説明

仮設トイレ用照明装置

【課題】 電気の供給が行われない場所であっても使用できる仮設トイレ用照明装置を提供すること。
【解決手段】 仮設トイレ1を照明する仮設トイレ用照明装置10において、太陽光等の光エネルギによって発電する太陽電池11と、この太陽電池11を仮設トイレ1の外部に設置する取付具12と、この太陽電池11の発電電力を蓄える蓄電要素と制御回路が収められる電源ユニット20と、蓄電要素から放電される電力によって仮設トイレ1の室内5を照明する照明器30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレ用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、災害地等に設置される仮設トイレは、電気の供給が行われず、照明設備が使えないことがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平09−028617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電気の供給が行われない場所であっても、夜間に仮設トイレの室内を照明したいという要求があった。
【0004】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、電気の供給が行われない場所であっても使用できる仮設トイレ用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、仮設トイレを照明する仮設トイレ用照明装置において、太陽光等の光エネルギによって発電する太陽電池と、この太陽電池を仮設トイレの外部に設置する取付具と、太陽電池と分離して設けられ太陽電池の発電電力を蓄える電源ユニットと、この電源ユニットから放電される電力によって仮設トイレの室内を照明する照明器とを備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、昼間に太陽光の光エネルギによって太陽電池が発電する電力を電源ユニットの蓄電要素に蓄え、夜間に電源ユニットの蓄電要素に蓄えられた電力を照明器に供給し、仮設トイレの室内を照明する。
【0007】
太陽電池は取付具を介して仮設トイレの外部に設置され、太陽電池の発電電力を蓄える電源ユニットを太陽電池と分離して設ける構造のため、電源ユニットを仮設トイレの室内に設置することが可能となる。これにより、電源ユニットに設けられる蓄電池と太陽電池の大きさや形状に対する制約を少なくし、照明時間を十分に確保することができる。
【0008】
また、仮設トイレの室内に設置される電源ユニットが風雨にさらされることがないため、電源ユニットに要求される防水性が低くなり、製品のコストダウンがはかれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1の(a),(b)において、1は仮設トイレであり、この仮設トイレ1は任意の場所に移送して設置することができる。
【0011】
仮設トイレ1は、その構造壁となる筐体2と、この筐体2の上部に設けられる屋根3と、筐体2の出入り口7を開閉するドア4等を備え、これらによって画成される室内5に図示しない便器が設けられる。
【0012】
仮設トイレ1は室内5を照明する仮設トイレ用照明装置10を備える。この仮設トイレ用照明装置10は、太陽光等の光エネルギによって発電する太陽電池11と、この太陽電池11を仮設トイレ1の外部に設置する取付具12と、この太陽電池11の発電電力を蓄える蓄電要素と制御回路が収められる電源ユニット20と、蓄電要素から放電される電力によって室内5内を照明する照明器30とを備える。
【0013】
図2に示すように、太陽電池11は屋根3に対して取付具12を介して着脱可能に設置される。取付具12は屋根3に固定ネジ17を介して着脱可能に取り付けられるベース13と、このベース13に対して太陽電池11を略垂直軸まわりに回動可能に支持する可動フレーム14とを備え、可動フレーム14はベース13に固定用ネジ15を介して締結される。固定用ネジ15を緩めることにより、可動フレーム14を回動して太陽電池11の向きを変えられるようになっている。
【0014】
固定用ネジ15,17はつまみ15a,17aをそれぞれ介して手動で回すことができ、専用の工具等を用いることなく太陽電池11の設置、取り外し作業が行えるようになっている。
【0015】
パネル状の太陽電池11は可動フレーム14に対して複数のボルト介して16を介して締結される。可動フレーム14は水平線に対して一定の傾斜角度を持って太陽電池11を支持する。なお、これに限らず、太陽電池11を水平軸回りに傾転可能に支持するようにしても良い。
【0016】
室内5にはその上部に設けられる棚6に電源ユニット20と照明器30が設置されるとともに、出入り口7の近傍に照明切換スイッチ25が設置される。
【0017】
電源ユニット20はケーブル31を介して太陽電池11に接続され、ケーブル32を介してスイッチ25に接続され、ケーブル33を介して照明器30に接続される。
【0018】
各ケーブル31〜33は筐体2の内壁面に係止具34を介して着脱可能に取り付けられる。
【0019】
電源ユニット20と照明器30と照明切換スイッチ25は例えばマジックテープ(登録商標)等の係止具を介して着脱可能に取り付けられる。
【0020】
図3に示すように、電源ユニット20は電源ユニット20は持ち運びが可能なケース21を備え、このケース21内に蓄電要素と制御基板23が収められる。
【0021】
電源ユニット20はケース21内に収められる蓄電要素としての例えばニッカド電池からなる蓄電池22が設けられる。
【0022】
太陽電池11の発電電流はケーブル31を介して電源ユニット20に導かれ、制御基板23を介して蓄電池22に充電される。制御基板23は太陽電池11等から供給される電流を蓄電池22に充電する充電回路と、蓄電池22に充電される過電流を遮断する充電監視回路と、蓄電池22からの電流を照明器30に供給する出力回路と、蓄電池22の蓄電圧が所定値より低下するのに伴って蓄電池22の出力を停止する出力監視回路とを備える。
【0023】
電源ユニット20のケース21には蓄電池22に充電電流を導く充電用コネクタ24が外部に面して取り付けられる。太陽電池11のケーブル31は電源ユニット20に対してこの充電用コネクタ24を介して着脱可能に接続される。
【0024】
充電用コネクタ24にはAC/DC電源26を接続可能とする。AC/DC電源26は交流電流を直流電流に変換する。充電用コネクタ24にAC/DC電源26から延びる出力端子27が差し込まれ、かつ交流電源コンセントにプラグ28が差し込まれることによって、交流電源コンセントから供給される交流電流がAC/DC電源26によって直流に変換されて電源ユニット20に導かれ、制御基板23を介して蓄電池22に充電される。
【0025】
ケース21には表示燈42が外部に面して取り付けられる。この表示燈42は充電を促すためのものであり、表示燈42が点灯して、オペレータに充電が必要なことを知らせる。
【0026】
照明切換スイッチ25がOFFからONに切り換えられると、蓄電池22からの直流電流が制御基板23とケーブル33を介して供給されて照明器30が点灯する。
【0027】
照明器30はその光源としてLED(半導体発光素子)を用いた照明器であり、蓄電池22から供給される直流電流によって点灯する。
【0028】
仮設トイレ用照明装置10は以上のように構成されて、昼間に太陽光の光エネルギによって太陽電池11が発電する電力を電源ユニット20に蓄え、夜間に電源ユニット20に蓄えられた電力を照明器30に供給し、仮設トイレ1の室内5を照明する。
【0029】
仮設トイレ用照明装置10は太陽電池11が取付具12を介して仮設トイレ1の外部に設置され、太陽電池11の発電電力を蓄える電源ユニット20を太陽電池11と分離して設ける構造のため、電源ユニット20を仮設トイレ1の室内5に設置することが可能となる。これにより、電源ユニット20に設けられる蓄電池22と太陽電池11の大きさや形状に対する制約を少なくし、照明器30の照明時間を十分に確保することができる。
【0030】
仮設トイレ1の室内5に設置される電源ユニット20が風雨にさらされないため、電源ユニット20に要求される防水性が低くなり、製品のコストダウンがはかれる。
【0031】
取付具12は屋根3に取り付けられるベース13と、このベース13に対して太陽電池11を回動可能に支持する可動フレーム14とを備え、可動フレーム14を回動して太陽電池11の向きを変えられるため、仮設トイレ1が設置される東西南北の方角に関係なく可動フレーム14の向きを設定し、太陽電池11の受光量を充分に確保することができる。
【0032】
LEDを用いた照明器30はエジソン電球型ライトに比べて消費電力が小さく、限られた蓄電池22の電力によって長時間の使用が可能となる。
【0033】
照明器30は仮設トイレ1の室内5をスポット状に照らすように設定すると、反射光が薄い壁材からなる筐体2を透けることが抑えられる。
【0034】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、仮設トイレの照明装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示す仮設トイレ用照明装置の斜視図。
【図2】同じく太陽電池の取付具の側面図。
【図3】同じく電源ユニットの斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 仮設トイレ
5 室内
10 仮設トイレ用照明装置
11 太陽電池
12 取付具
13 ベース
14 可動フレーム
20 電源ユニット
30 照明器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設トイレを照明する仮設トイレ用照明装置において、
光エネルギによって発電する太陽電池と、
この太陽電池を前記仮設トイレの外部に設置する取付具と、
前記太陽電池と分離して設けられ前記太陽電池の発電電力を蓄える電源ユニットと、
この電源ユニットから放電される電力によって前記仮設トイレの室内を照明する照明器とを備えたことを特徴とする仮設トイレ用照明装置。
【請求項2】
前記取付具は前記仮設トイレの外部に取り付けられるベースと、
このベースに対して前記太陽電池を回動可能に支持する可動フレームとを備え、
この可動フレームを回動して太陽電池の向きを変えられることを特徴とする請求項1に記載の仮設トイレ用照明装置。
【請求項3】
前記照明器はその光源として半導体発光素子を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の仮設トイレ用照明装置。
【請求項4】
前記電源ユニットは前記蓄電要素に充電電流を導く充電用コネクタを備え、
この充電用コネクタに前記太陽電池の発電電流を導くケーブルが着脱可能に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の仮設トイレ用照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−223655(P2006−223655A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42617(P2005−42617)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】