説明

仮想網制御方法及び管理ノード装置

【課題】複数の仮想網を単一の物理網上に構築した場合であっても、各仮想網で展開されるサービスを環境変動に対しても安定に提供する。
【解決手段】仮想網制御装置20が仮想網の性能を定期的に観測するステップS1と、観測した仮想網の性能をもとに仮想網の活性度を算出し管理ノード装置10に通知するステップS2と、管理ノード装置10が仮想網制御装置20から定期的に収集した活性度に基づいて、収集した仮想網固有の活性度又は時間と共に減少する共通活性度を、複数仮想網の競合を調停するための状態制御情報として仮想網制御装置20にフィードバックするステップS3と、仮想網制御装置20が状態制御情報に基づいて仮想網を設計する計算を行うステップS4と、リソース管理装置30に対して物理資源を要求するステップS5と、リソース管理装置30から割り当てられた物理資源を用いて設計された仮想網を構築するステップS7とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)やP2P(Peer-to-Peer)などの仮想ネットワークを複数収容する通信ネットワークインフラストラクチャの仮想網制御方法及び管理ノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)をベースにした物理ネットワーク(例えばWDMネットワーク201:図2参照)は、波長パスとOXC(optical cross connect)から構成されており、波長ルーティングを用い、上位レイヤ(例えばIPネットワーク202:図2参照)のノードを接続する波長パスを提供することで仮想的なトポロジ(VNT:Virtual Network Topology、以下、単に仮想網ともいう)を構築し、種々のサービスを実現可能な柔軟な通信ネットワークインフラストラクチャ(通信インフラ設備)を提供することができる。ここで、物理網の波長はボトルネック資源であり、波長を有効に使う必要がある。そこで、トラヒックを波長ネットワーク上に効率的に収容するために、トラヒックに応じて適切に仮想網を構築する仮想網制御に関する研究が数多くなされてきた(例えば非特許文献1,2参照)。
【0003】
ここで仮想網とは、波長ネットワークに収容される上位レイヤの論理的なネットワークのことで、上位レイヤがIPの場合、仮想網トポロジとは、IP網の論理接続構成に相当する。ここで、通信インフラ設備自体は物理網が所有し、物理網の資源を論理的に分割し、その一部を仮想網に配分することで、仮想網は構築される。一般に、物理網は、1つまたは複数の仮想網を収容する能力を持つ。
【0004】
非特許文献1,2では、与えられた単一のトラヒック需要行列に対して、そのトラヒックを収容するために最適な仮想網を設計するための、最適化に基づく方法、およびヒューリスティック(heuristic)な方法が提案されている。ここでトラヒック需要行列とは網内の任意の2ノード間のトラヒック需要を行列形式で表示したもので、ネットワーク全体のトラヒック交流を表現する。トラヒック需要の変化に適応し、トラヒックを効率的に仮想網上に収容するために、定期的なネットワークの計測および仮想網上の性能劣化の検出に基づいて仮想網を動的に再構成するアプローチは、従来、オンライン型制御と呼ばれている。
【0005】
既存のオンライン型仮想網制御の多くは、ある2つの時刻におけるトラヒック需要行列が取得可能であること、もしくは、トラヒック需要が周期的かつ緩やかに変動することを仮定している。しかしながら、大規模な通信ネットワークにおいて正確なトラヒック需要行列を取得することは困難であるのが現状である(例えば非特許文献3参照)。さらに、多数のアプリケーション、サービスが収容されている通信ネットワークでは、仮想網上のトラヒック需要の変動は、より大きくかつ予測困難な変化をするため、様々なトラヒックの変動に適応できる仮想網制御が必要である。また、ネットワーク上に生じる環境変化はトラヒックの変動によるもののみではなく、リンク障害などの変化も生じる。そのため、トラヒック変動に対してだけではなく、リンク障害なども含めた様々な環境の変化に対する適応性を備えた仮想網制御を実現することが重要である。
【0006】
通信ネットワークの分野ではないが、環境の変化に対する適応性という観点では、従来、バイオテクノロジーの分野において、生物の様々な振る舞いが環境変化に対してロバストであることが、多くの研究によって明らかにされている(例えば非特許文献4参照)。
非特許文献4には、生物が未知の環境変化に適応するときの振る舞いをモデル化したアトラクター選択(attractor selection)が開示されている。ここで、アトラクターは、例えば遺伝子ネットワークのような想定しているシステムの状態が変化するときに遷移前の安定なシステム状態や遷移後の適応的なシステム状態を示す。アトラクター選択(アトラクター選択モデル)は、公知のLangevin方程式を基盤とした以下のゆらぎ方程式によって表現される。
【0007】
【数1】

【0008】
アトラクター選択によって駆動するシステムは、式(1)の右辺第2項で示されるゆらぎηと、式(1)の右辺第1項で示されるアトラクターを持つ制御構造f(x)の2つの挙動を持ち、それらの挙動が、システムの状態を示す値(変数)である活性度αによって制御されている。ここで、式(1)のxはシステムの状態を示し、x=(x,…,x)のようにn個の要素を持つベクトルで表される。システムのある種の環境条件(コンディション)が劣化した場合、活性度αは低下する。そのため、式(1)において、ゆらぎηの影響が相対的に大きくなり、システムの状態xはランダムに変化する。これによりシステムの状態xが変化し、コンディションが良好となって、システムの状態xが改善すると、活性度αは増加する。その結果、システムの状態xは、式(1)の右辺第1項で示されるアトラクターを持つ制御構造f(x)によって支配的に制御される。このように、アトラクター選択においては、活性度αに応じて、f(x)とゆらぎηとが制御される。
【0009】
ヒューリスティック(heuristic)なアプローチ(非特許文献1,2参照)では、一般的に、ある環境の変化に対する対応策をアルゴリズムとして用意することで環境の変化に対して適応する。そのため、想定した環境変化に対しては高い適応性を実現できるものの、想定外の環境変化に適応できないというデメリットがある。それに対して、アトラクター選択(非特許文献4参照)は、ゆらぎによって駆動するため、達成可能な性能は準最適であるものの、未知の環境変化に対して適応しうるメリットがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】B. Mukherjee, D. Banerjee, S. Ramamurthy, and A. Mukherjee, “Some principles for designing a wide-area WDM optical network,”IEEE/ACM Transactions on Networking, vol. 4, no. 5, pp. 684-696, 1996.
【非特許文献2】R. Ramaswami and K. N. Sivarajan, “Design of logical topologies for wavelength-routed optical networks,”IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 14, pp. 840-851, June 1996.
【非特許文献3】N. Benameur and J. W. Roberts, “Traffic Matrix Inference in IP Networks ,“ NETWORKS AND SPATIAL ECONOMICS , VOL 4; NUMBER 1, pages 103-114, 2004.
【非特許文献4】C. Furusawa and K. Kaneko, “A generic mechanism for adaptive growth rate regulation,” PLoS Computational Biology, vol. 4, p. e3, Jan. 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
仮想網制御において、トラヒック変動やリンク障害なども含めた様々な環境の変化に対する適応性を備えた制御を実現するために、未知の環境変化に対して適応しうるアトラクター選択を適用する場合、仮想網のトポロジを構築し、環境変化が生じたときにゆらぎ方程式を応用してアトラクターに対応する仮想網のトポロジを動的に再構成する。これによれば、1つの物理網上に1つの仮想網を構築した場合、仮想網で展開されるサービスを環境変動に対しても安定に提供することが可能となる。
【0012】
しかしながら、この方法には改良すべき課題もある。例えば、1つの物理網が複数の仮想網を収容する場合、1つの物理網上の資源を複数の仮想網によって共有することになる。この場合、各仮想網からの需要に対して物理網の資源が潤沢にあれば困ることはないが、物理網の資源には限りがあるので、何らかの手段で物理網の資源を各仮想網に公平に配分しなければ、一部の仮想網が物理網の資源を占有する一方で、他の仮想網には資源が充分に配分されず性能が低下するといった事態が生じる場合が想定される。
【0013】
また、アトラクター選択を用いた仮想網制御手法を個々の仮想網の制御に適用して複数の仮想網を制御する場合、他の仮想網の変化を環境変化として捉えつつ、自身の仮想網を制御できると考えられる。これは、生物システムにおける自己組織化現象そのものである。すなわち、仮想網制御の相互作用によって創発が生じ、大域情報を用いることなくネットワーク全体が制御されることが期待される。ところが、情報通信ネットワーク、特にセンサーネットワークを対象とした自己組織化原理に基づくネットワーク制御の研究では、自己組織化によって、ネットワークは故障やトラヒック変動に対して堅牢になるものの、ネットワークの性能は保証されないことが明らかにされている。すなわち、どのような局所情報を観測するか、どのような振る舞いを行うのかに依存してネットワークの性能が決定されるため、システム設計が困難である。
【0014】
そこで、本発明は、前記した事情に鑑みて成されたものであり、複数の仮想網を単一の物理網上に構築した場合であっても、各仮想網で展開されるサービスを環境変動に対しても安定に提供することのできる仮想網制御方法および管理ノード装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、通信ネットワークにおける複数の仮想網を制御する際に、システムの設計の困難さを克服しつつ、ネットワーク全体の性能を高く保つことができる仮想網制御方法および管理ノード装置を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明に係る仮想網制御方法は、物理網上に形成された仮想網のトポロジを当該仮想網の環境変化に対して適応制御する仮想網毎の複数の仮想網制御装置と、前記各仮想網制御装置からの資源要求に対して前記物理網の物理資源を割り当てるリソース管理装置と、前記各仮想網制御装置から収集した情報に基づいて前記複数の仮想網の競合を調停するための状態制御情報を算出して前記各仮想網制御装置にフィードバックする管理ノード装置と、を備える仮想網制御システムにおける仮想網制御方法であって、前記各仮想網制御装置が、仮想網の性能を定期的に観測するステップと、前記観測した仮想網の性能をもとに当該仮想網の活性度を算出し、前記管理ノード装置に通知するステップと、前記管理ノード装置が、前記各仮想網制御装置から定期的に収集した活性度に基づいて、所定の条件を満たす場合、前記仮想網からそれぞれ収集した仮想網固有の活性度を前記状態制御情報として算出し、前記所定の条件を満たさない場合、予め定められた算出式により前記各仮想網に共通とする共通活性度を前記状態制御情報として算出し、前記算出したいずれかの定義の状態制御情報を前記仮想網制御装置にフィードバックするステップと、前記仮想網制御装置が、前記フィードバックされた状態制御情報に基づいて仮想網を設計する計算を行うステップと、前記リソース管理装置に対して物理資源を要求するステップと、前記リソース管理装置から割り当てられた物理資源を用いて前記設計された仮想網を構築するステップと、を実行することを特徴とする。
【0016】
かかる手順によれば、仮想網制御方法は、管理ノード装置によって、各仮想網制御装置から定期的に収集した活性度に基づいて、所定の条件を満たすと判定した場合には、収集した仮想網固有の活性度をそのまま状態制御情報としてフィードバックするので、状態が悪化した仮想網制御装置は環境変化に対して当該仮想網単独で適応制御の動作を行い、状態が安定している仮想網は適応制御の動作を行うことはない。つまり、所定の条件を満たす場合、管理ノード装置は、環境変化に対する適応制御を仮想網制御装置に任せる。ここで、収集される活性度は、その値が高いほど当該仮想網の性能が良好であることを示す指標である。一方、管理ノード装置が所定の条件を満たさないと判定した場合には、予め定められた算出式により算出した共通活性度を状態制御情報としてフィードバックするので、各仮想網制御装置は、環境変化に対して全仮想網の相互作用により適応制御する。つまり、所定の条件を満たさない場合、管理ノード装置が仮想網の競合を調停する仲介として、環境変化に対する適応制御を各仮想網制御装置に指示する。したがって、例えば環境変動が比較的大規模なために管理ノード装置が仮想網の競合を調停する場合には、状態が悪化した仮想網による適応制御だけではなく、状態が安定した仮想網も適応制御を行うので、この状態が安定した仮想網による適応制御が、状態が悪化した仮想網に対しても影響を及ぼすことで、物理網上の資源の適切な分配を実現することができる。一方、例えば環境変動が比較的小規模な場合には管理ノード装置が適応制御を仮想網制御装置に任せることができるので、全仮想網の相互作用により適応制御する場合と比べて、活性度を改善する仮想網トポロジの探索処理を早く収束させることができる。
【0017】
また、本発明に係る仮想網制御方法は、前記管理ノード装置が、前記状態制御情報を算出する際に、前記各仮想網制御装置から収集した活性度に基づいて前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化したと判定した場合に、悪化してから経過した経過時間が予め定められた時間閾値以下であるか否かを判別し、前記経過時間が前記時間閾値以下であるときには前記所定の条件を満たすものとして前記状態制御情報を算出し、前記経過時間が前記時間閾値を超えたときには前記所定の条件を満たさないものとして前記状態制御情報を算出することが好ましい。
【0018】
かかる手順によれば、仮想網制御方法は、仮想網の性能が悪化してから経過した経過時間を用いて管理ノード装置が所定条件を満たすか否かを判別することで、環境変動の規模に応じた適切な対応をとることが可能となる。すなわち、いずれかの仮想網の状態の性能が悪化していても状態が悪化してからの時間があまり経過していない場合、環境変動の規模は未定であるが小規模変動であると仮定し、管理ノード装置が適応制御を仮想網制御装置に任せる。その上で、時間閾値を超えても探索処理が収束しない場合、環境変動が大規模であると見積もることができるので、管理ノード装置は、共通活性度を状態制御情報としてフィードバックすることで全仮想網の相互作用による適応制御を促し、活性度を改善する仮想網トポロジの探索処理を収束させることができる。
【0019】
また、本発明に係る仮想網制御方法は、前記管理ノード装置が、前記収集された活性度の最小値と、前記経過時間の増加に伴って初期値から段階的に減少する時間に関する減少関数との積により、前記共通活性度を算出することが好ましい。
【0020】
かかる手順によれば、仮想網制御方法は、前記管理ノード装置が共通活性度を算出するための算出式を、状態が最も悪化している仮想網の活性度と、時間と共に段階的に減少する減少関数との積としたので、状態が悪化してからの時間に応じて、適応制御の効果が現れないようなときにだけ段階的に値を低下させるような関数形で減少関数を定義しておくことで、収束時間を効率よく向上させることができる。
【0021】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る管理ノード装置は、物理網上に形成された仮想網のトポロジを当該仮想網の環境変化に対して適応制御する仮想網毎の複数の仮想網制御装置と、前記各仮想網制御装置からの資源要求に対して前記物理網の物理資源を割り当てるリソース管理装置と、前記各仮想網制御装置から収集した情報に基づいて前記複数の仮想網の競合を調停するための状態制御情報を算出して前記各仮想網制御装置にフィードバックする管理ノード装置と、を備える仮想網制御システムの前記管理ノード装置であって、前記各仮想網制御装置から、仮想網の状態の性能を示す情報として活性度を定期的に収集する仮想網状態収集手段と、前記仮想網の状態を評価するための評価値として、前記各仮想網制御装置から収集した活性度の最小値を算出する状態評価値算出手段と、前記算出された活性度の最小値が、活性度に関して予め定められた閾値を示す活性度閾値以上である場合、前記仮想網全体の状態が安定していると判定し、前記活性度の最小値が前記活性度閾値よりも小さい場合、前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化していると判定する仮想網状態判別手段と、前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化している場合に、悪化してから経過した経過時間が予め定められた時間閾値以下であるか否かを判別し、前記経過時間が前記時間閾値以下であるときには前記仮想網からそれぞれ収集した仮想網固有の活性度を状態制御情報として決定し、前記経過時間が前記時間閾値を超えた場合、予め定められた算出式により前記各仮想網に共通とする共通活性度を状態制御情報として決定する仮想網状態制御情報決定手段と、前記決定されたいずれかの定義の状態制御情報を前記各仮想網制御装置にフィードバックする状態制御情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、管理ノード装置は、各仮想網制御装置から定期的に収集した活性度の最小値が、活性度閾値よりも小さい場合、いずれかの仮想網の状態の性能が悪化していると判定し、悪化してから経過した経過時間が時間閾値以下であるときには、収集した仮想網固有の活性度をそのまま状態制御情報としてフィードバックする。つまり、経過時間が時間閾値以下である場合、管理ノード装置は、環境変化に対する適応制御を仮想網制御装置に任せる。一方、悪化してから経過した経過時間が時間閾値を超えた場合には、共通活性度を状態制御情報としてフィードバックする。つまり、経過時間が時間閾値を超えた場合、管理ノード装置は、仮想網の競合を調停する仲介として、環境変化に対する適応制御を各仮想網制御装置に指示する。したがって、管理ノード装置は、小さな環境変動の場合、それぞれの仮想網で局所的にその変動に対して適応を試み、一方、大きな環境変動などが生じ、それぞれの仮想網での適応が困難である場合、ネットワーク全体でその変動に対して適応させることができる。その際、管理ノード装置は、個々の仮想網の詳細な情報を収集するのではなく、それぞれの仮想網制御装置から活性度のみを収集、および、フィードバックする。これにより、仮想網数が増加しても、環境変動に対する適応性、収束性、追従性の低下を防止し、ネットワーク全体を管理することが可能になる。
【0023】
また、本発明に係る管理ノード装置は、仮想網状態制御情報決定手段が、前記収集された活性度の最小値と、前記経過時間の増加に伴って初期値から段階的に減少する時間に関する減少関数との積により、前記共通活性度を算出することが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、管理ノード装置は、状態が最も悪化している仮想網の活性度と、時間と共に段階的に減少する減少関数との積で共通活性度を算出するので、収束時間を効率よく向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の仮想網制御方法によれば、環境変動の規模に応じて単一仮想網による適応制御と複数仮想網の相互作用による適応制御とを切り替えることができるので、複数の仮想網を単一の物理網上に構築した場合であっても、各仮想網上では環境変化に対して適応的な制御を実現すると共に、ネットワーク全体で見た場合でも情報交換により資源競合を回避し、安定性の高い制御を実現することができる。
【0026】
また、本発明の管理ノード装置によれば、個々の仮想網の詳細な情報を収集するのではなく、それぞれの仮想網制御装置から活性度のみを収集、および、フィードバックするので、通信ネットワークにおける複数の仮想網を制御する際に、システムの設計の困難さを克服しつつ、ネットワーク全体の性能を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る管理ノード装置を含む仮想網制御システムの構成を模式的に示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る管理ノード装置が管理するノードと、仮想網および物理網との対応関係を模式的に示す説明図である。
【図3】図1に示す仮想網制御システムの仮想網制御装置による処理の流れを模式的に示す説明図である。
【図4】図1に示す仮想網制御システムの仮想網制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る管理ノード装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る管理ノード装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る管理ノード装置が収集する活性度の遷移例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の仮想網制御方法及び管理ノード装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、1.仮想網制御方法の概要、2.仮想網制御装置の構成例、3.ゆらぎ方程式による仮想網制御、4.管理ノード装置の構成例、5.管理ノード装置による処理の流れ、6.複数仮想網への大局的な制御の例の各章に分けて説明する。
【0029】
[1.仮想網制御方法の概要]
本発明では、IP(Internet Protocol)ネットワークやMPLS(Multi-Protocol Label Switching)ネットワークなどの上位のネットワークが、波長ルーティングに代表される物理網が提供するパスによって構築された仮想網をインフラストラクチャーとして利用するネットワークを想定する。以下、具体的な説明として、物理網としてWDMネットワークを採用した例を説明するが、例えば、ファイバネットワーク、TDM(Time Division Multiplexing)ネットワーク、Ethernet(登録商標)などのレイヤ2ネットワークが物理網の場合も同様に本発明を適用可能である。
【0030】
本発明の仮想網制御方法は、自己組織化管理に基づく複数仮想網制御を行う方法であるが、以下では、一例として2つの仮想網を制御する仮想網制御システムにおける制御方法として図1ないし図3を適宜参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、仮想網制御システム1は、管理ノード装置10と、仮想網制御装置20a,20bと、リソース管理装置30と、を備える。
仮想網制御装置20aは、仮想網トポロジVNT(以下、仮想網VNTと表記する)の制御を行い、仮想網制御装置20bは、仮想網トポロジVNT(以下、仮想網VNTと表記する)の制御を行う。また、2つを特に区別しない場合には、仮想網制御装置20、仮想網VNTと表記する。仮想網VNTの詳細については図2に示し、複数仮想網制御の前提である単一の仮想網制御の概要については図3に示し、図1ないし図3を適宜参照して仮想網制御システム1の概要について説明する。
【0032】
(ネットワーク構成)
図2は、本発明の実施形態に係る管理ノード装置10が管理するノードと、仮想網および物理網との対応関係を模式的に示す説明図である。ここでは、一例として4つのノードN,N,N,Nから構成されるIP−over−WDMネットワークとし、ノードN側からトラヒックが入り(Traffic In:図1参照)、ノードN側へ出る(Traffic Out:図1参照)場合を想定する。
【0033】
図2に示すように、IP−over−WDMネットワークは、WDMネットワーク201と、その上位のIPネットワーク202との2つの層を有する。
WDMネットワーク201は、4つの光クロスコネクトOXC,OXC,OXC,OXCと、4つの光ファイバF,F,F,Fとを備える。
【0034】
光クロスコネクトOXCはIPルータrと共にノードNを構成し、光クロスコネクトOXCはIPルータrと共にノードNを構成している。また、光クロスコネクトOXCはIPルータrと共にノードNを構成し、光クロスコネクトOXCはIPルータrと共にノードNを構成している。つまり、この例では、物理網は4つのノード(物理ノード)N〜Nと4つの光ファイバ(物理リンク)F〜Fから成る。
【0035】
光ファイバFは、光クロスコネクトOXC,OXC間を接続し、光ファイバFは、光クロスコネクトOXC,OXC間を接続する。また、光ファイバFは、光クロスコネクトOXC,OXC間を接続し、光ファイバFは、光クロスコネクトOXC,OXC間を接続する。つまり、この例では、4つのノードN〜Nを頂点とする4辺の光ファイバF〜Fで接続された形状が物理網のトポロジを表している。
【0036】
物理リンクはWDM技術により複数の波長を収容している。ここでは、光ファイバF〜Fにおいて利用可能な波長は、一例としてλ,λの2波長とした。
物理ノード間は、波長ルーティングにより波長パスで接続されている。具体的には、WDMネットワーク201では、4つのノードN〜Nを頂点とする4辺のそれぞれには、波長λを用いて光パスを設定する。このように波長λを用いた光パスを設定した場合、上位のIPネットワーク202では、図2において上側に示すように、4つのノードN〜Nを頂点とする4辺のそれぞれには論理的なリンクV〜Vが設定される。
【0037】
また、WDMネットワーク201では、ノードNにおいて波長λを連結することによって、ノードN、N間に波長λを用いて光パスを設定する。このように波長λを用いた光パスを設定した場合、ノードNとノードNとは論理的に隣接しているため、上位のIPネットワーク202では、図2に示すように、論理的なリンクVが設定される。つまり、この例では、仮想網は5つの論理的なリンクV〜Vおよび4つのIPルータr〜rから成る。そして、論理的なリンクV〜Vで接続された形状が仮想網のトポロジ(VNT:Virtual Network Topology)を表している。
【0038】
IPネットワーク202では、VNT制御により、WDMネットワーク201のOXCを経由するIPルータ間に光パスが作られ、これらのIPルータと光パスからVNTが決定される。つまり、物理網上に構築される仮想網はVNTで特定されるので、以下ではVNTのことを単に仮想網と呼ぶ場合もある。
【0039】
図2では、物理網は1つの仮想網を収容しているが、これに限定されず、物理網は複数の仮想網を収容することができる。物理網は、仮想網に対して波長パスで構成される仮想網トポロジを提供する。ここで、仮想網トポロジの設計・制御を行なう機能は仮想網制御装置20が担う。
【0040】
(管理ノード装置)
管理ノード装置10は、複数の仮想網で構成された光ネットワークの制御の方向性を定めるために、個々のアトラクター選択を用いた仮想網制御を大局的に管理するものである。管理ノード装置10は、個々の仮想網で展開されるサービス満足度(活性度)を仮想網制御装置20から収集し、収集した情報に基づいてネットワーク全体の満足度(活性度)を算出して、仮想網制御装置20にフィードバックする機能を有する。
この管理ノード装置10は、すべての仮想網構成の詳細を把握して管理・制御するといった機能を有するものではない。なお、管理ノード装置10の詳細については後記する。
【0041】
(仮想網制御装置)
仮想網制御装置20は、物理網および仮想網と接続し、後記するように、物理網トポロジなどの状態情報、各仮想網のトポロジ情報および仮想網上のリンク利用率・スループットなどの性能などの情報を取得する手段を有する。
仮想網制御装置20は、環境変化が生じた際に後記するゆらぎ方程式に基づき、環境変化に適応可能なトポロジを設計し、現状の仮想網トポロジを再構成する機能を有する。
仮想網制御装置20は、管理ノード装置10からのフィードバック情報と局所的に収集した情報に基づいて自己組織的に仮想網構成制御を行うものである。すなわち、複数仮想網制御においては、仮想網制御装置20は、管理ノード装置10からの広域的なネットワークの情報を取り込みつつ、局所的に収集した情報に基づいて自身の仮想網を組み替えることで、制御情報量を削減しつつ局所的なネットワーク環境の変化に対応するとともに、全体の性能向上を図る。
【0042】
各仮想網制御装置20は、制御情報を互いに通知し合う(情報交換する)。例えば2つの仮想網制御装置20a,20b間で情報交換を行ってもよい。また、2つの仮想網制御装置20a,20bが論理的な構成であって物理的には1つの装置である場合、当該物理的な装置の内部で情報交換を行うこともできる。本実施形態では、論理的または物理的な仮想網制御装置20間の情報交換は、一例として、管理ノード装置10を介して行うこととした。
【0043】
(リソース管理装置)
リソース管理装置30は、物理資源を管理し、各仮想網制御装置20a,20bからの資源要求に対して、状況に応じて物理資源を割り当てるものである。
【0044】
(単一仮想網での自己組織化制御の概要)
ここでは、本発明の仮想網制御方法における複数仮想網制御の前提となっている単一の仮想網制御の概要について図3を参照して説明する。本発明の仮想網制御方法は、単一の仮想網制御を拡張したものである。
図3に示す仮想網VNTは、仮想網制御装置20によって制御される。仮想網制御装置20は、制御する仮想網nの性能として、例えば光パスのリンク利用率(最大リンク利用率)等の仮想網上の状態を観測する(ステップS11)。そして、仮想網制御装置20は、ネットワークの状態をもとに活性度αを後記する方式で算出し、仮想網を設計する計算を行う(ステップS12)。そして、仮想網制御装置20は、リソース管理装置30に対して、物理資源を要求する(ステップS13)。リソース管理装置30が仮想網制御装置20に物理資源を割り当てると(ステップS14)、仮想網制御装置20は、アトラクター選択によりVNTを構築する(ステップS15)。
【0045】
(複数仮想網での自己組織化制御の概要)
ここでは、本発明の仮想網制御方法における複数仮想網制御の概要について図1を参照して説明する。仮想網制御装置20aは、制御する仮想網VNTの性能として、例えば光パスのリンク利用率(最大リンク利用率)等の仮想網上の状態を観測する(ステップS1)。同様に、仮想網制御装置20bは、制御する仮想網VNTの性能を観測する。そして、仮想網制御装置20aは、仮想網VNTの状態をもとに活性度αを算出し、管理ノード装置10に通知する(ステップS2)。同様に、仮想網制御装置20bは、仮想網VNTの状態をもとに活性度αを算出し、管理ノード装置10に通知する。
【0046】
管理ノード装置10は、各仮想網制御装置20a,20bから収集した活性度(α,α)に基づいて仮想網全体の活性度に基づく状態制御情報を仮想網制御装置20a,20bにフィードバックする(ステップS3)。詳細は後記するが、状態制御情報は、複数の仮想網の競合を調停するための情報であって、各仮想網に応じて異なる場合(後記する相互作用フィードバック制御を行わない場合)と、各仮想網に共通の場合(後記する相互作用フィードバック制御を行う場合)とがある。
【0047】
仮想網制御装置20a,20bは、管理ノード装置10からフィードバックされた状態制御情報に基づいて仮想網を設計する計算を行う(ステップS4)。そして、仮想網制御装置20a,20bは、リソース管理装置30に対して、物理資源を要求する(ステップS5)。リソース管理装置30が仮想網制御装置20a,20bに物理資源を割り当てると(ステップS6)、仮想網制御装置20は、アトラクター選択によりVNTを構築する(ステップS7)。
【0048】
図1に示したように、管理ノード装置10は、集中型の仮想網制御手法のようにネットワーク全体の情報を集めてその情報から仮想網を制御するのではなく、各仮想網から活性度α,αという簡単な情報のみを収集し、それに基づいたフィードバックによってネットワーク全体に大局的な制御を加えることで、ネットワーク全体を制御する。
【0049】
[2.仮想網制御装置の構成例]
ここでは、図4は、仮想網制御装置の構成例について図4を参照して説明する。
仮想網制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリやハードディスク等の記憶装置と、外部との間で各種情報の送受信を行うインタフェース装置とで実現され、図4に示すように、情報収集部21と、仮想網情報DB22と、物理網情報DB23と、設計部24と、活性度送信部25と、状態制御情報受信部26と、最適トポロジ制御部27と、ゆらぎ方程式記憶部28と、を備える。
【0050】
情報収集部21は、仮想網のトポロジ、トラヒックの経路情報、リンク利用率などのトラヒック情報、スループットや最大リンク利用率などの性能情報(以下「仮想網情報」という)を測定すると共に、物理網のトポロジ、波長パスの経路情報、伝送能力などの性能情報(以下「物理網情報」という)を測定する。
【0051】
仮想網情報DB22は、情報収集部21によって測定された仮想網情報を格納するものである。
物理網情報DB23は、情報収集部21によって測定された物理網情報を格納するものである。物理網の状態が変化しない場合、物理網情報DB23に予め物理網情報を格納しておけばよいので、情報収集部21が物理網情報を収集することは必ずしも必要でない。
【0052】
設計部24は、ゆらぎ方程式のパラメータを設計するものである。なお、ゆらぎ方程式のパラメータ設計については後記する。
活性度送信部25は、設計部24にて算出された活性度αを管理ノード装置10に送信するものである。
状態制御情報受信部26は、管理ノード装置10からフィードバックされる状態制御情報を受信するものである。受信した状態制御情報は、最適トポロジ制御部27にて利用される。
【0053】
最適トポロジ制御部27は、設計部24によって設計されたパラメータをゆらぎ方程式に適用し、このゆらぎ方程式に基づき仮想網のトポロジを算出して仮想網を制御するものである。最適トポロジ制御部27は、管理ノード装置10からフィードバックされる状態制御情報に基づき、詳細は後記するが必要に応じてゆらぎ方程式のパラメータを変更する。ゆらぎ方程式記憶部28は、アトラクター選択機構を実現するゆらぎ方程式を記憶するものである。図4では、ゆらぎ方程式記憶部28と最適トポロジ制御部27とを別々に示したが、最適トポロジ制御部27の内部にゆらぎ方程式記憶部28を備えた構成を採用することも可能である。
【0054】
最適トポロジ制御部27は、管理ノード装置10からフィードバックされる状態制御情報をαmasterとしたときに、次の式(1A)で示すゆらぎ方程式で仮想網を計算する。
フィードバックされる状態制御情報αmasterが、後記する式(6)のαownである場合、式(1A)のαmasterは式(1)と同様に活性度(自仮想網の活性度)を示す。一方、フィードバックされる状態制御情報αmasterが後記する式(6)のαmin・D(t)である場合、式(1A)のαmasterは、各仮想網に共通な共通活性度を示す。
このように状態制御情報αmasterとは、仮想網固有の活性度を示す場合と、共通活性度を示す場合とがある。
【0055】
【数2】

【0056】
式(1A)は、背景技術で説明した前記した式(1)のゆらぎ方程式の活性度αを、管理ノード装置10からフィードバックされる状態制御情報αmasterとした点だけが異なる同様の方程式なので、詳細な説明を省略する。
【0057】
[3.ゆらぎ方程式による仮想網制御]
次に、ゆらぎ方程式のパラメータ設計として、ゆらぎ方程式による仮想網制御の機構について説明する。非特許文献4に開示された細胞におけるアトラクター選択では、遺伝子ネットワークが、代謝ネットワークを制御する。一方、仮想網制御では、上位のネットワークの性能が劣化した場合に、適切に仮想網を再構築することで、性能を回復させる。そこで、遺伝子ネットワークを仮想網制御に適用し、代謝ネットワークを上位のネットワークに対応づける。これにより、仮想網制御装置20は、上位ネットワーク(IPネットワーク202:図2参照)から仮想網の活性度を取得し、これを用い、上位ネットワークの状態が改善するように、再構築するための仮想網のトポロジを算出する制御を行う。
【0058】
仮想網制御においては、背景技術で説明した前記した式(1)のゆらぎ方程式は次の式(2)のように表現される。
【0059】
【数3】

【0060】
ここで関数sig(・)はシグモイド関数である。式(2)の右辺第一項のカッコ内の多項式(式(2a))はアトラクターを持つ制御構造であり、前記した式(1)におけるf(x)に相当する。また、αは活性度であり、ここでは上位ネットワークの性能を表す指標を示す。式(2)の右辺第二項のηはゆらぎであり、ここでは正規分布に従う乱数である。式(2)の左辺のxは、仮想網n毎また波長パスを設定するノードペアi毎に値が定められる。式(2)のjは、ノードペアiとは異なるノードペアの識別子、kは仮想網nと異なる仮想網の識別子を示す。βは重み、θは閾値を示す予め定められた定数をそれぞれ示す。Wijは、ノードペアiに設置する波長パスと他のノードペアjに設置する波長パスとの間の相互作用を示す制御行列である。
【0061】
アトラクター選択にもとづく仮想網制御手法における式(2)の意味を、細胞におけるアトラクター選択と対比させながら説明する。
非特許文献4に開示された細胞におけるアトラクター選択で用いた、遺伝子ネットワークにおける遺伝子を、仮想網制御では、仮想網(仮想網をnで識別する)の遺伝子または単に遺伝子と呼ぶ。そして、仮想網nの遺伝子を、WDMネットワーク201の各ノードペア(ノードペアをiで識別する)に設置する。つまり、仮想網nの遺伝子は、仮想網制御においてはノードペアiに設定される波長パスに相当する。
【0062】
この仮想網nの各遺伝子は、遺伝子における発現レベルxを持つ。この発現レベルxは、仮想網毎またノードペア毎に値が定められる。発現レベルxは、仮想網制御においては、ノードペアiに設定される波長パスの本数に相当する。仮想網制御においては、ノードペアに設置する波長パス数を制御する。各遺伝子は、他の遺伝子と活性/抑制の相互作用を及ぼし合いながら、前記式(2)により発現レベルxを決定する。
【0063】
この遺伝子間の相互作用は、制御行列Wijによって表現される。制御行列Wijは、遺伝子が他の遺伝子と活性関係にあるときには正の値をとり、抑制の関係にあるときには負の値をとり、関係が存在しない場合には0となる行列である。つまり、式(2)に示すように、仮想網制御においてアトラクター選択とは、活性度αの情報を入力として、各時刻でのパス本数(x)を決定するメカニズムであると言える。
【0064】
非特許文献4に開示された細胞におけるアトラクター選択は、1つの遺伝子ネットワークが、1つの代謝ネットワークを制御するものであり、仮想網制御に置き換えると、1つの物理網上で1つの仮想網を制御することに相当する。そのため、これまでの説明における前記式(2)は、単一仮想網に対するアトラクター選択モデルであって図3のモデルに対応している。以下では、前記式(2)等の単一仮想網に対するアトラクター選択モデルを複数仮想網に対するアトラクター選択モデルに拡張し、図1のモデルに対応させて説明する。
【0065】
ここで、複数仮想網に対するアトラクター選択モデルを想定するときには、各仮想網のアトラクター選択間に相互作用が存在することを前提とする。言い換えると、自仮想網上で動作しているアトラクター選択の活性度と、他仮想網上で動作しているアトラクター選択の活性度とは互いに独立したものではないことを前提とする。その理由は、仮想網のアトラクター選択間に相互作用が全く存在しないとすると、物理網の資源についてのリソース競合が適切に調停されないことになってしまうからである。
【0066】
このようなリソース競合が適切に調停されない具体例として、ある1つの仮想網(アトラクター選択)Aの活性度が低く、もう一方の仮想網Bの活性度が高く、かつ、仮想網Aの状態を回復させるアトラクターに対応するVNTを構築するための資源を、仮想網Bが既に利用している場合を想定して説明する。この場合、現状から仮想網Aの状態を回復させなければならないが、仮想網Bは現状を変化させる必要がない。そのため、仮想網Bは、活性度が変化しないため、仮想網Aは、状態を回復させるアトラクターに対応するVNTを構築することができない。したがって、仮想網Aは、活性度が回復せず、ゆらぎにより振動し続ける。つまり、特定の仮想網が資源枯渇により性能低下する。このような現象は、それぞれの仮想網上で動作しているアトラクター選択の活性度が独立しているために生じる。そこで、活性度に相互作用を導入し、互いのアトラクター選択の状態を考慮することで、ネットワーク全体の仮想網制御を適応的に動作させることとした。
【0067】
前記のリソース競合が適切に調停されない具体例は、あるアトラクター選択(仮想網)Aの活性度が低く、かつ、他のアトラクター選択Bの活性度が高いという条件の下で、アトラクター選択Aが活性度を増加させるアトラクター(VNT)を構築するための物理網上の資源をアトラクター選択Bが既に利用してしまっている状況なので問題が生じる。この問題を解決するためには、ネットワーク全体の状況に合わせて、仮想網Aのアトラクター選択の活性度がなかなか上昇しないときには、活性度が高い仮想網Bにおいて、そのアトラクター選択の活性度を低下させ、仮想網Bにおいて現在の状態から変化させることが必要である。このためには、仮想網Aにおける低い活性度に応じて、ネットワーク全体(仮想網全体)のアトラクター選択の活性度を適切に低下させることで、資源を占有している他の仮想網Bの再構成を促す必要がある。これを実現する複数仮想網に対するアトラクター選択モデルについて数式を用いて以下に詳しく説明する。なお、以下の説明は、管理ノード装置10からフィードバックされる状態制御情報αmasterにおける共通活性度としての側面に関する補足説明でもある。
【0068】
まず、あらためて前記式(2)の活性度αのことを、仮想網全体(VNT,VNT)を考慮したときのアトラクター選択nで特定される活性度(アトラクター選択nの活性度α)と定義する。アトラクター選択nの活性度αは仮想網全体(VNT,VNT)に共通の共通活性度である。この拡張では、nは、VNT,VNTが所定のトポロジの状態のときの仮想網全体の識別子を示す。したがって、VNT,VNTの少なくとも一方のトポロジが変化した状態のときにはnも変化することになる。この拡張において、さらに、アトラクター選択nで特定される仮想網全体(VNT,VNT)を考慮したときの、しかも単独の仮想網(VNTまたはVNT)での活性度のことをvと表記し、式(3)で定義する。この活性度vは、アトラクター選択nの単独での性能を示す。
【0069】
【数4】

【0070】
ここで、umaxnは、アトラクター選択nの想定している単独の仮想網の最大リンク利用率等の性能指標で、γ,δ,ζは正の定数である。アトラクター選択nの単独での活性度vを求めるには、アトラクター選択nの想定している単独の仮想網を観測することで得られるパラメータを元にして計算すればよい。
【0071】
ここで、アトラクター選択nの単独での活性度vから、仮想網全体(VNT,VNT)を考慮したときのアトラクター選択nで特定される活性度α(実際に前記式(2)で用いるアトラクター選択nの活性度)を算出する方法は、任意であるが、単独の各仮想網のアトラクター選択間に相互作用が存在することを前提とすると、例えば次の2つの方法を用いることができる。第1の方法は、次の式(4)で定義した活性度αを算出する方法である。
【0072】
【数5】

【0073】
式(4)は、アトラクター選択nの単独での活性度vそれぞれ(各仮想網をkで識別したときのv(この場合k=1,2))を乗算した積を、アトラクター選択nの活性度αとした定義式である。この定義では、仮想網全体(VNT,VNT)を考慮したときのアトラクター選択nのうち、アトラクター選択nの単独での活性度vのうち1つでも活性度の低い(0に近い)アトラクター選択(単独の仮想網のトポロジの状態)がある場合には、式(4)によるαの計算結果が0または0に近い値になる。αの値は共通にするので、すべてのアトラクター選択(単独の仮想網すべて)で活性度を同じように低下させる。単独の仮想網すべてにおいて前記式(2)において、主としてゆらぎηで駆動されることで、すべてのアトラクター選択(アトラクター選択nにおける単独の仮想網すべて)が新たなアトラクター(各仮想網のトポロジの新たな状態)に収束することが可能である。
【0074】
第2の方法は、次の式(5)で定義した活性度αを算出する方法である。
【0075】
【数6】

【0076】
式(5)は、アトラクター選択nの単独での活性度vそれぞれ(各仮想網をkで識別したときのv(この場合k=1,2))の重み付き平均をとってアトラクター選択nの活性度αとした定義式である。重み付き平均は、活性度vに重みqを乗算した結果の総和を、重みqの総和で除算することで求められる。
この場合、仮想網全体(VNT,VNT)を考慮したときのアトラクター選択nのうち、それぞれのアトラクター選択(VNTまたはVNT)が、一定の割合で他のアトラクター選択の活性度の状況を考慮し、自身の活性度を、重みqと単独での活性度vとの積として新たに定義する。
【0077】
第2の方法において式(5)のαの具体的な決定方法については、2つの方式がある。第1の方式は単純な固定の重みを用いる方式である。第1の方式の場合、すべての重みq(等しいので区別せずにqと表記する)に同じ値(例q=1)を設定する。
ただし、この方式の場合、最大リンク利用率が高くても(活性度が実際には低いときでも)、重みを乗算した演算結果で示される適用しようとする活性度vが高くなってしまうことがあり、ゆらぎηによる新たなVNT(アトラクター)の探索が行われない現象が生じる可能性も否定できない。
【0078】
第2の方法において式(5)のαを決定する第2の方式は、第1の方式において必要なときにゆらぎηによる新たなVNT(アトラクター)の探索が行われない現象が生じる可能性があるという問題を回避するために、各個別仮想網において自身活性度(アトラクター選択nの単独での活性度)のvの値に応じて重みqを決める方式である。
自身の最大リンク利用率umaxn(式(3)参照)が高く、自身活性度vが低い場合、他のアトラクター選択kの活性度vにかかわらず、重みを乗算したときの演算結果で示される適用しようとする自身活性度vを低くし、ゆらぎηによるアトラクターの探索を促進する必要がある。この要件を満たすような重みqは、自身活性度vに関して減少関数となればよい。そこで、自身活性度vに依存した減少関数hを用いて重みをq=h(v)とする。このとき自身活性度vの値域を[0,1]とすると、例えば減少関数hとしてはh(v)=1−vなどが考えられる。
【0079】
前記式(4)または式(5)にしたがってアトラクター選択nの活性度αを定義することで、前記のリソース競合が適切に調停されない具体例のように特定の仮想網の性能(単独での活性度v)が向上しても他の仮想網の性能が低下している場合、仮想網全体を考慮したときのアトラクター選択nの活性度αは上昇しない。しかしながら、前記式(4)または式(5)にしたがえば、全ての仮想網(VNT,VNT)の性能が一様に増加した場合、アトラクター選択nの活性度αが上昇する。そのため、アトラクター選択nの活性度αとして、前記式(4)または式(5)のように仮想網全体(VNT,VNT)に共通の共通活性度を用いることで、特定の仮想網が資源枯渇により性能低下することなく、1つの物理網に複数の仮想網を収容している場合にも環境変化に対して適応的なトポロジ制御を実現することが可能である。
また、アトラクター選択を用いた仮想網制御手法を個々の仮想網の制御に適用して複数の仮想網を制御する場合、他の仮想網の変化を環境変化として捉えつつ、自身の仮想網を制御することが可能である。
【0080】
前記式(4)または式(5)にしたがってアトラクター選択nの活性度αを定義するとき、自仮想網トポロジ(VNT)の制御を行う仮想網制御装置20aと、他仮想網トポロジ(VNT)の制御を行う仮想網制御装置20bとは、管理ノード装置10を介して、制御情報として、アトラクター選択nの単独での活性度vを互いに通知し合う(情報交換する)ことができる。
【0081】
本実施形態では、仮想網制御装置20は、前記式(2)の活性度αすなわち前記アトラクター選択nで特定される活性度αの代わりに、管理ノード装置10からのフィードバック値αmasterを用いる。すなわち、仮想網制御装置20は前記式(1A)を用いる。
【0082】
[4.管理ノード装置の構成例]
図5は、本発明の実施形態に係る管理ノード装置の構成例を示すブロック図である。
管理ノード装置10は、ネットワーク上の各仮想網制御装置20から活性度α(nは仮想網の識別子)を収集し、収集した活性度αをもとにネットワークの状態を判断し、各仮想網制御装置20への状態制御情報αmasterを計算し、フィードバックすることで、全ての仮想網を大局的に制御する。この管理ノード装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリやハードディスク等の記憶装置と、外部との間で各種情報の送受信を行うインタフェース装置とで実現され、図5に示すように、入出力インタフェース11と、演算手段12と、記憶手段13と、を備える。
【0083】
入出力インタフェース11は、各仮想網制御装置20から、活性度等の制御情報を取得したり、この管理ノード装置10に接続される図示しない端末等との間で各種データの入出力をしたりするためのネットワークインタフェースである。
【0084】
演算手段12は、仮想網状態収集手段121と、状態評価値算出手段122と、仮想網状態判別手段123と、仮想網状態制御情報決定手段124と、状態制御情報送信手段125と、を備える。
【0085】
仮想網状態収集手段121は、それぞれの仮想網制御装置20から、仮想網状態として活性度を収集するものである。仮想網状態収集手段121は、所定の収集タイミングになると、仮想網制御装置20に問い合わせ、活性度を受け取る。
【0086】
状態評価値算出手段122は、仮想網の状態を評価するための評価値として、それぞれの仮想網制御装置20から収集した活性度の最小値αminを算出するものである。
【0087】
仮想網状態判別手段123は、状態評価値算出手段122により算出された活性度の最小値αminと、活性度に関して予め定められた閾値を示す活性度閾値Thαとを比較することで、仮想網の状態を判別するものである。例えば、活性度の最小値αminが活性度閾値Thα以上の場合、仮想網全体の状態が安定している(良好である)と判定され、活性度の最小値αminが活性度閾値Thαよりも小さい場合、いずれかの仮想網の状態(性能)が悪化していると判定される。
【0088】
仮想網状態制御情報決定手段124は、仮想網状態判別手段123で判定された仮想網の状態に応じて、仮想網制御装置20にフィードバックする状態制御情報αmasterを決定するものであって、経過時間測定手段241と、経過時間判別手段242と、状態制御情報算出手段243と、を備える。
【0089】
経過時間測定手段241は、仮想網状態判別手段123によって活性度の最小値αminが活性度閾値Thαを下回ったと判定された場合、前記活性度の最小値αminが活性度閾値Thαを下回った時点からの経過時間tをカウントするものである。
経過時間測定手段241は、仮想網状態判別手段123によって活性度の最小値αminが活性度閾値Thα以上であると判定された場合、経過時間tのカウント値を初期化する(t=0とする)。
【0090】
経過時間判別手段242は、経過時間測定手段241によりカウントされた経過時間tと、経過時間に関して予め定められた閾値を示す時間閾値Thtimeとを比較し、比較結果を状態制御情報算出手段243に通知するものである。
【0091】
状態制御情報算出手段243は、経過時間測定手段241でカウントされた経過時間tが時間閾値Thtime以下である場合、仮想網制御装置20から収集した個別の活性度を、当該仮想網制御装置20における状態制御情報αmasterとして算出し、前記経過時間tが時間閾値Thtimeを超えた場合、前記収集した活性度の最小値αminに基づいて共通の状態制御情報αmasterを算出する。
状態制御情報算出手段243は、経過時間tが時間閾値Thtimeを超えた場合、活性度の最小値αminと減少関数D(t)との積により、状態制御情報αmasterを算出する。
【0092】
状態制御情報送信手段125は、仮想網状態制御情報決定手段124により決定された状態制御情報αmasterを仮想網制御装置20にフィードバックする。
【0093】
記憶手段13は、処理を行う前に格納された制御プログラムや各種情報、あるいは制御により後から取得したデータや演算結果等を記憶するものであって、一般的なハードディスクやメモリから構成される。
記憶手段13は、例えば制御プログラム130と、仮想網状態情報131と、活性度閾値132と、時間閾値133と、減少関数134と、経過時間135と、状態評価値136と、仮想網状態制御情報137とを記憶する。
【0094】
制御プログラム130は、演算手段12を前記仮想網状態収集手段121、状態評価値算出手段122、仮想網状態判別手段123、仮想網状態制御情報決定手段124、状態制御情報送信手段125として機能させるためのプログラムである。
仮想網状態情報131は、管理ノード装置10による制御により各仮想網制御装置20から収集したそれぞれの活性度αown(α,α)を示す。
活性度閾値132は、管理ノード装置10による制御を行う前に事前に格納された活性度閾値Thαを示し、時間閾値133は、同様に事前に格納された時間Thtimeを示し、減少関数134は、同様に事前に格納された減少関数D(t)を示す。
経過時間135は、管理ノード装置10による制御によりカウントされた経過時間tを示し、状態評価値136は、演算により算出された活性度の最小値αminを示し、仮想網状態制御情報137は、演算により決定された状態制御情報αmasterを示す。
【0095】
(状態制御情報の具体例)
状態制御情報αmasterの具体例を式(6)に示す。
【0096】
【数7】

【0097】
ここで、αminは、管理ノード装置10が、仮想網nを制御するそれぞれの仮想網制御装置20から収集した活性度αnの最小値である。すなわち、仮想網制御装置20がN台ならば、αminは式(6a)で表される。
【0098】
αmin=min1≦n≦Nαn … 式(6a)
【0099】
また、前記式(6)において、αownは、仮想網nを制御するそれぞれの仮想網制御装置20から収集した活性度αnである。すなわち、仮想網nにとってはαown=αnであり、仮想網kにとってはαown=αkである。状態制御情報αmasterがαownである場合、各仮想網に応じて状態制御情報αmasterが異なり、後記する相互作用フィードバック制御が必要ない。ここで、相互作用フィードバック制御とは、各仮想網のアトラクター選択間に相互作用が存在することを前提とし、仮想網全体の共通活性度として各仮想網で利用できるように共通の状態制御情報αmasterを管理ノード装置10からフィードバックする制御のことを意味する。
【0100】
管理ノード装置10は、例えばネットワーク全体が適切に動作しており、管理ノード装置10からの相互作用フィードバック制御が必要ない場合には、各仮想網制御装置20から収集した活性度自体をフィードバックする(単純に返す)ことで、それぞれの仮想網を仮想網制御装置20により自己組織的に制御させる。
【0101】
また、前記式(6)において、定数Thαは、活性度に関する閾値(以下、活性度閾値と呼ぶ)を示す。また、変数tは、管理ノード装置10が収集した活性度の最小値αminが活性度閾値Thαを下回った時刻からの経過時間を示す。さらに、定数Thtimeは経過時間tに関する閾値(以下、時間閾値と呼ぶ)を示す。
これら活性度閾値Thαと時間閾値Thtimeとにより、仮想網制御装置20へフィードバックされる状態制御情報αmasterを変化させることができる。
【0102】
管理ノード装置10は、例えば、収集した全ての仮想網の活性度が活性度閾値Thα以上である場合、ネットワーク全体が適切に動作していると判断し、相互作用フィードバック制御を実施しない。このように収集した全ての仮想網の活性度が活性度閾値Thα以上である場合、状態制御情報αmasterがαownなので、管理ノード装置10は、αownをフィードバックする(単純に返す)。
【0103】
管理ノード装置10は、例えば、環境変動などによりいずれかの仮想網の性能が劣化し、収集した活性度の最小値αminが活性度閾値Thαを下回った場合、αminがThαを下回った時点からの経過時間tをカウントする。
このカウントされる経過時間tが時間閾値Thtime以下である場合、管理ノード装置10は、相互作用フィードバック制御を実施せず、性能が劣化した仮想網を制御する仮想網制御装置20のみで、その環境変動に適応を試みる(後記する第1パターンの対処方法)。
【0104】
経過時間tが時間閾値Thtime経過後にも、環境変化に適応できていないなど、単一の仮想網での対応が不可能である場合、管理ノード装置10は、前記式(6)により、それぞれの仮想網制御装置20に対してフィードバックする値をαmin・D(t)に変化させる。これにより、ネットワーク全体をゆらぎによって駆動させ、複数の仮想網を同時に再構成することで、環境変動に対する適応を試みる(後記する第2または第3パターンの対処方法)。
【0105】
前記式(6)において、D(t)は、フィードバック値(状態制御情報αmaster)を変化させる関数であって、tに関する減少関数を示す。
減少関数D(t)を用いて、環境変動に適応できずに経過時間tが大きくなるにつれて、フィードバック値(状態制御情報αmaster)を低下させることができる。これにより、管理ノード装置10は、全仮想網のゆらぎによる再構築を促し、環境変動への適応を試みる。例えば、図1のように2つの仮想網を制御する場合であって、各仮想網を例えば1分毎に制御する場合を想定すると、前記式(6)における減少関数D(t)として、以下の関数などを用いることができる。
【0106】
【数8】

【0107】
式(7)に示す減少関数D(t)は、経過時間tが4分に満たない場合、定義されていない。これは、時間閾値Thtimeが4分であることを示す。この例では、減少関数D(t)は、4<t≦6のときには値が1なので、状態制御情報αmasterはαminそのものとなる。以下、経過時間の増加に伴って段階的に減少するように、第5項までは、初項=1、項比=1/2の等比数列となっている。
つまり、式(7)に示す減少関数D(t)は、減少関数D(t)が高い値のときほど収束が早いため、制御開始当初はD(t)を比較的高い値に設定している。そして、制御の効果が現れないようなときにだけ段階的に値を低下させることで、収束時間の向上を実現している。ただし、減少関数D(t)は、等比数列に限定されるものではない。
【0108】
さらに、経過時間tが14分を超えた場合、減少関数D(t)の値は0になっている。このように、ある時点で減少関数D(t)の値が0になるように設定しておくことで、状態制御情報αmaster(=0)を受信した各仮想網制御装置20は、前記式(1)のゆらぎの項(η)だけに基づいて仮想網を再構成することとなるので、大規模な環境変動にもある程度対応が可能となる効果を奏する。
【0109】
減少関数D(t)は前記式(7)に限定されるものではないが、本実施形態では、前記式(7)で減少関数D(t)が設定されているものとして説明する。なお、活性度閾値Thα、時間閾値Thtime、減少関数D(t)の値は、管理ポリシーなどに応じて適宜設定することが可能である。
【0110】
[5.管理ノード装置による処理の流れ]
次に、管理ノード装置10の動作について、図6を参照(適宜図5参照)して説明する。図6は、本発明の実施形態に係る管理ノード装置による処理の流れを示すフローチャートである。管理ノード装置10は、仮想網状態収集手段121によって、収集タイミングであるか否かを判別する(ステップS21)。収集タイミングである場合(ステップS21:Yes)、仮想網状態収集手段121は、それぞれの仮想網制御装置20から、仮想網状態として、活性度αを収集する(ステップS22)。そして、管理ノード装置10は、状態評価値算出手段122によって、収集した活性度αの中の最小値αminを決定する(ステップS23)。
【0111】
そして、管理ノード装置10は、仮想網状態判別手段123によって、活性度の最小値αminが活性度閾値Thαよりも高いか否かを判別する(ステップS24)。活性度の最小値αminが活性度閾値Thαよりも高い場合(ステップS24:Yes)、すべての仮想網の状態が安定している。この場合、管理ノード装置10は、経過時間測定手段241によって、経過時間tのカウント値をクリアして0に設定する(ステップS25)。さらに、仮想網状態制御情報決定手段124によって、前記した式(6)に基づいて、状態制御情報αmasterをそれぞれの仮想網の活性度そのものαownに設定し(ステップS26)、状態制御情報送信手段125によって、それぞれの仮想網制御装置20に対して、状態制御情報αmasterを送信し(ステップS27)、ステップS21に戻る。
【0112】
一方、前記ステップS24において、活性度の最小値αminが活性度閾値Thα以下である場合(ステップS24:No)、仮想網状態制御情報決定手段124の経過時間判別手段242は、活性度の最小値αminが活性度閾値Thα以下となってからの経過時間tを取得し(ステップS28)、経過時間tが時間閾値Thtime以下か否かを判別する(ステップS29)。経過時間tが時間閾値Thtime以下である場合(ステップS29:Yes)、管理ノード装置10は、前記ステップS26に進む。つまり、管理ノード装置10は、活性度が最小値αminとなっている仮想網(例えばVNT)を構築した仮想網制御装置20に安定化のための処理をまかせる。
【0113】
一方、前記ステップS29において、経過時間tが時間閾値Thtimeを超えた場合(ステップS29:No)、管理ノード装置10は、状態制御情報算出手段243によって、前記した式(6)に基づいて、状態制御情報αmasterを活性度の最小値αminと減少関数D(t)との積として設定し(ステップS30)、状態制御情報送信手段125によって、それぞれの仮想網制御装置20に対して、状態制御情報αmasterを送信し(ステップS27)、ステップS21に戻る。つまり、管理ノード装置10は、活性度が最小値αminとなっている仮想網(例えばVNT)を構築した仮想網制御装置20に安定化のための処理を任せるだけではなく、加えて、活性度が最小値αminとはなっていない仮想網(例えばVNT)を構築した仮想網制御装置20に対しても当該仮想網の一部の再構築処理を行わせる(半固定)。
【0114】
また、本実施形態では、環境変動が大きく経過時間tが増加していっても前記ステップS24の判定処理でYesとならない場合、前記式(7)に基づいて、ある時点で減少関数D(t)が0となり、その結果、状態制御情報αmasterが0となる。よって、フィードバックされた状態制御情報αmaster(=0)を受信した各仮想網制御装置20は、前記式(1)のゆらぎの項(η)だけに基づいて仮想網を再構成することとなる。
【0115】
[6.複数仮想網への大局的な制御の例]
ここでは、自己組織化管理にもとづく複数仮想網制御における複数仮想網への大局的な制御の例について図7を参照して説明する。図7は管理ノード装置10が収集する活性度の遷移例を示すグラフである。図7の横軸(X軸)は、仮想網VNTの活性度αを示し、横軸においてXはXよりも低い値を示す。つまり、横軸は右側よりも左側の数値の方が高いことを示している。図7の縦軸(Y軸)は、仮想網VNTの活性度αを示し、縦軸においてYはYよりも低い値を示す。つまり、縦軸は上側よりも下側の数値の方が高いことを示している。
【0116】
ここでは、仮想網VNTの活性度αと、仮想網VNTの活性度αとのペアを活性度ペアと呼ぶ。なお、このグラフでは、活性度ペアが示す座標上の点を、説明のため所定面積を有した楕円形で示した。図7において活性度ペア101で特徴付けられる各仮想網(VNT,VNT)の状態のことを、以下、単に活性度ペア101と表記する。また、他の活性度ペアの状態についても同様に表記する。
【0117】
活性度ペア101,102のように図中破線よりも座標原点に近い側の各仮想網(VNT,VNT)の状態は、各仮想網(VNT,VNT)のコンディションが良好であることを示している。このような良好な活性度ペアが環境変動によって悪化した場合、本実施形態の管理ノード装置10は、例えば環境変動規模等に応じて、以下の3パターンで対処する。
【0118】
(第1パターン)
第1パターンの対処方法は、環境変動103の規模が比較的小規模であるなど、単一仮想網で対応可能であると考えられる場合の対処方法である。具体的には、活性度ペア101が環境変動103によって悪化して、活性度ペア104へ遷移した場合を想定する。
このようにシステムの状態が活性度ペア104に遷移したとき、仮想網VNTの活性度αが低くなり、かつ、仮想網VNTの活性度αが高いままである。
【0119】
この場合、コンディションが劣化している単一仮想網のみ(VNT)をゆらぎによるVNT再構築により適応する制御を行う。すなわち、管理ノード装置10は、前記ステップS29にてYesの場合の処理を実行する。その結果、各仮想網(VNT,VNT)の状態が、例えば「活性度ペア104→活性度ペア105→活性度ペア106→活性度ペア102」の順番に改善される。これによれば、ネットワーク全体を再構成する場合に比べて素早く環境変動に適応することが可能となる。
【0120】
(第2パターン)
第2パターンの対処方法も、環境変動103の規模が比較的小規模であり、単一仮想網で対応可能であると考えられる場合の対処方法である。具体的には、活性度ペア101が環境変動103によって悪化して、活性度ペア104へ遷移した場合を想定する。
【0121】
この場合、良好に制御されている仮想網(VNT)に関しては半固定とし、残りをゆらぎによって駆動させる制御を行う。ここで、半固定とは、管理ノード装置10が前記ステップS30を実行する前に、コンディションが劣化している単一仮想網のみ(VNT)をゆらぎによるVNT再構築により適応する制御を行いつつ仮想網VNTに関しては再構築を行わず(この時点では固定する)、それでも活性度αが低いままである場合に、管理ノード装置10が前記ステップS30を実行することで、仮想網VNTにおいてもVNTの一部を再構成する(この時点では固定しない)ことを表す。
【0122】
その結果、各仮想網(VNT,VNT)の状態が、例えば「活性度ペア104→活性度ペア105→活性度ペア107→活性度ペア108→活性度ペア109→活性度ペア101」の順番に改善される。これによれば、活性度αを増加させるアトラクター(VNT)を再構築するための物理網上の資源を仮想網VNTが既に利用している場合でも仮想網VNTの再構成を促すことができるので、コンディションが劣化している仮想網(VNT)のアトラクターへ収束する確率が上昇する。
【0123】
(第3パターン)
第3パターンの対処方法は、第1パターンの対処方法や第2パターンの対処方法にもかかわらず、予め定められ閾値以上の時間が経過した後にも環境変動に適応できていないなど単一仮想網での対応が不可能であると考えられる場合の対処方法である。具体的には、活性度ペア101が環境変動103によって悪化して活性度ペア104へ遷移し、さらに悪化して活性度ペア110へ遷移した場合を想定する。
【0124】
この場合、ネットワーク全体(VNT,VNT)をゆらぎによって駆動させ、複数の仮想網を同時に再構成する制御を行う。具体的には、管理ノード装置10は、前記ステップS30において状態制御情報αmasterを0とする。したがって、状態制御情報αmaster(=0)を受信した各仮想網制御装置20は、前記式(1)のゆらぎの項(η)だけに基づいて仮想網を再構成することとなる。これによれば、大規模な環境変動にもある程度対応が可能となる。
【0125】
(各対処パターンと状態制御情報と活性度との関係)
前記したように、管理ノード装置10は、それぞれの仮想網制御装置20から収集した活性度の情報を用いることで、小規模な変動で単一の仮想網だけでも適応可能であるのか、または、ネットワーク全体の再構成が必要なのかを判断することができる。その際に、本実施形態では、前記式(6)および式(7)を用いる制御を行うことで、単一仮想網での自己組織化制御から、徐々にネットワーク全体で適応する過程へと移行するアプローチを採用した。
【0126】
詳細には、前記式(6)では、個々の仮想網が自身の活性度パラメータ(αown)を用いて適切なVNTを発見可能な場合、管理ノード装置10は、相互作用フィードバック制御を行わずに、収集した活性度自体(αown)を状態制御情報αmasterとしてフィードバックする(単純に返す)ことで、分散的な仮想網制御を実行させる(第1パターンの対処方法)。そして、この分散的な仮想網制御では、資源競合による一部仮想網の性能低下が改善されないといった場合のみ、管理ノード装置10は、相互作用フィードバック制御により、共通の活性度パラメータ(αmin・D(t))を状態制御情報αmasterとしてフィードバックすることで、複数仮想網での自己組織化制御を実施する(第2パターンの対処方法)。そして、この際に、共通の活性度パラメータ(αmin・D(t))における減少関数D(t)として前記式(7)を採用することで、減少関数D(t)が高い値のときほど収束が早いため、制御開始当初はD(t)を比較的高い値に設定し、制御の効果があらわれない時のみ段階的に値を低下させることで、収束時間の向上を実現することができた(図7参照)。
【0127】
また、本実施形態に係る管理ノード装置10によれば、仮想網の性能(コンディション)に応じてフィードバックす状態制御情報αmasterを変化させるため、仮想網のコンディションに関わらず共通の活性度パラメータをフィードバックするような制御と比較して、活性度を改善するトポロジの探索に要する時間を低減できる効果を奏する。
【0128】
比較例として、仮想網のコンディションに関わらず複数の仮想網が共通の活性度を用いて、各仮想網のトポロジを制御する場合を想定すると、この場合、局所的な環境変動や小規模な環境変動であっても、ネットワーク全体が再構成されるため、環境変動に対する適応性、収束性、追従性が低下する。特に、仮想網数が増加すると、この問題はさらに顕著になる。すなわち、目的関数に相当する活性度に対して、変数となるトポロジ数が大幅に増加し、活性度を改善するトポロジの探索に多大な時間を要する。
【0129】
一方、本実施形態に係る管理ノード装置10によれば、それぞれのネットワークの自己組織的な振る舞いに基づいた仮想網制御を管理することで、小さな環境変動の場合、それぞれの仮想網で局所的にその変動に対して適応を試み、一方、大きな環境変動などが生じ、それぞれの仮想網での適応が困難である場合、ネットワーク全体でその変動に対して適応することができる。その際、管理ノード装置10は、個々の仮想網の詳細な情報を収集するのではなく、それぞれの仮想網制御装置20から仮想網のコンディションを表す活性度のみを収集、および、フィードバックする。これにより、仮想網数が増加しても、環境変動に対する適応性、収束性、追従性の低下を防止し、ネットワーク全体を管理することが可能になる。
【0130】
以上説明したように、本実施形態に係る仮想網制御手法によれば、各仮想網の分散的なアトラクター選択の制御に完全に任せるのではなく、わずかな制御(フィードバック)により、環境変動への適応性を維持しつつ、より高速な収束を実現することができる。
また、複数の仮想網間で活性度(仮想網の性能に相当)を交換することで、物理網の資源を共有する仮想網間で資源競合を発生させることを実現すると共に、予測困難な環境変動においても適応可能な信頼性・安定性を実現することができる。特に仮想網数が増加した場合にも柔軟に環境変動に対して安定的に仮想網の性能を回復させることが可能である。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。例えば、管理ノード装置10は、1つの装置ユニットで実現してもよいし、管理ノード装置10の機能を複数の装置で分担してもよい。この場合、各仮想網から活性度の値を受け取り、各仮想網が円滑に制御を行えているかどうかを監視するネットワーク監視装置と、それらの値から各仮想網に対してフィードバックを行いネットワーク全体に大局的な制御を加えるネットワーク制御装置とを用いることで、管理ノード装置10を実現することもできる。
【0132】
また、前記実施形態では、管理ノード装置10を仮想網制御装置20とは別に設けたが、複数の仮想網制御装置20のうちの例えば1つが管理ノード装置10の機能も併せもつように構成してもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 仮想網制御システム
10 管理ノード装置
11 入出力インタフェース
12 演算手段
121 仮想網状態収集手段
122 状態評価値算出手段
123 仮想網状態判別手段
124 仮想網状態制御情報決定手段
241 経過時間測定手段
242 経過時間判別手段
243 状態制御情報算出手段
125 状態制御情報送信手段
13 記憶手段
130 制御プログラム
131 仮想網状態情報
132 活性度閾値
133 時間閾値
134 減少関数
135 経過時間
136 状態評価値
137 仮想網状態制御情報
20,20a,20b 仮想網制御装置
21 情報収集部
22 仮想網情報DB
23 物理網情報DB
24 設計部
25 活性度送信部
26 状態制御情報受信部
27 最適トポロジ制御部
28 ゆらぎ方程式記憶部
30 リソース管理装置
201 WDMネットワーク
202 IPネットワーク
,F,F,F 光ファイバ
,N,N,N ノード
OXC,OXC,OXC,OXC 光クロスコネクト
,r,r,r IPルータ
,V,V,V リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理網上に形成された仮想網のトポロジを当該仮想網の環境変化に対して適応制御する仮想網毎の複数の仮想網制御装置と、前記各仮想網制御装置からの資源要求に対して前記物理網の物理資源を割り当てるリソース管理装置と、前記各仮想網制御装置から収集した情報に基づいて前記複数の仮想網の競合を調停するための状態制御情報を算出して前記各仮想網制御装置にフィードバックする管理ノード装置と、を備える仮想網制御システムにおける仮想網制御方法であって、
前記各仮想網制御装置が、仮想網の性能を定期的に観測するステップと、
前記観測した仮想網の性能をもとに当該仮想網の活性度を算出し、前記管理ノード装置に通知するステップと、
前記管理ノード装置が、前記各仮想網制御装置から定期的に収集した活性度に基づいて、所定の条件を満たす場合、前記仮想網からそれぞれ収集した仮想網固有の活性度を前記状態制御情報として算出し、前記所定の条件を満たさない場合、予め定められた算出式により前記各仮想網に共通とする共通活性度を前記状態制御情報として算出し、前記算出したいずれかの定義の状態制御情報を前記仮想網制御装置にフィードバックするステップと、
前記仮想網制御装置が、前記フィードバックされた状態制御情報に基づいて仮想網を設計する計算を行うステップと、
前記リソース管理装置に対して物理資源を要求するステップと、
前記リソース管理装置から割り当てられた物理資源を用いて前記設計された仮想網を構築するステップと、を実行することを特徴とする仮想網制御方法。
【請求項2】
前記管理ノード装置は、
前記状態制御情報を算出する際に、前記各仮想網制御装置から収集した活性度に基づいて前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化したと判定した場合に、悪化してから経過した経過時間が予め定められた時間閾値以下であるか否かを判別し、前記経過時間が前記時間閾値以下であるときには前記所定の条件を満たすものとして前記状態制御情報を算出し、前記経過時間が前記時間閾値を超えたときには前記所定の条件を満たさないものとして前記状態制御情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の仮想網制御方法。
【請求項3】
前記管理ノード装置は、
前記収集された活性度の最小値と、前記経過時間の増加に伴って初期値から段階的に減少する時間に関する減少関数との積により、前記共通活性度を算出することを特徴とする請求項2に記載の仮想網制御方法。
【請求項4】
物理網上に形成された仮想網のトポロジを当該仮想網の環境変化に対して適応制御する仮想網毎の複数の仮想網制御装置と、前記各仮想網制御装置からの資源要求に対して前記物理網の物理資源を割り当てるリソース管理装置と、前記各仮想網制御装置から収集した情報に基づいて前記複数の仮想網の競合を調停するための状態制御情報を算出して前記各仮想網制御装置にフィードバックする管理ノード装置と、を備える仮想網制御システムの前記管理ノード装置であって、
前記各仮想網制御装置から、仮想網の状態の性能を示す情報として活性度を定期的に収集する仮想網状態収集手段と、
前記仮想網の状態を評価するための評価値として、前記各仮想網制御装置から収集した活性度の最小値を算出する状態評価値算出手段と、
前記算出された活性度の最小値が、活性度に関して予め定められた閾値を示す活性度閾値以上である場合、前記仮想網全体の状態が安定していると判定し、前記活性度の最小値が前記活性度閾値よりも小さい場合、前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化していると判定する仮想網状態判別手段と、
前記いずれかの仮想網の状態の性能が悪化している場合に、悪化してから経過した経過時間が予め定められた時間閾値以下であるか否かを判別し、前記経過時間が前記時間閾値以下であるときには前記仮想網からそれぞれ収集した仮想網固有の活性度を状態制御情報として決定し、前記経過時間が前記時間閾値を超えた場合、予め定められた算出式により前記各仮想網に共通とする共通活性度を状態制御情報として決定する仮想網状態制御情報決定手段と、
前記決定されたいずれかの定義の状態制御情報を前記各仮想網制御装置にフィードバックする状態制御情報送信手段と、
を備えることを特徴とする管理ノード装置。
【請求項5】
仮想網状態制御情報決定手段は、
前記収集された活性度の最小値と、前記経過時間の増加に伴って初期値から段階的に減少する時間に関する減少関数との積により、前記共通活性度を算出することを特徴とする請求項4に記載の管理ノード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38571(P2013−38571A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172615(P2011−172615)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】