説明

仮連結金具

【課題】懸垂装置や耐張装置の鉄塔への取付作業の容易化を図ることができる仮連結金具を提供する。
【解決手段】Uクレビス10に形成された連結ボルト挿入孔10aとホーン取付金具30に形成された連結ボルト挿入孔30aとに連結ボルトを挿入してUクレビス10とホーン取付金具30とを連結する際に両者を仮連結して連結ボルト挿入孔10aと連結ボルト挿入孔30aとを重ね合わせるための仮連結金具であって、Uクレビス10に仮連結用ピン取付孔10bが形成されているとともに、ホーン取付金具30に仮連結用フック30bが形成されている。ここで、仮連結用ピン取付孔10bは、仮連結用ピン取付孔10bに挿入して取り付けた仮連結用ピン20に仮連結用フック30bを引っ掛けると連結ボルト挿入孔10aと連結ボルト挿入孔30aとが重ね合わさる位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮連結金具に関し、特に、特別高圧架空線の懸垂装置や耐張装置を鉄塔に取り付けるのに好適な仮連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特別高圧架空線の1連懸垂装置(複数個のクレビス形懸垂碍子を並べてなる碍子連3と、碍子連3の両端に取り付けられたホーン取付金具4を備える。)を鉄塔1に取り付ける際には、たとえば、図6に示すように鉄塔1に取り付けられた懸垂装置取付金具2と碍子連3の上端に取り付けられたホーン取付金具4とをUクレビス5(プレート形Uクレビス)を介して接続している。
ここで、Uクレビス5(鉄塔側金具)は、Uクレビス5の連結ボルト挿入孔5aとホーン取付金具4の中央部に形成された連結ボルト挿入孔4a(不図示)とを重ね合わせた(位置合わせした)のちに連結ボルトを挿入することにより、ホーン取付金具4(懸垂/耐張装置側金具)と連結される。
【0003】
なお、下記の特許文献1には、各種タイプの共通化を図り、支線碍子装置の組立ての際の芯ずれや偏心を防止し、集中応力などの変位が発生せず、支線碍子装置を迅速、容易かつ正確に組み立てることができるように、間隔を置いて配置される2つの支線碍子を連結ボルトで連結して組み立てることにより構成される支線碍子装置を設置する碍子組立治工具本体と、碍子組立治工具本体に取り付けられる仮連結ボルトと、支線碍子の碍子座に取付けられ、仮連結ボルトが結合する碍子座固定具とを備え、支線碍子を交換する際、支線碍子装置を碍子組立治工具本体上に設置して支線碍子装置および碍子組立治工具本体の芯を合わせ、支線碍子装置の連結ボルトを取り外して、支線碍子の碍子座を碍子座固定具および仮連結ボルトにより固定するようにした支線碍子組立治工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−244166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Uクレビス5は自在に動くため、Uクレビス5の連結ボルト挿入孔5aとホーン取付金具4の連結ボルト挿入孔4aとがずれることから、不安定な高所で両者を重ね合わせることは熟練が必要であり容易ではなく時間と労力とが必要であるという問題があった。
【0006】
このような問題は、特別高圧架空線の1連耐張装置を取り付ける場合にも、鉄塔に取り付けられた鉄塔側プレート(鉄塔側金具)と鉄塔側Uクレビス(懸垂/耐張装置側金具)とを連結する際に生じていた。
【0007】
本発明の目的は、懸垂装置や耐張装置の鉄塔への取付作業の容易化を図ることができる仮連結金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の仮連結金具は、鉄塔側金具(10,60)に形成された連結ボルト挿入孔(10a,60a)と懸垂/耐張装置側金具(30,70)に形成された他の連結ボルト挿入孔(30a,70a)とに連結ボルト(90)を挿入して該鉄塔側金具と該懸垂/耐張装置側金具とを連結する際に、該鉄塔側金具と該懸垂/耐張装置側金具とを仮連結して前記連結ボルト挿入孔と前記他の連結ボルト挿入孔とを重ね合わせるための仮連結金具であって、前記鉄塔側金具に、仮連結用ピン取付孔(10b,60b)が形成されており、前記懸垂/耐張装置側金具に、仮連結用フック(30b,70b)が形成されており、前記仮連結用ピン取付孔が、該仮連結用ピン取付孔に挿入して取り付けた仮連結用ピン(20,40,50,80)に前記仮連結用フックを引っ掛けると前記連結ボルト挿入孔と前記他の連結ボルト挿入孔とが重ね合わさる位置に形成されていることを特徴とする。
ここで、前記鉄塔側金具が、両端部に前記連結ボルト挿入孔(10a)が形成されたUクレビス(10)であり、前記仮連結用ピン取付孔(10b)が、前記Uクレビスの両端部に形成された連結ボルト挿入孔の間に該Uクレビスの両端から同じ距離の位置に形成されており、前記懸垂/耐張装置側金具が、上面に前記仮連結用フック(30b)が形成されたホーン取付金具(30)であってもよい。
前記鉄塔側金具が、下端部に前記連結ボルト挿入孔(60a)が形成された、かつ、上端部にボルト挿入孔(60c)が形成された、かつ、該連結ボルト挿入孔と該ボルト挿入孔との間に前記仮連結用ピン取付孔(60b)が形成された鉄塔側プレート(60)であり、前記懸垂/耐張装置側金具が、両端部に前記仮連結用フック(70b)が形成された鉄塔側Uクレビス(70)であってもよい。
前記仮連結用ピン(40)が、横長板状の基板(41)と、末端が前記基板の一方の側面の先端部に固定された、かつ、先端から前記鉄塔側金具の前記仮連結用ピン取付孔に挿入される棒状のピン(42)と、末端が前記基板の前記一方の側面の末端部に固定された棒状の可動板支持軸(43)と、一方の側面が前記基板の前記一方の側面と対向するとともに末端部が前記可動板支持軸に回動自在に支持された横長板状の可動板(44)と、前記仮連結用ピンを前記一方の側面から見たときの形状がコの字形状である引外しハンドル(45)と、該引外しハンドルの両端部を回動自在に支持するための棒状のハンドル支持軸(46)と、末端部が前記引外しハンドルの前記ハンドル支持軸よりも先端部側に回動自在に支持された棒状の押えピン(47)と、磁石(48)とを備え、前記可動板の先端部の底面に、前記ピンの先端部を収納するとともに、該収納されたピンの先端部を該可動板と共に挟んで保持するための前記押えピンの先端部を収納するための切欠きが形成されており、前記可動板の上面および底面の中央部に、前記引外しハンドルを該可動板に向けて押し込んだときに該引外しハンドルの両端部を収納するための凹部が形成されており、前記可動板の前記底面の前記凹部と前記切欠きとの間に、前記押えピンを貫通させるための貫通孔が形成されており、前記可動板の他方の側面に、前記ハンドル支持軸を貫通させて取り付けるための凸部が形成されており、前記引外しハンドルが、前記押えピンを前記可動板の長手方向に沿って移動させる押えピン移動機能および前記磁石を前記鉄塔側金具から引き離す磁石引離し機能を備え、前記磁石が、前記可動板の前記一方の側面内の前記凹部と前記切欠きとの間に取り付けられていてもよい。
前記仮連結用ピン(50)が、棒状のピン(51)と、棒状の可動板支持軸(52)と、末端部が前記可動板支持軸に回動自在に支持された横長板状の可動板(53)と、前記仮連結用ピンを上から見たときの形状がコの字形状である引外しハンドル(54)と、前記可動板の先端部に前記可動板支持軸と平行に取り付けられた棒状のハンドル支持軸(55)と、前記可動板の上面内の前記ピンと前記引外しハンドルとの間に取り付けられた磁石(56)とを備え、前記ピンが、末端部の径が大きくされているとともに、先端部に前記可動板の末端部を収納するための凹部が形成されており、前記可動板支持軸が、前記ピンの凹部を貫通するように取り付けられており、前記引外しハンドルが、両端部が前記ハンドル支持軸に回動自在に支持されており、前記磁石を前記鉄塔側金具から引き離す磁石引離し機能を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の仮連結金具は、鉄塔側金具の仮連結用ピン取付孔に挿入して取り付けた仮連結用ピンに懸垂/耐張装置側金具の仮連結用フックを引っ掛けるだけで、鉄塔側金具の連結ボルト挿入孔と懸垂/耐張装置側金具の連結ボルト挿入孔とを重ね合わせることができるため、鉄塔側金具と懸垂/耐張装置側金具とを連結ボルトで容易に連結することができるので、懸垂装置や耐張装置の鉄塔への取付作業の容易化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例による仮連結金具について説明するための図であり、(a)はUクレビス10の構成を示す側面図、(b)は仮連結用ピン20の構成を示す側面図、(c)はホーン取付金具30の構成を示す正面図、(d)はホーン取付金具30の仮連結用フック30bをUクレビス10に取り付けた仮連結用ピン20に引っ掛けた状態を示す正面図である。
【図2】図1(b)に示した仮連結用ピン20の代わりに使用する仮連結用ピン40の構成を示す図であり、(a)は底面図、(b)は右側面図である。
【図3】図1(b)に示した仮連結用ピン20の代わりに使用する仮連結用ピン40の動きについて説明するための図であり、(a)は可動板44の動きを示す右側面図、(b)は引外しハンドル45および押えピン47の動きを示す底面図である。
【図4】図1(b)に示した仮連結用ピン20の代わりに使用する仮連結用ピン50について説明するための図であり、(a)は仮連結用ピン50の構成を示す上面図、(b)は引外しハンドル54の動きを示す右側面図、(c)は仮連結用ピン50をUクレビス10に取り付けた状態を示す右側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例による仮連結金具について説明するための図であり、(a)は鉄塔側プレート60の構成を示す正面図、(b)は鉄塔側Uクレビス70の構成を示す側面図、(c)は鉄塔側Uクレビス70の仮連結用フック70bを鉄塔側プレート60に取り付けた仮連結用ピン80に引っ掛けた状態を鉄塔側プレート60の側面側から見た図、(d)は鉄塔側プレート60の連結ボルト挿入孔60aおよび鉄塔側Uクレビス70の連結ボルト挿入孔70aに連結ボルト91を挿入して取り付けた状態を鉄塔側プレート60の側面側から見た図である。
【図6】特別高圧架空線の1連懸垂装置の鉄塔への取付方法の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の目的を、鉄塔側金具に仮連結用ピン取付孔を形成するとともに懸垂/耐張装置側金具に仮連結用フックを形成し、仮連結用ピン取付孔に挿入して取り付けた仮連結用ピンに仮連結用フックを引っ掛けると鉄塔側金具の連結ボルト挿入孔と懸垂/耐張装置側金具の連結ボルト挿入孔とが重ね合わさるようにすることにより実現した。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の仮連結金具の実施例について図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1の実施例による仮連結金具について図1を参照して説明する。
本実施例による仮連結金具は、特別高圧架空線の1連懸垂装置を鉄塔1に取り付ける際に使用するためのものであり、図1(a)に示すように仮連結用ピン取付孔10bが形成されたUクレビス10(鉄塔側金具)と、図1(b)に示すように頭付きピンである仮連結用ピン20と、図1(c)に示すように仮連結用フック30bが形成されたホーン取付金具30(懸垂/耐張装置側金具)とを具備する。
【0013】
ここで、仮連結用ピン取付孔10bは、仮連結用ピン20を貫通させてUクレビス10に取り付けるためのものであり、Uクレビス10の両端部に形成された連結ボルト挿入孔10aの間にUクレビス10の両端から同じ距離の位置に形成されている。
【0014】
仮連結用フック30bは、ホーン取付金具30の上面(碍子連3が取り付けられる側と反対側の面)の中央部に形成されている。
また、仮連結用フック30bは、図1(d)に示すように、懸垂装置取付金具2に取り付けられたUクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bに仮連結用ピン20を挿入して取り付けたのち、ホーン取付金具30の仮連結用フック30bを仮連結用ピン20に引っ掛けると、Uクレビス10の連結ボルト挿入孔10aとホーン取付金具30の連結ボルト挿入孔30aとが重なり合うように形成されている。
【0015】
これにより、作業員は、1連懸垂装置を鉄塔1に取り付ける際には、Uクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bに仮連結用ピン20を挿入して取り付けたのちに仮連結用ピン20にホーン取付金具30の仮連結用フック30bを引っ掛けるだけでUクレビス10の連結ボルト挿入孔10aとホーン取付金具30の連結ボルト挿入孔30aとを重ね合わせることができるため、Uクレビス10とホーン取付金具30とを容易に連結ボルトで連結することができる。
【0016】
なお、本実施例による仮連結金具は、1連懸垂装置を碍子連3の下端側のホーン取付金具およびUクレビスを介して懸垂クランプまたは耐張クランプに取り付ける場合にも用いることができる。
また、Uクレビスの代わりに平行クレビスや直角クレビスなどを使用する場合にも、平行クレビスや直角クレビスなどに仮連結用ピン取付孔10bを同様にして形成することにより用いることができる。
【0017】
以上では、仮連結用ピン20として頭付きピンを用いたが、仮連結用ピン20の抜けを防止するために、図2に示す仮連結用ピン40または図4に示す仮連結用ピン50を用いてもよい。
【0018】
仮連結用ピン40は、横長板状の基板41と、棒状のピン42と、棒状の可動板支持軸43と、基板41と同じ寸法の横長板状の可動板44と、仮連結用ピン40を右側面から見たときの形状がコの字形状である引外しハンドル45(図2(b)参照)と、棒状のハンドル支持軸46と、棒状の押えピン47と、磁石48とを備える。
【0019】
ここで、ピン42は、末端が基板41の右側面(可動板44と対向する面)の先端部の中央部に固定されており、先端からUクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bに挿入されるものである。
【0020】
可動板支持軸43は、末端が基板41の右側面の末端部の中央部に固定されており、可動板44の末端部を回動自在に支持するものである。
これにより、作業員が可動板44を可動板支持軸43を回転中心として回せば、仮連結用ピン40を右側面から見たときに可動板44の先端部と基板41の先端部とを重ねたり離したりすることができる(図2(b)および図3(a)参照)。
【0021】
可動板44の先端部の底面には、図2(b)に示すようにピン42の先端部を収納するとともに、図2(a)に示すように収納されたピン42の先端部を可動板42と共に挟んで保持するための押えピン47の先端部を収納するための切欠きが形成されている。
可動板44の上面および底面の中央部には、図2(a)に示すように引外しハンドル45を可動板44に向けて押し込んだときに引外しハンドル45の両端部を収納するための凹部が形成されている。
可動板44の底面の凹部と切欠きとの間には、押えピン47を貫通させるための貫通孔が形成されている。
可動板44の右側面には、図2(b)に示すようにハンドル支持軸46を貫通させて取り付けるための凸部が形成されている。
【0022】
引外しハンドル45は、押えピン47を可動板44の長手方向に沿って移動させる押えピン移動機能と、磁石48をUクレビス10から引き離す磁石引離し機能とを備える。
すなわち、引外しハンドル45は、引外しハンドル45を可動板44に向けて押し込んだときに中央部が可動板44の両側面に当たって引外しハンドル45の両端部が可動板44に収納されないことを防止するために、中央部は右に向けて曲げられている。
引外しハンドル45の両端部は、ハンドル支持軸46に回動自在に支持されている。
押えピン47の末端部は、引外しハンドル45のハンドル支持軸46よりも先端部側に回動自在に支持されている。
これにより、図2(a)に示すように引外しハンドル45を可動板44に向けて押し込むと、押えピン47の先端部を可動板44の貫通孔から飛び出させることができ、逆に、図3(b)に示すように引外しハンドル45を引いて可動板44から離すと、押えピン47の先端部を可動板44の貫通孔内に引っ込ませることができる(押えピン移動機能)。
【0023】
また、引外しハンドル45は、図3(b)に示すように引外しハンドル45を引いて可動板44から離すと、先端部が可動板44の左側面から飛び出るようにされている。
これにより、後述するように磁石48をUクレビス10に吸着させて仮連結用ピン40をUクレビス10に固定して碍子連3をUクレビス10に取り付けたのち、仮連結用ピン40をUクレビス10から取り外す際には、作業員は、引外しハンドル45を引けばUクレビス10に吸着した磁石48を引き離すことができるため、仮連結用ピン40を容易に取り外すことができる(磁石引離し機能)。
【0024】
磁石48は、可動板44の右側面内の凹部と切欠きとの間に取り付けられている。
【0025】
このように構成された仮連結用ピン40を用いる場合には、作業員は、図3(a)に示すように可動板44の先端部を基板41の先端部から離すとともに、図3(b)に示すように引外しハンドル45を引いて押えピン47を可動板44の貫通孔内に引き込ませた状態で、ピン41をUクレビス10の仮連結用ピン取付孔10b(図1(a)参照)に挿入する。
【0026】
続いて、作業員は、図3(a)に矢印で示すように可動板44を回して可動板44の先端部を基板41の先端部と重ね合わせたのち、引外しハンドル45を押し込んでピン41の先端部を押えピン47で押える。
このとき、磁石48がUクレビス10に吸着するため、仮連結用ピン40をUクレビス10に固定することができる。
【0027】
続いて、作業員は、ホーン取付金具30の仮連結用フック30bをピン42に引っ掛ける。これにより、Uクレビス10の連結ボルト挿入孔10aとホーン取付金具30の連結ボルト挿入孔30aとが重なり合うため、作業員はUクレビス10とホーン取付金具30とを容易に連結ボルトで連結することができる。
【0028】
続いて、作業員は、引外しハンドル45を引いて、押えピン47を可動板44の貫通孔内に引き込ませるとともに、引外しハンドル45の先端部でUクレビス10を押すことによりUクレビス10に吸着していた磁石48を引き離す。
続いて、作業員は、可動板44を回して、可動板44の先端部が基板41の先端部から離れるようにしたのち、ピン42をUクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bから引き抜く。
【0029】
仮連結用ピン50は、図4(a)に示すように、棒状のピン51と、棒状の可動板支持軸52と、横長板状の可動板53と、仮連結用ピン50を上から見たときの形状がコの字形状である引外しハンド54と、棒状のハンドル支持軸55と、磁石56とを備える。
【0030】
ピン51は、末端部の径が大きくされているとともに、先端部には可動板53の末端部を収納するための凹部が形成されている。
ピン51の長さは、Uクレビス10の幅とほぼ同じ(すなわち、図4(c)に示すように可動板53の上面をUクレビス10の一方の端部に接触させたときに末端部がUクレビス10の他方の端部に接触するかしない程度の長さ)にされている。
【0031】
可動板支持軸52は、ピン51の凹部を左右方向に貫通するように取り付けられている。
【0032】
可動板53は、末端部が可動板支持軸52に回動自在に支持されている。
可動板53の末端は、図4(c)に示すように可動板53の上面をUクレビス10の一方の端部に接触させたときにピン51から下方に飛び出さないようにされている。
ハンドル支持軸55は、可動板53の先端部に可動板支持軸52と平行に取り付けられている。
【0033】
引外しハンドル54は、磁石56をUクレビス10から引き離す磁石引離し機能を備える。
すなわち、引外しハンドル54は、両端部側がハンドル支持軸55に回動自在に支持されているとともに、図4(b)に示すように引外しハンドル54を可動板53の長手方向に対して垂直方向に向かって押すと、両端部が可動板53の上面または底面から飛び出すようにされている。
【0034】
磁石56は、可動板53の上面内のピン51と引外しハンドル54との間に取り付けられている。
【0035】
このように構成された仮連結用ピン50を用いる場合には、作業員は、図4(a)に示すようにピン51、可動板53および引外しハンドル54がピン51の長手方向に沿って直線状に並ぶようにして、引外しハンドル54の先端からUクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bに挿入する。
【0036】
続いて、作業員は、可動板53を可動板支持軸52を回転中心として回して、図4(c)に示すように可動板53の上面をUクレビス10の一方の端部に接触させる。
このとき、磁石56がUクレビス10に吸着するため、仮連結用ピン50をUクレビス10に固定することができる。
【0037】
続いて、作業員は、ホーン取付金具30の仮連結用フック30bをピン51に引っ掛ける。これにより、Uクレビス10の連結ボルト挿入孔10aとホーン取付金具30の連結ボルト挿入孔30aとが重なり合うため、作業員はUクレビス10とホーン取付金具30とを連結ボルトで容易に連結することができる。
【0038】
続いて、作業員は、図4(c)に矢印で示すように引外しハンドル54を引いて、引外しハンドル54の先端部でUクレビス10を押すことによりUクレビス10に吸着していた磁石56を引き離すとともに、ピン51、可動板53および引外しハンドル54がピン51の長手方向に沿って直線状に並ぶようにする。
続いて、作業員は、ピン51の径が大きくされた末端部を引っ張って、Uクレビス10の仮連結用ピン取付孔10bから仮連結用ピン50を引き抜く。
【0039】
以上では、ピン51の長さをUクレビス10の幅とほぼ同じにしたために、引外しハンドル54の先端部でUクレビス10を押すことによりUクレビス10に吸着していた磁石56を引き離すことができるように、図4(c)に示すように可動板53の上面をUクレビス10の一方の端部に接触させたときに可動板53の末端がピン51から下方に飛び出さないようにしたが、ピン51の長さをUクレビス10の幅よりもある程度大きくして、可動板53の上面をUクレビス10の一方の端部に接触させたときに可動板53の末端がピン51から下方に飛び出すようにしてもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の第2の実施例による仮連結金具について図5を参照して説明する。
本実施例による仮連結金具は、特別高圧架空線の1連耐張装置(複数個のクレビス形懸垂碍子を並べてなる碍子連3と、碍子連3の上端に取り付けられた碍子連側Uクレビス90とを備える。)を鉄塔1に取り付ける際に使用するためのものであり、図5(a)に示すように仮連結用ピン取付孔60bを備えた鉄塔側プレート60(鉄塔側金具)と、図5(b)〜(d)に示すように両端部に仮連結用フック70bが形成された鉄塔側Uクレビス70(懸垂/耐張装置側金具)と、図5(c),(d)に示すように頭付きピンである仮連結用ピン80とを具備する。
【0041】
ここで、仮連結用ピン取付孔60bは、仮連結用ピン80を挿入して鉄塔側プレート60に取り付けるためのものであり、鉄塔側プレート60の下端部に形成された連結ボルト挿入孔60aと鉄塔側プレート60の上端部に形成されたボルト挿入孔60c(鉄塔側プレート60をボルトで鉄塔1に固定するためのもの)との間に形成されている。
【0042】
仮連結用フック70bは、鉄塔側Uクレビス70の両端部に形成されている。
また、仮連結用フック70bは、図5(c)に示すように、鉄塔側プレート60の仮連結用ピン取付孔60bに仮連結用ピン80を取り付けたのち、鉄塔側Uクレビス70の仮連結用フック70bを仮連結用ピン80に引っ掛けると、鉄塔側プレート60の連結ボルト挿入孔60aと鉄塔側Uクレビス70の連結ボルト挿入孔70aとが重なり合うように形成されている。
【0043】
これにより、作業員は、碍子連3を碍子連側Uクレビス90および鉄塔側Uクレビス60を介して鉄塔側プレート60に取り付ける際には、鉄塔側プレート60の仮連結用ピン取付孔60bに取り付けた仮連結用ピン80に鉄塔側Uクレビス70の仮連結用フック70bを引っ掛けるだけで鉄塔側プレート60の連結ボルト挿入孔60aと鉄塔側Uクレビス70の連結ボルト挿入孔70aとを位置合わせすることができるため、鉄塔側プレート60と鉄塔側Uクレビス70とを容易に連結ボルト91で連結することができる。
【0044】
なお、本実施例による仮連結金具においても、仮連結用ピン80の代わりに、上述した仮連結用ピン40,50を用いてもよい。
【0045】
以上の説明では、本発明の仮連結金具を用いて1連懸垂装置または1連耐張装置を鉄塔1に取り付けたが、2連懸垂装置または2連耐張装置についても本発明の仮連結金具を用いて同様にして鉄塔1に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 鉄塔
2 懸垂装置取付金具
3 碍子連
4 ホーン取付金具
4a 連結ボルト挿入孔
5 Uクレビス
5a 連結ボルト挿入孔
10 Uクレビス
10a 連結ボルト挿入孔
10b 仮連結用ピン取付孔
20 仮連結用ピン
30 ホーン取付金具
30a 連結ボルト挿入孔
30b 仮連結用フック
40 仮連結用ピン
41 基板
42 ピン
43 可動板支持軸
44 可動板
45 引外しハンドル
46 ハンドル支持軸
47 押えピン
48 磁石
50 仮連結用ピン
51 ピン
52 可動板支持軸
53 可動板
54 引外しハンド
55 ハンドル支持軸
56 磁石
60 鉄塔側プレート
60a 連結ボルト挿入孔
60b 仮連結用ピン取付孔
60c ボルト挿入孔
70 鉄塔側Uクレビス
70a 連結ボルト挿入孔
70b 仮連結用フック
80 仮連結用ピン
90 碍子側Uクレビス
91 連結ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔側金具(10,60)に形成された連結ボルト挿入孔(10a,60a)と懸垂/耐張装置側金具(30,70)に形成された他の連結ボルト挿入孔(30a,70a)とに連結ボルト(90)を挿入して該鉄塔側取付金具と該懸垂/耐張装置側金具とを連結する際に、該鉄塔側金具と該懸垂/耐張装置側金具とを仮連結して前記連結ボルト挿入孔と前記他の連結ボルト挿入孔とを重ね合わせるための仮連結金具であって、
前記鉄塔側金具に、仮連結用ピン取付孔(10b,60b)が形成されており、
前記懸垂/耐張装置側金具に、仮連結用フック(30b,70b)が形成されており、
前記仮連結用ピン取付孔が、該仮連結用ピン取付孔に挿入して取り付けた仮連結用ピン(20,40,50,80)に前記仮連結用フックを引っ掛けると前記連結ボルト挿入孔と前記他の連結ボルト挿入孔とが重ね合わさる位置に形成されている、
ことを特徴とする、仮連結金具。
【請求項2】
前記鉄塔側金具が、両端部に前記連結ボルト挿入孔(10a)が形成されたUクレビス(10)であり、
前記仮連結用ピン取付孔(10b)が、前記Uクレビスの両端部に形成された連結ボルト挿入孔の間に該Uクレビスの両端から同じ距離の位置に形成されており、
前記懸垂/耐張装置側金具が、上面に前記仮連結用フック(30b)が形成されたホーン取付金具(30)である、
ことを特徴とする、請求項1記載の仮連結金具。
【請求項3】
前記鉄塔側金具が、下端部に前記連結ボルト挿入孔(60a)が形成された、かつ、上端部にボルト挿入孔(60c)が形成された、かつ、該連結ボルト挿入孔と該ボルト挿入孔との間に前記仮連結用ピン取付孔(60b)が形成された鉄塔側プレート(60)であり、
前記懸垂/耐張装置側金具が、両端部に前記仮連結用フック(70b)が形成された鉄塔側Uクレビス(70)である、
ことを特徴とする、請求項1記載の仮連結金具。
【請求項4】
前記仮連結用ピン(40)が、
横長板状の基板(41)と、
末端が前記基板の一方の側面の先端部に固定された、かつ、先端から前記鉄塔側金具の前記仮連結用ピン取付孔に挿入される棒状のピン(42)と、
末端が前記基板の前記一方の側面の末端部に固定された棒状の可動板支持軸(43)と、
一方の側面が前記基板の前記一方の側面と対向するとともに末端部が前記可動板支持軸に回動自在に支持された横長板状の可動板(44)と、
前記仮連結用ピンを前記一方の側面から見たときの形状がコの字形状である引外しハンドル(45)と、
該引外しハンドルの両端部を回動自在に支持するための棒状のハンドル支持軸(46)と、
末端部が前記引外しハンドルの前記ハンドル支持軸よりも先端部側に回動自在に支持された棒状の押えピン(47)と、
磁石(48)とを備え、
前記可動板の先端部の底面に、前記ピンの先端部を収納するとともに、該収納されたピンの先端部を該可動板と共に挟んで保持するための前記押えピンの先端部を収納するための切欠きが形成されており、
前記可動板の上面および底面の中央部に、前記引外しハンドルを該可動板に向けて押し込んだときに該引外しハンドルの両端部を収納するための凹部が形成されており、
前記可動板の前記底面の前記凹部と前記切欠きとの間に、前記押えピンを貫通させるための貫通孔が形成されており、
前記可動板の他方の側面に、前記ハンドル支持軸を貫通させて取り付けるための凸部が形成されており、
前記引外しハンドルが、前記押えピンを前記可動板の長手方向に沿って移動させる押えピン移動機能および前記磁石を前記鉄塔側金具から引き離す磁石引離し機能を備え、
前記磁石が、前記可動板の前記一方の側面内の前記凹部と前記切欠きとの間に取り付けられている、
ことを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の仮連結金具。
【請求項5】
前記仮連結用ピン(50)が、
棒状のピン(51)と、
棒状の可動板支持軸(52)と、
末端部が前記可動板支持軸に回動自在に支持された横長板状の可動板(53)と、
前記仮連結用ピンを上から見たときの形状がコの字形状である引外しハンドル(54)と、
前記可動板の先端部に前記可動板支持軸と平行に取り付けられた棒状のハンドル支持軸(55)と、
前記可動板の上面内の前記ピンと前記引外しハンドルとの間に取り付けられた磁石(56)とを備え、
前記ピンが、末端部の径が大きくされているとともに、先端部に前記可動板の末端部を収納するための凹部が形成されており、
前記可動板支持軸が、前記ピンの凹部を貫通するように取り付けられており、
前記引外しハンドルが、両端部が前記ハンドル支持軸に回動自在に支持されており、前記磁石を前記鉄塔側金具から引き離す磁石引離し機能を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の仮連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−249422(P2012−249422A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119249(P2011−119249)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】