減少させる。かかる更なる化合物としては、非制限的に、エキセンディン又はそのアゴニスト(米国特許第6956026号、国際公開第99/25727号、国際公開第99/25728号、国際公開第99/07404号)アミリン又はそのアゴニスト(Pittnerら、J.Cell.Biochem.55S:19−28(1994)、米国特許第5686411号、第6610824号、第6410511号)、コレシストキニン(CCK)(米国特許第5739106号、第5270302号)、オキシントモジュリン(米国特許第5858975号)、ペプチドYY(PYY)(米国特許出願公開第2005/0176643号、第2002/0141985号)、又はレプチン(obタンパク質)(米国特許第6475984号、第6399745号)が挙げられる。適切なアミリンアゴニストとしては、例えば[25,28,29Pro−]−ヒトアミリン(別名「プラムリンタイド(pramlintide)」)(米国特許第5175145号、第5814600号、第5998367号、第6114304号、第6410511号、第6608029号、第66610824号)、サーモンカルシトニン、並びに米国特許出願公開第2005/0197287号、国際公開第2006/105345号、国際公開第2006/083254号、国際公開第2006/052608号及び国際公開第2005/115437号に記載されている化合を含み、開示されているアミリン化合物に関しては、当該文献の全開示内容を本願明細書中に援用する。使用するCCKは、一実施形態ではCCKオクトペプチド(CCK−8)である。エンドセリン及びエンドセリンアゴニストは別々に投与してもよく、又はかかる化合物の1以上と共に投与してもよい。投与は、同じ若しくは異なる組成で同時に、経時的に、又は連続的に行ってもよい。
【0052】
本発明には更に、食物摂取を減少させるか、体重を減少させる(又は維持する)か、又はその両方のための、エンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの使用であって、それらを望んでいる又は必要とする患者に、少なくとも1つのエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストを投与することを含んでなる使用も含む。本発明には更に、望んでいる又は必要とする患者に食物摂取を減少させるか、体重を減少させる(又は維持する)か、又はその両方のための薬剤の製造のためのエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの使用も含む。
【0053】
1つの態様では、本発明の方法は、動物の体重を減少させる及び/又は体重増加を鈍化させる方法、より具体的には、肥満の危険性を有する又は肥満に罹患する患者を治療又は改善する方法の提供に関する。一実施形態では、当該方法は、動物の体重を測定可能な程度に減少させる効果を有する。幾つかの実施形態では、動物の体重の減少は、化合物を投与するステップの少なくとも約2週以内、あるいは少なくとも約4週以内、典型的には少なくとも6〜8週以内に測定されうる。
【0054】
更なる一実施形態では、本発明で開示される方法により、患者の体重を少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%減少させる。更なる一実施形態では、本発明で開示される方法により、患者の体重を少なくとも約5ポンド若しくは2kg、少なくとも約10ポンド若しくは5kg、少なくとも約20ポンド若しくは10kg、少なくとも約30ポンド若しくは15kg、少なくとも約40ポンド若しくは20kg、少なくとも約50ポンド若しくは25kg、少なくとも約75ポンド若しくは35kg、少なくとも約100ポンド若しくは50kg、少なくとも約125ポンド若しくは55kg、少なくとも約150ポンド若しくは75kg、少なくとも約175ポンド若しくは80kg、又は少なくとも約200ポンド若しくは100kg減少させる。更なる一実施形態では、本発明で開示されるいずれかの方法の実施により体重減少がもたらされ、その体重減少の約40%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満又は0%が、平均体重の低下に起因する。
【0055】
他の実施態様では、患者の平均食物摂取は、本発明に記載のエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの投与のない場合の患者の平均食物摂取と比較し、少なくとも50%減少するか、又は40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%減少する。平均食物摂取%は、いかなる期間にわたって測定してもよく、例えば食事毎、毎日、毎週又は毎月ベースで測定してもよい。他の実施形態では、患者の一日平均食物摂取は、本願明細書中に記載されているエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの投与のない患者の食物摂取と比較し、少なくとも2000カロリー、少なくとも1500カロリー又は少なくとも1000カロリー減少する。更に別の実施形態では、患者の一日平均食物摂取は、本願明細書中に記載されているエンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの投与のない患者の食物摂取と比較し、2000カロリー、1500カロリー、1000カロリー、750カロリー、500カロリー、250カロリー又は100カロリー減少する。本願明細書中に使用するカロリーとは、栄養的なカロリー(Cal又はキロカロリー)を指す。栄養的なカロリーとは、食品の、熱を生じさせるか又はエネルギーを生じさせるときの値を表す単位であり、生体内で酸化させた場合に、1Calのエネルギー(1000gカロリー又は3.968Btu)を放出できる能力のことを指す。
【0056】
患者の症状又は障害は、患者に対して、所望の結果を得るのに必要な量の本発明の化合物の量で、必要な時間処理することにより、予防若しくは治療されうる。食物摂取を減少させるか又は体重を減少させる(又は維持すること)ことによって、効果的に障害を改善するエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの量は、いかなる薬物治療にも適用できる、相当な利点/危険比率でのものとして算出される。従って、当該投与量は、患者にとり望ましくない心血管効果を引き出すものであってはならない。また、特定の患者のための具体的な有効量レベルは、治療している症状又は障害、及び症状又は障害の重症度、使用される化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性及び食事、投与の時間、投与のルート、排出速度、治療期間、並びに複合両方又は同時治療で使用する他の活性薬剤などの様々な要因に依存する。医師により使用される場合、当該組成物は、食物摂取を減少させ、血漿ブドウ糖を低下させ、又は血漿脂質を減少させる薬剤の有無にかかわらず、所定量のエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの量を含有する用量単位として提供される。
【0057】
「有効量」という用語は、食物摂取を減少させるか、体重を減少させる(若しくは維持する)か、又はその両方を実現するのに必要となる化合物(単独であってもよく、又は本願明細書中で開示される方法に従い組合せてもよい)の量を指す。当該化合物の食物摂取の減少に有効な1日あたりの量は、典型的には、約10μg〜約5mg/日、約10μg〜約2mg/日、約10μg〜約1mg/日又は約30μg〜約500μg/日(単回投与でもよく、分割投与でもよい)の範囲である。他の一実施形態では、エンドセリン又はサラフォトキシンの用量は、約1nmol/kg〜約10μmol/kg、他の一実施形態では約1nmol/kg〜約1000nmol/kg、他の一実施形態では約10nmol/kg〜約1000nmol/kg、更に他の実施形態では約100nmol/kg〜約1000nmol/kgである。特定の一実施形態では、アデノレグリン又はデルマセプチンの量は、エンドセリン及びサラフォトキシンの投与量より5〜10倍多い。すなわち、幾つかの実施形態では、アデノレグリン又はサラフォトキシンの投与量は約5nmol/kg〜約1mmol/kg、他の一実施形態では約5nmol/kg〜約10μmol/kg、他の一実施形態では約50nmol/kg〜約10μmol/kg、更に他の実施形態では約500nmol/kg〜約10μmol/kgである。幾つかの実施形態では、これらの投与量は患者の体重に従って増減する。典型的には、エンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニストの投与は、食物摂取の抑制、体重減少下又は体重維持が要求されるときであればいつでも実施でき、例えば、肥満、真性糖尿病、インスリン抵抗性症候群又は本願明細書中で開示される他の症状又は障害の最初の徴候、又はそれらの診断の直後に実施してもよい。投与は、注射(例えば皮下、筋肉内、腹膜内、静脈内注射)により実施してもよい。経口投与が有効な化合物は経口投与してもよいが、投与量は典型的に5〜10倍増加する。幾つかの実施形態では、当該化合物又は組成物は毎日、毎週又は毎月投与される。ベース投与量が確立されるか、又は投与が必要となくなるまで、個人の体重の減少につれて投与量を減少させてもよい。一実施形態では、当該化合物は食餌の直前に投与される。他の実施形態では、当該化合物は食餌の開始時に投与される。
【0058】
1つの態様では、有効量とは、心血管系に対して顕著な影響を及ぼすことなく、食物摂取の減少、体重の減少又はその両方を生じさせるのに十分な量のことを指す。心血管系に対する影響としては、血圧の上昇又は低下(例えば収縮期、拡張期又はその両方)、全末梢血管抵抗の増加、又は肺血管抵抗の増加などが挙げられる。一実施形態では、当該有効量では、食物摂取、体重の減少又はその両方の減少という効果がもたらされ、かつ、平均収縮期圧、平均拡張期圧又はその両方の5mmHg以上の変化を伴わない。他の実施形態では、当該有効量では、食物摂取、体重の減少又はその両方の減少という効果がもたらされ、かつ、平均全身収縮期圧、平均全身拡張期圧又はその両方の5mmHg以上の増加を伴わない。一実施形態では、当該有効量では、食物摂取、体重の減少又はその両方の減少という効果が得られ、かつ、平均収縮期圧の139mmHg超への増加、又は平均拡張期圧の89mmHg超への増加を伴わない。更に他の実施形態では、当該有効量では、食物摂取、体重の減少又はその両方の減少という効果が得られ、かつ、収縮期:拡張期の全身血圧の比率の、139:89(mmHg)超への増加を伴わない。
【0059】
細胞アッセイ及び動物実験から得られるデータは、ヒト又は他の患者動物用の投与量範囲を算出する際に使用できる。かかる化合物の投与量は、典型的には、ほとんど毒性を有さないED50を含む循環濃度範囲内となる量である。特に本発明の方法では、血管(特に心血管系)に対する有害な影響を及ぼさないETアゴニストを使用している。使用する剤形及び利用する投与経路に応じて、この範囲内で投与量を適宜調整する。治療的有効量は、本願明細書中で開示される方法で使用するいかなる化合物の場合も、最初に細胞培養アッセイにより推定できる。投与量は、細胞培養で決定したEC50(すなわち最大限の有効反応の半分を実現できる試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲となるように、動物モデルにおいて決定できる。かかる情報を用いて、より正確にヒトへの有用投与量を決定できる。血漿中濃度は例えば高速液体クロマトグラフィ又は抗体アッセイで測定できる。
【0060】
本出願の化合物の患者に対する最適組成及び投与形態は、公知の諸要因(例えば具体的な症状又は障害、所望の効果、患者のタイプ及び患者の好み)に依存して変化し得る。
【0061】
本発明の方法にとり有用な化合物は、非経口投与(静脈内、腹膜内、筋肉内、皮下など)、鼻腔内、又は経口投与に適する剤形で、簡便に投与できる。一実施形態では、投与経路は皮下又は筋肉内投与経路である。場合によっては、エンドセリン又はエンドセリン受容体アゴニスト、並びに、食物摂取の減少、血糖値の低下又は血漿脂質の低下のうちの少なくとも1つを可能にする薬剤(例えばエキセンディン−4、エキセンディンアゴニスト、アミリン、アミリンアゴニスト、PYY、CCK又はレプチン)を、単一の組成物中又は一緒に投与するための溶液として投与するのが簡便である。他の場合には、エンドセリン又はエンドセリンアゴニストとは別個に、少なくとも1つの更なる薬剤を投与してもよい。医師は、個々の患者毎に、適切な投与フォーマット決定することができる。適切な、薬理学的に許容できる媒体及びそれらの調製方法は、製薬方法を記載した公知の文献に記載されている。例えばREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(21st Ed.Lipincott,Williams,&Wilkins 2005)を参照。
【0062】
本明細書に記載したように、エンドセリン及びエンドセリンアゴニストは、食物摂取を減少させるか又は体重減少を促進若しくは維持のに適切なあらゆる従来公知の方法又は組成物と組み合わせてもよい。かかる方法及び手段は、非制限的に、食餌、運動、オルリスタット、シブトラミン、肥満外科手術及びホメオパシー食欲抑制補助食品などを含む。
【0063】
本発明の化合物の治療用組成は、治療用途に好適な1又は複数の賦形剤と共に、製剤化される化合物の有効量を含んでなる。本明細書で用いられる用語「治療用途に好適な賦形剤」とは、あらゆるタイプの補助的な非毒性、固体、半固体若しくは液体状充填材、希釈剤、封入剤又は製剤のことを意味する。治療用途に好適な賦形剤の例としては、糖、セルロース及びその誘導体、油脂、グリコール、溶液、バッファ、色素、放出剤、コーティング、甘味料、調味料及び芳香剤などが挙げられる。これらの治療用組成物は、非経口的、大槽内、経口的、直腸又は腹膜内に投与できる。
【0064】
本発明の化合物の経口投与用の液体製剤は、エマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、サスペンション、シロップ及びエリキシルと同様の製剤を含む。当該液体製剤は、当該化合物に加えて、希釈剤及び/又は可溶性剤若しくは乳化剤を含有してもよい。経口投与用組成物は、不活性希釈剤の他に、湿潤剤、乳化剤、甘味料、風味剤、芳香剤を含有してもよい。本発明の化合物を含んでなる注射用製剤は、滅菌された、注射可能な、水性及び油性の溶液、懸濁液又はエマルジョンを含んでなり、それらは任意に、非経口的に適切な希釈剤、分散剤、湿潤剤又は懸濁剤と共に製剤化することができる。これらの注射可能薬物は、細菌を除去できるフィルターにより滅菌することができ、又は、注射可能な溶媒中に溶解若しくは分散させた殺菌剤と共に製剤化してもよい。
【0065】
本発明の方法にとり有用な化合物は、注射又は注入用の非経口組成物として調製できる。それらは、例えば、不活性油、好適には植物油(例えばゴマ油、落花生油、オリーブ油)又は他の薬理学的に許容できる媒体中に懸濁させることができる。これらの組成物は、従来の滅菌技術により滅菌してもよく、又はフィルター滅菌を行ってもよい。当該組成物は、生理的状態に近づけるため、必要に応じて薬理学的に許容できる補助剤(例えばpH緩衝剤)を含有してもよい。有用な緩衝剤としては、例えば酢酸ナトリウム/酢酸バッファが挙げられる。徐放性、遅延又は「デポー」放出型の調製物を使用してもよく、それにより、治療的有効量の調製物が、経真皮注入又は輸送後に、多くの時間又は日数において血流中に分配される。
【0066】
塩化ナトリウム又は他の薬理学的に許容できる物質{例えばブドウ糖、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリオール(例えばマンニトール及びソルビトール)又は他の無機若しくは有機溶質}を使用して、所望の等張性としてもよい。ナトリウムイオンを含有するバッファでは、塩化ナトリウムが特に好適である。
【0067】
本明細書中に記載の方法及び薬剤において有用な化合物は、酸(−OH)の形であってもよく、又はN末端アミノ化(−NH)されていてもよい。当該化合物は、薬理学的に許容できる塩(例えば酸付加塩)及び/又はその複合体として調製してもよい。薬理学的に許容できる塩は、それらを投与した場合の濃度において毒性を示さない塩のことを指す。かかる塩を調製することにより、組成物がその生理的効果を及ぼすことを防止することなく、組成物の物理化学的な特性を変化させることができ、医薬的な使用が容易になる。有用な物理的特性の変化は、融点の降下による経粘膜投与の容易化、可溶性の増加による薬剤の高い濃度での投与での容易化を含む。
【0068】
薬理学的に許容できる塩は、酸付加塩、例えば硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩及びキニン塩酸などを含む。薬理学的に許容できる塩は、酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタン硫酸酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルホアミド酸及びキナ酸)から調製することができる。かかる塩は、例えば、生成物の遊離酸又は塩基と、適当な塩基又は酸の1又は複数の同等物とを、塩が不溶性である溶媒又は媒体中で、あるいは、水などの溶媒(その後真空除去、凍結乾燥、又は、既に存在する塩のイオンと好適なオン交換樹脂上のイオンとのイオン交換により除去される)中で反応させることにより調製できる。
【0069】
担体又は賦形剤は、化合物の投与を容易にするために使用できる。単体又は賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、グルコース又はスクロースなどの種々の糖、又は種々のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール及び生理学的に適合する溶媒を含む。当該組成物又は医薬組成物は、静脈内、腹膜内、皮下、及び筋肉内、経口、局所、経粘膜又は肺吸入による投与を含む様々な経路で投与可能である。
【0070】
必要に応じて、上記組成物の溶液に増粘剤(例えばメチルセルロース)を添加して粘性を高めてもよい。それらは、乳化状態(油中水若しくは水中油)で調製されてもよい。薬理学的に許容できるいかなる乳化剤{例えばアカシア粉、非イオン界面活性剤(例えばTween)、又はイオン性界面活性剤(アルカリポリエーテルアルコール硫酸塩又はスルホン酸塩(例えばトリトン)など}を含有させて使用してもよい。
【0071】
本発明で有用な組成物は、一般に認められた手順に従い成分を混合することにより調製される。例えば、選択された成分は、ブレンダー、又は濃縮混合物の調製用の他の標準的な装置内で単純に混合され、その後水若しくは増粘剤、及び必要に応じてpH調整用の緩衝剤又は張度の調整用の更なる溶媒を添加することにより、最終濃度及び粘度に調製することができる。
【0072】
本発明の方法の理解を補助するため、以下に実施例を示す。開示された方法に関する実験は、当然ながら本発明をその具体的態様に限定するものではなく、当業者にとり自明な、本発明のかかるバリエーション(現在知られている又は以後において開発される)は、本願明細書に記載の発明、並びに特許請求の範囲内に包含されるものと解される。
【実施例】
【0073】
実施例1 エンドセリン及びエンドセリンアゴニストによる摂食の減少:
材料及び方法:
NIH/スイスマウスを、実験開始前の約17時間絶食させた。図に示すような投与量で、0時間に、ペプチドを腹膜内(i.p.)注入した。全てのマウスに、図に示すような投与量で、媒体又は化合物の何れかを腹腔内注射(200μl)し、予め重量測定した食餌ペレットを給餌した。食餌ペレットを、給餌後30分、1時間及び2時間の間隔で秤量し、摂取された食餌の量を測定した。各ポイントは、エンドセリン又はエンドセリンアゴニスト投与マウスではn=4、又は媒体投与マウスではn=3を反映する。実験で使用した化合物を下記の表5に示す。
【0074】
表5:化合物
【表5】

【0075】
各時点において、食餌摂取値は、食餌摂取に対する試験サンプルの効果を表し、以下の式を使用して、媒体との比較による%変化として算出される。
ベース%=−100×[1−(処理群の食物摂取/媒体群の食物摂取)]
【0076】
試験サンプルの効果の有意性を、ANOVA(p<0.05)により試験した。有意差が存在する場合、Dunnett’s試験を使用して、試験の平均値を対照の平均値と比較した。ダネットのポスト試験を用いた一方向ANOVAを、GraphPad Prism(登録商標)version 3.01 for Windows(登録商標),GraphPad Software,San Diego,California USAを使用して実施した。
【0077】
結果:
解析した全ての時点において、ET−2、ET−3及びサラフォトキシンS6cを用いる場合と同様、ET−1の末梢投与後において、投与依存的な食物摂取の減少が見られた(図1、2及び3を参照)。30分後における食物摂取の減少という結果から、試験したアゴニストでも同様の効力が示され、その一方で、60分後における食物摂取の減少は中程度であった(図2及び3を参照)。IRL1620では、30及び60分後に食物摂取が減少し、120分後に効果がなくなったが、それは当該分子が迅速クリアランス/非活性化されたためと考えられる。これらのデータから、ET−1、ET−2及びET−3は、観察可能な負の効果をもたらさない、絶食マウスにとり強力かつ十分に有効な食欲減退物質であることが示された。ET−3がほとんどETと結合しないことから、食物摂取を減少させる際のET−3の効果は、食欲減退効果がET受容体により伝達されることが示唆される。
【0078】
実施例2 エンドセリン及びエンドセリンアゴニストによる、DIOマウスにおける体重の減少:
材料及び方法:
食餌誘導肥満(DIO)マウスを使用した。処理前に、4週齢(20)から開始し、6週(長期試験では4週)にわたり、ペレット化された高脂肪の食餌(58%のカロリー、#D12331、Research Diet、New Brunswick、NJ)を供給して肥満を誘導した。特に明記しない限り、処理期間全体にわたってマウスにこの粉末状の食餌を与えた。全ての動物を、12時間:12時間の明暗サイクル下、21〜23℃の条件下に収容し、処理前及び処理後において自由に摂食させた。媒体、ET−1[配列番号1](20nmol/kg/d)又はアデノレグリン[配列番号33](300nmol/kg/d)を、Alzet(登録商標)皮下注射浸透ポンプによりDIOマウスに投与した。マウスにペレット化した高脂肪の食餌を供給し、体重及び食物摂取を毎週記録した。
【0079】
各時点における体重(BWt)は、処理される媒体と比較した%変化として表される際のBWtに対する試験サンプルの効果を反映した。
治療群の場合:
%BWtロス=100×[(媒体処理群のBWt変化の平均)−(処理群のBWt変化の平均)/0日のBWtの平均]。
個体の場合:
%BWtロス=100×[(媒体処理群のBWt変化の平均)−(処理群のBWt変化)/0日のBWt]。
【0080】
試験サンプルの効果の有意性を、ANOVA(p<0.05)により試験した。有意差が存在する場合、Dunnett’s試験を使用して、試験の平均値を対照の平均値と比較した。ダネットのポスト試験を用いた一方向ANOVAを、GraphPad Prism(登録商標)version 3.01 for Windows(登録商標),GraphPad Software,San Diego,CAを使用して実施した。
【0081】
結果:
ETアゴニストであるアデノレグリンをDIOマウスに2〜4週間連続的に注入することにより、一定の体重減少効果(図5)、並びに体脂肪の減少(図4)が観察された。アデノレグリンは特に、抗生効果を及ぼす量より少ない投与量で、齧歯動物の食物摂取を阻害した。同様に、ET−1の連続的注入によっても、対照と比較し、DIOマウスの体重を減少させた(図6)。この効果は、疾病の際の挙動が観察されることなく見られた。以上より、ET−1及びETアゴニストによる、食物摂取を減少させ、体重及び体脂肪を減少させる能力が示された。
【0082】
引用される全ての公報及び特許出願は、あたかも個々の刊行又は特許出願が具体的かつ個別的に参照により援用されているのと同様に、本願明細書中に参照により援用される。上記発明は、理解の便宜上の理由から、若干の詳細な図及び実施例のみを挙げて記載したが、当業者であれば、発明の本質又は特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の変更及び改変をなすことができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】120分後における、エンドセリン受容体B(ET)アゴニストの投与による、食物摂取の減少を表す。
【図2】30分後における、ETアゴニストの投与による食物摂取の減少を示す。
【図3】60分後における、ETアゴニストの投与による食物摂取の減少を表す。
【図4】高脂肪の食餌を与えられ、媒体のみの処理を受けたマウス、又は低脂肪の食餌を与えられ、媒体のみの処理を受けたマウスと比較した、高脂肪の食餌を与えられ続けている、食餌誘発肥満(DIO)マウスにおける、アデノレグリン投与による体脂肪の減少を示す。
【図5】28日間にわたり、高脂肪の食餌及び300nmol/kg/日アデノレグリンを投与され続けた食餌誘発肥満(DIO)マウスの、体重の減少を示す。HF食塩水:高脂肪の食餌の維持、及び媒体のみ(すなわち食塩水)の投与を受けたDIOマウス。LF食塩水:低脂肪の食餌の維持、及び媒体のみの投与を受けたDIOマウス。陽性対照としての、高脂肪の食餌の維持と共に、ペプチドYY(PYY)の投与を受けたDIOマウス。
【図6】高脂肪の食餌の維持、及び皮下(s.c.)浸透圧ポンプを介して28日間にわたる20nmol/kg/dエンドセリン1(ET−1)投与を受けたDIOマウスの体脂肪の減少を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、希望する又は必要とする患者に対して、食物摂取の減少に効果的な量において投与することを含んでなる、食物摂取を減少させる方法。
【請求項2】
エンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、希望する又は必要とする患者に対して、体重の減少に効果的な量において投与することを含んでなる、体重を減少させる方法。
【請求項3】
エンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、希望する又は必要とする患者に対して、肥満の治療に効果的な量において投与することを含んでなる、肥満を治療する方法。
【請求項4】
エンドセリン又はエンドセリンアゴニストを、希望する又は必要とする患者に対して、代謝性障害の治療に効果的な量において投与することを含んでなる、代謝性障害を治療する方法。
【請求項5】
前記代謝性障害が、肥満、真性糖尿病、インシュリン耐性症候群、エックス症候群又は他の栄養過剰障害である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、肥満であるか、体重超過であるか、体重を減らすことを希望するか、薬物性の体重増加の如き疾患又は障害に関連する体重の更なる増加の防止を希望する患者である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エンドセリンが、エンドセリン−1、エンドセリン−2又はエンドセリン−3の少なくとも1つである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エンドセリンが、エンドセリン−1又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エンドセリンが、エンドセリン−2又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記エンドセリンが、エンドセリン−3又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記エンドセリンアゴニストが、5個以下のアミノ酸置換、欠失又は付加を含む、配列番号1、配列番号7又は配列番号10の類似体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記類似体が、5個以下のアミノ酸置換を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エンドセリンが、配列番号1〜6からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記エンドセリンが、配列番号7〜9からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記エンドセリンが、配列番号10〜13からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−3である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記エンドセリンアゴニストが、35個以下のアミノ酸を含んでなるエンドセリンの類似体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記エンドセリンの類似体が、アミノ酸配列FCHLDIIWを有するC末端を含んでなる、請求項7〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記エンドセリンの類似体が、アミノ酸配列FAHLDIIWを有するC末端を含んでなる、請求項7〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記エンドセリンアゴニストが、N−シス−2,6−ジメチルピペリジノカルボニル−L−γ−メチルロイシル−D−1−メトキシカルボニルトリプトファニル−D−ノルロイシンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記エンドセリンアゴニストが、[Ala1、3、11、15]エンドセリン−1(配列番号14)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記エンドセリンアゴニストが、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3の断片であって、当該断片はET又はET受容体に結合し活性化させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記断片が、7個以下のアミノ酸欠失を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記エンドセリンアゴニストが、配列番号1、7及び10のいずれか1つと比較して、10個以下のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記エンドセリンアゴニストが、(N−スクシニル−[Glu、Ala11、15]−エンドセリン−1の断片8−21である、請求項21又は22記載の方法。
【請求項25】
前記エンドセリンアゴニストが、(N−アセチル−[Ala11、15]−エンドセリン−1の断片6−21である、請求項22又は23記載の方法。
【請求項26】
前記エンドセリンアゴニストが、サラフォトキシンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記サラフォトキシンが、配列番号15、16、17、18、31及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記サラフォトキシンが、配列番号15、16、17、18、31及び32と、少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記サラフォトキシンが、アミノ酸配列FCHQDVIWであるC末端を含む、請求項26〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記エンドセリンアゴニストが、アデノレグリンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記アデノレグリンが、配列番号20〜30を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アデノレグリンが、配列番号20〜30のいずれか1つと、少なくとも75%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記エンドセリン又はエンドセリンアゴニストが、ET受容体アゴニストでなく、ET受容体アゴニストである、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記エンドセリン又はエンドセリンアゴニストが、ET受容体よりも、ET受容体と選択的に結合して活性化させる、請求項1〜32記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
第2化合物の投与を更に含んでなり、当該化合物は満腹感を誘導するか、食物摂取を減少させるか、体重を減少若しくは維持するか、又はそれらの組み合わせの効果を生じさせる、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の化合物が、エキセンディン又はそのアゴニスト、アミリン又はそのアゴニスト類似体、PYY又はそのアゴニスト類似体、レプチン、オキシントモジュリン、あるいはコレシストキニン(CCK)からなる群から選択される1又は複数の化合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
希望する又は必要とする患者の食物摂取を減少させるための薬剤の製造のための、食物摂取の減少に効果的な量におけるエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの使用。
【請求項38】
希望する又は必要とする患者の体重を減少させるための薬剤の製造のための、体重の減少に効果的な量におけるエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの使用。
【請求項39】
希望する又は必要とする患者の肥満を治療するための薬剤の製造のための、肥満の治療に効果的な量におけるエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの使用。
【請求項40】
希望する又は必要とする患者の代謝性障害を治療するための薬剤の製造のための、代謝性障害の治療に効果的な量におけるエンドセリン又はエンドセリンアゴニストの使用。
【請求項41】
前記代謝性障害が、肥満、真性糖尿病、インシュリン耐性症候群、エックス症候群又は他の栄養過剰障害である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記患者が、肥満であるか、体重超過であるか、体重を減らすことを希望するか、薬物性の体重増加の如き疾患又は障害に関連する体重の更なる増加の防止を希望する患者である、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項43】
前記エンドセリンが、エンドセリン−1、エンドセリン−2又はエンドセリン−3少なくとも1つである、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項44】
前記エンドセリンが、エンドセリン−1又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列である、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記エンドセリンが、エンドセリン−2又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列である、請求項43に記載の使用。
【請求項46】
前記エンドセリンが、エンドセリン−3又は配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有する配列を含んでなる、請求項43に記載の使用。
【請求項47】
前記エンドセリンアゴニストが、5個以下のアミノ酸置換、欠失又は付加を含む、配列番号1、配列番号7又は配列番号10の類似体である、請求項37〜41のいずれか1項記載の使用。
【請求項48】
前記類似体が、5個以下のアミノ酸置換を含む、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記エンドセリンが、配列番号1〜6からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−1である、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
前記エンドセリンが、配列番号7〜9からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−2である、請求項37〜41のいずれか1項記載の使用。
【請求項51】
前記エンドセリンが、配列番号10から13からなる群の少なくとも1つから選択されるエンドセリン−3である、請求項37〜41のいずれか1項記載の使用。
【請求項52】
前記エンドセリンアゴニストが、35個以下のアミノ酸を含むエンドセリン類似体である、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項53】
前記エンドセリン類似体が、アミノ酸配列FCHLDIIWを有するC末端を含んでなる、請求項43〜52のいずれか1項に載の使用。
【請求項54】
前記エンドセリン類似体が、アミノ酸配列FAHLDIIWを有するC末端を含んでなる、請求項43〜52のいずれか1項記載の使用。
【請求項55】
前記エンドセリンアゴニストが、N−シス−2,6−ジメチルピペリジノカルボニル−L−γ−メチルロイシル−D−1−メトキシカルボニルトリプトファニル−D−ノルロイシンである、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項56】
前記エンドセリンアゴニストが、[Ala1、3、11、15]エンドセリン−1(配列番号14)である、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項57】
前記エンドセリンアゴニストが、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3の断片であって、当該断片がET又はET受容体に結合し活性化させる、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項58】
前記断片が、7個以下のアミノ酸欠失を含む、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
前記エンドセリンアゴニストが、配列番号1、7及び10のいずれか1つと比較して、10個以下のアミノ酸置換、付加又は欠失を含む、請求項37〜41のいずれか1項記載の使用。
【請求項60】
前記エンドセリンアゴニストが、(N−スクシニル−[Glu、Ala11、15]−エンドセリン−1の断片8−21である、請求項57又は58に記載の使用。
【請求項61】
前記エンドセリンアゴニストが、(N−アセチル−[Ala11、15]−エンドセリン−1の断片6−21である、請求項57又は58記載の使用。
【請求項62】
前記エンドセリンアゴニストが、サラフォトキシンである、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項63】
前記サラフォトキシンが、配列番号15、16、17、18、31及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記サラフォトキシンが、配列番号15、16、17、18、31及び32の少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
前記サラフォトキシンが、アミノ酸配列FCHQDVIWを有するC末端を含んでなる、請求項62〜64のいずれか1項に記載の使用。
【請求項66】
前記エンドセリンアゴニストが、デルムセプチン又はアデノレグリンである、請求項37〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項67】
前記デルムセプチン又はアデノレグリンが、配列番号20〜30及び33〜64を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
前記デルムセプチン又はアデノレグリンが、配列番号20〜30及び33〜64のいずれか1つと少なくとも75%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項66に記載の使用。
【請求項69】
前記エンドセリン又はエンドセリンアゴニストが、ET受容体アゴニストでなく、ET受容体アゴニストである、請求項37〜68のいずれか1項に記載の使用。
【請求項70】
前記エンドセリン又はエンドセリンアゴニストが、ET受容体と比較して、ET受容体に選択的に結合して活性化させる、請求項37〜68のいずれか1項記載の使用。
【請求項71】
満腹感を誘導するか、食物摂取を減少させるか、体重を減少若しくは維持するか、又はそれらの組み合わせの効果を生じさせる、第2化合物の投与を更に含んでなる、請求項37〜68のいずれか1項記載の使用。
【請求項72】
前記第2の化合物が、エキセンディン又はそのアゴニスト、アミリン又はそのアゴニスト類似体、PYY又はそのアゴニスト類似体、レプチン、オキシントモジュリン、あるいはコレシストキニン(CCK)からなる群から選択される1又は複数の化合物である、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
前記患者が、肥満であるか、体重超過であるか、体重の減少を希望するか、体重の維持を希望するか、あるいは更なる体重の増加の防止を希望する、請求項1〜72のいずれか1項記載の方法又は使用。
【請求項74】
前記体重の増大が、薬物により誘導されるものである、請求項73に記載の方法又は使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−530407(P2009−530407A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501602(P2009−501602)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/007376
【国際公開番号】WO2007/112069
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(598133654)アミリン・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】AMYLIN PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】9360 Towne Centre Drive, San Diego, CA 92121 USA
【Fターム(参考)】