説明

仮着用セメントのための歯科用自動混合方法、用具、及び組成物

本要約書は、次のように補正されている:1)酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性10不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含むパート(B)と、を含む、マルチパート硬化性歯科用組成物を提供することと、2)この組成物を、パート(A)を含有する第1の貯留部及びパート(B)を含有する第2の貯留部20と流体連通した静的ミキサを通して押出しすることと、を含み、プランジャが、同時にパート(A)及びパート(B)を静的ミキサ中に押込むために各貯留部中に配置される、仮着用結合を形成することができる硬化性歯科用組成物を分注する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2パートのガラスアイオノマーセメントは、しばらく前から歯科用に使用されている。そのような材料は、イオン性ポリマー構成成分及び反応性ガラス構成成分からなり、それらは水の存在下で一緒に混合されるとき、セメント凝結反応を経る。これらの歯科用材料は、持効性フッ素放出、水分及び唾液に対する許容度、良好な機械的特性、並びに調湿剤又は接着剤のような前処理を伴わない歯の硬組織への優秀な接着を含む、複数の望ましい属性を提供する。粉末−液体、粉末−ペースト、ペースト−ペースト、ペースト−液体、及び液体−液体の2パートのセメントが報告されている。伝統的に、この2つのパートは、何らかの方法で測定され、手混合又はへらで混合されているが、1つの代替法では、事前に測定された粉末及び液体構成成分を有する2区画のカプセルが振動機械混合と共に使用されている。例えば、機械的強度変動性、様々な粘稠度、不満足な作業又は凝結時間、1回の適用当たりの費用、多数の分注及び混合工程、機械混合機器及び廃棄物を含む、これらの材料及び方法に伴う種々の欠点が明らかになっている。
【0002】
より最近では、2構成成分ペースト/ペースト歯科用材料のための自動混合送達系の使用により、上記の制限のうちの幾つかに対処しており、使用の幾らかの簡便性、時間節約、及び一貫した生成物の性能が提供されている。ガラスアイオノマーセメントの場合、そのような系統には、有意な機械的利点を提供するカートリッジ及びデバイスの組み合わせを必要とするデバイスが含まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、より迅速な、より簡便な、及び/又はより単純化された様態でガラスアイオノマーセメント及び関連材料を送達するための代替的な方法及び組成物への関心は、引き続き増大している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
仮着用歯科用セメントを調製するための、ある種のマルチパート硬化性ガラスアイオノマー歯科用組成物は、静的ミキサを通して、手の圧力のみを印加することによって、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに分注され得ることが今では判明している。組成物を分注するために必要とされる低い力及び組成物と共に使用され得る小さいサイズの分注デバイスは、他の利益の中でもとりわけ、口内での組成物の直接分注を可能にする。
【0005】
したがって、一実施形態では、仮着用歯科用セメントを形成することができる、硬化性歯科用組成物を分注する方法が提供され、
マルチパート硬化性歯科用組成物であって、
ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体、を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
ここにおいて、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパートに含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれる、マルチパート硬化性歯科用組成物を提供することと、
パート(A)を含有する第1の貯留部及びパート(B)を含有する第2の貯留部と流体連通した静的ミキサを通して、組成物を押出しすることと、
を含み、ここにおいて、プランジャが、同時にパート(A)及びパート(B)を静的ミキサ中に押込み、組成物を、静的ミキサを通して押出しし、組成物を分注するために、各貯留部中に配置され、
ここで静的ミキサを通して、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに、組成物を押出しするために、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力がプランジャに印加される。
【0006】
別の実施形態では、補綴物を、歯科用構造物に結合する方法が提供され、
請求項1に記載の硬化性歯科用組成物を、歯科用補綴物の表面、歯科用構造物の表面、又はそれらの組み合わせの上に分注することと、
補綴物を歯科用構造物上に配置することと、
歯科用組成物を硬化させて、仮着用歯科用セメントを形成することと、
を含み、ここで補綴物は、歯冠、ブリッジ、インレー、アンレー、ポスト、支台、ベニア、及び人工歯からなる群から選択され、
ここで歯科用構造物は、調製された歯又はインプラントである。
【0007】
別の実施形態では、歯科用具が提供され、
仮着用歯科用セメントを形成することができる、マルチパート硬化性歯科用組成物であって、
ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
式中、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれる、組成物と、
パート(A)を含有する第1の貯留部と、
パート(B)を含有する第2の貯留部と、
第1及び第2の貯留部と流体連通した、又は第1及び第2の貯留部と流体連通して接続され得る静的ミキサと、
パート(A)及びパート(B)を静的ミキサ中に押込み、組成物を静的ミキサを通して押出しし、組成物を分注するために、各貯留部中に配置されたプランジャと、
を含み、ここで試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力は、組成物を、静的ミキサを通して、機械的利点を提供するための付属又は外部デバイスの補助なしに押出しするために必要とされる。
【0008】
別の実施形態では、上記のデバイスと、第1及び第2の貯留部との流体連通のために適合された複数個の静的ミキサとを備える歯科用キットが提供される。
【0009】
別の実施形態では、マルチパート硬化性歯科用組成物が提供され、
ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
ここにおいて、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
ここで組成物は、仮着用歯科用セメントを形成することができ、
ここで組成物は、パート(A)を含有する第1の貯留部及びパート(B)を含有する第2の貯留部と流体連通した静的ミキサを通して押出すことが可能であり、
ここでプランジャは、同時にパート(A)及びパート(B)を静的ミキサ中に押込み、組成物を、静的ミキサを通して押出しするために、各貯留部中に配置され、
組成物を、静的ミキサを通して、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに押出しするために、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力がプランジャに印加される。
【0010】
定義
用語「仮着用セメント」は、調製された歯又はインプラントのような、デバイスの耐用年数にわたる正常な口腔の使用条件下で、歯科用材料を歯科用構造物上の定置に維持することができ、及び更に、必要とされる場合には、歯又はインプラントへの損傷なしにデバイスの簡便な取り外しを容易にする、歯科用補綴物、例えば、歯冠のような、セメントを指す。そのような仮着用セメントは、したがって、それらが、永久的であると考えられ得る長期間にわたって、又は一時的であると考えられ得る短期間にわたって使用されるかどうかに関わらず、簡便な取り外しを可能にする。
【0011】
用語「仮着用結合」は、そのようにして歯科用構造物に結合された歯科用材料が、歯又はインプラントのような、歯科用構造物への損傷なしに簡便に取り外しされ得るように、象牙質及び/又はエナメル質への仮着用セメントによって形成される結合を指す。
【0012】
用語「水溶性」は、水中に部分的に若しくは完全に溶解する、25℃で1リットルの水当たり少なくとも5gの量で単独の水中に溶解する、又は25℃で少なくとも5重量パーセントの量で、モノマー、共溶媒、及び/又は界面活性剤と組み合わされた水中に溶解する、モノマー又はポリマーのような材料を指す。用語「含む」及びその変異(例えば、含んでいる、備える等)は、これらの用語が説明及び請求項に現れる場合、限定した意味を有しない。
【0013】
本明細書で使用するとき「a」「an」「the」「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、文脈によって他の用法が明確に示される場合を除き、互換可能に使用される。
【0014】
本明細書ではまた、終点による数値範囲の列挙には、その範囲内に組み込まれた全ての数字が含まれる(例えば、粘度比1:0.06〜1:13の範囲には、1:0.06〜1:13、1:0.1〜1:13、1:0.25〜1:13、1:0.5〜1:13、1:0.6〜1:13、1:1〜1:13、1:0.06〜1:10、1:0.06〜1:7.5、1:0.06〜1:5、1:0.06〜1:3.5、1:0.06〜1:1、1:0.1〜1:10、1:0.25〜1:7.5、1:0.5〜1:5、1:0.6〜1:3.5、1:0.75〜1:2、1:0.9〜1:1.1等が含まれる)。
【0015】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本明細書に記載されるようなマルチパート硬化性歯科用組成物の混合及び分注のための、組み立てられた歯科用デバイスの斜視図。
【図2】図1の組み立てられた歯科用デバイスに含まれる静的ミキサの斜視図。
【図3】本明細書に記載されるようなマルチパート硬化性歯科用組成物の混合及び分注のための、代替的な歯科用デバイスの遠近法による分解図。
【図4】静的ミキサ中に押込まれる前の、別個の貯留部中のパート(A)及び(B)を示す、組み立てられた形態での図3のデバイスの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上に示されるように、自動混合ガラスアイオノマーセメントのための従来の方法は、機械的利点を提供するためのデバイスを含んでいた。かかるデバイスの例としては、GC FujiCEMオートミックス及びPaste Pakディスペンサーのような、分注銃及びアプライヤーが挙げられる。これは、例えば、機械的利点利用型デバイスにかなりの嵩が必要とされるため、口内の歯科用構造物において直接分注を行うことが困難及び/又は非実用的となり、望ましくないことが判明している。本明細書で提供される本方法、用具、キット、及び組成物は、マルチパート硬化性歯科用組成物の効果的な静的混合及び分注を可能にし、それは機械的利点利用型デバイスなしに手の圧力を使用して、仮着用セメントを調製するために使用され得る。結果として、施術者は、今では、手の疲労又は例外的な手の強度を伴わずに小さいサイズの分注デバイスを使用して、ガラスアイオノマーセメントを含むマルチパート硬化性歯科用組成物の自動混合を実施することができる。
【0018】
本方法を使用して調製されるセメント、本明細書に記載される用具、組成物、及びキットは、ある種の実施形態では、定置中に、過剰のセメントを取り外しすることの簡便性及びフッ化物イオン放出を含む、更なる利益を提供することが判明している。同時に、保持及び取り外しの特徴の望ましいバランスが達成される。
【0019】
本明細書に提供される本方法、用具、組成物、及びキットは、複用量及び単回用量適用に適用可能である。複用量適用において、交換の静的ミキサが、組成物の各々連続的な適用で使用される。上記のキット実施形態は、したがって、複数個の静的ミキサを含む。
【0020】
本明細書に記載される上記のデバイスは、第1及び第2の貯留部と流体連通した静的ミキサと共に、又は未だ付属されていないが、適切な時に第1及び第2の貯留部と流体連通して接続され得る静的ミキサと共に、提供されてもよい。図1は、マルチパート硬化性歯科用組成物を混合及び分注するための、二重注射器の形態での、組み立てられた歯科用具100の一例を例示する。注射器本体101は、組成物の1つのパート、例えば、パート(A)を含有する貯留部105、及び組成物の別のパート、例えば、パート(B)を含有する貯留部106を含む。混合管102は、静的ミキサ(図示されず)を含有し、任意の湾曲した分注先端104を装着される。代替的に、管102は、単に、より小さい直径へと先細になってもよい。混合管102は、例えば、単回用量適用が企図されるとき、注射器本体101の一体化したパートであってもよい。代替的に、混合管102は、例えば、複用量適用が行われるべきときに、取り外し可能及び交換可能であってもよい。歯科用具100内のプランジャ103は、パート(A)及び(B)を混合管102中に及びそれを通して押込むために使用される。上述のように、これを行うために、手の圧力のみが必要とされる。後述の試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力がこの必要を満たすことが今では判明している。ある種の実施形態について、好ましくは30、重量ポンド(133ニュートン)以下の、より好ましくは20重量ポンド(89ニュートン)以下の押出し力が必要とされる。
【0021】
図2は、10個の混合要素214を有する静的ミキサ212を例示する。パート(A)及び(B)の適当な及び再現可能な混合を達成するために、十分な数の混合要素が含まれる。上記の方法、用具、キット、及び組成物の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、好ましくは静的ミキサは、少なくとも8個の混合要素又は少なくとも10個の混合要素を含む。これらの実施形態のある種について、静的ミキサは、少なくとも12個の混合要素を含む。より多くの混合要素が使用されてもよいが、更なる、しかし不必要な混合要素から生じる不必要な背圧を防止するために、その数は、適当な及び再現可能な混合のために必要な数に保たれる。静的ミキサ212はまた、使用されないときのパート(A)と(B)との間の接触を防止するために、図1において歯科用具100の貯留部105及び106の出口開口部(図示されず)を閉鎖するように機能し得る、任意の湾曲した分注先端204及び任意の閉鎖栓113と共に示される。
【0022】
本明細書に記載されるデバイスの別の例において、図3(遠近法による分解図)及び4(断面図)は、再び二重注射器の形態で、マルチパート硬化性歯科用組成物を混合及び分注するためのデバイス300を例示する。注射器本体301は、組成物のパート(A)350を含有する貯留部305及び組成物のパート(B)355を含有する貯留部306を含む。混合管302は、混合要素314を有する静的ミキサ312を含有し、出口311を装着している。混合管302は、複用量適用のために取り外し可能及び交換可能である。混合管302が注射器本体301上に設置されるとき、混合管302のロッキングランプ319は、ロッキングタブ315によって保持される。デバイス300内のプランジャ303は、上述のような比較的低い力で、パート(A)350及び(B)355を出口通路307及び308を通して、混合管302中に押込むために使用される。
【0023】
本明細書で使用され得る、具体的なデバイス構築の更なる例は、例えば、米国特許第4,538,920号(Drake)及び米国公開第2007/016660 A1号(Peukerら)に記載される。
【0024】
本明細書に記載されるマルチパート硬化性歯科用組成物は、上記の方法に従って、及び上述のデバイス実施形態において、混合及び分注されるとき、低い押出し力を提供するだけでなく、補綴物を歯科用構造物に、一時的に又は永久的にセメントでつなぐために十分な強度もまた提供する。上記の方法、用具、キット、及び組成物の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(A)が、パート(B)と混合され、混合物が硬化するとき、結果として生じる硬化セメントの(後述の)試験方法IIに従った剪断接着強度は、0.2MPa超である。これらの実施形態のある種について、好ましくは剪断接着強度は、少なくとも0.5MPaである。取り外しを容易にするために、硬化セメントは、2MPa未満、好ましくは1MPa以下の剪断接着強度を有する。これらの結合強度値は、象牙質又はエナメル質のいずれかへの結合強度を指す。
【0025】
ある種の実施形態について、好ましくは本明細書に記載されるマルチパート硬化性歯科用組成物の各パートは、混合中に各パートを他方と相溶化する簡便性のために、構成成分の残部を含む。したがって、上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パートAは、酸反応性ガラス粒子、並びに1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する水溶性液体モノマー、水、及び接着低減構成成分を含み、パートBは、多塩基酸、及び1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する液体モノマーを含む。これらの実施形態のある種について、好ましくはマルチパート硬化性組成物のパートのうちの少なくとも1つは、硬化したとき組成物中に何らかの架橋結合を提供する構成成分を含む。これらの実施形態のある種について、好ましくはパートBは更に、1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有し、かつビス−GMAの粘度以下の粘度を有する液体モノマーを含む(2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)ペンチル]プロパン、CAS番号1565−94−2、[HC=CH(CH)COCHCH(OH)CHOC−4−]C(CH)。これらの実施形態のある種について、液体モノマーは、多くても50パーセントのビス−GMAの粘度である粘度を有する。
【0026】
本明細書に記載されるマルチパート硬化性歯科用組成物の各パートは、組成物の他方のパートに対してバランス化された粘度を有する。ある種の実施形態について、好ましくは各パートの粘度は、組成物の任意の他のパートの粘度よりも20倍未満高いか又は低い。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(A)及びパート(B)は、各々独立して、6パスカル秒(Pa・s)以上かつ100Pa・s以下の粘度を有する。これらの実施形態のある種について、パート(B)のパート(A)粘度に対する比率は、1:0.06〜1:13である。これらの実施形態のある種について、好ましくはパート(B)のパート(A)粘度に対する比率は、1:0.6〜1:3.5、より好ましくは1:0.9〜1:1.6である。
【0027】
パート(A)の粘度は、酸反応性ガラスの粗大粒子を使用して、低い押出し力のために調節され得ることが判明している。粗大粒子は、約2〜約30マイクロメートル超の平均粒径を有する。これらの実施形態のある種について、好ましくは粗大粒子は、約20マイクロメートル以下の平均粒径を有する。これらの実施形態のある種について、粗大粒子は、3〜10マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0028】
上述のような良好な混合及び低い押出し力、並びに同時に、バランスの取れた強度特性(例えば、所望の耐久性のために十分な強度及び取り外しの簡便性)を達成するために、上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、酸反応性ガラス粒子は、パート(A)中に30〜70重量パーセントの量で存在する。これらの実施形態のある種について、好ましくは酸反応性ガラス粒子は、40〜60重量パーセントでパート(A)中に存在する。
【0029】
上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(A)は、水を含む。これは、パート(A)の粘度の更なる調節を提供し、良好な混合のための組成物の他のパートとの適合性を更に増加させる。これらの実施形態のある種について、パート(A)中の水の量は、パート(A)の総重量に基づいて5〜20重量パーセントである。
【0030】
粘度を調節するために、並びに所望の外見、所望の強度特性を付与する、放射線不透過性を付与するため等のような、他の理由で、非反応性充填剤もまた、本明細書に記載される組成物に含まれ得る。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及びパート(B)は更に、非反応性充填剤を、該非反応性充填剤を含むパートの総重量に基づいて1〜50重量パーセントの量で含む。
【0031】
非反応性充填剤は、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、医療用途に使用される組成物への組み込みに好適な任意の材料のうちの1つ以上から選択されてもよい。充填剤は、好ましくは約50マイクロメートル未満の最大粒径及び約10マイクロメートル未満の平均粒径を有する。本組成物が合着セメントとして使用されるとき、充填剤は、超微粒子状であり、ISO規格3107に従って約25マイクロメートル未満の被膜厚さを有する合着セメントを提供するために、約15マイクロメートル未満の最大粒径を有する。充填剤は、単峰性又は複峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。非反応性充填剤を含む上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、非反応性充填剤は、無機材料、架橋された有機材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。架橋された有機材料は、組成物中で不溶性であり、任意に無機充填剤を充填される。充填剤は、非毒性で、口内の使用に好適であるべきである。充填剤は、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性であり得る。
【0032】
好適な非反応性無機充填剤の例としては、石英、窒化物(例えば、窒化シリコン)、例えば、Ce、Sb、Sn、Zr、Sr、Ba、及びAl由来のガラス、コロイドシリカ、コロイドジルコニア、長石、ボロシリケートガラス、カオリン、タルク、チタニア、並びに亜鉛ガラスのような天然産又は合成材料;米国特許第4,695,251号に記載されるもののような低モース硬度充填剤;並びにサブミクロンシリカ粒子(例えば、Degussaによって販売される「アエロジル」系、「OX 50」、「130」、「150」、及び「200」シリカ、並びにCabot Corp.によって販売される「Cab−O−Sil M5」シリカのような発熱性シリカ)、米国特許第5,084,491号に開示されるもののような金属粉末、とりわけ第2欄52〜65行において開示されるもの;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
好適な非反応性有機充填剤粒子の例としては、充填又は無充填微粉状ポリカーボネート、ポリエポキシド等が挙げられる。好ましい非反応性充填剤粒子は、石英、サブミクロンシリカ、及びジルコニア、並びに米国特許第4,503,169号に記載される種類の非ガラス質微小粒子である。これらの非反応性充填剤の混合物、並びに有機及び無機材料から作製される混合物充填剤もまた企図される。
【0034】
非反応性充填剤を含む上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、好ましくは非反応性充填剤は、ヒュームドシリカ、ジルコニア−シリカ、石英、非熱分解シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
非反応性充填剤粒子の表面は、ある種の実施形態では、組成物が硬化するとき、充填剤と重合可能な構成成分との間の結合を強化するために、好ましくはカップリング剤で処理される。好適なカップリング剤の使用は、γ−メタクリルオキシプロピルリメトキシシラン(trimethoysilane)、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、SILQUEST A−1230(Momentive Performance Chemicals)等を含む。
【0036】
非反応性充填剤を含む上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(B)は、パート(B)の総重量に基づいて5〜45重量パーセントの量での非反応性充填剤を含む。これらの実施形態のある種について、好ましくは非反応性充填剤は、ヒュームドシリカ、ジルコニア−シリカ、石英、非熱分解シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの実施形態のある種について、好ましくは非反応性充填剤は、シラン処理されたジルコニア−シリカである。
【0037】
パート(B)は、粘稠な液体、ゲル、又はペーストの形態であってもよい。粘稠な液体及びゲルは、典型的に比較的低量の非反応性充填剤を含有するか、又はそれを全く含有しない。ペーストは、典型的に、比較的大量の非反応性充填剤を含む。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(B)は、ペーストの形態である。
【0038】
上に示されるように、本明細書に記載されるマルチパート硬化性組成物は、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する液体モノマーを含み、ある種の実施形態では、好ましくはそのようなモノマーは、部分的に又は完全に水溶性である。ある種の実施形態について、好ましくはエチレン性不飽和基は、アリル、ビニル、アクリレート、及びメタクリレート基を含む。ある種の実施形態について、そのようなモノマーは、比較的低分子量を有し、1モノマー分子当たり1つのみのエチレン性不飽和基を含む。ある種の実施形態について、好ましくはそのようなモノマーの分子量は、約100〜約1000である。マルチパート硬化性組成物中に水溶性液体モノマーを含む上記の実施形態のうちのいずれか1つを含む、ある種の実施形態について、モノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ソルビトールメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0039】
そのようなモノマーは、自動混合中に各パートを他方と相溶化する簡便性に寄与し、パート(A)及び(B)のための上述の所望の粘度を達成することが判明している。
【0040】
パート(B)に好適な水溶性多塩基酸には、不飽和モノ−、ジ−、及びトリカルボン酸の、ホモ−又はコポリマー、例えば、アクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸のホモ−又はコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。ある種の実施形態について、好ましくは水溶性多塩基酸は、反応性充填剤及び水の存在下で凝結反応を経るために十分なペンダントイオン基、及び結果として生じる混合物が、レドックス硬化機構によって及び/又は放射エネルギーへの曝露によって硬化するのを可能にするために十分なペンダント非イオン性の重合可能な基を有するポリマーを含む。
【0041】
上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、多塩基酸は、式I:
B(X)(Y)
のものであり、式中、Bは、有機主鎖であり、各Xは独立して、水及び酸反応性ガラス粒子の存在下で凝結反応を経ることができるイオン基であり、各Yは独立して、非イオン性の重合可能な基であり、mは、少なくとも2であり、nは、少なくとも1である。これらの実施形態のある種について、Xは、−COOHであり、Yは、エチレン性不飽和基である。これらの実施形態のある種について、好ましくは主鎖Bは、炭素−炭素結合のオリゴマーの又はポリマーの主鎖であり、任意に酸素、窒素、又は硫黄ヘテロ原子のような非干渉置換基を含有する。用語「非干渉」は、イオン性又は非イオン性のいずれかの重合反応を過度に干渉しない置換基又は結合基を指す。これらの実施形態のある種について、好ましくはBは、炭化水素主鎖である。X及びY基は、主鎖Bに直接に、又は置換若しくは未置換アルキレン、アルキレンオキシアルキレン、アリーレン、アリーレンオキシアルキレン、アルキレンオキシアリーレン、アリーレンアルキレン、若しくはアルキレンアリーレン基のような、任意の非干渉結合基を用いて結合され得る。アルキレン及びアリーレンは、それぞれアルキル及びアリルの二価型を指す。結合基はまた、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)O−、−O−等、及びそれらの組み合わせのような連鎖を含んでもよく、ここでこれらの各々は、いずれの方向で使用されてもよい。これらの実施形態のある種について、Yは、Bにアミド連鎖を介して結合される。これらの実施形態のある種について、好ましくはYは、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アクリルアミド、又はメタクリルアミド基である。
【0042】
式Iの多塩基酸は、(1)式B(X)m+nのポリマーのnX基を好適な組成物と反応させて、nペンダントY基を形成すること、(2)X基以外の位置で、式B(X)のポリマーを好適な組成物と反応させて、nペンダントY基を形成すること、(3)Y基を通じて又は他の位置でのいずれかで、式B(Y)m+n又はB(Y)のポリマーを好適な組成物と反応させて、mペンダントX基を形成すること、並びに(4)適切なモノマー、例えば、1つ以上のペンダントX基を含有するモノマー及び1つ以上のペンダントY基を含有するモノマーを共重合すること、を含むが、これらに限定されない多様な合成経路に従って調製することができる。上記の合成経路(1)が好ましい。そのような基は、「カップリング組成物」、すなわち、X基を通じてポリマーと反応することができる、Y基及び反応性基の両方を含有する組成物の使用によって反応させることができ、それによってペンダント様式でY基を主鎖Bに共有結合させる。好適なカップリング組成物は、有機組成物であり、任意に、Y基と反応性基との間に非干渉置換基及び/又は非干渉結合基を含有する。
【0043】
式Iの好ましい多塩基酸は、ポリアルケン酸(例えば、各Xがカルボキシル基である、式B(X)m+nのポリマー)を、エチレン性不飽和基及びカルボン酸基と反応することができる基の両方を含有するカップリング組成物と反応させることによって好都合に調製される。結果として生じるアイオノマーの分子量は、好ましくは約250〜約500,000、及びより好ましくは約1,000〜約100,000である。本明細書で言及されるとき、「分子量」は、重量平均分子量を意味する。これらの多塩基酸は、水溶性であるように選択される。本明細書で使用される多塩基酸を調製する際に使用するための好適なポリアルケン酸には、ガラスアイオノマーセメントを調製するために一般的に使用される、不飽和のモノ−、ジ−、及び/又はトリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーが含まれる。代表的なポリアルケン酸は、例えば、米国特許第3,655,605号、同第4,016,124号、同第4,089,830号、同第4,143,018号、同第4,342,677号、同第4,360,605号、及び同第4,376,835に記載される。好ましいポリアルケン酸は、不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、アクリル酸、2−クロロアクリル酸、3−クロロアクリル酸、2−ブロモアクリル酸、3−ブロモアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、フマル酸、及びチグリン酸の単独重合及び共重合によって調製されるものである。不飽和脂肪族カルボン酸と共重合できる好適なモノマーには、アクリルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化アリル、酢酸ビニル、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)のような不飽和脂肪族化合物が含まれる。必要であれば、ターポリマー及び高次ポリマーを使用してもよい。ある種の実施形態について、好ましくはアクリル酸のホモポリマー及びコポリマーが使用される。ポリアルケン酸は、実質的に非重合のモノマー及び他の望ましくない構成成分がないこととする。ある種の実施形態について、好ましくはポリアルケン酸には、ポリアクリル酸、アクリル酸及びイタコン酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、エチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、スチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0044】
式B(X)m+nのポリマーは、モノマー及び/又はコモノマーの適切な混合物の共重合によって調製することができる。好ましくは、そのようなポリマーは、例えば、溶液中の、乳濁液中の、又は界面の、フリーラジカル重合によって調製される。そのようなポリマーは、適切な触媒の存在下でカップリング組成物と反応させることができる。
【0045】
上に示されるように、本明細書で使用するための多塩基酸を調製するために好適なカップリング組成物には、Xと反応して共有結合を形成することができる少なくとも1つの基、並びに少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を含有する組成物が含まれる。Xがカルボキシルであるとき、求電子及び求核基の両方を含む、幾つかの基は、Xと反応することができる。そのような基の例としては、ヒドロキシル、アミノ、イソシアナト、ハロカルボキシル、及びオキシラニルが挙げられる。好適なカップリング組成物の例としては、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なカップリング組成物の他の例としては、米国特許第4,035,321号及び同第5,814,682号に記載されるものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、多塩基酸は、ポリアクリル酸、アクリル酸及びイタコン酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、エチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、スチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーの、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートからなる群から選択されるカップリング組成物との反応生成物で構成される群から選択される。
【0047】
1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する液体モノマーを含む上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、多塩基酸は、1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマー中で不溶性である。不溶性とは、3重量%未満の多塩基酸が25℃のモノマー中に溶解することを意味する。これらの実施形態のある種について、1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、ウレタンジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
好適な酸反応性ガラスには、例えば、米国特許第3,655,605号、同第3,814,717号、同第4,143,018号、同第4,209,434号、同第4,360,605号、及び同第4,376,835号に記載されるようなイオン浸出性ガラスが含まれる。ある種の実施形態について、酸反応性ガラスは、好ましくはホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、及びフルオロアルミノシリケートガラスから選択される。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、好ましくは酸反応性ガラスは、フルオロアルミノシリケート(FAS)ガラスである。好適な酸反応性ガラスはまた、当業者によく知られる多様な商業的な供給元から市販されている。例えば、好適な酸反応性ガラスは、「GC Fuji LC」セメント及び「Kerr XR」アイオノマーセメントのような、幾つかの市販のガラスアイオノマーセメントから得ることができる。所望であれば、酸反応性ガラスの混合物を使用することができる。
【0049】
酸反応性ガラス粒子はまた、表面処理に供されてもよい。好適な表面処理には、酸洗浄、リン酸塩での処理、酒石酸のようなキレート剤での処理、シラン又はシラノールカップリング剤での処理が含まれる。ある種の実施形態について、好ましくは酸反応性ガラス粒子は、米国特許第55,332,429号に記載されるようなシラノール処理されたフルオロアルミノシリケートガラス粒子であり、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
マルチパート組成物のパートを混合するとき、パートが約1:1に近い又は約1:1の容量比にあるとき、容量の比較的大きい差異を使用する場合と比較して、より良好な混合が生じることが判明している。これは、硬化するとき、組成物のより良好な特性、例えば、より高い剪断接着強度及び/又は直径引張強度(DTS)をもたらす。更に、互いに非常に異なる容量でパートを混合することは、構成成分の量に誤差を導入する可能性を増加させ、それは特性に悪影響を与えるであろう。したがって、上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、パート(A)及びパート(B)は、1.2:1〜1:1.2の容量比率にある。
【0051】
上に示されるように、本組成物を、静的ミキサを通して押出しするために印加される、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力は、現在、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに行われ得るであろう。40重量ポンド(178ニュートン)よりも大幅に低い押出し力が、現在達成されている。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、力は、30重量ポンド(133ニュートン)未満である。これらの実施形態のある種について、力は、20重量ポンド(89ニュートン)未満、好ましくは15重量ポンド(67ニュートン)未満である。これらの実施形態のある種について、力は、10〜15重量ポンド(44〜67ニュートン)である。静摩擦は、5重量ポンド(63ニュートン)以下の押出し力のような、更により低い押出し力での、組成物の分注を引き起こすことに留意する。これは、プランジャが瞬間的に貼り付く可能性があるためであり、この静摩擦を克服することは、組成物を分注するために必要とされる力よりも低い力を必要とし得、調節されない量の組成物の分注をもたらす。
【0052】
上に示されるように、本明細書に記載されるマルチパート硬化性歯科用組成物は、1つ以上の接着低減構成成分を含む。接着低減構成成分は、セメントが2.0MPa未満の剪断接着強度を有するように、組成物が硬化するとき、仮着用セメントを提供するために十分な量で存在する1つ以上の材料を含む。接着低減構成成分は、多塩基酸を部分的に中和するための塩又は塩基、組成物中の酸反応性種の割合を低減するための非酸反応性材料、及び多塩基酸の幾つか又は全ての、低分子量の多塩基酸との置換が含まれるが、これらに限定されない。接着低減構成成分は、マルチパート組成物のパートの1つ以上に添加されてもよく、組成物が硬化するとき、その意図される目的のために所望される範囲の剪断接着強度を有するセメントを提供するような量で添加されてもよい。接着低減構成成分の混合物が利用されてもよい。
【0053】
組成物の多塩基酸を部分的に中和するために使用され得る好適な塩又は塩基は概して、その中の塩の共役酸のpKaが多塩基酸のpKaを超える、塩又は塩基を含む。好ましい塩及び塩基には、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸モノアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リチウム、ナトリウム、又はカリウム塩、酸化マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、水和又は非水和リン酸ナトリウム、及び水和又は非水和リン酸カリウムがある。典型的に、塩又は塩基は、セメント組成物の総重量に基づいて、約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約5重量%で存在するであろう。
【0054】
好適な非酸反応性材料は、単独又は組み合わせのいずれかで、上述の非反応性充填剤のいずれか又は全てが含まれる。好適な非酸反応性材料にはまた、酒石酸のようなキレート剤が含まれる。好適な非酸反応性材料には更に、水、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)、ポリ(酢酸ビニル)のような多価アルコール、並びに非酸反応性モノマー、ポリマー、及びオリゴマー、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ビス−GMA、トリエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート、並びに従来の歯科用材料への組み込みに好適な他の非酸反応性樹脂が含まれる。非酸反応性材料は、セメント組成物の総重量に基づいて1〜95重量%、好ましくは10〜80重量%の量で、マルチパート硬化性組成物中に存在する。
【0055】
上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、好ましくは接着低減構成成分は、ジルコニア:シリカ微小粒子、サブミクロンシリカ、水、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、水溶性又は分散性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非酸反応性材料である。これらの実施形態のある種について、接着低減構成成分は、ポリエチレングリコール、グリセロール、水溶性又は分散性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
多塩基酸の幾つか又は全ての、低分子量の多塩基酸との置換を代替的に又は更に利用して、硬化するとき、十分に低い剪断結合接着を有する仮着用セメントである組成物を提供することができる。例えば、多塩基酸、例えば、2,000の分子量を有するポリアクリル酸を、25,000〜40,000の分子量を有する多塩基酸の代わりに使用することができる。市販されている多塩基酸には、2,000、5,000、90,000、及び250,000の分子量を有する、Aldrich Chemical Co.,Inc.によって販売されるもの、並びに商標名「GOODRITE」(BFGoodrich Co.,Specialty Polymers & Chemicals Division,Cleveland,Ohio)の下に販売され、2,000〜240,000の範囲の分子量で入手可能なポリアクリル酸が含まれる。低分子量多塩基酸は概して、より低い固形分を有する。これらの低分子量多塩基酸を組み込むペーストを調合することが所望される場合、多塩基酸は、望ましくないゲル化を伴わずに濃縮して、市販のより高い分子量多塩基酸以上の固形分を達成することができる。典型的に、低分子量の多塩基酸は、組成物の総重量に基づいて約2〜約40重量%、好ましくは約3〜約20重量%で存在するであろう。
【0057】
本明細書に記載される実施形態で使用されるマルチパート硬化性歯科用組成物は、組成物中のモノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分を含み、それによって組成物を、酸反応性ガラス粒子と多塩基酸との間に生じる、イオン性凝結反応によって提供されるレベルを超えるレベルにまで更に硬化し、強化する。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、マルチパート硬化性歯科用組成物は、熱又は光活性重合又はレドックス重合によって硬化を経ることができる。これらの実施形態のある種について、マルチパート硬化性歯科用組成物光重合又は、レドックス重合によって硬化を経ることができる。
【0058】
レドックス重合は、レドックス反応を解して硬化させるために、酸化剤及び還元剤をレドックス触媒系として歯科用組成物中に別個に組み込むことによって提供される。種々のレドックス系及びアイオノマーセメントにおけるそれらの使用は、米国特許第5,154,762号に記載され、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。金属錯体アスコルビン酸は、優秀な色安定性での硬化を提供する好ましい還元剤である。この還元剤及びレドックス系は、米国特許第5,501,727号により完全に記載され、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。酸化剤は、エチレン性不飽和基の重合を開始することができるフリーラジカルを生成するために、還元剤と反応ないしは別の方法で還元剤と強調するべきである。還元剤及び酸化剤の各々に好ましい量は、凝結していない組成物の総重量(水を含む)に基づいて約0.01〜約10%、より好ましくは約0.02〜約5%である。
【0059】
酸化剤及び還元剤は、典型的な歯の条件下でのそれらの保管及び使用を可能にするために、好ましくは十分に貯蔵安定性があり、望ましくない着色がない。酸化剤及び還元剤は、十分に可溶性であり、適当なフリーラジカル反応率を可能にするために十分な量で存在する。これは、安全光条件下で充填剤を除くセメントの成分の全てを組み合わせ、硬化した質量が得られるか否かを観察することによって評価することができる。
【0060】
好適な酸化剤には、過硫酸塩ナトリウム、過硫酸塩カリウム、過硫酸塩アンモニウム、及び過硫酸塩アルキルアンモニウムのような過硫酸塩、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、三級−ブチルヒドロペルオキシド、三級−アミルヒドロペルオキシド、及び2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサンのようなヒドロペルオキシド、コバルト(III)及び鉄(III)の塩、ヒドロキシルアミン、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸塩アニオンの塩、並びにそれらの組み合わせが含まれる。過酸化水素を使用することもできるが、それは場合によっては、光反応開始剤が存在する場合、それを妨害し得る。酸化剤が、米国特許第5,154,762号に記載されるようなカプセル型で任意に提供されてもよい。
【0061】
還元剤には、アスコルビン酸、金属錯体アスコルビン酸、ジメチルアミノフェネタノール、及びジヒドロキシエチル−p−トルイジンのような芳香族アミン、塩化コバルト(II)クロライド、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、シュウ酸、チオ尿素、アルキルチオ尿素、及びジチオナイトの塩、1−アリル2−チオ尿素、チオ硫酸、ベンゼンスルフィン酸塩及びp−トルエンスルフィン塩のような芳香族スルフィン酸塩、亜硫酸塩アニオン、並びにそれらの組み合わせが含まれる。アスコルビン酸及び芳香族三級アミンが好ましい還元剤である。ある種の実施形態について、二級イオン性塩を使用して、米国特許第6,982,288号に記載されるような、系統の安定性を強化することができる。
【0062】
本発明のアイオノマーセメント系は、任意に、熱又は光によって活性されるとき、フリーラジカルの元として作用する1つ以上の好適な反応開始剤を含有してもよい。そのような反応開始剤は、単独で又は1つ以上の促進剤及び/又は増感剤と組み合わせて使用することができる。反応開始剤は、好適な波長及び強度の光への曝露に際し、フリーラジカル重合及び/又はエチレン性不飽和部分の架橋を促すことができるべきである。好ましくは反応開始剤はまた、典型的な歯の条件下でのそれらの保管及び使用を可能にするために、好ましくは十分に貯蔵安定性があり、望ましくない着色がない。可視光線光反応開始剤が好ましい。好ましくは光反応開始剤は、組成物パート(A及びB)の組み合わされた液体構成成分中で部分的に又は完全に可溶性である。
【0063】
フリーラジカル生成光反応開始剤は、単独で使用されてもよいが、ある種の実施形態では、好ましくは光増感剤及び/又は促進剤と組み合わせて使用される。そのような反応開始剤は、200〜800ナノメートルの波長を有する光エネルギーへの曝露に際し、付加重合するためのフリーラジカルを生成することができる。
【0064】
好適な光反応開始剤(すなわち、1つ以上の組成物を含む光反応開始剤系)には、二要素系及び三要素系光反応開始剤が含まれる。一例では、三要素系光反応開始剤には、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されるような、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体組成物が含まれ得る。好適なヨードニウム塩の例としては、ジアリルヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、及びトリクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。光増感剤の例としては、約400ナノメートル〜520ナノメートル、好ましくは450〜500ナノメートルの範囲内の何らかの光を吸収するモノケトン及びジケトンが挙げられる。これらの範囲の光を吸収するαジケトンが好ましい。そのような光増感剤の例としては、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−ペンチル−1,2−プロパンジオン、及び他の1−アリル1−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環式αジケトンが挙げられる。カンファーキノンが最も好ましい。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えばエチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。
【0065】
光反応開始剤は、利用されるとき、所望の重合率を提供するために十分な量で存在するべきである。この量は、光源、放射エネルギーに曝露される層の厚さ、及び光反応開始剤の吸光係数に一部依存するであろう。典型的に、光反応開始剤の構成成分は、組成物の総重量に基づいて約0.01〜約5%、より好ましくは約0.1〜約5%の総重量で存在するであろう。
【0066】
口腔の環境で使用するために好適な更なる構成成分が任意に、本明細書に記載されるマルチパート硬化性組成物中に使用されてもよい。一例では、そのような構成成分には、溶媒、共溶媒(例えば、アルコール)又は希釈剤が含まれる。別の例では、インジケータ、染料、色素、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、酒石酸、キレート剤、界面活性剤、緩衝剤、安定剤(フリーラジカル安定剤を含む)、サブミクロンシリカ粒子、蛍光及び/又は乳白色を付与する添加剤、作業時間を持続させた調整剤、並びに当業者には明白となるであろう他の材料が使用され得る。更に、薬剤又は他の治療用材料を、任意に組成物に添加することができる。例としては、増白剤、息清涼剤、着香剤、芳香剤、抗カリエス剤(例えば、キシリトール)、フッ化物源、無機成分補給剤類(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素類、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応調整剤、チキソトロープ、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤、抗カビ剤、口内乾燥処理剤、減感剤、並びに歯科用組成物にて使用される同様の種類のものが挙げられる。上記の添加剤の任意の組み合わせもまた、本明細書に記載される組成物中に使用され得る。いずれか1つのそのような添加剤の選択及び量は、所望の結果に従って、当業者によって決定され得る。
【0067】
修復における凝結反応の開始時と、修復の表面上に行われるその後の臨床処置を可能にするために十分な硬化が生じた時間との間の時間を持続させ得る調整剤には、例えば、アルカノールアミンのようなエタノールアミン及びトリエタノールアミン、並びにモノ−、ジ−、及びリ−リン酸水素ナトリウムが含まれる。調整剤は、パートA又はパートBのいずれかに添加され得る。使用されるとき、それらは組成物総重量に基づいて約0.1〜10重量パーセントの濃度で存在する。
【0068】
ある種の安定剤は、色安定性を提供する。そのような安定剤には、シュウ酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、メタリン酸、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
フリーラジカル安定剤は、光反応開始剤と共に使用して、フリーラジカル開始組成物における未成熟重合を防止するか、又は作業時間を調整することができる。好適な例のフリーラジカル安定剤には、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びメチルエチルヒドロキノン(MEHQ)が含まれる。
【0070】
サブミクロンシリカ粒子を使用して、取扱特性を改善してもよい。好適なシリカ粒子には、Degussa Corp.から入手可能なAEROSIL系OX 50、130、150、200、及びR−812S、並びにCabot Corp.から入手可能なCAB−O−SiL M5シリカのような発熱性シリカが含まれる。
【0071】
粘度調整剤には、増粘剤が含まれる。好適な増粘剤には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びナトリウムのようなその種々の塩、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0072】
本明細書に記載される方法、デバイス、及び組成物は、例えば、補綴物(例えば、歯冠、ブリッジ、インレー、アンレー、ポスト、支台、ベニア、人工歯等)を口内の定置に固定又は維持するために使用される合着セメント;例えば、虫歯の空洞を充填するために使用される修復又は充填剤材料;例えば、象牙質及びエナメル質上のライナー又はエナメル質上のシーラント若しくはシール材として使用される薄被膜;歯科矯正用ブラケット接着剤;バンドセメント等のような、幾つかの歯科用途によく適している。上記の実施形態のうちのどれでも1つを含む、ある種の実施形態について、マルチパート硬化性歯科用組成物は、ライナー材、合着材、修復材、歯内療法材、及びシール材からなる群から選択される。一例では、仮着用歯冠は、最終歯冠が利用可能となるまで定置に保持されるが、仮着用歯冠はなおも必要とされる場合、容易に取り外しできる。別の例では、支台又は歯冠のような補綴物は、その役割の耐用期間にわたってインプラントを回収及び/又は維持することの簡便性が所望される場合に、インプラント上の定置に保持される。ある種の実施形態について、マルチパート硬化性歯科用組成物は、歯科矯正用ブラケット接着材又はバンドセメントである。
【0073】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0074】
【表1】

【0075】
分注機器
中間自動混合チップを備えるMIXPAC注射器(Sulzer Chemtech,Switzerland)を使用して自動混合を行った。MIXPAC注射器は、複用量適用のための2連筒(1:1容量比率)を備える5mL注射器である。注射器パートのパート数及び混合チップは、次の通りであった:
【0076】
【表2】

【0077】
試験方法I−押出し力
押出し力は、(Instron 1123,Instron Corp.Canton,Mass.)を使用して、100mm/分のクロスヘッド速度で、中間混合チップを備える上述の5mL MIXPAC注射器上で試験した。一方の端部に中間混合チップ及び他方の端部に挿入されたプランジャを備えるMIXPAC注射器を、サンプルホルダー上の穴の中に挿入して、Mixpacが着実に保持されるようにした。プランジャを注射器中に押込んだとき、プランジャを14mmの距離で注射器中に押込みながら必要とされたピークの力(押出し力)を、重量ポンド(lb−f)(ニュートン)の単位で測定した。
【0078】
試験方法II−圧縮強度
圧縮強度は、最初に自動混合セメントサンプルを、4mm内径を有するガラス管中に注入することによって評価した。管の端部にシリコーン栓で栓をした。充填管を、0.275MPa圧力に5分間供した。次いでサンプルを37℃及び90%相対湿度のチャンバ中に配置し、1時間静置させた。次に硬化したサンプルを37℃の水中に1時間配置し、次いで7mmの長さに切断した。圧縮強度を、ISO規格7489に従って、1mm/分のクロスヘッド速度で動作させたINSTRON(商標)ユニバーサル試験機(Instron Corp.)を使用して決定した。結果をメガパスカル(MPa)で報告した。
【0079】
試験方法III−粘度
レオロジー的特性を、TA器具AR G2上で、室温で単純せん断モードにより測定した。せん断速度20s−1の異なるペーストの粘度を、異なるペーストのバランスの取れた粘度の実証のために使用した。
【0080】
試験方法IV−歯冠取り外し、定置後の清掃の簡便性、及び歯冠取り外し後の残留セメント
抜歯したヒト大臼歯を、アクリル樹脂材料を使用して成形型に詰め、その後、顧問歯科医が歯科用ハンドピースを使用して調製した。歯を真鍮ブラシによって洗浄し、微細軽石によって研磨し、歯冠着座の前にDI水中に保管した。Protemp Plus系歯冠(3M ESPE)を、製造業者の指示により作製し、対応する歯に対して作製した。歯冠調製後、セメントを指示により使用して歯冠を着座させ、アセンブリを指定された清浄/凝結時間で37℃のオーブンに入れ、その後、過剰のセメントを歯科用探針によって除去し(清浄の簡便性に留意した)、アセンブリを37℃のDI水中に1週間入れた。歯冠取り外し期において、歯科医は、臨床条件によって止血鉗子を使用して歯冠をつかみ、歯冠取り外しの簡便性を、簡便〜困難の1〜5の尺度上で査定した。同時に、歯上に残ったセメント対歯冠の内側に保持されたセメントの百分率に関して注記を行った。いずれの3以下の取り外しスコア及び歯上の5%以下の残留セメントを、取り外しの観点から許容できると見なした。
【0081】
ペーストの調製
ペーストAを、HEMA若しくはPEGDMA、DI水、HPC、ATU、及びDMAPEをカップ中に添加し、スピードミキサ(FlackTek Inc,Landrum,SC製)上で高速混合することによって調製して、透明の溶液を形成した。次いで残留した構成成分を処方に従って添加し、続いて300rpmで2分間高速混合した。ペースト混合の均一性を確認し、必要な場合、均一のペーストAが形成されるまで、混合を同じrpmで継続した。
【0082】
ペーストBを、PEGDMA、BHT、BPO、CPQ、及びUDMAを混合カップ中に添加し、高速混合することによって調製して、透明の溶液を形成した。次いで残留した構成成分を処方に従って添加し、続いて3000rpmで2分間高速混合した。ペースト混合の均一性を確認し、必要な場合、均一のペーストBが形成されるまで、混合を同じrpmで継続Bした。
【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
個々の粘度試験を除いて、ペーストを上述の分注機器中に装填し、次いで自動混合チップを通して押出して、試験方法に使用する混合したペーストを得た。
【0086】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮着用結合を形成することができる、硬化性歯科用組成物を分注する方法であって、
マルチパート硬化性歯科用組成物であって、
ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体、を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
ここにおいて、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する前記モノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれる、硬化性歯科用組成物を提供することと、
前記パート(A)を含有する第1の貯留部及び前記パート(B)を含有する第2の貯留部と流体連通した静的ミキサを通して、前記組成物を押出しすることと、を含み、
ここにおいて、プランジャが、同時にパート(A)及びパート(B)を前記静的ミキサ中に押込み、前記組成物を、前記静的ミキサを通して押出しし、前記組成物を分注するために、各貯留部中に配置され、
前記組成物を、前記静的ミキサを通して、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに押出しするために、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力が前記プランジャに印加される、方法。
【請求項2】
補綴物を、歯科用構造物に結合する方法であって、
請求項1に記載の硬化性歯科用組成物を、歯科用補綴物の表面、歯科用構造物の表面、又はそれらの組み合わせの上に分注することと、
前記補綴物を前記歯科用構造物上に配置することと、
前記歯科用組成物を硬化させて、仮着用結合であり得る結合を形成することと、
を含み、
前記補綴物が、歯冠、ブリッジ、インレー、アンレー、ポスト、支台、ベニア、及び人工歯からなる群から選択され、
前記歯科用構造物が、調製された歯又はインプラントである、方法。
【請求項3】
歯科用具であって、
仮着用結合を形成することができるマルチパート硬化性歯科用組成物であって、ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
ここにおいて、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する前記モノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれる、マルチパート硬化性歯科用組成物と、
前記パート(A)を含有する第1の貯留部と、
前記パート(B)を含有する第2の貯留部と、
前記第1及び第2の貯留部と流体連通した、又は前記第1及び第2の貯留部と流体連通して接続され得る静的ミキサと、
パート(A)及びパート(B)を静的ミキサ中に押込み、組成物を静的ミキサを通して押出しし、組成物を分注するために、各貯留部中に配置されたプランジャと、
を備え、
ここにおいて、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力が、前記組成物を、前記静的ミキサを通して、機械的利点を提供するための付属又は外部デバイスの補助なしに押出しするために必要とされる、歯科用具。
【請求項4】
請求項3に記載の歯科用具と、前記第1及び第2の貯留部との流体連通のために適合された複数個の静的ミキサと、を備える、歯科用キット。
【請求項5】
仮着用結合を形成することができる、マルチパート硬化性歯科用組成物であって、
ペーストの形態でのパート(A)であって、
酸反応性ガラス粒子、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、ペーストの形態でのパート(A)と、
パート(B)であって、
水溶性多塩基酸、並びに、水、1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するモノマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、パート(B)と、
を含み、
ここにおいて、
接着低減構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
水が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する前記モノマーが、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの構成成分が、パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及び(B)に含まれ、
ここにおいて、前記組成物は、前記パート(A)を含有する第1の貯留部及び前記パート(B)を含有する第2の貯留部と流体連通した静的ミキサを通して押出すことが可能であり、
ここにおいて、プランジャが、同時にパート(A)及びパート(B)を前記静的ミキサ中に押込み、前記組成物を、前記静的ミキサを通して押出しするために、各貯留部中に配置され、
ここにおいて、前記組成物を、前記静的ミキサを通して、付属又は外部デバイスによって提供される機械的利点の補助なしに押出しするために、試験方法Iに従った40重量ポンド(178ニュートン)未満の押出し力が前記プランジャに印加される、組成物。
【請求項6】
前記静的ミキサが、少なくとも10個の混合要素を含む、請求項1若しくは請求項2に記載の方法、請求項3に記載の用具、請求項4に記載のキット、又は請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
パート(A)がパート(B)と混合され、前記混合物が硬化するとき、結果として生じる硬化セメントの試験方法IIに従った剪断接着強度が、2.0MPa未満である、請求項1、2、及び6のいずれか一項に記載の方法、請求項3若しくは請求項6に記載の用具、請求項4若しくは請求項6に記載のキット、又は請求項5に若しくは請求項6記載の組成物。
【請求項8】
パートAが、
前記酸反応性ガラス粒子、並びに
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する水溶性モノマー、
水、及び
前記接着低減構成成分を含み、
パートBが、
前記多塩基酸及び
1モノマー分子当たり少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する液体モノマーを含む、
請求項1、2、6、及び7のいずれか一項に記載の方法、請求項3、6、及び7のいずれか一項に記載の用具、請求項4、6、及び7のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5、6、及び7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
パートBが更に、1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有し、かつBis−GMAの粘度以下の粘度を有する液体モノマーを含む、請求項8に記載の方法、請求項8に記載の用具、請求項8に記載のキット、又は請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
パート(A)及びパート(B)が各々独立して、3パスカル秒(Pa・s)以上かつ50Pa・s以下の粘度を有し、パート(B)のパート(A)粘度に対する比率が、1:0.06〜1:13である、請求項1、2、及び6〜9のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜9のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜9のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
パート(B)のパート(A)粘度に対する比率が、1:0.6〜1:3.5である、請求項10に記載の方法、請求項10に記載の用具、請求項10に記載のキット、又は請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸反応性ガラス粒子が、約2〜約30マイクロメートル超の平均粒径を有する、請求項1、2、及び6〜11のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜11のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜11のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸反応性ガラス粒子が、パート(A)中に30〜70重量パーセントの量で存在する、請求項1、2、及び6〜12のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜12のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜12のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
パート(A)が、水を含む、請求項1、2、6、7、及び請求項8に従属する場合を除く9〜13のいずれか一項に記載の方法、請求項3、6、7、及び請求項8に従属する場合を除く9〜13のいずれか一項に記載の用具、請求項4、6、7、及び請求項8に従属する場合を除く9〜13のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5、6、7、及び請求項8に従属する場合を除く9〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
パート(A)中の水の量が、パート(A)の総重量に基づいて5〜20重量パーセントである、請求項8、請求項8に従属するような9〜13、及び14のいずれか一項に記載の方法、請求項8、請求項8に従属するような9〜13、及び14のいずれか一項に記載の用具、請求項8、請求項8に従属するような9〜13、及び14のいずれか一項に記載のキット、又は請求項8、請求項8に従属するような9〜13、及び14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
パート(A)、パート(B)、又はパート(A)及びパート(B)が更に、非反応性充填剤を、前記非反応性充填剤を含む前記パートの総重量に基づいて1〜50重量パーセントの量で含む、請求項1、2、及び6〜15のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜15のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜15のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記非反応性充填剤が、無機材料、架橋された有機材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法、請求項16に記載の用具、請求項16に記載のキット、又は請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
パート(B)が、パート(B)の総重量に基づいて5〜45重量パーセントの量で前記非反応性充填剤を含む、請求項16若しくは請求項17に記載の方法、請求項16若しくは請求項17に記載の用具、請求項16若しくは請求項17に記載のキット、又は請求項16若しくは請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記非反応性充填剤が、ヒュームドシリカ、ジルコニア−シリカ、石英、非熱分解シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法、請求項20に記載の用具、請求項20に記載のキット、又は請求項20に記載の組成物。
【請求項20】
パート(B)が、ペーストの形態である、請求項1、2、及び6〜19のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜19のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜19のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記水溶性液体モノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ソルビトールメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8及び請求項8に従属するような9〜20のいずれか一項に記載の方法、請求項8及び請求項8に従属するような9〜20のいずれか一項に記載の用具、請求項8及び請求項8に従属するような9〜20のいずれか一項に記載のキット、又は請求項8及び請求項8に従属するような9〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記多塩基酸が、式:
B(X)(Y)
の多塩基酸であって、式中、Bが炭化水素主鎖であり、Xが−COOHであり、Yがエチレン性不飽和基であり、mが少なくとも2であり、nが少なくとも1であり、YがBにアミド連鎖を介して結合される、請求項1、2、及び6〜21のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜21のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜21のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記多塩基酸が、ポリアクリル酸、アクリル酸及びイタコン酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、エチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、スチレン及び無水マレイン酸又はマレイン酸のコポリマー、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるからなる群から選択されるポリマーの、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートからなる群から選択されるカップリング組成物との反応生成物で構成される群から選択される、請求項22に記載の方法、請求項22に記載の用具、請求項22に記載のキット、又は請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記多塩基酸が、1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する前記モノマー中で不溶性である、請求項9及び請求項9に従属するような10〜23のいずれか一項に記載の方法、請求項9及び請求項9に従属するような10〜23のいずれか一項に記載の用具、請求項9及び請求項9に従属するような10〜23のいずれか一項に記載のキット、又は請求項9及び請求項9に従属するような10〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
1モノマー分子当たり少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する前記モノマーが、ウレタンジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法、請求項24に記載の用具、請求項24に記載のキット、又は請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記酸反応性ガラスがFASガラスである、請求項1、2、及び6〜25のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜25のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜25のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記パート(A)及びパート(B)が、1.2:1〜1:1.2の容量比率である、請求項1、2、及び6〜26のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜26のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜26のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記力が、30重量ポンド(133ニュートン)未満である、請求項1、2、及び6〜27のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜27のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜27のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記接着低減構成成分が、ポリエチレングリコール、グリセロール、
水溶性又は分散性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1、2、及び6〜28のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜28のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜28のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記マルチパート硬化性歯科用組成物が、光重合又はレドックス重合による硬化を経ることができる、請求項1、2、及び6〜29のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜29のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜29のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記マルチパート硬化性歯科用組成物が、ライナー材、合着材、修復材、歯内療法材、及びシール材からなる群から選択される、請求項1、2、及び6〜30のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜30のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜30のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記マルチパート硬化性歯科用組成物が、歯科矯正用ブラケット接着材又はバンドセメントである、請求項1、2、及び6〜31のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜31のいずれか一項に記載の用具、請求項4及び6〜31のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜31のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515775(P2013−515775A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547115(P2012−547115)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060709
【国際公開番号】WO2011/081976
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】